説明

双極型二次電池、双極型二次電池の製造方法、双極型電極、双極型電極の製造方法、組電池

【課題】内部短絡を抑制・防止することが可能な双極型二次電池を提供する。
【解決手段】集電体11の表裏面に正極層12および負極層13を形成した双極型電極10を用い、セパレータ14を介して正極層12および負極層13が向い合わせたときに正極層12および負極層13に存在している凸部12aおよび13aの位置が互いに異なることを特徴とする双極型二次電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双極型二次電池、双極型二次電池の製造方法、双極型電極、双極型電極の製造方法、組電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
双極型二次電池(バイポーラ型二次電池とも称されている)は、一枚の集電体の一方の面に正極、他方の面に負極が形成された双極型電極を用いている。そしてこの双極型電極を、電解質層を含んだセパレータを介して正極と負極が向かい合うように複数積層した構造となっている(たとえば特許文献1)。したがって、この双極型二次電池は、集電体と集電体の間の正極、負極およびセパレータ(電解質層)によって一つの電池セル(単電池)が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−204136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術では正極および負極ともに、集電体上にそれぞれの電極となる活物質を塗布することで形成している(上記特許文献1段落0010参照)。このような塗布によって電極を形成した場合、電極の端部において盛り上がった箇所(凸部)ができてしまう。
【0005】
このような盛り上がりがセパレータを介して同じ位置にあると、盛り上がりによってセパレータに局所的に強い力がかかり、その部分が極端に薄くなったり、または貫通したりして正極と負極が短絡してしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、このような双極型二次電池の単電池内において内部短絡を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の双極型二次電池は、集電体の第1面に形成された第1電極層および同じ集電体の第1面と対向する第2面に形成された第2電極層を有してなる双極型電極を有する。そして、この双極型電極が複数枚、第1電極層と第2電極層との間にセパレータを介在させて向かい合うように積層されていて、セパレータを介して向かい合う第1電極層の端部に存在している凸部の位置と第2電極層の端部に存在している凸部の位置とが異なることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1電極層と第2電極層の端部において存在する凸部がセパレータを挟んで向い合うことがないので、双極型二次電池における単電池内部での短絡を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態1の双極型二次電池内部の概略構造を説明するための説明図である。
【図2】実施形態1の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図である。
【図3】実施形態1における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。
【図4】実施形態1の双極型二次電池の作用を説明する説明図である。
【図5】塗布開始位置である端部と塗布終了位置の端部をそれぞれ異なる位置にした双極型電極を示す説明図である。
【図6】実施形態1の組電池を説明するための説明図、(a)は組電池の平面図、(b)は組電池の正面図、(c)は組電池の側面図である。
【図7】実施形態1の組電池を使用した車両の説明図である。
【図8】実施形態2の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図であり、(a)は側面図、(b)は正極層側から見た平面図である。
【図9】実施形態2における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。
【図10】実施形態3の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図で、正極層側から見た平面図である。
【図11】実施形態3における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。
【図12】実施形態4の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図で、積層方向に隣接する2つの双極型電極を示した側面図である。
【図13】実施形態4における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。
【図14】実施形態4における双極型二次電池の変形例の要部を説明するための斜視図である。
【図15】実施形態1の双極型二次電池の他の作用を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面はあくまでも本実施形態を説明するためのものであるので、各部材の寸法や比率は説明の都合上誇張または簡略化しており、実際の寸法や比率とは異なる。
【0011】
[実施形態1]
(双極型二次電池)
図1は本実施形態1に係る双極型二次電池内部の概略構造を説明するための説明図(断面図)であり、図2は本実施形態1の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図である。また、図3は本実施形態1における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。
【0012】
本実施形態1の双極型二次電池1は、集電体11の第1面に正極層12(第1電極層)が形成され、この第1面に対向する第2面に負極層13(第2電極層)が形成された複数の双極型電極10を有する。正極層12および負極層13には、それぞれ正極活物質および負極活物質を有する。
【0013】
なお、図1は双極型二次電池1の基本構成を示すもので、双極型電極10の細部については図示していない(細部については図2を参照)。
【0014】
各双極型電極10は、電解質を含むセパレータ14を介して積層されている。そして正極層12、セパレータ14、および負極層13によって単電池15を形成している。なお、最外層に位置する集電体(最外層集電体11aおよび11b)には、片面のみに、負極層13または正極層12のいずれか一方が形成されている。
【0015】
また、単電池15の外周には、隣接する集電体11の間を絶縁するためのシール部材51が設けられている。
【0016】
そして、これらの構成要素(発電要素)が、ラミネートシート52によって封止されている。なお、負極側最外層集電体11aのさらに外側に集電板53a、54bが設けられている。これらは集電板53a、54bはそれぞれ延長されて負極タブ53および正極タブ54となっている。また、集電板53a、54bは、集電体11より厚く形成することで、積層された複数の単電池15からの電流を取り出しやすくなるようにしている。
【0017】
なお、集電板に代えて、最外層集電体11aおよび11bを厚くして、そのままラミネートシート52の外に延長して負極タブ53および正極タブ54としてもよい。また、最外層集電体11aおよび11bと集電板53a、54bの間に電極活物質があってもよい。すなわち、片面にのみ電極活物質を設けた最外層専用の集電体11aおよび11bとするのではなく、両面に電極活物質がある集電体11をそのまま最外層の集電体として用いてもよいのである。
【0018】
本実施形態1における双極型電極10は、図2に示すように、一つの集電体11に対して正極層12と負極層13が形成されてなる。そして、正極層12と負極層13のそれぞれの端部において存在している凸部12aおよび13a(盛り上がり)の位置が異なる。ここで、正極層12と負極層13のそれぞれに存在している凸部12aおよび13aは、それぞれの活物質の塗布開始位置である(詳細後述)。なお、図2(a)は双極型電極10の一部を示す側面図、図2(b)は双極型電極10を正極層側から見た平面図である。
【0019】
そして、本実施形態1の双極型二次電池1は、この双極型電極10を図2および図3に示すように、正極層12と負極層13がセパレータ14を介在させて向い合うように積層している。これにより、それぞれの電極層(正極層12および負極層13)における端部の凸部12aおよび13aがセパレータ14を介して同じ位置にならないようになる。なお、図3は、双極型電極10の積層構造をわかりやすくするために双極型電極10のみ示したものである。
【0020】
ここで正極層12および負極層13の端部に凸部12aおよび13a(盛り上がり)ができる現象について説明する。
【0021】
一つの集電体11に正極層12および負極層13を形成する際には、それぞれの電極層となる、スラリー状(粘稠液のある液体)の活物質を集電体11に塗布、乾燥することにより行われる。この塗布工程においては、活物質のスラリーをスリットノズルから押し出しつつ、スリットノズルを集電体11上で移動させて塗布する。このとき、特に、塗布開始位置では、スリットノズルを停止させた状態でスラリーを押し出し、集電体面にスラリーが滴下された時点からスリットノズルを移動させるため、塗布開始位置ではわずかながら所望する活物質厚さより厚く集電体面上にスラリーが付着した状態になる。これが表面張力やスラリーの弾性によって他の部分よりかさ高くなって盛り上がり、各電極層の端部において凸部12aおよび13aが存在してしまうことになるのである。
【0022】
このような凸部12aおよび13aは、塗布工程に起因するため上記のように、塗布開始位置で顕著であるが、塗布方法やスラリーの粘度によっては、塗布終了位置や塗布方向に沿う横の部分でも発生することがある。したがって、このような塗布開始位置以外で盛り上がり(凸部)ができてしまうような工法を用いる場合には、それらの盛り上がり部分でも、正極層と負極層の端部がセパレータ14を挟んで向い合うことのないようにするとよい。
【0023】
本実施形態1による双極型二次電池1の作用を説明する。
【0024】
図4は本実施形態1の双極型二次電池1の作用を説明する説明図であり、図4(a)は本実施形態1による単電池部分の構造を示す図面であり、正極層12と負極層13のそれぞれの凸部12aおよび13aの位置がセパレータ14を介して同じ位置にならないようにしたものである。一方、図4(b)は同様に単電池の構成を示すが、それぞれの正極層12と負極層13のそれぞれの凸部102aおよび103aの位置がセパレータ14を介してセパレータ14の同じ辺側で位置がずれるようにしたものである。
【0025】
ちなみに凸部の大きさ(高さ)は、正極層12や負極層13を塗布形成する際のスラリーの粘度や塗布装置により異なるが、たとえば図4(a)に示したように、電極層(正極層12および負極層13)の厚さ(集電体表面からの厚さ)を40〜200μm程度となるように形成した場合、凸部の大きさは電極層の平坦部から5〜40μm程度突出したものとなる。なお、図では負極層13の凸部13aにおいてその寸法を示したが正極層12の凸部12aにおいても同様であるので図示省略した。
【0026】
本実施形態1による双極型二次電池1では、図4(a)に示すように、一つの単電池内において、正極層12と負極層13のそれぞれの凸部12aおよび13aの位置が異なるため、それら凸部12aおよび13aがセパレータ14を介して同じ位置にならない。したがって、仮に電池の上下方向から圧迫された場合でも、セパレータ14が若干変形はすることはあっても、両側から局所的に圧迫されることがない。このためセパレータ14が局所的に薄くなったり、穴があいたりしてしまうことがなく、正極層12と負極層13のそれぞれの端部で短絡は起きない。
【0027】
一方、図4(b)に示すように、正極層12と負極層13のそれぞれの凸部102aおよび103aの位置が同じ場合は、端部位置での凸部102aおよび103aもセパレータ14を介して同じ位置になる。このため、電池の上下方向から圧迫された場合に、この凸部102aおよび103aによってセパレータ14が両側から局所的に圧迫されることになる。このため圧迫された部分が局所的に薄くなったり、穴があいたりして、内部短絡を起こす可能性がある。
【0028】
特に、車両に搭載される場合、最初は短絡などが起きていなくても、長時間振動が加わることによって、凸部102aおよび103aの盛り上がりによる圧迫箇所が次第に薄くなって穴あきに至り短絡することになる。
【0029】
本実施形態1では上記のように、正極層12および負極層13における凸部12aおよび13aの位置が異なるため、このような車両に搭載されて長時間の振動が加わったとしても、内部短絡を起こすことはないのである。
【0030】
ここで集電体11の第1面と第2面における正極層12と負極層13との塗布開始位置である凸部12aおよび13aの位置ずれ量は、セパレータ14を挟んで、たとえば2mm以上ずれていることが好ましい。これは、凸部12aおよび13aが発生する部分は、塗布した活物質の最端部(エッジ)から約2mm程度であるため、ずれ量も約2mm以上とることで盛り上がり同士がぶつかり合わなくなるのである。なお、ずれ量の上限は、内部短絡防止の観点からは、2mm以上であればいくらでもよい。しかし、あまり大きくずらすと、結果的に正極層12が小さくなりすぎてしまうので、5mm程度もあれば十分である。
【0031】
さらに本実施形態1における他の作用を説明する。図4では、セパレータ14が両側から局所的に圧迫されることによる内部短絡の防止作用について説明したが、本実施形態1では集電体11における同様の内部短絡防止機能を備える。
【0032】
図15は、本実施形態1における他の作用を説明するための説明図である。
【0033】
図15(a)に示すように、本実施形態1の双極型二次電池1は、既に説明したように、一枚の集電体10の両面に正極層12と負極層13が対向配置された双極型電極10を用いている。その構造は、集電体11を基準にした場合も、正極層12と負極層13のそれぞれの塗布開始位置である凸部12aおよび13aの位置をずらして形成している。すなわち、一枚の集電体11の第1面に形成されている正極層12の端部位置と、その反対面である第2面に形成されている負極層13の端部位置とが、互いにずれた位置となっているのである。
【0034】
ここで、双極型二次電池1は、図1に示したように発電要素がラミネートシート52によって封止されている。このために集電体11にも積層方向に力が加わる。正極層12と負極層13のそれぞれの端部にある凸部12aおよび13aの位置が同じ場合、集電体10に凸部12aおよび13aによって、その部分に局所的な力が加わることになる。この局所的な力が長時間続くと集電体10に貫通穴があいたり破断が起きたりするといったおそれがある。
【0035】
集電体11の材質は、主に金属(詳細後述)が用いられているが、その厚さは非常に薄く、たとえば100μm以下、ものによっては50μmや25μm、あるいはそれ以下の非常に薄いものも用いられている。このため、特に薄い集電体の場合は、いかに金属材でできていたとしても局所的な圧迫が続くことで貫通穴や破断などを起こすのである。特に、後述する車両に搭載する場合、車両からの振動によって圧迫部分にさらに強い力が加わることになり、貫通穴や破断などを起こすおそれが高まる。
【0036】
また、集電体11としては、金属ではなく導電性樹脂(詳細後述)を用いることもでき、そのような場合も、局所的な圧迫により貫通や破断などの不具合が起こるおそれがある。
【0037】
このような集電体11において貫通や破断などが起こると、正極活物質と負極活物質が直接接触して短絡したり、または内部の電解質を介して集電体11を間にして予期せぬ電池反応が起きたりしてしまう。
【0038】
本実施形態1では、図15(a)に示したように、一枚の集電体11に形成されている正極層12と負極層13の端部にある凸部12aおよび13aの位置をずらしている。このため、図15(b)に示すように、発電要素全体に積層方向の力が加わっても、凸部12aおよび13aの位置が異なるため、その部分で両側から集電体10を局所的に圧迫してしまうことがなくなる。これにより集電体11が貫通したり破断したりすることを防止することができる。
【0039】
凸部12aおよび13aの位置ずれ量は、セパレータの場合と同様にたとえば2mm以上ずれていればよい。すれ量の上限についても同様であり、最大5mm程度もあれば十分である。
【0040】
本実施形態1では、図4および図15を用いて説明した作用が共に成り立つ構成としている。これは、集電体11に対して正極層12、負極層13を互いの塗布開始位置を違えて双極型電極10を制作し、セパレータ14を挟んで正極層12、負極層13が対向するように積層したことによる。これによりセパレータ14が局所的に圧迫されることによる内部短絡も、集電体11が局所的に圧迫されることによる内部短絡も同時に防止することができる。
【0041】
しかし、これらの作用は単独の構成として成り立つようにしてもよい。つまり、セパレータ14を挟んで正極層12と負極層13の端部にある凸部12aおよび13aの位置はずれているが、集電体11を挟んでの凸部12aおよび13aの位置はずれていない構成としてもよい。この場合、セパレータ14が局所的に圧迫されることによる内部短絡を積極的に防止することができる。また、集電体11を挟んで正極層12と負極層13の端部にある凸部12aおよび13aの位置はずれているが、セパレータ14を挟んでの凸部12aおよび13aの位置はずれていない構成である。この場合、集電体11が局所的に圧迫されることによる内部短絡を積極的に防止することができる。このようにして、いずれか一方を選択的に作用させることも可能となる。
【0042】
次に、このような本実施形態1における双極型二次電池1の製造方法を説明する。
【0043】
まず、図2に示したように、正極層12と負極層13のそれぞれの凸部12aおよび13a位置が異なる双極型電極10を用意する。この双極型電極10は、一つの集電体11の第1面に、正極層12を塗布、乾燥して形成し、その後同じ集電体11の第2面に、負極層13を塗布、乾燥して形成する。正極層12および負極層13を塗布する際には、互いの塗布開始位置を違えて、同じ方向に塗布する。ここで同じ幅のスリットノズルを使用するとすれば、負極層13の方が正極層12より大きくなるようにすることが好ましい。したがって、負極層13を集電体11の辺部分ぎりぎりのところから塗布を開始するものとし、一方、正極層12は、負極層13の端部より内側から同じ方向に塗布を開始するようにすればよい。これにより負極層13の面積が正極層12の面積より大きくなる。このようにすることで、充放電を繰り返したときにリチウムデンドライトが形成されるのを抑えることができる。なお、正極層12と負極層13はどちらを先に塗布してもよい。
【0044】
ただし最外層集電体11aおよび11bは、それぞれ正極層12のみ、または負極層13のみを設けたものを用意する。
【0045】
その後、用意された複数の双極型電極10を図3に示したようにして、正極層12と負極層13とがセパレータ14を介して向い合うように、かつそれぞれの凸部12aおよび13aの位置がずれるようにして積そうする。このとき単電池15の外周にシール部材51も入れて積層する。
【0046】
この場合、積層される複数の双極型電極10におけるそれぞれの平面方向の向きは、どちらの側に塗布開始位置がきてもよい。図3においては積層される複数の双極型電極10の向きはすべて図示右側に正極層12および負極層13の塗布開始位置端部がくるようにしている。しかし、塗布開始位置の端部は、図面上左側(不図示)になるようにしてもよいのである。これは、本実施形態1では双極型電極10自体で、正極層12および負極層13の塗布開始位置をずらしているため、セパレータ14を介して向い合った正極層12と負極層13の塗布開始位置に生じる凸部12aおよび13aは、必ず異なる位置にくるようになるからである。
【0047】
その後、図1に示したように、電極タブ53、54を取り出しつつ、ラミネートシート52によって封止して、双極型二次電池1ができあがる。
【0048】
以上の説明では、正極層12と負極層13の塗布開始位置に生じる凸部12aおよび13aのみが異なる位置となるようにしているが、さらに、塗布終了位置の端部においても互いに異なる位置となるようにしてもよい。
【0049】
図5は、塗布開始位置である凸部12aおよび13aと塗布終了位置の凸部12bおよび13bをそれぞれ異なる位置にした双極型電極10を示す説明図である。
【0050】
図示する双極型電極10は、一枚の集電体11を挟んで、正極層側の塗布終了位置の凸部12bが負極側の塗布終了位置の凸部13bより内側にずれて形成したものである。
【0051】
これにより、単電池内では、正極層12と負極層13の塗布開始位置である凸部12aおよび13aとともに塗布終了位置の凸部12bおよび13bにおいても互いに異なる位置で向かい合うようになる。
【0052】
既に説明したように、塗布形成した活物質は、その塗布方法によって異なるものの多くの場合、塗布開始位置での盛り上がりが大きいのである。しかし中には、塗布終了位置でも盛り上がりが発生する。そこでこの図5に示したように、塗布開始位置だけでなく塗布終了位置でも正極層12と負極層13の端部に存在する凸部12bおよび13bの位置を違えることで、塗布終了位置において盛り上がりが発生するような塗布方法が用いられた場合でも内部短絡を防止することができる。
【0053】
次に、本実施形態における各部材について説明する。
【0054】
(集電体)
集電体11は導電性材料から構成される。そして、既に説明したように、その表面(たとえば第1面)に正極層、裏面(たとえば第2面)に負極層が形成されている。なお、電池の最外層に位置する集電体11においては、発電要素の内側のみに電極(正極または負極)が形成されている
集電体11の大きさは、電池の使用用途に応じて決定される。たとえば、高エネルギー密度が要求される大型の電池に用いられるのであれば、面積の大きな集電体11が用いられる。
【0055】
この集電体11を構成する材料は、導電性を有するものであれば特に制限はない。たとえば、金属や導電性高分子が採用されうる。具体的には、たとえば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
【0056】
金属の集電体11の具体的な厚さについては特に制限はなく、集電体11としての機能を果たしうる厚さであればよい。具体的には、たとえば、0.1〜100μmであることが好ましい。これはこのような厚さ(薄さ)とすることで、複数の単電池を積層した場合(例えば数十層、あるいは100層以上など)に、電池全体の軽量化を図ることに寄与する。
【0057】
また、集電体11は、導電性樹脂により形成されていてもよい。集電体11に用いられる導電性樹脂としては、たとえば、集電体は導電性を有する樹脂層を含む。樹脂層が導電性を有するには、具体的な形態として、樹脂層が樹脂および導電材(導電性フィラー)を含む形態と、樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態が挙げられる。樹脂と導電材を選択できるという観点から樹脂層が樹脂および導電材を含む形態がより好ましい。
【0058】
まず、簡単に樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態を説明する。導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、がより好ましい。
【0059】
つぎに、好適な形態である樹脂層が樹脂および導電材を含む形態について詳細に説明する。導電材(導電性フィラー)は、導電性を有する材料から選択される。好ましくは、導電性を有する樹脂層内のイオン透過を抑制する観点から、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料を用いるのが望ましい。
【0060】
導電材の具体例としては、アルミニウム材、ステンレス(SUS)材、グラファイトやカーボンブラックなどのカーボン材、銀材、金材、銅材、チタン材などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電材は1種単独で用いられてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金材が用いられてもよい。好ましくは銀材、金材、アルミニウム材、ステンレス材、カーボン材、さらに好ましくはカーボン材である。またこれらの導電材は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記導電材)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
【0061】
また、導電材の形状(形態)は、粒子形態で用いればよいが、粒子形態に限られず、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている粒子形態以外の形態であってもよい。
【0062】
カーボン材としては、カーボンブラックやグラファイトの他にも、炭素繊維やc/cコンポジット(グラファイトと炭素繊維の混合物)などが挙げられる。カーボンブラックやグラファイトなどのカーボン粒子は電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに導電性に優れている。また、カーボン粒子は非常に軽量なため、質量の増加が最小限になる。さらに、カーボン粒子は、電極の導電助剤として用いられることが多いため、これらの導電助剤と接触しても、同材料であるがゆえに接触抵抗が非常に低くなる。なお、カーボン粒子を導電性粒子として用いる場合には、カーボンの表面に疎水性処理を施すことにより電解質のなじみ性を下げ、集電体の空孔に電解質が染み込みにくい状況を作ることも可能である。
【0063】
導電材の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、0.01〜10μm程度であることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電材の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質粒子などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
【0064】
また、樹脂層が導電材を含む形態の場合、樹脂層を形成する樹脂は、上導電材に加えて、当該導電材を結着させる導電性のない高分子材料を含んでいてもよい。樹脂層の構成材料として高分子材料を用いることで、導電材の結着性を高め、電池の信頼性を高めることができる。高分子材料は、印加される正極電位および負極電位に耐えうる材料から選択される。
【0065】
樹脂である高分子材料の例としては、好ましくは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
【0066】
樹脂層における、導電材の比率は、特に限定されないが、好ましくは、高分子材料および導電材の合計に対して、1〜30質量%の導電材が存在する。十分な量の導電材を存在させることにより、樹脂層における導電性を十分に確保できる。
【0067】
上記樹脂層には、導電材および樹脂の他、他の添加剤を含んでいてもよいが、好ましくは、導電材および樹脂からなる。
【0068】
樹脂層は、従来公知の手法により製造できる。たとえば、スプレー法またはコーティング法を用いることにより製造可能である。具体的には、高分子材料を含むスラリーを調製し、これを塗布し硬化させる手法が挙げられる。スラリーの調製に用いられる高分子材料の具体的な形態については上述したとおりであるため、ここでは説明を省略する。前記スラリーに含まれる他の成分としては、導電材が挙げられる。導電性粒子の具体例については上述のとおりであるために、ここでは説明を省略する。あるいは、高分子材料および導電性粒子、その他の添加剤を従来公知の混合方法にて混合し、得られた混合物をフィルム状に成形することで得られる。また、たとえば、特開2006−190649号に記載の方法のように、インクジェット方式により樹脂層を作製してもよい。
【0069】
集電体の厚さは、特に限定されるものではないが、電池の出力密度を高める上では、薄いほど好ましい。双極型二次電池においては、正極および負極の間に存在する樹脂集電体は、積層方向に水平な方向の電気抵抗が高くてもよいため、集電体の厚さを薄くすることが可能である。具体的には、集電体の厚さは、0.1〜150μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
【0070】
(正極層および負極層)
正極層12および負極層13は、それぞれ活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
【0071】
正極活物質は、たとえば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0072】
負極活物質としては、たとえば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(たとえば、LiTi12)、金属材料、リチウム−金属合金材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
【0073】
また、添加剤としては、たとえば、バインダ、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
【0074】
導電助剤は、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物である。導電助剤としては、たとえばアセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
【0075】
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
【0076】
イオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
【0077】
正極活物質および負極活物質中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
【0078】
正極層及び負極層の厚さ(各活物質層の厚さ)についても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。
【0079】
(セパレータ)
セパレータ14としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。そして、セパレータ14には、液体電解質が含浸されている。
【0080】
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、たとえば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
【0081】
また、このような液体電解液を含浸させたセパレータ14に変えて、ポリマー電解質そのものをセパレータ14として用いてもよい。ポリマー電解質としては、たとえば電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
【0082】
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
【0083】
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータ14を用いてもよい。セパレータ14の具体的な形態としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
【0084】
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
【0085】
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(たとえば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
【0086】
(組電池)
次に、本実施形態1の双極型二次電池1を利用した組電池について説明する。
【0087】
図6は、本実施形態1の組電池を説明するための説明図であって、図6(a)は組電池の平面図であり、図6(b)は組電池の正面図であり、図6(c)は組電池の側面図である。
【0088】
この組電池300は、上述した双極型二次電池1が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電池250を構成している。そして、この小型の組電池250をさらにさらに複数個、直列または並列に接続して、高体積エネルギー密度、高体積出力密度となる組電池300を構成している。このような組電池300は、車両駆動用電源や補助電源に適した大容量、大出力とすることができる。
【0089】
小型の組電池250は、バスバーのような電気的な接続手段を用いて相互に接続し、接続治具310を用いて複数段積層されている。なお、組電池250の使用個数は車両(電気自動車)が要求する電池容量や出力に応じて決めればよい。
【0090】
本実施形態の組電池300によれば、組電池300を構成する個々の双極型二次電池1が耐久性に優れるため、組電池300としても当然に耐久性に優れる。したがって、着脱可能な小型組電池250やその中の個々の双極型二次電池1の不良発生による交換が少なくなる。
【0091】
(車両)
次に、このような組電池を用いた車両について説明する。
【0092】
図7は、上述した組電池を電気自動車に搭載した例を示す図面である。
【0093】
この電気自動車400は、組電池300を車体中央部の座席下に搭載し、電気自動車400のモータ用電源として用いている。座席下に搭載すれば、車内空間およびトランクルームを広く取ることができるからである。なお、組電池300を搭載する場所は、座席下に限らず、後部トランクルームの下部でもよいし、車両前方のエンジンルームでも良い。
【0094】
このように組電池300を用いた電気自動車400は、組電池300を構成している双極型二次電池1が耐久性に優れるため、長期間使用しても十分な出力を提供しうる。とくに、双極型二次電池1は、振動によって内部短絡を起こしにくく作られているため、車両に用いるのに最適である。
【0095】
双極型二次電池1または組電池300をモータ用電源として用いる車両としては、たとえば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。そのほか、二輪車(バイク)や三輪車、さらには、電車などの移動体の各種電源や二次電池として用いることも可能である。
【0096】
さらに、本実施形態の双極型二次電池1または組電池300は無停電電源装置などの載置用電源として利用することも可能である。
【0097】
(実施形態2)
図8は本実施形態2の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図であり、(a)は一部分を示す側面図、(b)は正極層側から見た平面図である。また、図9は本実施形態2における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。ここで、図9は双極型電極のみ示し、その他の構成要素は省略したが、双極型二次電池としての全体構成は図1に示したとおりである。
【0098】
本実施形態2における双極型二次電池は、図8に示すように、双極型電極20として、正極層12および負極層13の互いの塗布開始位置に生じる凸部12aおよび13aを、集電体11を介して互いに反対側の辺側に位置するようにしたものである。すなわち、集電体11の第1面側に、集電体11の一方の辺側からスラリー状の正極活物質を塗布開始する。次いで集電体11の第2面に、一方の辺に対向する他方の辺側からスラリー状の負極活物質を塗布開始して双極型電極20を形成したものである。
【0099】
図9に示すように、この双極型電極20をセパレータ14を介して、正極層12および負極層13が向かい合うように積層すれば、実施形態1と同様に、塗布開始位置における凸部12aおよび13aが同じ位置になることはない(図8(a)参照)。
【0100】
したがって、本実施形態2においても、実施形態1同様に、単電池内部におけるセパレータの局部的な圧迫をなくして内部短絡を防止することができる。また、本実施形態2においても、実施形態1同様に集電体11を基準として対向する正極層12および負極層13の凸部12aおよび13aが異なるので、集電体11が局所的に圧迫されることをなくし、内部短絡を防止することができる。
【0101】
なお、このような双極型二次電池の製造方法は、用意する双極型電極20の形態が異なるのみで、製造方法のそのほかの工程は実施形態1と同じである。また、ラミネートシート52による封止や電極タブの引き出しなども実施形態1と同じである。
【0102】
また本実施形態2において使用される各部の材料は、既に説明した実施形態1と同じでよい。また、本実施形態2の双極型二次電池においても、実施形態1同様に、組電池としたり、またその組電池を搭載した車両とすることができる。そして、この組電池および車両は、実施形態1と同様に耐久性に優れたものとなる。
【0103】
(実施形態3)
図10は本実施形態3の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図で、正極層側から見た平面図である。また、図11は本実施形態3における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。ここで、図11は双極型電極のみ示し、その他の構成要素は省略したが、双極型二次電池としての全体構成は図1に示したとおりである。
【0104】
本実施形態3では、双極型電極30における正極層12と負極層13の塗布開始位置である凸部12aおよび13aが、集電体11の互いに直交する辺側にくるように塗布したものである。
【0105】
つまり、正極層12の塗布開始位置の凸部12aを、集電体11の第1面のある辺(第1の辺)側に沿う方向に設けた場合、負極層13の塗布開始位置端部13aは集電体11の第2面において第1の辺に対して直交している第2の辺側に沿うように塗布形成している。
【0106】
この双極型電極30は、好ましくは、図示するように、正方形であるとよい。これは、正極層と負極層の塗布開始位置を集電体11に対して90度回転させた位置から開始することになるため、正方形であれば、同じ大きさのスリットノズルを使用することができ製造が容易になる。もちろん、大きさ(スリット幅)の異なるスリットノズルを使用すれば、長方形であってもよいことはいうまでもない。
【0107】
そして、図11に示すように、この双極型電極30を、セパレータ14を介して正極層12と負極層13が向き合うように積層する。これでセパレータ14を介してセパレータ14の互いに直交する辺側に凸部12aおよび13aが位置する双極型二次電池ができあがる。つまり、正極層12の凸部12aと負極層13の凸部13aがセパレータを挟んで互いに90度回転した位置に来るように配置されるようになる。なお、図示しないが正極層12の凸部12aと負極層13の凸部13aがセパレータを挟んで180度回転した位置に来るように配置してもよい。
【0108】
このように、正極層12および負極層13の塗布開始位置である凸部12aおよび13aを互いに直交する位置にすることでも、これらがセパレータ14を介して対向した場合に、塗布開始位置で生じた凸部12aおよび13a同士が同じ位置にならなないようにできる。したがって、本実施形態3においても実施形態1同様に、単電池内部におけるセパレータの局部的な圧迫をなくして内部短絡を防止することができる。また、本実施形態3においても、実施形態1同様に集電体11を基準として対向する正極層12および負極層13の凸部12aおよび13aが異なるので、集電体11が局所的に圧迫されることをなくし、内部短絡を防止することができる。
【0109】
なお、本実施形態3の双極型二次電池の製造方法は、用意する双極型電極30の形態とその積層配置が異なるのみで、製造方法自体は実施形態1と同じである。また、ラミネートシート52による封止や電極タブの引き出しなども実施形態1と同じである。本実施形態3において使用される各部の材料は、既に説明した実施形態1と同じでよい。また、本実施形態3の双極型二次電池においても、実施形態1同様に、組電池としたり、またその組電池を搭載した車両とすることができる。そして、この組電池および車両は、実施形態1と同様に耐久性に優れたものとなる。
【0110】
(実施形態4)
図12は本実施形態4の双極型二次電池に用いられている双極型電極の説明図で、積層方向に隣接する2つの双極型電極を示した側面図である。また、図13は本実施形態4における双極型二次電池の要部を説明するための斜視図である。ここで、図13は双極型電極のみ示し、その他の構成要素は省略したが、双極型二次電池としての全体構成は図1に示したとおりである。
【0111】
本実施形態4では、一つの双極型電極40における正極層12と負極層13の塗布開始位置で生じた凸部12aおよび13aは同じ位置である。
【0112】
そして、図13に示すように、この双極型電極40を、セパレータ14を介して正極層12と負極層13が向き合うように積層する段階で、双極型電極40の水平方向の向きを、積層方向で隣接する双極型電極同士で互いに異なる方向となるようにしている。
【0113】
これにより双極型二次電池としては、セパレータ14を介して対向する正極層12および負極層13の凸部12aおよび13aが同じ位置にならならないようにしているのである。
【0114】
このような本実施形態4における双極型二次電池の製造方法は、用意する双極型電極10として、まず、正極層12、負極層13ともに同じ塗布開始位置から塗布形成された双極型電極40を用意する。そして、用意した双極型電極10を、水平方向の向きを互い違いに変えてセパレータ14を挟み積層してゆく。
【0115】
その後は、実施形態1と同様にシール部材51を入れて、電極タブを引き出しつつラミネートシート52により封止する。
【0116】
このように形成した本実施形態4においても、正極層12および負極層13の塗布開始位置である端部で生じた凸部12aおよび13aは、セパレータ14を介して向い合ったときに同じ位置とならない。このため、実施形態1同様に凸部12aおよび13aがセパレータ14を局部的に圧迫することがなくて内部短絡を防止できる。
【0117】
なお、本実施形態4において使用される各部の材料は、既に説明した実施形態1と同じでよい。また、本実施形態4の双極型二次電池においても、実施形態1同様に、組電池としたり、またその組電池を搭載した車両とすることができる。そして、この組電池および車両は、実施形態1と同様に耐久性に優れたものとなる。
【0118】
なお、図13においては、長方形の双極型電極40を示したが、これに代えて、正方形であってもよい。正方形の双極型電極40にした場合は、図14に示すように、正極層12および負極層13の塗布開始位置である凸部12aおよび13aが互いに90度回転した位置となるように積層してもよい。このようにした場合でも、塗布開始位置である凸部12aおよび13aは、セパレータ14を介して向かい合ったときに同じ位置とならないので、塗布開始位置である端部の盛り上がりによる内部短絡を防止できる。
【実施例】
【0119】
以下のとおりに、上述した実施形態に従い実際に双極型二次電池を製作して、充放電サイクル試験および振動試験による評価を行った。
【0120】
[基本構成]
<双極型電極の製作>
(負極層)
以下の材料を所定の比で混合して負極スラリーを作製
負極活物質として、LiTi12、85wt%
導電助剤として、アセチレンブラック、5wt%
バインダーとして、PVDF、10wt%
スラリー粘度調整溶媒として、NMP。
【0121】
集電体としてSUS箔(厚さ20μm)の片面に上記負極スラリーを塗布し乾燥させて負極層を形成した。塗布、乾燥後の負極層を確認したところ、スラリーの塗布開始位置で盛り上がりが確認された。
【0122】
(正極層)
以下の材料を所定の比で混合して正極スラリーを作製
正極活物質として、LiMn2O4、85wt%
導電助剤として、アセチレンブラック、5wt%
バインダーとして、PVDF、10wt%
スラリー粘度調整溶媒として、NMP
負極層を形成したSUS箔の反対面に、上記正極スラリーを塗布し乾燥させて正極層を形成した。塗布、乾燥後の電極を確認したところ、スラリーの塗布開始位置で盛り上がりが確認された。
【0123】
これにより、集電体であるSUS箔の両面に正極層と負極層がそれぞれ形成された双極型電極が形成された。なお、ここでは、双極型電極の形状を正方形にした。
【0124】
<セパレータ>
ここでは電解質を含むセパレータとして、ここではゲル電解質を用いた。
【0125】
セパレータとなるゲル電解質は、ポリプロピレン製の不織布50μmに、イオン伝導性高分子マトリックスの前駆体である平均分子量7500〜9000のモノマー溶液(ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドの共重合体)5重量%、電解液としてEC+DMC(1:3)95重量%、1.0M LiBF、重合開始剤(BDK)からなるプレゲル溶液を浸漬させて、石英ガラス基板に挟み込み紫外線を15分照射して前駆体を架橋させて、ゲルポリマー電解質層を得た。
【0126】
<積層工程>
上記双極型電極の負極上に電解質保持不織布をのせ、その周りに三層構造のホットメルトをおきシール部材とした。これらを積層して、5層積層しにシール部を上下から熱と圧力をかけ融着し各層をシールした。
【0127】
そしてこれらの積層体をラミネートパックで封止し、双極型二次電池を形成した。
【0128】
[実施例1]
上記双極型電極において、正極層塗布の際に、裏面に塗布してある負極層と比して、縦方向、横方向共に、2.5mmずつ塗布寸法を縮めて塗布した。
【0129】
[実施例2]
上記双極型電極において、正極層および負極層の塗布開始質を同じ位置として製作し、その双極型電極極を、一枚積層する毎に180°回転させながら積層した。
【0130】
[実施例3]
上記双極型電極の正極層塗布後、負極層塗布の際に、正極層の塗布終了位置側に負極層の塗布開始位置が来るように塗布した。
【0131】
[比較例1]
上記双極型電極の正極層塗布の際に、負極層塗布と同じ位置に塗布開始位置が来るようにして、なおかつ、正極層と負極層の塗布開始位置端部がセパレータを挟んで同じ位置に向い合うように積層した。
【0132】
<評価>
(充放電サイクル試験)
以上の実施例1〜3、および比較例1をそれぞれ20個ずつ製作した。そして比較例1、実施例1〜3、それぞれの電池で充放電サイクル試験を行った。実験は0.5Cの電流で13.5Vまで定電流充電(CC)し、その後定電圧で充電(CV)し、あわせて5時間充電した後、0.5Cの電流で7.5Vまで放電を行い、このサイクルを一サイクルとして充放電サイクル実験を行った(充放電試験の条件)。
【0133】
(結果)
実施例1〜3の双極型電池、すなわち、セパレータを介して電極端部(塗布エッジ部分)での盛り上がり位置が対向していないすべての電池は、短絡が起こらず50サイクルを超えても電圧を維持し、良好なサイクル特性を示した。
【0134】
比較例1の電池は、20個の電池の内6個が、初回、あるいは数回の充電を行っている途中に電極層の端部(塗布エッジ部分)で短絡が起こり、電池電圧が著しく低下した。
【0135】
(振動試験)
次に短絡を起こしていない実施例1〜3の双極型電池を5個づつ抜き取り、0.5Cの電流で13.5Vまで定電流充電(CC)し、その後定電圧で充電(CV)し、あわせて5時間充電した後、振動を長時間加えその後の電圧測定により電圧維持率の測定を行った。
【0136】
振動試験はしっかり固定した電池に対して垂直の方向に振幅が3mmで50Hzの単調な振動を200時間加えることにより行った。これらそれぞれ5個ずつの電池の電圧を測定し振動試験後の電圧維持率の測定した。
【0137】
実施例1の電池の5つの試験前の電圧の平均は13.47Vであり、試験後の平均は13.33Vであった。したがって平均電圧維持率は98.96%であった。
【0138】
実施例2の電池の5つの試験前の電圧の平均は13.48Vであり、試験後の平均は13.21Vであった。したがって平均電圧維持率は98.00%であった。
【0139】
実施例3の電池の5つの試験前の電圧の平均は13.46Vであり、試験後の平均は13.18Vであった。したがって平均電圧維持率は97.92%であった。
【0140】
比較例1の電池の5つの試験前の電圧の平均は13.46Vであり、試験後の平均は12.23Vであった。したがって平均電圧維持率は90.86%であった。
【0141】
(結果)
これらの結果から実施例1〜3の電池は振動にも強く、優れた耐久性のあることが分かる。
【0142】
以上の結果を表1にまとめて示す。
【0143】
【表1】

【0144】
以上の実施例および比較例の結果から、本発明を適用することで、充放電サイクル特性もよく、また、振動耐性も高くなることがわかる。
【0145】
以上説明した実施形態および実施例によれば、下記の効果を奏する。
【0146】
セパレータ14を介して向い合う正極層12と負極層13の端部、特に、電極活物質が塗布開始された部分が同じ位置とならないようにしたので、この端部において盛り上がり(凸部)があっても、盛り上がり部分でセパレータ14を圧迫して内部短絡に至るようなことがなくなり、耐久性が向上する。
【0147】
また、一枚の集電体11に対して正極層12と負極層13のそれぞれの塗布開始位置をずらすことで電池製造時に、双極型電極10の向きを考慮する必要がない。また、このときのずれ量を2mm以上とすることで、確実に端部における盛り上がり部分が対向しないようにすることがでいる。
【0148】
また、一枚の集電体11に対する正極層12と負極層13のそれぞれの塗布開始位置を互いに反対の方から開始することとしたので、正極層12と負極層13の塗布開始位置端部において盛り上がりがあっても、盛り上がり部分でセパレータ14を圧迫して内部短絡に至るようなことがなくなり、耐久性が向上する。
【0149】
また、一枚の集電体11に対する正極層12と負極層13のそれぞれの塗布開始位置を互いに直交する方向に配置したことで、正極層12と負極層13の塗布開始位置端部において盛り上がりがあっても、盛り上がり部分でセパレータ14を圧迫して内部短絡に至るようなことがなくなり、耐久性が向上する。特に、双極型電極10を正方形にすることで、電池製造時に、双極型電極10の向きを考慮する必要がない。
【0150】
また、双極型電極10において正極層12および負極層13は同じ位置に形成するが、この双極型電極10において正極層12および負極層13の塗布開始位置のある部分が、積層したときに互いに異なる位置となるように双極型電極10の向きを違えることとしたので、双極型電極10としては、すべて同じように正極層12および負極層13を塗布すればよく、製造が容易となる。
【0151】
また、負極層13の面積を正極層12の面積より大きくしたので、充放電を繰り返したときにリチウムデンドライトが形成されるのを抑えることができる。
【0152】
さらに、双極型電極10自体においてもその両面に設けらている正極層12および負極層13の端部位置を異ならせることで、端部における盛り上がり(凸部)によって集電体11が圧迫されることがない。このため、盛り上がり部分で集電体11が圧迫されて内部短絡に至るようなことがなくなり、耐久性が向上する。
【0153】
以上、本発明を適用した実施形態および実施例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。たとえば、全ての双極型電極において、正極層と負極層の端部位置をずらすのではなく、互い違いに正極層と負極層の置き差が異なるようにして、セパレータを介して向かい合う正極層と負極層の端部が異なる位置となるようにしてもよい。
【0154】
そのほか、本願の特許請求の範囲に記載された技術的範囲においてさまざまな変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0155】
1 双極型二次電池、
10、20、30、40 双極型電極、
11 集電体、
12 正極層、
12a、12b 正極層の端部、
13 負極層、
13a、13b 負極層の端部、
14 セパレータ、
15 単電池、
51 シール部材、
52 ラミネートシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体の第1面に形成された第1電極層および前記集電体の前記第1面と対向する第2面に形成された第2電極層を有してなる双極型電極を有し、
前記双極型電極が複数枚、前記第1電極層と前記第2電極層との間にセパレータを介在させて向い合うように積層されており、
前記セパレータを介して向い合う前記第1電極層の端部に存在する凸部の位置と前記第2電極層の端部に存在する凸部の位置とが異なることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項2】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が前記セパレータの同じ辺側で前記セパレータを介して互いに異なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の双極型二次電池。
【請求項3】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が、前記集電体を介して前記集電体の同じ辺側のずれた位置にあることを特徴とする請求項2記載の双極型二次電池。
【請求項4】
前記第1電極層の端部に存在する凸部の位置と前記第2電極層の端部に存在する凸部のの位置は、2mm以上ずれていることを特徴とする請求項2または3記載の双極型二次電池。
【請求項5】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が、前記集電体を介して前記集電体の対向する辺側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の双極型二次電池。
【請求項6】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が前記セパレータを介して前記セパレータの直交する辺側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の双極型二次電池。
【請求項7】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が、前記集電体を介して前記集電体の直交する辺側に配置されることを特徴とする請求項6記載の双極型二次電池。
【請求項8】
前記双極型電極は正方形であることを特徴とする請求項6または7記載の双極型二次電池。
【請求項9】
前記双極型電極は、一つの集電体に形成されている第1電極層および第2電極層のそれぞれの前記凸部の位置が一致していることを特徴とする請求項1記載の双極型二次電池。
【請求項10】
前記第1電極層を正極層、前記第2電極層を負極層とした場合に、前記負極層の面積が前記正極層の面積以上あることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の双極型二次電池。
【請求項11】
集電体の第1面に形成されており端部に凸部が存在する第1電極層、および前記集電体の前記第1面に対向する第2面に形成されており端部に凸部が存在する第2電極層を有する双極型電極を用意する段階と、
前記双極型電極を複数枚、前記第1電極層の端部に存在している凸部の位置と前記第2電極層の端部に存在している凸部の位置が異なるように、セパレータを介在させて向い合うように積層する段階と、
を有することを特徴とする双極型二次電池の製造方法。
【請求項12】
前記双極型電極を用意する段階は、前記第1面にスラリー状の第1電極活物質を塗布することにより前記第1電極層を形成し、前記第2面に前記集電体を介して前記第1電極活物質の塗布開始位置と異なる位置からスラリー状の第2電極活物質を塗布開始することにより前記第2電極層を形成することを特徴とする請求項11記載の双極型二次電池の製造方法。
【請求項13】
前記双極型電極を用意する段階は、前記第1面にスラリー状の第1電極活物質を塗布することにより前記第1電極層を形成し、前記第2面に前記集電体を介して前記第1電極活物質の塗布開始位置と同じ位置からスラリー状の第2電極活物質を塗布開始することにより前記第2電極層を形成することを特徴とする請求項11記載の双極型二次電池の製造方法。
【請求項14】
一枚の集電体の第1面に形成されている第1電極層の端部に存在する凸部の位置と、前記集電体の前記第1面に対向する第2面に形成された第2電極層の端部に存在する凸部の位置とが異なることを特徴とする双極型電極。
【請求項15】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が、前記集電体の同じ辺側のずれた位置にあることを特徴とする請求項14記載の双極型電極。
【請求項16】
前記第1電極層の端部に存在する凸部の位置と前記第2電極層の端部に存在する凸部のの位置は、2mm以上ずれていることを特徴とする請求項14または15記載の双極型電極。
【請求項17】
前記第1電極層の端部に存在する凸部および前記第2電極層の端部に存在する凸部が、前記集電体の対向する辺側に配置されていることを特徴とする請求項14記載の双極型電極。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれか一つに記載の双極型電極が複数枚、第1電極層と第2電極層との間にセパレータを介在させて向かい合うように積層されていることを特徴とする双極型二次電池。
【請求項19】
集電体の第1面にスラリー状の第1電極活物質を塗布することにより第1電極層を形成し、集電体の第1面に対向する第2面に前記第1電極活物質の塗布開始位置と異なる位置からスラリー状の第2電極活物質を塗布開始することにより第2電極層を形成することを特徴とする双極型電極の製造方法。
【請求項20】
請求項1〜10および請求項18のうちいずれか1項に記載の双極型二次電池を複数個直列および/または並列に接続したことを特徴とする組電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−103089(P2010−103089A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133934(P2009−133934)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】