説明

取付クリップ及び取付クリップを用いた締め付け方法

【課題】取り付け及び取り外しが容易であり、小型化し易い取付クリップを提供する。
【解決手段】取付クリップ1は、ねじりコイルばね11、12と、ねじりコイルばね11、12を支持する支持部材13と、を備える。支持部材13は、フック部134と、回転軸及びフックとなる回転軸フック部133と、が設けられた側面部13aを有し、第1腕部112、122は支持部材13の保持部131、132に保持される固定部112a、122aを有し、第2腕部113、123は支持部材13の被摺動面20aを摺動する摺動部113a、123aを有し、コイル部111、121と被摺動面20aとの間には、摺動部113a、123aを摺動させてねじりコイルばね11、12が弾性変形を行うための空間が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの開口部に挿入して使用されるフランジ部付きの取付具を、パネルに固定するのに好適な取付クリップに関する。また、本発明は、そのような目的で使用される取付クリップを用いた締め付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば制御装置、ディスプレイ装置、プログラマブル表示器等の電気的又は電子的な取付具が、例えば制御盤等のパネルに形成される開口部に嵌め込まれて使用されることがある。図13は、プログラマブル表示器が制御盤の正面パネルの開口部に挿入されて固定された状態の一例を示す概略平面図である。図14は、プログラマブル表示器と制御盤の正面パネルとの関係を示す図で、図13のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図である。
【0003】
プログラマブル表示器100はその外形が略直方体形状に設けられ、表示部101が外側から見えるように、制御盤200の正面パネル201に設けられる平面視略矩形状の開口部202(図13の破線で囲まれる部分が該当する)に嵌め込まれている。プログラマブル表示器100の表示部101側(正面側)には、図14に示すように、額縁状のフランジ部102が設けられている。このフランジ部102は、正面パネル201の正面側からプログラマブル表示器100を開口部202に挿入した場合に、開口部202内に入り込むことなく、正面パネル201の外側で停止するように設けられている。すなわち、このフランジ部102は、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202に挿入する際にストッパーとして機能する。
【0004】
なお、フランジ部102の裏面側にはシール部材を嵌め込むための溝102aが額縁状に形成されている。この溝102aにシール部材を嵌め込んだ状態とし、フランジ部102を正面パネル201に対して締め付けて固定すると、制御盤200内部に、埃、水、油、薬品等が進入するのを防ぐことができる。
【0005】
プログラマブル表示器100の制御盤200内部側に入り込んだ外枠103(図14参照)には、複数の開口103aが形成されている。この開口103aは、プログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に締め付けて固定する際に使用される。従来、この開口103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する方式としては、例えば取付金具とねじとを用いる方式(ねじ方式)がある。図15は、プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する場合の一例を説明するための図である。なお、図15は、図14のY−Y位置における断面に相当する。ただし、図14では取付金具とねじは省略されている。
【0006】
取付金具300は大きくは断面視略L字状に設けられ、この略L字状部分からフック部301が突出した形状になっている。このフック部301を上述した開口103a内に挿入して、プログラマブル表示器100の外枠103に引っ掛けて、取付金具300のねじ穴302にねじ400をねじ込んで、ねじ400の先端を正面パネル201(より正確には正面パネル201の裏面)に押し付ける。これにより、プログラマブル表示器100のフランジ部102が正面パネル201に締め付けられる。この取付金具300とねじ400を用いた固定を複数箇所(例えば四隅等)で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【0007】
上記開口103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する他の方式として、特許文献1に開示される同面取付具用締め付け装置を用いる方式(圧縮コイルばね方式)がある。この圧縮コイルばね方式では、締め付け装置に設けられるフックを取付具の側面に設けられたスロットに挿入して取付具の側面に引っ掛けて、圧縮コイルばねの弾性力を利用して取付具のエッジをパネルに締め付ける。ねじ方式の場合と同様に、この締め付け装置を用いた固定を複数箇所で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3833270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したねじ方式及び圧縮コイルばね方式は次のような問題点を有する。まず、ねじ方式においては、取付金具をセットしてねじ締めを行う必要があり、作業が煩わしい。また、ねじ締めにあたっては締付トルクの管理を行うのが好ましく、この場合、更に作業が煩わしくなる。更に、ねじ方式では、図15に示すように、ねじ400を締め付ける位置がフック部301から離れた位置にあるために、回転モーメントが作用して取付金具300が傾き易く、ねじの締め付けが行ない難いといった問題もある。
【0010】
なお、回転モーメントの影響を抑制するために、例えば取付金具300のねじの締め付け方向と平行な方向の長さを長くして、プログラマブル表示器100の一部との接触を利用して取付金具300の回転を阻止する方法もある。しかしながら、このような方法は、プログラマブル表示器100を薄型化する場合には使用できない。近年、プログラマブル表示器100の薄型化の要請が強く、薄型化に対応し易い他の方式が望まれる。
【0011】
また、特許文献1に開示される圧縮コイルばね方式を用いた締め付け装置は、そのサイズが大きくなってしまう傾向があり、薄型化に対応し難いといった問題がある。この締め付け装置が大きくなる理由は、例えば次のような理由による。すなわち、プログラマブル表示器100が取り付けられる正面パネル201の厚みは様々である。このため、様々な厚みの正面パネル201に対応しようとする(厚みによらず、一定の範囲内の加圧力が加えられるようにしようとする)と、圧縮コイルばねのばね定数を大きくする必要が生じる。その結果、ばねのサイズ(ばねの自由長)を大きくする必要があり、締め付け装置も大きくなってしまう。また、この締め付け装置では、ばねの非常に強い力に抗してシェルを所定位置までずらす必要があり、取り外し作業が行ない難いといった問題もある。
【0012】
以上の点に鑑みて、本発明の目的は、取り付け及び取り外しが容易であると共に小型化し易い取付クリップを提供することである。また、本発明の他の目的は、パネルの開口部に挿入して使用される取付具のフランジ部を、取付クリップを用いて容易にパネルに締め付ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の取付クリップは、金属線が略螺旋状に巻回されてなるコイル部と、前記コイル部の一端から延出する第1腕部と、前記コイル部の他端から延出する第2腕部と、を有するねじりコイルばねと、前記ねじりコイルばねを支持する支持部材と、を備える取付クリップであって、前記支持部材は、前記ねじりコイルばねが弾性変形した状態を維持するために他部材に引っ掛けられるフック部と、前記他部材に引っ掛けられると共に回転軸となる回転軸フック部と、が第1の方向に並んだ側面部を有し、前記ねじりコイルばねは、コイル軸方向が前記側面部に対して略直交するように前記支持部材に配置され、前記ねじりコイルばねを前記コイル軸方向に沿って見た場合に、前記第1腕部と前記第2腕部とは、前記コイル部から互いに反対方向に突出しており、前記第1腕部は、前記支持部材の保持部に保持される固定部を有し、前記第2腕部は、前記支持部材の被摺動面を摺動する摺動部を有し、前記コイル部は、前記コイル部と前記被摺動面との間に空間が形成されるように、前記第1腕部と前記第2腕部とに支持されており、前記回転軸フック部の前記側面部に対して略直交する方向に突出する回転軸部を中心とした回転を行うことによって、前記コイル部の前記コイル軸方向に沿った側面に前記被摺動面方向へと押す力が加わった場合に、前記ねじりコイルばねは前記摺動部を摺動しながら弾性変形することを特徴としている。
【0014】
本構成の取付クリップは、例えばプログラマブル表示器等の取付具に回転軸フック部を引っ掛けて、この回転軸フック部の回転軸部を中心に支持部材を回転してねじりコイルばねを直接或いは間接的にパネルに押し付け、フック部を取付具に引っ掛けて固定するといった使い方ができる。すなわち、本構成の取付クリップによれば、ねじりコイルばねの弾性力を利用して取付具をパネルに固定することが可能となる。このため、本構成の取付クリップを用いれば、上述した煩わしいねじ締め作業を不要とできる。また、本構成の取付クリップは、回転軸フック部の回転軸部を中心に支持部材を回転してねじりコイルばねの加圧力を得る構成であるために、てこの作用によって取付クリップ操作時の力を軽減できる。更に、一定範囲の加圧力を得るにあたって、圧縮コイルばねを用いる場合のような大きな自由長が要らず、コンパクトに構成することも可能である。
【0015】
上記構成の取付クリップにおいて、前記支持部材は、凹部を有する平面形状略長方形状の箱形部材からなって、前記第1の方向は、前記支持部材の長手方向であり、前記フック部は前記側面部の前記長手方向の一端側に、前記回転軸フック部は前記側面部の前記長手方向の他端側に、前記側面部から突出するように設けられ、前記保持部は、前記凹部空間内に形成され、前記被摺動面は、前記凹部の底壁であり、前記ねじりコイルばねは、前記コイル軸方向に沿って前記ねじりコイルばねを見た場合に、前記摺動部が前記固定部よりも前記フック部側にあるように前記支持部材に配置され、前記コイル部は、前記凹部の底壁から離れるように前記第1腕部と前記第2腕部に支持されているのが好ましい。
【0016】
本構成によれば、取り外し及び取り付けが容易で、小型化しやすい取付クリップを実現しやすい。特に、本構成は、支持部材の長手方向の一方の端部側にフック部が、他方の端部側に回転軸フック部が設けられる構成であるために、取付クリップの取り付けや取り外しを行う際に、てこの作用によって操作力を低減できる。また、本構成は、ねじりコイルばねの固定部及び摺動部が支持部材の凹部空間内に設けられる構成であるために、取付クリップの薄型化を図りやすい。
【0017】
上記構成の取付クリップにおいて、前記回転軸フック部は、前記回転軸部と、前記回転軸部から2方向に突出すると共に前記回転軸部を挟んで略対称配置となる一対の突出部と、を有するのが好ましい。本構成により、回転軸フック部を中心に支持部材を回転する場合に、支持部材への引っ掛かりが増え、支持部材が取付具(例えばプログラマブル表示器等)から外れ難くなる。また、本構成によれば、ねじ方式の問題点として上述した回転モーメントと同様の作用が生じても、取付クリップが傾き難く、安定した加圧力を期待できる。
【0018】
上記構成の取付クリップにおいて、前記ねじりコイルばねに被されるカバー部材を有するのが好ましい。本構成によれば、取付クリップがパネルを押さえ付ける範囲を広くできるために、パネルに局所的に力が加わってパネルが変形する可能性を低減できる。
【0019】
上記構成の取付クリップにおいて、前記カバー部材の外面側には、複数の凹凸部が設けられていることとしてもよい。本構成によれば、取付クリップの操作時にカバー部材のパネル(取付具を取り付ける部材)に対する滑りが良くなり、取付クリップの取付操作が行ない易い。
【0020】
上記構成の取付クリップにおいて、前記カバー部材が着脱自在に設けられているのが好ましい。本構成によれば、取付具を取り付けるパネルの厚さが薄い場合にはカバー部材を着けて使用し、パネルの厚さが厚い場合にはカバー部材を外して使用するといった使い方ができる。このようにすれば、パネルの厚みが変動しても、パネルに対して一定範囲の加圧力を与えることが可能になる。なお、カバーを外した場合には、取付クリップがパネルを押さえ付ける範囲が減少して、カバー部材を着けている場合に比べて、パネルに局所的な力が加わりやすくなる。しかし、カバー部材を外す場合はパネルの厚みが厚い場合である。このため、パネルが変形する可能性は低い。
【0021】
上記構成の取付クリップにおいて、前記第1腕部の前記固定部は、前記コイル部側に折り返されて前記コイル部の前記コイル軸方向に沿うように延びる部分であるのが好ましい。本構成によれば、支持部材に支持されるねじりコイルばねを安定した状態で支えることができる。このために、本構成の取付クリップでは安定した加圧力を得やすい。
【0022】
上記構成の取付クリップにおいて、前記第2腕部の前記摺動部は、先端側を折り曲げて形成される折曲部であるのが好ましい。本構成によれば、ねじりコイルばねのコイル部がパネルに押さえ付けられることによって摺動する摺動部をスムーズに摺動させやすい。
【0023】
上記構成の取付クリップにおいて、前記支持部材の、前記コイル部の前記コイル軸方向に沿った側面に略対向する部分に貫通孔が設けられていることとしてもよい。本構成によれば、ねじりコイルばねのコイル部と支持部材との間の距離を短くしても、コイル部と支持部材との接触を回避できる。このため、取付クリップの薄型化を図れる。
【0024】
上記構成の取付クリップにおいて、前記支持部材の前記ねじりコイルばねを支持する側と反対側の面には滑り止め部が形成されていることとしてもよい。本構成によれば、取付クリップの操作時に指が滑ることなく操作できるために、取付クリップの着け外しが行い易い。
【0025】
上記構成の取付クリップにおいて、前記ねじりコイルばねは複数であって、前記複数のねじりコイルばねが前記第1の方向に並設されていることとしてもよい。本構成によれば、大きな加圧力を得やすい。
【0026】
また、上記目的を達成するために本発明の取付クリップは、パネルの開口部に挿入して使用される取付具のフランジ部を前記パネルに締め付けて、前記取付具を前記パネルに固定する取付クリップであって、ねじりコイルばねと、前記ねじりコイルばねを支持する支持部材と、を備え、前記支持部材には、前記取付具に係合されて回転中心となる第1の係合部と、前記取付具に係合されて、前記第1の係合部を中心とした前記支持部材の回転により、前記パネルに直接又は間接的に押し付けられて弾性変形する前記ねじりコイルばねの変形状態を維持する第2の係合部と、が設けられていることを特徴としている。
【0027】
本構成によれば、上述した煩わしいねじ締め作業を不要として、取付具のパネルへの取り付けを行える。また、本構成の取付クリップは、支持部材を回転してねじりコイルばねの加圧力を得る構成であるために、てこの作用によって取付クリップ操作時の力を軽減できる。更に、一定範囲の加圧力を得るにあたって、圧縮コイルばねを用いる場合のような大きな自由長が要らず、コンパクトに構成することも可能である。
【0028】
また、上記目的を達成するために本発明は、パネルの開口部に挿入して使用される取付具のフランジ部を、取付クリップを用いて前記パネルに締め付ける方法であって、前記取付クリップとしてねじりコイルばねを有する取付クリップを用い、前記取付具に前記取付クリップの回転中心となる第1の係合部を係合させるステップと、前記第1の係合部を中心として前記取付クリップを回転させることにより、前記ねじりコイルばねを直接或いは間接的に前記パネルに押し付けつけて変形させるステップと、前記ねじりコイルばねを変形させた状態を維持するように、前記取付クリップの第2の係合部を前記取付具に係合させるステップと、を備えることを特徴としている。本構成により、パネルへの取付具の締め付けを容易に行える。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、パネルの開口部に挿入して使用される取付具のパネルへの固定作業が容易となる。また、本発明によれば、従来のスプリングクリップ同様の加圧力が得られるクリップを小さなサイズで得られるために、取付具の薄型化にも対応しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施形態の取付クリップの構成を示す側面図
【図2】本実施形態の取付クリップの構成を示す上面図
【図3】本実施形態の取付クリップの構成を示す下面図
【図4】図2のA−A位置における概略断面図
【図5】図2に示す取付クリップを裏返し、カバー部材を取り除いて斜めから見た概略斜視図
【図6】図5のB−B位置における概略断面図
【図7】本実施形態の取付クリップを用いてプログラマブル表示器のフランジ部を正面パネルに締め付ける手順を説明するための図
【図8】図7(b)の断面図
【図9】図7(c)の断面図
【図10】図7(d)の断面図
【図11】本実施形態の取付クリップのカバー部材を外した場合の使用例を説明するための図
【図12】本実施形態の変形例を説明するための概略断面図
【図13】プログラマブル表示器が制御盤の正面パネルの開口部に挿入されて固定された状態の一例を示す概略平面図
【図14】図13のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図
【図15】プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する場合の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に本発明の取付クリップの実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本実施形態の取付クリップの構成を示す側面図である。図2は、本実施形態の取付クリップの構成を示す上面図である。図3は、本実施形態の取付クリップの構成を示す下面図である。図4は、図2のA−A位置における概略断面図である。図5は、図2に示す取付クリップを裏返し、カバー部材を取り除いて斜めから見た概略斜視図である。図6は、図5のB−B位置における概略断面図である。なお、図6は、図5に対して上下が逆となっている。この図1から図6を参照しながら、本実施形態の取付クリップの構成について説明する。
【0033】
本実施形態の取付クリップ1は、第1ねじりコイルばね11と、第2ねじりコイルばね12と、これら2つのねじりコイルばね11、12を支持する樹脂製の支持部材13と、支持部材13に支持される2つのねじりコイルばね11、12に被される樹脂製のカバー部材14と、を備えている(例えば図1参照)。
【0034】
第1ねじりコイルばね11は、金属線が略螺旋状に巻回されてなるコイル部111と、コイル部111の一端から延出する第1腕部112と、コイル部111の他端から延出する第2腕部113と、を有する。第1腕部112と第2腕部113とは、コイル軸方向(コイル部の長手方向に平行な方向;例えば図1や図4では紙面に垂直な方向が該当する。図2では上下方向が該当する)に沿って第1ねじりコイルばね11を見た場合に、コイル部111から互いに反対方向に突出している。詳細には、図1及び図4を参照して、第1腕部112は、コイル部111に対して左側(より詳細には左斜め上方)に突出している。また、第2腕部113は、コイル部111に対して右側(より詳細には右斜め上方)に突出している。すなわち、第1腕部112と第2腕部113とは、左右方向(本発明の第1の方向に相当する)が反対となってコイル部111から突出している。
【0035】
第1腕部112は、図4及び図5に示すように、その先端側がコイル部111側に折り返されている。詳細には、第1腕部112は、その途中でコイル部111側に略90°折り曲げられた状態となっている。そして、第1腕部112は、一部112aがコイル部111のコイル軸方向に沿うように延びる構成となっている。この一部112aは、支持部材13の保持部(後述する)に保持されて固定される固定部となる。第2腕部113は、その先端が支持部材13の被摺動面(後述する)から離れる方向(図4では斜め下方、図5では斜め上方)に、その先端側が折り曲げられている。第2腕部113におけるこの折り曲げられた部分(折曲部)113aは、支持部材13の被摺動面を摺動する摺動部となる。
【0036】
第1ねじりコイルばね11は、コイル軸方向が、回転軸フック部133やフック部134(これらの詳細は後述する)が形成される側面部13a(図2参照)に略直交するように配置される。また、第1ねじりコイルばね11は、コイル軸方向に沿ってねじりコイルばね11を見た場合に、例えば図4及び図5を参照してわかるように、摺動部113aが固定部112aよりもフック部134側にあるように支持部材13に配置されている。
【0037】
第2ねじりコイルばね12も、第1ねじりコイルばね11と同様に、コイル部121と、第1腕部122と、第2腕部123と、を有する。これらの各構成は、第1ねじりコイルばね11の場合と同様であるので、その詳細な説明は省略する。また、第2ねじりコイルばね12は、第1ねじりコイルばね11と同様に、コイル軸方向が、回転軸フック部133やフック部134が形成される側面部13aに略直交するように配置されると共に、コイル軸方向に沿ってねじりコイルばね12を見た場合に、摺動部123aが固定部122aよりもフック部134側にあるように支持部材13に配置されている。
【0038】
支持部材13は、凹部20(図4から図6参照)を有する平面形状略長方形状の箱形部材からなる。なお、本実施形態では、正確には、例えば図1、図4、及び図6に示すように、支持部材13の凹部20の開口面は、凹部20の底壁に対してやや傾斜を有している。また、支持部材13の短手方向の側面(図1や図4において、紙面に対して垂直方向に延びる面)は曲面や段差を有する。また、支持部材13の凹部20は、例えば図4、図5及び図6に示される壁部132aなどの複数の壁によって区画された状態となっている。この凹部20に、上述したねじりコイルばね11、12の固定部112a、122aを固定する保持部131、132や、摺動部113a、123aが摺動する被摺動面20aが形成されている。
【0039】
第1ねじりコイルばね11の第1腕部112の固定部112aを保持する第1の保持部131は、壁部131aと、壁部131aから突出する第1突出部131bと、壁部131aから第1突出部131bと同じ方向に突出すると共に、第1突出部131bとは上下方向の位置を違えて突出する第2突出部131cと、からなっている。なお、本実施形態では、第1突出部131bは隙間を隔てて設けられる2つの部分からなっている。また、第2突出部131cは、平面視、前述の空間に重なるように設けられている。そして、第1の保持部131は、固定部112aを、第1突出部131bと第2突出部131cとの間に挟み込んで保持するようになっている。
【0040】
同様に、第2ねじりコイルばね12の第1腕部122の固定部122aを保持する第2の保持部132は、壁部132aと、第1突出部132bと、第2突出部132cと、からなっている。これらの構成の詳細は、第1の保持部131の場合と同様であるために、その説明は省略する。そして、第2の保持部132は、固定部122aを、第1突出部132bと第2突出部132cとの間に挟み込んで保持するようになっている。
【0041】
また、支持部材13に設けられる被摺動面20aは凹部20の底壁に相当する。そして、支持部材13には、第1ねじりコイルばね11の第2腕部113の摺動部113a(図4参照)が支持部材13に対して摺動可能となるように、摺動空間(支持部材13に設けられる凹部20によって形成される空間(凹部空間)の一部)が確保されている。同様に、支持部材13には、第2ねじりコイルばね12の第2腕部123の摺動部123a(図4参照)が支持部材13に対して摺動可能となるように、摺動空間(支持部材13に設けられる凹部空間の一部)が確保されている。
【0042】
図1及び図4を参照してわかるように、第1ねじりコイルばね11のコイル部111は、第1腕部112と第2腕部113とによって支持されて、その大部分が支持部材13の凹部20によって形成される凹部空間から突出するように構成されている。より詳細には、コイル部111は、その大部分が、支持部材13の側面部13に略平行であると共に支持部材13の長手方向に略垂直な方向(図1及び図4では下方向)に凹部空間から突出するように構成されている。同様に、第2ねじりコイルばね12のコイル部121も、第1腕部122と第2腕部123とによって支持されて、その大部分が支持部材13の凹部空間から突出するように構成されている。これにより、コイル部111、121と支持部材13の凹部20の底壁20a(被摺動面)との間には空間が形成されている。
【0043】
支持部材13のねじりコイルばね11、12のコイル軸方向(図1及び図4において紙面と垂直な方向)と略直交する2つの側面部13a、13bのうちの一方の側面部13aには、長手方向(本発明の第1の方向が該当。図1〜4において左右方向)の一方端側に回転軸フック部(第1の係合部)133が、他方端側にフック部(第2の係合部)134が、側面部13aから突出するように形成されている。回転軸フック部133及びフック部134は支持部材13と一体的に形成されている。
【0044】
他部材(例えば後述のプログラマブル表示器等)に引っ掛けられると共に回転軸となる回転軸フック部133は、支持部材13の側面部13aから、側面部13aに対して略直交する方向に突出する回転軸部133aと、回転軸部133aから、コイル部111、112の支持部材13に対する突出方向とは反対方向(図1及び図4において上方向)に突出する第1突出部133bと、回転軸部133aから、第1の突出部133bとは反対方向(図1及び図4において下方向)に突出する第2の突出部133cと、からなっている。すなわち、回転軸フック部133は、回転軸部133aの他に、回転軸部133aから2方向に突出すると共に回転軸部133aを挟んで対称配置となる一対の突出部133b、133cを有する構成となっている。
【0045】
また、ねじりコイルばね11、12が弾性変形した状態を維持するために他部材(例えば後述のプログラマブル表示器等)に引っ掛けられるフック部134は、支持部材13の側面部13aから、側面部13aに対して略直交する方向に突出し、回転軸部133aより幅広に設けられる板状部134aと、板状部134aから、板状部134aに対して略直交する方向であって、コイル部111、112の支持部材13に対する突出方向とは反対方向に突出する第3の突出部134bと、で形成される構成となっている。
【0046】
図2及び図6に示すように、支持部材13における凹部20の底壁20aには、第1ねじりコイルばね11のコイル部111のコイル軸方向に沿った側面に略対向する部分、及び、第2ねじりコイルばね12のコイル部121のコイル軸方向に沿った側面に略対向する部分に、貫通孔135、136が形成されている。これら2つの貫通孔135、136は平面視略矩形状に設けられ、摺動部113a、123aを摺動させながら弾性変形したねじりコイルばね11、12のコイル部111、121が支持部材13に接触するのを回避できるように、その位置及びサイズが決定されている。
【0047】
また、支持部材13の上面13c(ねじりコイルばね11、12が支持される面の裏面)には、例えば、図2に示すように、支持部材13の長手方向におけるフック部134側の端部近傍に、複数の凸部137aが格子状に並べられた滑り止め部137が形成されている。
【0048】
カバー部材14は、図3に示すように平面視略矩形状の外形を有し、第1ねじりコイルばね11及び第2ねじりコイルばね12に被せられる着脱自在の部品である。このカバー部材14には、ねじりコイルばね11、12に嵌め込んで保持できるように略半円筒形の空間部が2つ形成されている(図1及び図4参照)。また、図1及び図3に示すように、カバー部材14の外面側14aの中央部寄りには凹凸部141が形成されている。詳細は後述するが、このような凹凸部141を設けるのは、取付クリップ1の取り付けを容易とするためである。
【0049】
次に、以上のように構成される取付クリップ1の作用効果について説明する。ここでは、図13から図15で示した制御盤200の正面パネル201にプログラマブル表示器100を固定する例において、ねじ方式に代えて、本実施形態の取付クリップ1を用いる場合を例に説明する。すなわち、制御盤200の正面パネル201の開口部202に挿入して使用されるプログラマブル表示器100(本発明の取付具の一例)のフランジ部102を、取付クリップ1を用いて正面パネル201に締め付けて、プログラマブル表示器100を正面パネル201に固定する場合を例に説明する。なお、制御盤200及びプログラマブル表示器100の構成は、先に説明したのと同様であるので、その説明は省略する。
【0050】
図7は、本実施形態の取付クリップを用いてプログラマブル表示器100のフランジ部102を正面パネル201に締め付ける手順を説明するための図である。図7(a)、図7(b)、図7(c)、図7(d)の順で、取付クリップ1による締め付けが進められる。
【0051】
正面パネル201にプログラマブル表示100を固定する場合、まず、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202(図13参照)に、表示部101(図13参照)が正面となるように挿入する。詳細には、プログラマブル表示器100の正面側に設けられるフランジ部102(ここでは溝102aに設けられたシール部材も含む)が、正面パネル201に当接するまで挿入する。そして、この状態で、図7(a)に示すように、取付クリップ1を、その側面部13aが開口103aと対向する向きとし、回転軸フック部133が下、フック部134が上となる姿勢として、プログラマブル表示器100の外枠103に設けられて開口103aに近づける。
【0052】
次に、図7(b)に示すように、取付クリップ1の回転軸フック部133を開口103aに挿入して、取付クリップ1とプログラマブル表示器100とを係合させる。この状態の断面図が図8である。なお、図8は、図4と同様の位置で取付クリップ1を切断した場合の断面図であり、この後に述べる図9及び図10も同様である。
【0053】
取付クリップ1とプログラマブル表示器100とが係合した状態で、次に、取付クリップ1の滑り止め部137を手(図示せず)で押さえながら、カバー部材14側が正面パネル201に向かう方向に(図7においては手前に引くように)回転させる(この回転は、取付クリップ1の回転軸フック部133が設けられる側面と反対側面から見た場合に時計回り方向の回転である)。図7(c)及び図9(図7(c)の断面図)は、この回転の途中の状態を示す。詳細には、取付クリップ1を回転させることによって、カバー部材14が正面パネル201に当接した時点の状態を示している。
【0054】
なお、取付クリップ1を回転させる場合、回転軸フック部133の第1の突出部133bと第2の突出部133cとによるフック機能によって、回転軸フック部133は外枠103としっかり係合している。このために、回転中に取付クリップ1とプログラマブル表示器100の係合が外れる可能性は低くなっている。
【0055】
図7(b)の状態から更に同方向に回転を続けると、まず、第1ねじりコイルばね11がカバー部材14を介して正面パネル201に押し付けられ始める。換言すると、コイル部111のコイル軸方向に沿った側面に、支持部材13の凹部底壁20a方向(被摺動面)へと押す力が加わり始める。このため、第1ねじりコイルばね11は、第2腕部113の摺動部113aを支持部材13の被摺動面20aに対して摺動させながら、コイル部111が支持部材13の凹部底壁20aに向かって移動するように変形する。そして、更に同方向に回転を続けると、第2ねじりコイルばね12も同様の変形を開始する。
【0056】
なお、取付クリップ1のカバー部材14の外面14aには、上述のように凹凸部141が形成されている。このために、カバー部材14の外面14aは、正面パネル201に対して滑りやすくなっている。
【0057】
取付クリップ1の回転を更に続けて、フック部134がプログラマブル表示器100の開口103a(回転軸フック部133が係合されている開口103aの隣にある開口)に挿入できる状態となった時点で、フック部134を開口103aに挿入して、第3の突出部134bの側面部13aに対向する面が外枠103の内壁に当接するように、フック部134を外枠103に引っ掛ける。図7(d)及び図10は、この状態を示している。この図7(d)及び図10に示す状態では、取付クリップ1の2つのねじりコイルばね11、12は弾性変形されており、正面パネル201に対してフランジ部102を締め付ける方向に強い力が働く。このため、取付クリップ1を用いた締め付けを複数箇所で行うことによって、プログラマブル表示器100を正面パネル201(制御部200)に固定することができる。
【0058】
以上のように、本実施形態の取付クリップ1によれば、回転軸フック部133を中心とした回転により、簡単にプログラマブル表示器100のフランジ部102を正面パネル201に締め付けられる。そして、取付クリップ1の取付操作は、てこの作用を利用しているために、操作時に必要とされる力が小さくて済む。このため、本実施形態の取付クリップ1は、取り付け及び取り外しが容易である。
【0059】
また、本実施形態の取付クリップ1は、圧縮コイルばねを用いた場合のように、ばねの自由長が大きくなってクリップ全体のサイズが大きくなるといった事態を避けられるために、プログラマブル表示器100の薄型化に対応しやすい。なお、本実施形態の取付クリップ1では、取り付けが完了した状態(図7(d)、図10の状態)において、回転軸フック部133の第2の突出部133cの側面部13aに対向する面が外枠103の内壁に当接した状態となるために、取付クリップ1に作用する回転モーメントによる取付クリップ1の傾き(上述した、ねじ方式の傾きと同様の現象)を阻止できる。このため、ねじ方式の場合のように傾きを阻止するために部材を大きくするという必要がなく、プログラマブル表示器100の薄型化に対応しやすい。
【0060】
また、本実施形態の取付クリップ1によると、カバー部材14によって正面パネル201との接触範囲が広くなっている。このために、取付クリップ1を取り付けた場合に、正面パネル201に局所的に大きな力が加わって(例えば、上述のねじ方式では、局所的に大きな力が加わりやすい)、正面パネル201が変形してしまうという事態を避けやすい。
【0061】
ところで、プログラマブル表示器100が取り付けられる正面パネル201の厚さは一定とは限らない。正面パネル201の厚みに大差がない場合は、ねじりコイルばね11、12の調整により、一定範囲の加圧力(例えば5〜8kgf/cm2等)を与えることが可能であるが、厚みに大きな差があると、正面パネル201に加わる加圧力が一定範囲内とならない場合が出てくる。
【0062】
この点、本実施形態の取付クリップ1は、カバー部材14が着脱自在となっている。このために、正面パネル201の厚みが薄い場合(例えば1〜3mm等)には、カバー部材14を着けた状態で取付クリップ1を使用し、正面パネル201の厚みが厚い場合(例えば3〜5mm等)、カバー部材14を外した状態で取付クリップ1を使用するといった使用方法が可能である。これにより、正面パネル201の厚みが変動しても、一定範囲内の加圧力を与えることが可能となる。
【0063】
図11に取付クリップ1のカバー部材14を外してプログラマブル表示器100を正面パネル201に固定する場合の状態を例示している。この場合、取付クリップ1は、ねじりコイルばね11、12が正面パネル201に直接押し付けられる状態となるために、カバー部材14を取り付けている場合に比べて、正面パネル201に局所的に大きな力がかかり易い。しかし、カバー部材14を外して取付クリップ1を使用するのは、正面パネル201の厚みが厚い場合であり、このようにカバー部材14を外して取付クリップ1を使用しても正面パネル201が変形する可能性は低い。
【0064】
なお、正面パネル201の厚みの違いに対応する別の方法として、支持部材13のコイル軸方向に略直交する2つの側面部13a、13bのそれぞれに、回転軸フック部133及びフック部134を設ける構成としてもよい。この場合、2つの側面部13a、13bの間で、回転軸フック部133及びフック部134を形成する高さをずらす必要がある。すなわち、一方の側面部、たとえば、側面部13aにおいて回転軸フック部133及びフック部134を形成する高さを、もう一方の側面部13bにおける回転軸フック部133及びフック部134を形成する高さに比して高くするように構成する。このようにすれば、側面部13a側は厚みのある正面パネル201に対して使用し、側面部13b側は厚みの薄い正面パネル201に対して使用するといった使い方ができ、正面パネル201の厚みの違いに対応できる。この構成の場合は、カバー部材14は着脱式とせずに、固定式としてもよい。
【0065】
以上に示した取付クリップ1は本発明の実施形態の一例を示したものであり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以上に示した実施形態について種々の変更を行っても構わない。
【0066】
例えば、以上に示した実施形態では、取付クリップ1が備えるねじりコイルばねの数を2つとしたが、この構成に限られる趣旨ではない。すなわち、必要とされる加圧力等によってねじりコイルばねの数は変更して構わず、1つとしてもよいし、3つ以上としても構わない。
【0067】
また、以上に示した実施形態では、ねじりコイルばね11、12の第1腕部112、122の固定部112a、122aについて、第1腕部112、122の一部をコイル部111、121のコイル軸方向に沿うように延びる構成とすることによって得た。しかし、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば、図12に示すように、第1腕部112、122の先端側をフック状として、これを支持部材13の内壁から突出する(図12においては紙面と直交する方向に突出している)突起状の保持部138で固定する構成等としても構わない。ただし、本実施形態のように構成した場合の方が、ねじりコイルばね11、12の支持部材13上での安定感が良い(傾き難い)ので好ましい。
【0068】
また、以上に示した実施形態では、支持部材13に凹部20を構成してねじりコイルばね11、12を支持する構成とした。しかし、この構成に限らず、例えば支持部材13を板状部材(凹部を有さない)として、この板状部材上にねじりコイルばねを摺動可能に支持する構成とすると共に、板状部材の側面部に回転軸フック部及びフック部を設ける構成としても構わない。ただし、本実施形態のように構成した方が、取付クリップ1の薄型化を図りやすく好ましい。また、支持部材13に貫通孔135、136を設けない構成としても構わないが、薄型化を図れるというメリットのために、貫通孔135、136についても設けるのが好ましい。
【0069】
また、支持部材13に設けた滑り止め部137の構成は、本実施形態の構成に限られない。例えば、滑り止め部137を設ける範囲について、本実施形態より広くてもよいし、場合によっては狭くてもよい。要は、取付クリップ1を操作する際に人の指が滑り難いように構成できていれば良いのである。なお、この滑り止め部137は、場合によっては設けない構成としても構わない。また同様に、カバー部材14の凹凸部141も設けない構成としても勿論構わない。
【0070】
その他、以上においては、取付クリップがプログラマブル表示器を取り付けるために用いられる場合を示したが、これに限らず、単なるディスプレイ装置、制御装置、端子等を取り付ける場合にも、本発明の取付クリップが適用できるのは言うまでもない。更に、本発明の取付クリップを用いた取付具(プログラマブル表示器等)の締め付け方法は、取付クリップが本実施形態の構成に限らず、ねじりコイルばねを有する取付クリップに広く適用できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、パネルの開口部に挿入して使用されるフランジ部付きの取付具をパネルに固定する際に好適である。
【符号の説明】
【0072】
1 取付クリップ
11 第1ねじりコイルばね
12 第2ねじりコイルばね
13 支持部材
13a 支持部材の側面部
14 カバー部材
14a カバー部材の外面
20 凹部
20a 摺動面(凹部の底壁)
111 第1ねじりコイルばねのコイル部
112 第1ねじりコイルばねの第1腕部
112a 第1ねじりコイルばねの第1腕部の固定部
113 第1ねじりコイルばねの第2腕部
113a 第1ねじりコイルばねの第2腕部の摺動部
121 第2ねじりコイルばねのコイル部
122 第2ねじりコイルばねの第1腕部
122a 第2ねじりコイルばねの第1腕部の固定部
123 第2ねじりコイルばねの第2腕部
123a 第1ねじりコイルばねの第2腕部の摺動部
131 第1の保持部
132 第2の保持部
133 回転軸フック部(第1の係合部)
133a 回転軸部
133b 第1の突出部(一対の突出部の一方)
133c 第2の突出部(一対の突出部の他方)
134 フック部(第2の係合部)
135、136 貫通孔
137 滑り止め部
141 凹凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線が略螺旋状に巻回されてなるコイル部と、前記コイル部の一端から延出する第1腕部と、前記コイル部の他端から延出する第2腕部と、を有するねじりコイルばねと、
前記ねじりコイルばねを支持する支持部材と、を備える取付クリップであって、
前記支持部材は、前記ねじりコイルばねが弾性変形した状態を維持するために他部材に引っ掛けられるフック部と、前記他部材に引っ掛けられると共に回転軸となる回転軸フック部と、が第1の方向に並んだ側面部を有し、
前記ねじりコイルばねは、コイル軸方向が前記側面部に対して略直交するように前記支持部材に配置され、
前記ねじりコイルばねを前記コイル軸方向に沿って見た場合に、前記第1腕部と前記第2腕部とは、前記コイル部から互いに反対方向に突出しており、
前記第1腕部は、前記支持部材の保持部に保持される固定部を有し、
前記第2腕部は、前記支持部材の被摺動面を摺動する摺動部を有し、
前記コイル部は、前記コイル部と前記被摺動面との間に空間が形成されるように、前記第1腕部と前記第2腕部とに支持されており、
前記回転軸フック部の前記側面部に対して略直交する方向に突出する回転軸部を中心とした回転を行うことによって、前記コイル部の前記コイル軸方向に沿った側面に前記被摺動面方向へと押す力が加わった場合に、前記ねじりコイルばねは前記摺動部を摺動しながら弾性変形することを特徴とする取付クリップ。
【請求項2】
前記支持部材は、凹部を有する平面形状略長方形状の箱形部材からなって、
前記第1の方向は、前記支持部材の長手方向であり、
前記フック部は前記側面部の前記長手方向の一端側に、前記回転軸フック部は前記側面部の前記長手方向の他端側に、前記側面部から突出するように設けられ、
前記保持部は、前記凹部空間内に形成され、
前記被摺動面は、前記凹部の底壁であり、
前記ねじりコイルばねは、前記コイル軸方向に沿って前記ねじりコイルばねを見た場合に、前記摺動部が前記固定部よりも前記フック部側にあるように前記支持部材に配置され、
前記コイル部は、前記凹部の底壁から離れるように前記第1腕部と前記第2腕部に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の取付クリップ。
【請求項3】
前記回転軸フック部は、前記回転軸部と、前記回転軸部から2方向に突出すると共に前記回転軸部を挟んで略対称配置となる一対の突出部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の取付クリップ。
【請求項4】
前記ねじりコイルばねに着脱自在に被せられるカバー部材を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の取付クリップ。
【請求項5】
前記第1腕部の前記固定部は、前記コイル部側に折り返されて前記コイル部の前記コイル軸方向に沿うように延びる部分であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の取付クリップ。
【請求項6】
前記第2腕部の前記摺動部は、先端側を折り曲げて形成される折曲部であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の取付クリップ。
【請求項7】
前記支持部材の、前記コイル部の前記コイル軸方向に沿った側面に略対向する部分に貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の取付クリップ。
【請求項8】
前記ねじりコイルばねは複数であって、前記複数のねじりコイルばねが前記第1の方向に並設されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の取付クリップ。
【請求項9】
パネルの開口部に挿入して使用される取付具のフランジ部を前記パネルに締め付けて、前記取付具を前記パネルに固定する取付クリップであって、
ねじりコイルばねと、
前記ねじりコイルばねを支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材には、
前記取付具に係合されて回転中心となる第1の係合部と、
前記取付具に係合されて、前記第1の係合部を中心とした前記支持部材の回転により、前記パネルに直接又は間接的に押し付けられて弾性変形する前記ねじりコイルばねの変形状態を維持する第2の係合部と、
が設けられていることを特徴とする取付クリップ。
【請求項10】
パネルの開口部に挿入して使用される取付具のフランジ部を、取付クリップを用いて前記パネルに締め付ける方法であって、
前記取付クリップとしてねじりコイルばねを有する取付クリップを用い、
前記取付具に前記取付クリップの回転中心となる第1の係合部を係合させるステップと、
前記第1の係合部を中心として前記取付クリップを回転させることにより、前記ねじりコイルばねを直接或いは間接的に前記パネルに押し付けつけて変形させるステップと、
前記ねじりコイルばねを変形させた状態を維持するように、前記取付クリップの第2の係合部を前記取付具に係合させるステップと、
を備えることを特徴とする取付クリップを用いた締め付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−122705(P2011−122705A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283121(P2009−283121)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】