説明

反射基材、バックライトユニット、および反射基材の製造方法

【課題】 確実に輝度ムラの発生を防止可能な反射基材と、これを用いたバックライトユニット、および反射基材の製造方法を提供する。
【解決手段】 レーザ変位計3により反射基材の7の表面形状情報を取得する。次に、得られた凹凸情報をフーリエ変換し、反射基材の表面凹凸形状について、周波数と強度との関係を得る。次に、算出された周波数と強度との関係と、あらかじめ設定された基準データとを比較する。所定範囲の周波数領域において、強度が0.6を超える場合には不合格判定を行い、当該判断領域において0.6を超えるデータがなければ合格判定を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に液晶テレビなどのバックライトユニットに用いられる反射基材において、使用時に輝度ムラが発生することがなく、簡易に製造可能な反射基材、これを用いたバックライトユニット、および反射基材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビのディスプレイ等に用いられるバックライトユニットには、導光板に対して光を反射するシート状、フィルム状、板状等の反射基材が用いられる。この場合、反射基材を導光板の後方に配置し、例えばエッジライト方式によって導光板側方から光を照射することで、導光板の表面全体(すなわちディスプレイ全面)に対して光が均一に出射される。
【0003】
一方、用いられる部材(例えば反射基材)に問題等があると、ディスプレイに輝度ムラが生じる場合がある。輝度ムラとは、本来ディスプレイ全面で均一な輝度で視認されるべき場合においても、部分的に輝度が高いまたは輝度が低い部分が生じるものである。このような輝度ムラが生じると、正確な画像を再現することができず、当該ディスプレイの視認者に対しても不快感を与えることとなる。
【0004】
このようなディスプレイの輝度ムラに対しては、ディスプレイの表示画面の輝度分布情報を取得し、この輝度分布情報と該輝度分布情報の背景輝度との差分から求めた輝度変化量に対する背景輝度との比を表すコントラスト画像を生成し、コントラスト画像を2次元フーリエ変換した2次元フーリエスペクトルに、背景輝度または表示画面のサイズの少なくともいずれかに応じて設定され人間の視覚特性に準じたコントラスト感度関数を乗算し、その結果を2次元フーリエ逆変換して輝度ムラ成分の強度が輝度情報に含まれる評価用2次元画像を生成し、この評価用2次元画像の輝度情報に基づいて輝度ムラを定量評価するディスプレイの評価方法がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−180583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法は、反射基材自体の性状を特定するものではなく、実際に組み立てられた後に輝度ムラを定量評価するものである。したがって、どのような性状の反射基材が輝度ムラに悪影響を及ぼすものであるかを特定したものではない。
【0007】
一方で、反射基材の表面にしわなどが形成されると、この「しわ」などの表面の凹凸形状により輝度ムラが発生する可能性がある。すなわち、表面にある程度以上の凹凸形状を有する反射基材を用いてバックライトユニットを組み立てると、輝度ムラが確認される恐れがある。
【0008】
例えば、図7は、従来の反射基材10と、これを用いたディスプレイ13を示す図である。図7(a)に示すように、反射基材10は、製造工程で生じる凹凸11が表面に形成される場合がある。特に、発泡体基材では、加熱工程などもあるため、反射基材10の表面にしわ状の凹凸11が形成される場合がある。このような凹凸11は、例えば反射基材10の製造工程において、長手方向に沿って形成される場合が多い。
【0009】
このような凹凸11がある程度以上の大きさとなると、輝度ムラの要因となるものと考えられる。たとえば、このような反射基材10を用いてバックライトユニットを構成し、これに光を照射してディスプレイの前面より確認すると、凹凸11の形態に対応した範囲に、輝度ムラ15が発生する場合がある。したがって、バックライトユニットとして組み立てる前に、反射基材の表面凹凸量を測定して、反射基材の評価を行い、所定値以上の大きな凹凸を有する反射基材を廃棄することで、輝度ムラの発生を防止することができるとも考えられる。しかしながら、実際には単なる凹凸量と輝度ムラの発生とは完全には対応していない。したがって、製品工程で輝度ムラが発見されたり、過剰な凹凸量管理が必要となるなどの問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、確実に輝度ムラの発生を防止可能な反射基材と、これを用いたバックライトユニット、および反射基材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達するために本発明は、バックライトユニット用の反射基材であって、反射基材の幅方向の複数点を測定して得られる表面凹凸データをフーリエ変換し、得られた周波数と強度との関係から、測定点数をN点としたとき、波長が128mm以下の波成分の強度が0.6N/128以下であることを特徴とする反射基材である。
【0012】
前記反射基材は、前記表面凹凸データの最大凹凸量が50μm以下であることが望ましい。前記反射基材は、内部に微細気泡を有し、厚みが0.2mm以上であり、反射率が90%以上であり、結晶化度が30%以上であることが望ましい。前記反射基材の表面には軟質ビーズが塗布されてもよい。
【0013】
第1の発明によれば、製造が容易であり輝度ムラも発生を確実に防止可能な反射基材を得ることができる。特に、単なる表面の凹凸量のみで判断するのではなく、凹凸形状を波として扱い、輝度ムラの生じる波を特定するため、過剰な品質となることもない。
【0014】
また、表面凹凸データの最大凹凸量が50μm以下であれば、より確実に輝度ムラの発生を防止することができる。また、本発明の反射基材としては、内部に微細気泡を有する発泡性の反射基材であって、厚みが0.2mm以上、反射率が90%以上、結晶化度が30%以上であるものに特に有効である。軟質ビーズを均一に塗布すれば、導光板とのギャップを一定に保つことができ、輝度ムラの防止にさらに有効である。なお、軟質ビーズとしては例えば硬質のガラスやポリメタクリル酸メチル(PMMA)、軟質のポリメタクリル酸ブチル(PBMA)が使用できる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明にかかる反射基材と、前記反射基材の上に設けられる導光板と、前記導光板の側方に設けられる光源と、を具備することを特徴とするバックライトユニットである。
【0016】
第2の発明によれば、輝度ムラが発生することがなく製造が容易なバックライトユニットを得ることができる。
【0017】
第3の発明は、バックライトユニット用の発泡性の反射基材の製造方法であって、基材を発泡させる工程と、延伸度1.1〜1.8で延伸するとともに圧縮度0.6〜0.8で圧縮させる工程とを具備し、得られた基材の幅方向の複数点を測定して表面凹凸情報を得て、得られた表面凹凸情報をフーリエ変換して周波数と強度との関係を取得し、測定点数をN点としたとき、波長128mm以下に対応する周波数に対する強度が、すべて0.6N/128以下であるものを合格と判定することを特徴とする反射基材の製造方法である。
【0018】
第3の発明によれば、容易にかつ確実に輝度ムラが生じることがない反射基材を製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、確実に輝度ムラの発生を防止可能な反射基材と、これを用いたバックライトユニット、および反射基材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】反射基材製造装置1の構成図。
【図2】反射基材の解析の流れを示すフローチャート。
【図3】反射基材7に対するレーザ変位計3の測定部を示す図。
【図4】凹凸情報を示す図。
【図5】反射基材7に対するレーザ変位計の動作を示す図。
【図6】波情報を示す図。
【図7】従来の反射基材と輝度ムラの発生を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明にかかる反射基材製造装置1を示す構成図である。反射基材製造装置1は主に、凹凸量検出手段であるレーザ変位計3、解析装置5、延伸・圧縮ライン9等から構成される。
【0022】
反射基材7は、例えば発泡体などの樹脂基材であることが望ましく、シート状、フィルム状、板状などで形成される。反射基材7の厚みとしては0.2mm以上であることが望ましい。また、結晶化度は30%以上であることが望ましい。反射基材の厚みが0.2mm未満と結晶化度が30%未満だと、いずれも柔らかい状態なので波シワが発生しやすいので好ましくない。また、反射基材の性能を確保するためには、反射基材の全反射率は90%以上であることが望ましい。
【0023】
より詳細には、平均気泡径が50nm以上で50μm以下の微細な気泡または気孔を内部に有する熱可塑性樹脂シートに好適に用いることができる。このようなシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートの押出シートに炭酸ガスを高圧下で含浸させた後、加熱し発泡させたシートで、内部の気泡径が50μm以下である発泡プラスチック製光反射シートがある(例えば古河電気工業製のMCPET(登録商標)等)。
【0024】
また、反射基材7の好ましい他の例として、フィラーを含有する熱可塑性樹脂フィルムであって、フィラーを核として多数のボイドが成形されているフィルムを複数積層したもの、あるいは該フィルムをポリエチレンテレフタレート等の樹脂シートに貼合したものが挙げられる。上記フィラーを含有する熱可塑性樹脂はフィルム、フィラーを含有する未延伸フィルムを成形し、この未廷伸フィルムを延伸することにより、フィラーを核として多数のボイドを成形した多孔性延伸フィルムであることが好ましい。
【0025】
なお、反射基材7が発泡基材である場合には、反射基材製造装置1には、図示を省略した発泡、加熱ラインがさらに設けられる。また、前記シート、フィルムに用いられる樹脂中には、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、顔料、強化剤などの添加剤を適宜添加することもできる。また、これら添加剤を含有する塗布層をシート、フィルム上に成形してもよい。なお、図1で示す例では、ロール状に巻かれた長尺の基材に対してレーザ変位計3等が設置される例を示したが、解析装置5およびレーザ変位計3を、図示を省略した切断工程後に配置し、切断後の反射基材7に対してレーザ変位計3による計測を行ってもよい。この場合でも、切断工程および当該レーザ変位計による計測工程を含めて、反射基材製造装置1と称する。
【0026】
延伸・圧縮ラインでは、基材のしわ等を除去するため、基材の長手方向に所定量の張力が付与されるとともに、複数のローラによって基材の厚み方向に圧縮力が付与される。基材の圧縮度(圧縮後厚み/圧縮前厚み)としては、0.6〜0.8程度が望ましい。圧縮度が0.6よりも小さくなると内部気泡が潰れすぎて内部気泡数が少なくなり、反射率が低下するので好ましくなく、圧縮度が0.8以上では圧縮による波シワ抑制効果が少ないので好ましくない。
【0027】
また、基材の延伸度(延伸後長さ/延伸前長さ)としては、1.1〜1.8程度であることが望ましい。延伸度が1.1よりも小さくなると延伸による波シワ抑制効果が少ないので好ましくない。延伸度が1.8以上では内部気泡が潰れすぎて内部気泡数が少なくなり、反射率が低下するので好ましくない。
【0028】
レーザ変位計3は、反射基材7の表面から所定の距離に配置され、反射基材7の表面に対して一定距離を保ちつつ、反射基材7の進行方向とは垂直な方向(すなわち反射基材7の幅方向)に移動可能である。したがって、レーザ変位計3によって、対象となる反射基材7の表面の凹凸(「しわ」および厚み変化などをすべて含む反射基材全体の表面方向の凹凸量)を検出可能である。なお、反射基材7の凹凸情報を検出可能であれば、レーザ変位計3でなくてもよく、他の検出手段を用いてもよい。
【0029】
解析装置5は、レーザ変位計3からの情報を取得し、種々の解析および合否判定を行うことができるとともに、レーザ変位計3の動作を制御することができる。解析装置としては一般のコンピュータを用いることができる。
【0030】
例えば、解析装置5は、レーザ変位計3の動作を制御し、反射基材7の凹凸量を測定するとともに後述する演算を行い、反射基材7の合否判定および情報の記憶・表示等を行うことができる。
【0031】
次に、反射基材製造装置1によって、反射基材7を製造する工程について説明する。図2は、反射基材7の製造の流れを示すフローチャートを示す図である。まず、前述の通り、基材をアンコイルしつつ延伸・圧縮ライン9で所定量の延伸と圧縮が行われる(ステップ100)。なお、必要に応じて適宜発泡、加熱工程が追加されても良い。
【0032】
次に、図3に示すように、反射基材7の幅方向に対してレーザ変位計3を移動させ、または往復動作させて、反射基材7の表面凹凸量が検出される(ステップ101)。なお、表面凹凸量とは、単なる反射基材7の厚み変化ではなく、反射基材自体に生じるしわや変形等を含むものである。なお、反射基材7の製造方向ではなく幅方向に対して検査するのは、製造工程との関係で、反射基材7の表面凹凸(しわなど)は、幅方向に対して大きく生じるためである。
【0033】
具体的には、図示を省略した駆動部等によりレーザ変位計3を駆動させて反射基材7上を移動させながら、レーザ変位計3により反射基材の7の表面形状情報(凹凸情報)が取得される。凹凸情報は、反射基材7の幅方向に対して所定間隔の複数点の測定によって得られる。なお、レーザ変位計3の移動速度は、反射基材7の製造速度等に応じて設定されて制御される。
【0034】
次に、得られた凹凸情報から最大凹凸量が算出され、これが規定値を超えるか否かが判断される(ステップ102)。なお、規定値としては、製品に要求される品質に応じて適宜設定される。図4は、得られた凹凸情報を示す概念図である。図4に示すように、検査範囲(例えば反射基材7の幅方向への移動範囲)において得られた凹凸情報から、最大値および最小値を得て、この差が最大凹凸量(図中E)として算出される。
【0035】
すなわち、凹凸情報の最大値と最小値から最大凹凸量を算出し、あらかじめ設定された基準値(例えば50μm)と比較し、最大凹凸量が基準値を超えるか否かが判断される。なお、当該最大凹凸量の基準値は、あらかじめ対象製品毎の最大凹凸量と輝度ムラの発生傾向を調査し、輝度ムラが発生しない最大凹凸量の最大値を基準値として設定すればよい。
【0036】
算出された最大凹凸量が基準値(例えば50μm)以下であれば、合格判定を行い製品となる(ステップ107)。従来の凹凸量のみでの判断では、この判断で終了し、基準値を超える反射基材7が廃棄される。
【0037】
本発明では、ステップ102で最大凹凸量が基準値を超えたものについて、凹凸情報をフーリエ変換し、反射基材の表面凹凸形状について、周波数と強度との関係が取得される(ステップ103)。なお、上記ステップ102を省略し、全ての被検物に対してステップ103以降の評価を行ってもよい。また、前述したように、本工程を行う前に、反射基材7を所定長さ(製品サイズ)に切断する工程を加えてもよい。
【0038】
ここで、周波数は、反射基材7の凹凸形状のみならず反射基材7に対するレーザ変位計3の移動速度(凹凸形状の測定速度)にも依存する。このため、レーザ変位計3の移動速度はあらかじめ設定される。レーザ変位計3の移動速度としては、例えば200mm/s程度以下である。ここで、得られた凹凸情報はフーリエ変換され、周波数と強度との関係が得られるが、得られた周波数は、レーザ変位計3の測定条件等を加味して波長に換算して用いることもできる。
【0039】
なお、図5(a)に示すように、反射基材7が進行方向(図中矢印B方向)に移動しながらレーザ変位計を反射基材7の幅方向に往復移動させると、レーザ変位計による測定部(測定方向)は、反射基材7の幅方向に一致せず、反射基材7の移動速度に応じて斜めに測定することとなる(図中C方向)。一方で、図6(b)に示すように、反射基材7aを固定した状態で、同様に測定を行うと、測定部は反射基材7aの幅方向に一致する(図中D方向)。
【0040】
しかしながら、本発明においては、前述の通り、反射基材7が移動しながらレーザ変位計3を幅方向に移動させた場合において、実際には斜めに測定されて得られた凹凸情報も、反射基材7の幅方向の凹凸情報であると定義する。すなわち、検出された凹凸情報は、必ずしも反射基材7の幅方向に厳密に垂直な方向の情報である必要はなく、反射基材7の幅方向から多少斜めに測定された凹凸情報も、反射基材7の幅方向の凹凸情報として取り扱うものとする。
【0041】
次に、算出された周波数(波長)と強度との関係(波情報)とあらかじめ設定された基準データとが比較される(ステップ104)。すなわち、所定範囲の周波数(波長)領域における強度が、基準データにおける数値と比較される。基準データは、幅方向における凹凸の測定点数に依存するが、測定点を128点とした場合には、基準データとしては、例えば、所定範囲の周波数(波長)の強度が0.6以下であることとする。なお、測定点が128、256、512、・・・と増す毎に、基準データの数値(所定範囲の周波数(波長)の強度)を、0.6、1.2、2.4・・・と大きく設定すれば良い(例えば、測定点数Nとすれば、基準データ=0.6N/128)。
【0042】
この基準データは、あらかじめ対象製品毎に測定条件に応じた強度と輝度ムラの発生傾向を調査し、所定周波数において輝度ムラが発生しない強度を求めておけばよい。なお、以下の例では、測定点を128点とし、基準データが強度0.6である場合について説明する。
【0043】
次に、当該領域の強度として0.6(基準データ)を超えるデータがあるか否かが判断される(ステップ105)。強度が0.6(基準データ)を超える場合には、不合格判定がなされ、当該反射基材は廃棄される(ステップ106)。一方、当該判断領域全域において0.6(基準データ)を超えるデータがなければ合格判定とし、製品となる(ステップ107)。
【0044】
図6は、合否判定を行う波情報と基準データとの比較を表す概念図である。前述の通り、得られた波情報は、波長(または周波数)と強度との関係で示される。合格か否かの判断は、評価対象となる波長範囲(周波数範囲)である評価範囲25において、基準値(図中F)を超えるデータがあるか否かにより判断される。
【0045】
すなわち、評価範囲25において、基準値を超えるデータがあれば不合格とし、なければ合格となる。すなわち、評価範囲25以外については、強度について判定を行う必要はない。なお、評価範囲25は、あらかじめ各波長(周波数)と強度、および輝度ムラの発生傾向を調査し、輝度ムラが発生しない波長(周波数)の範囲を設定すれば良い。たとえば、評価範囲としては所定波長を設定すれば、それ以上の長波長の凹凸形状は輝度ムラには影響が小さいため、評価範囲から外すことができる。評価範囲としては、例えば波長128mm以下とすればよい。
【0046】
なお、前述の通り、基準データは、様々な周期、大きさの凸凹形状を有する反射基材のサンプルを用意し、バックライトユニット組み込み、目視で輝度ムラの発生の有無を確認し、輝度ムラを生じる周波数(波長)と測定点の数に応じた強度を特定して、予め定めておく。
【0047】
なお、反射基材をコイル状体で波情報による判定を行う場合には、所定間隔で繰り返し行ってもよく、連続して行ってもよい。また、上述の実施の形態では、1つのレーザ変位計3により得た情報から、最大凸凹量および輝度ムラを生じる特定波長の判定を行ったが、レーザ変位計3より上流側に、別途最大凸凹量の判定に用いるための最大凸凹量測定器を設けてもよい。
【0048】
本発明によれば、輝度ムラが生じることがない反射基材7を確実に得ることができる。特に、単なる最大凹凸量のみの評価では過剰品質となるところ、輝度ムラに悪影響を及ぼしやすい周波数(波長)領域の凹凸成分の強度を判定することにより、例えば、輝度ムラには影響しないような凹凸形状については合格として扱うことができる。
【実施例】
【0049】
次に、本発明による製造方法により得られた反射基材の評価例について説明する。被検体である反射基材は、以下のように製造した。
【0050】
まず、ポリエチレンテレフタレート(日本ユニペット株式会社製、RTー553C)100重量部に、ポリエステル系エラストマー(三菱化学株式会社製、プリマロイ(登録商標)B1942N)2重量部を添加して混練した後、0.48mm厚×540mm幅×355m長さのシートに成形した。この樹脂シートと、オレフィン系不織布のセパレータを重ねて、樹脂シートの表面同士が接触する部分がないように巻いてロール状にした。
【0051】
その後、上記ロールを圧力容器に入れ、炭酸ガスで5.2MPaに加圧し、樹脂シートに炭酸ガスを浸透させた。樹脂シートへの炭酸ガスの浸透時間は35時間とした。次に、圧力容器からロールを取り出し、セパレータを取り除きながら樹脂シートだけを220℃に設定した熱風循環式発泡炉に連続的に供給して発泡させた。得られた発泡体は均一に発泡しており、平均気泡径が0.9μmと非常に微細であった発泡体の厚さは0.7mmとなり、発泡体シートの全反射率は99.9%であった。
【0052】
なお、発泡された基材は、圧縮度0.73で圧縮して0.51mm厚さとするとともに延伸度1.5で延伸した。
【0053】
圧縮・延伸された反射基材から、幅520mmにカットした複数のサンプルを取り出し、レーザ変位計を所定高さの位置で幅方向(製造工程における長手方向に垂直な方向)に、50mm/sの速度、約4mmピッチで移動させて、測定点数128点での反射基材の表面凹凸量を検出し、前述した方法でそれぞれ評価を行った。
【0054】
さらに、評価後の反射基材に対して、バックライトユニットを仮組し、ディスプレイの表面における輝度を評価した。バックライトユニットの構成としては、反射基材上に順に、導光板、第1拡散フィルム、プリズムシート、第2拡散フィルムを組み立てた。導光板の側方には、エッジライト方式としてLED(Light Emitting Diode)光源を設けた。なお、プリズムシートは0.30mm厚の材質PETであり、第1拡散フィルムは0.31mm厚の材質PETであり、第2拡散フィルムは0.38mm厚の材質PETであり、導光板は4.0mm厚の材質アクリルのものを用いた。
【0055】
導光板の表面側には、導光板に垂直な方向に2次元色彩輝度計(コニカミノルタセンシング株式会社製CA2000)を設置し、導光板表面全体の輝度を測定した。得られた輝度に対して色調画像処理を行い、画像に基づき、目視により輝度ムラの発生を評価した。たとえば、周囲と不連続な輝度の変化や、部分的な輝度変化などがないかを目視で評価した。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
表1の「最大凹凸量50μm以下」とは、各被検体の最大凹凸量を調査し、50μmを超えたものを「×」とした。上記例では、最大凹凸量が50μmを超えたもののみを対象とした。なお、前述の通り、最大凹凸量が50μm以下であれば、全て輝度ムラは発生しなかった。また、「最大強度/最大強度波長」は、前述の方法で取得した凹凸形状の波情報に基づいて、フーリエ変換された波の最大強度と、最大強度となる波長を示したものである(波長は周波数および測定条件より求めた)。
【0058】
また、「本評価」は、本発明の評価方法において、基準データを0.6として、波長が128mm以下の領域において0.6を超える強度が認められれば「×」とし、当該領域で0.6以下であれば「○」とした。また、「輝度ムラ」は、実際にバックライトユニットを仮組し、ディスプレイの表面における輝度を評価して、目視で輝度ムラが認められたものを「×」とし、輝度ムラが確認されなかったものを「○」とした。
【0059】
表1に示すように、最大凹凸量が50μmを超える場合でも、凹凸の性状によっては輝度ムラが発生しない例があった。たとえば、No.2、No.3では、強度が0.6以下であり、輝度ムラは発生しなかった。また、No.6は、強度が0.6を超えるが、波長が128mmを超えているため、輝度ムラは発生しなかった。すなわち、輝度ムラはある程度以上の波長成分の凹凸では発生しない。
【0060】
一方、No.1、No.4、No.5は波長128mm以下の範囲の強度が0.6を超えるため、輝度ムラが発生した。
【0061】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0062】
1………反射基材製造装置
3………レーザ変位計
5………解析装置
7………反射基材
10………反射基材
11………凹凸
13………ディスプレイ
15………輝度ムラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトユニット用の反射基材であって、
反射基材の幅方向の複数点を測定して得られる表面凹凸データをフーリエ変換し、得られた周波数と強度との関係から、測定点数をN点としたとき、波長が128mm以下の波成分の強度が0.6N/128以下であることを特徴とする反射基材。
【請求項2】
前記反射基材は、前記表面凹凸データの最大凹凸量が50μm以下であることを特徴とする請求項1記載の反射基材。
【請求項3】
前記反射基材は、内部に微細気泡を有し、厚みが0.2mm以上であり、反射率が90%以上であり、結晶化度が30%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反射基材。
【請求項4】
前記反射基材の表面には軟質ビーズが塗布されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の反射基材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の反射基材と、
前記反射基材の上に設けられる導光板と、
前記導光板の側方に設けられる光源と、
を具備することを特徴とするバックライトユニット。
【請求項6】
バックライトユニット用の発泡性の反射基材の製造方法であって、
基材を発泡させる工程と、延伸度1.1〜1.8で延伸するとともに圧縮度0.6〜0.8で圧縮させる工程とを具備し、
得られた基材の幅方向の複数点を測定して表面凹凸情報を得て、
得られた表面凹凸情報をフーリエ変換して周波数と強度との関係を取得し、
測定点数をN点としたとき、波長128mm以下に対応する周波数に対する強度が、すべて0.6N/128以下であるものを合格と判定することを特徴とする反射基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−69498(P2012−69498A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215750(P2010−215750)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】