説明

反応装置

【課題】消費電力が小さく、かつ小型の反応装置を提供すること。
【解決手段】反応器2を収容する収容容器2と、反応器2の外表面の少なくとも一部を覆って設けられ外周部の一部が反応器2の表面に接続された覆い部材4とを備え、覆い部材4の反応器2に対向する表面の少なくとも一部の領域に、所定の温度で気体を吸着する金属からなる吸着層11が設けられている反応装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給された流体に反応を施して排出する反応装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器用の反応装置については、反応の際に発生する熱の外部への伝導を遮断して、熱損失を少なくするように、反応器を収容する収容容器内を真空状態にする構成が提案されている。また、反応器を収容容器内に封止した後に、収容容器の内面や反応器自体の表面など、各部品表面に吸着しているガスが収容容器内部に放出されることから、このガスを除去するために、収容容器の内部にガス吸着剤を設けた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このガス吸着剤は、ヒーターによって加熱され活性化される。
【特許文献1】特開2007−73408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の構成では、ガス吸着材を加熱するヒーターおよびリード線が必要となり、消費電力が大きくなるという問題があった。
【0004】
本発明は上記従来の技術における問題点に鑑みて完成されたものであり、その目的は、消費電力が小さい反応装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の反応装置は、反応器と、該反応器を収容する収容容器と、前記反応器の外表面の少なくとも一部を覆って設けられた覆い部材と、前記覆い部材の前記反応器に対向する表面の少なくとも一部の領域に設けられた、所定の温度で気体を吸着する金属からなる吸収層を備え、前記覆い部材の表面における前記少なくとも一部以外の領域は、前記吸収層よりも熱輻射率が小さい。
【0006】
本発明の反応装置において、好ましくは、前記吸収層は、平面視したときに、前記反応器の中央部に位置している。
【0007】
本発明の反応装置において、好ましくは、前記覆い部材は、外周部の一部分のみが前記反応器の外表面に接続される。
【0008】
本発明の反応装置において、好ましくは、前記覆い部材の表面における前記少なくとも一部の領域は、他の領域よりも表面粗さが大きい。
【0009】
本発明の反応装置において、好ましくは、前記覆い部材は、前記少なくとも一部の領域に対応する部分において、少なくとも1つの屈曲部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の反応装置によれば、消費電力が小さい反応装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態による反応装置を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態による反応装置の構成例を示す断面図である。図1に示されるように、反応装置1は、反応器2と、反応器2を収容する収容容器3と、反応器2に接続された覆い部材4とを備える。覆い部材4は、反応器2の外表面の少なくとも一部を覆って設けられている。また、反応装置1は、反応器2に流体を供給するための供給管5aと、反応器2から反応後の流体を排出するための排出管5bとを有する。さらに、反応装置1は、リード端子8、電極9、リード端子8を絶縁しつつ封止固定するための封止材10を有する。なお、収容容器3は、基体3aと蓋体3bとを有する。
【0013】
また、反応装置1は、覆い部材4の反応器2に対向する表面の少なくとも一部の領域に設けられた、気体を吸着する吸収層11を備える。
【0014】
吸着層11は、化学的に活性な金属粉等から成る。吸着層11の材料としては、例えば、ジルコニア(Zr)、鉄(Fe)、若しくはバナジウム(V)等を主成分とするものになる。吸着層11は、ある温度以上で活性化すると、製造プロセスにおいて表面に形成された酸化膜が除去され、新しい気体吸着面が現れ、周囲に存在するCOやN、Hといったガス類を吸着させる機能を発現させる。活性化する温度と活性化するまでの時間は、使用する金属粉の種類によって異なる。吸着層11は、活性化する温度(活性化温度)以上であって、活性化状態を維持できる所定の温度において、気体を吸着する。この温度は、例えば350℃から900℃の範囲である。
【0015】
吸着層11が担持されている覆い部材4は、例えば、SUS、Fe−Ni−Co合金、若しくはFe−Ni合金等のFe系合金、または無酸素銅等の金属材料、酸化アルミニウム(Al)質焼結体、ムライト(3Al・2SiO)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、窒化珪素(Si)質焼結体、若しくはガラスセラミックス等のセラミック材料、またはポリイミド等の高耐熱の樹脂材料等で形成される。覆い部材4は、反応器2からの熱を伝熱によっても吸着層11に伝え、且つ、反応器2の熱エネルギーを消費しない熱容量の小さな材料の観点から、特に薄板の金属材料からなるのが好ましい。覆い部材4が金属材料からなる場合は、切削法、プレス法、またはMIM(Metal Injection Mold)法等により所定の形状に形成される。
【0016】
また、覆い部材4の表面における吸着層11が設けられた領域以外の領域は、吸収層11よりも熱輻射率を小さくする。
【0017】
本実施の形態による反応装置1では、覆い部材4において、反応器2と対向した領域の少なくとも一部に、所定の温度で気体を吸着する金属からなる吸着層11が設けられていることにより、反応部2からの輻射熱を利用して吸着層11を常時活性状態に保持し、かつ覆い部材4の反応器2と対向しない領域は、吸着層11よりも熱輻射率を小さくすることにより、吸着層11から収容容器3に対して熱が伝播すること、すなわち反応器2から吸着層11を介して収容容器3に熱が伝播することにより生じる輻射損失低減する。
【0018】
ここで、熱輻射とは、熱を持った物体からその熱エネルギーが電磁波(赤外線)として放出されることをいい、熱輻射率(熱放射率)は、この熱エネルギーを表す値である。そして、熱輻射率の値が大きいほど物体が放射する熱エネルギーが大きい。この熱輻射率は、物体が熱を帯びているときに出す赤外線の強さを、理想黒体を1.0としたときの比率で表すことができる。熱輻射率は、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−lR)を用いて、物体に赤外線を照射したときのスペクトルを測定し、そのスペクトルと、物体と同じ温度の理想黒体のスペクトルとを比較することによって得られる。
【0019】
本実施の形態による反応装置1によれば、反応器2からの輻射熱を利用して吸着層11を常時活性状態に保持し、収容容器3の真空度を常に良好な状態で長期に渡って維持することが可能となる。そして、反応器2からの輻射熱を利用して吸着層11を活性化させることから、外部から活性に必要なエネルギーを少量だけ供給すればよいか、あるいは供給する必要がない。よって、反応装置1の消費電力を低減することができる。また、覆い部材4において吸着層11が設けられた領域以外の領域は、吸着層11よりも熱輻射率を小さくすることにより、輻射熱が吸収層11から収容容器3へ伝播することを抑制できることから、輻射損失の増加を抑制することができる。
【0020】
基体3aおよび蓋体3bは、ともに反応器2を収納する容器としての役割を有する。それらは、例えば、SUS、Fe−Ni−Co合金、Fe−Ni合金等のFe系合金、無酸素銅等の金属材料、酸化アルミニウム(Al)質焼結体、ムライト(3Al・2SiO)質焼結体、炭化珪素(SiC)質焼結体、窒化アルミニウム(AlN)質焼結体、窒化珪素(Si)質焼結体、若しくはガラスセラミックス等のセラミック材料、またはポリイミド等の高耐熱の樹脂材料等で形成され、断熱性の観点から、特にはセラミック材料からなるのが好ましい。
【0021】
基体3aおよび蓋体3bに適用可能なガラスセラミックスとしては、ガラス成分とフィラー成分とが挙げられる。
【0022】
ガラス成分としては、例えばSiO−B系、SiO−B−Al系、SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは同一または異なってCa、Sr、Mg、BaまたはZnを示す)、SiO−B−Al−MO−MO系(但し、MおよびMは前記と同じである)、SiO−B−MO系(但し、MはLi、NaまたはKを示す)、SiO−B−Al−MO系(但し、Mは前記と同じである)、Pb系ガラス、若しくはBi系ガラス等が挙げられる。
【0023】
また、フィラー成分としては、例えばAl、SiO、若しくはZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、またはAlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル、ムライト、またはコージェライト)等が挙げられる。
【0024】
基体3aおよび蓋体3bは、基体3aおよび蓋体3bで形成される収容容器2の空域部(内部)に反応器2を収納できればよく、例えば図1に示したように、板状の基体3aとコの字を90度左に回転させたような蓋体3bのほか、凹部を有する枠状の基体3aと板状の蓋体3bであってもよい。
【0025】
この場合、基体3aと蓋体3bは、内部を気密に封止するため、はんだや金属ロウ材等で接合する方法や、基体3aが凹部を有する場合には、凹部の上面に鉄合金等で作製されたシールリング等を接合して、シームウェルド、エレクトロンビーム、若しくはレーザー等の方法にて接合してもよい。
【0026】
例えば、Au−Snロウ材により接合する場合は、蓋体3bに予めAu−Snロウ材を溶着させておくか、あるいは金型等を用いて打ち抜き加工等で枠状に形成したAu−Snロウ材を基体3aと蓋体3bとの間に載置した後、封止炉あるいはシームウェルダーで蓋体3bを基体3aに接合する。
【0027】
また、基体3aおよび蓋体3bは、反応装置1の小型化、低背化を可能とするために、厚さを薄くするのが好ましいが、基体3aおよび蓋体3bの強度を維持すべく、械的強度である曲げ強度は200MPa以上とするのが好ましい。例えば、曲げ強度が200MPa以下の場合には、基体3aおよび蓋体3bの機械的強度が不足し、荷重が加わった際に破壊してしまう可能性がある。
【0028】
また、基体3aおよび蓋体3bが、相対密度が95%以上の緻密質の酸化アルミニウム質焼結体で形成される場合、以下のようにして作製される。
【0029】
まず酸化アルミニウム粉末に、希土類酸化物粉末や酸化アルミニウム粉末等の焼結助剤を添加、混合して、酸化アルミニウム質焼結体の原料粉末を調製する。次いで、この原料粉末に有機バインダおよび分散媒を添加、混合してペースト化し、このペーストをドクターブレード法によって、あるいは原料粉末に有機バインダを加え、プレス成形、若しくは圧延成形等によって、所定の厚みのグリーンシートを作製する。その後、所定枚数のシート状成形体を位置合わせして積層圧着した後、この積層体を、例えば非酸化性雰囲気中、焼成最高温度が1200〜1500℃の温度で焼成して、目的とするセラミック製の基体3aおよび蓋体3bを得る。なお、基体3aおよび蓋体3bの成形は粉末成形プレス法であっても良い。
【0030】
一方、基体3aおよび蓋体3bが金属材料から成る場合は、切削法、プレス法、またはMIM(Metal Injection Mold)法等により所定の形状に形成される。
【0031】
さらに、基体3aおよび蓋体3bが金属材料から成る場合には、腐食を抑制するためにその表面は、例えばAu、Niのめっき処理や、ポリイミド等の樹脂コーティング等の被覆コーティング処理が行なわれることが望ましい。例えばAuめっき処理の場合であれば、その厚さは0.1〜5μm程度であることが望ましい。
【0032】
そして、基体3aおよび蓋体3bで形成される収容容器2の空域部(内部)に、反応器2が収納される。また、基体3aは、反応器2に接合される供給管5aおよび排出管6bが貫通するための貫通孔12a、および電極9と接合されるリード端子8が貫通するための貫通孔12bを有する。
【0033】
なお、貫通孔12a、12bは、切削法、プレス法、エッチング法、またはブラスト法等により所定の形状に作製される。
【0034】
さらには、反応器2を収容する収容容器2は、上記に述べた異種の材料の組合せでもよく、部分的に異なる材料を組合せて用いてもよい。
【0035】
本実施の形態による反応装置1において、反応器2は、反応器2に接合される供給管5aから供給された流体に所定の反応を施して排出管5bより排出するための装置であり、その供給された流体に反応を施すための微細流路あるいは空隙を内部に有しており、担持された触媒等を用いて供給された流体を変性、転化、分解、若しくは混合し、性質の異なる流体に変化させるための化学反応部として作用する。例えば、反応器2は、メタノールガス(CHOH)および水蒸気を水素ガス(H)と二酸化炭素ガス(CO)に改質する、携帯電話等に用いられる燃料電池用の燃料改質器であってよい。
【0036】
反応器2は、特に限定されるものではなく、例えば、シリコン等の半導体、石英、ガラス、金属、またはセラミックス等の無機材料の基材に、切削法、エッチング法、またはブラスト法等により細い溝を形成して液体流路を作製するとともに、操作中の液体の蒸発抑制等を目的として、ガラス板、若しくは金属等のカバーを陽極接合、ロウ付け、または溶接等により表面に密着することにより形成される。またその形状も特に限定されるものではなく、例えば四角形状等があげられる。また、石英、ガラス、金属、またはセラミックス等の無機材料から成り、その内面に原料を反応生成するための触媒を担持した管状等であってもよい。
【0037】
例えば、反応器2内には、温度調節機構、例えば、抵抗層等から成る薄膜ヒーター(不図示)や厚膜ヒーター(不図示)を形成し、表面にはこのヒーターへ電力を供給する端子として電極9が形成される。この温度調節機構により、反応器2を、原料反応条件に相当する200〜800℃程度の温度条件に調整することで、供給管5aが接続された原料供給口から供給される原料を反応させて、原料排出口に接続された排出管5bから反応生成物を排出させる原料反応を良好に促進することができる。
【0038】
なお、反応器2において、ヒーターは、触媒が担持され原料反応をおこなう流路内や空隙内、あるいはその近傍に配置されることにより、ヒーターから発生する熱を効率的に原料反応に用いることができる。
【0039】
また、反応器2は、リード端子8を有する場合には、反応器2上の電極9とリード端子8をロウ付けやボンディングワイヤ等(不図示)により電気的に接続することにより、反応器2の表面や内部に形成されたヒーターを加熱することができる。その結果、反応器2において反応温度の維持が可能となり、原料を安定に反応させることができる。
【0040】
本実施の形態による反応装置1は、覆い部材4の吸着層11が設けられる領域の表面粗さを吸着層11を設けない領域よりも粗くするため、吸着層11と覆い部材4との密着性が高まり、長期的に活性状態を保てる。また、粗さ増加による表面積増加で触媒担持量が増え、吸着層11による反応装置1の内部における気体の吸着特性が向上する。
【0041】
本実施の形態による反応装置1によれば、覆い部材4は、反応器2に直接接合されているため、反応器2の熱が伝わり易く、反応器2からの伝熱をも利用し吸着層11を常時活性状態に保持し、収容容器の真空度を常に良好な状態で長期に渡って維持することが可能となる。
【0042】
供給管5aおよび排出管5bは、例えば、Fe−Ni系,Fe−Ni−Co系,若しくはSUS等の金属材料や、Al質焼結体,3Al・2SiO質焼結体,SiC質焼結体,AlN質焼結体,Si質焼結体,もしくはガラスセラミック焼結体等のセラミック材料、またはポリイミド等の高耐熱の樹脂材料で形成されている。
【0043】
そして、これらの供給管5aおよび排出管5bは、基体3aに形成した貫通孔12aに挿通して接合される。この接合方法として、供給管5aおよび排出管5bと基体3aとを超音波接合、熱溶着、若しくは圧着により接合する方法、樹脂接着剤によって接合する方法、Au−SiやAg−Cu等のロウ材によって接合する方法、硼珪酸ガラス等のガラスによって接合する方法、または同時焼結による方法等の各種方法が適宜用いられる。
【0044】
なお、本実施の形態による反応装置1において、覆い部材4は、吸着層11が設けられる外表面に対応する部分において少なくとも1つの屈曲部を有するのがよい。図2は、このように屈曲部を有する覆い部材4の構成を示す図であり、(a)は覆い部材4の上面図、(b)は吸着層11が設けられた覆い部材4の側面図である。ここで、上面図においては、反応器2、覆い部材4および吸着層11を示した。このような構成により、吸着層11の被着面積が向上するために、より広範囲の領域に吸着層11を被着させることができる。
【0045】
また、覆い部材4は、一方の端部でのみ反応器2に接続され、他方の端部が開放、すなわち自由端になっていることが好ましい。このような構成であれば、熱膨張した場合であっても、覆い部材4にかかる応力を低減することができ、覆い部材4の変形および吸着層11の剥離を抑制することができる。
【0046】
また、覆い部材4の外表面において、吸着層11が設けられた領域は、他の領域よりも表面粗さが粗く凹凸が形成されているのがよい。これにより、吸着層11の密着性が向上し、吸着層11を覆い部材4に長期的に保持することができる。また、凹凸による表面積増加によって、吸着層11の担持量を増やすことができるため、より多くの気体を吸着することが可能になることから、反応装置1内において長期に渡って安定して真空状態を保つことができる。
【0047】
また、平面視したときに、吸着層11は、通常他の部分より高温となる反応器2の中央部に位置するのがよい。覆い部材4の表面における反応器2に対向する領域に吸着層11が設けられていると、吸着層11への熱輻射が効率よく行われる。
【0048】
さらに、覆い部材4が矩形状である場合に、短辺部分が反応器に接続されているのがよい。温度が大きく変動した場合に、短辺部分の方が長辺部分よりも収縮変動が小さくなるため、覆い部材4と反応器2との接続信頼性が高くなる。
【0049】
また、覆い部材4を反応器2にレーザー溶接により接続すると、覆い部材4に吸着層11を形成した後、反応器2により容易に接続することができ、接続の際の吸着層11の脱落を抑制できる。
また、供給管5aおよび排出管5bの内径はφ0.1mm以上として流体の圧力損失を抑えるとともに、小型化,低背化のためにはφ5mm以下とすることが好ましい。
【0050】
供給管5aおよび排出管5bの接合部分の断面形状としては、通常は円形とすればよいが、これに限定されない。すなわち、円形の他には、楕円形や、流体の流れ方向にその辺部を合わせることができる角状のもの、例えば、正方形,長方形が挙げられる。また、肉厚は物質供給や反応物質排出の圧力で変形しない厚みが必要であり、上記の材料から成る場合には、携帯機器等に使用するものでは通常は0.1mm以上であれば良い。また、流れ方向の長さは、反応器2で発生する熱を発電セルに伝えにくくするためには長い程よいが、反応装置システム全体の大きさを考慮した長さにすべきである。
【0051】
また、反応器2の流体供給口,流体排出口と供給管5a,排出管5bとの接続には、石英ガラス,若しくはホウ珪酸ガラス等のガラス、各種セラミックス,無機ポリマーを含む無機接着剤、ポリイミドアミド等の高耐熱性有機材料を含む接着剤、シリコーンゴムや珪素樹脂等の有機珪素化合物、またはAu−Sn,Au−Si,Au−Ge,若しくはAg−Cu合金等の各種ロウ材から成るものを用いる接続方法が適用でき、これにより気密封止される。
【0052】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。例えば、図1に示した例においては、供給管5aおよび排出管5bは反応器2の下面に接合されているが、これらは反応器2の仕様に応じて上面に接合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態による反応装置の構成例を示す断面図である。
【図2】屈曲部を有する覆い部材の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 :反応装置
2 :反応器
3 :収容容器
3a:基体
3b:蓋体
4 :覆い部材
5a:供給管
5b:排出管
11:吸着層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器と、該反応器を収容する収容容器と、前記反応器の外表面の少なくとも一部を覆って設けられた覆い部材と、前記覆い部材の前記反応器に対向する表面の少なくとも一部の領域に設けられた、所定の温度で気体を吸着する金属からなる吸収層を備え、前記覆い部材の表面における前記少なくとも一部以外の領域は、前記吸収層よりも熱輻射率が小さい反応装置。
【請求項2】
前記吸収層は、平面視したときに、前記反応器の中央部に位置している請求項1記載の反応装置。
【請求項3】
前記覆い部材は、外周部の一部分のみが前記反応器の外表面に接続される請求項1または請求項2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記覆い部材の表面における前記少なくとも一部の領域は、他の領域よりも表面粗さが大きい請求項1から請求項3のいずれかに記載の反応装置。
【請求項5】
前記覆い部材は、前記少なくとも一部の領域に対応する部分において、少なくとも1つの屈曲部を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の反応装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−202073(P2009−202073A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45553(P2008−45553)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】