説明

印刷装置

【課題】単印刷時は印刷用紙に対する傷を最小限に防ぎ、連続印刷においては、印刷終了までの時間を短縮することができる印刷装置を提供する。
【解決手段】ロール状の印刷用紙と熱昇華型インクリボンを用いる印刷装置のMPU115は、印刷が複数枚に亘る連続印刷か単印刷かを判定し、判定結果に応じて、印刷用紙の待機位置を変えて印刷制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻かれた印刷用紙を用いた印刷装置に関し、特に、印刷用紙の搬送制御技術に特徴のある印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱昇華型の印刷装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色の印刷を繰り返し、最後に保護層であるオーバーコート(OC)を施すのが一般的な印刷方法であり、一色印刷が終了する毎に印刷開始位置に精度良く印刷用紙を戻さなければならない。
【0003】
特許文献1では、印刷用紙カセットを用いた熱昇華型の印刷装置において、印刷用紙の待機位置を印刷用紙のカセット内とカセット外に設け、規定時間操作がない場合、カセット内待機位置に印刷用紙を戻す技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−088385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、複数数に亘る連続印刷を想定した場合に、一印刷終了後の印刷待機時に印刷用紙の挟持を解除しないで、印刷用紙の先端検出を行った方が、オーバーヘッドが短くなり利用者の利便性が向上する。
【0006】
他方、常時印刷用紙の挟持を解除しない場合、印刷用紙挟持痕が残ってしまい、印刷用紙にダメージが残ってしまうと言った問題があった。
【0007】
また、上記特許文献1に開示される制御手法を採ったとしても、規定時間、印刷用紙の挟持が継続されるため、それが繰り返されると挟持痕の原因となってしまう。
【0008】
本発明の目的は、単印刷時は印刷用紙に対する傷を最小限に防ぎ、連続印刷においては、印刷終了までの時間を短縮することができる印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の印刷装置は、ロール状の印刷用紙に画像を印刷する印刷装置であって、印刷が複数枚に亘る連続印刷か1枚印刷かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、前記印刷用紙の待機位置を変えて印刷制御を行う制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の印刷装置によれば、印刷時は印刷用紙に対する傷を最小限に防ぎ、連続印刷においては、印刷終了までの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る印刷装置によって実行される印刷制御処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る印刷装置によって実行される印刷制御処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【図4】印刷装置における動作状態を示す図である(1)。
【図5】印刷装置における動作状態を示す図である(2)。
【図6】印刷装置における動作状態を示す図である(3)。
【図7】印刷装置における動作状態を示す図である(4)。
【図8】印刷装置における動作状態を示す図である(5)。
【図9a】通常の印刷装置によって実行される印刷制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9b】通常の印刷装置によって実行される印刷制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面を参照しながら詳細に説明する。まず、印刷装置の基本的な動作について説明する。
【0013】
そのため、印刷用紙は、搬送中に位置がずれないように、印刷用紙を挟持するローラ部材として凹凸形状の突起物の付いたグリップローラを用いるのが一般的である。以下に図4から図8、図9(図9a、図9b)のフローチャートを用いて熱昇華型の印刷装置の動作について説明する。
【0014】
図4〜図8において、印刷用紙201は、給紙ローラ202a、202bにより挟持され、印刷準備状態にある。印刷時には、グリップローラ203とピンチローラ204は、印刷用紙201を挟持して印刷用紙の搬送を行う。
【0015】
グリップローラ203は、不図示のステッピングモータにより駆動される。印刷用紙先端検出センサ206は、印刷用紙201の先端を検出する。
【0016】
印刷時には印刷用紙先端検出センサ206が印刷用紙201の先端を検出した位置を基準として印刷用紙201の搬送が行われる。
【0017】
熱昇華型のインクが巻かれたインクリボンカセット205a、205bは、印刷時にはサーマルヘッド207とプラテンローラ208により印刷用紙201と共に挟持され、印刷が行われる。切断装置209a、209bは、印刷が完了後に印刷用紙201から印画物を切断する。
【0018】
排紙ローラ210a、210bは、切断装置209a、209bにより切断された印画物211(図8)を熱昇華型の印刷装置外に送り出す。図4の印刷準備状態から印刷が指示されると、図9aのS(ステップ)701に示すように給紙を開始する。
【0019】
S702では、図5に示す様に、印刷用紙201の先端検出を待ち、先端検出が完了するとS703で印刷用紙の搬送基準位置とする。
【0020】
S704以降は、S703での先端検出位置を基準位置として、不図示のステッピングモータによりステップ単位で用紙搬送位置は制御される。そして、図6に示す様に、規定印画サイズLprint分と印刷用紙先端検出センサ206からサーマルヘッド207までの距離L1(図6参照)を加えた長さに対応するステップ数の印刷用紙搬送を開始する。
【0021】
S705では、印刷用紙搬送の完了を待ち、印刷用紙搬送完了によりS706で印刷用紙搬送を停止する。S707では、イエロー印刷であるか、その他の色の印刷であるかの判定を行う。
【0022】
イエロー印刷であれば、S711で不図示のリボンフィードモータを駆動して、インクリボンをインクリボンカセット205b側から供給してインクリボンカセット205a側へイエローリボンを巻き上げる。そして、不図示のリボンマーカ検出センサにより、イエローリボンの先頭検出を開始する。
【0023】
一般に熱昇華型の印刷装置においては、イエローリボンの検出マーカだけが他の色と区別できる様に設定されており、イエローリボン以降はその検出マーカの出現順で色を判定するため、イエローリボンの検出だけが他色と異なる。
【0024】
S713で、イエローリボンの先頭を検出すると、S714で、不図示のリボンフィードモータの駆動を停止して、S715で、図7に示す様に、サーマルヘッド207を不図示のポジションチェンジモータを駆動して、インクリボン、印刷用紙201をプラテンローラ208に圧着する。
【0025】
S716では、インクリボンの巻き上げ、印刷用紙搬送、サーマルヘッド207の通電を開始して印刷動作を行う。印刷方向は、給紙ローラ202a、202b方向に印刷用紙201を戻す方向である。
【0026】
S717では、S704で設定した規定画像サイズ分の搬送が完了するのを待ち、印刷動作が完了すると、S718で、サーマルヘッド207の通電を停止し、印刷用紙搬送停止、リボンの巻き上げを停止してイエロー一色分の印刷を完了する。
【0027】
印刷は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、オーバーコート(OC)に亘り行われるため、S720では、オーバーコート(OC)が完了したかを判定し、完了していなければS707に戻り、再びイエロー印刷であるかを判定する。
【0028】
次回印刷は、マゼン(M)であるため、規定印刷サイズ分、印刷用紙201を排紙ローラ210a、210b方向へ搬送する。
【0029】
S709では、上記印刷用紙搬送が完了するのを待ち、完了すると、S710で印刷用紙搬送を停止して再度、図6の状態に戻る。
【0030】
S712では、マゼンタリボンを巻き上げ、マゼンタリボン先頭の検出を開始する。S713では、マゼンタリボン先頭検出完了を待ち、検出完了後、S714でマゼンタリボンの巻き上げを停止する。S713からS719は、イエロー(Y)印刷時と同様の動作である。
【0031】
S720の判定によりオーバーコート(OC)の完了を待つため、マゼンタ(M)印刷以降シアン(C)、オーバーコート(OC)印刷を繰り返す。
【0032】
オーバーコート(OC)の印刷が完了すると、印画物211を印刷用紙201から切断するために、S721で以下の処理を実行する。即ち、規定印画サイズLprint分とサーマルヘッド207から切断装置209a、209bまでの距離L2を加えた長さに対応するステップ数分、不図示のステッピングモータにより排紙ローラ210a、210b方向に印刷用紙搬送を開始する。
【0033】
S722では、印刷用紙搬送の完了を待ち、完了後、S723で印刷用紙搬送を停止する。S724では、図8に示す様に、印画物211の切断を実行する。S725では、印画物211を排紙ローラ210a、210bにより熱昇華型の印刷装置外へ排紙させるために排紙動作が開始される。
【0034】
S726では、排紙の完了待ちを行い、排紙が完了すると、S727により排紙動作が停止される。S728では、印刷用紙201は、給紙ローラ202a、202b方向へL2+L3分印刷用紙搬送開始される(図8参照)。
【0035】
S729では、グリップローラ203、ピンチローラ204による挟持が解除され、印刷待機状態となるまで印刷用紙201が搬送されるのを待ち、挟持が解除されるとS730で、印刷用紙搬送を停止する。
【0036】
次に、本発明の特徴的な構成を、図1〜図8を参照して説明する。
【0037】
図1は、本発明の実施の形態に係る熱昇華型の印刷装置の構成を示すブロック図である。
【0038】
図1の印刷装置は、ロール状の印刷用紙と熱昇華型インクリボンを用いる熱昇華型の印刷装置である。
【0039】
この印刷装置において、センサ群101は、印刷用紙先端検出センサ、インクリボン先頭検出センサ、サーマルヘッド207の温度計測センサ等、印刷処理における状態検出を行う。ステッピングモータ102は、給紙ローラ202、グリップローラ203、ピンチローラ204等により印刷用紙搬送を行う。ステッピングモータドライバ103は、ステッピングモータ102を駆動する。
【0040】
ポジションチェンジモータ104は、サーマルヘッド207とインクリボン、印刷用紙を圧着させたり離したりする。リボンフィードモータ105は、インクリボンを巻き上げる。DCモータドライバ106は、ポジションチェンジモータ104、リボンフィードモータ105を駆動する。
【0041】
フラッシュメモリ等のROM107は、印刷装置本体の制御プログラムが格納されている。RAM108は、印刷画像データ作成等に使われ、印刷画像データが展開される書き換え可能である。印刷時には、RAM108に展開された印刷画像データを元に、印刷用紙201に熱転写を行うサーマルヘッド207の制御を行う。
【0042】
熱制御IC109は、サーマルヘッド207を駆動する。LCDドライバ111は、表示装置であるLCD112を駆動する。操作部材113は、電源スイッチのオン、オフ、印刷指示、画像選択等を行う。
【0043】
MPU115は、印刷装置本体の印刷処理を制御し、以後のシーケンス上の判定、判断を司る部位である。MPU115は、マイクロプロセッサ機能に加えて画像処理機能、メモリカードアクセス機能、通信インターフェース等が複合された専用ICとなっている。
【0044】
MPU115は、印刷が複数枚に亘る連続印刷か単印刷かを判定し、判定結果に応じて、印刷用紙201の待機位置を変えて印刷制御を行う。連続印刷か単印刷かの判定は、印刷開始前に操作部材を操作して行われた印刷設定に基づいて判断する。印刷前に、ユーザはLCDに表示される印刷設定画面を見ながら操作部材を操作することにより、印刷対象の画像の選択、印刷レイアウトおよび印刷枚数の設定が可能である。印刷レイアウトが、1枚の用紙に1枚の画像を印刷する通常印刷の設定である場合は、印刷枚数が複数枚の場合は連続印刷、1枚の場合は短印刷であると判定する。印刷レイアウトが、1枚の用紙に複数の画像を配置して印刷するレイアウト印刷の設定である場合は、印刷対象の画像の数と印刷レイアウトの設定(1枚の用紙にレイアウトする画像の数)に基づいて、連続印刷であるか1枚印刷であるかを判定する。
【0045】
また、MPU115は、複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、印刷用紙201をグリップローラ203、ピンチローラ204から退避させずに連続印刷を行う。
【0046】
また、MPU115は、複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、初回の印刷のみ印刷用紙先端検出センサ206により記印刷用紙201の先端検出を行い、次回以降、印刷用紙の先端検出は行わない。
【0047】
また、MPU115は、複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、任意の印刷数毎にグリップグリップローラ203、ピンチローラ204から印刷用紙201を退避させて、印刷用紙先端検出センサ206により印刷用紙201の先端検出を行い、連続印刷を再開する。
【0048】
また、MPU115は、印刷開始前のセンサ群101の計測結果により、印刷用紙201をグリップローラ203、ピンチローラ204から退避させ、サーマルヘッド207の冷却を待ち、改めて印刷を継続する。
【0049】
印刷装置本体は、メモリカードスロット118に装着されたメモリカード117からLCD112に画像を表示して、操作部材113で画像を選択して印刷することも可能である。メモリカードスロット118は複数備えても構わない。
【0050】
通信インターフェース(I/F)A115は、ダイレクトプリント用のインターフェース、通信インターフェースB116は、PC接続用のインターフェースである。
【0051】
図4〜図8及び図9を用いて説明したように、複数枚に亘る連続印刷においては印刷用紙の搬送を行うグリップローラから印刷用紙を退避させない方が再度給紙処理を行うオーバーヘッドが発生せず、連続印刷の高速化が可能である。
【0052】
その一方で、常に印刷用紙をグリップローラから退避させないシーケンス制御を行った場合、印刷用紙はグリップローラに挟持されたままになり、長時間保持してしまうと、印刷用紙にグリップローラによる傷跡を残してしまうこととなる。
【0053】
(第1の実施の形態)
上記問題を解決するために、本実施の形態では以下に説明するシーケンス制御を行う。
【0054】
図2は、図1の印刷装置によって実行される印刷制御処理の第1の実施の形態の手順を示すフローチャートである。図4〜図9を用いて図2のフローチャートを説明する。
【0055】
本フローチャートは、図1におけるMPU115の制御の下に実行される。
【0056】
尚、図1のS(ステップ)107の印刷プロセスとは、図9中の点線で囲まれた部分であり、図9におけるS707からS720にかけての印刷処理と同じものである。
【0057】
図2において、S101では、MPU115は、図4に示す様に、印刷用紙の給紙を開始する。
【0058】
S102では、MPU115は、印刷用紙201の先端検出を開始する。具体的には、MPU115)は、センサ群101の中の印刷用紙先端検出センサ206を常時監視して印刷用紙の先端検出を行う。
【0059】
S102で印刷用紙201の検出を待ち、検出後は、S103にて、MPU115は、印刷用紙搬送基準位置の設定を行う。この時点で図5に示す様に、印刷用紙201は、グリップローラ203とピンチローラ204により挟持されている。
【0060】
より具体的には、MPU115は、印刷用紙先端検出時にステッピングモータ102の位置管理用のカウンタの初期化を行い、印刷用紙先端検出位置を基準として以降の移動距離を駆動ステップ数から換算して管理する。
【0061】
S104では、MPU115は、規定サイズの印画(印刷)長Lprintと印刷用紙先端検出センサ206からサーマルヘッド207の位置までの距離L1(図6参照)を合算した距離分、印刷用紙201を排紙ローラ210a、210b方向へ搬送する。
【0062】
S105では、MPU115は、印刷用紙搬送完了を待ち、S106では、MPU115は、印刷用紙搬送を停止する。図6において、サーマルヘッド207から排紙ローラ210a、210b方向にある印刷用紙長は規定印画サイズ長Lprintと言うことになる。
【0063】
S107では、図9に示す印刷プロセス中の印刷処理が実行され、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、オーバーコート(OC)の順に、印刷が、印刷用紙先端をリップローラ203グの方向に戻しながら行われる。印刷が完了すると印刷済みの印画物211を図8に示す様に切断しなければならない。
【0064】
印刷完了時にサーマルヘッド207の直下に印刷用紙先端がある。そのため、209a、209bの方向へ規定印画サイズ長Lprintと、サーマルヘッド207から切断装置209a、209bまでの距離L2(図6参照)を合算した距離分だけ印刷用紙201を搬送すれば、切断装置位置は印刷開始位置になる。
【0065】
S108では、MPU115は、Lprint+L2の搬送を開始して、S109で印刷用紙搬送完了を待ち、S110で印刷用紙搬送停止を行う。S111では、図8に示す様に、MPU115は、印画物211の切断を行う。切断後の印画物211は、図8に示す様に、排紙ローラ210a、210bによって印刷装置外に排紙される。
【0066】
S112では、MPU115は、排紙搬送を開始して、S113で排紙搬送の完了を待ち、S114で排紙搬送の停止を行う。
【0067】
S115では、MPU115は、総印刷枚数の完了判定を行う。完了であれば、図8に示す様に、切断装置上にある201印刷用紙を、207サーマルヘッドから切断装置切断装置209a、209bまでの距離L2とサーマルヘッド207からグリップローラ203を確実に外れる距離L3(図8参照)を合算した距離分、グリップローラ203方向に搬送してやれば、図4の状態に戻る。
【0068】
S115で総印刷枚数が完了していなかった場合、印刷用紙先端検出を行わずに、図8に示す状態から、Lprint−L2分排紙ローラ210a、210b方向に印刷用紙201を搬送する。このことにより、次の印刷開始位置がサーマルヘッド207の位置にセットされ、図6に示す状態になる。以降印刷を再開する。
【0069】
(第2の実施の形態)
複数に亘る連続印刷時に印刷用紙先端検出を1回しか行わない場合、印刷量が多くなると繰り返し誤差の蓄積等による用紙搬送位置のずれが懸念される。
【0070】
この様な場合には、総印刷枚数を任意の数でグルーピングし、そのグループで1回印刷用紙先端検出をやり直す等の操作を行っても良い。その際、印刷用紙201に起因する搬送経路のずれ、偏り等の要因がある場合には一度グリップローラ203から印刷用紙201の挟持を解除して印刷用紙201の先端検出をやり直すのも有効である。
【0071】
また、印刷終了毎にサーマルヘッドの207温度を計測し、MPU115がサーマルヘッド207の冷却に時間が掛かると判定した場合には、グリップローラ203の挟持を解除してグルーピングをやり直す等、動的に制御を行うことができる。
【0072】
図3は、図1の印刷装置によって実行される印刷制御処理の第2の実施の形態の手順を示すフローチャートである。
【0073】
図2のフローチャートと符合する部分には同じ符号を用いる。S122、S129で用いている変数i、m、nについて説明する。
i 任意の印刷枚数をダウンカウントするカウンタ。
n 使用者から指定された総印刷枚数をダウンカウントするダウンカウンタ。
m 任意の印刷枚数。
【0074】
S122では、MPU115は、グリップローラ203を解除して印刷用紙先端検出を何枚置きにやり直すかを設定するカウンタにセットする。
【0075】
S123は、サーマルヘッド207の冷却の要否を判定する判定部であり、サーマルヘッド207の冷却が必要なくなるまで印刷は行われない。印刷が許可されると、S101からS114に至るまでは第1の実施の形態と同じである。
【0076】
S114の後のS129は、指定された総印刷枚数をダウンカウントするカウンタである。次段のS115では、MPU115は、総印刷枚数を比較しており、nが0になれば印刷処理は完了である。S129におけるiは、何枚置きに203グリップローラを解除して印刷用紙先端検出をやり直すかをカウントするダウンカウンタである。
【0077】
S115で総印刷枚数印刷が終了していないと判定された場合、S124において、MPU115は、次の印刷はグリップローラ203を解除して印刷用紙先端検出を行うかどうかを判定する。
【0078】
グリップローラ203を解除して印刷用紙先端検出をやり直すと判定された場合には、S126からS128にかけて、図4に示す様に、グリップローラ203の挟持が解除される位置まで印刷用紙が搬送される。そして、ダウンカウンタiがS122で再設定され、サーマルヘッド207の冷却が必要か判定され、以後の印刷動作を再開する。
【0079】
S124で203グリップローラに解除が必要無しと判定された場合は、S125においてサーマルヘッド207の冷却が必要かどうか判定される。そして、必要無しと判定された場合には、S119からS121にかけて印刷用紙を、排紙ローラ210a、210b方向にLprint−L2分搬送し、印刷を再開する。
【0080】
S125でサーマルヘッド207の冷却が必要とされた場合、印刷用紙201をグリップローラ203とピンチローラ204で挟持したままで、サーマルヘッド207の冷却を待つと、グリップローラ203による傷が印刷用紙201に残る。
【0081】
そのため、S126からS128にかけてグリップローラ203の解除を行う。その際何枚置きにグリップローラ203を解除して印刷用紙先端検出からやり直すかをカウントしていたダウンカウンタiもS122でリセットされる。
【符号の説明】
【0082】
101 センサ類
115 MPU
201 印刷用紙
202a 給紙ローラ
202b 給紙ローラ
203 グリップローラ
204 ピンチローラ
206 印刷用紙先端検出センサ
207 サーマルヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の印刷用紙に画像を印刷する印刷装置であって、
印刷が複数枚に亘る連続印刷か1枚印刷かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて、前記印刷用紙の待機位置を変えて印刷制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
凹凸形状を有するグリップローラを有し、
前記グリップローラにより前記印刷用紙を挟持しながら当該印刷用紙に画像を印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記判定手段が複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、前記制御手段は、1枚の画像の印刷が終了した後、前記グリップローラにより前記印刷用紙を挟持したまま、次の画像の印刷を開始することを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷用紙の先端を検出するための印刷用紙先端検出手段を有し、
前記判定手段が複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、前記制御手段は、初回の印刷のみ前記印刷用紙先端検出手段により前記印刷用紙の先端検出を行い、以降、前記印刷用紙の先端検出を行わないことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記判定手段が複数枚に亘る連続印刷と判定した場合、前記制御手段は、任意の印刷数毎に前記グリップローラから印刷用紙を退避させて、前記印刷用紙先端検出手段により前記印刷用紙の先端検出を行い、連続印刷を再開することを特徴とする請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記熱転写手段の温度計測を行う温度計測手段を備え、
前記制御手段は、印刷開始前の前記温度計測手段の計測結果により、前記印刷用紙を前記印刷用紙搬送手段から退避させ、前記熱転写手段の冷却を待ち、改めて印刷を継続することを特徴とする請求項4記載の印刷装置。
【請求項7】
印刷枚数を設定するための枚数設定手段を有し、
前記判定手段は、前記印刷設定手段により複数枚の印刷が設定された場合に連続印刷である判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
印刷対象の画像および印刷レイアウトを設定するための印刷設定手段を有し、
前記判定手段は、前記印刷設定手段により設定された印刷対象の画像の数と印刷レイアウトに基づいて、連続印刷であるか1枚印刷であるかを判定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公開番号】特開2011−5722(P2011−5722A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150825(P2009−150825)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】