説明

印刷装置

【課題】操作性の優れた印刷装置を提供する。
【解決手段】プリンタ装置は、一回の操作でカートリッジとサーマルヘッドの交換を行える交換機構200を備えている。交換機構200は、カートリッジをロックするカートリッジロック1aと、サーマルヘッドを保持するヘッドホルダ21と、ホルダ21をプラテンローラ32に対して移動させるヘッドホルダ移動部材22と、移動部材22に連結され、ホルダ21をローラ32に対して押圧するヘッドホルダ押圧部23と、ロック1aおよび移動部材22を連結するシャフト30と、シャフト30を回動させるためのレバー1と、を有して構成されている。レバー1を介してシャフト30を回動させることで、ロック1aがカートリッジのロックを解除するとともに、押圧部23がホルダ21への押圧を解放して、移動部材22がホルダ21をローラ32から退避するように移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に係り、特に、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカード、キャッシュカード、ライセンスカード、IDカード等のカードを作成する印刷装置が知られている。このような印刷装置は、一般に、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する。
【0003】
上述した印刷装置の中で、インクリボンをカートリッジに収容し、インクリボン交換の際にカートリッジごと印刷装置本体から着脱するものがある。例えば、手動のレバーによってカートリッジを装置内部の装着位置に固定し、レバーを動かし、ロックを解除するとによってカートリッジが着脱可能な印刷装置が知られている(特許文献1参照)。カートリッジ着脱の際、サーマルヘッドが印刷位置または印刷待機位置にあるとカートリッジの着脱が難しいため、サーマルヘッドは退避している必要がある。特許文献1の装置では、手動のレバーを操作することによって、カートリッジのロックとサーマルヘッドの移動とを同時に行っている。
【0004】
また、インクリボンを加熱して熱転写印刷を行うサーマルヘッドも、ヘッドの破損や磨耗などで修理、交換が必要になる場合がある。このため、カバーを開けるとサーマルヘッドを押圧している部材も同時に押圧を解放することで、サーマルヘッドの交換が容易な印刷装置も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3272632号
【特許文献2】特許第3309943号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の印刷装置において、そのままカートリッジを抜くと、印刷動作によって弛んだインクリボンが装置本体側に引っ掛かり、カートリッジを抜きにくく、インクリボンが引っ掛かることによって、装置本体に破損を引き起こすおそれもある。また、特許文献1、2の印刷装置では、一回の操作でカートリッジの交換とサーマルヘッドの交換を行える状態に移行することができず、カートリッジとサーマルヘッドの交換をする際に複数の操作を行わなければならない。
【0007】
本発明は上記事案に鑑み、一回の操作でカートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態にできる操作性の優れた印刷装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、前記保持手段を前記プラテンローラに対して押圧する押圧手段と、前記ロック手段と、前記移動手段とを連結する連結手段と、
前記連結手段を回動させるための操作手段と、を備え、前記押圧手段は前記移動手段または前記連結手段に連結されており、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記押圧手段が前記保持手段への押圧を解放して、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させることを特徴とする。
【0009】
第1の態様の印刷装置は、サーマルヘッドを保持する保持手段と、カートリッジに当接してカートリッジをロックするロック手段と、保持手段をプラテンローラに対して移動させる移動手段と、保持手段をプラテンローラに対して押圧する押圧手段と、ロック手段と、移動手段とを連結する連結手段と、連結手段を回動させるための操作手段と、を備えている。押圧手段は移動手段または連結手段に連結されており、オペレータが、操作手段を介して連結手段を回動させることで、ロック手段がカートリッジのロックを解除するとともに、押圧手段が保持手段への押圧を解放して、移動手段が保持手段をプラテンローラから退避するように移動させる。このため、操作手段を一回操作するだけで、カートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態にでき、操作性を向上させることができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、前記インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、前記ロック手段と、前記移動手段と、前記リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、前記連結手段を回動させるための操作手段と、を備え、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させ、前記リボン巻取り手段により前記インクリボンの弛みが取られることを特徴とする。
【0011】
第2の態様の印刷装置は、サーマルヘッドを保持する保持手段と、カートリッジに当接してカートリッジをロックするロック手段と、保持手段をプラテンローラに対して移動させる移動手段と、インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、ロック手段と、移動手段と、リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、連結手段を回動させるための操作手段と、を備えている。オペレータが、操作手段を介して連結手段を回動させることで、ロック手段がカートリッジのロックを解除するとともに、移動手段が保持手段をプラテンローラから退避するように移動させ、リボン巻取り手段によりインクリボンの弛みが取られる。このため、操作手段を一回操作するだけで、カートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態にでき操作性が向上するとともに、インクリボンの弛みが取り除かれるので、カードリッジを交換する際にインクリボンがサーマルヘッドに引っ掛かるおそれがない。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の第3の態様は、カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、前記保持手段を前記プラテンローラに対して押圧する押圧手段と、前記インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、前記ロック手段と、前記移動手段と、前記リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、前記連結手段を回動させるための操作手段と、を備え、前記押圧手段は前記移動手段または前記連結手段に連結されており、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記押圧手段が前記保持手段への押圧を解放して、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させ、前記リボン巻取り手段により前記インクリボンの弛みが取られることを特徴とする。
【0013】
第3の態様の印刷装置は、サーマルヘッドを保持する保持手段と、カートリッジに当接してカートリッジをロックするロック手段と、保持手段をプラテンローラに対して移動させる移動手段と、保持手段をプラテンローラに対して押圧する押圧手段と、インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、記ロック手段と、移動手段と、リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、連結手段を回動させるための操作手段と、を備えている。押圧手段は移動手段または連結手段に連結されており、オペレータが、操作手段を介して連結手段を回動させることで、ロック手段がカートリッジのロックを解除するとともに、押圧手段がヘッドホルダへの押圧を解放して、移動手段が保持手段をプラテンローラから退避するように移動させ、リボン巻取り手段によりインクリボンの弛みが取られる。このため、操作手段を一回操作するだけで、カートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態にでき操作性が向上するとともに、インクリボンの弛みが取り除かれるので、カードリッジを交換する際にインクリボンがサーマルヘッドに引っ掛かるおそれがない。
【0014】
第1の態様において、インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段をさらに備え、連結部材は、ロック手段と、移動手段と、リボン巻取り手段とを連結しており、操作手段を介して連結手段を回動させることで、リボン巻取り手段によりインクリボンの弛みが取られるようにしてもよい。このような態様、または、第2、第3の態様において、リボン巻取り手段は、連結手段に設けられた第一のギアと、インクリボンの巻取り軸に設けられた第二のギアと、互いに噛合する第一もしくは第二のギア、または、第一および第二のギアを連結する第三のギア、のいずれかに設けられたワンウェイクラッチとを有して構成され、連結手段の回動により、リボン巻取り方向にのみインクリボンを巻き取るようにしてもよい。また、第1ないし第3の態様において、押圧手段が保持手段への押圧を解除している状態で、保持手段を装置本体から抜き取り可能なことが好ましい。この場合、または、第1、第3の態様において、押圧手段は、保持手段をプラテンローラが配置された方向へ押し下げるようにしてもよい。このとき、押圧手段は、二層構造を有しており、各層それぞれに巻きバネの一端が取り付けられて付勢力を有しているようにしてもよい。
【0015】
第1ないし第3の態様において、連結手段が、インクリボンの巻取り軸と保持手段との間の空間に配置されていれば、連結手段の配置用の空間を特別に配慮する必要がないため、装置の小型化を図ることができる。また、第1ないし第3の態様において、操作手段を、連結手段に設けられた手動のレバーでとすることができる。操作手段は突起を有し、装置筺体または装置筺体内のフレームに設けられた凹部に嵌合することで、カートリッジに当接してカードリッジをロックするロック位置とカートリッジの脱着を許容する解除位置とで固定されるようにすれば、操作手段はロック位置と解除位置とで固定されカートリッジないしサーマルヘッドの交換を容易に行うことができるとともに、印刷中に不正に操作部が動くことがないので、印刷動作に悪影響を及ぼすことがない。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、操作手段を一回操作するだけで、カートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態に移行できるので、印刷装置の操作性を向上することができる、という効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を、カード状記録媒体(以下、単にカードという。)に文字や画像を印刷記録する機能と、カードの磁気ストライプ部に磁気的な記録処理を行う機能とを有するプリンタ装置に適用した実施の形態について説明する。
【0018】
(構成)
<システム構成>
本実施形態のプリンタ装置は、図示を省略したインターフェースを介して、上位装置(例えば、パーソナルコンピュータ等のホストコンピュータ)に接続され、上位装置からプリンタ装置に印刷記録データや磁気記録データ等を送信して、記録動作等を指示することが可能である。なお、後述するように、プリンタ装置は、オペパネ部(操作表示部)6を有しており(図1参照)、上位装置からの記録動作指示の他、オペパネ部6からの記録動作指示も可能である。上位装置には、一般に、原稿に記録された画像を読み取るスキャナ等の画像入力装置、上位装置に命令やデータを入力するためのキーボードやマウス等の入力装置、上位装置によって生成されたデータ等の表示を行なう液晶ディスプレイ等のモニタが接続されている。
【0019】
<外観構成>
図1に示すように、本実施形態のプリンタ装置100は、装置筐体としてのケーシング7の一側に配置され、記録処理前のブランクな複数のカードを積層状に収納可能(約100枚程度)であってケーシング7に対して着脱自在に取り付けられるカード供給部8と、同じくケーシング7の一側でカード供給部8の下方に配置され、記録処理後のカードを傾斜状に収容可能(約30枚程度)であってケーシング7に対して着脱自在に取り付けられるカード収容部9と、同じくケーシング7の一側でカード供給部8に隣接する位置に、プリンタ装置100のエラー状態を含む動作状態を表示する表示部17を有し、印刷処理や磁気記録処理の各種設定を行うためのオペパネ部6が設けられている。なお、オペパネ部6は、ダイヤル18を回転させることによりこれに同期して回転可能に設けられている。
【0020】
カード収容部9の一部には、収容オーバーとなった記録処理後のカードを装置外部へ放出可能な開口部として形成されたカード放出口87が設けられている。また、プリンタ装置100の一面には、後述するように、印刷記録に使用されるインクリボン3を内装したカートリッジ2を着脱する際に装置内部にアクセスするための開閉カバー10が設けられており、開閉カバー10はケーシング7の一部を構成している。
【0021】
そして、カード供給部8ないしカード収容部9に対向して、ケーシング7の他側には、磁気エンコーダユニット80がその一部をケーシング7から突出する形で配置されている。
【0022】
<内部構成>
次に、図2ないし図4に基づきプリンタ装置100の内部の各構成要素について説明する。なお、図2はカード供給部8から供給された記録処理前のブランクなカードCが印刷部50に向けて搬送されている状態を示し、クリーニングローラ33が搬送中のカードCの表面に当接してその印画される面を清浄している状態を示している。このとき、クリーニングローラ33、搬送ローラ35は、後述する搬送ローラ移動機構60(以下、移動機構60と略称する。)により、略水平状のカード搬送路を形成し、カード供給部8からカードCを受け取りカードCの表面を清浄する第一の位置に位置付けられている。
【0023】
また、図3は印刷部50ないし磁気エンコーダユニット80により記録処理されたカードCがカード収容部9に向けて排出される際の状態を示している。このとき、クリーニングローラ33、搬送ローラ35は、移動機構60により、傾斜状のカード搬送路を形成し、カードCをカード収容部9に向けて搬送可能な第二の位置に位置付けられている。
【0024】
さらに、図4はクリーニングローラ33がコロ状クリーナ34に当接して清浄される際の状態を示している。このとき、クリーニングローラ33、搬送ローラ35は、移動機構60により、クリーニングローラ33を清浄可能な第三の位置に位置付けられている。
【0025】
プリンタ装置100は、図示を省略するモータにより回転駆動する供給ローラ76がカード供給部8に収容された最下位(最下層)のカードを装置内部へと繰り出す際にカードCの一枚のみの通過を許容するために、供給コロ78と板状部材からなる分離ゲート77とを有している。供給されるカードCは供給コロ78と分離ゲート77との間を通過して、カード供給部8に連接するようにケーシング7の一側に設けられたカード供給口79へと導かれる。
【0026】
一方、カード収容部9には、その内部の底面が傾斜状に形成された収容トレイ88が設けられており、ケーシング7の一側でカード供給口79の下方に開口を有して配置されたカード排出口85から排出される記録済のカードCが排出ローラ84により収容トレイ88上に順次排出されて収容される(図3参照)。
【0027】
排出ローラ84はプリンタ装置100側に固設されており、上述した供給ローラ76を回転駆動する図示を省略するモータによって回転駆動されるが、供給ローラ76がブランクなカードCを供給するために回転する方向を正転駆動とした場合、図示を省略するモータの逆転駆動により排出されるカードCを収容トレイ88上に排出するように回転駆動される。つまり、図示を省略するモータの正逆転駆動により供給ローラ76および排出ローラ84が回転されるが、供給ローラ76には図示しないワンウェイクラッチ設けられているため、カード供給方向にのみ回転することができる(ワンウェイクラッチの作用により、カード供給方向と逆方向には回転駆動は伝達されない)。一方、排出ローラ84は、図示を省略するモータの正逆転駆動により両方向に回転駆動される。本形態では、記録処理前のブランクなカードCの供給動作と記録処理後のカードCの排出動作とが同時に行われることがなく、排出ローラ84がカードCの排出のための回転とその逆の方向に回転することであっても支障はない。
【0028】
図2に示すように、カード供給口79から供給されたカードCは、後述する搬送駆動モータ70から伝達される駆動力を有して回転する搬送ローラ35、36へと順次引き継がれて略水平状のカード搬送路P1に沿って搬送される。なお、搬送ローラ36は駆動ローラと従動ローラとを有するローラ対で構成されている(以下、特に異なる説明がない限り、ローラ対の従動ローラについての説明を省略し、駆動ローラについてのみ説明する。)。
【0029】
搬送ローラ35の対向側には、クリーニングローラ33が搬送ローラ35に対峙するようにカード搬送路P1に対して進退可能に設けられている。クリーニングローラ33が、搬送されるカードCに当接するようにカード搬送路P1上に進出し第一の位置に位置付けられているとき(図2に示す状態)、駆動力を有する搬送ローラ35との間でカードCを挟持して回転することで、印刷部50により印刷記録される印画面からゴミや埃等の異物を除去して清浄にすることができる。
【0030】
上述したように、クリーニングローラ33は、カード搬送路P1から離間した所定の位置に配置されたコロ状クリーナ34と面接触するように第三の位置にも位置付けられる(図4参照)。コロ状クリーナ34は、インクリボン3を内装するカートリッジ2の所定部位に着脱自在に取り付けられる支持部材に固着して回転可能に設けられている。
【0031】
本形態では、クリーニングローラ33は表面が粘着性を有するゴム材料などの回転自在のローラ状部材からなり、また、コロ状クリーナ34は、樹脂製の回転自在のコロ状部材にスポンジ層を有する粘着性テープが巻装されており、この粘着性テープはクリーニングローラ33の表面の粘着性より高い粘着性を有しているため、カードCから除去されクリーニングローラ33の表面に付着したゴミや埃等の異物は両者の面接触によりコロ状クリーナ34の表面を形成する粘着性テープへと移行、引き渡されることになる。
【0032】
搬送ローラ36のカード搬送方向下流側には、クリーニングローラ33によって清浄されたカードCの表面に、所期の文字ないし画像を印刷記録する印刷部50が設けられている。
【0033】
本形態においては、印刷部50は熱転写プリンタの構成が採用されており、カード搬送路P1上の印刷位置に設けられたプラテンローラ32に対して進退可能に設けられたサーマルヘッド20を有している。プラテンローラ32とサーマルヘッド20との間には、インク層Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)等の複数色が面順次に繰り返されたインクリボン3が介在している。
【0034】
カード搬送路P1に沿って移動するカードCに文字あるいは画像などの情報を熱転写記録する際には、インクリボン3は、リボン供給スプール5側から供給され、サーマルヘッド20の先端部に略全面を当接させながらカードCと同一速度で搬送され、インクリボン3を巻き取るリボン巻取スプール4側に巻取られる。リボン供給スプール5およびリボン巻取スプール4は、不図示のモータにより回転駆動される。このとき、カードCの表面にインクリボン3を介在させてサーマルヘッド20を押圧しながらサーマルヘッド20の加熱素子を選択的に作動させることで、プラテンローラ32に一面側(裏面側)が支持され搬送中のカードCに所期の文字、画像が印刷される。インクリボン3の搬送経路には、複数のガイドシャフトと、所定のインク層(本形態ではインク層Y)の頭出しを行うためにインク層Bk(ブラック)を検出する発光素子58、受光素子59からなる透過型センサが配設されている。
【0035】
<交換機構>
ここで、図6〜図15を参照して、印刷部50に配置され、一回の操作でカートリッジ2の交換とサーマルヘッド20を交換可能な状態への移行とを許容する交換機構200について詳述する。
【0036】
図6および図9に示すように、交換機構200は、主として、サーマルヘッド20を保持するヘッドホルダ21と、ヘッドホルダ21をプラテンローラ32に対して移動させるヘッドホルダ移動部材22と、ヘッドホルダ移動部材22に連結され、ヘッドホルダ21をプラテンローラ32に対して押圧するヘッドホルダ押圧部23と、インクリボン3の弛みを取るように巻き取るリボン巻取り部37と、ヘッドホルダ移動部材22およびリボン巻取り部37を連結し、リボン巻取スプール4とヘッドホルダ21との間にプラテンローラ32と略平行に配置されたシャフト30と、シャフト30の一側(図6、図9の下側)に設けられシャフト30を回動させるための手動のレバー1と、レバー1と一体にシャフト30の一側に設けられカートリッジ2の一部に当接してカートリッジ2をロックするカートリッジロック1a(図9参照)と、を有して構成されている。
【0037】
<ヘッドホルダ>
図8および図11に示すように、ヘッドホルダ21は、内部が中空の略箱状を呈しており、サーマルヘッド20の先端部に配設された加熱素子が露出するようにサーマルヘッド20を保持している。なお、図8は、ヘッドホルダ押圧部23がヘッドホルダ21の上部を構成する被押圧部21aをプラテンローラ32が配置された方向に押圧している状態を示している。
【0038】
図6および図9に示すように、ヘッドホルダ21の両側端部には複数の凸部21cが突設されており、図12に示すように、凸部21cが、装置内部でケーシング7に固定されたフレーム40に形成された溝41に沿って上下方向に移動可能である。なお、図12では、溝41を見やすくするために、便宜的にフレーム40を溝41から離して描いてあるが、実際には凸部21と溝41とは近接している。また、図9および図10に示すように、ヘッドホルダ21は、両側上部に、ヘッドホルダ移動部材22に当接する略逆L字状の当接部21bを有している。
【0039】
<ヘッドホルダ押圧部>
図6および図8に示すように、ヘッドホルダ押圧部23は、全体として内部が中空の略箱状を呈した筐体部と、筐体部外にシャフト30に略平行に配置されたシャフト31と、シャフト31にコイル部が貫通された巻きバネ25と、筐体部の両側壁に配置されヘッドホルダ移動部材22に結合する結合部24とを有して構成されている。
【0040】
図8に示すように、巻きバネ25にはねじりコイルバネが用いられており、巻きバネ25の両端部は、それぞれ、筐体部の上部を構成する上板23aおよび筐体の下部を構成する下板23bに係止されている。このため、筐体部は上板23aおよび下板23bの二層構造を有しており、上板23aおよび下板23bは巻きバネ25による付勢力を有し、圧力が掛かると撓む構造になっている。
【0041】
ヘッドホルダ押圧部23は、結合部24を軸として回転可能である。シャフト31には、シャフト31と略平行に配置されたシャフト51に固着したカム26が当接している。カム26を回転させると、カム26がシャフト31を押し上げ、ヘッドホルダ21の被押圧部21aはプラテンローラ32が配置された方向へ押圧される。このカム26の回転で、カードCに画像を形成する印刷位置と、カードCを搬送する際の印刷待機位置とを作っている。なお、カム26(シャフト51)は、リボン供給スプール5およびリボン巻取スプール4を駆動する上述した不図示のモータにより図示を省略した駆動伝達機構を介して回転駆動される。
【0042】
<ヘッドホルダ移動部>
図9および図10に示すように、シャフト30には、ヘッドホルダ押圧部23を挟むように両側にヘッドホルダ移動部材22が嵌着されている。ヘッドホルダ移動部材22は、シャフト30に固着された基部と、基部から突出した突出部とが一体で形成されている。ヘッドホルダ押圧部23の結合部24は、このヘッドホルダ移動部材22の突出部に回転可能に結合されている。また、ヘッドホルダ移動部材22の突出部の先端部22aは鋭角状を呈しており、シャフト30が回動することで、ヘッドホルダ21の当接部21bに当接してヘッドホルダ21をプラテンローラ32から離間(退避)するように押し上げることが可能である。
【0043】
<レバー>
図6および図9に示すように、シャフト30の一側端部(図6の下側)には円筒状のブロック1Aが嵌着されており、このブロック1Aに、角柱状のレバー1と、断面略コ字状のカートリッジロック1aとが90°の角度(位相)差を有して突出するように一体形成されている。レバー1にはピン状の突起1bが内側(図6、9の上側)に向けて突設されている。
【0044】
図7は、カートリッジロック1aがカートリッジ2に当接して、カートリッジ2が装置本体に装着状態で固定(ロック)された状態を示している。この状態では、図14に示すように、突起1bがフレーム40に形成された溝状の節度を有する凹部42a(図15参照)に嵌合しており、ロック位置で固定されている。なお、オペレータがレバー1を回す際は、一旦レバー1を手前側(図6の下側)に引いてから図7の矢印X方向(ロックを解除する場合)またはその逆方向の図10の矢印Y方向に回す(ロックする場合)。
【0045】
<リボン巻取り部>
シャフト30の他側端部(図6の上側)には扇状ギア11が嵌着されている。扇状ギア11は中間ギア12に噛合している。中間ギア12の同軸上にはギア13が嵌着しており、ギア13にはワンウェイクラッチ16が設けられている。ワンウェイクラッチ16は図7の矢印Z方向の駆動のみ伝える。ギア13はギア14と噛合し、ギア14は、カートリッジ2の装着状態でリボン巻取スプール4に嵌合して連結されるギア15と噛合している。リボン巻取り部37はこれらの要素で構成されている。
【0046】
また、サーマルヘッド20のカード搬送方向上流側(搬送ローラ36側)には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCの搬送方向先端および後端を検出する発光素子48、受光素子49からなる透過型センサ(以下、第1カード検出センサという。)が配設されている。
【0047】
印刷部50の下方には、上記した一連の搬送ローラ35、36、およびプラテンローラ32を正逆転可能なステッピングモータからなる搬送駆動モータ70が配設されている。搬送駆動モータ70による回転駆動力は、搬送駆動モータ70の回転軸に設けられたプーリ71がベルト72によりプーリ73へと伝達され、プーリ73に一端が巻装されたベルト74によりプラテンローラ32の回転軸に設けられたプーリ75を介してプラテンローラ32に駆動が伝達される。なお、プーリ73は2段プーリで構成されており、それぞれの段差部分にベルト72およびベルト74が架け渡されている。
【0048】
プラテンローラ32の回転軸上、搬送ローラ35、36の回転軸上、並びに、それぞれのローラの間には図示を省略する複数のギアが噛合状態で配設されており、プラテンローラ32に伝達された回転駆動力は、これら複数のギアを介して各搬送ローラ35、36へと伝達される。
【0049】
また、プラテンローラ32のカード搬送方向下流側(リボン巻取スプール4側)には、カードCを搬送する機能を有し、印刷部50によりカードCに印刷記録を行なうときにカードCを挟持するニップローラ45がカード搬送路P1に沿って設けられており、このニップローラ45のさらにカード搬送方向下流側には、カードCを搬送するための送りローラ46が同じくカード搬送路P1に沿って設けられている。ニップローラ45および送りローラ46の略中央には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCの搬送方向先端を検出する発光素子56、受光素子57からなる透過型センサ(以下、第2カード検出センサという。)が配設されている。
【0050】
これらのニップローラ45および送りローラ46の回転軸にも図示を省略するギアがそれぞれ設けられており、また、プラテンローラ32とニップローラ45、ニップローラ45と送りローラ46との間にも図示を省略する複数のギアが設けられており、これら複数の図示しないギアが相互に噛み合うことにより、搬送駆動モータ70からの回転駆動力は、上述したプーリ、ベルトおよび図示しない複数のギアを含む駆動力伝達機構を介して、プラテンローラ32の回転軸に設けられたギアから分岐されてニップローラ45および送りローラ46にも伝達される。なお、ニップローラ45および送りローラ46は、磁気エンコーダユニット80が、カードCの印画面の裏面に設けられた磁気ストライプ部に磁気記録処理をするときは、カードCを停止状態で挟持するように構成されている。
【0051】
印刷部50のカード搬送方向下流側には、送りローラ46に隣接して磁気エンコーダユニット80が設けられている。この磁気エンコーダユニット80には、ニップローラ45および送りローラ46によって挟持状態で停止保持されたカードCの磁気ストライプ部に磁気記録処理するために、カード搬送路P1に沿って走査するように往復移動する(自走する)磁気ヘッド81が設けられている。
【0052】
磁気エンコーダユニット80の一部には、カード搬送路P1に沿って搬送されるカードCを装置外へ排出可能な開口部として形成されたカード搬出口82が設けられている。つまり、このカード搬出口82は、カード供給口79に対向し、ケーシング7の他側であって、カード搬送路P1の延長線上に設けられている。従って、カード搬出口82を介してカード搬送路P1内に配置された複数のローラを清浄するためのクリーニングカードを搬入して清浄後に搬出することも可能である。
【0053】
磁気エンコーダユニット80の内部には、カードCをカード搬出口82に向けて搬送するとともに、カード搬出口82からカードCを搬出可能な搬出ローラ47が配設されている。磁気エンコーダユニット80には、この搬出ローラ47を回転駆動する駆動源は備えないが、搬出ローラ47と送りローラ46との間に図示しない複数のギアを設けて連結することにより、送りローラ46に伝達された回転駆動力が搬出ローラ47へと伝わる。
【0054】
また、図示から明らかなように、磁気エンコーダユニット80は、その一部が機体内部に差し込まれるようなユニット形状を有しており、搬送駆動モータ70は、印刷部50の下方で、かつ、磁気エンコーダユニット80と、以下に説明する、クリーニングローラ33、搬送ローラ35を、上述した第一ないし第三の位置のいずれかに移動させる移動機構60との間に配設されている。
【0055】
次に、図5を参照して、移動機構60について詳述する。なお、図5はクリーニングローラ33、搬送ローラ35が上述した第一の位置にある状態を示している。
【0056】
図5に示すように、移動機構60は、正逆転可能なステッピングモータ61と、このステッピングモータ61の回転軸に設けられたモータギア62と、モータギア62に噛合するギア部位を有するギア付きブラケット63を有している。また、搬送ローラ35、36をそれぞれ回転可能に軸支するローラシャフト64、66がギア付きブラケット63に保持されている。さらに、クリーニングローラ33はギア付きブラケット63に着脱可能に設けられている。ギア付きブラケット63は、搬送ローラ36のローラシャフト66を中心として回動可能に取り付けられており、ステッピングモータ61の正逆転駆動によりギア付きブラケット63が回動することで、クリーニングローラ33および搬送ローラ35が第一の位置、第二の位置および第三の位置のいずれかに移動するように構成されている。なお、本実施形態においては、第一の位置がクリーニングローラ33および搬送ローラ35のホーム位置に設定されている。
【0057】
次に、プリンタ装置100の制御および電気系統について説明する。図2ないし図4に示すように、プリンタ装置100は、プリンタ装置100全体の動作制御を行う制御部95と、商用交流電源から各機構部および制御部等を駆動/作動可能な直流電源に変換する電源部90とを有している。
【0058】
制御部95は、プリンタ装置100の全体の制御処理を行うマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)を備えている。マイコンは、中央演算処理装置として高速クロックで作動するCPU、プリンタ装置100の基本制御動作(プログラムおよびプログラムデータ)が記憶されたROM、CPUのワークエリアとして働くRAMおよびこれらを接続する内部バスで構成されている。
【0059】
マイコンには外部バスが接続されている。外部バスには、上位装置との通信を行うための図示を省略したインターフェース、カードCに印刷すべき印刷記録データやカードCの磁気ストライプ部に磁気記録すべき磁気記録データ等を一時的に格納するバッファメモリが接続されている。
【0060】
また、外部バスには、各種センサからの信号を制御するセンサ制御部、各モータに駆動パルスや駆動電力を送出するモータドライバ等を制御するアクチュエータ制御部、サーマルヘッド20の熱エネルギーを制御するサーマルヘッド制御部、オペパネ部6を制御するための操作表示制御部、および、磁気エンコーダユニットが接続されている。センサ制御部は第1カード検出センサ、第2カード検出センサ、発光素子58、受光素子59からなる透過型センサおよび他の図示を省略するセンサに、アクチュエータ制御部はステッピングモータ61、搬送駆動モータ70および他の図示しないモータ等に、サーマルヘッド制御部はサーマルヘッド20に、操作表示制御部はオペパネ部6にそれぞれ接続されている。
【0061】
なお、電源部90は、制御部95、サーマルヘッド20、オペパネ部6および磁気エンコーダユニット80に作動/駆動電源を供給している。
【0062】
(動作)
次に、本実施形態のプリンタ装置100の動作について、交換機構200を主体としたカートリッジ2の着脱の際の動作(以下、脱着の際の動作を脱着動作といい、装着の際の動作を装着動作という。)と、制御部95のマイコンのCPU(以下、単にCPUという。)を主体とした装置全体の動作(以下、全体動作という。)について説明する。
【0063】
<脱着動作>
カートリッジ2を交換(脱着)する際には、オペレータは、開閉カバー10を開き、レバー1を手前側に引いてから図7の矢印X方向に回す。レバー1を矢印X方向に回すと、カートリッジロック1aによるカートリッジ2のロック(係止)が外れ、カートリッジ2の抜き挿しを許容する解除状態となる。すなわち、ロック状態にある図6、図7の状態から、解除状態にある図9、図10の状態に移行する。
【0064】
レバー1を図7の矢印X方向に回すことによって、シャフト30が回動し、シャフト30に設けられたヘッドホルダ移動部材22およびヘッドホルダ移動部材22に結合されたヘッドホルダ押圧部23の結合部24も矢印Xの方向に移動する。これにより、ヘッドホルダ押圧部23によるヘッドホルダ21への押圧が解放された図11の状態となる。
【0065】
また、レバー1を図7の矢印Xの方向に回すことによって、シャフト30が回動し、ヘッドホルダ移動部材22の先端部22aも図7の矢印X方向に移動する。先端部22aは、ヘッドホルダ21の当接部21bに当接してレバー1の動きに連動してヘッドホルダ21をプラテンローラ32から退避するように押し上げる。このとき、ヘッドホルダ21は、凸部21cがフレーム40の溝41に沿いながら移動する。
【0066】
さらに、レバー1を図7の矢印Xの方向に回すことによって、シャフト30が回動し、扇状ギア11が回転し、扇状ギア11に噛合している中間ギア12を回転させる。中間ギア12はギア13に連接しており、ギア13に設けられたワンウェイクラッチ16によって、図7の矢印Z方向の駆動のみ伝える。ギア13はギア14と噛合し、ギア14はギア15と噛合している。このため、インクリボン3がリボン巻取スプール4に巻き取られる。
【0067】
従って、オペレータが、レバー1を図7の矢印X方向に回すだけで、カートリッジ2を固定しているカートリッジロック1aが外れ、ヘッドホルダ21への押圧が解放されてサーマルヘッド20が退避し、インクリボン3の弛みが取れるので、カートリッジ2を容易に抜き取ることができる。また、ヘッドホルダ21への押圧が解放されているため、ヘッドホルダ21も抜き取ることができる。抜き取る際は、ヘッドホルダ押圧部23を手で押し上げると、一層ヘッドホルダ21を抜き取りやすくなる(図12、図13参照)。
【0068】
<装着動作>
逆に、カートリッジ2を挿入する際は、レバー1は解除位置にあり(図9、図10参照)、サーマルヘッド20(ヘッドホルダ21)も退避位置にある(図11参照)。レバー1は、この解除位置でもロック位置と同様に突起1bがフレーム40に形成された溝状の節度を有する凹部42b(図14参照)に嵌合して、解除位置で固定されている(図15に示す状態)。オペレータは、開閉カバー10を開き、カートリッジ2を挿入後、レバー1を手前側に引いてから図10の矢印Y方向(図7の矢印X方向とは逆方向)に回す。カートリッジロック1aがカートリッジ2と当接してレバー1はロック位置に位置し、カートリッジ2は装着状態で固定される。すなわち、解除状態にある図9、図10の状態からロック状態にある図6、図7の状態に移行する。
【0069】
また、レバー1を図10の矢印Yの方向に回すことによって、シャフト30が回動し、シャフト30に設けられたヘッドホルダ移動部材22が図10の矢印Y方向へ移動する。ヘッドホルダ押圧部23は、結合部24でヘッドホルダ移動部材22に結合されているので、ヘッドホルダ押圧部23もシャフト30を回転軸として図10の矢印Y方向へ移動する。その際、ヘッドホルダ押圧部23はヘッドホルダ21の被押圧部21aに当接した状態で移動するので、ヘッドホルダ21は、凸部21cがフレーム40の溝41に沿いながらプラテンローラ32の方向へ移動する。これにより、図11に示す状態から図8に示す状態に移行する。この状態で、ヘッドホルダ押圧部23は、ヘッドホルダ21をプラテンローラ32が配置された方向に押し下げている。
【0070】
従って、オペレータが、レバー1を図10の矢印Y方向に回すだけで、カートリッジ2が装着位置で固定され、サーマルヘッド20が印刷待機位置でセットされ、印刷可能な状態となる。なお、この際、シャフト30に設けられた扇状ギア11は、リボン巻取り方向とは逆の駆動を伝えようとするが、ギア13に設けられたワンウェイラッチ16によってリボン巻取スプール4には駆動が伝わらない。このため、カートリッジ2をセットする場合はリボン巻取スプール4には駆動が伝わらず、インクリボン3がカートリッジ2内で弛むことがない。
【0071】
<全体動作>
制御部95に電源が投入されると、CPUは、ROMに格納されたプログラムおよびプログラムデータを読み出し(RAMに展開し)、各機構部を作動させるための初期処理を行う。すなわち、初期処理では、外部バスを介してマイコンに接続され制御部95を構成するセンサ制御部等の各制御部、磁気エンコーダユニット80との接続確認を行った後、各構成部が上述したホーム位置に位置しているかをセンサ制御部からの信号等に基づいて判断し、各構成部がホーム位置に位置していない場合には、ホーム位置に移動させる。センサ制御部の信号等に基づいて、各構成要素をホーム位置への復帰動作を所定回繰り返してもホーム位置に移動しない場合には、上位装置に報知するとともに、操作表示制御部を介して表示部17にその旨を表示させる。また、初期処理では、センサ制御部からの信号等に基づいて、カード供給部8にカードが収容されているか等も併せて判断し、収容されていないと判断したときは、同様に、上位装置に報知するとともに、表示部17にその旨を表示し、さらに、カード供給部8にカードが収容されるまで待機する。なお、初期処理では、ステッピングモータ61を駆動させ第一の位置(ホーム位置)にあるクリーニングローラ33を第三の位置に移動させた後、駆動搬送モータ70を所定時間駆動させ、第三の位置でコロ状クリーナ34に面接触(当接)するクリーニングローラ33を清浄する。
【0072】
一方、上位装置にインストールされたプリンタドライバは、オペレータ(ユーザ)の指定した記録指令に基づいて、プリンタ装置100での記録動作を制御するための各種パラメータ値を決定し、その記録指令よりカードCへの記録を行うための印刷記録データおよび磁気記録データを生成して、プリンタ装置100に送信する。制御部95のバッファメモリには、記録制御指令となる各種パラメータ値、印刷記録データをY、M、C、Bkの色成分ごとに分解して得られた画像データないし文字データ、および、磁気記録データが格納される。なお、本形態では、上位装置側において色成分(元データは、R、G、B)に分解し、プリンタ装置100でR、G、BからY、M、Cに変換されて画像データとして用いられ、上位装置側で抽出されたBkデータがプリンタ装置100で同じくBkデータとして用いられて文字データに供される。
【0073】
CPUは、バッファメモリに格納された記録制御指令(各種パラメータ値)を取り込み、これらのパラメータ値とRAMに展開されたプログラムおよびプログラムデータとに従って、以下のように各機構部を制御する。
【0074】
まず、アクチュエータ制御部を介して、移動機構60を構成するステッピングモータ61を駆動して、クリーニングローラ33、搬送ローラ35を図7に示す第三の位置から図5に示す第一の位置へと移動させて、カードCの受け入れ準備を行なう。このとき、移動機構60は、搬送ローラ35、36を、略水平状のカード搬送路を形成するように位置付けている(図2、図5に示す状態)。
【0075】
次に、CPUは、アクチュエータ制御部を介して搬送駆動モータ70を作動させ駆動伝達機構を介してカード搬送路P1上に配設された各ローラを駆動させるとともに、アクチュエータ制御部を介して供給ローラ76を回転駆動する図示を省略したモータを駆動する。
【0076】
これにより、カード供給部8の最下位のカードCは、供給コロ78と分離ゲート77との間およびカード供給口79を介してケーシング7内に搬入される。カードCは、クリーニングローラ33により印画面が清浄され、カード搬送路P1に沿ってカード搬出口82側に向けて搬送される(図2参照)。
【0077】
カードCは、搬送駆動モータ70の駆動力により、両端部が送りローラ46、ニップローラ45に挟持される位置まで、カード搬出口82に向けてカード搬送路P1上をさらに搬送される。CPUは、第2カード検出センサによるカード先端検出後、搬送駆動モータ70のパルス数が所定値に到ると、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。これにより、カードCは、両端部を送りローラ46とニップローラ45とで挟持状態で停止保持され、磁気エンコーダユニット80の磁気ヘッド81による磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みが可能な状態となる。
【0078】
CPUは、カードCへの磁気ストライプ部への情報書き込みを行うために、図示しないエンコーダ付き直流モータを駆動させ磁気ヘッド81をホーム位置から動作位置に移動させ、磁気ヘッド81をカードCの磁気ストライプ部に圧接させる。次いで、CPUは、外部バスを介してバッファメモリに格納されていた磁気記録データを磁気エンコーダユニット80に出力するとともに、図示しないエンコーダ付き直流モータを駆動させ磁気ヘッド81を、カードCの磁気ストライプ部の端から端の全領域内の必要な範囲を移動させて、磁気記録データを磁気ストライプ部に記録させる。
【0079】
CPUは、カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みが終了すると、図示しないエンコーダ付き直流モータを停止、逆転させ、磁気ヘッド81を書き込み方向とは逆方向の下流側に移動させてカードCの磁気ストライプ部に書き込んだ磁気記録データを読み取り、バッファメモリに格納された磁気記録データと読み取った磁気記録データとが一致するかのベリファイ(正しく書き込まれたかのチェック)を行う。なお、磁気ヘッド81はベリファイの終了により、ホーム位置に復帰する。
【0080】
CPUは、ベリファイ結果が書き込み不良のときは、上位装置に報知するとともに、表示部17にその旨を表示して、搬送駆動モータ70を所定パルス数(正転)駆動することで、カードCを、カード搬出口82を介して装置外に搬出する。次いで、カード供給部8から新たなカードCの供給を受けて、上記と同様に磁気エンコーダユニット80に(新たな)カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込みおよびベリファイを実行させる。
【0081】
一方、磁気エンコーダユニット80のマイコンからのベリファイ結果に問題がない(カードCの磁気ストライプ部への磁気記録データの書き込み不良がない)場合には、CPUは、搬送駆動モータ70を逆転駆動させ、両端部がニップローラ45、送りローラ46に挟持状態で停止保持されたカードCをカード搬送路P1に沿ってカード供給口79側に逆搬送する。この逆搬送の間、カードCの後端が第1カード検出センサで検出されると、さらに所定パルス数、搬送駆動モータ70の逆転駆動を継続して、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。これにより、カードCは、搬送方向後半部が搬送ローラ36に挟持状態されるとともに、搬送方向先半部がクリーニングローラ33、搬送ローラ35で挟持された状態となる。
【0082】
この間、CPUは、不図示のモータを駆動して、カートリッジ2のインクリボン3をリボン巻取スプール4側へ巻き取り、発光素子58、受光素子59からなる透過型センサがインク層Bk(ブラック)の端部を検出した時点(受光素子59がインク層Bkによる発光素子58の発光が不透過状態から透過状態となったことを検出した時点)をトリガとして、所定ステップ数、不図示のモータをさらに駆動して、インク層Y(イエロー)の先端部がサーマルヘッド20とプラテンローラ32との位置に位置付けられるようにインクリボン3の頭出しを行う。
【0083】
次いで、CPUは、搬送駆動モータ70を正転駆動させ、カードCを、カード搬送路P1上をカード搬出口82側へ向けて搬送するとともに、第1カード検出センサによりカードCの先端位置を確認して、印刷部50によりカードCの表面に印刷記録データによる所期の文字、画像を印刷する。すなわち、カードCの表面にインクリボン3(インク層Yの部分)を介在させてサーマルヘッド20を押圧しながら、Y色の画像データ(RGBデータからY成分が色変換された画像データ)に従ってサーマルヘッド20の加熱素子を選択的に作動させる。これにより、カードCの表面には、インクリボン3に塗着されたY(イエロー)の熱転写インク成分が直接転写される。
【0084】
このとき、カードCは裏面側がプラテンローラ32に支持されるが、当初、搬送ローラ36で挟持搬送され、カード搬送路P1上をカード搬出口82側へ向けて搬送されるに従って、先端部側がニップローラ45、後端部側が搬送ローラ36で挟持搬送され、最後に、(後端部側をプラテンローラ32で裏面側を支持されながら)ニップローラ45により挟持搬送される。従って、搬送ローラ36およびニップローラ45は、印刷部50による印刷記録の際に、カードCを挟持し一定速度で搬送するキャプスタンローラとして機能する。CPUは、第1カード検出センサによりカードCの後端位置を確認して、さらに所定パルス数、搬送駆動モータ70の正転駆動を継続して、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。
【0085】
次に、CPUは、搬送駆動モータ70を逆転駆動させ、カードCをカード搬送路P1に沿ってカード供給口79側に逆搬送(スイッチバック搬送)し、カードCを、搬送方向後半部が搬送ローラ36に挟持され、搬送方向先半部がクリーニングローラ33、搬送ローラ35で挟持された状態となると、搬送駆動モータ70の駆動を停止させる。この間、CPUは、不図示のモータを駆動して、カートリッジ2のインクリボン3をリボン巻取スプール4側へ若干巻き取り、インク層M(マゼンタ)の先端部がサーマルヘッド20とプラテンローラ32との位置に位置付ける。次いで、CPUは、搬送駆動モータ70を正転駆動させ、カードCを、カード搬送路P1上をカード搬出口82側へ向けて搬送するとともに、印刷部50により、インクリボン3に塗着されたM(マゼンタ)の熱転写インク成分をカードCの表面に直接転写する。以下、同様にして、CPUは、印刷部50により、カードCの表面に、インクリボン3に塗着されたC(シアン)およびBk(ブラック)の熱転写インク成分をカードCの表面に直接転写する。これにより、カードCの表面には、Y、M、C、Bkによるカラー画像が形成される。
【0086】
次いで、CPUは、カードCをカード排出口85に向けて搬送する。すなわち、搬送駆動モータ70を逆転駆動させ、カードCをカード搬送路P1に沿ってカード供給口79側に逆搬送(スイッチバック搬送)する。印刷部50によりカードCの印画面に多色の面順次印刷記録を行なう際に、カードCをカード供給口79側に逆搬送したときは、搬送ローラ35が略水平状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第一の位置に維持されているが、所定の記録処理を終えたカードCがカード排出口85に向けて排出される際には、第1カード検出センサによりカード搬送路P1上を逆搬送されるカードCの後端を検出した時点、或いはカードCの後端を検出して数パルス経過した時点をトリガとして、CPUはステッピングモータ61を駆動制御して、移動機構60(ステッピングモータ61の駆動)により、搬送ローラ35を傾斜状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第二の位置へと移動させるとともに、上述した供給ローラ76を回転駆動する図示を省略するモータを逆転駆動させ排出ローラ84を回転駆動させる。
【0087】
これにより、カードCはカード排出口85を介してカード収容部9に収容されるか、または、(カード収容部9にカードが満杯の場合は)カード放出口87から外部へ放出される。
【0088】
CPUは、カードCのカード収容部9への排出動作が完了した所定のタイミングでステッピングモータ61を再度駆動(逆方向の回転駆動)して、クリーニングローラ33、搬送ローラ35を傾斜状のカード搬送路を形成するように位置付けられる第二の位置からコロ状クリーナ34と当接する第三の位置へと復帰させ、なおも、搬送駆動モータ70を所持時間、逆転駆動させ、コロ状クリーナ34でクリーニングローラ33を清浄した後、搬送駆動モータ70の逆転駆動を停止させ、ステッピングモータ61を駆動してクリーニングローラ33、搬送ローラ35を第三の位置からホーム位置である第一の位置に位置付ける。これにより、カードCへの記録処理が終了し、次のジョブがある場合は、以上の動作を繰り返す。
【0089】
(効果等)
次に、本実施形態のプリンタ装置100の効果等について、交換機構200の効果等を中心に説明する。
【0090】
本実施形態のプリンタ装置100は、上述したように、ヘッドホルダ21と、ヘッドホルダ移動部材22と、ヘッドホルダ押圧部23と、シャフト30と、レバー1と、カートリッジロック1aと、を有して構成された交換機構200を備えている。カートリッジ2の脱着動作の際に、交換機構200は、オペレータがレバー1を図7の矢印X方向に回すだけで、カートリッジ2を固定しているカートリッジロック1aが外れ、ヘッドホルダ21への押圧が解放されてサーマルヘッド20が退避し、インクリボン3の弛みが取れるので、カートリッジ2を容易に抜き取ることができるとともに、ヘッドホルダ21への押圧が解放されているため、ヘッドホルダ21も抜き取ることができる。また、カートリッジ2の装着の際に、交換機構200は、オペレータがレバー1を図10の矢印Y方向に回すだけで、カートリッジ2が装着位置で固定され、サーマルヘッド20が印刷待機位置でセットされ、印刷可能な状態となり、インクリボン3がカートリッジ2内で弛むことがない。
【0091】
従って、本実施形態のプリンタ装置100によれば、レバー1を一回操作するだけで、カートリッジ2の交換とサーマルヘッド20の交換を行える状態に移行できるので、プリンタ装置1の操作性を向上することができる。また、交換機構200は、インクリボン巻取部37で同時にインクリボン3の弛みを除去するので、カートリッジ2を交換する際にインクリボン3がサーマルヘッド20等に引っ掛かるおそれもない。
【0092】
また、シャフト30は、サーマルヘッド20の昇降とリボン巻取りとの両方に作用するため、両方に近い位置に配置するのが合理的である。本実施形態のプリンタ装置100では、ヘッドホルダ21とリボン巻取スプール4との間の空間を利用し、そこにシャフト30を配置した。このため、シャフト30に配設されたレバー1のために別の空間を用意する必要がなく、装置の小型化が可能である。
【0093】
さらに、本実施形態のプリンタ装置100では、レバー部材1が突起1bによりロック位置(図14参照)と解除位置(図15参照)とで固定されるので、カートリッジ2やサーマルヘッド20の交換を容易に行うことができる。また、印刷部50(サーマルヘッド20)による印刷の際に、不正にレバー部材1が動くことがないので、印刷に悪影響を及ぼさない。
【0094】
また、本実施形態のプリンタ装置100では、搬送されるカードCのカード搬送方向に沿って、カード供給口79、印刷部50および磁気エンコーダユニット80を順次略水平状に配設するとともに、カード供給口79とカード排出口85とが上下方向に位置付けられるようにカード排出口85をケーシング7の一側に設けられている。このため、カード搬送経路を長くすることなく、装置サイズの小型化を図ることができる。
【0095】
さらに、本実施形態のプリンタ装置100では、クリーニングローラ33の表面に付着したゴミを取り除くコロ状クリーナ34が、カートリッジ2の一部に固設されている。このため、カートリッジの交換によりコロ状クリーナ34も交換できるので、使い勝手が向上する。
【0096】
なお、本実施形態では、部品数を少なくするために、ヘッドホルダ押圧部23(の結合部24)がヘッドホルダ移動部材22を介してシャフト30に連結された例を示したが、本発明はこれに制限されず、ヘッドホルダ押圧部23(の結合部24)がヘッドホルダ移動部材22とは別の部材を介してまたはヘッドホルダ押圧部23から延出された部材によりシャフト30に連結されているように構成してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、ブロック1Aにレバー1とカートリッジロック1aとを一体に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、レバー1とカートリッジロック1aとをそれぞれ別の部材としてシャフト30に設けるようにしてもよい。また、本実施形態では、ブロック1Aを介してレバー1をシャフト30に嵌着した例を示したが、シャフト30からレバー1を連接したり、または、ギア等を介して間接的にシャフト30に連接するようにしたりしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、シャフト30に扇状ギア11を設け、ギア15と連結するために、ギア12〜14の複数のギアを設け、ギア13にワンウェイクラッチ16を設けた例を示したが、シャフト30にギア15に直接噛合するギアを設け、このギアとギア15とのいずれかにワンウェイクラッチ16を設けるようにしてもよい。
【0099】
さらに、本実施形態では、ケーシング7内のフレーム40に溝41を形成した例を示したが、本発明はこれに制限されず、例えば、ケーシング7自体に溝41を形成するようにしてもよい。このようにすれば、フレーム40が不要となるので、装置の小型化と軽量化を図ることができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、上位装置とのシステム構成を例示したが、プリンタ装置100に、例えば、MO、CD、DVD等に記録されたデータを読み取る媒体読取部を備え、オペパネ部6からの記録動作指示によりプリンタ装置100を操作できるように構成してもよい。また、本発明は記録部として磁気エンコーダユニット80のみを有する(印刷部50を有しない)記録装置にも適用可能である。
【0101】
そして、本実施形態では、印刷部50の印刷処理において、Y、M、C、Bkによるカラー印刷を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、Bkだけで印刷するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は一回の操作でカートリッジ交換とサーマルヘッド交換を行える状態にできる操作性の優れた印刷装置を提供するものであるため、印刷装置の製造、販売に寄与するので、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明が適用可能な実施形態のプリンタ装置の外観斜視図である。
【図2】プリンタ装置の概略断面図であり、クリーニングローラおよび搬送ローラが第一の位置に位置付けられた状態を示している。
【図3】プリンタ装置の概略断面図であり、クリーニングローラおよび搬送ローラが第二の位置に位置付けられた状態を示している。
【図4】プリンタ装置の概略断面図であり、クリーニングローラおよび搬送ローラが第三の位置に位置付けられた状態を示している。
【図5】プリンタ装置の搬送ローラ移動機構の拡大図である。
【図6】プリンタ装置の交換機構の斜視図であり、装置内に装着されたカートリッジがロックされた状態を示している。
【図7】プリンタ装置の交換機構の正面図であり、装置内に装着されたカートリッジがロックされた状態を示している。
【図8】プリンタ装置の交換機構の断面図であり、ヘッドホルダ押圧部がヘッドホルダの被押圧部をプラテンローラの方向に押圧している状態を示している。
【図9】プリンタ装置の交換機構の斜視図であり、装置内に装着されたカートリッジのロックが解除された状態を示している。
【図10】プリンタ装置の交換機構の正面図であり、装置内に装着されたカートリッジのロックが解除された状態を示している。
【図11】プリンタ装置の交換機構の断面図であり、ヘッドホルダ押圧部によるヘッドホルダへの押圧を解放している状態を示している。
【図12】プリンタ装置の交換機構の斜視図であり、交換機構とフレームとの関係を示している。
【図13】プリンタ装置の交換機構の正面図であり、サーマルヘッド交換時のヘッドホルダの位置を示している。
【図14】フレームに設けられた溝部を示す斜視図であり、ロック位置で突起が溝に嵌合している状態を示している。
【図15】フレームに設けられた溝部を示す斜視図であり、解除位置で突起が溝に嵌合している状態を示している。
【符号の説明】
【0104】
1 レバー(操作手段)
1a カートリッジロック(ロック手段)
2 カートリッジ
3 インクリボン
4 リボン巻取スプール(巻取り軸)
11 扇状ギア(第一のギア)
13 ギア(第三のギアの一部)
15 ギア(第二のギア)
16 ワンウェイクラッチ
20 サーマルヘッド
21 ヘッドホルダ(保持手段)
22 ヘッドホルダ移動部材(移動手段)
23 ヘッドホルダ押圧部(押圧手段)
25 巻きバネ
30 シャフト(連結手段)
32 プラテンローラ
37 リボン巻取り部(リボン巻取り手段)
42a、42b 凹部
100 印刷装置
200 交換機構
C カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、
前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、
前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、
前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、
前記保持手段を前記プラテンローラに対して押圧する押圧手段と、
前記ロック手段と、前記移動手段とを連結する連結手段と、
前記連結手段を回動させるための操作手段と、
を備え、前記押圧手段は前記移動手段または前記連結手段に連結されており、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記押圧手段が前記保持手段への押圧を解放して、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、
前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、
前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、
前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、
前記インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、
前記ロック手段と、前記移動手段と、前記リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、
前記連結手段を回動させるための操作手段と、
を備え、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させ、前記リボン巻取り手段により前記インクリボンの弛みが取られることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
カートリッジに収容されたインクリボンを介してサーマルヘッドを圧接してプラテンローラに一面側が支持されたカードに画像を印刷する印刷装置において、
前記サーマルヘッドを保持する保持手段と、
前記カートリッジに当接して前記カートリッジをロックするロック手段と、
前記保持手段を前記プラテンローラに対して移動させる移動手段と、
前記保持手段を前記プラテンローラに対して押圧する押圧手段と、
前記インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段と、
前記ロック手段と、前記移動手段と、前記リボン巻取り手段とを連結する連結手段と、
前記連結手段を回動させるための操作手段と、
を備え、前記押圧手段は前記移動手段または前記連結手段に連結されており、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記ロック手段が前記カートリッジのロックを解除するとともに、前記押圧手段が前記保持手段への押圧を解放して、前記移動手段が前記保持手段を前記プラテンローラから退避するように移動させ、前記リボン巻取り手段により前記インクリボンの弛みが取られることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
前記インクリボンを、弛みを取るように巻き取るリボン巻取り手段をさらに備え、前記連結手段は、前記ロック手段と、前記移動手段と、前記リボン巻取り手段とを連結しており、前記操作手段を介して前記連結手段を回動させることで、前記リボン巻取り手段により前記インクリボンの弛みが取られることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記リボン巻取り手段は、前記連結手段に設けられた第一のギアと、前記インクリボンの巻取り軸に設けられた第二のギアと、互いに噛合する前記第一もしくは前記第二のギア、または、前記第一および第二のギアを連結する第三のギア、のいずれかに設けられたワンウェイクラッチとを有して構成され、前記連結手段の回動により、リボン巻取り方向にのみ前記インクリボンを巻き取ることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記押圧手段が前記保持手段への押圧を解除している状態で、前記保持手段を装置本体から抜き取り可能なことを特徴とする請求項1または請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記押圧手段は、前記保持手段を前記プラテンローラが配置された方向へ押し下げることを特徴とする請求項1、請求項3および請求項6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記押圧手段は、二層構造を有しており、各層それぞれに巻きバネの一端が取り付けられて付勢力を有していることを特徴とする請求項1および請求項3ないし請求項7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記連結手段は、前記インクリボンの巻取り軸と前記保持手段との間の空間に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記操作手段は、前記連結手段に設けられた手動のレバーであることを特徴とする請求項1ないし請求項4および請求項9のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記操作手段は突起を有し、装置筺体または前記装置筺体内のフレームに設けられた凹部に嵌合することで、前記カートリッジに当接して前記カードリッジをロックするロック位置と前記カートリッジの脱着を許容する解除位置とで固定されることを特徴とする請求項1ないし請求項4、請求項9および請求項10のいずれか一項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−183865(P2008−183865A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21434(P2007−21434)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】