説明

反射防止積層体の製造方法

【課題】十分な反射防止性能と防汚性とを有しながら耐傷性が向上した反射防止積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】透明基材と、透明基材の少なく片面に形成されたゼオライトを含む低屈折率層を備え、ゼオライトは粒径5nm以上200nm以下であり、結晶化度が0.64以上であり、ゼオライトの含有量が5%以上95%以下であり、低屈折率層の屈折率が1.20以上1.40以下であることを特徴とする反射防止積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射防止積層体及びその製造方法に関し、特に、液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ及びELディスプレイなどの表示装置の表面で使用される反射防止積層体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にディスプレイは、室内外での使用を問わず、外光などが入射する環境下で使用される。この外光等の入射光は、ディスプレイ表面等において正反射され、それによる反射像が表示画像と混合することにより、画面表示品質を低下させてしまう。そのため、ディスプレイ表面等に反射防止機能を付与することは必須である。
【0003】
液晶ディスプレイの最表面で使用される反射防止積層体では、最表面に低屈折率層を設けることにより、反射防止機能を実現させる技術が提案されている。
【0004】
空気は他の物質に比べて屈折率が低い物質であるため、内部に空隙を有する無機質微粒子、多孔質あるいは中空シリカゾルをバインダマトリックス中に分散させ低屈折率層を形成する方式が提案されている。(特許文献1及び特許文献2参照)
【0005】
しかし、この時、得られた低屈折率層において、中空シリカが表面に多量に存在している。中空シリカのシェルはアモルファスであるため、十分な耐擦傷性が得られないという欠点がある。
【0006】
この欠点を克服するため、結晶性をもつ材料の利用の試みがあった。例えば、部分結晶化したゼオライトの前駆体からなるシリカゼオライト薄膜が提案されている(特許文献3参照)。内部空隙を有する部分結晶化したゼオライト前駆体を使用することにより、硬度が上がり、耐擦傷性能がアップした。しかし、前駆体を使用する場合には、内部の空隙が十分ではない。十分な低反射性能を得るため、硬化した薄膜を抽出溶剤に接触させ、有機ポリマーを除去して多孔化する工程も必要である。又、前駆体の結晶化度が低いため、得られた低屈折率層にアモルファス部分も大量存在し、耐擦傷性能が十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−133105号公報
【特許文献2】特開2001−233611号公報
【特許文献3】特開2004−37795公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、十分な反射防止性能と防汚性を有しながら耐擦傷性が向上した反射防止積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。特に、結晶性をもつゼオライトの結晶化度とサイズをコントロールすることにより、低反射かつ高耐擦傷性の両立の実現を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、透明基材を準備し、前記透明基材の少なく片面に透明基材の上にハードコード層を作製する工程と、前記ハードコード層の表面のアルカリ処理工程とゼオライト溶液合成工程と、前記ゼオライト溶液を含む低屈折率層用塗液作製工程と低屈折率層硬化する工程と、により結晶化度0.64以上のゼオライトを含む低屈折率層を形成することを特徴とする反射防止積層体の製造方法である。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、前記ゼオライトは粒径5nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体の製造方法である。
【0011】
本発明の請求項3に係る発明は、前記ゼオライトの含有量は5%以上95%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射防止積層体の製造方法である。
【0012】
本発明の請求項4に係る発明は、前記低屈折率層の屈折率が1.20以上1.40以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の反射防止積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、十分な反射防止性能と防汚性とを有しながら耐擦傷性が向上した反射防止積層体及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
本発明の実施の形態に係る反射防止積層体は、低屈折率層にゼオライトを含むことを特徴とする。ゼオライトとは結晶性をもち、かつ、内部空隙を有するアルミノケイ酸塩の総称である。低屈折層に内部空隙を有する結晶性ゼオライトを含むことにより、低反射率かつ耐擦傷性の向上を両立することができる。以下、最表面層が低屈折率層である形態について説明する。
【0016】
本発明の透明基材としては、種種の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いる
ことができる。例えば、ディスプレイ等の光学部材に通常使用される基材が挙げられ、透明性や光の屈折率等の光学特性、さらに耐衝撃性、耐熱性、耐久性などの諸物性を考慮して、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、セロファン等のセルロース系、6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
【0017】
さらに、これらの有機高分子に公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等を添加することにより、機能を付加させたものも使用できる。また、透明基材は上記の有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでなく、複数の層を積層されたものであってもよい。
【0018】
本発明の透明基材上にハードコート層を積層する場合がある。ハードコート層を積層する場合は、多官能ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型の樹脂と1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等の硬化性を向上させる光重合開始剤を用いることができる。
【0019】
本発明の実施の形態に係る透明基材の片面に形成される低屈折率層は、ゼオライトと適切選択した透明樹脂バインターとを主成分とする形態が好ましい。
【0020】
透明バインターとしては、特に制限されるものではないが、電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性の樹脂が使用でき、特に紫外線硬化型であるアクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のアクリル系や、有機珪素系の樹脂、熱硬化型のポリシロキサン樹脂であることが好ましい。
【0021】
本発明の実施の形態に係るゼオライトの微粒子としては、平均粒径が5nm以上200nm以下の範囲内であるのが好ましい。平均粒径が5nm以上200nm以下の範囲内にあると屈折率を下げることと透過性を損なわないことが両立できる。この平均粒径が200nmより大きくなると、低屈折率層の表面において光が散乱され、白っぽく見え、透明性が低下する。平均粒径が5nm未満であると、微粒子が凝集しやすくなってしまう。なお、平均粒径が40nm以上100nm以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の実施の形態に係るゼオライトの結晶化度は0.64以上であることが好ましい。結晶化度を0.64以上とすることにより、ゼオライト粒子の硬度と内部の空隙とを両立することができる。結晶化度が0.64未満であると、相当なアモルファス部分が結晶化してなく、ゼオライトの微粒子の内部空隙が少なくなってしまい、低反射率の実現が難しい。また、結晶化度が0.64未満であると、相当なアモルファス部分が残り、膜全体の硬度が低下する。なお、ゼオライトの結晶化度をIR分光分析により測定する方法についてはJ.Chem.Soc.,Chem.Commun.1982,1413に開示されている。本発明の塗布組成物の結晶化度( 440cm−1〜480c m−1付近のピーク面積に対する550cm−1〜650cm−1付近のピークの面積比)は0.63以上が好ましく、より好ましくは0.8以上であること。
【0023】
本発明の実施の形態に係るゼオライトの添加量は、低屈折率層中、5質量%〜95質量%であると、低反射効果が得られ、かつ、下層(例えば、ハードコート層)との密着性が向上する。ゼオライトの含有量は5%以下になると、十分な低反射効果を得られない。また、ゼオライトの含有率が95%以上になると、下層(例えば、ハードコート層)との密着性を損なう。さらに、ゼオライトの添加量が40質量%〜80質量%であることが好ましい。
【0024】
本発明の実施の形態に係る低屈折率層の屈折率が1.20以上1.40以下であると、反射防止性能が得られ、かつ、耐擦傷性が向上する。屈折率が1.40より大きくなると、十分な反射防止性能を得られない。屈折率が1.20未満になると、低屈折率層の空隙が多くなり、耐擦傷性が低下する。さらに低屈折率層の厚みは80nm以上120nm以下が好ましい。
【0025】
本発明の反射防止積層体は、通常、LCDディスプレイなどの表示装置の最外層に装着され使用されるものであるから、防汚性を有することが望ましい。ケイ素アルコキシドとフッ素シランとのモル比を1.0/0.01〜1.0/0.2とすることで、低屈折率化と強度を両立することができ、しかも防汚性能も発揮でき好適である。
【0026】
シランカップリング剤としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エボキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が例示でき、それらを単独に、或いは2種類以上併せて用いてもよい。
【0027】
フッ素シランとしては、パーフルオロポリエーテル基含有シランカップリング剤が好ましい。例えば、Rf−(OC−O−(CF−(CH−O−(CH −Si(OR)(但し、Rfは炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、nは1〜50の整数、mは0〜3の整数、lは0〜3の整数、sは0〜6の整数、但し、6≧m+l>0、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)が好ましい。
【0028】
また、本発明の反射防止積層体は加工工程上及び使用上の帯電による埃付着防止の観点から、導電性を有することが求められている。これを実現するために、低屈折率層の下に導電性を有する高屈折率層を設けることが好ましい。
【0029】
高屈折率層を形成する材料としては、導電性がある材料から選ばれ、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウム−酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛、酸化亜鉛−酸化アルミニウム(AZO)、酸化亜鉛−酸化ガリウム(GZO)、酸化インジウム−酸化セリウムから選ばれる一種または、二種以上の混合物を使用することができる。
【0030】
本発明の反射防止フィルムは以下の手順で製造したことを特徴とする。
透明基材の上にハードコード層を作製する工程と、前記ハードコード層の表面のアルカリ処理工程とゼオライト溶液合成工程と前記ゼオライト溶液を含む低屈折率層用塗液作製工程と低屈折率層硬化する手順で製造する。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
[ハードコート層の作製]
日本合成化学社製、商品名「UV1700B」の多官能ウレタンアクリレートを80質量部と、光重合開始剤であるチバスペシャリティケミカルズ社製、商品名「イルガキュア184」の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを5質量部とをメチルイソブチルケトン中で混合してハードコート層形成用塗液を調製した。
【0033】
[ゼオライトAの合成]
NaO:Al:SiO:HO=5.5:1.0:4.0:190のモル比で水酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、純水、シリカを混合した。混合物を60℃で4日振動し反応させてゼオライトAを得た。ゼオライトAを遠心分離機で、0.5時間処理して沈降粒子を除去した後で、粒子径が100nm以下のゼオライトAを得た。結晶化度は0.97であった。
【0034】
[ゼオライトBの合成]
ゼオライトAの合成と同様にして水酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、純水、シリカを混合した。混合物を60℃で1日振動し反応させてゼオライトBを得た。ゼオライトBを遠心分離機で、0.5時間処理して沈降粒子を除去した後で、粒子径が100nm以下のゼオライトBを得た。結晶化度は0.57であった。
【0035】
[低屈折率層用塗液Aの作製]
テトラミトキシシラン溶液1molにトリデカフチルトリメトキシシラン0.015molを添加し、混合溶液を作製した。混合液1molに対して1N水酸ナトリウム7.5molを加えたマトリックスとゼオライトAを60重量部と40重量部の割合になるように組み合わせて調液し、固形分換算で15%になるようにイソプロピルアルコールを加え、1時間攪拌加水分解させてから、イソプロピルアルコールを追加し、4wt%低屈折率層コーティング溶液を作製した。
【0036】
[低屈折率層用塗液Bの作製]
テトラミトキシシラン溶液1molにトリデカフチルトリメトキシシラン0.015molを添加し、混合溶液を作製した。混合液1molに対して1N水酸ナトリウム7.5mol加えたマトリックスとゼオライトBを60重量部と40重量部の割合になるように組み合わせて調液し、固形分換算で15%になるようにイソプロピルアルコールを加え、1時間攪拌加水分解させてから、イソプロピルアルコールを追加し、4wt%低屈折率層コーティング溶液を作製した。
【0037】
[低屈折率層用塗液Cの作製]
テトラミトキシシラン溶液1molにトリデカフチルトリメトキシシラン0.015molを添加し、混合溶液を作製した。混合液1molに対して1N塩酸7.5mol加えたマトリックスと内部に空隙を有するシリカゾルを60重量部と40重量部の割合になるように組み合わせて調液し、固形分換算で15%なるようにイソプロピルアルコールを加え、1時間攪拌加水分解させてから、イソプロピルアルコールを追加し、4wt%低屈折率層コーティング溶液を作製した。
【0038】
[実施例1]
(ハードコート層の形成)
調製したハードコート層の形成用塗液をマイクログラビア法によりトリアセチルセルロースフィルム(透明基材)上に膜厚5μmで塗布し、120Wのメタルハライドランプを20cmの距離から10秒間照射することにより、ハードコート層を形成した。
【0039】
[表面処理]
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材)上に形成したハードコート層の積層体を、50℃に加熱した1.5N−NaOH水溶液に2分間浸漬しアルカリ処理を行い、水洗後、0.5wt%−HSO水溶液に室温で30秒間浸漬し中和させ、水洗、乾燥処理を行った。
【0040】
[低屈折率層の作製]
低屈折率層用塗液Aをマイクログラビア法により塗布し120℃オーブンで5分間加熱硬化することにより、ハードコート層上に層厚100nmの低屈折率層を形成し、反射防止積層体を得た。
【0041】
[比較例1]
実施例1と同様にして、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材)上に、ハードコート層の形成用塗液を用いて、層厚5μmのハードコート層を形成した。さらに、実施例1と同様にして、ハードコート層の表面処理をおこなった。
【0042】
次に、低屈折率層用塗液Bをマイクログラビア法により塗布し120℃オーブンで5分間加熱硬化することにより、ハードコート層上に層厚100nmの低屈折率層を形成し、反射防止積層体を得た。
【0043】
[比較例2]
実施例1と同様にして、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材)上に、ハードコート層形成用塗液を用いて、層厚5μmのハードコート層を形成した。さらに、実施例1と同様にして、ハードコート層の表面処理をおこなった。
【0044】
次に、低屈折率層用塗液Cをマイクログラビア法により塗布し120℃オーブンで5分間加熱硬化することにより、ハードコート層上に層厚100nmの低屈折率層を形成した。以上により、反射防止積層体を得た。
【0045】
上記の実施例1、比較例1及び2において、各種物性評価方法を以下に示す。
【0046】
(1)光学特性
反射率:分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定した。
ヘイズ:プラスチックの光学的特性試験方法JIS−K7105のヘイズ試験方法に準じて算出した。
【0047】
(2)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて塗膜の残存数にて評価した。
【0048】
(3)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、300g/cm の荷重で往復5回擦傷試験を実施して、目視による傷の外観を検査した。評価は、傷なし(◎)、かるく傷あり(○)、かなり傷つく(△)、著しく傷つく(×)の4段階とした。
【0049】
(4)水接触角
被膜表面に水滴をのせ、水滴と表面の接触角を測定した。測定には協和界面科学(株)製の接触角計を用いた。
【0050】
(5)指紋拭き取り性
被膜表面に指紋を付着させ、ティッシュペーパーにて拭き取り性を目視で検査した。評価は、容易に拭き取れる(○)、拭き取れる(△)、拭き取れない(×)の3段階とした。
【0051】
【表1】

【0052】
表1に示すように、実施例1及び比較例2のいずれも反射率が低く、目的の低屈折率層を得ることができたが、実施例1に結晶化度0.97のゼオライト粒子を使うことにより得られた反射防止積層体は密着性、硬度、耐擦傷性、防汚性にも優れている。それに対して、結晶化ゼオライト粒子を使用してない比較例2の反射防止積層体は耐擦傷性の強度面で著しく特性が劣っていることがわかる。また、比較例1の結晶化度0.57ゼオライト粒子を使用することにより得られた反射防止積層体と実施例1により得られた反射防止積層体とを比較して、実施例1の反射防止積層体の方が耐擦傷性、反射率ともに優れていることわかる。
【0053】
本発明の反射防止積層体は、低屈折率層にゼオライトに添加することにより、低屈折率という光学特性と優れた物理的強度とを兼備した被膜を形成することができるものである。すなわち、本発明の反射防止積層体は、ディスプレイなどの最外層に配置され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられ、かつ防汚性に優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材を準備し、
前記透明基材の少なく片面に透明基材の上にハードコード層を作製する工程と、
前記ハードコード層の表面のアルカリ処理工程とゼオライト溶液合成工程と、
前記ゼオライト溶液を含む低屈折率層用塗液作製工程と低屈折率層硬化する工程と、
により結晶化度0.64以上のゼオライトを含む低屈折率層を形成することを特徴とする反射防止積層体の製造方法。
【請求項2】
前記ゼオライトは粒径5nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止積層体の製造方法。
【請求項3】
前記ゼオライトの含有量は5%以上95%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の反射防止積層体の製造方法。
【請求項4】
前記低屈折率層の屈折率が1.20以上1.40以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の反射防止積層体の製造方法。

【公開番号】特開2010−217678(P2010−217678A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66040(P2009−66040)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】