説明

反応性酸素種の阻害のためのARNOX阻害物質を含む組成物

本発明は、血清老化因子を封鎖するための物質、および、それを使用する方法に関する。より詳細には、本発明は、数種類の天然arNOX阻害物質のいずれか1つを表わすために本明細書中で「ナラクチン(Naractin)」と称する物質であって、フサザキスイセン(N.tazetta)粉末中に存在するか、あるいはフサザキスイセン粉末を新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができる物質に関し、老化関連イソ型NADHオキシダーゼ(aging−related isoform of NADH oxidase)(arNOX)により引き起こされる細胞損傷から生じる障害および障害の合併症を予防または治療するために「ナラクチン類」を使用する方法に関する。1つの例示的態様において、本発明の物質は少なくとも1種類の天然ナラクチンを含む。そのような天然ナラクチンは、他の天然arNOX阻害物質の抗arNOX作用を増強することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、血清老化因子を封鎖するのに有用な天然産物の抽出物であって、体内または局所に投与することができるものに関する。より詳細には、本発明は、老化関連酸化を阻害または改善するために化粧用として使用するための物質およびその組成物、ならびにスキンケア製品としてそれらを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 細胞膜NADHオキシダーゼ(NOX)は、ヒドロキノン(NADH)オキシダーゼ活性およびタンパク質ジスルフィド−チオール交換活性をもつユニークな細胞表面タンパク質であり、普通はホルモンおよび成長因子に応答する。NOX(またはCLOX)は、老化しつつある細胞に付随する成長関連タンパク質のファミリーである。癌細胞に特異的な、tNOXと表示されるホルモン非感受性および薬物応答性の形態のNOXが記載されている。例えば、特許文献1を参照されたい(その全体を本明細書に援用する)。
【0003】
[0003] 老化関連イソ型NADHオキシダーゼ(aging−related isoform of NADH oxidase)(arNOX)は、このファミリーのタンパク質のメンバーである。循環型arNOXは、特に30〜65歳の個体のヒトの血清およびリンパ球中で顕著に増加する。arNOXタンパク質は、スーパーオキシドラジカルを生成する能力によってユニークに特徴づけられる;これは、アテローム発生および他の遠達作用(action−at−a−distance)老化現象を含めた老化関連の変化に有意に関与する可能性がある。老化しつつある細胞中および血清中のarNOXの活性がこれまでに記載されている。例えば、特許文献2を参照(その全体を本明細書に援用する)。
【0004】
[0004] arNOXの作用のこのモデルは、老化のミトコンドリア説と一致する。この説は、老化に際して、ミトコンドリア中の増加した反応性酸素種がミトコンドリアDNAに変異を引き起こし、ミトコンドリアの成分に損傷を与え、その結果、老衰が生じると考える。老化のミトコンドリア説は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の体細胞自然突然変異の蓄積がmtDNAコードポリペプチド鎖の過誤をもたらすと提唱する(非特許文献1:Manczak M et al., J Neurochem. 2005 Feb; 92(3): 494-504)。mtDNAコードポリペプチド鎖に生じるこれらの過誤は、ミトコンドリアおよび細胞の分裂に際して確率的かつランダムに伝達される。これらの変化の結果が、欠陥オキシダーゼリン酸化である。呼吸鎖欠陥が酸化的ストレス増大に随伴するようになり、これが元の損傷を増幅する可能性がある(非特許文献2:Ozawa, 1995, Biochim. Biophys. Acta 1271 :177-189;非特許文献3:Lenaz, 1998, Biochim. Biophys. Acta 1366: 53-67)。したがって、この見解では、変異ミトコンドリアDNAは体内にごく少量存在するにすぎないにもかかわらず、酸化的ストレスの主要な発生源となる可能性がある。
【0005】
[0005] mtDNAの体細胞変異の蓄積が酸化的リン酸化の欠陥をもたらす場合、細胞膜オキシド−レダクターゼ(PMOR)系は酸化されたピリジンヌクレオチドの再生によりミトコンドリア欠陥細胞の生存を増強することが示唆されている(非特許文献4:de Grey, 1997, BioEssays 19: 16 1-166;非特許文献5:de Grey, 1998, Anti-Aging Med. 1: 53-66;非特許文献6:Yoneda et al, 1995, Biochem. Biophys. Res. Comm, 209: 723-729;非特許文献7:Schon et al., 1996, Cellular Aging and Cell Death, Wiley and Sons, New York, pp. 19-34;非特許文献8:Ozawa, 1997, Physiol. Rev. 77: 425-464;非特許文献9:Lenaz, 1998, BioFactors 8: 195-204)。mtDNAにおける傷害の蓄積を、細胞外応答、例えば低密度リポタンパク質(LDL)中の脂質の酸化および付随する動脈変化に関連づけるモデルが、rho°細胞について初めて提唱された(非特許文献10:Larm et al., 1994, Biol. Chem. 269: 30097-30100;非特許文献11:Lawen et al., 1994, Mol. Aspects. Med. 15: sl3-s27;非特許文献4:de Grey, 1997, BioEssays 19: 161-166;非特許文献5:de Grey, 1998, Anti-Aging Med. 1: 53-66)。形質転換したヒト培養細胞について同様な研究が行われた(非特許文献12:Vaillant et al., 1996, Bioenerg. Biomemb. 28: 531-540)。
【0006】
[0006] 細胞膜オキシドレダクターゼ(PMOR)が過剰発現する条件下では、電子は特定の電子伝達鎖によりNADHから細胞外受容体へ伝達され、その結果、反応性酸素種(ROS)が細胞表面に発生する。細胞表面で発生したそのようなROSは、次いでミトコンドリアから始まる老化カスケードを隣接細胞および低密度リポタンパク質などの循環血液成分の両方へ伝播する可能性がある。特許文献2を参照(その全体を本明細書に援用する)。
【0007】
[0007] したがって、結果的に生じる生理的状態、例えば低密度リポタンパク質中の脂質(LDL)の酸化および付随する動脈変化を軽減または治療する目的のためには、arNOXが反応性酸素種(ROS)を発生する能力を低下させる物質を見いだす必要がある。老化しつつある細胞のarNOX活性は天然物質、例えば補酵素Q(ユビキノン)により阻害されることが示された。特許文献3および4を参照;それらの開示内容全体を本明細書に援用する。しかし、補酵素Qの使用は幾つかの理由で必ずしも完全に満足すべきものではない:それは経費がかかり、容易に酸化されてその効力を失い、補酵素Qを含有する製品は機能損失を阻止するために特殊な包装をしなければならない。したがって、arNOX活性を阻害しうる幾つかの物質および方法が現在あるけれども、なお挑戦がなされている。したがって、arNOXを阻害するけれども無毒性でありかつ天然に存在する物質および技術で、これまでに開示された物質および技術を増強するか、あるいはさらにそれらを代替することは、当技術分野における改良となるであろう。
【0008】
[0008] 皮膚は特に反応性酸素種による損傷を受けやすい。皮膚は2つの主要な層から構成される。角質層または表皮は上層であり、皮膚に対する保護外皮を形成し、水および物質が皮膚に流入流出するのを制御する。真皮は皮膚の最下部であり、皮膚に強度、弾力性および厚みを付与する。真皮の主要な細胞タイプは線維芽細胞であり、これらはすべての皮膚マトリックス成分、例えばコラーゲン、エラスチンおよびグリコサミノグリカンの合成および分泌に関与する。コラーゲンは強度を付与し、エラスチンは弾力性を付与し、グリコサミノグリカンは皮膚の湿潤性およびふくよかさ(plumpness)を付与する。
【0009】
[0009] 皮膚は反応性酸素種により損傷を受けるほか、種々の傷害性ストレス要因に曝される。皮膚は環境の多数の要因により損傷または害を受ける可能性がある。あるものは自然に発生する:例えば太陽からの紫外線、風、さらには機械的傷害、例えば切り傷、擦過傷など。他の人工的傷害も日常的に起きる。これらには、石鹸、乳化剤ベースの化粧品、熱湯、有機溶剤、エアコンディショニングおよびセントラルヒーティングの使用が含まれる。さらに、皮膚に対する他の傷害は皮膚障害または普通の老化プロセス(経時老化(chronoaging))により起きるかまたはその一部である可能性があり、それらは皮膚が種々の外的侵襲要因に曝されることによって加速される可能性がある(例えば光老化(photoaging))。
【0010】
[0010] すべての人の皮膚が時間と共に老化する。しかし、現代社会では人々はより長く生存し、普通の老化作用が蓄積する格好の状況がある。そのような作用は純粋に美粧上のもの、例えば皺または「加齢斑」の場合があり、あるいはそれらは紫外線被曝による皮膚癌の発症のように健康に影響を及ぼす場合がある。人々が老化するのに伴って、皮膚はより薄くなり、皮膚の結合組織であるコラーゲンおよびエラスチンが変化して皮膚の強靭性を失わせ、かつ乾燥状態にする。同様に、皮膚の汗腺および脂腺の活性が低下し、これにより皮膚の湿潤性を失なわせ、乾燥し尽くす。さらに、皮膚の血管はより脆くなるため破裂して皮膚へ漏出する。
【0011】
[0011] 老化しつつある皮膚の症状には下記のものが含まれる:皮膚の乾燥、痒み、菲薄化または肥厚、皺(wrinkle)および細かいすじ(line)、一般に肝斑(liver spot)と呼ばれる過色素沈着症(hyperpigmentation)領域、ならびに血管が破裂した皮膚下領域(末梢血管拡張症(telangietasias))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5605810号
【特許文献2】PCT出願公開WO00/57871
【特許文献3】PCT出願公開WO01/72318
【特許文献4】PCT出願公開WO01/72319
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Manczak M et al., J Neurochem. 2005 Feb; 92(3): 494-504
【非特許文献2】Ozawa, 1995, Biochim. Biophys. Acta 1271 :177-189
【非特許文献3】Lenaz, 1998, Biochim. Biophys. Acta 1366: 53-67
【非特許文献4】de Grey, 1997, BioEssays 19: 16 1-166
【非特許文献5】de Grey, 1998, Anti-Aging Med. 1: 53-66
【非特許文献6】Yoneda et al, 1995, Biochem. Biophys. Res. Comm, 209: 723-729
【非特許文献7】Schon et al., 1996, Cellular Aging and Cell Death, Wiley and Sons, New York, pp. 19-34
【非特許文献8】Ozawa, 1997, Physiol. Rev. 77: 425-464
【非特許文献9】Lenaz, 1998, BioFactors 8: 195-204
【非特許文献10】Larm et al., 1994, Biol. Chem. 269: 30097-30100
【非特許文献11】Lawen et al., 1994, Mol. Aspects. Med. 15: sl3-s27
【非特許文献12】Vaillant et al., 1996, Bioenerg. Biomemb. 28: 531-540
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
[0012] 実際の老化および風化した皮膚の視覚的徴候、例えば皺、すじ、たるみ(sagging)、過色素沈着および加齢斑を治療または遅延する「アンチエージング(抗加齢)」化粧品および医薬品が望まれている。しかし、大部分の化粧品または医薬品はそのような症状の根本、例えばROSに由来するarNOX関連ラジカルの産生および蓄積に対処するものではない。したがって、効果的な自然の皮膚処置法ならびに予防用組成物およびその使用方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
[0013] 本発明は、血清老化因子を封鎖するための物質、およびそれを使用する方法に関する。より詳細には、本発明は、数種類の天然arNOX阻害物質のいずれか1つを表わすために本明細書中で「ナラクチン(Naractin)」と称する物質、すなわちフサザキスイセン(房咲き水仙)(N.tazetta)粉末中に存在するか、あるいはフサザキスイセン粉末を新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができる物質、ならびに老化関連イソ型NADHオキシダーゼ(arNOX)により引き起こされる細胞損傷から生じる障害および障害の合併症を予防または治療するために「ナラクチン類」を使用する方法に関する。1例示態様において、本発明の物質は少なくとも1種類の天然ナラクチンを含む。そのような天然ナラクチンは、他の天然arNOX阻害物質の抗arNOX作用を増強することもできる。
【0016】
[0014] したがって、1例示態様において本発明には、有効量の少なくとも1種類のarNOX阻害物質を含む、老化作用を改善するために有用な局所組成物が含まれる。この例示態様によれば、arNOX阻害物質はナラクチンであり、ナラクチンは老化作用を低下させるのに有効である。本発明によるある例示態様において、ナラクチンはフサザキスイセン、ヤナギ(willow)、トウモロコシ(maize)、オニタビラコ(crepis)、ポプラ(poplar)、ガマズミ(viburnam)、カビ、特にアスペルギルス属(Aspergillus)、ウリノキ(alangium)、カバ(birch)、ミシマサイコ(bupleurum)、コルヒクム(colchicum)、タカトウダイグサ(spurge)、シモツケソウ(filipendulum)、クチナシ(gardenia)、ムラサキ(紫根)(lithospermum)、タバコ(tobacco)またはヤドリギ(mistletoe)から抽出および/または精製される。
【0017】
[0015] 他の種々の例示態様において、ナラクチンはサリチレートまたはその誘導体である。ある例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメート、その誘導体または組合わせである。種々の例示態様において、ナラクチンは下記のものに由来する:Alangium chinense, A. platanifolium, A. premnifolium, Aspergillus niger, Betula alba, Bupleurum falcatum, Catharanthus roseus, Chosenia bracteosa, Colchicum autumnale, Crepis foetida, C. rhoeadifolia, Datura inoxia, Duboisia myoporoides, Eleutherococcus setchuensis, Euphorbia salicifolia, Filipendula ulmaria, Foeniculum vulgare, Gardenia jasminoides, Lithospermum erythrorhizon, Nicotiana tabacum, Populus alba, P. balsamifera, P. davidiana, P. deltoides, P. euphratica, P. grandidentata, P. heterophylla, P. lasiocarpa, P. maximowiczii, P. nigra, P. sieboldii, P. simonii, P. tacamahaca, P. tomentosa, P. tremula, P. tremuloides, P. trichocarpa, Salix acutifolia, S. alba, S. americana, S. arctica, S. aurita, S. babylonica, S. basfordiana, S. caesia, S. calodendron, S. capitata, S. caprea, S. chaenomeloides, S. cinerea, S. daphnoides, S. fragilis, S. geminata, S. gracilis, S. gracilistyla, S. gracilistyloides, S. gymnolepis, S. hastata, S. herbacea, S. incana, S. koriyanagi, S. lapponum, S. lasiandra, S. lasiolepis, S. matsudana, S. myrsinifolia, S. nigricans, S. orestera, S. pentandra, S. pentandroides, S. petiolaris, S. phylicifolia, S. purpurea, S. repens, S. rubra, S. schwerinii, S. scouleriana, S. smithiana, S. songarica, S. species, S. stipularis, S. tetrasperma, S. tremuloides, S. triandra, S. viminalis, Toisusu urbaniana, Viburnum henryi, V. prunifolium, V. rhytidophyllumまたはViscum album。
【0018】
[0016] 他の種々の例示態様において、ナラクチンはサリチレートまたはその誘導体である。ある例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメート、その誘導体または組合わせである。
【0019】
[0017] 他の種々の例示態様において、組成物はさらに、化粧用または医薬用として許容できるキャリヤーを含む。ある例示態様において、阻害物質ナラクチンは天然源に由来する他のarNOX阻害物質と共に存在し、これには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ブロッコリ(broccoli)、シイタケ(shitake)、コリウス(coleus) ローズマリー(rosemary)、ハス(lotus)、アーティチョーク(artichoke)、シーローズ(sea rose) タンジェリン(tangerine)、メマツヨイグサ(雌待宵草)(Oenothera biennis)、アスタキサンチン(astaxanthin)、レッドオレンジ(ブラッドオレンジ)(red orange)、チョウセンゴミシ(朝鮮五味子)(Schisandra chinensis)、ロニセラ(Lonicera)、ソバ属(Fagopyrum)、ニンジン(carrot)またはオリーブ(olive)。種々の例示態様において、ナラクチンは他のarNOX阻害物質の作用を増強する。
【0020】
[0018] 本明細書に記載するarNOX阻害組成物をいずれか好都合な様式で投与しうることは、当業者に認識されるであろう。ある例示態様において、そのような投与形態にはクリーム、乳液(milk)、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンが含まれる。種々の例示態様において、本発明によって改善される老化作用には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症。本発明のこれらおよび他の例示態様において、arNOX阻害物質は約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与される。
【0021】
[0019] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するために老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生を阻害する方法であって、サリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメートのうち少なくとも1種類を含む療法有効量の組成物を、その必要がある患者に、老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生が阻害されるように投与することを含み、その際、老化作用が改善される方法を含む。種々の例示態様において、本方法はさらに、下記のうち少なくとも1種類からの抽出物または精製した抽出物を含む:ブロッコリ、シイタケ、コリウス ローズマリー、ハス、アーティチョーク、シーローズ タンジェリン、メマツヨイグサ、アスタキサンチン、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ、ロニセラ、ソバ属、ニンジン、フサザキスイセン、オリーブ、ヤナギ、エンバクまたはトウモロコシ。本発明による種々の例示態様において、組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして適用する。これらの例示態様において、老化作用には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症。
【0022】
[0020] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するための化粧方法であって、arNOXを阻害するのに十分な有効量のナラクチンを含む化粧用組成物を皮膚に適用することを含み、その際、arNOX仲介による老化作用の少なくとも1つが阻害される方法を含む。これらの態様において、ナラクチンはサリチレート、その塩または誘導体である。種々の例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチルヒドロキサメートまたはサリチル酸である。本発明による他の種々の態様において、化粧用組成物はさらに、下記のものを含む植物抽出物を含有する:ニンジン抽出物、オリーブ抽出物、ブロッコリ抽出物、シイタケ抽出物、コリウス抽出物、ローズマリー抽出物、ハス抽出物、アーティチョーク抽出物、シーローズ抽出物、タンジェリン抽出物、メマツヨイグサ抽出物、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ抽出物、ロニセラ抽出物、ソバ属抽出物、ヤナギ抽出物、トウモロコ、エンバクまたはフサザキスイセンの抽出物。これらの例示態様において、ナラクチンを化粧用として許容できるキャリヤーと共に付与する。
【0023】
[0021] 種々の例示態様において、本発明による方法によって改善される老化作用には、すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症が含まれる。
【0024】
[0022] 本発明による方法の種々の態様において、ナラクチンを少なくとも1日1回適用する。ある例示態様において、ナラクチンを化粧品中に約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与する。これらの例示態様において、本発明による化粧用組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして投与する。
【0025】
[0023] 本発明によるさらに他の態様において、本発明は、老化作用を改善するのに有用な化粧品を適用するためのキットであって、少なくとも1種類のナラクチン;および使用のための指示を含むキットを含む。ある例示態様において、キットはさらに、少なくとも1種類のarNOX阻害性植物抽出物のためのキャリヤーとして適切な、化粧用調製物を含む。
【0026】
[0024] 本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、以下の記述および添付の特許請求の範囲に記載され、あるいはよりさらに明らかになるであろう。これらの特徴および利点は、特許請求の範囲に具体的に指摘した手段および組合わせにより実現および獲得できる。さらに、本発明の特徴および利点は、以下に述べるように本発明の実施により知ることができ、あるいは本明細書から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
[0025]
[0026] 本発明による組成物および方法の種々の例示態様を、以下の図面を参照して詳細に記載する。
【図1】[0027] 図1aは、72歳(y/o)男性の唾液試料からのarNOXイソ型の活性パターン(BL=ベースライン)、およびフサザキスイセン抽出物粉末を添加した後の部分阻害(中央パネル)を示す。右手のパネルは、フサザキスイセンにサリチルヒドロキサメート(SHAM)(ナラクチン1)成分の添加に伴うほぼ完全な活性阻害を示す。図1bは、SHAMの代わりにサリシン(ナラクチン3)でフサザキスイセン粉末の阻害作用を増強した以外は1aと同じである。これらのナラクチン類は鉄と赤色複合体を形成し、これは図2に示すように、arNOX阻害物質を含有するフサザキスイセンの球根部分および抽出物を特徴づける赤色に類似するスペクトル特性をもつ。
【図2】[0028] 図2a〜fは、arNOX活性に対して阻害性の物質を含有するフサザキスイセンの球根領域および抽出物を示す。阻害物質は、赤色または桃色にならない球根部分および/または抽出物には存在しない。図2aは、葉を構成する領域と茎領域に分けた球根の図である。図2bは、arNOX阻害に関連する赤色化合物が茎領域に局在することを示す写真である。図2cは、抽出物を調製した球根の異なる領域を示し、図2d、2eおよび2fに示すように異なる領域は異なる赤色発色レベルをもつ。発色は速やかである。抽出物がarNOX活性を阻害しない品種のフサザキスイセンの球根は、赤色も発色しない。
【図3】[0029] 図3は、塩化鉄を添加した後のトウモロコシのスティール(steele)の維管束(vasculature)(根の中心の導水組織)の同様な赤色を示す。赤色になる物質は天然のヒドロキサメートである。
【図4】[0030] 図4は、唾液(72歳の男性)のarNOX活性の阻害を示す:ベースライン(BL)パネル、およびトウモロコシのスティールから調製したホモジェネートの添加による阻害。トウモロコシの鞘(sheath)(スティールを取り巻く組織)は鉄を添加しても着色せず、arNOX活性も阻害しない。
【図5】[0031] 図5は、フサザキスイセン球根のメタノール抽出物(B)の薄層クロマトグラフィーによる分析例を、市販のフサザキスイセン粉末(A)と比較して示す。青色(UV)背景をもつプレートは紫外線蛍光を示す。明かるい背景をもつプレート(BB)はベルリンブルー(Berlin blue)で着色された。TLC系は、ジクロロメタン:メタノール:NHOH(10:1:0.2)であった。実験室で抽出した試料において、起点の物質の真上にあるけれどもそれとは明瞭に分離しておりヒドロキサメート類の存在を示唆する赤色成分は、市販の粉末より実験室で抽出した試料においてはるかに顕著であった。これは、メタノール(図5a)および水(図5b)両方の抽出物について明らかであった。推定ヒドロキサメートは市販の粉末中にもみられたが、実験室で抽出した試料中よりはるかに低いレベルであり、これもarNOX阻害活性のレベルと相関する。
【図6】[0032] 図6は、塩化鉄(III)を添加して赤色のヒドロキサム酸鉄(III)を形成した後のフサザキスイセンの球根ならびにトウモロコシのスティールおよび鞘の抽出物のスペクトル分析を、既知のヒドロキサメート(SHAM)と比較して示す。フサザキスイセンの球根のarNOX阻害性抽出物は赤色であり、550nm付近に吸収最大を示した。阻害活性を示さないラッパスイセン(N.pseudo narcissus)の球根の抽出物は無色であり、550nmに吸収を示さなかった。トウモロコシの根のスティール(活性)およびトウモロコシの根の鞘(不活性)は、塩化鉄(III)の不存在下(−FeCl)では大部分が着色しなかった。しかし、塩化鉄(III)の存在下(+FeCl)ではトウモロコシスティール抽出物に約550nmに吸収最大をもつ赤色が現われ、これに対しトウモロコシの鞘については550nmに吸収最大はなかった。市販の安定なヒドロキサメートであるサリチルヒドロキサメート(SHAM)も約550nmに吸収最大をもつ赤色を生じた。陰性対照は着色せず、550nmに吸収を示さなかった。
【図7】[0033] 図7は、SHAM希釈度(log)の関数としてのフェリシトクロムcのarNOX活性のグラフを示す。このグラフは、市販のSHAM製剤(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)による唾液(72歳の男性)の用量依存性arNOX活性阻害を示す。阻害は11mg/mlで大部分が完了する。
【図8】[0034] 図8は、サリチル酸希釈度(log)の関数としてのフェリシトクロムcのarNOX活性のグラフを示す。このグラフは、唾液(72歳の男性)の用量依存性arNOX活性阻害をサリチル酸濃度の関数として示す。lmg/ml濃度のサリチル酸が約50%阻害する。
【図9】[0035] 図9は、サリシン希釈度(log)の関数としてのフェリシトクロムcのarNOX活性のグラフを示す。このグラフは、唾液(72歳の男性)の用量依存性arNOX活性阻害をサリシン濃度の関数として示す。arNOX活性の最大阻害はlmg/mlの濃度で達成される。
【図10】[0036] 図10aおよび10bは、種々の「ナラクチン」組合わせのarNOX阻害を示すグラフである。図10aは、4mg/mlのチョウセンゴミシ(Schizandra)粉末+フサザキスイセン抽出物(20μl)の混合物のarNOX阻害を、1mg/mlのサリシンの存在下でサリシンが増強することを示す。図10bは、1mg/mlのサリシンの存在下での、4mg/mlのチョウセンゴミシ粉末+1mg/mlのフサザキスイセン粉末の混合物によるarNOX阻害を示す。この混合物60μlを、arNOX活性源として唾液(72歳の男性)を含有するアッセイ混合物に合計3ml添加した。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[0037] 本発明は、血清老化因子を封鎖するための物質、およびそれを使用する方法に関する。より詳細には、本発明は、数種類の天然arNOX阻害物質のいずれか1つを表わすために本明細書中で「ナラクチン」と称する物質、すなわちフサザキスイセン粉末中に存在するか、あるいはフサザキスイセン粉末を新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができる物質、ならびに老化関連イソ型NADHオキシダーゼ(arNOX)により引き起こされる細胞損傷から生じる障害および障害の合併症を予防または治療するために「ナラクチン類」を使用する方法に関する。1例示態様において、本発明の物質は少なくとも1種類の天然ナラクチンを含む。そのような天然ナラクチンは、他の天然arNOX阻害物質の抗arNOX作用を増強することもできる。
【0029】
[0038] 用語「ナラクチン」は、本明細書中で、フサザキスイセン粉末(例えばXian Aojing Science and Technology Developing CO.,LTD、中国、山西省、西安から市販されている)中に存在する数種類の天然arNOX阻害物質のいずれか1つ、あるいは市販のフサザキスイセン粉末を新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができるものを表わすために用いられる。本発明者らは現在、化学的に純粋な「ナラクチン」活性をもつ3種類の既知物質を同定している。さらに、「ナラクチン類」は本明細書中でフサザキスイセン抽出物から同定されたが、それらは他の天然源、例えばヤナギ、トウモロコシおよびエンバク中に存在する可能性があることを留意すべきであり、もちろん本発明はそれらの供給源にかかわらずナラクチン類を包含する。
【0030】
[0039] 本明細書中で用いる用語「化粧品」は、身体に洗浄、美化、魅力増進、または外観変更のために適用することを意図した物質を表わす。
[0040] 本明細書中で用いる用語「抽出物」は、物質を溶剤に浸煎または浸漬して有効成分を分離することにより得られる溶液を表わす。溶剤はいずれか適切な溶剤であってよく、これにはアルコール、水などが含まれるが、これらに限定されない。ある態様において、抽出物を濃縮し、溶剤を蒸発させ、有効成分を異なる溶剤に再懸濁または溶解することができる。本明細書に記載するように、フサザキスイセン抽出物は茎領域を球根から分離し、1つの茎領域を3mlの蒸留水中でホモジナイズすることにより調製される。
【0031】
[0041] 本明細書中で用いる用語「障害」は、生存する動物体もしくは植物体またはその部分の1つの正常な機能を損なう何らかの状態を表わし、病気、疾病、疾患(ailment、disease、illness)、臨床状態、病的状態、衰弱した状態、不健全な状態、およびいずれかの異常または望ましくない身体状態を含む。
【0032】
[0042] 本明細書中で用いる用語「反応性酸素種」は、酸素代謝または自由電子伝達からの、フリーラジカル(例えばスーパーオキシドまたはヒドロキシルラジカル)を形成した酸素誘導体を表わす。
【0033】
[0043] 本明細書中で用いる用語「抗酸化剤」は、反応性酸素種の活性を中和し、またはそれらの反応性種により生じる細胞損傷を阻害する化合物を表わす。
[0044] 本明細書中で用いる用語「医薬的に許容できるキャリヤー」は、有効成分の生物活性の有効性を妨害せず、化学的に不活性であり、かつそれが投与される患者に対して有毒でないキャリヤー媒質を表わす。
【0034】
[0045] 本明細書中で用いる用語「医薬的に許容できる誘導体」は、本明細書に記載する配合物に対応するいずれかのホモログ、アナログまたはフラグメントであって、抗酸化活性を示し、かつ対象に対して比較的無毒性であるものを表わす。
【0035】
[0046] 用語「療法剤」は、反応性酸素種により引き起こされる障害または障害の合併症の予防または治療を補助するいずれかの分子、化合物または処置、好ましくは抗酸化剤を表わす。
【0036】
[0047] 用語「arNOXを封鎖する物質」という用語は、arNOXを妨害し、これによりarNOXと他の物質の反応を低下させ、arNOXが反応性酸素種を発生する能力を阻害するいずれかの分子、化合物または処置を表わす。
【0037】
[0048] 本明細書中で用いる用語「サリチレート」は、天然源またはデノボ合成のいずれに由来するものであっても、サリシンの塩類、結合体または誘導体を表わす。そのようなサリチレートには、例えばサリチル酸、サリシンヒドロキサメートおよびサリシン自体、それらの誘導体、塩類および結合体が含まれる。
【0038】
[0049] 本発明者らは、フサザキスイセン抽出物の特定の市販製品が、抗−arNOX活性をもつ有効物質を含有することを、研究中に見いだした。本発明は、IBR−Dormin(登録商標)フサザキスイセン球根抽出物(Israeli Biotechnology Research,Ltd.、イスラエル)のある試料が実質的にarNOXに対する阻害活性をもたないのに対し、同じ業者からの他のロットは阻害性が強いという所見によって促された。本発明者らは、arNOX阻害物質が特定の保存剤の不存在下では不安定であるか、あるいはフサザキスイセン抽出物の精製中にarNOX阻害物質が失われたという仮説を立てた。しかし、IBR−Dormin(登録商標)の商品名で入手される市販のフサザキスイセン粉末は、特に休眠(dormancy)中のフサザキスイセン球根を用いて加工されることを留意すべきである。その理論は、生長期には球根が「ドルミン(dormin)類」と呼ばれる大量の未同定化合物を産生するということである。そのような「ドルミン類」はさらに、細胞または組織において休眠状態を誘発するという仮説が立てられる。したがって、現在開示されているデータから、フサザキスイセンの「ドルミン類」は本明細書中で「ナラクチン類」と同定するものと同じ物質ではないことが示される。
【0039】
[0050] これらの可能性を調べるために、本発明者らは少数のニホンスイセン(日本水仙)(paper white(N.tazetta))球根を入手した。水抽出物およびエタノール抽出物はarNOXを阻害した。ラッパスイセン(N.pseudo−narcissus)(daffodil)およびキズイセン(黄水仙)(N.jonquilla)(jonquil)について比較を行なったが、両方とも大部分が活性をもたなかった。活性は、鉄(III)の添加により増強される赤色の着色と相関していた;これは、同様にarNOXを阻害するトウモロコシおよびエンバクの幼植物にみられる天然ヒドロキサメートの特徴である(データは示していない)。ヒドロキサメートはarNOX阻害を助成すると予想できる化学的特性をもつ。評価のために最も入手しやすいヒドロキサメートはサリチルヒドロキサメート(ナラクチン1)であった;これはSHAMとしても知られ、別のオキシダーゼに対する既知の植物阻害物質である。SHAMを試験して、フサザキスイセン粉末のarNOX阻害応答を増強することが見いだされた。低レベルのSHAMで増強したフサザキスイセン粉末について、90%を超えるレベルの阻害が得られた。有効成分の特性分析を完了するにはフサザキスイセンの球根が不十分であったが、フサザキスイセン粉末(抽出物)(Xi’an Aojing Science and Technology Developing Co.,LTD.、中国、山西省、西安;20:1;球根と花の両方の抽出物で入手できる)を用いて研究を行なった。フサザキスイセン粉末は実際に低レベルの天然ヒドロキサメートを含有すると思われるが、フサザキスイセン球根から調製した抽出物よりはるかに低いレベルである。
【0040】
[0051] 生じた疑問は、ヒドロキサメートまたはサリチル酸のいずれの部分がarNOX阻害活性にとって最も重要であるかどうかということであった。結果は、両方が重要であることを示唆する。サリチル酸(ナラクチン2)自身がきわめて有効な阻害物質であり、これも鉄(III)と反応した際に赤色を生じる。サリチル酸のエステルまたはアスピリンは、arNOXを阻害しない。サリチレートの天然源であるヤナギ樹皮の水抽出物を試験して、同様にarNOXを阻害することが見いだされた。ヤナギ樹皮の主要なサリチレートであるサリシン、すなわちグリコシドの1種も、阻害物質として有効であった(ナラクチン3)。
【0041】
[0052] したがって、1例示態様において本発明には、有効量の少なくとも1種類のarNOX阻害物質を含む、老化作用を改善するために有用な局所組成物が含まれる。この例示態様によれば、arNOX阻害物質はナラクチンであり、ナラクチンは老化作用を低下させるのに有効である。本発明によるある例示態様において、ナラクチンはフサザキスイセン、ヤナギ、トウモロコシ、オニタビラコ、ポプラ、ガマズミ、カビ、特にアスペルギルス属、ウリノキ、カバ、ミシマサイコ、コルヒクム、タカトウダイグサ、シモツケソウ、クチナシ、ムラサキ、タバコまたはヤドリギから抽出および/または精製される。
【0042】
[0053] 他の種々の例示態様において、ナラクチンはサリチレートまたはその誘導体である。ある例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメート、その誘導体または組合わせである。種々の例示態様において、ナラクチンは下記のものに由来する:Alangium chinense, A. platanifolium, A. premnifolium, Aspergillus niger, Betula alba, Bupleurum falcatum, Catharanthus roseus, Chosenia bracteosa, Colchicum autumnale, Crepis foetida, C. rhoeadifolia, Datura inoxia, Duboisia myoporoides, Eleutherococcus setchuensis, Euphorbia salicifolia, Filipendula ulmaria, Foeniculum vulgare, Gardenia jasminoides, Lithospermum erythrorhizon, Nicotiana tabacum, Populus alba, P. balsamifera, P. davidiana, P. deltoides, P. euphratica, P. grandidentata, P. heterophylla, P. lasiocarpa, P. maximowiczii, P. nigra, P. sieboldii, P. simonii, P. tacamahaca, P. tomentosa, P. tremula, P. tremuloides, P. trichocarpa, Salix acutifolia, S. alba, S. americana, S. arctica, S. aurita, S. babylonica, S. basfordiana, S. caesia, S. calodendron, S. capitata, S. caprea, S. chaenomeloides, S. cinerea, S. daphnoides, S. fragilis, S. geminata, S. gracilis, S. gracilistyla, S. gracilistyloides, S. gymnolepis, S. hastata, S. herbacea, S. incana, S. koriyanagi, S. lapponum, S. lasiandra, S. lasiolepis, S. matsudana, S. myrsinifolia, S. nigricans, S. orestera, S. pentandra, S. pentandroides, S. petiolaris, S. phylicifolia, S. purpurea, S. repens, S. rubra, S. schwerinii, S. scouleriana, S. smithiana, S. songarica, S. species, S. stipularis, S. tetrasperma, S. tremuloides, S. triandra, S. viminalis, Toisusu urbaniana, Viburnum henryi, V. prunifolium, V. rhytidophyllumまたはViscum album。
【0043】
[0054] 他の種々の例示態様において、ナラクチンはサリチレートまたはその誘導体である。ある例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメート、その誘導体または組合わせである。
【0044】
[0055] 他の種々の例示態様において、組成物はさらに、化粧用または医薬用として許容できるキャリヤーを含む。ある例示態様において、ナラクチン阻害物質は天然源に由来する他のarNOX阻害物質と共に存在し、これには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ブロッコリ、シイタケ、コリウス ローズマリー、ハス、アーティチョーク、シーローズ タンジェリン、メマツヨイグサ、アスタキサンチン、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ、ロニセラ、ソバ属、ニンジンまたはオリーブ。種々の例示態様において、ナラクチンは他のarNOX阻害物質の作用を増強する。
【0045】
[0056] 本明細書に記載するarNOX阻害組成物をいずれか好都合な様式で投与しうることは、当業者に認識されるであろう。ある例示態様において、そのような投与形態にはクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンが含まれる。種々の例示態様において、本発明によって改善される老化作用には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症。本発明のこれらおよび他の例示態様において、arNOX阻害物質は約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与される。
【0046】
[0057] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するために老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生を阻害する方法であって、サリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメートのうち少なくとも1種類を含む療法有効量の組成物を、その必要がある患者に、老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生が阻害されるように投与することを含み、その際、老化作用が改善される方法を含む。種々の例示態様において、本方法はさらに、下記のうち少なくとも1種類からの抽出物または精製した抽出物を含む:ブロッコリ、シイタケ、コリウス ローズマリー、ハス、アーティチョーク、シーローズ タンジェリン、メマツヨイグサ、アスタキサンチン、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ、ロニセラ、ソバ属、ニンジン、フサザキスイセン、オリーブ、ヤナギ、エンバク、トウモロコシ、オニタビラコ、ポプラ、ガマズミ、カビ、特にアスペルギルス属、ウリノキ、カバ、ミシマサイコ、コルヒクム、タカトウダイグサ、シモツケソウ、クチナシ、ムラサキ、タバコまたはヤドリギ。本発明による種々の例示態様において、組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、エリキシル剤またはサンスクリーンとして適用する。これらの例示態様において、老化作用には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症。
【0047】
[0058] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するための化粧方法であって、arNOXを阻害するのに十分な有効量のナラクチンを含む化粧用組成物を皮膚に適用することを含み、その際、arNOX仲介による老化作用の少なくとも1つが阻害される方法を含む。これらの態様において、ナラクチンはサリチレートまたはその誘導体である。種々の例示態様において、サリチレートはサリシン、サリチルヒドロキサメートまたはサリチル酸である。本発明による他の種々の態様において、化粧用組成物はさらに、下記のものを含む植物抽出物を含有する:ニンジン抽出物、オリーブ抽出物、ブロッコリ抽出物、シイタケ抽出物、コリウス抽出物、ローズマリー抽出物、ハス抽出物、アーティチョーク抽出物、シーローズ抽出物、タンジェリン抽出物、メマツヨイグサ抽出物、レッドオレンジ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、ロニセラ抽出物、ソバ属抽出物、ヤナギ抽出物、トウモロコシ、オニタビラコ、ポプラ、ガマズミ、カビ、特にアスペルギルス属、ウリノキ、カバ、ミシマサイコ、コルヒクム、タカトウダイグサ、シモツケソウ、クチナシ、ムラサキ、タバコ、ヤドリギ、エンバクまたはフサザキスイセンの抽出物。これらの例示態様において、ナラクチンを化粧用として許容できるキャリヤーと共に付与する。
【0048】
[0059] 種々の例示態様において、本発明による方法によって改善される老化作用には、すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症が含まれる。
【0049】
[0060] 本発明による方法の種々の態様において、ナラクチンを少なくとも1日1回適用する。ある例示態様において、ナラクチンを化粧品中に約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与する。これらの例示態様において、本発明による化粧用組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、エリキシル剤、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして投与する。
【0050】
[0061] 本発明によるさらに他の態様において、本発明は、老化作用を改善するのに有用な化粧品を適用するためのキットであって、少なくとも1種類のナラクチン;および使用のための指示を含むキットを含む。ある例示態様において、キットはさらに、少なくとも1種類のarNOX阻害性植物抽出物のためのキャリヤーとして適切な、化粧用調製物を含む。
【0051】
[0062] 本明細書中で定める抗酸化剤、細胞成分および標的タンパク質を下記のように略記する:
【0052】
【表A】

【0053】
[0063] 本発明
[0064] 本発明は、フサザキスイセンの球根およびトウモロコシから同定および精製され、体内または局所に投与しうる、天然の物質に関する。これらの物質はarNOXを特異的に阻害し、それの老化関連作用のうちあるものを改善する。そのような物質は単離した物質または植物抽出物の形をとることができる。さらに、arNOX阻害物質は単独で使用できるが、多数のarNOX阻害物質を含む組成物、および/または身体に対して他の有益な作用をもつ化合物を含有する配合物としても使用できる。特に本発明者らは、arNOX阻害物質を化粧品に添加することにより阻害物質が普通のスキンケア計画を増強する有益な効果をもちうることを見いだした。
【0054】
[0065] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するための化粧用組成物であって、化粧用として有効な量の少なくとも1種類のarNOX阻害物質を含み、その際、arNOX阻害物質は皮膚に対する老化作用を軽減するのに有効である組成物を含む。この例示態様の1形態において、本発明は化粧用として許容できるキャリヤーを含有する。この態様において、キャリヤーには粉末、皮膚軟化剤、ローション、クリーム、液体などを含めることができる。ある例示態様において、arNOX阻害物質は植物に由来する。具体的な例示態様において、植物は下記のものから選択される:ブロッコリ、シイタケ、コリウス、ローズマリー、ハス、アーティチョーク、シーローズ、タンジェリン、メマツヨイグサ、アスタキサンチン、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ、ロニセラ、ソバ属、ニンジン、フサザキスイセン、ヤナギ、トウモロコシ、オニタビラコ、ポプラ、ガマズミ、カビ、特にアスペルギルス属、ウリノキ、カバ、ミシマサイコ、コルヒクム、タカトウダイグサ、シモツケソウ、クチナシ、ムラサキ、タバコ、ヤドリギ、エンバクまたはオリーブ。
【0055】
[0066] この例示態様による化粧用組成物は例示されるいかなる様式でも投与できることを認識すべきである。例えば、ある例示態様において、本発明による化粧用組成物は局所、経口、非経口、経皮または直腸に投与できる。ある例示態様において、組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸またはシャンプーとして配合する。
【0056】
[0067] さらに他の例示態様において、本発明は、老化作用を改善するための化粧方法であって、有効量のナラクチンを含む化粧用組成物を皮膚に適用することを含み、その際、arNOX仲介による老化作用の少なくとも1つが阻害される方法を含む。本発明によるある例示態様において、arNOX阻害物質は植物抽出物である。他の例示態様において、arNOX阻害物質は植物抽出物から精製されている。本発明による種々の例示態様において、arNOX阻害物質は約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で存在する。種々の例示態様において、有効成分の濃度は約15μg/ml〜約100μg/mlの濃度で存在する。ある例示態様において、本発明による化粧用組成物は局所、経口、非経口、経皮、直腸、またはいずれか有効な方法で適用できる。ある例示態様において、組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸またはシャンプーとして配合する。
【0057】
[0068] さらに他の例示態様において、本発明はキットを含む。この態様において、キットはある体積のarNOX阻害物質および使用のための指示を含むことができる。種々の例示態様において、キットはさらに、arNOX阻害物質を化粧用調製物に使用前に添加することができるように、化粧用調製物を含むことができる。
【0058】
[0069] 本発明のある例示態様においては1種類のarNOX阻害物質を使用するが、他の例示態様においては1種類より多い抽出物またはarNOX阻害物質を一緒に使用することを認識すべきである。さらに、本発明の種々の例示態様において、1種類または種々のarNOX阻害物質を多様な方法で適用または投与しうることを認識すべきである。例えば、クリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプーまたはサンスクリーンの形での局所適用、および茶もしくはカプセルまたは他のいずれかの効果的な様式。
【0059】
[0070] 細胞膜ヒドロキノン(NADH)オキシダーゼ(NOX):
[0071] 細胞膜NADHオキシダーゼ(NOX)は、ヒドロキノン(NADH)オキシダーゼ活性およびタンパク質ジスルフィド−チオール交換活性をもつユニークな細胞表面タンパク質であり、これは普通はホルモンおよび成長因子に応答する。癌細胞に特異的な、tNOXと表示されるホルモン非感受性および薬物応答性の形態の活性が記載されている。NOXタンパク質が特定の条件下でROSを産生しうるという証拠がある。例えば、培養細胞において酸化的ストレス源として紫外線を用いてスーパーオキシド発生を開始している(Morre et al., 1999, Biofactors 9:179-187)(U.S.Patent No.5,605,810を参照;それの全体を本明細書に援用する)。
【0060】
[0072] フサザキスイセンからのarNOX阻害物質の分離および特性分析
[0073] 本発明に至る一連の研究は、市販のフサザキスイセン球根抽出物(IBR−Dormin(登録商標)として市販、IBR,Inc.、イスラエル)のある試料はarNOXに対してしばしば強い阻害性であるのに対し、異なるロットではあるが同じタイプの製品の他の試料が阻害性ではないという所見によって促された。本発明者らは、arNOX阻害が特定の保存剤の不存在下では幾分不安定であるためか、あるいは抽出物の精製中に不活性調製物から有効調製物のarNOX阻害成分が失われたという仮説を立てた。しかし、IBR−Dormin(登録商標)として知られる製品は植物に由来する抗増殖剤に関連すると最近記載されたことに注目すべきである。米国特許出願公開No.20060160702、出願No.11/289,156(’156出願)(Soudantら)を参照。この’156出願によれば、抗増殖剤は、植物器官を休眠状態に誘導することができる植物中にみられる(要約)。したがって、「ドルミン類」と呼ばれる抗増殖剤は、細胞増殖の速度低下を介して老化の速度を低下させることにより機能することが示唆される。「ドルミン類」は休眠期に入った植物の抽出物を調製することにより収穫される。したがって、休眠状態の植物のみがこの特性を得るための「ドルミン類」として使用できる。
【0061】
[0074] 異なる市販のフサザキスイセン粉末(球根と花の両方とも)(Xi’an Aojing Science and Technology Developing CO.,LTD.、中国、山西省、西安)が多様なarNOX阻害度をもつことに本発明者らは気づいたので、arNOX阻害物質を同定するために一連の実験を行なった。上記の可能性を調べるために、ニホンスイセン(日本水仙)(paper white narcissus(N.tazetta))の球根を園芸業者(Brent and Becky’s bulbs、バージニア州グロウセスター)から入手した。ラッパスイセン(N.pseudo−narcissus)(daffodil)およびキズイセン(黄水仙)(N.jonquilla)(jonquil)について比較を行なったが、両方とも大部分が活性をもたなかった。活性は、鉄(III)の添加により増強される赤色の着色と相関していた;これは、天然ヒドロキサメートの特徴である。評価のために最も入手しやすいヒドロキサメートはサリチルヒドロキサメート(SHAM)(ナラクチン1)であった。水抽出物およびアルコール抽出物を調製し、これらはarNOXを阻害し、フサザキスイセンの低活性の花からの粉末と組み合わせた際に阻害を増強した(例えば図1a)。図1bは1aと同様であり、水で抽出した球根に由来するフサザキスイセン粉末(Xian Aojing,LTD)をサリシン(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)(ナラクチン3)で増強した場合の増強を示す。arNOX阻害活性を全くもたない同様な抽出物であるラッパスイセンおよびキズイセンの抽出物のと比較を行なった。
【0062】
[0075] 図2に示すように、フサザキスイセン抽出物の活性は鉄(III)の添加によって増強される赤色の着色と相関していた;これは、例えば同様にarNOXを阻害するトウモロコシ(図3)およびエンバク(示していない)の幼植物にみられる天然ヒドロキサメートの特徴である(図4)。フサザキスイセン抽出物の有効成分が天然ヒドロキサメートを含む可能性についての証拠はさらに、薄層クロマトグラフィー分析(図5)により、それらの鉄付加物のスペクトル研究から、トウモロコシの根のスティール(ヒドロキサメートが濃縮されているトウモロコシの根の中心維管束;これは、図2に示すように潜在的にヒドロキサメートに富むフサザキスイセン球根の茎の維管束に対応する)から(図6)、および市販のヒドロキサメート(サリチルヒドロキサメート(SHAM)、例えばSigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイスから市販されている)との比較により、得られた。
【0063】
[0076] SHAMをarNOX活性阻害について試験して、72歳の男性からの唾液に対して90%を超えるarNOX活性阻害が1mg/mlの濃度で得られた(図7)。SHAMは部分活性フサザキスイセン粉末のarNOX活性の阻害を増強することも見いだされた(図1)。市販のフサザキスイセン粉末は、低レベルのおそらくSHAMに類似する天然ヒドロキサメートを実際に含有すると思われるが、新鮮なフサザキスイセン球根から調製した抽出物中にみられるものよりはるかに低いレベルにおいてである(図5aおよび5b)。
【0064】
[0077] 安定化されたサリチルヒドロキサメートのサリチル酸部分がarNOX活性の阻害に重要であるかどうかという疑問に答えるために、サリチル酸(ナラクチン2、例えばSigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイスから入手できる)を唾液(72歳の男性)のarNOX活性の阻害物質として試験して、arNOXを阻害することが見いだされた(図8)。サリチル酸も、鉄(III)と反応した際にヒドロキサメートが生じるのと類似する赤色を生じた。サリチル酸のエステルおよび/またはアスピリンは、arNOXを阻害しなかった。サリチレートの天然源であるヤナギ樹皮の水抽出物を試験して、同様にarNOXを阻害することが見いだされた。ヤナギ樹皮の主要なサリチレートであるサリシン(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)(本明細書中でナラクチン3と表示する)を次いで試験して、SHAM(ナラクチン1)またはサリチル酸(ナラクチン2)より10倍低い濃度で有効であることが見いだされた(図9)。
【0065】
[0078] サリシンは単独物質として有効である(図9)だけでなく、チョウセンゴミシ粉末およびフサザキスイセン粉末などの天然源に由来する他のarNOX阻害物質の混合物のarNOX阻害を増強するのにも有効であった(図10aおよび10b)。同定および試験した3種類の化学的に純粋なナラクチン類(フサザキスイセン粉末中に存在するか、あるいはフサザキスイセン粉末を最も有効な新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができる、数種類の天然arNOX阻害物質のいずれかを標記するために用いる用語)のうち、サリシンは最も有望であると思われた。さらに、サリシンは安定、水溶性、非刺激性、かつ比較的安価である。
【0066】
[0079] 一般に、老化した細胞の特徴には、arNOXを発現および/または放出するものが含まれ、下記の特性のうち1以上を示すものが含まれるが、これらに限定されない:老化関連PMOR系、活性酸素種を発生する能力、および機能欠損ミトコンドリアの保有。本発明の1態様は、老化しつつある細胞の負の作用を低下させる物質の使用である。
【0067】
[0080] 老化しつつある皮膚の症状には、乾燥、痒み、皮膚の菲薄化または肥厚、皺および細かいすじ、過色素沈着症(一般に加齢斑または肝斑と呼ばれる)、ならびに斑点のある(mottled)外観が含まれる。老化しつつある皮膚はコラーゲンが減少し、それに伴って弾力性が低下することが示された。さらに、老化しつつある皮膚は開裂したコラーゲンおよび架橋したタンパク質の量が増加する。これらのプロセスにおけるスーパーオキシドラジカルの関与が指摘されている。皮膚は損傷を受けると治癒するのに多大な時間がかかる。菲薄化した皮膚を通して血管がより見えやすくなり、これは加齢に伴って血管が拡張するからでもある。これらの血管が皮膚上の赤いドーム様の形成物(老年性血管腫)または表面上の破壊された毛細血管(末梢血管拡張)として見える場合がある。多くの人が老化性または光線性の紫斑を発現する;これらは皮膚上の紫色の点または斑であり、皮膚の小さな出血により形成される。メラニン細胞と呼ばれる保護細胞が年齢と共に減少するので、高齢の皮膚ほど太陽光線に対する保護が低下する。老化しつつある皮膚は多様な良性および前癌性の増殖物、例えば脂漏性および光線性の角化症も発現しやすくなる。脂漏性角化症はしばしば粗い褐色の外観をもち、いぼのように見える。それらは良性である。光線性角化症は太陽光線に被曝した領域の皮膚上の小さな鱗状増殖物である。それらは皮膚癌の初期徴候である。
【0068】
[0081] 本発明は、皮膚の活力を維持するために、天然植物抽出物を単独でまたはクリーム皮膚軟化剤、ローション、ゲル、皮膚軟化剤などの形で局所適用する用途を包含する。本発明の好ましい態様は、皮膚の活力を維持および改善するために、arNOX阻害性抽出物を含むクリームを患者の皮膚に局所適用することを含む。
【0069】
[0082] 皮膚の化粧処置
[0083] 本発明は、皮膚の損傷およびそれに付随する状態、特に老化により生じるものおよびarNOXに関連するものを予防および/または改善する有効成分(単数または複数)を含む、組成物を提供する。さらに、本発明はそれらの組成物を使用する方法を包含する。角質層は皮膚の最上表面層を形成する層であり、皮膚を保護し、一方では皮膚の湿潤度および物質の流入流出を制御する作用をする。このバリヤー機能が破壊されるのに伴って皮膚は傷害作用を受け、したがってさらに早期老化の一因となる。皮膚の早期老化を引き起こすこれらの傷害作用は、健康で若々しい外観および感触の皮膚を維持したい多くの個人にとっての関心事である。反応性酸素種は、細胞に対して潜在的に致死性である多数の破壊的反応に関与する。反応性酸素種は有害な細胞相互作用の原因の一部であり、これには線維芽細胞が健全なコラーゲンおよびエラスチンを産生する能力の損傷が含まれる。さらに、皮膚は皮膚障害、環境による虐待(風、エアコンディショニング、セントラルヒーティング)、または普通の老化プロセス(経時老化)により劣化を受け、これらは太陽光線への皮膚曝露によって加速する可能性がある(光老化)。
【0070】
[0084] 本発明の好ましい態様は、組織、特に皮膚に対するarNOX関連の損傷を処置するための、植物に由来する天然の有効成分を提供する。これらの有効成分は、皮膚損傷および/またはそれに付随する状態を予防および/または改善する。本発明の1態様において、加工したこれらの植物産物はarNOX活性を封鎖する。本発明の他の態様において、加工したこれらの植物産物は反応性酸素種を阻害する。他の態様において、本発明の物質および方法は皮膚の健康状態を予防および/または改善する。例えば、これらの物質は、皮膚の緊縮性(tautness)、色、および孔の外観、弾力性、水和度を改善し、ならびに/あるいは、細かいすじおよび目に見える老化の徴候の出現を減弱させるのを補助することができる。本発明の他の例示態様において、これらの物質は身体の自然なコラーゲンおよびエラスチンの産生に正の作用を及ぼす。他の態様において、本発明の物質は環境からの撹乱因子、例えば公害、太陽光線、フリーラジカルおよびストレスの作用を最小限に抑える。
【0071】
[0085] 本発明の1態様は、皮膚障害およびその作用を予防および/または改善するための組成物およびそれを使用する方法を提供する。
[0086] 本発明の1態様は、反応性酸素種の産生の作用を阻止および軽減するための組成物、ならびにそれを使用する方法を提供する。例えば、本発明は、arNOX活性を少なくとも部分的に封鎖または阻害するための、植物由来の有効成分の使用を包含する。さらに、本発明は、arNOX活性を封鎖するための、他の合成および天然の化合物の使用を含むものとする。
【0072】
[0087] 本発明は、皮膚を処置し、実際の老化および風化した皮膚の目に見える徴候、例えば皺、すじ、たるみ、過色素沈着および加齢斑を遅延させる組成物を開示する。本発明は、過敏性、乾燥および/または鱗状の皮膚の外観および状態も軽減し、発赤および/または刺激を生じた皮膚を鎮静する作用をし、ならびに点(spot)、丘疹(pimple)、斑点(blemish)その他の皮膚の不整(irregularity)を処置する。
【0073】
[0088] 本発明は、老化しつつある細胞が血清中に放出する老化関連イソ型NADHオキシダーゼ(arNOX)をターゲティングすることにより、細胞において老化をもたらす酸化的変化により生じる障害を処置するための、医薬組成物または化粧用組成物、使用方法、および医薬キットまたは化粧用キットを提供する。これらの組成物は、植物から抽出された物質を含有することができる。例えば、本発明組成物は、arNOX活性を阻害することが示された少なくとも1種類の抽出物を単独でまたは他の阻害物質と共に含み、老化しつつある細胞が血清中に放出する老化関連イソ型NADHオキシダーゼの活性を少なくとも部分的に阻害または遮断することができる。これらの組成物は、arNOXの阻害に有用なことが知られているユビキノン類、天然抽出物またはそれらに由来する物質を、クリーム、ローション、皮膚軟化剤、ゲルなどを調製するための当技術分野で既知の他の化合物と一緒に含むことができる。そのような他の化合物には、ガム、増量剤、保存剤などを含めることができる。
【0074】
[0089] 1態様において、これらの成分のうち一部または全部を、アンチエージングおよび修復用の血清配合物中に一般的にみられる他の成分と組み合わせることができる。水以外の、または水に加えるビヒクルは、液体または固体の皮膚軟化剤、溶剤、保湿剤、増粘剤および粉末を含むことができる。ビヒクルは、組成物の0.1%から99.9%まで、好ましくは25%から80%まで(重量)であってよく、他の化粧補助剤を含まない状態で組成物の残部を形成することができる。1態様において、ビヒクルは、ビヒクルの少なくとも80重量%が水である。他の態様において、水は組成物の約50%〜85%(重量)を構成する。さらに他の態様において、水は組成物の約0.1%〜55%(重量)存在する。他の態様においては、他のビヒクルが上記の濃度で用いられる。
【0075】
[0090] 油または油性物質が乳化剤と一緒に存在して、油中水型乳液または水中油型エマルジョンを生成してもよい;これは、用いる乳化剤の平均親水性−親油性バランス(HLB)に大きく依存する。
【0076】
[0091] 本発明の組成物は日焼け止めを含有することもできる。日焼け止めには、紫外線を遮断するために一般的に用いられる物質が含まれる。具体的な化合物は、PABA誘導体、シンナメートおよびサリチレートである。例えば、メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾンとししても知られる)を使用できる。メトキシケイ皮酸オクチルおよび2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンは、それぞれ商標Parsol MCXおよびBenzophenone−3で市販されている。エマルジョン中に用いる日焼け止めの厳密な量は、希望する太陽光線の紫外線からの保護の程度に応じて変更できる。
【0077】
[0092] 皮膚軟化剤を本発明の化粧用組成物中にさらに含有させることができる。そのような皮膚軟化剤の量は、組成物全体の0.5%から50%まで、好ましくは5%〜30%(重量)の範囲であってよい。皮膚軟化剤は、エステル、脂肪酸およびアルコール類、ポリオールならびに炭化水素などの一般的な化学的カテゴリー下に分類することができる。
【0078】
[0093] エステルはモノエステルまたはジエステルであってもよい。許容できる脂肪酸エステルの例には、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、ダイマー酸ジイソプロピルおよびコハク酸ジオクチルが含まれる。許容できる分枝鎖脂肪酸エステルには、ミリスチン酸2−エチル−ヘキシル、ステアリン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソステアリルが含まれる。許容できる三塩基性酸エステルには、トリリノール酸トリイソプロピルおよびクエン酸トリラウリルが含まれる。許容できる直鎖脂肪酸エステルには、パルミチン酸ラウリル、乳酸ミリスチルおよびオレイン酸ステアリルが含まれる。好ましいエステルには、ココ−カプリレート/カプレート(ココ−カプリレートとココ−カプレートのブレンド)、プロピレングリコールミリスチルエーテルアセテート、アジピン酸ジイソプロピルおよびオクタン酸セチルが含まれる。
【0079】
[0094] 適切な脂肪アルコールおよび脂肪酸には、10個から20個までの炭素原子をもつ化合物が含まれる。特に好ましいものは、セチル、ミリスチル、パルミチルおよびステアリルアルコールならびに酸などの化合物である。
【0080】
[0095] 皮膚軟化剤として使用できるポリオールには、直鎖および分枝鎖アルキルポリヒドロキシ化合物が含まれる。例えば、プロピレングリコール、ソルビトールおよびグリセリンが好ましい。高分子ポリオール、例えばポリ−プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールも使用できる。ブチレンおよびプロピレングリコールは透過促進剤としても特に好ましい。
【0081】
[0096] 皮膚軟化剤として使用できる炭化水素の例は、12個から30個までのいずれかの炭素原子をもつものである。具体例には、鉱油、ワセリン、スクアレンおよびイソパラフィンが含まれる。
【0082】
[0097] 本発明組成物の他の態様は増粘剤を含む。増粘剤は、通常は組成物の0.1%から20%まで(重量)のいずれか、好ましくは約0.5%から10%まで(重量)の量で存在するであろう。増粘剤の例は、CARBOPOL(登録商標)の商標でB.F.Goodrich Coから入手できる架橋したポリアクリレート材料である。ガム、例えばキサンタン、カラギーナン、ゼラチン、カラヤ、ペクチンおよびローカストビーンガムを使用できる。特定の状況下では、増粘機能はシリコーンまたは皮膚軟化剤としても使用できる材料により達成できる。例えば、10センチストークを超えるシリコーンゴム、およびエステル、例えばステアリン酸グリセロールは、二重の機能をもつ。
【0083】
[0098] 粉末を本発明の化粧用組成物に取り込ませることができる。
[0099] これらの粉末には、チョーク、タルク、カオリン、デンプン、スメクタイトクレー、化学修飾したケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾したモンモリロナイトクレー、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、アルミニウムデンプンオクテノイルスクシネート、およびその混合物が含まれる。
【0084】
[0100] 他の補助副成分を化粧用組成物に取り込ませることもできる。これらの成分には、着色剤、不透明化剤および香料を含めることができる。これらの他の補助副成分の量は、組成物の0.001%から20%まで(重量)のいずれかの範囲であってもよい。
【0085】
[0101] 本発明の組成物は、皮膚のコンディショニング、加湿および平滑化、柔軟性(flexibility)および弾力性(elasticity)の増大、ならびに皺、すじまたは老化した皮膚の外観の予防または軽減のための物質として、ヒトの皮膚に局所適用するのに使用できる。本発明の配合物は、皮膚の張り(tone)の喪失に対する応答をもたらし、皮膚の表層の水和度および硬さを効果的に補給する有益性を増進する;これらはすべて、抗酸化剤その他の有益な成分で皮膚の下層を修復して、細かいすじおよび皺の外観を軽減しかつ目に見える張りおよび弾力性を快復するのを補助する作用に伴って生じる。ある例示態様において、そのような抗酸化剤は具体的にはarNOXを阻害することを目的とする。
【0086】
[0102] 1態様において、約1mlから1000mlまでの有効成分を含む少量の組成物を皮膚に適用する。例示態様においては、約1mlから100mlまでの有効成分を含む少量の組成物を皮膚に適用する。このプロセスを毎日数回、任意期間反復することができる。好ましくは、組成物を朝1回および夕方1回、皮膚に適用する。
【0087】
[0103] 本発明の局所スキンケア組成物は、ローション、クリーム、ゲルなどとして配合できる。組成物をその粘度および消費者の意図する用途に適した適切な容器にパッケージすることができる。例えば、ローションまたはクリームは、ボトルもしくはロールボールアプリケーター(roll−ball applicator)、または噴射剤駆動式エアゾール器具、または手指操作に適切なポンプを備えた容器内にパッケージすることができる。組成物がクリームである場合、それを変形しないボトルまたは絞り出し容器、例えばチューブもしくは蓋付きジャー内に保存するだけでよい。したがって本発明は、本明細書に定めた化粧用として許容できる組成物を収容した密閉容器をも提供する。
【実施例】
【0088】
[0104] 以下の実施例は説明のために提示するものであり、限定のためのものではない。
[0105] 実施例
[0106] 実施例1:フサザキスイセン抽出物の特性分析
[0107] フサザキスイセン(Narcissus tazetta)がarNOX阻害物質を含む可能性があるという仮説を調べるために、ニホンスイセン(日本水仙)(paper white(Narcissus tazetta)narcissus)の球根を園芸業者(Brent and Becky’s bulbs、バージニア州グロウセスター)から入手した。水およびエタノール抽出物を調製し、これらはarNOX活性を阻害し、低活性のフサザキスイセン粉末(Xian Aojing Science and Technology Developing CO.、LTD、中国、西安)と組み合わせた場合に阻害を増強した。SHAM(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)によるフサザキスイセン球根由来の粉末の増強を図1aに示す。ナラクチン類がarNOX阻害を増強する能力の確認を同じプロトコルに従って行ない、ただしarNOX阻害を増強するためにサリシン(Sigma−Aldrich)、および花に由来するフサザキスイセン粉末(Xian Aojing Science and Technology Developing CO.,LTD、中国、西安)を用いた;図1b。arNOX阻害活性をもたないラッパスイセン(Narcissus pseudo−narcissus)(daffodil)およびキズイセン(黄水仙)(Narcissus jonquilla)(jonquil)の同様な抽出物について比較を行なった。図2に示すように、フサザキスイセン抽出物の活性は、鉄(III)の添加によって増強される赤色の着色と相関していた;これは、同様にarNOXを阻害するトウモロコシ(図3)およびエンバク(示していない)の幼植物にみられる天然ヒドロキサメートの特徴である(図4)。フサザキスイセン抽出物の有効成分が天然ヒドロキサメートを含む可能性についての証拠はさらに、それらの薄層クロマトグラフィー分析(図5)により、ならびにそれらの鉄付加物のスペクトル研究から、およびトウモロコシの根のスティール(ヒドロキサメートが濃縮されているトウモロコシの根の中心維管束;これは、潜在的にヒドロキサメートに富むフサザキスイセン球根の茎の維管束(図2に示す)に対応する)からも(図6)、市販のヒドロキサメート(サリチルヒドロキサメート(SHAM)、Sigma−Aldrich)との比較により、得られた。
【0089】
[0108] 植物の別のオキシダーゼ活性の既知の阻害物質であるSHAMをarNOX活性阻害について試験して、72歳の男性からの唾液に対して90%を超えるarNOX活性阻害が1mg/mlの濃度で得られた(図7)。SHAMは部分活性フサザキスイセン粉末のarNOX活性の阻害を増強することも見いだされた(図1)。市販のフサザキスイセン粉末(IBR−DORMIN(登録商標)、イスラエル)は、低レベルのおそらくSHAMに類似する天然ヒドロキサメートを実際に含有すると思われるが、新鮮なフサザキスイセン球根から調製した抽出物中にみられるものよりはるかに低いレベルにおいてである(図5aおよび5b)。
【0090】
[0109] 実施例2:arNOX阻害物質の同定
[0110] 安定化されたサリチルヒドロキサメートのサリチル酸部分がarNOX活性の阻害に重要であるかどうかという疑問に答えるために、サリチル酸(ナラクチン2)を唾液(72歳の男性)のarNOX活性の阻害物質として試験して、arNOXを阻害することが見いだされた(図8)。サリチル酸も、鉄(III)と反応した際にヒドロキサメートが生じるのと類似する赤色を生じた。サリチル酸のエステルおよび/またはアスピリンは、arNOXを阻害しなかった。サリチレートの天然源であるヤナギ樹皮の水抽出物を試験して、同様にarNOXを阻害することが見いだされた。ヤナギ樹皮の主要なサリチレートであるグリコシド、サリシン(Sigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイス)(ナラクチン3)を次いで試験して、SHAM(ナラクチン1)またはサリチル酸(ナラクチン2)より10倍低い濃度で有効であることが見いだされた(図9)。
【0091】
[0111] 実施例3:サリチレート産生植物の同定
サリチレートの天然産生体である植物を同定するための検索を実施した。検索はシカゴのイリノイ大学のNorman Farnsworth教授が作成した天然物データベース(napralert.orgで入手できる)を用いて実施した。この検索により、同定された種々の組織中でサリチレートを産生する下記の植物が同定された:
A. chinense (alangiaceae(ウリノキ科))乾燥葉、中国,A. chinense (alangiaceae)乾燥葉、日本(栽培(cult)),A. platanifolium (alangiaceae)乾燥葉、フランス,A. platanifolium var. platanifolium (alangiaceae)乾燥葉、日本,A. platanifolium var. trilobum (alangiaceae)乾燥葉、日本,A. platanifolium var. trilobum (alangiaceae)乾燥葉、日本,A. premnifolium (alangiaceae)葉、日本,A. premnifolium (alangiaceae)乾燥茎(stem)、日本,Aspergillus niger (hyphomycetes(糸状菌類))培養物濾液、朝鮮,betula alba (betulaceae(カバノキ科))乾燥樹皮、ドイツ,Bupleurum falctum (apiaceae(繖形科))幼植物の懸濁培養物、日本,Catharanthus roseus (apocynaceae(キョウチクトウ科)葉の懸濁培養物、日本,Chosenia bracteosa (salicaceae(ヤナギ科))乾燥樹皮、日本,Colchicum autumnale (liliaceae(ユリ科))新鮮な球茎、日本,Crepis foetida (asteraceae(キク科))乾燥根、ポーランド,Crepis rhoeadifolia (asteraceae)乾燥根、ポーランド(栽培),Datura inoxia (solanaceae(ナス科))葯の懸濁培養物、日本,D. inoxia (solanaceae)根の懸濁培養物、日本,Duboisia myoporoides (solanaceae)葉の懸濁培養物、日本,Eleutherococcus setchuensis (araliaceae(ウコギ科))乾燥茎、中国,Euphorbia salicifolia (euphorbiaceae(トウダイグサ科))新鮮な植物全体、ハンガリー,Filipendula ulmaria (rosaceae(バラ科))乾燥気中部分(aerial part)、欧州,F. ulmaria (rosaceae)乾燥植物全体、F. ulmaria (rosaceae)乾燥植物全体、スイス,F. ulmaria (rosaceae)乾燥花、USSR,Foeniculum vulgare (apiaceae)果実の市販試料、中国,Gardenia jasminoides (rubiaceae(アカネ科))葉の懸濁培養物、日本,Lithospermum erythrorhizon (boraginaceae(ムラサキ科))幼植物の懸濁培養物、日本,Nicotiana tabacum (solanaceae)根の懸濁培養物、
日本,P. alba (salicaceae)乾燥樹皮、USA, P. balsamifera (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. balsamifera (salicaceae)新鮮な樹皮、USA-WI,P. balsamifera (salicaceae)乾燥樹皮+小枝(twig)、USA-WI,P. balsamifera (salicaceae)乾燥芽、フランス,P. balsamifera (salicaceae)凍結乾燥葉、USA-AK, P. balsamifera (salicaceae)新鮮な葉、USA-WI, P. balsamifera (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド(栽培),P. balsamifera (salicaceae)乾燥幹(trunk)樹皮、USA-WI, P. davidiana (salicaceae)乾燥樹皮、中国,P. davidiana (salicaceae)乾燥茎樹皮、朝鮮,P. deltoides (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. deltoides (salicaceae)新鮮な樹皮、USA-WI, P. deltoides (salicaceae)新鮮な葉、USA-WI, P. deltoides var. deltoides (salicaceae)乾燥樹皮、カナダ(栽培),P. deltoides var. occidentalis (salicaceae)乾燥樹皮、カナダ(栽培),P. euphratica (salicaceae)乾燥樹皮、中国,P. euphratica (salicaceae)乾燥芽、トルコ, P. grandidentata (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. grandidentata (salicaceae)乾燥葉、USA-WI, P. heterophylla (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. lasiocarpa (salicaceae)乾燥芽、英国,P. maximowiczii (salicaceae)乾燥樹皮、日本,P. nigra (salicaceae)新鮮な樹皮、ドイツ,P. nigra (salicaceae)乾燥葉、英国(栽培),P. nigra (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,P. sieboldii (salicaceae)乾燥芽、日本,P. simonii (salicaceae)乾燥樹皮、中国,P. tacamahaca (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. tomentosa (salicaceae)乾燥樹皮、中国,P. tomentosa (salicaceae)植物全体、中国,P. tomentosa (salicaceae)乾燥葉、中国,P. tremula (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,P. tremula (salicaceae)乾燥葉、スイス,P. tremula (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,P. tremula (salicaceae)真菌感染した茎の樹皮、フランス,P. tremula (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,P. tremuloides (salicaceae)乾燥樹皮、USA, P. tremuloides (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. tremuloides (salicaceae)若い植物全体, P. tremuloides (salicaceae)凍結乾燥節間(internode)、USA-AK, P. tremuloides (salicaceae)乾燥葉、USA-WI, P. tremuloides triploid (salicaceae)新鮮な葉、USA-WI, P. tremuloides triploid type (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. trichocarpa (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WA, P. trichocarpa (salicaceae)乾燥樹皮、USA-WI, P. trichocarpa (salicaceae)新鮮な葉、USA-WI, P. trichocarpax P. deltoides (salicaceae)新鮮な葉、ベルギー(栽培),S. acutifolia (salicaceae)乾燥樹皮、ロシア, S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、フランス,S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、USA, S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、USA-AR, S. alba (salicaceae)乾燥樹皮、
USA-UT, S. alba (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. alba (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド(栽培),S. alba cv. cardinalis (salicaceae)乾燥葉、英国,S. alba, 雌性(sex female)(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. alba, 雄性(sex male)(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. alba x s. babylonica (s. sepula (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. alba x s.fragilis(s. russellia (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. alba x s. pentadra (s. ehrhardt (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. alba x S. babylonica (salicaceae)植物全体、USSR, S. americana (salicaceae)乾燥葉、英国,S. arctica (salicaceae)乾燥葉、アイスランド, S. aurita (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. aurita (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. aurita, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. babylonica (salicaceae)乾燥葉、インド, S. babylonica (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. babylonica cv. fardon weeping (salicaceae)乾燥葉、英国,S. babylonica x s. fragills (s. blanda) (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. basfordiana (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. basfordiana (salicaceae)凍結葉、S. caesia (salicaceae)新鮮な枝、フランス,S. caesia (salicaceae)新鮮な葉、フランス,S. caesia (salicaceae)新鮮な茎、フランス,S. calodendron (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. calodendron (salicaceae)凍結葉、S. capitata (salicaceae)乾燥葉、中国,S. caprea (salicaceae)乾燥樹皮、フィンランド,S. caprea (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. caprea (salicaceae)乾燥樹皮、メキシコ, S. caprea (salicaceae)乾燥葉、メキシコ, S. caprea (salicaceae)乾燥葉、USSR, S. caprea (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. caprea (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. caprea, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. caprea, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. caprea var. lanata (salicaceae)乾燥葉、英国,S. caprea x s. lanata(s. balfourii) (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. caprea x s. viminalis (s. serican (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. chaenomeloides (salicaceae)乾燥葉、日本,S. cinerea (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. cinerea (salicaceae)乾燥樹皮、スイス,S. cinerea (salicaceae)オーブン乾燥花、フィンランド,S. cinerea (salicaceae)乾燥葉、英国,S. cinerea (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. cinerea, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. cinerea, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. daphnoides (salicaceae)乾燥樹皮、S. daphnoides (salicaceae)乾燥樹皮、スイス,S. daphnoides (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. daphnoides (salicaceae)凍結葉、S. daphnoidesクローン1 (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. daphnoides クローン2 (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. daphnoides ssp. cordaph (salicaceae)乾燥樹皮、マデイラ諸島(Madeira), S. daphnoides var. acutifolia (salicaceae)乾燥葉、英国,S. fragilis (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. fragilis (salicaceae)乾燥葉、英国,S. fragilis (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. fragilis (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. fragilis (salicaceae)凍結葉、S. fragilis (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. fragilis (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド(栽培),S. fragilis (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. fragilis, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. fragilis, 雄性(salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. fragilis var. latifolia (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. fragilis var. latifolia (salicaceae)凍結葉、S. fragilis x s. pentandra (s. meyeran (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. fragilis x s. triandra (s. decipien (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. geminataハイブリッド(salicaceae)乾燥葉、英国,S. geminataハイブリッド(s. cinerea x s.vi (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. gracilis var. textoris (salicaceae)オーブン乾燥樹皮、カナダ,S. gracilistyla (salicaceae)乾燥樹皮、日本,S. gracilistyla (salicaceae)乾燥葉、日本,S. gracilistyloides (salicaceae)乾燥樹皮、日本,S. gymnolepis (salicaceae)乾燥樹皮、日本,S. hastata (salicaceae)乾燥樹皮、スイス,S. herbacea x s.phylicifolla (s. moore (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. incana (salicaceae)乾燥葉、英国,S. koriyanagi (salicaceae)乾燥樹皮、日本,S. lapponum (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. lapponum (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. lapponum (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. lasiandra (salicaceae)凍結乾燥葉+茎、USA-AK, S. lasiolepis (salicaceae)乾燥葉、USA-CA, S. matsudana (salicaceae)乾燥葉、中国,S. myrsinifolia (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. myrsinifolia (salicaceae)乾燥葉、フィンランド(栽培),S. myrsinifolia (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. myrsinifolia (salicaceae)新鮮な葉、フィンランド,S. myrsinifolia (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. myrsinifolia (salicaceae)乾燥茎、フィンランド(栽培),S. myrsinifolia (salicaceae)新鮮な茎、フィンランド,S. myrsinifolia (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. myrsinifolia, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. nigricans (salicaceae)乾燥葉、英国,S. nigricans (salicaceae)乾燥葉、スイス,S. nigricans (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. nigricans (salicaceae)凍結葉、S. orestera (salicaceae)乾燥葉、
USA-CA, S. pentandra (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. pentandra (salicaceae)葉、USA, S. pentandra (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. pentandra (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. pentandra (salicaceae)凍結葉、S. pentandra (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. pentandra (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. pentandra (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. pentandra cv. lumley (salicaceae)乾燥葉、英国,S. pentandra, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. pentandra x s.fragilis (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. pentandra x s.fragilis (salicaceae)凍結葉、S. pentandroides (salicaceae)乾燥葉、USSR, S. pentandroides (salicaceae)新鮮な根の皮、USSR, S. petiolaris (salicaceae)乾燥樹皮、カナダ,S. phylicifolia (salicaceae)乾燥葉、英国,S. phylicifolia (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. phylicifolia (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. phylicifolia (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド,S. phylicifolia x S. myrsinifolia (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド,S. purpurea (salicaceae)乾燥樹皮、S. purpurea (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. purpurea (salicaceae)乾燥樹皮、スイス,S. purpurea (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. purpurea (salicaceae)乾燥葉、ドイツ(栽培),S. purpurea (salicaceae)乾燥葉、スイス,S. purpurea (salicaceae)新鮮な葉、S. purpurea (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. purpurea (salicaceae)凍結葉、S. purpurea (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. purpurea, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. purpurea, 雌性(salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. purpurea, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. purpurea var. goldstones (salicaceae)乾燥葉、英国,S. purpurea x s.triandra (s. leiophyl (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. repens (salicaceae)乾燥樹皮、フランス,S. repens (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. repens (salicaceae)乾燥葉、ドイツ,S. repens (salicaceae)新鮮な葉、英国,S. repens (salicaceae)凍結葉、S. repens, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. repens, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. rubraハイブリッド(salicaceae)乾燥葉、英国,S. rubraハイブリッド(s.purpurea x vimi (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. schwerinii (salicaceae)乾燥樹皮、USSR, S. scouleriana (salicaceae)乾燥樹皮、USA-UT, S. smithiana (salicaceae)乾燥葉、英国,S. songarica (salicaceae)葉、USSR, S. songarica (salicaceae)乾燥葉、USSR, S. species (salicaceae)乾燥植物全体、スイス,S. species (salicaceae)乾燥茎樹皮、フランス,S. stipularisハイブリッド(s. viminalis x un (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. tetrasperma (salicaceae)乾燥根、タイ, S. tetrasperma (salicaceae)乾燥茎樹皮、タイ, S. tremuloides (salicaceae)乾燥樹皮、USA, S. triandra (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. triandra (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. triandra cv. black maul (salicaceae)乾燥葉、英国,S. triandra, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. triandra, 雄性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. triandra x. s. viminalls (s. hippopha (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. viminalis (salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,S. viminalis (salicaceae)乾燥葉、英国,S. viminalis (salicaceae)オーブン乾燥葉、英国,S. viminalis (salicaceae)オーブン乾燥葉、フィンランド(栽培),S. viminalis (salicaceae)乾燥小枝、フィンランド(栽培),S. viminalis cv. aquatica (salicaceae)オーブン乾燥小枝、フィンランド(栽培),S. viminalis, 雌性(salicaceae)乾燥樹皮、ドイツ,Toisusu urbaniana (salicaceae)乾燥樹皮、日本,Viburnum henryi (caprifoliaceae(スイカズラ科))葉、Viburnum prunifolium (caprifoliaceae)根の皮、USA, Viburnum rhytidophyllum (caprifoliaceae)乾燥花、エジプト, Viscum album e/S. alba (loranthaceae(ヤドリギ科))葉茎、フランス。
【0092】
[0112] 実施例4:arNOX阻害剤の増強
[0113] サリシンは単独物質として有効である(図9)だけでなく、チョウセンゴミシ(Schizandra chinensis)粉末およびフサザキスイセン(N.tazetta)粉末などの天然源に由来する他のarNOX阻害物質の混合物のarNOX阻害を増強するのにも有効であった(図10aおよび10b)。図10aは、4mg/mlのチョウセンゴミシ粉末+フサザキスイセン抽出物(20μl)の混合物に1mg/mlのサリシンを添加したもののarNOX阻害を示す。図1bは、1mg/mlのサリシンの存在下での、4mg/mlのチョウセンゴミシ粉末+1mg/mlのフサザキスイセン粉末の混合物によるarNOX阻害を示す。同定および試験した3種類の化学的に純粋な「ナラクチン類」(フサザキスイセン粉末中に存在するか、あるいはフサザキスイセン粉末を最も有効な新鮮なフサザキスイセン抽出物のものに匹敵する阻害レベルまで増強することができる、数種類の天然arNOX阻害物質のいずれかを標記するために用いる用語)のうち、サリシンは最も有望であると思われた。サリシンは安定、水溶性、非刺激性、比較的安価であり、かつ多数の業者、例えばSigma−Aldrich、ミズーリ州セントルイスから入手できる。さらに、低活性フサザキスイセン粉末の増強は、図1aおよび1bに明瞭に示される;この場合、SHAMとサリシンの両方がarNOX活性を顕著に低下させた。
【0093】
[0114] 実施例5:arNOXの特性分析
[0115] バフィーコート(buffy coat)によるスーパーオキシド産生:バフィーコートはリンパ球と血小板の混合物。そのようなバフィーコートは、例えばRockland Immunochemicals(ペンシルベニア州ギルバーツスビル)から市販されている。採集およびアッセイ前に血液試料を4℃に保持した。約10個の細胞を各アッセイに添加した。細胞数を血球計数器により測定した。
【0094】
[0116] スーパーオキシドによる鉄(III)シトクロムcの還元をスーパーオキシド形成の基準尺度として用いた(Mayo, L. A. and Cumutte, J. (1990) Meth. Enzyme. 186, 567-575. 7.Butler, J, Koppenol, W. H. and Margollash, E. (1982) J. Biol. Chem. 257, 10747)。これは、スーパーオキシドジスムターゼ阻害に連結させてスーパーオキシド発生の測定のために広く採用されている方法である。このアッセイ法は、PBSG緩衝液(8.06gのNaCl、0.2gのKCl、0.18gのNaHPO、0.26gのKHPO、0.13gのCaCl、0.1gのMgCl、1.35gのグルコースを1000mlの脱イオン水に溶解し、pH7.4に調整し、濾過して4℃に保存したもの)中における150μlの血清または40μlのバフィーコートからなる。SLM Aminco DW−2000分光光度計(Milton Roy、米国ニューヨーク州ロチェスター)を用いて二重波長モードの操作において1.5分毎に1分間にわたる連続測定で率を決定した。45分後、被験化合物を添加し、反応を45分間継続した。45分後、ミリモル吸光係数19.1cm−1を還元フェリシトクロムcについて用いた。被験化合物の結果を表1に示す。別途指示しない限り、水中の化合物抽出物を調製した。
【0095】
[0117] 表1は、若干のarNOX阻害実験の結果を示す。
【0096】
【表1】

【0097】
[0118] 実施例6:局所化粧用調製物
[0119] arNOX阻害特性をもつ植物抽出物を含有する4種類の基本型配合物の有効性および耐容性を2種類のビヒクル対照と比較してスクリーニングするために、8週間の顔面分割式(split−face)対照付き臨床使用試験を実施した。有効性は、臨床グレーディング、バイオ計測器測定(Chroma Meter、Corneometer、Cutometer)、および自己評価質問表により評価した。耐容性は、刺激性グレーディングおよび有害事象モニタリングにより評価した。
【0098】
[0120] 合計23人の被験者が試験参加を完了した。被験者は、目の周りの領域の軽度ないし中等度の細かいすじおよび粗い皺、ならびに顔の右側および左側の過色素沈着をもつことにより試験参加資格を満たした。被験者をランダム化方式で下記の2種類の被験物質(1つは対照、1つは被験物質)に帰属させた:
対照
A.arNOX対照ゲルA(無ラベル)AB−87−04A、無色透明ゲル(12人の被験者)
B.arNOX対照ゲルB(赤ラベル)JZ−91−40、無色透明ゲル(グリセリンを含有)(11人の被験者)
被験物質
1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(Schizandra)(封入せず)、フサザキスイセン(N.tazetta)抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39、桃色透明ゲル(6人の被験者)
2.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青ラベル)TL−90−59、無色透明ゲル(6人の被験者)
3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有)、桃色透明ゲル(6人の被験者)
4.arNOX対照ゲルB/サリシン(半分は黄、半分は黒のラベル)KK−89−49、無色透明ゲル(グリセリンを含有)(5人の被験者)。
【0099】
[0121] 被験者に、顔を洗った後に1日2回(朝と夕方)、帰属させた被験物質を顔の右側または左側に適用し、かつ帰属させた対照を顔の反対側に適用するように指示した。
[0122] 臨床評価は、ベースライン(来院1)、4週目(来院2)および8週目(来院3)に実施した。被験者は、各来院時に下記の臨床グレーディングおよび計測器測定手順に参加した(別途指示しない限り)。
【0100】
[0123] 有効性/性能パラメーター
[0124] 被験者を、顔の右側および左側において下記のパラメーターにつき臨床グレーディングした:細かい皺(目の周り)、粗い皺(目の周り)、皮膚のテキスチャー(texture)(頬)、全体的な変色(discoloration)、明かるさ(brightness)(頬)、皮膚の透明度(clarity)、孔(pore)のサイズ(額および鼻の領域)、孔の分布/構造、および全体的な皮膚の輝き(radiance)。
【0101】
[0125] 刺激性/安全性グレーディング
[0126] 被験者を、顔の右側および左側において客観的刺激性パラメーター(紅斑、浮腫、スケーリング(scaling))および主観的刺激性パラメーター(灼熱感(burning)、刺痛(stinging)、痒み(itching)、締付け感(tightness)、疼き(tingling))につき臨床グレーディングした。
【0102】
[0127] 皮膚表面の水和度の測定
[0128] 皮膚表面の水和度の測定を、Corneometer(登録商標)CM 825(Courage+Khazaka、ドイツ)水和度分析計を用いて行なった。測定は、角質層の含水量を定量するために左および右の頬の下中央部について行なわれた(三重に)。
【0103】
[0129] 皮膚のルミナンス測定
[0130] 皮膚のルミナンス測定を、Chroma Meter CR400(Konica−Minolta、日本)皮膚ルミナンス分析計を用いて三重に実施し、顔の右側および左側において色素沈着病変部(検査員が選択)について行なって、皮膚の色/色調(tone)の変化を計測器により評価した。追加の皮膚ルミナンス測定を、顔の片側の色素沈着していない(正常な)領域について行なった。
【0104】
[0131] 皮膚の粘弾性測定
[0132] 1回の粘弾性測定を、Cutometer(登録商標)SEM 575(Courage+Khazaka、ドイツ)粘弾性計測器を用いて行なった。測定は、皮膚の粘弾性を評価するために各被験者の右および左の頬の中央部について行なわれた。
【0105】
[0133] 質問表
[0134] 被験者は4週目と8週目に下記の質問表に記入した:
試験開始以来の皮膚の状態パラメーターに関する被験者の皮膚変化の評価質問
現在の皮膚の状態パラメーターならびに被験物質の寄与および耐容性に関する被験者の評価質問
[0135] 全体として、この試験の結果は、細かいすじの外観、触覚による粗さ、皮膚の色調、および全体的な変色/過色素沈着において、すべての被験物質および対照がベースライン評点と比較して有意の改善をもたらしたことを示す;被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39、ならびに被験物質3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有)は、粗い皺の外観を改善した。被験物質または対照のいずれについても、客観的および主観的な刺激性において有意の増大はなかった。
【0106】
[0136] 皮膚のルミナンス測定は、被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39のみが、色素沈着していない部位で8週目にb値において有意の低下を生じたことを示す。色素沈着病変部において得た皮膚ルミナンスb値は、病変部の黒ずみの軽減において、被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑色)JZ 91−39が、被験物質2.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青色)TL−90−59、ならびに被験物質3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄色)TL−90−58(グリセリンを含有)より優れていたことを示す。皮膚表面の水和度の測定は、すべての被験物質および対照が4週目に皮膚の水和度を有意に改善したことを示す。粘弾性測定は、被験物質と対照の間で有意差を示さなかった。
【0107】
[0137] インフォームドコンセント
[0138] 21 CFR 50.25(Code of Federal Regulations)に従った書面によるインフォームドコンセントを各被験者から試験登録前に得た。試験に参加する各被験者についての署名付きインフォームドコンセント同意書原本を試験ファイルに保存する。各被験者は同意書の署名付きコピーを受け取った(書式見本についてはAppendix IVを参照されたい)。
【0108】
[0139] 漸減(Attrition)
[0140] 23人の被験者が試験を完了した。26人の被験者が試験参加のために加入し、3人の被験者は下記の理由で試験参加を中断した:
・任意中断/有害事象:被験者021
・予定した来院(1回以上)に不参加:被験者004および026
・任意中断/予定調整不一致:020、022、029
・予定した来院に欠席:009、034
・検査員による判断:010
[0141] 被験者の人口統計
[0142] 23人の女性被験者が試験を完了した。表2は、すべての被験者についての人口統計情報(年齢、人種、およびFitzpatrick皮膚分類)のまとめを示す。人種、およびFitzpatrick皮膚タイプについては、各カテゴリーの被験者の人数を、かっこ内の被験者集団に対するパーセントと共に挙げる。人種情報は各被験者の資格および健康状態に関する質問から得られた。
【0109】
【表2】

【0110】
[0143] Fitzpatrick皮膚分類は、太陽光線被曝を受けていない冬季後の最初の30〜45分間の太陽光線被曝に対する、保護されていない状態の皮膚の応答に基づく。皮膚タイプのカテゴリーは下記のとおりである:
タイプI.常に容易に熱傷を生じる(burn);決して褐変しない;
タイプII.常に容易に熱傷を生じる;わずかに褐変する;
タイプIII.中等度に熱傷を生じる;次第に褐変する;
タイプIV.軽度に熱傷を生じる;常に良好に褐変する;
タイプV.稀に熱傷を生じる;十分に褐変する;
タイプVI.決して熱傷を生じない;強く色素沈着する。
【0111】
[0144] Fitzpatrickは、口の周り(perioral)および目の周り(periorbital、periocular)の皺(皺皮症(rhytidosis))の程度を評点するのに有用な別の分類システムを報告した:
クラスI−細かい皺;
クラスII−細かい〜中等度の深さの皺、および中等度の本数の皺;
クラスIII−細かい〜深い(粗い)皺、多数本の皺、および余分なひだ(fold)が存在する可能性。
【0112】
[0145] 実施例7
手順および方法
[0146] 試験の開始前に、予定被験者に3日間のウォッシュアウト期間に参加させ、その間に顔用モイスチャライザーを顔に適用しなかった。
【0113】
[0147] ベースライン(来院1)で、予定被験者はクリニック到着の少なくとも30分前に顔を洗ってすべてのメーキャップを除去した。資格を考慮するために、予定被験者はそれらの日常のスキンケア計画製品を持参した。被験者は資格および健康状態に関する質問表に記入し、インフォームドコンセント同意書、秘密保持同意書、および写真公開書式に署名した。
【0114】
[0148] 被験者は下記の臨床グレーディング手順に参加した:
[0149] 有効性/性能パラメーター
[0150] 被験者を顔の右側および左側において下記のパラメーターにつき臨床グレーディングした:
細かい皺−目の周りの領域
粗い皺−目の周りの領域
皮膚のテキスチャー(視覚的外観)−頬
触覚による粗さ−頬
全体的な変色
全体的な皮膚の輝き。
【0115】
[0151] 有効性/性能パラメーターのグレーディング結果を下記の1〜10点スケールで記録した:
1=陽性(1〜3=良好/望ましい)
10=陰性(8〜10=望ましくない)
必要に応じて半点評点を採用した。
【0116】
[0152] 被験者は下記の軽度ないし中等度の評点をもつことによって、継続した試験参加の資格があると判定された:目の周りの粗すじについて3〜7の評点;目の周りの細かい皺について2〜5の評点;ならびに顔の右側および左側の過色素沈着について2〜7の評点。
【0117】
[0153] 刺激性/安全性パラメーターグレーディング
[0154] 被験者を、顔の右側または左側において客観的パラメーター(紅斑、浮腫、スケーリング)および主観的パラメーター(灼熱感、刺痛、痒み、締付け感、疼き)につき臨床グレーディングした。刺激性グレーディングの結果を、下記のスケールを用いて記録した:
0=無し
1=軽度
2=中等度
3=重度
必要に応じて半点評点を採用した。
資格があると判定された被験者は、以後の計測器計測に参加した。
【0118】
[0155] 実施例8:皮膚表面の水和度の測定
[0156] 皮膚表面の水和度の測定を、Corneometer(登録商標)CM 825(Courage+Khazaka、ドイツ)水和度分析計を用いて行なった。測定は三重に実施され、角質層の含水量を定量するために左および右の頬の下中央部について行なわれた。Corneometer(登録商標)の測定原理は、誘電媒体のキャパシタンス測定に基づく。誘電定数の何らかの変化は、皮膚表面の水和度の変動が精密測定コンデンサーのキャパシタンスを変化させることによる。これらの測定は、皮膚の水和度レベルのごくわずかな変化をきわめて高い再現性で検出することができる。読みは皮膚の電気的キャパシタンスに正比例し、皮膚がより水和されるのに伴って測定値が上昇する。
【0119】
[0157] 実施例9:皮膚のルミナンス測定
[0158] 皮膚のルミナンス測定を、Chroma Meter CR400(Konica−Minolta、日本)皮膚ルミナンス分析計を用いて三重に実施し、顔の右側および左側において色素沈着病変部(検査員が選択)について行なった。Chroma Meterは、皮膚の色/色調(tone)の変化を計測器により(かつ客観的に)評価する。追加のChroma Meter測定を、顔の片側の色素沈着していない(正常な)領域について行なった。Chroma Meterは、標的色の色差を設定および検量することが可能な高感度の比色計である。Chroma Meterは、選択した領域を容易に独立して分析するための着脱式のヘッドを備えている。下記の数値を記録した:
:黒色から白色までのグレースケール上での相対的輝度(brightness)を表示する;皮膚の輝きおよび明かるさが強くなるのに伴って数値が上昇する
:赤色から緑色までの範囲の色相を表示する;皮膚の血管分布が改善され、血流が増加し、皮膚の色調(tone)が改善されるのに伴って数値が上昇する
:青色から黄色までの範囲の色相を表示する;皮膚が明かるくなるのに伴って数値が一般に低下する
追加の皮膚ルミナンス測定を、各被験者について顔の片側の色素沈着していない(正常な)領域について行なった。
【0120】
[0159] 実施例10:皮膚の粘弾性測定
[0160] 1回の粘弾性測定を、Cutometer(登録商標)SEM 575(Courage+Khazaka、ドイツ)粘弾性計測器を用いて行なった。測定は、皮膚の粘弾性を評価するために各被験者の右および左の頬の中央部について行なわれた。測定原理は吸引に基づく。器具内に陰圧を形成し、皮膚をプローブの開口内へ引き込む。プローブ内で、非接触式光学測定システムにより侵入深さを測定する。皮膚の侵入深さにより光の強度が変動する。陰圧による吸引に対する皮膚の抵抗性(硬さ、および皮膚が元の位置に戻る能力(弾力性、elasticity))が、各測定の終了時に曲線として計測器上に表示される。8ミリメートル(mm)のプローブを通して300ミリバールの陰圧を付加し、そして開放した。吸引の付与および開放に際して皮膚がプローブに出入りする動きを記録し、反発性(resiliency)および伸展性(extensibility)を計算した。
【0121】
[0161] 被験者をランダム化方式に従って下記の被験物質グループのひとつに帰属させた:
対照
A.arNOX対照ゲルA(無ラベル)AB−87−04A
B.arNOX対照ゲルB(赤ラベル)JZ−91−40(グリセリンを含有)
被験物質
1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(Schizandra)(封入せず)、フサザキスイセン(N.tazetta)抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39
2.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青ラベル)TL−90−59
3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有)
4.arNOX対照ゲルB/サリシン(半分は黄色、半分は黒色のラベル)KK−89−49(グリセリンを含有)。
【0122】
[0162] 被験者に、帰属させた被験物質を顔の右側または左側に適用し、かつ帰属させた対照を顔の反対側に、下記の使用指示に従って適用するように指示した:
1日2回、朝と夕方に、顔を洗った後に薄い層を適用して下さい
被験物質を適用した後にモイスチャライザーおよびメーキャップ製品を適用してかまいません。
【0123】
[0163] 被験者に使用指示書、以後の来院のカレンダー、ならびに被験物質の適用時間およびコメントを記録するための日誌を与えた。
[0164] 被験者は4週目(来院2)および8週目(来院3)に、各来院の少なくとも30分前に顔を洗ってすべてのメーキャップを除去して再来院した。日誌および被験物質をクリニックに戻し、使用コンプライアンスについて検査を受けた;新しい日誌(および必要ならば被験物質)を4週目に配布した。被験者は、ベースライン手順に従って臨床グレーディングおよびバイオ計測器測定(Chroma Meter、Corneometer、Cutometer)を受けた。被験者は、顔の右側および左側の皮膚状態における被験物質の寄与、耐容性および改善に関する被験者の皮膚変化評価質問表および被験者の評価質問表にも記入した。
【0124】
[0165] 各組成物の処方を下記の表3に提示する。
【0125】
【表3−1】

【0126】
【表3−2】

【0127】
【表3−3】

【0128】
[0166] 被験者に使用指示書、以後の来院のカレンダー、ならびに被験物質の適用時間およびコメントを記録するための日誌を与えた。
[0167] 被験者は4週目(来院2)および8週目(来院3)に再来院した。被験者は、各来院について検査施設に来る少なくとも30分前に顔を洗ってメーキャップを除去した。被験者は、使用コンプライアンス検査のために自分の日誌および被験物質も各来院時に持参した。被験者は、各来院時に下記の手順に参加した:
有効性/性能パラメーターグレーディング
刺激性/安全性パラメーターグレーディング
皮膚表面水和度(Corneometer(登録商標))測定
皮膚ルミネンス(Chroma Meter)測定
皮膚粘弾性(Cutometer(登録商標))測定
被験者は、顔の右側および左側の皮膚の状態パラメーターにおける被験物質の寄与、耐容性および改善に関する被験者の皮膚変化評価質問表および被験者の評価質問表にも記入した。
【0129】
[0168] 各来院時に日誌をクリニックに戻し、来院2に新しい日誌を配布された。被験者は試験の終了時に被験物質ユニットをクリニックに戻した。コンプライアンスを確実にするために、臨床担当者が日誌を調べ、被験物質ユニットを各来院時に秤量した。
【0130】
[0169] 実施例11:生物学的統計およびデータ管理
[0170] 4週目(来院2)および8週目(来院3)の臨床グレーディングおよび計測器測定についての平均値を、対t−検定により有意性レベルp≦0.05で平均ベースライン(来院1)値と統計的に比較した。ベースラインからの平均変化率パーセントおよび改善発生率をすべての性状について計算した。被験物質と対照の間で、対比較を伴う分散分析法(ANOVA)を用いて比較を行なった(FisherのLSD)。
【0131】
[0171] 被験者が4週目および8週目に記入した自己評価質問表を表にまとめ、トップボックス分析を実施した。
[0172] 実施例12:局所適用データ
[0173] ベースライン(来院1)、4週目(来院2)および8週目(来院3)に、被験者は顔について実施する臨床グレーディングおよびバイオ計測器測定(Chroma Meter、Corneometer、Cutometer)を受けた。表4は、各被験物質および対照についての結果を示す。4週目および8週目の平均値を、有意差について平均ベースライン値と統計的に比較する。ベースラインからの平均変化率パーセントをかっこ内に挙げる。
【0132】
【表4−1】

【0133】
【表4−2】

【0134】
【表4−3】

【0135】
【表4−4】

【0136】
【表4−5】

【0137】
【表4−6】

【0138】
[0174] 実施例13:ベースラインからの平均変化
[0175] 表5は、臨床グレーディングおよび計測器試験についてのベースラインからの平均変化の比較を示す。
【0139】
【表5−1】

【0140】
【表5−2】

【0141】
[0176] 実施例14:グループ間の比較
[0177] ベースラインからの平均変化に基づく比較を、処置間で(被験物質と対照)、対比較を伴う分散分析法(ANOVA)を用いて比較を行なった(FisherのLSD)。表6に示す下記のランキングは、実験グループ間で統計的に有意の(p≦0.05)差を示す。最大レベルから最小レベルの改善の順でランキングを示し、有意差の無いパラメーターは挙げていない。ベースラインからの平均変化を各処置の下に挙げる。
【0142】
【表6】

【0143】
[0178] 実施例15:計測器測定についての統計的比較の結果
[0179] 被験者を、細かいすじ(line)(目の周り)、粗い皺/皮膚のひだ(fold)(目の周り)、触覚による粗さ(頬)、皮膚の張り(tone)、全体的な変色/過色素沈着、ならびに顔の右側および左側の全体的な皮膚の輝き(radiance)についてグレーディングした。この臨床グレーディングの結果により、ベースラインと比較して表7に示す下記の有意な改善が明らかになった。
【0144】
【表7】

【0145】
[0180] 実施例16:刺激性/安全性
[0181] 被験者を、顔の右側および左側において紅斑、浮腫、スケーリング、灼熱感、刺痛、痒み、締付け感、疼きにつき臨床グレーディングした。
【0146】
[0182] 臨床グレーディングの結果により、例えば表8に示すようにベースラインと比較して有意の改善が明らかになった。
【0147】
【表8】

【0148】
[0183] 実施例17:皮膚ルミネンス測定
[0184] 皮膚のルミナンスを、皮膚ルミナンス分析計(Chroma Meter CR400、Konica−Minolta、日本)を用いて三重に測定した。皮膚の色/色調(tone)の変化を評価するために、顔の右側および左側において色素沈着病変部(検査員が選択)にわたって測定を行なった。追加の皮膚ルミナンス測定を、顔の片側の色素沈着していない(正常な)領域について行なった。
【0149】
[0185] 皮膚のルミナンス測定の結果を表9に示し、例えばベースラインと比較して有意差が明らかになった。
【0150】
【表9】

【0151】
[0186] 実施例18:皮膚の表面の水和度測定
[0187] 皮膚表面の水和度の測定を、三重に行なった(Corneometer CM 825(Courage+Khazaka、ドイツ)。測定は、角質層の含水量を定量するために右および左の頬の下中央部について行なわれた。
【0152】
[0188] 皮膚表面の水和度の測定結果により、4週目の各処置について、ベースラインと比較して湿潤化における有意の増大(改善)が明らかになった。8週目には有意差はみられなかった。
【0153】
[0189] 実施例19:皮膚の粘弾性測定
[0190] 1回の粘弾性測定を、Cutometer SEM 575(Courage+Khazaka、ドイツ)を用いて行なった。測定は、皮膚の粘弾性を評価するために各被験者の右および左の頬の中央部について行なわれた。
【0154】
[0191] 図10に示す粘弾性測定結果により、例えばベースラインと比較して下記の有意差が明らかになった。
【0155】
【表10】

【0156】
[0192] 実施例20:全体的な結論
[0193] このパイロット試験の結果は、すべての被験物質および対照が、細かいすじ、触覚による粗さ、皮膚の張り(tone)、全体的な変色/過色素沈着において、ベースラインと比較して有意の改善をもたらしたことを示す。特に注目すべきことに、被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39、ならびに被験物質3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有)が、粗い皺に対してすら陽性効果をもち、4週目(被験物質3、黄ラベル)および8週目(被験物質1、緑ラベル、および被験物質3、黄ラベル)において有意の改善を示した。いずれの被験物質および対照についても客観的および主観的な刺激性において有意の増大がなかった。
【0157】
[0194] 皮膚のルミナンス測定は、被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39のみが、色素沈着していない部位で8週目にb値において有意の低下を生じたことを示す。色素沈着病変部において得た皮膚ルミナンスb値は、病変部の黒ずみの軽減において、被験物質1.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39が、被験物質2.arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青ラベル)TL−90−59、ならびに被験物質3.arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有)より優れていたことを示す。
【0158】
[0195] 皮膚表面の水和度の測定は、すべての被験物質および対照が4週目に皮膚の水和度を有意に改善したことを示す。
[0196] 皮膚の粘弾性測定は、被験物質と対照の間で何ら有意差を示さなかった。
【0159】
[0197] 被験物質と対照の間のANOVA比較は、4週目の全体的な変色改善において、被験物質1(arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(緑ラベル)JZ 91−39)および被験物質2(arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青ラベル)TL−90−59)が、対照A(arNOX対照ゲルA(無ラベル)AB−87−04A)および対照B(arNOX対照ゲルB(赤ラベル)JZ−91−40(グリセリンを含有))より優れていたことを示す。さらに被験物質1および2は、8週目に対照B(arNOX対照ゲルB(赤ラベル)JZ−91−40(グリセリンを含有))より優れていた。8週目の外観改善において、被験物質2(arNOX対照ゲルA/チョウセンゴミシ(青ラベル)TL−90−59)、被験物質3(arNOX対照ゲルB/チョウセンゴミシ(封入せず)、フサザキスイセン抽出物、およびサリシン(黄ラベル)TL−90−58(グリセリンを含有))、および被験物質4(arNOX対照ゲルB/サリシン(半分は黄色、半分は黒色のラベル)KK−89−49(グリセリンを含有))は、対照A(arNOX対照ゲルA(無ラベル)AB−87−04A)および対照B(arNOX対照ゲルB(赤ラベル)JZ−91−40(グリセリンを含有))より優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の少なくとも1種類のarNOX阻害物質を含み、該arNOX阻害物質が、老化作用を低下させるのに有効であるナラクチンである、老化作用を改善するために有用な局所組成物。
【請求項2】
ナラクチンが植物抽出物に由来する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ナラクチンがサリチレートまたはその誘導体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
ナラクチンが、フサザキスイセン、ヤナギ、トウモロコシ、オニタビラコ、ポプラ、ガマズミ、アスペルギルス、ウリノキ、カバ、ミシマサイコ、コルヒクム、タカトウダイグサ、シモツケソウ、クチナシ、ムラサキ、タバコまたはヤドリギから精製される、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
サリチレートが、サリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメートまたはその組合わせである、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
化粧用または医薬用として許容できるキャリヤーをさらに含む、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項7】
1種類より多いarNOX阻害物質が存在し、これらの1種類より多いarNOX阻害物質が植物抽出物の形である、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項8】
植物が、ブロッコリ、シイタケ、コリウス、ローズマリー、ハス(lotus)、アーティチョーク(artichoke)、シーローズ(sea rose)、タンジェリン(tangerine)、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)、アスタキサンチン(astaxanthin)、レッドオレンジ(red orange)、チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)、ロニセラ(Lonicera)、ソバ属(Fagopyrum)、ニンジン(carrot)、フサザキスイセン(Narcissus tazetta)、オリーブ(olive)、ヤナギ(willow)、エンバク(oat)またはトウモロコシ(maize)から選択される、請求項7に記載の局所組成物。
【請求項9】
ロニセラが、ロニセラ・ジャポニカまたはロニセラ・カプリフォリウムである、請求項8に記載の局所組成物。
【請求項10】
1種類より多いarNOX阻害物質がβ−カロテンまたはアスタキサンチンである、請求項7に記載の局所組成物。
【請求項11】
ナラクチンが他のarNOX阻害物質の作用を増強する、請求項7に記載の局所組成物。
【請求項12】
クリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして投与される、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項13】
老化作用が、すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症を含む、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項14】
arNOX阻害物質が約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与される、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項15】
老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生を阻害し、老化作用を改善する方法であって、
サリシン、サリチル酸、サリチルヒドロキサメートのうち少なくとも1種類を含む療法有効量の組成物を、その必要がある患者に、老化関連イソ型NADHオキシダーゼによる反応性酸素種の発生が阻害されるように投与することを含み、老化作用が改善される、上記方法。
【請求項16】
ブロッコリ、シイタケ、コリウス、ローズマリー、ハス、アーティチョーク、シーローズ、タンジェリン、メマツヨイグサ、アスタキサンチン、レッドオレンジ、チョウセンゴミシ、ロニセラ、ソバ属、ニンジン、フサザキスイセン、オリーブ、ヤナギ、エンバクまたはトウモロコシのうち少なくとも1種類からの抽出物をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組成物がクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして適用される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
老化作用が、すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
arNOXを阻害するのに十分な有効量のナラクチンを含む化粧用組成物を皮膚に適用することを含み、arNOX仲介による老化作用の少なくとも1つが阻害される、老化作用を改善するための化粧方法。
【請求項20】
ナラクチンがサリチレートである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
サリチレートが、サリシン、サリチルヒドロキサメートまたはサリチル酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
化粧用組成物がさらに、ニンジン抽出物、オリーブ抽出物、ブロッコリ抽出物、シイタケ抽出物、コリウス抽出物、ローズマリー抽出物、ハス抽出物、アーティチョーク抽出物、シーローズ抽出物、タンジェリン抽出物、メマツヨイグサ抽出物、レッドオレンジ抽出物、チョウセンゴミシ抽出物、ロニセラ抽出物、ソバ属抽出物、ヤナギ抽出物、トウモロコシスティール、エンバクスティールまたはフサザキスイセン抽出物を含む植物抽出物を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
ナラクチンを化粧用として許容できるキャリヤーと共に付与する、請求項19に記載の化粧方法。
【請求項24】
老化作用が、すじ、皺、過色素沈着症、脱水、弾力性喪失、血管腫、乾燥、痒み、末梢血管拡張症、光線性紫斑病、脂漏性角化症、水分不足、コラーゲン減少、または光線性角化症を含む、請求項19に記載の化粧方法。
【請求項25】
ナラクチンを少なくとも1日1回適用する、請求項19に記載の化粧方法。
【請求項26】
ナラクチンを化粧品中に約5μg/ml〜約500μg/mlの濃度で付与する、請求項1に記載の化粧方法。
【請求項27】
組成物をクリーム、乳液、ローション、ゲル、脂質もしくはポリマーのマイクロスフェアもしくはナノスフェアもしくはベシクルの懸濁液、石鹸、シャンプー、またはサンスクリーンとして投与する、請求項19に記載の化粧方法。
【請求項28】
少なくとも1種類のナラクチン;および
使用上のインストラクション;
を含む、老化作用を改善するのに有用な化粧品を適用するためのキット。
【請求項29】
少なくとも1種類のarNOX阻害性植物抽出物のためのキャリヤーとして適切な化粧用調製物をさらに含む、請求項28に記載のキット。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−515466(P2011−515466A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501769(P2011−501769)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/058683
【国際公開番号】WO2009/120214
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(504403286)ニュースキン インターナショナル インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】NuSkin International,Inc.
【出願人】(507290294)ノックス テクノロジーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】