説明

即席食品用包装材および即席食品

【課題】短時間で湯戻しでき、かつ湯切りの際に乾燥米飯や即席麺などの流出を防止でき、調理後の食味に優れる即席食品および即席食品用包装材を提供する。
【解決手段】ヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材と、この乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品とを収納するための容器とからなる、即席食品用包装材、および該乾燥食品被覆用の包材に乾燥食品を収納した即席食品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯切りや湯戻しによって調理する即席食品用の包装材および該包装材に乾燥食品を収納した即席食品に関し、より詳細には、短時間で湯戻しでき、かつ湯切りの際に乾燥米飯や即席麺などの流出を防止でき、調理後の食味に優れる容器入り即席食品および該即席食品用包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート成形容器、発泡成形容器、射出成形容器、紙容器、自立性袋等の容器に乾燥食品を充填してなる即席食品がある。これら即席食品は、前記容器に湯を注いで乾燥食品を湯戻し、その後に食するものであり、いわゆるカップ麺、カップ焼そば、即席米飯等が市販されている。これらは湯を注ぐだけで熱源や鍋釜の類を使用せずに調理でき、食器が無くても食事ができるという簡便さを有し、また、鍋釜類や食器を洗浄する必要が無いためこれらの器具の洗浄が困難な状況下でも使用され、簡易食や非常食として、または海外旅行時に持参するなど、多くの人々に多方面で利用されている。
【0003】
このような即席食品は、湯戻しタイプと湯切りタイプとに大別される。湯戻しタイプとは、予め調味料や具材をまぶした乾燥食品に湯を注いで湯戻しし、湯切りせずに注いだ湯ごと食するタイプの食品であり、いわゆるカップラーメン、カップうどん、雑炊、カップスープなどがある。一方、湯切りタイプは、乾燥食品に湯を注いで湯戻しした後に、湯を捨てて湯戻しした食品を分取し、ソース類で味付けなどして食するタイプの食品であり、いわゆるカップ焼そば、カップざるそばなどがある。
【0004】
湯切りタイプは、湯を廃棄する際に具材と湯とを効率的に分離する必要がある。容器の端から湯を廃棄する際の麺線や具材が湯と共に流出するのを防止すべく、容器蓋部に排湯孔を設けた蓋材が考案されている(特許文献1)。例えば前記特許文献1に記載の容器の外蓋は、カップ入り焼そばを対象とする湯切り孔付き蓋材であって、排湯孔を有するフィルムに他のフィルムを積層させた積層フィルムからなり、調理の際に、積層フィルムからなる蓋材の層間を剥がして排湯孔を露出させ、注湯後にこの排湯孔から排湯するというものである。
【0005】
しかしながら、排湯孔の大きさが湯戻し後の麺線の直径以上であれば湯を廃棄する際に麺線が飛び出す場合があり、一方、排湯孔の大きさが麺線の直径を下回ると排湯孔に麺線や他の具材が詰まるため、排湯に長時間を要し、簡便性を損ねるばかりでなく均一な湯戻しが困難となり食品の風味を害する場合がある。特に、乾燥麺類を湯戻しした場合は、麺線と麺線との空隙に残存する湯が毛管現象によって麺線間の長手方向に残存するため、排湯が困難となり麺線が過剰に吸湯し、および湯の残存量も一定でないため調味が不安定となり、食感を低下させる一因となっている。
【0006】
湯切りの問題を解決する方法として、透水性袋体に麺類を充填してなる食品も提案されている(例えば、特許文献2参照)。ポリプロピレン製の不織布を袋状に成形した透水性包装袋に、スパゲティを充填し、開口部をヒートシールして密封したものであり、熱水中に袋入りスパゲティを投入して茹で、包装体ごと取出し、ただちに冷水にさらし、包装体を開封してスパゲティを取り出して食するというものである。
【0007】
一方、嵩張らず、使用後の廃棄の簡単な軟包装袋を用いた水切機能を有する麺包装体もある(特許文献3)。特許文献3に記載される麺包装体は、袋に入った即席めんを袋ごと湯や電子レンジで加熱した後に、水道水などで冷却することができる水切機能を有する麺包装体であり、表裏二枚の本体フィルムの中央下部に、水分透過可能な底テープによってスタンディングパウチ状に形成された底部を有し、さらに前記底テープより下方および上方の本体フィルムの両端縁をシールして底シール部および天シール部を形成したものである。底テープの上に即席めんを入れて開口部を密封シールして麺包装体とすることができ、得られた麺包装体は、熱湯中に浸漬して麺を温め、加熱により麺をほぐした後に天シール部と底シール部とを切断して開封し、開封した包装袋の上部から底テープ側に水道水を流通させて麺を冷却し、その後、底テープから水を切って調理できる、というものである。
【特許文献1】特開2002−96879号公報
【特許文献2】特開平4−63566号公報
【特許文献3】特開2003−231561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
湯切りや湯戻しのみで簡便に調理できる即席食品の需要は大きく、麺のみならず米飯への普及も望まれている。しかしながら、前記特許文献1の容器蓋材は、蓋材に設けた排湯孔に麺線が詰まりやすく、または排湯孔から麺線が流出し、効率的な排湯が困難な場合がある。また、麺に代えてα米を用いた即席乾燥米飯を湯戻し及び湯切りする場合には、特許文献1記載の蓋材では、湯切りの際に米飯まで流出し、実際の調理は困難である。
【0009】
また、特許文献2記載の透水性袋体に麺類を充填してなることを特徴とする食品は、袋ごと麺を茹でおよび冷水にさらすことを目的とするものであり、茹でる工程と冷却する工程とを含む調理には適するが、茹でる工程を含まない即席食品には適しない。また、具材や調味料、即席食品としての摂食方法に関する記載がない。したがって、上記公報に記載される透水性袋体を使用しても、湯戻しや湯切りのみで食することはできず、即席食品に適するものではない。
【0010】
更に、特許文献3記載の麺包装体は、本来茹で麺を充填した麺包装体であり、麺を袋に入れたまま加熱し、次いで、麺が内蔵される袋内に冷水を通過させて麺を冷却し、および麺の水切りを行うというものであり、そもそも袋内に湯を入れるという概念が存在しないため、内容物を湯戻しした後に熱い湯を袋から簡便に排出させることができず、湯切り用の食品への安全な使用が困難である。
【0011】
一方、容器内の乾燥食品、特に麺類や乾燥米飯を湯戻しする際に一定量の湯を注いだ場合、内容物が湯の上方に浮き上がり、または経時的に容器内の水位が低下するために湯戻しできず、特に米飯などは芯が残る場合がある。また、容器下方の米飯は過剰の水分を吸水し、均一な湯戻しが困難となる。
【0012】
さらに、はるさめやビーフンなどは、そば、うどん、ラーメンなどと比較して麺線が細く、湯切りによって多量のはるさめやビーフンが流出するため即席食品としての利用が制限され、即席スープやポタージュなどの具材として利用されるにとどまり、例えば、焼きビーフンやスパゲティナポリタン等、湯切りによって調理する即席商品とすることができなかった。
【0013】
本発明は、上記現状に鑑み、湯戻しや湯切りのみで調理可能な即席食品に好適な、かつ充填や貯蔵に簡便な自立性袋体などからなる即席食品用包装材を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、特に、乾燥米飯、はるさめ、ビーフンなどのような、内容物が小粒子であるため、従来は湯切りタイプにできなかった食材でも簡便に湯戻しや湯切りができる即席食品用包装材および該即席食品用包装材にこれら食品を収納した即席食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、食品をヒートシール性の液体透過性不織布で被覆し、この不織布の上から湯を注入すると、その下部にある乾燥食品を湯戻しできること、該不織布は液体透過性を有するため、湯から引き上げると簡便に湯切りを行うことができ、しかも不織布であるから湯戻し食品の流出および目詰まりを抑制できること、このため、米飯やはるさめ、ビーフンなどにも広く応用でき、および湿潤した不織布は乾燥食品を上部から被覆できるため、湯戻しの際の食品の浮き上がりを抑制して均一な湯戻しを行うことができ、特に米飯などは不織布による蒸らし効果によって食味が向上することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0016】
本発明の即席食品用包装材によれば、液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材を使用するため、従来は商品化が困難であった細い食材や小さな食材を使用して、湯戻し、湯切りタイプの即席食品に応用することができる。特に、液体透過性不織布を使用するため、迅速に、かつ、充分に湯切りを行えるため、短いやきそば麺とごはんを混ぜてソース味にして食する、いわゆるそばめしなどを即席食品とすることができる。
【0017】
本発明の即席食品用包装材によれば、不織布からなる乾燥食品被覆用の包材で食品を被覆するため湯を注いだ際の食品の浮遊を抑え、または食品の表面を覆う蒸らし効果によって、短時間にかつ均一な湯戻しができる。
【0018】
発明の即席食品用包装材によれば、不織布からなる乾燥食品被覆用の包材で被覆するため麺線と麺線との間に毛管現象によって残存する湯まで効率的に排湯でき、調味料が希釈されず、かつ摂食の際に余剰水分がないため食感に優れる。特に、内容物から溶出したでんぷん類も排出されるため、食品のヌルヌル感も減少し、食感が顕著に向上する。
【0019】
本発明の即席食品は、摂食用具を内蔵することができるため、調理が簡便な簡易食として使用するだけでなく、充填スペースも少なく、非常食などとして好適に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、ヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材と、この乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品とを収納するための容器とからなる、即席食品用包装材である。前記乾燥食品被覆用の包材は、前記液体透過性不織布からなる一端が開放された袋状であってもよく、前記液体透過性不織布は短繊維からなるものであってもよい。また、前記容器は、合成樹脂製成形容器、または自立性袋体のものを好適に使用できる。更に、本発明の即席食品用包装材は、乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品を収納するためのガスバリア性袋体を含んでいてもよい。
【0021】
更に、本発明は、上記即席食品用包装材と乾燥食品とからなる即席食品であり、このような食品として、麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上に応用できる。本発明の即席食品には、更に、調味料入り小袋および/または摂食用具が同封されていてもよい。以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
(1)即席食品用包装材
(i)乾燥食品被覆用の包材
本発明では、ヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材を使用する。このような乾燥食品被覆用の包材は、液体透過性を有するため、不織布の上から湯を注いで、その中に収納された食品を湯戻しすることができ、かつ不織布を湯から引き上げることで、簡便に湯切りを行うことができる。しかも、湯戻しの際に、食品を湿潤した不織布が覆うため、湯内での食品の浮き上がりを防止して均一な湯戻しを行うことができ、かつ蒸らし効果によって短時間に湯戻しを行うことができる。しかも、米穀などの小粒子を湯切りしても湯とともに流れ出ることがなく、目詰まりも起こさず湯切りをすることができる。また、湯戻しした麺線と麺線との間には、毛管現象によって湯が残存することが多いが、本発明では湯戻し食品を被覆する不織布が、このような毛管現象による残湯を吸水し、効率的な湯切りを行うことができる。
【0023】
従って、本発明で使用する不織布としては、注湯や排湯に適する液体透過性を有し、注湯や湯戻し、湯切りの際に擬似熱融着しない耐熱性、湿潤強度を有するものを好ましく使用することができる。また、ヒートシール性を有するため、ヒートシールによって製袋することができる。
【0024】
一般に不織布は、製造方法によっておおまかに湿式、乾式、および直接式の三つに分類され、使用する繊維が長い長繊維不織布と、湿式、および乾式の場合は一旦短く切断した繊維を用いる短繊維不織布とがある。上記繊維から不織布を調製する方法として、湿式、乾式では、抄紙方式、ウオーターパンチ方式、ケミカルボンド方式、サーマルボンド方式、ニードルパンチ方式、およびステッチボンド方式等があり、直接式の場合は、ケミカルボンド、サーマルボンド、またはニードルパンチによるスパンボンド方式、自己結合によるサーマルボンドのメルトブロー方式、サーマルボンドによるフラッシュ紡糸方式等があり、本発明ではいずれの方法で調製されたものであってもよい。
【0025】
また、不織布にヒートシール性を付与する方法として、繊維としてポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンからなるヒートシール性の繊維を使用する方法、繊維外表面がポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンからなり、繊維中心部がポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、またはポリエステル等からなる共押し繊維がある。また、ヒートシール性を有しない繊維にヒートシール性のバインダーを使用して不織布にヒートシール性を付与することもできる。本発明に用いる液体透過性不織布は、上記した湯戻し、湯切りに適するものであれば、いずれの製法によるものでも構わない。市販品を使用することもでき、例えば、サーマルボンド方式共押し長繊維不織布(製品名「T0203WDO」、ユニチカ株式会社製、ポリエチレンテレフタレート芯/ポリエチレン被覆繊維)、サーマルボンド方式共押し短繊維不織布(製品名「サンモア1320」、三和製紙株式会社製、ポリプロピレン芯/ポリエチレン被覆繊維)などを好適に使用することができる。
【0026】
なお、本発明の即席食品用包装材を用いて即席食品を製造した場合、これを調理する際に、乾燥食品被覆用の包材から湯戻しした食品を取り出す際に、前記包材を開封する必要があるが、長繊維からなる不織布の場合には、手で開封することが困難な場合がある。従って、乾燥食品被覆用の包材の形状によっては、短繊維からなる不織布を使用することが好ましい。また、短繊維不織布で繊維の毛羽立ちが生じる場合には、サーマルボンド方式の短繊維不織布を使用すると、切れた繊維が他の繊維に着くため抜け落ちて食品に混入するのを防止することができる。更に、前記短繊維不織布を熱ロールに通し、加熱した状態で圧力を加えて熱可塑性繊維を扁平加工すると、繊維同士の熱融着面積が増加するため、より毛羽立ちを防止することができる。
【0027】
なお、液体透過性を有し、かつ固形物の流出を防止しうるために、例えば坪量が10〜50g/m2、好ましくは13〜30g/m2の不織布を用いると良い。50g/m2を上回ると水透過性が低下する場合があり、10g/m2を下回ると薄過ぎるため湯切りの際に破損する場合がある。
【0028】
上記乾燥食品被覆用の包材の形状に限定はないが、湯戻しを容易にし、かつ湯戻しした食品の湯切りが容易に行えるように、食品全体を被覆できる形状であることが好ましい。湯戻しした麺線と麺線との間に毛管現象によって残存する湯を効率的に除去するためにも、乾燥食品全体が液体透過性不織布に被覆されることが好ましい。また、乾燥食品全体が液体透過性不織布に被覆されない場合には、湯切りの際に湯戻し後の内容物が流出する場合がある。このような乾燥食品被覆用の包材の形状として、例えば、液体透過性不織布からなる袋体が例示できる。袋体であれば、食品の充填が容易である。本発明では、前記液体透過性不織布からなる一端が開放された袋状であることが好ましい。開放端を有する場合には、調理の際に調理人が更に他の食材を袋体内に入れて湯戻しや湯切りを行うことができる。更に、食品収納前の形態として、いずれかに乾燥食品収納用の開放端を有する四方シール袋、三方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンドパック、ロケット包装等、各種の袋形状を選択できる。
【0029】
このような乾燥食品被覆用の包材には、湯切りを簡便に行えるように、持ち手などが設けられていてもよい。
【0030】
(ii)容器
本発明の即席食品用包装材は、湯戻しや湯切りによって調理することを目的とする即席食品に好適に使用できるものであるから、前記即席食品用包装材を構成する容器は、注湯の際の耐熱性、剛性に優れ、可食の際の保形性を維持できるものであれば、その形状や材質に限定はない。従って、容器本体部と蓋部とからなる合成樹脂製成形容器や、軟包装材で成形された自立性袋体などを好適に使用することができる。
【0031】
このような合成樹脂製成形容器としては、蓋部と容器本体部とが弱シール性シーラントによって接着および密閉される容器、蓋部と容器本体部とが別体であって蓋部を容器本体部にかぶせるタイプの容器、蓋部と容器本体部とが連結しており、蓋部を容器本体部にかぶせるタイプの容器など、いずれを使用してもよい。
【0032】
また、自立性袋体としては、スタンドパウチ、ガセット袋、底ガセット袋、ボックスパウチ等、袋体の底部にマチを有する自立性袋体を広く使用することができる。このような自立性袋体が積層フィルムから構成される場合には、ガスバリア性を有する自立性袋体とすることができ、本発明ではこのようなガスバリア性を有する自立性袋体を使用することが好ましい。窒素置換充填や、脱酸素剤を封入する等により、密封が困難な成形容器よりも更に食品の長期保存を可能とすることができる。
【0033】
(iii)ガスバリア性袋体
本発明では、前記乾燥食品被覆用の包材で被覆した乾燥食品を収納するガスバリア性袋体を有していてもよい。一般的に、油で揚げた即席乾燥食品、およびβ化澱粉を主体とする即席乾燥食品等の場合は吸湿による変質は生じ難いが、熱風乾燥食品、凍結乾燥食品、およびα化澱粉を主体とする即席乾燥食品等の場合には吸湿して変質する恐れがあるため、防湿性のあるガスバリア性袋体に収納すると保存性を向上させることができる。本発明でも、乾燥食品が密封性に劣る容器に収納された場合には、酸化や吸湿による食品の劣化が生じる場合があるが、ガスバリア性袋体で密封すれば、このような劣化を防止することができるからである。
【0034】
このようなガスバリア性袋体としては、乾燥食品の劣化を防止できるガスバリア性を有し、かつ加工を容易にするため内層がヒートシール性を有する積層フィルムであることが好ましい。ガスバリア性としては、酸素透過度が20cc/m2/day・23℃・90%RH以下であり、水蒸気透過度が5g/m2/day・40℃・90%RH以下であるものが好ましい。このようなガスバリア性袋体としては、例えば、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムにヒートシール層を積層したものなどからなる袋体を好適に使用することができる。
【0035】
このようなガスバリア性袋体の形状にも特に限定はなく、乾燥食品被覆用の包材で被覆した乾燥食品を収納しうる開放端を有し、かつ乾燥食品収納後に密閉でき、かつ前記容器に収納し得る形状であればよい。従って、前記乾燥食品被覆用の包材と同様に、食品導入用に、いずれかに開放端を有する四方シール袋、三方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンドパック等、各種の袋形状を選択できる。なお、開封を容易にするためのノッチなどの切り欠きを有していても良い。
【0036】
(iv)乾燥食品
本発明の即席食品用包装材に好適に使用できる乾燥食品としては、麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上の食材である。これらの主成分たる澱粉をα化あるいはβ化したものであってもよい。
【0037】
(2)即席食品
本発明の即席食品は、前記即席食品用包装材と乾燥食品とからなる即席食品であり前記乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品が前記容器に収納されてなる即席食品であり、更に前記乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品が前記ガスバリア性袋体に収納されて前記容器に充填されてなる即席食品である。本発明の即席食品は、湯戻しや湯切りによって調理しうるため、乾燥食品としては、麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上の調理に好適である。乾燥野菜や乾燥肉などが、米穀や麺類の薬味やかやくとして同封されていてもよい。以下、図面を参照しながら本発明を説明する。図1〜3は、本発明の即席食品の概略断面図である。
【0038】
図1に示すように、本発明の即席食品(100)は、乾燥食品(4)が蓋部(8)を有する容器本体(2)内に収納され、前記乾燥食品(4)はヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に被覆されているものである。図1に示すように、乾燥食品(4)の他に、乾燥具材入り小袋(6)や調味料入り小袋(7)などが容器(2)内に収納されていてもよい。
【0039】
前記食品(4)は、液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に被覆され、湯戻し後に、湯戻しした食品の湯切りが容易に行えるように、食品(4)の全体が液体透過性不織布に被覆されている。食品全体が液体透過性不織布に被覆されない場合には、湯切りの際に湯戻し後の内容物が流出する場合がある。前記乾燥食品被覆用の包材(3)で食品(4)を被覆するには液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)を袋状にし、食品(4)を収納する態様が例示できる。袋体であれば、食品(4)の充填が容易である。図1に、液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に食品を収納し、かつ前記包材(3)の長尺の開放端を、食品(4)の上部に巻き付けた態様を示す。容器内に収納される乾燥食品が、開放端を有する乾燥食品被覆用の包材で被覆されている合には、調理の際に調理人が、前記開放端から更に他の食材を袋体内に入れて湯戻しや湯切りを行うことができる。なお、乾燥食品被覆用の包材(3)に食品(4)を充填した後、前記開放端をヒートシールし、容器(2)内に収納して即席食品としてもよい。
【0040】
本発明の即席食品は、麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上の調理に好適であるが、乾燥野菜や乾燥肉などが、米穀や麺類の薬味やかやく(10)として同封される場合にも、これら薬味やかやく(10)を米穀や麺類などと同時に湯戻しおよび湯切りすることできる。
【0041】
本発明の即席食品は、液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材に被覆された食品(4)が、更にガスバリア性袋体(11)に収納され密封され、ガスバリア性袋体入り食品(5)として、容器(2)内に収納されていてもよい。この態様を図2に示す。特に、即席食品用包装材を構成する容器が密封性に劣る場合には、容器内に収納した麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上からなる食品(4)、酸化や吸湿によって劣化する場合がある。ガスバリア性袋体(11)で密封すれば、このような劣化を防止することができる。なお、図2と相違するが、このガスバリア性袋体(11)は、上記液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に収納された麺や米穀などの食品(4)を収納するのみならず、調味料入り小袋(7)や乾燥具材入り小袋(6)などを収納することもできる。これら小袋のガスバリア性が十分でない場合にも、上記ガスバリア性袋体(11)で密封することで保存性を向上させることができる。なお、食品が酸素により酸化劣化しやすい場合には、ガスバリア性袋体内に、脱酸素剤を同封してもよい。
【0042】
本発明の即席食品は、液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材で被覆された食品(4)が自立性袋体に収納される態様であってもよい。図3に、本発明の即席食品であって、前記不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に収納した食品(4)を調味料入り小袋(7)と共に自立性袋体(20)に収納した態様を示す。なお、自立性袋体がガスバリア性を有する場合には、前記したガスバリア性袋体(11)に食品(4)を収納することなく即席食品とすることができる。また、図3とは相違するが、自立性袋体(20)の頂部近傍に再封可能なジップ部を設けると、湯を自立性袋体(20)に注いで湯戻しする際に異物が入らず、更には自立性袋体(20)を転倒させた場合にも、容易に内容物の遺漏を防止でき、安全性に優れる。
【0043】
本発明の即席食品は、いずれの容器に収納される場合でも、不織布からなる乾燥食品被覆用の包材(3)に収納した食品(4)や、調味料入り小袋(7)と共に、摂食用具などを同封してもよい。摂食用具を同封することで、調理および摂食をより簡便なものにすることができる。
【0044】
(3)即席食品の調理方法
本発明の即席食品は、湯戻しおよび湯切りによって簡便に調理することができる。
【0045】
例えば、調味料入り小袋や摂食用具など、湯戻しを必要としないものを容器から取り出し、容器内に不織布に被覆された食品をおく。次いで、不織布の上から湯を注いで所定時間湯戻しする。従来は、米穀などの小粒子の食品に湯を注ぐと湯のなかで米穀粒子が浮き上がり、均一な湯戻しが困難であった。しかしながら、本発明では食品が不織布に被覆されているため、湯を注いだ場合にも、湯を吸収した食品がおもし代わりに働いて、食品が湯の中で浮き上がりにくい。なお、必要に応じて容器に蓋をする。容器が自立性袋体であって、頂部にジッパ部を有する場合には、湯戻し時にジッパによって頂部を閉じれば、容易に内容物を蒸らすことができる。
【0046】
湯戻し後に、不織布を湯から引き上げると湯切りを行うことができる。湯切りを簡便に行うために、予め不織布に持ち手が設けられている場合には、注湯前に容器外に引き出しておいた持ち手を介して袋体を引き上げ、湯切りを行うことができる。
【0047】
容器内に残存する湯を捨て、湯戻しおよび湯切りした食品を容器に戻し、必要に応じて添付された調味液や薬味などをまぶす。なお、不織布からなる袋体に開放端がない場合には、袋体を切り開いて内容物を取り出せばよい。
【0048】
本発明の即席食品は、上記した方法で調理できるが、例えば食品が開放端を有する不織布からなる袋体に収納されている場合には、更に好みの食材などを袋体内に収納し、湯戻しおよび湯切りを行うことができる。
【0049】
また、湯切り後の食品は、そのまま摂食するのみでなく他の調理の材料としてもよく、α米などの米穀を湯戻しおよび湯切りした後に、握り飯などにしてもよい。例えば、α米は水分を吸収して体積が増加するため、前記不織布製袋体の大きさを体積増加後に合わせるより少し小さめにすれば、湯戻し後に不織布製袋体を切り開くとごはんが棒状になる。これをそのままおにぎりとして食しても、または棒状のご飯を包む海苔を添付しておき、海苔巻きとして食することができる。
【0050】
(4)即席食品用包装材および即席食品の製造方法
本発明の即席食品用包装材で使用する成形容器は、従前公知のものを使用することができ、例えばその材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂を押し出しラミした紙をベースとしたフィルム等が用いられ、更には上記樹脂からなる発泡容器を用いることもできる。発泡容器は、保温性、断熱性に優れるため好ましい。なお、成形は、従来公知の製法で製造することができ、シート成形、射出成形、ブロー成形等、成形容器を成形できる手段であればいずれでもよい。なお、成形容器の形状は、カップ型、どんぶり型、方形の弁当箱型などのいずれでもよい。
【0051】
一方、自立性袋体としては、対向する二枚の壁用シートの周縁端部をヒートシールしてなる天シール部と底シール部とを有し、前記底シール部は、折曲部が前記水切部側に向けて二つ折りした折込底部材を前記壁用シートの下部端に挿入され、前記折込底部材の周縁端部が前記下部端および側シール部と共にヒートシールにより開拡可能に形成された折込底部である、自立性袋体などが例示できる。このような自立性袋体は、防湿性や酸素バリア性を付与することが容易である。また、自立性袋体頂部近傍に再封可能なジップ部を設ければ、湯を容器内に注いで湯戻しする際にほこりが入らず、更には自立性袋体を誤って転倒させた場合にも、容易に内容水がこぼれないので衛生面、かつ、安全面でも優れる。
【0052】
自立性袋体を構成しうる壁用シートとしては、耐熱性、ガスバリア性、自立適性を有するものであり、少なくともヒートシール性を有する内層を積層した積層フィルムを広く使用することができる。これも従前公知のものを使用することができる。
【0053】
ヒートシール性を有する樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、たとえば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしはこれらをフィルム化した積層フィルムを使用することができる。ヒートシール性を有する層の厚さとしては、30〜200μmが適当である。
【0054】
また、壁用シートの外層としては、袋体胴部を構成する基本素材となることから、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂を用いることが好ましく、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を用いたフィルムとしては、未延伸フィルムあるいは1軸方向または2軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができ、フィルムの厚さとしては基本基材としての強度、剛性などについて必要最低限に保持され得る厚さであればよい。厚過ぎると引き裂き性が低下し、また、コストが上昇するという欠点もあり、薄過ぎると、強度、剛性等が低下するので好ましくない。上記理由から12〜50μm程度が適当である。
【0055】
また、外層は、更にポリ塩化ビニリデン、その他のバリア材が塗工された積層フィルムであってもよい。このような外層として積層される他の層としては、アルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着層であってもよい。このような無機物の蒸着層によって、外層にバリアー性を付与することができる。また、外層の内層側に印刷層を施す場合には、2軸延伸した延伸フィルムを使用すると、印刷適性に優れる点で好ましい。
【0056】
更に、壁用シートは、上記内層と外層との間に更に中間層を設けてもよい。中間層を配設することで、更に、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等を付与することができる。このような中間層として用いられる基材としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、あるいは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムあるいはこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしはアルミニウムや酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムあるいはポリ塩化ビニリデン等のフィルムなどを用いることができる。中間層としては、上記基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。尚、上記基材の厚さとしては、包装袋として要求される機能を満たすことができればよいのであって、必要に応じて適宜選択すればよい。更に、切欠部を介して手による開封を簡便にするため、壁用シートとして、縦裂き性フィルムなどを上記外層、中間層、内層のフィルムと一緒に用いてもよい。上記積層フィルムの各層を構成する樹脂には、添加剤として、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料等の着色剤、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等を使用することができる。
【0057】
また、壁用シートを調製するために外層、中間層、内層などを積層する方法としては、各層を押し出して共押し出しラミネートしてもよく、層間に熱接着性樹脂を用いてTダイ押し出しラミネーション法によってラミネートしてもよく、また、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いてドライラミネート法によってラミネートしてもよい。なお、Tダイ押し出しラミネーション法の場合は必要に応じてアンカーコート剤を用いることができる。また、底部を構成する折込底部材は、上記壁用シートと同じであってもよく、異なっていてもよい。上記自立性袋体は、従前公知の方法で製袋することができる。
【0058】
本発明で使用する乾燥食品被覆用の包材はヒートシール性の液体透過性不織布からなり、その形状が袋状である場合には、ヒートシールによって袋状に成形することができる。このような袋状としては、四方シール袋、三方シール袋、ピロー袋、ガセット袋、スタンドパック等があり、ヒートシールにより定法に従って成形できる。なお、乾燥食品を収納する前には、食品収納用の開放端が必要であるが、食品収納後は、開放端をヒートシールなどによって閉じてもよい。ただし、前記したように食品収納後も開放端を有する場合には、調理時に他の食材を乾燥食品被覆用の包材内に入れて同時に調理できる利点がある。本発明では、ヒートシール性を有する液体透過性不織布を使用するためヒートシールによって容易に製袋することができ、かつ食品収納後に開放端を密封することも容易である。
【0059】
また、前記乾燥食品被覆用の包材で被覆した乾燥食品を収納するガスバリア性袋体は、例えば、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、酸化珪素蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムにヒートシール層を積層したものなどを使用して、三方シールなどの形状に成形して製造することができる。
【0060】
本発明の即席食品は、上記した即席食品用包装材に乾燥食品を充填したものである。具体的には、乾燥食品を前記乾燥食品被覆用の包材で被覆し、必要に応じて開放端をヒートシールし、前記即席食品用包装材を構成する容器に収納して即席食品とする。この即席食品には、更に前記容器に調味料入り小袋などを収納してもよい。また、前記乾燥食品は、乾燥食品被覆用の包材で被覆された後に更に、ガスバリア性袋体で密封され、前記容器に収納されたものであってもよい。このガスバリア性袋体には、前記乾燥食品被覆用の包材で被覆された食品の他に、調味料入り小袋などが同封されていてもよい。また、本発明の乾燥食品は、必要に応じて摂食用具などを同封することができる。
【0061】
更に、容器の蓋部がかぶせ蓋方式などの場合には、異物の混入を防止するため、容器全体をシュリンクフィルムで覆ってもよい。このようなシュリンクフィルムには、製品の意匠性を向上させるために商品名や絵柄の印刷を施してもよい。
【0062】
なお、本発明の即席食品として、湯によって湯戻しおよび湯切りする場合で例示したが、湯に代えて水で食品を戻し、または水切りして調理することもできる。
【実施例】
【0063】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0064】
実施例1
(1)即席食品の製造
サーマルボンド方式共押し長繊維不織布(製品名「T0203WDO」、ユニチカ株式会社製、ポリエチレンテレフタレート芯/ポリエチレン被覆繊維、坪量20g/m2)を、インパルスシーラーを用いてヒートシール巾5mmの底シールと背シールを有し、上部に開放端を有する、縦240mm×横160mmのピロー袋を製作した。
【0065】
市販の容器入り焼そば(商品名「昔ながらのソース焼そば」、東洋水産株式会社製)の麺塊とかやくを取り出し、かやくは小袋から取り出して上記ピロー袋に収納し、開放端が上になるようにして元の容器に入れて即席食品とした。
【0066】
(2)即席食品の調理
上記(1)で製造した即席食品に当該容器指定の線まで熱湯を注ぎ、蓋をして3分間放置して湯戻しを行った。
【0067】
湯戻し後、容器を斜めにして湯を半分捨て、次いで前記不織布製袋体の余剰部を持ち上げ湯切りを行った。湯の落ち方が筋状ではなく、滴下間隔がほぼ1秒になるまで約10秒待って湯切りを行ったが、麺線およびかやくは一切流出しなかった。また、不織布製袋体の余剰部は、湯から出るとすぐに水の気化熱により冷め、熱さを感じなかった。
【0068】
次いで、容器内の残り湯を廃棄して、不織布製袋体の開放端から内容物を容器にあけ、調味料をふりかけ、箸で良く混合した後、食した。湯切りが充分行われているため、咀嚼の際に水っぽさを感じなかった。
【0069】
また、上記3分間の湯戻しに代えて、2分30秒間湯戻しを行って同様に焼きそばを調理したところ、麺に腰はあるが芯がないより食感に優れる焼そばとすることができた。本発明の即席食品は液体透過性不織布で食品を被覆したため、湯戻しの際の麺塊の浮き上がりを防止でき、かつ前記不織布が麺塊表面を覆って蒸らすため、湯戻しが均一に、かつ早く行われた。
【0070】
このように、本発明の即席食品は、湯切りの際に麺線および具材が流出せず、かつ、湯切り時間を短縮できるのみならず、湯戻し時間も短縮でき、かつ、好適な食感が得られるという優れたものであった。
【0071】
実施例2
(1)即席食品の製造
サーマルボンド方式共押し短繊維不織布(製品名「サンモア1320」、三和製紙株式会社製、ポリプロピレン芯/ポリエチレン被覆繊維、坪量20g/m2)を、インパルスシーラーを用いてヒートシール巾5mmの底シールと背シールを有し、上部に開放端を有する、縦200mm×横160mmのピロー袋を製作した。
【0072】
市販の容器入り焼そば(商品名「昔ながらの焼うどん」、東洋水産株式会社製)の麺塊とかやくを取り出し、かやくは小袋から取り出して上記ピロー袋に収納し、不織布製袋体の開放端に、インパルスシーラーを用いてヒートシール巾5mmの天シールを施した。また、上記不織布を縦200mm×横20mmの帯状に切り取って前記袋の背シール部に重ね、インパルスシーラーを用いて、ヒートシール巾5mmで袋体の天シール部と底シール部の二箇所にヒートシールにより取り付け、持ち手とした。
【0073】
次いで、厚さ12μmのアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「IB−PET−PC」、大日本印刷株式会社製)と、厚さ30μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(製品名「P1181」、東洋紡績株式会社製)とを二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせたフィルムからなる縦220mm×横170mmのピロー袋をガスバリア性袋体とし、上記不織布に被覆された麺塊をこのガスバリア性袋体に収納し、その開口部をヒートシール巾5mmで密封し、元の容器に入れて即席食品とした。
【0074】
(2)即席食品の調理
上記(1)で製造した即席食品に当該容器指定の線まで熱湯を注ぎ、蓋をして5分間放置して湯戻しを行った。
【0075】
湯戻し後、前記不織布製袋体の帯状不織布を持ち上げ、約10秒待って湯切りを行った。湯切りの際に、麺線およびかやくは一切流出しなかった。
【0076】
次いで、容器内の残り湯を廃棄して、不織布製袋体の側部を手で引き裂いて開口部を設け、この開口部から内容物を容器に空けて調味料をふりかけ、箸で良く混合した後、食した。不織布製袋体の開放端から内容物を容器にあけ、調味料をふりかけ、箸で良く混合した後、食した。湯切りが充分行われているため、咀嚼の際に水っぽさを感じなかった。
【0077】
また、上記5分間の湯戻しに代えて、3分30秒間湯戻しを行って同様に焼きうどんを調理したところ、麺に腰はあるが芯がないより食感に優れる焼うどんとすることができた。本発明の即席食品は液体透過性不織布で食品を被覆したため、湯戻しの際の麺塊の浮き上がりを防止でき、かつ前記不織布が麺塊表面を覆って蒸らすため、湯戻しが均一に、かつ早く行われた。
【0078】
このように、本発明の即席食品は、湯切りの際に麺線および具材が流出せず、かつ、湯切り時間を短縮できるのみならず、湯戻し時間も短縮でき、かつ、好適な食感が得られるという優れたものであった。
【0079】
実施例3
(1)即席食品の製造
片面ヒートシール性レーヨン混抄紙(製品名「ニューソフロンFX#200」、国光製紙株式会社製、坪量20g/m2)を用いて、インパルスシーラーを用いて、ヒートシール巾5mmの底シールと背シールを有し、上部に解放端を有する縦120mm×横80mmのピロー袋を製作した。
【0080】
この袋の開放端から、市販のビーフン(商品名「ケンミン焼ビーフン」、ケンミン食品株式会社製)、はるさめ(商品名「緑豆はるさめ」、中国製、日本澱粉工業輸入)、パスタ(商品名「早ゆでペンネ」、日本製粉株式会社製)を、それぞれ150gずつ、ビーフンとはるさめは長さ約5cmに切断して充填し、開放端を巾5mmのインパルスシーラーで密閉した。
【0081】
これを500mlのポリエチレン製ディスポカップに入れ、即席食品とした。
【0082】
(2)即席食品の調理
上記(1)で製造した即席食品に、内容物が湯に浸るまで熱湯を注ぎ、1分ごとに上記ビーフン、はるさめ、パスタを食味した。湯戻し、湯切りの結果を表1に示す。なお、パスタの指定調理方法は沸騰水で3分茹でるのに対し、本法では湯戻しによる調理である。ビーフン、およびはるさめは、指定調理時間より短時間で湯戻しでき、かつ、湯切りの際には直径1mmもない食品であるのに、一切流出することは無かった。
【0083】
【表1】

【0084】
実施例4
(1)即席食品の製造
(i)サーマルボンド方式共押し短繊維不織布(製品名「サンモア1320」、三和製紙株式会社製、ポリプロピレン芯/ポリエチレン被覆繊維、坪量20g/m2)を用いて、インパルスシーラーを用いて、ヒートシール巾5mmの底シールと背シールを有し、上部に解放端を有する縦150mm×横130mmのピロー袋を製作した。
【0085】
(ii)このピロー袋に、市販の袋入りα米(商品名「白飯」、尾西食品株式会社製)100gを入れた後、袋の開放端をインパルスシーラーを用いて、ヒートシール巾5mmの天シールを施した。
【0086】
(iii)厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(製品名「T4102」、東洋紡績株式会社製)と、厚さ15μmのナイロンフィルム(製品名「N2202」、東洋紡績株式会社製)と、厚さ7μmのアルミニウム箔(サン・アルミニウム工業株式会社製)と、厚さ40μmの未延伸ポリエチレンフィルム(製品名「L4102」、東洋紡績株式会社製)とを二液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を用いて貼り合わせたフィルムを使用し、製袋機により高さ130mm×幅120mm×マチ幅70mmのスタンドパックの自立性袋体とした。
【0087】
(iv)上記(iii)で製造した自立性袋体に(ii)で製造したピロー袋入りα米を収納し、即席食品とした。
【0088】
(2)即席食品の調理
上記(1)で製造した即席食品の、上端から15mmの天シール部を除去し、自立性袋体内に高さ約3分の2まで湯を注いだ後に開口部を閉じて10分放置し、湯戻しを行った。
【0089】
湯戻し後、自立性袋体の開口部を開き、両側の側シール部を持って湯を排出し、更に不織布製袋体の端を持ち上げて、約10秒待って湯切りを行った。湯切りの際に、米粒は一切流出しなかった。
【0090】
湯切り後、自立性袋体内の湯を廃棄して、不織布からなる袋体の側部を手で引き裂いて開口部を設け、この開口部から内容物を自立性袋体にあけて食した。
【0091】
また、上記10分間の湯戻しに代えて、3分間の湯戻しを行い、湯切り後に4分の蒸らし時間をとったところ、芯がない食感に優れるご飯とすることができた。なお、上記市販の袋入りα米(商品名「白飯」、尾西食品株式会社製)では、指定湯戻し時間は20〜30分(指定調理時間)とあるが、本発明の即席食品として調理した場合は10分でも米飯がやわらかく、湯戻し時間を短縮できることが判明した。
【0092】
また、本発明の即席食品は、液体透過性不織布によって内容物を蒸らすことができ、湯戻し時間を短縮し、かつ蒸らし効果によって米飯を均一にふっくら調理することができた。また、水溶性の澱粉が湯切りの際に流出するため、従来の調理方法では得られなかった、α米の好適な食感が得られた。なお、湯切りの際に米粒は液体透過性不織布から流出することはなかった。
【0093】
比較例1〜3
実施例1、2、4で使用した市販品を使用して、記載どおりに調理し、比較例1〜3とした。湯戻し、湯切り、食味の結果を表2に記載する。特に、実施例4で使用したα米は、注水線まで湯を注ぐ際に袋の上部にあった米に芯が残り、一方、水溶性澱粉が多いため袋の下部にあった米が水分過多となった。
【0094】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の即席食品は、湯戻しおよび湯切りを効率的に行うことができるため、湯切りの際の残湯量を低減でき、食味を改善することができる。また、従来、調理が困難であったα米などの米穀の湯戻しおよび湯切りを行い、これらのみで調理することができるため、食材の範囲が拡大し、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の、乾燥食品が容器内に収納された即席食品を説明する概略断面図である。
【図2】乾燥食品が、液体透過性不織布に被覆され、さらにガスバリア性袋体に収納されたことを特徴とする、乾燥食品が容器内に収納された本発明の即席食品を説明する概略断面図である。
【図3】容器が、自立性袋体である、乾燥食品が容器内に収納された本発明の即席食品を説明する概略断面図である。
【符号の説明】
【0097】
2・・・容器本体部、
3・・・ヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材、
4・・・乾燥食品、
5・・・不織布被覆乾燥食品、
6・・・乾燥具材入り小袋、
7・・・調味料入り小袋、
8・・・容器蓋部、
10・・・乾燥具材、
11・・・ガスバリア性袋体、
20・・・自立性袋体、
100・・・容器入り即席食品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール性の液体透過性不織布からなる乾燥食品被覆用の包材と、この乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品とを収納するための容器とからなる、即席食品用包装材。
【請求項2】
前記乾燥食品被覆用の包材は、前記液体透過性不織布からなる一端が開放された袋状であることを特徴とする、請求項1記載の即席食品用包装材。
【請求項3】
前記液体透過性不織布は短繊維からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の即席食品用包装材。
【請求項4】
前記容器は、合成樹脂製成形容器、または自立性袋体であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の即席食品用包装材。
【請求項5】
更に、乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品を収納するためのガスバリア性袋体を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の即席食品用包装材。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の即席食品用包装材と乾燥食品とからなる即席食品であって、
前記乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品が前記容器に収納されてなる、即席食品。
【請求項7】
請求項5記載の即席食品用包装材と乾燥食品とからなる即席食品であって、
前記乾燥食品被覆用の包材で被覆された乾燥食品がガスバリア性袋体に収納されて前記容器に充填されることを特徴とする、即席食品。
【請求項8】
前記食品は、麺、米穀、パスタ、はるさめ、およびビーフン、乾燥野菜、乾燥肉、乾燥魚肉からなる群から選択される1種以上である、請求項6または7記載の即席食品。
【請求項9】
更に、調味料入り小袋および/または摂食用具が同封される、請求項6〜8のいずれかに記載の即席食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−285189(P2008−285189A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131022(P2007−131022)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】