説明

印刷装置および印刷制御方法

【課題】
機密性を失うことなく印刷処理が行え、かつ、プリンタの前での待ち時間を短縮できるようにした印刷装置および印刷制御方法を提供する。
【解決手段】
ホスト端末101のカードリーダ102にユーザ識別情報を有するカードを挿入した状態で印刷要求をプリンタ201へ送信すると、該印刷要求は機密性を要する親展印刷要求として扱われる。親展印刷要求を受信したプリンタ201は、施錠機構付きメールボックス215に印刷物を出力する。また、施錠機構付きメールボックス215に空きがない場合であっても、印刷要求送信時に、カードリーダ102に挿入したカードを使ってプリンタ201のユーザ認証機構で認証を行った場合には、施錠機構がないメールボックス214にも印刷物の出力が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷制御方法に関し、詳しくは、施錠可能な施錠機構付きの親展印刷専用排紙部を有する場合に、該親展印刷専用排紙部の有効利用を可能にした印刷装置および印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機密性を要する印刷を行う印刷装置において、施錠可能な排出先を複数持ち、ユーザによってその排出先を振り分けるメールボックス方式を採用する装置、また、暗証番号などを印刷データに付加する方式を採用する装置など様々な手法により印刷物の機密性を確保する方法が提案されている。
【0003】
例えば、上述したメールボックス方式を採用する技術に関するものとして、特許文献1記載の「プリンタ装置」が開示されている。
【0004】
この特許文献1の発明は、プリンタ装置を利用するユーザ数に対してビン数が不足する場合には施錠されていないビンに出力を行うため、施錠されたビンの機密保持を保ちつつ、柔軟に対処することができるという技術について言及されている。
【0005】
また、上述した暗証番号方式を採用する技術に関するものとして、特許文献2記載の「セキュリティ機能付共用出力装置」が開示されている。
【0006】
この特許文献2の発明は、機密性を確保する必要があるデータをメモリに一旦保存し、暗証番号などの入力に対応して印刷することにより、機密性を確保した印刷を行うという技術について言及されている。
【特許文献1】特開平07−247047号
【特許文献2】特開平03−269756号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の発明は、メールボックスの数を超えるユーザが使用しようとしてメールボックスが不足した場合に、メールボックスが空くまで印刷を待つか、あるいは、機密性を諦めて共有ボックスへ排紙するしかないという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献2の発明は、印刷要求を行ってからどんなに時間が経過していたとしても、印刷を開始するのはユーザ認証後であるため、ユーザはプリンタの前で印刷終了まで待たされてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、機密性を失うことなく印刷処理が行え、かつ、プリンタの前での待ち時間を短縮できるようにした印刷装置および印刷制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる施錠機構を有する第1の排紙部と、前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる第2の排紙部と、前記親展印刷要求のユーザ認証を行う認証手段と、前記第1の排紙部の空を検出する空検出手段と、前記第1の排紙部に対する前記親展印刷要求に係わる印刷済用紙の排紙に際して該第1の排紙部の施錠機構を施錠状態に制御し、前記認証手段による該親展印刷要求に係わるユーザ認証により該施錠機構の施錠状態を解除する施錠制御手段と、前記親展印刷要求の受付に際して、前記認証手段で該親展印刷要求のユーザ認証が行われる前で前記空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部があると検出されている場合は、該空の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行し、前記認証手段で該親展印刷要求に係わるユーザの認証が行われた場合は、前記第2の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記第1の排紙部の中に前記親展印刷要求に係わるユーザと同一のユーザの排紙が行われている排紙部がある場合は、該排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行することを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブを一時保留するバッファ手段を更に具備し、前記制御手段は、前記第1の排紙部の中に空の排紙部がない場合は、前記バッファ手段で親展印刷要求に係わる印刷ジョブを保留し、前記第1の排紙部の中に空の排紙部があると検出されるとともに、該空の排紙部を排紙先として前記バッファ手段で保留されている該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の発明において、前記認証手段によるユーザ認証後の親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙先を報知する報知手段を更に具備することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明において、前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブは、通常の印刷要求に係わる印刷ジョブに優先して実行されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の発明において、前記認証手段によるユーザ認証後の親展印刷要求に係わる印刷ジョブは、前記認証手段によるユーザ認証前の親展印刷要求に係わる印刷ジョブに優先して実行されることを特徴とする。
【0016】
また、請求項7の発明は、親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる施錠機構を有する第1の排紙部と、前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる第2の排紙部とを具備する印刷装置の印刷制御方法において、前記親展印刷要求の受付に際して、該親展印刷要求のユーザ認証が認証手段で行われる前で、空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部があると検出されている場合は、該空の第1の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行するとともに、該排紙先の第1の排紙部の施錠機構を施錠制御手段により施錠状態に制御し、親展印刷要求のユーザ認証が認証手段で行われる前で、空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部がないと検出されている場合は、該親展印刷要求に係わる印刷ジョブをバッファ手段に保存し、前記認証手段で前記バッファ手段に保存された印刷ジョブのユーザの認証が行われた場合は、該印刷ジョブを前記第2の排紙部を排紙先として実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機密性を失うことなく印刷処理が行え、かつ、プリンタの前での待ち時間を短縮できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明に係わる印刷装置および印刷制御方法の実施例について添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係わる印刷制御方法をプリンタ201に適用して構成したシステムの概略構成を示す図である。なお、本発明の機能が実行されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなるシステムであっても、LAN(Local Area Network),WAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続が為され処理が行われるシステムであっても本発明を適用できる。
【0020】
図1において、本発明に係わるプリンタ201は、LAN301に接続され、このLAN301には複数台のホスト端末101が接続されている。
【0021】
プリンタ201には、ユーザ認証機構として、図示しないカードリーダが備えられている。カードにはユーザを識別するための情報が書き込まれており、ユーザがカードをプリンタ201のカードリーダに挿し込むと、プリンタ201はユーザ識別情報をカードから読み取ってユーザ認証を行う。
【0022】
さらにプリンタ201には、排紙部として通常の排紙トレイ213とメールボックス214および215を備えており、同図に示されるプリンタ201においては、通常の排紙トレイ213が1つとメールボックス214および215が4つ装備されている。この排紙トレイ213は、プリンタ201を使用する全てのユーザが印刷物を自由に取り出せる通常の排紙先を示しており、一方、メールボックス214および215は機密性を要する印刷要求時の排紙先として使用され、メールボックス214を除くメールボックス215には電子的な施錠機構が取り付けられており、通常ロックされた状態になっているため、ボックス内の用紙が取り出せないようになっている。
【0023】
一方、ホスト端末101にもカードリーダ102が設置されており、機密性を要する印刷処理を行う場合、すなわち、メールボックス214および215に排紙を行う印刷要求(以下、親展印刷要求)を送信する場合には、ホスト端末101に接続されるカードリーダ102にカードを挿入しホスト端末101にユーザ識別情報を読み込ませることにより行える。この場合、印刷要求時にカードリーダ102にカードが挿入されていれば、自動的に親展印刷要求とみなすよう構成してもよいし、予めカードリーダ102からホスト端末101にユーザ識別情報を読み込ませておき、印刷要求時に図示しないプリンタドライバの設定画面から親展印刷の指定を行うよう構成してもよい。後者の場合は、ユーザ名の指定とパスワードの入力が必要となる。
【0024】
ここで、図1を使ってホスト端末101からプリンタ201へ親展印刷要求を行った場合の印刷処理の一連の流れを説明する。
【0025】
ホスト端末101のカードリーダ102にカードを挿入し、該カードからユーザ識別情報がホスト端末101に読み込まれた状態で印刷要求を行うと、親展印刷要求がプリンタ201へ送信される。印刷要求を受信したプリンタ201は、該印刷要求が親展印刷要求であると判断すると、印刷物の機密性を確保できるよう排紙先に施錠機構付きメールボックス215のいずれかを選択し、該メールボックス215に印刷物を出力する。ホスト端末101から親展印刷要求を行ったユーザが印刷物を取り出す場合には、親展印刷要求に際して使用したカードによりプリンタ201のカードリーダでユーザ認証を行う。ユーザ認証が正常に行われると、プリンタ201は印刷物が排紙されたメールボックス215を開錠し、メールボックス215に取り付けられているユーザ識別のためのランプを点灯させるとともに、プリンタ201のコンソールパネル上に「ランプの点灯しているボックスから取り出してください」とのメッセージを表示する。ユーザはこれを見て、対応するメールボックス215から印刷物を取り出すことができる。
【0026】
なお、上述した構成においては、ユーザ識別情報を保持するカードにより親展印刷を行う場合を説明したが、これに限られず、親展印刷指示に際して暗証番号などを入力するように構成してもよい。また、親展印刷を行ったユーザが機密性を確保したままプリンタ201から印刷物を取り出すことができるのならば、その他のユーザ認証方法でもよい。
【0027】
図2は、図1に示したシステム構成図を機能毎にブロック図として示したものである。なお、図1と同一のものには同一の符号を付してある。
【0028】
同図には、カードリーダ102と接続されたホスト端末101およびプリンタ201が示されており、プリンタ201は内部に、コントローラ部202およびエンジン部208を具備して構成される。
【0029】
コントローラ部202は、印刷ジョブに関する制御を統括して行うジョブ制御部203、ホスト端末101から受信した印刷ジョブを記憶するジョブバッファ204、印刷ジョブをイメージに展開する画像イメージ展開部205、ユーザ識別情報の認証を行うユーザ認証部206、メールボックス214および215に関する情報を管理するメールボックス情報テーブル207を具備して構成される。
【0030】
エンジン部208は、エンジン部208における制御を統括して行うエンジン制御部209、用紙の給紙を行う給紙部210、給紙部210から給紙された用紙に画像を形成する画像形成部211、通常の排紙トレイ213および親展印刷用の排紙先であるメールボックス214、215を備える排紙部212を具備して構成される。
【0031】
ジョブ制御部203は、ジョブバッファ204内の印刷ジョブをキュー(First In First Out)で管理し、該印刷ジョブに排紙先の選択情報を付加しつつ、画像イメージ展開部205へ送る。
【0032】
例えば、このジョブ制御部203の制御処理として、ジョブバッファ204に、プリンタ201でユーザ認証が行われていない親展印刷指定の印刷ジョブが格納されている場合に、該印刷ジョブがジョブバッファ204内に先に格納された印刷ジョブであっても、施錠機構付きのメールボックス215が他のユーザにより全て使用されている場合には、ジョブバッファ204から出さずに他の印刷ジョブを優先するよう制御する。既に、同一のユーザが使用している施錠機構付きメールボックス215が存在するか、若しくは、空いている施錠機構付きメールボックス215があれば、通常の印刷ジョブと同様にジョブを画像イメージ展開部205へ送る。
【0033】
また、ユーザ認証が既になされた親展印刷指定の印刷ジョブの場合は、既に同一のユーザが使っている施錠機構付きメールボックス215があれば、該メールボックス215を排紙先とし、なければ施錠機構がないメールボックス214を排紙先とする。
【0034】
ユーザ認証部206は、先に述べたとおり、カードリーダを備えており、ユーザにより挿入されたカードからユーザ識別情報の読み込みを行う。
【0035】
メールボックス情報テーブル207は、各メールボックス214および215が、どのユーザに使用されているか、ユーザ認証済みかどうか、印刷された用紙が既に排出完了しているかどうか、・・・といった情報を一元管理しており、ジョブ制御部203、ユーザ認証部206が該データを利用して各々の制御を行っている。以上がプリンタ201の概略構成を示す各機能ブロック図の説明であり、次に、施錠機構付きメールボックス215の概略構成を図3を参照して説明する。
【0036】
同図には施錠機構付きメールボックス215が示されており、印刷物が自由に取り出されないように施錠を行う施錠機構216、ボックス内に用紙が入っているか否かを検出する用紙有無センサ217、印刷した用紙がどこに排紙されたかをユーザに識別させる排紙先識別ランプ218を具備して構成される。
【0037】
メールボックス215に排紙された印刷物は、メールボックス215に備わる開閉式の扉により他人の目に触れることはなく、ユーザ認証し施錠機構216の開錠を行わない限り、扉は開かず印刷物の機密性が保持される。また、図示しないがメールボックス214にも同様に開閉式の扉が備わっており、排紙された印刷物が他人の目に触れることはない。以上が施錠機構付きメールボックス215の概略構成を示す各機能ブロック図の説明である。
【0038】
図4は、図2に示したジョブ制御部203におけるジョブ制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【0039】
このジョブ制御処理が開始されると、ジョブ制御部203は、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行う(ステップS101)。ここで、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが不可能であると判断した場合は(ステップS101でNO)、印刷ジョブの受け付けが可能になるまで待機するが、印刷ジョブの受け付けが可能であると判断した場合は(ステップS101でYES)、ジョブバッファ204内に格納される印刷ジョブの内、最も先に受け付けた印刷ジョブにジョブポインタを設定する(ステップS102)。
【0040】
次に、ジョブポインタを設定した印刷ジョブが親展印刷指定の印刷ジョブであるか否かの判断を行う(ステップS103)。
【0041】
ここで、ジョブポインタを設定した印刷ジョブが親展印刷指定の印刷ジョブでない場合(ステップS103でNO)、通常の印刷処理であるので排紙トレイ213を排紙先として画像イメージ展開部205へ印刷ジョブを送信し(ステップS104)、該印刷ジョブをジョブバッファ204から削除する(ステップS111)。そして、再びステップS101に戻り、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行う。
【0042】
また、ジョブポインタを設定した印刷ジョブが親展印刷指定の印刷ジョブである場合(ステップS103でYES)、同一ユーザが使用中のメールボックス215があるか否かの判断を行う(ステップS105)。
【0043】
すなわち、親展印刷要求を指示したユーザが既に使用している施錠機構付きメールボックス215があるか否かの判断である。
【0044】
既に使用中の施錠機構付きメールボックス215がある場合は(ステップS105でYES)、該メールボックス215を排紙先として画像イメージ展開部205へ印刷ジョブを送信し(ステップS106)、該印刷ジョブをジョブバッファ204から削除する(ステップS111)。そして、再びステップS101に戻り、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行う。
【0045】
また、使用中の施錠機構付きメールボックス215がない場合は(ステップS105でNO)、プリンタ201のカードリーダでユーザ認証が行われたか否かの判断を行う(ステップS107)。
【0046】
ここで、ユーザ認証が既に行われ認証済みの印刷ジョブであると判断されると(ステップS107でYES)、施錠機構がないメールボックス214を排紙先として画像イメージ展開部205へ印刷ジョブを送信し(ステップS108)、該印刷ジョブをジョブバッファ204から削除する(ステップS111)。そして、再びステップS101に戻り、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行う。
【0047】
このステップS108の処理においては、施錠機構がないメールボックス214を排紙先として選択しているが、機密性を失うということは起こらない。すなわち、ユーザ認証済みということは、ユーザがプリンタ201の前まで来て、カードをカードリーダにセットしたことを意味しており、施錠機構がないメールボックス214に親展印刷要求に対する印刷物を排紙したとしても、ユーザがプリンタ201の前に居るので機密性を確保することができる。
【0048】
また、ユーザ認証が行われていない印刷ジョブである場合は(ステップS107でNO)、使用されていない施錠機構付きメールボックス215があるか否かの判断を行う(ステップS109)。
【0049】
使用されていない施錠機構付きメールボックス215がある場合は(ステップS109でYES)、該メールボックス215を排紙先として画像イメージ展開部205へ印刷ジョブを送信し(ステップS110)、該印刷ジョブをジョブバッファ204から削除する(ステップS111)。そして、再びステップS101に戻り、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行う。
【0050】
また、全ての施錠機構付きメールボックス215が使用中である場合は(ステップS109でNO)、ジョブポインタを次の(古い順)印刷ジョブに設定する(ステップS112)。ここで、次の印刷ジョブがない場合には(ステップS113でNO)、再びステップS101に戻り、画像イメージ展開部205において、印刷ジョブの受け付けが可能であるか否かの判断を行うが、次の印刷ジョブがある場合には(ステップS113でYES)、次の印刷ジョブに対してステップS103以降の処理を行う。以降、ジョブバッファ204内の印刷ジョブに対して上述した処理を繰り返す。
【0051】
上述したように本発明においては、ジョブ制御部203の処理によって、限られた数の施錠機構付きメールボックス215を効率的に使用できるよう制御するので、コスト面などの都合上、充分な数の施錠機構付きメールボックス215を備えることができないプリンタに本発明を適用した場合であっても、機密性を保ちつつ効率的な印刷処理が行える。
【0052】
図5は、図2に示したユーザ認証部206におけるユーザ認証処理の動作を説明するフローチャートである。
【0053】
なお、同図に示すユーザ認証処理は、ユーザがプリンタ201のカードリーダにカードを挿入した後の処理として説明する。また、ここで示す印刷ジョブとは親展印刷指定の印刷ジョブのことをいう。
【0054】
このユーザ認証処理が開始されると、まず、既にユーザ認証が行われたメールボックス215があるか否かの判断を行う(ステップS201)。すなわち、他のユーザにより先にユーザ認証がなされ、該認証により実行中の印刷処理があるか否かの判断である。
【0055】
ここで、他のユーザによりユーザ認証済みの印刷処理があると判断された場合は(ステップS201でYES)、プリンタ201のコンソールパネルに「他のユーザが使用中です」とのメッセージを表示し(ステップS203)、ステップS201に戻り、再びカードが挿入されるまで待機する。
【0056】
また、他のユーザにより認証済みの印刷処理がないと判断された場合は(ステップS201でNO)、挿入されたカードよりユーザ識別情報の読み取りを行い(ステップS202)、該カードを挿入した認証ユーザにより使用されているメールボックス215があるか否かの判断を行う(ステップS204)。
【0057】
使用中のメールボックス215がないと判断された場合は(ステップS204でNO)、ジョブバッファ204内に、認証ユーザの印刷ジョブがあるか否かの判断を行う(ステップS205)。そして、認証を行ったユーザと対応する印刷ジョブがないと判断された場合は(ステップS205でNO)、プリンタ201のコンソールパネルに「該当する印刷ジョブがありません」とのメッセージを表示し(ステップS211)、ステップS201に戻り、カード挿入されるまで待機する。
【0058】
また、ステップS205で、認証を行ったユーザと対応する印刷ジョブがあると判断された場合は(ステップS205でYES)、ジョブバッファ204内に格納される印刷ジョブの内、認証ユーザと対応する印刷ジョブを全て認証済みとし(ステップS212)、メールボックス情報テーブル207に施錠機構がないメールボックス214を使用中、かつ認証済みを設定し(ステップS213)、ステップS201に戻り、カード挿入されるまで待機する。
【0059】
また、ステップS204で、使用中のメールボックス215があると判断された場合は(ステップS204でYES)、ジョブバッファ204内に、認証ユーザの印刷ジョブがあるか否かの判断を行う(ステップS206)。
【0060】
そして、認証を行ったユーザと対応する印刷ジョブがあると判断された場合は(ステップS206でYES)、ジョブバッファ204内に格納される印刷ジョブの内、認証ユーザと対応する印刷ジョブを全て認証済みとし(ステップS209)、メールボックス情報テーブル207に認証済みを設定し(ステップS210)、ステップS201に戻り、カード挿入されるまで待機する。
【0061】
また、認証を行ったユーザと対応する印刷ジョブがないと判断された場合は(ステップS206でNO)、既に印刷物が排紙済みであるか否かの判断を行う(ステップS207)。
【0062】
既に印刷物が排紙済みであると判断された場合は(ステップS207でYES)、該印刷物の排紙先のメールボックス215の施錠を開錠し(ステップS208)、メールボックス情報テーブル207に認証済みを設定し(ステップS210)、ステップS201に戻り、カード挿入されるまで待機する。
【0063】
印刷物が排紙済みでないと判断された場合は(ステップS207でNO)、メールボックス情報テーブル207に認証済み、未排出を設定し(ステップS210)、ステップS201に戻り、カード挿入されるまで待機する。以降、プリンタ201のユーザ認証部206にカードが挿入される都度、上述した処理を繰り返す。
【0064】
上述したように本発明においては、親展印刷要求に対する印刷処理を行う際に、施錠機構付きメールボックス215に空きがない場合であっても、ユーザ認証することで、他人の目に触れることなく排紙できるメールボックス214に排紙するよう構成したので、機密性を保持しつつ、印刷物をすぐに手に入れることができる。
【0065】
図6は、図2に示した排紙部212における排紙制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【0066】
この排紙制御処理が開始されると、排紙終了通知があるか否かの判断を行う(ステップS301)。すなわち、排紙トレイ213、メールボックス214および215のいずれかにおいて印刷物の排紙が行われたか否かの判断である。ここで、排紙終了通知がない場合は(ステップS301でNO)、排紙終了通知があるまで待機するが、排紙終了通知を受信した場合は(ステップS301でYES)、排紙先が施錠機構付きメールボックス215であるか否かの判断を行う(ステップS302)。
【0067】
排紙先が施錠機構付きメールボックス215以外の場合は(ステップS302でNO)、ステップS301に戻り、排紙終了通知を受け付けるまで待機するが、排紙先が施錠機構付きメールボックス215である場合は(ステップS302でYES)、該排紙先を使用しているユーザの印刷ジョブがジョブバッファ204内にあるか否かの判断を行う(ステップS303)。
【0068】
ここで、施錠機構付きメールボックス215を使用しているユーザの印刷ジョブがジョブバッファ204内にある場合は(ステップS303でYES)、ステップS301に戻り、排紙終了通知を受け付けるまで待機する。また、施錠機構付きメールボックス215を使用しているユーザの印刷ジョブがジョブバッファ204内にない場合は(ステップS303でNO)、メールボックス情報テーブル207に排紙済みを設定する(ステップS304)。
【0069】
次に、メールボックス215が既にユーザ認証済みであるか否かの判断を行う(ステップS305)。該メールボックス215のユーザ認証が行われていない場合は(ステップS305でNO)、ステップS301に戻り、排紙終了通知を受け付けるまで待機する。
【0070】
また、ステップS305で該メールボックス215が既にユーザ認証済みである場合は(ステップS305でYES)、メールボックス215の施錠機構216を開錠し(ステップS306)、ステップS301に戻り、排紙終了通知を受け付けるまで待機する。以降、排紙終了通知受信の都度、上述した処理を繰り返す。
【0071】
図7は、図2に示したメールボックス215におけるメールボックス制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【0072】
このメールボックス制御処理が開始されると、メールボックス215は扉が閉じられたか否かの監視を開始する(ステップS401)。
【0073】
メールボックス215の扉が閉じられたことを検知しない場合は(ステップS401でNO)、該メールボックス215がユーザ認証済みのボックスであるか否かの判断を行う(ステップS404)。
【0074】
メールボックス215の扉が閉じられたことを検知すると(ステップS401でYES)、用紙有無の判断処理を行う(ステップS402)。この用紙有無の判断処理はメールボックス215に設置された用紙有無センサ217の判断に基づき行われる。
【0075】
ここで、用紙がメールボックス215に残っていると判断された場合(ステップS402でNO)、該メールボックス215がユーザ認証済みのボックスであるか否かの判断を行う(ステップS404)。
【0076】
また、用紙がメールボックス215に残っていないと判断された場合は(ステップS402でYES)、メールボックス情報テーブル207に未使用、未排出、未認証を設定し(ステップS403)、該メールボックス215がユーザ認証済みのボックスであるか否かの判断を行う(ステップS404)。
【0077】
該メールボックス215のユーザ認証が行われていない場合は(ステップS404でNO)、ステップS401に戻り、再びメールボックス215の扉が閉じられたか否かの監視を行うが、該メールボックス215が既にユーザ認証済みである場合は(ステップS404でYES)、該メールボックス215に印刷物が排出済みか否かの判断を行う(ステップS405)。
【0078】
ここで、メールボックス215に印刷物が排出済みの場合は(ステップS405でYES)、該メールボックス215の排紙先識別ランプ218を点灯し(ステップS406)、プリンタ201のコンソールパネルに「ランプの点灯しているボックスから取り出してください」とのメッセージを表示する(ステップS407)。そして、ステップS401に戻り、再びメールボックス215の扉が閉じられたか否かの監視を行う。
【0079】
また、メールボックス215に印刷物が排出中の場合は(ステップS405でNO)、該メールボックス215の排紙先識別ランプ218を点滅させ(ステップS408)、プリンタ201のコンソールパネルに「印刷終了までもうしばらくお待ちください」とのメッセージを表示する(ステップS409)。そして、ステップS401に戻り、再びメールボックス215の扉が閉じられたか否かの監視を行う。
【0080】
なお、上述した説明においては、ユーザに印刷状況を報知する方法として、プリンタ201のコンソロールパネルに印刷ステータスを表示する場合を説明したが、これに限られず、ユーザが扱うホスト端末101に印刷ステータスを表示するようにしてもよいし、プリンタ201から音声アナウンスを行うように構成してもよい。ホスト端末101への表示および音声アナウンスにより報知する方法で構成した場合には、印刷待ち状態であることをユーザは印刷指示を行った場所で認識することができため、印刷物を取りに行くタイミングを把握することができ、さらに印刷待ち時間を短縮できる。
【0081】
次に、図8から図10を参照しながら、図2に示したプリンタ201における印刷制御処理の動作を具体例を用いて説明する。
【0082】
図8から図10にはステップ501〜ステップ511までの処理が記載されており、ステップ毎にメールボックス情報テーブル207およびジョブバッファ204が示されている。
【0083】
また、ステップ501〜ステップ511までに示される構成においては、5人のユーザ「U1」、「U2」、「U3」、「U4」,「U5」でプリンタ201を共有して使用しており、プリンタ201は施錠機構がないメールボックス214を「B」として1つ、施錠機構付きメールボックス215を「A1」、「A2」、「A3」として3つ備えている。
【0084】
なお、ここでは、ユーザ(U1〜U5)から指示される印刷要求は全て親展印刷要求として説明する。
【0085】
ステップ501において、メールボックス「A1」〜「A3」および「B」は全て未使用であり、認証状況および排紙状況も未認証、未排出の状態がメールボックス情報テーブル207に設定されている。ジョブバッファ204にも印刷ジョブは格納されていない。
【0086】
ステップ502において、ユーザ「U1」がホスト端末101のカードリーダ102にカードを挿入し印刷要求を送信すると、該印刷要求は親展印刷要求としてプリンタ201で受信される。印刷ジョブは一旦ジョブバッファ204に格納されるが、ジョブ制御部203がメールボックス「A1」を排紙先とし、ユーザ「U1」用に使用中としたうえで、すぐに該印刷ジョブを画像イメージ展開部205へと送り、印刷を開始する。
【0087】
ステップ503において、印刷が終了すると、エンジン制御部209からの通知によりメッセージボックス情報テーブル207の排紙状況を「排紙済み」に変更する。同様に、ユーザ「U2」、ユーザ「U3」が親展印刷を開始する。いずれも一旦ジョブバッファ204に格納されるが前の印刷ジョブの印刷が終わり次第、順に画像イメージ展開部205へと送られる。
【0088】
ステップ504において、ユーザ「U4」が印刷要求を送信すると、メールボックス「A1」〜「A3」は全て使用中なので、ユーザ「U4」の印刷ジョブはジョブバッファ204内で保留状態となる。
【0089】
ステップ505において、ユーザ「U1」が印刷物を取りに来て、プリンタ201のカードリーダにカードを挿入しユーザ認証を行うと、ユーザ認証部206はメールボックス情報テーブル207を参照し、メールボックス「A1」がユーザ「U1」により使用されていることを確認する。さらに排紙状況が「排紙済み」であることから、すぐに取り出せる状況にあると判断し、メールボックス「A1」の排紙先識別ランプ218を点灯させ、施錠機構216を開錠させ、コンソールパネルに「ランプの点灯しているボックスから取り出してください」とのメッセージを表示する。ユーザ「U1」はランプ点灯によりメールボックス「A1」に自分の印刷物があることが分かり、メールボックス「A1」の扉を空けて全ての用紙を取り出し、扉を閉じるとランプは消灯し施錠される。同時にメールボックス情報テーブル207の使用ユーザを「未使用」、排紙状況を「未排出」に戻す。
【0090】
ステップ506において、ジョブ制御部203は、メールボックス「A1」が空いたことでジョブバッファ204内で保留されているユーザ「U4」の印刷ジョブが印刷できることを検出し、メールボックス「A1」を排紙先としてユーザ「U4」の印刷ジョブを画像イメージ展開部205へと送り、印刷が開始される。
【0091】
ステップ507において、さらにユーザ「U2」が2つ目の親展印刷要求を出したとする。
【0092】
ステップ508において、ジョブ制御部203はメールボックス情報テーブル207を参照し、既にユーザ「U2」がメールボックス「A2」を使用していることを認識する。そこで、メールボックス「A2」を排紙先としてユーザ「U2」の印刷ジョブを追加で画像イメージ展開部205へと送り、印刷を開始する。この時、排紙状況は「未排出」に戻り、該印刷ジョブの排紙が終了した時点で再び「排紙済み」となる。
【0093】
ステップ509において、ここで、新たなユーザ「U5」が親展印刷要求を出したとする。メールボックス「A1」〜「A3」は全て使用中なので、ユーザ「U5」の印刷ジョブはジョブバッファ204内で保留される。
【0094】
ステップ510において、ユーザ「U5」が印刷物を取りに来て、プリンタ201のカードリーダにカードを挿入しユーザ認証を行うと、ユーザ認証部206はメールボックス情報テーブル207を参照し、ユーザ「U5」がいずれのメールボックス「A1」〜「A3」も使用していないことを確認する。その後、ジョブバッファ204を参照し、ユーザ「U5」の未認証印刷ジョブがあることを確認すると、これを認証済みとする。認証済みの印刷ジョブはメールボックス「B」を排紙先として画像イメージ展開部205へと送り、印刷を開始する。
【0095】
ステップ511において、メールボックス「B」の排紙先識別ランプ218を点滅させ、コンソールパネルに「「印刷終了までもうしばらくお待ちください」とのメッセージを表示する。印刷が終わり、メールボックス「B」に排紙されると、ジョブ制御部203はメールボックス情報テーブル207の排紙先識別ランプ218を点滅から点灯にし、コンソールパネルの表示も「ランプの点灯しているボックスから取り出してください」とのメッセージに替える。ユーザ「U5」はランプ点灯によりメールボックス「B」に自分の印刷物があることが分かり、メールボックス「B」の扉を空けて全ての用紙を取り出し、扉を閉じるとランプは消灯する。同時にメールボックス情報テーブル207の使用ユーザを「未使用」、排紙状況を「未排出」に戻す。
【0096】
なお、上記実施例においては、排紙トレイ213を1つ、施錠機構がないメールボックス214を1つ、施錠機構付きメールボックス215を3つ備えるプリンタ201における印刷制御処理について説明したが、これに限られず、必要に応じて排紙トレイ213およびメールボックス214および215の数を使用状況に合わせて調整して本発明を実施できることはいうまでもない。
【0097】
また、上記実施例においては、本発明に係わる印刷制御方法をプリンタ201に適用することにより行うよう構成したが、本発明に係わる印刷装置をプリンタ201に適用することにより実行させるように構成してもよい。
【0098】
この他、本発明は、上記および図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0099】
以上説明したように本発明においては、機密性を要する印刷物(親展印刷)を基本的に施錠機構付きメールボックス215に排紙するよう構成したので、印刷物の機密性を失うことなく印刷することができる。
【0100】
また、他人の目に触れることなく排紙できるメールボックス214を設け、ユーザ認証後には該メールボックス214へ印刷物を排紙できるよう構成したので、施錠機構付きメールボックス215に空きがない状態でも印刷を行うことが可能であり、機密性を保ちつつ、プリンタ201の前での待ち時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0101】
実施例2においては、上記実施例1の印刷制御方法に加えて、親展印刷要求を他の印刷要求よりも優先させて印刷する場合の印刷制御処理を説明する。なお、実施例2のシステム構成は、上記実施例1を説明した図2と同一であるため、その説明は省略する。
【0102】
図11には、ジョブバッファ204でキュー管理されている印刷ジョブが示されており、同図左側に示すジョブバッファ204に対して、親展印刷優先処理を行った場合のジョブバッファ204を同図右側に示している。先に述べた通り、ジョブバッファ204内の印刷ジョブはキューで管理されているため、通常先に格納された印刷ジョブから順番に印刷処理が行われることとなる。
【0103】
同図を参照すると、親展印刷優先処理を行う前のジョブバッファ204においては、通常ジョブ1(401)および通常ジョブ2(402)が親展ジョブ403より先に格納されているため、通常ジョブ1(401)および通常ジョブ2(402)の印刷処理が終了するまで親展ジョブ403の印刷処理が開始されないのに対して、親展印刷優先処理後のジョブバッファ204においては、親展ジョブ403が先頭に格納され、通常ジョブ1(401)および通常ジョブ2(402)より先に印刷されるように順番変更がなされていることが分かる。
【0104】
すなわち、この親展印刷優先処理はジョブバッファ204内に格納される印刷ジョブの順序変更を行うことで、親展印刷ジョブを他の印刷ジョブより優先させて印刷するように制御する。
【0105】
上述したように実施例2においては、ジョブバッファ204内に通常印刷ジョブおよび親展印刷ジョブが混在して格納されている場合には、親展印刷ジョブを優先させて印刷制御するよう構成したので、メールボックス214および215の稼働率を上げることができるため、親展印刷要求に対する印刷処理が待たされる状況を抑止することができる。
【実施例3】
【0106】
実施例3においては、上記実施例1の印刷制御方法に加えて、ユーザ認証済みの親展印刷要求を他の印刷要求よりも優先させて印刷する場合の印刷制御処理を説明する。なお、実施例3のシステム構成は、上記実施例1を説明した図2と同一であるため、その説明は省略する。
【0107】
図12には、ジョブバッファ204でキュー管理されている印刷ジョブが示されており、同図左側に示すジョブバッファ204に対して、認証済み優先処理を行った場合のジョブバッファ204を同図右側に示している。先に述べた通り、ジョブバッファ204内の印刷ジョブはキューで管理されているため、通常先に格納された印刷ジョブから順番に印刷処理が行われることとなる。
【0108】
同図を参照すると、認証済み優先処理を行う前のジョブバッファ204においては、未認証の親展ジョブ501および通常ジョブ502が認証済みの親展ジョブ503より先に格納されているため、未認証の親展ジョブ501および通常ジョブ502の印刷処理が終了するまで認証済みの親展ジョブ503の印刷処理が開始されないのに対して、認証済み優先処理後のジョブバッファ204においては、認証済みの親展ジョブ503が先頭に格納され、未認証の親展ジョブ501および通常ジョブ502より先に印刷されるように順番変更がなされていることが分かる。
【0109】
すなわち、この認証済み優先処理はジョブバッファ204内に格納される印刷ジョブの順序変更を行うことで、認証済みの親展印刷ジョブを他の印刷ジョブより優先させて印刷するように制御する。
【0110】
上述したように実施例3においては、ジョブバッファ204内に認証済みの親展印刷ジョブが格納されている場合には、認証済みの親展印刷ジョブを優先させて印刷制御するよう構成したので、ユーザがプリンタ201の前で待つ時間を短縮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の印刷装置および印刷制御方法は、施錠可能な施錠機構付きの親展印刷専用排紙部を有する印刷装置全般に適用可能であり、特に、不特定多数のユーザが利用する公共の場などで、機密性を要する印刷処理を行う場合に有効利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明に係わる印刷制御方法をプリンタ201に適用して構成したシステムの概略構成を示す図である。
【図2】図1に示したシステム構成図を機能毎にブロック図として示したものである。
【図3】図2に示した施錠機構付きメールボックス215の概略構成を示す図である。
【図4】図2に示したジョブ制御部203におけるジョブ制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【図5】図2に示したユーザ認証部206におけるユーザ認証処理の動作を説明するフローチャートである。
【図6】図2に示した排紙部212における排紙制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【図7】図2に示したメールボックス215におけるメールボックス制御処理の動作を説明するフローチャートである。
【図8】図2に示したプリンタ201における印刷制御処理の動作の具体例を示した図である。
【図9】図2に示したプリンタ201における印刷制御処理の動作の具体例を示した図である。
【図10】図2に示したプリンタ201における印刷制御処理の動作の具体例を示した図である。
【図11】図2に示したプリンタ201における親展印刷優先処理の動作を示した概略図である(実施例2)。
【図12】図2に示したプリンタ201における認証済み優先処理の動作を示した概略図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0113】
101 ホスト端末
102 カードリーダ
201 プリンタ
202 コントローラ部
203 ジョブ制御部
204 ジョブバッファ
205 画像イメージ展開部
206 ユーザ認証部
207 メールボックス情報テーブル
208 エンジン部
209 エンジン制御部
210 給紙部
211 画像形成部
212 排紙部
213 排紙トレイ
214 メールボックス
215 施錠機構付きメールボックス
301 LAN(Local Area Network)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる施錠機構を有する第1の排紙部と、
前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる第2の排紙部と、
前記親展印刷要求のユーザ認証を行う認証手段と、
前記第1の排紙部の空を検出する空検出手段と、
前記第1の排紙部に対する前記親展印刷要求に係わる印刷済用紙の排紙に際して該第1の排紙部の施錠機構を施錠状態に制御し、前記認証手段による該親展印刷要求に係わるユーザ認証により該施錠機構の施錠状態を解除する施錠制御手段と、
前記親展印刷要求の受付に際して、前記認証手段で該親展印刷要求のユーザ認証が行われる前で前記空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部があると検出されている場合は、該空の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行し、前記認証手段で該親展印刷要求に係わるユーザの認証が行われた場合は、前記第2の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行する制御手段と
を具備することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記第1の排紙部の中に前記親展印刷要求に係わるユーザと同一のユーザの排紙が行われている排紙部がある場合は、該排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブを一時保留するバッファ手段
を更に具備し、
前記制御手段は、
前記第1の排紙部の中に空の排紙部がない場合は、前記バッファ手段で親展印刷要求に係わる印刷ジョブを保留し、前記第1の排紙部の中に空の排紙部があると検出されるとともに、該空の排紙部を排紙先として前記バッファ手段で保留されている該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行する
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置
【請求項4】
前記認証手段によるユーザ認証後の親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙先を報知する報知手段
を更に具備することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブは、通常の印刷要求に係わる印刷ジョブに優先して実行される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記認証手段によるユーザ認証後の親展印刷要求に係わる印刷ジョブは、前記認証手段によるユーザ認証前の親展印刷要求に係わる印刷ジョブに優先して実行される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる施錠機構を有する第1の排紙部と、前記親展印刷要求に係わる印刷ジョブの排紙に用いられる第2の排紙部とを具備する印刷装置の印刷制御方法において、
前記親展印刷要求の受付に際して、該親展印刷要求のユーザ認証が認証手段で行われる前で、空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部があると検出されている場合は、該空の第1の排紙部を排紙先として該親展印刷要求に係わる印刷ジョブを実行するとともに、
該排紙先の第1の排紙部の施錠機構を施錠制御手段により施錠状態に制御し、
親展印刷要求のユーザ認証が認証手段で行われる前で、空検出手段により前記第1の排紙部の中で空の排紙部がないと検出されている場合は、該親展印刷要求に係わる印刷ジョブをバッファ手段に保存し、
前記認証手段で前記バッファ手段に保存された印刷ジョブのユーザの認証が行われた場合は、該印刷ジョブを前記第2の排紙部を排紙先として実行する
ことを特徴とする印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−1241(P2006−1241A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182571(P2004−182571)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】