説明

取付具

【課題】入口部より内部が広がった凹部を備えた被取付物を支持材に取り付ける取付具において、取付具を先に支持材に取り付けてから被取付物を取付具に取り付けでき、かつ取り付けを確実とする。
【解決手段】弾性を有する金属板で取付具5を構成する。支持材に取り付けられる取付具本体部6に、第一および第二の折り曲げ面7,8を設けて両者間に折り曲げ部9を形成するとともに、切り込み42,43を入れて折り曲げ部9が第一の折り曲げ面7と第二の折り曲げ面8とを部分的にのみ連続させるようにする。第一の折り曲げ面7の一部を切り起こして第一の係合片44、第二の折り曲げ面8の一部を切り起こして第二の係合片45をそれぞれ設け、折り曲げ部9が前記凹部内に押し込まれると、第一および第二の係合片44,45の先端側が前記凹部の内面に当接されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入口部より内部が広がっている凹部を設けられた被取付物を支持材に取り付ける取付具に係り、特に、被取付物が例えば家屋等の建物の外装化粧材(出隅材、幕板、付け柱、破風板等)、外装材、内壁材等である場合に好適な取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のこの種の取付具の一種として、建物の外装出隅材を柱(支持材)に取り付ける出隅材取付具が開示されている。この場合、取付対象となる出隅材側には開口部(入口部)より内部が広がっている嵌合溝(凹部)が設けられている。出隅材取付具は、U字状に折り曲げられた嵌合部と、この嵌合部から外側に切り起こされた嵌合溝係合突起と、前記嵌合部の両側に連続する一対の平板状の片部とを備えている。
【0003】
この取付具においては、まず取付具の両片部に外力を加えて両片部間の角度が小さくなる方向に変形することにより、嵌合部を外装出隅材の嵌合溝に挿入可能な幅となるように弾性圧縮変形させ、その状態で、嵌合溝の開口部から嵌合溝内に嵌合部を深く挿入し、しかる後に加えていた外力を解除することにより、嵌合部を嵌合溝内に挿入した状態で取付具を出隅材に取り付ける。この取付状態において、嵌合溝係合突起は嵌合溝に係合することが期待されている。そして、このようにして取付具を取り付けられた出隅材を柱(支持材)に取り付けることにより、取付具を介して出隅材を柱に取り付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−193261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記出隅材取付具においては、U字状に折り曲げられた嵌合部は、取付具を先に柱(支持材)に取り付けてしまうと、変形できず、したがって嵌合溝内に深く挿入できなくなる構造となっている。このため、必ず出隅材(被取付物)に取付具を取り付けてから取付具を柱(支持材)に取り付ける必要があり、取付具を先に柱(支持材)を取り付けてから出隅材(被取付物)を取付具に取り付けることはできないという問題があった。
【0006】
また、全体として弾性変形により嵌合溝係合突起が変位できる範囲が小さくなるため、場合によっては嵌合溝係合突起が嵌合溝に有効に係合されない状態となり、取り付けが不確実になる虞があるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、取付具を先に支持材に取り付けてから被取付物を取付具に取り付けることも、被取付物に取付具を取り付けてから取付具を支持材に取り付けることもできる取付具を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、被取付物の凹部の内面に係合される係合片の弾性変位範囲を大きくし、係合片が常に有効に凹部の内面に弾性的に当接されて係合され、被取付物が支持材に確実に取り付けられるようにすることができる取付具を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による取付具は、入口部より内部が広がっている凹部を設けられた被取付物を支持材に取り付けるための取付具において、
弾性を有する金属板を加工してなり、前記支持材に取り付けられる取付具本体部と、この取付具本体部に設けられた、互いに折り曲げられて折り曲げ部を形成している第一および第二の折り曲げ面と、前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面との間に設けられ、前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面とを部分的に非連続とし、前記折り曲げ部が前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面とを部分的にのみ連続させるようにする切り込みと、前記第一の折り曲げ面の一部を前記折り曲げ部側が切り残されるようにして外側に切り起こされた第一の係合片と、前記第二の折り曲げ面の一部を前記折り曲げ部側が切り残されるようにして外側に切り起こされた第二の係合片とを有し、
前記折り曲げ部が相対的に前記凹部の入口部側から該凹部の内部側に向かって押し込まれて行くと、前記第一および第二の係合片が一旦前記凹部の入口部に押されて内側に引っ込められるように弾性変位するが、前記凹部の入口部を通過すると、前記第一および第二の係合片が弾性復元力により広がって該第一および第二の係合片の先端側が前記凹部の内面に当接するようになっているものである。
【0011】
この本発明の取付具においては、折り曲げ部は第一および第二の折り曲げ面の一部のみを連続させており、他の部分においては第一および第二の折り曲げ面の折り曲げ部側の端部は非連続とされているので、折り曲げ部並びに第一および第二の折り曲げ面は非常に弾性変形しやすくなっている。そして、第一および第二の係合片は、第一および第二の折り曲げ面の一部を切り起こすことにより形成されているので、折り曲げ部並びに第一および第二の折り曲げ面の弾性変形と、自身の弾性変形との両方により変位できるため、その弾性変位範囲を大きくすることができる。
【0012】
したがって、取付具を先に支持材に取り付けても、取付具の折り曲げ部を被取付物の凹部の内部に侵入させて、被取付物を取付具に取り付けることができる(勿論、被取付物に取付具を取り付けてから取付具を支持材に取り付けることもできる)。また、第一および第二の係合片が常に有効に凹部の内面に弾性的に当接されて係合され、被取付物が支持材に確実に取り付けられるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の取付具においては、
(イ)取付具を先に支持材に取り付けてから被取付物を取付具に取り付けることも、被取付物に取付具を取り付けてから取付具を支持材に取り付けることもできる、
(ロ)被取付物の凹部の内面に係合される係合片の弾性変位範囲を大きくし、係合片が常に有効に凹部の内面に弾性的に当接されて係合され、被取付物が支持材に確実に取り付けられるようにすることができる、
等の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に対する参考例1における取付具を示す斜視図である。
【図2】前記取付具を示す正面図である。
【図3】前記取付具を示す左側面図である。
【図4】前記取付具を示す右側面図である。
【図5】前記取付具を示す平面図である。
【図6】図2のVI−VI線における拡大断面図である。
【図7】前記参考例1における被取付物を示す斜視図である。
【図8】前記参考例1の取付具に被取付物を取り付ける直前の状態を示す断面図である。
【図9】前記参考例1の取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】本発明に対する参考例2における取付具を示す斜視図である。
【図11】前記参考例2の取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図12】本発明の参考例3における取付具を示す斜視図である。
【図13】前記参考例3の取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図14】本発明の実施例1における取付具を示す斜視図である。
【図15】前記実施例1の取付具を他の方向から見て示す斜視図である。
【図16】前記実施例1の取付具を示す正面図である。
【図17】前記実施例1の取付具を示す平面図である。
【図18】図16のXVIII−XVIII線における拡大断面図である。
【図19】前記実施例1の取付具に被取付物を取り付ける直前の状態を示す断面図である。
【図20】前記実施例1の取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図21】本発明の実施例2における取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図22】本発明の実施例3における取付具に被取付物を取り付けた状態を示す断面図である。
【図23】本発明の実施例4における取付具を示す斜視図である。
【図24】前記実施例4の取付具を示す平面図である。
【図25】図24のXXV−XXV線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
(参考例1)
図1〜9は本発明の参考例1を示している。本参考例は、被取付物が建物の外装出隅材、支持材が柱等の下地材である場合の取付具に適用した例である。図7に示されるように、被取付物1(外装出隅材)は、互いに直角をなす2つの辺2,3を有しており、内側隅部に外被取付物1の長さ方向に延びる溝状の凹部4を設けられている。この凹部4は入口部4a(開口部)より内部が広がった形状をなしている。
【0016】
図1〜6は本参考例における取付具5を示しており、全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなる。したがって以下に説明する取付具5の各部は全て一体的に設けられている。取付具5の取付具本体部6は第一および第二の折り曲げ面7,8を有しており、これらの第一および第二の折り曲げ面7,8は外力を作用されていない状態では互いに90度の挟角をなすこととなるように折り曲げられ、折り曲げ部9を形成している。前記第一および第二の折り曲げ面7,8には、それぞれ取付穴10,11が設けられている。
【0017】
前記折り曲げ部9付近には、第一および第二の分離片12,13が設けられている。前記第一の分離片12は、外力を作用されていない状態では、第一の折り曲げ面7と同一平面上に位置しているが、基端側のみを第一の折り曲げ面7に連続され、両側部は第一の折り曲げ面7との間に切り込み14,15を設けられることにより第一の折り曲げ面7と非連続とされている。また、この第一の分離片12の先端側は、第二の折り曲げ面8から切り起こされた状態となっており、折り曲げ部9から突出されている。同様にして、前記第二の分離片13は、外力を作用されていない状態では、第二の折り曲げ面8と同一平面上に位置しているが、基端側のみを第二の折り曲げ面8に連続され、両側部は第二の折り曲げ面8との間に切り込み16,17を設けられることにより第二の折り曲げ面8と非連続とされている。また、この第二の分離片13の先端側は、第一の折り曲げ面7から切り起こされた状態となっており、折り曲げ部9から突出されている。なお、前記折り曲げ部9は、第一および第二の分離片12,13が設けられていることにより、3つの部分に分割されている。
【0018】
前記第一の分離片12には、第一の係合片18が、該第一の分離片12の一部を該第一の分離片12の先端から近い側が切り残されるようにして外側に切り起こすことにより形成されている。この第一の係合片18は、外側に凹となるように大略円弧状に若干湾曲されている。同様にして、前記第二の分離片13には、第二の係合片19が、該第二の分離片13の一部を該第二の分離片13の先端から近い側が切り残されるようにして外側に切り起こすことにより形成されている。この第二の係合片19は、外側に凹となるように大略円弧状に若干湾曲されている。
【0019】
次に、図8および9を用いて本参考例における取付具5により被取付物1を支持材20(下地材)に取り付ける方法を説明する。まず、図8のように取付穴10,11を用いて釘やビス21等により支持材20に取付具5を取り付ける。
【0020】
しかる後に、矢印で示されるように被取付物1(出隅材)を取付具5側に押し付けることにより、折り曲げ部9が凹部4の入口部4a付近に達することとなるように第一および第二の係合片18,19を相対的に凹部4の入口部4a側から該凹部4の内部側に向かって押し込んで行くと、第一および第二の係合片18,19は一旦凹部4の入口部4aに押されて内側に引っ込められるように弾性変位する。しかし、凹部4の入口部4aを通過すると、第一および第二の係合片18,19は弾性復元力により広がり、図9のように、該第一および第二の係合片18,19の先端側が凹部4の内面のうちの内部に行くほど広がるように傾斜した部分に当接して係合し、被取付物1が取付具5に取り付けられる。
【0021】
この取付具5においては、折り曲げ部9自体は被取付物1の凹部4内に深く侵入させる必要はない。したがって、取付具5を先に支持材20に取り付けても、何ら支障なく被取付物1を取付具5に取り付けることができる。
【0022】
また、第一および第二の分離片12,13はそれぞれ基端側のみを第一、第二の折り曲げ面に連続するとともに折り曲げ部9から突出されており、さらにそのような第一および第二の分離片12,13の一部を切り起こすことにより第一および第二の係合片18,19が形成されているので、第一および第二の係合片18,19はそれぞれ第一、第二の分離片12,13の弾性変形と、自身の弾性変形との両方により変位できるので、その弾性変位範囲を大きくすることができる。
【0023】
したがって、第一および第二の係合片18,19の先端側が常に有効に凹部4の内面に弾性的に当接されて係合され、被取付物1が支持材20に確実に取り付けられるようにすることができる。
【0024】
なお、上記説明では、取付具5を先に支持材20に取り付けてから被取付物1を取付具5に取り付けているが、勿論、被取付物1に取付具5を取り付けてから取付具5を支持材20に取り付けることもできる。さらに、凹部4の長さ方向の開口端から第一および第二の係合片18,19を凹部4内に挿入して被取付物4を取付具5に取り付けることもできる。
【0025】
また、本発明において、外力が作用されていない状態における第一および第二の折り曲げ面7,8の挟角の大きさは必ずしも90度に限られることはない。また、折り曲げ部9が完全にU字状に折り曲げられ、第一および第二の折り曲げ面7,8が互いに平行となるようにしてもよい。また、前記参考例1では、第一および第二の折り曲げ面7,8がそれぞれ基本的に平面状となるようにされているが、本発明においては第一および第二の折り曲げ面が基本的には曲面状をなすようにしてもよい。

(参考例2)
図10および11は本発明の参考例2を示している。本参考例においても、取付具5は全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなり、したがって以下に説明する取付具5の各部は全て一体的に設けられている。
【0026】
取付具5の取付具本体部6は3つの山形部24と、これらの山形部24の間および両外側に設けられた4つの平坦部25とを有している。各山形部24には、それぞれ前記参考例1の場合と同様の第一および第二の折り曲げ面7,8、第一および第二の分離片12,13、切り込み14〜17、並びに第一および第二の係合片18,19が設けられている。取付具本体部6には取付穴10,11が設けられており、これらの取付穴10,11を用いて図11に示されるように釘やビス21等により支持材20に取付具5を取り付けることができる。
【0027】
本参考例における被取付物1は、建物の外装材(外壁材)、外装化粧板材等の大略平板状をなしたパネル状材であり、裏面側に3本の溝状の凹部4を設けられている。これらの凹部4は、前記参考例1の場合と同様に入口部4a(開口部)より内部が広がった形状をなしている。
【0028】
本参考例においても、前記参考例1の場合と同様にして、図11に示されるように各山形部24の第一および第二の係合片18,19の先端側を各凹部4の内面のうちの内部に行くほど広がるように傾斜した部分に係合して被取付物1を取付具5を介して支持材20に取り付けることができる。

(参考例3)
図12および13は本発明に対する参考例3を示している。本参考例は、本願発明者が前に特開2002−38694号において提案した取付具および取付構造の構造を併用したものである。本参考例においては、取付具5は基材26に2つのコの字状材27を取り付けてなる。
【0029】
前記基材26は、全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなり、したがって以下に説明する基材26の各部は全て一体的に設けられている。前記基材26は取付具本体部6を有しており、この取付具本体部6はさらに1つの山形部24と、この山形部24の両側に設けられた2つの平坦部25とを有している。前記山形部24には、前記各参考例の場合と同様の第一および第二の折り曲げ面7,8、第一および第二の分離片12,13、切り込み14〜17、並びに第一および第二の係合片18,19が設けられている。各平坦部25には、それぞれ取付穴10,11が設けられており、これらの取付穴10,11を用いて図13に示されるように釘やビス21等により支持材20に取付具5を取り付けることができる。
【0030】
各コの字状材27は、全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなり、したがって以下に説明するコの字状材27の各部は全て一体的に設けられている。各コの字状材27は、底部28と、一対の挟み片29,30とを有し、大略横断面コの字状とされている。前記底部28は細長い矩形状かつ平面状をなしており、基材26の平坦部25に全面的に接触された状態で基材26にスポット溶接等により取り付けられている。各挟み片29,30はそれぞれ底部28の幅方向両端から屈曲されて立ち上げられている。各挟み片29,30には、該挟み片29,30の一部を、該挟み片29,30の先端側が切り残されるようにして内側に切り起こしてなる大略矩形状の係合片31,32が適当数形成されている。前記係合片31,32は内側に凹となるように大略円弧状に若干湾曲されている。
【0031】
本参考例における被取付物1は、参考例2の場合と同様の建物の外装材(外壁材)、外装化粧板材等の大略平板状をなしたパネル状材であり、裏面側に1本の溝状の凹部4を設けられるとともに、この凹部4の両側に2本の突条33を設けられている。前記凹部4は、前記各参考例の場合と同様に入口部4a(開口部)より内部が広がった形状をなしている。前記突条33は横断面矩形状をなしており、したがって、突条33の両側面33a(後で説明するように係合片31,32が係合する係合面となる)は被取付物1の厚さ方向に広がる面となっている。
【0032】
本参考例においては、図13に示されるように、前記参考例2の場合と同様にして、山形部24の第一および第二の係合片18,19の先端側を各凹部4の内面のうちの内部に行くほど広がるように傾斜した部分に係合することができる。また、同時に相対的に突条33を挟み片29,30間において底部28側に向かって押し込むと、係合片31,32が突条33のエッジ部に押されて弾性変形し、係合片31,32の先端部が突条33の両側面33aに押圧されるようになる。ここにおいて、係合片31,32は支持材20から遠い側から近い側へと斜めに突出しているので、被取付物12が支持材20から離れる方向に移動されようとすると、係合片31,32の先端部が係合面6,7に一層食い込もうとするので、被取付物12は取付具5から離れる方向に移動できなくなる。
【0033】
このようにして、本参考例では、第一および第二の係合片18,19と凹部4との係合と、係合片31,32と突条33の両側面33aとの係合との両方により、被取付物1を取付具5を介して支持材20に確実に取り付けることができる。
【実施例1】
【0034】
図14〜20は本発明の実施例を示している。本実施例における被取付物1(図19および20参照)は前記参考例1に関して図7に示したものと同様の外装出隅材であり、入口部4a(開口部)より内部が広がった形状をなした凹部4を設けられている。
【0035】
図14〜18は本実施例における取付具5を示しており、全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなる。したがって以下に説明する取付具5の各部は全て一体的に設けられている。取付具5の取付具本体部6は1対の基部40,41と第一および第二の折り曲げ面7,8とを有している。前記1対の基部40,41は大略矩形状かつ平板状をなしており、外力を作用されない状態では互いに90度の挟角をなしている。これらの基部40,41には、それぞれ取付穴10,11が設けられている。前記第一および第二の折り曲げ面7,8は基部40,41間に設けられており、それぞれ基部40,41から折り曲げられた状態となっている。これらの第一および第二の折り曲げ面7,8は互いに鋭角の挟角をなして折り曲げられ、折り曲げ部9を形成している。ただし、前記折り曲げ部9は、第一および第二の折り曲げ面7,8の中央部のみを連続させており、第一の折り曲げ面7と第二の折り曲げ面8との間の両外側部分は切り込み42,43を設けられることにより非連続とされている。
【0036】
前記第一の折り曲げ面7は、2箇所においてその一部を、折り曲げ部9側が切り残されるようにして外側に切り起こされることにより、2つの第一の係合片44を設けられている。同様にして、前記第二の折り曲げ面8は、2箇所においてその一部を、折り曲げ部9側が切り残されるようにして外側に切り起こされることにより、2つの第二の係合片45を設けられている。前記第一および第二の係合片44,45は、それぞれ外側に凹となるように大略円弧状に若干湾曲されている。
【0037】
次に、図19および20を用いて本実施例における取付具5により被取付物1を支持材20(下地材)に取り付ける方法を説明する。まず、図19のように、取付穴10,11を用いて釘やビス21等により支持材20(下地材)に取付具5を取り付ける。
【0038】
しかる後に、矢印で示されるように被取付物1を取付具5に押し付けることにより、折り曲げ部9を凹部4の内部側に向かって相対的に押し込むと、第一および第二の係合片44,45は一旦凹部4の入口部4aに押されて内側に引っ込められるように弾性変位するが、凹部4の入口部4aを通過すると、弾性復元力により広がって該第一および第二の係合片44,45の先端側が図20のように凹部4の内面のうちの内部に行くほど広がるように傾斜した部分に当接して係合し、被取付物1が取付具5に取り付けられる。
【0039】
この取付具5においては、折り曲げ部9は第一および第二の折り曲げ面7,8の一部のみを連続させており、他の部分においては第一および第二の折り曲げ面7,8間は非連続とされているので、折り曲げ部9並びに第一および第二の折り曲げ面7,8は非常に弾性変形しやすくなっている。そして、第一および第二の係合片44,45は、第一および第二の折り曲げ面7,8の一部を切り起こすことにより形成されているので、折り曲げ部9並びに第一および第二の折り曲げ面7,8の弾性変形と、自身の弾性変形との両方により変位できるため、その弾性変位範囲を大きくすることができる。
【0040】
したがって、取付具5を先に支持材20に取り付けても、取付具5の折り曲げ部9を被取付物1の凹部4の内部に侵入させて、被取付物1を取付具5に取り付けることができる。また、第一および第二の係合片44,45が常に有効に凹部4の内面に弾性的に当接されて係合され、被取付物1が支持材20に確実に取り付けられるようにすることができる。
【0041】
なお、上記説明では、取付具5を先に支持材20に取り付けてから被取付物1を取付具5に取り付けているが、勿論、被取付物1に取付具5を取り付けてから取付具5を支持材20に取り付けることもできる。さらに、凹部4の長さ方向の開口端から第一および第二の係合片44,45を凹部4内に挿入して被取付物4を取付具5に取り付けることもできる。
【0042】
また、本発明において、外力が作用されていない状態における第一および第二の折り曲げ面7,8の挟角の大きさは必ずしも図面に示されている角度に限られることはない。また、折り曲げ部9が完全にU字状に折り曲げられ、第一および第二の折り曲げ面7,8が互いに平行となるようにしてもよい。また、前記実施例1では、第一および第二の折り曲げ面7,8がそれぞれ基本的に平面状となるようにされているが、本発明においては第一および第二の折り曲げ面が基本的には曲面状をなすようにしてもよい。
【実施例2】
【0043】
図21は本発明の実施例を示している。本実施例においても、取付具5は全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなり、したがって以下に説明する取付具5の各部は全て一体的に設けられている。
【0044】
取付具5の取付具本体部6は3つの山形部24と、これらの山形部24の間および両外側に設けられた4つの平坦部25とを有している。各山形部24には、それぞれ前記実施例の場合と同様の第一および第二の折り曲げ面7,8、折り曲げ部9、切り込み並びに第一および第二の係合片44,45が設けられている。両外側の平坦部25には、それぞれ取付穴(図示せず)が設けられており、これらの取付穴を用いて釘やビス21等により支持材20に取付具5を取り付けることができる。
【0045】
本実施例における被取付物1は、建物の外装材(外壁材)、外装化粧板材等の大略平板状をなしたパネル状材であり、裏面側に3本の溝状の凹部4を設けられており、これらの凹部4は入口部4a(開口部)より内部が広がった形状をなしている。
【0046】
本実施例においても、図14〜20の実施例の場合と同様にして、各山形部24の第一および第二の係合片44,45の先端側を各凹部4の内面のうちの内部に行くほど広がるように傾斜した部分に係合させ、被取付物1を取付具5を介して支持材20に取り付けることができる。
【実施例3】
【0047】
図22は本発明の実施例3を示している。本実施例は、参考例3と同様に本願発明者が前に特開2002−38694号において提案した取付具および取付構造の構造を併用したものである。本実施例においては、取付具5は基材26に2つのコの字状材27を取り付けてなる。
【0048】
前記基材26は、全体をバネ鋼板等の弾性に富む1枚の金属板をプレス加工してなり、したがって以下に説明する基材26の各部は全て一体的に設けられている。前記基材26は取付具本体部6を有しており、この取付具本体部6はさらに1つの山形部24と、これらの山形部24の両側に設けられた2つの平坦部25とを有している。前記山形部24には、前記実施例1および2の場合と同様の第一および第二の折り曲げ面7,8、折り曲げ部9、切り込み並びに第一および第二の係合片44,45が設けられている。各平坦部25には、それぞれ取付穴(図示せず)が設けられており、これらの取付穴を用いて釘やビス21等により支持材20に取付具5を取り付けることができる。各コの字状材27は、図12および13の参考例3のそれと同様のものである。
【0049】
本実施例における被取付物1は、実施例2の場合と同様の建物の外装材(外壁材)、外装化粧板材等の大略平板状をなしたパネル状材であり、裏面側に1本の溝状の凹部4を設けられるとともに、この凹部4の両側に2本の突条33を設けられている。
【0050】
本実施例においては、図12および13の参考例3の場合と同様にして、第一および第二の係合片44,45と凹部4との係合と、係合片31,32と突条33の両側面33aとの係合との両方により、被取付物1を取付具5を介して支持材20に確実に取り付けることができる。
【実施例4】
【0051】
図23〜25は本発明の実施例4を示している。本実施例においては、取付具5の素材となる金属板のうちの切り込み部42,43に対応する部分を切り捨てないで内側に切り起こすことにより、折り曲げ部9の両端部から第一および第二の折り曲げ面7,8間に斜め方向に延びる過大変形防止片46としている。他の構成は図14〜20の実施例1と同様である。
【0052】
本実施例においては、外力により折り曲げ部9の挟角が所定の大きさまでで小さくなると、過大変形防止片46が第一および第二の折り曲げ面7,8間に挟み付けられて折り曲げ部9のそれ以上の変形を制限する。したがって、折り曲げ部9が過大に変形し、永久変形を起こしたり、損傷したりするのを防止できる。

なお、本発明においては、前記各実施例に記載した以外の部材も被取付物とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように本発明による取付具は、各種被取付物を取り付ける取付具として有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 被取付物
4 凹部
4a 凹部の入口部
5 取付具
6 取付具本体部
7 第一の折り曲げ面
8 第二の折り曲げ面
9 折り曲げ部
12 第一の分離片
13 第二の分離片
18 第一の係合片
19 第二の係合片
20 支持材
42,43 切り込み
44 第一の係合片
45 第二の係合片
46 過大変形防止片


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部より内部が広がっている凹部を設けられた被取付物を支持材に取り付けるための取付具において、
弾性を有する金属板を加工してなり、前記支持材に取り付けられる取付具本体部と、この取付具本体部に設けられた、互いに折り曲げられて折り曲げ部を形成している第一および第二の折り曲げ面と、前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面との間に設けられ、前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面とを部分的に非連続とし、前記折り曲げ部が前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面とを部分的にのみ連続させるようにする切り込みと、前記第一の折り曲げ面の一部を前記折り曲げ部側が切り残されるようにして外側に切り起こされた第一の係合片と、前記第二の折り曲げ面の一部を前記折り曲げ部側が切り残されるようにして外側に切り起こされた第二の係合片とを有し、
前記折り曲げ部が相対的に前記凹部の入口部側から該凹部の内部側に向かって押し込まれて行くと、前記第一および第二の係合片が一旦前記凹部の入口部に押されて内側に引っ込められるように弾性変位するが、前記凹部の入口部を通過すると、前記第一および第二の係合片が弾性復元力により広がって該第一および第二の係合片の先端側が前記凹部の内面に当接するようになっている取付具。
【請求項2】
前記切り込みは、前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面との間の両外側部分を非連続とし、前記折り曲げ部が前記第一の折り曲げ面と前記第二の折り曲げ面とを中央部においてのみ連続させるようにしている請求項1記載の取付具。
【請求項3】
前記折り曲げ部の端部から前記第一および第二の折り曲げ面間に延び、前記第一および第二の折り曲げ面が互いに近づく方向に前記折り曲げ部が所定大きさまで変形されると、前記第一および第二の折り曲げ面に挟み付けられ、前記折り曲げ部のそれ以上の変形を制限する過大変形防止片をさらに有する請求項1または2記載の取付具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−133199(P2009−133199A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71172(P2009−71172)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【分割の表示】特願2004−88177(P2004−88177)の分割
【原出願日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(595042944)有限会社ユース北浦 (14)
【Fターム(参考)】