説明

印刷装置および印刷方法

【課題】 受信画像データを電子ペーパに出力し、視覚的に確認してから印刷できるようにして印刷用紙の無駄を軽減できるようにする。
【解決手段】 通信部3はネットワーク17を介して画像データを受信する。記憶部5は受信画像データを記憶する。印刷部9は記憶画像データを印刷用紙27に印刷する。書込部11はRFID装置25が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパ23に対し記憶画像データを書き込んで視覚表示させる。第1の検出部13は近接するRFID装置25から識別情報を検出する。データ管理部29はその識別情報に関連付けて画像データを管理する。印刷制御部33は、記憶画像データが予め設定された判別条件に該当するとき印刷用紙27に印刷するよう印刷部9を動作制御する。印刷制御部33は、その判別条件に該当しないとき、電子ペーパ23に画像データを書き込むよう書込部11を動作制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置および印刷方法に係り、例えばファクシミリ機や複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に搭載して好適な印刷装置および印刷方法の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばファクシミリ機等では、印刷用紙に対する不必要な印刷を回避して紙資源の節約を図る要請が強くなってきており、そのための種々の工夫がなされている。
【0003】
例えば、特開2000−316080号公報(特許文献1)はこの種のものである。
【0004】
この特許文献1は、原稿データをファクシミリ送信する送信手段と、公衆網から受信した原稿データを蓄積する蓄積手段と、この蓄積手段で蓄積された原稿データの1ページ目のみを表示する第1の表示手段と、この第1の表示手段で1ページ目のみが表示された原稿データをその宛先別に仕分けする仕分け手段と、この仕分け手段で仕分けされた原稿データを全ページ表示する第2の表示手段とを具備し、受信した原稿の印字を行わず、ディスプレイ上で確認可能にすることにより、ファクシミリ送受信する際のペーパレス化を可能としたものである。
【特許文献1】特開2000−316080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1では、受信した原稿を表示するために、一定の大きさを持ったディスプレイが必要となるし、拡大や縮小操作を行わないと細かい部分の確認が困難となり易い難点がある。
【0006】
さらに、ユーザはファクシミリ機の面前で受信原稿の確認を行わなければならないので、確認作業を行っている間に他のユーザがファクシミリ操作等を行おうとしても待たされ、作業性が低下し易い。
【0007】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、再利用可能な電子ペーパを使用することで印刷せずに画像データの確認作業が容易となるうえ、紙等のシート状用紙媒体への印刷出力も可能な印刷装置および印刷方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのような課題を解決するために本発明に係る印刷装置は、ネットワークを介して画像データを少なくとも受信する通信部と、受信された画像データを記憶する記憶部と、記憶された画像データをシート状用紙媒体に印刷する印刷部と、RFID装置が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパに対し、記憶された画像データを書き込んで視覚的に表示させる書込部と、近接するRFID装置からこの識別情報を検出する第1の検出部と、その識別情報に関連付けてその画像データを管理するデータ管理部と、記憶された画像データが予め設定された判別条件、例えば回線番号や時間帯に該当するとき、その画像データをシート状用紙媒体に印刷するようその印刷部を動作制御し、その判別条件に該当しないとき、その電子ペーパに対して画像データを書き込むようその書込部を動作制御する印刷制御部とを具備している。
【0009】
本発明の印刷装置では、その印刷制御部が印刷部を動作制御するとき、上記データ管理部が、シート状用紙媒体に印刷した画像データを記憶部から消去する機能を有する構成も可能である。
【0010】
本発明の印刷装置では、上記第1の検出部がその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データが記憶部にあればシート状用紙媒体に印刷するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、そのシート状用紙媒体への印刷指示を外部から操作入力する操作部とを有し、その操作部からの印刷操作入力を受けて、上記印刷制御部が、当該識別情報に対応する画像データを印刷部を介して印刷制御する構成も可能である。
【0011】
本発明の印刷装置では、上記第1の検出部がその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データを消去するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、上記記憶部における画像データの消去指示を外部から操作入力する操作部とを有し、上記データ管理部が、その操作部での消去操作入力を受けて当該識別情報に対応する画像データを記憶部から消去制御する構成も可能である。
【0012】
本発明の印刷装置では、その操作部から消去操作入力を受けたとき、上記書込部が、電子ペーパにおける画像データを無効化する書込機能を有する構成も可能である。
【0013】
本発明の印刷装置では、上記第1の検出部とは異なる第2の検出部であって近接するRFID装置から識別情報を検出する第2の検出部を有し、上記データ管理部および印刷制御部が、その第1の検出部がその識別情報を読み込んだとき印刷操作入力と判別し、その第2の検出部がその識別情報を読み込んだとき消去指示の操作入力と判別する機能を有する構成も可能である。
【0014】
本発明の印刷装置では、上記第1の検出部および第2の検出部が、それらシート状用紙媒体および電子ペーパのセットされるストックにあってRFID装置に近接する位置に配置される構成も可能である。
【0015】
そして、本発明に係る印刷方法は、ネットワークを介して画像データを受信する受信処理と、受信された画像データを記憶部に記憶する記憶処理と、近接するRFID装置からこの識別情報を検出する第1の検出処理と、その識別情報に関連付けて画像データを管理するデータ管理処理と、記憶された画像データが予め設定された判別条件に該当するとき、その画像データをシート状用紙媒体に印刷する印刷処理と、記憶された画像データがその判別条件に該当しないとき、RFID装置が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパに対し、記憶された画像データを書き込んで視覚的に表示させる書込処理とを具備している。
【0016】
本発明の印刷方法では、上記画像データをシート状用紙媒体に印刷したとき記憶部の当該画像データを消去する消去処理を有する構成も可能である。
【0017】
本発明の印刷方法では、上記第1の検出処理によってその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データが記憶部にあればシート状用紙媒体に印刷するか否かの問い合わせを表示する表示処理と、そのシート状用紙媒体への印刷指示を外部から操作入力する操作処理と、この操作処理に基づき当該識別情報に対応する画像データをシート状用紙媒体に印刷する印刷処理とを有する構成も可能である。
【0018】
本発明の印刷方法では、上記第1の検出処理によってその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データを消去するか否かの問い合わせを表示する表示処理と、この消去操作処理に基づき、当該識別情報に対応する画像データを記憶部から消去する消去処理とを有する構成も可能である。
【0019】
本発明の印刷方法では、上記消去操作処理を受けたとき、電子ペーパにおける画像データを無効化する書込処理を有する構成も可能である。
【0020】
本発明の印刷方法では、上記第1の検出処理とは別に近接するRFID装置から識別情報を検出する第2の検出処理と、その第1の検出処理でその識別情報を読み込んだとき印刷操作入力と判別し、その第2の検出処理でその識別情報を読み込んだとき消去指示の操作入力と判別する判断処理とを有する構成も可能である。
【発明の効果】
【0021】
このような本発明に係る印刷装置では、ネットワークを介して画像データを通信部で受信し、受信された画像データを記憶部で記憶し、近接するRFID装置からこの識別情報を第1の検出部で検出し、データ管理部にてその識別情報と記憶部の画像データを関連付けて管理し、記憶される画像データが予め設定された判別条件、例えば回線番号や時間帯に該当するとき、印刷制御部がその画像データをシート状用紙媒体に印刷部を介して印刷制御し、その判別条件に該当しないとき電子ペーパに対してその画像データをその書込部を介して視覚的に書込制御するから、受信画像データを再利用可能な電子ペーパに表示することで、印刷せずに画像データの確認作業が容易となるうえ、紙等のシート状用紙媒体への印刷出力も可能となる。
【0022】
本発明の印刷装置において、上記データ管理部が、その印刷部の印刷動作制御時に、シート状用紙媒体に印刷した画像データを記憶部から消去する機能を有する構成では、印刷済みの画像データが不必要に残らず、セキュリティを確保することが可能となる。
【0023】
本発明の印刷装置において、上記第1の検出部がその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データが記憶部にあればシート状用紙媒体に印刷するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、そのシート状用紙媒体への印刷指示を外部から操作入力する操作部とを有し、操作部からの印刷操作入力を受けて、上記印刷制御部が当該識別情報に対応する画像データを印刷制御する構成では、電子ペーパに表示された画像データの印刷選択および印刷実行が容易となる。
【0024】
本発明の印刷装置において、上記第1の検出部がその識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する画像データを消去するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、上記記憶部における画像データの消去指示を外部から操作入力する操作部とを有し、上記データ管理部がその操作部での消去操作入力を受けて当該識別情報に対応する画像データを記憶部から消去制御する構成では、印刷不要な画像データが記憶部に残らず、セキュリティを確保することが可能となる。
【0025】
本発明の印刷装置において、上記書込部が、その操作部から消去操作入力を受けたとき、電子ペーパにおける画像データを無効化する書込機能を有する構成では、印刷不要な画像データが電子ペーパに残らず、セキュリティを確保することが可能となる。
【0026】
本発明の印刷装置において、上記第1の検出部とは異なる第2の検出部であって近接するRFID装置から識別情報を検出する第2の検出部を有し、上記データ管理部および印刷制御部が、その第1の検出部が識別情報を読み込んだとき印刷操作入力と判別し、その第2の検出部が識別情報を読み込んだとき消去指示の操作入力と判別する機能を有する構成では、上記第1の検出部又は第2の検出部にRFID装置を選択的に近接させるだけで、画像データのシート状用紙媒体への印刷と消去が可能となり、操作性が向上する。
【0027】
本発明の印刷装置において、上記第1の検出部および第2の検出部が、シート状用紙媒体および電子ペーパのセットされるストックにあってRFID装置に近接する位置に配置される構成では、電子ペーパをストックにセットするだけで、画像データのシート状用紙媒体への印刷と消去が可能となり、操作性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係る印刷方法は本発明の印刷装置を説明する過程で説明する。
【0029】
図1は本発明に係る印刷装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【0030】
図1において、本発明に係る印刷装置は、主制御部1を中心にして通信部3、記憶部5、操作パネル部7、印刷部9、書込部11、第1の検出部13および画像読取部15を有して構成され、例えば複合機Aの一部を構成している。主制御部1は、通信部3、記憶部5、操作パネル部7、印刷部9、書込部11、第1の検出部13および画像読取部15を制御するものであるが、詳細は後述する。
【0031】
通信部3は、所定のプロトコルに従い、例えば公衆回線や社内LAN等のネットワーク17を介してファクシミリ機19やコンピュータ21等から送信されたファクシミリ信号(画像データ)を受信、復号化し、主制御部1を介して記憶部5に出力する機能を有するインターフェース部である。
【0032】
なお、通信部3は、画像データを符号化してファクシミリ信号をファクシミリ機19又はコンピュータ21に送信する機能を有するが、少なくともファクシミリ信号等の画像データを受信する機能を有していれば良い。
【0033】
記憶部5は、主制御部1の制御の下、通信部3で復号化された画像データ、画像読取部15で読み取られた画像データ、その画像データを管理する後述する管理データを記憶する他、主制御部1の動作プログラムを格納する例えばハードディスク(HDD)等である。
【0034】
管理データは、後述する電子ペーパ23に付されたRFID装置25の識別情報が検出されたとき、その画像データに対してその識別情報を関連付けて記憶されている。
【0035】
操作パネル部7は、装置本体ケース(図5参照)の上部に配置されたタッチスイッチ入力部であり、例えば図2に示すように、「コピー」、「プリンタ」、「スキャナ」、「ファックス」等の選択キー7a、種々の設定値を入力するテンキー7b、スタートキー7cの他、例えば液晶タイプの表示パネル7d等を有している。表示パネル7dもタッチスイッチ入力部を兼ねている。
【0036】
操作パネル部7は、それらの入力指示を受付ける操作部として機能し、入力指示された情報を主制御部1に出力し、入力指示された情報が表示パネル7dに反映されて表示される。
【0037】
操作パネル部7は、主制御部1の制御の下、第1の検出部13がRFID装置25から識別情報を検出したとき、当該識別情報に対応する画像データが記憶部5にあれば印刷用紙27に印刷するか、記憶部5内の当該画像データを削除するか否かの選択を求める画面(「印刷用紙に印刷する。」とか「画像データを消去する。」)を表示する表示部としての機能を有している。
【0038】
例えば図2に示すように、「印刷用紙に印刷する。」をタッチすれば、それが選択されて主制御部1を介して印刷部9が制御され、「画像データを消去する。」をタッチすると、それが選択されて後述するデータ管理部29等が制御されるようになっている。
【0039】
図1の印刷部9は、主制御部1の制御の下、印刷用紙27に画像データを印刷して排紙する白黒又はカラー印刷する印刷エンジンであり、公知のものであるから詳細な説明および図示は省略する。
【0040】
書込部11は、主制御部1の制御の下、電子ペーパ23に対して駆動電源を印加し、画像データを印刷用紙への印刷と同様に電子的かつ視覚的に表示させるための書込機能を有している。なお、電子ペーパ23との電気的接続端子等の図示は省略した。
【0041】
書込部11は、操作パネル部7から消去操作入力を受けたとき、電子ペーパ23における画像データを無効化する書込機能を有している。無効化とは、画像データを削除するとか、意味のないデータを上書きして実質上画像データを消去する動作である。
【0042】
電子ペーパ23は、電子泳動方法や帯電粒子を用いた従来公知のものであり、駆動電源を印加して視覚的な画像表示状態を形成した後に電源を遮断してもその表示状態が保持され、駆動電源を印加して画像表示状態を変更して再利用可能な機能を有する例えばA4サイズの用紙形状を有している。
【0043】
電子ペーパ23には、公知のRFID装置25が付されている。RFID装置25は、例えば図3に示すように、アンテナ部25a、送受信部25b、記憶部25dおよび制御部25dを有して構成されており、送受信部25b、記憶部25dおよび制御部25dは例えばICチップ25e内に形成されてシート状又はチップ状のタグ本体25fに搭載されている。
【0044】
アンテナ部25aは、タグ本体25fに形成された例えば公知のループ状送受信アンテナであって送受信部25bに接続されている。
【0045】
送受信部25bは、制御部25dの制御の下、外部からアンテナ部25aで受信した駆動電波を整流平滑してICチップ25e内の駆動電源を形成するとともに、受信電波を検波したり、送信情報を変調送信する他、種々の信号処理を行うものであり、記憶部5および制御部25dに接続されている。
【0046】
記憶部5は、制御部25dの制御の下、制御部25dからの情報を格納する読み書き可能なメモリであり、図4に示すように、例えばISO規約上から個々のRFID装置25の製造時にこれ固有に付与された識別情報(固有ID)の他、国コード、受取人情報等をテーブル状に格納するものである。識別情報は一般に書き換えできないように格納されている。
【0047】
制御部25dは、制御演算の主体をなすCPUやこの動作プログラムを格納したROMからなり、送受信部25bおよび記憶部5を制御し、外部から電波の受信解析処理、この処理に基づく記憶部5への情報の格納処理や識別情報の読出し、アンテナ部25aを介して識別情報を外部に送信制御する機能を有している。
【0048】
図1に戻って、第1の検出部13は、例えば図4に示すように、複合機Aにおいて印刷や書込される印刷用紙27や電子ペーパ23が給紙セットされるスタック31の端に外部に向けて配置されており、主制御部1の制御の下、電子ペーパ23に付されたRFID装置25が近接するとき、当該RFID装置25から識別情報を非接触で読み取り指示して検出する公知のものであり、検出した識別情報を主制御部1に出力する機能を有している。
【0049】
図1の画像読取部15は、主制御部1の制御の下、例えば印刷された複数頁の原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理、変倍処理および階調処理等をして電子的画像データを印刷ジョブとして生成する公知のスキャナ等であり、生成した画像データが原稿の頁毎に記憶部5に順次記憶されるようになっている。
【0050】
なお、ファクシミリ機19およびコンピュータ21は、ファクシミリ通信機能や印刷用の画像データ送信機能を有し、従来公知のものであるから詳細な説明および図示を省略する。
【0051】
主制御部1は、CPU、このCPUの動作プログラムを格納したメモリ部、入出力インターフェース(いずれも図示せず。)を有し、通信部3、記憶部5、操作パネル部7、印刷部9、書込部11、第1の検出部13および画像読取部15を制御し、それらの機能の一部を担う他、以下の機能を有している。
【0052】
すなわち、主制御部1は、記憶部5に記憶した画像データを管理する管理データを作成するとともに、第1の検出部13で識別情報が検出されたとき、管理データにおいて当該画像データに識別情報を関連付けてデータ管理するデータ管理部29として機能している。
【0053】
データ管理部29としての主制御部1は、後述する印刷制御部33が印刷部9を動作制御し、印刷用紙27が正常に印刷処理を終了した画像データを記憶部5から消去する消去機能も有している。
【0054】
主制御部1は、予め設定された判別条件、例えばファクシミリ機19およびコンピュータ21の回線番号又はIPアドレス、更に画像データの受信時間帯(例えば就業時間帯)等であって印刷部9を印刷動作させる条件に対し、記憶された画像データの受信条件が該当するとき、記憶部5から画像データを読み出して印刷用紙27に印刷するよう印刷部9を動作制御する一方、記憶された画像データの受信条件がその判別条件に該当しないとき、電子ペーパ23に対してその画像データを書き込むよう書込部11を動作制御する機能を有している。すなわち、主制御部1は印刷制御部33としても機能している。
【0055】
印刷制御部33としての主制御部1は、操作パネル部7からの印刷操作入力を受けて、当該識別情報に対応する画像データを印刷するよう印刷部9を制御する一方、操作パネル部7での消去操作入力を受けて当該識別情報に対応する画像データを記憶部5から消去制御するようデータ管理部29を制御する機能を有している。
【0056】
次に、このような本発明の印刷装置の動作を説明する。
【0057】
一例として、印刷条件が回線番号として該当する場合に印刷用紙27に印刷するよう設定されており、ファクシミリ機19から画像データがファクシミリ送信される場合を説明する。
【0058】
ネットワーク17を介してファクシミリ機19からファクシミリ送信された画像データが通信部3で受信復号化等の受信処理がされると、受信画像データが主制御部1を介して記憶部5に記憶処理されるとともに、データ管理部29が管理データに当該画像データを追加処理する。
【0059】
印刷制御部33は、受信された画像データに関する回線番号が判別条件に該当するとき、図5のスタック31に印刷用紙27がセットされていれば、記憶された当該画像データを印刷部9に送って印刷制御処理し、印刷部9が印刷用紙27に印刷処理する。
【0060】
データ管理部29は、印刷が正常に完了したとき、管理データを参照して当該画像データを記憶部5から消去制御し、管理データを更新する。
【0061】
他方、受信された画像データに関する回線番号が判別条件に該当しないとき、印刷制御部33は書込部11を動作制御し、図5のスタック31に電子ペーパ23がセットされていれば、RFID装置25が付され電子ペーパ23に対し当該画像データを書込処理し、電子ペーパ23に当該画像データを視覚的に書込む。
【0062】
その際、第1の検出部13にて電子ペーパ23のRFID装置25からの識別情報を検出(第1の検出処理)し、データ管理部29では当該画像データに識別情報を関連付けて管理する。
【0063】
そのため、画像データが視覚的に書込まれた電子ペーパ23を見ることにより、印刷用紙に印刷する必要があるか否か判断が可能となる。
【0064】
そして、電子ペーパ23(RFID装置25)を、図5のスタック31にセットして第1の検出部13に近接させると、第1の検出部13がRFID装置25から識別情報を検出し、当該識別情報に対応する画像データが記憶部5にあれば、操作パネル部7が印刷用紙27に印刷するか否かの問い合わせ情報、「印刷用紙に印刷する。」か「画像データを消去する。」かの表示処理を行う。
【0065】
これに基づいて、操作パネル部7から印刷指示が操作入力処理されると、印刷制御部33が印刷部9を制御して当該識別情報に対応する画像データを印刷処理し、データ管理部29が当該画像データを記憶部5から消去処理するとともに、書込部11が電子ペーパ27における画像データの無効化処理を実行して終了する。
【0066】
また、操作パネル部7から消去指示が操作入力処理されると、データ管理部29が当該画像データを記憶部5から消去処理し、書込部11が電子ペーパ27における画像データの無効化処理を実行して終了する。
【0067】
そして、それらの処理手順が本発明に係る印刷方法を構成する。
【0068】
このような本発明の印刷装置では、ネットワーク17を介して画像データを受信する通信部3と、受信された画像データを記憶する記憶部5と、記憶された画像データを印刷用紙27に印刷する印刷部9と、RFID装置25が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパ23に対し、記憶された画像データを書き込んで視覚表示させる書込部11と、近接するRFID装置25から識別情報を検出する第1の検出部13と、その識別情報に関連付けてその画像データを管理するデータ管理部29と、記憶される画像データが予め設定された判別条件、例えば回線番号や時間帯に該当するとき、その画像データを印刷用紙27に印刷するよう印刷部9を動作制御し、その判別条件に該当しないとき、その電子ペーパ23に対して画像データを書き込むようその書込部11を動作制御する印刷制御部33とを具備している。
【0069】
そのため、再利用可能な電子ペーパ23を使用することで、印刷せずに紙を無駄にすることなく受信原稿の確認が容易となるし、印刷用紙27に印刷したい宛先からの印刷条件を予め登録し、その宛先からの受信は自動的に普通紙等の印刷用紙27への印刷出力も可能となる。
【0070】
さらに、電子ペーパ23に印刷された内容をユーザが確認し終わった後、電子ペーパ23をストック31に戻すだけで、該当する画像データを印刷するか消去するかの選択する画面が表示されるので、ユーザの文書選択作業が簡素化される。
【0071】
しかも、印刷制御部33が印刷部9を動作制御するとき、データ管理部29が印刷用紙27に印刷する画像データを記憶部5から消去するから、画像データが不必要に保持されずにセキュリティの確保が容易である。
【0072】
さらにまた、その操作パネル部7から消去操作入力を受けたとき、書込部11が、電子ペーパ27における画像データを無効化するから、不要な画像データが残らず、セキュリティも確保可能である。
【0073】
そして、上述した本発明の印刷装置では、印刷用紙27に印刷するか電子ペーパ23に画像データを書き込むかの判別条件は、上述した回線番号又はIPアドレス又は画像データの受信時間帯に限定されず、種々の条件設定が可能である。
【0074】
ところで、上述した本発明の印刷装置では、RFID装置25から識別情報を検出する検出部は1個限定されない。
【0075】
例えば、図1および図5に示すように、複合機Aのスタック31において、第1の検出部13と間隔を離して異なる位置に第2の検出部35を外部に向けて配置し、主制御部1の制御の下、例えば裏返した電子ペーパ23に付されたRFID装置25が近接するとき、当該RFID装置25から識別情報を非接触で検出(第2の検出処理)して主制御部1に出力する構成も可能である。
【0076】
この構成では、第1の検出部13がRFID装置25から識別情報を読み込んだとき、主制御部1が当該識別情報を印刷操作入力と判別し、データ管理部29および印刷制御部33を動作制御して印刷用紙27に印刷する一方、第2の検出部35が識別情報を読み込んだとき、当該識別情報を消去指示の操作入力と判別し、データ管理部29および印刷制御部33を制御し、対応する画像データが記憶部5にあれば、データ管理部29が当該画像データを記憶部5から消去処理し、書込部11が電子ペーパ27における画像データの無効化処理を実行するよう構成すると良い。
【0077】
すなわち、第1の検出部13と第2の検出部35で検出した識別情報は、互いに内容は同一であるが、作用させる意味合いを互いに異ならせて動作させる構成である。
【0078】
なお、本発明において、上述した電子ペーパ27はA4版といった規格用紙サイズに限定されず、画像データの判読表示が容易であれば、大きめのカード形であっても良く、更に、シート状用紙媒体も印刷用紙27に限らず、プラスチックシートなど種々のシート媒体で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る印刷装置の実施の形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明の印刷装置における操作パネル部の例を示す図である。
【図3】本発明の印刷装置におけるRFID装置を説明する概略ブロック図である。
【図4】RFID装置内の格納情報を説明する図である。
【図5】本発明の印刷装置を搭載した複合機の例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0080】
1 主制御部
3 通信部
5 記憶部
7 操作パネル部(表示部、操作部)
7a 選択キー
7b テンキー
7c スタートキー
7d 表示パネル
9 印刷部
11 書込部
13 第1の検出部
15 画像読取部
17 ネットワーク
19 ファクシミリ機
21 コンピュータ
23 電子ペーパ
25 RFID装置
25a アンテナ部
25b 送受信部
25c 記憶部
25d 制御部
25e ICチップ
25f タグ本体
27 印刷用紙(シート状用紙媒体)
29 データ管理部
31 スタック
33 印刷制御部
35 第2の検出部
A 複合機(印刷装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して画像データを少なくとも受信する通信部と、
受信された前記画像データを記憶する記憶部と、
記憶された前記画像データをシート状用紙媒体に印刷する印刷部と、
RFID装置が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパに対し、記憶された前記画像データを書き込んで前記視覚表示をさせる書込部と、
近接する前記RFID装置からこの識別情報を検出する第1の検出部と、
前記識別情報に関連付けて前記画像データを管理するデータ管理部と、
記憶された前記画像データが予め設定された判別条件に該当するとき、前記画像データをシート状用紙媒体に印刷するよう前記印刷部を動作制御し、前記判別条件に該当しないとき、前記電子ペーパに対して前記画像データを書き込むよう前記書込部を動作制御する印刷制御部と、
を具備することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記データ管理部は、前記印刷制御部が前記印刷部を動作制御するとき、前記シート状用紙媒体に印刷した前記画像データを前記記憶部から消去する機能を有する請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1の検出部が前記識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する前記画像データが前記記憶部にあれば前記シート状用紙媒体に印刷するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、前記シート状用紙媒体への印刷指示を外部から操作入力する操作部とを有し、前記印刷制御部は、前記操作部からの印刷操作入力を受けて、当該識別情報に対応する前記画像データを前記印刷部を介して印刷制御する請求項1又は2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1の検出部が前記識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する前記画像データを消去するか否かの問い合わせ表示をする表示部と、前記記憶部における前記画像データの消去指示を外部から操作入力する操作部とを有し、前記データ管理部は、前記操作部での消去操作入力を受けて当該識別情報に対応する前記画像データを前記記憶部から消去制御する請求項2又は3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記書込部は、前記操作部から消去操作入力を受けたとき、前記電子ペーパにおける前記画像データを無効化する書込機能を有する請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第1の検出部とは異なる第2の検出部であって近接する前記RFID装置から識別情報を検出する第2の検出部を有し、前記データ管理部および印刷制御部は、前記第1の検出部が前記識別情報を読み込んだとき印刷操作入力と判別し、前記第2の検出部が前記識別情報を読み込んだとき消去指示の操作入力と判別する機能を有する請求項2〜5いずれか1記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1の検出部および第2の検出部は、前記シート状用紙媒体および電子ペーパのセットされるストックにあって前記RFID装置に近接する位置に配置される請求項6記載の印刷装置。
【請求項8】
ネットワークを介して画像データを受信する受信処理と、
受信された前記画像データを記憶部に記憶する記憶処理と、
近接するRFID装置からこの識別情報を検出する第1の検出処理と、
前記識別情報に関連付けて前記画像データを管理するデータ管理処理と、
記憶された前記画像データが予め設定された判別条件に該当するとき、前記画像データをシート状用紙媒体に印刷する印刷処理と、
記憶された前記画像データが前記判別条件に該当しないとき、前記RFID装置が付され電子的に画像が視覚表示されるとともに当該表示状態が保持される電子ペーパに対し、記憶された前記画像データを書き込んで前記視覚表示をさせる書込処理と、
を具備することを特徴とする印刷方法。
【請求項9】
前記画像データを前記シート状用紙媒体に印刷したとき前記記憶部の当該画像データを消去する消去処理を有する請求項8記載の印刷方法。
【請求項10】
前記第1の検出処理によって前記識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する前記画像データが前記記憶部にあれば前記シート状用紙媒体に印刷するか否かの問い合わせを表示する表示処理と、前記シート状用紙媒体への印刷指示を外部から操作入力する操作処理と、この操作処理に基づき当該識別情報に対応する前記画像データを前記シート状用紙媒体に印刷する印刷処理とを有する請求項8又は9記載の印刷方法。
【請求項11】
前記第1の検出処理によって前記識別情報を読み込んだとき、当該識別情報に対応する前記画像データを消去するか否かの問い合わせを表示する表示処理と、この消去操作処理に基づき、当該識別情報に対応する前記画像データを前記記憶部から消去する消去処理とを有する請求項9又は10記載の印刷方法。
【請求項12】
前記消去操作処理を受けたとき、前記電子ペーパにおける前記画像データを無効化する書込処理を有する請求項11記載の印刷方法。
【請求項13】
前記第1の検出処理とは別に近接する前記識別情報を検出する第2の検出処理と、前記第1の検出処理で前記識別情報を読み込んだとき印刷操作入力と判別し、前記第2の検出処理で前記識別情報を読み込んだとき消去指示の操作入力と判別する判断処理とを有する請求項9〜12いずれか1記載の印刷方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−263499(P2008−263499A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−105796(P2007−105796)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】