印刷装置、プログラムおよび印刷方法
【課題】印刷が停止した場合であっても印刷停止状態のまま放置されてしまう事態を回避し、印刷の信頼性を上げるとともに、省エネルギー化を図る。
【解決手段】印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡する。また、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する。
【解決手段】印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡する。また、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、プログラムおよび印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、インターネット網を経由して印刷を行うインターネットプリントシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年においては、図22に示すように、複数の企業や事業所のイントラネット200,300を、インターネット網400を介して相互接続したエクストラネットも利用されつつある。図22に示すようなエクストラネットによれば、一方のイントラネット200上のサーバなどのホストコンピュータから他方のイントラネット300上のプリンタに対して印刷処理を実行することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−271347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなインターネットプリントシステムや図22に示すようなエクストラネットにおいては、印刷の途中でプリンタにオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が生じて印刷が停止した場合であっても、ホストコンピュータ側ではプリンタ側の状況を把握することができず、印刷停止状態のまま放置されてしまう事態が生じるという問題がある。
【0006】
また、プリントシステムにおいては、省エネルギー化を図ることも望まれている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷が停止した場合であっても印刷停止状態のまま放置されてしまう事態を回避し、印刷の信頼性を上げることができるとともに、省エネルギー化を図ることができる印刷装置、プログラムおよび印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の印刷装置は、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置において、前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、を備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置を制御するコンピュータを、前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
また、本発明の印刷方法は、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置における印刷方法であって、前記印刷装置は、制御部と記憶部を備え、前記制御部において実行される、前記セッション成立手段は、ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるステップと、印刷処理手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡するステップと、ジョブ同期手段が、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つステップと、省エネルギー化手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示するステップと、エンジン制御手段が、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡することにより、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態が発生した場合であっても、代替の印刷装置が継続して印刷を引き継ぐことで、障害が発生しても印刷が止まることがなくなるので、確実に印刷することができるようになり、印刷の信頼性を上げることができるとともに、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示することにより、印刷権を有していない印刷装置の消費電力を低減することができるので、システム全体の省エネルギー化を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、プログラムおよび印刷方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図21に基づいて説明する。本実施の形態は印刷装置としてレーザプリンタやMFP(Multi Function Peripheral)を適用した例である。
【0014】
[1.システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の一形態にかかるネットプリントシステム100のシステム構築例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態のネットプリントシステム100は、複数の企業や事業所のイントラネットA,B、すなわちインターネット技術をベースにした社内ネットワークであるイントラネットA,Bを、インターネット網150を介して相互接続したエクストラネットを想定する。
【0015】
図1に示すように、例えばコンビニエンスストア本社内のイントラネットAは、各種のサーバコンピュータ(以下、サーバという)1にLAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介してコンピュータやプリンタなどのクライアント3が複数台接続されたサーバクライアントシステムを想定する。このようなイントラネットAにおいては、インターネット網150と、WWW(World Wide Web)サーバなどの公開サーバ4を除く社内ネットワーク5との境界にファイアウォール6が設けられている。このファイアウォール6は、社内ネットワーク5とインターネット網150との間で出入りするパケットを監視し、決められたルールに従って、その通過を許可したり、阻止(廃棄)したりすることにより、社内ネットワーク5内のセキュリティを確保する。
【0016】
一方、例えばフランチャイズ店舗内のイントラネットBも、各種のサーバ1にLAN等のネットワーク2を介してコンピュータやプリンタなどのクライアント3が複数台接続されたサーバクライアントシステムを想定する。このようなイントラネットBにおいても、インターネット網150と、公開サーバ4を除く社内ネットワーク5との境界にファイアウォール6が設けられている。
【0017】
なお、イントラネットA,Bのネットワーク接続としては、インターネット網150に限るものではなく、専用の通信回線を用いて各イントラネットA,Bを接続するようにしても良い。
【0018】
また、ネットワーク2は有線通信に限るものではなく、無線通信(赤外線や電波等)であっても良い。また、光ファイバを用いたものであっても良い。
【0019】
図2に示すように、上述したようなネットプリントシステム100は、例えばコンビニエンスストア本社のイントラネットAが備えるサーバ1の一つである印刷サーバ11から、フランチャイズ店舗のイントラネットBが備えるクライアント3の一つであるプリンタ31に対して販促資料等の印刷処理をダイレクトに実行することができる。なお、図2に示すように、イントラネットBにおいては、同機能を有する複数のプリンタ31を備えている。
【0020】
[2.印刷サーバの構成]
まず、イントラネットAが備える印刷サーバ11(サーバ1)について説明する。図3は、印刷サーバ11の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷サーバ11は、この印刷サーバ11の動作制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)41を備えている。このCPU41には、CPU41が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するためのROM(Read Only Memory)42と、CPU41のワークエリア等を構成するためのRAM(Random Access Memory)43とが内部バス56を介して接続されている。
【0021】
さらに、CPU41には、キャラクタジェネレータ44、時計回路45、ネットワーク伝送制御部47、磁気ディスク装置48、CD−ROM装置49、表示制御部42および入力制御部55が、内部バス56を介して接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこの内部バス56を介して行われる。
【0022】
キャラクタジェネレータ44は、図形文字の表示データを発生するためのものである。時計回路45は、現在日時情報を出力するためのものである。
【0023】
ネットワークインタフェース回路46は、この印刷サーバ11をLANであるネットワーク2に接続するためのものであり、ネットワーク伝送制御部47は、ネットワーク2を介して、他のサーバ1やクライアント3との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。例えば、ネットワークインタフェース回路46は、ネットワーク2およびインターネット網150を介して他のイントラネット(ここでは、イントラネットB)が備えるクライアント3の一つであるプリンタ31を接続し、プリンタ31へ印刷データ等を送信したり、プリンタ31より印刷処理状態等を受信したりする等の動作を行う。
【0024】
磁気ディスク装置48は、OS(Operating System)、OS上で走る種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画情報データなどの種々のデータを記憶するためのものである。本実施の形態においては、アプリケーションプログラムとして、印刷データ送信プログラムなどが記憶されている。CD−ROM装置49は、交換可能な記録媒体であるCD−ROM50に記憶されているデータ(種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画情報データなどの種々のデータ)を読み込むためのものである。
【0025】
このような印刷サーバ11では、ユーザが電源を投入するとCPU41がROM42内のローダーというプログラムを起動させ、磁気ディスク装置48よりOSをRAM43に読み込み、このOSを起動させる。このようなOSは、ユーザの操作に応じてアプリケーションプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。なお、記録媒体はCD−ROM50に限るものではなく、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、CD−RW、DVD、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体であれば良い。この場合、CD−ROM装置49を記憶媒体のデータを読み込み可能なものに変更することはいうまでもない。また、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0026】
なお、一般的には、印刷サーバ11の磁気ディスク装置48にインストールされるアプリケーションプログラムは、CD−ROM50などの記憶媒体に記録され、この記憶媒体に記録されたアプリケーションプログラムが磁気ディスク装置48にインストールされる。このため、CD−ROM50等の可搬性を有する記憶媒体も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワークインタフェース回路46を介して外部から取り込まれ、磁気ディスク装置48にインストールされても良い。
【0027】
CRTなどの表示装置51は、この印刷サーバ11を操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部52は、表示装置51の表示内容を制御するためのものである。
【0028】
キーボード装置53は、この印刷サーバ11に対する各種の指示を種々のキー操作により行わせるためのものであり、画面指示装置54は、表示装置51の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのもの(例えば、マウス等のポインティングデバイス)であり、入力制御部55は、キーボード装置53および画面指示装置54の入力情報を取り込む等するためのものである。
【0029】
また、印刷文書情報は、この印刷サーバ11で適宜なアプリケーションプログラムが起動され、当該アプリケーションプログラムにより作成されて磁気ディスク装置58に保存されたり、CD−ROM50に保存されているものがCD−ROM装置49により読み出されて、印刷サーバ11に取り込まれたり、ネットワーク2およびインターネット網150を介して電子メール等で受信した情報から再構築されて印刷サーバ11に取り込まれたりすることで、印刷サーバ11に保存される。
【0030】
[3.プリンタの構成]
次に、イントラネットBが備える印刷装置であるプリンタ31(クライアント3)について説明する。図4は、プリンタ31の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、プリンタ31は、このプリンタ31の各部の制御処理および画像形成処理などの各種制御処理を行うプリンタコントローラ(マザーボード)61を備えている。このプリンタコントローラ61には、オペレーションパネル62、プリンタエンジン(印刷エンジン)63および磁気ディスク装置64が接続されている。
【0031】
プリンタコントローラ61は、その時設定されている制御モードおよび各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、イントラネットAの印刷サーバ11)からの制御コードに従って各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、イントラネットAの印刷サーバ11)からの印刷データを描画データに変換してプリンタエンジン63へ出力する制御機構の総称で次のようなモジュールで構成される。プリンタコントローラ61には、制御の主体となるCPU81、RAM82、このプリンタ31に固有な各種の情報を記憶するためのROM83、電源のON/OFFに関わらずデータを保持できる不揮発性メモリであるNV−RAM84、印刷の時に使用される数種の書体を保持しているメモリであるFont ROM85、エンジンI/F86、オペレーションパネル62を接続するパネルI/F87、磁気ディスク装置64を接続するディスクI/F88、ネットワークI/F89などで構成されている。
【0032】
RAM82は、CPU81のワーク領域、各イントラネットA,Bの各種サーバ1からのデータ受信バッファ、また処理後のイメージ展開領域に使用される。
【0033】
エンジンI/F86は、プリンタコントローラ61とプリンタエンジン63への制御信号とプリンタエンジン63からプリンタコントローラ61へのステータス信号を送受信するI/Fである。
【0034】
ネットワークI/F89は、ネットワーク2を介して各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、印刷サーバ11)からプリンタ31への制御信号およびデータとプリンタ31からのステータス信号を送受信するためのものである。
【0035】
オペレーションパネル62は、プリンタ31のステータス表示およびモード、印刷条件を変更することができるスイッチ部である。
【0036】
プリンタエンジン63は、電子写真プロセス方式によって画像を形成して記録用紙に記録出力するためのものであり、電子写真プロセス方式に従ったプロセスユニット63aと、定着部63bと、プロセスユニット63aおよび定着部63bを制御するエンジンボード63cとで構成されている。エンジンボード63cは、プリンタコントローラ61から送信された描画データと制御情報に基づいてプロセスユニット63aを制御することにより、感光体上に静電作像し、給紙部(図示せず)より給紙された転写紙に画像を形成する。また、エンジンボード63cは、定着部63bを発熱制御し、定着部63bを通過する転写紙に形成された画像を定着させる。
【0037】
磁気ディスク装置64は、種々の印刷文書情報を格納したり、それ以外の適宜な情報ファイル等を保存したりするためのものである。加えて、磁気ディスク装置64には、OS(Operating System)、OS上で走る種々のアプリケーションプログラムが記憶されている。本実施の形態においては、アプリケーションプログラムとして、印刷処理プログラムなどが記憶されている。
【0038】
このような構成のプリンタ31は、サーバ1などと同様に、ユーザが電源を投入すると磁気ディスク装置64よりOSをRAM82に読み込み、このOSを起動させる。このようにして起動したOSは、ユーザの操作に応じてアプリケーションプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。また、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションプログラムやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0039】
なお、一般的には、プリンタ31の磁気ディスク装置64にインストールされるアプリケーションプログラムは、CD−ROM(図示せず)などの記憶媒体に記録され、この記憶媒体に記録されたアプリケーションプログラムが磁気ディスク装置64にインストールされる。このため、CD−ROM等の可搬性を有する記憶媒体も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワークI/F89を介して外部から取り込まれ、磁気ディスク装置64にインストールされても良い。
【0040】
なお、本実施の形態のプリンタ31は、磁気ディスク装置64を備えるものとしたが、これに限るものではなく、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体にアプリケーションプログラムやOSなどを格納するようにしても良い。
【0041】
[4.プリンタ代替処理]
次に、印刷サーバ11のCPU41およびプリンタ31のCPU81が実行する各種の演算処理のうち、本実施の形態のネットプリントシステム100が発揮する特徴的な処理であるプリンタ代替処理について以下に説明する。
【0042】
ネットプリントシステム100においては、インターネット網150を介してイントラネットAのホスト装置である印刷サーバ11からイントラネットBのプリンタ31に印刷データが入力されると、イントラネットBのプリンタ31側で、入力された印刷データについての描画データがプリンタコントローラ61の制御情報に基づいて生成され、生成された描画データがプリンタコントローラ61からプリンタエンジン63に渡され、プリンタスタート命令がかかり印刷が開始されることになる。ここで、イントラネットBのプリンタ31において、印刷の途中にもかかわらず、印刷処理が実行されているプリンタ31にオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生することがある。そこで、本実施の形態のネットプリントシステム100においては、印刷処理が実行されているプリンタ31にオペレータ操作が必要な印刷不可状態が発生した場合には、印刷処理の対象を他のプリンタ31に切り替えることによって、印刷を継続することを可能にし、イントラネットBにおいて印刷停止状態にならないようにする、というプリンタ代替処理を実行するようにしたものである。
【0043】
印刷サーバ11は、アプリケーションプログラムとして、印刷データ送信プログラムを磁気ディスク装置48に記憶している。すなわち、印刷サーバ11は、OS上で動作する印刷データ送信プログラムが起動すると、この印刷データ送信プログラムに従い、CPU41が各部を制御してプリンタ代替処理の一部となる印刷データ送信処理を実行する。
【0044】
プリンタ31は、アプリケーションプログラムとして、印刷処理プログラムを磁気ディスク装置64に記憶している。すなわち、プリンタ31は、OS上で動作する印刷処理プログラムが起動すると、この印刷データ送信プログラムに従い、CPU81が各部を制御してプリンタ代替処理の一部となる印刷処理を実行する。
【0045】
ここで、図5はプリンタ31のプリンタ代替処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。図5に示すように、プリンタ31は、印刷サーバ11およびネットワーク接続された他のプリンタ31との間でセッションを成立させるセッション成立部(セッション成立手段)101と、印刷サーバ11から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該プリンタ31とセッションが成立している他のプリンタ31で保持する印刷ジョブの同期を保つジョブ同期部(ジョブ同期手段)102と、セッション成立部101によりセッションが成立している各プリンタ31の状態を取得する状態取得部(状態取得手段)103と、セッション成立部101によりセッションが成立している各プリンタ31についての省エネルギー化を図る省エネルギー化部(省エネルギー化手段)104と、プリンタエンジン63を制御するエンジン制御部(エンジン制御手段)105と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他のプリンタ31に譲渡する印刷処理部(印刷処理手段)106と、を備えている。
【0046】
次いで、セッション成立部101とジョブ同期部102と印刷処理部106とにより実現されるプリンタ代替処理の主要な処理について、シーン毎に具体的に説明する。
【0047】
図6は、プリンタ代替処理を含むネットプリント処理の処理手順を示すシーケンス図である。なお、図6においては、「メインプリンタ」となるプリンタ31a、「サブプリンタ1」となるプリンタ31b、「サブプリンタ2」となるプリンタ31cの3台がネットワーク接続されているイントラネットBを想定している。
【0048】
なお、「メインプリンタ」、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」は便宜上設定されたものであって、プリンタ31aとプリンタ31bとプリンタ31cとは、同じ実装のプリンタである。上位ホストである印刷サーバ11から印刷データがネットワークを通じて最初に入力されるプリンタ31をメインプリンタと呼び、メインプリンタよりも下位に位置するプリンタ31をサブプリンタと呼ぶ。
【0049】
また、「メインプリンタ」はホスト装置から一意に決定されるが、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」については固定的に決められるものであっても良いし、その順序が処理毎に変わるものであっても良い。例えば、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」のような順序については、プリンタの記憶部(ROM83、NV−RAM84、磁気ディスク装置64など)に、次にデータを送るプリンタのIPアドレスを記憶しておき、データ転送の際に記憶されたIPアドレスを参照することで実現可能である。
【0050】
まず、ネットプリント処理においては、セッション成立部101によって印刷サーバ11およびネットワーク接続された他のプリンタ31との間でセッションを成立した後、装置獲得処理が実行される。
【0051】
(1)メインプリンタは、印刷サーバ11から「装置獲得」コマンドを受信すると、プリンタの占有処理を行い、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「装置獲得」コマンドを送信する。この時、メインプリンタは排紙抑制を情報に指定する。この情報は、印刷処理を抑制する印刷抑制情報である。
【0052】
(2)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、プリンタの占有処理を行う。また、情報には排紙抑制することが指定されているので、サブプリンタはプリンタの排紙抑制を行う。サブプリンタはさらに下位(データ送信方向下位)のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位(データ送信方向上位)から受信した「装置獲得」コマンドを送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「装置獲得応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「装置獲得応答」コマンドを送信する。装置獲得応答には、プリンタのIPアドレスが含まれており、図7に示すように、上位プリンタは下位プリンタの応答情報(プリンタのIPアドレス)を順にマージして送信する。そして、メインプリンタはサブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「装置獲得応答」のコマンドを送信する。
【0053】
これにより、印刷サーバ11側では、全てのプリンタの情報がマージされた結果の情報を受け取ることになる。
【0054】
なお、プリンタから印刷サーバ11側への情報送信は、インターネット網150およびファイアウォール6を介して行うため、ルール付けによりその通過を許可するか、メールに添付するなどにより行うものとする。以下におけるプリンタから印刷サーバ11側への情報送信についても同様である。
【0055】
印刷サーバ11側では、各サブプリンタおよびメインプリンタの情報をマージしたプリンタ情報をログとして管理する。
【0056】
(3)メインプリンタは、印刷サーバ11から「JOB開始」コマンドを受信すると、JOB開始処理を行い、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「JOB開始」コマンドを送信する。この時、メインプリンタは取得したJOB IDを情報に追加する。
【0057】
(4)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、JOB開始処理を行うが、JOB IDの作成は行わず、メインプリンタから通知されたJOB IDを使用することで、プリンタ間のジョブ管理の同期をとる。サブプリンタはさらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位から受信した「JOB開始」コマンドを送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「JOB開始応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「JOB開始応答」コマンドを送信する。メインプリンタはサブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「JOB開始応答」コマンドを送信する。
【0058】
以上のようにネットプリント処理における装置獲得処理が終了すると、印刷処理が実行される。
【0059】
ここで、図8はプリンタ31のプリンタ代替処理におけるジョブ同期処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。図8に示すように、プリンタ31は、ジョブ同期処理にかかる機能構成として、排紙通知受信手段311と、NV−RAM84に形成されるジョブ管理テーブル312と、コマンド受信手段313とを備えている。
【0060】
排紙通知受信手段311は、プリンタエンジン63から印刷完了通知を受け取る。そして、ジョブ管理テーブル312を読み込み、JOB ID毎に印刷完了ページ数をカウントアップして、ジョブ管理テーブル312へ保存する。加えて、排紙通知受信手段311は、プリンタエンジン63から障害通知を受け取った場合には、障害通知にかかるエラーコードをジョブ管理テーブル312へ保存する。
【0061】
コマンド受信手段313は、印刷サーバ11(サーバ1)またはデータ送信方向上位に位置する上位プリンタ31から送信されるコマンド(データ送信/状態取得)を受信し、受信したコマンドをデータ送信方向下位に位置する下位プリンタ(サブプリンタ)31へ送信する。また、コマンド受信手段313は、下位プリンタ(サブプリンタ)31から状態取得コマンドに応じた応答情報を受け取ると、ジョブ管理テーブル312を読み込み、応答情報に含まれるページ情報(印刷完了ページ数を含んでいる)のマージ処理を行う。また、コマンド受信手段313は、下位プリンタ(サブプリンタ)31から受け取った状態取得コマンドに応じた応答情報中に、エラーコードがある場合または応答情報に障害情報がある場合には、障害情報のマージ処理を行う。そして、コマンド受信手段313は、ジョブ管理テーブル312内の応答情報を印刷サーバ11(サーバ1)または上位プリンタ31へ返す。
【0062】
このような機能構成の下に、通常時の印刷処理の処理手順について、図9に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0063】
(11)メインプリンタは、印刷サーバ11から「データ送信」コマンドを受信すると、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「データ送信」コマンドを送信する。
【0064】
(12)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、さらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、サブプリンタは上位から受信した「データ送信」コマンドを下位のサブプリンタに送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「データ送信応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「データ送信応答」コマンドを送信する。下位プリンタはその後、印刷データ処理を行う。メインプリンタは、サブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「データ送信応答」コマンドを送信した後、印刷データ処理を行う。
【0065】
(13)メインプリンタは、排紙毎にサブプリンタへ「ページ削除」コマンドを送信する。サブプリンタは「ページ削除」コマンドを受信し、さらに下位のサブプリンタがある場合、上位から受信した「ページ削除」コマンドを送信する。「ページ削除」コマンドを受信したサブプリンタは、印刷完了ページ数の同期を取り、印刷処理済みページの削除を行う。
【0066】
(14)メインプリンタは、印刷サーバ11から「状態取得」コマンドを受信すると、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「状態取得」コマンドを送信する。
【0067】
(15)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、さらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位のメインプリンタから受信した「状態取得」コマンドを下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)に送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「状態取得応答」コマンドを送信する。本実施の形態においては、図10に示すように、上位のプリンタは下位のプリンタからの応答情報をマージして、更に上位のプリンタ(最上位のプリンタであるメインプリンタは印刷サーバ)に対して送信する。
【0068】
[5.省エネルギー状態への移行処理]
次に、省エネルギー化部104による省エネルギー状態への移行処理について説明する。プリンタ31のプリンタコントローラ61は、図11に示すように、ネットワーク処理部111と、プリンタシステム制御部112と、プリンタエンジン63を制御するエンジン制御部105と、を備えている。
【0069】
ネットワーク処理部111は、ネットワークを通じて印刷データの送受信の制御を行う。ネットワーク処理部111で受信した印刷データは、一旦、プリンタシステム制御部112へ渡される。
【0070】
プリンタシステム制御部112は、省エネルギー状態への移行処理を行う省エネルギー化部104などを備えている。
【0071】
まず、プリンタ31内部の処理の流れを簡単に説明する。印刷サーバ11(サーバ1)またはデータ送信方向上位に位置する上位プリンタ31から送信された印刷ジョブデータは、ネットワークI/F89を通してプリンタコントローラ61に取り込まれる。
【0072】
データ取り込みはネットワーク処理部111で行なわれ、取り込まれたデータは受信バッファを介してプリンタシステム制御部112に渡される。プリンタシステム制御部112では受信データの解釈を行なっており、タイマーのカウンタチェックもここで行なっている。プリンタシステム制御部112の省エネルギー化部104は、ポーリング処理などによりタイマーをチェックし、省エネルギー状態移行時間に達していた場合には、エンジン制御部105を通して、プリンタエンジン63に省エネルギー状態移行の指示を出す。
【0073】
プリンタエンジン63は、プリンタシステム制御部112から省エネルギー状態移行の指示を受けると、省エネルギー状態へ移行する。
【0074】
次に、上述したようなプリンタ代替処理における省エネルギー状態移行のシーケンスを図12に従って説明する。
【0075】
まず、ホストマシンである印刷サーバ11(サーバ1)からメインプリンタ31に対し装置獲得コマンドが出される。
【0076】
メインプリンタ31に対し、下位機器であるサブプリンタ31が存在する場合、メインプリンタ31からサブプリンタ31へ同様に装置獲得コマンドが順に送信される。設定されている全ての機器が装置獲得されると、印刷ジョブが開始される。
【0077】
加えて、本実施の形態においては、装置獲得コマンドに続いて、メインプリンタ31から下位のサブプリンタ31に対して、省エネルギー状態移行コマンドを送信する。省エネルギー状態移行コマンドには、省エネルギー状態のレベル指定も付与されている。
【0078】
省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、省エネルギー化部104にて指定された省エネルギー状態のレベルをRAM82などに記憶し(記憶手段)、エンジン制御部105を介してプリンタエンジン63に対して指定されたレベルの省エネルギー状態への移行処理を行なう。なお、省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、省エネルギー状態移行コマンドを受けた時点でコピー等の動作中のためにすぐに状態移行できない場合には、移行可能状態になるまで待った後、省エネルギー状態への移行を行う。
【0079】
加えて、省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、さらに下位のサブプリンタ31に対して省エネルギー状態移行コマンドを順に送信して行く。これにより、メインプリンタ31以外の全てのプリンタ31が省エネルギー状態へ移行することになる。
【0080】
なお、上述のように省エネルギー状態に移行したプリンタ31のプリンタシステム制御部112は、メインプリンタ31から印刷データを受信しても印刷可能状態に戻らないように制御する。これにより、実際に画像出力を行なっているメインプリンタ31以外は、同じデータ受信と画像処理を行ないながら省エネルギー状態を保つことができる。
【0081】
ここで、図13は省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合の処理の流れを示すフローチャートである。図13に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを受信すると(ステップS1のYes)、省エネ監視モードに移行し(ステップS2)、プリンタエンジン63に対して指定された省エネルギー状態のレベルへの省エネルギー状態移行処理を実施する(ステップS3)。
【0082】
そして、下位に接続されたサブプリンタ31がある場合は(ステップS4のYes)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、指定されたレベルへの省エネルギー状態移行コマンドを送信して(ステップS5)、処理を終了する。
【0083】
次に、移行する省エネルギー状態のレベルをプリンタ31毎に変える場合の省エネルギー状態移行のシーケンスを図14に従って説明する。
【0084】
図14に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを上位のプリンタ31(もしくは印刷サーバ11(サーバ1))より受信すると、プリンタ31は自身のステータスを省エネルギー状態へ移行する処理を行うことは図12で示したシーケンスと同様だが、下位にサブプリンタ31が接続されている場合、プリンタ31自身が印刷権を持っているかどうか、すなわち印刷抑制の有無で処理が変わる。
【0085】
プリンタ31自身が印刷権を持っている場合、すなわち印刷抑制されていない場合、下位のサブプリンタ31に対しては、省エネレベル1への省エネ状態移行コマンドを送信する。一方、プリンタ31自身が印刷権を持っていない場合、すなわち印刷抑制されている場合、下位のサブプリンタ31に対しては、省エネレベル2への省エネルギー状態移行コマンドを送信する。
【0086】
ここで、プリンタ31の省エネルギー状態のレベル遷移について例示的に説明する。図15に示すように、プリンタ31の省エネルギー状態は、印刷可能状態(省エネレベル0)と、エンジン電力低下状態(省エネレベル1)と、エンジン停止状態(省エネレベル2)と、コントローラ停止状態と、の間を遷移することになる。
【0087】
印刷可能状態(省エネレベル0)からエンジン電力低下状態(省エネレベル1)への移行においては、省エネルギー化部104がプリンタエンジン63のエンジンボード63cに対して定着部63cの定着温度の低下を指示し、エンジンボード63cが定着部63cの定着温度を低下させることにより実現する。すなわち、エンジン電力低下状態(省エネレベル1)は、印刷の再開が早い最上位の省エネステータスであって、プリンタエンジン63に供給する電力を低下させる低電力モードである。
【0088】
エンジン電力低下状態(省エネレベル1)からエンジン停止状態(省エネレベル2)への移行においては、省エネルギー化部104がプリンタエンジン63のエンジンボード63cに対してプリンタエンジン63のプロセスユニット63aおよびエンジンボード63cの停止を指示し、プロセスユニット63aはもとより、エンジンボード63cも停止させることにより実現する。すなわち、エンジン停止状態(省エネレベル2)は、より電力を使用しない下位の省エネステータスであって、プリンタコントローラ61のみが稼動しているオフモードである。
【0089】
エンジン停止状態(省エネレベル2)からコントローラ停止状態への移行においては、図示しないメインコントローラが、プリンタコントローラ61のCPUや周辺チップ(いずれも図示せず)への電源・クロック供給を停止させることにより実現する。すなわち、コントローラ停止状態は、最も電力を使用しない最下位の省エネステータスである。
【0090】
このように次に印刷権が譲渡される可能性のあるプリンタ31はレベル1にすることで、上位のプリンタ31で印刷続行することができない不測の事態が起きても、すぐに下位のプリンタ31で印刷を継続することができる。
【0091】
なお、指定するレベルについては、省エネルギー状態でなくとも、通常ステータス(印刷待機中)であってもかまわない(すぐに印刷再開が可能)。また、さらに下位に存在するプリンタ31は印刷権の譲渡が当分先であるため、レベル2にすることで最も電力を使用しない状態にすることができる。このように省エネルギー状態のレベル分けを行うことで、電力消費と操作性向上の両面を向上させることができる。
【0092】
ここで、図16は省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合であってレベル制御する場合の処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを受信すると(ステップS11のYes)、省エネ監視モードに移行し(ステップS12)、下位のサブプリンタ31が存在するか否かを判断する(ステップS13)。
【0093】
下位に接続されたサブプリンタ31があり(ステップS13のYes)、自身が印刷権を持っている場合には(ステップS14のYes)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、レベル1への省エネルギー状態移行コマンドを送信する(ステップS15)。
【0094】
一方、下位に接続されたサブプリンタ31があり(ステップS13のYes)、自身が印刷権を持っていない場合には(ステップS14のNo)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、レベル2への省エネルギー状態移行コマンドを送信する(ステップS16)。
【0095】
次に、印刷を行なっていたメインプリンタ31においてオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生した場合の省エネルギー状態移行のシーケンスを図17ないし図19に従って説明する。
【0096】
図17または図18に示すように、印刷を行なっていたメインプリンタ31においてオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生したことにより印刷不可能状態となり(ステップS21)、下位にサブプリンタ31が存在する場合には(ステップS22のYes)、メインプリンタ31から下位のサブプリンタ31対して印刷抑制解除コマンドを送信して印刷権譲渡処理を行い(ステップS23)、印刷抑制を解除する。
【0097】
サブプリンタ31は、図19に示すように、印刷抑制解除コマンドを受け取ると(ステップS31)、まずは自身について省エネルギー状態を保持する制御を解除し、印刷可能状態へ復帰させる(ステップS32)。以降はこのサブプリンタ31が実際の画像出力を引き継いで実施する。加えて、サブプリンタ31は印刷を再開する前に、下位のサブプリンタ31が有る場合には(ステップS33のYes)、下位のサブプリンタ31に省エネレベル1への省エネルギー状態移行コマンドを送信し(ステップS34)、印刷処理を実行する(ステップS35)。これにより、省エネレベル2であった下位のサブプリンタ31を印刷の再開が早い省エネルギーのステータスへ移行させておくことで、サブプリンタ31に印刷不可能事象が発生しても、すぐに下位のサブプリンタ31で印刷再開できる。
【0098】
一方、画像出力を継続できなくなったメインプリンタ31は、下位のサブプリンタ31の印刷抑制を解除すると共に、自分が印刷抑制状態に移行し(ステップS24)、さらに省エネレベル2の省エネルギー状態へ移行する処理を実施する(ステップS25)。
【0099】
以上により、画像出力を行なっていたプリンタ31が何らかの理由により出力不可能状態になった場合でも、引き継いで画像出力を行なうサブプリンタ31以外は、省エネルギー状態を保つことができる。
【0100】
また、本実施の形態においては、プリンタ31は、状態取得部103によってプリンタ31のステータスを監視している。したがって、図20および図21に示すように、プリンタシステム制御部112は、プリンタ31がコピー等のユーザによる直接的な指示による動作で省エネルギー状態から通常状態に復帰したことにより、指定されている(記憶している)状態レベルと異なる状態に移行したと判断した場合であって(ステップS41のYes)、省エネルギー状態に移行可能になった場合に(ステップS42のYes)、指定されている(記憶している)レベルの省エネルギー状態へ移行させる(ステップS43)。
【0101】
このように本実施の形態によれば、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡することにより、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態が発生した場合であっても、代替の印刷装置が継続して印刷を引き継ぐことで、障害が発生しても印刷が止まることがなくなるので、確実に印刷することができるようになり、印刷の信頼性を上げることができるとともに、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示することにより、印刷権を有していない印刷装置の消費電力を低減することができるので、システム全体の省エネルギー化を図ることができる。
【0102】
なお、本実施の形態においては、省エネルギー状態移行コマンドをプロトコル上に専用のコマンドとして用意したが、下位のプリンタ31の印刷を抑制するタイミングで必ず送信されるコマンドに、省エネルギー状態移行の処理を追加して行なうようにしても良い。また、省エネルギー状態移行の処理を追加するコマンドは、省エネルギー状態に落ちてしまっては困るタイミングでは送信される事が無いコマンドでなければならない。したがって、装置獲得コマンドに省エネルギー状態移行処理を加えるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるネットプリントシステムのシステム構築例を示す模式図である。
【図2】ネットプリントシステムのシステム構築例を示す模式図である。
【図3】印刷サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】プリンタの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】プリンタのプリンタ代替処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。
【図6】プリンタ代替処理を含むネットプリント処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】応答情報を順にマージして送信する方式を示す模式図である。
【図8】プリンタ代替処理におけるジョブ同期処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。
【図9】通常時の印刷処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図10】応答情報のマージ処理を示す模式図である。
【図11】プリンタコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図12】プリンタ代替処理における省エネルギー状態移行のシーケンス図である。
【図13】省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】移行する省エネルギー状態のレベルをプリンタ毎に変える場合の省エネルギー状態移行を示すシーケンス図である。
【図15】省エネルギー状態のレベル遷移について例示的に示す模式図である。
【図16】省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合であってレベル制御する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】メインプリンタにおいてオペレータ操作が必要な印刷不可状態が発生した場合の省エネルギー状態移行を示すシーケンス図である。
【図18】メインプリンタ側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】サブプリンタ側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】省エネルギー状態の継続を示すシーケンス図である。
【図21】省エネルギー状態の継続処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】従来のエクストラネットのシステム構築例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0104】
11 ホスト装置
31 印刷装置
63 印刷エンジン
100 印刷システム
101 セッション成立手段
102 ジョブ同期手段
103 状態取得手段
104 省エネルギー化手段
105 エンジン制御手段
106 印刷処理手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、プログラムおよび印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、インターネット網を経由して印刷を行うインターネットプリントシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年においては、図22に示すように、複数の企業や事業所のイントラネット200,300を、インターネット網400を介して相互接続したエクストラネットも利用されつつある。図22に示すようなエクストラネットによれば、一方のイントラネット200上のサーバなどのホストコンピュータから他方のイントラネット300上のプリンタに対して印刷処理を実行することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2003−271347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているようなインターネットプリントシステムや図22に示すようなエクストラネットにおいては、印刷の途中でプリンタにオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が生じて印刷が停止した場合であっても、ホストコンピュータ側ではプリンタ側の状況を把握することができず、印刷停止状態のまま放置されてしまう事態が生じるという問題がある。
【0006】
また、プリントシステムにおいては、省エネルギー化を図ることも望まれている。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷が停止した場合であっても印刷停止状態のまま放置されてしまう事態を回避し、印刷の信頼性を上げることができるとともに、省エネルギー化を図ることができる印刷装置、プログラムおよび印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の印刷装置は、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置において、前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、を備える。
【0009】
また、本発明のプログラムは、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置を制御するコンピュータを、前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
また、本発明の印刷方法は、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置における印刷方法であって、前記印刷装置は、制御部と記憶部を備え、前記制御部において実行される、前記セッション成立手段は、ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるステップと、印刷処理手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡するステップと、ジョブ同期手段が、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つステップと、省エネルギー化手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示するステップと、エンジン制御手段が、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡することにより、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態が発生した場合であっても、代替の印刷装置が継続して印刷を引き継ぐことで、障害が発生しても印刷が止まることがなくなるので、確実に印刷することができるようになり、印刷の信頼性を上げることができるとともに、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示することにより、印刷権を有していない印刷装置の消費電力を低減することができるので、システム全体の省エネルギー化を図ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる印刷装置、プログラムおよび印刷方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明の実施の一形態を図1ないし図21に基づいて説明する。本実施の形態は印刷装置としてレーザプリンタやMFP(Multi Function Peripheral)を適用した例である。
【0014】
[1.システムの全体構成]
図1は、本発明の実施の一形態にかかるネットプリントシステム100のシステム構築例を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態のネットプリントシステム100は、複数の企業や事業所のイントラネットA,B、すなわちインターネット技術をベースにした社内ネットワークであるイントラネットA,Bを、インターネット網150を介して相互接続したエクストラネットを想定する。
【0015】
図1に示すように、例えばコンビニエンスストア本社内のイントラネットAは、各種のサーバコンピュータ(以下、サーバという)1にLAN(Local Area Network)等のネットワーク2を介してコンピュータやプリンタなどのクライアント3が複数台接続されたサーバクライアントシステムを想定する。このようなイントラネットAにおいては、インターネット網150と、WWW(World Wide Web)サーバなどの公開サーバ4を除く社内ネットワーク5との境界にファイアウォール6が設けられている。このファイアウォール6は、社内ネットワーク5とインターネット網150との間で出入りするパケットを監視し、決められたルールに従って、その通過を許可したり、阻止(廃棄)したりすることにより、社内ネットワーク5内のセキュリティを確保する。
【0016】
一方、例えばフランチャイズ店舗内のイントラネットBも、各種のサーバ1にLAN等のネットワーク2を介してコンピュータやプリンタなどのクライアント3が複数台接続されたサーバクライアントシステムを想定する。このようなイントラネットBにおいても、インターネット網150と、公開サーバ4を除く社内ネットワーク5との境界にファイアウォール6が設けられている。
【0017】
なお、イントラネットA,Bのネットワーク接続としては、インターネット網150に限るものではなく、専用の通信回線を用いて各イントラネットA,Bを接続するようにしても良い。
【0018】
また、ネットワーク2は有線通信に限るものではなく、無線通信(赤外線や電波等)であっても良い。また、光ファイバを用いたものであっても良い。
【0019】
図2に示すように、上述したようなネットプリントシステム100は、例えばコンビニエンスストア本社のイントラネットAが備えるサーバ1の一つである印刷サーバ11から、フランチャイズ店舗のイントラネットBが備えるクライアント3の一つであるプリンタ31に対して販促資料等の印刷処理をダイレクトに実行することができる。なお、図2に示すように、イントラネットBにおいては、同機能を有する複数のプリンタ31を備えている。
【0020】
[2.印刷サーバの構成]
まず、イントラネットAが備える印刷サーバ11(サーバ1)について説明する。図3は、印刷サーバ11の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、印刷サーバ11は、この印刷サーバ11の動作制御を行うCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)41を備えている。このCPU41には、CPU41が起動時に実行するプログラムや必要なデータ等を記憶するためのROM(Read Only Memory)42と、CPU41のワークエリア等を構成するためのRAM(Random Access Memory)43とが内部バス56を介して接続されている。
【0021】
さらに、CPU41には、キャラクタジェネレータ44、時計回路45、ネットワーク伝送制御部47、磁気ディスク装置48、CD−ROM装置49、表示制御部42および入力制御部55が、内部バス56を介して接続されており、これらの各要素間のデータのやりとりは、主としてこの内部バス56を介して行われる。
【0022】
キャラクタジェネレータ44は、図形文字の表示データを発生するためのものである。時計回路45は、現在日時情報を出力するためのものである。
【0023】
ネットワークインタフェース回路46は、この印刷サーバ11をLANであるネットワーク2に接続するためのものであり、ネットワーク伝送制御部47は、ネットワーク2を介して、他のサーバ1やクライアント3との間で種々のデータをやりとりするための各種所定のプロトコルスイートの通信制御処理を実行するためのものである。例えば、ネットワークインタフェース回路46は、ネットワーク2およびインターネット網150を介して他のイントラネット(ここでは、イントラネットB)が備えるクライアント3の一つであるプリンタ31を接続し、プリンタ31へ印刷データ等を送信したり、プリンタ31より印刷処理状態等を受信したりする等の動作を行う。
【0024】
磁気ディスク装置48は、OS(Operating System)、OS上で走る種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画情報データなどの種々のデータを記憶するためのものである。本実施の形態においては、アプリケーションプログラムとして、印刷データ送信プログラムなどが記憶されている。CD−ROM装置49は、交換可能な記録媒体であるCD−ROM50に記憶されているデータ(種々のアプリケーションプログラム、ワークデータ、ファイルデータ、画情報データなどの種々のデータ)を読み込むためのものである。
【0025】
このような印刷サーバ11では、ユーザが電源を投入するとCPU41がROM42内のローダーというプログラムを起動させ、磁気ディスク装置48よりOSをRAM43に読み込み、このOSを起動させる。このようなOSは、ユーザの操作に応じてアプリケーションプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。なお、記録媒体はCD−ROM50に限るものではなく、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、CD−RW、DVD、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体であれば良い。この場合、CD−ROM装置49を記憶媒体のデータを読み込み可能なものに変更することはいうまでもない。また、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションソフトやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0026】
なお、一般的には、印刷サーバ11の磁気ディスク装置48にインストールされるアプリケーションプログラムは、CD−ROM50などの記憶媒体に記録され、この記憶媒体に記録されたアプリケーションプログラムが磁気ディスク装置48にインストールされる。このため、CD−ROM50等の可搬性を有する記憶媒体も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワークインタフェース回路46を介して外部から取り込まれ、磁気ディスク装置48にインストールされても良い。
【0027】
CRTなどの表示装置51は、この印刷サーバ11を操作するための画面を表示するためのものであり、表示制御部52は、表示装置51の表示内容を制御するためのものである。
【0028】
キーボード装置53は、この印刷サーバ11に対する各種の指示を種々のキー操作により行わせるためのものであり、画面指示装置54は、表示装置51の任意の点を指示する等の操作作業を行うためのもの(例えば、マウス等のポインティングデバイス)であり、入力制御部55は、キーボード装置53および画面指示装置54の入力情報を取り込む等するためのものである。
【0029】
また、印刷文書情報は、この印刷サーバ11で適宜なアプリケーションプログラムが起動され、当該アプリケーションプログラムにより作成されて磁気ディスク装置58に保存されたり、CD−ROM50に保存されているものがCD−ROM装置49により読み出されて、印刷サーバ11に取り込まれたり、ネットワーク2およびインターネット網150を介して電子メール等で受信した情報から再構築されて印刷サーバ11に取り込まれたりすることで、印刷サーバ11に保存される。
【0030】
[3.プリンタの構成]
次に、イントラネットBが備える印刷装置であるプリンタ31(クライアント3)について説明する。図4は、プリンタ31の構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、プリンタ31は、このプリンタ31の各部の制御処理および画像形成処理などの各種制御処理を行うプリンタコントローラ(マザーボード)61を備えている。このプリンタコントローラ61には、オペレーションパネル62、プリンタエンジン(印刷エンジン)63および磁気ディスク装置64が接続されている。
【0031】
プリンタコントローラ61は、その時設定されている制御モードおよび各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、イントラネットAの印刷サーバ11)からの制御コードに従って各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、イントラネットAの印刷サーバ11)からの印刷データを描画データに変換してプリンタエンジン63へ出力する制御機構の総称で次のようなモジュールで構成される。プリンタコントローラ61には、制御の主体となるCPU81、RAM82、このプリンタ31に固有な各種の情報を記憶するためのROM83、電源のON/OFFに関わらずデータを保持できる不揮発性メモリであるNV−RAM84、印刷の時に使用される数種の書体を保持しているメモリであるFont ROM85、エンジンI/F86、オペレーションパネル62を接続するパネルI/F87、磁気ディスク装置64を接続するディスクI/F88、ネットワークI/F89などで構成されている。
【0032】
RAM82は、CPU81のワーク領域、各イントラネットA,Bの各種サーバ1からのデータ受信バッファ、また処理後のイメージ展開領域に使用される。
【0033】
エンジンI/F86は、プリンタコントローラ61とプリンタエンジン63への制御信号とプリンタエンジン63からプリンタコントローラ61へのステータス信号を送受信するI/Fである。
【0034】
ネットワークI/F89は、ネットワーク2を介して各イントラネットA,Bの各種サーバ1(例えば、印刷サーバ11)からプリンタ31への制御信号およびデータとプリンタ31からのステータス信号を送受信するためのものである。
【0035】
オペレーションパネル62は、プリンタ31のステータス表示およびモード、印刷条件を変更することができるスイッチ部である。
【0036】
プリンタエンジン63は、電子写真プロセス方式によって画像を形成して記録用紙に記録出力するためのものであり、電子写真プロセス方式に従ったプロセスユニット63aと、定着部63bと、プロセスユニット63aおよび定着部63bを制御するエンジンボード63cとで構成されている。エンジンボード63cは、プリンタコントローラ61から送信された描画データと制御情報に基づいてプロセスユニット63aを制御することにより、感光体上に静電作像し、給紙部(図示せず)より給紙された転写紙に画像を形成する。また、エンジンボード63cは、定着部63bを発熱制御し、定着部63bを通過する転写紙に形成された画像を定着させる。
【0037】
磁気ディスク装置64は、種々の印刷文書情報を格納したり、それ以外の適宜な情報ファイル等を保存したりするためのものである。加えて、磁気ディスク装置64には、OS(Operating System)、OS上で走る種々のアプリケーションプログラムが記憶されている。本実施の形態においては、アプリケーションプログラムとして、印刷処理プログラムなどが記憶されている。
【0038】
このような構成のプリンタ31は、サーバ1などと同様に、ユーザが電源を投入すると磁気ディスク装置64よりOSをRAM82に読み込み、このOSを起動させる。このようにして起動したOSは、ユーザの操作に応じてアプリケーションプログラムを起動したり、情報を読み込んだり、保存を行ったりする。また、アプリケーションプログラムは、所定のOS上で動作するものに限らず、後述の各種処理の一部の実行をOSに肩代わりさせるものであってもよいし、所定のアプリケーションプログラムやOSなどを構成する一群のプログラムファイルの一部として含まれているものであってもよい。
【0039】
なお、一般的には、プリンタ31の磁気ディスク装置64にインストールされるアプリケーションプログラムは、CD−ROM(図示せず)などの記憶媒体に記録され、この記憶媒体に記録されたアプリケーションプログラムが磁気ディスク装置64にインストールされる。このため、CD−ROM等の可搬性を有する記憶媒体も、アプリケーションプログラムを記憶する記憶媒体となり得る。さらには、アプリケーションプログラムは、例えばネットワークI/F89を介して外部から取り込まれ、磁気ディスク装置64にインストールされても良い。
【0040】
なお、本実施の形態のプリンタ31は、磁気ディスク装置64を備えるものとしたが、これに限るものではなく、半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体にアプリケーションプログラムやOSなどを格納するようにしても良い。
【0041】
[4.プリンタ代替処理]
次に、印刷サーバ11のCPU41およびプリンタ31のCPU81が実行する各種の演算処理のうち、本実施の形態のネットプリントシステム100が発揮する特徴的な処理であるプリンタ代替処理について以下に説明する。
【0042】
ネットプリントシステム100においては、インターネット網150を介してイントラネットAのホスト装置である印刷サーバ11からイントラネットBのプリンタ31に印刷データが入力されると、イントラネットBのプリンタ31側で、入力された印刷データについての描画データがプリンタコントローラ61の制御情報に基づいて生成され、生成された描画データがプリンタコントローラ61からプリンタエンジン63に渡され、プリンタスタート命令がかかり印刷が開始されることになる。ここで、イントラネットBのプリンタ31において、印刷の途中にもかかわらず、印刷処理が実行されているプリンタ31にオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生することがある。そこで、本実施の形態のネットプリントシステム100においては、印刷処理が実行されているプリンタ31にオペレータ操作が必要な印刷不可状態が発生した場合には、印刷処理の対象を他のプリンタ31に切り替えることによって、印刷を継続することを可能にし、イントラネットBにおいて印刷停止状態にならないようにする、というプリンタ代替処理を実行するようにしたものである。
【0043】
印刷サーバ11は、アプリケーションプログラムとして、印刷データ送信プログラムを磁気ディスク装置48に記憶している。すなわち、印刷サーバ11は、OS上で動作する印刷データ送信プログラムが起動すると、この印刷データ送信プログラムに従い、CPU41が各部を制御してプリンタ代替処理の一部となる印刷データ送信処理を実行する。
【0044】
プリンタ31は、アプリケーションプログラムとして、印刷処理プログラムを磁気ディスク装置64に記憶している。すなわち、プリンタ31は、OS上で動作する印刷処理プログラムが起動すると、この印刷データ送信プログラムに従い、CPU81が各部を制御してプリンタ代替処理の一部となる印刷処理を実行する。
【0045】
ここで、図5はプリンタ31のプリンタ代替処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。図5に示すように、プリンタ31は、印刷サーバ11およびネットワーク接続された他のプリンタ31との間でセッションを成立させるセッション成立部(セッション成立手段)101と、印刷サーバ11から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該プリンタ31とセッションが成立している他のプリンタ31で保持する印刷ジョブの同期を保つジョブ同期部(ジョブ同期手段)102と、セッション成立部101によりセッションが成立している各プリンタ31の状態を取得する状態取得部(状態取得手段)103と、セッション成立部101によりセッションが成立している各プリンタ31についての省エネルギー化を図る省エネルギー化部(省エネルギー化手段)104と、プリンタエンジン63を制御するエンジン制御部(エンジン制御手段)105と、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他のプリンタ31に譲渡する印刷処理部(印刷処理手段)106と、を備えている。
【0046】
次いで、セッション成立部101とジョブ同期部102と印刷処理部106とにより実現されるプリンタ代替処理の主要な処理について、シーン毎に具体的に説明する。
【0047】
図6は、プリンタ代替処理を含むネットプリント処理の処理手順を示すシーケンス図である。なお、図6においては、「メインプリンタ」となるプリンタ31a、「サブプリンタ1」となるプリンタ31b、「サブプリンタ2」となるプリンタ31cの3台がネットワーク接続されているイントラネットBを想定している。
【0048】
なお、「メインプリンタ」、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」は便宜上設定されたものであって、プリンタ31aとプリンタ31bとプリンタ31cとは、同じ実装のプリンタである。上位ホストである印刷サーバ11から印刷データがネットワークを通じて最初に入力されるプリンタ31をメインプリンタと呼び、メインプリンタよりも下位に位置するプリンタ31をサブプリンタと呼ぶ。
【0049】
また、「メインプリンタ」はホスト装置から一意に決定されるが、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」については固定的に決められるものであっても良いし、その順序が処理毎に変わるものであっても良い。例えば、「サブプリンタ1」、「サブプリンタ2」のような順序については、プリンタの記憶部(ROM83、NV−RAM84、磁気ディスク装置64など)に、次にデータを送るプリンタのIPアドレスを記憶しておき、データ転送の際に記憶されたIPアドレスを参照することで実現可能である。
【0050】
まず、ネットプリント処理においては、セッション成立部101によって印刷サーバ11およびネットワーク接続された他のプリンタ31との間でセッションを成立した後、装置獲得処理が実行される。
【0051】
(1)メインプリンタは、印刷サーバ11から「装置獲得」コマンドを受信すると、プリンタの占有処理を行い、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「装置獲得」コマンドを送信する。この時、メインプリンタは排紙抑制を情報に指定する。この情報は、印刷処理を抑制する印刷抑制情報である。
【0052】
(2)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、プリンタの占有処理を行う。また、情報には排紙抑制することが指定されているので、サブプリンタはプリンタの排紙抑制を行う。サブプリンタはさらに下位(データ送信方向下位)のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位(データ送信方向上位)から受信した「装置獲得」コマンドを送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「装置獲得応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「装置獲得応答」コマンドを送信する。装置獲得応答には、プリンタのIPアドレスが含まれており、図7に示すように、上位プリンタは下位プリンタの応答情報(プリンタのIPアドレス)を順にマージして送信する。そして、メインプリンタはサブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「装置獲得応答」のコマンドを送信する。
【0053】
これにより、印刷サーバ11側では、全てのプリンタの情報がマージされた結果の情報を受け取ることになる。
【0054】
なお、プリンタから印刷サーバ11側への情報送信は、インターネット網150およびファイアウォール6を介して行うため、ルール付けによりその通過を許可するか、メールに添付するなどにより行うものとする。以下におけるプリンタから印刷サーバ11側への情報送信についても同様である。
【0055】
印刷サーバ11側では、各サブプリンタおよびメインプリンタの情報をマージしたプリンタ情報をログとして管理する。
【0056】
(3)メインプリンタは、印刷サーバ11から「JOB開始」コマンドを受信すると、JOB開始処理を行い、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「JOB開始」コマンドを送信する。この時、メインプリンタは取得したJOB IDを情報に追加する。
【0057】
(4)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、JOB開始処理を行うが、JOB IDの作成は行わず、メインプリンタから通知されたJOB IDを使用することで、プリンタ間のジョブ管理の同期をとる。サブプリンタはさらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位から受信した「JOB開始」コマンドを送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「JOB開始応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「JOB開始応答」コマンドを送信する。メインプリンタはサブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「JOB開始応答」コマンドを送信する。
【0058】
以上のようにネットプリント処理における装置獲得処理が終了すると、印刷処理が実行される。
【0059】
ここで、図8はプリンタ31のプリンタ代替処理におけるジョブ同期処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。図8に示すように、プリンタ31は、ジョブ同期処理にかかる機能構成として、排紙通知受信手段311と、NV−RAM84に形成されるジョブ管理テーブル312と、コマンド受信手段313とを備えている。
【0060】
排紙通知受信手段311は、プリンタエンジン63から印刷完了通知を受け取る。そして、ジョブ管理テーブル312を読み込み、JOB ID毎に印刷完了ページ数をカウントアップして、ジョブ管理テーブル312へ保存する。加えて、排紙通知受信手段311は、プリンタエンジン63から障害通知を受け取った場合には、障害通知にかかるエラーコードをジョブ管理テーブル312へ保存する。
【0061】
コマンド受信手段313は、印刷サーバ11(サーバ1)またはデータ送信方向上位に位置する上位プリンタ31から送信されるコマンド(データ送信/状態取得)を受信し、受信したコマンドをデータ送信方向下位に位置する下位プリンタ(サブプリンタ)31へ送信する。また、コマンド受信手段313は、下位プリンタ(サブプリンタ)31から状態取得コマンドに応じた応答情報を受け取ると、ジョブ管理テーブル312を読み込み、応答情報に含まれるページ情報(印刷完了ページ数を含んでいる)のマージ処理を行う。また、コマンド受信手段313は、下位プリンタ(サブプリンタ)31から受け取った状態取得コマンドに応じた応答情報中に、エラーコードがある場合または応答情報に障害情報がある場合には、障害情報のマージ処理を行う。そして、コマンド受信手段313は、ジョブ管理テーブル312内の応答情報を印刷サーバ11(サーバ1)または上位プリンタ31へ返す。
【0062】
このような機能構成の下に、通常時の印刷処理の処理手順について、図9に示すシーケンス図を参照して説明する。
【0063】
(11)メインプリンタは、印刷サーバ11から「データ送信」コマンドを受信すると、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「データ送信」コマンドを送信する。
【0064】
(12)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、さらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、サブプリンタは上位から受信した「データ送信」コマンドを下位のサブプリンタに送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「データ送信応答」コマンドを送信する。また、下位プリンタは上位プリンタへ「データ送信応答」コマンドを送信する。下位プリンタはその後、印刷データ処理を行う。メインプリンタは、サブプリンタからの応答を待ち合わせし、印刷サーバ11へ「データ送信応答」コマンドを送信した後、印刷データ処理を行う。
【0065】
(13)メインプリンタは、排紙毎にサブプリンタへ「ページ削除」コマンドを送信する。サブプリンタは「ページ削除」コマンドを受信し、さらに下位のサブプリンタがある場合、上位から受信した「ページ削除」コマンドを送信する。「ページ削除」コマンドを受信したサブプリンタは、印刷完了ページ数の同期を取り、印刷処理済みページの削除を行う。
【0066】
(14)メインプリンタは、印刷サーバ11から「状態取得」コマンドを受信すると、サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)へ「状態取得」コマンドを送信する。
【0067】
(15)サブプリンタ(図6のサブプリンタ1)は、さらに下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)がある場合、上位のメインプリンタから受信した「状態取得」コマンドを下位のサブプリンタ(図6のサブプリンタ2)に送信する。サブプリンタは下位のサブプリンタが無い場合、上位プリンタへ「状態取得応答」コマンドを送信する。本実施の形態においては、図10に示すように、上位のプリンタは下位のプリンタからの応答情報をマージして、更に上位のプリンタ(最上位のプリンタであるメインプリンタは印刷サーバ)に対して送信する。
【0068】
[5.省エネルギー状態への移行処理]
次に、省エネルギー化部104による省エネルギー状態への移行処理について説明する。プリンタ31のプリンタコントローラ61は、図11に示すように、ネットワーク処理部111と、プリンタシステム制御部112と、プリンタエンジン63を制御するエンジン制御部105と、を備えている。
【0069】
ネットワーク処理部111は、ネットワークを通じて印刷データの送受信の制御を行う。ネットワーク処理部111で受信した印刷データは、一旦、プリンタシステム制御部112へ渡される。
【0070】
プリンタシステム制御部112は、省エネルギー状態への移行処理を行う省エネルギー化部104などを備えている。
【0071】
まず、プリンタ31内部の処理の流れを簡単に説明する。印刷サーバ11(サーバ1)またはデータ送信方向上位に位置する上位プリンタ31から送信された印刷ジョブデータは、ネットワークI/F89を通してプリンタコントローラ61に取り込まれる。
【0072】
データ取り込みはネットワーク処理部111で行なわれ、取り込まれたデータは受信バッファを介してプリンタシステム制御部112に渡される。プリンタシステム制御部112では受信データの解釈を行なっており、タイマーのカウンタチェックもここで行なっている。プリンタシステム制御部112の省エネルギー化部104は、ポーリング処理などによりタイマーをチェックし、省エネルギー状態移行時間に達していた場合には、エンジン制御部105を通して、プリンタエンジン63に省エネルギー状態移行の指示を出す。
【0073】
プリンタエンジン63は、プリンタシステム制御部112から省エネルギー状態移行の指示を受けると、省エネルギー状態へ移行する。
【0074】
次に、上述したようなプリンタ代替処理における省エネルギー状態移行のシーケンスを図12に従って説明する。
【0075】
まず、ホストマシンである印刷サーバ11(サーバ1)からメインプリンタ31に対し装置獲得コマンドが出される。
【0076】
メインプリンタ31に対し、下位機器であるサブプリンタ31が存在する場合、メインプリンタ31からサブプリンタ31へ同様に装置獲得コマンドが順に送信される。設定されている全ての機器が装置獲得されると、印刷ジョブが開始される。
【0077】
加えて、本実施の形態においては、装置獲得コマンドに続いて、メインプリンタ31から下位のサブプリンタ31に対して、省エネルギー状態移行コマンドを送信する。省エネルギー状態移行コマンドには、省エネルギー状態のレベル指定も付与されている。
【0078】
省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、省エネルギー化部104にて指定された省エネルギー状態のレベルをRAM82などに記憶し(記憶手段)、エンジン制御部105を介してプリンタエンジン63に対して指定されたレベルの省エネルギー状態への移行処理を行なう。なお、省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、省エネルギー状態移行コマンドを受けた時点でコピー等の動作中のためにすぐに状態移行できない場合には、移行可能状態になるまで待った後、省エネルギー状態への移行を行う。
【0079】
加えて、省エネルギー状態移行コマンドを受信したサブプリンタ31は、さらに下位のサブプリンタ31に対して省エネルギー状態移行コマンドを順に送信して行く。これにより、メインプリンタ31以外の全てのプリンタ31が省エネルギー状態へ移行することになる。
【0080】
なお、上述のように省エネルギー状態に移行したプリンタ31のプリンタシステム制御部112は、メインプリンタ31から印刷データを受信しても印刷可能状態に戻らないように制御する。これにより、実際に画像出力を行なっているメインプリンタ31以外は、同じデータ受信と画像処理を行ないながら省エネルギー状態を保つことができる。
【0081】
ここで、図13は省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合の処理の流れを示すフローチャートである。図13に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを受信すると(ステップS1のYes)、省エネ監視モードに移行し(ステップS2)、プリンタエンジン63に対して指定された省エネルギー状態のレベルへの省エネルギー状態移行処理を実施する(ステップS3)。
【0082】
そして、下位に接続されたサブプリンタ31がある場合は(ステップS4のYes)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、指定されたレベルへの省エネルギー状態移行コマンドを送信して(ステップS5)、処理を終了する。
【0083】
次に、移行する省エネルギー状態のレベルをプリンタ31毎に変える場合の省エネルギー状態移行のシーケンスを図14に従って説明する。
【0084】
図14に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを上位のプリンタ31(もしくは印刷サーバ11(サーバ1))より受信すると、プリンタ31は自身のステータスを省エネルギー状態へ移行する処理を行うことは図12で示したシーケンスと同様だが、下位にサブプリンタ31が接続されている場合、プリンタ31自身が印刷権を持っているかどうか、すなわち印刷抑制の有無で処理が変わる。
【0085】
プリンタ31自身が印刷権を持っている場合、すなわち印刷抑制されていない場合、下位のサブプリンタ31に対しては、省エネレベル1への省エネ状態移行コマンドを送信する。一方、プリンタ31自身が印刷権を持っていない場合、すなわち印刷抑制されている場合、下位のサブプリンタ31に対しては、省エネレベル2への省エネルギー状態移行コマンドを送信する。
【0086】
ここで、プリンタ31の省エネルギー状態のレベル遷移について例示的に説明する。図15に示すように、プリンタ31の省エネルギー状態は、印刷可能状態(省エネレベル0)と、エンジン電力低下状態(省エネレベル1)と、エンジン停止状態(省エネレベル2)と、コントローラ停止状態と、の間を遷移することになる。
【0087】
印刷可能状態(省エネレベル0)からエンジン電力低下状態(省エネレベル1)への移行においては、省エネルギー化部104がプリンタエンジン63のエンジンボード63cに対して定着部63cの定着温度の低下を指示し、エンジンボード63cが定着部63cの定着温度を低下させることにより実現する。すなわち、エンジン電力低下状態(省エネレベル1)は、印刷の再開が早い最上位の省エネステータスであって、プリンタエンジン63に供給する電力を低下させる低電力モードである。
【0088】
エンジン電力低下状態(省エネレベル1)からエンジン停止状態(省エネレベル2)への移行においては、省エネルギー化部104がプリンタエンジン63のエンジンボード63cに対してプリンタエンジン63のプロセスユニット63aおよびエンジンボード63cの停止を指示し、プロセスユニット63aはもとより、エンジンボード63cも停止させることにより実現する。すなわち、エンジン停止状態(省エネレベル2)は、より電力を使用しない下位の省エネステータスであって、プリンタコントローラ61のみが稼動しているオフモードである。
【0089】
エンジン停止状態(省エネレベル2)からコントローラ停止状態への移行においては、図示しないメインコントローラが、プリンタコントローラ61のCPUや周辺チップ(いずれも図示せず)への電源・クロック供給を停止させることにより実現する。すなわち、コントローラ停止状態は、最も電力を使用しない最下位の省エネステータスである。
【0090】
このように次に印刷権が譲渡される可能性のあるプリンタ31はレベル1にすることで、上位のプリンタ31で印刷続行することができない不測の事態が起きても、すぐに下位のプリンタ31で印刷を継続することができる。
【0091】
なお、指定するレベルについては、省エネルギー状態でなくとも、通常ステータス(印刷待機中)であってもかまわない(すぐに印刷再開が可能)。また、さらに下位に存在するプリンタ31は印刷権の譲渡が当分先であるため、レベル2にすることで最も電力を使用しない状態にすることができる。このように省エネルギー状態のレベル分けを行うことで、電力消費と操作性向上の両面を向上させることができる。
【0092】
ここで、図16は省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合であってレベル制御する場合の処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、省エネルギー状態移行コマンドを受信すると(ステップS11のYes)、省エネ監視モードに移行し(ステップS12)、下位のサブプリンタ31が存在するか否かを判断する(ステップS13)。
【0093】
下位に接続されたサブプリンタ31があり(ステップS13のYes)、自身が印刷権を持っている場合には(ステップS14のYes)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、レベル1への省エネルギー状態移行コマンドを送信する(ステップS15)。
【0094】
一方、下位に接続されたサブプリンタ31があり(ステップS13のYes)、自身が印刷権を持っていない場合には(ステップS14のNo)、下位に接続されたサブプリンタ31に対して、レベル2への省エネルギー状態移行コマンドを送信する(ステップS16)。
【0095】
次に、印刷を行なっていたメインプリンタ31においてオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生した場合の省エネルギー状態移行のシーケンスを図17ないし図19に従って説明する。
【0096】
図17または図18に示すように、印刷を行なっていたメインプリンタ31においてオペレータ操作が必要な印刷不可状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)が発生したことにより印刷不可能状態となり(ステップS21)、下位にサブプリンタ31が存在する場合には(ステップS22のYes)、メインプリンタ31から下位のサブプリンタ31対して印刷抑制解除コマンドを送信して印刷権譲渡処理を行い(ステップS23)、印刷抑制を解除する。
【0097】
サブプリンタ31は、図19に示すように、印刷抑制解除コマンドを受け取ると(ステップS31)、まずは自身について省エネルギー状態を保持する制御を解除し、印刷可能状態へ復帰させる(ステップS32)。以降はこのサブプリンタ31が実際の画像出力を引き継いで実施する。加えて、サブプリンタ31は印刷を再開する前に、下位のサブプリンタ31が有る場合には(ステップS33のYes)、下位のサブプリンタ31に省エネレベル1への省エネルギー状態移行コマンドを送信し(ステップS34)、印刷処理を実行する(ステップS35)。これにより、省エネレベル2であった下位のサブプリンタ31を印刷の再開が早い省エネルギーのステータスへ移行させておくことで、サブプリンタ31に印刷不可能事象が発生しても、すぐに下位のサブプリンタ31で印刷再開できる。
【0098】
一方、画像出力を継続できなくなったメインプリンタ31は、下位のサブプリンタ31の印刷抑制を解除すると共に、自分が印刷抑制状態に移行し(ステップS24)、さらに省エネレベル2の省エネルギー状態へ移行する処理を実施する(ステップS25)。
【0099】
以上により、画像出力を行なっていたプリンタ31が何らかの理由により出力不可能状態になった場合でも、引き継いで画像出力を行なうサブプリンタ31以外は、省エネルギー状態を保つことができる。
【0100】
また、本実施の形態においては、プリンタ31は、状態取得部103によってプリンタ31のステータスを監視している。したがって、図20および図21に示すように、プリンタシステム制御部112は、プリンタ31がコピー等のユーザによる直接的な指示による動作で省エネルギー状態から通常状態に復帰したことにより、指定されている(記憶している)状態レベルと異なる状態に移行したと判断した場合であって(ステップS41のYes)、省エネルギー状態に移行可能になった場合に(ステップS42のYes)、指定されている(記憶している)レベルの省エネルギー状態へ移行させる(ステップS43)。
【0101】
このように本実施の形態によれば、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として、ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の印刷装置で保持する印刷ジョブの同期を保つとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態(紙なし、紙ジャム、トナーエンド、その他障害)である場合に、印刷が終了していない印刷ジョブについての印刷権を他の印刷装置に譲渡することにより、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態が発生した場合であっても、代替の印刷装置が継続して印刷を引き継ぐことで、障害が発生しても印刷が止まることがなくなるので、確実に印刷することができるようになり、印刷の信頼性を上げることができるとともに、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として当該印刷装置とセッションが成立している各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷権を譲渡した他の印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示することにより、印刷権を有していない印刷装置の消費電力を低減することができるので、システム全体の省エネルギー化を図ることができる。
【0102】
なお、本実施の形態においては、省エネルギー状態移行コマンドをプロトコル上に専用のコマンドとして用意したが、下位のプリンタ31の印刷を抑制するタイミングで必ず送信されるコマンドに、省エネルギー状態移行の処理を追加して行なうようにしても良い。また、省エネルギー状態移行の処理を追加するコマンドは、省エネルギー状態に落ちてしまっては困るタイミングでは送信される事が無いコマンドでなければならない。したがって、装置獲得コマンドに省エネルギー状態移行処理を加えるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるネットプリントシステムのシステム構築例を示す模式図である。
【図2】ネットプリントシステムのシステム構築例を示す模式図である。
【図3】印刷サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】プリンタの構成の一例を示すブロック図である。
【図5】プリンタのプリンタ代替処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。
【図6】プリンタ代替処理を含むネットプリント処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図7】応答情報を順にマージして送信する方式を示す模式図である。
【図8】プリンタ代替処理におけるジョブ同期処理にかかる機能構成を概略的に示す模式図である。
【図9】通常時の印刷処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図10】応答情報のマージ処理を示す模式図である。
【図11】プリンタコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【図12】プリンタ代替処理における省エネルギー状態移行のシーケンス図である。
【図13】省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】移行する省エネルギー状態のレベルをプリンタ毎に変える場合の省エネルギー状態移行を示すシーケンス図である。
【図15】省エネルギー状態のレベル遷移について例示的に示す模式図である。
【図16】省エネルギー状態移行コマンドを上位機器から受けた場合であってレベル制御する場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】メインプリンタにおいてオペレータ操作が必要な印刷不可状態が発生した場合の省エネルギー状態移行を示すシーケンス図である。
【図18】メインプリンタ側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】サブプリンタ側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】省エネルギー状態の継続を示すシーケンス図である。
【図21】省エネルギー状態の継続処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】従来のエクストラネットのシステム構築例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0104】
11 ホスト装置
31 印刷装置
63 印刷エンジン
100 印刷システム
101 セッション成立手段
102 ジョブ同期手段
103 状態取得手段
104 省エネルギー化手段
105 エンジン制御手段
106 印刷処理手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置において、
前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、
前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、
前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示した場合、自身については省エネルギー状態への移行を指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記省エネルギー化手段により移行を指示される省エネルギー状態は、コントローラが動作することが可能である状態である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置の状態を取得する状態取得手段と、
上位の前記印刷装置から指示された前記省エネルギー状態を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記省エネルギー化手段は、前記状態取得手段で取得した状態が前記記憶手段に記憶されている省エネルギー状態と異なる状態に移行したと判断した場合であって、省エネルギー状態に移行可能になった場合に、前記記憶手段に記憶されている省エネルギー状態へ移行させる、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の印刷装置。
【請求項5】
前記省エネルギー化手段は、省エネルギー状態のみならずそのレベルも指示可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の印刷装置。
【請求項6】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示する場合、最も電力を使用しない省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記省エネルギー化手段は、省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示された場合、前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示する場合、最も印刷再開が早い省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項8】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示した場合、自身についてはより電力を使用しない下位の省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項9】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置を制御するコンピュータを、
前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、
前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、
前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置における印刷方法であって、前記印刷装置は、制御部と記憶部を備え、前記制御部において実行される、
前記セッション成立手段は、ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるステップと、
印刷処理手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡するステップと、
ジョブ同期手段が、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つステップと、
省エネルギー化手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示するステップと、
エンジン制御手段が、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置において、
前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、
前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、
前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示した場合、自身については省エネルギー状態への移行を指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記省エネルギー化手段により移行を指示される省エネルギー状態は、コントローラが動作することが可能である状態である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置の状態を取得する状態取得手段と、
上位の前記印刷装置から指示された前記省エネルギー状態を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記省エネルギー化手段は、前記状態取得手段で取得した状態が前記記憶手段に記憶されている省エネルギー状態と異なる状態に移行したと判断した場合であって、省エネルギー状態に移行可能になった場合に、前記記憶手段に記憶されている省エネルギー状態へ移行させる、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の印刷装置。
【請求項5】
前記省エネルギー化手段は、省エネルギー状態のみならずそのレベルも指示可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の印刷装置。
【請求項6】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示する場合、最も電力を使用しない省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記省エネルギー化手段は、省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示された場合、前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示する場合、最も印刷再開が早い省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項8】
前記省エネルギー化手段は、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示した場合、自身についてはより電力を使用しない下位の省エネルギー状態のレベルへの移行を指示する、
ことを特徴とする請求項5記載の印刷装置。
【請求項9】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置を制御するコンピュータを、
前記ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるセッション成立手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡する印刷処理手段と、
前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つジョブ同期手段と、
印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示する省エネルギー化手段と、
前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するエンジン制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項10】
ホスト装置から送信された1つまたは複数の印刷データおよび一連の処理命令で構成される印刷ジョブにかかる印刷処理を、印刷エンジンを制御して実行する印刷装置における印刷方法であって、前記印刷装置は、制御部と記憶部を備え、前記制御部において実行される、
前記セッション成立手段は、ホスト装置および他の印刷装置との間でセッションを成立させるステップと、
印刷処理手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、印刷が終了していない前記印刷ジョブについての前記印刷権を他の前記印刷装置に譲渡するステップと、
ジョブ同期手段が、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行した場合、当該印刷装置とセッションが成立している他の前記印刷装置で保持する前記印刷ジョブの同期を保つステップと、
省エネルギー化手段が、印刷する権利である印刷権を有していることを条件として前記セッション成立手段により当該印刷装置とセッションが成立している前記各印刷装置に対して省エネルギー状態への移行を指示するとともに、前記印刷ジョブにかかる印刷処理を実行できない状態である場合に、前記印刷権を譲渡した他の前記印刷装置に対して省エネルギー状態から印刷可能状態への移行を指示するステップと、
エンジン制御手段が、前記省エネルギー化手段からの移行指示に従って前記印刷エンジンを制御するステップと、
を含むことを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−137502(P2010−137502A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318460(P2008−318460)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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