説明

反応チップおよび反応装置および反応チップの製造方法

【課題】 所望の耐薬品性を確保しつつ、反応に用いる溶液の蒸発損失を容易に抑制することができると共に、反応溶液の供給および回収を適切かつ容易に行う。
【解決手段】 反応部12を、基材10aの裏面10B上に設けられた溝部21と、この溝部21の開口端21aを覆うことで溝部21の開口部を封止して流路22を形成するフィルム23と、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25と、流路22および貫通孔25,25内に配設されると共に2つの各開口部24,24から突出する両端部26a,26aを有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応チップおよび反応装置および反応チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば生化学反応等において微量の試料溶液を処理する反応装置として、反応チップの母材の表面上に設けられた複数の反応場としての凹部と、各凹部毎に温度状態を制御可能なペルチェ素子等からなる温度制御装置とを備えると共に、複数の凹部の各開口部を閉塞可能な蓋を搬送する搬送装置を備える反応装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来、例えば生化学反応等において用いられる反応器として、反応チップの基材の表面上に設けられた複数の反応場としての凹部と、基材に熱溶着または圧着されて複数の凹部の各開口部を閉塞可能なフィルムとを備える反応器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−317030号公報
【特許文献2】特開平9−99932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術に係る反応装置および反応器によれば、微量の試料溶液の蒸発による損失を抑制するために蓋またはフィルムにより複数の凹部の各開口部が閉塞されるようになっている。
しかしながら、上記従来技術に係る反応装置のように蓋を搬送する搬送装置を備える場合には、反応装置の装置構成が複雑化してしまうという問題が生じる。また、この搬送装置によって異なる反応チップに対して共通の蓋を用いる場合には、蓋を洗浄する洗浄装置が必要となり、より一層、装置構成が複雑化してしまうという問題が生じる。
また、上記従来技術に係る反応器のようにフィルムによって各開口部を閉塞する場合には、反応終了後にフィルムを剥離するという煩雑な手間が必要となり、一連の処理工程を効率良く実行することが困難となる。
また、試料溶液に相対的に比重が軽いミネラルオイルを重層させる方法では、試料溶液の蒸発を抑制する作用を向上させることが困難であって、しかも、反応終了後に試料溶液を回収する際にミネラルオイルの混入を防ぐことが困難になるという問題が生じる。
【0004】
また、例えばポリメラーゼ連鎖反応等のように、相対的に高温の状態が維持される反応においては、試料溶液が貯留される凹部に対して、高温状態での所望の耐薬品性を確保する必要がある。
しかしながら、上記従来技術に係る反応器のように、相対的に耐薬品性が低いポリプロピレン等のプラスチックの材料により形成されている基材では、高温状態での反応により反応場としての凹部の劣化が促進されてしまうという問題が生じる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、所望の耐薬品性を確保しつつ、反応に用いる溶液の蒸発損失を容易に抑制することができると共に、反応溶液の供給および回収を適切かつ容易に行うことが可能な反応チップおよび反応装置および反応チップの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の反応チップ(例えば、実施の形態での反応チップ10)は、基材(例えば、実施の形態での基材10a)に設けられた耐熱性の管状部材(例えば、実施の形態での管状部材26)を具備する反応部(例えば、実施の形態での反応部12)を備えることを特徴としている。
【0006】
さらに、請求項2に記載の本発明の反応チップでは、前記管状部材は弾性材からなることを特徴としている。
【0007】
さらに、請求項3に記載の本発明の反応チップは、前記基材の表面上に、光学分析可能な検出部(例えば、実施の形態での検出部13、検出凹部13a)を備えることを特徴としている。
【0008】
さらに、請求項4に記載の本発明の反応チップでは、前記検出部は凹状であることを特徴としている。
【0009】
さらに、請求項5に記載の本発明の反応チップは、前記基材の表面上に、反応試薬を収容可能な試薬収容部(例えば、実施の形態での試薬収容部11、試薬収容凹部11a)を備えることを特徴としている。
【0010】
さらに、請求項6に記載の本発明の反応チップでは、前記試薬収容部は凹状であることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項7に記載の本発明の反応チップでは、前記反応部は、酵素反応用であることを特徴としている。
【0012】
さらに、請求項8に記載の本発明の反応チップでは、前記酵素反応は、ポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴としている。
【0013】
さらに、請求項9に記載の本発明の反応チップは、前記基材の裏面上に設けられた溝部(例えば、実施の形態での溝部21)と、前記基材を厚さ方向に貫通し、前記基材の表面上に設けられた2つの開口部(例えば、実施の形態での開口部24,24)に接続されると共に前記溝部の内部で開口する2つの貫通孔(例えば、実施の形態での貫通孔25,25)と、前記2つの開口部間で各前記開口部とは干渉しない位置において前記基材を厚さ方向に貫通する孔部(例えば、実施の形態での孔部39)とを備え、前記管状部材は、前記貫通孔内に配設されると共に前記2つの開口部から前記管状部材の両端部が突出することを特徴としている。
【0014】
また、請求項10に記載の本発明の反応装置は、請求項9に記載の反応チップを具備する反応装置(例えば、実施の形態での反応装置3)であって、前記管状部材を前記基材の厚さ方向の両側から挟み込み、前記管状部材の温度状態を制御する第1温度制御手段(例えば、実施の形態での表面側板状部材41および表面側温度制御装置43)および第2温度制御手段(例えば、実施の形態での裏面側板状部材42および裏面側温度制御装置44)を備え、前記第1温度制御手段は、前記基材の表面側から裏面側に向かい前記孔部内に挿入されて前記管状部材に当接可能とされ、前記第2温度制御手段は、前記基材の裏面側に装着されて前記管状部材に当接可能とされ、少なくとも、前記第1温度制御手段または前記第2温度制御手段は、互いに所定間隔を置いた位置から前記管状部材に向かい突出する2つの突出部(例えば、実施の形態での突出部41a,41aまたは突出部42a,42a)を備えることを特徴としている。
【0015】
さらに、請求項11に記載の本発明の反応チップの製造方法は、基材(例えば、実施の形態での基材10a)の表面上に溝部(例えば、実施の形態での溝部21)を設け、該溝部に耐熱性の管状部材(例えば、実施の形態での管状部材26)を収容して反応部(例えば、実施の形態での反応部12)を形成することを特徴としている。
【0016】
さらに、請求項12に記載の本発明の反応チップの製造方法は、基材の内部で中空となる中空孔(例えば、実施の形態での中空孔35)を設け、該中空孔に耐熱性の管状部材(例えば、実施の形態での管状部材26)を収容して反応部(例えば、実施の形態での反応部12)を形成することを特徴徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の本発明の反応チップによれば、管状部材からなる反応部が流路状であることから、反応部への溶液の供給および反応部からの溶液の回収が容易となる。これに加えて、反応部を耐熱性の管状部材を備えて構成したことにより、相対的に高温の状態が維持される反応が生じる場合であっても、反応部に対して高温状態での所望の耐薬品性を確保することができる。さらに、管状部材は、長手方向の2つの適宜の位置で、径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられることで、これら2つの位置間の内部を容易に密閉状態に設定することができ、反応部に供給された溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。また、管状部材が耐熱性かつ耐薬品性を有することから、反応チップの基材に必要とされる耐熱性および耐薬品性の条件を緩和することができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の反応チップによれば、管状部材の変形による密閉状態の形成および解除を容易に行うことができる。
【0018】
さらに、請求項3に記載の本発明の反応チップによれば、単一の基材に対して、少なくとも、所望の反応を生じさせる処理と、検出処理とを連続的に効率よく実行することができる。
さらに、請求項4に記載の本発明の反応チップによれば、基材の表面上に検出部を容易に形成することができる。
さらに、請求項5に記載の本発明の反応チップによれば、単一の基材に対して、少なくとも、反応試薬を収容する処理と、所望の反応を生じさせる処理とを連続的に効率よく実行することができる。
さらに、請求項6に記載の本発明の反応チップによれば、基材の表面上に試薬収容部を容易に形成することができる。
【0019】
さらに、請求項7に記載の本発明の反応チップによれば、相対的に高温状態となる酵素反応に用いられる溶液に対して所望の耐薬品性を確保することができると共に、酵素反応に用いられる溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。
さらに、請求項8に記載の本発明の反応チップによれば、相対的に高温状態となるポリメラーゼ連鎖反応に用いられる溶液に対して所望の耐薬品性を確保することができると共に、ポリメラーゼ連鎖反応に用いられる溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。
【0020】
さらに、請求項9に記載の本発明の反応チップによれば、基材の厚さ方向の両側において管状部材が露出することから、管状部材内に貯留された溶液の温度状態を制御する際に、基材を介在させずに、直接的に管状部材の温度を制御することができる。
【0021】
また、請求項10に記載の本発明の反応装置によれば、単一の方向、つまり基材の厚さ方向に沿って第1温度制御手段および第2温度制御手段を移動させるだけの単純な工程によって、容易に管状部材の内部を密閉状態に設定することができ、例えば各温度制御手段を変位させるための駆動機構等の装置構成が複雑化してしまうことを防止することができる。
【0022】
また、請求項11に記載の本発明の反応チップの製造方法によれば、管状部材からなる反応部が流路状であることから、反応部への溶液の供給および反応部からの溶液の回収が容易となる。これに加えて、反応部を耐熱性の管状部材を備えて構成したことにより、相対的に高温の状態が維持される反応が生じる場合であっても、反応部に対して高温状態での所望の耐薬品性を確保することができる。さらに、管状部材は、長手方向の2つの適宜の位置で、径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられることで、これら2つの位置間の内部を容易に密閉状態に設定することができ、反応部に供給された溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。
【0023】
また、請求項12に記載の本発明の反応チップの製造方法によれば、管状部材からなる反応部が流路状であることから、反応部への溶液の供給および反応部からの溶液の回収が容易となる。これに加えて、反応部を耐熱性の管状部材を備えて構成したことにより、相対的に高温の状態が維持される反応が生じる場合であっても、反応部に対して高温状態での所望の耐薬品性を確保することができる。さらに、管状部材は、長手方向の2つの適宜の位置で、径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられることで、これら2つの位置間の内部を容易に密閉状態に設定することができ、反応部に供給された溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る反応チップおよび反応チップの製造方法について添付図面を参照しながら説明する。
【0025】
本実施形態に係る生化学反応装置1は、例えば図1に示すように、反応チップ10に対して反応試薬を収容する試薬収容工程を実行する試薬収容装置2と、例えば酵素反応であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR:Polymerase Chain Reaction)等の所定反応を生じさせる反応工程を実行する反応装置3と、例えば光学分析等によりDNA等の検体を検出する検出工程を実行する検出装置4とを備えて構成されている。
【0026】
そして、生化学反応装置1の試薬収容装置2は、例えばポリメラーゼ連鎖反応等の各種の反応処理に用いる検体試薬および他の試薬と、検出工程で用いる各種の試薬と、希釈液またはバッファー液等とを、反応チップ10の試薬収容部11に収容する。
【0027】
そして、生化学反応装置1の反応装置3は、例えば反応工程での反応溶液の温度状態を制御するペルチェ素子等を具備する温度制御装置5を備えて構成されている。
例えば図1に示すように、温度制御装置5は、後述する反応チップ10の反応部12を厚さ方向の両側(つまり、表面側および裏面側)から挟み込むようにして配置される2つのペルチェ素子部5a,5bを備え、反応チップ10の表面と当接する各ペルチェ素子部5a,5bの表面は、後述する反応チップ10の反応部12の表面形状(例えば、凸形状等)に沿った形状(例えば、凹形状等)を有するように形成されている。
【0028】
そして、生化学反応装置1の検出装置4は、反応装置3によるポリメラーゼ連鎖反応等の所定反応によって調整された検体と、検出用の各種の試薬とを、反応チップ10の検出部13において反応させ、予め検体あるいは核酸プローブに付けた標識物質(例えば、蛍光物質)の有無を、例えば反応チップ10の検出部13の裏面側等から検出する発光検出を行う。
【0029】
反応チップ10は、例えば図2に示すように、単一の略長方形板状の基材10aに設けられた試薬収容部11と、反応部12と、検出部13とを備えて構成されている。
なお、基材10aは、好ましくは、例えばPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコン樹脂等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせ、あるいは、ガラス等により形成されることで、耐熱性、耐薬品性、成形加工性等に優れたものとなる。
【0030】
そして、試薬収容部11は、例えば基材10aの長手方向に沿った一方の端部に設けられ、基材10aの表面上に設けられた複数の凹穴状の試薬収容凹部11a,…,11aを備えて構成され、例えばポリメラーゼ連鎖反応等の各種の反応処理に用いる検体試薬および他の試薬と、検出工程で用いる各種の試薬と、希釈液またはバッファー液等を収容する。
【0031】
そして、後述する反応部12は、例えば基材10aの長手方向に沿った央部に設けられている。
そして、検出部13は、例えば基材10aの長手方向に沿った他方の端部に設けられ、基材10aの表面上に設けられた複数の凹穴状の検出凹部13a,…,13aを備えて構成され、反応部12においてポリメラーゼ連鎖反応等の所定反応により調整された検体と、検出用の各種の試薬とを収容する。
【0032】
なお、各試薬収容凹部11aおよび各検出凹部13aの形状は、特に限定されるものではなく、例えば円錐台形、角錐台形、円錐、角錐、曲面状の底部を有する形状等の適宜のウェル形状であってもよく、加工成形性、溶液の注入性等により適宜に設定される。
なお、各試薬収容凹部11aおよび各検出凹部13aは、基材10aがプラスチックからなる場合には、例えば切削加工、成型加工等により形成される。また、基材10aがガラスからなる場合には、例えば切削加工等により形成される。
【0033】
なお、各試薬収容凹部11aの大きさは収容する試薬の量に応じて設定され、例えば開孔径0.1〜10mm、深さ0.1〜10mmである。
なお、DNAの分析に用いる試薬の量は微量であるため、各検出凹部13aは、好ましくは、開孔径5mm以下、特に、開孔径0.01mm〜5mmであって、深さ5mm以下、特に、深さ0.01mm〜5mmである。
また、各試薬収容凹部11aおよび各検出凹部13aの内面は、例えば親水化または撥水化等の表面処理が施されてもよい。
【0034】
また、各試薬収容凹部11aおよび各検出凹部13aは、例えばPP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、TPXフィルム(三井化学株式会社製)などのメチルペンテン系フィルム、ゼオノア(日本ゼオン株式会社製)などのシクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂フィルム、フッ素系ポリマーフィルム等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせによる被覆フィルムにより被覆されてもよい。
【0035】
反応部12は、例えば図3(a)〜(d)に示すように、基材10aの裏面10B上に設けられた溝部21と、この溝部21の開口端21aを覆うことで溝部21の開口部を封止して流路22を形成するフィルム23と、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25と、流路22および貫通孔25,25内に配設されると共に2つの各開口部24,24から突出する両端部26a,26aを有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26とを備えて構成されている。つまり、この反応部12は、管状部材26による流路状であって、基材10aの表面10A上で開口する一方の開口部24から突出する一方の端部26aを有する管状部材26は、反応部12の内部において、順次、一方の貫通孔25と、溝部21およびフィルム23により形成された流路22と、他方の貫通孔25とに配設され、一方の端部26aが他方の開口部24から突出している。
なお、フィルム23は省略可能である。
【0036】
なお、フィルム23は、例えばPP(ポリプロピレン)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)、PA(ポリアミド)、PAN(ポリアクリロニトリル)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、TPXフィルム(三井化学株式会社製)などのメチルペンテン系フィルム、ゼオノア(日本ゼオン株式会社製)などのシクロオレフィン系フィルム、シリコン樹脂フィルム、フッ素系ポリマーフィルム等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせによる単層構造あるいは多層構造のフィルム、あるいは、例えばアルミニウム、銅、金等の各金属あるいは複数の金属の合金による単層構造あるいは多層構造のフィルム、さらには、プラスチックと金属との組み合わせによる多層構造のフィルム等である。
【0037】
そして、フィルム23の厚さは、例えば1〜500μmであって、好ましくは、1〜100μmであって、この範囲内で薄くなることに伴い、より好ましくなる。
なお、厚さが1μm未満であると、熱変形が過剰に大きくなると共に所望の強度を確保することができなくなり、一方、厚さが500μmよりも厚くなると、熱伝導性が過剰に低下し、反応部12内の溶液の温度状態を外部から制御する際に、溶液全体に対して温度状態を均一に制御することが困難となって、反応状態に対する所望の均一性を確保することができなくなる。
また、金属からなるフィルム23は、好ましくは、厚さが1〜50μmである。
【0038】
また、プラスチックからなるフィルム23は、好ましくは、熱伝導率が0,1kcal/mh℃以上であって、例えばPP(ポリプロピレン)では熱伝導率が0,119kcal/mh℃程度であり、PC(ポリカーボネート)では熱伝導率が0,166kcal/mh℃程度であり、PE(ポリエチレン)では熱伝導率が0,252kcal/mh℃程度である。
また、金属からなるフィルム23は、好ましくは、熱伝導率が100kcal/mh℃以上であって、例えばアルミニウムでは熱伝導率が177kcal/mh℃程度であり、銅では熱伝導率が324kcal/mh℃程度であり、金では熱伝導率が254kcal/mh℃程度である。
【0039】
なお、プラスチックからなる単層構造のフィルム23は、好ましくは、厚さが10〜100μm程度である。
なお、金属からなる単層構造のフィルム23は、例えば軟質アルミニウムの場合、好ましくは、厚さが5〜80μm程度であり、硬質アルミニウムの場合、好ましくは、厚さが5〜50μm程度である。
【0040】
また、プラスチックからなる多層構造のフィルム23は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)またはOPP(延伸ポリプロピレン)等により形成され、好ましくは、厚さが1〜20μm程度に設定されることで、所望の強靭性および柔軟性が確保される。
また、プラスチックと金属との組み合わせによる多層構造のフィルム23は、例えばアルミニウムの場合、好ましくは、厚さが7〜50μm程度であり、さらに、アルミニウムの表面上には、反応チップ10の基材10aの表面に、例えば熱溶着あるいは圧着により貼付可能なシール層が、アルミニウムと一体となるように設けられている。このシール層は、例えばナイロン等の樹脂フィルム状のシーラントがアルミニウムの表面上に積層、あるいは、例えばマレイン酸変性ポリプロピレン等がアルミニウムの表面上に塗工されて形成されている。このフィルム23では、さらに、強度を増大させるために、アルミニウム層側にPET(ポリエチレンテレフタレート)またはOPP(延伸ポリプロピレン)等のフィルムを積層させても良い。
【0041】
なお、フィルム23が貼付される基材10aの表面上には、例えば反応部12の溝部21や開口部24の周囲において表面上から突出する突出部を設け、この突出部とフィルム23とが当接するように設定してもよい。
【0042】
そして、耐熱性の弾性材からなる管状部材26は、高温状態(例えば、100℃程度)において所望の耐熱性および耐薬品性を有し、例えばシリコン、PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)、ビニール、フッ素樹脂、トアロン等の塩化ビニール、ポリエチレン、ポリプロピレン等から形成され、好ましくは、シリコン、PTFEから形成されている。
そして、管状部材26は、例えば5ulの反応溶液および反応溶液の両端に重層される各5ulのミネラルオイルを貯留可能であって、少なくとも、15ulの内容積を有している。
そして、管状部材26は、厚さが数mm程度(例えば、3mm以下等)とされ、例えば内径が2mm、外径が3mm、長さが6mm以上となるように設定されている。
【0043】
この管状部材26は、各開口部24,24から突出する各端部26a,26aが、径方向に沿って復元可能に押しつぶされるように、あるいは、長さ方向に沿って復元可能に屈曲するようにして弾性変形可能であって、これら両端部26a,26a間の内部を密閉状態に設定可能である。
【0044】
本実施形態の反応方法に係る生化学反応装置1および反応チップ10は上記構成を備えており、次に、この生化学反応装置1の動作について説明する。
【0045】
先ず、例えば図4に示すステップS01においては、試薬収容工程として、試薬収容装置2により、例えばポリメラーゼ連鎖反応等の各種の反応処理に用いる検体試薬および他の試薬と、検出工程で用いる各種の試薬と、希釈液またはバッファー液等とを、反応チップ10の試薬収容部11に収容する。
【0046】
次に、ステップS02においては、後述する反応工程として、所定反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)を生じさせる。
【0047】
次に、ステップS03においては、検出工程として、反応工程でのポリメラーゼ連鎖反応によって調整された検体と、検出用の各種の試薬(例えば、核酸プローブ等)とを、反応チップ10の検出部13においてハイブリダイゼーション等により反応させ、予め検体あるいは核酸プローブに付けた標識物質(例えば、蛍光物質)の有無を、例えば反応チップ10の検出部13の裏面側等から検出する発光検出を行い、一連の処理を終了する。
【0048】
以下に、上述したステップS02での反応工程について説明する。
先ず、例えば図5に示すステップS11においては、反応液供給工程として、反応チップ10の流路状の反応部12をなす管状部材26の端部26aから内部へと向かい反応溶液を供給する。
なお、ポリメラーゼ連鎖反応に対する反応溶液は、例えば血液等から抽出したDNAまたは予め生成された鋳型DNAと、ポリメラーゼ酵素と、各塩基の材料であるdNTP(デオキシヌクレオチド3リン酸)と、pHおよび濃度調整のための希釈液またはバッファー液とからなる。
【0049】
次に、ステップS12においては、封止工程として、反応溶液を貯留する管状部材26の内部へと向かい、管状部材26の各端部26aからミネラルオイルを供給し、例えば図6(a),(b)に示すように、管状部材26の内部において雰囲気中に露出する反応溶液Rの液面上にミネラルオイルMを重層させる。そして、各開口部24,24から突出する管状部材26の各端部26a,26aが、径方向に沿って復元可能に押しつぶされるように、あるいは、長さ方向に沿って復元可能に屈曲するようにして弾性変形させ、これら両端部26a,26a間の内部を密閉状態に封止する。
【0050】
次に、ステップS13においては、後述する反応生成工程として、ポリメラーゼ連鎖反応を生じさせ、一連の処理を終了する。
【0051】
以下に、上述したステップS13での反応生成工程について説明する。
先ず、例えば図7に示すステップS21においては、変性工程として、温度制御装置5により反応部12の温度状態を、所定時間(例えば、5〜25秒等)に亘って、所定温度(例えば、90〜100℃程度)となるように制御し、反応溶液のDNAを熱変性させる。
【0052】
次に、ステップS22においては、アニーリング工程として、温度制御装置5により反応部12の温度状態を、所定時間(例えば、15〜60秒等)に亘って、所定温度(例えば、50〜60℃程度)となるように制御し、各種のプライマー(つまり、DNAの断片)を所望の遺伝子配列と結合(アニーリング)させる。
【0053】
次に、ステップS23においては、伸長反応工程として、温度制御装置5により反応部12の温度状態を、所定時間(例えば、1〜5分等)に亘って、所定温度(例えば、65〜75℃程度)となるように制御し、DNAポリメラーゼによる相補鎖合成を行う。
【0054】
次に、ステップS24においては、一連の処理を継続するか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS21に戻る。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、一連の処理を終了する。
【0055】
なお、以下に、上述した反応チップ10の反応部12の製造方法について説明する。
先ず、例えば射出成型法あるいは切削加工法により、例えばPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコン樹脂等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせからなる基材10aの裏面10B上に溝部21を形成する(ステップS31)。
【0056】
次に、例えば切削加工法により、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25を形成する(ステップS32)。
【0057】
次に、溝部21内に管状部材26を装着すると共に、溝部21内の開口部から管状部材26の各端部26a,26aを貫通孔25,25内に挿入し、両端部26a,26aを各開口部24,24から突出させる(ステップS33)。
【0058】
次に、フィルム23によって溝部21の開口端21aを覆い、溝部21の開口部を封止するようにして、フィルム23を基材10aの裏面10B上に熱溶着あるいは圧着により、あるいは、例えばポリ酢酸ビニル系およびポリアミド系等の熱可塑性樹脂接着剤を介して貼付する(ステップS34)。
なお、PE(ポリエチレン)等からなるフィルム23は、熱溶着性であるため、接着剤を用いずに基材10aと貼り合わせることができる。
【0059】
以下に、上述した反応チップ10を実際に試験に用いた試験結果について説明する。
【実施例】
【0060】
先ず、ポリプロピレンからなる樹脂板(ノバテック社製PP、3mm厚)の基材10aに切削加工により溝部21および貫通孔25,25を形成した。
次に、管状部材26であるシリコン中空チューブ(テックジャム社製、外径2mm、内径1mm)を溝部21内に装着すると共に、溝部21内の開口部からシリコン中空チューブの各端部26a,26aを貫通孔25,25内に挿入し、両端部26a,26aを各開口部24,24から突出させた。
次に、管状部材26の端部26aから内部へと向かい反応溶液5ulを注入し、次に、各5ulのミネラルオイルを両端部26a,26aから内部へと向かい注入して反応溶液の両端に重層させた。
そして、各開口部24,24から突出するシリコン中空チューブの各端部26a,26aが、径方向に沿って復元可能に押しつぶされるように、あるいは、長さ方向に沿って復元可能に屈曲するようにして弾性変形させ、これら両端部26a,26a間の内部を密閉状態に封止した。
そして、反応チップ10に対して一連の反応生成工程を実行した。
この試験により、反応チップ10の代わりにポリプロピレンのマイクロチューブを用いて一連の反応生成工程を実行した場合と同程度の効率で、増幅産物が得られる事が分かった。
【0061】
上述したように、本実施の形態による反応チップ10によれば、反応チップ10の反応部12が流路状であることから、反応部12への溶液の供給および反応部12からの溶液の回収が容易となる。これに加えて、反応部を耐熱性の管状部材26を備えて構成したことにより、相対的に高温の状態が維持される反応が生じる場合であっても、反応部12に対して高温状態での所望の耐薬品性を確保することができる。さらに、管状部材26は、各開口部24,24から突出する各端部26a,26aが、径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられることで、これら両端部26a,26a間の内部を容易に密閉状態に設定することができ、反応部12に供給された溶液の蒸発損失を容易に抑制することができる。
しかも、反応チップ10は、単一の基材10aに試薬収容部11と、反応部12と、検出部13とを備えて構成されることから、一連の試薬収容工程と反応工程と検出工程とを連続的に効率よく実行することができる。
【0062】
なお、上述した実施の形態においては、反応チップ10を、試薬収容部11と、反応部12と、検出部13とを備えて構成するとしたが、これに限定されず、例えば試薬の種類や数、検体の種類や数等に応じて、複数の試薬収容部11,…,11と、複数の反応部12,…,12と、複数の検出部13,…,13とを備えて構成してもよい。
また、上述した実施の形態においては、反応チップ10において、試薬収容部11と、反応部12と、検出部13とを、流路等によって互いに接続してもよい。この場合には、検査時間を短縮することができると共に、微量の試料および試薬で各種の分析を精度良く行うことができ、分析に要する費用を削減することができる。
【0063】
なお、上述した実施の形態においては、流路状の反応部12において、基材10aの裏面10B上に設けられた溝部21および基材10aの裏面10B上に貼付されたフィルム23により流路22が形成されるとしたが、これに限定されず、例えば図8(a)〜(d)に示す第1変形例のように、反応部12を、基材10aの裏面10B上に設けられた溝部21と、この溝部21の開口端21aを覆うことで溝部21の開口部を封止するフィルム23と、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25と、流路22および貫通孔25,25内に配設されると共に2つの各開口部24,24から突出する両端部26a,26aを有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26と、基材10aの表面10A上において2つの各開口部24,24と干渉しない位置に設けられ、溝部21に接続される第2の溝部31と、第2の溝部31の底面31A上に貼付された第2のフィルム32とを備えて構成してもよい。
つまり、この第1変形例において、第2の溝部31の底面31A上には、溝部21に接続される開口部31aが形成されており、底面31A上に貼付された第2のフィルム32が開口部31aを封止すると共に、フィルム23が溝部21の開口端21aを覆うことで流路22が形成されている。
そして、基材10aの表面10A上で開口する一方の開口部24から突出する一方の端部26aを有する管状部材26は、反応部12の内部において、順次、一方の貫通孔25と、溝部21およびフィルム23により形成された流路22と、他方の貫通孔25とに配設され、一方の端部26aが他方の開口部24から突出している。
なお、この第2のフィルム32は、例えばフィルム23と同等のフィルムである。
【0064】
以下に、この第1変形例に係る反応チップ10の反応部12の製造方法について説明する。
先ず、例えば射出成型法あるいは切削加工法により、例えばPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコン樹脂等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせからなる基材10aの裏面10B上に溝部21を形成する(ステップS41)。
【0065】
次に、例えば切削加工法により、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25を形成する(ステップS42)。
【0066】
次に、例えば切削加工法により、基材10aの表面10A上において2つの各開口部24,24と干渉しない位置に第2の溝部31を形成し、この第2の溝部31の底面31A上の央部に、溝部21に接続される開口部31aを形成する(ステップS43)。
【0067】
次に、溝部21内に管状部材26を装着すると共に、溝部21内の開口部から管状部材26の各端部26a,26aを貫通孔25,25内に挿入し、両端部26a,26aを各開口部24,24から突出させる(ステップS44)。
【0068】
次に、フィルム23によって溝部21の開口端21aを覆い、溝部21の開口部を封止するようにして、フィルム23を基材10aの裏面10B上に熱溶着あるいは圧着により、あるいは、例えばポリ酢酸ビニル系およびポリアミド系等の熱可塑性樹脂接着剤を介して貼付する(ステップS45)。
【0069】
次に、第2のフィルム32によって第2の溝部31の開口部31aを封止するようにして、第2のフィルム32を第2の溝部31の底面31A上に熱溶着あるいは圧着により、あるいは、例えばポリ酢酸ビニル系およびポリアミド系等の熱可塑性樹脂接着剤を介して貼付する(ステップS46)。
この第1変形例においては、溝部21を形成する基材10aに対して相対的に厚さが薄くなることで熱伝導率が大きくなる第2のフィルム32によって流路22が形成されていることから、反応生成工程において反応部12に貯留された反応溶液全体の温度状態を容易に均一に制御することができる。これにより、反応部12の反応溶液全体に対して所定反応を容易に均一に発生させることができる。
【0070】
なお、上述した実施の形態および第1変形例においては、流路状の反応部12をフィルム23、あるいは、フィルム23および第2のフィルム32を備えて構成するとしたが、これに限定されず、各フィルム23,32を省略してもよい。
この場合、管状部材26の内部を密閉状態に設定する際には、例えば図9(a)〜(d)に示すように、溝部21内に装着された管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置で、径方向に沿って押しつぶすようにして変形させる。
また、特に、第1変形例においては、第2のフィルム32を省略することで、溝部21に接続される第2の溝部31の開口部31aから、溝部21内に装着された管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置を径方向に沿って押しつぶすようにして変形させてもよい。
【0071】
なお、上述した実施の形態においては、流路状の反応部12をフィルム23を備えて構成するとしたが、これに限定されず、例えば図10(a)〜(d)に示す第2変形例のように、反応部12を、基材10aの内部で中空となり、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続される中空孔35と、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に中空孔35内に配設され、2つの各開口部24,24から突出する両端部26a,26aを有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26とを備えて構成してもよい。
この第2変形例に係る反応チップ10の反応部12の製造方法では、例えば、上述した実施の形態でのフィルム23に代わりに、基材10aと同等の略長方形板状の第2の基材35aを基材10aの裏面10B上に、例えばポリ酢酸ビニル系およびポリアミド系等の熱可塑性樹脂接着剤を介して貼付して、第2の基材35aにより溝部21の開口端21aを覆うことになる。
また、この第2変形例に係る反応チップ10の反応部12の製造方法では、例えば射出成型法により、例えばPC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)、シクロオレフィン系ポリマー、フッ素ポリマー、シリコン樹脂等の各プラスチックあるいは複数のプラスチックの適宜の組み合わせからなる基材10aの内部に中空孔35を形成してもよい

【0072】
なお、この第2変形例においては、例えば図11(a)〜(d)に示すように、基材10aの表面あるいは側面上において各開口部24,24とは干渉しない位置から中空孔35に接続される、少なくとも2つの連通孔36,36を設け、これらの連通孔36,36から、中空孔35内に装着された管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置を径方向に沿って押しつぶすようにして変形させて、これら2つの位置間の内部を密閉状態に設定してもよい。
【0073】
なお、上述した実施の形態においては、例えば図12(a)〜(d)に示すように、基材10aの表面上において各開口部24,24とは干渉しない位置から溝部21に接続される、少なくとも2つの連通孔37,37を設け、これらの連通孔37,37から、溝部21内に装着された管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置を径方向に沿って押しつぶすようにして変形させて、これら2つの位置間の内部を密閉状態に設定してもよい。
また、例えば図13(a)〜(d)に示すように、基材10aの側面上において各開口部24,24とは干渉しない位置から各貫通孔25,25に接続される2つの連通孔38,38を設け、これらの連通孔38,38から、各貫通孔25,25内に装着された管状部材26を径方向に沿って押しつぶすようにして変形させて、管状部材26の内部を密閉状態に設定してもよい。
【0074】
なお、上述した実施の形態においては、単一の略長方形板状の基材10aに反応部12を設けるとしたが、これに限定されず、例えば図14(a)〜(d)から図16(a)〜(d)に示す第3変形例のように、反応部12を、適宜の方向に沿って互いに相対変位可能な複数の基材10a,…,10a(nは任意の自然数であって、例えば、n=2またはn=3)に亘って設けてもよい。
例えば図14(a)〜(d)に示す第3変形例では、溝部21が伸びる方向に沿って隣接する第1〜第3の基材10a,10a,10aが、各基材10a,10a,10aの厚さ方向および溝部21が伸びる方向に直交する方向に沿って互いに相対変位可能とされ、一方の開口部24および貫通孔25が第1の基材10aに形成され、他方の開口部24および貫通孔25が第3の基材10aに形成され、第1〜第3の基材10a,10a,10aに亘って溝部21が形成されている。
そして、溝部21および各貫通孔25、25に管状部材26が装着された状態で、例えば第2の基材10aが、第1および第3の基材10a,10aに対して相対的に変位することで、第2の基材10aと、各第1および第3の基材10a,10aとの境界位置において、変位方向に沿ったずれが生じ、管状部材26が屈曲することで、管状部材26の内部が密閉状態に設定されるようになっている。
【0075】
同様にして、例えば図15(a)〜(d)に示す第3変形例では、溝部21が伸びる方向に沿って隣接する第1〜第3の基材10a,10a,10aが、各基材10a,10a,10aの厚さ方向に沿って互いに相対変位可能とされ、一方の開口部24および貫通孔25が第1の基材10aに形成され、他方の開口部24および貫通孔25が第3の基材10aに形成され、第1〜第3の基材10a,10a,10aに亘って溝部21が形成されている。
そして、溝部21および各貫通孔25、25に管状部材26が装着された状態で、例えば第2の基材10aが、第1および第3の基材10a,10aに対して相対的に変位することで、第2の基材10aと、各第1および第3の基材10a,10aとの境界位置において、変位方向に沿ったずれが生じ、管状部材26が屈曲することで、管状部材26の内部が密閉状態に設定されるようになっている。
【0076】
また、例えば図16(a)〜(d)に示す第3変形例では、厚さ方向で隣接する第1および第2の基材10a,10aが、各基材10a,10a,10aの厚さ方向に直交する適宜の方向に沿って互いに相対変位可能とされ、2つの開口部24,24が第1の基材10aに形成され、溝部21が第2の基材10aに形成され、第1および第2の基材10a,10aに亘って各貫通孔25,25が形成されている。
そして、溝部21および各貫通孔25、25に管状部材26が装着された状態で、例えば第1の基材10aが、第2の基材10aに対して相対的に変位することで、第1の基材10aと、第2の基材10aとの境界位置において、変位方向に沿ったずれが生じ、管状部材26が屈曲することで、管状部材26の内部が密閉状態に設定されるようになっている。
【0077】
なお、上述した実施の形態においては、流路状の反応部12を溝部21およびフィルム23を備えて構成するとしたが、これに限定されず、例えば図17(a)〜(d)および図18(a)〜(d)に示す第4変形例のように、溝部21およびフィルム23を省略して、流路状の反応部12を、2つの各開口部24,24に接続される2つの貫通孔25,25と、貫通孔25,25内に配設されると共に2つの各開口部24,24から突出する両端部26a,26aを有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26とを備えて構成してもよい。
なお、図18(a)〜(d)に示す第4変形例では、さらに、各開口部24,24間で各開口部24,24とは干渉しない位置において基材10aを厚さ方向に貫通する孔部39が形成されている。
これらの第4変形例において、管状部材26の内部を密閉状態に設定する際には、例えば図17(d),図18(d)に示すように、基材10aの裏面10B側で各貫通孔25,25から突出する管状部材26を径方向に沿って押しつぶすようにして変形させる。
【0078】
なお、上述した実施の形態においては、流路状の反応部12を溝部21およびフィルム23を備えて構成するとしたが、これに限定されず、例えば図19(a)〜(d)に示す第5変形例のように、流路状の反応部12を、基材10aの裏面10B上に設けられた溝部21と、基材10aを厚さ方向に貫通し、基材10aの表面10A上に設けられた2つの各開口部24,24に接続されると共に溝部21の内部で開口する2つの貫通孔25,25と、貫通孔25,25内に配設されると共に2つの各開口部24,24から突出する両端部を有する耐熱性の弾性材からなる管状部材26と、各開口部24,24間で各開口部24,24とは干渉しない位置において基材10aを厚さ方向に貫通する孔部39とを備えて構成してもよい。
【0079】
この第5変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10によれば、例えば図3(a)〜(d)に示す上述した実施の形態に係る反応部12を具備する反応チップ10、および、例えば図9(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の第1変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10、および、例えば図12(a)〜(d)または図13(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10、および、例えば図14(a)〜(d)から図16(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の第3変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10、および、例えば図17(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の第4変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10に比べて、孔部39において管状部材26が露出することから、反応チップ10の反応部12を厚さ方向の両側(例えば、鉛直方向の上方側および下方側)から挟み込むようにして配置される2つのペルチェ素子部5a,5bにより管状部材26内に貯留された反応溶液の温度状態を制御する際に、特に鉛直方向の上方側において基材10aを介在させずに、直接的に管状部材26の温度を制御することができ、各ペルチェ素子部5a,5bと管状部材26との間の熱伝導性を、より一層、向上させることができる。
【0080】
また、この第5変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10によれば、例えば図8(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の第1変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10に比べて、孔部39において管状部材26が露出することから、後述するように、管状部材26の露出部分を押しつぶすようにして変形させるだけの単純な工程によって、容易に管状部材26の内部を密閉状態に設定することができる。
【0081】
また、この第5変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10によれば、例えば図10(a)〜(d)または図11(a)〜(d)に示す上述した実施の形態の第2変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10に比べて、孔部39において管状部材26が露出することから、反応チップ10の反応部12を厚さ方向の両側(例えば、鉛直方向の上方側および下方側)から挟み込むようにして配置される2つのペルチェ素子部5a,5bにより管状部材26内に貯留された反応溶液の温度状態を制御する際に、基材10aを介在させずに、直接的に管状部材26の温度を制御することができ、各ペルチェ素子部5a,5bと管状部材26との間の熱伝導性を、より一層、向上させることができる。
【0082】
また、この第5変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10によれば、例えば図17(a)〜(d)および図18(a)〜(d)に示す第4変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10に比べて、管状部材26が基材10aの裏面10B側で各貫通孔25,25から突出して鉛直方向の下方側に向かい撓むことが抑制され、反応チップ10の反応部12を厚さ方向の両側(例えば、鉛直方向の上方側および下方側)から挟み込むようにして配置される2つのペルチェ素子部5a,5bにより管状部材26内に貯留された反応溶液の温度状態を制御する際に、容易に溶液全体に対して温度状態を均一に制御することができる。
【0083】
なお、この第5変形例に係る反応部12を具備する反応チップ10に対し、反応工程を実行する反応装置3は、例えば図20に示すように、反応チップ10の厚さ方向の表面側(例えば、鉛直方向の上方側)から孔部39内に挿入されて管状部材26に当接する表面側板状部材41および表面側温度制御装置43と、反応チップ10の厚さ方向の裏面側(例えば、鉛直方向の下方側)から反応チップ10に装着されて管状部材26に当接する裏面側板状部材42および裏面側温度制御装置44とを備えて構成されている。
【0084】
そして、例えばアルミニウム等からなる表面側板状部材41の表面41A上には、ペルチェ素子部5aを具備する表面側温度制御装置43が配置され、例えばアルミニウム等からなる裏面側板状部材42の裏面42B上には、ペルチェ素子部5bを具備する裏面側温度制御装置44が配置され、表面側板状部材41の裏面41Bと、裏面側板状部材42の表面42Aとによって、管状部材26を反応チップ10の厚さ方向の両側から挟み込むようになっている。
また、裏面側板状部材42は、表面42A上から突出する2つの突出部42a,42aを備え、これら2つの突出部42a,42aは、基材10aの裏面10B側で露出する管状部材26の長手方向に沿って所定間隔を置いた2つの適宜の位置に当接可能とされている。これにより、表面側板状部材41と裏面側板状部材42とによって管状部材26を反応チップ10の厚さ方向の両側から挟み込むようにして、表面側板状部材41の裏面41Bおよび裏面側板状部材42の表面42Aが管状部材26に当接した状態で、2つの突出部42a,42aによって管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置が径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられ、これらの位置間において管状部材26の内部が密閉状態に設定される。
【0085】
この第5変形例に係る反応装置3によれば、単一の方向つまり反応チップ10の厚さ方向に沿って表面側板状部材41および裏面側板状部材42を移動させるだけの単純な工程によって、容易に管状部材26の内部を密閉状態に設定することができ、例えば各板状部材41,42を変位させるための駆動機構等の装置構成が複雑化してしまうことを防止することができる。
【0086】
なお、上述した第5変形例に係る反応装置3では、裏面側板状部材42に表面42A上から突出する2つの突出部42a,42aを備えるとしたが、これに限定されず、例えば図21に示すように、表面側板状部材41に裏面41B上から突出する2つの突出部41a,41aを備え、これら2つの突出部41a,41aは、孔部39内で露出する管状部材26の長手方向に沿って所定間隔を置いた2つの適宜の位置に当接可能とされてもよい。
この場合には、表面側板状部材41と裏面側板状部材42とによって管状部材26を反応チップ10の厚さ方向の両側から挟み込むようにして、表面側板状部材41の裏面41Bおよび裏面側板状部材42の表面42Aが管状部材26に当接した状態で、2つの突出部41a,41aによって管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置が径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられ、これらの位置間において管状部材26の内部が密閉状態に設定される。
【0087】
また、上述した第5変形例に係る反応装置3では、裏面側板状部材42に表面42A上から突出する2つの突出部42a,42aを備えると共に、表面側板状部材41に裏面41B上から突出する2つの突出部41a,41aを備え、表面側板状部材41と裏面側板状部材42とによって管状部材26を反応チップ10の厚さ方向の両側から挟み込むようにして、表面側板状部材41の裏面41Bおよび裏面側板状部材42の表面42Aが管状部材26に当接した状態で、2対の突出部41aおよび42a,41aおよび42aによって管状部材26の長手方向の2つの適宜の位置が径方向に沿って押しつぶされるようにして変形させられ、これらの位置間において管状部材26の内部が密閉状態に設定されてもよい。
【0088】
なお、上述した実施の形態においては、例えば図4に示すように、ステップS12のアニーリング工程と、ステップS13の伸長反応工程とを、順次、実行するとしたが、これに限定されず、例えばアニーリング工程および伸長反応工程を同時に実行してもよい。この場合には、温度制御装置5により反応部12の温度状態を、所定時間(例えば、1〜5分等)に亘って、所定温度(例えば、50〜70℃程度)となるように制御することで、各種のプライマー(つまり、DNAの断片)を所望の遺伝子配列と結合(アニーリング)させると共に、DNAポリメラーゼによる相補鎖合成を行う。
また、上述した実施の形態においては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を、マルチプレックスPCRとしてもよい。このマルチプレックスPCRでは、ホットスタート法(つまり、プライマーのミスアニーリングやオリゴマー化の発生を抑制するために、反応溶液が相対的に高温状態になってから伸長反応工程の実行を開始する方法)を適用することが好ましい。
【0089】
なお、本発明の実施の形態に係る生化学反応装置1は、様々な生化学系の反応用として用いることができ、例えば抗原抗体反応及びDNA反応の検出などに用いることができる。
抗原抗体反応による抗原検出の場合、例えば、予め各反応部12内に抗原を含む試料を入れておき、後から抗体を含む試薬を添加し、抗原または抗体に標識物質を付けておくことで、反応の有無を検出できる。標識物質としては、蛍光などの発光物質が一般的に用いられる。
【0090】
DNAの検出の場合、例えば、予め各検出部13内に核酸プローブを用意しておく。次に、検体DNAをウェル状の検出部13に供給し、核酸プローブと検体DNAとのハイブリダイゼーション反応により、DNAの検出を行うことができる。その際、検体DNAに標識物質を付けておけば、その標識物質の有無を検出することにより検出が可能となる。また、検体DNAとして、血液等から抽出したDNAをPCR法、LAMP法などにより調整しておいたものを用いることができる。また、核酸プローブとして配列の異なる核酸を複数用意することで検体DNAがどのような配列であるかを検出することができる。
【0091】
また、一塩基遺伝子多型(SNP)の解析にも用いることができる。なお、その場合、プローブ核酸やその検出に用いる物質は複数あってもよく、それらの物質のひとつが標識されていればよい。
【0092】
また、標識物質は、結合したプローブ核酸と検体DNAに特異的に作用するものを、反応後に加えることもできる。このようなものとしては、インターカレーターなどがある。また、ここでいう標識物質とは間接的なものも含む。すなわち、蛍光物質などに結合する物質を標識物質として検体DNAに結合させておき、後から蛍光物質を加えても良い。
【0093】
また、多段階反応を行ってSNPまたはDNAを検出してもよい。
例えば、インベーダー・アッセイ法(サードウェイブテクノロジーズ,Inc(米国ウィスコンシン州マディソン市)を用いても良い。これによりSNP解析の具現化を図ることが可能となる。
【0094】
この場合、検出DNAの検出に用いるプローブ核酸などの物質が複数種でもよく、予め各反応部12内に少なくとも1種の物質を入れておき、その後、検出DNAと他の物質を同時または順次注入し、反応をおこなっても良い。
【0095】
また、反応部12には、反応用液の乾燥を防ぐ目的でミネラルオイルなどの反応用液より比重の軽い溶液を加えても良い。
また、検体DNA又は抗原などは反応部12内に固定してもよいし、固定させずに保持させておくだけでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態に係る生化学反応装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る反応チップの斜視図である。
【図3】図3(a)は、本発明の実施の形態に係る反応部の斜視図であり、図3(b)は、本発明の実施の形態に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図3(c)は、本発明の実施の形態に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図3(d)は、本発明の実施の形態に係る反応部の断面図である。
【図4】図1に示す生化学反応装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に示すステップS02での反応工程の処理を示すフローチャートである。
【図6】図6(a)は、本発明の実施の形態に係る反応部の斜視図であって,反応部の内部において反応溶液の液面上にミネラルオイルを重層した状態を示す図であり、図6(b)は、本発明の実施の形態に係る反応部の断面図であって,反応部の内部において反応溶液の液面上にミネラルオイルを重層した状態を示す図である。
【図7】図5に示すステップS13での反応生成工程の処理を示すフローチャートである。
【図8】図8(a)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る反応部の斜視図であり、図8(b)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図8(c)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図8(d)は、本発明の実施の形態の第1変形例に係る反応部の断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の斜視図であり、図9(b)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図9(c)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図9(d)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の断面図である。
【図10】図10(a)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部の斜視図であり、図10(b)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図10(c)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図10(d)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部の断面図である。
【図11】図11(a)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部の斜視図であり、図11(b)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図11(c)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図11(d)は、本発明の実施の形態の第2変形例に係る反応部の断面図である。
【図12】図12(a)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の斜視図であり、図12(b)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図12(c)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図12(d)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の断面図である。
【図13】図13(a)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の斜視図であり、図13(b)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図13(c)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図13(d)は、本発明の実施の形態の変形例に係る反応部の断面図である。
【図14】図14(a)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図であり、図14(b)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図14(c)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図14(d)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図である。
【図15】図15(a)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図であり、図15(b)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図15(c)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図15(d)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図である。
【図16】図16(a)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図であり、図16(b)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図16(c)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図16(d)は、本発明の実施の形態の第3変形例に係る反応部の斜視図である。
【図17】図17(a)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部の斜視図であり、図17(b)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図17(c)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図17(d)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部の断面図である。
【図18】図18(a)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部の斜視図であり、図18(b)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図18(c)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図18(d)は、本発明の実施の形態の第4変形例に係る反応部の断面図である。
【図19】図19(a)は、本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部の斜視図であり、図19(b)は、本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部を表面側から見た平面図であり、図19(c)は、本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部を裏面側から見た平面図であり、図19(d)は、本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部の断面図である。
【図20】図19(a)〜(d)に示す本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部を具備する反応チップに対し、反応工程を実行する反応装置の断面図である。
【図21】図19(a)〜(d)に示す本発明の実施の形態の第5変形例に係る反応部を具備する反応チップに対し、反応工程を実行する反応装置の断面図である。
【符号の説明】
【0097】
3 反応装置
10 反応チップ
10a 基材
11a 試薬収容凹部(試薬収容部)
12 反応部
13 検出部
13a 検出凹部(検出部)
21 溝部
24 開口部
25 貫通孔
26 管状部材
35 中空孔
39 孔部
41 表面側板状部材(第1温度制御手段)
41a 突出部
43 表面側温度制御装置(第1温度制御手段)
42 裏面側板状部材(第2温度制御手段)
42a 突出部
44 裏面側温度制御装置(第2温度制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に設けられた耐熱性の管状部材を具備する反応部を備えることを特徴とする反応チップ。
【請求項2】
前記管状部材は弾性材からなることを特徴とする請求項1に記載の反応チップ。
【請求項3】
前記基材の表面上に、光学分析可能な検出部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2の何れか1つに記載の反応チップ。
【請求項4】
前記検出部は凹状であることを特徴とする請求項3に記載の反応チップ。
【請求項5】
前記基材の表面上に、反応試薬を収容可能な試薬収容部を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の反応チップ。
【請求項6】
前記試薬収容部は凹状であることを特徴とする請求項5に記載の反応チップ。
【請求項7】
前記反応部は、酵素反応用であることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1つに記載の反応チップ。
【請求項8】
前記酵素反応は、ポリメラーゼ連鎖反応であることを特徴とする請求項7に記載の反応チップ。
【請求項9】
前記基材の裏面上に設けられた溝部と、
前記基材を厚さ方向に貫通し、前記基材の表面上に設けられた2つの開口部に接続されると共に前記溝部の内部で開口する2つの貫通孔と、
前記2つの開口部間で各前記開口部とは干渉しない位置において前記基材を厚さ方向に貫通する孔部とを備え、
前記管状部材は、前記貫通孔内に配設されると共に前記2つの開口部から前記管状部材の両端部が突出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の反応チップ。
【請求項10】
請求項9に記載の反応チップを具備する反応装置であって、
前記管状部材を前記基材の厚さ方向の両側から挟み込み、前記管状部材の温度状態を制御する第1温度制御手段および第2温度制御手段を備え、
前記第1温度制御手段は、前記基材の表面側から裏面側に向かい前記孔部内に挿入されて前記管状部材に当接可能とされ、
前記第2温度制御手段は、前記基材の裏面側に装着されて前記管状部材に当接可能とされ、
少なくとも、前記第1温度制御手段または前記第2温度制御手段は、互いに所定間隔を置いた位置から前記管状部材に向かい突出する2つの突出部を備えることを特徴とする反応装置。
【請求項11】
基材の表面上に溝部を設け、該溝部に耐熱性の管状部材を収容して反応部を形成することを特徴とする反応チップの製造方法。
【請求項12】
基材の内部で中空となる中空孔を設け、該中空孔に耐熱性の管状部材を収容して反応部を形成することを特徴とする反応チップの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−20556(P2007−20556A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287713(P2005−287713)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】