説明

印刷装置

【課題】 用紙検知センサーの感度を下げることなく、そして装置の大型化を招くことなく外光による誤検知を回避することを可能にした印刷装置を提供すること。
【解決手段】 記録紙を搬送する搬送経路と、前記記録紙を搬送する搬送手段と、前記搬送経路の一部に配置され、記録紙の位置を光学的に検知する検知手段と、前記搬送経路中に形成され、少なくとも前記記録紙の一部が外部に露出する開口部と、を有する印刷装置において、
少なくとも前記搬送経路に沿って前記検知手段と前記開口部との間に遮光部を有し、前記遮光部は、外光を遮光する遮光領域と、前記記録紙を案内する記録紙案内領域とで構成される事を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、特に用紙検出を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やインクジェットプリンタ、コンパクトフォトプリンタ等の印刷装置には、給紙トレイや給紙カセットに収納された用紙を給紙して搬送する用紙搬送部を備えたものがある。用紙搬送部では、用紙の搬送を正確に制御する為に用紙の位置や姿勢を検知する反射型の光学センサーを用いる場合がある。そして近年、印刷装置の小型化が進む傾向にある中、光学センサーと印刷装置の用紙排出用の開口部が近接するような配置になり、光学センサーが外光の影響を受けて誤検知してしまうケースがある。このようなケースにおける対策としては、例えば、ユーザが外光の影響を受けない場所に印刷装置を移動する対策が考えられる。しかし、これでは印刷装置の設置場所に制約を受けてしまい、使用勝手が低下してしまう。また、光学センサーの感度を下げる対策が考えられる。しかし、これではセンサーの検知距離が短くなり、より高精度な用紙搬送構造が要求され、検知不良発生の懸念が高まってしまう。
【0003】
また、例えば、特許文献1では、用紙サイズを検知するための反射型の光学センサーとこのセンサーを変位可能に支持する支持機構を有している。そして、外光により用紙サイズ検知センサーが誤検知する場合には、自動的にセンサーの向きを調節できるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−91640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献に開示された従来技術では、用紙検知用センサーの向きを変位可能とするための変位機構を追加する必要があるため、印刷装置が大型化。複雑化してしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、センサーの感度を下げることなく、そして印刷装置の大型化を招くことなく、外光による誤検知を回避することを可能にした印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、
記録紙に画像を印刷する印刷装置であって、
記録紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録紙を光学センサーにより検出する検出手段と、
前記搬送手段により搬送される記録紙を前記印刷装置外へ搬送するための開口と、
前記開口からの光が前記検出手段に達するのを防ぐため、前記検出手段と前記開口との間の搬送経路に設けられた遮光部と、を有し、
前記遮光部は、前記搬送経路で記録紙を案内するための案内部に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサーの感度を下げることなく、そそして印刷装置の大型化を招くことなく、外光による誤検知を回避することを可能にした印刷装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態におけるプリンタの概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態におけるプリンタの動作を説明する概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態における記録紙の先端検出方法を説明する概略断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるインクリボンカセットの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態におけるプリンタの遮光方法を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
本実施形態においては、サーマルヘッドを有するサーマルプリンタで本発明を実現する場合について説明するが、他の印刷方式を用いた印刷装置において本発明を実現してもよい。
【0012】
以下、図1及至図5を参照して、本発明の実施形態による、印刷装置について説明する。
【0013】
図1は本発明が適用される実施形態での印刷装置の概略断面図である。また、図2は本発明が適用される実施形態での印刷装置の給紙動作及び印刷動作を表す概略断面図である。本実施形態ではインクリボンカセット内に配置されるインクリボンのインクを用紙に熱転写して画像の記録を行う熱転写記録型のプリント構造を例に挙げている。図1に示すとおり、印刷装置100にはサーマルヘッド15がアーム15aの一端に保持されており、そして支軸15bを中心にしてアーム15aが回転する事によってプラテンローラー16への圧接及び離間が可能な構造になっている。また、インクリボンカセット14は、インクリボン14aの一部がサーマルヘッド15とプラテンローラー16との間を通過するように、印刷装置100内部の所定スペースに装着されている。更に記録紙トレイ12についても、図1に示すように印刷装置100内部にその一部が挿入されるように装着される。インクリボンカセット14及び記録紙トレイ12はそれぞれ印刷装置100に対して着脱可能に構成されている。また、記録紙トレイ12の上面には、所望の印刷を終えた記録紙が排紙される排紙部10bが形成されている。
【0014】
次に印刷装置100では、図1に示した位置にグリップローラー17及びピンチローラー18が設置されている。そしてグリップローラー17は不図示の駆動源とギア等の連結部材を介して連結されており、駆動源からの動力を得て所望の回転を行う。また、ピンチローラー18はグリップローラー17と回転軸を平行にした状態で所定量の間隔を保った形で配置されている。ピンチローラー18は駆動源との連結はされておらず、記録紙13の搬送を行う際、グリップローラー17とピンチローラー18との間に記録紙13がニップされる事でグリップローラー17の回転に追従して回転するように構成されている。つまり、グリップローラー17は印刷装置100における記録紙13の搬送手段として機能する。
【0015】
次に不図示の給紙手段により記録紙トレイ12に載置されている最上段の記録紙13が記録紙トレイ12から引き出され、印刷装置100の内部へと給紙される。印刷装置100では、不図示の制御手段に記録されている移動量に従い、不図示の駆動源からの動力によってこの給紙搬送を行う。このとき記録紙13はサーマルヘッド15、プラテンローラー16との間を通過し、更に給紙搬送されて、記録紙13の先端部は搬送経路19aを通過して本体ケース10に形成されている開口部10aから外部へ露出することになる。つまり、開口部10aは、記録紙13の一時排出口として使用される。このような記録紙13の搬送を制御する為には、記録紙13の位置を正確に検知する必要がある。そこで、記録紙トレイ12から給紙された記録紙13の先端を検知する検知手段20が図1に示す通り、プラテンローラー16よりも供給ボビン14g側のスペースに配置されている。
【0016】
不図示の制御手段に記録されている移動量の給紙搬送が完了すると、記録紙13の後端は切り替え部21とグリップローラー17との間で停止する。このときの印刷装置100の様子を示したものが図2(a)である。切り替え部21は記録紙13の搬送を給紙経路22と搬送経路19bとの間で切り替えている。
【0017】
記録紙13の給紙搬送を終えると印刷装置100は、次に所望の印刷を行う為に印刷動作へと移行する。図2(a)の状態で停止した後、サーマルヘッド15は図2(b)に表わされるように支軸15bを回転軸としてプラテンローラー16方向へ押圧される。そしてサーマルヘッド15とプラテンローラー16との間にインクリボン14a及び記録紙13を挟みこんだ状態でグリップローラー17を給紙動作時とは逆方向に回転させることで印刷搬送を行う。印刷装置100は印刷搬送を行いながら、不図示の制御手段から与えられる印刷信号を元にサーマルヘッドの発熱部を加熱させてインクリボン14aに形成されているインクを記録紙13へ熱転写していく。このとき記録紙13の後端は切り替え部21とインクリボンカセット14との間の搬送経路19b側へ案内される。所定量の印刷搬送と熱転写を終えると印刷装置100は必要に応じて更にグリップローラー17を給紙搬送方向へ回転させて、記録紙後端がグリップローラー17に近接する印刷開始位置まで記録紙13を搬送させることが出来る。
【0018】
記録紙13へ所望の印刷を終えると、グリップローラー17は印刷搬送方向へ記録紙13を搬送し、記録紙トレイ12の上面に形成されている排紙部10bへ記録紙13を排紙して、1枚の印刷を終える。そして印刷装置100は次の印刷に備えることになる。
【0019】
また、図1に示す検知手段20の配置は後述するとおり、印刷装置100の構成部品をスペース効率良くレイアウトする為に有効である。まず図1に示す印刷装置100の全体構成を確認すると、本実施形態で例に挙げている熱転写記録型のプリント構造では、記録紙13を供給する記録紙トレイ12の一部が印刷装置100の内部に挿入されて保持される構成になっている。そして印刷を行う為には記録紙13の搬送を行うグリップローラー17と記録紙13をグリップローラー17がニップする為のピンチローラー18が記録紙トレイ12近傍に必要である。更に熱転写するインクリボン14aを有するインクリボンカセット14、サーマルヘッド15やプラテンローラー16が設けられている。そして給紙時やカラー印刷を行う際の記録紙13のリターン搬送時にサーマルヘッド15が印刷位置から一時的に退避する為のアーム15aの可動スペースも設けられている。これらの構成部品、必要スペースを効率的に略矩形状の本体ケース10に配置する為に本実施形態では、インクリボンカセット14を構成する巻き取りボビン14fの下部に記録紙が給紙される領域を設けている。そして、供給ボビン14gの上部にサーマルヘッド15のアーム15aが可動するスペースを確保している。その為、インクリボンカセット14は図1に示す通り、巻き取りボビン14fに対して供給ボビン14g側が印刷装置100の底面側に位置する配置になっている。そして、この傾斜したインクリボン14aの経路とプラテンローラー16との間に形成されるスペースを利用して検知手段20が配置されている。
【0020】
記録紙13の先端を正確に検知する為には、記録紙13をグリップローラー17とピンチローラー18でニップした後に検知する必要がある。そのため、本実施形態では、給紙方向においてグリップローラー17とピンチローラー18よりも下流方向に光学センサー20cを配置している。本実施形態の如く検知手段20やその他の構成部品を配置する事で、略矩形状の本体ケース10に効率的に配置し、且つ記録紙13の搬送経路を著しく屈曲させることなく概ね緩やかに形成する事ができる。
【0021】
次に図3を用いて本実施形態における記録紙13の先端検出方法について説明する。
【0022】
図3は本発明が適用される実施形態での記録紙先端検出方法を示す概略断面図である。図3によると、印刷装置100には、その底面側に本体フレーム11aが配設されている。そして本体フレーム11aにはホルダー20aが取り付けられており、このホルダー20aには更に光学センサー20cと光学センサー20cが半田等によって接合されたプリント基板20bが一体になって組み付けられている。本実施形態における光学センサー20cには、発光ダイオードの光を対象物に反射させてフォトトランジスタへ入力させる反射型のフォトセンサーを例として適用する事ができる。このような光学センサーは一般的に発光ダイオードとフォトトランジスタが並列に配列されて一体的にケーシングされているものが知られている。本実施形態においてもこのような一体的にケーシングされた反射型のフォトセンサーを記録紙先端検出の検知手段として適用することができる。そしてプリント基板20bには不図示の配線材料の一方が接続されており、もう一方は不図示の制御手段に繋がっている。光学センサー20cは、発光部及び受光部が搬送経路19a側に向くようにホルダー20aに組み付けられている。
【0023】
次に不図示の給紙手段によりグリップローラー17とピンチローラー18との間に案内された記録紙13はグリップローラー17とピンチローラー18とでニップされる。その後、前述した給紙搬送を完了させる為、記録紙13の先端部が搬送経路19aを通過して本体ケース10に形成されている開口部10aから外部へ露出するまで記録紙13の搬送を行う。まず、記録紙13をある一定量搬送すると、記録紙13の先端部は搬送経路19a内で光学センサー20c上を通過する。記録紙13の給紙搬送時、予め不図示の制御手段は光学センサー20cの発光ダイオードを発光させている。記録紙13の先端部が光学センサー20cに達する前までは、発光ダイオードが発した光は印刷装置100内部で乱反射してフォトトランジスタへの入射光量が予め設定されている閾値を超えず、不図示の制御手段は記録紙13の到達を検知しない。そして記録紙13の先端部が光学センサー20c上を通過すると、発光ダイオードの光が記録紙13によって反射されて、フォトトランジスタへ入射する。すると、フォトトランジスタへの入射光量情報が不図示の制御手段へ伝わり、このときの入射光量が予め設定されている閾値を超えたことを認識する。フォトトランジスタへの入力を不図示の制御手段が検出すると、不図示の制御手段は記録紙13が正常に給紙搬送されている事を認識し、不図示の制御手段に記録されている所定量の搬送量を更に給紙搬送方向へ搬送することによって、給紙搬送を完了する事が出来る。以上のような方法により、不図示の制御手段は記録紙13の先端を検出する事が出来る。
【0024】
このような方法で、記録紙の端部を検出する場合、開口10a側に記録紙が搬送されていない状態で光学センサー20cにより記録紙の端部を検出するため、開口部10aからの光が光学センサー20cに到達しやすくなってしまう。また、光学センサー20cと開口部10aの間には、サーマルヘッド15、プラテンローラー16、グリップローラー17等の記録紙の幅方向全体を遮光可能な構成がないため、開口部10aからの光が光学センサー20cに到達しやすくなってしまう。そこで、本実施形態では、以下のような遮光部を開口部10aと光学センサー20cの間に設けている。
【0025】
次に図4及び図5を用いて本実施形態における遮光部について説明する。
【0026】
図4は本発明が適用される実施形態での遮光部を示す斜視図である。図5は本発明が適用される実施形態での遮光方法を説明する断面図である。図4によると、印刷装置100に装着されるインクリボンカセット14は前述した通り、ケース部材14bに巻き取りボビン14fと供給ボビン14gが取り付けられている。そしてそれぞれのボビンにはインクリボン14aの端部が貼りつけられており、供給ボビン14g側に印刷を行う為のインクリボン14aが巻き付けられている。印刷で使用したインクリボン14aは巻き取りボビン14fに巻き取られていく構造になっている。本発明のインクリボンカセット14には供給ボビン14gを覆う位置に遮光部14cが形成されている。そして遮光部14cは遮光領域14dと、供給ボビン14gのスラスト方向に対して遮光領域14dの両端に配置される記録紙案内領域14eとで構成されている。つまり、遮光領域は、記録紙の幅(搬送方向と直交する方向)全体ではなく、一部の領域にのみ設けられており、遮光領域以外は、搬送経路で記録紙を案内するための記録紙案内部として使用される。そして、この遮光領域14dは、光学センサー20cの配置位置に対応する位置に設けられている。
【0027】
また、図5によると、前述したインクリボンカセット14を印刷装置100に装着すると、遮光部14cと本体フレーム11aの間に記録紙13の搬送経路19aが形成される。図5に示すとおり、検知手段20は本体フレーム11aの一部に曲げ加工を加えてその立ち上げた領域に取り付けられている。そして検知する面が搬送経路19a側に向くように設定されている。このとき、搬送経路19aの一部にその経路が緩やかに傾斜した傾斜搬送部19cが形成される。この傾斜搬送部19cはインクリボンカセット14のケース部材14b曲面と本体フレーム11aの立ち上げた面との間の部分をさす。前述した通り、このような配置構成は、略矩形状の本体ケース10を有する印刷装置100内部にスペース効率良く、そして記録紙13の搬送経路を著しく屈曲させることなく概ね緩やかに形成する事ができる。しかしその反面、光学センサー20cの受光面が印刷装置100上面から開口部10a側に傾斜した面に平行に配置されている。そのため、開口部10aから照度の高い外光が入射した場合に、光学センサー20cが受光した光量が閾値を超えて、記録紙13を検出したと誤って判断してしまうことが考えられる。このようなケースの対策としては例えば本体ケース10に形成される開口部10aから光学センサー20cを遠ざけるという対策があるが、これでは本体ケース10のサイズが大きくなってしまい、小型化を阻害してしまう。また、開口部10aから光学センサー20cへ直接外光が到達できないように記録紙13の搬送経路を屈曲させる対策が考えられるがこの場合、記録紙の搬送負荷が増大し、安定的な記録紙搬送及び画像印刷が困難になってしまう。また、増大する搬送負荷に対応する為に駆動源の大型化に繋がる懸念も持たれる。屋外での印刷を想定した場合、例えば日が傾いた時刻(早朝や夕刻)に太陽光が開口部10aから印刷装置100内部に入射した場合にこのような課題が考えられる。この場合の外光は開口部10aから入射した後、直接光学センサー20cに届く場合や、本体フレーム11aやインクリボンカセット14のケース部材14b等に一度反射して光学センサー20cに届く場合が考えられる。これらの入射光量をいかに予め設定されている閾値以下まで低減させられるかが本実施形態における印刷装置100のような小型プリンタの課題になる。
【0028】
以上のような課題を解決する為に、本実施形態では搬送経路19aの一部を形成しているインクリボンカセット14のケース部材14bに対して遮光部14cを設けている。この構成により、開口部10aから印刷装置100内部へ入射される外光の一部を遮光部14cの遮光領域14dによって反射させて、光学センサー20cの誤検知を低減する構成としている。本実施形態では、インクリボンカセットに遮光部を設けたが、必ずしもインクリボンカセットに設ける必要はない。この位置に設けられた記録紙を案内するための専用のガイド部材の表面に設けてもよい。その場合は、光学センサーが設けられている側と搬送経路を介して反対側のガイド部材に遮光部を設け、遮光部と光学センサーとが搬送経路を介して対向するように遮光部を設けるとよい。前述した通り、インクリボンカセット14のケース部材14bには遮光領域14dが形成されている。この遮光領域14dはケース部材14bの外周面に沿って、複数の切り込みが遮光線として設けられた形状になっている。この遮光線は、記録紙の搬送方向とは直交する方向に切り込まれている。また、インクリボンカセット14を印刷装置100に装着すると、遮光領域14dは記録紙13搬送方向に対して検知手段20と対向する位置付近で停止するような配置になっている。このような構成にする事で、開口部10aから入射した外光30は遮光領域14dに到達すると、遮光線の切り込み形状によって光学センサー20cに届く方向と異なる方向へ外光30を反射させて、光学センサー20cへの入射光量を低減させる事が出来る。この遮光領域14dの切り込み形状は記録紙13の搬送方向に対して少なくとも開口部10aからケース部材14bに反射して光学センサー20cに届き得る範囲に形成されている。そしてインクリボン14aが巻き付けられているボビン軸スラスト方向に対して幅をより広く形成する事で、開口部10aから様々な角度で入射する外光30に対しても光学センサー20cへの外光30の反射を低減させる。これにより、更なる外光30の入射光量低減効果が期待できる。また、前述した通り、遮光領域14dの両脇には記録紙案内領域14eが形成されている。この記録紙案内領域14eは概ねインクリボン14aが巻き付けられている外周に沿って滑らかな曲面を成している。そして遮光領域14dは記録紙案内領域14eよりも搬送経路19aから退避した位置に形成されている。このことから、記録紙13が給紙搬送時などで搬送経路19aに進入した時には、記録紙13の先端は滑らかな曲面に沿って搬送されて、遮光領域14dの切り込み形状に衝突し、記録紙13の引っ掛かりや搬送負荷の増大等を防止する事が出来る。本実施形態では記録紙が切り込み形状に衝突するのを防ぐため、遮光領域14dを退避させる構成とした。しかし、これに限らず、遮光領域14dの両端に、遮光領域14dよりも突出した形状の搬送方向に延びるリブを設けて、記録紙が切り込み形状に当接して衝突するのを防ぐようにしてもよい。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。前述した記録紙案内領域14eは本実施形態では遮光領域14dの両脇に形成されている。しかし、印刷装置100における検知手段20の配置状況如何によっては必ずしも遮光領域14dの両脇に設定する必要は無く、片側のみに設けてもその基本的な効果が変わることはない。また、本実施形態では、遮光部14cをインクリボンカセット14に設けている。しかしこれに限らず、搬送経路に沿って検知手段20と開口部10aとの間であって、外光の入射が考えられる箇所であれば、必ずしもインクリボンカセット14のみに遮光部14cを設ける必要は無い。適宜、印刷装置100の構成に応じて遮光部14cを設定すればよい。
【符号の説明】
【0030】
10a 開口部
13 記録紙
14 インクリボンカセット
14b ケース部材
14c 遮光部
14d 遮光領域
14e 記録紙案内領域
17 グリップローラー(・・・搬送手段)
19a 搬送経路
19c 傾斜搬送部
20 検知手段
100 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙に画像を印刷する印刷装置であって、
記録紙を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送される記録紙を光学センサーにより検出する検出手段と、
前記搬送手段により搬送される記録紙を前記印刷装置外へ搬送するための開口と、
前記開口からの光が前記検出手段に達するのを防ぐため、前記検出手段と前記開口との間の搬送経路に設けられた遮光部と、を有し、
前記遮光部は、前記搬送経路で記録紙を案内するための案内部に設けられていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記遮光部および前記開口が設けられている搬送経路まで記録紙が搬送されていない状態で、記録紙の端部の検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記検出手段は、給紙トレイから給紙された記録紙の先端を検出し、
前記記録紙の搬送方向に、前記給紙トレイ、前記検出手段、前記遮光部、前記開口の順で配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記録紙に画像を印刷する印刷手段を有し、
前記印刷手段と前記開口の間に前記検出手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送手段と前記開口の間に前記検出手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記遮光部は、前記案内部において、前記記録紙の搬送方向と直交する方向の一部の領域に設けられており、前記検出手段が設けられている位置に対応する領域に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記遮光部は、前記搬送経路の搬送方向とは直交する方向に切り込まれた遮光線が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記遮光線に記録紙が当接するのを防ぐため、前記遮光部の近傍に前記記録紙の搬送方向に延びるリブが設けられていることを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記遮光部は、前記案内部の記録紙を案内する面よりも、前記搬送経路から退避した位置に形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の印刷装置。
【請求項10】
インクリボンが収納された着脱可能なインクリボンカセットを有し、
前記案内部および前記遮光部は、前記インクリボンカセットに設けられていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記検出手段と前記遮光部は、前記搬送経路を介して対向する位置に設けられていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−107340(P2013−107340A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255408(P2011−255408)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】