説明

収容ケース、電子部品モジュール及び電子機器

【課題】収容ケース内に電子部品を収容すると共に樹脂を充填して電子部品を封止する構成の電子部品モジュールを製造する際のリペアの頻度を低下させて、電子部品モジュールの製造効率向上や製造コスト削減を図る。
【解決手段】電子部品11を収容可能な筒状部31と、電子部品11に電気接続させる電気配線33を有し、筒状部31の一方の開口部31Aを閉塞する配線板部32とを備え、筒状部31内に面する配線板部32の一方の主面に、電子部品11を搭載する搭載領域を形成し、さらに、配線板部32に、その一方の主面から窪むと共に前記搭載領域から搭載領域の外側まで延びる溝部35を形成した収容ケース13を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容ケース、これを備える電子部品モジュール及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータ電源装置等の電子機器には、例えば図15,16に示すように、ベアチップや電解コンデンサ等の各種電子部品101,102によって電子回路を構成したものがある(特許文献1参照)。この電子機器では、電子部品101がケース103内に収容されており、電解コンデンサ(電子部品)102がケース103の外側に突出した状態で固定されている。
【0003】
また、この電子機器では、支持部材104に電解コンデンサ102を固定してコンデンサモジュール(電子部品モジュール)105を構成した上で、このコンデンサモジュール105をケース103に装着するように構成されている。これにより、ケース103に対して複数の電解コンデンサ102を容易に取り付けることができる。具体的に説明すれば、支持部材104には、複数の電解コンデンサ102を個別に挿通させる挿入孔106が形成されている。そして、挿入孔106とこれに挿通された電解コンデンサ102との間に隙間が生じないように、支持部材104をグロメットにより形成する等して、支持部材104に対して電解コンデンサ102が液密に保持されている。
【0004】
さらに、この電子機器では、電解コンデンサ102の本体(コンデンサ本体107)の一端部から突出するリード電極108を配線基板109の接合孔に挿通させた上で、はんだ等によりリード電極108を配線基板109に接合することで、電解コンデンサ102が配線基板109に電気接続されている。そして、リード電極108と配線基板109との接合部分は、ケース103内に充填された樹脂110によって封止されている。
このように構成される電子機器では、リード電極108と配線基板109との接合部分を樹脂110で封止することで、水分等がこの接合部分に到達することを防ぎ、水分等による電解コンデンサ102の電気的な短絡防止を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−281127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種の電子機器においては、その仕様に応じて電解コンデンサ102の個数を変更する必要がある。しかしながら、上記従来のコンデンサモジュール105では、電解コンデンサ102の個数にあわせて支持部材104に形成する挿入孔106の数を適宜変更する必要があるため、電子機器の仕様に応じて支持部材104を別個に製作する必要がある。すなわち、従来のコンデンサモジュール105は汎用性が低いという問題がある。
また、コンデンサ本体107からリード電極108が突出する構成の電解コンデンサ102を配線基板109に電気接続する場合には、コンデンサ本体107を配線基板109の主面に置く(載置する)ように配することが多い。このような配置状態でケース103内に溶融した樹脂110を流し込むと、コンデンサ本体107と配線基板109との隙間に空気が気泡として残留する場合がある。
【0007】
この気泡は、樹脂110が硬化(熱硬化)する段階で前記隙間から抜けて樹脂110の上面まで上昇し、この上面から外側に抜けることが多いが、樹脂110が硬化した後の状態で樹脂110の上面から窪む窪み部として残ることもある。そして、この窪み部が樹脂110の上面から樹脂110内のリード電極108と配線基板109との接合部分まで到達していると、窪み部への水分等の浸入によって電解コンデンサ102の電気的な短絡が生じる虞がある。
このため、従来では、硬化後の樹脂110の上面に窪み部が発見された場合に、窪み部を別途樹脂や接着剤で埋めるリペアを実施しているが、このリペアを実施することで、電子機器の製造効率が低下するだけでなく、製造コストも上がってしまう、という問題がある。
【0008】
この発明は、上述した事情に鑑みたものであって、汎用性の向上を図ることができ、かつ、前述したリペアの頻度を低下させて製造効率の低下や製造コストの増加を抑制できる電子機器、これに備える収容ケース及び電子部品モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明の収容ケースは、本体部の外面に電極を設けた構成の電子部品を収容した状態で、電子回路を内蔵した本体ユニットに固定すると共に、前記電子部品を前記電子回路に電気接続するための収容ケースであって、両端に開口部を有すると共に一つ以上の前記電子部品を収容可能な筒状部と、当該筒状部の一方の開口部を閉塞する板状に形成されると共に、前記筒状部に収容された前記電子部品の前記電極を前記電子回路に電気接続するための電気配線を有する配線板部と、を備え、前記筒状部の内部に面する前記配線板部の一方の主面には、前記電子部品を搭載する搭載領域が形成され、前記配線板部には、前記一方の主面から窪む溝部が前記搭載領域から当該搭載領域の外側まで延びるように形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子部品モジュールは、前記収容ケースの前記筒状部に、本体部の外面に電極を設けて構成される電子部品が収容された状態で、前記本体部が前記配線板部の搭載領域に載置されると共に、前記電極と前記電気配線とが電気接続され、さらに、前記配線板部の一方の主面、及び、前記電極と前記電気配線との電気接続部分が、前記筒状部内に充填された樹脂によって封止されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の電子機器は、前記電子部品モジュールと、当該電子部品モジュールを固定し、前記配線板部の電気配線に電気接続される電子回路を内蔵する本体ユニットとを備えることを特徴とする。
【0012】
前述した収容ケースを用いて上記電子部品モジュールや上記電子機器を製造する場合には、はじめに、電子部品の本体部を筒状部内に収容すると共に、電子部品の電極が配線板部の電気配線に接続されるように前記本体部を配線板部の一方の主面の搭載領域に載置すればよい。その後、筒状部の他方の開口部側から溶融した樹脂を流し込み、硬化させることで、配線板部の一方の主面、及び、電子部品の電極と配線板部の電気配線との接合部分を樹脂で封止すればよい。
【0013】
そして、樹脂を筒状部内に流し込む際には、電子部品の本体部と配線板部との隙間にある空気が、流し込まれる樹脂によって、前記隙間から溝部を通って搭載領域の外側に押し出されるため、前記空気を効率よく収容ケースの外側に排出することができる。すなわち、樹脂を筒状部内に流し込んだ状態において前記空気が気泡として残留することを抑制できるため、従来のように、樹脂を筒状部に流し込んだ後から樹脂が硬化するまでの間に、前記気泡が樹脂中を上昇して樹脂の上面から窪む窪み部として残ってしまうことを抑えることができる。
したがって、上記構成の収容ケース及び電子部品モジュールによれば、前述した窪み部を埋めるリペアの頻度を低下させて、電子部品モジュールや電子機器の製造効率の向上、及び、製造コストの低下を図ることができる。
【0014】
また、上記構成の収容ケースは、任意の個数の電子部品を一括して挿入できる有底筒状に形成されるため、本体ユニットの電子回路に接続すべき電子部品の個数が変化しても、同一の収容ケースを使用することが可能となる。また、配線板部に対する電子部品の電気接続構造が同一であれば、電子部品の個数を変更しても、電子部品に対する配線板部の電気接続構造を変更する必要がないため、同一の収容ケースに対して任意の個数の電子部品を電気接続することができる。したがって、電子部品モジュールの汎用性向上を図ることができる。
【0015】
そして、前記収容ケースにおいては、前記溝部が、前記搭載領域の周縁の周方向に間隔をあけて複数配列されていることが好ましい。
この構成では、例えば樹脂を一の方向に延びる一の溝部に入り込むように設定することで、前記隙間にある空気を他の方向に延びている他の溝部から外側に効率よく逃がすことが可能となる。
【0016】
また、前記収容ケースにおいては、前記一方の主面に沿う方向に延びる前記溝部の長手方向の両端部が、前記搭載領域の外側に位置しているとよい。
この構成では、例えば樹脂が溝部の長手方向の一端部から入り込むように設定することで、前記隙間の空気を溝部の他端部から外側に効率よく逃がすことが可能となる。
【0017】
さらに、前記収容ケースにおいては、前記溝部の深さが、前記搭載領域からその外側に向かうにしたがって浅くなることが好ましい。
すなわち、上記構成では、搭載領域から外側に向けて溝部の深さが浅くなるように、傾斜する傾斜面として溝部の底面が形成されている。
この構成では、傾斜面に沿って樹脂や空気が流れるため、搭載領域の外側から溝部に入り込む樹脂の流速、及び、溝部から搭載領域の外側に排出される空気の流速の低下を抑えることができる。したがって、前記隙間にある空気を短時間で外側に逃がすことが可能となる。
【0018】
また、前記収容ケースにおいて、前記溝部は、少なくとも前記搭載領域に重なる領域において前記溝部の深さが前記搭載領域側からその外側に向かうにしたがって深くなるように傾斜する第一傾斜面、及び、少なくとも前記搭載領域の外側に位置する領域において前記溝部の深さが前記搭載領域側からその外側に向かうにしたがって浅くなるように傾斜する第二傾斜面を有し、前記第一傾斜面及び前記第二傾斜面が、前記搭載領域から当該搭載領域の外側まで延びる前記溝部の長手方向に配列されていることがより好ましい。
なお、第一傾斜面及び第二傾斜面が例えば連なるように配される場合には、溝部が断面V字状に形成されることになり、第一傾斜面及び第二傾斜面が例えば互いに間隔をあけて配される場合には、溝部が断面台形状に形成されることになる。
この構成では、前述したように、第二傾斜面によって搭載領域の外側と溝部との間を流れる樹脂や空気の流速の低下を抑えることに加え、第一傾斜面によって前記隙間と溝部との間を流れる樹脂や空気の流速の低下も抑えることができる。したがって、前記隙間の空気をさらに短時間で外側に逃がすことが可能となる。
【0019】
さらに、前記収容ケースにおいては、前記配線板部のうち前記搭載領域の外側には、前記搭載領域に配される前記電子部品を囲むように前記一方の主面から上方に突出する位置決めガイド部が一体に形成されているとよい。
この構成では、収容ケースに対する電子部品の取り付けを容易に行うことができる。
【0020】
なお、前記収容ケースにおいては、前記位置決めガイド部が前記筒状部によって画成されていてもよい。
【0021】
さらに、前記収容ケースにおいては、複数の前記位置決めガイド部が、前記搭載領域の周縁の周方向に互いに間隔をあけて配列されていることが好ましい。
この構成では、二つの位置決めガイド部の間に溝部を形成することが可能となるため、溝部を通る樹脂や空気の流れが位置決めガイド部によって阻害されることを確実に防ぐことができる。
【0022】
また、前記収容ケースにおいては、前記位置決めガイド部が、前記溝部の底面から突出し、前記電子部品を前記搭載領域に配した状態において、前記電子部品と前記位置決めガイド部との間に間隙が画成されてもよい。
この構成では、電子部品の外周面と位置決めガイド部との間隙が、溝部の上方に延びるように画成されるため、電子部品と配線板部との隙間から溝部内を通って排出された空気が、前記間隙によって、筒状部の他方の開口部に向けて流れるように溝部の上方に誘導される。したがって、隙間にある空気を効率よく収容ケースの外部に排出することが可能となる。
【0023】
さらに、前記収容ケースにおいては、前記筒状部と前記配線板部とが一体に形成されているとよい。
この構成では、筒状部と配線板部とが別体で形成されている場合に対し、配線板部を筒状部に固定する工程が不要となるため、電子部品モジュールの製造工程数を減らして、その製造効率を向上させることが可能となる。
【0024】
また、前記収容ケースにおいては、前記配線板部の他方の主面から突出して延びる前記電気配線の外部延出部の先端部分が、当該外部延出部の基端部分に対して屈曲されて、前記他方の主面に平行するように延びていることがより好ましい。
この構成では、本体ユニットの電子回路をなす配線基板に対して電子部品モジュールを搭載する場合に、筒状部の長手方向(両端の開口部が配列される方向)が配線基板の主面に沿うように電子部品モジュールを搭載することができる。したがって、配線基板の主面に直接電子部品を搭載する場合と比較して、配線基板の主面から突出する電子部品の突出高さを抑えて、電子機器の薄型化を図ることができる。
【0025】
そして、前記電子部品モジュールにおいては、前記電子部品の電極が、前記電子部品の本体部の平坦面から突出するように形成されると共に、前記本体部が、前記平坦面の周縁から突出する環状突起部を有する場合には、前記溝部が、平面視で前記環状突起部よりも前記搭載領域の内側に延びているとよい。
この構成では、電子部品の本体部が、電解コンデンサのように環状突起部を有する構成であっても、配線板部の一方の主面に本体部を載置した状態で、本体部の平坦面及び環状突起部、並びに、配線板部の一方の主面によって画成される隙間を、溝部を介して確実に外方に連通させることができる。したがって、電子部品が電解コンデンサであっても、樹脂を充填する際に前記隙間の空気を効率よく逃がすことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、電子部品モジュールや電子機器を製造する際のリペアの頻度を低下させて、電子部品モジュールや電子機器の製造効率の向上、及び、製造コストの低下を図ることができる。
また、電子機器に要する電子部品の個数を変更しても、同一の収容ケースを使用することができるため、電子部品モジュールの汎用性向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第一実施形態に係るコンデンサモジュールを本体ユニットに固定してなる電子機器を、筒状部の他方の開口部側から見た状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコンデンサモジュールを、配線板部によって閉塞された筒状部の一方の開口部側から見た状態を示す斜視図である。
【図3】図1,2に示すコンデンサモジュールを筒状部の他方の開口部側から見た状態を示す平面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【図5】図3のB−B矢視断面図である。
【図6】図3のC−C矢視断面図である。
【図7】図3のD−D矢視断面図である。
【図8】電解コンデンサと配線板部との隙間への樹脂の流入方向、及び、隙間から排出される空気の排出方向の一例を示す説明図である。
【図9】図8のE−E矢視断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係るコンデンサモジュールの要部を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の第三実施形態に係るコンデンサモジュールの要部を示す拡大断面図である。
【図12】本発明の第四実施形態に係るコンデンサモジュールの要部概略を示す平面図である。
【図13】本発明の第五実施形態に係るコンデンサモジュールの要部を示す拡大断面図である。
【図14】図13のコンデンサモジュールにおける溝部及び位置決めガイドの平面視形状及び配置の一例を示す概略平面図である。
【図15】従来の電子機器の一例を示す斜視図である。
【図16】図15の電子機器の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第一実施形態〕
以下、図1〜9を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1〜7に示すように、この実施形態に係るコンデンサモジュール(電子部品モジュール)3は、電子回路を内蔵した本体ユニット5の外側に固定されることで、本体ユニット5と共に電子機器1を構成するものである。なお、本体ユニット5は、例えば従来と同様に、電子回路を構成する配線基板7や複数の電子部品等をケース9内に収容して構成されるものである。
コンデンサモジュール3は、複数の電解コンデンサ(電子部品)11と、電解コンデンサ11を収容する収容ケース13と、収容ケース13内において電解コンデンサ11を封止する封止樹脂15とを備えて構成されている。
【0029】
各電解コンデンサ11は、例えば既存のアルミニウム電解コンデンサであり、図4〜7に示すように、円柱状に形成されたコンデンサ本体(本体部)21と、その長手方向の一端に面する平坦な一端面(平坦面)21aから突出するように延びる一対のリード電極(電極)22とを備えている。また、コンデンサ本体21には、その一端面21aの周縁から突出する円環状の環状突起部23が形成されている。なお、リード電極22の突出長さは、環状突起部23よりも長く設定されている。
そして、コンデンサ本体21の長手方向の他端面21bには、電解コンデンサ11の過度な内圧上昇を防ぐための防爆弁(不図示)が形成されている。すなわち、防爆弁は、電解コンデンサ11の内圧が予め設定された所定値以上となったときに破裂するものである。
【0030】
収容ケース13は、両端に開口部31A,31Bを有する筒状部31と、筒状部31の一方の開口部31Aを閉塞する平板状の配線板部32とを一体に形成して構成されている。この収容ケース13は、例えば樹脂成形によって筒状部31及び配線板部32を一体に形成することで、有底筒状の形状を呈している。
筒状部31は、各電解コンデンサ11の長手方向が筒状部31の長手方向(両端の開口部31A,31Bが配列される方向(Z方向))に一致するように複数の電解コンデンサ11を収容する形状に形成されている。さらに、本実施形態における筒状部31は、複数の電解コンデンサ11を筒状部31の長手方向(Z方向)に直交する一方向(筒状部31の幅方向(X方向))に一列に並べて収容する細長い断面形状に形成されている。また、本実施形態の筒状部31の幅方向(X方向)の両端は、円柱状とされたコンデンサ本体21の外周面に対応する円弧状に形成されている。
なお、図示例における筒状部31は、三つの電解コンデンサ11を収容できる大きさに設定されているが、これに限ることはなく、任意の数の電解コンデンサ11を収容できる大きさに設定されてよい。
【0031】
配線板部32は、筒状部31に収容された電解コンデンサ11を本体ユニット5の電子回路に電気接続するためのものであり、筒状部31の内部に面する配線板部32の一方の主面32aには、各電解コンデンサ11を搭載する搭載領域S1が複数形成されている。
ここで、各電解コンデンサ11の搭載領域S1は、コンデンサ本体21が載置される一方の主面32aの領域であり、本実施形態では、図3や図8に示すように、平面視した配線板部32の一方の主面32aにおいて円形状で示されるものである。また、複数の搭載領域S1は、互いに間隔をあけて形成されている。
そして、図4〜7に示すように、コンデンサ本体21は、その一端面21aが配線板部32の一方の主面32aに対向するように、環状突起部23の先端を一方の主面32aに当接させることで、一方の主面32aに載置される。このようにコンデンサ本体21が載置された状態では、コンデンサ本体21の一端面21a及び環状突起部23、並びに、配線板部32の一方の主面32aによって隙間V1が画成される。
【0032】
そして、配線板部32は、図2等に示すように、その搭載領域S1に配された電解コンデンサ11を本体ユニット5の配線基板7に電気接続するための端子板(電気配線)33を複数有している。各端子板33は、図2,4に示すように、その長手方向の一端部(外部延出部)33Aが配線板部32の他方の主面32bから突出して延びており、他端部33Bが配線板部32内に埋設されるように、配線板部32に取り付けられている。
【0033】
また、配線板部32には、図2,4,9に示すように、その厚さ方向に貫通する挿通孔34が形成され、各端子板33の他端部33Bは挿通孔34内に突出するように配されている。さらに、端子板33の他端部33Bにも挿通孔34の貫通方向に貫通する孔が形成されている。
そして、これら配線板部32の挿通孔34及び端子板33の孔に、電解コンデンサ11のリード電極22を挿通させた上で、リード電極22と端子板33の他端部33Bとを半田17で接合することにより、電解コンデンサ11が端子板33に電気接続されることになる。なお、一つの搭載領域S1に設けられる端子板33及び挿通孔34の数は、各電解コンデンサ11のリード電極22の数に対応している。
【0034】
一方、配線板部32から突出する端子板33の一端部33Aは、その突出方向の先端部分を基端部分に対して屈曲するように形成されている。そして、この一端部33Aの先端部分は、配線板部32の他方の主面32bに平行する方向に延びている。より具体的に説明すれば、一端部33Aの先端部分は、電解コンデンサ11の長手方向(Z方向)及び複数の電解コンデンサ11の配列方向(X方向)の両方に直交する方向に延びている。
このように形成された端子板33の一端部33Aは、その先端部分が本体ユニット5の配線基板7に対してその厚さ方向に挿通されることで、配線基板7に電気接続される。このように配線基板7と端子板33とが接続されることで、コンデンサモジュール3は、筒状部31の長手方向(Z方向)や複数の電解コンデンサ11の配列方向(X方向)が配線基板7の主面に沿うように、配線基板7に搭載されることになる。
【0035】
さらに、配線板部32には、図3〜5,8に示すように、その一方の主面32aから窪む有底の溝部35が複数形成されている。
各溝部35は、電解コンデンサ11の搭載領域S1から搭載領域S1の外側に延びるように形成されている。より具体的に説明すれば、各溝部35は、断面視矩形状に形成され、また、平面視円形状とされた搭載領域S1の径方向に延びる平面視短冊状あるいは略矩形状に形成されている。また、各溝部35は、搭載領域S1に形成された挿通孔34に対して間隔をあけるように形成されている。そして、各搭載領域S1に対して形成される複数の溝部35は、各搭載領域S1の周縁の周方向に間隔をあけるように複数配列されている。なお、本実施形態では、各搭載領域S1に対して四つの溝部35が、搭載領域S1の周縁の周方向に等しい間隔をあけて配されている。
【0036】
さらに詳細に説明すれば、平面視で搭載領域S1の周縁から筒状部31の内周面に向けて延びる第一溝部35Aは、その長手方向の一端が環状突起部23よりも搭載領域S1の内側に位置して、配線板部32とこれに搭載された電解コンデンサ11との隙間V1に連通している。一方、第一溝部35Aの他端は、搭載領域S1の外側に位置し、これによって第一溝部35Aが収容ケース13内の空間に連通している。
また、平面視で互いに隣り合う二つの搭載領域S1の間に形成される第二溝部35Bは、二つの搭載領域S1の配列方向(X方向)に延びており、その長手方向の両端が環状突起部23よりも各搭載領域S1の内側に位置している。これにより、第二溝部35Bが隣り合う二つの搭載領域S1に搭載された電解コンデンサ11と配線板部32との隙間V1に連通している。一方、二つの搭載領域S1の間に位置する第二溝部35Bの長手方向の中途部は、二つの搭載領域S1の外側に位置しているため、第二溝部35Bは収容ケース13内の空間に連通している。
したがって、配線板部32と電解コンデンサ11との隙間V1は、第一溝部35Aや第二溝部35Bを介して収容ケース13内の空間に連通している。
【0037】
また、配線板部32のうち各搭載領域S1の外側には、図3,6,7に示すように、各搭載領域S1に配される電解コンデンサ11を囲むように、一方の主面32aから上方に突出する複数(図示例では四つずつ)の位置決めガイド部36が一体に形成されている。
各位置決めガイド部36は、平面視でコンデンサ本体21の外周面に対応する円弧状に形成されている。本実施形態においては、電解コンデンサ11を配線板部32に搭載した状態で、コンデンサ本体21の外周面が位置決めガイド部36に接触する、あるいは、コンデンサ本体21の外周面及び位置決めガイド部36が微小な間隙を介して互いに対向するようになっている。
【0038】
そして、各搭載領域S1に対して形成される複数の位置決めガイド部36は、搭載領域S1の周縁の周方向に互いに間隔をあけて配列されている。より詳細に説明すれば、複数の位置決めガイド部36は、搭載領域S1の周方向に配列された複数の溝部35の間に配され、溝部35に干渉しないようになっている。
なお、電解コンデンサ11の配列方向(X方向)の両端に配される各電解コンデンサ11を囲む複数の位置決めガイド部36のうち一部(図示例では二つ)は、筒状部31の内周面に一体に形成されている。言い換えれば、位置決めガイド部36の一部は、筒状部31によって画成されている。
【0039】
さらに、図2等に示すように、配線板部32の厚さ方向に沿う側面及びこれに連なる筒状部31の外周面には、コンデンサモジュール3を本体ユニット5のケース9に固定するための係合溝37が形成されている。この係合溝37を本体ユニット5のケース9の側壁部の一部に形成された開口部の縁に係合させることで(図1参照)、コンデンサモジュール3を本体ユニット5のケース9に固定することができる。
【0040】
封止樹脂15は、図4〜7に示すように、配線板部32の一方の主面32a及び各電解コンデンサ11の全体を封止するように収容ケース13内に形成されており、これによって電解コンデンサ11が収容ケース13に固定されている。すなわち、本実施形態においては、防爆弁を含む電解コンデンサ11の他端面21bが封止樹脂15によって覆われている。ここで、封止樹脂15の硬度及び防爆弁を覆う封止樹脂15の厚みは、防爆弁の正常な作動を妨げないように調整されている。例えば、封止樹脂15の材質が柔らかい場合には、防爆弁を覆う封止樹脂15の厚みを大きくしてもよいが、封止樹脂15の材質が硬い場合には、電解コンデンサ11の防爆機能を損なわないように封止樹脂15の厚みを小さく調整する必要がある。
なお、図示例においては、封止樹脂15が筒状部31の他方の開口部31Bよりも収容ケース13の内側に位置しているが、前述した防爆弁と封止樹脂15の硬さとの関係や、他方の開口部31Bに対する電解コンデンサ11の他端面21bの位置によっては、例えば収容ケース13内全体に充填されていてもよい。
【0041】
次に、上記構成のコンデンサモジュール3の製造方法の一例について説明する。
コンデンサモジュール3を製造する際には、はじめに、電解コンデンサ11を他方の開口部31B側から筒状部31内に収容すると共に、電解コンデンサ11のリード電極22が配線板部32の挿通孔34及び端子板33の孔に挿通されるように、コンデンサ本体21を配線板部32の一方の主面32aに載置する(収容工程)。
このように電解コンデンサ11を筒状部31に収容する際には、位置決めガイド部36によって電解コンデンサ11が一方の主面32aの搭載領域S1上に案内されるため、電解コンデンサ11を容易に搭載領域S1に配することができる。
【0042】
次いで、電解コンデンサ11のリード電極22と端子板33の他端部33Bとを半田17で接合する(接続工程)。なお、半田17による接合は、リード電極22の先端部分及び端子板33の他端部33Bが露出する配線板部32の他方の主面32b側から行えばよい。この接続工程よって、電解コンデンサ11のリード電極22が配線板部32の端子板33に電気接続されることになる。
【0043】
最後に、他方の開口部31Bから筒状部31内に溶融した樹脂を流し込み、硬化させることで、封止樹脂15によって、収容ケース13内において電解コンデンサ11全体及び配線板部32の一方の主面32aを封止し、電解コンデンサ11を収容ケース13に固定する(封止工程)。これにより、コンデンサモジュール3の製造が完了する。
【0044】
前述の封止工程で溶融樹脂を収容ケース13内に流し込む際には、例えば図9に示すように、溶融樹脂が一の溝部35を介してコンデンサ本体21と配線板部32との隙間V1に流れ込む。このため、コンデンサ本体21と配線板部32との隙間V1にある空気は、この溶融樹脂の流れ込みによって、隙間V1から他の溝部35を通って搭載領域S1の外側に押し出されるため、隙間V1にある空気を収容ケース13の外側に効率よく排出することができる。
なお、図9における符号D1は、一の溝部35から隙間V1に向けて流れる溶融樹脂の流れ方向を示しており、符号D2は、隙間V1から他の溝部35を通して搭載領域S1の外側に流れる空気の流れ方向を示している。
【0045】
そして、この封止工程は、例えば溶融樹脂を流し出すポッティング装置のノズルを、筒状部31の他方の開口部31Bの上方において、複数の電解コンデンサ11の配列方向(X方向)に移動させながら実施するとよい。
この場合には、例えば図8に示すように、溶融樹脂が電解コンデンサ11の配列方向(X方向)に並べられた溝部35に入り込み易く、配列方向に直交する方向(紙面縦方向)に並べられた溝部35には入り込み難い。このため、電解コンデンサ11と配線板部32との隙間V1にある空気は、紙面縦方向に並べられた溝部35を通じて搭載領域S1外に押し出されることになり、隙間V1にある空気を収容ケース13の外側に効率よく排出することができる。
【0046】
さらに、上述のように製造されるコンデンサモジュール3を本体ユニット5に固定する場合には、例えば端子板33の一端部33Aを半田等によって配線基板7に接合して電気接続した後に、配線基板7がケース9内に収容されるように、コンデンサモジュール3をケース9に固定すればよい。また、この固定後には、例えば本体ユニット5のケース9内に樹脂を流し込んで、配線板部32の他方の主面32bや配線基板7等を樹脂封止してもよいが、電子機器1の使用環境によっては例えば樹脂封止しなくても構わない。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る収容ケース13及びコンデンサモジュール3によれば、溶融樹脂を収容ケース13に流し込む際、電解コンデンサ11と配線板部32と隙間V1にある空気を効率よく収容ケース13の外側に排出することができる。
特に、本実施形態では、溝部35が各搭載領域S1の周縁の周方向に間隔をあけて複数配列されているため、図8に例示したように、溶融樹脂を一の方向に延びる一の溝部35に入り込み易くなるように設定すれば、隙間V1にある空気を他の方向に延びる他の溝部35から搭載領域S1の外側に効率よく逃がすことができる。
【0048】
これにより、溶融樹脂を収容ケース13に流し込んだ後の状態において、隙間V1にある空気が気泡として溶融樹脂中に残留することを抑制できる。すなわち、従来のように、溶融樹脂を筒状部31に流し込んだ後から溶融樹脂が硬化するまでの間に、前述の気泡が樹脂中を上昇して樹脂の上面から窪む窪み部として残ってしまうことを抑えることができる。
したがって、前述の窪み部を埋めるリペアの頻度を低下させて、コンデンサモジュール3や電子機器1の製造効率の向上、及び、製造コストの低下を図ることができる。
【0049】
また、収容ケース13は、任意の個数の電解コンデンサ11を一括して挿入できる有底筒状に形成されるため、本体ユニット5の電子回路に接続すべき電解コンデンサ11の個数が変化しても、同一の収容ケース13を使用することが可能となる。さらに、配線板部32の端子板33に対する電解コンデンサ11のリード電極22の形状や配置(電気接続構造)が同一であれば、電解コンデンサ11の個数を変更しても、電解コンデンサ11に対する配線板部32の端子板33の形状や配置(電気接続構造)を変更する必要がないため、同一の収容ケース13に対して任意の個数の電解コンデンサ11を電気接続することができる。したがって、コンデンサモジュール3の汎用性向上を図ることができる。
【0050】
さらに、本実施形態の収容ケース13には位置決めガイド部36が形成されているため、収容ケース13に対する電解コンデンサ11の取り付けを容易に行うことができる。
また、上記位置決めガイド部36は、溝部35に干渉しないように、同一の搭載領域S1に対してその周縁の周方向に互いに間隔をあけて複数配列されているため、溝部35を通る溶融樹脂や空気の流れが位置決めガイド部36によって阻害されることを確実に防ぐことができる。
【0051】
さらに、本実施形態の収容ケース13は、筒状部31と配線板部32とが一体に形成されているため、筒状部31と配線板部32とが別体で形成される場合と比較して、配線板部32を筒状部31に固定する工程が不要となるため、コンデンサモジュール3の製造工程数を減らして、その製造効率を向上させることも可能となる。
また、本実施形態の収容ケース13では、配線板部32の他方の主面32bから突出する端子板33の一端部33AがL字状に屈曲されているため、筒状部31の長手方向(Z方向)や複数の電解コンデンサ11の配列方向(X方向)が配線基板7の主面に沿うように、コンデンサモジュール3を配線基板7に搭載することができる。したがって、配線基板7の主面に直接電解コンデンサ11を搭載する場合と比較して、配線基板7の主面から突出する電解コンデンサ11の突出高さを抑えて、電子機器1の薄型化を図ることができる。
【0052】
さらに、本実施形態のコンデンサモジュール3によれば、リード電極22を含む電解コンデンサ11全体及び配線板部32の一方の主面32aが封止樹脂15によって封止されていることで、収容ケース13の他方の開口部31Bから収容ケース13内に水分等が入り込んでも、リード電極22や配線板部32あるいはコンデンサ本体21には到達しないため、電解コンデンサ11の電気的な短絡を防止できる。
また、収容ケース13内に一括して収容された複数の電解コンデンサ11が封止樹脂15により一括して固定されるため、電解コンデンサ11が収容ケース13に対して振動することを防止でき、その結果として、電解コンデンサ11と端子板33との電気接続の信頼性が向上する。
以上のことから、電気的に信頼性の高いコンデンサモジュール3を提供することが可能となる。
【0053】
なお、この第一実施形態において、溝部35は、複数形成されることに限らず、例えば一つだけ形成されてもよい。このような構成では、同一の溝部に樹脂及び空気を互いに逆向きに流通させることができるように、溝部35を幅広に形成することが好ましい。
【0054】
〔第二実施形態〕
次に、図10を参照して本発明の第二実施形態について説明する。
この実施形態に係るコンデンサモジュールは、図10に示すように、第一実施形態のコンデンサモジュール3と比較して、溝部35の断面形状のみが異なっている。
図10に示すように、この実施形態のコンデンサモジュール3を構成する配線板部32の溝部35は、第一実施形態と同様に、配線板部32の一方の主面32aにおける電解コンデンサ11の搭載領域から搭載領域の外側に延びるように形成され、その長手方向の一端が環状突起部23よりも内側に位置している。
【0055】
そして、この溝部35は、その深さが搭載領域からその外側に向かうにしたがって浅くなるように形成されている。言い換えれば、溝部35の底面35cが、搭載領域S1の内側から外側に向かうにしたがって配線板部32の一方の主面32aに近づくように傾斜する傾斜面となっている。
本実施形態の収容ケースによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の収容ケースによれば、封止工程においては溝部35の傾斜面に沿って溶融樹脂や空気が流れるため、搭載領域S1の外側から溝部35に入り込む溶融樹脂の流速の低下、及び、溝部35から搭載領域S1の外側に排出される空気の流速の低下を抑えることができる。したがって、隙間V1にある空気を短時間で外側に逃がすことができる。
【0056】
〔第三実施形態〕
次に、図11を参照して本発明の第三実施形態について説明する。
この実施形態に係るコンデンサモジュールは、図11に示すように、第一、第二実施形態のコンデンサモジュール3と比較して、溝部35の断面形状のみが異なっている。
図11に示すように、この実施形態のコンデンサモジュール3を構成する配線板部32の溝部35は、電解コンデンサ11の搭載領域S1に重なる領域において、溝部35の深さが搭載領域S1側からその外側に向かうにしたがって深くなるように傾斜する第一傾斜面35dを有している。また、溝部35は、搭載領域S1の外側に位置する領域において、溝部35の深さが搭載領域S1側からその外側に向かうにしたがって浅くなるように傾斜する第二傾斜面35eを有している。そして、これら第一傾斜面35d及び第二傾斜面35eは、搭載領域S1から当該搭載領域S1の外側に向けて延びる溝部35の長手方向に配列されている。
そして、本実施形態では、第一傾斜面35d及び第二傾斜面35eが連なるように配されており、これによって溝部35が断面V字状に形成されている。なお、図示例では、第二傾斜面35eが搭載領域S1に重なる領域まで延びることで、第一傾斜面35dと第二傾斜面35eとの接続部分が、電解コンデンサ11の環状突起部23に重なるように位置しているが、例えば隙間V1に重なるように位置してもよいし、搭載領域S1の外側に位置してもよい。
【0057】
本実施形態の収容ケースによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の収容ケースによれば、第二傾斜面35eによって搭載領域S1の外側と溝部35との間を流れる樹脂や空気の流速の低下を抑えることに加え、第一傾斜面35dによって隙間V1と溝部35との間を流れる樹脂や空気の流速の低下も抑えることができる。したがって、隙間V1にある空気をさらに短時間で外側に逃がすことが可能となる。
なお、上記第三実施形態では、第一傾斜面35d及び第二傾斜面35eが連ねて配されているが、例えば互いに間隔をあけて配されてもよい。この場合、溝部35は断面台形状に形成されることになる。
【0058】
〔第四実施形態〕
次に、図12を参照して本発明の第四実施形態について説明する。
この実施形態に係るコンデンサモジュールは、図12に示すように、第一実施形態のコンデンサモジュール3と比較して、溝部35の平面視形状のみが異なっている。
図12に示すように、この実施形態のコンデンサモジュールを構成する収容ケースの配線板部32には、その一方の主面32aに沿う方向に延びて平面視短冊状に形成された二つの溝部35が形成されており、これら二つの溝部35は互いに直交している。すなわち、二つの溝部35は、平面視十字形状を呈している。そして、各溝部35は、第一実施形態と同様に搭載領域S1の径方向に延びており、その両端部が搭載領域S1の外側に位置している。
なお、図示例では、二つの溝部35が挿通孔34に重なるように形成されているが、例えば挿通孔34に重ならないように形成されても構わない。
【0059】
本実施形態の収容ケースによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の収容ケースによれば、封止工程において例えば溶融樹脂が溝部35の長手方向の一端部から入り込むように設定することで、隙間V1にある空気を溝部35の他端部から外側に効率よく逃がすことが可能となる。
この第四実施形態の構成は、前述した第二、第三実施形態のいずれにも適用することが可能である。
なお、上記第四実施形態では、互いに直交する二つの短冊状の溝部35が形成されているが、例えば一つの短冊状の溝部35のみが形成されてもよい。
【0060】
〔第五実施形態〕
次に、図13,14を参照して本発明の第五実施形態について説明する。
この実施形態に係るコンデンサモジュールは、図13に示すように、第一実施形態のコンデンサモジュール3と比較して、溝部35及び位置決めガイド部36の相対的な位置関係のみが異なっている。
図13に示すように、この実施形態のコンデンサモジュール3を構成する収容ケース13の配線板部32には、第一実施形態と同様に、電解コンデンサ11の搭載領域から搭載領域の外側に延びる溝部35、及び、搭載領域に配される電解コンデンサ11を囲む位置決めガイド部36が形成されている。
【0061】
そして、本実施形態では、位置決めガイド部36が、溝部35の底面35cから突出して一方の主面32aの上方まで延びている。より具体的に説明すれば、位置決めガイド部36は、搭載領域の外側に位置する溝部35の長手方向の端部に配されている。これにより、搭載領域に配されたコンデンサ本体21の外周面と位置決めガイド部36との間には、間隙V2が画成されている。なお、この間隙V2が画成されていても、電解コンデンサ11を筒状部31に収容する際に、位置決めガイド部36によって一方の主面32aの搭載領域上に案内することは十分に可能である。
【0062】
このように位置決めガイド部36が溝部35の底面35cから突出する構成では、例えば図14に示すように、搭載領域S1の周方向に沿う溝部35の周方向長さを位置決めガイド部36の周方向長さよりも長く設定しておくことが好ましい。このように設定しておくことで、封止工程において溶融樹脂を容易に溝部35内に入り込ませることができる。なお、この図14におけるF−F矢視断面図は、図13に示す断面図に相当している。
本実施形態の収容ケースによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態の収容ケースでは、コンデンサ本体21の外周面と位置決めガイド部36との間隙V2が、溝部35の上方に延びるように画成されるため、コンデンサ本体21と配線板部32との隙間V1から溝部35内を通って搭載領域S1の外側に排出された空気が、間隙V2によって筒状部31の他方の開口部31Bに向けて流れるように溝部35の上方に誘導される。したがって、隙間V1にある空気を効率よく収容ケース13の外部に排出することができる。
なお、この第五実施形態の構成は、前述した第二〜第四実施形態のいずれにも適用することが可能である。
【0063】
以上、本発明の第一〜第五実施形態により本発明の詳細ついて説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
すなわち、溝部35は、上述した全ての実施形態の形状や配列に限らず、例えば、電解コンデンサの搭載領域の周縁の周方向に沿う平面視環状に形成されてもよい。
また、収容ケース13の筒状部31は、複数の電解コンデンサ11を筒状部31の長手方向(Z方向)に直交する方向(X方向)に一列に並べて収容する細長い断面形状に形成されることに限らず、複数の電解コンデンサ11をマトリックス状、千鳥状等のように任意に配列することができるように、例えば正多角形や円形など任意の断面形状に形成されていてよい。
【0064】
さらに、収容ケース13の筒状部31は、複数の電解コンデンサ11を収容できるように形成されているが、例えば一つの電解コンデンサ11のみを収容できる形状に形成されていても構わない。なお、この場合には、位置決めガイド部36全体が例えば筒状部31の内周面によって画成されてもよい。
また、配線板部32には位置決めガイド部36が形成されるとしたが、例えば形成されなくてもよい。この構成では、同一の収容ケース13に収容可能な電解コンデンサ11の個数だけではなく、電解コンデンサ11のサイズも任意に設定することができる。したがって、収容ケース13の汎用性をさらに向上させることができる。
【0065】
さらに、配線板部32は、筒状部31と一体に形成されるとしたが、例えば配線板部32の一方の主面32aが収容ケース13内に臨むように、接着剤等によって筒状部31の一方の開口部31A側に接着固定されてもよい。この場合、配線板部32の一方の主面32aの面積は、一方の開口部31Aを閉塞できるように、収容ケース13の一方の開口部31Aの開口面積よりも大きく設定されていればよい。
また、上記構成のコンデンサモジュールを製造する場合には、配線板部32を筒状部31に固定した後に、第一実施形態と同様に筒状部31内に電解コンデンサ11を収容してもよいが、例えば、電解コンデンサ11を配線板部32に搭載した後に、配線板部32を筒状部31の一方の開口部31A側に接着固定してもよい。
【0066】
さらに、電解コンデンサ11のリード電極22と配線板部32の端子板33とは、半田17によって接合されるとしたが、少なくともリード電極22と端子板33とが電気接続されればよく、例えば溶接等の他の手法によって接合されてもよい。
また、封止樹脂15は、電解コンデンサ11全体を封止するとしたが、少なくとも配線板部32の一方の主面32aを封止して、電解コンデンサ11を収容ケース13に固定していればよい。すなわち、封止樹脂15は、例えば防爆弁を含む電解コンデンサ11の他端面21bを覆わず、電解コンデンサ11の一端面21a側のみを封止していてもよい。このような構成であっても、水分等による電解コンデンサ11の電気的な短絡や、収容ケース13に対する電解コンデンサ11の振動を防止することができる。
さらに、封止樹脂15によって防爆弁を覆わない場合には、例えば収容ケース13の他方の開口部31Bを閉塞する蓋部材を設けてもよく、これによって、防爆弁を含む電解コンデンサ11全体の保護を図ることが可能となる。
【0067】
そして、全ての実施形態においては、電解コンデンサ11を備えるコンデンサモジュール3について説明したが、本発明の電子部品モジュールは、少なくとも本体ユニット5の電子回路に必要な任意の電子部品を備える構成に適用することが可能である。すなわち、収容ケース13には、電解コンデンサ11に限らず、例えばベアチップ等の他の電子部品が収容されていてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 電子機器
3 コンデンサモジュール(電子部品モジュール)
5 本体ユニット
7 配線基板
11 電解コンデンサ(電子部品)
21 コンデンサ本体(本体部)
21a 一端面(平坦面)
22 リード電極(電極)
23 環状突起部
13 収容ケース
31 筒状部
31A 一方の開口部
31B 他方の開口部
32 配線板部
32a 一方の主面
32b 他方の主面
33 端子板(電気配線)
33A 一端部(外部延出部)
35,35A,35B 溝部
35d 第一傾斜面
35e 第二傾斜面
36 位置決めガイド部
15 封止樹脂
S1 搭載領域
V1 隙間
V2 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の外面に電極を設けた構成の電子部品を収容した状態で、電子回路を内蔵した本体ユニットに固定すると共に、前記電子部品を前記電子回路に電気接続するための収容ケースであって、
両端に開口部を有すると共に一つ以上の前記電子部品を収容可能な筒状部と、当該筒状部の一方の開口部を閉塞する板状に形成されると共に、前記筒状部に収容された前記電子部品の前記電極を前記電子回路に電気接続するための電気配線を有する配線板部と、を備え、
前記筒状部の内部に面する前記配線板部の一方の主面には、前記電子部品を搭載する搭載領域が形成され、
前記配線板部には、前記一方の主面から窪む溝部が前記搭載領域から当該搭載領域の外側まで延びるように形成されていることを特徴とする収容ケース。
【請求項2】
前記溝部が、前記搭載領域の周縁の周方向に間隔をあけて複数配列されていることを特徴とする請求項1に記載の収容ケース。
【請求項3】
前記一方の主面に沿う方向に延びる前記溝部の長手方向の両端部が、前記搭載領域の外側に位置することを特徴とする請求項1に記載の収容ケース。
【請求項4】
前記溝部は、少なくとも前記搭載領域に重なる領域において前記溝部の深さが前記搭載領域側からその外側に向かうにしたがって深くなるように傾斜する第一傾斜面、及び、少なくとも前記搭載領域の外側に位置する領域において前記溝部の深さが前記搭載領域側からその外側に向かうにしたがって浅くなるように傾斜する第二傾斜面を有し、
前記第一傾斜面及び前記第二傾斜面が、前記搭載領域から当該搭載領域の外側まで延びる前記溝部の長手方向に配列されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項5】
前記溝部の深さが、前記搭載領域からその外側に向かうにしたがって浅くなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項6】
前記配線板部のうち前記搭載領域の外側には、前記搭載領域に配される前記電子部品を囲むように前記一方の主面から上方に突出する位置決めガイド部が一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項7】
前記位置決めガイド部が、前記筒状部によって画成されていることを特徴とする請求項6に記載の収容ケース。
【請求項8】
複数の前記位置決めガイド部が、前記搭載領域の周縁の周方向に互いに間隔をあけて配列されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の収容ケース。
【請求項9】
前記位置決めガイド部が、前記溝部の底面から突出し、
前記電子部品を前記搭載領域に配した状態において、前記電子部品と前記位置決めガイド部との間に間隙が画成されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項10】
前記筒状部と前記配線板部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項11】
前記配線板部の他方の主面から突出して延びる前記電気配線の外部延出部の先端部分が、当該外部延出部の基端部分に対して屈曲されて、前記他方の主面に平行するように延びていることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の収容ケース。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の収容ケースの前記筒状部に、本体部の外面に電極を設けて構成される電子部品が収容された状態で、前記本体部が前記配線板部の搭載領域に載置されると共に、前記電極と前記電気配線とが電気接続され、
さらに、前記配線板部の一方の主面、及び、前記電極と前記電気配線との電気接続部分が、前記筒状部内に充填された樹脂によって封止されていることを特徴とする電子部品モジュール。
【請求項13】
前記電極が、前記本体部の平坦面から突出するように形成されると共に、前記本体部が、前記平坦面の周縁から突出する環状突起部を有し、
前記溝部が、平面視で前記環状突起部よりも前記搭載領域の内側に延びていることを特徴とする請求項12に記載の電子部品モジュール。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載の電子部品モジュールと、当該電子部品モジュールを固定し、前記配線板部の電気配線に電気接続される電子回路を内蔵する本体ユニットとを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−151223(P2012−151223A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7808(P2011−7808)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002037)新電元工業株式会社 (776)
【Fターム(参考)】