説明

印刷装置、印刷方法、印刷制御プログラムおよび画像出力制御装置

【課題】画像データを複数部数で出力する場合に、紙媒体への印刷数と表示媒体への書込数との最適化を図ることが可能な印刷装置、印刷方法、印刷制御プログラムおよび画像出力制御装置を提供する。
【解決手段】複合機は、紙媒体に画像印刷を実行可能であり、また複合機に接続されている表示端末に画像書込を実行可能である。複合機では、少なくとも複合機に接続されている表示端末である書込可能端末の台数が算出される(S31)。書込可能端末の台数が出力部数以上である場合(S35:YES)、出力部数分の書込可能端末に端末用表示データが書き込まれる(S37)。書込可能端末の数量が出力部数よりも少ない場合(S35:NO)、全ての書込可能端末に端末用表示データが書き込まれ、かつ、残り部数分の紙媒体に印刷データに基づく画像印刷が実行される(S39、S43)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいて紙媒体への印刷または表示媒体への書込を実行可能な印刷装置、印刷方法、印刷制御プログラムおよび画像出力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護や経費節減などの観点から、画像や文書などの紙媒体への印刷量を抑制すること(いわゆる、ペーパーレス化)が求められている。そのため、従来、画像や文書などのデータを軽量・薄型の表示装置に出力し、表示装置に表示された画像や文書などを閲覧するようにした印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の画像書込装置では、パーソナルコンピュータ等から表示装置の印刷出力アプリケーションを用いて複数ページの画像データの印刷を指定した後、画像データのなかから任意のページを選択して表示装置に書き込む。これにより、複数ページの画像を表示する場合でも多数の表示装置を必要とせず、携帯性に優れた画像書込装置を実現している。
【特許文献1】特開2007−233099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような印刷装置において、例えば複数の表示装置に同一の文書や画像を出力し、複数人がそれぞれ配布された表示装置に表示される同一文書等を参照しながら、会議、講義、打合せなどを行うことが想定される。しかしながら、表示装置は紙媒体よりも高価であるため、同時に利用できる数量が限定されやすく、例えば多部数の文書等を出力する場合には表示装置が不足する。このような場合、表示装置の不足分は、ユーザ等が印刷装置を用いて紙媒体に文書等を印刷し直す必要があり、ユーザ等に多大な操作負担を生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、画像データを複数部数で出力する場合に、紙媒体への印刷数と表示媒体への書込数との最適化を図ることが可能な印刷装置、印刷方法、印刷制御プログラムおよび画像出力制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の印刷装置は、表示端末が接続される接続手段と、前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段と、出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段と、前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定手段と、前記端末数量特定手段によって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段と、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御手段と、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の印刷装置は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記接続手段に対する前記表示端末の接続状態および切断状態を検出する検出手段と、前記接続手段に接続されている前記表示端末から、前記表示端末に固有の情報を含む端末情報を取得する端末情報取得手段と、前記端末情報取得手段により取得された前記端末情報を記憶する端末情報記憶手段と、前記端末情報記憶手段に記憶されている前記端末情報を、前記検出手段によって検出された前記接続状態または前記切断状態に応じて更新する端末情報更新手段とを備え、前記端末数量特定手段は、前記接続状態に応じて更新されたことを示す前記端末情報に対応する前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明の印刷装置は、請求項2に記載の発明の構成に加えて、前記端末情報は、前記表示端末にて表示可能な画像データの条件を示す表示可能条件を含み、前記端末数量特定手段は、前記表示可能条件が前記画像データを表示可能であることを示す前記端末情報に対応する前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の印刷装置は、請求項3に記載の発明の構成に加えて、前記表示可能条件は、前記表示端末が表示可能な表示サイズ、前記表示端末が表現可能な階調、および、前記表示端末が備える記憶手段の最大記憶容量または空き記憶容量、の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の印刷装置は、請求項2〜4のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記端末数量特定手段は、前記端末情報記憶手段に記憶されている前記端末情報を参照して、前記書込手段による書込禁止が設定されていない前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明の印刷装置は、請求項5に記載の発明の構成に加えて、前記書込手段による書き込みが行われた前記表示端末に関する前記端末情報に、前記書込禁止を設定する書込禁止設定手段と、前記書込禁止が設定された時点からの経過時間をカウントして、前記経過時間が所定時間に至ると前記書込禁止を解除する書込禁止解除手段とを備えている。
【0012】
また、請求項7に係る発明の印刷装置は、請求項6に記載の発明の構成に加えて、前記書込禁止設定手段は、前記書込手段による書き込みが行われた前記表示端末に関する前記端末情報に、前記書込禁止が有効とされる書込禁止時間を設定し、前記書込禁止解除手段は、前記端末情報の前記書込禁止時間から待ち時間を減ずる書込禁止時間更新手段と、前記書込禁止時間の残り時間が0になった前記端末情報に設定されている前記書込禁止を解除する解除実行手段と、前記解除実行手段によっていずれかの前記書込禁止が解除されると、前記端末情報のうちで最も少ない前記書込禁止時間の残り時間を、次回の前記待ち時間に設定する待ち時間設定手段とを備えている。
【0013】
また、請求項8に係る発明の印刷装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記端末数量特定手段は、前記画像データの出力先または非出力先が対象部数とともに指定されている場合、前記画像データの出力先または非出力先と前記対象部数とに応じて前記書込可能端末の数量を増減させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明の印刷方法は、表示端末が接続される接続手段と、前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段とを備えた印刷装置において、出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付けて、前記書込手段による書き込みおよび前記印刷手段による印刷を制御する印刷方法であって、前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定ステップと、前記端末数量特定ステップによって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断ステップと、前記数量判断ステップによって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御ステップと、前記数量判断ステップによって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御ステップとを備えている。
【0015】
また、請求項10に係る発明の印刷制御プログラムは、表示端末が接続される接続手段と、前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段とを備えた印刷装置に用いられ、前記書込手段による書き込みおよび前記印刷手段による印刷を制御するための印刷制御プログラムであって、コンピュータを、出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段、前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定手段、前記端末数量特定手段によって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御手段、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御手段として機能させる。
【0016】
また、請求項11に係る発明の画像出力制御装置は、表示端末が接続される接続手段と、前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段とを備えた印刷装置に接続され、前記印刷装置において前記表示端末および前記印刷媒体の少なくとも一方に画像データを出力するための出力用データを作成する画像出力制御装置であって、出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段と、前記画像データに基づく画像を書き込み可能な前記表示端末である書込可能端末の数量を、前記印刷装置から取得する端末数量取得手段と、前記端末数量取得手段によって取得された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段と、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、前記画像データを前記書込可能端末に書き込むための前記出力用データである端末出力用データを、前記出力部数の同数の前記書込可能端末に書き込ませるように作成する第1出力用データ作成手段と、前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、前記端末出力用データを全ての前記書込可能端末に書き込ませるように作成し、且つ、前記画像データを前記印刷媒体に印刷するための前記出力用データである印刷出力用データを、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を前記印刷媒体に印刷させるように作成する第2出力用データ作成手段と、前記第1出力用データ作成手段によって作成された前記端末出力用データ、または、前記第2出力用データ作成手段によって作成された前記端末出力用データおよび前記印刷出力用データを、前記印刷装置に送信する出力用データ送信手段とを備えている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明の印刷装置では、接続手段に接続されている条件を満たす表示端末の数量が、画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定される。そして、書込可能端末の数量が出力部数以上である場合、出力部数分の書込可能端末に画像データが書き込まれる。また、書込可能端末の数量が出力部数よりも少ない場合、全ての書込可能端末に画像データが書き込まれ、かつ、残り部数分の印刷媒体に画像データが印刷される。したがって、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末に画像書込が行われない残り部数分だけが印刷媒体に画像印刷されるので、表示端末を最大限有効活用するとともに印刷媒体の使用量を抑制することができる。
【0018】
請求項2に係る発明の印刷装置では、表示端末から取得された固有の情報を含む端末情報が接続手段に対する接続状態または切断状態に応じて更新され、接続状態に応じて更新されたことを示す端末情報に対応する表示端末の数量が書込可能端末の数量に特定される。したがって、請求項1に係る発明の効果に加えて、印刷装置側で自動的に書込可能端末が特定されるため、ユーザが画像データの出力先となる表示端末を指定する操作負担を低減することができる。
【0019】
請求項3に係る発明の印刷装置では、表示可能条件が画像データを表示可能であることを示す端末情報に対応する表示端末の数量が書込可能端末の数量に特定される。したがって、請求項2に係る発明の効果に加えて、画像データを適正に書込および表示することが可能な表示端末に書き込みが行われるため、画像データが書き込まれたにもかかわらず表示端末で適正に表示されないという不具合の発生を抑制することができる。
【0020】
請求項4に係る発明の印刷装置では、表示可能条件には、表示端末が表示可能な表示サイズ、表示端末が表現可能な階調、および、表示端末が備える記憶手段の最大記憶容量または空き記憶容量、の少なくとも一つが含まれる。したがって、請求項3に係る発明の効果に加えて、表示端末の表示性能やハードウエア資源等をふまえて、表示端末に不適な画像データが書き込まれて適正に表示できない不具合の発生を抑制することができる。
【0021】
請求項5に係る発明の印刷装置では、端末情報を参照して書込禁止が設定されていない表示端末の数量が書込可能端末の数量に特定される。したがって、請求項2〜4のいずれかに係る発明の効果に加えて、書込禁止が設定された表示端末には画像データが書き込まれないので、画像データを書き込むべきでない表示端末へのデータ書込を適切に防止することができる。
【0022】
請求項6に係る発明の印刷装置では、画像データの書き込みが行われた表示端末に関する端末情報に書込禁止が設定され、書込禁止が設定された時点からの経過時間が所定時間に至ると書込禁止が解除される。したがって、請求項5に係る発明の効果に加えて、画像データが書き込まれた表示端末は書き込みが禁止されるので、画像データの上書きなどを適切に防止することができる。
【0023】
請求項7に係る発明の印刷装置では、端末情報に書込禁止とともに書込禁止時間が設定される。待ち時間ごとに書込禁止時間から待ち時間が減ぜられ、書込禁止時間の残り時間が0になると書込禁止が解除される。いずれかの書込禁止が解除されると、最も少ない書込禁止時間の残り時間が次回の待ち時間に設定される。したがって、請求項6に係る発明の効果に加えて、画像データが書き込まれた表示端末を所定時間が経過するまで書込禁止とする一方、前回のデータ書込から所定時間が経過した表示端末を再び書き込み可能とすることができる。また、次回の待ち時間の経過後は残り時間が0となった表示端末が存在するため、規定時間ごとに端末情報を参照して残り時間が0となった表示端末が存在するか否かを確認するよりも、大幅に端末情報の参照回数を減らすことができる。
【0024】
請求項8に係る発明の印刷装置では、画像データの出力先または非出力先が対象部数とともに指定されている場合、その指定内容に応じて書込可能端末の数量を増減させる。したがって、請求項1〜7に係る発明の効果に加えて、画像データの出力部数の一部については、ユーザが画像データの出力先または非出力先を任意に決定することができる。よって、表示端末を最大限有効活用して印刷媒体の使用量を抑制するのみならず、ユーザの使い勝手や利便性を向上させることができる。
【0025】
請求項9に係る発明の印刷方法では、接続手段に接続されている条件を満たす表示端末の数量が、画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定される。そして、書込可能端末の数量が出力部数以上である場合、出力部数分の書込可能端末に画像データが書き込まれる。また、書込可能端末の数量が出力部数よりも少ない場合、全ての書込可能端末に画像データが書き込まれ、かつ、残り部数分の印刷媒体に画像データが印刷される。したがって、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末に画像書込が行われない残り部数分だけが印刷媒体に画像印刷されるので、表示端末を最大限有効活用するとともに印刷媒体の使用量を抑制することができる。
【0026】
請求項10に係る発明の印刷制御プログラムでは、接続手段に接続されている条件を満たす表示端末の数量が、画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定される。そして、書込可能端末の数量が出力部数以上である場合、出力部数分の書込可能端末に画像データが書き込まれる。また、書込可能端末の数量が出力部数よりも少ない場合、全ての書込可能端末に画像データが書き込まれ、かつ、残り部数分の印刷媒体に画像データが印刷される。したがって、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末に画像書込が行われない残り部数分だけが印刷媒体に画像印刷されるので、表示端末を最大限有効活用するとともに印刷媒体の使用量を抑制することができる。
【0027】
請求項11に係る発明の画像出力制御装置では、画像データに基づく画像を書き込み可能な表示端末である書込可能端末の数量が、印刷装置から取得される。そして、書込可能端末の数量が出力部数以上である場合、出力部数分の書込可能端末に画像データを書き込ませる端末出力用データが作成される。また、書込可能端末の数量が出力部数よりも少ない場合、全ての書込可能端末に画像データを書き込ませる端末出力用データが作成され、かつ、残り部数分の印刷媒体に画像データを印刷させる印刷出力用データが作成される。したがって、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末に画像書込が行われない残り部数分だけが印刷媒体に画像印刷されるので、表示端末を最大限有効活用するとともに印刷媒体の使用量を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。図1は、第1の実施形態における、表示端末1、複合機2およびPC3によって構成される印刷システムのシステム構成図である。図2は、表示端末1の電気的構成を示すブロック図である。図3は、複合機2の電気的構成を示すブロック図である。図4は、第1の実施形態における、接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースのデータ構成を示す模式図である。図5は、機器接続監視処理を示すフローチャートである。図6は、図5の機器接続監視処理中に実行される接続検知処理を示すフローチャートである。図7は、図5の機器接続監視処理中に実行される切断検知処理を示すフローチャートである。図8は、第1の実施形態における、画像出力処理を示すフローチャートである。図9は、図8の画像出力処理中に実行される書込可能台数算出処理を示すフローチャートである。
【0029】
図1に示すように、第1の実施形態に係る印刷システムでは、ユーザがアプリケーションを使用して任意の画像(静止画、動画および文書を含む。)を作成または編集するためのパーソナルコンピュータ(PC)3と、プリンタ、ファクシミリ、電話機、コピー機等の機能を併せ持つ複合機2とが、有線LANによって接続されている。複合機2には、複数のUSBポートを有するUSBハブ4を介して、薄手板状の表示端末(例えば、電子ペーパー)1を、USBハブ4のポート数を上限に接続可能である。本構成の印刷システムでは、PC3から複合機2に画像データの出力指示が発せられると、複合機2によって紙媒体への画像印刷と表示端末1への画像書込とが選択的に行われる。
【0030】
図2を参照して、表示端末1について説明する。表示端末1には、表示端末1の制御を司るCPU10が設けられている。CPU10には、ROM11、RAM12、EEPROM13、表示コントローラ14、操作キー16、USBコントローラ17およびメモリカードコントローラ18が、バスを介して接続されている。ROM11は、表示端末1を動作させるための制御プログラム等を記憶する。RAM12は、各種のデータを一時的に記憶する。EEPROM13は、複合機2から書き込まれた画像データや、表示端末1に関する端末情報等を記憶する。表示コントローラ14は、表示部15(図1参照)における画像や動画等の表示制御を行う。操作キー16(図1参照)は、ユーザによる入力操作を受け付ける。USBコントローラ17は、USBケーブルを介して他の機器(ここでは、USBハブ4)と接続するためのコントローラである。メモリカードコントローラ18は、図示外のメモリカードを接続するためのコントローラである。
【0031】
EEPROM13には、先述の端末情報が記憶される端末情報記憶エリア131が設けられている。本実施形態の端末情報は、表示端末1に固有の識別IDと、その表示端末1にて表示可能な画像の条件(表示可能条件)を、少なくとも含んでいる。また、「表示可能条件」は、表示端末1にて表示可能な画像サイズ、表示端末1にて表示可能な画像の諧調、表示端末1に搭載されているメモリ(ここでは、EEPROM13)の最大記憶容量、および、表示端末1に搭載されているメモリの空き容量(詳細には、端末情報記憶エリア131の空き容量)を含んでいる。
【0032】
表示端末1は、複合機2から書き込まれた画像データを、EEPROM13から読み出して表示部15に表示させる。これにより、表示端末1のユーザは、PC3から複合機2に出力指示された画像データを閲覧することができる。なお、メモリカードコントローラ18にメモリカードが接続されている場合には、メモリカードに記憶されている画像データを表示部15に表示させることもできる。
【0033】
図3および図4を参照して、複合機2について説明する。複合機2には、複合機2の制御を司るCPU20が設けられている。CPU20には、ROM21、RAM22、EEPROM23、表示画面である液晶ディスプレイ(LCD)25、および、ユーザによる入力を受け付ける操作キー26が、バスを介して接続されている。ROM21は、複合機2を動作させるための各種プログラム(本発明に係る画像出力制御プログラムを含む。)等を記憶している。RAM22は、各種のデータを一時的に記憶する。EEPROM23は、PC3から出力指示された画像データや、複合機2に接続されている表示端末1から取得された端末情報等を記憶している。
【0034】
また、CPU20には、USBコントローラ27、LANコントローラ29、紙媒体に印刷を行う記録部28、紙媒体から画像や文字等を読み取るスキャナ部24、および、モデム41が、バスを介して接続されている。USBコントローラ27は、USBケーブルを介して他の機器(ここでは、USBハブ4)と接続するためのコントローラである。LANコントローラ29は、LANケーブルを介して他の機器(ここでは、PC3)と接続するためのコントローラである。なお、モデム41には、公衆回線9に接続するための回線制御部42が接続されている。回線制御部42には、音声を入出力するハンドセット43が接続されている。
【0035】
本実施形態の複合機2では、出力対象の画像データを紙媒体に印刷する場合には、インクジェット式の画像印刷を行うものとする。よって、記録部28は、インクジェットヘッドの各チャンネルに設けられた圧電アクチュエータを駆動させるためのヘッド駆動部や、紙媒体を搬送するための搬送ローラを駆動するためのローラ駆動部等を備えている。一方、出力対象の画像データを表示端末1に書き込む場合には、ROM21に記憶されている画像出力制御プログラムに基づいて、CPU20がUSBコントローラ27を介して表示端末1に画像書込を行う。
【0036】
EEPROM23には、表示端末1から取得された端末情報が記憶される接続端末情報記憶エリア231が設けられている。図4に示すように、接続端末情報記憶エリア231には、一の表示端末1から取得された端末情報(以下、接続端末情報)を一エントリとして、複合機2に接続されている表示端末1と同数のエントリが格納される接続端末データベースが記憶されている。本実施形態の接続端末情報は、先述の端末情報に対応して、「接続機器ID」、「表示サイズ」、「諧調」、「搭載メモリ量」および「空メモリ量」をエントリ毎に含んでいる。「接続機器ID」は、複合機2と接続されている表示端末1(つまり、接続端末)に固有の識別IDを示し、USBのベンダIDとプロダクトIDとの組み合わせや表示端末1のシリアルID等が例示される。「表示サイズ」は、その接続端末にて表示可能な画像サイズ(例えば、A5、A4、A3、B5、B4、B3等)を示す。「諧調」は、その接続端末にて表示可能な画像の諧調(例えば、モノクロ、4階調グレースケール、16階調グレースケール等)を示す。「搭載メモリ量」は、その接続端末に搭載されているメモリの最大記憶容量(例えば、512kbや1Mb等)を示す。「空メモリ量」は、その接続端末に搭載されているメモリの空き容量(例えば、0kbや312kb等)を示す。
【0037】
PC3は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、HDD、キーボード、マウス、ディスプレイ等を有する通常のパーソナルコンピュータと同様である。ただし、HDDには、任意の画像を作成または編集するためのアプリケーションや、出力指示された画像データおよびその出力部数に基づいて複合機2に紙媒体への画像印刷を実行させる印刷データを作成する従来のプリンタドライバが記憶される。なお、本実施形態のプリンタドライバは、PC3にて作成された印刷データを含む印刷ジョブを、出力先の複合機2に送信するものとする。
【0038】
第1の実施形態に係る複合機2で実行される各種処理について、図5〜図9を参照して説明する。以下に説明する各種処理は、複合機2の電源投入によってROM21からRAM22に読み出される画像出力制御プログラムに基づいて、CPU20によって実行される。
【0039】
まず、図5〜図7を参照して、複合機2に対する表示端末1の接続・切断を監視する機器接続監視処理について説明する。なお、図5に示す機器接続監視処理は、複合機2の電源が投入されると開始され、複合機2の電源が切断されるまで継続して実行される。
【0040】
図5に示すように、機器接続監視処理では、USBコントローラ27に対する外部機器の接続状態が監視され(S1)、その接続状態が変更されたか否かが判断される(S3)。例えば、USBハブ4に新たな外部機器が接続されたり、USBハブ4に接続されている外部機器が切断されたりすると、USBコントローラ27に対する外部機器の接続状態の変更が、CPU20によって検出される。
【0041】
外部機器の接続状態が変更されたと判断されると(S3:YES)、その接続状態の変更が新しい外部機器の接続であるか否かが判断される(S5)。例えばUSBハブ4に新たな外部機器が接続された場合には、接続状態の変更が新たな外部機器の接続であると判断され(S5:YES)、後述する接続検知処理が実行される(S7)。一方、例えばUSBハブ4から外部機器が切断された場合には、接続状態の変更が新たな外部機器の接続ではないと判断され(S5:NO)、後述する切断検知処理が実行される(S9)。
【0042】
なお、接続状態の変更がない場合は(S3:NO)は、S1に戻る。また、接続検知処理(S7)または切断検知処理(S9)が実行されたのちも、S1に戻る。そして、USBコントローラ27に対する外部機器の接続状態に変更が生じるまで、または、複合機2の電源が切断されるまで、その接続状態が継続して監視される(S1、S3)。
【0043】
図6に示すように、接続検知処理(S7)では、USBコントローラ27への接続が検知された外部機器が識別され(S11)、新たな接続機器が表示端末1であるか否かが判断される(S13)。すなわち、S11では、USBコントローラ27から接続検知された外部機器の機器IDが取得されて、接続機器が一意に特定される。そして、S13では、S11で取得された機器IDが表示端末1を示すベンダIDやプロダクトID等を含むか否かに基づいて、新たな接続機器が表示端末1であるか否かが判断される。
【0044】
新たな接続機器が表示端末1であると判断された場合(S13:YES)、新たに接続された表示端末1から端末情報が取得される(S15)。詳細には、複合機2は接続が検知された表示端末1に対して情報取得要求を送信する。情報取得要求を受信した表示端末1は、EEPROM13に記憶されている端末情報を読み出して複合機2に通知する。複合機2は、情報取得要求先の表示端末1から端末情報の通知を受けると、通知元の表示端末1に対して情報取得完了を送信する。そして、上記のようなネゴシエーションによって取得された端末情報に対応する接続端末情報が、先述の接続端末データベースにエントリとして登録される(S17)。なお、S17が実行されたのち、または、接続機器が表示端末1ではないと判断された場合(S13)、図5の機器接続監視処理に戻る。
【0045】
例えば、USBハブ4に接続された外部機器の機器ID「BR26a9mnh7」が検出されると、この機器IDに基づいて接続機器が表示端末1であると判断される(S11、S13:YES)。そして、表示端末1から取得された端末情報に対応する接続端末情報が、図4に示すように接続端末データベースにエントリとして登録される(S15、S17)。つまり、複合機2に対して新たな表示端末1が接続されると、端末データベース(図4参照)にその表示端末1に対応するエントリが登録される。
【0046】
図7に示すように、切断検知処理(S9)では、USBコントローラ27からの切断が検知された外部機器が識別され(S21)、その切断機器が表示端末1であるか否かが判断される(S23)。すなわち、S21では、USBコントローラ27から切断された外部機器の機器IDが切断前の機器IDとの差分に基づいて取得されて、切断機器が一意に特定される。そして、S23では、S21で取得された機器IDが表示端末1を示すベンダIDやプロダクトID等を含むか否かに基づいて、新たな切断機器が表示端末1であるか否かが判断される。
【0047】
新たな切断機器が表示端末1であると判断された場合(S23:YES)、その表示端末1に対応するエントリが先述の接続端末データベースから削除される(S25)。 例えば、USBハブ4から切断された外部機器の機器ID「BR26a9mnh7」が検出されると、この機器IDに基づいて接続機器が表示端末1であると判断される(S21、S23:YES)。そして、機器ID「BR26a9mnh7」の表示端末1に対応するエントリが、図4に示すような接続端末データベースから削除される(S25)。つまり、複合機2から表示端末1が切断されると、端末データベース(図4参照)からその表示端末1に対応するエントリが削除される。
【0048】
次に、図8および図9を参照して、紙媒体への画像印刷と表示端末1への画像書込とが選択的に行われる画像出力処理について説明する。なお、図8に示す画像出力処理は、PC3から印刷ジョブを受信すると開始される。また、複合機2がプリンタドライバを有している場合には、操作キー26からの印刷指示に応じて印刷ジョブが生成されると、下記の処理が開始されるようにしてもよい。
【0049】
図8に示すように、画像出力処理では、まず出力対象の画像データを書込可能な表示端末1の台数を算出する書込可能台数算出処理が実行される(S31)。S31の書込可能台数算出処理によって、画像データを書込可能な表示端末1(より好適には、出力対象の画像データを表示させるのに適した表示端末1)である「書込可能端末」の台数が決定されるが、以下説明する。
【0050】
図9に示すように、書込可能台数算出処理(S31)では、まず接続端末データベースにエントリが登録されているか否かが判断される(S51)。接続端末データベースにエントリが登録されていると判断された場合(S51:YES)、複合機2に接続されている表示端末1が存在するため、次いで書込条件が設定されているか否かが判断される(S53)。「書込条件」は、画像データの書込および表示を好適に実行可能な表示端末1が満たすべき条件であって、先述の「表示サイズ」、「諧調」、「搭載メモリ量」、「空メモリ量」等と同様の内容が設定される。「書込条件」は、PC3のユーザが画像データの出力指示に際して指定してもよいし、PC3のプリンタドライバによって自動設定されてもよいし、複合機2において自動設定されてもよい。
【0051】
書込条件が設定されていると判断された場合(S53:YES)、接続端末データベースに登録されている各エントリのうちで、S53で指定されていると判断された書込条件を満たすエントリが特定される(S55)。すなわち、各エントリが書込条件を満たすか否かが判断され、書込条件を満たすエントリに対応する表示端末1が、出力対象の画像データの書込および表示に適した書込可能端末として特定される。そして、書込条件を満たすエントリ数(つまり、書込可能端末の台数)が、書込可能台数に設定される(S57)。
【0052】
具体的には、図4の接続端末データベースを例示すると、「書込条件」として諧調「A3」が設定されている場合、機器ID「BR26a9mnh7」のエントリが書込条件を満たす一方、機器ID「a154848489」のエントリが書込条件を満たさないため、書込可能台数「1台」に設定される。また、「書込条件」として諧調「4階調グレースケール」が設定されている場合、接続機器ID「a154848489」のエントリが書込条件を満たす一方、接続機器ID「BR26a9mnh7」のエントリが書込条件を満たさないため、書込可能台数「1台」に設定される。
【0053】
一方、書込条件が設定されていないと判断された場合は(S53:NO)、複合機2に接続されている全ての表示端末1が、画像データを書込可能な書込可能端末として特定される。そして、接続端末データベースに登録されているエントリ数(つまり、書込可能端末の台数)が、書込可能台数に設定される(S59)。具体的には、図4の接続端末データベースを例示すると、「書込条件」が設定されていない場合には接続端末データベースに登録されているエントリ数に対応して、書込可能台数「2台」に設定される。
【0054】
なお、接続端末データベースにエントリが登録されていないと判断された場合(S51:NO)、複合機2に接続されている表示端末1が存在しないことを示す。つまり、画像データを書込可能な書込可能端末が存在しないから、書込可能台数に「0」が設定される(S61)。S57、S59、S61のいずれかが実行されたのちは、図8の画像出力処理に戻る。
【0055】
図8に戻り、S31にて書込可能台数が算出されると、PC3から受信した印刷ジョブに示される印刷データに基づいて、表示端末1での画像表示に適した端末用表示データが作成される(S33)。詳細には、紙媒体に画像を出力するための印刷データに基づいて、表示端末1の表示部15の大きさに応じた表示画像のサイズ変換(拡大または縮小)や、表示端末1の表示能力に応じた解像度変換や色変換などが実行される。なお、S31にて算出された書込可能台数が「0」である場合は、S33の端末用表示データの作成を実行しないようにしてもよい。
【0056】
そして、S31にて算出された書込可能台数が、印刷ジョブに示される出力部数よりも大であるか否かが判断される(S35)。書込可能台数が出力部数よりも大であると判断された場合(S35:YES)、S31にて書込可能端末として特定された表示端末1のうちで出力部数と同数に、S33で作成された端末用表示データが書き込まれる(S37)。例えば、書込可能端末として特定された表示端末1が「5台」、ユーザから指定された出力部数が「3部」である場合、3台の書込可能端末に端末用表示データが書き込まれる。
【0057】
一方、書込可能台数が出力部数以下であると判断された場合(S35:NO)、S31にて書込可能端末として特定された表示端末1の全てに、S33で作成された端末用表示データが書き込まれる(S39)。例えば、書込可能端末として特定された表示端末1が「3台」、ユーザから指定された出力部数が「5部」である場合、3台全ての書込可能端末に端末用表示データが書き込まれる。
【0058】
そして、印刷ジョブに示される出力部数からS37またはS39にてデータ書込が行われた表示端末1の台数(書込済台数)を減じた値が、「0」であるか否かが判断される(S41)。出力部数から書込済台数を減じた値(すなわち、残り部数)が「0」でないと判断された場合(S41:NO)、残り部数と同数の紙媒体に対して印刷データに基づく画像印刷が行われる(S43)。例えば、ユーザから指定された出力部数が「5部」であり、S39にて「3台」の表示端末1にデータ書込が行われた場合は、S43にて「2部」の紙媒体に画像印刷が実行される。
【0059】
S37またはS39にてデータ書込が行われた表示端末1では、端末用表示データに基づく画像が表示部15に表示される。また、S37またはS39にて画像印刷が行われた紙媒体には、印刷データに基づく画像が形成される。そして、表示端末1での表示画像および紙媒体での印刷画像は、各メディアの特性等によって大きさ、色彩、解像度等に若干の差異は生じることはあるものの、PC3で出力指示された同一の画像データに基づく画像である。そのため、表示端末1での表示画像および印刷媒体での印刷画像のいずれを閲覧しても、ユーザはほぼ同一の表示内容を把握することができる。
【0060】
なお、紙媒体への画像印刷(S43)が終了すると、画像出力処理が終了される。また、残り部数が「0」であると判断された場合(S41:YES)、出力部数と同数の表示端末1にデータ書込が行われているため、紙媒体への画像印刷を行うことなく画像出力処理が終了される。
【0061】
以上説明した第1の実施形態によれば、複合機2において、複合機2(より詳しくは、USBコントローラ27)に接続されているという条件を少なくとも満たす表示端末1が、書込可能端末として特定される。そして、書込可能台数が出力部数以上である場合、出力部数分の表示端末1に端末用表示データが書き込まれる。また、書込可能台数が出力部数よりも少ない場合、全ての表示端末1に端末用表示データが書き込まれ、かつ、残り部数分の紙媒体に印刷データに基づく画像印刷が実行される。これによれば、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末1に画像書込が行われない残り部数分だけが紙媒体に画像印刷されるので、表示端末1を最大限有効活用するとともに紙媒体の使用量を抑制することができる。
【0062】
また、複合機2への接続が検知されると、表示端末1から取得された端末情報が接続端末データベースにエントリとして登録される。一方、複合機2からの切断が検知されると、表示端末1に対応するエントリが接続端末データベースから削除される。このように、接続端末データベースが表示端末1の接続または切断に応じて自動更新され、複合機2にて自動的に書込可能端末が特定される。そのため、ユーザが画像データの出力先となる表示端末1を指定する操作負担を低減することができる。
【0063】
また、接続端末データベースに登録されている各エントリの表示可能条件が書込条件を満たすか否かを特定することで、複合機2に接続されている表示端末1のうちで、出力対象の画像データの書込および表示に適した表示端末1が書込可能端末に特定される。これにより、出力対象の画像データの書込および表示に好適な表示端末1にデータ書込が行われるため、端末用表示データが書き込まれたにもかかわらず表示端末1で適正に画像表示されないという不具合の発生を抑制することができる。
【0064】
さらに、各エントリの表示可能条件には、表示端末1が表示可能な表示サイズ、表示端末1が表現可能な階調、表示端末1が備えるメモリの最大記憶容量または空き記憶容量等が含まれる。これにより、表示端末1の表示性能やハードウエア資源等をふまえて、表示端末1に不適な画像データが書き込まれて適正に表示できない不具合の発生を抑制することができる。
【0065】
次に、本発明の第2の実施形態について、図10〜図13を参照して説明する。図10は、第2の実施形態における、接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースのデータ構成を示す模式図である。図11は、第2の実施形態における、画像出力処理を示すフローチャートである。図12は、図11の画像出力処理中に実行される書込可能台数算出処理を示すフローチャートである。図13は、図11の画像出力処理中に起動されるロック解除タイマ処理を示すフローチャートである。
【0066】
第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態と同様であるが、複合機2に接続されている表示端末1にデータ書込が行われると、その表示端末1へのデータ書込が所定時間禁止される点が異なっている。以下では、第1の実施形態と同一構成については同一符号を付し、第1の実施形態と異なる点のみを説明する。
【0067】
図10に示すように、接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースには、第1の実施形態(図4参照)と同様に、複合機2に接続されている表示端末1と同数の接続端末情報のエントリが記憶されている。本実施形態の接続端末情報は、表示端末1から取得される「接続機器ID」のほか、複合機2にて設定される「ロック設定」および「ロック解除時間」を含む。「ロック設定」は、複合機2と接続している表示端末1(接続端末)に対するデータ書込の可否を示す。具体的には、データ書込が禁止(つまり、ロック)されている接続端末には「true」が設定され、データ書込が許可(つまり、アンロック)されている接続端末には「false」が設定される。「ロック解除時間」は、ロック設定「true」が設定されているエントリに設定され、データ書込の禁止(ロック)が解除されるまでの時間を示す。例えば、ロック解除時間「60sec」が設定されている場合、その時点から60秒経過後にロック設定「false」に更新されて、データ書込の禁止(ロック)が解除される。
【0068】
図11〜図13を参照して、第2の実施形態における画像出力処理について説明する。なお、図11に示す画像出力処理は、第1の実施形態(図8参照)と同様に、PC3から印刷ジョブを受信すると開始される。また、複合機2がプリンタドライバを有している場合には、操作キー26からの印刷指示に応じて印刷ジョブが生成されると、下記の処理が開始されるようにしてもよい。
【0069】
図11に示すように、画像出力処理では、まず出力対象の画像データを書込可能な表示端末1の台数を算出する書込可能台数算出処理が実行される(S71)。S71の書込可能台数算出処理の詳細を、以下説明する。
【0070】
図12に示すように、書込可能台数算出処理では、まず接続端末データベースにエントリが登録されているか否かが判断される(S91)。接続端末データベースにエントリが登録されていると判断された場合(S91:YES)、複合機2に接続されている表示端末1が存在するため、データ書込がロックされていないエントリが特定される(S93)。S93では、各エントリのロック設定が「true」および「false」のいずれであるかが判断され、ロック設定が「false」であるエントリに対応する表示端末1が、出力対象の画像データを書込可能な書込可能端末として特定される。そして、データ書込がロックされていないエントリ数(つまり、書込可能端末の台数)が、書込可能台数に設定される(S95)。具体的には、図10の接続端末データベースを例示すると、機器ID「BR26a9mnh7」のエントリはロック設定が「true」である一方、機器ID「a154848489」のエントリはロック設定が「false」であるため、書込可能台数「1台」に設定される。
【0071】
なお、接続端末データベースにエントリが登録されていないと判断された場合(S91:NO)、複合機2に接続されている表示端末1が存在しないことを示す。つまり、画像データを書込可能な書込可能端末が存在しないから、書込可能台数に「0」が設定される(S97)。S95またはS97が実行されたのちは、図11の画像出力処理に戻る。
【0072】
図11に戻り、第1の実施形態(図8参照)のS33〜S39と同様に、印刷データに基づいて作成された端末用表示データが、出力部数分または全ての書込可能端末に書き込まれる(S73〜S79)。そして、S77またはS79にて端末用表示データが書き込まれた表示端末1に対するデータ書込が禁止(ロック)される(S81)。具体的には、接続端末データベースにおいて、データ書込が行われた表示端末1に対応するエントリのロック設定が「false」から「true」に更新されるとともに、そのエントリのロック解除時間に所定時間(例えば、600sec)が設定される。
【0073】
そして、図示しないロック解除タイマが起動済みであるか否かが判断される(S83)。ロック解除タイマは、データ書込の禁止(ロック)が設定された時点からの経過時間をカウントするためのタイマ(システムタイマや内蔵タイマなど)である。ロック解除タイマが起動されていないと判断された場合(S83:NO)、ロック解除タイマを起動させるロック解除タイマ処理が別ルーチンとして起動されるが(S85)、以下説明する。
【0074】
図13に示すように、S85にて起動されるロック解除タイマ処理では、まず接続端末データベースに登録されている各エントリを参照して、ロック中の表示端末1(つまり、ロック設定「true」のエントリ)が存在するか否かが判断される(S101)。ロック中の表示端末1が存在すると判断された場合(S101:YES)、さらにロック解除時間が経過した表示端末1(つまり、ロック解除時間「0」のエントリ)が存在するか否かが判断される(S103)。ロック解除時間が経過した表示端末1が存在すると判断された場合(S103:YES)、その表示端末1についてデータ書込のロックが解除される(S105)。すなわち、ロック解除時間「0」のエントリについて、ロック設定が「true」から「false」に更新される。
【0075】
S105のロック解除が行われたのち、または、ロック解除時間が経過した表示端末1が存在しないと判断された場合(S103:NO)、ロック中の表示端末1に設定されているロック解除時間のうちで最も残り時間が少ないもの(つまり、ロック設定「true」の各エントリに対応する「ロック解除時間」のうちの最小値)が、ロック解除タイマの待ち時間に設定される(S107)。例えば、接続端末データベースに登録されている3つのエントリの「ロック解除時間」がそれぞれ100sec、300sec、600secである場合、S107では待ち時間として「100sec」が設定される。
【0076】
そして、ロック解除タイマによってカウントされる経過時間が、S107にて待ち時間が設定された時点から起算して、その待ち時間に至るまで待機状態とされる(S109)。ロック解除タイマによってカウントされる経過時間が、S107にて設定された待ち時間に至ると、ロック中の表示端末1に設定されているロック解除時間が、S107にて設定された待ち時間分を減算して更新される(S111)。すなわち、ロック設定「true」の各エントリに対応する「ロック解除時間」が、それぞれS107にて設定された待ち時間で減算される。
【0077】
S111にてロック解除時間が更新されると、S101に戻る。そして、ロック中の表示端末1が存在しないと判断されると(S101:NO)、ロック解除タイマ処理が終了される。言い換えると、ロック中の表示端末1が存在する限り、S101〜S111が繰り返し実行される。ところで、S111では、各エントリの「ロック解除時間」から残り時間が最も少ないロック解除時間(つまり、待ち時間)が減算されるため、最小の残り時間を有するロック解除時間は常に「0」となる。先述の例でいえば、S111が実行されると、各エントリの「ロック解除時間」がそれぞれ0sec、200sec、500secに更新される。そして、S105にて、ロック解除時間が「0」とされたエントリに対応する表示端末1がロック解除される。さらに、S107にて、新たな待ち時間(ここでは、200sec)が設定される。
【0078】
図11に戻り、ロック解除タイマ処理が起動されたのち(S85)、または、ロック解除タイマが起動済みであると判断された場合(S83:NO)、第1の実施形態(図8参照)のS41およびS43と同様に、出力部数が書込済台数よりも大である場合は、印刷データに基づいて残り部数分の紙媒体に印刷が実行され(S87、S89)、画像出力処理が終了される。
【0079】
以上説明した第2の実施形態によれば、複合機2において、接続端末データベースに登録されている各エントリのロック設定に基づいて、複合機2に接続されている表示端末1のうちで、データ書込がロックされていない表示端末1が書込可能端末に特定される。これにより、ロック中の表示端末1には端末用表示データが書き込まれないので、端末用表示データを書き込むべきでない表示端末1へのデータ書込を適切に防止することができる。特に、データ書込が行われた表示端末1へのデータ書込がロックされ、データ書込がロックされた時点からの経過時間が所定時間に至るとロックが解除されるため、データの上書きを適切に防止することができる。また、複合機2が複数のPC3に接続されている場合には、複合機2において一の表示端末1に対する複数のデータ書込みが同時期に発生しうる。この場合、各PC3のユーザはその表示端末1に自らのデータが書き込まれていると判断するため、複数のユーザが複合機2からその表示端末1を持ち出そうとするおそれがある。本実施形態によれば、複数のユーザによる表示端末1の持ち出しが衝突する不具合の発生も適切に防止することができる。
【0080】
また、データ書込が行われた表示端末1に対応するエントリには、データ書込のロックとともに書込禁止時間が設定される。そして、待ち時間ごとに書込禁止時間から待ち時間が減ぜられ、書込禁止時間の残り時間が0になるとデータ書込のロックが解除される。いずれかの表示端末1においてデータ書込のロックが解除されると、最も少ない書込禁止時間の残り時間が次回の待ち時間に設定される。これによれば、端末用表示データが書き込まれた表示端末1を所定時間が経過するまで書込禁止とする一方、前回のデータ書込から所定時間が経過した表示端末1を再び書き込み可能とすることができる。また、次回の待ち時間の経過後は残り時間が「0」となった表示端末1が存在するため、規定時間ごとに接続端末データベースを参照して残り時間が「0」となった表示端末1が存在するか否かを確認するよりも、大幅に接続端末データベースの参照回数を減らすことができる。
【0081】
次に、本発明の第3の実施形態について、図14〜図16を参照して説明する。図14は、第3の実施形態における、表示端末1、複合機2およびPC3によって構成される印刷システムのシステム構成図である。図15は、PC3の電気的構成を示すブロック図である。図16は、画像出力指示発行処理を示すフローチャートである。
【0082】
第3の実施形態は、基本的に第1および第2の実施形態と同様であるが、出力対象の画像データを紙媒体に印刷する部数と表示端末1に書込する部数との最適化が、PC3において実行される点が異なっている。以下では、第1および第2の実施形態と同一構成については同一符号を付し、第1および第2の実施形態と異なる点のみを説明する。
【0083】
図14に示すように、第3の実施形態に係る印刷システムでは、PC3が複数の複合機2と無線LANによって接続されている。そのため、複数の複合機2は、図示しないが、無線LAN通信によって他の機器(ここでは、PC3)と接続するための無線LANコントローラを備えている。複数の複合機2のうちで、少なくとも一つの複合機2は、表示端末1をUSBハブ4のポート数を上限に接続可能となっている。本構成の印刷システムでは、PC3から紙媒体に印刷可能な複合機2に印刷ジョブが送信されると、印刷ジョブを受信した複合機2では紙媒体への画像印刷が実行される。また、PC3から表示端末1が接続された複合機2に書込ジョブが送信されると、書込ジョブを受信した複合機2では表示端末1への画像書込が実行される。
【0084】
図15に示すように、PC3は、第1および第2の実施形態と同様に、CPU30、ROM31、RAM32、HDD33、キーボード36、マウス37、ディスプレイ35、CD−ROMドライブ38を有する通常のパーソナルコンピュータである。また、PC3は、無線LAN通信によって他の機器(ここでは、複数の複合機2)と接続するための無線LANコントローラ39を備えている。HDD33には、任意の画像を作成または編集するためのアプリケーションや、本発明に係る画像出力制御プログラムなどが記憶される。
【0085】
本実施形態の画像出力制御プログラムは、出力指示された画像データおよびその出力部数に基づいて、複合機2に紙媒体への画像印刷を実行させる印刷データや、複合機2に表示端末1への画像書込を実行させる端末用表示データを、PC3に作成させるためのプログラムである。そして、PC3にて作成された印刷データを含む印刷ジョブを出力先の複合機2に送信し、PC3にて作成された端末用表示データを含む書込ジョブを出力先の複合機2に送信するものとする。なお、画像出力制御プログラムは、従来のプリンタドライバと同様に、複合機2の導入時などにCD−ROMドライブ38に装着されたCD−ROM6から読み出されてHDD33に記憶される。
【0086】
図16を参照して、PC3において実行される画像出力指示発行処理について説明する。なお、図16に示す画像出力指示発行処理は、キーボード36やマウス37からの出力指示(出力対象の画像データおよびその出力部数を含む。)がなされると、HDD33からRAM32に画像出力制御プログラムが読み出され、この画像出力制御プログラムに基づいてCPU30によって実行される。
【0087】
図16に示すように、画像出力指示発行処理では、まず複合機2との間で実行される無線LAN通信によって、複合機2から接続端末情報記憶エリア231に記憶されている接続端末情報(つまり、接続端末データベースの各エントリ)が取得される(S201)。そして、S201にて取得された接続端末情報に基づいて、出力対象の画像データを書込可能な表示端末1の台数を算出する書込可能台数算出処理が実行される(S203)。S203の書込可能台数算出処理は、第1の実施形態(図9参照)または第2の実施形態(図12参照)と同様である。
【0088】
そして、S203にて算出された書込可能台数が、出力指示に示される出力部数よりも大であるか否かが判断される(S205)。書込可能台数が出力部数よりも大であると判断された場合(S205:YES)、出力対象の画像データに基づいて、出力部数分の書込可能端末に画像書込を行うための端末用表示データが作成される(S207)。また、書込可能台数が出力部数以下であると判断された場合(S205:NO)、全ての書込可能端末に画像書込を行うための端末用表示データが作成される(S209)。詳細には、S207およびS209では、出力対象の画像データに基づいて、表示端末1の表示部15の大きさに応じた表示画像のサイズ変換(拡大または縮小)や、表示端末1の表示能力に応じた解像度変換や色変換などが実行される。なお、S203にて算出された書込可能台数が「0」である場合は、S207およびS209の端末用表示データの作成を実行しないようにしてもよい。
【0089】
S207またはS209にて端末用表示データが作成されると、その端末用表示データおよび出力対象端末情報を含む書込ジョブが、S201にて接続端末情報が取得された複合機2に送信される(S211)。出力対象端末情報は、複合機2に接続されている表示端末1のうちで端末用表示データを実際に書き込む表示端末1を、接続端末情報に含まれる接続機器IDで示す。書込ジョブを受信した複合機2では、出力対象端末情報に対応する表示端末1に、端末用表示データがそれぞれ書き込まれる。
【0090】
そして、出力指示に示される出力部数から、S207またはS209にて作成された書込ジョブに示される書込対象の表示端末1の台数(書込済台数)を減じた値が、「0」であるか否かが判断される(S213)。出力部数から書込済台数を減じた値(すなわち、残り部数)が「0」でないと判断された場合(S215:NO)、従来のプリンタドライバと同様に、出力対象の画像データに基づいて出力部数分の紙媒体に画像印刷を行うための印刷データが作成される(S215)。S215にて印刷データが作成されると、その印刷データを含む印刷ジョブが、紙媒体に対して印刷可能な複合機2に送信される(S217)。印刷ジョブを受信した複合機2では、印刷データに基づいて出力部数分の紙媒体に画像印刷が実行される。
【0091】
なお、印刷ジョブの送信(S217)が終了すると、画像出力処理が終了される。また、残り部数が「0」であると判断された場合(S213:YES)、出力部数と同数の表示端末1にデータ書込が行われているため、紙媒体への画像印刷を行うことなく画像出力処理が終了される。
【0092】
以上説明した第3の実施形態によれば、PC3において、複合機2(より詳しくは、USBコントローラ27)に接続されているという条件を少なくとも満たす表示端末1が、書込可能端末として特定される。そして、書込可能台数が出力部数以上である場合、出力部数分の表示端末1への画像書込を複合機2に実行させる端末用表示データが作成される。また、書込可能台数が出力部数よりも少ない場合、全ての表示端末1への画像書込を複合機2に実行させる端末用表示データが作成され、且つ、残り部数分の紙媒体への画像印刷を複合機2に実行させる印刷データが作成される。これによれば、画像データを複数部数で出力する場合に、表示端末1に画像書込が行われない残り部数分だけが紙媒体に画像印刷されるので、表示端末1を最大限有効活用するとともに紙媒体の使用量を抑制することができる。
【0093】
また、ユーザの操作端末であるPC3にて出力対象の画像データを紙媒体に印刷する部数と表示端末1に書込する部数との最適化が図られるため、別々の複合機2に対してそれぞれ紙媒体への画像印刷および表示端末1への画像書込を指示することができる。そのため、例えばオフィス内に存在するPC3にて文書を4部出力指示し、会議室に設置された複合機2に接続されている3台の表示端末1に画像書込させるとともに、オフィス内に存在する複合機2に1部の紙媒体に控え用として画像印刷させる等、多種多様な用途に使用することが可能である。
【0094】
なお、上記第1〜第3の実施形態において、USBコントローラ27が本発明の「接続手段」に相当する。USBコントローラ27を介してデータ書込を実行するCPU20が、「書込手段」に相当する。記録部28が、本発明の「印刷手段」に相当する。LANコントローラ29を介して印刷ジョブの受信を実行するCPU20、キーボード36やマウス37からの入力操作の受付を実行するCPU30が、本発明の「受付手段」にそれぞれ相当する。S31、S71、S203を実行するCPU20が、本発明の「端末数量特定手段」にそれぞれ相当する。S35、S75、S205を実行するCPU20が、本発明の「数量判断手段」にそれぞれ相当する。S37、S77を実行するCPU20が、本発明の「第1出力制御手段」にそれぞれ相当する。S39およびS43、S79およびS89を実行するCPU20が、本発明の「第2出力制御手段」にそれぞれ相当する。機器接続監視処理(図5)を実行するCPU20が、本発明の「検出手段」に相当する。S15を実行するCPU20が、本発明の「端末情報取得手段」に相当する。接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースが、本発明の「端末情報記憶手段」に相当する。接続検知処理(図6)および切断検知処理(図7)を実行するCPU20が、本発明の「端末情報更新手段」に相当する。S81を実行するCPU20が、本発明の「書込禁止設定手段」に相当する。ロック解除タイマ処理(図13)を実行するCPU20が、本発明の「書込禁止解除手段」に相当する。S111を実行するCPU20が、本発明の「書込禁止時間更新手段」に相当する。S105を実行するCPU20が、本発明の「解除実行手段」に相当する。S107を実行するCPU20が、本発明の「待ち時間設定手段」に相当する。S201を実行するCPU30が、本発明の「端末数量取得手段」に相当する。S207を実行するCPU30が、本発明の「第1出力用データ作成手段」に相当する。S209およびS215を実行するCPU30が、本発明の「第2出力用データ作成手段」に相当する。S211およびS217を実行するCPU30が、本発明の「出力用データ送信手段」に相当する。なお、S31、S71、S203が、本発明の「端末数量特定ステップ」にそれぞれ相当する。S35、S75が、本発明の「数量判断ステップ」にそれぞれ相当する。S37、S77が、本発明の「第1出力制御ステップ」にそれぞれ相当する。S39およびS43、S79およびS89が、本発明の「第2出力制御ステップ」にそれぞれ相当する。
【0095】
なお、本発明は、上記した第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、第1および第2の実施形態を組み合わせて、複合機2に接続されている表示端末1のうちで、書込条件を満たすとともにデータ書込がロックされていない表示端末1を書込可能端末に特定してもよい。また、第3の実施形態において、PC3が複数の複合機2に接続されているが、これらの複合機2は紙媒体への画像印刷が可能なプリンタであってもよいし、表示端末1への画像書込が可能なコンピュータであってもよい。
【0096】
また、第2の実施形態において、データ書込の禁止設定(ロック)は、複合機2にてロック設定を「true」に更新する態様に限定されない。例えば、表示端末1への画像書込が実行されると、その表示端末1にて端末情報記憶エリア131に記憶されている端末情報のロック設定を「true」に更新してもよい。この場合も、表示端末1から取得された端末情報のロック設定に基づいて、複合機2ではロック中の表示端末1を書込可能端末に特定しないようにすればよい。なお、データ書込のロックは、上記のように表示端末1への画像書込が実行契機となる態様に限定されず、表示端末1や複合機2におけるユーザ操作に応じて、任意の表示端末1に対するデータ書込のロックまたはその解除が適宜行われるようにしてもよい。
【0097】
また、第1〜第3の実施形態において、複合機2またはPC3では、画像データの出力部数の全てを表示端末1へのデータ書込または紙媒体への画像印刷に振り分けているが、これに限定されない。例えば、PC3にてユーザが、画像データの出力先または非出力先をその対象部数とともに任意に指定する。そして、書込可能台数算出処理(S31、S71、S203)では、S57またはS95で特定された書込可能台数が、ユーザ指定の出力先または非出力先と対象部数とに応じて増減されるようにしてもよい。
【0098】
具体的には、PC3にてユーザが、画像データの出力先に「紙媒体」を指定し、その部数に「n部」を指定したものとする。すると、書込可能台数算出処理(S31、S71、S203)では、書込可能台数のほうが出力部数よりも多い場合、最終的な書込可能台数として「書込可能台数−n」が設定される。これにより、「書込可能台数−n」の表示端末1にデータ書込が行われ、「出力部数−書込済台数(つまり、書込可能台数−n)」の紙媒体に画像印刷が行われる。そのため、ユーザは、書込可能台数のほうが出力部数よりも多い場合でも、少なくとも出力部数の一部(ここでは、n部以上)を任意に紙媒体に印刷することができる。
【0099】
また、PC3にてユーザが、画像データの非出力先に「表示端末」を指定し、その部数に「m部」を指定したものとする。すると、書込可能台数算出処理(S31、S71、S203)では、書込可能台数のほうが出力部数よりも少ない場合、最終的な書込可能台数として「書込可能台数−m」が設定される。これにより、「書込可能台数−m」の表示端末1にデータ書込が行われ、「出力部数−書込済台数(つまり、書込可能台数−m)」の紙媒体に画像印刷が行われる。そのため、ユーザは、書込可能台数のほうが出力部数よりも少ない場合でも、表示端末1の一部(ここでは、m部以上)をデータ書込が行われないように残しておくことができる。
【0100】
また、第1〜第3の実施形態において、PC3と複合機2は有効にデータ送受できるのであれば、その接続形態は有線または無線のLAN接続に限定されない。さらに、複数の表示端末1を複合機2に有効に接続できるのであれば、その接続形態はUSB接続を問わない。例えば、複数の表示端末1が複合機2に無線LANで接続されてもよいし、LANハブを介して有線接続されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】第1の実施形態における、表示端末1、複合機2およびPC3によって構成される印刷システムのシステム構成図である。
【図2】表示端末1の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】複合機2の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態における、接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースのデータ構成を示す模式図である。
【図5】機器接続監視処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の機器接続監視処理中に実行される接続検知処理を示すフローチャートである。
【図7】図5の機器接続監視処理中に実行される切断検知処理を示すフローチャートである。
【図8】第1の実施形態における、画像出力処理を示すフローチャートである。
【図9】図8の画像出力処理中に実行される書込可能台数算出処理を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施形態における、接続端末情報記憶エリア231に記憶される接続端末データベースのデータ構成を示す模式図である。
【図11】第2の実施形態における、画像出力処理を示すフローチャートである。
【図12】図11の画像出力処理中に実行される書込可能台数算出処理を示すフローチャートである。
【図13】図11の画像出力処理中に起動されるロック解除タイマ処理を示すフローチャートである。
【図14】第3の実施形態における、表示端末1、複合機2およびPC3によって構成される印刷システムのシステム構成図である。
【図15】PC3の電気的構成を示すブロック図である。
【図16】画像出力指示発行処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
1 表示端末
2 複合機
3 PC
4 USBハブ
20 CPU
21 ROM
22 RAM
23 EEPROM
24 スキャナ部
26 操作キー
27 USBコントローラ
28 記録部
29 LANコントローラ
30 CPU
31 ROM
32 RAM
33 HDD
36 キーボード
37 マウス
39 無線LANコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示端末が接続される接続手段と、
前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、
印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段と、
出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段と、
前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定手段と、
前記端末数量特定手段によって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段と、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御手段と、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記接続手段に対する前記表示端末の接続状態および切断状態を検出する検出手段と、
前記接続手段に接続されている前記表示端末から、前記表示端末に固有の情報を含む端末情報を取得する端末情報取得手段と、
前記端末情報取得手段により取得された前記端末情報を記憶する端末情報記憶手段と、
前記端末情報記憶手段に記憶されている前記端末情報を、前記検出手段によって検出された前記接続状態または前記切断状態に応じて更新する端末情報更新手段とを備え、
前記端末数量特定手段は、前記接続状態に応じて更新されたことを示す前記端末情報に対応する前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記端末情報は、前記表示端末にて表示可能な画像データの条件を示す表示可能条件を含み、
前記端末数量特定手段は、前記表示可能条件が前記画像データを表示可能であることを示す前記端末情報に対応する前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記表示可能条件は、前記表示端末が表示可能な表示サイズ、前記表示端末が表現可能な階調、および、前記表示端末が備える記憶手段の最大記憶容量または空き記憶容量、の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記端末数量特定手段は、前記端末情報記憶手段に記憶されている前記端末情報を参照して、前記書込手段による書込禁止が設定されていない前記表示端末の数量を、前記書込可能端末の数量に特定することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記書込手段による書き込みが行われた前記表示端末に関する前記端末情報に、前記書込禁止を設定する書込禁止設定手段と、
前記書込禁止が設定された時点からの経過時間をカウントして、前記経過時間が所定時間に至ると前記書込禁止を解除する書込禁止解除手段と
を備えたことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記書込禁止設定手段は、前記書込手段による書き込みが行われた前記表示端末に関する前記端末情報に、前記書込禁止が有効とされる書込禁止時間を設定し、
前記書込禁止解除手段は、
前記端末情報の前記書込禁止時間から待ち時間を減ずる書込禁止時間更新手段と、
前記書込禁止時間の残り時間が0になった前記端末情報に設定されている前記書込禁止を解除する解除実行手段と、
前記解除実行手段によっていずれかの前記書込禁止が解除されると、前記端末情報のうちで最も少ない前記書込禁止時間の残り時間を、次回の前記待ち時間に設定する待ち時間設定手段と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記端末数量特定手段は、前記画像データの出力先または非出力先が対象部数とともに指定されている場合、前記画像データの出力先または非出力先と前記対象部数とに応じて前記書込可能端末の数量を増減させることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項9】
表示端末が接続される接続手段と、
前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、
印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段と
を備えた印刷装置において、出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付けて、前記書込手段による書き込みおよび前記印刷手段による印刷を制御する印刷方法であって、
前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定ステップと、
前記端末数量特定ステップによって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断ステップと、
前記数量判断ステップによって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御ステップと、
前記数量判断ステップによって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御ステップと
を備えたことを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
表示端末が接続される接続手段と、
前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、
印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段と
を備えた印刷装置に用いられ、前記書込手段による書き込みおよび前記印刷手段による印刷を制御するための印刷制御プログラムであって、
コンピュータを、
出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段、
前記接続手段に接続されている条件を少なくとも満たす前記表示端末の数量を、前記画像データを書き込み可能な書込可能端末の数量に特定する端末数量特定手段、
前記端末数量特定手段によって特定された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、全ての前記書込可能端末のうちで前記出力部数と同数の前記書込可能端末に、前記画像データを前記書込手段によって書き込ませる第1出力制御手段、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、全ての前記書込可能端末に前記画像データを前記書込手段によって書き込ませ、且つ、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を、前記印刷手段によって前記画像データを前記印刷媒体に印刷させる第2出力制御手段
として機能させるための印刷制御プログラム。
【請求項11】
表示端末が接続される接続手段と、
前記接続手段に接続された前記表示端末に画像データを書き込む書込手段と、
印刷媒体に画像データを印刷する印刷手段と
を備えた印刷装置に接続され、前記印刷装置において前記表示端末および前記印刷媒体の少なくとも一方に画像データを出力するための出力用データを作成する画像出力制御装置であって、
出力対象の画像データおよび前記画像データの出力部数を受け付ける受付手段と、
前記画像データに基づく画像を書き込み可能な前記表示端末である書込可能端末の数量を、前記印刷装置から取得する端末数量取得手段と、
前記端末数量取得手段によって取得された前記書込可能端末の数量が、前記出力部数以上であるか否かを判断する数量判断手段と、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数以上であると判断された場合、前記画像データを前記書込可能端末に書き込むための前記出力用データである端末出力用データを、前記出力部数の同数の前記書込可能端末に書き込ませるように作成する第1出力用データ作成手段と、
前記数量判断手段によって前記書込可能端末の数量が前記出力部数よりも少ないと判断された場合、前記端末出力用データを全ての前記書込可能端末に書き込ませるように作成し、且つ、前記画像データを前記印刷媒体に印刷するための前記出力用データである印刷出力用データを、前記出力部数から前記書込可能端末の数量を減じた残り部数を前記印刷媒体に印刷させるように作成する第2出力用データ作成手段と、
前記第1出力用データ作成手段によって作成された前記端末出力用データ、または、前記第2出力用データ作成手段によって作成された前記端末出力用データおよび前記印刷出力用データを、前記印刷装置に送信する出力用データ送信手段と
を備えたことを特徴とする画像出力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−141852(P2010−141852A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318971(P2008−318971)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】