説明

反応器のファウリングを測定し、そして検査する方法と装置

本発明は、温度θの流体が流れる反応器(R)のファウリングを測定する方法に係り、反応器はファウリング測定システムを含み、そして上述の詳細な説明に記載したような工程を含んでいる。
(選択図なし)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱交換器、もしくはホルダー(保温)、もしくは連続プロセス、例えば農食物産業に属する製品の生産ラインのような連続プロセスのパイプ形成部分におけるファウリング測定分野に係るものである。
【背景技術】
【0002】
連続プロセスにおいて、処理システムが使われるが、それは一つもしくはそれ以上の直列反応器を備えており、順次の処理工程、例えば安定化、保存、硬化、冷却そして加熱操作が行われている。それらの反応器は適当な手段で、一般には管状のパイプで相互に接続され、流体連絡している。
【0003】
考慮されている処理プロセスもしくは流体が何であれ、反応器の壁はファウリング現象が生じる場所である。ファウリング(付着物、汚れ(fouling))は、稼動期間の増加につれて大きくなり、プロセスの効率低下を少なくとも生じさせ、場合によってはシステムを不能とし、停止させて、ファウリングを除去しなければならなくなる。ファウリング現象は熱交換器もしくは保持領域のような反応器の性能を急激に低下させる。
【0004】
ファウリング現象はどんな流体処理でも生じ、特に水処理、二酸化炭素処理もしくは、一つもしくはそれ以上の調理工程を経て農食物製品を製造する方法を含めて農食物製品の製造の分野で生じる。そこではファウリングの動特性、強度、構成そして性質が異なるだけである。
【0005】
ファウリングは局所的な現象であって、操作条件や処理しようとする製品の性質や、反応器もしくはパイプ内の滞留時間によって変わり、その場所での分布の仕方によっても異なる。
【0006】
反応器及び又は流体連絡パイプ内でのファウリングの進展を監視することは流体処理のため連続処理を実施しているときには特に重要である。考慮している流体の処理効率を回復させるため処理施設の稼動を停止して清浄にする時期を決定しなければならないからである。
【0007】
そのような監視を実行するためには様々な方法やセンサーが考えられる。局所的な測定もしくは総体的な測定、製品がファウリングをつくるポテンシャルの評価、貫入性もしくは非貫入性測定、直接もしくは間接測定、稼働中の現場での測定(イン・ライン測定)もしくは事後測定、すなわちオフ・ライン測定である。
【0008】
反応器、特に熱交換型の反応器のための様々なファウリング状態制御システムは既に知られている。
【0009】
光学式ファウリング測定がPCT出願WO 00/60633に記載されており、そのシステムは反応器の半径軸を通ってビームを放出する光源とこの光源の正面に配置したセンサーとを備えている。時間の経過につれての光の伝達を測定し、その測定値は試験されている反応器内のファウリング・レベルに逆比例する。
【0010】
熱交換器タイプの反応器について記述されたシステムは反応器の壁面に分布した導線の網目を備えており、電流を循環させ、その導電網を導線の局所抵抗を測る手段へ接続している。反応器のファウリングの進展を導線回路網の電気特性の変数、例えば電圧や抵抗を計算することにより制御する(PCT出願WO 01/94876)。
【0011】
システムの異なる場所での温度上昇を測定することによる様々なファウリング制御システムも提案されている。
【0012】
例えば、米国特許2002/0108911に記載の水処理プラントのファウリング測定システムは2つの温度センサーを備えており、(i)第1の温度センサーは主流路に配置され、そして(ii)第2の温度センサーは主流路のバイパスに配置されている。この第2のセンサーは定期的に洗浄される。第1のセンサー(時間の経過につれて汚れるままとされている)と第2のセンサー(定期的に洗浄されていて汚れることはない)との間の温度差を測定することによりファウリング制御は行われる。
【0013】
米国特許5,590,706では、熱交換器型反応器におけるファウリング監視システムは反応器の出口と入口の両方で、被処理流体の流量を検出するセンサーと温度センサーとを組合わせ、熱交換器のファウリングレベルを〔流量〕〔温度〕の組合せの微分計算を反応器の出口と入口とでそれぞれ行うことにより決定している。
【0014】
欧州特許出願EP0 155 826が開示している熱交換器型反応器におけるファウリング監視システムでは、反応器を循環する被処理流体の流速を測定する測定手段と3つの温度センサーとを組み合わせている。最初の2つの温度センサーは反応器の出入口で、循環する被処理流体の流れの中にそれぞれ配置されている。第3のセンサーは交換器の内面の一部分に配置されており、その上を熱転送流体が循環している。このシステムにより時間の関数として反応器の熱転送係数を計算できる。熱転送係数はファウリングレベルの進展によって変わる。
【0015】
米国特許5,615,733の熱交換器型反応器内のファウリングを監視するシステムは反応器入口に配置された被処理流体の流量計と4つの温度センサーとを組み合わせている。最初の2つのセンサーは反応器の出入口にそれぞれ、被処理流体の流れの中に配置されている。第3と第4のセンサーは交換器の内面の一部分で、熱転送流体が貫流しているチューブの出口と入口とにそれぞれ配置されている。このシステムにより時間の関数として反応器の熱転送係数の値がどのように変わっていくかを監視できる。熱転送係数の値はファウリングレベルの進展によって変わってくる。
【0016】
以上に述べた既知のファウリングレベル測定システム、特に温度センサーを備えるシステムは満足すべきものではある。しかしながら、全般的にそれらは構成もしくは実施のいずれかで手の込んだものとなっている。
【0017】
米国特許2002/0108911はバイパスのパイプを備えた手の込んだ流路設計となっている。加えて、そのようなシステムは稼働中センサーの少なくとも一つを洗浄し、順次、間隔を置いて定期的に行う管理工程を必要とする。
【0018】
その他の記述のシステムは被処理流体の流速を測定する手段を設けた複数の温度センサーを、オプションとしての熱転送流体の流速を測定する手段と組み合わせている。
【0019】
さらに、従来のシステムの大部分は一つのタイプだけの、すなわち熱交換器型反応器のファウリングの監視に使用できるに過ぎない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
既知装置よりも設置が容易で、使い方も簡単な反応器のファウリング測定システムを最近の当業界では必要としている。
【0021】
本発明は流体処理施設におけるファウリングを制御することのできるシステムを提供する。
【0022】
更に、液体処理施設に属するいかなるユニットにおけるファウリングを監視するための適切なシステムが必要とされている。すなわち、いかなるユニットとは、液体連絡パイプ内あるいは熱交換型反応器あるいは他のタイプの反応器、例えば等温反応器(通常ホールディング反応器という)内で違いがないことである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は温度(θ)で流体が流れているファウリング測定システム付き反応器(R)の中のファウリングを測定する方法に係るものであって、
当該測定システムは
(i)能動的プローブを備え、このプローブは円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)を備える反応器(R)を流れる流体内に配置され、それの外面に第1の温度プローブ(2)は固定されており、そして
(ii)受動的プローブを備え、これは第2の温度プローブ(3)であり、反応器(R)を流れる流体内でヒート・ジェネレーター(1)の近くに配置されており、
前記の方法は、
a)温度(θ)まで前記のヒート・ジェネレーター(1)の外面を暖め、その温度(θ)は温度プローブ(2)により測定され、そしてファウリングのないときには反応器(R)を流れる流体の温度(θ)と比較して最大でも+0.5℃だけ異なり、その温度(θ)は温度プローブ(3)により測定され、
b)反応器(R)の稼動中温度(θ)と(θ)をそれぞれ測定し、そして差分(Δθ=θ−θを求め、そして
c)この差分Δθに応じて変化する反応器(R)のファウリング状態を決定する
ことを特徴とした方法である。
【0024】
また、本発明は連続プロセスを実施する装置に含まれるホールディング反応器(R)のためのファウリング測定システムに係るものであって、
この測定システムは
(i)反応器(R)を通って流れる流体内にあって、第1の温度プローブ(2)をその外面に固定している円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)である能動的プローブと、
(ii)第2の温度プローブ(3)である、ヒート・ジェネレーター(1)近くに配置した受動的プローブと
を備えていることを特徴とする。
【0025】
添付図について説明する。図1は本発明の反応器のファウリングの測定システムを示す。
【0026】
図2は本発明の反応器のファウリングの測定システムの実施例の詳細図であって、ホットワイヤー温度プローブ型のヒート・ジェネレーターと温度プローブ(熱電対とプラチナプローブ)とを備えている。
【0027】
図3および図4は本発明の測定法により得られた、乳(laitier(フランス語))製品のための処理施設のホールディング反応器中のファウリング状態制御の結果を示す。被処理製品は時間T=0で反応器(R)に入れられる。
【0028】
図5は本発明の反応器(R)のファウリング検出装置に使用するヒート・ジェネレーター(1)の動作域もしくは動作範囲を示す。
【0029】
右側の縦座標はヒート・ジェネレーター(1)に加えられる電流を、左側の縦座標は発生したパワーをそれぞれ示す。
【0030】
ファウリング検出器としてのヒート・ジェネレーター(1)の動作範囲もしくは動作域は図の灰色の中間域で示す。図に示されている結果は抵抗100Ω、長さL30mmそして直径1.6mmのホットワイヤープラチナプローブであるヒート・ジェネレーター(1)で得られた結果である。このようなヒート・ジェネレーター(1)ではファウリング検出装置の作動域もしくは作動範囲は(i)5mA<電流<50mAと(ii)2.5mV<パワー<250mWである。
【0031】
低電流ではヒート・ジェネレーター(1)は図の下側の黒く塗った領域もしくは範囲で温度プローブとして働く。
【0032】
高電流ではヒート・ジェネレーター(1)はもっぱら熱源として図の上部の白く塗った領域もしくは範囲で働く。
【0033】
図6は反応器(R)内のファウリングを調べるための本発明のファウリング検出装置を使う2つの方法を示している。
【0034】
縦座標はヒート・ジェネレーター(1)に流す電流を示し、横座標は任意の分析時間を示す。
【0035】
この図で下方の黒い曲線はヒート・ジェネレーター(1)に流れる電流の変化を示し、その時間では温度測定フェーズ(低電流)に一定頻度でファウリング制御フェーズが続く。
【0036】
図で上方の曲線は、時間に対するヒート・ジェネレーター(1)に流れる電流の変化を示しており、その変化中はファウリング生成フェーズ(高電流)と一定頻度でのファウリング制御フェーズとが交互となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
流体が貫流する反応器内のファウリングの監視は、反応器の特性としての熱転送係数を計算する必要もないし、反応器の状態の特徴を表わしているパラメーターとしての熱転送係数の変化を計算することもない本発明の測定方法を使って行えるのである。
【0038】
本発明の反応器内のファウリング状態を測定する方法は、一方で反応器を貫流する流体の温度を、他方でヒート・ジェネレーターの外壁の温度を測って、これらの温度差を測定するだけであり、このヒート・ジェネレーターの外壁の温度を制御して反応器にファウリングがないとき流れる流体の温度と同じ、もしくは殆ど同じとなるようにする。
【0039】
本発明の目的は温度(θ)で流体が貫流する反応器(R)内のファウリングを測定する方法を提供することであって、反応器にはファウリング測定システムを設けてあり、
この測定システムは
(i)第1の温度プローブ(2)をその外面に固定した円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)である、反応器(R)を流れる流体内に配置した能動的(active)プローブと、
(ii)第2の温度プローブ(3)であって、反応器(R)を流れる流体内でヒート・ジェネレーター(1)により画定される熱流域に配置した受動的(passive)プローブとを
備えており、
前記の方法は、
a)温度プローブ(2)により測定される温度(θ)まで前記のヒート・ジェネレーター(1)の外面を暖め、温度(θ)は温度プローブ(2)により測定され、そしてファウリングのないときには反応器(R)を流れる流体の温度(θ)と比較して最大でも+0.5℃だけ異なり、温度(θ)は温度プローブ(3)により測定され、
b)反応器(R)の作動時間中温度(θ)と(θ)をそれぞれ測定し、そして差分(Δθ=θ−θを求め、そして
c)この差分Δθに応じて変化する反応器(R)のファウリング状態を決定する
ことを特徴としている。
【0040】
上記の方法を実施するのに使用されるファウリング測定システムにおいては、第1の温度プローブ(2)はヒート・ジェネレーター(1)の外面に固定されている。この温度プローブ(2)はこうしてヒート・ジェネレーター(1)の熱流域に、そしてヒート・ジェネレーター(1)の壁と「媒体」との間の界面に配置されている。媒体は清浄な状態で、すなわち反応器(R)が汚れていないとき反応器(R)内で処理されている流体である。また、「媒体」は反応器(R)が汚れたときはファウリング物質になる。
【0041】
本文で使用する「反応器」とは流体が貫流する流体処理施設のユニットである。従って、「反応器」は当業者が伝統的に使用している用語に従って、狭義には流体処理施設の反応器を含む。また、「反応器」は本発明に従えば、初期の被処理流体を施設の設備に供給するパイプ、その設備から処理済の流体を抜くパイプ、そして設備の2つの別個のユニット、例えば伝統的な意味での2つの別個の反応器を流体連絡するパイプを含む。「反応器」は、処理されている流体の加熱や冷却を行えるようにするチューブ熱交換器を含む、熱交換型の反応器を特に含んでいる。非常に特別な場合、「反応器」は熱交換反応器とは程遠いタイプの反応器を含み、そのような反応器とは所謂「ホールディング反応器」であって、それは等温もしくは準等温反応器で、等温もしくは準等温工程を遂行でき、熱交換工程を含んで、例えば処理している流体を硬化したり、流体熱変換ホールディング工程を含んで、例えば処理している流体を硬化する。
【0042】
本文で使用する「流体」はいずれの液体も、そして処理施設の入口から出口へ流体処理工程を行なっているそれぞれの反応器を通って流れることができないほどは粘性の高くないポンプ汲み上げ可能の製品も含む。例えば、本発明の方法は、水、炭化水素、廃水スラッジ、アグリフードインダストリー業もしくは他の産業での、例えば砂糖、澱粉、野菜ピューレー、人間用または動物用食物製品をつくる基本ペーストなどのペースト状の製品を処理する流体処理方法に使用する反応器のファウリングの測定に適している。
【0043】
本発明によるファウリング測定法では、ファウリングのないとき反応器を貫流する流体に直接接触する能動的プローブのヒート・ジェネレーター(1)の外面を反応器内で処理される流体の温度と測定誤差の範囲で外れることはあるが理想的には同じ温度にまで暖める。換言すれば、反応器内にファウリングがないときには流れている流体の温度(受動的プローブ(3)で測定した温度)と能動的プローブの表面の温度との間には全く、もしくは殆ど差はない。この状態に到達するには、ヒート・ジェネレーター(1)へ供給されるエネルギーを制御して、ヒート・ジェネレーター(1)の外壁(1)の表面温度(温度プローブ(2)により測定される温度)が受動的プローブ(3)により測定される温度と測定誤差の範囲で離れることはあるが、同じであるようにする。換言すれば、ヒート・ジェネレーター(1)の外壁面ときれいな、汚れのない反応器を貫流する流体(1)との間にゼロもしくは殆どゼロの、最大でも0.5℃の温度差(Δθ=θ−θ)があるということである。
【0044】
実際には、汚れのない反応器における事前のキャリブレーティングによって、処理しようとする所与の流体が反応器を貫流する流体の温度θに一致する、もしくは殆ど一致する温度θになるには、流体と接触する外壁面に対しどの位のエネルギーをヒート・ジェネレーター(1)が放出しなければならないかを事前に決定することができる。
【0045】
有利であるには受動的プローブの温度θと流れる流体の温度θとの差は0.5℃に等しいか、それ以下、好ましくは最大でも0.4℃、さらに好ましいのは最大でも0.3℃、さらに好ましいのは0.2℃、そして最も好ましいのは最大でも0.1℃、さらに0.05℃である。
【0046】
受動的プローブの温度θと流れる流体の温度θとの差はプローブ(2)と(3)の温度測定精度によって変わる。プローブの精度が高いほど、温度差Δθは小さくなる。
【0047】
反応器(R)のファウリング状態を判定するには、反応器が汚れていない状態(すなわち、「きれいな状態」)で温度θは反応器(R)を流れる流体の温度θと同じか、殆ど同じでなければならない。ヒート・ジェネレーター(1)の外壁の進行するファウリングが反応器(R)の壁の同時進行のファウリングをできるだけ正確にシミュレートするためである。例えば、もしヒート・ジェネレーター(1)の外壁が反応器(R)を流れる流体の温度よりも著しく高いか、低いかする違った温度θまで暖められたとすれば、ヒート・ジェネレーター(1)のファウリング・レートは反応器(R)の同時のファウリング・レートをシミュレートすることはない。それでは反応器(R)の壁の汚れの状態とヒート・ジェネレーター(1)の汚れの状態との間ではいつも一致していないということになろう。
【0048】
流体処理施設の稼働中パイプや反応器の内壁に様々な沈着物が出てきて、その結果それらの実効内径はとりわけ小さくなり、そして流量は大きく変化し、反応器内で流体が処理される経過時間も大きく変化する。本発明の方法では反応器(R)の壁と反応器を流れる流体内に配置した能動的プローブの壁との両方に同時に汚れが沈着する。
【0049】
本発明の方法によればファウリング沈着層の厚みが能動的プローブの表面まで増大すると、ヒート・ジェネレーター(1)から反応器を流れる流体への熱転送が変化する。ファウリング沈着層が増加するほどに総合交換係数(K)は減少する。ファウリング沈着層の所与の厚みに対して、総合交換係数の値はファウリング沈着層の熱伝導λの値とプローブの形態とにより変わってくる。換言すれば、能動的プローブを含めて反応器が汚れると、能動的プローブの温度プローブ(2)が測定する温度θ値と受動的プローブの特異な要素である第2の温度プローブ(3)が測定する、流れている流体の温度θ値との差が測定される。
【0050】
流体処理の開始時には、反応器(R)の壁と能動的プローブの壁とがきれいで、そして熱流束密度が適度である(0から2kW/m)ので、そして温度と圧のレジームが定常であるので(もっとも数ミリメートルという非常に短い長さであるので温度も圧力も設定されていない)、熱転送係数(h)は高い値(二、三百から二、三千W.m−2.K−1)に達する。そのような状態の下では温度と圧力の限界層は、本発明の測定方法に使用される能動的プローブと受動的プローブを含む、反応器に漬けた物体の周囲に広がると考えられる。能動的プローブのヒート・ジェネレーター(1)が消散する低熱流束により、ヒート・ジェネレーター(1)の壁の外面と反応器(R)を貫流する流体との間の温度差は殆どゼロである。反応器(R)が汚れていないときにゼロもしくは殆どゼロである温度差(Δθ=θ−θ)は上述の熱流束から、そして総合熱転送係数(K)からの結果である。一定の熱流束が生じているので、ヒート・ジェネレーター(1)の壁の上のファウリング層の進行性沈着(これは反応器(R)の壁の同じ厚み(e)のファウリング層の進行性沈着に一致している)によって熱転送係数(K)の値が変化し、そしてそのため温度差(Δθ=θ−θ)の値も変化する。
【0051】
本発明の方法と装置とにより出願人は高感度での反応器(R)のファウリング検出を探求した。本発明の方法によれば、内の温度θと外の温度θとは制御され、そして熱流束が装置に加えられる。反応器(R)のファウリング測定精度は温度θと温度θの制御精度によって決まる。
【0052】
本発明の方法では温度差(θ−θ)の変動を検出する閾値を反応器(R)中に著しいファウリング沈積を検出する最小温度差であると考える。
【0053】
本発明の方法の実験条件において、ヒーター・パワー0.2W、熱伝導率0.1から0.6W・m−1・K−1までとしての処理中に生じる食物のファウリングについてはファウリングの厚みは0.5mm、そして0.1mmからでさえ検出される。
【0054】
また、本発明のファウリング測定装置を使ってファウリング現象を調べ、特に処理制御条件(処理する製品の温度と壁の温度、熱流束、剪断力)について比較してファウリング反応速度を調べ、理解することがあった。本発明のファウリング測定装置を使ってファウリング沈着の特性(沈積物の熱伝導率、ファウリングの動的特性、構造そして組成)を決定することもできる。本発明のファウリング測定装置を使って反応器(R)表面の性質、例えば処理された表面と被膜された表面、熱的条件と圧力条件、そしてファウリングのメカニズムの相関関係を調べることができる。本発明のファウリング測定装置を使って、熱交換器の形状大きさに関連している明確な条件(ファウリング現象を発生させる臨界作動条件)の下で沈着を形成することができる。こうして本発明のファウリング測定装置を使って、ファウリング分析を低コストで小規模設備によって行える。図6は、反応器(R)におけるファウリング現象を調べるための本発明のファウリング測定装置の使用法を示している。
【0055】
上に述べたように本発明のファウリング測定装置を使うことは設備の構造に関連した、そして流体を処理するプロセス条件、例えば食料製品を処理するプロセス条件に関連した圧力と温度環境を制御することを必要とする。本発明のファウリング測定装置は図5に示すファウリング検出範囲に一致する作動条件の下で使用されるべきである。
【0056】
できるだけ精度を上げファウリング測定を行うため最適条件で本発明のファウリング測定装置を使用するには、当業者は以下のパラメーターを最適調整するとよい。
‐最低のファウリング検出閾値を得るように高精度の温度プローブを使用する(精度閾値は0.1℃以下);
‐反応器(R)をきれいな状態で使用するとき温度差(Δθ)は0近くに設定する;
‐ヒート・ジェネレーター内で消散される熱量(10mW<P<250W)を調整して過熱とファウリングの生成を回避する。ファウリングの生成は過度の壁温度によるものである。
【0057】
最適状態で本発明の方法を実施するには当業者は以下の条件をつくる。
‐高精度の温度プローブ(2)、(3)を使って、高感度のファウリング検出を行う。
【0058】
例えば、当業者は測定精度±0.1℃、もしくは±0.05℃の温度プローブ(2)、(3)を使う。反応器(R)の清浄状態で、すなわちファウリングのないとき温度差(θ−θ)がゼロ近くになるような熱流束をヒート・ジェネレーター(1)に流す。例えば、当業者は温度差(θ−θ)が少なくとも0.1℃、もしくは少なくとも0.05℃にまでなるようにヒート・ジェネレーター(1)により消散される熱流束を流す。
【0059】
ヒート・ジェネレーター(1)に消散される熱量を調整してヒート・ジェネレーター(1)の壁に人工的なファウリングを生じさせることになるような過熱を防ぐ。例えば、反応器(R)で処理されている製品の温度θにもよるが、ヒート・ジェネレーターでの消散熱量(P)は10mWから250Wまで変わる。
【0060】
図6に示すように、電流供与量を正確に制御することで、本発明のファウリング測定装置を使って、(i)その装置が温度プローブとして働く領域で温度を測定でき、(ii)その装置がファウリング検出器もしくはその他として働く電流領域内でファウリングを制御でき、(iii)高電流に対して熱流束を制御することにより壁へ沈着物を形成できる。動作態様を選択し、そして所定の頻度数でポジションを変えることにより、本発明のファウリング装置が(i)温度プローブとして、(ii)ファウリング検出器として、(iii)ファウリング発生器として働く期間を制御できる。
【0061】
本発明の別の目的はファウリング沈積生成に関して反応器(R)の特性を分析する方法を提供することであり、その方法は以下の工程を含んでいる。
a)試験流体を流そうとする、試験しようとするファウリング沈着物のない反応器(R)に本発明のファウリング測定装置を設置し、
b)ファウリング検出器として測定装置が働く電流値(l)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、そして(Δθ)の値を測定し、
c)測定装置の壁をジェネレーター(1)が暖めるための(l)よりも高いか、もしくはジェネレーター(1)が温度プローブとして使用される(l)よりも低いかのどちらかの電流値(l)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、
d)測定装置がファウリング検出器として働く電流値(l)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、そして(Δθ)の値を測定し、
e)所望回数だけ工程(c)と(d)を繰り返す。
【0062】
上記の方法の工程(a)においてその反応器(R)はファウリング特性を試験しようとしているどのようなタイプの反応器であってもよく、その壁はどのような材料でも形であってもよい。
【0063】
上記の方法の工程(a)において試験しようとする流体はどのようなタイプの流体でもよく、反応器(R)を汚すそれの能力は、反応器(R)が完全な処理施設の流体回路の部分であるときの反応器(R)の実際の使用をシミュレートする作動条件でその特質に付き調べられる。工程(a)で設定される作動条件は反応器(R)内で試験しようとしている流体の温度条件、圧力条件そして流量条件を含んでいる。
【0064】
上記の方法の工程(b)において、使用されているヒート・ジェネレーター(1)のタイプに応じて設定した電流値(l)によってヒート・ジェネレーター(1)は図5の「動作範囲」内で作動して、反応器(R)が汚れていないので通常は殆どゼロであるΔθの値を測定する。
【0065】
上記の方法の工程(c)において、設定電流値(l)によりヒート・ジェネレーター(1)はジェネレーターの壁に汚れをつくる壁温(θ)を高める熱源として働くか、もしくは温度プローブとして働くことができる。
【0066】
上記の方法の工程(d)においてヒート・ジェネレーター(1)の電流値は値(l)に戻され、そして(Δθ)の新しい値を測定する。工程(d)では工程(a)で計算された(Δθ)の値を工程(d)の始めで測定した(Δθ)の値と比較する。
【0067】
上述の方法の幾つかの実施例では工程(d)は以下の準工程を備えている。
d1)測定装置のヒート・ジェネレーター(1)に、その装置がファウリング検出器として働く電流値(l)を流す。そして
d2)工程(a)で計算した(Δθ)の値を工程(d1)で測定した(Δθ)の値と比較する。
【0068】
上述の方法では反応器(R)のファウリング、実際は反応器(R)内に配置した本発明の測定装置の汚れを、工程(a)で計算した(Δθ)の値と工程(d)の終わりで、すなわち工程(d1)で計算した(Δθ)の値との差を観察して検出する。
【0069】
工程(c)それから工程(d)と続くこのサイクルを所望回数だけ繰り返す。そのサイクル数が多いほどそれだけ、全設備の長期使用をシュミレートすることによって反応器(R)のファウリング特性を分析することとなるこの方法はより効果的となる。例えば、サイクルの回数は2回ないし1000回まで変わり、一般には10回から200回である。
【0070】
工程b)、c)d)は反応器のタイプによって、そして試験しようとする流体のタイプによって異なる回数続く。工程b)とd)とは長期間、30分から100時間行われる。これらの工程中にファウリング沈積が形成されるからである。一般に言って、工程c)は測定工程なので短期である。しかし、どの場合でも工程c)は(Δθ)の値が安定するまでは続く。
【0071】
熱消散に関してせいぜいエッジ効果を減らすように、制御した均質な熱流束密度をヒート・ジェネレーター(1)の全表面で得られるように、そして制御した均質な熱流束密度を特に第1の温度プローブ(2)に接触するヒート・ジェネレーター(1)の表面で得られるように、そして能動的プローブと受動的プローブとが反応器(R)を流れる流体内に配置されるように能動的プローブの形状寸法、なかんずくヒート・ジェネレーター(1)の形状寸法を選定するのが好ましい。
【0072】
例として、平らなヒート・ジェネレーター(1)から成る平らな面を有する能動的なプローブについて、ヒート・ジェネレーターの外面の長さ(L)と外幅(l)はそれの厚み(E)よりも大きく、特に(L,l)/Eが5か、5よりも大きいヒート・ジェネレーターを使うのが好ましい。
【0073】
例として、円筒状のヒート・ジェネレーターから成る円筒状の能動的なプローブについて、外面の長さ(L)が半径(r)よりも長く、特にL/rが5か、5よりも大きいヒート・ジェネレーターを使うのが好ましい。いずれの場合も、能動的なプローブの長さ(L)は、そしてそれ故、ヒート・ジェネレーター(1)の長さは、反応器(R)における層流レジームの場合設定圧力レジーム(Lhyd)の設定長さよりも短いヒート・ジェネレーターを使用するのが好ましい。
Lhyd/d=a.Reβ(α,β∈IR
【0074】
ヒート・ジェネレーターの大きさを計算するには当業者はそのためのマニュアルを参照するのが便利である(例えば、Joulie R.,Mecanique des Fluides appliques,Ellipses Ed.,ISBN2−7298−6768−6 1998、そしてGnideski V.,Churchill S.W.,Single Phase convective heat transfer,in Heat Exchanger Design Handbook,Hemisphere publishing corporation Ed., ISBN O−89116−125−2,1983がある)。
【0075】
ヒート・ジェネレーター(1)がつくる熱束密度(Φ,W/m)はそのジェネレーターが消散するパワー(q,〔W〕)とそれの外壁の交換面積(S,〔m〕)の値との間の比を表わしている。ヒート・ジェネレーターがホットワイヤー温度プローブ、例えばプラチナワイヤー温度プローブである特定の実施例ではジェネレーター(1)が消散する熱流束密度は次式(A)となる。
Φ=q/S=RPt100・I/S=K・(θwall−θbulk) (A)
、ここで
‐Φは熱流束密度〔W.m
‐qは、ジェネレーター(1)へ加える電流値(l〔A〕)と電圧値(U〔V〕)の積で計算できる消散熱量〔W〕
‐RPt100〔Ω〕はヒート・ジェネレーター(1)のホットワイヤーの抵抗値
‐I〔A〕はジェネレーター(1)へ加える電流量
‐Kは総合交換係数〔W.m−2.K−1
‐θもしくはθwallはヒート・ジェネレーター(1)の外壁面の温度
‐θもしくはθbulkは反応器(R)を流れる流体の温度
【0076】
能動的プローブのファウリング層の厚みの値(e)は温度差(Δθ=θ−θ)から求められる。但し、処理中の反応器(R)に沈着する物質の熱伝導係数(λ)は既知であるとする。
【0077】
反応器(R)のファウリング状態を測定する方法の他の技術的特性を、能動的プローブと受動的プローブとを含む、当該方法の実施に使う様々な手段の特性に関して特に以下に説明する。
【0078】
既に述べたように、能動的プローブはヒート・ジェネレーター(1)から成り、それは円筒状もしくは平らであって、その外壁に第1の温度プローブ(2)を固定している。
【0079】
既知のどのようなタイプのヒート・ジェネレーターでも使えるが、但し反応器(R)を流れる流体と接触するそれの外壁面の温度は十分な精度で制御できるものとする。
【0080】
例えば、熱転送流体が流れる熱交換装置である既知のヒート・ジェネレーターはそのタイプが何であれ使える。
【0081】
ヒート・ジェネレーター(1)は電気抵抗として働く導電材料を備えたヒート・ジェネレーターである。図1を参照する。電気抵抗(11)として働く導電材料をヒート・ジェネレーター(1)の周囲の反応器(R)から液密なスリーブ(12)で絶縁している。このスリーブ材料は熱伝導材料から選択され、例えば樹脂、もしくはセラミックもしくは金属である。
【0082】
ヒート・ジェネレーターが既知のタイプのホットワイヤー温度プローブ、例えば図2のヒート・ジェネレーター(1)のプラチナワイヤーの温度プローブであるのがさらに好ましい。
【0083】
ヒート・ジェネレーターとしてホットワイヤー温度プローブを使って本発明の方法を実施するとき導電ワイヤーに加える電流量(l)はそれが発熱を生じるような値である。調整され、設定された熱流束密度は明確な測定条件の下で、能動的プローブ(2)の外壁面の温度を清浄状態での流体温度と同じ、もしくは殆ど同じ値とし、潜在的なファウリング形成を感知できるようにする。
【0084】
反対(1)では、もし印加電流が小さいと、同じホットワイヤープローブはそれが漬けられている媒体の温度を測定する。
【0085】
反対(2)では、もし印加電流が大きいと、同じホットワイヤープローブは熱源として働き、そして熱流密度は高くなる。この場合能動的プローブの表面温度は、(ファウリングのない)清浄状態での流体の温度の値と同じ、もしくは殆ど同じにはならない。
【0086】
例として、不錆鋼もしくはステンレス・スチールのさやを設けたプラチナワイヤー温度プローブのホットワイヤー温度プローブタイプ(L=125mm、実効L=30mm、Φ=1.6mm;参考:CORAM(フランス)市販の1716‐×‐Cu2‐125‐MMCU)を使うとき、得られるプローブ外壁の温度値によって異なるが、10mAから100mAまで変わる電流値(l)をそのプラチナワイヤーに印加するのが好ましい。電流が少ない、例えば5mAよりも小さいと、同じホットワイヤープローブは製造者が当初意図していた利用、すなわち、温度プローブとして働く。
【0087】
図2に示すホットワイヤー温度プローブでは、プラチナワイヤー(11)がプローブの縦軸を形成しているセラミックシリンダー(13)を巻いている。セラミックシリンダー(13)とプラチナワイヤー(11)とを備える全ユニットは液密のスリーブ(12)に収められる。このスリーブ(12)はプローブの内側から外側まで絶縁材料例えば、樹脂もしくはセラミックからつくられていて、その絶縁材料は例えばステンレス・スチールのような金属箔(122)で被膜してあり、その外面は外部環境に曝される。好ましくは、ヒート・ジェネレーター(1)の外壁は化学的に有害な流体、例えばソーダーをベースとした溶液のような強い塩基性流体、その他水素酸もしくは硫酸のような強い酸性溶液にも耐えられる。例えば、ある実施例ではヒート・ジェネレーター(1)の外壁材料は反応器(R)の壁と同じである。
【0088】
一般に言って、ヒート・ジェネレーター(1)は単位時間当たり、単位面積当たり少ない熱量を消散する。ヒート・ジェネレーター(1)が消散する熱量は時間が経っても変わらない。例えば、ヒート・ジェネレーターとしてホットワイヤー温度プローブを使用するとき、熱源は電気抵抗、例えばプラチナワイヤーによるダイレクト・ジュール効果で与えられ、そのときには温度プローブに流す電流は0mAから100mAまでの間の定電流である。そのような温度プローブでは一定の消散パワー(q)は式(q=U.l)に従ってプラチナワイヤーに加えられる電流値(l)と電圧値(U)によって変わってくる。そのような状態ではヒート・ジェネレーター(1)の壁の過熱は防げる。
【0089】
本発明の方法の実施に当って、制御手段によってヒート・ジェネレーター(1)へ適切な、しかし任意に予め決めたパラメーターを与え、それによって反応器(R)が汚れていない(清浄な状態)ときの反応器(R)を流れる流体の温度と同じ、もしくは殆ど同じ値に交換器の外壁面の温度を設定する。
【0090】
図1,2を参照する。ヒート・ジェネレーター(1)はスリーブ(12)の外壁面に直接接触する温度プローブ(2)を備えている。
【0091】
温度プローブ(2)はヒート・ジェネレーター(1)のスリーブ(12)の外壁面の温度を測定することのできる適当なタイプの温度プローブであれば何でもよい。温度プローブ(2)は熱慣性が小さく(30秒以下の応答時間)、場所を取らず、そして測定精度は完璧であるべきである。
【0092】
温度プローブ(2)は反応器(R)を流れる流体の意図される温度範囲内で測定するに適当な既知のタイプの熱電対プローブである。
【0093】
例として、使用できる熱電対は、K(ニッケル‐クローム/ニッケル‐アルミニューム)、T(銅/銅‐ニッケル)、J(鉄/銅‐ニッケル)、N(ニッケルークロミウムーシリコン/ニッケル‐シリコン)、E(ニッケル‐クロミウム/銅‐ニッケル)、R(プラチナ‐13%ロジウム/プラチナ)、S(プラチナ‐10% ロジウム/プラチナ)、B(プラチナ‐30% ロジウム/プラチナ‐6% ロジウム)、G(タングステン/タングステン‐26%レニウム)、C(タングステン‐5% レニウム/タングステン‐26% レニウム)もしくはD(タングステン‐3%レニウム/タングステン‐25%レニウム)タイプから選べる。
【0094】
特にKタイプの熱電対が温度プローブ(2)として使用するのに完全に適していることが証明された。
【0095】
温度プローブ(2)が熱電対プローブであるときは、熱交換器(1)の外面に直接接触するように熱交換器の縦軸に沿ってその温度プローブを配置するのが一層好ましい。最も好ましいのは、温度プローブ(2)が熱交換器(1)の外面に0.25.Lから0.75.Lの長さに沿って、さらに好ましいのは0.3.Lから0.7.Lの長さに沿って接触していることである(Lは熱交換器(1)の長さである)。
【0096】
本発明の方法の実施において、温度プローブ(2)はヒート・ジェネレーター(1)の外面の温度を測定するための信号をその信号の処理手段(4)に与える。温度プローブ(2)が熱電対であるとき、その信号はプローブへ加えた電流の値であり、その電流の値は温度につれて変化する熱電対の抵抗値に応じて変化する。
【0097】
温度プローブ(2)と組み合わせたヒート・ジェネレーター(1)は、反応器(R)の付着物を測定する本発明の方法に使用される能動的プローブの主要素を呈する。
【0098】
既に説明したように、本発明の方法は第2温度プローブ(3)である受動的プローブを用いている。第2温度プローブ(3)は反応器(R)内で能動的プローブ近くに、配置されている。
【0099】
第2温度プローブ(3)は反応器(R)を流れる流体の温度を測定するのに適した既知のどのような温度プローブであってよい。
【0100】
第2温度プローブ(3)は熱電対温度プローブもしくは他のどのようなタイプの温度プローブ、例えば「Pt100」と呼ばれるプラチナプローブであってよい。
【0101】
別の実施例では、第2温度プローブ(3)はホットワイヤー温度プローブタイプの温度プローブ、例えば、ヒート・ジェネレーター(1)として使用された装置と同じタイプの温度プローブである。第2温度プローブ(3)がホットワイヤー温度プローブである実施例では温度プローブとしてのそれの伝統的使用に適した電流を温度プローブに加える、すなわち、その電流値は10mA以下であるのが好ましく、電流値は製造者の‘Δインストラクションに従って設定する。
【0102】
第2温度プローブ(3)は信号を信号処理手段(4)へ加える。
【0103】
この信号処理手段(4)は、第1温度プローブ(2)が与える温度値(θ)と第2温度プローブ(3)が与える温度値(θ)とを所定時間比較する。信号処理手段(4)は、上記所定時間の差(Δθ=θ−θ)の値を供給する。
【0104】
本発明の方法に従って、値Δθの計算は、同時測定時間の(θ)と(θ)のシリーズについて行われる。例としては、例えば所定時間のインターバルである所定時間のシリーズで、同時に(θ)と(θ)を測定し、そして順次の各測定時間の値Δθを計算することにより本発明の方法を実施する。こうしてΔθの列は時間の関数となって展開する。時間のインターバルは、流体処理プロセスの実施のあり方ですなわち、本発明の測定方法を実施する反応器(R)内の予期されるファウリング・レートに従って予め決定される。時間のインターバルは、反応器(R)の中でのファウリングの進展に関しての予期される精度によって予め決定される。こうして、場合によるが、その時間のインターバルは数分の一秒から数分の間で変わる。
【0105】
本発明の方法によれば、限界値ΔθLimが所定の仕方で設定でき、その限界値からいつ反応器(R)の使用を中断し、清浄にしてから再開させるのが妥当であるかのか、そのファウリング状態について判定できる。例えば、そのΔθを超えて流体の処理プロセスを継続すればその作動や効率に影響を生じると言う最大許容ファウリングを本当に認められるそのΔθの値から経験的にその限界値ΔθLimを決められる。
【0106】
反応器(R)が受けるファウリングをできるだけ良好にシミュレートするため、ヒート・ジェネレーター(1)と温度プローブ(2)とを含む能動的プローブを流体内に配置する。能動的プローブの縦軸が反応器(R)の縦軸に平行になるように能動的プローブを配置するのが好ましい。そのような配向において、能動的プローブは反応器(R)の中での抵抗力および流れ抵抗をできるだけ小さくし、流体の流れ方向においてその流れにさらされる能動的プローブの表面は最大となる。
【0107】
Δθの値を正確に測定するため、反応器(R)内の流体の流れ方向に対して能動的プローブの上流端と受動的プローブの上流端とは反応器(R)の軸方向において、最大でも20cm、さらに好ましくは最大でも10cm、そして一層好ましくは最大でも5cmの距離(l)で相互から離れていることが望ましい。
【0108】
Δθの値を正確に測定するため、反応器(R)の半径方向に対して能動的プローブと受動的プローブとは、最大でも0.5.R(Rは反応器(R)の半径)の距離(r)で相互から離れていることが望ましい。
【0109】
能動的プローブと受動的プローブとは反応器(R)の同じ横断面内にあるのがさらに好ましい。
【0110】
本発明による反応器内のファウリング状態を測定する方法は、反応器(R)内の特定の温度と水圧の条件の下で、能動的プローブ(2)の全ての周りで実施されるのが最もよい。
【0111】
層流レジームでは、温度変動と圧力変動とが一定で、そして温度レジームと水圧レジームが能動的プローブの近くに設定されていないとそのプローブは最適に作動する。そのような条件が、最適な対流熱転送係数を確実なものとし、そして清浄な状態でのΔθ=(θ−θ)→Oを得ることができるようにする。
【0112】
いずれの場合も、能動的なプローブの長さ(L)、そしてそれ故、ヒート・ジェネレーター(1)の長さ(L)は、反応器(R)における層流レジームの場合、設定圧力レジーム(Lhyd)の設定長よりも短い。
Lhyd/d=a.Reβ(α,β∈IR
【0113】
適正なヒート・ジェネレーターの大きさを計算するには、当業者はマニュアルを参照すればよい(例えば、Joulie R.,Mecanique des Fluides appliques, Ellipses Ed.,ISBN2−7298−6768−6 1998、そしてGnideski V., Churchill S.W., Single Phase convective heat transfer,in Heat Exchanger Design Handbook, Hemisphere publishing corporation Ed., ISBN O−89116−125−2,1983).
【0114】
既に述べたように、ヒート・ジェネレーター(1)は平らか、円筒形である。
【0115】
本発明の測定方法の別の特徴によれば、能動的プローブの外壁面に沈着したファウリング層の厚み(e)を計算することにより反応器(R)のファウリング状態も決定できる。
【0116】
ヒート・ジェネレーター(1)が円筒形であるか、もしくは平らであるかに応じて、そしてそれ故、能動的プローブの形に応じて、以下に説明するように、ファウリング層の厚み(e)の計算は異なってくる。しかしながら、能動的プローブの両方の実施例についてファウリング層の厚み(e)の計算は、ファウリング層を形成する物質の熱伝導率(λ)を事前に知ることを要する。
【0117】
特定の流体についての所与の処理プロセスにおいて、反応器(R)の壁に沈着する物質の組成は、流体処理プロセスの連続実施中常に同じである。それ故、熱伝導率(λ)の値は、汚れた反応器(R)の壁に集まったファウリング物質のサンプルからこのパラメーターを測定することによりあらかじめ決定できる。パラメーター(λ)の値は、当業者が知っている固体物質に対する伝統的な熱係数測定法に従って決定できる。例として、熱伝導率(λ)は熱コンダクタンス測定器により予め決定できる。
【0118】
円筒状のヒート・ジェネレーター(1)を持つ能動的プローブの実施例ではファウリング層の厚み(e)を計算するため以下の式1,2から得られる式3を使用する。
【0119】
P=K・2・π・r・L(θ−θ) (式1)


、ここで
Pはヒート・ジェネレーター(1)により消散される熱パワーであり、このパワーPは次式4により電気量から求められる。
【0120】
P=U.I. (式4)
、ここで
Kは総合交換係数〔W.m−2.K−1〕を表わす。rはヒート・ジェネレーターの半径〔m〕を表わす。θはヒート・ジェネレーター(1)の外壁面温度〔K〕を表わす。θは反応器(R)を流れる流体温度〔K〕を表わす。Lはヒート・ジェネレーター(1)の全長〔m〕を表わす。hは対流熱転送係数〔W.m−2.K−1〕を表わす。rはヒート・ジェネレーター(1)の半径〔m〕を表わす。‐eはファウリング層の厚み〔m〕を表わす。λはファウリング層物質の熱伝導率の値〔W.m−1.K−1〕を表わす。
【0121】
対流熱転送係数(h)は温度プローブの、さらに具体的に言えばヒート・ジェネレーター(1)の周りの流れ状態によって異なる。
【0122】
流れは、乱流限定層か、ヒート・ジェネレーター(1)の表面で均一な熱流束密度となっている層流限定層かのどちらかの特徴を持っている。
【0123】
当業者は文献(熱交換設計ハンドブック、ヘミスフェア パブリッシング コーポレーション1983)で対流熱転送係数(h)を求める全く半経験的な相関関係を見出すこととなろう。一般に、これらの相関関係は次式のようになる。
Nu=ヌッセルト数、
Nu=h.L/λ
λ 流体熱伝導率〔W.m−1.K−1
‐Re=レイノルズ数、
Re=ρ・.U.L/μ
、ここで
ρ:流体密度〔kg.m−3
U:流体の流速〔m.s−1〕そして
μ:流体の動粘度〔Pa.s〕

‐Pr=プラントル数、
Pr=p・Cp/λ
Cp:流体の比熱〔J.kg−1.K−1
【0124】
実施に当っては対流項(1/h.(r+e))は沈着項の前で小さくなければならない。この点は、清浄状態では0に近い温度差Δθ=(θ−θ)のお陰で確認される。
【0125】
ファウリング中沈着項が優位を占めており、そして式3は対流項を除外して簡単になる。

Δθ=(θ−θ
‐Δθは温度差(θ−θ)〔°K〕を表わす。
‐Lはヒート・ジェネレーター(1)の長さ〔m〕を表わす。
‐hは対流熱転送値〔W.m−2.K−1〕を表わす。
‐Pはホットワイヤー中のパワー消散〔W〕を表わす。
ここで
‐rはヒート・ジェネレーター(1)の半径〔m〕を表わす。
‐λはファウリング層材料の熱伝導係数値〔W.m−1.K−1〕を表わす。
‐lnは自然対数を表わす。
‐eはファウリング層の厚み〔m〕を表わす。
【0126】
反応器(R)が汚れていないと、ファウリング層の厚み(e)はゼロであり、そして温度差(Δθ=θ−θ)は次の式6によって求められる。

パラメーターP、r、Lおよびhは既に述べた。
【0127】
平らなヒート・ジェネレーター(1)を持つ能動的プローブの実施例において、すなわち、両面のそれぞれが熱転送においてはっきりと役割を受け持っている並行パイプの形をしている能動的プローブの実施例においてはファウリング層の厚み(e)については式7と式8とから得た次の式9で計算する。
P=K.2.L・w・(θ−θ) 式7


、ここで
‐Pはヒート・ジェネレーター(1)が与える熱パワーを表わす。パワーPは式10により電気量(lU)から計算する。
P=l.U 式10
‐lは設定強度〔A〕を表わす。
‐Uは結果の電圧〔V〕を表わす。
‐Kは総合交換係数〔W.m−2.K−1〕を表わす。
‐Lはヒート・ジェネレーター(1)の長さ〔m〕を表わす。
‐wはヒート・ジェネレーター(1)の幅〔m〕を表わす。
‐θはヒート・ジェネレーター(1)の壁の外面の温度〔K〕を表わす。
‐θは反応器(R)を流れる流体の温度〔K〕を表わす。
‐hは対流熱転送値〔W.m−2.K−1〕を表わす。
‐λはファウリング層材料の熱伝導係数値〔W.m−1.K−1〕を表わす。
【0128】
反応器(R)が汚れていないと、ファウリング層の厚み(e)はゼロであり、そして温度差(Δθ=θ−θ)は次式11で計算する。

【0129】
ファウリング層の厚み(e)は次式7で計算する。

すなわち、

【0130】
実際に、温度差(θ−θは清浄な状態ではOとなり、式10は簡単となって、次の沈着厚みの式12を適用する。

すなわち、

それ故、温度差と沈着厚みとの間では直接比例している。
【0131】
本発明の別の目的は連続プロセスを実施する装置に含まれるホールディング反応器(R)のためのファウリング測定システムを提供することである。そのシステムは、
(i)反応器(R)を通って流れる流体内にあって、第1の温度プローブ(2)をその外面に固定した円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)である能動的プローブと、
(ii)第2の温度プローブ(3)である、ヒート・ジェネレーター(1)近くに配置した受動的プローブとを
備えている。
【0132】
測定システムに含まれる様々な手段の特性は既に説明した。それらの特性の中のあるものは後で概観する。
【0133】
反応器(R)の軸方向において上流端で、能動的プローブと受動的プローブとが数センチメートルの距離(l)で離れ、そしてプローブに必要な空間に従って(近接状態で)配置されている。Δθの値を正確に測定するため能動的プローブと受動的プローブとは、反応器(R)における流体の流れ方向に関し上流端で反応器(R)の軸方向に、最大でも20cmの、さらに好ましくは最大でも10cmの、一層好ましくは最大でも5cmの距離(l)で相互に配置されているのが望ましい。
【0134】
能動的プローブと受動的プローブとが、反応器(R)の半径方向において、最大でも0.5R(Rは反応器(R)の半径)の距離(r)離して向き合って配置されていることが更に好ましい。
【0135】
能動的プローブと受動的プローブとが反応器(R)の同じ横断面に配置されているのが好ましい。
【0136】
有利にはヒート・ジェネレーターはホットワイヤー温度プローブ、好ましくはプラチナワイヤー温度プローブである。
【0137】
プローブ(2)が薄い熱電対であって、そのため能動的プローブ(1)上でのステアリンの妨害が無視できる程度となっており、反応時間が急速となっている(熱慣性が小さい)。
【0138】
プローブ(3)は熱電対もしくはプラチナプローブ(Pt100)でよく、その選択基準は熱慣性が小さい状態で予期する測定レベルとなることによる。
【0139】
図1を参照する。本発明の測定装置の実施例では能動的プローブと受動的プローブとが信号処理手段(4)、好ましくはコンピューターのような信号をデジタル処理する手段へ接続されている。
【0140】
信号処理手段(4)は、能動的プローブと受動的プローブとからそれぞれ信号を与えられる受信手段を備え、具体的には(i)能動的プローブに含まれる第1の温度プローブ(2)と(ii)第2の温度プローブ(3)により信号を与えられる。プローブ(2;3)により与えられる信号は信号処理手段(4)により直接もしくは間接的に受けとられる。本発明のシステムの特定の実施例では熱プローブ(2;3)が与える信号はインターフェース(5)により直接受けられ、そのインターフェースは熱プローブ(2;3)が与えるアナログ信号、具体的には電流値を温度値(θ;θ)のデジタル信号に変換して信号処理手段(4)に送る。
【0141】
インターフェース(5)もヒート・ジェネレーター(1)に接続されている。インターフェース(5)はヒート・ジェネレーター(1)から能動的プローブに調整した熱量をつくることのできる制御信号を受ける。
【0142】
前に説明したように、ヒート・ジェネレーター(1)が、ホットワイヤー温度プローブであるとき、インターフェース(5)は電圧(U)と電流(l)の値の制御信号を与え、それらは直流ジェネレーター(6)により前記のヒート・ジェネレーターへ加えられる。図1に示す本発明の測定システムのある実施例では、ホットワイヤー温度プローブであるヒート・ジェネレーター(1)も直流ジェネレーター(6)に接続されている。この場合、直流ジェネレーター(6)はヒート・ジェネレーター(1)へ電圧値(U)と電流値(l)とを与え、それらの値はオペレーターが設定する。電圧(U)と電流(l)の値は本発明に従って反応器(R)内のファウリングを測定する方法の実施中は変えない。直流ジェネレーター(6)を介してヒート・ジェネレーターに与えられる電圧(U)と電流(l)の値は測定方法の始めにオペレーターが設定し、ヒート・ジェネレーター(1)の壁の外面の温度の値(θ)が反応器(R)が汚れていないとき反応器(R)を流れる流体の温度の値(θ)と同じ、もしくは殆ど同じであるように設定する。
【0143】
反応器(R)を使っての流体処理プロセスの全期間にわたって、インターフェース(5)は熱プローブ(2;3)が与える温度測定信号(θ)と(θ)とを受ける。インターフェース(5)を信号処理手段(4)へ接続する。能動的プローブと受動的プローブとが送信する複数のアナログ信号はインターフェース(5)によりデジタル信号に変えられる。インターフェース(5)が発生するデジタル信号は信号処理手段(4)へ送られる。
【0144】
信号処理手段(4)は本発明の測定システムの作動中はいつも値(Δθ=θ−θ)を計算している手段を構成している。さらに好ましくは、信号処理手段(4)は時間に対して値(Δθ=θ−θ)の変動を表わすグラフを発生する少なくとも一つの手段を備えており、それは例えばコンピューターのディスプレイ装置もしくは印刷装置であって、反応器(R)のファウリング状態の進捗を示す。
【0145】
一般的に、信号処理手段(4)はディスプレイ装置そしてオプションとしてプリンターを含むデジタル・コンピューターである。この手段(4)は少なくとも一つのメモリーを含んでいて、そのメモリーにはインターフェース(5)が与える測定データーに基づく一連の算術ステートメントを含むコンピューター・プログラムが入っており、様々な関連パラメーターによってユーザーはいつでも反応器(R)のファウリング状態を決定でき、(Δθ=θ−θ)のパラメータを算出し、そして沈着物の熱伝導率が知れるとその沈着物(e)の厚みが求められる。
【0146】
また、本発明の目的は流体を処理する連続プロセスを実施する装置を提供することであり、その装置はそれに含まれている少なくとも一つの反応器に上述のファウリング測定システムを設けていることを特徴としている。
【0147】
本発明を以下の実例によって説明するが、いかなる意味においても本発明をこれらに限定するものではない。
【0148】
実施例
実施例1:本発明のファウリング測定システムをつくること
1.能動的プローブをつくるには以下の要素を必要とする。
‐ステンレス・スチールの鞘をつけたプラチナ・ワイヤー温度プルーブ(1)(L=125mm;実効L=30mm、Φ=1.6mm)であって、CORAM(フランス)が市販しているD52−1716−X−Cu2−125−MMCUタイプのものである。
‐CORAM(フランス)が市販しているDC2−Ko25L−1000iの熱電対型K温度プローブ(L=1000;Φ=0.25mm)。
【0149】
熱電対温度プローブ(2)はプラチナワイヤー温度プローブ(1)に沿って施したはんだにより固定されている。この温度プローブ(2)は温度プローブ(1)の実効長さの真中にある。
2.受動的プローブをつくるにはクラスB、UE902327タイプのプラチナワイヤー温度プローブ(3)(L=25mm、Φ=3mm)を使う。Heraeus(スウェーデン)が市販。
3.プラチナワイヤー温度プローブ(1)の両極を調整式直流ジェネレーター(6)に電気的に接続して、0から50mAの電流を供給する。
4.さらに、プラチナワイヤープローブ(1)の両極をインターフェース(5)に電気的に接続する。インターフェースはAnalog Devices Inc(米国)が市販しているモジュール6Bタイプのアナログ/デジタル信号変換カードである。
5.熱電対温度プローブ(2;3)はインターフェース(5)へ電気的に接続されている。
6.インターフェース(5)それ自体はRS232タイプの正規化した接続を介してPCタイプのコンピューターへ接続され、このコンピューターのメモリーには適当な算術ステートメントを含むコンピュータープログラムを入れている。
7.円筒型(Φ=25mm、不錆鋼55316L)のホールディング反応器(R)にセンサーが配置されている。この能動的プローブは反応器(R)内に配置されていて、それの縦軸は反応器の横軸に平行となっている。能動的プローブは反応器(R)の内孔のほぼ中心に固定されている。
【0150】
受動的プローブはホールディング反応器(R)の中で能動的プローブの近くに、従って反応器の壁から離して固定されている。
【0151】
実施例2:本発明の反応器(R)のファウリングを測定するシステムをつくること
1.
実験プロトコール
研究したケースは殆ど知られていないホールディング域におけるファアウリング現象に係る。ホールデイングは、沈着現象(ファウリング)を生じさせる製品(調理、熟成)にとっては加熱工程と同程度、もしくはそれ以上に極めて重要な工程である。
【0152】
使用した施設は、以下の要素を直列接続して成る。フロート・ホッパー(水)と製品バット(A、B、C):水もしくは製品を回路に供給する3路制御弁、移送ポンプ、加熱域(プレート熱交換器もしくはチューブ熱交換器)、ホールディング域(円筒パイプ、Φ=25mm)、冷却域(チューブ熱交換器)そして受けタンク。
【0153】
この施設に水(熱と圧力のパラメーターの安定化)を供給し、それから時間T=0分から製品A、B、Cを供給した。これらの製品A、B、Cは多少でもファウリング現象を顕著にしようとして修正した物理化学的状態の乳製品タイプの製品である。
【0154】
本発明のファウリング測定システムはそれぞれ95℃と98℃の熱交換器反応器からの流体の流れ方向に対して下流側のホールディング反応器内に置かれた。
【0155】
2.
結果
温度差(Δθ=θ−θ)の変動は乳製品処理施設の稼働中ホールディング反応器のファウリング状態を表わしているパラメーターであるとして制御され、形成された沈着物の熱伝導率(λ=0.27W.m−1.K−1)が判ると沈着物の厚みが算定できる。
【0156】
結果は図3,4に示す。上述の作動条件のそれぞれについて、ホールディング反応器内のファウリング状態制御が時間をかけて行われた。図3でホールディング反応器内のファウリング状態は温度差(Δθ=θ−θ)値であるとして測定された。図4でホールディング反応器内のファウリング状態は沈着厚み(e)の算定に基づいて測定された。
【0157】
図4に示すように、ファウリングは動特性につれて変化し、処理と製品のタイプに応じて進展した。
【0158】
表1に示すような作動条件下で様々な試験を行った。

【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の反応器のファウリングの測定システムを示す。
【図2】本発明の反応器のファウリングの測定システムの実施例の詳細図であって、ホットワイヤー温度プローブ型のヒート・ジェネレーターと温度プローブ(熱電対とプラチナプローブ)とを備えている。
【図3】本発明の測定法により得られる乳製品のための処理施設にあるホールディング反応器内のファウリング状態制御の結果を示す。
【図4】本発明の測定法により得られる乳製品のための処理施設にあるホールディング反応器内のファウリング状態制御の結果を示す。
【図5】本発明の反応器(R)のファウリング検出装置に使用するヒート・ジェネレーター(1)の動作域もしくは動作範囲を示す。
【図6】反応器(R)内のファウリングを調べるための本発明のファウリング検出装置を使う2つの用法を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度(θ)で流体が流れているファウリング測定システム付き反応器(R)においてファウリングを測定する方法において、
前記の測定システムは
(i)第1の温度プローブ(2)をその外面に固定した円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)であって、前記の反応器(R)を流れる流体内に配置されている能動的プローブと、
(ii)第2の温度プローブ(3)である、前記の反応器(R)を流れる流体内で前記のヒート・ジェネレーター(1)近くに配置した受動的プローブとを
備えており、
前記の方法は、
a)前記の第1の温度プローブ(2)により測定される温度(θ)まで前記のヒート・ジェネレーター(1)の外面を暖め、温度(θ)は前記の第1の温度プローブ(2)により測定され、そしてファウリングのないときには前記の反応器(R)を流れる流体の温度(θ)と比較して最大でも+0.5℃だけ異なり、温度(θ)は前記の第2の温度プローブ(3)により測定され、
b)反応器(R)の作動時間中温度(θ)と(θ)をそれぞれ測定し、そして差分(Δθ=θ−θを求め、そして
c)この差分Δθに応じて変化する前記の反応器(R)のファウリング状態を決定する
ことを特徴とした方法。
【請求項2】
ヒート・ジェネレーター(1)はホットワイヤー温度プローブである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ヒート・ジェネレーター(1)はプラチナワイヤー温度プローブである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
温度プローブ(2)は熱電対プローブであり、そして温度プローブ(3)は(i)熱電対プローブか、もしくは(ii)プラチナプローブのどちらかである請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ヒート・ジェネレーターは平らな円筒状のジェネレーターであって、ファウリング層の厚みが、

、ここでΔθ=(θ−θ

、ここで
‐ Δθは温度差分(θ−θ)〔K〕を示し、
‐ Lはヒート・ジェネレーター(1)の長さ〔m〕を示し、
‐ hは対流熱転送値〔Wm−2−1〕を示し、
‐ Pはホットワイヤーに消散されるパワー〔W〕を示し、
‐ rはヒート・ジェネレーター(1)の半径〔m〕を示し、
‐ λはファウリング層材料の熱伝導係数値〔W.m−1.K−1〕を示し、
‐ lnは対数を示し、そして
‐ eはファウリング層の厚み〔m〕を示している
式で計算される請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ヒート・ジェネレーターは平らなジェネレータであって、ファウリング層の厚み(e)は

、但し

、ここで
‐Δθは温度差(θ−θ)〔°K〕を示し、
‐λはファウリング層材料の熱伝導係数値〔W.m−1.K−1〕を示し、そして
‐Pはヒート・ジェネレーター(1)によって与えられる熱パワーを示している
式で計算できる請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
反応器(R)は流体処理連続プロセスを実施する装置に含まれている請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
反応器(R)はホールディング反応器である請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
アグリ−フード製品をつくる連続プロセスにおいて反応器(R)内のファウリングを測定するために実施される請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
連続プロセスを実施する装置に含まれるホールディング反応器(R)のためのファウリング測定システムにおいて、
この測定システムは
(i)反応器(R)を通って流れる流体内にあって、第1の温度プローブ(2)を外面に固定した円筒状の、もしくは平らなヒート・ジェネレーター(1)である能動的プローブと、
(ii)第2の温度プローブ(3)である、前記のヒート・ジェネレーター(1)近くに配置した受動的プローブとを
備えていることを特徴とするファウリング測定システム。
【請求項11】
能動的プローブと受動的プローブとが相互に対向して、反応器(R)の軸方向において、上流端で数センチメートルの距離(1)に、そしてプローブに必要な空間に従って(近接状況で)配置されている請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
能動的プローブと受動的プローブとが相互に対向して、反応器(R)の半径方向において、反応器(R)の半径Rの最大でも0.5倍の距離(r)に配置されている請求項10と11に記載のシステム。
【請求項13】
能動的プローブと受動的プローブとが反応器(R)の同じ横断面に配置されている請求項10ないし12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
ヒート・ジェネレーターがホットワイヤー温度プローブ、好ましくはプラチナワイヤー温度プローブである請求項10ないし13のいずれかに記載の測定システム。
【請求項15】
温度プローブ(2)が熱電対プローブであり、そして第2の温度プローブ(3)が(i)熱電対プローブか、(ii)もしくはプラチナプローブかのいずれかである請求項10ないし14のいずれかに記載のシステム。
【請求項16】
連続プロセスを実施する装置に含まれる反応器の少なくとも一つに請求項10ないし15のいずれかに記載のファウリング測定システムを設けたことを特徴とする連続プロセスを実施する装置。
【請求項17】
ファウリング沈着物の形成に関して反応器(R)の特性を分析する方法において、
a)試験流体を流して試験しようとするファウリング沈着物のない反応器(R)に本発明のファウリング測定装置を設置し、
b)ファウリング検出器として測定装置が働く電流値(l1)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、そして(Δθ)の値を測定し、
c)測定装置の壁をジェネレーター(1)が暖めるための(l)よりも高いか、もしくはジェネレーター(1)が温度プローブとして使用される(l)よりも低いかのどちらかの電流値(l)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、
d)測定装置がファウリング検出器として働く電流値(l1)を測定装置のヒート・ジェネレーター(1)へ流し、そして(Δθ)の値を測定し、
e)所望回数だけ工程(c)と(d)を繰り返す
ことを特徴とした方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−541080(P2008−541080A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510622(P2008−510622)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050424
【国際公開番号】WO2007/003801
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(506299250)
【Fターム(参考)】