説明

印刷方法と装置

【課題】メタリックインク等の特異なインクと複数種類のカラーインクとを併用した場合の質感確保に寄与する新たな印刷手法を提供する。
【解決手段】RGB形式の画像データの色変換に際しては、メタリック印刷領域に重ねて複数のカラーインクによる印刷を行うメタリック領域と、非メタリック領域とで、異なる性質の色変換テーブルLUTを用いる。非メタリック領域については、濃色系インクに淡色系インクを加えたCMYKlclm形式の画像データへの色変換用の色変換テーブルLUT/Nを照合して、RGB形式の画像データをCMYKlclm形式の画像データに変換する。その一方、メタリック領域については、濃色系インクにメタリックインクを加えたCMYKS形式の画像データへの色変換用の色変換テーブルLUT/Mを照合して、RGB形式の画像データをCMYKS形式の画像データに変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊光沢を有する特殊光沢インクと複数種類のカラーインクとを併用して画像を印刷する印刷装置と印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、カラーインクを用いた高品位のカラー印刷のみならず、メタリックインクをカラーインクと併用して金属光沢をもたらす印刷手法も種々提案されている(例えば、特許文献1等)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−50347号公報
【特許文献2】特開2006−50339号公報
【0004】
この特許公報では、カラーインクだけによる印刷領域と、メタリックインクによる印刷領域にカラーインクによる印刷領域を重ねたいわゆる特色の領域とにおいて、前者では用いるカラーインク種別のいわゆるCMYKに色変換する。そして、後者では、メタリックインクをカラーインクと同じように扱ってCMYKともう1色の5色に色変換したり、メタリックインクをタグ情報等を用いてCMYKの特異な色変換態様に色変換している。こうした色変換を行った上で、メタリックインクによる印刷を行った後にカラーインクによる印刷を行うことにより、メタリックインクによる印刷領域にカラーインクによる印刷領域を重ねた特色領域が得られる。そして、印刷済み表面の側から印刷画像を観察すると、特色領域ではカラーインク印刷領域がメタリックインク印刷領域の上に来るよう重なるので、特色領域において、カラーインクの色がメタリック感を持って観察されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、既述した特色領域では、メタリックインクによる印刷領域がカラーインクによる印刷領域の下層側となることでメタリック感を発現させている。よって、メタリックインクを併用した特色領域でのインク吐出による印刷を、吐出したカラーインクの混色によるカラー画像印刷と同様に扱うことが、必ずしもメタリック感の発現に寄与するとは断定できないのが現状である。
【0006】
本発明は、上記した課題を踏まえ、メタリックインク等の特異なインクと複数種類のカラーインクとを併用した印刷画像におけるメタリック感等の質感の確保に寄与する新たな印刷手法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明では、以下の構成を採用した。
【0008】
[適用1:印刷装置]
特殊光沢を有する特殊光沢インクと複数種類のカラーインクとを併用して画像を印刷する印刷装置であって、
前記特殊光沢インクを吐出して、特殊光沢印刷を行う特殊光沢印刷手段と、
前記複数種類のカラーインクを色ごとに吐出してカラー印刷を行うカラー印刷手段と、
印刷対象となる画像データを、前記特殊光沢インクを割り当てる領域である特殊光沢領域のデータと、カラーインクのみが割り当てられるカラー単独領域のデータとに区分するデータ区分部と、
前記印刷対象の画像データが呈する色を前記複数種類のカラーインクを用いて再現するよう色変換するに当たり、前記区分された特殊光沢領域における画像データを色変換する第1色変換と、前記カラー単独領域における画像データを色変換する第2色変換とを、前記画像データが呈する同じ色を再現する際に使用するカラーインク量が前記第1色変換で少なくなるよう前記区分された領域ごとに実行する色変換部と、
前記カラー印刷手段と前記特殊光沢印刷手段とを制御して、前記区分された領域ごとに前記色変換で得られた色のカラーインクと前記特殊光沢インクとの吐出を経て、前記画像データの印刷を行う印刷制御手段とを備える
ことを要旨とする。
【0009】
本願に云うところの特殊光沢を呈する特殊光沢インクは、印刷を経た印刷媒体表面において特殊光沢を呈するインクであり、所定の質感を発現する顔料を含有する質感発現インクとできる。こうした特殊光沢インクの一例であるメタリックインクは、印刷媒体表面への定着後にメタリック感を発現する金属顔料を含有する。この他、特殊光沢インクを、媒体表面への定着後に真珠光沢感を発現する顔料、例えば天然真珠のように真珠色を有する薄膜層を複数層重ねたような顔料を含有する真珠光沢インクや、媒体表面への定着後に乱反射を起こしていわゆるラメ感やなし地感を発現するよう微小凹凸を有する顔料を含有するラメインクやなし地インクなども含まれる。そして、本願に云うところの特殊光沢インクの一つであるメタリックインクは、金属的な光沢を有するインクであり、この金属光沢は、メタリックインクが含有する金属顔料により発現する。このようなメタリックインクとしては、金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物を用いることができる。金属的な光沢感を効果的に生じさせるためには、前述の金属顔料は、平板状の粒子であることが好ましく、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすことが好ましい。このような金属顔料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって形成することができ、また、金属蒸着膜を破砕して作成することも可能である。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度は、例えば、0.1〜 10.0重量%とすることができる。もちろん、メタリックインクはこのような組成に限らず、金属光沢が生じる組成であれば他の組成を適宜採用することが可能である。
【0010】
また、特殊光沢インクを、媒体表面に印刷されたインクの光学的特性が反射角依存性を有するインクとすることもでき、これら特殊光沢インクの一例であるメタリックインクのメタリック感を光学的特性の観点から述べると、次のようになる。メタリック感は、反射光を見た感覚であることから、光学的特性において反射角依存性を備え、このメタリック感を表す指標が種々提案されている。よって、この指標を持って、メタリック感を発現するメタリックインクを規定することもできる。例えば、次式(1)で表される公知のメタリック感指標値In1を用いてもよい。このメタリック感指標値In1は、−45度の角度から被測定物(メタリック感発現印刷物)を照射したときに、式(1)に規定する異なる3箇所での反射光の明度を測定し、この3箇所で得られた明度の関係から定めることができる。よって、このメタリック感指標値In1により、上記したメタリック感発現のための金属顔料と同じようにして、メタリックインクを規定することもできる。
【0011】
【数1】

【0012】
この他、メタリック感指標値In1を規定する上での3箇所の明度を用いて次式(2)で表されるメタリック感指標値In2や、次式(3)で表されるメタリック感指標値In3などを、メタリック感の指標として用いてもよい。
【0013】
【数2】

【0014】
【数3】

【0015】
上記数式で示されるいずれの指標値も反射角に依存した数値として定まることから、これら指標値で特殊光沢インクを規定することができる。
【0016】
これらメタリックインク等の特殊光沢インクを用いる上記構成の印刷装置では、印刷対象となる画像データの区分けを行う。上記構成の印刷装置で行った印刷領域は、特殊光沢インクを割り当てる特殊光沢領域とカラーインクのみが割り当てられるカラー単独領域であり、前者の特殊光沢領域は、特殊光沢印刷手段による特殊光沢インクの吐出を経た特殊光沢印刷がなされる領域に、カラー印刷手段による複数種類のカラーインクの吐出を経たカラー印刷を重ねた印刷領域である。その一方、後者のカラー単独領域は、特殊光沢領域以外の領域であって、カラー印刷手段による複数種類のカラーインクの吐出を経ただけのカラー発色印刷がなされる印刷領域である。よって、印刷媒体に対する印刷に際して、印刷対象となる画像データを、特殊光沢領域のデータとカラー単独領域のデータとに区分する。
【0017】
こうしたデータの区分け後には、区分けした領域ごとに異なった色変換を行う。つまり、印刷対象の画像データが呈する色を前記複数種類のカラーインクを用いて再現するよう色変換するに当たり、前記区分された特殊光沢領域における画像データについては第1色変換を行い、前記カラー単独領域における画像データについては第2色変換を行い、この第1色変換では、前記画像データが呈する同じ色を再現する際に使用するカラーインク量が前記第2色変換より少なくなるようにする。こうした色変換の後に、前記区分された領域ごとの第1、第2の色変換で得られた色のカラーインクと前記特殊光沢インクとを前記印刷ヘッドの吐出ヘッドから吐出制御して前記画像データの印刷を行う。この結果、特殊光沢領域では、特殊光沢印刷に重ねて印刷されるカラー印刷において使用するカラーインク量が少なくなる分だけ、下層側の特殊光沢印刷で得られた質感等の特殊光沢を確保できる。換言すれば、上記構成の印刷装置によれば、特殊光沢インクの印刷を経て得られた質感等の特殊光沢を確保した上で、その質感等の特殊光沢を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成するという新たな印刷手法を提供できる。
【0018】
上記した印刷装置は、次のような態様とすることができる。例えば、前記第1色変換と前記第2色変換とで異なる色変換テーブルを参照して色変換を行うようにした上で、前記第1色変換の色変換テーブルを、前記特殊光沢インクと濃色系のカラーインクへの色変換を行う性質とし、前記第2色変換テーブルを、前記濃色系にえて淡色系のカラーインクへの色変換をも行う性質とすることができる。こうすれば、色変換テーブル自体にて第1色変換では濃色系のカラーインクしか使わないことでインク量を少なくして、特殊光沢領域において特殊光沢印刷に重ねてカラー印刷を行うことができる。このように色変換テーブルによる第1色変換では濃色系のカラーインクしか使わないので、カラーインクだけで見る場合の粒状感にはやや不利であるが、特殊光沢領域に重ねるカラー印刷に際しての支障はない。
【0019】
また、前記第1色変換の色変換テーブルを、前記特殊光沢インクの使用量を色変換格子点において全て同じ値とすることもできる。こうすれば、特殊光沢領域において特殊光沢印刷の際には、特殊光沢インク吐出ヘッドからの特殊光沢インクの吐出量が同じとなるので、色変換処理の負荷を軽減できる。
【0020】
そして、前記特殊光沢印刷手段を、前記特殊光沢インクとして、所定の質感を発現する顔料を含有する質感発現インクや、媒体表面に印刷されたインクの光学的特性が反射角依存性を有するインク、或いはメタリック感を発現する顔料を含有するメタリックインクを吐出するものとできる。こうすれば、所定の質感や反射角依存性のある光学的特性或いはメタリック感を持ったカラー印刷物を容易に提供できる。
【0021】
[適用2:印刷方法]
特殊光沢を有する特殊光沢インクを用いた特殊光沢印刷と、複数種類のカラーインクを用いたカラー発色印刷とを併用して画像を印刷する印刷方法であって、
印刷対象となる画像データを、前記特殊光沢インクを割り当てる領域である特殊光沢領域のデータと、カラーインクのみが割り当てられるカラー単独領域のデータとに区分けし、
前記印刷対象の画像データが呈する色を前記複数種類のカラーインクを用いて再現するよう色変換するに当たり、前記区分された特殊光沢領域における画像データを色変換する第1色変換と、前記カラー単独領域における画像データを色変換する第2色変換とを、前記画像データが呈する同じ色を再現する際に使用するカラーインク量が前記第1色変換で少なくなるよう前記区分された領域ごとに実行し、
前記区分された領域ごとに前記色変換で得られた色のカラーインクと前記特殊光沢インクとの吐出を経て、前記画像データを印刷する
ことを要旨とする。
【0022】
上記構成の印刷方法によっても、既述した効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき次の順序で説明する。
A.実施形態の概要:
B.装置構成:
C.印刷処理:
【0024】
A.実施形態の概要:
図1は本発明の実施形態としての印刷システム10の概略構成図である。図示するように、本実施例の印刷システム10は、印刷制御装置としてのコンピュータ100と、コンピュータ100の制御の下で実際に画像を印刷するプリンタ200などから構成されている。印刷システム10は、全体が一体となって広義の印刷装置として機能する。
【0025】
本実施例のプリンタ200には、カラーインクとして、濃色系のカラーインクであるシアンインクとマゼンタインクとイエロインクと、淡色系のカラーインクであるライトシアンインクとライトマゼンタインクと、これらに加えてブラックインクが備えられており、更に、含有する金属顔料により金属光沢を呈するメタリックインクとが備えられている。なお、本実施例において「カラーインク」という場合には、ブラックインクも含む意味であり、ブラックインクも濃色系として扱うこととする。
【0026】
メタリックインクとしては、本実施例では、金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物を用いた。含有する金属顔料については、以下のように規定されたものを含有する。例えば、平板状粒子の金属顔料とした上で、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすものを採用した。この場合、アルミニウムやアルミニウム合金によって形成した金属顔料としたり、金属蒸着膜を破砕して作成した金属顔料とすることも可能である。本実施例では、アルミニウムから形成した金属顔料を採用した。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度としても、例えば、0.1〜 10.0重量%とすることができ、本実施例では、1.5重量%のものを用いた。また、カラーインクは、上記した各色で発色する有機色素としての顔料を含む既存のカラーインクである。
【0027】
コンピュータ100には、所定のオペレーティングシステムがインストールされており、このオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム20が動作している。オペレーティングシステムには、ビデオドライバ22やプリンタドライバ24が組み込まれている。アプリケーションプログラム20は、例えば、周辺機器インタフェース108を通じて、デジタルカメラ120から画像データORGを入力する。すると、アプリケーションプログラム20は、ビデオドライバ22を介して、この画像データORGによって表される画像をディスプレイ114に表示する。また、アプリケーションプログラム20は、プリンタドライバ24を介して、画像データORGをプリンタ200に出力する。アプリケーションプログラム20がデジタルカメラ120から入力する画像データORGは、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色の色成分からなるデータである。
【0028】
本実施例のアプリケーションプログラム20は、画像データORG内の任意の領域に対して、R,G,Bの色成分からなる領域(以下、「カラー発色領域」という)と、メタリックインクを印刷した領域(以下、「メタリック領域」という)を指定することができる。メタリック領域とカラー発色領域の一部は重畳することになり、その重畳した領域では、メタリックインクの金属顔料が呈する金属光沢を背景色として、その上にカラー画像が形成されることになる。つまり、このようにメタリック領域とカラー発色領域が重畳した領域が、本願に云うところの特殊光沢領域となる。このようにメタリック領域を指定する場合、画像データに付随したタグ情報等を用いて予め当該領域を指定するほか、例えば、特定の図形形状の印刷領域をメタリック領域とするようアプリケーションプログラム20にてプログラムしたり、特定の色での印刷領域をメタリック領域とするようアプリケーションプログラム20にてプログラムしておくこともできる。
【0029】
プリンタドライバ24の内部には、色変換モジュール42と、ハーフトーンモジュール44と、印刷制御モジュール46とが備えられている。
【0030】
色変換モジュール42は、予め用意された後述の異なる色変換テーブルLUT/NとLUT/Mのいずれかに従い、画像データORG中のカラー発色領域について、その色成分R,G,Bをプリンタ200が表現可能な色成分(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ライトシアン(lc)、ライトマゼンタ(lm)、ブラック(K)の各色とメタリック(S))に変換する。
【0031】
ハーフトーンモジュール44は、色変換モジュール42によって色変換された画像データの階調をドットの分布によって表すハーフトーン処理を行う。本実施例では、このハーフトーン処理として、周知の組織的ディザ法を用いる。なお、ハーフトーン処理としては、組織的ディザ法以外にも、誤差拡散法や濃度パターン法その他のハーフトーン技術を利用することができる。
【0032】
印刷制御モジュール46は、ハーフトーン処理された画像データの並びを、プリンタ200に転送すべき順序に並べ替えて、印刷データとしてプリンタ200に出力する。この場合、周知のマイクロウィーブ手法を用いることとした。また、印刷制御モジュール46は、印刷開始コマンドや印刷終了コマンドなどの種々のコマンドをプリンタ200に出力することで、プリンタ200の制御を行う。
【0033】
本実施例では、印刷制御モジュール46は、メタリックドット形成モジュール47とカラー印刷モジュール48とを備える。メタリックドット形成モジュール47は、アプリケーションプログラム20によって指定されたメタリック領域に、所定サイズのメタリックドットを形成する。カラー印刷モジュール48は、ハーフトーン処理された画像、即ち、カラー発色領域の画像について、上記各色のカラーインクによるドット形成を行う。
【0034】
B.装置構成:
図2は印刷制御装置としてのコンピュータ100の構成図である。コンピュータ100は、CPU102を中心に、ROM104やRAM106などを、バス116で互いに接続することによって構成された周知のコンピュータである。
【0035】
コンピュータ100には、フレキシブルディスク124やコンパクトディスク126等のデータを読み込むためのディスクコントローラ109や、周辺機器とデータの授受を行うための周辺機器インタフェース108、ディスプレイ114を駆動するためのビデオインターフェース112が接続されている。周辺機器インタフェース108には、プリンタ200や、ハードディスク118が接続されている。また、デジタルカメラ120やカラースキャナ122を周辺機器インタフェース108に接続すれば、デジタルカメラ120やカラースキャナ122で取り込んだ画像に対して画像処理を施すことも可能である。また、ネットワークインターフェースカード110を装着すれば、コンピュータ100を通信回線300に接続して、通信回線に接続された記憶装置310に記憶されているデータを取得することもできる。コンピュータ100は、印刷しようとする画像データを取得すると、上述したプリンタドライバ24の働きにより、プリンタ200を制御して、この画像データの印刷を行う。
【0036】
次に、プリンタ200の構成について説明する。図3はプリンタ200の概略構成を示すブロック図である。この図3に示すように、プリンタ200は、紙送りモータ235によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモータ230によってキャリッジ240をプラテン236の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ240に搭載された印刷ヘッド241を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送りモータ235,キャリッジモータ230,印刷ヘッド241および操作パネル256との信号のやり取りを司る制御回路260とから構成されている。
【0037】
キャリッジ240をプラテン236の軸方向に往復動させる機構は、プラテン236の軸と並行に架設されキャリッジ240を摺動可能に保持する摺動軸233と、キャリッジモータ230との間に無端の駆動ベルト231を張設するプーリ232と、キャリッジ240の原点位置を検出する位置検出センサ234等から構成されている。
【0038】
キャリッジ240には、濃色系カラーインクとしてのシアンインク(C)と、マゼンタインク(M)と、イエロインク(Y)と、ブラックインク(K)とに加え、淡色系のカラーインクとしてのライトシアンインク(lc)と、ライトマゼンタインク(lm)とをそれぞれ収容したカラーインク用カートリッジ243が搭載される。また、キャリッジ240には、メタリックインク(S1)を収容したメタリックインク用カートリッジ242が搭載される。キャリッジ240の下部の印刷ヘッド241には、これらの各色に対応する計7種類のインク吐出用ヘッド244〜250が形成されている。キャリッジ240にこれらのインクカートリッジ242,243を上方から装着すると、各カートリッジからそれぞれのインク吐出用ヘッド244〜250へのインクの供給が可能となる。
【0039】
ここで、印刷ヘッド241について説明する。図4は印刷ヘッド241を構成するインク吐出用ヘッドのノズル配置を概略的に示す説明図である。図示するように本実施例では、シアンインク(C)、ライトシアンインク(lc)、マゼンタインク(M)、ライトマゼンタインク(lm)、イエロインク(Y)、ブラックインク(K)の各色についてのインク吐出用ヘッド244〜249と、メタリックインク(S)についてのインク吐出用ヘッド250とを備える。それぞれのインク吐出用ヘッドは、10本のノズルを印刷ヘッド241の下面に副走査方向に配列して備える。各ノズルは、副走査方向に2ドット間隔で配置されている。図中、下方が、副走査方向を示しているため、印刷時には、最も下方に示したノズルから、印刷媒体Pを通過することになる。図中、黒く塗りつぶしたノズルは、インク吐出用ヘッド250においてメタリックインクが吐出されるノズルであることを示し、ハッチングを付したノズルは、インク吐出用ヘッド244〜249において該当する色のカラーインクが吐出されるノズルであることを示す。
【0040】
図4に示すように、本実施例では、メタリックインクのインク吐出用ヘッド250については、10本のノズルのうち、先に印刷媒体Pを通過する5本のノズルを実際の印刷時に使用し、残りの5本は不使用とする。また、カラーインク(C,lc,M,lm,Y,K)のノズル列をなすインク吐出用ヘッド244〜249については、10本のノズルのうち、先に印刷媒体Pを通過する5本のノズルを不使用とし、残りの5本を使用する。以下、必要に応じて、メタリックインクが吐出されるノズルをメタリックノズルグループといい、カラーインクが吐出されるノズルをカラーノズルグループという。
【0041】
図4に示した各ノズル内には、ピエゾ素子が組み込まれている。ピエゾ素子は、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子に所定の電圧信号(駆動信号)を印加することにより、ノズル内のインク通路の一側壁を変形させることで、インク滴をノズルから吐出させる。なお、本実施例では、このように、ピエゾ素子を用いてインクを吐出させているが、気泡(バブル)をノズル内に発生させることで、インクを吐出させる方式を採用してもよい。
【0042】
図3に示すプリンタ200の制御回路260は、CPUや、ROM、RAM、PIF(周辺機器インタフェース)等がバスで相互に接続されて構成されており、キャリッジモータ230および紙送りモータ235の動作を制御することによってキャリッジ240の主走査動作および副走査動作の制御を行う。また、PIFを介してコンピュータ100から出力された印刷データを受け取ると、キャリッジ240が主走査あるいは副走査する動きに合わせて、印刷データに応じた駆動信号をインク吐出用ヘッド244〜250に供給することによって、これらのヘッドを駆動するが可能となっている。
【0043】
以上のようなハードウェア構成を有するプリンタ200は、キャリッジモータ230を駆動することによって、各色のインク吐出用ヘッド244〜250を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また紙送りモータ235を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。制御回路260は、キャリッジ240が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンタ200は印刷媒体P上へのカラー画像印刷、並びに後述するようにメタリック領域に重ねたカラー印刷画像領域の形成を可能とする。
【0044】
本実施例のプリンタ200は、印刷媒体Pに向けてインク滴を吐出することにより、インクドットを形成する所謂インクジェットプリンタであるものとして説明するが、どのような手法を用いてドットを形成するプリンタであっても構わない。例えば、本願発明は、インク滴を吐出する代わりに、静電気を利用して各色のトナー粉を印刷媒体上に付着させることでドットを形成するプリンタや、ラインプリンタに対しても好適に適用することが可能である。
【0045】
C.印刷処理:
図5は本実施例における印刷処理のフローチャートである。この実施例では、コンピュータ100は、メタリックインクを用いたメタリック領域を判別し、このメタリック領域以外の領域については、メタリックインクを用いずカラーインクによる印刷を図る処理を行う。
【0046】
印刷処理を開始すると、コンピュータ100は、まず、RGB形式の画像データを入力する(ステップS100)。画像データを入力すると、コンピュータ100は、アプリケーションプログラム20にて定めたメタリック領域を判別する(ステップS102)。この判別処理では、コンピュータ100は、アプリケーションプログラム20にて定めたプログラムに従って、例えば、特定形状の図形領域をメタリック領域と判別する。この他、アプリケーションプログラム20にて、所定の色にて印刷される領域をその形状を含めてメタリック領域と判別することもできる。例えば、太陽や星を含む印刷画像であれば、この画像における太陽や星を、形状や色等の画像解析を経て区別し、その区別領域をメタリック領域と判別するようにすることができる。或いは、画像データに付随したタグ情報を利用して、メタリック領域と判別するようにすることもできる。
【0047】
メタリック領域を判別すると、続いて、コンピュータ100は、色変換モジュール42を用いた色変換に当たり、ステップS102での判別結果に応じて次のようにして色変換を行う。ステップS102で判別されたメタリック領域と、現在印刷対象となっている画素(印刷対象画素)の位置とを比較することで、現在の印刷対象画素が、メタリック領域か非メタリック領域(即ち、カラーインクによるカラー発色領域)かを判断する(ステップS110)。かかる判断により、現在の印刷対象画素が、非メタリック領域(カラー発色領域)であるとされれば、コンピュータ100は、RGB形式の印刷画像データから濃色系インクに淡色系インクを加えたCMYKlclm形式の画像データへの色変換用の既存の色変換テーブルLUT/Nに対して、ステップS100で入力した形式の印刷画像データを照合し(ステップS112)、当該入力したRGB形式の画像データをCMYKlclm形式の画像データに変換する(ステップS114)。
【0048】
その一方、ステップS110において現在の印刷対象画素がメタリック領域であるとされれば、コンピュータ100は、RGB形式の印刷画像データから濃色系インクにメタリックインクを加えたCMYKS形式の画像データへの色変換用の色変換テーブルLUT/Mに対して、ステップS100で入力した形式の印刷画像データを照合し(ステップS116)、当該入力したRGB形式の画像データをCMYKS形式の画像データに変換する(ステップS118)。
【0049】
ここで、非メタリック領域(カラー単独発色領域)に属する画像データの色変換に用いる色変換テーブルLUT/Nと、メタリック領域に属する画像データの色変換に用いる色変換テーブルLUT/Mの相違について説明する。図6は色変換テーブルの性質を説明するための説明図である。
【0050】
図示するように、図6(A)に示すように、非メタリック領域(カラー単独発色領域)に属する画像データの色変換に用いる既存の色変換テーブルLUT/Nでは、RGB形式の入力画像データの階調に対応して、濃色系インクと淡色系インクとを併用しつつその使用量を定める。このため、非メタリック領域(カラー発色領域)に属するRGB形式の入力画像データは、色変換テーブルLUT/Nとの照合によって、濃色系インク(CMYK)に淡色系インクlclm)を加えてプリンタ再現色に色変換される。その一方、図6(B)に示すように、メタリック領域に属する画像データの色変換に用いる色変換テーブルLUT/Mでは、RGB形式の入力画像データの階調に対応して、濃色系インクについてのみその使用量を定めると共に、図6(C)に示すように、色変換テーブルLUTにおける各色変換格子点において、メタリックインクの使用量を一律に定めている。このため、メタリック領域に属するRGB形式の入力画像データは、色変換テーブルLUT/Mとの照合によって、濃色系インク(CMYK)によるプリンタ再現色に色変換されると共に、メタリックインク(S)については、同一のインク量でのインク吐出がなされることになる。
【0051】
また、上記した色変換テーブルLUT/Nと色変換テーブルLUT/Mは、RGB形式の入力画像データが同じ色である場合に、その色をプリンタ再現色に色変換した際のインク量が、メタリックインクを併用する色変換テーブルLUT/Mの方が少なくなるようにされている。この点については、後述する。
【0052】
このようにして変換後の画像データが得られると、コンピュータ100は、ハーフトーンモジュール44を用いたハーフトーン処理を行って(ステップS120)プリンタ200に転送可能なデータを生成する。ハーフトーン処理が終了すると、コンピュータ100は、印刷制御モジュール46が行うマイクロウィーブ手法を経てプリンタ200を制御し、ハーフトーン処理後の画像データの印刷を行う(ステップS122)。
【0053】
以上説明した本実施例の印刷処理により、印刷システム10は、ステップS110でメタリック領域と判断された印刷領域においては、図4で説明したように最初に印刷媒体を通過するメタリックノズルグループを有するインク吐出用ヘッド250の当該ノズルグループの各ノズルから、まず、上記した同一インク量でのメタリックインク吐出を行う。これにより、印刷媒体表面に、先にメタリック領域が印刷形成される。しかも、この印刷済みメタリック領域には、色変換テーブルLUT/Mを用いて色変換された濃色系インクに対応するインク吐出用ヘッドのカラーノズルグループのノズルから濃色系インクをデータ階調に応じた量で吐出する。これにより、印刷済みメタリック領域に重なるようカラー発色領域が印刷形成される。
【0054】
その一方、印刷システム10は、非メタリック領域(カラー単独発色領域)では、色変換テーブルLUT/Nを用いて色変換された濃色系インクと淡色系インクに対応するインク吐出用ヘッドのカラーノズルグループのノズルから濃色系インクと淡色系インクとがデータ階調に応じた量で吐出する。これにより、濃色系および淡色系のインクを用いたカラー発色領域が印刷形成される。
【0055】
このため、本実施例の印刷システム10にて得られた印刷結果部を、インク印刷面の側から観察する場合、メタリック領域では、その上に重ねて印刷されるカラーインクのインク量が少なくなる分、下層側のメタリック領域で得られたメタリック感を損なわないよう確保できる。このことは、本実施例の印刷システム10によれば、メタリック感を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成することができることを意味する。
【0056】
ここで、上記したようにメタリック感を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成できた例を示す。図7はマゼンタのベタ塗り印刷を非メタリック領域とメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図、図8はシアンのベタ塗り印刷を非メタリック領域とメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図である。
【0057】
図示するように、非メタリック領域(カラー発色領域)ではメタリックインクを用いることなくマゼンタ或いはシアンのベタ塗り印刷を行った場合、濃色系インクでの印刷と淡色系インクでの印刷で、色が違うと認識できる色差は見られなかった。メタリックインクを上記したように一律(本例では30%)の量で先に吐出して予めメタリック領域を印刷形成した後に、非メタリック領域(カラー単独発色領域)と同じ濃色系・淡色系のインクで印刷した。そうすると、濃色系インクは淡色系インクよりもその使用量が少ないにも拘わらず、濃色系インクを印刷済みメタリック領域に重ねて吐出してカラー発色領域を印刷形成した方が、先に説明したメタリック感指標値In2においては、それぞれ向上が見られた。このことから、上記したようにメタリック感を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成できると言える。また、濃色系インクを用いることで、メタリック感を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成できるとも言える。
【0058】
次に、金色での印刷についても同様に調べた。図9は金色での印刷を非メタリック領域で行う場合の金色の範囲をL*a*b*色空間において規定した様子を示す説明図であり、図10は図9の色空間で規定される金色での印刷をメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図である。
【0059】
図10に示すように、図9で規定される金色の印刷が可能な濃色系インクと淡色系インクとのインク種類とインク使用量を定め、それぞれの複数の濃色系インクと淡色系インクにてメタリック領域を金色印刷した。この場合、濃色系・淡色系のインクを用いた両印刷物(パッチ1とパッチ2)では、非メタリック領域では勿論、メタリック領域においても色の際は認識できなかった。そうであるにも拘わらず、図7〜図8の場合と同様、濃色系インクを用いることで、メタリック感を持ったカラー発色(金色発色)を少ないカラーインク量で達成できることが確認できた。
【0060】
また、上記の結果は、図6(C)に示したようにメタリックインクの使用量を色変換の際の格子点において同一とした色変換テーブルLUT/Mを用いても得られる。つまり、メタリックインク吐出量を同じとすれば済むので、変換処理の負荷軽減となる。
【0061】
また、本実施例の印刷システム10は、印刷手法として広く普及しているいわゆるインクジェット方式の印刷手法にて、メタリック感を持ったカラー発色を少ないカラーインク量で達成できる。
【0062】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記した実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様にて実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、コンピュータ100とプリンタ200とによって構成される印刷システム10において、メタリックインクを用いた印刷を行っている。これに対して、プリンタ200自体が、画像データをデジタルカメラや各種メモリカードから入力してメタリックインクによる印刷を行うこととしてもよい。つまり、プリンタ200の制御回路260内のCPUが、上述した各実施例における印刷処理と同等の処理を実行することで、メタリックインクを用いた印刷を行ってもよい。
【0063】
また、特殊光沢インクとしてメタリックインクを例に取り説明したが、媒体表面への定着後に真珠光沢感を発現する顔料、例えば天然真珠のように真珠色を有する薄膜層を複数層重ねたような顔料を含有する真珠光沢インクや、媒体表面への定着後に乱反射を起こしていわゆるラメ感やなし地感を発現するよう微小凹凸を有する顔料を含有するラメインクやなし地インクなどを、メタリックインクに代えて用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態としての印刷システム10の概略構成図である。
【図2】印刷制御装置としてのコンピュータ100の構成図である。
【図3】プリンタ200の概略構成を示すブロック図である。
【図4】印刷ヘッド241を構成するインク吐出用ヘッドのノズル配置を概略的に示す説明図である。
【図5】実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図6】色変換テーブルの性質を説明するための説明図である。
【図7】マゼンタのベタ塗り印刷を非メタリック領域とメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図である。
【図8】シアンのベタ塗り印刷を非メタリック領域とメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図である。
【図9】金色での印刷を非メタリック領域で行う場合の金色の範囲をL*a*b*色空間において規定した様子を示す説明図である。
【図10】図9の色空間で規定される金色での印刷をメタリック領域で実施した場合の濃色系・淡色系のインク組成とメタリック感指標値In2との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10…印刷システム
20…アプリケーションプログラム
22…ビデオドライバ
24…プリンタドライバ
42…色変換モジュール
44…ハーフトーンモジュール
46…印刷制御モジュール
47…メタリックドット形成モジュール
48…カラー印刷モジュール
100…コンピュータ
102…CPU
108…周辺機器インタフェース
109…ディスクコントローラ
110…ネットワークインターフェースカード
112…ビデオインターフェース
114…ディスプレイ
116…バス
118…ハードディスク
120…デジタルカメラ
122…カラースキャナ
124…フレキシブルディスク
126…コンパクトディスク
200…プリンタ
230…キャリッジモータ
231…駆動ベルト
232…プーリ
233…摺動軸
234…位置検出センサ
235…モータ
236…プラテン
240…キャリッジ
241…印刷ヘッド
242…メタリックインク用カートリッジ
243…カラーインク用カートリッジ
244〜250…インク吐出用ヘッド
256…操作パネル
260…制御回路
300…通信回線
310…記憶装置
LUT/N〜LUT/M…色変換テーブル
P…印刷媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特殊光沢を有する特殊光沢インクと複数種類のカラーインクとを併用して画像を印刷する印刷装置であって、
前記特殊光沢インクを吐出して、特殊光沢印刷を行う特殊光沢印刷手段と、
前記複数種類のカラーインクを色ごとに吐出してカラー印刷を行うカラー印刷手段と、
印刷対象となる画像データを、前記特殊光沢インクを割り当てる領域である特殊光沢領域のデータと、カラーインクのみが割り当てられるカラー単独領域のデータとに区分するデータ区分部と、
前記印刷対象の画像データが呈する色を前記複数種類のカラーインクを用いて再現するよう色変換するに当たり、前記区分された特殊光沢領域における画像データを色変換する第1色変換と、前記カラー単独領域における画像データを色変換する第2色変換とを、前記画像データが呈する同じ色を再現する際に使用するカラーインク量が前記第1色変換で少なくなるよう前記区分された領域ごとに実行する色変換部と、
前記カラー印刷手段と前記特殊光沢印刷手段とを制御して、前記区分された領域ごとに前記色変換で得られた色のカラーインクと前記特殊光沢インクとの吐出を経て、前記画像データの印刷を行う印刷制御手段とを備える
印刷装置。
【請求項2】
前記色変換部は、前記第1色変換と前記第2色変換とで異なる色変換テーブルを参照して色変換を行い、前記第1色変換の色変換テーブルは、前記特殊光沢インクと濃色系のカラーインクへの色変換を行う性質とされ、前記第2色変換テーブルは、前記濃色系に加えて淡色系のカラーインクへの色変換をも行う性質とされている請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1色変換の色変換テーブルは、前記特殊光沢インクの使用量を色変換格子点において全て同じ値として備える請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記特殊光沢印刷手段は、前記特殊光沢インクとして、所定の質感を発現する顔料を含有する質感発現インクを吐出する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記特殊光沢インク吐出ヘッドは、前記特殊光沢インクとして、媒体表面に印刷されたインクの光学的特性が反射角依存性を有するインクを吐出する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
特殊光沢を有する特殊光沢インクを用いた特殊光沢印刷と、複数種類のカラーインクを用いたカラー発色印刷とを併用して画像を印刷する印刷方法であって、
印刷対象となる画像データを、前記特殊光沢インクを割り当てる領域である特殊光沢領域のデータと、カラーインクのみが割り当てられるカラー単独領域のデータとに区分けし、
前記印刷対象の画像データが呈する色を前記複数種類のカラーインクを用いて再現するよう色変換するに当たり、前記区分された特殊光沢領域における画像データを色変換する第1色変換と、前記カラー単独領域における画像データを色変換する第2色変換とを、前記画像データが呈する同じ色を再現する際に使用するカラーインク量が前記第1色変換で少なくなるよう前記区分された領域ごとに実行し、
前記区分された領域ごとに前記色変換で得られた色のカラーインクと前記特殊光沢インクとの吐出を経て、前記画像データを印刷する
印刷方法。
【請求項7】
前記特殊光沢インクは、所定の質感を発現する顔料を含有する質感発現インクである請求項6に記載の印刷方法。
【請求項8】
前記特殊光沢インクは、媒体表面に印刷されたインクの光学的特性が反射角依存性を有するインクである請求項6に記載の印刷方法。
【請求項9】
前記特殊光沢インクは、メタリック感を発現する顔料を含有するメタリックインクである請求項7または請求項8に記載の印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−52225(P2010−52225A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218292(P2008−218292)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】