説明

収容袋

【課題】ガスの放出機能と外気の流入阻止機能という逆止弁効果を奏する構造簡単な収容袋を、安価に提供すること。
【解決手段】少なくとも一面に熱溶着性を有するシート又はフィルムを積層した袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士を重合状態とし、その重合部を非シール部5としての一部を除いてヒートシールすることで筒状の筒状体6となすとともに、筒状体6の終端縁部同士をヒートシールして有底筒状の収容袋1となし、非シール部5としての側端縁部同士の一部は、筒状体6の内部と外部を連通する通気路8となして、通気路8が位置する個所に、少なくとも通気性を有するシート状フィルタ片9を筒状体6の内部から接着して、内部に発生したガスがシート状フィルタ片9を介して通気路8から外部へ排出されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー豆等のガスを発生する収容物を収容するのに好適な収容袋であって、収容物から発生したガスを外部に放出するガス抜き機能を有する収容袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コーヒー豆等のガスを発生する収容物を収容する収容袋として、特許文献1に開示されているものがある。すなわち、かかる特許文献1には、非通気性・耐湿性を有するラミネートフィルムで形成された袋本体に、一又は複数の小孔を設け、該小孔の位置する箇所に、袋本体の内部から不織布被覆テープを袋の縦方向に連続して設けたコーヒー豆等用袋が開示されている。
【0003】
このように構成して、袋内にコーヒー豆等を収容した場合に、コーヒー豆等から炭酸ガスが発生しても、炭酸ガスを小孔を通して放出させることできるようにしている。そうすることで、袋が炭酸ガスの圧力で破れるのを回避(いわゆる破袋回避)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3074985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記した特許文献1の袋では、小孔の部分に不織布被覆テープが露出しており、通気性が良すぎて気密性が保てないという不具合がある。そのため、コーヒー豆の味や香りが外部に放出され一方、外部から小孔を通して空気が流入して、空気中の酸素によりコーヒー豆が酸化されて鮮度が低下し、商品価値がなくなるという事態が発生することがある。また、袋の載置の仕方によっては小孔が塞がれて炭酸ガスの放出機能が阻害されることがある。
【0006】
そこで、本発明は、収容袋の破袋を回避することができる程度のガスの放出は許容するものの、外気は流入し難くしたガス抜き機能を有する収容袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明に係る収容袋は、少なくとも一面に熱溶着性を有するシート又はフィルムを積層した袋形成基材の側端縁部同士を重合状態とし、その重合部を非シール部としての一部を除いてヒートシールすることで筒状の筒状体となすとともに、筒状体の終端縁部同士をヒートシールして有底筒状の収容袋となし、非シール部としての側端縁部同士の一部は、筒状体の内部と外部を連通する通気路となして、通気路が位置する個所に、少なくとも通気性を有するシート状フィルタ片を筒状体の内部から接着して、内部に発生したガスがシート状フィルタ片を介して通気路から外部へ排出されるようにしたことを特徴とする。
【0008】
かかる収容袋にコーヒー豆のように炭酸ガスを発生する収容物を収容して封をした場合には、コーヒー豆等から発生した炭酸ガスにより収容袋の内圧が増大されて、閉塞状態の通気路が開口状態となる。そのため、収容袋内の炭酸ガスはシート状フィルタ片を介して通気路から外部へ排出される。その後、炭酸ガスが放出されて収容袋の内圧と外気圧とが釣り合うと、通気路は閉塞状態となって、収容袋内部の気体の排出は停止される。
【0009】
その結果、通気路が開口する程度に収容袋内の収容物から発生したガスの圧力(ガス圧)が増大した場合には、ガスを排出することができるため、増大したガス圧による破袋を回避することができる。また、通気路が開口する程度にガス圧が増大しなければ、収容袋内の気密性を確保することができるため、収容物の味や香りが放出されるのを抑制することができる。そして、外気が収容袋内に流入するのを抑制することができるため、空気中の酸素によりコーヒー豆が酸化されて鮮度が低下し、商品価値がなくなるという事態の発生を回避することができる。
【0010】
請求項2記載の発明に係る収容袋は、請求項1記載の発明に係る収容袋であって、ヒートシールする工具としての押圧体の下面に非シール部形成用凹部を形成して、押圧体の下面を側端縁部同士の重合部に面接触させて押圧しながらヒートシールすることで、非シール部形成用凹部と対向する重合部の部分に非シール部を形成したことを特徴とする。
【0011】
かかる収容袋は、その製袋工程において、袋形成基材の側端縁部同士を重合状態にヒートシールする押圧体の下面に非シール部形成用凹部を形成しているため、袋形成基材の側端縁部同士の重合部にシール部と通気路をなす非シール部を同時に形成することができて、製袋効率を良好に確保することができる。
【0012】
請求項3記載の発明に係る収容袋は、請求項1記載の発明に係る収容袋であって、ヒートシールする工具としての第1押圧体の下面に、筒状体の幅方向に伸延する横方向溝を形成するとともに、ヒートシールする工具としての第2押圧体の下面に、筒状体の縦方向に伸延する縦方向溝を形成して、第1押圧体と第2押圧体の下面を側端縁部同士の重合部に順次面接触させて押圧しながらヒートシールすることで、横方向溝と縦方向溝の交差部と対向する重合部の部分に非シール部を形成したことを特徴とする。
【0013】
かかる収容袋は、その製袋工程において、袋形成基材が搬送流路から幅方向に位置ずれした場合にも、第1押圧体と第2押圧体とを協働させて重合部における非シール部の形成を良好に確保することができるため、重合部に通気路を堅実に形成することができる。
【0014】
請求項4記載の発明に係る収容袋は、請求項1〜3のいずれか1項記載の収容袋であって、シート状フィルタ片は、袋形成基材の側端縁部同士の重合幅よりも広幅で筒状体の縦方向に伸延する帯状に形成し、筒状体の内部にシート状フィルタ片を配置して、袋形成基材の側端縁部同士がヒートシールされると同時にシート状フィルタ片の非シール部と対向する部分以外も筒状体にヒートシールされることを特徴とする。
【0015】
かかる収容袋は、その製袋工程において、袋形成基材の側端縁部同士がヒートシールされると同時にシート状フィルタ片の非シール部と対向する部分以外も筒状体にヒートシールされるようにしているため、製袋効率を良好に確保したままシート状フィルタ片を堅実に配設することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は次のような効果を奏する。すなわち、本発明によれば、ガスの放出機能と外気の流入阻止機能という逆止弁効果を奏する構造簡単な収容袋を、安価に提供することができる。つまり、本発明では、増大したガス圧による破袋の回避効果と、収容物の味や香りの放出抑制効果、及び、外気の収容袋内への流入抑制効果(酸化防止効果)を生起される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る収容袋の一部切欠斜視説明図。
【図2】図1のI-I線断面斜視説明図。
【図3】非シール部の説明図。
【図4】製袋機の一部斜視説明図。
【図5】非シール部の成形説明図。
【図6】製袋工程ブロック図。
【図7】第1他実施形態における第1押圧体の押圧体本片の側面図(a)と、押圧体本片の端面説明図(b)と、ヒートシール説明図(c)。
【図8】第2押圧体の押圧体本片の側面図(a)と、押圧体本片の端面説明図(b)と、ヒートシール説明図(c)。
【図9】第2他実施形態における押圧体の押圧体本片の側面図(a)と、押圧体本片の端面説明図(b)と、ヒートシール説明図(c)。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示す1は本発明に係る収容袋であり、本実施形態では収容袋1をガセット(ひだ)付きの封筒貼り袋となすとともに、煎りたてのコーヒー豆等のようにガスを発生する収容物を収容した場合にも、発生したガスを外部に放出するガス抜き機能を有する袋となしている。そして、収容袋1は、図1〜3に示すように、袋形成基材本体3aの内面に熱溶着性フィルム3bを積層して形成した帯状の袋形成基材3により形成している。
【0020】
すなわち、収容袋1を製造する際には、まず、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士を重合させて、その重合部分を非シール部5としての一部を除いてヒートシールしてシール部10を形成することで、背貼り部(重合部)4を形成して筒状の筒状体6となす。そして、筒状体6の左右両側縁部にガセット部2,2を折り込み形成して、筒状体6の終端縁部同士をヒートシールして底部7を形成することで有底筒状の収容袋1となしている。
【0021】
非シール部5としての側端縁部6a,6b同士の一部は、筒状体6の内部と外部を連通する通気路8となしている。通気路8が位置する個所には、少なくとも通気性を有するシート状フィルタ片9を筒状体6の内部から接着して、収容袋1の内部において収容物から発生したガス(二酸化炭素等)がシート状フィルタ片9を介して通気路8から外部へ排出されるようにしている。aはガスの排出方向である。
【0022】
ここで、袋形成基材本体3aは、非通気性・耐湿性を有する合成樹脂フィルム等をラミネートしてフィルムとしたものであり、紙素材シートに光沢・遮光性・バリア性を有するアルミ蒸着フィルムをラミネートしたフィルムである。そして、紙素材シートを収容袋1の外面側とし、アルミ蒸着フィルムを収容袋1の内面側にして使用している。また、熱溶着性フィルム3bとしては、融点が117〜127℃の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用している。熱溶着性フィルム3bは、熱溶着性を有するものであれば、シートであってもよい。シート状フィルタ片9としては、通気性・透湿性・バクテリアバリア性を有する不織布をテープ状に形成して使用している。
【0023】
図3において、W1は背貼り部(重合部)4の左右幅(重合幅)であり、W2は円形に形成した非シール部5の直径であり、W3はテープ状(細幅帯状)に形成したシート状フィルタ片9の左右幅である。そして、背貼り部(重合部)4の左右幅(重合幅)W1<非シール部5の直径W2<シート状フィルタ片9の左右幅W3の関係を満足するように、各幅を設定して通気路8を確保している。このような関係を保持することで、収容袋1の正面視において、非シール部5が背貼り部(重合部)4上に形成されるとともに、非シール部5の一部を形成するシート状フィルタ片9の左右側部(円弧状部)が背貼り部(重合部)4の左右外側方にはみ出し状に位置して、非シール部5以外を形成するシート状フィルタ片9の残余部はヒートシールされてシール部10の一部を形成するようにしている。
【0024】
上記のように構成した収容袋1にコーヒー豆のように炭酸ガスを発生する収容物を収容して封をした場合には、コーヒー豆から発生した炭酸ガスにより収容袋の内圧が増大されて、閉塞状態の通気路8が開口状態となる。そのため、収容袋1内の炭酸ガスはシート状フィルタ片9を介して(透過して)通気路8から外部へ排出される。その後、炭酸ガスが放出されて収容袋1の内気圧と外気圧とが釣り合うと、通気路8は閉塞状態となって、収容袋1内部の気体の排出は停止される。
【0025】
その結果、通気路8が開口する程度に収容袋1内の収容物から発生したガスの圧力(ガス圧)が増大した場合には、ガスを排出することができるため、増大したガス圧による破袋を回避することができる。また、通気路8が開口する程度にガス圧が増大しなければ、収容袋1内の気密性を確保することができるため、収容物の味や香りが放出されるのを抑制することができる。そして、外気が収容袋1内に流入するのを抑制することができるため、空気中の酸素によりコーヒー豆が酸化されて鮮度が低下し、商品価値がなくなるという不具合の発生を回避することができる。
【0026】
しかも、上記のように構成した収容袋1は、後述する製袋工程を有する製袋機20により袋形成基材3を折り込んで連続的かつ自動的に製造するようにしている。そして、製袋機20は、図4及び図5に示すように、ヒートシールする工具としての押圧体40を備えている。押圧体40は、収容袋1の縦幅よりもやや長目で、シート状フィルタ片9の左右幅W3よりもやや幅広の四角形棒状に形成した押圧体本片41と、押圧体本片41よりも広幅で縦長四角形板状の支持片42とから形成している。押圧体本片41の下面には、一定の間隔を開けて二つの非シール部形成用凹部43を形成しており、非シール部形成用凹部43は、底面視円形の円柱凹状に形成している。なお、非シール部形成用凹部43の個数や形状は、本実施形態のものに限定されるものではない。つまり、個数は1個以上の適宜数であれば良く、また、形状は底面視で左右幅方向に伸延する楕円形や四角形ないしはそれ以上の多角形であっても良い。
【0027】
そして、押圧体本片41の下面を平坦押圧面41aとなして、側端縁部6a,6b同士を重合させて背貼り部(重合部)4を形成する位置に平坦押圧面41aを面接触させて、押圧しながらヒートシールすることで、シール部10である背貼り部(重合部)4を形成するとともに、非シール部形成用凹部43と対向する背貼り部(重合部)4の位置に部分的に非シール部5を形成するようにしている。
【0028】
シート状フィルタ片9は、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士の重合幅W1よりも広幅の左右幅W3となして、筒状体6の縦方向に伸延する帯状に形成しており、筒状体6の内部において背貼り部(重合部)4に重合状態に整合させて配置している。そうすることで、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士がヒートシールされて背貼り部(重合部)4が形成されると同時に、シート状フィルタ片9の非シール部5と対向する部分以外(残余部分)が背貼り部(重合部)4にヒートシールされるようにしている。
【0029】
上記のように構成した収容袋1は、その製袋工程において、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士を重合状態にヒートシールする押圧体40の下面に非シール部形成用凹部43を形成しているため、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士をヒートシールしてシール部10である背貼り部(重合部)4を形成すると同時に、背貼り部(重合部)4の部分に通気路8をなす非シール部5を形成することができて、製袋効率を良好に確保することができる。
【0030】
この際、収容袋1は、その製袋工程において、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士がヒートシールされると同時にシート状フィルタ片9の非シール部5と対向する部分以外も筒状体6にヒートシールされるようにしているため、製袋効率を良好に確保したままシート状フィルタ片9を堅実に配設することができる。
【0031】
次に、製袋機20について、図6を参照しながら説明する。製袋機20は、図6に示すように、袋形成基材3を繰り出し供給する袋形成基材供給工程22と、袋形成基材3を筒状に折り込む折り込み工程23と、筒状に折り込まれた袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士をヒートシールして筒状体6となす筒状体形成工程24と、筒状体6の左右両側縁部にガセット部2,2を折り込み形成するガセット部形成工程25と、筒状体6の終端縁部同士をヒートシールして底部7を形成する底部形成工程26と、底部7の外縁部を切断して収容袋1となす収容袋形成工程27と、収容袋1を集積する収容袋集積工程28とから成る製袋工程21を有して、袋形成基材3から収容袋1を連続的かつ自動的に製造可能としている。
【0032】
筒状体形成工程24では、図4及び図5に示すように、押圧加熱手段30により、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士を溶着させて背貼り部(重合部)4を形成することで、袋形成基材3を筒状体6となすとともに、側端縁部6a,6b同士の重合部に通気路8をなす非シール部5とシール部10を同時に形成するようにしている。
【0033】
押圧加熱手段30は、袋形成基材3を水平方向に搬送する搬送ベルト手段31の中途部を跨ぐように配設している。すなわち、押圧加熱手段30は、搬送ベルト手段31の左右側方に配置した左右一対の昇降機構部32,32と、両昇降機構部32,32間に架設状に設けた横架支持材33とを前後に間隔を開けて二組配置している。そして、横架支持材33,33は、左右方向に伸延させて形成するとともに、前後方向に平行させて配置して、両横架支持材33,33の中央部間に前後方向に伸延する架設支持材34を架設している。架設支持材34の下面には押圧体40を取り付けている。
【0034】
このように構成して、左右一対の昇降機構部32,32により押圧体40を昇降させることで、搬送ベルト手段31の上面に載置されて搬送される袋形成基材3に対して押圧体40を進退自在となしている。そして、押圧体40はヒートシールする工具であるヒートシールバーとして機能させている。また、押圧体40が袋形成基材3に対して進出動作する際には、一旦、搬送ベルト手段31の搬送動作を停止させ、押圧体40によるヒートシールが終了して、押圧体40が袋形成基材3に対して後退動作する際に搬送動作を採るように、搬送ベルト手段31は間欠作動させている。少なくとも、押圧体40が袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士をヒートシールして背貼り部(重合部)4を形成する瞬間は、搬送ベルト手段31を停止させて、シール部形成位置にズレが生じるのを防止している。
【0035】
ここで、ヒートシールには、外側から熱を加えて接合する外部加熱法と、エネルギー波を照射して接合する内部発熱法とがあり、本実施形態では外部加熱法を採用している。つまり、押圧体40をアイロンのような加熱した金属体となして、押圧体40を袋形成基材3の外部から押し当てることで、伝導した熱が袋形成基材3の熱溶着性フィルム3bを溶融させて接着する。本実施形態では、熱溶着性フィルム3bとして、融点が117〜127℃の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を使用しており、押圧体40は200℃に加熱することで、押圧体40を瞬間的に押圧して熱溶着性フィルム3bを溶融させるとともに、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士を接着することができるようにしている。
【0036】
なお、押圧体40の形状は、本実施形態のものに限らず、ローラー状となすこともできる。また、内部発熱法は、高周波の電波や超音波によってフィルムに熱を発生させて接合する手法であり、熱伝道性が悪い比較的厚めのフィルムに対して有効である。
【0037】
図4及び図5中、50は筒状体形成工程24に配設された折り込み規制兼断熱体であり、折り込み規制兼断熱体50は、断熱性のシリコンゴム素材により左右細幅で縦(前後)方向に伸延する細長四角形の薄肉板状に形成している。そして、折り込み規制兼断熱体50は、筒状に折り込まれる袋形成基材3の直上方に配置されて、折り込み規制兼断熱体50の左右側縁部に沿って袋形成基材3が筒状に折り込まれることで、筒状体の左右幅を規制することができるようにしている。
【0038】
しかも、断熱性のシリコンゴム素材からなる折り込み規制兼断熱体50を、筒状体6の背側であるシート状フィルタ片9と、筒状体6の腹側との間に配設することで、側端縁部6a,6bに加えられた熱が筒状体6の腹側に伝達される(背側と腹側が熱溶着される)のを阻止している。さらには、折り込み規制兼断熱体50が押圧体40を介して加えられる圧力を吸収して、筒状体6の腹側が変形されるのを回避している。その結果、収容袋1の商品価値を良好に確保することができる。51は折り込み規制兼断熱体50を支持する支持部材であり、支持部材51は搬送ベルト手段31の上方から垂設して、その下端に折り込み規制兼断熱体50の基端部(後端部)を取り付けている。
【0039】
図4及中、60はシート状フィルタ片9を繰り出すフィルタ片繰り出しリールであり、フィルタ片繰り出しリール60に巻回しているテープ状(細幅帯状)のシート状フィルタ片9の先端を筒状体6の背貼り部(重合部)4に取り付けて、後続の、袋形成基材3の側端縁部6a,6b同士がヒートシールされて背貼り部(重合部)4が形成されると同時にフィルタ片繰り出しリール60からシート状フィルタ片9が順次繰り出されて、シート状フィルタ片9が背貼り部(重合部)4に溶着されるようにしている。61はシート状フィルタ片9をガイドするフィルタ片ガイドローラである。
【0040】
図4中、70,71は袋形成基材3を搬送ガイドする第1・第2搬送ガイドローラである。72は袋形成基材3を折り込みガイドする左右一対の折り込みガイドローラである。
【0041】
次に、ヒートシールする工具としての押圧体の第1他実施形態について説明する。すなわち、第1他実施形態としては、図7及び図8に示すように、ヒートシールする工具を第1押圧体80と第2押圧体81に二分割構成している。第1押圧体80と第2押圧体81は、押圧体40と基本的構造を同じくしているが、各押圧体本片82,83の下面の形状が異なる。
【0042】
すなわち、第1押圧体80の押圧体本片82は、図7(a)(b)に示すように、収容袋1の縦幅よりもやや長目で、シート状フィルタ片9の左右幅W3よりもやや幅広の四角形棒状に形成している。押圧体本片82の下面には、非シール部5を形成する位置に所定の前後幅W4を有して、筒状体6の幅方向に伸延する横方向溝84を形成している。つまり、横方向溝84は下方と左右側方が開口している。
【0043】
このように構成して、第1押圧体80によりヒートシールすると、図7(c)に示すように、横方向溝84の前後幅と同一の非シール部5が形成されるとともに、非シール部5の前後位置にシール部10が形成されるようにしている。
【0044】
第2押圧体81の押圧体本片83は、図8(a)(b)に示すように、収容袋1の縦幅よりもやや長目で、シート状フィルタ片9の左右幅W3の略三分の一幅の四角形棒状に形成している。そして、押圧体本片83は、左右に一定の間隔W5を開けて平行状態に一対配置している。
【0045】
このように構成して、第1押圧体80によりヒートシールした直後に、第2押圧体81によりヒートシールすると、図8(c)に示すように、非シール部5の左右側位置に左右幅が間隔W5と同一のシール部10が形成されるようにしている。
【0046】
このように、第1押圧体80と第2押圧体81で順次二段階にシール部10と非シール部5を形成することで、背貼り部(重合部)4が形成される外側方位置にて堅実にシート状フィルタ片9をヒートシールすることができる。つまり、その製袋工程において、袋形成基材3が搬送流路から幅方向に位置ずれした場合にも、第1押圧体80でヒートシールすることでシート状フィルタ片9の前後位置を位置決めすることができる。そして、その後に第2押圧体81で背貼り部(重合部)4が形成される外側方位置をヒートシールするように協働させることができる。そのため、背貼り部(重合部)4における非シール部5の形成を良好に確保することができて、背貼り部(重合部)4に通気路8を堅実に形成することができる。
【0047】
図9は、ヒートシールする工具としての押圧体の第2他実施形態を示しており、押圧体90の押圧体本片91は、図9(a)(b)に示すように、収容袋1の縦幅よりもやや長目で、シート状フィルタ片9の左右幅W3よりもやや幅広の四角形棒状に形成している。押圧体本片82の下面には、非シール部5を形成する位置に所定の前後幅W6を有して、筒状体6の幅方向に伸延する横方向溝92を形成している。つまり、横方向溝92は下方と左右側方が開口している。ここで、前後幅W6は細幅、例えば、5mmに形成する。
【0048】
このように構成して、押圧体90によりヒートシールすると、図9(c)に示すように、横方向溝92の前後幅と同一の非シール部5が形成されるとともに、非シール部5の前後位置にシール部10が形成されるようにしている。
【0049】
したがって、製袋工程において、袋形成基材3が搬送流路から幅方向に位置ずれした場合にも、押圧体90でヒートシールすることでシート状フィルタ片9の前後位置を細幅の前後幅W6で位置決めすることができるとともに、押圧体90の左右幅と同一幅の非シール部5を形成することができる。その結果、背貼り部(重合部)4における非シール部5の形成を良好に確保することができて、背貼り部(重合部)4に通気路8を堅実に形成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 収容袋
2 ガセット部
3 袋形成基材
3a 袋形成基材本体
3b 熱溶着性フィルム
4 背貼り部(重合部)
5 非シール部
6 筒状体
6a 側端縁部
6b 側端縁部
7 底部
8 通気路
9 シート状フィルタ片
10 シール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一面に熱溶着性を有するシート又はフィルムを積層した袋形成基材の側端縁部同士を重合状態とし、その重合部を非シール部としての一部を除いてヒートシールすることで筒状の筒状体となすとともに、筒状体の終端縁部同士をヒートシールして有底筒状の収容袋となし、
非シール部としての側端縁部同士の一部は、筒状体の内部と外部を連通する通気路となして、通気路が位置する個所に、少なくとも通気性を有するシート状フィルタ片を筒状体の内部から接着して、内部に発生したガスがシート状フィルタ片を介して通気路から外部へ排出されるようにしたことを特徴とする収容袋。
【請求項2】
ヒートシールする工具としての押圧体の下面に非シール部形成用凹部を形成して、押圧体の下面を側端縁部同士の重合部に面接触させて押圧しながらヒートシールすることで、非シール部形成用凹部と対向する重合部の部分に非シール部を形成したことを特徴とする請求項1記載の収容袋。
【請求項3】
ヒートシールする工具としての第1押圧体の下面に、筒状体の幅方向に伸延する横方向溝を形成するとともに、ヒートシールする工具としての第2押圧体の下面に、筒状体の縦方向に伸延する縦方向溝を形成して、
第1押圧体と第2押圧体の下面を側端縁部同士の重合部に順次面接触させて押圧しながらヒートシールすることで、横方向溝と縦方向溝の交差部と対向する重合部の部分に非シール部を形成したことを特徴とする請求項1記載の収容袋。
【請求項4】
シート状フィルタ片は、袋形成基材の側端縁部同士の重合幅よりも広幅で筒状体の縦方向に伸延する帯状に形成し、筒状体の内部にシート状フィルタ片を配置して、袋形成基材の側端縁部同士がヒートシールされると同時にシート状フィルタ片の非シール部と対向する部分以外も筒状体にヒートシールされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の収容袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136232(P2012−136232A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288433(P2010−288433)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(592015983)株式会社平野屋物産 (4)
【Fターム(参考)】