説明

卵含有食品を低温殺菌する方法及びその為のプラント

卵含有食品を低温殺菌する為のプラントであって、該プラントが、
−製品を50℃以上の第1の作業温度(T)まで加熱する為の加熱区域(3)と、
−製品を前記第1の作業温度(T)以上の第2の作業温度(T)まで過熱する為の過熱区域(4)と、
−前記過熱区域内(4)で高周波電磁場を発生する為の振動手段(18)と、
−入口(2)及び出口(5)、並びに前記加熱区域(3)を過熱区域(4)と接続する少なくとも1つの中間部分(16)を有する、少なくとも1つの導管(6)と、
−中間部分(16)に備えられた少なくとも1つの第1の熱的維持区域(15)と、
−前記導管(6)内で製品を循環させる為の手段(8)と、
から成り、
前記循環手段(8)が、前記過熱区域内(4)で製品を第2の作業速度(V)で実質的に乱流状態において、0.1〜5秒である最大作業時間(t)の間、55〜75℃の範囲の第2の作業温度(T)過熱されるまで、循環させるのに適していることを特徴とするプラント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に食品加工分野に適用され、特に卵含有食品を低温殺菌する方法及びその為のプラントに関する
【背景技術】
【0002】
卵含有食品は細菌数の減少及び賞味期限の延長の為に熱処理を必要とすることが知られている。
【0003】
一方、過度に強力な熱処理は卵の劣化を引き起こす傾向があり、したがって、熱処理の効率と製品の流体力学的な特性の維持との間で最適な妥協点を見つける必要がある。
【0004】
典型的に、卵含有製品は通常66〜68℃の温度で、一般的にプレート型又は管状の熱交換器により低温殺菌され、その後、好ましくは断熱性の導管内にそのような温度で所定の時間保持される。
【0005】
卵黄を原料とする液体製品を低温殺菌する為の典型的な処理は、米国特許第5465655号明細書に開示されているように、まず原料を貯蔵タンクから予熱ステーションに移動させるステップを含み、予熱ステーションにおいて製品は約50℃まで加熱される。
【0006】
その後、製品は、適切な低温殺菌を達成する為に、より高い温度、一般的に60〜80℃までさらに加熱される。
【0007】
このステップの最後に、製品は安定化の為に断熱導管内でその温度に維持される。
【0008】
その後、製品は貯蔵の為に、例えば大気温度又はそれ以下で冷却ステップにさらされる。
【0009】
そのような処理は商業的に関心を引く最終細菌数を提供するが、さらに低い細菌数したがって賞味期限の延長の点で、まだ更なる改善が可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、効果的な細菌数の減少が得られ、その上、製品の流体力学的な特性はほとんど変化なく維持される、卵含有食品を低温殺菌する方法を提供することにより、上記のような最終結果を達成することである。
【0011】
本発明のもう1つの目的は、延長された賞味期限が得られる、卵含有食品を低温殺菌する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のこれらの目的、及び以下に詳しく説明する他の目的は、請求項1に記載の卵含有食品を低温殺菌する方法により達成される。
【0013】
本発明の方法は、製品が入口及び出口を備えた少なくとも1つの導管を有するプラント内に流体状又はペースト状で導入されることを必要とし、以下の作業ステップ:
a)導管の第1の区域内で第1の作業速度の製品を、第1の最大作業時間の間、50℃以上の第1の作業温度まで加熱し、
b)導管の中間部分の第1の熱的維持区域内で第1の維持速度の製品を、第1の所定の維持時間の間、初めて熱的に維持し、
c)導管の第2の区域内で第2の作業速度の製品を、第2の最大作業時間の間、第2の作業温度まで高周波電磁場を加えることにより過熱する、
ステップから成る。
【0014】
第2の作業温度は第1の作業温度よりも高く、第2の作業速度は導管の第2の区域内で製品内に相対的に乱流を生じさせるのに適しており、そして、第2の最大作業時間が0.1〜5秒である。
【0015】
ここで使用される“熱的維持”との用語は、収容されている製品内に製品が継続的に供給されており、そして、製品が加熱されていないステップを意図するものである。
【0016】
出願人は、相対的に乱流を生じさせるのに適した速度で0.1〜5秒の最大作業時間の間、製品が高周波加熱ステップにさらされることで、最終細菌数が従来のプラントより約1対数程度低くなり、それにより、卵が卵白だけ、卵黄だけ、又は両方としての使用を意図していても、卵含有食品の賞味期限が著しく延長されることを驚いたことに発見した。
【0017】
有利なことに、第2の加熱ステップの間、処理される製品が劣化する危険を防止する為に製品は55〜75℃の温度まで加熱される。
【0018】
そのように処理される製品は追加の維持ステップにさらされることもできる。一般的に、卵黄だけ又は卵白及び卵黄を含む製品はそのような第2の維持ステップにさらされ、卵白だけを含む製品はこのステップを回避することができる。
【0019】
ここで使用される“卵黄だけを含む製品”との用語は、卵黄の含有量が卵白の含有量よりもかなり高い食品を示すことを意図している。実例としては、そのような卵黄の含有量が90%以上から卵白のない製品である100%である。
【0020】
ここで使用される“卵白だけを含む製品”との用語は、卵白の含有量が卵黄の含有量よりもかなり高い食品を示すことを意図している。実例としては、そのような卵白の含有量が90%以上から卵黄のない製品である100%である。
【0021】
ここで使用される“卵白及び卵黄を含む製品”との用語は、卵黄の含有量が卵白の含有量に対して優勢でない製品を示すことを意図している。実例としては、そのような含有量は90%未満であり、10%より上である。
【0022】
そのような第2の維持ステップの間に、製品は導管内で3m/秒の最大速度、好ましくは0.5〜2.5m/秒の速度に維持される。
【0023】
もう1つの側面においては、本発明は請求項13に記載の卵含有食品を処理する為のプラントに関する。
【0024】
プラントは、50℃以上の第1の作業温度で第1の加熱ステップを実行する為の手段と、第1の作業温度よりも高い第2の作業温度で、高周波電磁波発生器を使用して第2の製品加熱ステップを実行する手段と、を含む。
【0025】
従属請求項は本発明の方法及びプラントの有利な実施形態を開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の更なる特性及び利点は、添付の図面と共に非限定的な例として記載された本発明によるプラントの好ましいが排他的でない実施例の詳細な記載からより明らかになるであろう。
【0027】
図1を参照すると、特に熱処理に適した、より詳しくは卵白及び/又は卵黄含有食品の低温殺菌に適したプラントが符号1により示されている。
【0028】
プラント1は、流体状の処理される製品が導入される入口2と、製品加熱ステーション3と、製品過熱ステーション4と、最終処理された製品の出口5と、を有し、それらは全て流路又は導管6を通して流体接続している。
【0029】
図示されていない1つ以上の容器を、それぞれ処理前及び処理後の製品の保管の為に、入口2の上流及び出口5の下流に備えることができる。
【0030】
或いは、導管6内に常に適切なレベルの製品が存在することを確実にする為に、中間管理及び釣り合いタンク7を備えることができる。そのような管理は、適切な電子レベル検出器を使用する周知の方法で実行される。
【0031】
処理される製品は入口2の上流で保管容器から収集され、該入口において製品は開始保管温度Tである。
【0032】
保管温度Tは比較的低く、例えば5℃近く、又は0℃以下である。
【0033】
その後、製品を導管6の第1の部分9を通して加熱ステーション3まで導管6内を循環させる為に設計された適切な手段8により、製品は運搬される。
【0034】
循環手段8は実質的にポンプを備え、ポンプの能力は処理される製品の構成及び要件にしたがって選択される。
【0035】
随意的に、導管6の第1の部分9に沿って予熱ステーション10を備えることもでき、該予熱ステーション10は、その運転に関しては以下で詳しく説明される周知の型の回収熱交換器11と、周知の型のホモジナイザー12とを有する。
【0036】
製品は回収熱交換器11内で開始保管温度Tから、例えば20〜30℃の範囲の中間予熱温度Tまで予熱される。
【0037】
加熱ステーション3は板状及び/又は管状熱交換器13を含み、該熱交換器13を通って導管6の第1の部分14が伸びている。
【0038】
製品が熱交換器13に達すると、従来技術によると、熱流Sが製品の上を流れ、第1の加熱にさらされて中間温度Tから、一般的に50℃以上の第1の作業温度Tまで加熱される。好ましくは、該第1の作業温度Tは70度以下である。
【0039】
卵黄ムースや高蛋白飲料等の卵黄だけを含む製品の場合、加熱は60〜70℃、好ましくは約64℃の第1の作業温度Tで実施される。
【0040】
卵白だけを含む製品又は卵白の含有量が卵黄の含有量よりもかなり高い、例えば卵白の含有量が90%以上の製品の場合、加熱は50〜60℃、好ましくは約56℃の第1の作業温度Tで実施される。卵白だけを含む製品にはペストリークリーム等がある。
【0041】
最後に、一方が他方よりも顕著に多くはない相対的な含有量において、卵白及び卵黄の両方を含む製品の場合、第1の加熱ステップは63〜70℃、好ましくは約66℃の第1の作業温度Tで行われる。卵白及び卵黄を含む製品にはアイスクリーム等がある。
【0042】
加熱ステップは、導管の第1の部分14内を第1の所定の作業速度Vで移動する製品に、導管の寸法及び達する温度にしたがって選択される第1の所定の作業時間の間実施される。
【0043】
そのような加熱ステップの後、製品は第1の熱的維持区域15に達し、加熱ステーション3を過熱ステーション4に接続する、導管6の中間部分16内を移動する。
【0044】
中間部分16は適切に断熱されており、製品が80秒の最低維持時間ts1の間、第1の熱的維持ステップにさらされる為の寸法を有している。
【0045】
そのような第1の熱的維持時間ts1は、600秒以下であり、好ましくは100〜400秒である。
【0046】
卵黄だけを含んでいる製品又は卵白の含有量よりもかなり多い卵黄の含有量を有している製品の場合、第1の熱的維持ステップは280〜400秒の第1の維持時間ts1の間実施される。
【0047】
卵白だけを含んでいる製品又は卵黄の含有量よりもかなり多い卵白の含有量を有している製品の場合、第1の熱的維持ステップは100〜200秒の第1の維持時間ts1の間実施される。
【0048】
最後に、一方が他方よりも顕著に多くはない相対的な含有量において、卵白及び卵黄の両方を含む製品の場合、第1の熱的維持ステップは100〜200秒の第1の維持時間ts1の間実施される。
【0049】
中間部分16において、この第1の熱的維持ステップの間、製品は0.05〜1m/秒、好ましくは0.1〜0.5m/秒の間の第1の維持速度Vs1で移動する。
【0050】
中間部分16は、必要に応じて、第1の維持時間ts1及び第1の維持速度Vs1に応じた寸法を有している。
【0051】
本願発明によると、過熱ステーション4は、過熱ステーション4を通って伸びる導管6の第2の部分17を有し、高周波振動電磁場発生器を含んでいる。
【0052】
発生器により発生された電磁波は、国際公開第WO2006/136882号公報の教示にしたがって、例えば環状の電極19により作動する適切な付与装置18により導管6の第2の部分17に加えられる。
【0053】
その入口において実質的に温度Tを有する製品が付与装置18に達したら、本発明特有の特性により、製品は第1の作業温度Tよりも高い温度Tに直接過熱される。
【0054】
実例としては、第2の作業温度Tは55℃以上であり、75℃以下である。
【0055】
特に、付与装置18は、例えば27.12MHz又はその倍数程度の高周波領域の周波の電磁場を発生し、そして、導管の第2の部分17が通って伸びている局部領域に電磁場を導くように設計されている。
【0056】
卵黄だけを含んでいる製品又は卵白の含有量よりもかなり多い卵黄の含有量を有している製品の場合、過熱は65〜80℃、好ましくは70℃の作業温度Tで実施される。
【0057】
又、卵白だけを含んでいる製品又は卵黄の含有量よりもかなり多い卵白の含有量を有している製品の場合、過熱は55〜65℃の作業温度Tで実施される。好ましくは、第2の作業温度Tは59〜65℃であり、より好ましくは60℃である。
【0058】
最後に、一方が他方よりも顕著に多くはない相対的な含有量において、卵白及び卵黄の両方を含む製品の場合、過熱は65〜75℃の作業温度Tで実施される。
【0059】
上記の数値はそれぞれの成分及び添加物の量により変化するものであることが理解されるであろう。
【0060】
例えば、卵黄及び卵白混合物に付加的な量の塩又は砂糖が加えられた場合、又は卵黄のみに塩又は砂糖が加えられた場合、過熱は約75℃の第2の作業温度Tで実施される。
【0061】
過熱の間、製品は導管6の第2の部分17内に、製品が非常に短い時間tで電磁場を通って移動するのに十分な速度である第2の最低作業速度Vで供給される。
【0062】
ほんのわずかな追加時間だけでも製品が電磁場内に長く存在していると、製品の流体力学的な特性の劣化につながる温度の過度の上昇を招きかねないので、製品が限定的な良く制御された時間tだけ過熱されることが重要であることが発見されている。
【0063】
特に、導管の第2の部分17内の製品の速度Vは、過熱条件下において、0.1〜5秒、好ましくは0.3秒以下の第2の最大作業時間tの間、製品が高周波電磁場内に留まるように選択されるべきである。
【0064】
第2の作業速度Vの最適値は0.5〜10m/秒、好ましくは2〜9m/秒、より好ましくは約8m/秒である。
【0065】
特に、卵黄だけ、卵白だけ又は卵白及び卵黄の混合物を含む製品の場合、第2の作業速度Vの最適値は実質的に約8.7m/秒であることが発見されている。
【0066】
卵黄だけを含む製品に塩又は砂糖を加えた場合、第2の作業速度Vの最適値は4〜5m/秒の範囲、好ましくは4.35m/秒であることが発見されている。
【0067】
必要に応じて、当業者は第2の作業速度Vにしたがって導管の第2の部分17の寸法を選択することができる。
【0068】
過熱の間のこれらの製品の作業速度Vの維持は不可欠である。なぜなら、過熱ステップにおいて、付与装置18は移動する製品に大量のエネルギーを移転するからである。したがって、導管6の第2の部分17内の製品は粘性により可能な限り乱れ運動をする。
【0069】
高速の作業速度Vが製品の全ての粒子の実質的に均一な運動を引き起こし、過熱ステーション内に長すぎる作業時間tの間留まることを防止する。
【0070】
好ましい実施形態においては、過熱ステップは、約1秒の熱的維持時間tsiの中間熱的維持ステップを挟んで、連続的に2回実施することができる。
【0071】
この目的のために、過熱ステーションは、その間に維持ステーションを有する2つのサブステーション4’、4’に分割することができ、維持ステーションは電磁場の外側の導管の第2の部分17の中間部分から成る。
【0072】
付与装置18の出口において、製品は導管6の第3の部分20内に移動し、適切に断熱されており最低維持時間ts2の間製品が温度Tに維持される為の寸法を有する第2の熱的維持区域21を通過する。
【0073】
第2の熱的維持時間ts2は1〜150秒、好ましくは3〜100秒の範囲である。
【0074】
卵黄だけを含んでいる製品又は卵白の含有量よりもかなり多い卵黄の含有量を有している製品の場合、第2の熱的維持ステップは1〜20秒、好ましくは約8秒の第2の熱的維持時間ts2の間実施される。
【0075】
卵白だけを含んでいる製品又は卵黄の含有量よりもかなり多い卵白の含有量を有している製品の場合にも、同じ第2の熱的維持時間ts2の間実施される。
【0076】
最後に、一方が他方よりも顕著に多くはない相対的な含有量において、卵白及び卵黄の両方を含む製品の場合、第2の熱的維持ステップは20〜150秒、好ましくは80秒の第2の維持時間ts2の間実施される。
【0077】
そのような第2の維持ステップの間、製品は0.3〜5m/秒、好ましくは0.5〜3m/秒、より好ましくは1〜2.1m/秒の第2の熱的維持速度Vs2に維持される。
【0078】
必要に応じて、当業者は第2の維持時間ts2及び/又は第2の維持速度Vs2にしたがって第2の熱的維持区域21の寸法を適切に選択することができる。
【0079】
製品が導管6の第3の部分20から外へ出ると、製品を急速に冷却して製品の変性を防止する為に、製品はさらに第2の熱的維持ステーション21からすぐに下流の冷却ステーション22に移動する。
【0080】
冷却ステーション22は比較的小さな寸法の一般的な熱交換器23を含んでいる。
【0081】
したがって、製品は温度Tからより低い温度Tに冷却される。
【0082】
製品が熱交換器から外に出ると、製品は回収熱交換器10に移動して加熱手段として利用され、上述のように開始温度Tから中間温度Tに予熱される入口2から供給される製品と交差することにより、温度Tからより低い温度Tに冷却される。
【0083】
回収熱交換器10から外に出てくる処理後の製品の流れは、周知の型の熱交換器から成る冷却器24内でさらに冷却され、出口5から下流の容器内に保管する為に、製品は冷却器24内で冷却流Sにより温度Tから最終温度Tまで冷却される。
【0084】
本発明の方法の特に有利な実施形態によると、処理される製品内の空気量を減少することが可能な超過圧力Pを実現する為に、製品は導管6の部分内で加圧されることもできる。
【0085】
そのような超過圧力は少なくとも導管6の第2の部分17内の過熱ステーション内に実現することができる。
【0086】
有利なことに、超過圧力Pは、少なくとも予熱ステーション10から下流の、加熱ステーション3及び過熱ステーション4を通って伸びる導管6の部分内に実現することができる。
【0087】
好ましい構成においては、超過圧力Pは少なくとも第2の維持区域21の末端まで導管内6に実現される。
【0088】
したがって、加圧ステップは少なくとも加熱ステップから少なくとも第2の維持ステップの終わりまで実施される。
【0089】
最適な超過圧力P値は5〜40バールの範囲であり、処理される製品の種類により変化する。
【0090】
超過圧力Pは製品内の空気含有量を削除するか又は少なくとも減少する。さらに、製品内にとらわれた気泡を減少し、製品の全体に渡って実質的に均一に整える。
【0091】
したがって、製品は、破損しやすくなる過度に過熱された部分が無く、より均一に加熱される。
【0092】
過度に大きな気泡は過熱時に気化、したがって、気泡の周りの製品の凝固又は焼き付けを引き起こす温度の局部的上昇を引き起こしやすいことが発見されている。
【0093】
例えば、過熱ステーション4から下流、好ましくは第2の維持ステーション21から下流の導管6に接続された適切な弁手段25を配置することにより、追加圧力を加えることができる。
【0094】
これらの弁手段25は導管6が局部的に狭くなることを可能にし、したがって、弁手段25から上流の導管6の部分において逆圧を発生させる。
【0095】
弁手段25は導管内に圧力を発生させるのに適しているどんな道具とでも簡単に交換することができる。
【0096】
有利なことに、本発明の全てのステップは、食品が導管内、又は少なくとも加熱ステーション3の先端から第2の維持ステーション21の末端までの間の導管6の部分内に継続的に供給されながら、実施される。
【0097】
下記の表1は、本発明の方法の特定の実施形態における処理パラメータの特定の好ましい範囲を、限定的でない例として示している。
【0098】
【表1】

【0099】
下記の表2は、表1に示す実施形態と同様の実施形態における処理パラメータの特定の好ましい範囲を、限定的でない例として示している。
【0100】
【表2】

【0101】
上記開示は、本発明が意図する目的を実現し、特に、製品を変性させずに従来技術の方法に比べて細菌数を効果的に減少して賞味期限を延長することができる卵含有食品を低温殺菌する方法を提供する要件を満たしていることを明確に示している。
【0102】
本発明の方法及びプラントは、特許請求の範囲に開示されている本発明の概念の範囲内で、多数の変更及び変形が可能である。本発明の範囲から逸脱することなく、全ての詳細部分は技術的に同等な他の部品により交換することができ、必要に応じて材料も変更することができる。
【0103】
当業者は所望の処理パラメータに適応させる為にプラントの様々な部分の寸法を選択することができる。
【0104】
特に、必要に応じて、当業者は維持パラメータにしたがって導管6の様々な部分の寸法を選択することができる。同様に、当業者は所望の温度低下T−Tにしたがって熱交換器13を選択し、又は熱交換器を他の同等のどんな装置とも交換することができる。又、当業者は所望の温度低下T−Tにしたがって付与装置18の寸法及び設定を選択し、又は他の同等のどんな付与装置とも交換することができる。
【0105】
本発明の方法及びプラントは添付の図面を特に参照にして記載されているが、開示及び特許請求の範囲において参照している符号は本発明をより良く理解する為だけに使用されているものであり、決して特許請求の範囲を限定することを意図しているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】卵含有食品を処理する為のプラントの概略図である。
【符号の説明】
【0107】
1 プラント
2 1の入口
3 加熱ステーション
4 過熱ステーション
5 1の出口
6 導管
7 タンク
8 循環手段
9 6の第1の部分
10 予熱ステーション
11 回収熱交換器
12 ホモジナイザー
13 熱交換器
14 6の第1の部分
15 第1の熱的維持区域
16 6の中間部分
17 6の第2の部分
18 付与装置
19 電極
20 6の第3の部分
21 第2の熱的維持区域
22 冷却ステーション
23 熱交換器
24 冷却器
25 弁手段
P 超過圧力
熱流
冷却流
開始保管温度
中間予熱温度
第1の作業温度
第2の作業温度
より低い温度
より低い温度
最終温度
第1の最大作業時間
第2の最大作業時間
s1 第1の熱的維持時間
s2 第2の熱的維持時間
si 第3の熱的維持時間
第1の作業速度
第2の作業速度
s1 第1の維持速度
s2 第2の維持速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵含有食品を低温殺菌する方法であって、製品が入口(2)及び出口(5)を備えた少なくとも1つの導管(6)を有するプラント(1)内に流体状で導入され、該方法が、下記の一連の作業ステップ:
a)前記導管(6)の第1の区域(14)内で第1の作業速度(V)の製品を、第1の最大作業時間(t)の間、50℃以上の第1の作業温度(T)まで加熱し、
b)前記導管(6)の中間部分(16)の第1の熱的維持区域(15)内で第1の維持速度(Vs1)の製品を、第1の所定の熱的維持時間(ts1)の間、初めて熱的に維持し、
c)前記導管(6)の第2の区域(17)内で第2の作業速度(V)の製品を、第2の最大作業時間(t)の間、第2の作業温度(T)まで高周波電磁場を加えることにより過熱する、
ステップから成り、
前記第2の作業温度(T)が前記第1の作業温度(T)よりも高く、前記第2の作業速度(V)は前記導管(6)の第2の区域(17)内で製品内に相対的に乱流を生じさせるのに適しており、そして、第2の最大作業時間(t)が0.1〜5秒である、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
当該第2の最大作業時間(t)が0.1〜3秒であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の作業温度(T)が55〜75℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の作業速度(V)が0.5〜10m/秒、好ましくは2〜9m/秒、より好ましくは8m/秒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記過熱ステップc)の後、好ましくは1〜150秒、より好ましくは3〜100秒である第2の熱的維持時間(ts2)の間、製品が前記第2の作業温度(T)で保持される、第2の熱的維持ステップd)が実施されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記第2の熱的維持ステップd)の間、製品は前記導管(6)内を通って、0.3〜5m/秒、好ましくは0.5〜3m/秒、より好ましくは1〜2.1m/秒である第2の維持速度(Vs2)で移動することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
加圧区域内で製品内の空気含有量を減少することができる超過圧力(P)で、製品が加圧ステップe)にさらされることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記超過圧力(P)が5〜40バールであることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記加圧ステップe)が、前記加熱ステップから下流において前記第2の熱的維持ステップd)の終わりまで、実施されることを特徴とする請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記過熱ステップc)の間に、第3の所定の熱的維持時間(tsi)の間、中間熱的維持ステップf)が実施されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記第3の熱的維持時間(tsi)が実質的に約1秒であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
製品冷却ステップg)が前記第2の熱的維持ステップd)のすぐ後に実施され、製品予熱ステップh)が前記加熱ステップa)の前に実施されることを特徴とする請求項5〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法により卵含有食品を低温殺菌する為のプラントであって、該プラントが、
−製品を50℃以上の第1の作業温度(T)まで加熱する為の加熱区域(3)と、
−製品を前記第1の作業温度(T)以上の第2の作業温度(T)まで過熱する為の過熱区域(4)と、
−前記過熱区域内(4)で高周波電磁場を発生する為の振動手段(18)と、
−入口(2)及び出口(5)、並びに前記加熱区域(3)を過熱区域(4)と接続する少なくとも1つの中間部分(16)を有する、少なくとも1つの導管(6)と、
−中間部分(16)に備えられた少なくとも1つの第1の熱的維持区域(15)と、
−前記導管(6)内で製品を循環させる為の手段(8)と、
から成り、
前記循環手段(8)が、前記過熱区域内(4)で製品を第2の作業速度(V)で実質的に乱流状態において、0.1〜5秒である最大作業時間(t)の間、55〜75℃の範囲の第2の作業温度(T)に過熱されるまで、循環させるのに適していることを特徴とするプラント。
【請求項14】
前記振動手段(18)が、前記導管(6)の第2の部分(17)に高周波電磁場を放射する為の付与装置(19)から成ることを特徴とする請求項13に記載のプラント。
【請求項15】
少なくとも導管の中間部分を、大気圧よりも高い超過圧力、好ましくは5〜40バールまで加圧する為の弁手段(25)を有することを特徴とする請求項13に記載のプラント。

【図1】
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【公表番号】特表2012−519480(P2012−519480A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552562(P2011−552562)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050917
【国際公開番号】WO2010/100613
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511214462)
【出願人】(511214705)サノボ テクノロジー イタリア エッセ.エッレ.エッレ. (1)
【Fターム(参考)】