説明

印刷版の作製方法およびインクジェット記録装置

【課題】本発明の目的は、プロセスレスタイプの平版印刷版の作製が可能であり、安価なコストで、簡易に、解像度を維持して耐刷性に優れた印刷版が得られる印刷版の作製方法およびそれに用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
【解決手段】印刷版材料上に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程を有する印刷版の作製方法において、該画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が複数あることを特徴とする印刷版の作製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷版の作製方法に関するものであり、特にプロセスレスタイプ平版印刷版の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフセット印刷用の印刷版の作製技術において、画像のデジタルデータをレーザー光源で直接印刷版材料に記録するCTP(コンピューター・トゥー・プレート)システムが普及してきた。
【0003】
CTPシステムに使用される印刷版材料として、特別な薬剤(例えばアルカリ、酸、溶媒など)を含む処理液による現像処理を必要とせず、従来の印刷機に適用可能である印刷版材料が求められており、例えば、全く現像処理を必要としない相変化タイプの印刷版材料、水もしくは水を主体とした実質的に中性の処理液で処理をする印刷版材料、印刷機上で印刷の初期段階で現像処理を行い特に現像工程を必要としない印刷版材料などの、ケミカルフリータイプ印刷版材料やプロセスレスタイプ印刷版材料と呼ばれる印刷版材料が知られている。
【0004】
これらのプロセスレスCTPとしては、印刷機上で湿し水やインクを用いて画像形成層の非画像部を除去する、機上現像タイプが知られており、この例として例えば、特許2938397号や特許2938398号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に熱可塑性微粒子、水溶性の結合剤、光熱変換素材を含有する感熱画像形成層を設けた印刷版材料が知られている。これらの印刷版材料はレーザなどの活性光線を画像様に照射することにより画像が形成され、印刷機上で非画像部が除去されて印刷版として利用されるる。
【0005】
一方、プロセスレスタイプの印刷版材料を用いる画像形成方法としては、インクジェット記録方式も有力な手段のひとつとして提案されている。
【0006】
インクジェット記録方式によるプロセスレス印刷版は、一般的には親水性表面を有する印刷版材料に、インクジェット記録方式により親油性の画像形成素材を画像様に付与し、画像様に付与された親油性の画像形成素材を画像部とするものである。
【0007】
インクジェット記録方式を利用した印刷版の作製方法としては、ホットメルト型インクを基材上に供給し画像を形成して印刷版を作製する方法(特許文献1参照)、油性インクを静電界を利用して吐出させてインクジェット方式で画像を形成する製版方法(特許文献2参照)、あるいは光重合性インク組成物をインク吸収層を有する基材上に供給して画像を形成する製版方法(特許文献3参照)などが知られている。
【0008】
しかしながら、上記の感熱画像形成層を設けた印刷版材料を使用する場合には、露光に比較的高価な露光装置を必要とする、耐刷性が不充分な場合があるといった問題があり、またインクジェット記録方式を用いた製版方法では、解像度が充分でない場合がある、耐刷性が不充分な場合がある、といった問題があった。
【特許文献1】特開平9−58144号公報
【特許文献2】特開平10−272753号公報
【特許文献3】特開平5−204138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、プロセスレスタイプの平版印刷版の作製が可能であり、安価なコストで、簡易に、解像度を維持して耐刷性に優れた印刷版が得られる印刷版の作製方法およびそれに用いられるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.印刷版材料上に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程を有する印刷版の作製方法において、該画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が複数あることを特徴とする印刷版の作製方法。
2.前記画像形成用液滴が活性光線硬化型インクの液滴であることを特徴とする1に記載の印刷版の作製方法。
3.前記印刷版材料が親水性表面を有する基材であることを特徴とする1または2に記載の印刷版の作製方法。
4.前記印刷版材料が親水性表面を有する基材上にインク受容層を有する印刷版材料であることを特徴とする1または2に記載の印刷版の作製方法。
5.前記印刷版材料が親水性表面を有する基材上に親油性成分を含有する画像形成層を有する印刷版材料であることを特徴とする1に記載の印刷版の作製方法。
6.前記画像形成用液滴が活性光線硬化型インクの液滴または接着成分を含有する液の液滴であることを特徴とする5に記載の印刷版の作製方法。
7.前記画像形成用液滴がインクジェット記録方式による液滴であることを特徴とする1〜6のいずれか1項に記載の印刷版の作製方法。
8.前記画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程の後に、画像を有する印刷版材料を印刷機上で現像し印刷版を作製することを特徴とする1に記載の印刷版の作製方法。
9.7に記載の印刷版の作製方法に用いられることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記構成により、プロセスレスタイプの平版印刷版の作製が可能であり、安価なコストで、簡易に、解像度を維持して耐刷性に優れた印刷版が得られる印刷版の作製方法およびそれに用いられるインクジェット記録装置が提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、印刷版材料上に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程を有する印刷版の作製方法において、該画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が複数あることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、特に、同一の画像について画像形成用液滴を画像様に複数回供給することで、プロセスレスタイプの平版印刷版の作製が可能であり、安価なコストで、簡易に、高い解像度を維持しつつ耐刷性に優れた印刷版が得られる。
【0014】
即ち、印刷版材料上に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程を有する印刷版の作製方法において、該画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が、同一の画像上に画像を形成する工程を複数含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の印刷版の作製方法における、印刷版材料に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が複数あるとは、画像を有する印刷版を作製するに際し、一旦画像形成用液滴を画像様に供給した後、印刷版材料の画像形成液滴が画像様に供給された部分にさらに、同一の画像に基づき画像様に少なくとも1回液滴を供給することをいう。
【0016】
本発明において、液滴を画像様に供給する方法としては、インクジェット記録方式による方法が好ましく使用される。
【0017】
本発明において、好ましい態様の一つは本発明に係る画像形成用液滴が活性光線硬化型インクの液滴である場合である。
【0018】
印刷版材料上に活性光線硬化型インクの液滴を画像様に供給する場合、一旦活性光線硬化型インクの液滴を画像様に供給し、さらに硬化のための活性光線による照射を行い印刷版材料上に供給された液滴を硬化させ、その上にさらに同一の画像に基づき、硬化した部分の上に活性光線硬化型インクの液滴を供給し、硬化のための活性光線の照射を行う。
【0019】
活性硬化型インクの粘度が高い場合、2回目の供給は、硬化させる前でもよいが、一旦硬化させた後がより好ましい。
【0020】
液滴を供給する回数としては、2回〜から4回が好ましく、特に2回または3回が好ましい。
【0021】
また最初の液滴の供給以後の液滴の供給方法としては、一旦画像全部に対して最初の供給を行った後、硬化工程を経てその後行うバッチ処理での供給でもよいし、最初の供給をしつつ硬化工程を行いさらに2回目以降の液滴の供給を行う連続処理でもよい。
【0022】
連続処理は、インク供給のためのノズルを有するインクヘッドを複数組有し、さらに複数のインクヘッドの間に活性光線照射手段を有するインクジェット記録装置により行うことができる。
【0023】
(活性光線硬化型インク)
本発明係る活性光線硬化性型インクは、少なくとも活性光線重合性化合物(以下単に、重合性化合物ともいう。)を含有する。可視画性を得る目的で色材を添加することもできる。
【0024】
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物とカチオン重合性化合物を挙げることができる。
【0025】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。また、単官能化合物よりも官能基を2つ以上持つ多官能化合物の方がより好ましい。更に好ましくは多官能化合物を2種以上併用して用いることが、反応性、物性などの性能を制御する上で好ましい。
【0026】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、さらに種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、アクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリンエポキシアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、さらに具体的には、山下晋三編,「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編,「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」,79頁,(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著,「ポリエステル樹脂ハンドブック」,(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。上記ラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0027】
カチオン重合性化合物としては、カチオン重合により高分子化の起こるエポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等を挙げることができる。
【0028】
本発明で用いることのできるエポキシ化合物としては、特開2001−220526号、特開2002−188025号、特開2002−317139号、特開2003−55449号、特開2003−73481号公報等に記載の公知のあらゆるエポキシ化合物を用いることができ、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0029】
本発明で用いることのできるオキセタン化合物としては、特開2001−220526、同2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0030】
本発明で用いることのできるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0031】
上記重合性化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0032】
色材としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる色材、つまりは種々の染料、顔料を使用することができ、顔料を添加する場合には、その分散性が着色度に大きな影響を与えるため、適宜分散を行う。顔料の分散には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤は高分子分散剤を用いることが好ましい高分子分散剤としてはZeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は溶剤または重合性化合物で行うが、本発明に用いる照射線硬化型インクは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。
【0033】
分散は、平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。色材はインク全体の0.1質量%乃至10質量%の添加量が好ましい。
【0034】
本発明に係る活性光線硬化型インクは、インクの吐出性、ドットサイズ、ドット形状品質など面から、その表面張力が25〜35mN/mであることが好ましい。
【0035】
また、活性光線硬化型インクの接触角は、吐出性、ドット形状品質などの面から3〜10度が好ましく、特に4〜8度が好ましい。
【0036】
本発明の平版印刷版は、活性エネルギー線硬化性インクジェットインクが表面張力40〜50mN/mの重合性化合物を20〜50質量%含有することが好ましい。
【0037】
該表面張力は、40〜50mN/mであることが好ましく、40〜47mN/mであることがより好ましい。40mN/m未満ではインクジェットヘッドからの吐出性がわるくなり、ドットサイズが小さくなりすぎ、ドット形状も悪く、印刷品質が低下する懸念がある。一方、50mN/mを越えるとインクジェットヘッドからの吐出性がわるくなり、ドットサイズが大きくなりすぎ、ドット形状も悪く、印刷品質が低下する懸念がある。
【0038】
そして、含有する量は、20〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。20質量%未満ではインクジェットヘッドからの吐出性がわるくなり、ドットサイズが小さくなりすぎ、ドット形状も悪く、印刷品質が低下する懸念がある。一方、50質量%を越えるとインクジェットヘッドからの吐出性がわるくなり、ドットサイズが大きくなりすぎ、ドット形状も悪く、印刷品質が低下する懸念がある。
【0039】
上記の表面張力に調整するには、上記重合性化合物のうち、例えばアクリロイルモルホリン、フェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシー3−フェノキシプロピルアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリンエポキシアクリレート等のアクリレート化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシ化合物などを用いることにより、容易に調整できる。
【0040】
インクを硬化させるための活性光線としては、電子線、X線、UV光、可視光、赤外光等がある。電子線、X線、を用いる場合には、通常インクには、重合開始剤は不要であるが、活性光線としてUV光、可視光、赤外光を用いる場合は、それぞれの波長に応じたラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、開始助剤、増感色素を添加する。
【0041】
これらの量はインク全体の1〜10質量部が必要となる。開始剤は公知の様々な化合物を使用することができるが、上記重合性化合物に溶解するものから選択する。具体的な開始剤としては、キサントンまたはチオオキサントン系、ベンゾフェノン系、キノン系、フォスフィンオキシド等のラジカル重合開始剤、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩等のカチオン重合開始剤が挙げられる。
【0042】
また、保存性を高めるために、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することができる。
【0043】
この他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。
【0044】
印刷版材料との密着性の面から、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は0.1〜5%、好ましくは0.1〜3%である。
【0045】
また、インク色材による遮光効果による感度低下を防ぐ手段として、開始剤寿命の長いカチオン重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0046】
本発明の活性光線硬化型インクは、界面活性剤を含むことが吐出性、ドット形状品質などの面から好ましい。界面活性剤としては、HLB11以下の界面活性剤が好ましく、例えば、HLB5.0〜7.5のポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましく用いられる。界面活性剤の添加量は0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜0.2質量%である。
【0047】
本発明に係る活性光線硬化型インクの粘度は、25℃における粘度が5〜100mPa・sであることが好ましく、特に8〜40mPa・sであることが好ましい。
【0048】
インクジェット記録方式で液滴を吐出させる時のインクジェットヘッドの温度は、10℃〜40℃であることが好ましく、20〜30℃であることがより好ましい。
【0049】
活性光線硬化型インクの活性光線の照射による硬化は常法により行うことができる。活性エネルギー線としては、レーザ、発光ダイオード、キセノンフラッシュランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク燈、メタルハライドランプ、タングステンランプ、高圧水銀ランプ、無電極光源等を挙げることができる。
【0050】
[印刷版材料]
本発明に係る印刷版材料としては、親水性表面を有する基材、親水性表面を有する基材上にインク受容層を有する印刷版材料または、親水性表面を有する基材上に親油性成分を含有する画像形成層を有する印刷版材料が用いられる。
【0051】
本発明に係る親水性表面とは、印刷時に、水保持性を有し印刷インキ反撥性を有する非画像部、となりうる表面であり、本発明に係る親水性表面を有する基材は、基材の表面を親水化処理する方法あるいは基材上に親水性物質を含む親水性層を設ける方法により得られる。
【0052】
本発明に係る印刷版材料は、親水性表面を有する側とは、反対の面に必要に応じ裏塗り層等を有してもよい。
【0053】
[基材]
本発明に係る基材としては、従来の印刷版材料に用いられる公知の基材を使用することができる。
【0054】
基材としては、例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。
【0055】
基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、通常50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
【0056】
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等のフィルムを挙げることができる。
【0057】
本発明では、これらのプラスチックフィルムのうち、特にポリエチレンテレフタレート(以降、略してPETという場合がある)、ポリエチレンナフタレート(以降、PENと略すことがある)などのポリエステルフィルムが基材として好ましく用いらる。
【0058】
さらに特開平10−10676号に記載の方法で得られた120℃30秒での熱寸法変化率が0.001%以上0.04%以下の基材を用いることが好ましい。
【0059】
好ましいポリエステルフィルムとしては、未延伸ポリエステルフィルム、一軸延伸ポリエステルフィルムまたは二軸延伸ポリエステルフィルムである。
【0060】
このうちフィルムの押出し方向(縦方向)に一軸延伸した縦延伸ポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0061】
PETはテレフタル酸とエチレングリコール、またPENはナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを構成成分として重合されたものである。
【0062】
PETまたはPENを構成するジカルボン酸またはジオールを他の適当な1種、または2種以上の第3成分を混合して重合したものでもよい。適当な第3成分としては、2価のエステル形成官能基を有する化合物で、例えば、ジカルボン酸の例として次のようなものを挙げることができる。
【0063】
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙げることができる。
【0064】
また、グリコールの例としては、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
【0065】
第3成分としては多官能性カルボン酸や多価アルコールも混合することができるが、これらは全ポリエステル構成成分に対して0.001〜5質量%程度混合することができる。
【0066】
ポリエステルフィルムの固有粘度は0.5〜0.8であることが好ましい。また、固有粘度の異なるものを混合して使用してもよい。
【0067】
ポリエステルフィルムの重合方法は特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの重合方法に従って製造できる。
【0068】
例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させ、ジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にジエステル化し、更に一方のジオールを減圧下加熱して余剰のジオールを留去することにより重合させる直接エステル化法、またジカルボン酸成分としてジアルキルエステル(例えば、ジメチルエステル)を用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させてアルキルアルコール(例えば、メタノール)を留出させてジオールの片方の水酸基をジカルボン酸にエステル化し、更に余剰のジオール成分を減圧下で加熱して留去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。
【0069】
触媒としては、通常のポリエステルの合成に使用するエステル交換触媒、重合反応触媒及び耐熱安定剤を用いることができる。例えば、エステル交換触媒としては、Ca(OAc)2・H2O、Zn(OAc)2・2H2O、Mn(OAc)2・4H2O、Mg(OAc)2・4H2O等を挙げることができ、重合反応触媒としてはSb23、GeO2を挙げることができる。また、耐熱安定剤としてはリン酸、亜リン酸、PO(OH)(CH33、PO(OC653、P(OC653等を挙げることができる。また、合成時の各過程で着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
【0070】
印刷時の寸法を安定化させカラー印刷時の色ズレを防ぐために、延伸及び熱固定後のポリエステルフィルムについては熱処理をすることが好ましい。
【0071】
熱処理は熱固定終了後冷却して巻き取った後に、別工程で巻きほぐしてから、以下のような手段で達成するのがよい。
【0072】
熱処理する方法としては、テンターのようなフィルムの両端をピンやクリップで把持する搬送方法、複数のロール群によるロール搬送方法、空気をフィルムに吹き付けて浮揚させるエアー搬送等により搬送させる方法(複数のスリットから加熱空気をフィルム面の片面あるいは両面に吹き付ける方法)、赤外線ヒーター等による輻射熱を利用する方法、加熱した複数のロールと接触させる方法等を単独または複数組み合わせて熱処理する方法、またフィルムを自重で垂れ下がらせ、下方で巻き等搬送方法等を単独あるいは複数組み合わせて用いることが好ましい。
【0073】
熱処理の張力調整は、巻き取りロール及び/または送り出しロールのトルクを調整すること、及び/または工程内にダンサーロールを設置し、これに加える荷重を調整することで達成できる。
【0074】
熱処理中及び/または熱処理後の冷却時に張力を変化させる場合、これらの工程前後及び/または工程内にダンサーロールを設置し、それらの荷重を調整することで所望の張力状態を設定してもよい。また、振動的に搬送張力を変化させるには、熱処理ロール間スパンを小さくすることにより有効に行うことができる。
【0075】
熱処理は熱収縮の進行を妨げずに、その後の熱処理(熱現像)時の寸法変化を小さくする上で、できるだけ搬送張力を低くし、熱処理時間を長くすることが望ましい。
【0076】
処理温度としてはポリエステルフィルムのTg+50℃〜Tg+150℃の温度範囲が好ましく、その温度範囲で、搬送張力としては5Pa〜1MPaが好ましく、より好ましくは5Pa〜500kPa、更に好ましくは5Pa〜200kPaであり、処理時間としては30秒〜30分が好ましくより好ましくは30秒〜15分である。上記の温度範囲、搬送張力範囲及び処理時間にすることにより、熱処理時に基材の熱収縮の部分的な差により基材の平面性が劣化することもなく、搬送ロールとの摩擦等により細かいキズ等の発生も押さえることができる。
【0077】
熱処理は所望の寸法変化率を得るために少なくとも1回は行うことが好ましく、必要に応じて2回以上実施することも可能である。
【0078】
熱処理したポリエステルフィルムをTg付近の温度から常温まで冷却してから巻き取り、この時の冷却による平面性の劣化を防ぐために、Tgを跨いで常温まで下げるまでに少なくとも−5℃/秒以上の速度で冷却するのが好ましい。
【0079】
ポリエステルフィルム基材の場合、露光装置等における搬送を良好に行うためには、基材の含水率は0.5質量%以下であることが好ましい。基材の含水率とは下記式で表されるD′である。
【0080】
D′(質量%)=(w′/W′)×100
式中、W′は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある基材の質量、w′は25℃、60%相対湿度の雰囲気下で調湿平衡にある基材の水分含量を表す。
【0081】
基材の含水率は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることが更に好ましく、特に好ましくは0.01〜0.3質量%である。
【0082】
基材の含水率を0.5質量%以下に制御する手段としては、(1)親水性層及びその他の層の塗布液を塗布する直前に基材を100℃以上で熱処理する、(2)親水性層及びその他の層の塗布液を塗布する工程の相対湿度を制御する、(3)親水性層及びその他の層の塗布液を塗布する前に基材を100℃以上で熱処理し、防湿シートでカバーして保管し、開封後直ちに塗布する等が挙げられる。これらを2以上組み合わせて行ってもよい。
【0083】
(微粒子)
ポリエステル基材中にはハンドリング性向上のため、0.01〜10μmの粒子を1〜1000ppm添加することが好ましい。
【0084】
この粒子としては有機物及び無機物のいずれでもよい。
【0085】
例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号明細書等に記載のシリカ、仏国特許第1,296,995号明細書等に記載のガラス粉、英国特許第1,173,181号明細書等に記載のアルカリ土類金属またはカドミウム、亜鉛等の炭酸塩等を用いることができる。有機物としては、米国特許第2,322,037号明細書等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号明細書や英国特許第981,198号明細書等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号明細書等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号明細書等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートのような有機微粒子を用いることができる。粒子の形状は定形、不定形どちらでもよい。
【0086】
(基材への下引き層塗布)
ポリエステルフィルム基材においては、各種の機能を持たせるために易接着処理や下引き層塗布を行うことができる。
【0087】
易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。
【0088】
下引き層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等をポリエステルフィルム基材上に設けること等が好ましい。その中でも特開平7−191433号段落番号0044〜0116に記載の帯電防止下塗り層が好ましく用いられる。又特開平7−20596号公報段落番号0031〜0073に記載の導電性ポリマー含有層や特開平7−20596号公報段落番号0074〜0081に記載の金属酸化物含有層のような導電性層を設けることが好ましい。導電性層はポリエステルフィルム基材上であればいずれの側に塗設されてもよいが、好ましくは基材に対し画像形成層の反対側に塗設するのが好ましい。この導電性層を設けると帯電性が改良されてゴミなどの付着が減少し、印刷時の白抜け故障などが大幅に減少する。
【0089】
(親水性層)
本発明においては、基材として上記のようなプラスチックフィルムを用いる場合には、基材上に親水性層を設けて親水性表面を有する基材とすることが好ましい。
【0090】
この場合、親水性層は、多孔質構造を有することが好ましい。
【0091】
多孔質構造を有する親水性層を形成するためには、下記に記載の親水性マトリクスを形成する素材が好ましく用いられる。
【0092】
親水性マトリクスを形成する素材としては、金属酸化物が好ましい。
【0093】
(金属酸化物)
金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmの範囲が好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
【0094】
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
【0095】
(コロイダルシリカ)
中でも、コロイダルシリカが特に好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。コロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、更に、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
【0096】
ネックレス状コロイダルシリカとは、一次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、一次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。
【0097】
パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが、真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。
【0098】
ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業社製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられ、製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらに各々対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。
【0099】
ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、親水性層マトリクスの多孔質化材として好ましく使用できる。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、又、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
【0100】
又、コロイダルシリカは、粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明では平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、更に好ましくは、3〜15nmのものである。
【0101】
前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが、地汚れ発生を抑制する効果が高く特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。
【0102】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは、前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、形成する層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。
【0103】
平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95の範囲が好ましく、更に好ましくは、70/30〜20/80の範囲がより好ましく、60/40〜30/70の範囲が更に好ましい。
【0104】
本発明において、親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。
【0105】
(多孔質金属酸化物粒子)
多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子又は、ゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
【0106】
(多孔質シリカ多孔質シリカ、多孔質アルミノシリケート粒子)
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は、乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
【0107】
多孔質アルミノシリケート粒子は、例えば、特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。
【0108】
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能がやや不十分となる場合がある。
【0109】
(細孔容積の測定方法)
ここで、上記の細孔容積の測定は、オートソーブ−1(カンタクローム社製)を使用し、定容法を用いた窒素吸着測定により、粉体の空隙が窒素により、充填されていると仮定して相対圧力が0.998における窒素吸着量から算出されるものである。
【0110】
(ゼオライト粒子)
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3nm〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。
【0111】
又、親水層を構成する親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性のものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
【0112】
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
【0113】
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。又、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
【0114】
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
【0115】
親水層を構成する親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
【0116】
又、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
【0117】
又、本発明では、水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
【0118】
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
【0119】
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層マトリクスに適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷適性を有する構造を得ることができ、好ましい。
【0120】
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
【0121】
本発明において、親水性マトリクス構造部に添加される水溶性樹脂は、少なくともその一部が水溶性の状態のまま、水に溶出可能な状態で存在することが好ましい。水溶性の素材であっても、架橋剤等によって架橋し、水に不溶の状態になると、その親水性は低下して印刷適性を劣化させる懸念があるためである。又、さらにカチオン性樹脂を含有しても良く、カチオン性樹脂としては、例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンポリアミン等のようなポリアルキレンポリアミン類又はその誘導体、第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、ジアクリルアミン等が挙げられる。カチオン性樹脂は、微粒子状の形態で添加しても良く、例えば、特開平6−161101号公報に記載のカチオン性マイクロゲルが挙げられる。
【0122】
又、親水性層を塗設する為に用いられる塗布液には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができ、Si系又は、F系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は、親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。
【0123】
又、親水性層には、リン酸塩を含むことができる。本発明では、親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
【0124】
基材として用いられる金属板の金属としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下アルミニウムとする)が好ましい。
【0125】
アルミニウム基材は、親水性表面を形成するために粗面化処理、陽極酸化処理などを施されて使用されるのが好ましい。
【0126】
アルミニウム基材は、粗面化処理に先立ってアルミニウム表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。また、脱脂処理には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理にアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。
【0127】
基材の粗面化としては化学的粗面化処理や機械的粗面化あるいは、これらを適宜組み合わせた粗面化処理により行うことができる。
【0128】
粗面化処理の次に、陽極酸化処理を行うことが好ましい。
【0129】
陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
【0130】
陽極酸化処理された基材は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
【0131】
また、陽極酸化処理された基材は適宜、上記封孔処理以外の表面処理を行うこともできる。表面処理としては、ケイ酸塩処理、リン酸塩処理、各種有機酸処理、PVPA処理、ベーマイト化処理といった公知の処理が挙げられる。また、特開平8−314157号に記載の炭酸水素塩を含有する水溶液による処理や、炭酸水素塩を含有する水溶液による処理に続けてクエン酸のような有機酸処理を行ってもよい。
【0132】
また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。
【0133】
(インク受容層)
本発明に係るインク受容層は、親水性表面を有する基材の、親水性表面上に設けられた層であり、活性光線硬化型インクを吸収し得る層であり、現像処理により除去され得る層である。現像処理により除去され得る層としては印刷機上現像可能な層であることが好ましい。印刷機上現像可能な層とは、印刷機上で湿し水、あるいは湿し水と印刷インクを印刷版材料上に供給し印刷することで、非画像部となる部分が除去され得る層である。
【0134】
インク受容層としては、上記の親水性層に用いられる水溶性樹脂を含む層が有利に用いられる。
【0135】
インク受容層の厚さとしては、0.1μm〜5.0μmが好ましく、0.3μmから1.0μmが特に好ましい。
【0136】
(画像形成層)
本発明に係る画像形成層は、印刷機上現像可能な層であり、例えば、サーマルレーザー記録またはサーマルヘッド記録される特表平8−507727号公報や特開平6−186750号公報に記載のようなアブレーションタイプと、特開平9−123387号公報に記載のような熱融着画像層機上現像タイプ及び熱溶融転写タイプの印刷版材料に用いられる画像形成層を用いることができる。
【0137】
印刷機上現像可能な層とは、画像画像を形成後、印刷機上で湿し水、あるいは湿し水と印刷インクを印刷版材料上に供給し印刷することで、非画像部となる部分が除去され得る層である。
【0138】
画像形成層は、親油性成分を有する層であり、特に親油性成分および水溶性バインダーを含有する層であることが好ましい。親油性成分とは、画像形成層が印刷時、画像形成層が印刷インキ受容性となり得るものであり、特に、粒子状で画像形成層に含まれることが好ましい態様である。
【0139】
粒子状の親油性成分としては、熱可塑性のポリマー粒子が好ましく用いられ、たとえば親油性の熱溶融性粒子または熱融着性粒子があげられる。
【0140】
(熱溶融性粒子)
画像形成層に用いることができる熱溶融性粒子としては、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された粒子があげられる。
【0141】
物性としては、保存性、インク着肉性の面から軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。
【0142】
使用できる素材としては、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックスが挙げられる。これらは分子量800〜10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には軟化点を下げたり作業性を向上させたりするためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミドまたはこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。また、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
【0143】
これらの中でも、ポリエチレン、マイクロクリスタリン、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。
【0144】
これらの熱溶融性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は機上現像性の面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜3μmである。
【0145】
これらの熱溶融性粒子を水に分散するには、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤または高分子界面活性剤を用いることが好ましい。これらの化合物を用いることで熱溶融性微粒子の水分散物を安定化でき、かつ故障がない均一な塗布物を得ることができる。
【0146】
また、熱溶融性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0147】
画像形成層中での熱溶融性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
【0148】
(熱融着性粒子)
熱融着性粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
【0149】
熱可塑性疎水性高分子重合体粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
【0150】
熱可塑性疎水性高分子重合体粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法または気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水または水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。
【0151】
また、熱溶融性粒子、熱融着性粒子は、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させてもよい。
【0152】
また、熱融着性粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は機上現像性、解像度の面から0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。
【0153】
また、熱融着性粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
【0154】
画像形成層中の熱融着性粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。
【0155】
(水溶性バインダー)
画像形成層に用いることができる水溶性バインダーとしては、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸あるいはその塩、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられる。その中でも印刷性能を劣化させないポリアクリル酸あるいはその塩又は多糖類を用いることが好ましい。
【0156】
画像形成層の乾燥塗布質量は好ましくは0.1〜1.5g/m2、より好ましくは0.15〜1.0g/m2である。
【0157】
(光熱変換素材)
本発明に係る画像形成層には、光熱変換素材を含有してもよい。
【0158】
光熱変換素材としては赤外吸収色素または顔料を用いることができる。
【0159】
(赤外吸収色素)
赤外吸収色素としては、一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。
【0160】
具体的には、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号、同7−43851号、同7−102179号、特開2001−117201の各公報等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0161】
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。
【0162】
カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
【0163】
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
【0164】
金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でもよい。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
【0165】
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。可視光域で黒色を呈している素材しては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。金属酸化物が二種以上の金属の酸化物からなる黒色複合金属酸化物であることである。具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは特開平8−27393号、同9−25126号、同9−237570号、同9−241529号、同10−231441号の各公報等に開示されている方法により製造することができる。本発明に用いることができる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり光熱変換効率が良好である。これらの複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。但し、添加量に対する光熱変換能は粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。従って、これらの複合金属酸化物粒子は層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると、分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。分散剤の種類は特に限定しないが、Si元素を含むSi系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0166】
素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材としては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。また、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
【0167】
これらの光熱変換素材の添加量としては、画像形成層に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、さらに1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより特に好ましい。
【0168】
本発明においては、画像形成用液滴が上記の活性光線硬化型インクである場合には、印刷版材料としては、上記の親水性表面を有する基材である印刷版材料または親水性表面を有する基材上にインク受容層を有する印刷版材料を用いることが特に好ましい。
【0169】
本発明の好ましい他の態様としては、画像形成用液滴が接着成分を含有する液滴である場合が挙げられる。
【0170】
画像形成用液滴が接着成分を含有する液滴である場合には、印刷版材料として親水性表面を有する基材上に親油性成分を含有する画像形成層を有する印刷版材料を用いることが好ましい。
【0171】
(接着成分を含有する液)
本発明においては、接着成分を含有する液を画像様に印刷版材料の画像形成層上に供給して画像を形成する。本発明に係る接着成分を含有する液は、画像形成層上に供給され、画像形成層に浸透する。
【0172】
接着成分とは、画像形成層に浸透した後、画像形成層と基材の親水層表面との接着力を高め、接着成分を含有する液が供給された画像形成層すなわち画像部を、機上現像で除去されないようにし得るものである。接着成分が基材表面と画像形成層との界面に存在することにより接着力を高めることができる。また画像形成層中の親油性成分と水溶性バインダーとの接着力も高めることにより、さらに機上現像で除去されにくくなる。
【0173】
接着成分としては、カゼイン、天然ラテックス、デンプン、ゼラチンなどの天然接着成分、アクリル酸およびその誘導体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合樹脂、ウレタン樹脂、末端に水酸基を持つポリオールとポリイソシアネートの混合物、エチレン・酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂プレポリマー、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、シアノアクリレート、シリコーン、スチレン・ブタジエンゴム共重合体、ニトロセルロース、フェノール樹脂、ブチラール樹脂などが挙げられるが、この中で好ましくはウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂が用いられるが、さらに好ましくはポリエステル樹脂、ブチラール樹脂が耐刷面の観点から好ましく、特にブチラール樹脂が好ましい。
【0174】
接着成分の液全体に対する含有量としては、0.5〜80質量%が好ましく、更に好ましくは2〜50質量%であり、特に2〜25質量%が好ましい。
【0175】
接着成分を含有する液の溶媒としては、接着成分が溶解する各種溶媒を用いることが好ましい。溶媒の具体例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル)、環状エステル類(例えば、プロピレンカーボネート、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α−メチル−β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタノラクトン)、がある。
【0176】
上記溶媒は、画像形成層上に供給された後、揮発などにより画像形成層から除去されるものが好ましく、例えば、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとジエチレングリコールジエチルエーテルの混合溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテルとプロピレンカーボネートの混合溶媒、などが好ましく用いられる。
【0177】
該溶媒の液全体に対する含有量としては、20〜99質量%が好ましく、更に好ましくは50〜98質量%である。
【0178】
本発明において、接着成分を含有する液の液滴が、インクジェット記録方式による液滴である態様が好ましい態様である。
【0179】
以下、接着成分を含有する液が、インクジェット記録方式に用いられるインクジェットインクである場合について説明する。
【0180】
インクジェット記録方式により画像様に接着成分を含有する液を供給する場合、接着成分を含有する液の好ましい粘度としては、25℃において2〜100mPa・sであり、更に好ましくは、4〜80mPa・sである。
【0181】
また、インクジェット記録方式により画像様に液供給する場合、接着成分を含有する液には色剤を含むことが可視画性の面から好ましく、色剤として公知の各種顔料又は染料を用いることができる。
【0182】
(顔料)
顔料としては、従来公知の有機及び無機の有色顔料が好ましく使用でき、有色顔料としては、例えばアゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。本発明においては、可視画性の面から特にカーボンブラックが好ましい。
【0183】
(分散剤)
顔料をインクジェットインク中に安定に分散するためには、水溶性高分子分散剤として、下記の水溶性樹脂を用いることが好ましい。
【0184】
水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
【0185】
水溶性樹脂のインク全量に対する含有量としては、0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは、0.3〜5質量%である。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
【0186】
インクジェットインクに使用する顔料分散体の平均粒径は、インクの保存安定性の面から500nm以下が好ましく200nm以下がより好ましく、10nm以上、200nm以下であることがより好ましく、10nm以上、150nm以下が特に好ましい。
【0187】
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
【0188】
(染料)
染料としては、特に制限はなく、酸性染料、直接染料、反応性染料等の水溶性染料、分散染料等が挙げらる。
【0189】
(水溶性染料)
水溶性染料としては、例えば、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料等を挙げることができる。
【0190】
(界面活性剤)
インクジェットインクは界面活性剤を含んでもよく、界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0191】
(各種添加剤)
インクジェットインクは、その他に従来公知の添加剤を含有することができる。例えば蛍光増白剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、防錆剤料等である。
【0192】
(インクジェット記録方式による画像を形成する方法)
インクジェット記録方式による液滴を用いる画像形成方法においては、まずインクジェットインクをインクジェット記録方式用プリンタの、インク吐出ノズルを有するプリンタヘッドに供給し、このプリンタヘッドのインク吐出ノズルから画像様に、印刷版材料上にに吐出する。その後、吐出した液滴の乾燥のために、紫外線、赤外線、などによる活性光線の照射処理、あるいは加熱処理などを行うことが好ましい。
【0193】
インクジェットインクは、25℃での粘度を、吐出の安定性の面から4〜80mPa・sに調整することが好ましい。インクジェットインクは、ピエゾヘッドにおいては、10μS/cm以下の電導度とし、ヘッド内部での電気的な腐食のないインクとすることが好ましい。また、コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には、0.5mS/cm以上の電導度に調整することが好ましい。
【0194】
本発明において、接着成分を含有する液滴を供給する場合には、上記のようにノズルから画像様に画像形成層表面に吐出した後、一旦乾燥などの処理を施してもよいが、乾燥する前に連続して複数回液滴の供給を行い、複数回供給した後、乾燥などの処理を行うことが好ましい。
【0195】
画像様に供給する回数としては、2回〜8回が好ましく、2回〜4回が特に好ましい。
【0196】
インクの供給方法としては、1回供給した後、再度同じ画像に基づき供給しこれを繰り返す、バッチ処理による方法、液滴を吐出時に細分化し、同じ場所に細分化された液滴を連続的に供給方法、複数組のインクヘッドを準備し、連続的に異なるヘッドから画像の同じ部分に供給する方法などがあるが、液滴を吐出時に細分化し、同じ場所に細分化された液滴を連続的に供給方法が好ましく用いられる。
【0197】
(印刷版の作製方法)
本発明の印刷版の作製方法においては、必要に応じ、印刷機上現像が行われ、印刷版が作製される。即ち、印刷版材料が親水性表面に有する基材上にインク受容層を有する印刷版材料である場合、印刷版材料が親水性表面に有する基材上に親油性成分を含有する画像形成層を有する印刷版材料である場合には、印刷機上で現像が行われ印刷版が作製される。
【0198】
本発明の印刷版の作製方法に用いられる印刷機としては、一般的な平版印刷機が用いられる。平版印刷機は、湿し水供給装置および印刷インキ供給装置を有している。
【0199】
本発明に係る印刷機上での現像は、湿し水、または湿し水および印刷インキを画像が形成された印刷版材料上に供給することにより行われる。
【0200】
画像形成された印刷版材料をそのまま印刷機の版胴に取り付けるか、あるいは印刷版材料を印刷機の版胴に取り付けた後に画像形成を行い、版胴を回転させながら水供給ローラー及び/またはインク供給ローラーを印刷版材料に接触させることで画像形成層の非画像部を除去することが可能である。
【0201】
本発明に係る印刷機上での現像は、PS版を使用した通常の印刷シークエンスで行うことができるものであり、いわゆる機上現像処理によりなされる工程であることが好ましい態様である。
【0202】
本発明の印刷版の作製方法に用いられる製版装置は、インクジェット記録装置および平版印刷機が直列に配置された装置、または平版印刷機にインクジェット記録装置を装着した装置である。
【0203】
平版印刷機にインクジェット記録装置を装着した装置は、平版印刷機に印刷版材料を取り付け、印刷機上で画像形成を行うことができ、画像形成後直ちに印刷をすることが可能である。上記のインクジェット記録装置または平版印刷機は、画像形成後、インクジェットインクを乾燥するための乾燥装置を有することが好ましい。
【0204】
(インキ)
本発明に用いることができる印刷インキとしては、平版印刷に使用できるインキであればいずれのインキでも良いが、具体的には、ロジン変性フェノール樹脂と植物油(アマニ油、桐油、大豆油等)、石油系溶剤、顔料、酸化重合触媒(コバルト、マンガン、鉛、鉄、亜鉛等)等の成分よりなる油性インキ、及びアクリル系オリゴマー、アクリルモノマー、光重合開始剤、顔料等の成分よりなる紫外線硬化型のUVインキ、さらに、油性インキの性質とUVインキの性質を併せ持つハイブリッドインキが挙げられる。
【0205】
(湿し水)
湿し水としては、平版印刷に用いられる一般的な湿し水を用いることができる。
【0206】
湿し水は、アルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物などの水溶性有機溶剤、pH調整剤、濡れ性向上のための助剤、水溶性高分子化合物、キレート化剤、防腐剤などを用いることが好ましい。
【実施例】
【0207】
(画像形成用液(インク)の調製)
<インクジェットインク1(活性光線硬化型インクジェットインク)の調製>
《顔料分散体の作製》
[顔料分散体−1の作製]
下記の各化合物をステンレスビーカーに入れ、50℃のホットプレート上で加熱しながら1時間加熱攪拌して溶解した。
【0208】
Solsperse24000GR(アビシア社製、高分子分散剤、アミン価35.9mg/gKOH) 5部
OXT221(東亞合成社製 オキセタン化合物) 84.2部
次いで、上記溶液を室温まで冷却した後、これに以下の顔料を加えて、直径0.5mmのジルコニアビーズ100gと共にポリプロピレン容器に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて6時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去して顔料分散体−1を作製した
C.I.Pigment Yellow 120 10部
ベンズイミダゾロン誘導体SY−1 0.8部
上記作製した各顔料分散体に、下記の成分を下記の割合で混合して、これを1.0μmメンブランフィルターでろ過して、インクを調製した。
【0209】
顔料分散体−1 30.0部
OXT212(東亞合成社製 オキセタン化合物) 40.0部
1,2:8,9ジエポキシリモネン 27.0部
光酸発生剤(SP−152:トリフェニルスルホニウム塩(「アデカオプトマーSP−152」旭電化社製)) 0.5部
界面活性剤(F475:メガファックスF475パーフルオロアルキル基含有アクリルオリゴマー(大日本インキ化学工業社製)) 0.02部
<インクジェットインク2(接着成分を含有するインクの調整)の調整>
下記成分を含有する液を攪拌混合した後、濾過して接着成分を含有するインクを調製した。
【0210】
接着成分:ブチラール樹脂(エスレックBL−5Z(積水化学社製)) 5部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 45部
ジエチレングリコールジエチルエーテル 50部
カーボンブラック粉体(MA−7(三菱化学社製)) 0.1部
(印刷版材料の作製)
<印刷版材料1(親水性表面を有する基材)の作製>
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。
【0211】
この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。
【0212】
次いで、このアルミニウム板を、1.5%塩酸水溶液中で60A/dm2の電解解条件で25℃30秒間電解粗面化を行った。
【0213】
その後50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中で50℃40秒間デスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、30%硫酸溶液中で、25℃、電流密度30A/dm2、電圧25Vの条件下に30秒間陽極酸化処理を行った。
【0214】
次いで0.1%酢酸アンモニウム水溶液にて85℃120秒間封孔処理を行った。
【0215】
上記支持体を、0.44%のポリビニルホスホン酸水溶液に、75℃、30秒間ディップ処理を行い、次いで蒸留水で水洗し、25℃の冷風で乾燥し、印刷版材料1を得た。
【0216】
<印刷版材料2(画像形成層を有する印刷版材料)の作製>
《ポリエチレンテレフタレート支持体の作製》
(支持体1の作製)
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。
【0217】
これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定後の平均膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作製した。
【0218】
これを、延伸温度は前段延伸が102℃で1.3倍に、後段延伸は110℃で2.6倍に縦延伸した。
【0219】
次いで、テンターで120℃で4.5倍に横延伸した。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩和した。
【0220】
この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナーリング加工を行い、40℃に冷却後47.1N/mで巻き取った。
【0221】
このようにして厚さ190μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを得た。この二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は79℃であった。得られたポリエチレンテレフタレートフィルムの幅(製膜幅)は2.5mであった。
【0222】
得られた支持体1の厚み分布は3%であった。
【0223】
《下引き済み基材の作製》
上記で得られた支持体1のフィルムの一方の面に0.05kV・A・min/m2の条件でコロナ放電処理を施し、該一方の面に、下記《下引き塗布液c−1》を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設し、140℃で乾燥し、続いて下記《下引き塗布液d−1》を乾燥膜厚0.2μmになるように塗設した後140℃で乾燥した(下引き面B)。
【0224】
《下引き塗布液c−1;導電性化合物を含有》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート(20/40/40)の共重合ポリマーラテックス(固形分30質量%) 16.0g
スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシメチルメタクリレート(25/45/30)の共重合ポリマーラテックス(固形分30質量%) 4.0g
SnO2ゾル(固形分10質量%) 9.1g
(特開平10−059720号実施例1記載の方法で合成)
アニオン系界面活性剤S−1 0.5g
以上に蒸留水をくわえて1000mlとし塗布液とした。
【0225】
《下引き塗布液d−1》
変性ポリエステルA(下記参照、固形分18質量%) 215.0g
アニオン系界面活性剤S−1 0.4g
真球状シリカ シーホスターKE−P50(日本触媒(株)製) 0.3g
以上に蒸留水をくわえて1000mlとし、固形分濃度0.5質量%の塗布液とした。
【0226】
(変性ポリエステルA)
水溶性コポリエステル成分/アクリル成分(80/20)の水分散物
水溶性コポリエステル成分は、テレフタル酸/イソフタル酸/シクロヘキサンジカルボン酸/5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩(40/38/14/8)とエチレングリコールの混合成分
アクリル成分は、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/グリシジルメタクリレート(53/37/10)の共重合ポリマーラテックス
続いて、反対側の面に0.05kV・A・min/m2の条件でコロナ放電処理を施し、下記《下引き塗布液a》を乾燥膜厚0.25μmになるように塗設し、続いて下記《下引き塗布液b液》を乾燥膜厚0.06μmになるように塗設した後140℃で乾燥した(下引き面A)。
【0227】
これらを125℃で2分間熱処理し、下引き済み基材試料を作製した
《下引き塗布液a》
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート(20/40/40)の共重合ポリマーラテックス(固形分30質量%) 56.3g
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート(59.7/39.8/0.5)の共重合ポリマーラテックス(固形分30質量%) 210g
アニオン系界面活性剤S−1(2%水溶液) 30g
以上に蒸留水をくわえて1000mlとし下引き塗布液aとした。
【0228】
《下引き塗布液b》
変性ポリエステルB(下記参照、固形分21.7質量%) 31g
アニオン系界面活性剤S−1 5.7g
真球状シリカマット剤 シーホスターKE−P50(日本触媒(株)製)
1.9g
エチレン共重合ポリビニルアルコール(クラレ株式会社製RS2117)(固形分5質量%)にF−1を250ppm添加した水溶液 57.7g
硬膜剤H−1(固形分0.5質量%水溶液) 50g
以上に蒸留水をくわえて1000mlとし下引き塗布液bとした。
【0229】
(変性ポリエステルB)
水溶性コポリエステル成分/アクリル成分(64/36)の水分散物
水溶性コポリエステル成分は、テレフタル酸/イソフタル酸/シクロヘキサンジカルボン酸/5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩(40/38/14/8)とエチレングリコールの混合成分
アクリル成分は、スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート(39.5/40/20/0.5)の共重合ポリマーラテックス
【0230】
【化1】

【0231】
《下引き済み支持体の熱処理》
1.25m幅にスリットした後の下引き済み基材に対し、張力2hPaで180℃、1分間の低張力熱処理を実施した。
【0232】
《印刷版材料の作製》
親水性層を塗設する直前に、下引き済み基材に対し、100℃で30秒間熱処理を加えて乾燥させ、防湿シートでカバーをして空気中の湿度が入らないようにした。
【0233】
支持体の一部をサンプリングして水分率測定をしたところ、0.2質量%であった。シートを除去後、すぐに親水性層の塗布を行った。
【0234】
表1に示す親水性層1用塗布液(調製方法は下記に示す)及び表2に示す親水性層2用塗布液(調製方法は下記に示す)を用いて、下引き済み支体の下引き面Aの上にワイヤーバーを用いて塗布した。
【0235】
それぞれ、下引き済み基材上に親水性層1、親水性層2の順番でワイヤーバーを用いて塗布し、120℃で3分間乾燥した後に60℃で48時間の加熱処理を施した。
【0236】
その後、表3に示す画像形成機能層塗布液(調製方法は下記に示す)を、ワイヤーバーを用いて塗布し、表4に示す裏塗り最外層用塗布液(調製方法は下記に示す)を用いて、下引き済み基材の下引き面Bの上にワイヤーバーを用いて塗布し、50℃で3分間乾燥した。
【0237】
その後に各印刷版材料を50℃で48時間のシーズニング処理を施した。
【0238】
〔親水性層1用塗布液の調製〕
表1に記載の各素材をホモジナイザーを用いて十分に攪拌混合した後、表1に記載の組成で混合、濾過し、純水で希釈、分散して親水性層1用塗布液を調製した。
【0239】
なお、各素材の詳細は表1に記載の通りであり、表中の数値は1m2あたりの固形分量の質量を表す。
【0240】
【表1】

【0241】
〔親水性層2用塗布液の調製〕
表2に記載の各素材をホモジナイザーを用いて十分に攪拌混合した後、表2に記載の組成で混合、濾過し、純水で希釈、分散して親水性層2用塗布液を調製した。
【0242】
なお、各素材の詳細は表2に記載の通りであり、表中の数値は1m2あたりの固形分量の質量を表す。
【0243】
【表2】

【0244】
〔画像形成機能層塗布液の調製〕
表3に画像形成機能層塗布液の素材の詳細を示す。純水で希釈、分散して画像形成機能層塗布液を調製した。
【0245】
表中の数値は1m2あたりの固形分量の質量を表す。
【0246】
【表3】

【0247】
【化2】

【0248】
〔裏塗り最外層用塗布液の調製〕
表4に記載の各素材を、ホモジナイザーを用いて十分に攪拌混合した後、表4に記載の組成で混合、濾過し、純水で希釈、分散して裏塗り最外層用塗布液を調製した。
【0249】
なお、各素材の詳細は表4に記載の通りであり、表中の数値は1m2あたりの固形分量の質量を表す。
【0250】
【表4】

【0251】
実施例1
(印刷版1の作製)
ピエゾ型インクジェットノズルを備えた、キャリッジ方式のインクジェット記録装置に、上記調製したインクジェットインク1を装填し、印刷版材料1上へ、画像様に供給し、画像を形成した(画像は、1〜99%の網点画像を含む画像を使用した)。ピエゾヘッドは1400dpi(dpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す)の解像度で吐出できるよう駆動して、インクを連続吐出した。
【0252】
印刷版材料1上へ着弾したインクジェットインク1を、ランプユニットにより硬化させて、印刷版1を得た。ランプユニットは、高圧水銀ランプVZero085(INTEGRATION TECHNOLOGY社製、ピーク波長:254nm、最高照度:400mW/cm2)を用いた。
【0253】
(印刷版2の作製)
上記印刷版1上に、印刷版1の作製における画像と同じ画像を、印刷版1上の画像と重なるように形成した。即ち、印刷版1の硬化された画像上に再度インクジェットインク1が供給され、このインクが硬化された。
【0254】
(印刷版3の作製)
上記印刷版2上に、印刷版1の作製における画像と同じ画像を、印刷版2上の画像と重なるように形成した。即ち、印刷版2の硬化された画像上に再度インクジェットインク1が供給され、このインクが硬化された。
【0255】
(印刷版4の作製)
印刷版1の作製において、同じ画像に対して、単に一回のインク吐出量を3倍にして画像を形成した他は、印刷版1の作製と同様にして印刷版4を作製した。
【0256】
(耐刷性の評価)
印刷版1、2、3、4を用い、印刷機として、三菱重工業社製DAIYA1F−1を用いて、コート紙、湿し水(アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%)、インキ(東洋インキ社製TKハイユニティMZ紅)を使用して印刷を行なった。
【0257】
3%網点が半分以上欠落するまでに印刷した印刷枚数を測定し、耐刷性を示す指標とした。印刷枚数が多いほど高耐刷性であることを表す。結果を表5に示す。
【0258】
表5から、本発明の印刷版の作製方法により作製された印刷版は、解像度を維持して、耐刷性に優れることが分かる。
【0259】
【表5】

【0260】
1回に吐出する液滴量を変化させることができるように調整した上記インクジェット記録装置に、上記のように調製したインクジェットインク2を充填し、印刷版材料2上にインクジェットインク2を画像様に供給し、50℃で5秒間乾燥を行った。
【0261】
複数回吐出させて、一定の解像度(網点面積として同じになる)となるように、一回の吐出量を調整した。同一の解像度となる画像を、一回の吐出量および吐出回数が異なる方法で、各々作製した。乾燥は、複数回吐出した後に行った。
【0262】
即ち画像の同一の点を、一回の吐出で画像形成したもの、複数回同じ点に吐出して画像形成したものを各々作製した(印刷版材料2−1〜2−7)。
【0263】
解像度、一回の吐出量、吐出回数、一つの点に供給した総インク量を表6に示す。
【0264】
(耐刷性の評価)
上記印刷機を用い、上記のように画像形成した印刷版材料をそのまま版胴に取り付け、PS版と同様の印刷条件および刷り出しシークエンスを用いて印刷を行なった。即ち、印刷機上で現像を行い印刷版を作製し、引き続いて印刷を行った。印刷物を観察して、網点形状を評価し、網点の中央部に画像欠陥(インキ着肉していない部分)がみられた時点の印刷枚数を測定し、耐刷性の指標とした。結果を表6に示す。
【0265】
表6から、本発明の作製方法により作製された印刷版は、耐刷性に優れることが分かる。
【0266】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷版材料上に画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程を有する印刷版の作製方法において、該画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程が複数あることを特徴とする印刷版の作製方法。
【請求項2】
前記画像形成用液滴が活性光線硬化型インクの液滴であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版の作製方法。
【請求項3】
前記印刷版材料が親水性表面を有する基材であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版の作製方法。
【請求項4】
前記印刷版材料が親水性表面を有する基材上にインク受容層を有する印刷版材料であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷版の作製方法。
【請求項5】
前記印刷版材料が親水性表面を有する基材上に親油性成分を含有する画像形成層を有する印刷版材料であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版の作製方法。
【請求項6】
前記画像形成用液滴が活性光線硬化型インクの液滴または接着成分を含有する液の液滴であることを特徴とする請求項5に記載の印刷版の作製方法。
【請求項7】
前記画像形成用液滴がインクジェット記録方式による液滴であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷版の作製方法。
【請求項8】
前記画像形成用液滴を画像様に供給して画像を形成する工程の後に、画像を有する印刷版材料を印刷機上で現像し印刷版を作製することを特徴とする請求項1に記載の印刷版の作製方法。
【請求項9】
請求項7に記載の印刷版の作製方法に用いられることを特徴とするインクジェット記録装置。

【公開番号】特開2008−73909(P2008−73909A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254138(P2006−254138)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】