説明

反応装置及び反応チップ

【課題】PCR等の核酸増幅反応装置において、短時間に、均一で安定した反応をさせる装置の提供。
【解決手段】複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路59C〜Fを有する樹脂製の反応チップ50と、この反応チップ50の反応流路に反応液を送液するポンプと、この反応液の送液を制御する制御装置と、反応チップ50の各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える、反応装置。反応チップ50は各温度領域を区分するようにその境界部分に真空断熱層62を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応装置及び反応チップに係り、特に、DNA(Deoxyribonucleic acid:デオキシリボ核酸)、RNA(Ribonucleic acid:リボ核酸)などの核酸の増幅ができるPCR反応(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)を用いたPCR反応装置およびその反応チップに好適なものである。
【背景技術】
【0002】
最近、医療現場・食料品検査現場・危険物検査現場などで、DNA分析に用いるDNAチップが使われ始めている。このDNAチップとは、多数の1本鎖DNAを固相上に多数固定化したものである。DNAチップを用いて塩基配列分析や診断分析を行うためには、微量であるDNA、RNAなどの核酸を分析に必要な量に増幅させなければならない。
【0003】
核酸を増幅させる方法の一つとして、PCR法がある。このPCR法によれば、例えば目標とする特定のDNAを10万倍以上に増幅することができる。DNAは4種類の塩基(A:アデニン、G:グアニン、C:シトシン、T:チミン)が連なった長い2本鎖からなる分子で構成され、一方の鎖のアデニンAと他方の鎖のチミンTとが対合し、一方の鎖のグアニンGと他方の鎖のシトシンCとが対合している。DNAは、高温(例えば94℃)にすると2本の鎖がほどけて1本ずつばらばらになり、温度を下げると元通りの2本鎖に復元する性質がある。2本鎖がほどけたときに例えば55℃で大量のプライマー(目的とするDNA領域の両末端の数塩基ほどの塩基配列を持つ1本鎖DNAの1組)を入れると、それぞれの鎖上の相補的な配列の部位に優先的に結合する。そこに例えば72℃でDNA合成酵素(DNAポリメラーゼ)と4種類の塩基があると、プライマーが結合した部分を起点としてそれぞれの鎖を合成していく。このDNAポリメラーゼを用いることにより、温度の上下(94℃→55℃→72℃→94℃)のサイクルを繰り返すだけでDNA合成の連鎖反応が起こり、DNAを増やすことが可能となる。
【0004】
最近、反応流路を備えた小型チップを使って核酸の増幅実験が多く行われつつある。
【0005】
例えば、非特許文献1である「Sensors and Actuators B 105 (2005) 251-258」にあるように、反応容器であるPCR反応チップ全体を加熱・冷却させ、反応液全体の温度を上下させることにより、核酸の増幅反応を行う手法が検討されている。
【0006】
一方、特開2005−253466号公報(特許文献1)にあるように、PCR反応チップ内の異なる温度領域に対して流路を形成し、その流路に反応液を流すことでその反応液の温度を上下させて、核酸の増幅をさせる手法が検討されている。
【0007】
【特許文献1】特開2005−253466号公報
【非特許文献1】Sensors and Actuators B 105 (2005) 251-258
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した非特許文献1の手法では、PCR反応チップ全体を加熱・冷却するため、加熱・冷却を繰り返してPCR反応を完了するまでに長い時間を要し、核酸の増幅に時間がかかるという問題があった。
【0009】
また、上述した特許文献1の手法では、PCR反応チップ全体を加熱して温度を変えるのではなく、チップ内に異なる温度領域を設定し、それぞれの領域に流路を構成し、その流路に反応液を流すことで反応液の温度を変えるので、非特許文献1と比較して反応時間を短くできるメリットがある。しかし、コストアップを抑制するため、PCR反応チップはPDMS(Polydimethylsiloxane、(CSiO))などの樹脂で製作されるが、PDMSの熱伝導率は0.2[W/mK]程度と小さく、金属のそれと比較すると、約1/1000も小さい。しかも、周囲温度と設定温度の差が大きい。そのため、PCR反応チップ下面から加熱してもPCR反応チップ内で温度差が生じ、その結果、反応液の各領域における温度が均一にならず、所定のPCR反応ができないおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、反応液を短時間に均一に安定して反応をさせることができる反応装置および反応チップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の目的を達成するための本発明の第1の態様は、複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、前記反応液の送液を制御する制御装置と、前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、前記反応チップの各温度領域を区分するようにその境界部分に空気断熱層を設けたことにある。
【0012】
係る本発明の第1の態様におけるより好ましい具体的構成例は次の通りである。
(1)前記反応チップの各温度領域における蛇行反応流路を前記反応チップの加熱面側に設け、前記空気断熱層を反ヒーター加熱面側に迂回する流路で前記各蛇行反応流路を連通して構成したこと。
(2)前記反応チップの加熱面側に凹溝を形成して前記空気断熱層を構成したこと。
(3)前記反応チップの熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導率部材を前記反応チップの各温度領域を囲むように設けたこと。
(4)前記高熱伝導率部材を装置側の反応ステージの上に設置したこと。
(5)前記高熱伝導率部材を装置側の反応ステージと共用して構成したこと。
(6)前記制御装置は、前記反応チップの各温度領域の反応流路における反応液を反応させる際にその反応液を往復送液するように制御すること。
(7)前記反応チップの各温度領域における反応流路の流路側面に凹凸の形状を設けたこと。
【0013】
また、本発明の第2の態様は、ヒーターにより加熱される複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップにおいて、前記各温度領域の境界部分に延びる空気断熱層を設けたことにある。
【0014】
また、本発明の第3の態様は、複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、前記反応液の送液を制御する制御装置と、前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、前記反応チップの熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導率部材を前記反応チップの各温度領域を囲むように設けたことにある。
【0015】
また、本発明の第4の態様は、複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、前記反応液の送液を制御する制御装置と、前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、前記制御装置は前記反応チップの各温度領域の反応流路における反応液を反応させる際にその反応液を往復送液するように制御することにある。
【発明の効果】
【0016】
係る本発明の反応装置および反応チップによれば、反応液を短時間に均一に安定して反応をさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の反応装置の一実施形態を図1から図6を参照しながら説明する。本実施形態の反応装置としてDNAを増幅するPCR反応装置を例にして説明するが、本発明はRNAを増幅するPCR反応装置でもよく、さらには、反応チップ内に複数の温度領域があり均一性を必要とする生化学反応装置にも適用可能である。
【0018】
まず、本実施形態のPCR反応装置100の全体構成に関して、図1を参照しながら説明する。
【0019】
核酸を増幅する装置であるPCR反応装置100は、反応チップ50、反応ステージ2、ポンプ3、バルブ4、ヒーター5、移動ステージ6、モータドライバ7、制御基板8、電源9、情報アクセスパネル10、その他の部品、これらを内部空間に収納するケース1などにより構成されている。
【0020】
ケース1は、上面前部に、反応チップ50を挿入するためのチップ取り入れ窓1aを形成している。移動ステージ6は、チップ取り入れ窓1aの下方の位置から後方に延びるように設置されている。反応ステージ2は移動ステージ6と共に移動可能である。反応チップ50は、チップ取り入れ窓1aを通してケース1内に挿入され、反応ステージ2に載置されて反応ステージ2と共に反応位置まで移動される。この反応位置で、チップ押え21により押えられて固定状態とされる。そして、チップ押え21を通して反応液が供給される。
【0021】
ヒーター5は、反応ステージ2の下部に一体に設置されており、反応チップ50を加熱する。ヒーター5は、例えばポリイミドフィルムなどの絶縁シートで挟んだカーボンヒーターを用い、ヒーター5の上面を放熱シートで覆うことによりヒーター自身の加熱温度の均一化を図るようになっている。このヒーター5は、設定すべき温度領域の数だけ設置される。
【0022】
ポンプ3はDNAサンプル液や洗浄液を反応チップ50へ搬送するためのものであり、シリンジポンプが用いられる。バルブ4は、DNAサンプル液及び洗浄液の搬送を選択するようにポンプ3の搬送経路中に設けられている。ポンプ3及びバルブ4はDNAサンプル液や洗浄液の送液を行う送液装置を構成するものである。
【0023】
モータドライバ7及び制御基板8は、制御装置を構成するものであり、移動ステージ6、ポンプ4、バルブ4及びヒーター5などを制御する。電源9は各種部品に電気を供給する。情報アクセスパネル10は、計測条件の入力に使う。なお、送液の制御には気液界面をカメラにより可視化して検出した結果に基づいて行われる。
【0024】
チップ取り入れ窓1aから反応チップ50を入れ、移動可能な反応ステージ2と共に反応位置まで反応チップ50を移動させる。シリンジポンプ3による加圧並びにバルブ4による切り替えによって、反応チップ50の反応流路内にDNAサンプル液や洗浄液を往復送液する。モータドライバ7及び制御基板8からなる制御装置は、情報アクセスパネル10から入力された計測条件に基づいて、前述の反応チップ50を移動、DNAサンプル液や洗浄液の往復送液を制御する。
【0025】
次に、反応チップ50について、図2から図5を参照しながら具体的に説明する。
【0026】
図2は図1の反応チップの反応流路を説明する平面図、図3Aは図1の反応チップの斜視図、図3Bは図3AのA−A断面図である。反応チップ50は、PCR反応させる容器であるマイクロチップで構成され、コストアップを抑制するために、PDMSなどの樹脂で製作されている。本実施形態では、この反応チップ50は、反応流路59などを形成した高さ約5mmのPDMS製のチップ本体70と、その反応流路59などを塞ぐ為の約1mmの板状のPDMS製の本体カバー71とからなっている。本体カバー71は、チップ本体70の上下両面に接合され、チップ本体70と共に流路を形成している。これによって、反応チップ50を安価に且つ容易に作製することができる。
【0027】
この反応チップ50は、周囲温度領域63と、PCR反応を行うための複数の温度領域(本実施形態では、3つの温度領域)56〜58とに分けられている。この3つの領域は、破線56で示す55〜60℃領域(第1の温度領域)と、破線57で示す72℃領域(第2の温度領域)と、破線58bで示す94℃領域(第3の温度領域)とからなっており、3つのヒーター5でそれぞれ加熱される領域である。
【0028】
周囲温度領域63には、試薬液や洗浄液を注入、抽出するためのハンドリングポート51、52、53、54、容器60、61が設けられている。容器60には、ハンドリングポート52を通して供給される液(例えばPCRmixture)が貯留される。容器61には、ハンドリングポート53を通して供給される液(例えばプライマー)が貯留される。第2の領域55には、DNAを抽出する細胞を採取するためのDNA抽出液溜め55が設けられている。各領域56〜58、63には、反応流路59がまたがって形成されている。DNA抽出液溜め55には、ハンドリングポート51を通してDNA抽出液が供給される。反応流路59は蛇行した流路で形成されている。DNAサンプル液(反応液)を各温度領域の反応流路59内で反応の際に往復送液することにより、反応を促進することができる。
【0029】
反応チップ50のプロトコルは、DNA抽出、PCR処理の2つの工程に分けることができる。反応チップ50を用いてPCR反応を実施するための反応プロトコルの例を以下に説明する。ここでは、DNAは口腔内粘膜から抽出した場合を想定している。
【0030】
まず、口腔内粘膜を擦り付けたブラシをDNA抽出液溜め55内のDNA抽出液に浸す。次いで、そのDNA抽出液を72℃領域57を通して94℃領域58bに送液し、蛇行流路59Bで往復送液を行いながら、高温にインキュベートさせることにより、DNAを抽出する。
【0031】
次いで、PCR処理を行う。インキュベートされた液を数mLを抜き取り、この抜き取った液と容器60に貯蔵されたPCRmixture及び容器61に貯蔵されたプライマーの2種類とを蛇行流路59Cで合流させ、周囲温度領域63に設けられた蛇行流路59C内で往復送液させながら混ぜ合わせる。その後、55〜60℃領域56、72℃領域57、94℃領域58bに順次送液し、それぞれの温度領域内で往復送液を繰り返すことにより、温度サイクルを実施してDNAを増幅させる。最後に、この増幅したDNAを取り出し口54から抽出する。
【0032】
なお、本実施形態では、温度領域を55〜60℃領域56、72℃領域57、94℃領域58の3種類としたが、温度領域は2種類以上であれば何種類であってもよく、異なる温度領域が必要となるチップに対して本発明は有効になる。
【0033】
各温度領域56〜58における反応液の温度を均一にするために、反応チップ50の各温度領域56〜58を区分するようにその境界部分に断熱層を設けている。この断熱層として、一番簡単で効果的な空気断熱層62を形成している。空気断熱層62は、反応チップ50の加熱面側に凹溝を形成したものであり、この点からもより一層簡単な構成となっている。
【0034】
本実施形態では、反応チップ50の各温度領域56〜58、63における蛇行反応流路59A〜59Fを反応チップ50の加熱面側に設け、空気断熱層62を反ヒーター加熱面側に迂回する送液流路59Gで各蛇行反応流路59A〜59Fを連通している。これにより、各温度領域56〜58、63における温度の均一化をより一層向上することができる。
【0035】
図4に示すように、反応チップ50より熱伝導率の高いリング状の高熱伝導率部材80で各温度領域56〜58、63を囲むようにしている。これにより、各温度領域56〜58、63の周囲からの熱的影響を均等にすることができ、各温度領域56〜58、63における温度の均一化を図ることができる。
【0036】
図5A及び図5Bに示すように装置側の反応ステージ2をリング状の高熱伝導率部材80と同一形状及び同一材料にし、反応チップ50をヒーター5に近くに設置する。この場合には、各温度領域56〜58、63における温度の均一化をより一層向上することができる。
【0037】
本実施形態では、各温度領域56〜58、63での反応、混合を促進するために、各温度領域56〜58、63の蛇行反応流路59A〜59Fは曲率の大きな曲がりを多数設けた蛇行した流路としている。この曲がりにより、反応液の流れは2次流れを伴ったものとなる。これにより、蛇行反応流路59A〜59F内の流れは3次元流れとなり、反応液の混合がより促進されることにより反応が促進される。さらには、蛇行反応流路59A〜59Fの側面に凹凸を設けることにより、反応液の流れが乱されてさらに反応液の混合が促進され、反応時間を短くすることができる。
【0038】
なお、反応液を各温度領域56〜58、63に送液することにより反応させる場合、反応液を空気の界面が崩壊し、反応液が複数の液体に分解してしまうという問題がしばしば起こる。しかし、蛇行反応流路59A〜59Fにすること、並びに、反応液を往復させることにより、反応液の表面張力により反応液自身の崩壊を防ぐことができ、反応液が2つに分裂することを防止できる。
【0039】
本発明の有効性を調べるために、本実施形態の反応チップ50と、空気断熱層62を有しない比較例の反応チップとに対して、熱流体解析を実施した。加熱面側の温度分布を比較した結果を図6に示す。図中の数字は温度を表す。上図は比較例の反応チップに対する加熱面側温度分布である。3つの温度領域にそれぞれヒーターにより加熱しているにもかかわらず、大きな温度分布がついていることがわかる。下図は本実施形態の反応チップ50に対する加熱面側の温度分布である。各温度領域でほぼ一様な温度分布となっていることがわかる。この解析結果から、本実施形態による構造は、各温度領域を均一にすることができ、反応速度を短縮しつつ、均一に安定してPCR反応を実行できることがわかる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、反応チップ内の各温度領域で所定の温度に均一にすることができるため、PCR法により核酸を安定的に増幅させることができる。また、均一な領域が実質的に増えるために反応チップ自身の大きさを小さくすることができる。
【0041】
また、反応チップはPDMSなどの樹脂材料で製作できるため、使い捨てのチップとして利用することができる。反応チップは複数の温度領域を設定する必要があるため、反応流路の形状の自由度が高いが、反応チップ自身をPDMSなどの樹脂材料で作成することができるため流路設計が容易になる。
【0042】
反応流路を蛇行流路とすることにより、曲がり部の2次流れによる3次元流れにより反応を促進することができる。さらに、送液を単一方向ではなく、往復送液することにより、反応効率を向上させるとともに、流路長さを短くすることができる。さらに、反応流路を矩形流路ではなく、流路表面に突起をつけた流路構造とすることにより、反応量をさらに効率よく増大させることができる。これらにより、小型で反応効率の高いPCR反応装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態のPCR反応装置の透視斜視図である。
【図2】図1の反応チップの反応流路を説明する平面図である。
【図3A】図1の反応チップの斜視図である。
【図3B】図3AのA−A断面図である。
【図4】図1の反応チップと高熱伝導率部材を組み合わせた状態の斜視図である。
【図5A】図1の反応チップと反応ステージを組み合わせた状態の斜視図である。
【図5B】図5Aにおける反応チップを省略した状態の斜視図である。
【図6】本実施形態の反応チップと比較例との温度分布の比較図である。
【符号の説明】
【0044】
1…チップ取り入れ窓、2…反応ステージ、3…ポンプ、4…バルブ、5…ヒーター、6…移動ステージ、7…モータドライバ、8…制御基板、9…電源、10…情報アクセスパネル、21…チップ押え、50…反応チップ、51…ハンドリングポート、52…ハンドリングポート、53…ハンドリングポート、54…ハンドリングポート、55…DNA抽出溜め、56…55〜60℃領域(第1の温度領域)、57…72℃領域(第2の温度領域)、58…94℃領域(第3の温度領域)、59…反応流路、59A〜59F…蛇行反応流路、59G…送液流路、60…容器、61…容器、62…断熱空気層、63…周囲温度領域、70…チップ本体、71…本体カバー、80…高熱伝導率部材、100…反応装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、
前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、
前記反応液の送液を制御する制御装置と、
前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、
前記反応チップの各温度領域を区分するようにその境界部分に空気断熱層を設けたことを特徴とする反応装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記反応チップの各温度領域における蛇行反応流路を前記反応チップの加熱面側に設け、前記空気断熱層を反ヒーター加熱面側に迂回する流路で前記各蛇行反応流路を連通して構成したことを特徴とする反応装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記反応チップの加熱面側に凹溝を形成して前記空気断熱層を構成したことを特徴とする反応装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記反応チップの熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導率部材を前記反応チップの各温度領域を囲むように設けたことを特徴とする反応装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記高熱伝導率部材を装置側の反応ステージの上に設置したことを特徴とする反応装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記高熱伝導率部材を装置側の反応ステージと共用して構成したことを特徴とする反応装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記制御装置は、前記反応チップの各温度領域の反応流路における反応液を反応させる際にその反応液を往復送液するように制御することを特徴とする反応装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記反応チップの各温度領域における反応流路の流路側面に凹凸の形状を設けたことを特徴とする反応装置。
【請求項9】
ヒーターにより加熱される複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップにおいて、前記各温度領域の境界部分に延びる空気断熱層を設けたことを特徴とする反応チップ。
【請求項10】
複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、
前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、
前記反応液の送液を制御する制御装置と、
前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、
前記反応チップの熱伝導率より高い熱伝導率を有する高熱伝導率部材を前記反応チップの各温度領域を囲むように設けたことを特徴とする反応装置。
【請求項11】
複数の温度領域を設定し、これらの温度領域にまたがって形成した反応流路を有する樹脂製の反応チップと、
前記反応チップの反応流路に反応液を送液するポンプと、
前記反応液の送液を制御する制御装置と、
前記反応チップの各温度領域を設定温度に加熱するヒーターとを備える反応装置において、
前記制御装置は前記反応チップの各温度領域の反応流路における反応液を反応させる際にその反応液を往復送液するように制御することを特徴とする反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−253227(P2008−253227A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101820(P2007−101820)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】