説明

取付孔の形成具

【課題】コンクリートの打設時に取付孔を簡便に形成することができる取付孔の形成具を提供する。
【解決手段】型枠60内に配置され、コンクリート65の打設後に取り外して支柱用の取付孔を形成する取付孔の形成具1において、取付孔64に対応する筒体2を複数に分割した分割片3と、芯材4と分割片3とを位置決めする位置決め手段19と、分割片3の当接部13を隣合う分割片3の他側内面に当接するように芯材4と分割片3との間隔を調整する棒体23と、筒体2の下部を塞ぐ蓋体とを備える。芯材4を内部に挿入し、位置決め手段19により分割片3,3・・・を筒状に配置し、棒体23により分割片3の他側内面に隣合う分割片3の当接部13を当接させて筒体2を組み立て、筒体2の下部を蓋体により塞いだ後、型枠61内に配置し、型枠61内にコンクリート65を打設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱を固定するための取付孔をコンクリート躯体に形成する取付孔の形成具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート躯体に支柱を取り付ける場合、躯体に取付孔を設け、この取付孔の底部にはアンカー筋に固定したアンカープレートを設け、このアンカープレートに支柱の下部を溶接した後、前記取付孔にモルタルを充填して行われる(例えば特許文献1)。
【0003】
上記の取付構造では、コンクリート躯体を形成した後、現場でドリルなどを用いて取付孔を形成する必要があり、作業性が悪いという問題がある。また、錆を防ぐためにモルタルを充填するが、経時的に、破損、ひび割れ等が発生する虞がある。
【0004】
また、前記特許文献1では、他の取付構造として、コンクリート躯体の上面には凹部を形成し、この凹部の内面にはスパイラルシースが埋設され、このスパイラルシースはアンカー筋に溶接され、前記凹部に支柱の下部を挿入すると共に、無収縮性モルタルを充填する構造が提案されている。
【0005】
そして、上記のようにシースを用い、溶接を不要とする構造が提案されており、これは例えば図15に示すように、シース管101に鍔部102を設け、そのシース管101の底部を塞ぐ底面部103にナット体104を設け、このナット体104に吊設棒105の下端を螺合すると共に、シース管101内に発泡スチロール106を挿入し、あるいはシース管101内に発泡ウレタンを充填し、型枠パネル107,107の上端間にセパレータ108を掛け渡し、このセパレータ108に前記吊設棒105の上端を連結して型枠内にシース管101を配置する。
【0006】
前記型枠パネル107,107にコンクリート109を充填し、コンクリート109を養生した後、吊設棒105を操作してナット体104から外し、さらに、セパレータ108を取り外し、内部の発泡スチロール106を取り出すことにより、シース管101内に支柱110の下部を挿入する挿入孔が形成され、そのシース管101内に支柱110の下部を挿入し、充填材を充填することにより支柱110を立設することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−13737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のシース管101を用いる構造では、コンクリート充填前の型枠内にシース管101を配置するから、コンクリート109の下からの侵入を防止するため、底面を塞ぐと共に、コンクリート109の上からの侵入を防止するため、内部に発泡材を充填するなどの作業の必要があり、発泡材の充填・取出作業が煩雑になるという問題がある。
【0009】
また、上記の方法では、シース管101内に支柱110の下部を挿入し、充填材を充填することにより支柱110を立設するから、シース管101が鋼製の場合、経時的に錆が発生する問題があり、鋼製以外の場合でも、コンクリート躯体と支柱110との間にシース管101が介在し、コンクリート109とシース管101の外面が接すると共にシース管101の内面と充填材とが接することになり、取付孔に直接モルタル等の充填材を充填する構造に比べて、耐久性に対する信頼性に劣る問題がある。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、コンクリートの打設時に取付孔を簡便に形成することができる取付孔の形成具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、型枠内に配置され、コンクリート打設後に取り外して支柱用の取付孔を形成する取付孔の形成具において、前記取付孔に対応する筒体を複数に分割した分割片と、前記分割片の一側に設けられ隣合う前記分割片の他側内面に当接する当接部と、前記筒体内に着脱自在に挿入される芯材と、この芯材と前記分割片とを位置決めする位置決め手段と、前記分割片の当接部を前記隣合う分割片の他側内面に当接するように前記芯材と前記分割片との間隔を調整する間隔調整手段と、前記筒体の下部を塞ぐ蓋体とを備えるものである。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、前記位置決め手段は、前記分割片の内面に設けられた分割片係合部と、前記芯材に設けられ前記分割片係合部に係合する芯材係合部とからなる。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、前記分割片係合部は、前記分割片の他側に設けられている。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、前記間隔調整手段は、前記分割片と前記芯材の間に設けられ長軸方向と短軸方向とが交差する断面形状を有する棒体である。
【0015】
また、請求項5に係る発明は、前記棒体は、前記長軸方向両側に円弧状部を有し、この円弧状部に対応して前記芯材に凹部を設けたものである。
【0016】
また、請求項6に係る発明は、前記蓋体を、前記分割片及び前期芯材と別体に設け、前記蓋体を引き抜く引き抜き手段を設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1の構成によれば、芯材を内部に挿入し、位置決め手段により分割片を筒状に配置し、間隔調整手段により分割片の他側内面に隣合う分割片の当接部を当接させて筒体を組み立て、筒体の下部を蓋体により塞いだ後、型枠内に配置し、型枠内にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化したら、間隔調整手段により前記当接を解除し、筒体内から芯材を引き抜き、筒体を縮小するようにして分割片をコンクリートから離し、分割片を引き抜き、必要に応じて蓋体を引き抜くことにより、コンクリート躯体に取付孔が形成される。この場合、形成具は組み立てて繰り返し使用することができる。
【0018】
また、請求項2の構成によれば、分割片係合部と芯材係合部との係合により、芯材と分割片とが位置決めされる。
【0019】
また、請求項3の構成によれば、分割片の他側を位置決めすることができる。
【0020】
また、請求項4の構成によれば、棒体を回すことにより、分割片と芯材との間隔を長軸方向の長さと短軸方向の長さに調整できる。
【0021】
また、請求項5の構成によれば、円弧状部により棒体を円滑に回動操作することができる。
【0022】
また、請求項6の構成によれば、引き抜き手段により蓋体を引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例1を示す使用状態の平面図である。
【図2】同上、調整手段を略90度回転した状態の平面図である。
【図3】同上、調整手段を引き抜いた状態の平面図である。
【図4】同上、芯材を引き抜いた状態の平面図である。
【図5】同上、蓋体回りの斜視図である。
【図6】同上、取付手段により型枠に取り付けた状態の断面図である。
【図7】同上、一部を断面にした取付手段の側面図である。
【図8】同上、取付手段の平面図である。
【図9】本発明の実施例2を示す取付手段により型枠に取り付けた状態の断面図である。
【図10】本発明の実施例3を示す使用状態の平面図である。
【図11】同上、調整手段を略90度回転した状態の平面図である。
【図12】同上、調整手段を引き抜いた状態の平面図である。
【図13】同上、芯材を引き抜いた状態の平面図である。
【図14】本発明の実施例4を示す蓋体回りの斜視図である。
【図15】従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な取付孔の形成具を採用することにより、従来にない取付孔の形成具が得られ、その取付孔の形成具と製造方法を夫々記述する。
【実施例1】
【0025】
以下、本発明の取付孔の形成具を添付図面を参照して説明する。図1〜図9は、本発明の実施例1を示し、同図に示すように、取付具1は、コンクリート躯体の取付孔64に対応する形状を有する筒体2を複数に分割した分割片3と、前記筒体2内に長さ方向から挿入する芯材4とを備える。
【0026】
この例では、前記筒体2及び芯材4は略方形をなし、前記分割片3はその筒体2を周方向で4分割した同一形状のものが用いられ、その分割片3は、直線部11の他側に湾曲部12を有すると共に、直線部11の一側に前記湾曲部12の内面に当接する当接部13を有する。前記当接部13と直線部11の間には該当接部13を内側に下げる段部14が形成され、当接部13の先端側にゴム丸棒からなる弾性水密部材たるパッキン15を装着する装着溝16を設け、この装着溝16に装着したパッキン15が前記湾曲部12の内面に当接する。
【0027】
前記分割片3の一側内面には、他側が開口した溝状の分割片係合部17が突設され、この分割片係合部17に係合する芯材係合部18が前記芯材4に突設されている。そして、分割片係合部17と芯材係合部18とにより位置決め手段19が構成され、分割片係合部17と芯材係合部18とが遊嵌状態で噛み合うことにより、芯材4に対して、分割片3の一側が位置決めされる。また、前記当接部13の内面側には、前記芯材4に当接する規制部20が設けられ、この規制部20が芯材4の外面に当接した状態で、分割片3の他側が取付孔64の位置より僅かに内側に位置する。
【0028】
前記芯材4には、前記分割片3の一側に対応して、略半円状の芯材凹部21が設けられ、この芯材凹部21に対応して、分割片3に分割片凹部22を設けている。そして、それら凹部21,22の間に、調整手段たる棒体23を長手方向から配置している。この棒体23は、断面円形の両側に平坦部24を形成することにより、それら平坦部24,24間が断面の短軸方向となり、円弧状部25,25間が長軸方向となり、図2に示すように、平坦部24,24を内外にして棒体23を挿入し、図1に示すように、棒体23を略90度回転することにより、凹部21,22間が棒体23の長軸方向寸法に対応した間隔となり、当接部13のパッキン15が分割片3の他側内面に圧接され、水密性が確保される。また、棒体23の上部は、筒体2から上部に突出し、工具係合部たる平坦部23Hにより棒体23を回転操作することができる。尚、前記芯材凹部21は棒体23の長手方向の寸法の2分の1にほぼ対応した半径を有する。
【0029】
また、この例では、前記筒体2及び芯材4をアルミニウム合金の押出成形品を用い、後述する突出部を除いて平面図に示す断面形状が長さ方向全長に連続する。尚、筒体2及び芯材4は、アルミニウム合金製に限らず、合成樹脂製や金属製など各種の材質のものを用いることができる。
【0030】
また、前記分割片3の外周には、その外周面から部分的に突出する突出部26をそれぞれ設け、この突出部26は直線部11の一側に設けられ、頭部が平坦なビス27により分割片3の直線部11に固定され、前記突出部26により取付孔64に凹部が形成される。尚、突出部26は筒体2の長さ方向において部分的に設けられ、また、外側に向かって小さくなる形状を有する。そして、前記突出部26により、前記取付孔64の周面に凹部を形成する凹部形成部を構成している。
【0031】
さらに、前記形成具1の下部には筒体2の下部を塞ぐ蓋体31が別体で設けられ、この蓋体31は筒体2より僅かに小さく形成されている。また、前記蓋体31の螺子孔32には、引き抜き手段たる全螺子ボルト33の下端が螺合され、この全螺子ボルト33の上部には工具係合部たる頭部34が設けられ、この頭部34は両側に平坦部が形成されている。尚、全螺子ボルト33は複数(2本)設けられている。
【0032】
前記形成具1は、取付手段41により、型枠に取り付けられる。図6に示す型枠61は、鋼製であり、型枠パネル62,62間にコンクリート63が充填され、それら型枠パネル62,62の上端には、水平方向の鍔部63,63が設けられている。前記取付手段41は、前記鍔部63に固定する縦方向の伸縮腕部42と、この伸縮腕部42の上部に固定する断面略L型の横腕部43とを備える。前記伸縮腕部42は、略L型の上腕部44と下腕部45とからなり、この下腕部45の水平方向をなす下辺45Uを、ボルトナットなどの締め具46により一方の前記鍔部63に固定し、それぞれ垂直方向をなす上腕部44の下辺44Sと下腕部45の上辺45Uとを重ね合わせ、上腕部44の上辺44Uと下腕部45の下辺45Sの一方に縦長な長孔47を穿設すると共に、他方に透孔48を穿設し、この例では、下腕部45の上辺45Uに前記長孔47を穿設し、前記長孔47と透孔48に挿通したボルト49にナットを螺合することにより、長穴47の寸法に対応した寸法だけ、伸縮腕部42の高さを調整可能としている。また、上腕部44の水平方向をなす上辺44Uに、前記横腕部43と交差方向の長孔50を穿設し、この長孔50に対応して、前記横腕部43には長手方向の長孔51を穿設し、それら長孔50,51に挿通したボルト52にナットを螺合することにより、伸縮腕部42に横腕部43を固定し、前記長孔50,51に対応して、横腕部43の取付位置を調整することができる。
【0033】
そして、前記横腕部43の先端側に前記棒体23と前記全螺子ボルト33を挿通する挿通孔34を穿設し、この挿通孔34を挿通した全螺子ボルト33を前記蓋体31の螺子孔32に螺合し、全螺子ボルト33の上部にナット36を螺合し、前記挿通孔35に挿通した棒体23を前記凹部21,22間に挿通する。この場合、図2に示すように、平坦部24を内外に向けた状態で、棒体23を挿入し、挿入後、棒体23を略90度回転することにより、円弧状部25,25が内外に向き、棒体23が分割片3を外側に押し、パッキン15が押圧された状態で湾曲部12の内面に圧接する。また、ナット36を回すことにより、蓋体31を筒体2の下端に密着させ、筒体2の下部を塞ぐ。このように形成具1の一部を型枠61内に配置した状態で固定する。また、取付手段41により、型枠61に対する形成具1の高さ及び位置を調整する。尚、全螺子ボルト33の上部及び棒体23の上部は、挿通孔25から上部に突出しておく。
【0034】
この後、型枠61内にコンクリート65を充填し、コンクリート65を養生したら、取付手段41を取り外す。そして、横腕部3から上部に突出した平坦部23Hを用いて、棒体23を略90度回転すると、図2に示すように、筒体2又は芯材4と棒体23との間に隙間が生じ、図3に示すように、棒体23を引き抜くことができ、図4のように、芯材4を上部に引き抜いた後、分割片3の他側を内側に押すことにより、コンクリート65から分割片3を離型することができ、離型後、分割片3を上に引き抜く。
【0035】
蓋体31を引き抜く場合は、全螺子ボルト33を螺合方向に回転することにより、全螺子ボルト33がコンクリート65を押して蓋体31がコンクリート65から離型する。この後、全螺子ボルト33と供に蓋体31を引き抜き、取付具1を取り外すことにより、コンクリート65に取付孔64が形成される。そして、この取付孔64に手摺などの支柱(図示せず)を挿入配置し、取付孔64に充填材を充填して支柱を固定する。尚、充填材としては、無収縮グラウト材やモルタルなどが例示され、支柱にはアルミニウム合金製のものが例示される。また、取付孔64内には、支柱の下部以外、他の金属部品や支柱取付用のアンカーなどを配置したり、溶接したりすることはないが、鉄筋などを配筋してもよい。
【0036】
このように本実施例では、請求項1に対応して、型枠60内に配置され、コンクリート65の打設後に取り外して支柱用の取付孔64を形成する取付孔の形成具において、取付孔64に対応する筒体2を複数に分割した分割片3と、分割片3の一側に設けられ隣合う分割片3の他側内面に当接する当接部13と、筒体2内に着脱自在に挿入される芯材4と、この芯材4と分割片3とを位置決めする位置決め手段19と、分割片3の当接部13を隣合う分割片3の他側内面に当接するように芯材4と分割片3との間隔を調整する間隔調整手段たる棒体23と、筒体2の下部を塞ぐ蓋体31とを備えるから、芯材4を内部に挿入し、位置決め手段19により分割片3,3・・・を筒状に配置し、棒体23により分割片3の他側内面に隣合う分割片3の当接部13を当接させて筒体2を組み立て、筒体2の下部を蓋体31により塞いだ後、型枠61内に配置し、型枠61内にコンクリート65を打設する。コンクリート65が硬化したら、棒体23により前記当接を解除し、筒体2内から芯材4を引き抜き、筒体2を縮小するようにして分割片3をコンクリート65から離し、分割片3を引き抜き、必要に応じて蓋体31を引き抜くことにより、コンクリート躯体に取付孔64が形成される。この場合、形成具1は組み立てて繰り返し使用することができる。
【0037】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、位置決め手段19は、分割片3の内面に設けられた分割片係合部17と、芯材4に設けられ分割片係合部17に係合する芯材係合部18とからなるから、分割片係合部17と芯材係合部18との係合により、芯材4と分割片3とを位置決めすることができる。
【0038】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、分割片係合部17は、分割片3の他側に設けられているから、分割片係合部17と芯材係合部18との係合により、芯材に分割片3の他側を位置決めすることができる。
【0039】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、間隔調整手段は、分割片3と芯材4の間に設けられ長軸方向と短軸方向とが交差する断面形状を有する棒体23であるから、棒体23を回すことにより、分割片3と芯材4との間隔を長軸方向の長さと短軸方向の長さに調整できる。
【0040】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、棒体23は、長軸方向両側に円弧状部25,25を有し、この円弧状部25に対応して芯材4の凹部たる芯材凹部21を設けたから、円弧状部25により棒体23を円滑に回動操作することができる。
【0041】
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、蓋体31を、分割片3及び芯材4と別体に設け、蓋体31を引き抜く引き抜き手段たる全螺子ボルト33を設けたから、全螺子ボルト33により蓋体31を引き抜くことができる。
【0042】
また、実施例上の効果として、芯材4が中空であるから、軽量で扱い易いものとなる。また、位置決め手段19が分割片3の一側で、当接部13及び分割片凹部22が分割片3の他側であるから、棒体23を操作することにより、分割片3の一側を支点とし、一側を内側に、他側を外側に移動せしめることができる。さらに、凹部形成部たる突出部26を分割片3に設けたから、取付孔64に凹部を形成でき、この凹部により取付孔64に充填した充填材65の取付孔64への密着性を向上することができる。また、取付手段は、型枠に対して、形成具1の高さ及び前後左右の位置を調整可能なものであるから、所定位置に所定深さの取付孔を形成することができる。
【実施例2】
【0043】
図9は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、木製の型枠61に形成具を固定する例を示し、この例の取付手段41は、中央に突出部71を有する横腕部43を用い、この横腕部43の両側を釘やビスなどの止着手段72により前記鍔部63,63に固定し、これにより取付具1を型枠61に固定する。
【0044】
このように本実施例においても、上記実施例と同様な作用・効果を奏し、この例の取付手段41は、両側を両側の鍔部63,63に固定するから安定したものとなる。
【実施例3】
【0045】
図10〜図13は、本発明の実施例3を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、断面円形の取付孔64を形成する取付具1Aを示し、筒体2及び芯材4がほぼ円形で、分割片3は全体が円弧状をなし、装着溝16に装着したパッキン15が分割片3の他側内面に当接し、隣り合う当接部13,13間のほぼ中央に前記凹部21,22が配置されている。
【0046】
この例においても、上記実施例と同様に型枠61内に取付具1Aを挿入配置して取付手段41により位置固定し、コンクリート65を養生した後、棒体23を引き抜き、芯材4を引き抜く。この場合、図12に示すように、芯材4を回すことにより、係合部17,18の係合を解除することができるから、係合解除後、芯材4をスムーズに引き上げることができる。
【実施例4】
【0047】
図14は、本発明の実施例4を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例は、前記蓋体31に針金などからなるU字型線材37を設け、このU字型線材37により引き抜き手段を構成している。
【0048】
このように本実施例においても、上記各実施例と同様な作用・効果を奏し、この例では、U字型線材37により蓋体31を引き上げ易いものとなる。
【0049】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例3の略円形を成す筒体の外周に、突出部を設けてもよい。また、突出部は筒体の長さ方向に間隔を置いて複数設けることができる。さらに、分割片凹部は、分割片の肉厚を内面側に僅かに大きくした部分に形成してもよい。また、引き抜き手段は、必ずしも全長に螺子部を設けた全螺子ボルトを用いる必要はなく、螺子孔32とナット36が螺合する部分に雄螺子部を有する棒状体であればよい。さらに、筒体は略正方形と円形に限らず、各種の多角形や楕円形などでもよい。また、取付孔の上部には、コーキング材を充填してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 取付具
2 筒体
3 分割片
4 芯材
13 当接部
17 分割片係合部
18 芯材係合部
19 位置決め手段
23 棒体(調整手段)
31 蓋体
33 全螺子ボルト(引き上げ手段)
37 U字型線材(引き抜き手段)
41 取付手段
42 伸縮腕部
43 横腕部
44 上腕部
61 型枠
62 型枠パネル
63 鍔部
64 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠内に配置され、コンクリート打設後に取り外して支柱用の取付孔を形成する取付孔の形成具において、前記取付孔に対応する筒体を複数に分割した分割片と、前記分割片の一側に設けられ隣合う前記分割片の他側内面に当接する当接部と、前記筒体内に着脱自在に挿入される芯材と、この芯材と前記分割片とを位置決めする位置決め手段と、前記分割片の当接部を前記隣合う分割片の他側内面に当接するように前記芯材と前記分割片との間隔を調整する間隔調整手段と、前記筒体の下部を塞ぐ蓋体とを備えることを特徴とする取付孔の形成具。
【請求項2】
前記位置決め手段は、前記分割片の内面に設けられた分割片係合部と、前記芯材に設けられ前記分割片係合部に係合する芯材係合部とからなることを特徴とする請求項1記載の取付孔の形成具。
【請求項3】
前記分割片係合部は、前記分割片の他側に設けられていることを特徴とする請求項2記載の取付孔の形成具。
【請求項4】
前記間隔調整手段は、前記分割片と前記芯材の間に設けられ長軸方向と短軸方向とが交差する断面形状を有する棒体であることを特徴とする請求項3記載の取付孔の形成具。
【請求項5】
前記棒体は、前記長軸方向両側に円弧状部を有し、この円弧状部に対応して前記芯材に凹部を設けたことを特徴とする請求項4記載の取付孔の形成具。
【請求項6】
前記蓋体を、前記分割片及び前期芯材と別体に設け、前記蓋体を引き抜く引き抜き手段を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の取付孔の形成具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−174601(P2010−174601A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22027(P2009−22027)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(592018294)トライエンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】