説明

印刷方法を利用したインプラントのコーティング方法

本発明は、印刷プロセスによって、特に印刷ローラを用いることによって所定量のコーティング材料をインプラントの表面に塗工する方法および装置に関する。本発明はさらに、所定量のコーティング材料をコーティング対象であるインプラントの表面に塗工するための印刷プロセス、特に印刷ローラの使用、およびそれによって生成されるコーティング済みインプラントに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷方法を利用して、特に印刷ローラを用いることによって所定量のコーティング材料をインプラントの表面に塗工する方法および装置に関する。本発明はさらに、所定量のコーティング材料をコーティング対象であるインプラントの表面に塗工するための印刷方法、特に印刷ローラの使用、およびそれによって生成されるコーティング済みインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
異物であるインプラントに対する身体の防御反応を低減するため、またはできるだけ回避するために、医療分野ではコーティング済みインプラントの使用が増えつつある。これは、用いられるインプラント材料の生体適合性を増加させ、周囲組織へのより良い一体化を可能とし、身体に対して異物であるインプラントの材料を免疫系に対して「カモフラージュ」するためである。さらに、薬理学的に有効な物質でコーティングされた、またはこのような物質が含浸されたインプラントの使用が増えつつある。このようなインプラントは、インプラントが用いられた部位に局部的に的を絞って活性成分を放出することを可能にする。
【0003】
従来技術においてインプラントをコーティングする様々なプロセスが知られている。インプラントにコーティングを塗工するために一般に用いられている方法としては、例えばブラシ塗布法、ワニス塗布法、ならびに特にディッピング法およびそれに類似の方法がある。
【0004】
複合形態の医療用インプラント、例えば冠動脈ステント、人工関節、および特に外科インプラントをコーティングするには、塗工するコーティング量および/またはコーティング材料を厳密に決定するという面でますます高度な正確さが要求されている。特に医薬の活性成分を塗工する場合、そしてコーティングの質と持続性という面でも高度な正確さが要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ディッピングプロセスまたはディップ含浸プロセスは頻繁に用いられる。これらのプロセスは、薬理学的に活性な薬剤の正確な吸収量が、選択される吸収または吸着特性およびコーティング条件に大いに依存するという問題点を有する。このことにより、実際に塗工される薬理学的に活性な薬剤の量を正確に決定することが困難となり、および/または上記決定の正確さはプロセスによっても変化する。そのため塗工される個々の活性剤について、多孔性インプラント表面の理論上の吸収能力と実際の吸収能力との間に通常差異が生じ、その差異は場合によってはかなり大きくなることがある。
【0006】
DE 198 49 467より、キャリアポリマーでコーティングされたステントをシクロデキストリンにより誘導体化することができ、その後薬理学的に活性な薬剤をこれに組み込むことができることが知られている。この場合、表面上に塗工されるシクロデキストリンの量が比較的十分再現可能となるように、活性剤の吸収量が決定される。これによりコーティングに吸収される活性剤の最大量を決定することができる。
【0007】
しかしDE 198 49 467のプロセスの問題点は、シクロデキストリンと結合可能なキャリアポリマーでステントの表面をコーティングする必要があることである。さらにこのプロセスの場合は、シクロデキストリン由来のステント表面を製造した後に、薬理学的に活性な薬剤に対するシクロデキストリン部分の厳密な吸収能力を測定することが必要である。活性剤を実際にシクロデキストリンに導入すると、このプロセスでも他の吸収系同様、用いる活性剤に応じて理論上の吸収能力と実際の吸収能力との間に差異が生じる。
【0008】
公知のプロセスにしたがって医療用インプラントをコーティングした場合に活性成分の量に差異が生じることを鑑みると、異物である物体、特に医療用インプラントをコーティングする際に活性剤の正確な量を把握することができる、簡易で様々に使用可能なコーティング方法が必要である。
【0009】
したがって本発明の1つの目的は、任意の所望のインプラント表面にコーティング材料を塗工する方法であって、塗工するコーティング材料の量を厳密に制御することができる方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、単層または複数層、すなわち1または異なるコーティング材料からなる1または複数の層で、厳密かつ再現可能にインプラントをコーティングすることができる、上記に応じた塗工方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、本発明による塗工方法を実施する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的に対する本発明の解決手段は、方法および装置の独立請求項により提供される。
【0013】
好ましい実施形態は、従属請求項の特徴を組み合わせることによって得られる。
【0014】
本発明によれば、本発明のプロセス関連の目的に対する解決手段は、印刷方法によって所定量のコーティング材料をコーティング対象である医療用インプラントの表面に塗工する方法であって、
印刷ローラのジャケット表面に形成された凹部に所定量のコーティング材料を充填する工程と、
コーティング対象である前記インプラントの表面特性に固有の吸着力および/または付着力が、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を十分に誘引し得るように、前記印刷ローラをコーティング対象である前記インプラントに対して配置する工程と、
前記印刷ローラの前記ジャケット表面と、コーティング対象である前記インプラントの表面とを移動させることにより、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を塗工する工程と
を含む。
【0015】
本発明によれば、上記目的に対する装置関連の解決手段は、ジャケット表面に複数の凹部が形成されて所定量のコーティング材料を取り上げることができるようになっている印刷ローラを用いて、所定量のコーティング材料をコーティング対象であるインプラントの表面に塗工する装置であって、前記印刷ローラがコーティング対象である前記インプラントに対して配置される際に、コーティング対象である前記インプラントの表面特性に固有の吸収力および/または吸着力が前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を十分に誘引し得るように常に配置され、これにより前記印刷ローラの前記ジャケット表面とコーティング対象である前記物体の表面とを移動させることにより、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティングをコーティング対象である前記インプラントの表面に塗工する装置からなる。好ましくは、前記印刷ローラの前記ジャケット表面とコーティング対象である前記物体の表面とを、実質的にスリップのないように移動させる。
【0016】
本発明によれば、印刷プロセスは、コーティング対象であるインプラントの表面に、所定の正確な(量に関して)測定様式でコーティング材料を塗工するために特に適していることが明らかとなった。
【0017】
好ましくは、この目的のために所定の表面構造を有する印刷ローラが用いられる。当該印刷ローラはジャケット表面に凹部を有しており、それにより印刷ローラの単位面積当たりのコーティング材料の容量を厳密に決定することができる。
【0018】
本発明において、印刷ローラという用語は、ジャケット表面に所定の形状および配列の多数の凹部を有する、すべての印刷ローラを意味する。印刷ローラのジャケット表面の凹部は、任意の所望の立体形状、例えば、小型のカップ、溝構造、尖った角錐、平べったい角錐、格子状、半球格子状、円筒形状などを有していてもよい。
【0019】
印刷ローラのジャケット表面に形成された凹部は、その公知の形状のために、印刷ローラに塗工されるコーティング材料の容量を、印刷ローラのジャケット表面の単位面積ごとに明確にかつ高度に正確に決定することを可能にする。したがって、印刷ローラのジャケット表面の単位面積当たりの凹部容積は、印刷ローラのジャケット表面の凹部内に存在するコーティング材料をコーティング対象であるインプラントの表面に塗工する際に放出可能な最大量を厳密に測定することを可能にする。
【0020】
これにより、印刷ローラの単位面積当たりの凹部容積から、インプラントの表面に移送されるコーティング材料の最大量を決定することが可能となる。上記移送は、印刷ローラのジャケット表面に沿ってインプラントを移動させること、またはコーティング対象であるインプラントの表面に沿って印刷ローラを移動させることにより行われる。印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象であるインプラントの表面とを移動させることを繰り返すことにより、コーティング材料の量を、必要に応じ、倍増することができる。
【0021】
本発明によれば、使用に適した印刷ローラは、グラビアローラ、アニロックスローラ、ロトグラビアローラ、セラミックローラ、セラミックアニロックスローラ、セラミックでコーティングされたアニロックスローラ、フレキソグラフィック印刷ローラ、エンボスローラ、カレンダーローラ、および他の印刷ローラから選択することができ、そのジャケット表面はコーティング材料を受け取る凹部を有する。アニロックスローラが特に好ましい。
【0022】
本発明の更なる態様によれば、凹部のない印刷ローラ、すなわち平滑な表面構造の印刷ローラを用いて、適切なプロセスにより所定の層厚でコーティング材料を塗工することも可能である。所定の層厚のコーティング材料を印刷ローラに塗工するこのようなプロセスは、従来公知であり、専門家には周知である。凹部を有する印刷ローラについて上記および以下に記載するすべての特徴は、基本的には、必要であれば対応する調整の後、凹部のない印刷ローラおよびそれにより実施される塗工方法にも適用される。
【0023】
凹部のない印刷ローラ上のコーティング厚みは、当業者に公知の方法、例えば、極度に緻密に分布され且つ均一なスプレーイメージを得るための精密スプレー技術または超音波噴霧法により、調整することができる。
【0024】
本発明の塗工方法によれば、印刷ローラのジャケット表面に形成された凹部または印刷ローラのジャケット表面自体にまず所定量のコーティング材料を塗工する。これはコーティング材料の凝集状態に依存して様々な方法で行うことができ、例えば印刷ローラの表面を部分的にまたは完全に液状または粉体状のコーティング材料にディッピングすること、印刷ローラの表面に液状、溶解状態または粉体状のコーティング材料をスプレーすることなどによって行うことができる。特に好ましい実施形態では、粉体状コーティング材料を静電気によってジャケット表面、さらには凹部に誘引してもよい。
【0025】
印刷ローラのジャケット表面の凹部内にあるコーティング材料の容量をできるだけ正確に調整するためには、コーティング材料を印刷ローラに塗工した後に、余分となる可能性のあるコーティング材料をジャケット表面から除去することが好ましい。これは最も簡単には、スリッターバーまたは同様のデバイスを用いてコーティング材料を掻き落とすか又はすくい取ることにより、凹部内のコーティング材料の表面をローラ表面と同一レベルにすることにより行うことができる。
【0026】
非常に緻密な凹部パターンをアニロックスローラに形成することにより、正確かつ再現可能な物質量の塗工を保証することも可能である。本発明のプロセスの好ましい実施形態では、凹部の上面がコーティング対象であるインプラントの表面よりも小さい。コーティング対象であるインプラントの表面に対する、印刷ローラの凹部上面の割合は、好ましくは1:10、より好ましくは1:100、特に好ましくは1:1000、1:5000、1:10000またはそれ以上である。
【0027】
グラビアローラ/アニロックスローラの使用、特にセラミックアニロックスローラまたはセラミックでコーティングされたアニロックスローラの使用、および金属、特にステンレス鋼のグラビアローラの使用が好ましい。さらに、鋼、必要であればクロムメッキ鋼、またはステンレス鋼のグラビア/アニロックスローラが特に好ましい印刷ローラである。好ましい実施形態では、ステンレス鋼アニロックスまたはグラビアローラまたはクロムメッキ鋼アニロックスローラが、印刷ローラのジャケット表面1立方センチメートル当たり120、240、最高300の凹部パターン、すなわち120×120、240×240、または300×300個の凹部を有するパターンで特に用いられている。凹部の容積は通常、1×10-6 mm3〜1×10-4 mm3であるが、当業者であれば所望の塗工に応じて、例えばより蜜な凹部パターン又はより深い或いはより大きい凹部パターンを用いることにより、これより大きい又は小さい容積を選択することができる。本発明による使用に適したステンレス鋼アニロックスローラの凹部容積は、好ましくは約2×10-5 mm3であり240の凹部パターンを有する。
【0028】
セラミックアニロックスローラまたはセラミックでコーティングされたアニロックスローラの場合、好ましいパターン密度は120、450、最高700のタイプであり、凹部容積はそれぞれ1×10-7 mm3〜1×10-4 mm3であり、好ましくは5.7×10-6 mm3である。この場合も当業者であれば所望の塗工に応じて、例えばより蜜な凹部パターン又はより深い及び/又はより大きい凹部を用いることにより、これより大きい又は小さい凹部容積を選択することができる。
【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、印刷ローラのジャケット表面に形成された凹部にコーティング材料を充填することは、スクープローラ(ファウンテンローラ)を回転させることにより行われる。スクープローラの少なくとも1つの円筒部分が、回転中、常にコーティング材料の槽内にある。その結果、スクープローラの周面はコーティング材料で濡れ、スクープローラはこのようにして受け取ったコーティング材料を順に印刷ローラ上に移送する。好ましくは、スクープローラはこのプロセスの間印刷ローラに接触し、それにより余分のコーティング材料が実質的に印刷ローラの表面から絞り出される。必要であればこれに代えて又はこれに加えて、スリッターバーなどを用いてスクープローラの表面からコーティング材料が掻き落とされる。
【0030】
所定量のコーティング材料を充填された印刷ローラはコーティング対象であるインプラントに対して配置されるが、この場合、コーティング対象であるインプラントの表面特性に固有の吸着力および/または付着力が印刷ローラのジャケット表面の凹部内に存在するコーティング材料を十分に誘引し得るように配置される。すなわち上記吸着力および/または付着力が上記印刷ローラのジャケット表面の凹部からコーティング材料を取り出してコーティング対象であるインプラントの表面に付着および/または固着させるか、あるいは多孔性インプラント表面の細孔システムに十分に吸収させるように、配置される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、コーティング対象であるインプラントに対する充填済み印刷ローラの配置は、インプラントと印刷ローラとの直接接触が保証されるように行われる。
【0032】
本発明の別の実施形態であって現時点で好ましい実施形態によれば、コーティング対象であるインプラントに対する充填済み印刷ローラの配置は、直接接触なしに行われる。この場合、印刷ローラとコーティング対象であるインプラントとが互いに近づけられるが、印刷ローラのジャケット表面の凹部内に存在するコーティング材料を印刷ローラからコーティング対象であるインプラントに移送することができるように、好ましくは完全に移送することができるように十分に近づけられる。当業者であれば通常の試行により非接触の塗工プロセスにとって最良の形態を、それぞれの場合に用いられるコーティング材料の特定の特性およびインプラントの表面特性に応じて決定することができる。
【0033】
液状のコーティング材料の場合、印刷ローラとインプラントとの間の距離は1 μm〜10 mmであり得、好ましくは例えば約100μmである。
【0034】
印刷ローラのジャケット表面の凹部内に存在するコーティング材料を塗工するためには、印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象であるインプラントの表面との移動がスリップのないように行われることが好ましい。本発明によるプロセスは、コーティング対象であるインプラントの表面が印刷ローラのジャケット表面に沿ってスリップのないように移動するように、或いは印刷ローラのジャケット表面がコーティング対象であるインプラントの表面に沿ってスリップのないように移動するように、実施可能である。本発明によれば、印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象であるインプラントの表面との間の、好ましくはスリップのない移動も可能であり、これは本発明の方法のうちのある実施形態において特に好ましい。
【0035】
印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象である物体の表面との移動がスリップのないように行われないのであれば、印刷ローラからインプラントへのコーティング材料の移送条件は、一移動プロセスごとに再現可能量のコーティング材料が移送されるように調整されるべきである。この目的のために、液状系の場合は流体力学条件が適切に調整されるべきである。
【0036】
本発明の特に好ましい実施形態では、コーティング対象であるインプラント自体が円筒形状である。これにより、印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象であるインプラントの表面との、好ましくはスリップのない移動が、印刷ローラとコーティング対象であるインプラントとが実質的に平行に配列された2つの軸を中心に互いに逆方向に回転するように行われる。
【0037】
非円筒形状のコーティング対象であるインプラントの場合、印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象であるインプラントの表面との、好ましくはスリップのない移動は、印刷ローラの軸がコーティング対象であるインプラントの表面に沿って等距離に移動するように行われてもよい。これにより、コーティング対象であるインプラントの表面が充填済みローラによって擬似走査される。
【0038】
本発明の方法によるコーティング対象であるインプラントは、当該方法がデバイス技術に関して調整されるのであれば、基本的に任意の所望の形態を取ることができる。この目的のために、当業者は印刷ローラおよび印刷ローラのジャケット表面の凹部を充填するシステムについて採用可能ないくつかの構成を知っており、必要に応じて選択する。
【0039】
本明細書において用語「インプラント」は、一般的な医療用、診断用および治療用インプラント、例えば、人工血管、管腔内人工器官、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、一時的目的(例えば外科用スクリュー、プレート、ネイルおよびその他の固定手段)のための外科および/または整形インプラント、恒久的外科または整形インプラント、例えば人工骨または人工関節、例えば人工腰または膝関節、関節キャビティインサート、スクリュー、プレート、ネイル、インプラント可能整形固定手段、椎骨代替物、人工心臓およびその部分、人工心臓弁、ペースメーカーハウジング、経皮、皮下および/または筋肉内使用のインプラント、徐放性活性成分およびマイクロチップ、ならびにその他のヒトまたは動物の体内で用いることを意図した及び/又はヒトまたは動物の体内に塗工することを意図したもの、を含むように用いられる。
【0040】
本発明によれば、コーティング対象であるインプラントは好ましくは、医療用、診断用または治療用インプラントであり、例えば、人工血管、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、整形インプラント、人工骨または人工関節、人工心臓、人工心臓弁、ペースメーカー電極、皮下、経皮および/または筋肉内インプラント、外科用ネイル、スクリュー、固定材、およびピンなどである。
【0041】
しかし本発明の方法/装置によれば、基本的に任意の所望の物体をコーティングすることができる。本発明の方法は、特に、塗工するコーティング材料の量を非常に正確に決定すること、および予め決定することができることを特徴とする。
【0042】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、コーティング対象であるインプラントはステントであり、特に好ましくは概して円筒形状のステント、特に好ましくはカーボンでコーティングされたステントであり、例えばDE 103 33 098に記載されており当該文献に記載の方法により製造されたものである。
【0043】
本発明の方法により再現可能にコーティング可能なインプラントは、ほぼいずれの所望の材料、特にインプラントが製造され得るすべての材料によっても製造することができる。
【0044】
この点に関する例は、アモルファスおよび/または(部分的に)結晶性のカーボン、バルクカーボン材料、多孔性カーボン、グラファイト、カーボン複合材料、カーボンファイバ、プラスチック、ポリマー材料、合成樹脂ファイバ、セラミック、例えばゼオライト、珪酸塩、酸化アルミニウム、アルミノ珪酸塩、炭化珪素、窒化珪素;遷移金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケルの金属炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属カルボナイトライド、金属オキシカーバイド、金属オキシナイトライド、および金属オキシカルボナイトライド;金属、特に貴金属、例えば金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、およびこれらの合金;金属、例えばチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオビウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、およびこれらの合金;鋼、特にステンレス鋼、形状記憶合金、例えばニチノール、ニッケル−チタン合金、ガラス、石、グラスファイバ、鉱物、天然または合成骨物質、アルカリ土類金属カーボネート、例えばカルシウムカーボネート、マグネシウムカーボネート、ストロンチウムカーボネート、および上記材料の任意の所望の組み合わせに基づく模造骨である。
【0045】
コーティング対象であるインプラントは、塗工されるコーティング材料に依存して任意の所望の物質からなっていてもよいが、そのためには当該物質がコーティング材料を吸収および/または結合、あるいは表面に固定することができることが条件である。
【0046】
本発明の方法でコーティングすることができる、医療、診断または治療の分野で好ましい材料は例えば、カーボン、カーボンファイバ、バルクカーボン材料、カーボン複合材料、カーボンファイバ、プラスチック、ポリマー材料、合成樹脂ファイバ、セラミック、ガラスまたはグラスファイバ、金属、例えばステンレス鋼、チタン、タンタル、白金;合金、例えばニチノール、ニッケル−チタン合金;骨、石、鉱物またはコーティング対象であるインプラントを構成するこれらの材料の組み合わせである。必要であれば、上記材料からなるコーティング対象であるインプラントは、上記材料のうちの1または複数からなる単層または複数層で、すでにコーティングされていてもよい。
【0047】
本発明の方法で用いるコーティング材料は、適切なキャリア材料内の1または複数の活性剤または活性剤前駆体の溶液、懸濁液、またはエマルション、希釈された液状活性剤、または粉体状の1または複数の活性剤および活性剤前駆体であってもよい。
【0048】
本発明において用語「活性剤」は、薬理学的に有効な物質、例えば医薬、薬物、薬剤に加えて、微生物、生体有機細胞材料、酵素、および生体適合性無機または有機物質を意味すると理解される。用語「活性剤前駆体」は、コーティング対象であるインプラントへの塗工後に熱的、機械的または化学的および/または生物学的プロセスによって上記のタイプの活性剤に変換される物質またはそれら物質の混合物を意味する。
【0049】
本発明の方法のコーティング材料に用いることができる有機タイプの活性剤または活性剤前駆体は、生分解性および/または吸収性ポリマー、例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸カルボキシメチルセルロース、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチルエンテレフタレート)、ポリ(マラト酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリアンヒドリド、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、およびこれらのコポリマー、あるいは、非生分解性および/または非吸収性ポリマーであってもよい。アニオン性、カチオン性または両性コーティング、例えばアルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース;キトサン、ポリ-L-リジン;および/またはホスホリルコリンが特に好ましい。
【0050】
本発明によるコーティング材料として用いることができる活性剤または活性剤前駆体はさらに、体内でコーティング済みのインプラントを見つけるために使用可能なマーカーまたはコントラスト剤など、例えば治療または診断量の放射源などであってもよい。
【0051】
特定の実施形態において、特に皮下/筋肉内活性剤貯蔵部またはステントの場合、活性剤の充填は一時的なものであってもよい。すなわちインプラントを移植した後、活性剤は放出されるか、あるいはインプラント内またはインプラント上に恒久的に固定される。これにより、活性剤を含む医療用インプラントは、活性剤の静的充填、動的充填、または静的充填と動的充填との組み合わせを生成することができる。このように、本発明によってコーティングされたインプラントは、多機能型コーティングがされたものとなる。
【0052】
活性剤の静的充填の場合、活性剤は実質的に恒久的にインプラントに固定される。この目的での使用に適した活性剤は、生物適合性無機物質、例えばヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、リン酸三カルシウム(TCP)、亜鉛;および/または有機物質、例えばペプチド、タンパク質、炭水化物、例えば単糖、オリゴ糖および多糖、脂質、リン脂質、ステロイド、リポ蛋白、糖蛋白、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチドまたは抗体および/または抗体フラグメント、生体吸収性ポリマー、例えばポリラクトン酸、キトサン、および薬理学的に有効な物質またはこれら物質の混合物または組み合わせである。
【0053】
活性剤の動的充填の場合、塗工された活性剤は、体内にインプラントを挿入した後、放出されなければならない。このように、コーティング済みインプラントを治療目的で用いることが可能である。この場合、インプラントに塗工された活性剤は、インプラントが使用された部位において局部的に連続して放出される。活性剤放出のための活性剤の動的充填での使用に適した活性剤は、例えばヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、リン酸三カルシウム(TCP)、亜鉛;および/または有機物質、例えばペプチド、タンパク質、炭水化物、例えば単糖、オリゴ糖および多糖、脂質、リン脂質、ステロイド、リポ蛋白、糖蛋白、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチドまたは抗体または抗体フラグメント、生体吸収性ポリマー、例えばポリラクトン酸、キトサンなど、および薬理学的に有効な物質またはこれら物質の混合物である。
【0054】
本発明によってコーティングされたインプラントの静的および/または動的充填に適した薬理学的に有効な物質またはそれら物質の混合物は、以下から選択される活性剤または活性剤の組み合わせを含む:ヘパリン、合成ヘパリン類似体(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコギンアルファ;フィブリン溶解剤、例えばアルテプラーゼ、プラスミン、溶菌素酵素、ファクターXIIa、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ;血小板凝集阻害剤、例えばアセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、デキストラン;コルチコステロイド、例えばアルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、モメタゾン、プレドニカルべート、プレドニゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン;いわゆる非ステロイド系抗炎症剤、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸塩、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;細胞分裂阻害剤、例えばアルカロイドおよびポドフィルムトキシン、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキルアント、例えばニトロソウレア、窒素硫化ジクロロジエチル類似体;細胞毒性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシンおよびその他のアントラサイクリンおよび類似物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;代謝拮抗物質、例えば葉酸、プリン類似体またはピリミジン類似体;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;白金化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチンまたはオキサリプラチン;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ、トポテカン、インターフェロンアルファ2a、インターフェロンアルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポルフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン;抗アンドロゲンおよび抗エストロゲン;抗不整脈剤、特にクラスIの抗不整脈剤、例えばキニジンタイプの抗不整脈剤、例えばキニジン、ジソピラミド、アジュマリン、重酒石酸プラジュマリウム、重酒石酸デタジュミウム;リドカインタイプの抗不整脈剤、例えばリドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド;クラスI Cの抗不整脈剤、例えばプロパフェノン、フレカイニド(アセテート)、クラスIIの抗不整脈剤、ベータ受容体ブロッカー、例えばメトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール;クラスIIIの抗不整脈剤、例えばアミオダロン、ソタロール;クラスIVの抗不整脈剤、例えばジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル;その他の抗不整脈剤、例えばアデノシン、オルシプレナリン、臭化イプラトロピウム;心筋内の血管形成を刺激する薬剤、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、非ウイルス性DNA、ウイルス性DNA、内皮増殖因子:FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC);ジギタリスグリコシド、例えばアセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン;心臓グリコシド、例えばウアバイン、プロスシラリジン;抗高張剤、例えば中枢性の抗アドレナリン性物質、例えばメチルドパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;ジヒドロピリジンタイプのカルシウムチャネルブロッカー、例えばニフェジピン、ニトレンジピン;ACEブロッカー;キナプリラート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンジオテンシン-IIアンタゴニスト;カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢有効性アルファ受容体ブロッカー、例えばプラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬、例えばジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム;その他の抗高張剤、例えばインダパミド、コデルゴクリンメシレート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン、フルドロコルチゾン;ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばミルリノン、エノキシモン、および抗低緊張剤、例えば特にアドレナリン作用性物質およびドパミン作用性物質、例えばドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェネフリン、ノレピネフリン、オキシロフリン、ドパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメキシニウムメチル;および部分アドレナリン受容体アゴニスト、例えばジヒドロエルゴタミン;フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、炎症性サイトカイン、例えばTGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン;および接着性物質、例えばシアンアクリレート、ベリリウム、シリカ;および増殖因子、例えばエリスロポエチン、ホルモン、例えばコルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン、および調節性ペプチド、例えばソマトスタチン、オクトレオチド;骨および軟骨刺激ペプチド、いわゆる「骨形成タンパク質」(BMP)、特に組み換えBMP、例えば組み換えヒトBMP-2(rhBMP-2)、重ホスホン酸塩(例えば、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フッ化物、例えばフルオロリン酸二ナトリウム、フッ化ナトリウム;カルシトニン、ジヒドロタキスチレン;増殖因子およびサイトカイン、例えば上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子-b(TGF-b)、トランスフォーミング増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポエチン(Epo)、インシュリン様増殖因子-I(IGF-I)、インシュリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-I(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF);単球走化性タンパク質、線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリンまたはフィブリノゲン、エンドテリン-1、アンジオテンシンII、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルジド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミドおよびエタノール;さらに銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質および抗感染剤、例えば特にβ-ラクタム系抗生物質、例えばβ-ラクタマーゼ感受性ペニシリン、例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV);抗βラクタマーゼペニシリン、例えばアミノペニシリン、例えばアモキシリン、アンピシリン、バカンピシリン;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン、カルボキシペニシリン、セファロスポリン、例えばセファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシマキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル;アズトレオナム、エルトラペネム、メロペネム;β-ラクタマーゼ阻害剤、例えばスルバクタム、スルタミシリントシラート;テトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン;アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラミセチン、スペクチノマイシン;マクロライド系抗生物質、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン;リンコサミド、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、ギラーゼ阻害剤、例えばフルオロキノロン、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン;キノロン、例えばピペミド酸;スルホンアミド、トリメトプリム、スルファジアジン、スルファレン;グリコペプチド系抗生物質、例えばバンコマイシン、テイコプラニン;ポリペプチド系抗生物質、例えばポリミキシン、例えばコリスチン、ポリミキシン-B、ニトロイミダゾール誘導体、例えばメトロニダゾール、チニダゾール;アミノキノロン、例えばクロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン;ビグアニド、例えばプログアニル;キニンアルカロイドおよびジアミノピリミジン、例えばピリメタミン;アムフェニコール、例えばクロラムフェニコール;リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサフンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド;ウイルス増殖抑制剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォビル、ブリブジン;抗レトロウイルス活性成分(ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤および誘導体)、例えばラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤:アムプレナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル;アマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル、およびラミブジン、ならびにこれらの任意の所望の組み合わせおよび混合物。
【0055】
本発明のプロセスの特に好ましい実施形態では、マイクロカプセル、リポソーム、ナノカプセル、ナノ粒子、ミセル、合成リン脂質、気体分散液、エマルション、マイクロエマルション、またはナノスフェアに組み込まれた薬理学的に有効な物質をコーティング材料として用いてもよい。
【0056】
コーティング材料溶液、懸濁液またはエマルション用のキャリア培地として適切な溶媒を用いることができる。この点における例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3-メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、メトキシPEG-10、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-6-メチルエーテル、ペンチレングリコール、PPG-7、PPG-2-ブテス-3、PPG-2ブチルエーテル、PPG-3ブチルエーテル、PPG-2メチルエーテル、PPG-3メチルエーテル、PPG-2プロピルエーテル、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン;および水、必要に応じて分散剤との混合物、ならびに、それらの混合物である。
【0057】
本発明の方法によれば、コーティング対象であるインプラントの表面は、部分的に、実質的に完全に、あるいはまた多層にコーティングしてもよい。多層コーティングは、印刷ローラのジャケット表面とコーティング対象である表面をスリップのないように移動させることにより行われる。この場合、必要であれば各コーティング工程の後に乾燥工程を採用してもよい。
【0058】
コーティング対象であるインプラントを1または複数の薬理学的に有効な物質でコーティングし、その後、1または必要に応じ複数の異なる材料であって薬理学的に有効な物質の放出を加減する材料の単層または複数層でコーティングすることが特に好ましい。この目的に適した放出加減材料は例えば、セルロースおよびセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、カルボマー、およびポリビニルピロリドンなどである。
【0059】
本発明の特に好ましい実施形態は、コーティング済み人工血管(管腔内人工器官)、例えばステント、冠動脈ステント、脈管ステント、および末梢ステントなどである。
【0060】
これらは、本発明の方法により簡単な様式で充填された生体適合性を有するものであり、その結果、例えば従来のステントを用いた経皮経腔的血管形成の場合に頻繁に起こる再狭窄が防止できる。
【0061】
特に好ましい実施形態では、ステント、特にカーボンでコーティングされた表面層を有するステントを薬理学的に有効な物質またはそれら物質の混合物で充填してもよい。ステント表面は例えば、細胞付着、血小板凝集、補完作用および/または炎症性組織反応または細胞増殖の局部的抑制のために以下の活性成分を備えていてもよい。
【0062】
ヘパリン、合成ヘパリン類似体(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコギンアルファ;フィブリン溶解剤(アルテプラーゼ、プラスミン、溶菌素酵素、ファクターXIIa、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ)、血小板凝集阻害剤(アセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、デキストラン)、コルチコステロイド(アルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、モメタゾン、プレドニカルべート、プレドニゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン)、いわゆる非ステロイド系抗炎症剤(ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸塩、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ)、細胞分裂阻害剤(アルカロイドおよびポドフィルムトキシン、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキルアント、例えばニトロソウレア、窒素硫化ジクロロジエチル類似体;細胞毒性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシンおよびその他のアントラサイクリンおよび類似物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;代謝拮抗物質、例えば葉酸、プリン類似体またはピリミジン類似体;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;白金化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチンまたはオキサリプラチン;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ、トポテカン、インターフェロンアルファ2a、インターフェロンアルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポルフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン;抗アンドロゲンおよび抗エストロゲン)。
【0063】
心臓病学的効果のためには、本発明のステントは以下のもので充填されていてもよい。
【0064】
抗不整脈剤、特にクラスIの抗不整脈剤(キニジンタイプの抗不整脈剤:キニジン、ジソピラミド、アジュマリン、重酒石酸プラジュマリウム、重酒石酸デタジュミウム;リドカインタイプの抗不整脈剤:リドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド;クラス I Cの抗不整脈剤:プロパフェノン、フレカイニド(アセテート)、クラスIIの抗不整脈剤(ベータ受容体ブロッカー(メトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール)、クラスIIIの抗不整脈剤(アミオダロン、ソタロール)、クラスIVの抗不整脈剤(ジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル)、その他の抗不整脈剤、例えばアデノシン、オルシプレナリン、臭化イプラトロピウム;心筋内の血管形成を刺激する薬剤:血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、非ウイルス性DNA、ウイルス性DNA、内皮増殖因子;FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC)。さらなる強心薬は:ジギタリスグリコシド(アセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン)、さらなる心臓グリコシド(ウアバイン、プロスシラリジン)。さらに、抗高張剤(中枢性の抗アドレナリン性物質:メチルドパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;カルシウムチャネルブロッカー:ジヒドロピリジンタイプのもの、例えばニフェジピン、ニトレンジピン;ACEブロッカー:キナプリラート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンジオテンシン-IIアンタゴニスト;カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢有効性アルファ受容体ブロッカー:プラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬:ジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム)、その他の抗高張剤、例えばインダパミド、コデルゴクリンメシレート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン。さらなるホスホジエステラーゼ阻害剤(ミルリノン、エノキシモン)、および抗低緊張剤、この場合は特にアドレナリン作用性物質およびドパミン作用性物質(ドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェネフリン、ノレピネフリン、オキシロフリン、ドパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメキシニウムメチル)、部分アドレナリン受容体アゴニスト(ジヒドロエルゴタミン)、および最後にその他の抗抗低緊張剤、例えばフルドコルチゾン。
【0065】
特に末梢ステントの場合に、組織への付着を促進するには、細胞外マトリクスのコンポーネント、フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、炎症性サイトカイン、例えばTGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン;および添加剤、例えばシアノアクリレート、ベリリウム、またはシリカを用いてもよい。
【0066】
この目的に適した、全身性および/または局部的効果を有するさらなる物質は、増殖因子、エリスロポエチンである。
【0067】
ホルモンもステント充填に提供することができ、例えば、コルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン、および調節性ペプチド、例えばソマトスタチン、オクトレオチドである。
【0068】
外科または整形ステントの場合、大型孔を有する表面層を有するインプラントが頻繁に用いられる。その孔のサイズは、0.1〜1000 μmの範囲であり、好ましくは1〜400 μmの範囲である。これは、インプラントが周囲の細胞または骨組織に内部成長することによる、より良い一体化をサポートするためである。これらのインプラントは、広範囲の異なる活性剤または活性剤前駆体の塗工および含浸に特に適している。
【0069】
さらに、整形および非整形インプラントおよび心臓弁、ペースメーカー電極または人工心臓部分の場合、細胞付着、血小板凝集、補完作用および/または炎症性組織反応または細胞増殖の局部的抑制には、上記ステント塗工と実質的に同一の活性剤を用いてもよい。
【0070】
さらに、特に整形インプラントの場合、組織増殖を刺激するために、インプラントのよりよい一体化を目的として以下の活性剤を用いてもよい:骨および軟骨刺激ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)、特に組み換えBMP(組み換えヒトBMP-2(rhBMP-2))、重ホスホン酸塩(例えばリセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フッ化物(フルオロリン酸二ナトリウム、フッ化ナトリウム);カルシトニン、ジヒドロタキスチレン。すべての増殖因子およびサイトカイン(上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子-b(TGF-b)、トランスフォーミング増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポエチン(Epo)、インシュリン様増殖因子-I(IGF-I)、インシュリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-I(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF))。上記炎症性サイトカイン以外のさらなる付着および一体化促進物質は、単球走化性タンパク質、線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリンまたはフィブリノゲン、エンドテリン-1、アンジオテンシンII、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルジド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミド、エタノールである。
【0071】
さらに、インプラントは本発明の印刷方法により抗菌性抗感染性コーティングを備えていてもよく、以下の物質またはそれら物質の混合物がコーティング材料としての使用に適している:銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質および抗感染剤。特にβ-ラクタム系抗生物質(例えばβ-ラクタマーゼ感受性ペニシリン、例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV);抗βラクタマーゼペニシリン、例えばアミノペニシリン、例えばアモキシリン、アンピシリン、バカンピシリン;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン;カルボキシペニシリン、セファロスポリン(セファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシマキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル、またはその他のもの、例えばアズトレオナム、エルトラペネム、メロペネム。さらなる抗菌剤は、β-ラクタマーゼ阻害剤(スルバクタム、スルタミシリントシラート)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン)、アミノグリコシド(ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラミセチン、スペクチノマイシン)、マクロライド系抗生物質(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン)、リンコサミド(クリンダマイシン、リンコマイシン)、ギラーゼ阻害剤(フルオロキノロン、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン;その他のキノロン(ピペミド酸)、スルホンアミドおよびトリメトプリム(スルファジアジン、スルファレン、トリメトプリム)、グリコペプチド系抗生物質(バンコマイシン、テイコプラニン)、ポリペプチド系抗生物質(ポリミキシン、例えばコリスチン、ポリミキシン-B)、ニトロイミダゾール誘導体(メトロニダゾール、チニダゾール)、アミノキノロン(クロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン)、ビグアニド(プログアニル)、キニンアルカロイドおよびジアミノピリミジン(ピリメタミン)、アムフェニコール(クロラムフェニコール)、およびその他の抗生物質(リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサフンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド)。以下も記載する必要がある:ウイルス増殖抑制剤、アシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォビル、ブリブジン。さらに以下も含まれる:抗レトロウイルス性活性成分(ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤および誘導体):ラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤:アムプレナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル、およびその他のウイルス増殖抑制剤、例えばアマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル、およびラミブジン。
【0072】
本発明の特に好ましい実施形態では、さらなる薬剤を用いてインプラントの化学的または物理的特性を変更してもよい。これは例えば、親水性、疎水性、導電性、付着性またはその他の表面特性を変更するためになされる。この目的でコーティング材料として用いるに適した物質は、生分解性または非生分解性ポリマーである。例えば生分解性ポリマーは:コラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸カルボキシメチルセルロース);さらに、カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチルエンテレフタレート)、ポリ(マラト酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリアンヒドリド、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、およびこれらのすべてのコポリマーである。
【0073】
非生分解性ポリマーとしては、ポリ(エチレンビニルアセテート)、シリコーン、アクリル酸ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレア)、ポリエーテル、例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、プルロニック、ポリテトラメチレングリコール;ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテートフタレート)が含まれる。
【0074】
一般的に、アニオン性ポリマー(例えばアルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース)、またはカチオン性ポリマー(例えばキトサン、ポリ-L-リジンなど)、または両性ポリマー(ホスホリルコリン)が、好適に用いられ得る。
【0075】
本発明による活性剤含有コーティング済みインプラントの放出を加減するために、例えばさらなるポリマーを塗工することにより特定のpH依存性または温度依存性放出特性を生じさせてもよい。感pHポリマーは例えば、ポリ(アクリル酸)およびその誘導体であり、例えば:ホモポリマー、例えばポリ(アミノカルボン酸)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルアクリル酸)およびこれらのコポリマーである。これは多糖、例えば酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、およびキトサンにも当てはまる。感熱ポリマーは例えば、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミドコナトリウムアクリレートco-n-N-アルキルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル N-n-プロピルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N,n-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-エチルメチルアクリルアミド)、ポリ(N-メチル-N-エチルアクリルアミド)、ポリ(N-シクロプロピルアクリルアミド)である。サーモゲル特性を有するさらなるポリマーは、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチル−セルロース、およびプルロニクス、例えばF-127、L-122、L-92、L-81、L-61である。
【0076】
本発明によって充填されたインプラントのさらなるコーティングの場合、結果として不活性生分解性物質(ポリ-1-リジン、フィブロネクチン、キトサン、ヘパリンなど)の物理的バリアと生物学的に活性なバリアとを区別することができる。後者は、生理学的に生物活性化され、活性成分および/またはそのキャリアの放出し得る、立体的な分子障害であり得る。例えば、放出を仲介する酵素が、生物学的に活性な物質を活性化するか又は不活性なコーティングと結合して活性成分を露出させる。
【0077】
本発明によってコーティングされたインプラントはまた、特に生体細胞または微生物を用いた処理で充填してもよい。これらはインプラントの適切な多孔性表面上で安定する。その後、このように移植されたインプラントに、細胞または微生物によって生成された栄養素および活性成分を透過させるが細胞自体は透過させない、適切な膜または膜タイプのコーティングを提供することが可能である。
【0078】
このように本発明の技術を用いることにより、インシュリン生成細胞を含有するインプラントを、例えばインシュリン生成細胞の懸濁液で印刷することにより生成することが可能である。上記インプラントは、体内への移植後、周囲のグルコースレベルに応じてインシュリンを生成し放出する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下に、本発明による活性剤をステント表面に塗工する方法および装置の好ましい実施形態の例を説明する。例としての実施形態に関する詳細な説明は本発明の原理をさらに説明するためのものにすぎず、本発明の包括的思想を特定の実施形態に限定するものではない。
【0080】
図1は、印刷ローラにより所定量のコーティング材料をインプラント表面に塗工する本発明の装置の一実施形態を、AおよびBの2つの方向から示す。
【0081】
図示するように、インプラント1(この場合は円筒ステント)が、印刷ローラ2に対してスリップのないように駆動される駆動シャフト上に設けられている。図1の実施形態では、印刷ローラ2は駆動部7を備える精密アニロックス/グラビアローラである。駆動部7は、精密アニロックス/グラビアローラ2とは逆方向に動き、ステント1の駆動シャフトに対してスリップのないように移動可能である。図1による装置の好ましい実施形態では、精密アニロックス/グラビアローラ2からステント1へのコーティング材料の移送は非接触方式で行われる。
【0082】
図1の側面図Aからわかるように、精密アニロックス/グラビアローラ2はスクープローラ4に直接接している。スクープローラ4は少なくとも部分的に貯蔵容器10内に浸かり、貯蔵容器10はコーティング材料またはコーティング材料溶液で充填されている。スクープローラ4は精密アニロックス/グラビアローラ2とは逆方向に動く。図1の側面図Aに示すように、貯蔵容器10内の充填高さには充填高さセンサ5および6を設けてもよい。充填高さセンサ5および6は貯蔵容器に充填されたコーティング材料の上限高さおよび下限高さを決定する。充填高さセンサ5および6は例えば容量センサまたは導電性センサであってもよく、貯蔵容器10にコーティング材料を充填する通常の作業を自動で行うことを可能にする。貯蔵容器内のコーティング材料の高さは、適切な自動制御によって充填高さセンサ5と6との間の高さに維持される。
【0083】
スクープローラ4ですくい取られたコーティング材料は接触によって精密アニロックス/グラビアローラ2に移送され、アニロックス/グラビアローラの凹部がコーティング材料で充填される。精密アニロックス/グラビアローラ2上の余分なコーティング材料は、掻き落とし装置3(例えばスリッターバー)により掻き落とされる。これは精密アニロックス/グラビアローラ2の凹部の容積によって予め決められた所定量のコーティング材料を得るために行われる。精密アニロックス/グラビアローラ2は、ステント駆動シャフト1に対してスリップのないようにして逆方向に回転する。1回転毎に、回転数によって定められた一定量のコーティング材料が精密アニロックス/グラビアローラ2からステント1に移送される。非接触プロセスの場合、精密アニロックス/グラビアローラ2からステント1へのコーティング材料の移送は、コーティング対象であるインプラントの表面特性に固有の吸着力および/または付着力の結果起こる。この吸着力および/または付着力は、印刷ローラ2とコーティング対象としてのステント1との適切な構成により、印刷ローラ2のジャケット表面の凹部内に存在するコーティング材料を十分に誘引し得るものとなっている。
【0084】
前面図Bからわかるように、ステント1はシャフト受けブロック8内のシャフトに保持されており、ステントシャフト1とアニロックス/グラビアローラ2とが対応する精密駆動部7を介してスリップのないように動く。
【0085】
上記した図1の実施形態では、シャフト受けブロック8は、活性成分用貯蔵容器10が収容されているハウジング内に一体構造成分として収容されており、その結果構造が小型である。
【0086】
本発明の特に好ましい実施形態では、適切な乾燥装置9(例えばエアノズル)がステント1の近傍の空間に設けられてもよい。これは、ステントに加熱不活性ガス流を当てることにより溶媒を蒸発させる又はコーティング材料を乾燥させるためである。或いは乾燥装置9は放熱装置(例えば赤外線ランプなど)であってもよい。

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷方法の手段によって所定量のコーティング材料をコーティング対象である医療用インプラントの表面に塗工する方法であって、
印刷ローラのジャケット表面に形成された凹部に所定量のコーティング材料を充填する工程と、
コーティング対象である前記インプラントの表面特性に固有の吸着力および/または付着力が、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を十分に誘引し得るように、前記印刷ローラをコーティング対象である前記インプラントに対して配置する工程と、
前記印刷ローラの前記ジャケット表面と、コーティング対象である前記インプラントの表面とを移動させることにより、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を塗工する工程と
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記凹部にコーティング材料を充填した後、前記ジャケット表面から余分となる可能性のあるコーティング材料を除去することにより、前記印刷ローラの前記ジャケット表面に形成された前記凹部に所定量のコーティング材料を充填することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記印刷ローラの前記ジャケット表面に形成された前記凹部の充填が回転スクープローラを経由したコーティング材料により行われ、前記回転スクープローラの少なくとも一部の円筒部分が、回転中、常に前記コーティング材料の槽内にあり、その結果前記スクープローラの周面はコーティング材料で濡れ、前記スクープローラはこのように取り上げた前記コーティング材料を前記印刷ローラ上に移送することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
コーティングされるインプラントに対向する前記印刷ローラの配置が、直接接触を可能にするものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
コーティングされるインプラントに対向する前記印刷ローラの配置が、非接触方式で行われることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記印刷ローラの前記ジャケット表面と、コーティング対象である前記インプラントの表面との移動が、実質的にスリップのないように行われることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記印刷ローラの前記ジャケット表面と、コーティング対象である前記インプラントの表面との移動が、2つの実質的に平行な軸を中心に逆方向に回転する前記印刷ローラとコーティング対象である前記インプラントとによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記印刷ローラの前記ジャケット表面と、コーティング対象である前記インプラントの表面とのスリップのない移動が、前記印刷ローラの軸をコーティング対象である前記インプラントの表面に対して等距離となるように移動させることによって行われることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
コーティング対象である前記インプラントが、人工血管、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、整形用インプラント、人工骨もしくは人工関節、人工心臓、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ならびに、皮下および/または筋肉内インプラントなどの医療用または治療用インプラントから選択されるものであることを特徴とする、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項10】
コーティング対象である前記インプラントは、カーボン、カーボンファイバ、バルクカーボン材料、カーボン複合化材料、カーボンファイバ、プラスチック、ポリマー材料、合成ファイバ、セラミック、ガラスまたはグラスファイバ、ステンレス鋼、チタン、タンタル、白金などの金属、ニチロール、ニッケルチタン合金などの合金、骨、石、鉱物またはこれらの材料の組み合わせからなり、必要に応じて上述した材料の1または複数によりその表面がコーティングされ得ることを特徴とする、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項11】
コーティング対象である前記インプラントが、ステント、特にカーボンでコーティングされたステントであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷ローラは、ジャケット表面がコーティング材料を受け取る凹部を有するグラビアローラ、アニロックスローラ、ロトグラビアローラ、セラミックローラ、セラミックアニロックスローラ、セラミックでコーティングされたアニロックスローラ、フレキソグラフィック印刷ローラ、エンボスローラ、カレンダーローラ、および他の印刷ローラから選択されるものであり、特に好ましくはアニロックス/グラビアローラであることを特徴とする、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング材料が、適切なキャリア培地内の1もしくは複数の活性剤または活性剤前駆体の溶液、懸濁液またはエマルションであることを特徴とする、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項14】
前記活性剤または活性剤前駆体が、薬理学的に有効な物質、微生物、生体有機細胞材料および生体適合性を有する無機または有機物質から選択されるものであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記活性剤または活性剤前駆体が、有機物質、例えばヒドロキシルアパタイト(HAP)、フルオロアパタイト、リン酸三カルシウム(TCP)、亜鉛;有機物質、例えばペプチド、タンパク質、炭水化物、例えば単糖、オリゴ糖および多糖、脂質、リン脂質、ステロイド、リポ蛋白、糖蛋白、糖脂質、プロテオグリカン、DNA、RNA、シグナルペプチドまたは抗体および/もしくは抗体フラグメント、生体吸収可能ポリマー、例えばポリラクトン酸、キトサン;下記物質の薬理学的に有効な物質またはそれら物質の混合物、例えばヘパリン、合成ヘパリン類似体(例えばフォンダパリヌクス)、ヒルジン、アンチトロンビンIII、ドロトレコギンアルファ;フィブリン溶解剤、例えばアルテプラーゼ、プラスミン、溶菌素酵素、ファクターXIIa、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ、アニストレプラーゼ、ストレプトキナーゼ;血小板凝集阻害剤、例えばアセチルサリチル酸、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ、デキストラン;コルチコステロイド、例えばアルクロメタゾン、アムシノニド、増強ベタメタゾン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチゾン、クロベタゾール、クロコルトロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、フルシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、フルニソリド、フルチカゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニソロン、モメタゾン、プレドニカルべート、プレドニゾン、プレドニソロン、トリアムシノロン;いわゆる非ステロイド系抗炎症剤、例えばジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸塩、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サルサレート、スリンダク、トルメチン、セレコキシブ、ロフェコキシブ;細胞分裂阻害剤、例えばアルカロイドおよびポドフィルムトキシン、例えばビンブラスチン、ビンクリスチン;アルキルアント、例えばニトロソウレア、窒素硫化ジクロロジエチル類似体;細胞毒性抗生物質、例えばダウノルビシン、ドキソルビシンおよびその他のアントラサイクリンならびに類似物質、ブレオマイシン、ミトマイシン;代謝拮抗物質、例えば葉酸、プリン類似体またはピリミジン類似体;パクリタキセル、ドセタキセル、シロリムス;白金化合物、例えばカルボプラチン、シスプラチンまたはオキサリプラチン;アムサクリン、イリノテカン、イマチニブ、トポテカン、インターフェロンアルファ2a、インターフェロンアルファ2b、ヒドロキシカルバミド、ミルテフォシン、ペントスタチン、ポルフィマー、アルデスロイキン、ベキサロテン、トレチノイン;抗アンドロゲンおよび抗エストロゲン;抗不整脈剤、特にクラスIの抗不整脈剤、例えばキニジンタイプの抗不整脈剤、例えばキニジン、ジソピラミド、アジュマリン、重酒石酸プラジュマリウム、重酒石酸デタジュミウム;リドカインタイプの抗不整脈剤、例えばリドカイン、メキシレチン、フェニトイン、トカイニド;クラスI Cの抗不整脈剤、例えばプロパフェノン、フレカイニド(アセテート);クラスIIの抗不整脈剤、ベータ受容体ブロッカー、例えばメトプロロール、エスモロール、プロプラノロール、メトプロロール、アテノロール、オクスプレノロール;クラスIIIの抗不整脈剤、例えばアミオダロン、ソタロール;クラスIVの抗不整脈剤、例えばジルチアゼム、ベラパミル、ガロパミル;その他の抗不整脈剤、例えばアデノシン、オルシプレナリン、臭化イプラトロピウム;心筋内の血管形成を刺激する薬剤、例えば血管内皮増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、非ウイルス性DNA、ウイルス性DNA、内皮増殖因子:FGF-1、FGF-2、VEGF、TGF;抗体、モノクローナル抗体、アンチカリン;幹細胞、内皮前駆細胞(EPC);ジギタリスグリコシド、例えばアセチルジゴキシン/メチルジゴキシン、ジギトキシン、ジゴキシン;心臓グリコシド、例えばウアバイン、プロスシラリジン;抗高張剤、例えば中枢性の抗アドレナリン性物質、例えばメチルドパ、イミダゾリン受容体アゴニスト;ジヒドロピリジンタイプのカルシウムチャネルブロッカー、例えばニフェジピン、ニトレンジピン;ACEブロッカー:キナプリラート、シラザプリル、モエキシプリル、トランドラプリル、スピラプリル、イミダプリル、トランドラプリル;アンジオテンシン-IIアンタゴニスト;カンデサルタンシレキセチル、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンメドキソミル、エプロサルタン;末梢有効性アルファ受容体ブロッカー、例えばプラゾシン、ウラピジル、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシン、インドラミン;血管拡張薬、例えばジヒドララジン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、ミノキシジル、ニトロプルシドナトリウム;その他の抗高張剤、例えばインダパミド、コデルゴクリンメシレート、ジヒドロエルゴトキシンメタンスルホネート、シクレタニン、ボセンタン、フルドロコルチゾン;ホスホジエステラーゼ阻害剤、例えばミルリノン、エノキシモン、および抗低緊張剤、例えば特にアドレナリン作用性およびドパミン作用性物質、例えばドブタミン、エピネフリン、エチレフリン、ノルフェネフリン、ノレピネフリン、オキシロフリン、ドパミン、ミドドリン、フォレドリン、アメキシニウムメチル;および部分アドレナリン受容体アゴニスト、例えばジヒドロエルゴタミン;フィブロネクチン、ポリリジン、エチレンビニルアセテート、炎症性サイトカイン、例えばTGFβ、PDGF、VEGF、bFGF、TNFα、NGF、GM-CSF、IGF-a、IL-1、IL-8、IL-6、成長ホルモン;および接着性物質、例えばシアンアクリレート、ベリリウム、シリカ;および増殖因子、例えばエリスロポエチン、ホルモン、例えばコルチコトロピン、ゴナドトロピン、ソマトロピン、チロトロフィン、デスモプレシン、テルリプレシン、オキシトシン、セトロレリクス、コルチコレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ガニレリクス、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリン、および調節性ペプチド、例えばソマトスタチン、オクトレオチド;骨および軟骨刺激ペプチド、骨形成タンパク質(BMP)、特に組み換えBMP、例えば組み換えヒトBMP-2(rhBMP-2)、重ホスホン酸塩(例えばリセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、ゾレドロン酸、クロドロン酸、エチドロン酸、アレンドロン酸、チルドロン酸)、フッ化物、例えばフルオロリン酸二ナトリウム、フッ化ナトリウム;カルシトニン、ジヒドロタキスチレン;増殖因子およびサイトカイン、例えば上皮細胞成長因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、線維芽細胞成長因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子-b(TGF-b)、トランスフォーミング増殖因子-a(TGF-a)、エリスロポエチン(Epo)、インシュリン様増殖因子-I(IGF-I)、インシュリン様増殖因子-II(IGF-II)、インターロイキン-I(IL-1)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-8(IL-8)、腫瘍壊死因子-a(TNF-a)、腫瘍壊死因子-b(TNF-b)、インターフェロン-g(INF-g)、コロニー刺激因子(CSF);単球走化性タンパク質、線維芽細胞刺激因子1、ヒスタミン、フィブリンまたはフィブリノゲン、エンドテリン-1、アンジオテンシンII、コラーゲン、ブロモクリプチン、メチルセルジド、メトトレキセート、四塩化炭素、チオアセトアミドおよびエタノール;さらに銀(イオン)、二酸化チタン、抗生物質および抗感染剤、例えば特にβ-ラクタム系抗生物質、例えばβ-ラクタマーゼ感受性ペニシリン、例えばベンジルペニシリン(ペニシリンG)、フェノキシメチルペニシリン(ペニシリンV);抗βラクタマーゼペニシリン、例えばアミノペニシリン、例えばアモキシリン、アンピシリン、バカンピシリン;アシルアミノペニシリン、例えばメズロシリン、ピペラシリン、カルボキシペニシリン、セファロスポリン、例えばセファゾリン、セフロキシム、セフォキシチン、セフォチアム、セファクロール、セファドロキシル、セファレキシン、ロラカルベフ、セフィキシム、セフロキシマキセチル、セフチブテン、セフポドキシムプロキセチル、セフポドキシムプロキセチル;アズトレオナム、エルトラペネム、メロペネム;β-ラクタマーゼ阻害剤、例えばスルバクタム、スルタミシリントシラート;テトラサイクリン、例えばドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン;アミノグリコシド、例えばゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、フラミセチン、スペクチノマイシン;マクロライド系抗生物質、例えばアジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、スピラマイシン、ジョサマイシン;リンコサミド、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、ギラーゼ阻害剤、例えばフルオロキノロン、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、ガチフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシン、レボフロキサシン;キノロン、例えばピペミド酸;スルホンアミド、トリメトプリム、スルファジアジン、スルファレン;グリコペプチド系抗生物質、例えばバンコマイシン、テイコプラニン;ポリペプチド系抗生物質、例えばポリミキシン、例えばコリスチン、ポリミキシン-B、ニトロイミダゾール誘導体、例えばメトロニダゾール、チニダゾール;アミノキノロン、例えばクロロキン、メフロキン、ヒドロキシクロロキン;ビグアニド、例えばプログアニル;キニンアルカロイドおよびジアミノピリミジン、例えばピリメタミン;アムフェニコール、例えばクロラムフェニコール;リファブチン、ダプソン、フシジン酸、フォスフォマイシン、ニフラテル、テリスロマイシン、フサフンギン、フォスフォマイシン、ペンタミジンジイセチオネート、リファンピシン、タウロリジン、アトバクオン、リネゾリド;ウイルス増殖抑制剤、例えばアシクロビル、ガンシクロビル、ファムシクロビル、フォスカルネット、イノシン(ジメプラノール-4-アセトアミドベンゾエート)、バルガンシクロビル、バラシクロビル、シドフォビル、ブリブジン;抗レトロウイルス活性成分(ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤および誘導体)、例えばラミブジン、ザルシタビン、ジダノシン、ジドブジン、テノフォビル、スタブジン、アバカビル;非ヌクレオシド類似性逆転写酵素阻害剤:アムプレナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル;アマンタジン、リバビリン、ザナミビル、オセルタミビル、およびラミブジン、ならびにこれらの任意の所望の組み合わせおよび混合物から選択されるものであることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬理学的に有効な物質が、マイクロカプセル、リポソーム、ナノカプセル、ナノ粒子、ミセル、合成リン脂質、気体分散液、エマルション、マイクロエマルション、またはナノスフェアに組み込まれることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記生体適合性を有する物質が、生分解性および/または吸収性ポリマー、例えばコラーゲン、アルブミン、ゼラチン、ヒアルロン酸、デンプン、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸カルボキシメチルセルロース;カゼイン、デキストラン、多糖、フィブリノゲン、ポリ(D,L-ラクチド)、ポリ(D,L-ラクチドコグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(アルキルカーボネート)、ポリ(オルトエステル)、ポリエステル、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリジオキサノン、ポリ(エチルエンテレフタレート)、ポリ(マラト酸)、ポリ(タルトロン酸)、ポリアンヒドリド、ポリホスファゼン、ポリ(アミノ酸)、およびこれらのコポリマー、または、非生分解性および/または非吸収性ポリマー、例えばポリ(エチレンビニルアセテート)、シリコーン、アクリル酸ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメチルアクリル酸、ポリアクリロシアノアクリレート;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エステルウレタン)、ポリ(エーテルウレタン)、ポリ(エステルウレア)、ポリエーテル、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、プルロニック、ポリ(テトラメチレングリコール);ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアセテートフタレート)、およびこれらのコポリマー;またはアニオン性、カチオン性もしくは両性物質、例えばアルギン酸塩、カラゲナン、カルボキシメチルセルロース、キトサン、ポリ-L-リジン;および/またはホスホリルコリンから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記キャリア材料が、メタノール、エタノール、N-プロパノール、イソプロパノール、ブトキシジグリコール、ブトキシエタノール、ブトキシイソプロパノール、ブトキシプロパノール、n-ブチルアルコール、t-ブチルアルコール、ブチレングリコール、ブチルオクタノール、ジエチレングリコール、ジメトキシジグリコール、ジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、エトキシジグリコール、エトキシエタノール、エチルヘキサンジオール、グリコール、ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ヘキシルアルコール、ヘキシレングリコール、イソブトキシプロパノール、イソペンチルジオール、3-メトキシブタノール、メトキシジグリコール、メトキシエタノール、メトキシイソプロパノール、メトキシメチルブタノール、メトキシPEG-10、メチラール、メチルヘキシルエーテル、メチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-6-メチルエーテル、ペンチレングリコール、PPG-7、PPG-2-ブテス-3、PPG-2ブチルエーテル、PPG-3ブチルエーテル、PPG-2メチルエーテル、PPG-3メチルエーテル、PPG-2プロピルエーテル、プロパンジオール、プロピレングリコール、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、トリメチルヘキサノール、フェノール、ベンゼン、トルエン、キシレン;および水、必要に応じて分散剤との混合物、ならびにそれらの混合物から選択されるものであることを特徴とする、請求項13〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コーティング対象である前記インプラントの前記表面が、部分的に、実質的に完全に、および/または多重にコーティングされたものであることを特徴とする、上記請求項のうちの1項に記載の方法。
【請求項20】
前記インプラントは、1または複数の薬理学的に有効な物質でコーティングされた後、前記薬理学的に有効な物質の放出を加減する1または必要に応じ複数の異なる材料の単層または複数層でコーティングされたものであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ジャケット表面に複数の凹部が形成されて所定量のコーティング材料を取り上げることができるようになっている印刷ローラを用いて、所定量のコーティング材料をコーティング対象であるインプラントの表面に塗工する装置であって、前記印刷ローラがコーティング対象である前記インプラントに対して配置される際に、コーティング対象である前記インプラントの表面特性に固有の吸収力および/または吸着力が前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料を十分に誘引し得るように配置され、これにより前記印刷ローラの前記ジャケット表面とコーティング対象である前記物体の表面とをスリップのないように移動させることにより、前記印刷ローラの前記ジャケット表面の前記凹部内に存在する前記コーティング材料をコーティング対象である前記インプラントの表面に塗工する、前記装置。
【請求項22】
所定量のコーティング材料をコーティング対象であるインプラントに塗工するための印刷プロセスの使用。
【請求項23】
前記塗工が、アニロックス/グラビアローラで行われることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
前記塗工が、平滑なジャケット表面を有する印刷ローラで行われることを特徴とする、請求項20に記載の使用。
【請求項25】
コーティング対象である前記インプラントが、人工血管、ステント、冠動脈ステント、末梢ステント、整形用インプラント、人工骨もしくは人工関節、人工心臓、人工心臓弁、ペースメーカー電極、ならびに、皮下および/または筋肉内インプラントなどの医療用または治療用インプラントから選択されるものであることを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の使用。
【請求項26】
前記コーティング材料が、適切なキャリア培地内の1または複数の活性剤または活性剤前駆体の溶液、懸濁液、またはエマルションであることを特徴とする、請求項22〜25のいずれか1項に記載の使用。
【請求項27】
前記活性剤または活性剤前駆体が、薬理学的に有効な物質、微生物、生体有機細胞材料および生体適合性を有する無機または有機物質から選択されるものであることを特徴とする、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法によって生成可能なコーティング済みインプラント。


【公表番号】特表2007−510446(P2007−510446A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537247(P2006−537247)
【出願日】平成16年11月3日(2004.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2004/012442
【国際公開番号】WO2005/042045
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(505257349)ブルー メンブレーンス ゲーエムベーハー (10)
【Fターム(参考)】