説明

厚肉成形製品または厚肉被覆の製造のための光活性化性で硬化性のシロキサン組成物の使用

【課題】 厚肉成形製品、例えば注型組成物のための型、注型成形組成物、シーラント、補綴成形製品または型取、現場成形ガスケット、または厚肉被覆、例えばコンフォーマル被覆を提供する。
【解決手段】 a)3〜99重量%の少なくとも1種のアルケニル基含有ポリシロキサン、ただしポリスチレンを標準とするGPCによる数平均Mnとして測定される該ポリオルガノシロキサンa)の平均重合度Pnは少なくとも200である、
b)0.2〜60重量%の少なくとも1種のSiH官能性ポリシロキサン、
c)0.1〜60重量%の、BET表面積が50〜400m2/gの酸化物充填剤から選ばれる、少なくとも1種の充填剤、
d)金属含有量1〜500ppmに相当する少なくとも1種の光活性化可能な触媒、および
e)0〜30重量%の1種もしくはそれ以上の助剤、
をいずれも成分a)〜c)の合計量に対して含んでなる光活性化性で硬化性のシロキサン組成物、を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚肉成形製品または厚肉被覆、例えば注型組成物のための型、注型成形組成物もしくはシーラント、補綴成形製品または型取(impression)、現場成形ガスケット、または厚肉被覆、例えばコンフォーマル被覆の製造のための光活性化性で硬化性もしくは架橋性のシリコン組成物の使用およびそれらの製造方法に関する。
【従来技術】
【0002】
厚肉成形製品または被覆は、熱可塑性、熱硬化性またはエラストマー材料から成ることができ、それらは、適切な硬化性成形組成物もしくはゴムから成形プロセスにおける反応性樹脂もしくはゴム混合物の熱処理もしくは架橋による形成の後に製造される。成形プロセスもしくは架橋における熱の適用の際に、収縮効果が観察されそれは寸法的に正確な成形を妨げる。収縮は、寸法的に正しい成形を損なうのみならず、型から成形製品の取り出しの際に離型の問題、またはシールすべき物体、例えばレース(raceway)シールおよび埋込み物品、例えば電子回路、ケーブルプラグなどの裂けも起こす。壁厚さが10mmを越えるかまたは容積が1リットルを越える大容積ならびに厚肉部品、例えば絶縁体では、収縮効果が特に顕著に現れそして充填剤および顔料も共存する場合には、短時間で深部までの熱硬化が保証されないという特有の問題が生じる。従って、成形製品ならびに被覆の使用温度における硬化が、熱膨脹による収縮効果を小さく保つために望ましい。従って、通常、硬化温度は0〜50℃の周辺温度でなければならない。これは、かかる成形製品または被覆の硬化が好ましくは付加反応、すなわち硬化の間に質量損失を起こさない架橋機構によりもたらされることを意味する。
【0003】
さらに、成形組成物の硬化のために必要な温度は周辺温度をわずか越える程度であることを意図する。
【0004】
シリコン成形組成物、すなわちシリコン樹脂またはシリコンゴムから厚肉成形製品および被覆を製造しようとする場合に、原理的には遊離ラジカル架橋、付加架橋、縮合架橋または光架橋の種々の形式の反応を利用できる。いかなる追加加熱も必要としない架橋の形式は、縮合架橋、付加架橋および光架橋を含んでなる。
【0005】
縮合物は質量損失を含むので、好ましくは課題の解決のためには付加および光反応が詳細に考察される。
【0006】
ヒドロシリル化反応が成形組成物の架橋をもたらす、抑制剤を介して制御される付加反応は、反応性組成物の一定の加工時間を保証するために抑制剤が必要である。しかしこれはより長い架橋時間または加熱を必要とする。抑制剤を利用しないと、短い架橋時間は得られるが、しかし同時に反応性の架橋性成形組成物の短い加工時間を受け入れなければならない。
【0007】
従って通常、架橋時間は架橋開始前の加工時間から切り離せない。
【0008】
種々の利用できる光活性化架橋の種類の中で、複雑な有機官能性ポリマー系を必要とする系がある。しかしその中でも容易に利用できるポリアルキレンアルキルシロキサンおよびポリヒドロアルキルシロキサンから成る系が存在する。
【0009】
光活性化で硬化できる公知のシリコン成形組成物の利用は、厚肉、大容積で追加して顔
料が含まれる成形組成物の製造のために利用され、そしてそれらを短時間に硬化させなければならないことを意図するか、または光に暴露されなかった部分、すなわち影の部分も同様に硬化されるように追加して要求される場合には、これまで限界が存在した。
【0010】
その方法で厚肉で大容量の成形製品および被覆を実現するため、特にはそれらが追加して充填剤を含んでなりそして機械的強度に関してもしくは破壊的な高電圧負荷への耐性に関して特定の要求を克服しなければならないよう場合には、いかなる組成物も方法も提案されていない。しかしそれらの要求は、厚肉、大容量の絶縁体のような成形製品または被覆により満足されなければならない。
【0011】
この問題を解決するために、従来技術では種々の架橋反応の組み合わせが開示されそして特許請求された。例えば、特許文献1は、遊離ラジカル光開始剤を伴うアクリル酸またはメタクリル酸基とのポリジヒドロカルビルシロキサン プレポリマーの架橋を記載している。この場合、UVに暴露されたゾーン内でポリマーの架橋が起きる。光に暴露されなかったゾーン内では、空中湿分による硬化が架橋をもたらす。この場合に欠点は、非光暴露ゾーンへの空中湿分の遅い拡散の結果としての長い後硬化時間、縮合もしくは分割生成物を介する質量損失、および製造が複雑なシロキサン−アクリル酸−コポリマー使用の必要性が、利用性および経済性を制約することである。その外にも、それらの方法は、密閉された構成部品がUV照射された後に、光照射および非照射部分内への空中湿分の進入が不可能な場合には利用できない。
【0012】
これに対し、特許文献2は、非常に簡単な付加系、すなわちη−シクロペンタジエニル−および3σ−結合脂肪族置換基を有する錯体から選択された光活性化白金錯体を用いて、μm領域の剥離被覆(離型紙)を作成できることを公開している。厚肉で充填剤および/または顔料含有成形製品または被覆を製造できる方法は、この文献には開示されていない。層厚さ数mmでありならびに良好な機械的性質を有する厚肉成形製品または被覆を製造するために簡単な注型または層塗布を用いる問題に対する特別の理由は、それらが一般的に粘度上昇性もしくは補強性充填剤の添加も必要とすることにある。さらに、充填剤は、層厚さに依存して透過性を著しく低下しそのために深層内への光の進入を妨げることがある。従って、なかでも特許文献2に記載された方法では、高い強度を有する顔料添加または高率充填の厚肉成形製品または被覆を製造できない。さらに十分に迅速にそして完全な架橋に達するためには、厚肉成形製品または被覆の硬化のために大量の白金を必要とすることも当該技術分野の専門家は予想するであろう。従って、当該技術分野専門家にとって、厚肉成形製品または被覆、まして顔料添加、不透明もしくは半透明性成形製品または被覆の製造のための特許文献2の光硬化性組成物の使用は自明ではない。
【0013】
そのために、特許文献3は、追加して光増感剤を添加した厚肉成形製品、例えば歯科用印象組成物を製造する方法を示唆している。特許文献4、特許文献5または特許文献6は、追加の光増感剤を用いて製造される類似のシリコン成形組成物を公開している。しかし、その方法は追加の光増感剤が環境的および経済的に不利となり得るので不利である。
【0014】
特許文献7は、光硬化性液状樹脂の成形のために使用される原型の製造のための光硬化性液状シリコンゴム組成物を開示している。この硬化製品の光透過度は、10mmの厚さで測定して200〜500nmの波長の光に対して少なくとも10%であるとのことであり、それはさもなければ複製品の光硬化性液状樹脂の硬化のためには光透過度が低すぎるからである。特許文献7で、発明者は、始めから光透過性原型の製造を目標としていたので、透過性が低く、殊には充填剤ならびに顔料を含有する厚肉成形製品の製造の問題はここでは起きなかった。特許文献7は、光硬化性シリコン組成物の硬化の完全性を最大化する目的で、補強性すなわち不透明性充填剤(例えば殊には特定のシリカ)の使用を断念し、そしてその代わりに母型の十分な光透過性および硬度を与えるために、MおよびQ単位
を有するシリコン樹脂を使用した。従って、それらの組成物は、任意の肉厚で、適合する場合には顔料を含む成形製品または被覆の製造のためには使用できない。
【特許文献1】米国特許(US)第4,699,802A1号明細書
【特許文献2】欧州特許(EP)第0146307号明細書
【特許文献3】欧州特許(EP)第358452A号明細書
【特許文献4】米国特許(US)第6,376,569B1号(欧州特許(EP)第561893B1号)明細書
【特許文献5】米国特許(US)第6,046,250A号(欧州特許(EP)第561919B1号)明細書
【特許文献6】国際特許公開番号(WO)第92−10544A1号(欧州特許(EP)第561923A1号)明細書
【特許文献7】欧州特許(EP)第832936号明細書
【発明の開示】
【0015】
意外にも、厚肉で殊には充填剤および/または顔料を含有する低い透過度の成形製品および被覆の製造のために、殊には特定の方法を利用する場合に、光増感剤を添加することなく、光活性化性で硬化性のシロキサン組成物が使用できることを発見した。意外にも、光硬化性ならびに光活性化性のシロキサン組成物の使用の利点、例えば低い収縮、高いアーク放電耐性およびトラッキング耐性ならびに良好な機械的性質を、厚肉、殊には充填剤および/または顔料含有成形製品を製造する場合でも利用できる。
【0016】
従って、本発明は、厚肉の成形製品または厚肉の被覆の製造のために
a)分子あたりに平均して少なくとも2個の不飽和有機基を有する、少なくとも1種のポリオルガノシロキサン、
b)分子あたりに平均して少なくとも2個のSiH基を有する、少なくとも1種のポリヒドロオルガノシロキサン、
c)適合する場合に、1種もしくはそれ以上の充填剤
d)Pt、Ru、Rh、Pd、IrもしくはNiから成る群から選択される金属または上記金属の化合物を含んでなる、少なくとも1種の光活性化可能な触媒
e)適合する場合に、1種もしくはそれ以上の助剤、
を含んでなる光活性化性で硬化性のシロキサン組成物の使用を提供する。
【0017】
成分a)(Si−アルケニル)
本発明により使用される光活性化性で硬化性のシロキサン組成物中のアルケニル基含有ポリオルガノシロキサン(a)の粘度範囲は、好ましくは、0.025〜500Pa・秒、好ましくは0.1〜100Pa・秒(25℃、1秒−1のせん断速度D)である。これは単一ポリマーまたは種々のポリオルガノシロキサンの混合物からなることができ、例えば低いアルケニル含有量を有する本質的に線状の種々のポリマー(a1)または本質的に線状であるポリマー(a1)と好ましくは比較的高いアルケニル含有量を有する分枝状ポリマー(a2)から成る混合物であり、これらは例えば以下にさらに詳細に記載されるものから成ってもよい。
【0018】
ポリオルガノシロキサン(a)は、好ましくは、単位M=RSiO1/2、D=RRSiO2/2、T=RSiO3/2、Q=SiO4/2ならびに二価単位R(式中、R、RおよびRは以下に定義される)から成る軍から選択されるシロキサン単位から少なくとも成る。
【0019】
本発明により、ポリオルガノシロキサン(a)は、原理的には、1個の基a1)および(a2)から選択されることができる。
【0020】
基(a1)は約0.002〜約3.0mmol/g、さらに好ましくは0.004〜1.5mmol/gの低いアルケニル基含有量を有するポリオルガノシロキサンの基である。それらのポリオルガノシロキサンは、一般に本質的に線状である。
【0021】
基(a2)は、アルケニル基含有量が高い約3.0〜22mmol/gのポリオルガノシロキサンの基である。それらは線状および分枝状のポリオルガノシロキサンの双方を含むことができる。
【0022】
ポリオルガノシロキサン(a)は、好ましくは接触平衡化または接触重縮合により製造され、それは例えば米国特許(US)第6,387,487号明細書第3段および第4段に開示されている。
【0023】
ポリオルガノシロキサン(a)は、一般式(I)で記述できる。
【0024】
〔Ma1b1c1d1e1m1 (I)
〔式中、
M=RSiO1/2
D=RRSiO2/2
T=RSiO3/2
Q=SiO4/2
(式中
m1=1〜1000
a1=1〜10
b1=0〜3000
c1=0〜50
d1=0〜1
e1=0〜300
ここで、
R=有機基、好ましくは非置換または置換炭化水素基、さらに好ましくは、n−、i−、t−もしくはC〜C12−アルキル、C〜C12−アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜C30−シクロアルキルまたはC〜C30−アリール、C1〜C12−アルキル(C〜C10)アリール、ここでこれらの基Rはそれぞれ1個もしくはそれ以上のF原子による置換を有することができおよび/または1個もしくはそれ以上の−O−基を含むことができる)〕
適合する一価炭化水素基Rの例は、アルキル基、好ましくはCH−、CHCH−、(CHCH−、C17−およびC1021−基、脂環式基、例えばシクロヘキシルエチル、アリール基、例えばフェニル、トルイル、キシリル、アラルキル基、例えばベンジルおよび2−フェニルエチル基を含む。好ましい一価ハロゲン炭化水素基Rは、殊には式C2n+1CHCH−(式中、nは1〜10である)を有し、例えばCFCHCH−、CCHCH−およびC13CHCH−である。好ましい基は3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0025】
殊に好ましい基Rは、メチル、フェニル、および3,3,3−トリフルオロプロピル基を含む。
【0026】
=Rまたは非置換もしくは置換されたC〜C12−アルケニル基であり、ただし、少なくとも2個の基R1はアルケニル含有有機基であり、それらは、好ましくは非置換おび置換されたアルケニル含有炭化水素基、例えばn−、i−、t−もしくは環状C〜C12−アルケニル、ビニル、アリル、ヘキセニル、C〜C30−シクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ノルボルネニルエチル、リモネニル、C〜C30−アルケ
ニルアリールから選択され、ここで適合する場合には1個もしくはそれ以上のO原子が存在でき(エーテル基に相当)そして基は1個もしくはそれ以上のF原子による置換を有してもよい。
【0027】
好ましい基Rは、例えばビニル、アリル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、リモネニル、ノルボルネニルエチル、エチリデンノルボルニルおよびスチリル基であり、好ましくはビニルである。
=二価脂肪族n−、i−、t−もしくは環状C〜C14−アルキレン基、またはC〜C14−アリーレンもしくはアルキレンアリール基であり、それらはそれぞれ2個のシロキシ単位M、DもしくはTを架橋しており、例えば−D−R−D−である。Rは好ましくは、二価の脂肪族または芳香族のn−、i−、t−もしくは環状C〜C14−アルキレン、C〜C14−アリーレンまたは−アルキレンアリール基から選択される。
【0028】
シロキシ単位を架橋できる適合する二価炭化水素基Rの例は、すべてのアルキレン基およびジアルキレン基、好ましくは例えば−CH−、−CHCH−、CH(CH)CH−、−(CH、−CHCH(CH)CH−、−(CH−、−(CH−および−(CH2)18−シクロアルキレン基、例えばシクロヘキシレン、アリーレン基、例えばフェニレン、キシレンも含む。それらの割合は、一般的にすべてのシロキシ単位の30モル%を越えない。好ましくは例えばアルファ・オメガ−エチレン、アルファ・オメガ−ヘキシレンまたはアルファ・オメガ−フェニレンの群である。
【0029】
その中で、シロキシ単位M、D、TおよびQは、ブロック状または無作為にポリマー鎖内で互いに結合しそして分布していることができる。ポリシロキサン鎖内でそれぞれのシロキサン単位は同一または異なっていてもよい。
【0030】
指数は平均重合度である。好ましくは、指数は以下のものであり、そして好ましくは所望の粘度に応じて選択される。
【0031】
上記のポリオルガノシロキサン(a1)は、好ましくは一般式(Ia)、好ましくは式(Ia’)の構造を有する。
SiO(RRSiO)bSiR (Ia)RSiO(RSiO)bSiR (Ia’)式中、RおよびR1は上記に定義されそしてb1<3000である。
【0032】
式(Ia)および(Ia’)のポリオルガノシロキサン(a1)は、本質的に線状であり、そしてそれらの不飽和有機基の含有量は、好ましくは0.002〜3mmol/g、さらに好ましくは0.004〜1.5mmol/gである。不飽和基の含有量は、ここではポリメチルビニルシロキサンに基づき、そして上記の粘度範囲内で、異なる分子量を有する置換基を用いてシロキシ基に基づいて適当に調整される。
【0033】
ポリオルガノシロキサン(a1)に対する「本質的に線状」の表現は、T=RSiO3/2またはQ=SiO4/2単位から選択されたシロキサン単位を好ましくは0.1モル%を越えては含まないポリオルガノシロキサンを好ましくは含有する。
【0034】
ポリオルガノシロキサン(a)中の好ましいシロキシ単位に例は、アルケニルシロキシ単位、例えばジメチルビニルシロキシ単位、アルキルシロキシ単位、例えばトリメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位およびメチルシロキシ単位、アリールシロキシ単位、例えばフェニル−シロキシ単位、例えばトリフェニルシロキシ−ジメチルフェニルシロキシ単位、ジフェニルシロキシ単位、フェニルメチルビニルシロキシ単位、フェニルメチルシロキシ単位である。
【0035】
上記のポリオルガノシロキサン(a1)中で、好ましくは、基Rの少なくとも90モル%(好ましくは90〜99.99モル%、Si原子に関して)はメチル基である。
【0036】
アルケニル基は、シロキサン分子の鎖末端またはシロキサン鎖内のケイ素原子の置換基として結合していることができる。アルケニルが低く、本質的に線状のポリオルガノシロキサン(a1)の場合に、アルケニル基はシロキサン分子の鎖末端にのみ存在すると好ましい。シロキサン鎖の内部ケイ素原子上にアルケニル基が存在する場合に、アルケニル含有量が低いポリオルガノシロキサン(a1)内のその含有量は、従ってシロキサン単位に対して0.01mmol/g未満ならびに好ましくは0.0074モル%未満である。
【0037】
架橋生成物の引裂抵抗のような機械的特性を改善するために、異なるアルケニル含有量および/または異なる鎖長を有する種々のポリマーの混合物の使用(すなわち少なくとも2種のポリマー(a1)または少なくとも1種のポリマー(a1)および(a2)が存在する)が好ましく、その際、不飽和基の全含有量は、ビニル含有ポリジメチルシロキサンに対して成分(a)中で3.0mmol/gを越えないと好都合である。
【0038】
例えば、混合比
60〜100重量%(a1)および
0〜40重量%(a2)
のポリオルガノシロキサン(a1)および(a2)の混合物が使用できる。
【0039】
ポリオルガノシロキサン(a1)および(a1)と(a2)から成る混合物の双方の粘度は、好ましくは0.025〜500Pa・秒、特に好ましくは0.2〜100Pa・秒を25℃で有する。粘度は、DIN53019に従い、温度25℃およびせん断速度D=1秒−1で測定される。
【0040】
好ましくは、ポリオルガノシロキサン(a1)中のシロキシ単位数は20〜3000、好ましくは100〜1500である(ポリメチルビニルシロキサンに関する平均重合度Pn、そして上記の粘度範囲内で、異なる分子量を有する他の置換基を用いてシロキシ基に基づいて適当に調整される)。
【0041】
アルケニル基含有量は、ここでH−NMRで測定した。A.L.Smith(編集):The Analytical Chemistry of Silicones 1991、第112巻、356ページ以降、Chemical Analysis中、J.D.Winefordner編集、参照。
【0042】
(a1)と一緒に成分(a)を形成できる別の種類の好ましいポリマー(a)は、ビニル含有量が高く、適合する場合には分枝状のポリオルガノシロキサン(a2)の類であり、それらは、例えば引裂抵抗または引張強度の上昇のために、例えば上記に定義したような別のポリオルガノシロキサンと一緒に使用できる。
【0043】
これらの分枝状でアルケニル含有量が高いポリオルガノシロキサン(a2)は、例えば米国特許(US)第3,284,406号明細書、米国特許(US)第3,699,073号明細書により公開され、そして高い割合の不飽和基Rを含み、そして線状ポリオルガノシロキサンとは異なって、高い割合の分枝状または分枝するシロキサン単位T=RSiO3/2またはQ=SiO4/2を有することができ、一つの態様ではそれらの基の量は存在するSi原子に対して0.1モル%を越える。しかし分枝単位の量は、それらの成分が好ましくは液状、低融点物(固化点<160℃)または他のポリマー(a1)と混合可能で透明性シリコン組成物(400nmおよび2mmの層厚さにおいて透過度70%以
上)を生成するように限定される。
【0044】
上記で得られた分枝状ポリオルガノシロキサン(a2)は上記M、D、TおよびQ単位を含むポリマーである。それらは好ましくは一般の化学量論式(II)、(IIa)〜(IIb)を有する。
【0045】
〔Ma2b2c2d2m2 (II)
{〔RSiO3/2〕〔R1/2n1m2 (IIa)
{〔SiO4/2〕〔R1/2n1〔RSiO1/2〕0.01−10
〔RSiO3/2〕0−50〔RSiO2/2〕0−500}m2 (IIb)式中、Rは有機基、例えばC〜C22−アルキル、アリールまたはアリールアルキル基である。
【0046】
基R1/2は、メトキシ、エトキシまたはヒドロキシであり、好ましくは下記の好ましい指数を有する。
【0047】
m2=1〜100
n1=0.001〜4
a2=0.01〜10
b2=0〜10
c2=0〜50
d2=1。
【0048】
モル比M:Qの取りうる値は0.1〜4:1、ならびにM:Tは0.1〜3:1であり、そしてD:QならびにD:Tの比は0〜333:1であり、ここで、M、DおよびT単位は基RまたはRを含むことができる。
【0049】
アルケニル基含有量が高い分枝状ポリオルガノシロキサン(a2)は、殊には液状ポリオルガノシロキサン、有機溶剤中に可溶性の固体樹脂もしくは液状樹脂を含み、それらは好ましくはトリアルキルシロキシ(M単位)およびケイ酸単位(Q単位)から成り、そして好ましくは少なくとも3mmol/gの量のビニルジメチルシロキシ単位を含んでなる。それらの樹脂は、さらに最高で10モル%アルコキシ基またはOH基をSi原子上に有することもできる。
【0050】
他の好ましい態様では、ポリオルガノシロキサン(a2)は、それらが(a2)の場合に定義されたと同様の高いビニル含有量を有することを条件に一般式(Ia)を有する。
【0051】
上記の分枝状ポリオルガノシロキサン(a2)中には、式Rの少なくとも50モル%(すなわちSi原子に対して50〜95モル%)、好ましくは少なくとも80モル%がメチル基の形をとる。アルケニル基含有量が高くそして好ましくはビニル基含有量が高いポリオルガノシロキサン(a2)中のアルケニル基含有量は、好ましくは、3mmol/g〜約22mmol/gである。その含有量はポリメチルビニルシロキサンを基準としそして上記の粘度範囲内で、異なる分子量を有するケイ素原子上の他の置換基を用いてシロキシ基に基づいて適当に調整される。
【0052】
本発明の一つの好ましい態様では、ポリオルガノシロキサン(a)は、上記のような本質的にビニルが少ない線状ポリオルガノシロキサン(a1)を包含する。上記のようなビニル含有量が高いポリオルガノシロキサン(a2)は、機械的性質を改善するため、殊には例えば粘度の理由で充填剤の量が限定される場合に添加できる。
【0053】
ポリオルガノシロキサン(a)のさらに好ましい混合物は、異なるアルケニル含有量、好ましくはビニル含有量を有し、本質的に線状のアルケニル末端停止の少なくとも2種のポリオルガノシロキサン(a1)を含む。この手段の意図は、第一にケイ素組成物に最小の粘度を規定し、第二には以下に定義する成分(b)のSi−H−結合を用いる架橋構造が可能となり、それらは架橋されたケイ素ゴムにできるだけ高い機械的強度、例えば伸びおよび引裂抵抗をもたらす。比較的大量の短鎖アルファ・オメガ−ビニルシロキサン(好ましくは10Pa・秒以下の粘度)が使用される場合には、適合する架橋構造を構成するために、いわゆる連鎖延長剤として比較的大量のアルファ、オメガ−Si−H−シロキサンが必要となる。
【0054】
タイプ(a)のポリジオルガノシロキサンの混合物から構成されていないアルケニル基含有物は、重量および数平均の分布が、公知の重合反応の一つから、好ましくは塩基性または酸性触媒を用いる平衡化もしくは重縮合反応からもたらされることにより定義される。アルカリ性または酸性触媒を用いるこの形式の方法は、例えば米国特許(US)第5,536,803号明細書第4段に開示されている。その方法により、平衡化されたポリオルガノシロキサンのMw/Mn比は、通常、R=メチルそしてR=ビニルの場合に、モル重量500g/mol未満である部分を除いて、1〜10好ましくは1〜2である。
【0055】
塩基性または酸性触媒を用いる重縮合反応は、各種のシクロシロキサン、および線状ポリオルガノシロキサンも、また対称1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、およびトリアルキルシロキシ末端停止もしくはOH末端基を有するその他の比較的長鎖のシロキサンも使用できる。この目的のためのそれらの使用の例は、種々のアルキルクロロシラン、例えばビニルジメチルクロロシランおよび/またはジメチルジクロロシランの加水分解でありそして他の例はそれ自体から得られるトリアルキル末端シロキサンまたは他のシロキサンとの混合物のものである。
【0056】
ポリスチレンを標準とするGPCによる数平均Mとして測定されるポリオルガノシロキサン(a)の平均重合度Pは、好ましくはP>20〜3000の範囲内にあり、さらに好ましい範囲はP200〜1500である。ここに定義するポリマー(a)は、以下に成分(b)のために記載する適切なポリヒドロオルガノシロキサンと組み合わせて、十分に良好な加硫性、例えば破断伸び、引張強度および引裂抵抗ならびに機械的性質の安定性を有する成形製品ならびに型取組成物の製造を可能とする。
成分b)(Si−H−含有ポリシロキサン)
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、好ましくは一般式(II)の線状、環状または分枝状SiH−含有ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0057】
〔Ma4b4c4d4e2m3 (II)〔式中、
M=RR2SiO1/2
D=RRSiO2/2
T=RSiO3/2
Q=SiO4/2
(式中、
R=n−、i−、t−もしくはC〜C12−アルキル、C〜C12−アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜C30−シクロアルキルまたはC〜C30−アリール、C1〜C12−アルキル(C〜C10)アリール、ここでこれらの基Rはそれぞれ1個もしくはそれ以上のF原子による置換を有することができおよび/または1個もしくはそれ以上の−O−基を含むことができ、
=Rまたは水素であり、ただし、分子あたりに少なくとも2個の基Rが水素であり、そして双方は1個の分子内に同時に現れてもよく、しかしながら分子あたりに少なくと
も2個の基Rが水素であり、Rは上記に定義され、R=メチルが好ましい。
【0058】
=二価脂肪族n−、i−、t−、もしくは環状C〜C14−アルキレン基、またはC〜C14−アリーレンならびにアルキレンアリール基であり、それらはそれぞれ2個のシロキシ単位M、DもしくはTを架橋し、
m3=1〜1000
a4=1〜10
b4=0〜1000
c4=0〜50
d4=0〜1
e2=0〜300)〕。
【0059】
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、好ましくは線状、環状または分枝状ポリオルガノシロキサンであり、そのシロキシ単位は好ましくはM=RSiO1/2=RHSiO1/2、D=RSiO2/2、D=RHSiO2/2、T=RSiO3/2、T=HSiO3/2、Q=SiO4/2から選択され、その中でそれらの単位は好ましくはMeHSiO単位ならびにMeHSiO0.5単位ならびに適合する場合には他のオルガノシロキシ単位、好ましくはジメチルシロキシ単位から選択される。
【0060】
シロキシ単位は、ブロック状または無作為にポリマー鎖内に互いに連結して存在できる。ポリシロキサン鎖のそれぞれのシロキサン単位は同一または異なる基を有していることができる。
【0061】
式(III)の指数は、GPC(ポリスチレン標準)で測定された数平均Mnとして測定された平均重合度Pnを記述し、それらはポリヒドロメチルシロキサンに基づきそして上記の粘度範囲内で、異なる分子量を有する他の置換基を用いてシロキシ基に基づいて適当に調整される。
【0062】
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、殊には、上記の指数からもたらされる重合度を有する式(III)のすべての液状、流動性および固体状ポリマー構造を包含する。好ましくは、25℃で液状でありそしてその分子量が低く、すなわち約60000g/mol以下、好ましくは20000g/mol以下であるポリオルガノヒドロシロキサン(b)である。
【0063】
好ましいポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、式(IIIa−IIIe)で記述できる基から選択される構造である。
【0064】
HRSiO(RSiO)(RHSiO)SiRH (IIIa)
HMeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMeH (IIIb)
MeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMe (IIIc)
MeSiO(MeHSiO)SiMe (IIId)
{〔RSiO1/20−3〔RSiO3/2〕〔RO)n2m3
(IIIe)
{〔SiO4/2〕〔R1/2n2〔RSiO1/20.01−10
〔RSiO3/20−50〔RRSiO2/20−1000m3
(IIIf)ここで、z=0〜1000
p=0〜100
z+p=b4=1〜1000
n2=0.001〜4
ここでR1/2はケイ素上のアルコキシ基であり、そして
は上記に定義されている。
【0065】
分類(IIIe)および(IIIf)化合物の好ましい態様は、例えば式〔(MeHSiO)Si〕m3で記述できるモノマーないしポリマー化合物により提供される。SiH濃度は、好ましくは0.1〜17mmol/gの範囲内にあり、それはポリヒドロメチルシロキサンに基づきそして上記の粘度範囲内で、他の置換基を用いてシロキシ基に基づいて適当に調整される。
【0066】
R=メチルそしてz>0の場合の式(IIIb)の殊に好ましい選択では、ポリマー状架橋剤中のSiH濃度は、0.05〜12mmol SiH/gの好ましい値を有する。R=メチルの場合の式(IIIc)と同様に、SiH濃度は好ましくは7〜17mmol
SiH/gである。
【0067】
本発明の好ましい態様では、ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、分子あたりに2個のSi−H−基を有する少なくとも1種のポリオルガノヒドロシロキサン(b1)および分子あたりに2個を越えるSi−H−基を有するタイプ(b2)の少なくとも1種のポリオルガノヒドロシロキサンから成る。その態様では、成分(a)の低粘度ポリシロキサンと関連して高強度シリコンエラストマーをもたらすために、成分(b)が異なる架橋構造を生成する少なくとも2種の異なるオルガノヒドロポリシロキサンから成る。それらの異なるオルガノヒドロポリシロキサンには、本質的に2個の官能基を組み込むことができる。二官能性ポリオルガノヒドロシロキサン(b1)は、いわゆる連鎖延長剤として作用し、そして比較的高い官能性(>2)のポリオルガノヒドロシロキサン(b2)は架橋剤として作用する。本発明に使用されるシリコン組成物は、好ましくは少なくとも1種の2官能性連鎖延長剤(b1)および少なくとも1種の架橋剤(b2)を含んでなる。
【0068】
本発明のシリコンゴム組成物内の成分(b1)の好ましい構造の例は、連鎖延長剤(b1)、例えば
HMeSiO−(MeSiO)SiMeHおよび
MeSiO−(MeSiO)(MeHSiO)SiMe
〔(MeSiO)(MeHSiO)
を含む。
【0069】
架橋剤(b2)は、化合物、例えば
MeSiO−(MeHSiO)SiMe
HMeSiO(MeSiO)(MePhSiO)(MeHSiO)SiMe
(MeHSiO)
(HMeSiO)Si
MeSi(OSiMeH)
を含んでなり、ここでpおよびzは上記に定義されている。
【0070】
いわゆる連鎖延長剤と架橋剤とのかかるタイプの混合物は、例えば米国特許(US)第3,697,473号明細書中の記載の例のようにして使用できる。別の好ましい態様では、
成分(b1)および(b2)の量が、
(b1)および(b2)に対して
0〜70モル%(b1)、および
30〜100モル%(b2)
である。
【0071】
架橋速度の上昇が必要な場合には、例えばSiHのアルケニルに対する比率の上昇、または触媒(d)の量の増加、またはHMeSiO0.5単位を含むポリオルガノシロキサン(b2)の割合の増加により達成できる。
【0072】
ポリオルガノシロキサン(b)は、好ましくは室温でシロキサンに可溶性ならびに液状であり、すなわち好ましくは1000シロキシ単位より少なく含み、すなわち好ましくは25℃およびD=1秒−1において40Pa・秒未満の粘度を有する。
【0073】
主としてMeHSiO単位から成る成分(b2)としての架橋剤の鎖長は、好ましくは3〜200であり、殊に好ましくは15〜60のMeHSiO単位である。
【0074】
主としてMeSiO単位およびHMeSiO1/2単位から成る成分(b1)としての連鎖延長剤の鎖長は、好ましくは2〜100個、殊に好ましくは2〜60個のMe2SiO単位である。
【0075】
本発明におけるSiH含有量は、H−NMRを用いて測定され、それはA.L.Smith(編集):The Analytical Chemistry of Silicones,J.Wiley & Sons 1991,112巻、356ページ以降(Chemical Analysis,J.D.Winefordner編集)を参照されたい。
【0076】
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、自体公知の方法、例えば米国特許(US)第5,536,803号明細書中の実施例により公開されたような酸性平衡化または縮合を用いて製造できる。ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、触媒(c)の存在下でアルケニル基含有シロキサンを用いるオルガノヒドロシロキサンのヒドロシリル化から生成する反応生成物であってもよく、ここで、得られるSiH含有量は好ましくは上記に規定した範囲内にある。これは、アルキレン基またはRにより架橋されたオルガノヒドロシロキサン(b)を生成する。
【0077】
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)は、さらに、例えば米国特許(US)第4,082,726号明細書の例えばヒドロキシ−もしくはアルコキシシランならびにシロキサンを用いる第5および6段に記載のようにして、オルガノヒドロアルコキシシロキサン(b)の縮合から生成する反応生成物であってもよい。
【0078】
本発明に従って、成分(b)の成分(a)に対する比は、SiHのSi−アルケニル単位に対するモル比約0.5〜20:1、好ましくは1〜3:1となるように選択すると好ましい。
【0079】
ポリオルガノヒドロシロキサン(b)の好ましい量は、成分(a)の100重量部あたりに0.1〜200重量部である。
【0080】
SiH単位のSi−アルケニル単位に対する比を介して、多数の性質、例えば加硫物の性質、架橋速度、安定性および表面粘着性に影響を与えることができる。
【0081】
成分c)(充填剤)
本発明に従って使用されるシリコンゴム混合物は、さらに選択的に1種もしくはそれ以上で、適合する場合には表面変性の充填剤(c)を含んでなる。
【0082】
それらは、例えば微粒子充填剤、すなわち100μm未満の粒子を有するものすべてを
含み、すなわち好ましくはかかる粒子から成る。それは、鉱物質充填剤、例えばケイ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、酸化物、カーボンブラックまたはシリカであってもよい。好ましくは、充填剤は、さらに透明性が良い半透明エラストマーの製造を可能とし、すなわち、架橋後の加硫物の性質を改善し、強度を上昇し、例えば50〜400m/gのBET表面積を有し、好ましくは特殊な方法で表面疎水性化された熱分解性もしくは沈降性シリカいわゆる補強性シリカである。成分(c)は、使用される場合には、その量は成分(a)の100重量部に対して1〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは10〜50重量部の量である。
【0083】
BET表面積が50m/gを越える充填剤は、改善された加硫物の性質を有するシリコンエラストマーの製造を可能とする。加硫物強度および透明度は、例えば熱分解シリカの場合に容易に約90m/gを越え、従ってそれらは好ましく、そしてさらに好ましいシリカは200m/gを越えるBET表面積を有する、例えばイーロジル(Aerosil)200、300、HDK N20もしくはT30、キャボジル(Cab−O−Sil)MS7もしくはHS5である。BET表面積が増加すると、それらの物質を含むシリコン混合物の透明性が上昇する。いわゆる沈降シリカ、すなわちウエットシリカ(wet
siilica)の商標名の例は、例えばデグッサ(Degussa)からのヴァルカジル(Vulkasil)VN3もしくはFK160、またはニッポン・シリカ(Nippon Silica K.K.)からのニプジル(Nipsil)LPなどである。
【0084】
不透明性充填剤、いわゆる非補強性充填剤の例は、0.2〜50m/gのBET表面積を有する石英微粉、けいそう土、クリストバライト微粉、雲母、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、白亜またはカーボンブラックである。それらの充填剤は、多数の商標名、例えばシクロン(Sicron)、ミヌジル(Min−U−Sil)、結晶ディカライト(Dicalite Crystalite)で入手できる。50m/g未満のBET表面積を有する物質、いわゆる不活性充填剤もしくはエキステンダーは、以後の加工の際に、後続の加工での問題、例えばふるいもしくはノズルの通過ができず、またはそれらから製造された成形製品の機械的性質に不利に影響しないために、好ましくは100μm以上の粒子を含んでならい(<0.005重量%)と本発明によるシリコンゴムへの使用に適するであろう。
【0085】
不透明化性充填剤には、殊には不透明性、殊には無機顔料も挙げられる。
【0086】
それらの不透明化性充填剤の使用は、透明性が重要ではなく、そしてその他の性質、例えば、顔料添加または電気的性質をそれらの支援により向上しなければならない場合に好ましい。
【0087】
当該技術分野の専門家には既知のように、充填剤は顔料であってもよい。本発明では、すべての無機顔料が成分(c)の充填剤の概念に入り、一方その他のすべての顔料ならびに染料、殊には有機染料および安定剤は、助剤(e)の定義内に入ると考える。
【0088】
充填剤(c)の用語は、表面に結合されるあらゆる可能な疎水性化剤ならびに分散剤ならびにプロセス助剤を含む充填剤を意図し、そして充填剤はポリマーとの相互作用に影響、例えば粘度上昇作用に影響し、好ましくは影響が低下する。充填剤の表面処理とは、好ましくはシランまたシロキサンを用いる疎水性化である。それらは例えば現場(in situ)で、水を添加したシラザン、例えばヘキサメチルジシラザンおよび/または1,3−ジビニルテトラメチルジシラザンの添加により行われ、そして現場疎水性化が好ましい。それらは、架橋反応のための反応性部位を提供する目的で、他の慣用の充填剤処置剤を用いて行うこともでき、例えばビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、またはその他の不飽和有機官能基を有するシラン類、例えばメタクリルオキシプロ
ピルトリアルコキシシラン、さらに不飽和有機基を有する鎖長2〜50のポリオルガノシロキサンジオールを用いて行うことができる。
【0089】
商業的に入手可能であり、あらかじめ各種のシラン類を用いて疎水性化されているシリカの例は、イーロジルR972、R974、R976もしくはR812、または例えばHDK2000もしくはH30である。いわゆる疎水性化沈降シリカ材料、すなわちウエットシリカの例示的な商標は、デグッサからのシペルナート(Sipernat)D10もしくはD15である。
【0090】
それらのあらかじめ疎水性化されたシリカは、現場でシラザンを用いて疎水性化されるシリカより有利さが低い。充填剤タイプの量、その量、および疎水性化の方法の選定により、シリコンゴム混合物の加硫性およびレオロジー的性質、すなわち工業的加工性が影響される。
【0091】
好ましい態様では、本発明により使用されるシリコン組成物は、少なくとも50m/gを越え、好ましくは80m/gを越えるBET表面積を有する少なくとも1種の補強性充填剤(c)を含んでなる。
【0092】
その特に好ましい態様において、使用される充填剤(c)は、下記の工程
a.少なくとも1種の反応性シランi)と少なくとも1種の酸化物充填剤と、適合する場合には水の存在下で混合、
b.混合物中に存在する低沸点成分の除去、
c.水を加えずそして適合する場合には混合物を加温する、少なくとも1種の反応性シランii)の添加、
を包含する方法により得られる酸化物充填剤である。
【0093】
工程a)
工程a)は、少なくとも1種の反応性シランi)を少なくとも1種の酸化物充填剤と、適合する場合には水の存在下での混合を含む。工程a)は、好ましくはほぼ室温(25℃)〜約200℃の温度範囲、およびほぼ常圧(1013ミリバール)〜約30バールである。好ましくは、混合は室温および常圧で行われる。混合は、慣用の混合装置、例えば混練機、溶解機、タービン混合機、スクリュー混合機、攪拌槽内、好ましくは混練機または溶解機内で行われる。混合時間は、例えば約10分間〜約400分間である。工程a)は水の存在下で行われ、そして、反応性シランi)は、オルガノシラザン、ヘキサオルガノジシラザン、トリアルキルシリルアミン、トリアルキルシリルオキシム、トリアルキルシリルアミドまたはオルガノアルコキシシランから選択される。この場合に、水は上記の反応性シランのヒドロキシ官能性中間生成物の形成のための反応相手として役立つ。オルガノシラノールが反応性シランi)として使用される場合には、水の添加は省くことができるが、しかしそれは水の添加を排除はしない。
【0094】
さらに、水は工程a)内の液体連続相としても役立つことができ、その中で反応性シランi)、酸化物充填剤、上記の中間生成物および水と反応性シランi)との反応からの分割生成物が分散ならびに溶解される。液体連続相は、さらに他の溶剤、例えば無機または有機溶剤、低および高粘度ポリマーを介して形成されてもよい。すなわち、その補強のために充填剤を役立てようとするポリマーは、すでに充填剤の変性の終了する前に存在してもよく、または換言すると、補強されるポリマーもしくは硬化される組成物の存在下、例えば硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の以下に記載する成分a)の存在下で充填剤の変性を行うことができる。
【0095】
工程a)で使用される水量は、少なくとも上記の反応性シランi)の加水分解できる量
として判断しなければならない。工程a)で混合物に添加される水量は、好ましくは、反応性シランi)と水との反応の反応生成物が、水相内に残ったままであるかあるいは適度に希釈され得るような量を加える。好ましくは、水量はシランi)100重量部に対して少なくとも水約5重量部、そして使用される水の量は反応性シランi)100重量部に対して少なくとも10〜50重量部であることが好ましい。
【0096】
水を液体連続相として使用する場合には、いかなる場合でもその量に達していなければならない。その場合に、使用される水量は、好ましくは酸化物充填剤の100重量部に対して少なくとも約300重量部である。
【0097】
工程a)内に水とは異なる液体連続相を用いる場合には、その量は好ましくは酸化物充填剤の100重量部に対して少なくとも約150重量部である。
【0098】
反応性シランi)と酸化物充填剤との混合の工程a)は、好ましくは触媒の存在下で行うようにも選択できる。触媒は、好ましくは、オルガノアルコキシシロキサンまたはオルガノシラノールを反応性シランi)として用いる場合に存在する。触媒は、例えば:pKaが4〜9である弱塩基および弱酸を含む。例えば、アンモニア、アルキルアミン、カルボン酸、炭酸水素塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、カルボン酸の酸性塩、炭酸ハーフエステルなどを含む。好ましく使用される触媒の量は、反応性シランi)の量に対して0.5〜20重量%の量である。
【0099】
反応性シランi)および酸化物充填剤の工程a)で使用される量は、なかでも物質のタイプ、例えば充填剤の比表面積に依存する。工程a)において充填剤の十分な変性を達成するためには、好ましくは酸化物充填剤100重量部に対して少なくとも約3重量部の反応性シランi)が使用される。酸化物充填剤100重量部に対して反応性シランi)の約3重量部より少ない量は、表面変性が低くなり易いので一般に好ましさが低い。反応性シランi)の好ましく使用される量は、酸化物充填剤100重量部に対して多くても約30重量部の反応性シランi)である。使用される反応性シランi)の好ましい量の範囲は、酸化物充填剤100重量部に対して反応性シランi)約8〜15重量部である。
【0100】
工程a)に使用される反応性シランi)は、適合する場合には水との反応を介して、酸化物充填剤の表面との反応が可能な適切な反応性中間生成物を形成できるシランである。好ましくは、かかる反応性シランi)は、オルガノシラザン、ヘキサオルガノジシラザン、オルガノシラノール、トリアルキルシリルアミン、トリアルキルシリルオキシム、トリアルキルシリルアミドまたはオルガノアルコキシシランから成る群から選択される。反応性シランi)は、ヘキサオルガノジシラザンおよびオルガノシラノールからさらに好ましく選択される。特に好ましくは、ヘキサメチルジシラザン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、トリメチルシラノールおよびビニルジメチルシラノールである。
【0101】
工程a)に使用される酸化物充填剤は、どのような金属酸化物であってもよい。それは、好ましくは、各種の方法、例えば火炎加水分解法、沈降法などにより製造されるシリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンから選択される。
【0102】
それらの酸化物充填剤のBET法比表面積は、好ましくは少なくとも約50m/g、さらに好ましくは少なくとも約90m/gである。その例には、熱分解シリカ、例えばイーロジル(デグッサ)、HDK(ワッカー(Wacker))、キャボジル(キャボット(Cabot))が含まれる。本発明により処理される好ましい充填剤はシリカであり、さらに好ましくは、少なくとも約200m/gのBET比表面積を有する。
【0103】
本発明によると、異なる比表面積を有する数種、好ましくは2種の充填剤の混合物を使
用することも可能である。異なる比表面積を有し、異なる、特には2種の充填剤の好ましい選択の例は、本発明の作用、すなわち未硬化のポリマー組成物の高い流動性の維持および、同時に、硬化したポリマー組成物内で機械的(加硫物)性質の悪化、すなわち過剰な補強作用の回避が達成される。
【0104】
工程b)
工程b)は、混合物内に含まれる低沸点成分が蒸発するように圧力および温度条件に設定することによる、工程a)で得られた混合物からの低沸点成分の除去を包含する。このような低沸点成分は、殊には沸点が常圧(1013ミリバール)において180℃未満である工程a)で形成された成分、例えば、水、アンモニア、アルコール、アミン、ヒドロキシルアミン、アミドおよびシラノールである。適合する圧力および温度条件の例は、30〜250℃の温度および0.01〜1013ミリバールの圧力である。250℃を越える温度は、特に液体ポリマーを含む場合に液体連続相の分解をもたらすことがあるので工程b)内での好ましさが低い。低沸点成分の蒸発は、好ましくは、温度120〜180℃および常圧(1013ミリバール)で行われる。工程b)は、好ましくは工程a)に記載した混合装置内で攪拌または混練して行われる。工程b)は、好ましくは、混合物中の低沸点成分の含有率が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満に低下するまで続けられる。工程a)で得られた混合物内の低沸点成分の含有率は、好ましくは、温度150℃および20ミリバールで45分間混合を継続して測定される。
【0105】
工程c)
本発明による方法の工程c)は、水を加えることなく、そして適合する場合には、得られた混合物を加温する、少なくとも1種の反応性シランii)の添加を含む。工程b)における低沸点成分の分離後の反応性シランii)の添加は、好ましくは、反応性シランii)と前処理された酸化物充填剤の間の接触時間が双方の成分の十分な反応を可能とさせるような圧力および温度条件に設定した後に行われる。
【0106】
反応性シラン(ii)の添加は、例えば常圧下で例えば室温〜150℃、好ましくは大気条件の温度で行うことができる。好ましくは、添加は室温で行われる。
【0107】
反応性シランの添加が終了した後、シランが一定時間混合物内に残留しならびに前処理した酸化物充填剤との接触を保つ限り、温度は適合する場合には高くできる。
【0108】
添加終了後の接触期間は、好ましくは、少なくとも約30分間でなければならない。接触期間は、接触温度、シランii)の反応性、ならびに混合物内のそれらの濃度に依存する。接触期間は、特に接触を室温で行う場合には30日間以下であることができる。原理的には、シランii)を用いて処理された充填剤は追加の分離操作を行わないでも使用が可能である。しかし、工程c)の後に、混合物内に残留する低沸点成分、例えば過剰のシランii)ならびにその反応生成物を、混合物から工程b)に原理的に相当する別の工程で分離することが推奨される。この追加の除去工程の条件は、工程b)の条件と本質的に一致させてもよい。工程b)およびc)は、適合する場合には一回または多数回反復してもよい。
【0109】
工程c)の反応性シランii)は、工程a)で使用された反応性シランと同一でも異なってもよい。工程c)において用いられるシランは工程a)に用いるものと同一であると好ましい。工程c)の反応性シランii)は、好ましくは、オルガノシラザン、ヘキサオルガノジシラザン、トリアルキルシリルアミン、トリアルキルシリルオキシムまたはトリアルキルシリルアミドから成る群から選択される。反応性シランii)は、さらに好ましくは、ヘキサオルガノジシラザンから選択される。
【0110】
反応性シランii)の工程c)に使用される量は、一般に反応性シランi)の工程a)に使用される量より少ない。工程c)に使用される反応性シランii)の量は、例えば工程a)に使用される反応性シランi)の量に依存する。基本的な規則は、工程a)に使用される反応性シランi)の量が少ないほど、工程c)に使用される反応性シランii)の量は増えることである。工程c)において充填剤の十分な変性に到達するために、酸化物充填剤100重量部に対して反応性シランii)約15重量部未満、好ましくは反応性シランii)約3重量部未満の使用が好ましい。酸化物充填剤100重量部に対して反応性シランii)約0.1重量部未満の量は、その量では酸化物充填剤の表面との相互作用に十分な信頼性をもって入ることができないので一般的に好ましさが低い。
【0111】
工程c)は、水を加えないで行われる。その理由は、工程a)で行ったような水の添加による硬化は、工程c)では、意外にも、ポリマーを用いる組成物内の擬似塑性低下が不十分となることが確認されたからである。
【0112】
本発明による方法で得られた表面変性酸化物充填剤(c)の上記組成物への添加量は、好ましくは、ポリマーa)+b)または架橋性組成物の100重量部あたりに約0.001〜約50重量部の量である。さらに好ましい範囲は、ポリマーa)+b)の100重量部あたりに約15〜約45重量部の変性酸化物充填剤である。
【0113】
本発明による方法では、同じ最初の表面で従来技術による従来の方法で疎水性化した充填剤よりも粘度が低くなる酸化物充填剤が製造される。
【0114】
この特定の充填剤を使用すると、硬化した厚肉シリコンラストマーの機械的性質を損なうことなく、特に流動性のシリコンゴム組成物が得られる。それは、シリコンエラストマーの表面の親水性化のための界面活性剤としてのポリエーテルの存在が未硬化のシリコンゴム組成物を粘度上昇させて望ましくない場合に殊に該当する。上記の方法で得られた変性酸化物充填剤が、本発明により使用されたシリコンゴム組成物中に添加された場合に、ポリエーテルの存在下であっても、それによるポリマー組成物の加工性を限定するような粘度上昇は僅かである。それは、光活性化の後に、本発明による使用されるシリコンゴム組成物が、加圧しないで型内に導入したい場合、または基体上に塗布して自己の重力で流動させなければならない場合に特に好ましい。
【0115】
成分(d)(触媒)
ヒドロシリル化触媒である成分(d)は、好ましくは、Pt、Pd、Rh、Ni、IrまたはRuから成る群から選択される少なくとも1種の金属を含む。ヒドロシリル化触媒は、金属の形、錯化合物の形および/または塩として使用できる。触媒は、担体を使用または使用しないで、コロイドまたは粉末の状態で使用できる。
【0116】
貴金属触媒は、好ましくは、十分なポットライフ、すなわち上記の成分が一緒にされた際に、それらのゲル形成の前に使用可能時間を与えるような光活性化可能な白金触媒である。それは第一には迅速な架橋を可能とし、第二にはそれは成形製品の完全な加硫を行うための準備工程、例えば成形、混合、型注入が行われるまで架橋が起きないことである。光活性化可能な触媒の例は、η−ジオレフィン−σ−アリール白金錯体、例えば米国特許(US)第4,530,879号、欧州特許(EP)第122,008号、欧州特許(EP)第146,307号または米国特許(US)第2003−0199603号の各明細書中に公開されたもの、ならびに、反応性が、例えばアゾジカルボン酸エステル、例えば米国特許(US)第4,640,939号明細書中に開示されたものを用いて調節できる白金化合物も包含する。
【0117】
使用できる光活性化可能な白金化合物は、さらに光活性化可能な配位子、例えばジケトン、例えばベンゾイルアセトンもしくはアセチレンジカルボン酸エステルおよび光分解性有機樹脂中に埋め込まれたと白金触媒の群から選択される。他のPt触媒は、例えば米国特許(US)第3,715,334号明細書または米国特許(US)第3,419,593号明細書およびOrganometallics,1995,14,2202−2213中でLewis、Colborn、Grade、Bryant、SumpterおよびScottにより述べられている。
【0118】
光活性化可能な触媒は、Pt−オレフィン錯体を使用しそして適合する光活性化可能な配位子をそれに加えることにより使用されるシリコンゴム組成物中で現場でも形成できる。
【0119】
Pt−オレフィン錯体は、例えば1,3−ジ−ビニルテトラメチルジシロキサン(MVI)の存在下でヘキサクロロ白金酸またはたの白金塩化物の還元により製造される。
【0120】
ここに使用できる光活性化可能な白金化合物は、上記の例に限定はされない。
【0121】
成分d)の量は、好ましくは、成分(a)〜(c)の重量に対して金属として計算して0.1〜5000ppm、好ましくは0.5〜1000ppm、さらに好ましくは1〜500ppm、特には2〜100ppmである。
【0122】
ヒドロシリル化速度は、選択した触媒化合物、その量ならびに追加の抑制剤成分(e)の種類および量により決定される。
【0123】
触媒の量は、発生する費用による上限、ならびに接触作用の信頼性による下限がある。その結果、金属100ppmを越える量は多くの場合に非経済的であり、1ppm未満の量では信頼性がない。
【0124】
殊に好ましくは、金属の濃度1〜10ppm、さらに好ましくは1〜5ppmである成分(d)の濃度である。触媒に使用できる担体は、ヒドロシリル化を不利に抑制しないか、または光活性化のための透明性を低下させないようなすべての固体物質である。担体は、粉末状シリカもしくは粉末状シリカゲルまたは有機樹脂もしくはポリマーの群から選択され、そしてそれらの使用は希望する透明性の基準に従って決定され、好ましくは非−不透明化性担体である。
【0125】
助剤(e)
抑制剤
ヒドロシリル化反応の速度は、添加する一連の化合物、いわゆる助剤(e)により影響できることは公知である。その方法は、光活性化の後の架橋速度にさらに影響させることができ、これによりシリコン組成物またはゴム混合物を光活性化の後にエラストマー成形製品に硬化もしくは加硫のために必要な温度および時間が決定される。
【0126】
好ましくは、30ppm白金以上の白金濃度における本発明による光活性化可能なヒドロシリル化のための抑制剤は、ビニルシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンまたはテトラビニルテトラメチルテトラシクロシロキサンのような抑制剤である。また他の公知の抑制剤、例えばエチニルシクロヘキサノール、3−メチルブチノールまたはマレイン酸ジメチルも使用できる。
【0127】
抑制剤は、光活性化の後の架橋反応を望ましいように遅延させるために役立つ。
【0128】
原理的に、白金金属の群の分類で公知の抑制剤の全てが、触媒(d)の配位子の選択を介して十分に長い加工時間があらかじめ得られていない場合に使用できる。好ましい態様では、触媒は抑制剤を用いないで使用される。
【0129】
多数の公知の抑制剤の例は、不飽和有機化合物、例えばエチレン性不飽和アミド(米国特許(US)第4,337,332号明細書)、アセチレン系化合物(米国特許(US)第3,445,420号明細書、米国特許(US)第4,347,346号明細書)、イソシアナート(米国特許(US)第3,882,083号明細書)、不飽和シロキサン(米国特許(US)第3,989,667号明細書)、不飽和ジエステル(米国特許(US)第4,256,870号明細書、米国特許(US)第4,476,166号明細書および米国特許(US)第4,562,096号明細書)、ヒドロペルオキシド(米国特許(US)第4,061,609号明細書)、ケトン(米国特許(US)第3,418,731号明細書)、スルホキシド、アミン、ホスフィン、亜リン酸エステル、ニトリル(米国特許(US)第3,344,111号明細書)、ジアジリジン(米国特許(US)第4,043,977号明細書)である。
【0130】
抑制剤の最善の公知の種類は、アルコール、例えば米国特許(US)第3,445,420号明細書中に記載のものである。その例は、エチニルシクロヘキサノールおよび3−メチルブチノールおよび米国特許(US)第4,256,870号明細書の不飽和カルボン酸エステルならびにジアリルマレイン酸エステエルおよびジメチルマレイン酸エステル、および米国特許(US)第4,562,096号明細書および米国特許(US)第4,774,111号明細書のフマル酸エステル、例えばフマル酸ジエチル、フマル酸ジアリルまたはマレイン酸ビス−(メトキシイソプロピル)である。
【0131】
不飽和カルボン酸エステルからの好ましい抑制剤は一般式
(OW)CCH=CHCO(WO)
〔式中、
はC1〜C10アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルなど、およびアリール基、例えばフェニルまたはベンジル、およびアルケニル基、例えばビニルまたはアリルの群から選択され、
Wは二価C2〜C4−アルキレン基から独立して選択され、そして指数の値vは0または1である〕
のマレイン酸エステエルおよびフマル酸エステルである。
【0132】
抑制剤成分の量は、選択された加工条件、すなわち、時間および温度、特に触媒(d)およびその他の成分の適切な考慮の下で望ましい架橋時間が適切に設定できるように選択される。抑制剤成分の量は、好ましくは、成分(a)〜(c)の量に対して1種もしくはそれ以上の抑制剤0.0001〜2重量%である。
【0133】
抑制剤成分が使用される場合に、好ましくは約0.001〜0.5重量%、殊に好ましくは0.05〜0.2重量%のアルキノールが加えられ、成分(d)の金属含有量は10〜100ppmである。
【0134】
好ましくは、抑制剤はアルキノールおよびビニルシロキサンから成る群から選択される。
【0135】
純粋な熱硬化系と比較した本発明による使用の利点は、短縮された使用可能時間を受容することなく、抑制剤の使用を避けることができることにある。
【0136】
本発明により使用される付加架橋性シリコンゴム混合物は、さらに選択的に別の助剤(
e)、例えば可塑剤または離型油剤もしくは疎水性化油剤、例えば反応性アルケニル基もしくはSiH基を含まないで、好ましくは25℃で0.001〜10Pa・秒の粘度を有するポリジメチルシロキサン油を含んでなる。追加の離型剤、例えば脂肪酸誘導体または脂肪アルコール誘導体も使用できる。この場合に、好ましい化合物は迅速に凝集分離して表面に移行する化合物である。高温空気暴露後の安定性は、例えば公知の高温空気安定剤、例えばFe化合物、Ti化合物、Ce化合物、およびそれらの有機塩、好ましくはそれらの有機錯体を用いて上昇できる。さらに、本発明により得られる成形体は、有機着色料、例えば不透明化性または非不透明化性着色料を含んでなることができる。
【0137】
助剤(e)の全量は、好ましくは、成分(a)および(b)の100重量部に対して0〜15重量部である。
【0138】
厚肉成形製品または厚肉被覆の製造のために好ましく使用できる光活性化後に硬化可能な組成物は、かかる組成物が
3〜99重量%の少なくとも一種のアルケニル基含有ポリシロキサンa)、
0.2〜60重量%の少なくとも1種のSiH官能性ポリシロキサンb)、
0.1〜60重量%の少なくとも1種の充填剤c)、
金属含有量1〜500ppmに相当する少なくとも1種の光活性化可能な触媒d)、
0〜30重量%の1種もしくはそれ以上の助剤e)、
をいずれも成分a)〜c)の合計量に対して含んでなることを特徴とする。
【0139】
好ましい一つの態様では、本発明により使用されるシリコン組成物は、
a)粘度範囲が0.025〜500Pa・秒(25℃、1秒−1のせん断速度D)である少なくとも1種のアルキル基含有ポリオルガノシロキサン100重量部、
b)少なくとも1種のポリオルガノヒドロシロキサン0.1〜200重量部であって、ここでアルキル基モルあたりに0.5〜20モル、好ましくは1〜5モルのSiH基を使用し、
c)適合する場合には1種もしくはそれ以上の充填剤1〜100重量部、
d)成分a)〜c)の量に対して金属として計算して少なくとも1種のヒドロシリル化触媒0.5〜1000ppm、
e)適合する場合には成分a)〜c)の量に対して1種もしくはそれ以上の抑制剤0.0001〜2重量%、および適合する場合には別の助剤
を含んでなることを特徴とする。
【0140】
本発明により使用されるシリコンゴム組成物は、成分(a)〜(e)の混合により得られ、好ましくは、物質は好ましい順序で混合され、そして好ましくは活性化の直前に少なくとも二つの部分混合物を混合する。
【0141】
シリコンゴム混合物の個別成分は、好ましくは、適合する攪拌槽、またはスタティックミキサー、殊にはダイナミック・スタティックミキサー中で混合され、同様に二流体混合ノズル、例えば反応性塗料の噴霧に慣用のものも使用できる。
【0142】
可能なスタティックミキサーと簡単な噴霧ノズルのいずれかの組み合わせでも可能である。好ましいスタティックミキサーとしては、回転する混合要素を用いて混合過程を促進するダイナミック・スタティックミキサーが挙げられる。
【0143】
2個の部分混合物の製造のための好ましい方法は、ポリオルガノシロキサン(a)、補強性充填剤(c)および適合する場合には(c)に属する疎水化剤、好ましくはヘキサメチルジシラザンおよび適合する場合にはジビニルテトラメチルジシラザンを水と一緒に混合するか、またはそれらから予め製造されたシラノールを混合し、それらは好ましくは1
0〜100℃の温度、少なくとも20分間〜120分間で、高粘度材料に適する混合装置、例えば混練機、溶解装置、遊星混合機またはその他のスクリュー混合機中で行われる。引き続いて、過剰の疎水化剤および水を120〜160℃で常圧、次いで適合する場合には100〜20ミリバールの圧力の減圧で蒸発させる。
【0144】
これらのいわゆる基礎混合物中に、a)およびc)を含んでなる部分混合物の所望の組成物それぞれについて、別の成分、例えば光活性化性の成分(d)、および(e)および適合する場合にはいわゆる非補強性充填剤(c)を、好ましくは10〜120分間、10〜160℃で混合する。それは例えば部分混合物(1)をもたらす。光活性化可能な触媒の量は、好ましくは、他の部分混合物と比較して量的に小さいように維持されるが、それは前者が遮光して保管されなければならないからである。
【0145】
別の部分混合物(2)は、硬化剤(b)を基礎混合物と混合して得られる。適合する場合にはさらに成分(e)および適合する場合にはいわゆる非補強性充填剤(c)を好ましくは10〜60分間、10〜160℃で混合することも可能である。別の好ましい態様では、非補強性充填剤を部分混合物の光活性化の後に導入する。好ましくは指定された光入射ならびに指定された排除を伴って、反応性の光活性化ならびに光活性化可能なシリコン組成物が、部分混合物(1)と(2)とを組合わせて得られる。
【0146】
本方法の好ましい態様では、光活性化性で、付加架橋するシリコンゴム混合物は、成分(a)〜(e)の一種を越えるがしかし全部ではない成分を含んでなる少なくとも二種の部分混合物(1)および(2)の製造を介して製造される。
【0147】
部分混合物への好ましい分配は、良好な取り扱いよび貯蔵性に役立つ。その場合に、成分(a)〜(e)を含んでなる反応性および触媒活性成分の分配により、それらの成分と他のものとの反応は、光活性化および成形ならびに別の添加剤、例えば顔料のすべての成分の混合の直前に延期できる。
【0148】
非反応性部分混合物の製造のために、例えば、成分(a)、(c)および(d)および適合する場合には(e)から成る部分混合物(1)を製造し、ならびに少なくとも成分(b)および適合する場合には(e)から成る部分混合物(2)を製造するために混合が用いられる。好ましい取り扱いのために、成分(a)、(b)、(c)および適合する場合には(e)から成る部分混合物(2)を混合する。
【0149】
原理的には、成分(a)、(b)および(d)が同時に一つの部分混合物内に存在せずそして活性化に導かない限り、すべての可能な部分混合物が長期の貯蔵のために使用できる。この理由により、好ましくは、成分(a)が同時に存在する場合には成分(b)と(d)とを分離するか、または同じ部分混合物内に同時に(d)が存在する場合には(b)と(a)とを分離すると有利である。
【0150】
相互に反応する成分(a)、(b)が同時に一緒に存在しない限り、成分(d)はいずれの成分中でも多かれ少なかれ好ましく保存でき、そして成分(d)は遮光して貯蔵できる。抑制剤(e)は、いずれの部分混合物内に存在できるが、(b)を含む部分混合物内での組み合わせが好ましい。
【0151】
本発明により使用されるシリコン組成物が十分な流動性を有するために、成形前に、上記の部分混合物と触媒成分(d)との混合直後の粘度は、せん断速度D=10秒−1において3000Pa・秒未満(25℃)、好ましくは1000Pa・秒未満である。弾性率と損失率との比、すなわちG’のG”に対する比は、1未満である。
【0152】
本発明による方法の好ましい態様では、0.01〜100秒の光活性化の後、シリコン組成物は6分間以内で硬化可能、すなわちその時間以降では接着しない表面が得られる。接着しないとは、表面上が硬化した反応性注型樹脂を分離できることを意味する。
【0153】
本発明による方法のさらに別の好ましい態様では、シリコン組成物のゲル化時間は、ASTM D4473により評価するUV加硫計で測定して、30℃において30〜900秒である。
【0154】
光活性化のために、厚肉成形製品および被覆の製造に使用される光活性化性で硬化性の組成物は、波長が200〜500nmの範囲である光で照射される。
【0155】
そのために、光活性化性で硬化性の組成物は、好ましくは、石英またはUV透過性樹脂から成るUV透過性材料の少なくとも1つの領域を表面が有する型に充填される。それは、完全にUV透過性材料から成るかまたは照射源に対して0.1cmを越える大きさの光開口の窓を有している型もしくは照射装置である。
【0156】
一つの態様では、光活性化を成形とは別の場所で行うような様式で組成物が使用される。その使用の場合に、照射時間は、硬化性シロキサン組成物のゲル化時間よりも短いことを特徴とする。好ましくは、与えられた照射強度に対する照射時間は、ゲル化時間の1/10より短い。その結果、まだ流動性の得られた組成物は、適合する場合には充填剤および/または顔料添加の後、後続の型もしくは後続の成形プロセスに導入できるか、または基体上に塗布でき、そしてその場所でさらなる照射を行わないで適合する場合には高温で硬化できる。
【0157】
別の態様では、本発明による組成物は、型内への導入の前、成形プロセスの前、もしくは基体上への塗布の前に、特にそれらの添加が透明性を低下させる場合には、すでに光照射した光硬化性の組成物に少なくとも1種の顔料および/または充填剤を混合する方法で使用できる。
【0158】
本発明による組成物は、高電圧絶縁体、現場成形ガスケット、補綴用成形製品または型取またはコンフォーマル被覆の製造のために使用できる。
【0159】
以上に記載した組成物、殊には本発明による方法により得られた表面変性酸化物充填剤を含んでなる組成物は、例えば成形製品、型取組成物または被覆の製造のために使用される。その際、それらの充填剤は、(ゴム)機械的(加硫物)性質の強化に役立つ。上記の成形製品の好ましい例は、例えば、型取組成物、例えば歯科印象材料、ガスケット、例えばいわゆる現場成形ガスケット、いわゆるコンフォーマル被覆(埋封組成物)、ケーブル(プラグ)ガスケット、ケーブル付属品、任意の成形製品、例えば(エンボス)スタンプ、スタンプ印刷のための(エンボス)当て金、印刷インク(軟質基体の識別標識または書込のための低粘度組成物)である。型取組成物または成形製品は、型取組成物の形としてまたは使用される成形製品の形として本発明による硬化性組成物を使用する補綴製品の製造も含み、例えば交換用四肢材料、体型に適合させた補綴、美容もしくは医療用補助物品、例えば受話器の受話口または労働環境の防音、美的に形成された移植体の作製のための身体擬似物、足床、中敷き、座席もしくはベッド補助物品、例えばマットレスもしくは枕、もしくは医療処置の間の四肢固定具である。
【0160】
上記の本発明により製造された成形製品、型取組成物または被覆は、好ましくは、光への暴露後に組成物の硬化により得られる。好ましくは、組成物を型内に注入するかまたは光活性化性で硬化性の注型組成物として提供される。
【0161】
本発明による方法で得られた厚肉成形製品または被覆の光透過度は、400nmの光測定器を用いる光透過度として厚さ10mmで測定して10%未満、好ましくは5%である。
【0162】
本発明は、光活性化性で硬化性の組成物を200〜500nmの範囲内の波長の光を用いて照射し、その際照射期間はゲル化時間より短く、次いで得られた組成物を型内で成形プロセスに導入するかまたは基体上に塗布し、次いでさらに照射することなく適合する場合には高温で硬化させることを特徴とする、厚肉成形製品または厚肉被覆を製造するための方法も提供する。ゲル化時間の決定は、加工パラメーターの正確な予測、好ましい加工プロセスの選択、および希望する加工条件の設定を可能とする。
【0163】
架橋時間の正確な決定のために、光活性化により開始する架橋反応を追跡できるように、DIN53529による加硫計または本発明で特に好ましいところのテルモ・ハーケ社(Fa.Thermo Haake,Karlsruhe)のUV−加硫計中で架橋を行う。いわゆるt−値、例えばt10ならびにt90の値の測定が、所定の温度において、完全な架橋後の最終トルク値に対して、トルクが10%ならびに90%に上昇した時間を決定するために使用できる。
【0164】
好ましくは相対的に低粘度のシロキサン組成物の加工性に対する基準として、UV−加硫計、殊にはASTM D4473の基準に従うゲル化点の測定が好ましいことが証明された。同様の評価は、Thomas G.Metzger,The RheologyHandbook,Vincentz Verlag,2002、143ページまたはDIN ISO 16945、DIN ISO 9396に従ってゲルタイマーを用いて行われる。その際、ゲル化点は、弾性率G’=G”(ここでG”は損失率を意味する)である状態のレオロジー的指標である。従って、ゲル化時間は、25℃で照射の開始からそしてそのままでG’=G”であるゲル化点に至る時間である。
【0165】
これにより架橋時間をチェックするために利用でき、加工性の結論に達し、そして反応速度の制御のための措置が講じられる。
【0166】
本発明による組成物の使用のためのそれらの方法内に含まれる別の態様では、型内に導入する前、成形プロセスの前、または基体上に塗布する前に、照射を受けた光活性化性で硬化性の組成物を少なくとも1種の顔料および/または充填剤と混合することから成る。これは、例えば、光活性化性の組成物を光暴露設備、例えば透明な通路を通して硬化型に送り、そこでそれは活性化され、引き続いて硬化が起きる成形プロセスに送ることを意味する。
【0167】
厚肉成形製品または厚肉被覆の別の製造方法は、光活性化性で硬化性の組成物を、石英またはUV透過性合成樹脂から成るUV透過性材料の少なくとも1つの領域を表面が有する型内に注加し、そして200〜500nmの範囲内の波長の光を用いて照射することを特徴とする。光活性化に適するこの窓は、好ましくは単一の窓の時には上記の大きさを有する。数個の窓が存在する場合にはより小さい面積の使用も可能である。
【0168】
光活性化性で硬化性の組成物の光活性化または使用のための方法は、適合する場合には増感剤を使用して、波長が180〜700nm、好ましくは200〜500nmであるUV照射を用いる活性化で行う。慣用の増感剤、例えばベンゾフェンなどの添加は、長い波長の光を用いる活性化またはより良好な光収率を可能とする。
【0169】
本発明による方法においてならびに厚肉成形製品または部品の製造のための組成物の本発明による使用の際に、UV照射光源は、フラッシュ光源として操作できるキセノンラン
プ、非ドーピングまたは鉄もしくはガリウムでドーピングされた水銀ランプ、ブラックライトランプおよびエキシマランプのようなUV照射源の群から、光活性化のために選択される。光照射強度(体積要素あたりの照射線量x照射時間)は、選択した方法、選択した組成物、組成物の温度の関数として、十分な加工時間が得られるように選択される。
【0170】
希望した上記の厚肉成形製品または被覆は、上記の方法に従って得られる。本発明による方法により得られた厚肉成形製品は、殊には、直径が少なくとも1mm、好ましくは少なくとも3mmそしてさらに好ましくは少なくとも5mm、そして好ましくは少なくとも10mmである球体を収容または包囲できる容積である。
【0171】
従って、厚肉成形製品、例えば高電圧絶縁体または現場成形ガスケットが、成形された部品ならびにガスケットの直接暴露を行わないでも製造できる。0℃〜好ましくは80℃、好ましくは10〜40℃の硬化の場合の低い温度は、特に低い収縮をもたらす。これは特にアンダーカットもしくは凹みを有する大容積または大表面積の成形製品の離型を著しく容易とする。
【0172】
製造された大容積成形製品は、優れた電気的安定性、例えば高電圧トラッキング(IEC587)またはアーク放電への耐性を有する。
【0173】
本組成物および本方法は、厚肉被覆、例えばコンフォーマル被覆の製造を可能とするように使用もできる。このような被覆は、例えば塵もしくは機械的衝撃に対する保護となるか、または機械的負荷リレー、自動車、航空機、ポンプ、可動式装置または計算機のハードディスクドライバー中の電子回路のための耐振動層として使用される。
【0174】
実施例
光硬化の実施および架橋速度の測定
硬化のための光源として種々のランプのタイプを使用した。
−(XA)フラッシュランプ(キセノン)(ブレッシング社(Fa.Blaessing,Essen)、12.5Hzで34.9J/個別フラッシュの出力能力を有する、
−(XB1)水銀高圧UVランプ、(鉄、ガリウムドーピング)能力400〜8000W、ヘンレ社(Fa.Hoenle,Muenchen)、
−(XB2)ヘラエウス・ノーブルライト社(Fa.Heraeus Noblelight、Hanau)の中圧光源、ドーピング(鉄、ガリウム)なしおよびあり、能力150〜8000W、
−(XC)フィリップス(Philips)クレオ・スイフト(Cleo Swift)HPA400W中圧UVランプ。
【0175】
光活性化後のシリコン組成物架橋のために、実施例4〜8の方法を使用した。
【0176】
本発明による加工方法の外で架橋速度の測定のために、石英ガラス板(下方)/20mmチタン板(上方)を有する測定単位から成るテルモ・ハーケ社(Fa.ThermoHaake,Karlsruhe)の加硫計RheoStress600を用いて反応性混合物も評価した。
【0177】
フィリップス・クレオ・スイフトHPA400Wランプを装着したドクター・ゲーベルUV−電子社(Dr.Goebel UV−Elektronik GmbH,Ettlingen)のUV点光源UV−LQ400/Cが、能力の80%に限定して、33mmの試料までの距離を置いて使用された。測定結果の評価のためにHaake RheoWin Proソフトウエアを用いた。
【0178】
このために、個別の照射の後に実施例2もしくは3の部分混合物1〜3から、遮光して攪拌棒を用いてあらかじめ手動操作で製造された混合物0.75gを加え、それはあらかじめ20ミリバールの減圧下で脱ガスされていた。引き続いて、その混合物をそれぞれ記載の時間、UV点光源に暴露した。これにより、なかでもそれぞれの方法で適用された照射時間を架橋速度に関してほぼ類似させた。
【0179】
モジュラスG’およびG”は、10分間、25℃で、時間−変形−モードにおける振動(スイープ2Hz、CD、コントロールド・ストレス0.01±0.001(無次元に装置を設定))でレオメーターを用いて測定した。
【実施例1】
【0180】
コンフォーマル被覆組成物
部分混合物1
粘度200mPa・秒(25℃)であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)5重量部を攪拌槽内、遮光下で攪拌する。この混合物内に、遮光下で、25℃で1Pa・秒の粘度、ビニル含有量0.13mmol/gである線状ビニル末端停止ポリジメチルシロキサン1000重量部ならびに白金含有量が61.1%であるトリメチル(メチル)シクロペンタジエニル−白金(ストレム社(Fa.Strem))1重量部から成る触媒0.26重量部を加える。混合物は照射まで遮光下で保管する。
【0181】
部分混合物2
粘度200mPa・秒およびビニル含有量0.3mmol/gであるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)45重量部を7.4mmml/g SiHおよび粘度40mPa・秒である式M2020のトリメチルシロキシ−末端停止ポリヒドロメチルジメチルシロキサン4重量部を攪拌槽内、約25℃で混合する。
【実施例2】
【0182】
硬質混合物
UVによる活性化後に光非透過性である高硬度シリコン組成物の製造
25℃で粘度0.2Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリメチルシロキサン(a1)51.05重量部、25℃で1Pa・秒の粘度であるジメチルビニルシロキシ末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)12.5重量部を、EXP6303シリカ(デグッサ(Degussa)、BET85m/g)(c)24重量部と、混練機内で約1時間、30〜40℃で混合する。
【0183】
部分混合物2
25℃で粘度0.2Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)32.25重量部、および25℃で粘度1Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)12.5重量部を、EXP6303シリカ充填剤(c)24重量と、混練機内で約1時間、30〜40℃で混合する。
【0184】
冷却した後、この部分混合物68.7gを用い、トリメチルシロキシ−末端停止ポリジメチルヒドロメチルシロキサンから成りそしてSiH含有量7.4mmol/g、25℃で40mPa・秒、一般式M2020である架橋剤18.8重量部をそれに加える。
【0185】
部分混合物3
25℃で粘度1Pa・秒でありそしてビニル含有量0.13mmol/gである線状ビニル末端停止ポリジメチルシロキサン1000重量部ならびに白金含有量61.1%のトリメチル(メチル)シクロペンタジエニル−白金(ストレム社)1重量部から混合した触
媒2.9重量部を含んでなる遮光した部分混合物3を部分混合物1および2中に、以後に記載のようにして加える。部分混合物3ならびに触媒(d)を含んでなる部分混合物は遮光下で保管される。
【実施例3】
【0186】
絶縁体のためのシリコン組成物の製造
25℃で粘度10Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)19.8重量部、ヘキサメチルジシラザン2.4重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン0.028重量部、および水1.14重量部を混練機内で混合し、次いでBET表面積300m/gである熱分解シリカ(c)9.3重量部を混合し、混合物を約100℃に加熱しそして約1時間攪拌し、その後150〜160℃で水および過剰のシラザン/シラノール残留物を蒸発して除去する(p=20ミリバールの減圧下を含む)。引き続いて粘度10Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a2)16.75重量部を用いて希釈する。
【0187】
部分混合物2
ジメチルビニルシロキシ末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)19.8重量部、ヘキサメチルジシラザン2.73重量部、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン0.035重量部、および水1.14重量部を混練機内で混合し、そしてBET表面積300m2/gである熱分解シリカ(c)10.95重量部とも混合し、引き続いてその混合物を約100℃に加熱して約1時間攪拌し、そしてその後150〜160℃で水および過剰のシラザン/シラノール残留物を蒸発して除去する(p=20ミリバールの減圧を含む)。引き続いてこの混合物を粘度10Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a2)2.26重量部を用いて希釈する。
【0188】
冷却した後、この部分混合物34gを取り出し、25℃で粘度1000Pa・秒であり、一般式M200でSiH含有量1.14mmol/gであるジメチルヒドロシロキシ−末端停止ポリジメチルヒドロメチルシロキサンから成る架橋剤混合物10.9重量部、一般式M2010のSiH含有量4.15mmol/g、25℃で粘度35mPa・秒であるトリメチルシロキシ−末端停止ポリジメチルヒドロメチルシロキサン1.14重量部、SiH含有量2.3mmol/g、および25℃で粘度40mPa・秒、一般式M10020のトリメチルシロキシ−末端停止ポリジメチルヒドロメチルシロキサン0.57重量部をそれに加える。
【0189】
部分混合物3
25℃で粘度1Pa・秒であり、ビニル含有量0.13mmol/gである線状ビニル末端停止ポリジメチルシロキサン4000重量部ならびに白金含有量61.1%であるトリメチル(メチル)シクロペンタジエニル白金(ストレム社)1重量部を混合した触媒1.88重量部から成る遮光した部分混合物3を部分混合物1および2中に、以後に記載のようにして加える。部分混合物3ならびに触媒(d)を含んでなる部分混合物は遮光下で保管されなけばならない。
【実施例4】
【0190】
開放型内での硬化
実施例1の2種の部分混合物を遮光下、遮光性容器中でタンブリングにより混合しそして直径40mmおよび高さ50mmである円筒形型キャビティーを有する被覆金属型内に遮光下で充填する。約5分間の攪拌時間の後に混合物には本質的に気孔が無くなる。円筒の開放端面を120秒間、25℃で40mmの距離でUVフラッシュライト(XA)を用いて光に暴露する。引き続いて、円筒形成形体を取り出し、それは本質的に円筒形型キャビティー形状を有する。円筒計成形体のショア硬度は、25℃での種々の保存期間の後、
DIN53505により、表面ならびに中心を通って切った分割円筒計成形体についても測定した。
【0191】
【表1】

【0192】
本質的に全体的に均等に硬化された厚肉成形体が製造できることが分かる。
【実施例5】
【0193】
透明型を用いる成形体の製造方法
内径52mm、長さ104mmでぞれぞれに末端にフランジ固定した金属板を有する石英ガラス管(ヘラエウス(Heraeus)石英ガラスHSQ300、壁厚さ3mm)に、比率1:1の実施例2の部分混合物1および2の混合物、および部分混合物3を実施例2中に記載の量で充填する。3成分混合装置(添加剤ライン)および30cm長さのスタティックミキサー(ケニックス社(Fa.Kennix))を備えた2KMマリエンハイデ(Marienheide)の2成分900シルコ・ミックス(Silko Mix)供給機械を介して混合物を得た。遮光下で石英管に金属導管を介して充填速度100cm/分、型内圧10バール以下、約120分間で細孔を含まないようにしてこの材料を充填した。充填操作の後、タイプ(XA)のランプを用いて距離40mmで240秒間照射する。型温度は照射の間に約40℃に上昇した。
【0194】
3分後に石英管から取り出した円筒体は、その表面硬度62°(ショアA)および中心硬度61°(ショアA)を有し、それは24時間後に65°(ショアA)に上昇する。
【0195】
厚10mmで測定した透過度は、400nmでの測定で10%未満である。管長さからの成形体長さの変化は、25℃で0.1%以下である。
【0196】
この実施例は、均等な架橋および高い硬度を有する充填剤含有の厚肉成形体が得られることを示す。
【実施例6】
【0197】
光活性化および加熱型を用いる方法。
【0198】
金属板をフランジ固定した石英ガラス管を温度70℃に加熱した他は、実施例4の実験を反復する。
【0199】
実施例2の部分混合物から成る混合物を上記のスタティックミキサーを介して上記の比率で混合しそして充填速度100cm/分、型内圧10バール以下で気孔がないようにして充填する。充填工程の後、距離80mmで120分間、60〜70℃で(XA)ランプから材料を光に暴露する。
【0200】
1分間の後に石英管から取り出された円筒体は、表面硬度63°(ショアA)および中心硬度62°(ショアA)を有し、それは24時間後には65°(ショアA)に上昇する。
【0201】
管型からの成形体長さの変化は、25℃で0.2%以下である。
【0202】
本実施例は、均等に架橋された成形体の照射が、それが加熱した型内で硬化されると、比較的短時間内で得られることを示す。
【実施例7】
【0203】
光暴露装置を用いる厚肉成形製品の製造
実施例2の部分混合物1および2から成る混合物を比率1:1で、そして部分混合物3とを上記の比率で実施例5の装置を介して混合しそして100cm/分の充填速度で、内径12mmおよび長さ110mmならびに壁厚さ3mmである石英管を通して導く。石英管は、タイプ(XA1)のランプ3個が距離40mmで配置された囲い内で対称的に囲まれ、そして光暴露装置の透明管は連続的に光暴露され、それは能力3x400Wで操作される。
【0204】
装置を通過する部分成分の混合物は、計算して8秒間、30℃で照射される。
【0205】
装置を通過する活性化されたシリコンゴム組成物は、内径52mm、長さ104mmのガラス製で環状末端に金属端面を備えた円筒形型内に運ばれ、その型は80℃に保たれる。型に材料を充填するために132秒間が必要である。
【0206】
4分間後に取り出された円筒体は、表面硬度21°(ショアA)そして中心硬度20°(ショアA)を有する。
【0207】
管状型からの成形体長さの変化は0.2%未満である。
【0208】
この混合物を上記のハーケ社のUV加硫計に導入すると、光暴露時間8秒間で、ゲル化点G’=G”(ASTM D4473)で25℃で得られたゲル化時間は、295秒間である。
【0209】
硬化したエラストマーは標準試験シートに書き換えると下記の性質を有していた。
【0210】
【表2】

【0211】
この実施例は、本発明の方法が、型内に活性化した組成物を充填しそして適合する場合にはその前に充填剤と混合するための十分な時間を有するようなシリコン組成物の照射が可能なことを示す。またこの操作方法により、高い機械的強度ならびに特に良好な高電圧トラッキング耐性およびアーク放電耐性を有する、均等に架橋された架橋、厚肉成形体が得られる。
【実施例8】
【0212】
光暴露処置を用いる厚肉成形製品の製造
実施例2の部分混合物1および2から成る混合物を比率1:1で最初に混合槽おびスタティックミキサー内で混合し、そして部分混合物3に記載の比率を用いて、この場合には4成分供給が可能な実施例5からの装置を介して混合し、そして充填速度100cm/分で内径12mmおよび長さ110mmならびに壁厚さ3mmの石英管を通して導く。石英管は、その囲い内で距離40mmで3個のタイプ(XB1)のランプで対称に囲まれ、そして光暴露装置の透明管は連続的に光暴露されそして3x400Wの能力で操作される。
【0213】
装置を流通する部分混合物の流通混合物は、計算すると、30℃で8秒間照射される。
【0214】
照射管と型との間に、第二混合槽および長さ30cmのスタティックミキサー(ケニックス社)が組み込まれていた。それらに、第四混合物が、上記の2成分900シルコ・ミックス(Silko Mix)供給機を介して供給され、そして25℃で粘度20Pa・秒であるジメチルビニルシロキシ−末端停止ポリジメチルシロキサン(a1)の3cm/分から成り、そしてそれは第四成分として顔料(カーボンブラック+TiO2)(シロプレン(Silopren(R)灰色ペースト)17重量%も含んでなっていた。
【0215】
装置を流通する活性化シリコンゴム組成物は、ガラス製で内径52mm、長さ104mm、それぞれ環状末端に金属端面を有し、温度80℃に保持されている円筒形型内に供給される。型に材料を充填するためには133秒間が必要であり、そして型は暗灰色に着色され、10mm当たりに5%よりさらに低い透過性を有する十分に不透明性の成形体を含んでなる。
【0216】
4分後に取り出された円筒は、表面硬度62°(ショアA)、中心硬度61°(ショアA)を有し、それは24時間後には65°(ショアA)に上昇する。
【0217】
管状型からの成形体長さの変化は0.2%以下である。この混合物を上記のハーケ社のUV加硫導入すると、光暴露時間8秒間でゲル化点G’−G”(ASTM4473)で得られたゲル化時間は25℃で300秒である。
【0218】
これらの実施例は、本発明が顔料添加して残留透明性がない60°(ショアA)を越える成形体の光照射による製造を可能とし、この方法で均等に架橋された厚肉成形製品が得られることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が少なくとも3mmの球体を収容または包囲できる容積を有する厚肉の成形製品の製造のための、
a)3〜99重量%の少なくとも1種のアルケニル基含有ポリシロキサン、ただしポリスチレンを標準とするGPCによる数平均Mnとして測定される該ポリオルガノシロキサンa)の平均重合度Pnは少なくとも200である、
b)0.2〜60重量%の少なくとも1種のSiH官能性ポリシロキサン、
c)0.1〜60重量%の、BET表面積が50〜400m2/gの酸化物充填剤から選ばれる、少なくとも1種の充填剤、
d)金属含有量1〜500ppmに相当する少なくとも1種の光活性化可能な触媒、および
e)0〜30重量%の1種もしくはそれ以上の助剤、
をいずれも成分a)〜c)の合計量に対して含んでなる光活性化性で硬化性のシロキサン組成物の使用。
【請求項2】
成分a)がアルケニル基含有の式(I)
[Ma1b1c1di2e1m1 (I)
[式中、
M=R12SiO1/2
D=R1RSiO2/2
T=R1SiO3/2
Q=SiO4/2
(式中、
R=n−、i−、t−もしくはC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ(C1〜C12)アルキル、C5〜C30−シクロアルキルまたはC6〜C30−アリール、C1〜C12−アルキル(C6〜C10)アリール、ここでこれらの基Rはそれぞれ1個もしくはそれ以上のF
原子による置換を有することができおよび/または1個もしくはそれ以上の−O−基を含むことができ、
1=Rまたは非置換もしくは置換されたC2〜C12−アルケニル基、
2=二価脂肪族n−、i−、t−もしくは環状C1〜C14−アルキレン基、またはC6
14−アリーレンもしくはアルキレンアリール基であり、それらはそれぞれの場合に2個のシロキシ単位M、DもしくはTを架橋し、
ここで
m1=1〜1000
a1=1〜10
b1=0〜3000
c1=0〜50
d1=0〜1
e1=0〜300)]
のポリオルガノシロキサンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
成分b)が、一般式(II)
[Ma4b4c4d42e2m3 (II)
[式中、
M=R32SiO1/2
D=R3RSiO2/2
T=R3SiO3/2
Q=SiO4/2
(式中、
R=n−、i−、t−、もしくはC1〜C12−アルキル、C1〜C12−アルコキシ(C1
12)アルキル、C5〜C30−シクロアルキルまたはC6〜C30−アリール、C1〜C12
アルキル(C6〜C10)アリール、ここでこれらの基Rは場合によりそれぞれ1個もしく
はそれ以上のF原子による置換を有することができおよび/または1個もしくはそれ以上の−O−基を含むことができ、
3=Rまたは水素、
2=二価脂肪族n−、i−、t−もしくは環状C1〜C14−アルキレン基、またはC6
14−アリーレンもしくはアルキレンアリール基であり、それらはそれぞれの場合に2個のシロキシ単位M、DもしくはTを架橋し、
ここで
m3=1〜1000
a4=1〜10
b4=0〜1000
c4=0〜50
d4=0〜1
e2=0〜300)]
の線状、環状、もしくは分枝状のSiH含有ポリオルガノシロキサンである、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
成分d)が少なくとも1種のシグマ結合アルキルまたはアリール基を有する金属化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
成分d)が白金化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
成分d)が(η5−メチルシクロペンタジエニル)トリメチル白金である、請求項1〜
5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
上記の酸化物充填剤が、少なくとも1種の反応性シランを用いて表面処理されていることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項8】
上記の酸化物充填剤が、下記の工程
a.少なくとも1種の反応性シランi)と少なくとも1種の酸化物充填剤と、適合する場合には水の存在下での混合、
b.混合物中に存在する低沸点成分の除去、
c.水を加えずそして適合する場合には混合物を加温する、少なくとも1種の反応性シランii)の添加
を包含する方法により得られることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
光活性化性で硬化性の組成物が200〜500nmの範囲内の波長の光で照射されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
石英またはUV透過性合成樹脂から成る、UV透過性材料から成る少なくとも一つの領域を表面が有する型に光活性化性で硬化性の組成物を充填することを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
照射時間が硬化性シロキサン組成物のゲル化時間より短く、そして得られたまだ流動性の組成物が型に導入されるかまたは基体に塗布され、次いでそれ以上の照射を行うことなく適合する場合には高い温度で硬化されることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
型へ導入の前もしくは基体への塗布の前に、照射された光硬化性組成物を少なくとも1
種の顔料および/もしくは充填剤と混合することを特徴とする、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
高電圧絶縁体、現場成形ガスケット、補綴成形製品もしくは型取またはコンフォーマル被覆の製造のための、請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
厚肉の成形製品または被覆の光透過度が、厚さ10mmで測定して10%未満であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜8で規定された光活性化性で硬化性の組成物が200〜500nmの範囲内の波長の光で照射され、照射時間がゲル化時間より短く、得られた組成物が引き続いて型に導入されるかまたは基体に塗布され、次いでさらなる照射を行うことなく適合する場合には高い温度で硬化されることを特徴とする、直径が少なくとも3mmの球体を収容または包囲できる容積を有する厚肉の成形製品の製造方法。
【請求項16】
型への導入の前または基体への塗布の前に、照射を受けた光活性化性で硬化性の組成物が少なくとも1種の顔料および/または充填剤と混合されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜8で規定された光活性化性で硬化性の組成物が、石英またはUV透過性合成樹脂から成るUV透過性材料から成る少なくとも1つの領域を表面が有する型に充填され、そして200〜500nmの範囲内の波長の光で照射されることを特徴とする、直径が少なくとも3mmの球体を収容または包囲できる容積を有する厚肉の成形製品の製造方法。
【請求項18】
光活性化性で硬化性の組成物の光活性化がUV照射を用いて行われることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項19】
光活性化が、キセノンランプ、水銀ランプ、ブラックライトランプおよびエキシマランプから選択されるUV照射光源を用いて実行されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の方法または使用。
【請求項20】
請求項15〜19のいずれかに記載の方法により得られる、厚肉の成形製品または被覆。
【請求項21】
高電圧絶縁体または現場成形ガスケットである、請求項20に記載の厚肉成形製品。
【請求項22】
光透過度が厚さ10mmで測定して10%未満である、請求項20に記載の厚肉の成形製品または被覆。

【公開番号】特開2012−180526(P2012−180526A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109509(P2012−109509)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2007−523081(P2007−523081)の分割
【原出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(599092697)モーメンテイブ・パーフオーマンス・マテリアルズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (9)
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【Fターム(参考)】