説明

印刷指示装置および印刷指示プログラム

【課題】複写物を容易に判別可能とする標識の印刷を指示することができる印刷指示装置および印刷指示プログラムを提供する。
【解決手段】表示端末には、用紙の表面に印刷される表面用マーク、および裏面に印刷される裏面用マークが記憶されている。表面用マークおよび裏面用マークは、両面印刷がされると一部が重なり合うように印刷位置が設定されている。印刷対象のコンテンツが選択され、印刷実行が指示されると、裏面用マークを用紙の裏面に印刷するための印刷用データが生成され(S1)、プリンタに送信される(S2)。さらに、表面用マークおよびコンテンツの内容を用紙の表面に印刷するための印刷用データが生成され(S3)、プリンタに送信される(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷指示装置および印刷指示プログラムに関する。より詳細には、印刷装置に対して印刷指示を行うための印刷指示装置、および印刷指示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有価証券等の印刷物の不正複写を防止するために、複写機を用いて複写された場合に、正確には複写できない程度の大きさの文字(マイクロ文字)を印刷する技術が知られている。例えば、特許文献1には、線の太さの異なるマイクロ文字を複数印刷された印刷物が開示されている。この印刷物が複写されると、線の太さに応じて、複写されるマイクロ文字と複写されないマイクロ文字とに分かれるため、複写物を容易に識別することができる。
【0003】
また、近年、ネットワークを介して、サーバから文書データや画像データ等のコンテンツを配信し、ユーザが自己の端末で配信されたコンテンツを閲覧するシステムが種々提供されている。このようなシステムでは、ユーザの端末に配信されたコンテンツが不正に利用されるのを防止するために、サーバから配信されるコンテンツに著作権情報を付加することが行われている。さらに、例えば、特許文献2では、配信されたコンテンツを印刷する際に、著作権情報に基づき、著作物であることを示すマークをコンテンツとともに印刷する技術も提案されている。
【特許文献1】特開平6−199086号公報
【特許文献2】特開2000−165668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、マイクロ文字がどの程度正確に複写されるかは、複写機の解像度に依存する。したがって、例えば、非常に解像度が高い複写機で複写が行われた場合、マイクロ文字がすべて正確に複写され、印刷物と、複写物とを判別できない虞がある。また、特許文献2に開示されている技術では、複写物にも、著作物であることを示すマークが印刷物と同じ形で含まれることになる。したがって、印刷物と複写物とを判別するのは困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、複写物を容易に判別可能とする標識の印刷を指示することができる印刷指示装置および印刷指示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の印刷指示装置は、印刷装置に接続可能な印刷指示装置であって、印刷対象として特定されたコンテンツの印刷の実行指示を前記印刷装置へ送信する際に、印刷媒体の一面上の第1の位置に前記コンテンツの表示画像には含まれない第1の標識を印刷するためのデータである、第1のデータを、前記印刷装置に送信する第1の印刷指示手段と、前記印刷媒体の他面の第2の位置上に前記表示画像には含まれない第2の標識を印刷し、前記印刷媒体の他面上の任意の位置に前記表示画像をそれぞれ印刷するためのデータである、第2のデータを、前記印刷装置に送信する第2の印刷指示手段とを備え、前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記印刷媒体上の距離は、所定の範囲内にあることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明の印刷指示装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記第1の位置は、前記第1の標識と前記印刷媒体の搬送方向の長さおよび前記搬送方向に直交する方向の長さが等しい領域である第1の領域内であり、前記第2の位置は、前記第2の標識と前記印刷媒体の搬送方向の長さおよび前記搬送方向に直交する方向の長さが等しい領域である、第2の領域内であり、前記第1の領域および前記第2の領域は、少なくとも一部が、前記印刷媒体を介して重なり合っていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明の印刷指示装置は、請求項1または2に記載の発明の構成に加え、前記印刷装置が有する性能を、印刷装置情報として取得する印刷装置情報取得手段と、前記印刷装置情報取得手段によって取得された前記印刷装置情報に基づいて、前記印刷装置は少なくとも両面印刷が可能であるか否かを判断する印刷装置判断手段と、前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は少なくとも両面印刷が可能であると判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明の印刷指示装置は、請求項3に記載の発明の項構成に加え、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は両面印刷が不可能であると判断された場合に、印刷は行われないことを報知する第1の報知手段をさらに備えている。
【0010】
請求項5に係る発明の印刷指示装置は、請求項3または4に記載の発明の構成に加え、前記印刷装置判断手段は、前記印刷装置は両面印刷時に前記第1の標識および第2の標識の線幅に対して実質的な印刷位置のずれを生じない印刷装置であるか否かを判断し、前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は両面印刷時に印刷位置のずれを生じない印刷装置であると判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明の印刷指示装置は、請求項5に記載の発明の構成に加え、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は、両面印刷時に前記第1の標識および第2の標識の線幅に対して実質的な印刷位置のずれを生じると判断された場合に、印刷は行われないことを報知する第2の報知手段をさらに備えている。
【0012】
請求項7に係る発明の印刷指示装置は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記印刷装置に装着されている印刷媒体である装着印刷媒体の特性を、印刷媒体情報として取得する印刷媒体情報取得手段と、前記印刷媒体情報取得手段によって取得された前記印刷媒体情報に基づいて、前記装着印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体であるか否かを判断する印刷媒体判断手段をさらに備え、前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷媒体判断手段によって、前記装着印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体であると判断された場合にのみ第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明の印刷指示装置は、請求項7に記載の発明の構成に加え、前記印刷媒体判断手段によって、前記印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体ではないと判断された場合に、印刷が行われないことを報知する第3の報知手段をさらに備えている。
【0014】
請求項9に係る発明の印刷指示装置は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記コンテンツに含まれる著作権情報に基づいて、前記コンテンツが、前記コンテンツの著作権者の許諾を得ることなく利用可能なコンテンツである利用可能コンテンツであるか否かを判断する利用可能判断手段をさらに備え、前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記著作権情報判断によって、前記コンテンツが前記利用可能コンテンツではないと判断された場合にのみ、第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする。
【0015】
請求項10に係る発明の印刷指示装置は、請求項9に記載の発明の構成に加え、前記利用可能判断手段によって、前記コンテンツが前記利用可能コンテンツであると判断された場合に、前記印刷媒体の前記一面上の前記任意の領域に前記コンテンツを印刷するためのデータである第3のデータを前記印刷装置に送信する第3の印刷指示手段をさらに備えている。
【0016】
請求項11に係る発明の印刷指示装置は、請求項9または10に記載の発明の構成に加え、前記利用可能判断手段によって前記コンテンツが前記利用可能コンテンツではないと判断された場合に、前記著作権情報に含まれる、前記コンテンツの印刷が許可されているか否かを示す印刷許可情報が、許可を示すか否かを判断する印刷許可判断手段をさらに備え、前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷許可判断手段によって、前記印刷許可情報が許可を示すと判断された場合にのみ、第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする。
【0017】
請求項12に係る発明の印刷指示装置は、請求項11に記載の発明の構成に加え、前記印刷許可判断手段によって、前記印刷許可情報が不許可を示すと判断された場合に、印刷が行われないことを報知する第4の報知手段をさらに備えている。
【0018】
請求項13に係る発明の印刷指示装置では、請求項1〜12のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の前記一面上および前記他面上に、それぞれ複数設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項14に係る発明の印刷指示装置では、請求項13に記載の発明の構成に加え、前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の対角線上に、それぞれ設定されていることを特徴とする。
【0020】
請求項15に係る発明の印刷指示装置では、請求項13に記載の発明の構成に加え、前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の四隅に、それぞれ設定されていることを特徴とする。
【0021】
請求項16に係る発明の印刷指示装置では、請求項13に記載の発明の構成に加え、前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の四辺に沿って、それぞれ設定されていることを特徴とする。
【0022】
請求項17に係る発明の印刷指示プログラムは、請求項1〜16のいずれかに記載の印刷指示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に係る発明の印刷指示装置によれば、印刷媒体の両面に第1の標識と第2の標識をそれぞれ印刷する第1および第2のデータが印刷装置に送信される。第1の標識と第2の標識がそれぞれ印刷される位置である第1の位置と第2の位置との印刷媒体上の距離は、所定の範囲内にある。よって、第1および第2のデータに従って、印刷装置によって印刷が実行されると、第1の標識と第2の標識は、互いの距離が所定の範囲内にある位置関係で、印刷媒体の両面にそれぞれ印刷されることになる。よって、印刷媒体を介して、2つの標識からなる全体として1つの標識として認識することができる。印刷後の印刷媒体がさらに両面複写にかけられた場合、複写機で印刷媒体が裏返される際に通常は位置ずれが生じるため、複写された第1の標識と第2の標識の位置関係にずれが生じる。したがって、印刷後の印刷媒体が複写された場合には、全体として認識される標識の外観が変化するため、複写物を容易に発見することができる。
【0024】
請求項2に係る発明の印刷指示装置によれば、第1の標識および第2の標識は、それぞれ、第1の標識および第2の標識と印刷媒体の搬送方向の長さおよび搬送方向に直交する方向の長さが等しい第1の領域および第2の領域に印刷される。また、第1の領域および第2の領域は、少なくとも一部が印刷媒体を介して互いに重なり合っている。よって、第1の標識と第2の標識は、互いに近接した位置関係で、印刷媒体の両面にそれぞれ印刷されることになる。したがって、請求項1に記載の発明の効果に加え、複写後の両者の位置関係のずれがさらに判別しやすくなる。
【0025】
請求項3に係る発明の印刷指示装置では、印刷装置が少なくとも両面印刷可能な場合にのみ、第1および第2のデータが送信される。すなわち、第1および第2のデータに対応できない印刷装置にデータが不要に送信されることがない。したがって、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、処理の効率を向上させることができる。
【0026】
請求項4に係る発明の印刷指示装置では、印刷装置は両面印刷が不可能な場合には、印刷は行われず、その旨が報知される。したがって、請求項3に記載の発明の効果に加え、ユーザは、必要に応じて、両面印刷が可能な適切な印刷装置を、出力先の印刷装置として指定しなおすことができる。
【0027】
請求項5に係る発明の印刷指示装置では、印刷装置が、両面印刷が可能で、且つ、両面印刷時に印刷位置の実質的なずれを生じない印刷装置である場合にのみ、第1および第2のデータが送信される。したがって、請求項3または4に記載の発明の効果に加え、第1の標識と第2の標識が印刷される際の位置精度が向上するため、複写物の判別がさらに容易となる。
【0028】
請求項6に係る発明の印刷指示装置では、印刷装置が、両面印刷時に印刷位置の実質的なずれを生じてしまう印刷装置である場合には、印刷は行われず、その旨が報知される。したがって、請求項5に記載の発明の効果に加え、ユーザは、必要に応じて、両面印刷時に印刷位置の実質的なずれを生じない高精度な印刷装置を、出力先の印刷装置として指定しなおすことができる。
【0029】
請求項7に係る発明の印刷指示装置では、印刷媒体が透かし印刷可能な場合にのみ、第1のデータおよび第2のデータが送信される。したがって、請求項1〜6のいずれかに記載の発明の効果に加え、透かし印刷ができず、複写物を判別できない形態での印刷が行われることを防止することができる。
【0030】
請求項8に係る発明の印刷指示装置では、印刷媒体が透かし印刷が可能なものでない場合には、印刷は行われず、その旨が報知される。したがって、請求項7に記載の発明の効果に加え、ユーザは、必要に応じて、印刷装置に装着された印刷媒体を、透かし印刷が可能なものに変更することができる。
【0031】
請求項9に係る発明の印刷指示装置では、印刷対象のコンテンツに含まれる著作権情報によって、著作権者の許諾を得なければコンテンツの利用ができないと判断された場合にのみ、第1のデータおよび第2のデータが送信される。著作権者の許諾なしにコンテンツを利用できる場合には、コンテンツ印刷後の印刷媒体がさらに複写されても、問題が生じることはない。すなわち、必要な場合にのみ第1の標識および第2の標識の印刷指示が行われるため、請求項1〜8のいずれかに記載の発明の効果に加え、処理効率を向上することができる。
【0032】
請求項10に係る発明の印刷指示装置は、著作権者の許諾なしにコンテンツを利用できると判断された場合には、第1の標識および第2の標識を印刷することなく、コンテンツのみを印刷する。すなわち、著作権情報に基づいて自動的に印刷指示が切り替えられるため、請求項9に記載の発明の効果に加え、幅広いコンテンツの印刷に対応可能である。
【0033】
請求項11に係る発明の印刷指示装置では、著作権者の許諾なしにコンテンツを利用できない場合には、さらに、著作権情報に基づいて、印刷が許可されているコンテンツである場合にのみ、第1のデータおよび第2のデータが送信される。印刷の許可がされていない場合には、コンテンツを印刷すること自体が問題となる。したがって、請求項9または10に記載の発明の効果に加え、ユーザ自身のコンテンツの印刷行為が、コンテンツの不正利用となる事態を回避することができる。
【0034】
請求項12に係る発明の印刷指示装置では、印刷対象のコンテンツが、印刷が許可されているコンテンツではない場合には、印刷は行われず、その旨が報知される。したがって、請求項11に記載の発明の効果に加え、ユーザは、必要に応じて、コンテンツの著作権者に利用許諾を申し込む等の対処をすることができる。
【0035】
請求項13に係る発明の印刷指示装置では、第1および第2の位置がそれぞれ複数設定されているため、第1および第2の標識は、それぞれ複数、印刷媒体の両面に印刷される。したがって、請求項1〜12のいずれかに記載の発明の効果に加え、印刷後の印刷媒体が複写された場合に、第1の標識および第2の標識の位置関係のずれを判別しやすくなる。
【0036】
請求項14に係る発明の印刷指示装置では、それぞれ複数の第1および第2の位置が、四角形の印刷媒体の対角線上に設定されている。すなわち、第1および第2の標識は、印刷媒体の対角線上に印刷される。したがって、請求項13に記載の発明の効果に加え、印刷後の印刷媒体が複写された際に、第1の標識および第2の標識の位置関係のずれをさらに判別しやすくなる。
【0037】
請求項15に係る発明の印刷指示装置では、第1および第2の位置が、四角形の印刷媒体の四隅に設定されている。すなわち、第1および第2の標識は、印刷媒体の四隅に印刷される。したがって、請求項13に記載の発明の効果に加え、印刷後の印刷媒体が複写された際に、第1の標識および第2の標識の位置関係のずれをさらに判別しやすくなる。
【0038】
請求項16に係る発明の印刷指示装置では、第1および第2の位置が、四角形の印刷媒体の四辺に沿って設定されている。すなわち、第1および第2の標識は、印刷媒体の四辺に沿って印刷される。したがって、請求項13に記載の発明の効果に加え、第1の標識および第2の標識が印刷された印刷媒体が複写された際に、第1の標識および第2の標識の位置関係のずれをさらに判別しやすくなる。
【0039】
請求項17に係る発明の印刷指示プログラムは、請求項1〜16のいずれかに記載の印刷指示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることができる。したがって、請求項1〜16のいずれかに記載の発明の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0041】
<第1の実施形態>
以下に、図1〜図10を参照して、第1の実施形態に係る表示端末1について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態における、表示端末1の利用形態について説明する。なお、本実施形態では、表示端末1は、本発明の印刷指示装置に相当するものである。図1は、表示端末1の利用形態の概略の説明図である。
【0042】
図1に示すように、携帯型の端末装置である表示端末1は、サーバ2およびプリンタ3に接続することができる。本実施形態では、表示端末1とサーバ2とは、インターネット5を介して接続されており、表示端末1とプリンタ3とは、USBケーブル181によって接続されているものとする。なお、接続方法は、LAN等のこれら以外の他の方法であってもよく、有線、無線の別も問わない。
【0043】
表示端末1は、表示部15および複数の操作キー16を備えている。表示端末1は、ユーザによる操作キー16の操作に応じて、インターネット5を介してサーバ2等の外部機器に接続し、表示端末1にダウンロードするコンテンツの選択やダウンロードの指示(配信要求)を行うことができる。なお、「コンテンツ」とは、テキストデータ、静止画データ、動画データ、音声データを含む各種の情報をいう。サーバ2は、インターネット5を介して複数の情報元(図示外)から種々のコンテンツを取得し、記憶している。そして、表示端末1から特定のコンテンツ配信要求を受けた場合に、要求されたコンテンツのコンテンツファイルを表示端末1に配信する。表示端末1に配信されたコンテンツファイルは、後述するメモリカード190(図2参照)に記憶される。表示端末1のユーザは、メモリカード190に記憶されたコンテンツファイルから、所望のコンテンツファイルを選択し、コンテンツの内容を表示部15に表示させて閲覧することができる。また、表示端末1は、ユーザによる操作キー16の操作に応じて、USBケーブル181を介して接続されたプリンタ3に、印刷を希望するコンテンツの印刷用データを送信し、印刷を実行させることができる。本発明は、表示端末1がプリンタ3にコンテンツの印刷指示を送信する際の処理に特に関連するものである。
【0044】
次に、表示端末1の電気的構成について、図2〜図5を参照して説明する。図2は、表示端末1の電気的構成を示すブロック図である。図3は、マーク記憶エリア131に記憶されるマーク情報の説明図である。図4は、表面用マークM1および裏面用マークM2が両面印刷されたときの位置関係を説明する説明図である。図5は、コンテンツ記憶エリア191に記憶されるコンテンツファイルの説明図である。
【0045】
図2に示すように、表示端末1は、バスによって相互に接続されたCPU10、ROM11、RAM12、EEPROM13、表示コントローラ14、操作キー16、LANコントローラ17、USBコントローラ18、およびメモリカードコントローラ19を備えている。ROM11は、表示端末1を動作させるための各種のプログラムを記憶している。CPU10は、ROM11に記憶されたプログラム、または、外部から読込まれ、EEPROM13に記憶されたプログラムに従って、表示端末1の動作を制御する。RAM12は、各種データを一時的に記憶するための記憶装置である。不揮発性の記憶装置であるEEPROM13については、後述する。表示コントローラ14は、表示コントローラ14に接続された表示部15の制御を行う。操作キー16は、前述したように、ユーザによる各種操作の入力を受け付けるものである。LANコントローラ17は、インターネット5に接続し、サーバ2等の外部機器との間でデータの送受信を行うためのものである。USBコントローラ18は、USB通信によりUSBケーブルで接続されたプリンタ3等の外部機器との間でデータの送受信を行うためのものである。メモリカードコントローラ19は、メモリカード190を接続するためのものである。
【0046】
ここで、図2および図3を参照して、EEPROM13について説明する。図2に示すように、EEPROM13は、マーク記憶エリア131を含む複数の記憶エリアを備えている。マーク記憶エリア131には、コンテンツの内容がプリンタ3で印刷される際、コンテンツとあわせて印刷される、複写物判別用のマークに関する情報(以下、マーク情報という)が記憶されている。
【0047】
図3に示すように、マーク情報は、マーク、マークに対応する領域、およびマークの印刷位置をそれぞれ特定するデータを含み、表面用および裏面用に分けて記憶されている。なお、印刷用紙の、プリンタ3によってコンテンツの内容が印刷される側の面を表面といい、他方の面を裏面という。マークを特定するデータとしては、例えば、マークの画像データが記憶されている。表面用マークM1は、用紙の表面に、コンテンツの内容とあわせて印刷されるマークである。本実施形態では、高さ方向および幅方向にそれぞれ2つずつ並ぶ、合計4つの正方形で構成された、全体として1つの正方形状のマークが用いられている。なお、高さ方向とは、用紙の印刷時の搬送方向であり、幅方向とは、用紙の印刷時の搬送方向に直交する方向である。裏面用マークM2は、用紙の裏面に印刷されるマークである。本実施形態では、対角線がそれぞれ高さ方向および幅方向に沿って配置された正方形に、各頂点から対角線に沿って外側へ延びる線分が付加されたマークが用いられている。マークに対応する領域(以下、マーク領域という)とは、各マークについて、マーク印刷時の高さと幅で規定される領域をいう。マーク領域を特定するデータとして、例えば、表面用マークM1および裏面用マークM2に対応するマーク領域R1およびR2のサイズが記憶されている。また、マークの印刷位置を特定するデータとして、例えば、正方形状のマーク領域R1とR2のそれぞれの左上の頂点である、基点B1および基点B2の印刷位置の座標が記憶されている。本実施形態では、表面用マークM1および裏面用マークM2はそれぞれ、本来の印刷対象であるコンテンツと重ならないように、また、両者の重なり具合が明確に確認できるように、ヘッダー部分およびフッター部分の2箇所に印刷される。よって、基点B1および基点B2の印刷位置の座標として、2種類の座標が記憶されている。
【0048】
また、図示はされていないが、実際には、用紙サイズにより、表面用マークM1および裏面用マークM2の大きさや印刷位置を変更する必要がある。したがって、マーク記憶エリア131には、様々な用紙の規定サイズ(例えば、A4、B4)に対応して、マーク領域R1およびR2のサイズと、基点B1およびB2の座標とが記憶されている。なお、本実施形態では、マーク情報に含まれる表面用マークM1および裏面用マークM2が、それぞれ本発明の「第2の標識」および「第1の標識」に相当する。また、マーク領域R1が、「第2の位置」および「第2の領域」に相当し、マーク領域R2が、「第1の位置」および「第1の領域」に相当する。
【0049】
ここで、図4を参照して、表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷された時の位置関係について説明する。表面用マークM1は、用紙の表面の、基点B1により位置決めされるマーク領域R1内に印刷される。一方、裏面用マークM2は、用紙の裏面の、基点B2により位置決めされるマーク領域R2内に印刷される。図4は、印刷後に用紙の表面から見た状態を表すものである。本実施形態では、表面用マークM1および裏面用マークM2が表面および裏面にそれぞれ印刷されると、図4に示すように、表面用マークM1の外郭をなす正方形(以下、外郭正方形という)に、裏面用マークM2の正方形が内接する状態となる。すなわち、裏面用マークM2の正方形の各頂点は、表面用マークM1の外郭正方形の各辺の中点上にある。そして、裏面用マークM2の、正方形の各頂点から延びる線分は、表面用マークM1の外郭正方形を構成する正方形同士が接触する辺と同一直線上にある状態となる。このとき、マーク領域R1は、マーク領域R2に包含された状態である。なお、外郭が正方形である表面用マークM1に対応するマーク領域R1は、表面用マークM1と同一形状を有するため、図4では、表面用マークM1に重なっている。本実施形態では、このように、印刷後の表面用マークM1と裏面用マークM2が重なり合い、全体として1つのマークのような外観を呈するように、表面用マークM1と裏面用マークM2の印刷位置が予め設定されている。より具体的には、マーク領域R1およびR2の基点B1およびB2の印刷位置が、マーク記憶エリア131に記憶されている。詳細は後述するが、これにより、印刷後の用紙が複写された場合に、表面用マークM1と裏面用マークM2の位置関係(重なり)にずれが生じ、全体として見た時のマークの外観が変化するため、複写物の判別が容易となる。特に、裏面用マークM2の正方形の各頂点の位置(表面用マークM1の外郭正方形の各辺の中点上)や、裏面用マークM2の、正方形の各頂点から延びる線分の位置(表面用マークM1の外郭正方形を構成する正方形同士が接触する辺と同一直線上)のように、わかりやすい位置ずれの判断基準を有する場合は、判別は非常に容易となる。
【0050】
次に、図2および図5を参照して、メモリカードコントローラ19に接続されるメモリカード190について説明する。図2に示すように、メモリカード190は、コンテンツ記憶エリア191を含む複数の記憶エリアを備えている。本実施形態では、コンテンツ記憶エリア191には、インターネット5を介して接続されたサーバ2またはその他の外部機器からダウンロードしたコンテンツのコンテンツファイルが記憶される。図5に示すように、コンテンツファイルは、タイトル情報、著作権情報、およびコンテンツ本文を少なくとも含むファイルである。タイトル情報とは、コンテンツのタイトルを特定する情報である。著作権情報とは、コンテンツの著作権者や、コンテンツの利用許諾の可否や、利用が許諾されている場合の条件等に関する情報である。例えば、コンテンツがHTML文書であれば、「COPYRIGHT」のタグを用いて、著作権者等の情報を記述することができるので、この情報を著作権情報として利用することができる。コンテンツ本文は、コンテンツの内容に関する情報であって、例えば、コンテンツがHTML文書であれば、ボディ部分に含まれる情報をいう。なお、以下の説明では、説明の便宜上、表示端末1のユーザがサーバ2からダウンロードしたHTML文書形式のWebコンテンツのコンテンツファイルが、コンテンツ記憶エリア191に記憶されているものとする。
【0051】
以下に、図6〜図10を参照して、本実施形態に係る表示端末1で行われる処理について説明する。図6は、印刷指示処理のフローチャートである。図7は、表面の印刷結果を示す説明図である。図8は、裏面の印刷結果を示す説明図である。図9は、両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。図10は、両面印刷後に両面複写された場合の、表面から透かして見た図9の印刷結果の説明図である。なお、図6に示す印刷指示処理は、ROM11に記憶されたプログラムに従って、CPU10によって実行される。
【0052】
図6に示す印刷指示処理は、表示端末1のユーザが、操作キー16を操作することにより、メモリカード190に記憶されているコンテンツファイルのうち1つを印刷対象として選択し、印刷実行を指示すると開始される。このとき、選択されたコンテンツファイルは、メモリカード190のコンテンツ記憶エリア191から読み出され、RAM12の所定の記憶エリア(図示外)に記憶されている。なお、印刷設定については、USBケーブル181を介して表示端末1に接続されているプリンタ3(図1参照)が出力先プリンタとして設定されるとともに、片面印刷が設定されているものとする。これらの設定情報は、RAM12の所定の記憶エリア(図示外)に記憶されている。
【0053】
まず、EEPROM131のマーク記憶エリア131から、裏面用マークM2のマーク情報がRAM12に読み出される。前述したように、印刷設定として片面印刷が指定されているので、裏面に印刷されるのは裏面用マークM2のみである。よって、読み出された裏面用マークM2のマーク情報に基づき、プリンタ3に裏面印刷を実行させるための裏面印刷用のデータが生成される(S1)。具体的には、裏面用マークM2、ならびに、設定されている用紙サイズに対応するマーク領域R2のサイズおよび基点B2の座標に基づいた印刷用データが生成される。生成された裏面印刷用のデータは、印刷実行の指示として、プリンタ3に送信される(S2)。これを受信したプリンタ3では、用紙裏面の、設定された2つの印刷位置(ヘッダー部分およびフッター部分)に、裏面用マークM2を印刷する。裏面用マークM2の印刷結果は、図8のようになる。
【0054】
裏面印刷用のデータ送信後(S2)、表示端末1では、表面用マークM1のマーク情報が、RAM12に読み出される。用紙の表面には、表面用マークM1とともに、印刷対象として選択されたコンテンツの内容(例えば、タイトルと本文)を印刷しなければならない。よって、RAM12に記憶されている、印刷対象のコンテンツのタイトル情報およびコンテンツ本文と、表面用マークM1のマーク情報に基づいて、表面印刷用のデータが生成される(S3)。表面用マークM1のマーク情報として、裏面用マークM2同様、表面用マークM1、ならびに、設定されている用紙サイズに対応するマーク領域R1のサイズおよび基点B1の座標が用いられる。生成された表面印刷用のデータは、印刷実行の指示として、プリンタ3に送信される(S4)。これを受信したプリンタ3では、用紙表面の、設定された2つの印刷位置(ヘッダー部分およびフッター部分)に表面用マークM1を、また、印刷領域にコンテンツの内容を、それぞれ印刷する。表面用マークM1およびコンテンツの内容の印刷結果は、図7のようになる。表面印刷用のデータがプリンタ3に送信されると(S4)、図6の印刷指示処理は終了する。
【0055】
このようにして、プリンタ3で用紙の両面印刷が終了すると、図4に示す位置関係で、表面用マークM1と裏面用マークM2が印刷された状態となる。したがって、用紙全体を表面から透かして見た場合、図9に示すように、用紙の右上と左下の2箇所に、表面用マークM1と裏面用マークM2がぴったりと重なり合った1つのマークが配置されたように見える。
【0056】
その後、図9のように印刷された用紙が、複写機能を有する装置(例えば、コピー機)で複写されたとする。複写者が複写したいのはコンテンツの内容のみと考えられるので、コンテンツの内容が印刷された表面のみを複写することが考えられる。この場合、複写された用紙の裏面には、裏面用マークM2が存在しないことになる。したがって、複写された用紙を容易に判別することができる。また、裏面に裏面用マークM2が印刷されていることから、図9のように印刷された用紙が、両面複写されることも考えられる。この場合、複写機能を有する装置内で、両面印刷時に用紙が反転されるため、通常、表面印刷時と裏面印刷時の印刷位置に位置ずれが生じる。その結果、例えば、図10に示すように、複写された用紙では、表面用マークM1と裏面用マークM2の重なりにずれが生じ、透かして見た時に現れる全体としてのマークは、プリンタ3で印刷された時(図9参照)とは外観が異なるものとなる。したがって、両面複写が行われた場合でも、複写された用紙を容易に判別することができる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態の表示端末1によれば、用紙の表面にコンテンツの内容と表面用マークM1を印刷するためのデータと、裏面に裏面用マークM2を印刷するためのデータとがプリンタ3に送信され、印刷が実行される。表面用マークM1と裏面用マークM2とは、用紙の両面の近接する位置(例えば、重なり合う位置)に印刷位置が設定されているので、印刷された用紙を透かして見た場合に、全体として1つのマークのように見える。したがって、印刷された用紙が、片面複写場合、および両面複写された場合のいずれについても、表面用マークM1とは裏面用マークM2の位置関係(重なり)のずれにより、用紙を透かして見た場合に全体として認識されるマークの外観が変化して、複写された用紙を容易に判別することができる。特に、印刷されるコンテンツは大部分が著作物であるため、私的使用目的で印刷する場合等、著作権者の許諾を得なくても利用できる範囲を超えて利用された場合、著作権の侵害となる。したがって、例えば、印刷された用紙の複写が認められていない場合等には、不正な複写物を容易に判別することができる。
【0058】
本実施形態では、図6のS2で裏面印刷用のデータをプリンタ3に送信するCPU10が、本発明の「第1の印刷指示手段」に相当し、S4で表面印刷用のデータを送信するCPU10が、「第2の印刷指示手段」に相当する。
【0059】
<第2の実施形態>
以下に、図11および図12を参照して、第2の実施形態について説明する。図11は、第2の実施形態に係る表示端末7のブロック図である。図12は、第2の実施形態に係る印刷指示処理のフローチャートである。
【0060】
前述の第1の実施形態の表示端末1は、出力先のプリンタの種別には関係なく、すべての場合について、表面印刷用のデータおよび裏面印刷用のデータを送信する。この場合、可能であれば必ず用紙の両面に表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷されるので、複写物を容易に判別することはできる。ところが、出力先のプリンタが、両面印刷が可能なプリンタではない場合、両面印刷用のデータを送信すると、エラーが発生して印刷が行われない場合がある。すなわち、両面印刷用のデータを送信する必要がない場合がある。したがって、本実施形態では、出力先のプリンタが両面印刷可能か否かに応じて、異なる処理が行われる点が特徴である。
【0061】
図11を参照して、本実施形態に係る表示端末7の電気的構成について説明する。表示端末7の電気的構成は、EEPROM137以外はすべて第1の実施形態の表示端末1と同一である。よって、EEPROM137以外の、表示端末1と同一の構成要素については、図11において同一の符号を付すこととし、ここでの説明は省略する。
【0062】
図11に示すように、本実施形態のEEPROM137は、マーク記憶エリア131に加え、プリンタ情報記憶エリア132を有する。プリンタ情報記憶エリア132には、表面用マークM1および裏面用マークM2の両方を両面に印刷することができるプリンタの情報が記憶されている。具体的には、市場に流通している様々なプリンタのうち、両面印刷が可能な各種のプリンタの機種が、プリンタ情報記憶エリア132に記憶されている。なお、プリンタの機種が、本発明の「印刷装置情報」に相当する。
【0063】
以下に、図12を参照して、表示端末7で行われる印刷指示処理について説明する。図12の印刷指示処理は、ROM11に記憶されたプリンタに従って、CPU10によって実行される。なお、以下の説明では、出力先プリンタとしてプリンタ3が設定されており、片面印刷が指定されているものとする。
【0064】
処理が開始されると、まず、現在設定されている出力先プリンタの機種が特定される(S11)。具体的には、このときRAM12に記憶されているプリンタの情報から、出力先プリンタであるプリンタ3の機種が特定される。そして、特定された出力先プリンタの機種と、EEPROM137のプリンタ情報記憶エリア132に記憶されている機種とが比較され、プリンタ3が両面印刷可能な機種か否かが判断される(S13)。具体的には、プリンタ情報記憶エリア132に、プリンタ3の機種と同一の機種が記憶されていれば、プリンタ3は、両面印刷可能であると判断される(S13:YES)。この場合には、第1の実施形態で説明したのと同様の処理が行われる。具体的には、まず裏面用マークM2のマーク情報に基づいて裏面印刷用のデータが生成され(S14)、印刷実行指示としてプリンタ3に送信される(S15)。これを受けたプリンタ3では、用紙の裏面に、図8に示すように、裏面用マークM2が印刷される。また、表面用マークM1のマーク情報および印刷対象のコンテンツのコンテンツファイルに基づいて、表面印刷用のデータが生成され(S16)、プリンタ3に送信される(S17)。これを受けたプリンタ3では、用紙の表面に、図7に示すように、コンテンツの内容および表面用マークM1が印刷される。
【0065】
一方、プリンタ情報記憶エリア132に、プリンタ3の機種と同一の機種が記憶されておらず、プリンタ3は両面印刷不可能であると判断された場合(S13:NO)。プリンタ3に印刷用データは送信されない。その代わりに、表示部15には、例えば、「プリンタ3ではコピー判別用マークを印刷できないため、選択されたコンテンツの印刷を行いません。両面印刷可能なプリンタを出力先に指定してください。」というメッセージが表示される(S19)。メッセージを確認した表示端末7のユーザは、他の適切なプリンタに出力先を変更することができる。両面印刷可能な、プリンタ情報記憶エリア132に記憶された機種のプリンタに出力先が変更され、再度、操作キー16から印刷実行の指示が入力された場合には、コンテンツと表面用マークM1、および裏面用マークM2の印刷用データが送信され、印刷が行われる(S13:YES〜S17)。
【0066】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示端末7によれば、用紙の両面に表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷できないプリンタが出力先とされている場合、印刷用データが作成、送信されることがない。すなわち、必要な場合にのみ印刷用データの作成および送信処理が行われるので、処理の効率を向上することができる。
【0067】
本実施形態では、図12のS11で、出力先プリンタの機種を特定するCPU10が、本発明の「印刷装置情報取得手段」に相当し、S13で出力先プリンタが両面印刷可能か否かを判断するCPU10が、「印刷装置判断手段」に相当する。S15で裏面印刷用のデータをプリンタ3に送信するCPU10が、本発明の「第1の印刷指示手段」に相当し、S17で表面印刷用のデータを送信するCPU10が、「第2の印刷指示手段」に相当する。また、S19でメッセージを表示部15に表示させるCPU10が、「第1の報知手段」に相当する。
【0068】
<第3の実施形態>
以下に、図13および図14を参照して、第3の実施形態について説明する。図13は、第3の実施形態に係る表示端末8のブロック図である。図14は、第3の実施形態に係る印刷指示処理のフローチャートである。
【0069】
前述の第2の実施形態の表示端末7は、コンテンツが著作権による利用制限を受けるコンテンツであるか否かに関わらず、出力先プリンタが両面印刷可能であれば、表面印刷用のデータおよび裏面印刷用のデータを送信する。この場合、用紙の両面に表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷される。ところが、プリンタ3の性能(用紙の搬送精度)によっては、両面印刷時に位置ずれが生じ、表面用マークM1および裏面用マークM2が、複写物の判別を容易とする位置関係に配置されない場合がありうる。例えば、プリンタ3で印刷が行われた時点で、表面用マークM1および裏面用マークM2が、図10に示すような位置関係にあると、位置ずれの判断基準がわかりにくくなる。もっとも、両面複写の場合、用紙の搬送精度に加えて、原稿の読み取り精度も位置ずれの要因に加わるので、通常は、両面複写により、さらに位置ずれは大きくなると考えられる。よって、その後、複写によって位置ずれが生じると、透かして見た時の表面用マークM1および裏面用マークM2の全体としての外観は、やはり図10の状態とは異なるので、複写物の判別は可能である。ただし、表面用マークM1および裏面用マークM2は、印刷された時点で、図9のように、位置ずれの判断基準がわかりやすい状態であることが望ましい。また、例えば、表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷された用紙が厚いために、表面から透かして見た場合に、裏面用マークM2が識別できなければ、適切な複写物の判別ができない場合があると考えられる。また、印刷されるコンテンツについて、著作権者によって、営利、非営利を問わず、複製(印刷、複写を含む)、譲渡、その他、著作権法に規定される各種の行為を自由に行うこと(以下、自由利用という)が認められている場合がある。このような場合には、複写物を判別する必要はない場合がある。
【0070】
以上の理由から、本実施形態では、プリンタ3の性能、用紙の種別、および印刷されるコンテンツが自由利用可能か否かに応じて、異なる処理が行われる点が特徴である。なお、以下の説明において、透かし印刷とは、用紙の一面に印刷された印刷対象が、用紙の他面に透けて見えることにより、他面側からも識別可能な状態で印刷することをいう。
【0071】
図13を参照して、本実施形態に係る表示端末8の電気的構成について説明する。表示端末7の電気的構成は、EEPROM138以外はすべて第2の実施形態の表示端末7と同一である。よって、EEPROM138以外の、表示端末7と同一の構成要素については、図13において同一の符号を付すこととし、ここでの説明は省略する。
【0072】
図13に示すように、本実施形態のEEPROM138は、マーク記憶エリア131およびプリンタ情報記憶エリア132に加え、用紙情報記憶エリア133を有する。第2の実施形態では、プリンタ情報記憶エリア132には、両面印刷が可能なプリンタの機種が記憶されているが、本実施形態では、両面印刷が可能であって、且つ、両面印刷時に実質的な位置ずれを生じないプリンタの機種が記憶されている。なお、「実質的なずれを生じない」とは、「本来の設定位置からの実際の印刷位置のずれが許容範囲である」ことをいう。例えば、1mm以下のずれであれば、実質的なずれではないものとみなせばよい。用紙情報記憶エリア133には、透かし印刷が可能な用紙の情報が記憶されている。具体的には、市場に流通している様々な厚みの用紙のうち、透かし印刷が可能な各種の用紙の品番が、用紙情報記憶エリア133に記憶されている。なお、プリンタ3の機種が、本発明の「印刷装置情報」に相当し、用紙の品番が、「印刷媒体情報」に相当する。
【0073】
以下に、図14を参照して、表示端末8で行われる印刷指示処理について説明する。図14の印刷指示処理は、ROM11に記憶されたプログラムに従って、CPU10によって実行される。なお、以下の説明では、出力先プリンタとしてプリンタ3が設定されており、片面印刷が指定されているものとする。
【0074】
処理が開始されると、まず、印刷対象のコンテンツのコンテンツファイルに含まれる著作権情報が参照される。そして、著作権情報に基づき、著作権による利用制限を受けるコンテンツであるか否かが判断される(S31)。例えば、著作権情報として記憶された、「COPYRIGHT」のタグを用いて記述されている情報が、自由利用を明示的に認めることを示す場合には、著作権による利用制限はないと判断される(S31:NO)。このような場合には、印刷後の用紙が複写されても、問題が生じることはないと考えられる。そこで、印刷対象のコンテンツのコンテンツファイルに基づいて、表面印刷用のデータが生成され(S46)、プリンタ3に送信された後(S47)、処理は終了する。これを受けたプリンタ3では、用紙の表面に、コンテンツの内容のみが印刷される。すなわち、表面用マークM1および裏面用マークM2は印刷されない。
【0075】
著作権情報として記憶された情報が、自由利用を明示的に認めるものでない場合には、印刷対象のコンテンツは、著作権による利用制限を受けるコンテンツであると判断される(S31:YES)。このような場合、コンテンツの印刷自体が認められていない場合がありうるため、さらに、印刷は可能か否かが判断される(S32)。例えば、著作権情報として記憶された情報が、一切の複製が禁止されていることを示す場合には、印刷不可と判断される(S32:NO)。このような場合には、表示部15に、例えば、「選択されたコンテンツの印刷は著作権者によって禁じられていますので、印刷は行いません。」というメッセージが表示され(S41)、処理は終了する。
【0076】
印刷対象のコンテンツが、印刷不可のコンテンツでなければ(S32:YES)、現在設定されている出力先プリンタの機種が特定される(S33)。具体的には、このときRAM12に記憶されているプリンタの情報から、出力先プリンタであるプリンタ3の機種が特定される。また、現在設定されている用紙(例えば、A4)について、プリンタ3にセットされている用紙の種別が取得される(S34)。例えば、プリンタ3に対して、用紙が透かし印刷が可能な用紙であるか否か、より具体的には、用紙の厚さを特定する情報として、用紙の品番の問合せが送信される。そして、問合せに応じてプリンタ3から送信された用紙の品番が、RAM12に記憶される。このように特定されたプリンタ3の機種および用紙の品番に基づいて、現在の出力先プリンタ3で、所定条件での印刷を行うことは可能か否かが判断される(S35)。所定条件とは、出力先プリンタが実質的な位置ずれを生じることなく両面印刷ができ、且つ、透かし印刷が可能な用紙がセットされていることである。そこで、プリンタ情報記憶エリア132に、プリンタ3の機種と同一の機種が記憶されていれば、プリンタ3は、実質的な位置ずれを生じることなく両面印刷可能であると判断される。また、用紙情報記憶エリア133に、プリンタ3にセットされている用紙の品番と同一の品番が記憶されていれば、透かし印刷可能と判断される。プリンタ3の機種および用紙の品番の少なくとも一方が異なっていると、所定条件での印刷が不可能と判断される(S35:NO)。この場合には、表示部15に、例えば、「プリンタ3が両面印刷不可能である、または、用紙が厚すぎるために、コピー判別用マークを印刷できません。よって選択されたコンテンツの印刷を行いません。」というメッセージが表示され(S41)、処理は終了する。
【0077】
一方、所定条件で印刷が可能と判断された場合は(S35:YES)、第1および第2の実施形態と同様の、用紙の表面にコンテンツの内容と表面用マークM1を印刷し、裏面に裏面用マークM2を印刷する指示が行われる。具体的には、まず裏面用マークM2のマーク情報に基づいて裏面印刷用のデータが生成され(S36)、印刷実行指示としてプリンタ3に送信される(S37)。これを受けたプリンタ3では、用紙の裏面に、図8に示すように、裏面用マークM2が印刷される。また、表面用マークM1のマーク情報および印刷対象のコンテンツのコンテンツファイルに基づいて、表面印刷用のデータが生成され(S38)、プリンタ3に送信された後(S39)。これを受けたプリンタ3では、用紙の表面に、図7に示すように、コンテンツの内容および表面用マークM1が印刷される。表面印刷用のデータが送信されると、図14の印刷指示処理は終了する。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態に係る表示端末8では、出力先プリンタが両面印刷時に印刷位置の実質的なずれを生じないプリンタである場合にのみ、印刷用データが送信される。したがって表面用マークM1および裏面用マークM2が印刷される際の位置精度が向上するため、複写物の判別がさらに容易となる。また、出力先プリンタにセットされている用紙が透かし印刷が可能な用紙の場合にのみ、印刷用データが送信される。したがって、透かし印刷ができず、複写物を判別できない形態での印刷が行われることを防止することができる。また、印刷が行われない場合には、その旨の報知が行われるので、ユーザは、出力先プリンタや用紙を、適切なものに変更することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る表示端末8では、印刷対象のコンテンツに含まれる著作権情報によって、コンテンツの自由利用が認められていると判断された場合、印刷用データが送信されない。著作権者の許諾なしにコンテンツを自由利用できる場合には、コンテンツ印刷後の用紙がさらに複写されても、問題が生じることはない。すなわち、必要な場合にのみ印刷用データが送信されるため、処理効率を向上することができる。また、表示端末8は、印刷対象のコンテンツが自由利用できると判断された場合には、表面用マークM1および裏面用マークM2を印刷することなく、コンテンツのみを印刷することができる。すなわち、著作権情報に基づいて自動的に印刷指示が切り替えられるため、幅広いコンテンツの印刷に対応可能である。
【0080】
さらに、印刷対象のコンテンツの自由利用が認められていない場合には、著作権情報に基づいて、印刷が許可されているコンテンツである場合にのみ、印刷用データが送信される。印刷の許可がされていない場合には、コンテンツを印刷すること自体が問題となる。したがって、ユーザ自身のコンテンツの印刷行為が、コンテンツの不正利用となる事態を回避することができる。印刷が許可されていないコンテンツについては、印刷は行われず、その旨が報知されるので、ユーザは、必要に応じて、コンテンツの著作権者に利用許諾を申し込む等の対処をすることができる。
【0081】
本実施形態では、図14のS31で、印刷対象のコンテンツについて、著作権による利用制限の有無を判断するCPU10が、本発明の「利用可能判断手段」に相当し、S32で、印刷対象のコンテンツの印刷が可能か否かを判断するCPU10が、「印刷許可判断手段」に相当する。また、S33で、出力先プリンタの機種を特定するCPU10が、本発明の「印刷装置情報取得手段」に相当し、S34でセットされた用紙の種別を取得するCPU10が、「印刷媒体情報取得手段」に相当する。S35で所定条件での印刷が可能か否かを判断するCPU10が、「印刷装置判断手段」および「印刷媒体判断手段」に相当する。S37で裏面印刷用のデータをプリンタ3に送信するCPU10が、本発明の「第1の印刷指示手段」に相当し、S39で表面印刷用のデータを送信するCPU10が、「第2の印刷指示手段」に相当し、S47でコンテンツのみの表面印刷用データを送信するCPU10が、「第3の印刷指示手段」に相当する。また、S41でメッセージを表示部15に表示させるCPU10が、「第1の報知手段」、「第2の報知手段」、および「第3の報知手段」に相当する。
【0082】
なお、前述の実施形態に示される印刷文書管理システムの構成は例示であり、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、前述の第1〜第3の実施形態では、印刷結果として、両面印刷後に用紙の表面から透かして見た状態のみを例示しているが、用紙の裏面から見ても、同様に複写物の判別ができることは言うまでもない。
【0083】
前述の第1〜第3の実施形態では、印刷設定が片面印刷の場合についてのみ説明されているが、両面印刷が指定された場合には、用紙の裏面にコンテンツの内容とあわせて裏面用のマークを印刷するための裏面用印刷データを生成し、プリンタ3に送信して印刷を実行させればよい。また、印刷設定が片面印刷の場合に、両面印刷を行う順番として、裏面を先に印刷し、表面を後で印刷する例が説明されている。しかしながら、用紙のいずれの面の印刷用データを先に送信するかについては、特に制限はない。ただし、コンテンツの内容とともに表面用のマークが用紙表面に先に印刷されると、紙詰まりエラー等、何らかの原因でそのまま裏面用のマークを裏面に印刷する処理が行われない可能性がある。一方、裏面のみが印刷された後に印刷が中止された場合、本来の印刷対象であるコンテンツが印刷されていないので、ユーザは、改めて印刷をし直す可能性が高い。したがって、裏面印刷用のデータを先に送信することにより、複写物が判別できない形態で印刷が行われる可能性を低減することができる。
【0084】
前述の第1〜第3の実施形態では、携帯型の表示端末を、本発明の印刷指示装置として例示しているが、本発明の印刷指示装置は、携帯型の表示端末には限られない。例えば、表示端末に代えて、汎用型のコンピュータ装置(所謂パーソナルコンピュータ)を採用してもよい。
【0085】
用紙の表面にコンテンツの内容とともに印刷されるマークと、裏面に印刷されるマークは、必ずしも前述の第1〜第3の実施形態の表面用マークM1および裏面用マークM2のような形態とする必要はない。具体的には、表面用および裏面用のマークの形状には、特に制限はない。ただし、用紙の一面から透かして見た時に、両者が全体として識別可能なマークを構成し、その後両面複写された場合に、両者の位置関係にずれが生じることにより、全体としてのマークの外観が変化したことが判別しやすいことが望ましい。また、両面印刷された場合に、表面用のマークと裏面用のマークとが、図4のように完全に重なり合う必要はない。図4では、表面用マークM1のマーク領域R1が裏面用マークM2のマーク領域R2に包含された状態にあるが、表面用のマークのマーク領域と裏面用のマークのマーク領域とは、少なくとも一部が重なり合う状態であってもよい。さらに、マーク領域同士の少なくとも一部が重なり合う状態になくても、表面用のマークと裏面用のマークとの距離が、所定の範囲内にあればよい。また、前述の実施形態では、表面用マークM1および裏面用マークM2は用紙の対角線上に2箇所、配置されているが、表面用および裏面用のマークが印刷される数や位置に、特に制限はない。例えば、表面用マークM1と裏面用マークM2を、表面から見て左上のヘッダー部分1箇所のみに印刷してもよい。
【0086】
以下に、採用可能なマークの別の例について、図15〜図21を参照して説明する。図15は、表面用マークM3の説明図である。図16は、裏面用マークM4の説明図である。図17は、両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。図18は、図17の印刷結果の右上部分の拡大図である。図19は、表面用マークM5および裏面用マークM6の説明図である。図20は、両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。図21は、両面印刷後に両面複写された場合の、表面から透かして見た図19の印刷結果の説明図である。
【0087】
図15に示すように、表面用マークM3は、対角線を用紙の高さ方向および幅方向に配置した白塗りの正方形であり、マーク領域R3および基点B3は、図示の通りである。一方、図16に示すように、裏面用マークM4は、対角線を用紙の高さ方向および幅方向に配置した黒塗りの正方形であり、マーク領域R4および基点B4は、図示の通りである。なお、マーク領域R3およびR4は、同一のサイズであり、基点B3および基点B4は、両面印刷された場合に、表面用マークM3と裏面用マークM4が図18の位置関係となるように設定されている。図18に示すように、マーク領域R3およびR4とはそれぞれの一辺を接した状態で用紙の端に沿って配列され、表面用マークM3と裏面用マークM4とが、ダイヤ型が頂点で連結したような外観を構成する。表面用マークM3と裏面用マークM4とが両面印刷された用紙を表面から透かして見た場合、図17に示すように、頂点で連結したダイヤが、用紙の四辺を取り囲む枠組みのように配置された状態となる。このように、多数のマークを用紙の四辺に沿って配置することにより、両面複写された場合に生ずる位置ずれをさらに容易に判別することが可能である。
【0088】
図19に示すように、表面用マークM5および裏面用マークM6は、用紙の幅方向に平行に配置された5本線からなる同一のマークである。また、各マークの右上端位置が、各マークの印刷位置を特定する基点B5およびB6とされている。なお、表面用マークM5および裏面用マークM6には、マーク領域は特に指定されていない。基点B5およびB6は、各マークが両面印刷された場合に、表面用マークM5と裏面用マークM6が図20の位置関係となるように設定されている。すなわち、基点B5と基点B6とは、用紙上の両者の間の距離がdであり、両者を結ぶ線分が、用紙の上端の辺と平行となる位置関係にある。距離dは、予め、所定の範囲内で定めればよい。所定の範囲とは、具体的には、表面用マークM5および裏面用マークM6を、用紙を透かして見た際、両者の位置関係を明確に認識可能な範囲である。両者があまり離れすぎていると、複写後に位置ずれが生じても、判別がしにくくなるためである。マークの大きさや形状によって、マークの位置関係を明確に認識可能な範囲は変動するが、例えば、5mm以内とすることができる。距離dをこのような所定の範囲内に設定することにより、図20の印刷結果が両面複写された場合、図21に示すように、位置ずれを容易に判別することができる。なお、図19〜図21の例では、基点B5が、本発明の「第2の位置」に相当し、基点B6が、「第1の位置」に相当する。
【0089】
前述の第3の実施形態は、HTML文書に用いる「COPYRIGHT」タグを用いて記述された情報を著作権情報として、印刷対象のコンテンツが自由利用可能なコンテンツであるか否かの判断に利用した例である。しかしながら、著作権情報として、「COPYRIGHT」タグを用いて記述された情報以外の情報を利用することも可能である。例えば、近年、各種の団体が、インターネット上のコンテンツの著作権情報を明示するために、様々なマークを提案している。そこで、提案されているマークのうち、自由利用を認めることを示すマーク(以下、自由利用マークという)を、例えば、EEPROM13の所定の記憶エリア(図示外)に記憶させておくことができる。そして、印刷対象のコンテンツに、EEPROM13に記憶されている自由利用マークが含まれているか否かを判断し、自由利用マークが含まれていれば、自由利用が認められたコンテンツであると判断すればよい。この場合は、コンテンツに含まれる自由利用マークが、本発明の「著作権情報」に相当する。
【0090】
また、例えば、EEPROM13に、そのサイトに掲載されている記事については、自由利用を認めることを明示しているインターネット上のサイト(以下、自由利用サイトという)を記憶しておくことができる。そして、印刷対象のコンテンツが、自由利用サイトからダウンロードされたものであれば、著作権による利用制限はないと判断することができる。具体的には、印刷対象のコンテンツに含まれるインターネット上の所在を特定する情報(例えば、URL)がEEPROM13に記憶されていれば、そのコンテンツは、自由利用が可能なコンテンツであると判断すればよい。この場合は、コンテンツに含まれるインターネット上の所在を特定する情報が、本発明の「著作権情報」に相当する。
【0091】
前述の第3の実施形態では、著作権情報に基づいて、一切の複製が禁止されているコンテンツについては、印刷が行われない。しかしながら、一切の複製が禁止されているコンテンツであっても、私的使用の範囲内であれば、著作権者の許諾なく印刷を行うことができる。よって、図14に示す印刷指示のS41において、印刷がされない旨のメッセージに代えて、ユーザに私的使用であるか否かの確認を促すメッセージを表示部15に表示させ、操作キー16から私的使用であるとの入力がされた場合に、S33〜S39の処理を行ってもよい。また、著作権者が、複製および頒布による利用を特定して認めている場合には、印刷および複写を行うことに特に問題はない。したがって、S32の後に、著作権情報に基づいて、複製および頒布による利用が認められているか否かを判断を行い、認められていると判断された場合には、S46〜S47の処理によって、コンテンツの内容のみを印刷するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】表示端末1の利用形態の概略の説明図である。
【図2】表示端末1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】マーク記憶エリア131に記憶されるマーク情報の説明図である。
【図4】マークM1およびマークM2が両面印刷されたときの位置関係を説明する説明図である。
【図5】コンテンツ記憶エリア191に記憶されるコンテンツファイルの説明図である。
【図6】印刷指示処理のフローチャートである。
【図7】表面の印刷結果を示す説明図である。
【図8】裏面の印刷結果を示す説明図である。
【図9】両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。
【図10】両面印刷後に両面複写された場合の、表面から透かして見た印刷結果の説明図である。
【図11】第2の実施形態に係る表示端末7のブロック図である。
【図12】第2の実施形態に係る印刷指示処理のフローチャートである。
【図13】第3の実施形態に係る表示端末8のブロック図である。
【図14】第3の実施形態に係る印刷指示処理のフローチャートである。
【図15】表面用マークM3の説明図である。
【図16】裏面用マークM4の説明図である。
【図17】両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。
【図18】図17の印刷結果の右上部分の拡大図である。
【図19】表面用マークM5および裏面用マークM6の説明図である。
【図20】両面印刷後に表面から透かして見た印刷結果の説明図である。
【図21】両面印刷後に両面複写された場合の、表面から透かして見た図19の印刷結果の説明図である。
【符号の説明】
【0093】
1 表示端末
3 プリンタ
10 CPU
13 EEPROM
131 マーク記憶エリア
132 プリンタ情報記憶エリア
133 用紙情報記憶エリア
190 メモリカード
191 コンテンツ記憶エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に接続可能な印刷指示装置であって、
印刷対象として特定されたコンテンツの印刷の実行指示を前記印刷装置へ送信する際に、印刷媒体の一面上の第1の位置に前記コンテンツの表示画像には含まれない第1の標識を印刷するためのデータである、第1のデータを、前記印刷装置に送信する第1の印刷指示手段と、
前記印刷媒体の他面の第2の位置上に前記表示画像には含まれない第2の標識を印刷し、前記印刷媒体の他面上の任意の位置に前記表示画像をそれぞれ印刷するためのデータである、第2のデータを、前記印刷装置に送信する第2の印刷指示手段とを備え、
前記第1の位置と前記第2の位置との間の前記印刷媒体上の距離は、所定の範囲内にあることを特徴とする印刷指示装置。
【請求項2】
前記第1の位置は、前記第1の標識と前記印刷媒体の搬送方向の長さおよび前記搬送方向に直交する方向の長さが等しい領域である第1の領域内であり、
前記第2の位置は、前記第2の標識と前記印刷媒体の搬送方向の長さおよび前記搬送方向に直交する方向の長さが等しい領域である、第2の領域内であり、
前記第1の領域および前記第2の領域は、少なくとも一部が、前記印刷媒体を介して重なり合っていることを特徴とする請求項1に記載の印刷指示装置。
【請求項3】
前記印刷装置が有する性能を、印刷装置情報として取得する印刷装置情報取得手段と、
前記印刷装置情報取得手段によって取得された前記印刷装置情報に基づいて、前記印刷装置は少なくとも両面印刷が可能であるか否かを判断する印刷装置判断手段と、
前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は少なくとも両面印刷が可能であると判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷指示装置。
【請求項4】
前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は両面印刷が不可能であると判断された場合に、印刷は行われないことを報知する第1の報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の印刷指示装置。
【請求項5】
前記印刷装置判断手段は、前記印刷装置は両面印刷時に前記第1の標識および第2の標識の線幅に対して実質的な印刷位置のずれを生じない印刷装置であるか否かを判断し、
前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は両面印刷時に印刷位置のずれを生じない印刷装置であると判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項3または4に記載の印刷指示装置。
【請求項6】
前記印刷装置判断手段によって、前記印刷装置は、両面印刷時に前記第1の標識および第2の標識の線幅に対して実質的な印刷位置のずれを生じると判断された場合に、印刷は行われないことを報知する第2の報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項5に記載の印刷指示装置。
【請求項7】
前記印刷装置に装着されている印刷媒体である装着印刷媒体の特性を、印刷媒体情報として取得する印刷媒体情報取得手段と、
前記印刷媒体情報取得手段によって取得された前記印刷媒体情報に基づいて、前記装着印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体であるか否かを判断する印刷媒体判断手段をさらに備え、
前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷媒体判断手段によって、前記装着印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体であると判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷指示装置。
【請求項8】
前記印刷媒体判断手段によって、前記印刷媒体は透かし印刷が可能な種類の印刷媒体ではないと判断された場合に、印刷が行われないことを報知する第3の報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の印刷指示装置。
【請求項9】
前記コンテンツに含まれる著作権情報に基づいて、前記コンテンツが、前記コンテンツの著作権者の許諾を得ることなく利用可能なコンテンツであるか否かを判断する利用可能判断手段をさらに備え、
前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記著作権情報判断によって、前記コンテンツが前記利用可能コンテンツではないと判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の印刷指示装置。
【請求項10】
前記利用可能判断手段によって、前記コンテンツが前記利用可能コンテンツであると判断された場合に、前記印刷媒体の前記一面上の前記任意の領域に前記コンテンツを印刷するためのデータである第3のデータを前記印刷装置に送信する第3の印刷指示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項9に記載の印刷指示装置。
【請求項11】
前記利用可能判断手段によって前記コンテンツが前記利用可能コンテンツではないと判断された場合に、前記著作権情報に含まれる、前記コンテンツの印刷が許可されているか否かを示す印刷許可情報が、許可を示すか否かを判断する印刷許可判断手段をさらに備え、
前記第1の印刷指示手段および第2の印刷指示手段は、前記印刷許可判断手段によって、前記印刷許可情報が許可を示すと判断された場合にのみ、前記第1のデータおよび前記第2のデータをそれぞれ前記印刷装置に送信することを特徴とする請求項9または10に記載の印刷指示装置。
【請求項12】
前記印刷許可判断手段によって、前記印刷許可情報が不許可を示すと判断された場合に、印刷が行われないことを報知する第4の報知手段をさらに備えたことを特徴とする請求項11に記載の印刷指示装置。
【請求項13】
前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の前記一面上および前記他面上に、それぞれ複数設定されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の印刷指示装置。
【請求項14】
前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、
前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の対角線上に、それぞれ設定されていることを特徴とする請求項13に記載の印刷指示装置。
【請求項15】
前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、
前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の四隅に、それぞれ設定されていることを特徴とする請求項13に記載の印刷指示装置。
【請求項16】
前記印刷媒体は、四角形のシート状であり、
前記第1の位置および前記第2の位置は、前記印刷媒体の四辺に沿って、それぞれ設定されていることを特徴とする請求項13に記載の印刷指示装置。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれかに記載の印刷指示装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための印刷指示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−199375(P2009−199375A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40756(P2008−40756)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】