説明

印刷装置、印刷ジョブの管理方法、およびコンピュータプログラム

【課題】ユーザにとって好適な印刷ジョブの代行の依頼先とする印刷装置を的確にかつ簡単に選択できるようにする。
【解決手段】他の画像形成装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する画像形成装置1に、画像形成装置1自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を、依頼元である他の画像形成装置ごとにカウントする被依頼回数カウント部102と、ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける印刷ジョブ受付部104と、受け付けられた指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1台または複数台の他の画像形成装置を、被依頼回数の多いものから優先的にユーザに対して提示する代行候補提示処理部103と、ユーザが選択した他の印刷装置に対して印刷ジョブを代行するように依頼する印刷ジョブ代行依頼部107と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFPなどの印刷装置およびそれにおける印刷ジョブの管理方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ネットワーク上に複数の印刷装置が存在する場合、ユーザはその中から特定の印刷装置を指定して印刷ジョブの依頼を行う。しかし、その印刷装置が、エラーが発生している状態でありまたは長い印刷待ち時間が発生している状態であるなどの理由により、すぐに使用することができない場合がある。ユーザは、その印刷ジョブを急いで実行させたいのであれば、その印刷装置から他の印刷装置へその印刷ジョブのデータを転送させることによって、その印刷ジョブの依頼をし直す必要がある。
【0003】
ところが、ネットワーク上の印刷装置の台数が多ければ、そのジョブを実行させるのに適した他の印刷装置を検索するのに多くの時間と手間が掛かってしまう。
【0004】
印刷ジョブのデータの転送先を選択する方法として、特許文献1、2に記載されるような方法が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載される方法によると、指定した印刷装置が何らかの原因により印刷ジョブを実行できない場合に、サーバコンピュータに保持されているデータベースを参照し、転送先を決定するための条件に関する情報であるデータ転送先優先情報によって指定される条件に最もよく合致する印刷装置を、当該印刷ジョブの転送先として決定する。
【0006】
特許文献2に記載される方法によると、ファクシミリ装置が画像を受信したときの転送先と受信能力が登録されており、かつ、機能が有効に設定されていた場合、自機の受信能力に転送先の受信能力を合わせて受信能力宣言し通信を開始する。次に、受信開始に先立ち送られてくる画像パラメータを記憶しておき、転送先に受信能力の登録がないか、または、機能が無効に設定されていた場合、自機の受信能力のみ宣言して通信を開始する。そして、受信した画像情報によって、自機で処理を行うか、または、前記パラメータの情報を使い前記転送先に当該画像情報を転送する。
【特許文献1】特開平10−198532号公報
【特許文献2】特開2002−77565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に記載される方法では、他の印刷装置それぞれの能力に関する情報を収集しそれらの情報に基づいて印刷ジョブのデータの好適な転送先つまり印刷ジョブの依頼先とする印刷装置を選択する。
【0008】
しかし、同じようなレベルの能力を有する印刷装置がネットワーク上に複数存在する場合は、特許文献1、2に記載される方法では、ユーザにとって好適な印刷装置を選択することが難しい。なぜなら、性能の差に基づいて選択することができなくなるからである。
【0009】
また、性能以外にも、印刷ジョブの依頼先として好適な印刷装置を決める基準がある。例えば設置場所またはジョブの日頃の混み具合などである。しかし、様々な基準に基づいて好適な転送先を選択するためには、複雑な仕組みが必要となる。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑み、ユーザにとって好適な印刷ジョブの代行の依頼先とする印刷装置を的確にかつ簡単に選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る印刷装置は、他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置であって、当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントするカウント手段と、ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を、前記カウント手段によってカウントされた前記被依頼回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行う、提示処理手段と、前記提示処理手段によって提示された他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する印刷ジョブ依頼手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
または、前記提示処理手段による提示処理を行うことなく、前記印刷ジョブ依頼手段は、前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記カウント手段によってカウントされた前記被依頼回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する。
【0013】
本発明に係る他の形態の印刷装置は、他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントする、カウント手段と、ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を、前記カウント手段によってカウントされた前記合計回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行う、提示処理手段と、前記提示処理手段によって提示された他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する印刷ジョブ依頼手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
または、前記提示処理手段による提示処理を行うことなく、前記印刷ジョブ依頼手段は、前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記カウント手段によってカウントされた前記合計回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、ユーザにとって好適な印刷ジョブの依頼先とする印刷装置を的確にかつ簡単に選択できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第一の実施形態〕
図1は印刷処理システムPNSの全体的な構成の例を示す図、図2は画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図、図3は画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
【0017】
印刷処理システムPNSは、図1に示すように、本発明に係る印刷装置としての画像形成装置1、端末装置2、および通信回線3などによって構成される。画像形成装置1と端末装置2とは、通信回線3を介して互いに接続可能である。通信回線3として、インターネット、LAN、公衆回線、または専用線などが用いられる。以下、各画像形成装置1を「画像形成装置1A」、「画像形成装置1B」、「画像形成装置1C」、…と区別して記載することがある。
【0018】
画像形成装置1は、図2に示すように、CPU10a、RAM10b、ROM10c、ハードディスク10d、制御用回路10e、通信インタフェース10f、スキャナユニット10g、印刷ユニット10h、タッチパネル10j、および操作キー部10kなどによって構成される。
【0019】
制御用回路10eは、ハードディスク10d、通信インタフェース10f、スキャナユニット10g、印刷ユニット10h、タッチパネル10j、および操作キー部10kなどを制御するための回路である。
【0020】
通信インタフェース10fは、印刷処理システムPNSの外部のファックス端末を相手にG3などのファックスプロトコルによってデータ通信を行うためのモデムおよび他の画像形成装置1とTCP/IPなどによっていわゆるIP通信を行うためのNIC(Network Interface Card)である。
【0021】
操作キー部10kは、テンキーおよびカーソルキーなどによって構成され、ユーザが画像形成装置1に対して処理の実行開始などの指令を与え、処理条件を指定し、その他種々の事項を指定するために用いられる。タッチパネル10jは、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aで実行された処理の結果を示す画面などが表示される。また、ユーザは、タッチパネル10jの所定の位置に触れることによって画像形成装置1に対して指令を与えたり処理条件の指定を行ったりすることができる。このように、タッチパネル10jおよび操作キー部10kは、画像形成装置1を操作するユーザのユーザインタフェースの役割を果たしている。ユーザは、これらのユーザインタフェースを使って画像形成装置1を操作することによって、画像形成装置1に印刷ジョブを実行させることができる。
【0022】
スキャナユニット10gは、用紙に描かれている文章、数式、記号、写真、図表、またはイラストなどの書類の画像を光学的に読み取って画像データを生成する。
【0023】
印刷ユニット10hは、スキャナユニット10gで得られた画像データまたは端末装置2などから送信されてきた印刷ジョブに基づいて画像を形成し、その画像を用紙に印刷する。
【0024】
ハードディスク10dには、図3に示すように、実行待ちジョブデータベースDB1、印刷ジョブ代行受付部101、被依頼回数カウント部102、代行候補提示処理部103、印刷ジョブ受付部104、ジョブ実行開始時間予測部105、代行依頼先選択受付部106、印刷ジョブ代行依頼部107、およびジョブ実行制御部108などの機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じてRAM10bに読み出され、CPU10aによってプログラムが実行される。または、図3に示す機能の一部または全部を、制御用回路10eによって実現するようにしてもよい。
【0025】
端末装置2として、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどが用いられる。端末装置2には、各画像形成装置1に対応したドライバがインストールされている。ユーザは、端末装置2を操作することによって、自分の所望する画像形成装置1に印刷ジョブを遠隔的に実行させることができる。
【0026】
ところで、ユーザが印刷ジョブをすぐに実行させたいにも関わらず、その印刷ジョブの依頼先である画像形成装置1が、何らかの原因により、その印刷ジョブを直ちに実行することができない場合がある。本発明に係る画像形成装置1によると、このような場合であっても、ユーザは、他の画像形成装置1にそのジョブを代行させることができる。これについては、後に詳細に説明する。
【0027】
図4は実行待ちジョブデータベースDB1の例を示す図、図5は被依頼回数カウントテーブルTL1の例を示す図、図6は代行要否選択画面HG0の例を示す図、図7は代行依頼先選択画面HG1の例を示す図である。
【0028】
次に、印刷処理システムPNSに設けられている画像形成装置1のうちの画像形成装置1Aを例に、図3の各部の処理内容について説明する。
【0029】
実行待ちジョブデータベースDB1には、後に順次説明するように、印刷ジョブが印刷ジョブ代行受付部101または印刷ジョブ受付部104によって受け付けられるごとに、その印刷ジョブのジョブデータJDが格納される。
【0030】
印刷ジョブ受付部104は、印刷ジョブを実行すべき旨の指令をユーザから受け付けるための処理を行う。係る処理は、次のような手順で行われる。
【0031】
ユーザは、アプリケーションソフトで作成しまたはWebサイトからダウンロードするなどして、印刷対象の書類のデータを端末装置2に用意する。そして、端末装置2に対して、画像形成装置1Aを出力先(印刷先)として指定しかつ印刷対象としてその書類を指定し、ネットワークプリンティングのコマンドを入力する。すると、その端末装置2は、その書類を表わす画像を印刷するための、画像形成装置1Aのページ記述言語(例えば、PostScript、PCLなど)に対応した印刷データ71を生成する。そして、その印刷データ71を、その書類の印刷ジョブを実行すべき旨を示す印刷指令とともに、画像形成装置1Aに送信する。
【0032】
印刷ジョブ受付部104は、端末装置2からの印刷指令および印刷データ71を受信すると、その印刷指令に係る印刷ジョブのジョブデータJDを生成し、図4の実行待ちジョブデータベースDB1に格納させる。そして、その印刷ジョブを既に実行待ちジョブデータベースDB1に登録されている他の印刷ジョブと区別するためのジョブIDを発行し、そのジョブデータJDの「ジョブID」のフィールドに格納しておく。「受付日時」には、その印刷指令を受信した日時を格納しておく。「依頼元」には、その印刷指令の送信元である端末装置2つまりその印刷ジョブの依頼者の端末装置2の識別情報(例えば、装置名またはIPアドレス)を格納しておく。「印刷データ」には、その印刷指令とともに受信した印刷データ71を格納しておく。
【0033】
または、ユーザは、画像形成装置1Aを次のように直接操作して印刷ジョブの指令である印刷指令を与えることができる。ユーザは、画像形成装置1Aの原稿台にコピーの対象である書類の用紙をセットし、タッチパネル10jに表示される操作用画面の中からコピーに対応するボタンを押して選択する。
【0034】
すると、印刷ジョブ受付部104は、この書類の印刷ジョブを実行すべき旨の印刷指令を受け付け、その印刷ジョブのためのジョブデータJDを次のような手順で生成する。
【0035】
その書類の画像を読み取ってその書類の印刷用の印刷データ72が生成されるように画像形成装置1A自身のスキャナユニット10gなどを制御する。その印刷指令に係る印刷ジョブのジョブデータJDを生成し、図4の実行待ちジョブデータベースDB1に格納させる。そして、その印刷ジョブのジョブIDを発行し、そのジョブデータJDの「ジョブID」のフィールドに格納しておく。「受付日時」には、その印刷指令を受け付けた日時を格納しておく。「依頼元」には、その印刷ジョブの依頼者がローカルユーザであることを示す値(例えば、「ローカルユーザ」という文字列)を格納しておく。「印刷データ」には、生成された印刷データ72を格納しておく。
【0036】
印刷ジョブ代行受付部101は、他の画像形成装置1(1B、1C、…)から印刷ジョブを代行すべき旨の依頼を受け付けるための処理を行う。係る処理は、次のような手順で行われる。
【0037】
例えば、画像形成装置1Bが、印刷ジョブを画像形成装置1Bの代わりに実行するように依頼する旨を示す依頼データ80とともにその印刷ジョブの印刷データ73を画像形成装置1Aに宛てて送信したとする。
【0038】
すると、画像形成装置1Aの印刷ジョブ代行受付部101は、その依頼データ80に係る印刷ジョブのジョブデータJDを生成し、図4の実行待ちジョブデータベースDB1に格納させる。そして、その印刷ジョブのジョブIDを発行し、そのジョブデータJDの「ジョブID」のフィールドに格納しておく。「受付日時」には、依頼データ80を受信した日時を格納しておく。「依頼元」には、依頼データ80の送信元である画像形成装置1Bの識別情報を格納しておく。「印刷データ」には、依頼データ80とともに受信した印刷データ73を格納しておく。
【0039】
以下、実行待ちジョブデータベースDB1の「印刷データ」のフィールドに格納された印刷データ71、72、73を「印刷データ7」と総称することがある。
【0040】
被依頼回数カウント部102は、印刷ジョブ代行受付部101によって今までに受け付けられた印刷ジョブの代行の依頼の回数(以下「被依頼回数」と記載する。)を依頼元ごとに、例えば次のようにカウントする。
【0041】
被依頼回数カウント部102は、図5に示すような、印刷処理システムPNSの中の画像形成装置1A自身以外の画像形成装置1ごとのレコードが設けられている被依頼回数カウントテーブルTL1を有する。各レコードには、被依頼回数の値を格納するフィールドが含まれている。被依頼回数の初期値は「0」である。
【0042】
そして、印刷ジョブ代行受付部101によって他の画像形成装置1からの印刷ジョブの代行の依頼が受け付けられるたびに、被依頼回数カウント部102は、当該他の画像形成装置1に係るレコードの被依頼回数に「1」を加算(インクリメント)する。
【0043】
ジョブ実行制御部108は、実行待ちジョブデータベースDB1によって管理されている印刷ジョブが受付日時の早い順に実行されるように、印刷ユニット10hなどを制御する。
【0044】
具体的には、ジョブ実行制御部108は、次のような処理を適宜繰り返し実行する。実行待ちジョブデータベースDB1に格納されているジョブデータJDのうちの受付日時が最も早いジョブデータJDを検索し、そのジョブデータJDに含まれる印刷データ7を用いて印刷処理(印刷ジョブ)を実行するように印刷ユニット10hに対して指令を与える。すると、印刷ユニット10hによって、実行待ちジョブデータベースDB1からその印刷データ7が呼び出され、その印刷データ7に基づいて画像が形成され、その画像が用紙に印刷される。これにより、印刷ジョブの実行が完了する。そして、ジョブ実行制御部108は、その印刷ジョブのジョブデータJDを実行待ちジョブデータベースDB1から削除する。
【0045】
ジョブ実行開始時間予測部105は、印刷ジョブ受付部104によって受け付けられた印刷ジョブの実行がその受付日時から何時間後に開始されるのかを予測する。例えば、その印刷ジョブが受け付けられた時点で既に実行待ちジョブデータベースDB1に登録されている他の印刷ジョブの個数と1つの印刷ジョブを完了するのに掛かる平均的な時間とを乗算することによって、予測する。または、既に実行待ちジョブデータベースDB1に登録されている他の印刷ジョブに係るページ数の合計値を求め、その合計値と画像形成装置1A自身の印刷スピードとを乗算することによって、予測してもよい。以下、この、ジョブ実行開始時間予測部105によって予測される時間を「ジョブ実行開始予測時間Ts」と記載する。
【0046】
代行候補提示処理部103は、印刷ジョブ受付部104によって受け付けられた印刷ジョブのジョブ実行開始予測時間Tsが所定時間Toを超える場合に、その印刷ジョブを直ちに実行できない旨のメッセージおよびその印刷ジョブを代行させるのに好適な他の画像形成装置1の候補をユーザに提示する代行依頼先選択画面HG1を表示するための処理を、次のような手順で実行する。
【0047】
代行候補提示処理部103は、ジョブ実行開始時間予測部105によって予測されたジョブ実行開始予測時間Tsに基づいて、図6(a)に示すような、その印刷ジョブを代行するように他の画像形成装置1に依頼するか否かをユーザに選択させるための代行要否選択画面HG0を生成する。
【0048】
その印刷ジョブの指令元(依頼元)がローカルユーザである場合は、生成した代行要否選択画面HG0をタッチパネル10jに表示させる。一方、印刷処理システムPNSの中のいずれかの端末装置2である場合は、その代行要否選択画面HG0を表示するための画面データ81をその端末装置2に送信する。画面データ81を受信した端末装置2は、自らのモニタに代行要否選択画面HG0を表示する。代行依頼先選択画面HG1の表示についても同様である。
【0049】
ユーザが「代行依頼」ボタンを押すと、代行候補提示処理部103は、被依頼回数カウント部102が有する被依頼回数カウントテーブルTL1のレコードをすべて呼び出し、これらのレコードを、合計回数の多い順に並べ替える。上位の所定の個数のレコードを選出する。つまり、画像形成装置1Aに対して印刷ジョブを代行するように依頼したことのある回数の多い、第一位から所定の順位までの画像形成装置1を選出する。選出したレコードに基づいて代行候補リストLS1を生成し、これを所定のテンプレートに当てはめることによって、図7に示すような代行依頼先選択画面HG1を生成する。そして、生成した代行依頼先選択画面HG1をタッチパネル10jまたは端末装置2のモニタに表示させる。
【0050】
また、代行候補提示処理部103は、画像形成装置1Aにおいて印刷処理に関連する障害(例えば、用紙切れ、紙詰まり、またはトナー切れなどのエラー)が発生している場合にも、ユーザの印刷ジョブの実行を所定時間To以内に開始できないものとみなし、代行要否選択画面HG0および代行依頼先選択画面HG1を表示するための処理を行う。ただし、ここでは、代行要否選択画面HG0として、図6(b)のような、発生している障害の内容およびその印刷ジョブの実行を直ちにはできない旨を知らせるメッセージを含む代行要否選択画面HG0を表示させる。
【0051】
画像形成装置1Aのタッチパネル10jまたは端末装置2のモニタに代行依頼先選択画面HG1が表示されると、ユーザは、その印刷ジョブを代行させる他の画像形成装置1を代行候補リストLS1の中から選択してから、「決定」ボタンを押す。すると、選択された他の画像形成装置1の識別情報が画像形成装置1Aの代行依頼先選択受付部106によって受け付けられる。
【0052】
印刷ジョブ代行依頼部107は、印刷ジョブを代行させる他の画像形成装置1の選択が代行依頼先選択受付部106によって受け付けられた場合に、その印刷ジョブを代行するように当該他の画像形成装置1に対して依頼する処理を、例えば次のように行う。
【0053】
印刷ジョブ代行依頼部107は、その印刷ジョブのジョブデータJDを実行待ちジョブデータベースDB1(図4参照)の中から検索する。そのジョブデータJDの印刷データ7を呼び出す。そして、当該他の画像形成装置1に対して、その印刷データ7(71または72)を印刷データ73として送信するとともに、その印刷ジョブを代行すべき旨の依頼データ80を送信する。代行の依頼後、そのジョブデータJDは、実行待ちジョブデータベースDB1から削除しておく。
【0054】
なお、画像形成装置1Aの印刷ジョブ代行依頼部107によって送信された印刷データ73および依頼データ80は、依頼先である他の画像形成装置1の印刷ジョブ代行受付部101によって受け付けられる。そして、その依頼データ80に係る印刷ジョブのジョブデータJDが当該他の画像形成装置1の実行待ちジョブデータベースDB1に登録され、ジョブ実行制御部108によってその印刷ジョブが実行される。
【0055】
図8は被依頼回数のカウント処理の流れの例を説明するためのフローチャート、図9は画像形成装置1Aが印刷ジョブを他の画像形成装置1に依頼する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0056】
次に、画像形成装置1における印刷ジョブの取扱いに関する全体的な処理の流れを、図8および図9のフローチャートを参照して説明する。なお、図8および図9のフローチャートの処理の実行は、CPU10aによって制御される。
【0057】
図8において、画像形成装置1は、他の画像形成装置1から依頼データ80および印刷データ73を受信すると(#11)、図5の被依頼回数カウントテーブルTL1の中から当該他の画像形成装置1に係るレコードを検索し、そのレコードの被依頼回数に「1」を加算する(#12)。被依頼回数の加算の処理と前後してまたは並行して、その依頼データ80に係る印刷ジョブのジョブデータJDを生成し、図4の実行待ちジョブデータベースDB1に格納する(#13)。
【0058】
図9において、画像形成装置1は、端末装置2から印刷指令および印刷データ71を受信しまたはその画像形成装置1自身のタッチパネル10jによってコピーの指令を入力すると(#21)、その指令に係る印刷ジョブのジョブデータJDを生成し、実行待ちジョブデータベースDB1に格納する(#22)。
【0059】
その印刷ジョブのジョブ実行開始予測時間Tsを算出する(#23)。つまり、その印刷ジョブをその受付日時から何時間後に実行することができるのかを予測する。算出したジョブ実行開始予測時間Tsが所定時間Toを超えない場合は(#24でYes)、その画像形成装置1自身が、他の画像形成装置1に代行の依頼を行うことなくその印刷ジョブを実行する(#27)。
【0060】
算出したジョブ実行開始予測時間Tsが所定時間Toを超える場合は(#24でNo)、代行要否選択画面HG0をタッチパネル10jまたは端末装置2のモニタに表示し(#25)、その印刷ジョブを他の画像形成装置1に代行させるか否かをユーザに選択させる。
【0061】
ユーザが印刷ジョブの依頼を選択した場合は(#26でYes)、画像形成装置1は、被依頼回数カウントテーブルTL1の各レコードの被依頼回数を多い順に並べ替えることによって代行候補リストLS1を生成し、図7のような代行依頼先選択画面HG1を提示する(#28)。そして、代行候補リストLS1の中からユーザが選択した他の画像形成装置1に対してその印刷ジョブの依頼データ80および印刷データ7(73)を送信することによってその印刷ジョブの代行の依頼を行う(#29)。なお、依頼後、その印刷ジョブのジョブデータJDは、実行待ちジョブデータベースDB1から削除しておく。
【0062】
一方、代行要否選択画面HG0においてユーザが印刷ジョブの依頼を選択しなかった場合は(#26でNo)、画像形成装置1自身がその印刷ジョブを実行する(#27)。
【0063】
画像形成装置1は、以上説明した図8に示す処理および図9に示す処理を適宜実行する。
【0064】
第一の実施形態によると、例えば画像形成装置1Aは、自らの印刷ユニット10hがビジーでありまたは自らにエラーが発生している場合に、自らが受けた印刷ジョブを代行させる候補として、印刷処理システムPNSを構成する他の画像形成装置1B、1C、…のうちの被依頼回数が多い画像形成装置1を優先的にユーザに提示した。
【0065】
これらの画像形成装置1B、1C、…の被依頼回数の多さは、それぞれ、画像形成装置1B、1C、…から見た印刷ジョブの代行の依頼先としての画像形成装置1Aの好ましさ(適性)を表わしているとともに画像形成装置1Aと画像形成装置1B、1C、…との類似度を表わしている、と言える。なぜなら、一般に、ユーザは、印刷ジョブを代行させる場合は、その印刷ジョブの指令先の画像形成装置1の属性(例えば、設置場所または性能など)に近い属性を有する他の画像形成装置1を、好適な依頼先として判断し選択するからである。
【0066】
したがって、画像形成装置1B、1C、…の被依頼回数の多さは、それぞれ、画像形成装置1Aの印刷ジョブの代行の依頼先としての画像形成装置1B、1C、…の好ましさを表わしている、とも言える。
【0067】
よって、画像形成装置1Aは、被依頼回数をカウントしておき、代行の依頼の必要が生じた場合に被依頼回数が多い画像形成装置1を優先的に表示するだけで、好適な代行の依頼先をユーザに提示することができる。したがって、従来のような複雑な仕組みを用いることなく、画像形成装置1Aの代わりに印刷ジョブを実行させる画像形成装置1をユーザに簡単に選択させることができる。
【0068】
〔第二の実施形態〕
図10は画像形成装置1の機能的構成の変形例を示す図、図11は依頼回数カウントテーブルTL2の例を示す図、図12は合計回数テーブルTL3の例を示す図、図13は代行依頼先選択画面HG2の例を示す図である。
【0069】
第一の実施形態では、画像形成装置1は、図4で説明したように、画像形成装置1自身が印刷ジョブの代行の依頼を受けた回数つまり被依頼回数を依頼元ごとにカウントした。そして、図7で説明したように、画像形成装置1自身が印刷ジョブを代行させる候補を、被依頼回数の多いものを優先的に提示した。第二の実施形態では、被依頼回数だけでなく、画像形成装置1自身が印刷ジョブを依頼した回数(以下、「依頼回数」と記載する。)を依頼先ごとにカウントする。そして、被依頼回数および依頼回数に基づいて、印刷ジョブを代行させる候補を提示する。
【0070】
以下、第一の実施形態との相違点を中心に説明する。第一の実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0071】
第二の実施形態における印刷処理システムPNSの全体的な構成および画像形成装置1のハードウェア構成は、第一の実施形態の場合と同様であり、図1および図2で示した通りである。ただし、ハードディスク10dには、図10に示すような実行待ちジョブデータベースDB2、印刷ジョブ代行受付部121、被依頼回数カウント部122、代行候補提示処理部123、印刷ジョブ受付部124、ジョブ実行開始時間予測部125、代行依頼先選択受付部126、印刷ジョブ代行依頼部127、ジョブ実行制御部128、および依頼回数カウント部129の機能を実現するためのプログラムおよびデータがインストールされている。
【0072】
実行待ちジョブデータベースDB2、印刷ジョブ代行受付部121、被依頼回数カウント部122、印刷ジョブ受付部124、ジョブ実行開始時間予測部125、代行依頼先選択受付部126、印刷ジョブ代行依頼部127、およびジョブ実行制御部128の処理内容は、それぞれ、図3で説明した第一の実施形態の実行待ちジョブデータベースDB1、印刷ジョブ代行受付部101、被依頼回数カウント部102、印刷ジョブ受付部104、ジョブ実行開始時間予測部105、代行依頼先選択受付部106、印刷ジョブ代行依頼部107、およびジョブ実行制御部108の処理内容と同様である。
【0073】
ここで、画像形成装置1Aの依頼回数カウント部129および代行候補提示処理部123を例に、第二の実施形態におけるこれらの処理の内容について説明する。
【0074】
依頼回数カウント部129は、印刷ジョブ代行依頼部127が今までに他の画像形成装置1に対して印刷ジョブの代行を依頼した回数つまり依頼回数を依頼先ごとに、例えば次のようにカウントする。
【0075】
依頼回数カウント部129は、図11に示すような、印刷処理システムPNSの中の画像形成装置1A自身以外の画像形成装置1ごとのレコードが設けられている依頼回数カウントテーブルTL2を有する。各レコードには、依頼回数の値を格納するフィールドが含まれている。依頼回数の初期値は「0」である。
【0076】
そして、印刷ジョブ代行依頼部127によって他の画像形成装置1に対して印刷ジョブの代行の依頼が行われるたびに、依頼回数カウント部129は、当該他の画像形成装置1に係るレコードの依頼回数に「1」を加算する。
【0077】
代行候補提示処理部123は、印刷ジョブ受付部124によって受け付けられた印刷ジョブのジョブ実行開始予測時間Tsが所定時間Toを超える場合に、代行依頼先選択画面HG2を表示するための処理を、次のような手順で実行する。
【0078】
代行候補提示処理部123は、第一の実施形態の代行候補提示処理部103の場合と同様に、ジョブ実行開始時間予測部125によって予測されたジョブ実行開始予測時間Tsに基づいて、図6(a)または図6(b)に示すような代行要否選択画面HG0を生成し、画像形成装置1A自身のタッチパネル10jまたは印刷ジョブの指令元のユーザの端末装置2のモニタに表示させる。
【0079】
ユーザが「代行依頼」ボタンを押すと、代行候補提示処理部123は、被依頼回数カウント部122が有する被依頼回数カウントテーブルTL1(図5参照)のレコード(以下、「第一のレコード」と記載する。)および依頼回数カウント部129が有する依頼回数カウントテーブルTL2(図11参照)のレコード(以下、「第二のレコード」と記載する。)をすべて呼び出す。装置名が同じである第一のレコードに示される被依頼回数と第二のレコードに示される依頼回数とを合計することによって、図12のような合計回数テーブルTL3を生成する。
【0080】
合計回数テーブルTL3のレコードを、被依頼回数の多い順に並べ替え上位の所定の個数のレコードを選出することによって、代行候補リストLS2を生成する。その代行候補リストLS2を所定のテンプレートに当てはめることによって、図13に示すような代行依頼先選択画面HG2を生成する。そして、生成した代行依頼先選択画面HG2をタッチパネル10jまたは端末装置2のモニタに表示させる。
【0081】
ユーザは、その代行依頼先選択画面HG2を見ながら、第一の実施形態の場合と同様に、印刷ジョブの代行の依頼先を選択する。すると、印刷ジョブ代行依頼部127は、ユーザが選択した依頼先に依頼データ80および印刷データ73を送信することによって、代行の依頼を行う。
【0082】
なお、第二の実施形態における画像形成装置1の全体的な処理の流れは、第一の実施形態の場合と基本的に同様であり、図8および図9で説明した通りである。ただし、図9のステップ#25において、代行依頼先選択画面HG2を被依頼回数および依頼回数の両方に基づいて生成する。また、ステップ#29の後、依頼回数のカウントを行う。
【0083】
第二の実施形態によると、例えば画像形成装置1Aは、自らが受けた印刷ジョブを代行させる候補として、印刷処理システムPNSを構成する他の画像形成装置1B、1C、…のうちの被依頼回数および依頼回数の合計値が多い画像形成装置1を優先的にユーザに提示した。つまり、被依頼回数だけでなく依頼回数をも加味して好適な代行の依頼先の候補を提示した。
【0084】
前に述べたように、画像形成装置1B、1C、…の被依頼回数の多さは、それぞれ、画像形成装置1Aと画像形成装置1B、1C、…との類似度を表わしているとともに、画像形成装置1Aの印刷ジョブの代行の依頼先としての画像形成装置1B、1C、…の好ましさ(適性)を表わしている、と言える。一方、画像形成装置1B、1C、…の依頼回数の多さは、画像形成装置1Aのユーザが直接的に好適な代行の依頼先として選択した回数を表わしている。したがって、第二の実施形態によると、好適な代行の候補を表わす2種類の値に基づいて第一の実施形態よりもさらに的確に代行の依頼先の候補をユーザに提示することができる。
【0085】
しかも、第二の実施形態によると、被依頼回数および依頼回数のうちのいずれか一方がほとんどカウントされていない場合、被依頼回数が同数である複数の画像形成装置1が存在する場合、または依頼回数が同数である複数の画像形成装置1が存在する場合であっても、好適な代行の依頼先の候補を提示することができる。
【0086】
第一および第二の実施形態では、印刷ジョブの代行の依頼先をユーザが選択するよう構成したが、ユーザの意思によらず画像形成装置1が自動的に選択するようにしてもよい。この場合は、画像形成装置1は、印刷ジョブの実行を所定時間To以内に開始することができないと予測すると、代行要否選択画面HG0(図6参照)および代行依頼先選択画面HG1、HG2(図7、図13参照)を表示することなく、被依頼回数の最も多い他の画像形成装置1または被依頼回数と依頼回数との合計値が最も多い他の画像形成装置1に対して、その印刷ジョブの代行を依頼する。
【0087】
第一および第二の実施形態では、画像形成装置1は、印刷ジョブの代行の依頼先の候補を、被依頼回数のみに基づいて提示しまたは被依頼回数と依頼回数との合計値のみに基づいて提示したが、他の事項にも基づいて提示するようにしてもよい。例えば、画像形成装置1は、自らの性能と他の画像形成装置1の性能とを比較し、自らの性能よりも低い性能を有する他の画像形成装置1を候補から除外しておき、自らの性能と同等またはそれ以上の性能を有する他の画像形成装置1の中から候補を選出するようにしてもよい。例えば画像形成装置1Aがカラー印刷機能を有する場合は、画像形成装置1Aは、モノクロ印刷機能しか有しない他の画像形成装置1を候補から除外する。または、画像形成装置1Aが600dpiの解像度に対応している場合は、600dpi未満の解像度の他の画像形成装置1を候補から除外する。
【0088】
このような性能による候補の選出は、図9のステップ#28の処理の際に行えばよい。または、自らの性能よりも低い性能の他の画像形成装置1については、最初から被依頼回数および依頼回数をカウントしないように構成してもよい。
【0089】
画像形成装置1は、印刷ジョブの代行の依頼を受ける際に依頼元がその依頼を行った理由を示す情報を取得し記録しておき、自らが他の画像形成装置1に対して印刷ジョブの代行を依頼する際にその内容に基づいて依頼先の候補を選出してもよい。例えば、エラーが発生したために印刷ジョブを依頼してきた回数(被依頼回数)を集計し、その合計回数または頻度が所定の値以上であるものを候補から外すようにしてもよい。
【0090】
画像形成装置1は、自らがビジーの状態でありまたは自らにエラーが発生している場合は、他の画像形成装置1からの印刷ジョブの代行の依頼を拒否してもよい。拒否した場合であっても、被依頼回数をカウントするように構成してもよい。なぜなら、前に述べたように、被依頼回数は、その画像形成装置1と依頼元との類似度を表わしていると言えるからである。被依頼回数をカウントしないように構成してもよい。一方、依頼を拒否された当該他の画像形成装置1は、依頼回数をカウントしてもよいしカウントしなくてもよい。カウントするか否かは、印刷処理システムPNSが使用される目的または環境に応じて設定できるようにすればよい。
【0091】
または、画像形成装置1は、印刷ジョブを依頼したとすればその実行を開始するまでに何時間待つ必要があるのかを予め他のそれぞれの画像形成装置1に問い合わせ、所定時間To以内に実行できる旨を回答したものだけを依頼先の候補として選出するようにしてもよい。
【0092】
第一および第二の実施形態では、画像形成装置1は、ジョブ実行開始予測時間Tsが所定時間Toを超える場合またはエラーが発生している場合に、印刷ジョブの代行の依頼先を提示したが、ジョブ実行開始予測時間Tsの値およびエラーの有無に関わらず、提示するように構成してもよい。
【0093】
図13の代行依頼先選択画面HG2において、合計回数とともにその内訳つまり被依頼回数および依頼回数をも表示するようにしてもよい。
【0094】
第一の実施形態では被依頼回数の多い順に優先的に候補を選出し、第二の実施形態では被依頼回数と依頼回数との合計回数の多い順に優先的に候補を選出したが、依頼回数の多い順に優先的に候補を選出してもよい。
【0095】
または、原則として被依頼回数の多い順に優先的に候補を選出し、被依頼回数が同数である他の画像形成装置1が複数存在する場合に、依頼回数の多さに基づいてこれらの他の画像形成装置1の順位付けを行うように構成してもよい。
【0096】
画像形成装置1は、印刷ジョブの指令をユーザから受け付けた後その印刷ジョブの実行を完了するまでにその印刷ジョブを実行することができなくなる障害が発生した場合にも、その印刷ジョブを代行させる候補の提示を行いまたは自動的に代行の依頼を行ってもよい。
【0097】
第一および第二の実施形態では印刷装置(画像形成装置)を例に説明したが、サーバ機またはパーソナルコンピュータと印刷装置とがLANまたはUSBなどによって接続されて構成される印刷システムにも、本発明を適用することができる。
【0098】
その他、印刷処理システムPNSおよび画像形成装置1の全体または各部の構成、処理内容、処理順序、テーブルの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】印刷処理システムの全体的な構成の例を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【図4】実行待ちジョブデータベースの例を示す図である。
【図5】被依頼回数カウントテーブルの例を示す図である。
【図6】代行要否選択画面の例を示す図である。
【図7】代行依頼先選択画面の例を示す図である。
【図8】被依頼回数のカウント処理の流れの例を説明するためのフローチャートである。
【図9】画像形成装置が印刷ジョブを他の画像形成装置に依頼する処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図10】画像形成装置の機能的構成の変形例を示す図である。
【図11】依頼回数カウントテーブルの例を示す図である。
【図12】合計回数テーブルの例を示す図である。
【図13】代行依頼先選択画面の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1A 画像形成装置(印刷装置)
1B、1C 他の画像形成装置(他の印刷装置)
102、122 被依頼回数カウント部(カウント手段)
103、123 代行候補提示処理部(提示処理手段)
104、124 印刷ジョブ受付部(指令受付手段)
107、127 印刷ジョブ代行依頼部(印刷ジョブ依頼手段)
129 依頼回数カウント部(カウント手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置であって、
当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントするカウント手段と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を、前記カウント手段によってカウントされた前記被依頼回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行う、提示処理手段と、
前記提示処理手段によって提示された他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する印刷ジョブ依頼手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記指令に係る印刷ジョブの実行が開始されるまでの時間を予測する実行開始時間予測手段、を有し、
前記提示処理手段は、実行開始時間予測手段によって予測された、前記指令に係る印刷ジョブの前記時間が、所定の時間を超える場合に、当該印刷ジョブについて前記提示処理を実行する、
請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記提示処理手段は、前記指令受付手段によって前記指令が受け付けられた時に当該指令に係る印刷ジョブの実行が不能になるエラーが当該印刷装置自身に発生している場合または当該指令が受け付けられてから当該印刷ジョブの実行が完了するまでの間に当該エラーが当該印刷装置自身に発生した場合に、当該印刷ジョブについて前記提示処理を実行する、
請求項1または請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記提示処理手段は、前記指令に係る印刷ジョブについての前記提示処理を、当該印刷装置自身のディスプレイに前記候補とする1または複数の他の印刷装置の一覧を表示させまたは当該指令を与えたユーザの端末装置に当該一覧のデータを送信することによって行う、
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記提示処理手段は、当該印刷装置よりも性能の低い他の印刷装置を前記候補から除外する、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記カウント手段は、当該印刷装置よりも性能の低い他の印刷装置の前記被依頼回数はカウントしない、
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置であって、
当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントするカウント手段と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記カウント手段によってカウントされた前記被依頼回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する、印刷ジョブ依頼手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置であって、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントする、カウント手段と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を、前記カウント手段によってカウントされた前記合計回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行う、提示処理手段と、
前記提示処理手段によって提示された他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する印刷ジョブ依頼手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置であって、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントする、カウント手段と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける指令受付手段と、
前記指令受付手段によって受け付けられた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記カウント手段によってカウントされた前記合計回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する、印刷ジョブ依頼手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置における印刷ジョブの管理方法であって、
当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントし、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付け、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を前記被依頼回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行い、
提示した他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する、
ことを特徴とする印刷ジョブの管理方法。
【請求項11】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置における印刷ジョブの管理方法であって、
当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントし、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付け、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記被依頼回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する、
ことを特徴とする印刷ジョブの管理方法。
【請求項12】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置における印刷ジョブの管理方法であって、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントし、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付け、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を前記合計回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための提示処理を行い
提示した他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する、
ことを特徴とする印刷ジョブの管理方法。
【請求項13】
他の印刷装置から代行するように依頼された印刷ジョブを実行する機能を有する印刷装置における印刷ジョブの管理方法であって、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントし、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付け、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、カウントした前記合計回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する、
ことを特徴とする印刷ジョブの管理方法。
【請求項14】
印刷装置を制御するコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷ジョブを前記印刷装置に代行させるように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントする処理と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける処理と、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を前記被依頼回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための処理と、
提示した他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する処理と、を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項15】
印刷装置を制御するコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
印刷ジョブを前記印刷装置に代行させるように依頼された回数である被依頼回数を依頼元である他の印刷装置ごとにカウントする処理を実行させ、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける処理を実行させ、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、前記被依頼回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項16】
印刷装置を制御するコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントする処理と、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける処理と、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを代行させる候補として、1または複数の他の印刷装置を前記合計回数の多いものから優先的にユーザに対して提示するための処理と、
提示した他の印刷装置の中からユーザが選択した他の印刷装置に対して前記指令に係る印刷ジョブを代行するように依頼する処理と、を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項17】
印刷装置を制御するコンピュータに用いられるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
他の印刷装置ごとに、当該印刷装置自身が当該他の印刷装置に印刷ジョブを依頼した回数と当該印刷装置自身が印刷ジョブを代行するように当該他の印刷装置から依頼された回数との合計回数をカウントする処理を実行させ、
ユーザから印刷ジョブを実行すべき旨の指令を受け付ける処理を実行させ、
受け付けた前記指令に係る印刷ジョブを所定の時間内に実行を開始することができないと予測される場合に、カウントした前記合計回数が最も多い他の印刷装置に対して当該印刷ジョブを代行するように依頼する処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−320084(P2007−320084A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150391(P2006−150391)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】