説明

印刷装置および印刷装置の書込方法

【課題】書込み精度を向上させることができる印刷装置を提供する。
【解決手段】無線タグを有する記録媒体に印刷を行う印刷部と、記録媒体を搬送路に沿って印刷部へと搬送する搬送部と、電磁波を放射して無線タグにデータを書き込む、搬送路上に設けられたアンテナ部と、搬送路上におけるアンテナ部の位置を、記録媒体の搬送方向と垂直方向に移動する移動部をもつ印刷装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線タグを有する記録媒体に対して記録媒体には印刷を行い無線タグには書き込みを行う印刷装置および印刷装置の書込み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、印刷装置は用途が複雑化・多様化してきており、様々な形態の印刷処理が可能になってきている。そこで、例えば、用紙上に無線タグを設け、用紙には印刷、無線タグへはアンテナからのデータの書込み処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−171320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の印刷装置においては、記録媒体への印刷と共に記録媒体が有する無線タグへデータを書き込む処理を行う場合、無線タグとアンテナの位置関係は必ずしも理想的ではない。すなわち、無線タグの形状および方向は、縦型、横型など、いろいろなものがあり大きさや形も統一されているわけではないので、無線タグへの書込みの精度を向上させるためには、アンテナをできるだけ無線タグに合わせて任意に移動させることが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決する一実施形態は、
無線タグを有する記録媒体に印刷を行う印刷部と、
前記記録媒体を搬送路に沿って前記印刷部へと搬送する搬送部と、
電磁波を放射して前記無線タグにデータを書き込む、前記搬送路上に設けられたアンテナ部と、
前記搬送路上における前記アンテナ部の位置を、前記記録媒体の搬送方向と垂直方向に移動する移動部と、を具備することを特徴とする印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置における外観の一例を示す外観図。
【図2】同印刷装置の内部の一例を示す説明図。
【図3】同印刷装置における機械的な内部構造の一例を示す側面図。
【図4】同印刷装置における電気的構成の一例を示すブロック図。
【図5】同印刷装置における無線タグアンテナを横方向に配置した際の説明図。
【図6】同印刷装置における無線タグアンテナを縦方向に配置した際の説明図。
【図7】同印刷装置における無線タグアンテナを回転させる際の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷装置1を図1乃至図4を用いて、以下に詳細に説明する。本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、図1乃至図4において、全体の動作を制御する制御部11と、ユーザの操作を受けて操作信号を制御部11等に供給する印刷装置1の正面に設けられた操作部4と、操作情報や操作メニュ等を表示する液晶画面等を用いた表示部5と、操作情報や設定情報、動作プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13と、制御部11の制御下において用紙等の記録媒体に印刷を行うサーマルヘッド14と、ユーザが操作することで印刷発行コマンドや記録媒体に関する情報(値a,値b,値c)等を入力する外部のホストコンピュータH等と通信を行うための通信部15と、厚さセンサ16を有している。
【0008】
また、印刷装置1は、さらに、無線タグMに書き込むための電磁波を生成する電磁波発生部30と、記録媒体である用紙等を搬送する搬送路31と、用紙等の記録媒体を搬送するモータである用紙搬送モータ32,33と、電磁波発生部30から電磁波を受けて無線タグMに書き込むために電磁波を放射する無線タグ用アンテナ34と、この無線タグ用アンテナ34を移動するためのアンテナ用リニアモータ35と、この無線タグ用アンテナ34の現在位置を検知するリニアセンサ36を有している。ここで、無線タグMは、ICチップとアンテナとを有している。また、図2および図3において、リボン供給軸55,リボン巻取軸56、用紙保持軸57,一対のサイドフェンス58a,58bが示されている。
【0009】
このような構成をもつ印刷装置1は、制御部11の制御下において、操作部4またはホストコンピュータHからの操作に従って、一例として、用紙等にサーマルヘッド14により例えば価格情報等を印字して、用紙搬送モータ32,33により用紙を搬送し、印字された記録媒体を外部に供給する。
【0010】
また、印刷装置1が扱う用紙の一例として、図5に示すように、記録媒体Bの上に無線タグMが貼付されている。なお、この印刷装置1の無線タグ用アンテナ34により、無線タグMにデータが書き込まれるが、この印刷装置1は、無線タグMが貼付されない記録媒体Bに印刷することもできる。
【0011】
次に、この実施形態の印刷装置1による無線タグへのデータ書込み処理を、以下に詳細に説明する。すなわち、無線タグMが貼付された記録媒体Bに対して印刷を行うとともに、無線タグMに対してデータの書込みを行う場合、二つの作業を同時に行うかある程度平行して行えれば、総合的な処理時間が短縮されることは明白である。そこで、本発明の実施形態においては、印刷時の用紙搬送モータ32,33を用いて記録媒体Bをサーマルヘッド14に移動する期間に、無線タグ用アンテナ34から信号を発信させることで記録媒体B上の無線タグMへの書込みを行うものである。
【0012】
このとき、無線タグ用アンテナ34の書込み処理は、アンテナが固定されている場合、無線タグの形状、位置等によっては、必ずしも効率のよい書込みが行われない。すなわち、図5は、同印刷装置における無線タグ用アンテナ34を横方向に配置した際の説明図、図6は、同印刷装置における無線タグ用アンテナ34を縦方向に配置した際の説明図である。図5の(b)のように、記録媒体B上の無線タグM1の長手方向が記録媒体Bの搬送方向と垂直に配置される場合、および図6の(b)のように、無線タグM2の長手方向が記録媒体Bの搬送方向と平行して配置される場合は、それぞれ、図5の(a)、図6の(a)のように、無線タグ用アンテナ34の位置および方向を適宜、変更することが好適である。
【0013】
すなわち、本発明の一実施形態に係る印刷装置1は、無線タグ用アンテナ34を記録媒体B上の無線タグM1の位置および方向にあわせるための構成として、以下のような構造をもっている。印刷装置1は、図5乃至図7に示すように、記録媒体Bの搬送路において、記録媒体Bを保持するための複数の用紙ガイド37と、上流側のローラー38および下流側のローラー39と、これら二つのローラーの間に設けられた無線タグMを検出するセンサ40と、センサ40を記録媒体Bの搬送方向と垂直の方向に移動するセンサ支持部41と、無線タグ用アンテナ34を回転させて少なくとも記録媒体Bの搬送方向と垂直の方向または平行の方向に固定する回転軸Rと、この回転軸Rを支持して無線タグ用アンテナ34を記録媒体Bの搬送方向と垂直の方向に移動する支持軸42を有している。
【0014】
ユーザは、上述したこのような構成により、無線タグ用アンテナ34の位置を任意に変化させることができる。すなわち、図5の(b)に示すように、記録媒体B上の無線タグM1が記録媒体Bの搬送方向と垂直の方向にある場合は、無線タグ用アンテナ34の長手方向も同じく記録媒体Bの搬送方向と垂直方向にあわせるものである。これにより、無線タグ用アンテナ34の書込み精度の値を最善することができる。
【0015】
同様に、すなわち、図6の(b)に示すように、記録媒体B上の無線タグM1が記録媒体Bの搬送方向と平行の方向にある場合は、図7の(a)〜(c)に示すプロセスの逆のプロセスを経て、無線タグ用アンテナ34の長手方向も同じく記録媒体Bの搬送方向と平行方向に向きを変更することにより、無線タグ用アンテナ34の書込み精度の値を最善することができる。
【0016】
また、上述した場合は、ユーザが直接自分の手によってマニュアルで無線タグ用アンテナ34の方向や位置を変更していく実施形態である。
【0017】
しかし、上述した支持軸42に例えばリニアモータおよびリニアセンサを設け、回転軸Rに回転モータおよびエンコーダを設けて制御部11で制御することで、操作部4からの指示信号に応じて無線タグ用アンテナ34を適切な位置に制御することができる。すなわち、操作部4からの指示信号に応じて、図5の(a)の位置または図6の(a)の位置などに無線タグ用アンテナ34を自動的に導くことができる。この場合は、操作部4からの指示信号がどの位置に無線タグ用アンテナ34を導くべきかを示唆している場合である。
【0018】
しかし、さらに、センサ支持部41にリニアモータやリニアセンサを設け、制御部11の制御下において、センサ支持部41によりセンサ40を移動させることで、記録媒体B上の無線タグM1の位置を検出することができる。制御部11は、この検出結果に応じて、回転軸Rおよび支持軸42により、適切な位置に無線タグ用アンテナ34を導くことが好適である。
【0019】
この場合は、ユーザの肉眼で無線タグM1の位置を認識して、認識したい位置に無線タグ用アンテナ34を誘導する必要がない。従って、ユーザは、操作部4から、適正位置を自動的に検出して無線タグ用アンテナ34を適正位置に誘導せよとの指示信号を制御部11に与えるだけで、制御部11がセンサ40を用いて無線タグMの位置を自動的に認識し、制御部11は、認識した位置に無線タグ用アンテナ34を導くことができる。これにより、ユーザは、無線タグMの位置を確認する必要がなくなり、容易に書込み精度を向上させることができる印刷装置を提供することができる。
【0020】
以上記載した様々な実施形態は複数同時に実施することが可能であり、これらの記載により、当業者は本発明を実現することができるが、さらにこれらの実施形態の様々な変形例を思いつくことが当業者によって容易であり、発明的な能力をもたなくとも様々な実施形態へと適用することが可能である。従って、本発明は、開示された原理と新規な特徴に矛盾しない広範な範囲に及ぶものであり、上述した実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0021】
1…印刷装置、4…操作部、5…表示部、11…制御部、12…ROM、13…RAM、14…サーマルヘッド、15…通信部、H…ホストコンピュータ、M…無線タグ、32,33…用紙搬送モータ、34…無線タグ用アンテナ、35…アンテナ用リニアモータ、36…リニアセンサ、37…用紙ガイド、38…ローラー、39…ローラー、40…センサ、41…センサ支持部、42…支持軸、R…回転軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグを有する記録媒体に印刷を行う印刷部と、
前記記録媒体を搬送路に沿って前記印刷部へと搬送する搬送部と、
電磁波を放射して前記無線タグにデータを書き込む、前記搬送路上に設けられたアンテナ部と、
前記搬送路上における前記アンテナ部の位置を、前記記録媒体の搬送方向と垂直方向に移動する移動部と、を具備することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記アンテナ部を回転させることで、前記アンテナ部の長手方向を前記搬送方向と平行にするか、または垂直にするかを選択することができる回転部を有することを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記搬送路上における前記無線タグを検出するためのセンサを、前記搬送路上において前記記録媒体の搬送方向と垂直方向に移動するセンサ移動部をさらに有する請求項1記載の印刷装置。
【請求項4】
前記センサが検出した前記無線タグの位置に基づいて前記移動部が前記アンテナ部の位置を移動するべく制御する制御部をさらに有する請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
無線タグを有する記録媒体に印刷を行う印刷装置の使用方法であって、
前記記録媒体を搬送路に沿って前記印刷部へと搬送する際に、
電磁波を放射して前記無線タグにデータを書き込むためのアンテナ部の位置を、前記搬送路上であって前記記録媒体の搬送方向と垂直方向に任意に移動した後に前記無線タグへの書込み処理を行うことを特徴とする印刷装置の使用方法。
【請求項6】
前記アンテナ部を回転させることで、前記アンテナ部の長手方向を前記搬送方向と平行にするか、または垂直にするかを選択することを特徴とする請求項5記載の印刷装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−185674(P2012−185674A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48258(P2011−48258)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】