取付装置および取付方法
【課題】締付子の締め付け作業を簡便に行える取付装置を提供する。
【解決手段】取付装置1は、被取付物100の外枠103の外面側に当接する当接面21aと、前記当接面21aより突出し、前記外枠に形成された取付孔103aを挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部25とを有する取付基体2と、前記フック部25と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体2を前記外枠103に固定する固定子3と、前記取付基体2に取り付けられ、前記パネル201裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子4と、から構成されている。
【解決手段】取付装置1は、被取付物100の外枠103の外面側に当接する当接面21aと、前記当接面21aより突出し、前記外枠に形成された取付孔103aを挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部25とを有する取付基体2と、前記フック部25と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体2を前記外枠103に固定する固定子3と、前記取付基体2に取り付けられ、前記パネル201裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子4と、から構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器、ディスプレイ装置等の被取付物を、制御盤などのパネルの開口部に取り付ける取付装置に関し、特にフランジ付きの外枠をパネルの開口部に嵌入して使用される被取付物を固定するのに好適な取付装置およびその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、従来のプログラマブル表示器の取付装置の一例を図9〜図12を用いて説明する。なお、プログラマブル表示器は、機械製造、プラントなどの生産ラインにおける機械や設備をコントロールするコンピュータ機能を有する電子式操作表示装置で、生産現場の制御盤のパネルなどに取り付けて使用されるものである。
【0003】
さて、図9はプログラマブル表示器100が制御盤200の正面パネル201の開口部202(破線で囲まれる部分)に嵌入されて固定された状態の一例を示す概略平面図である。図10は、プログラマブル表示器と制御盤の正面パネルとの関係を示す図で、図9のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図である。
【0004】
図9において、プログラマブル表示器100はその外形が略直方体形状に形成され、表示部101が外側から見えるように、制御盤200の正面パネル201に設けられる平面視略矩形上の開口部202(図9の破線で囲まれる部分が該当する)に、図10に示すように外枠103が嵌め込まれている。プログラマブル表示器100の表示部101側(正面側)には、外枠103の額縁状のフランジ部102が設けられている。このフランジ部102は、正面パネル201の正面側からプログラマブル表示器100を開口部202に挿入した場合に、開口部202内に入りこむことなく、正面パネル201の外側に当接するように設けられている。すなわち、このフランジ部102は、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202に装着する際にストッパーとして機能する。
【0005】
なお、フランジ部102の裏側にはシール部材104を嵌め込むための溝102aが額縁状に形成されている。この溝102aにシール部材104を嵌め込んだ状態とし、フランジ部102を正面パネル201に対して締め付けて固定すると、制御盤200内に、埃、水、油、薬品等が進入するのを防ぐことができる。
【0006】
前記プログラマブル表示器100の制御盤200内部側に入り込んだ外枠103(図10参照)には、複数の横長の長方形状の取付孔103aが所定の箇所に形成されている。この取付孔103aは、プログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に締め付けて固定する際に使用される。
【0007】
従来、この取付孔103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する方法としては、例えば金属や樹脂製の取付基体とねじの2部品から構成される取付装置を用いている(ねじ方式)。
【0008】
図11は、プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する従来の取付装置の一例を示す斜視図である。図12は、図11に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する場合の一例を説明するための図である。なお、図12は、図10のY−Y位置における断面に相当する。ただし、図10では取付装置は省略されている。
【0009】
図11に示すように、この従来の取付装置300は、U字状の取付基体400と、そのベース部400aに形成されたねじ孔400eに螺合されるねじ500との2部品構成である。取付基体400は、型抜きした板金の曲げ加工等で作製され、ベース部400aに対して両サイド部400b,400cを略直角に起こして形成されている。U字であるベース部400aおよびサイド部400b,400cの前端は一つの面を構成し、ベース部400aには、この面に対して略直角方向に突出するフック部400dを一体的に形成している。フック部400dは、先端に、サイド部400b,400cのベース部400aに対する起立側(図11では上側)と同じ側であって、サイド部400b、400cの面と直交する方向に面をなして屈曲された係止爪400fを有する。
【0010】
上記のように構成される取付装置300を用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する手順を説明する。図12に示すように、取付基体400のサイド部400b,400cの前端を外枠103に沿わせながら、フック部400dを上述した取付孔103a内に挿入して、係止爪400fを取付孔103aの上縁P(フランジ部102とは反対側の辺縁)に引っ掛ける。この状態において、ねじ500のねじ溝500aを用いてドライバにより当該ねじ500をねじ込んで下方に移動させ、ねじ500の先端500b(図12では下端)を正面パネル201(より正確には正面パネル201の裏面)に押し付ける。これにより、フック部400dも、取付孔103aの上縁Pに押し付けられるので、取付基体400も当該位置に機械的に固定される。
【0011】
この取付状態において、取付基体400は、ねじ500の軸方向に所定の高さ(図12ではD3で示す)を有するサイド部400b,400cが外枠103外面に当接し、ねじ500の軸を安定させるための土台として機能する。
【0012】
以上により、プログラマブル表示器100のフランジ部102が正面パネル201に締め付け固定される。この取付装置300を用いた固定を複数箇所(例えば外枠103の長辺の両端近傍等)で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと取付られる。
【0013】
図13は、プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する従来の取付装置の他の例を示す斜視図である。図14は、図13に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図である。なお、図14は、図10のY−Y位置における断面に相当する。ただし、図10では取付装置は省略されている。
【0014】
図13に示すように、この従来の取付装置600は、取付基体700とねじ800の2部品構成である。取付基体700は、樹脂成形等で作製され、平面視略D形状の柱状部700aと、その平坦面を両側に拡大する張り出し部700b,700cと、平坦面に対して略直角方向に柱状部700aと反対側に突設されたフック部700d,700eとから構成されている。フック部700d,700eは柱状部700aの軸方向に間隔をあけて突出している。フック部700d,700eは、先端に、両方とも同じ側(図13では上側)に屈曲された係止爪を有する。柱状部700aにはねじ孔700fが軸方向に貫通しており、ここにねじ800が螺合されている(正確にはねじ孔700fに埋め込まれた長尺ナット900(図14参照)に螺合される)。
【0015】
上記のように構成される取付装置600を用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する手順を説明する。図14に示すように、取付基体700のフック部700d,700eを上述した取付孔103a(この例では上下に2つ形成してある)内に夫々挿入して、その上縁に引っ掛けて、ねじ800のねじ溝800aを用いてドライバにより当該ねじ800をねじ込んで、ねじ800の先端800b(図14では下端)を正面パネル201(より正確には正面パネル201の裏面)に押し付ける。これにより、プログラマブル表示器100のフランジ部102が正面パネル201に締め付けられる。この取付装置600を用いた固定を複数箇所(例えば四隅等)で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【0016】
上記取付孔103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する他の方式として、特許文献1に開示される同面取付具用締め付け装置を用いる方式(圧縮コイルばね方式)がある。この圧縮コイルばね方式では、締め付け装置に設けられるフックを被取付物の側面に設けられたスロットに挿入して被取付具の側面に引っ掛けて、圧縮コイルばねの弾性力を利用して被取付物のエッジをパネルに締め付ける。ねじ方式の場合と同様に、この締め付け装置を用いた固定を複数箇所で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3833270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の取付装置300(図11参照)は、取付基体400のフック部400dをプログラマブル表示器100の外枠103に係止させるに当たり、取付基体400のフック部400dの係止爪400fを取付孔103aに挿入し、その上縁Pに引っ掛ける。つまり、フック部400dは係止爪400fから先に挿入する必要があるので、取付孔103aに、係止爪400fの高さを考慮した孔径(図12ではD2で示す)を設定しなければならない。このため、フック部400dは取付孔103aに遊嵌しているだけであり、ねじ締め作業を行っている間、取付基体400から手を離すと取付装置300が外枠103から脱落してしまうおそれがある。よって、脱落を防ぐためにフック部400dが取付孔103aの上縁に圧接されるまで、取付基体400を手で支えながらねじ締め作業を行わなければならない煩わしさがあった。
【0019】
なお、図10では、正面パネル201が水平に置かれている状態になっているが、正面パネル201が垂直の状態で取り付け作業をすることも多く、その場合には、取付基体400を脱落しないように支持することが必要で、取付作業の効率性を更に悪くしている。
【0020】
また、ねじ方式によって強固な固定力を得るためにはある程度の強いトルクを掛けてねじ締めを行う必要がある。ねじ500の締め付け力は、ねじ500の先端500bを作用部位(図12では点Tで示す)としてねじ500の軸方向に作用するが、ねじ方式の場合、ねじ500の軸上にフック部400dの係止部位(図12では点Pで示す)が位置しないので、図12に白抜き矢印で示すように、係止部位Pを中心として作用部位Tに回転モーメントが働く。しかも、フック部400dはフランジ部102から見て取付孔103aの遠い方の辺縁(図12では上縁)に係止されるため、回転モーメントの半径(図12ではRで示す)が比較的長く、ねじ500の作用部位Tに働く回転モーメントも大きくなっている。
【0021】
従って、この回転モーメントに対抗するために、取付基体400をプログラマブル表示器100の外枠103に当接させ、取付基体400のサイド部400a,400bの高さ寸法(図12ではD3で示す)を長く設定して、ねじ500の軸が白抜き矢印方向に傾くことを阻止している。つまり、サイド部400a,400bの高さ寸法は、前記回転モーメントの大きさに対応している。この結果、外枠103の高さD4は、フランジ部102から取付孔103aの下縁までの距離(図12ではD1で示す)、取付孔103aの縦方向の孔径D2、及びサイド部400a,400bの高さD3を加算した寸法以上を必要とする(すなわち、D4≧D1+D3+D2)。
【0022】
前記フランジ部102から取付孔103aの下縁までの距離(図12ではD1で示す)は正面パネル201の厚みやシール部材104、フランジ部102自体の厚みの関係からほぼ一定であり、取付孔103aの孔径も係止爪400fの高さ及び、フック部400d自体の厚みを考慮すると、その寸法を短くするのは困難である。
【0023】
従って、従来の取付装置300を用いる場合、外枠103の高さD4の寸法を短くすることは困難であり、プログラマブル表示器100の薄型化が出来ないという問題があった。
【0024】
上記のような課題は、ねじ方式の他の例である取付装置600(図13参照)を用いる場合にも共通している。特に、この取付装置600を用いる場合は、図14に示すように、取付基体700が互いに間隔を空けて設けられる2つのフック部700d,700eでプログラマブル表示器100の外枠103に係止されるので、外枠103に取付孔103aを2つ加工しなければならず、しかもこの上下取付孔の間隔が余分に外枠寸法を高くするので、プログラマブル表示器100の薄型化が困難である。
【0025】
また、特許文献1に開示される圧縮コイルばね方式を用いた締め付け装置は、そのサイズが大きくなるので、薄型化の要請に対応し難い問題がある。
【0026】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、パネルの開口部に被取付物の外枠を嵌入し、該被取付物のフランジ部を前記パネルに締め付けて固定する取付装置において、被取付物の薄型化を可能にし、しかも安定した締め付け力が得られる取付装置を提供することを目的とする。また、本発明は、パネルの開口部に挿入して使用される被取付物のフランジ部をパネルに簡便に締め付けて、被取付物をパネルに固定することができる取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために本発明の取付装置は、パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入した状態において、当該外枠に形成された取付孔に取り付けられ、前記フランジを前記開口部周辺のパネルに締め付けることにより、前記被取付物を前記パネルに固定する取付装置において、前記外枠の外面側に当接する当接面と、前記当接面より突出し、前記取付孔を挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部とを有する取付基体と、前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体を前記外枠に固定する固定子と、前記取付基体に取り付けられ、前記パネル裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子と、から構成されている。
【0028】
この構成によると、取付基体のフック部は、外枠の取付孔のフランジ部側の辺縁に係止されるので、取付基体は従来に比して取付孔の寸法分フランジ部側に近接して固定することが出来る。従って、外枠の奥行きもその分短くすることが出来るので、被取付物の薄型化を図ることが出来る。
【0029】
また、締付子の先端とフック部の係止位置との距離も従来と比べて短くなるので、パネルを圧接する締付子の先端部が外枠から外れる方向に働く力(回転モーメント)が小さくなり、安定した取り付けが出来る。
【0030】
しかも、前記回転モーメントが小さくなる分、当該回転モーメントによる外れを阻止するために、外枠に当接させる取付基体の長さも短く出来るので、外枠の奥行きを更に短くすることが可能となり、その分、薄型化を促進することが出来る。
【0031】
更に、取付基体を外枠に取り付けるに当って、フック部を取付孔に挿通させ、さらに固定子を押し入れることによって簡単に固定ができるので、締付子を締め付ける作業中、従来のように取付基体を手で支持するなどの動作が不要となり、取り付け作業が容易となる。
【0032】
また、本発明は、前記固定子が前記取付基体に対して移動可能に取付けられている。更に、前記固定子は、取付基体外に位置する基盤部と、この基盤部から突設され、前記取付基体内に挿通された突起部とからなり、前記突起部の先端部は少なくとも前記フック部上部を移動可能としたことを特徴としている。
【0033】
この構成によると、前記固定子が前記取付基体に取り付けられているので、取付作業時に、当該固定子、取付基体を別々に用意する必要がなく、当該両者の数合わせをする作業も不要となる。
【0034】
また、取付基体外の基盤部を操作するだけで、突起部の先端部を外枠の取付孔に圧入することが出来るので、取付装置の外枠への固定が簡単である。
【0035】
また、前記固定子の突起部の先端部は、前記外枠の取付孔の辺縁に当接する側に、テーパが形成されていることを特徴とする。
【0036】
この構成によると、フック部だけが取付孔に挿入された状態では、取付基体が固定されていないため当該フック部の取付孔内での位置が不安定で、突起部を圧入する隙間の寸法が小さくなる方向に変動する。従って、突起部の先端にテーパがないと、先端部をその隙間に挿入することに手間取る。しかし、先端部にテーパが形成されているので、隙間寸法が小さくなる方向に少々変動しても、先端部の寸法は遥かに小さいので、挿入が容易に行え、挿入に従ってフック部を取付孔のフランジ部側の辺縁に押し付け、取付基体を容易に固定することが出来る。
【0037】
また、パネルと被取付物のフランジ部との間に挟むシール部材の厚みなどで、外枠の取付孔のフランジ部側の辺縁よりもパネル裏面が少し浮いている場合、取付孔の開口寸法が見かけ上小さくなるので、フック部の後に突起部を挿入する際には、隙間寸法も小さくなる。しかし、テーパがあるので、先端の挿入は容易であり、挿通に従ってテーパの作用でシール部材を圧縮しながら隙間を押し広げ、フック部を取付孔のフランジ部側の辺縁に押し付けることが出来る。
【0038】
また、本発明は、前記突起部の先端部側に、前記取付基体の当接面に前記突起部が係脱自在に係合するストッパーを突設したことを特徴としている。
【0039】
この構成によると、固定子の突起部の先端部が前記取付基体の当接面に係合しているので、当該固定子の動きが規制される。よって、取付基体の固定を確実に行える。また、ストッパーは係脱自在であるため、固定子を抜く方向に移動させれば、突起部の先端部が外枠の取付孔から離脱するため、取付装置を外枠から取り外すことが可能となる。
【0040】
また、本発明は、上記構成の取付装置において、前記取付基体のフック部に、前記固定子の突起部の摺動を案内する案内壁部が形成されたことを特徴としている。この構成によると、固定子の突起部を案内壁部に沿って確実に案内できる。
【0041】
また、上記構成の取付装置において、前記固定子は一対の前記突起部を有し、前記締付子を挟んで前記取付基体に挿通されていることを特徴としている。この構成によると、締付子を挟んで、突起部を対称に設けることができるので、固定子の取付基体への安定した取付が可能となる。
【0042】
また、本発明は、上記構成の取付装置において、前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置から抜ける方向に前記突起部が移動することを防止する抜け止め機構を設けたことを特徴としている。
【0043】
この構成によると、固定子が取付基体から抜けることが防止されるので、取付作業の途中で固定子が脱落したり、固定子が紛失するなどの不都合がない。特に、前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置で固定子が止まるので、固定子の調整が容易であり、取付作業が促進される。
【0044】
また、前記抜け止め機構は、前記取付基体の前記フック部とは反対側に突設された抜け止めフック部と、当該抜け止めフック部に係合可能に前記突起部に突設された抜け止め係止部と、を具備することを特徴としている。この構成によると、固定子の抜け止め位置が取付基体の外部にあるので、抜け止めフック部から固定子を外して抜き出す操作が容易となる。
【0045】
上記のように構成された取付装置を用いれば、前記パネルの開口部に嵌入された前記被取付物の外枠の取付孔の前記フランジ部側の辺縁に前記取付基体のフック部を係止するステップと、固定子を前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入して前記取付基体を前記外枠に固定するステップと、前記被取付物のフランジ部側に対して前記締付子を移動させ、該締付子を前記パネルの裏側に厚接させて前記パネルを前記フランジ部で締め付けるステップとを実行することで、パネルの開口部に嵌入して使用される被取付物のフランジ部を、前記パネルに簡便に締め付けることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、被取付物を薄型化することが出来る。また、取付基体を手で支えなくても取付装置が外枠から脱落するおそれがないため、締付子の締め付け作業を簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の取付装置を、取付基体の前面と左側面が手前に位置するように置いて上方から見た分解斜視図
【図2】本実施形態の取付装置を、取付基体の後面と左側面が手前に位置するように置いて上方から見た分解斜視図
【図3】本実施形態の取付装置の取付基体を示す正面図
【図4】本実施形態の取付装置の取付基体を示す図1のA−A位置における断面図
【図5】本実施形態の取付装置の固定子を示す図1のB−B位置における断面図
【図6】本実施形態の取付装置の取付基体と固定子を上下に並べて前方から見た図であり、特に取付基体を図1におけるC−C位置における断面図で示すもの
【図7】本実施形態の取付装置の取付基体と固定子を左右に並べて上方から見た図であり、特に取付基体を図3におけるD−D位置における断面図で示すもの
【図8】本実施形態の取付装置を用いてプログラマブル表示器のフランジを正面パネルに締め付ける手順を説明するための図
【図9】プログラマブル表示器が制御盤の正面パネルの開口部に挿入されて固定された状態の一例を示す概略平面図
【図10】図9のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図
【図11】プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する従来の取付装置の一例を示す斜視図
【図12】図11に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図
【図13】プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する従来の取付装置の他の例を示す斜視図
【図14】図13に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に本発明の取付装置の実施形態を図1〜図8を参照しながら説明する。
【0049】
本実施形態の取付装置1は、図1、図2に示すように、大きくは、硬質樹脂成形品である取付基体2、この取付基体2に対して移動可能に取付けられる同樹脂製の固定子3、およびねじ(締付子)4の3部品から構成されている。
【0050】
図1、図2、図3に示すように、取付基体2は、基本的には平面形状略台形状のブロック型の本体部21と、この本体部21の前面21a、後面21bから夫々本体部21と一体に突設されたフック部25、抜け止めフック部26とから構成されている。前記本体部21の前面21aは被取付物であるプログラマブル表示器100の外枠103の外面側に当接する当接面となるものである。本体部21の下面は、図3、図4に示すように略水平な面であり、前後面21a,21b、両側面21c,21dはこの下面に対して垂直に立った面となっている。本体部21の前、後面21a,21bは、夫々全体が平面に形成されていて、前面21aが後面21bよりも幅方向に長く、本体部21の両側面21c,21dは、図7に示すようにほぼ中央で屈曲されて後面21bに連なる緩やかなテーパ面に形成されている。
【0051】
また、本体部21の上面は、図3に示すように、前面21aから後面21bにかけて略半分が平面で残り略半分が緩やかな下りテーパ面に形成されている。これによって、本体部21の外形の幅寸法および高さ(上下)寸法は、いずれも前面21aで最大、後面21bで最小となる(図3参照)。また、本体部21の外形を上から見た平面形状は、後面21bおよび前面21aのラインをそれぞれ上底および下底とし、両側面21c,21dのラインをそれぞれ脚とした略等脚台形状となっている(例えば、図7参照)。
【0052】
本体部21の上面の中央部には、図1、図2、図4に示されるように後面21bの上端まで凹んだ凹部21eが形成されている。そして、この凹部21eの大部分を占めて円形のねじ孔24が凹部21eの側壁を一部えぐる形で上下に貫通している。このねじ孔24は、ねじ4を取り付けるための孔である。ねじ孔24は、図4に示すように、上方略半分がねじ頭4aに対応する大きな径の孔であり、残り半分がねじ溝部4bに対応する小さな径の孔である。小径の孔には、ナット29が埋め込まれており、ここにねじ4を螺合して取付けることができる。大径の上部の穴は、ねじ4をナット29にねじ込んでいったときに、ねじ4の頭部を収めることのできる大きさである。
【0053】
また、本体部21の前面21aの下部に水平方向に突出したフック部25は、先端に略垂直下方へ突出する係止爪25aを有し、プログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aに係止される。従って、フック部25の突出長Fは外枠103の厚みとほぼ同じとなっている。
一方、抜け止めフック部26は、図3に示すように先端に略垂直上方へ突出する爪26aを有し、後述する固定子3が取付基体2から脱落するのを防ぐものである。
【0054】
また、取付基体2は、本体部21の前後面間を貫通する2つの摺動孔22、23が水平方向に間隔を空けて形成されている。摺動孔22,23は図2に示すように断面矩形のトンネル状の孔(例えば、図6、図7参照)であり、後述する固定子3の突起部32,33をそれぞれ挿通させるための孔である。摺動孔22,23の下面は、図6に示すように一方は、フック部25の上面と面一に繋がり、他方は、抜け止めフック部26の上面(つまり、爪26aのある側)と面一に繋がっている。なお、フック部25の上面の摺動孔22,23に挟まれた部分は、図1に示すように前記の面一の面から一段高く隆起して案内壁部25bとなっている。この案内壁部25bはその切り立った壁面で後述する固定子3の摺動を確実に案内するものである。
【0055】
なお、2つの摺動孔22,23に対応して、後述する固定子3にも2つの突起部32,33を設けることによって、固定子3の取付基体2への安定した取付が可能となる。なお、2つの摺動孔22,23の間隔は、ねじ孔24の外径よりも大きく、この摺動孔22,23の間にねじ孔24が上下に形成されている。
【0056】
さて、固定子3は、図1,図2に示すように平板状をなす基盤部31、および基盤部31の裏面(取付基体2への当接面)31aから同方向に突出する2つの突起部32,33を有し、前記取付基体2の摺動孔22,23に前記突起部32,33が挿入され、当該取付基体2を取付孔103aに固定するために用いられる。この突起部32,33の間隔は、外枠103に形成された長方形状の取付孔103aに同時に挿通される程度の長さで、当該取付孔103aの長辺より少し短めとなっている。また、前記突起部32,33は、ねじ4を挟んで取付基体2の摺動穴22,23に挿通されており、これによると、ねじ4を挟んで、突起部32,33を対称に設けることができるので、固定子3の取付基体2への安定した取付が可能となる。
【0057】
前記基盤部31の両側面31c,31dは、表面31bから裏面31aにかけて丸みを帯びたテーパ面となっている。これによって、基盤部31の表裏面の幅方向の寸法は裏面31aの方が小さく、平面視略等脚台形状となっている。この台形は、図7に示すように取付基体2の本体部21の外形の台形とは逆向き(つまり、上底同士で向き合う)の配置となっている。このような基盤部31の外形は、表面31bを指で押すのに適すると同時に、親指と人差し指で両側面31c,31dを把持するのにも適した形状であり、また、取付基体2と固定子3を組み合わせたとき、両者の突き当て部周辺が窪んだ形となり、その窪みは親指と人差し指で基盤部31を把持するのに好適となる。
【0058】
突起部32,33は基本的に角棒形状であるが、先端部上面に下向きのテーパ32a,33aが形成されている。また、このテーパ32a,33aに近接した突起部32、突起部33のそれぞれの対向する面の裏面には、図7に示すように、摺動孔22,23の前面21a側に係合するストッパー32b,33bがそれぞれ突設されている。このストッパー32b,33bは、挿通方向にテーパを有する略二等辺三角形の突起で形成されている。即ち、ストッパー32b,33bの突起部32,33の先端側(図7において右側)のテーパは、突起部32,33を摺動孔22,23へ挿入する際にストッパー32b,33bが摺動孔32,33の後面31b側の壁に引っ掛かるのを防いでいる。また、ストッパー32b,33bの突起部32、33の根本側(図7において左側)のテーパは、ストッパー32b,33bと摺動孔22,23の前面21a側との係合を解除することを可能とする(すなわち、係脱自在とする)ものである。
【0059】
更に、突起部32,33の下面には、根本に近い部分に、図2、図5、図6に示すように抜け止めフック部26の爪26aに係止される直角三角形状の抜け止め係止部32c,33cが突設されている。抜け止め係止部32c,33cは、突起部32,33の先端側(図5、図6において右側)にテーパが形成されているため、突起部32,33を挿入する際には爪26aは乗り越えられるが、抜き出す際には爪26aに係合する。すなわち、固定子3と取付基体2が分離された状態(図1、図2参照)から、固定子3の突起部32,33を取付基体2の摺動孔22,23に挿入していくと、抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aを乗り越えて、突起部32,33を摺動孔22,23に挿通することができる。しかし、一旦挿通されると突起部32,33を抜き出そうとしても抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aに引っ掛かって抜き出すことはできなくなる。これにより、固定子3は、脱落が防止された状態で取付基体2に取り付けられることになり、固定子3を紛失する心配がない。
【0060】
ここで、基盤部31の下部には、図2に示すように、抜け止めフック部26に対応する形状の切欠部34が形成されている。この切欠部34があることによって、基盤部31を取付基体2の本体部21へ向けて押し込む際に、抜け止めフック部26に当たることなく、取付基体2の後面21bに押し当てることが出来る。従って、上述した固定子3の抜け止め機構をコンパクトに構成できる。
【0061】
なお、固定子3は取付基体2から取り外すことができるようにしておく方が何かと都合が良い。このため、突起部32,33は、図5に示すように先端部の上下方向の厚み寸法を大きくし、残りの胴体部は厚み寸法を抑えた形状とし、胴体部に若干の弾性を与えて上下方向に変形可能とすることにより、抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aに係止した場合に、それを外せるようにしている。つまり、突起部32,33の胴体部の上下方向の厚みの寸法が少し小さいことで、固定子3を少し引き出した際に摺動孔22,23との間に若干の上下の遊びができ、且つ上記の弾性変形があることにより、抜け止め係止部32c,33cを抜け止めフック26の爪26aの上方まで持ち上げて外すことが可能となる。なお、抜け止め係止部32c,33cは、先端部に比べて上下方向の厚みが不足する突起部32,33の胴体部を摺動孔22,23内でがたつかないように上方に持ち上げる役割も果たしている。
【0062】
次に、以上のように構成される取付装置1の作用効果について説明する。ここで、図9、図10で示した制御盤200の正面パネル201にプログラマブル表示器100を固定する例において、図11〜図14で示した従来の取付装置300,600に代えて、本実施形態の取付装置1を用いる場合を例に説明する。すなわち、制御盤200の正面パネル201の開口部202に嵌入して使用されるプログラマブル表示器100(本発明の被取付物の一例)のフランジ部102を、取付装置1を用いて正面パネル201に締め付けて、プログラマブル表示器100を正面パネル201に固定する場合を例に説明する。なお、制御盤200およびプログラマブル表示器100の構成は、先に説明したのと同様であるので、その説明は省略する。
【0063】
図8は、本実施形態の取付装置を用いてプログラマブル表示器100のフランジ102を正面パネル201に締め付ける手順を説明するための図である。図8(a),(b),(c),(d)の順で、取付装置1による締め付けが進められる。
【0064】
図8(a)において、取付装置1は、取付基体2のナット部29にねじ4が螺合され、その先端部4cが取付基体2の底面とほぼ面一の状態に取り付けられている。なお、先端部4cの端面は、ほぼ水平の平面となっている。また、固定子3は、突起部32,33が取付基体2の摺動孔22,23に挿入され、突起部32,33のそれぞれに突設された抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック部26の爪26aに係合した状態で、その先端部が取付基体2の前面21aと略面一の状態に取り付けられている。
【0065】
この状態において、正面パネル201にプログラマブル表示器100を固定する場合、まず、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202(図9参照)に、表示部101(図9参照)が正面となるように嵌入する。詳細には、プログラマブル表示器100の正面側に設けられるフランジ部102(ここでは溝102aに設けられたシール部材104も含む)が、正面パネル201に当接するまで嵌入する。そして、この状態で、図8(a)に示すように、取付装置1を、その取付基体2の本体部21の前面21aが取付孔103aと対向する向きとして、フック部25の係止爪25aが下向きのまま取付孔103aに外側から近づける。
【0066】
次に、図8(b)に示すように、取付装置1のフック部25の係止爪25aを取付孔103aに挿入して、フランジ部102から近い方(同図では下側)の下辺縁に係止させる。このフック部25の幅は取付孔103aの長径とほぼ同じであり、当該フック部25が取付孔103a内で幅方向にがたつくことが防止される。
【0067】
フック部25がプログラマブル表示器100の外枠103に係止された状態で取付基体2を支持し、次に、取付装置1の固定子3を外枠103に向かう方向(図8においては矢印で示すように右方向)に押し込んで移動させる。このとき、固定子3の基盤部31の裏面31aが取付基体2の後面21bに突き当たるまで、基盤部31の表面31bを指で押し込むようにする。これにより、図8(c)に示すように、取付基体2の摺動孔22,23に挿通された固定子3の突起部32,33が移動して、その先端部が外枠103の取付孔103aに挿入され、取付孔103aの上辺縁に当接してフック部25を下側に圧接し、フック部25の取付孔103aへの係止を確実なものとする。
【0068】
また、この状態においては、固定子3の突起部32,33のストッパー32b,33bが摺動孔22,23の前面21a側開口周縁に係合され固定子3の移動が規制される。また、固定子3の基盤部31の表面が取付基体2の抜け止めフック部26と面一となっている。
【0069】
これにより、取付基体2が外枠103の取付孔103aに固定される。但し、ストッパー32b,33bは抜去方向にもテーパが形成されているため、この状態から固定子3の基盤部31を強く引くと、ストッパー32b,33b(例えば、図7参照)の係合が外れ、固定子3と外枠103の係合を解除することができ、取付装置1を外枠103から取り外すことが可能となる。
【0070】
なお、正面パネル201と被取付物のフランジ部102の間にシール部材104が挟まれているため、シール部材104の弾性力で正面パネル201が浮き上がり、正面パネル201の厚みが厚い場合や、フランジ部102から取付孔103aまでの距離が短い場合などは、正面パネル201の表面が取付基体2の本体部21の下面に当たって取付基体2をも浮き上がらせることがある。そうすると、取付孔103aの開口寸法が見かけ上小さくなるので、フック部25の後に突起部32,33を挿入する際には、隙間寸法も小さくなる。しかし、そのような場合でも、突起部32,33の先端上部に下向きのテーパ32a,33aが設けられているので、突起部32,33の先端の挿入は容易であり、挿通に従ってテーパの作用でシール部材104を圧縮しながら隙間を押し広げ、フック部25を取付孔103aのフランジ部102側の辺縁に押し付けることが出来る。
【0071】
そして、図8(c)の状態から、ねじ4のねじ部4aを用いてドライバによりねじ込み、プログラマブル表示器100のフランジ部102に対して略直角方向にねじ4を移動させ、ねじ4の下端部4cを正面パネル201の裏側に当接させてトルクを掛けながら正面パネル102をフランジ部102の裏側に締め付ける(図8(d)参照)。このような、取付装置1を用いた締付けを複数箇所で行うことによって、プログラマブル表示器100を正面パネル201(制御部200)に固定することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態の取付装置1によれば、取付基体2のフック部25をプログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aに挿入して外枠103に係止させた状態で支持し、固定子3の基盤部31を押し込んで、取付基体2の摺動孔22,23に挿通された固定子3の突起部32,33を摺動させると、その先端部がフック部25と共にプログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aの周縁に係合される。これによって、従来、取付基体2を手で支持しなければならない原因であった外枠103の取付孔103aの遊びが埋められ、取付基体2は外枠103に固定される。よって、取付基体2を手で支えなくても取付装置1は外枠103から脱落するおそれがなく、ねじ4の締め付け作業を容易に行える。また、取付基体2の外枠103への固定も一操作で簡単に行える。
【0073】
また、本実施形態の取付装置によれば、取付基体2のフック部25が取付孔103aのフランジ部102に近い方の下辺縁に係止されるため、係止部位P(図8(d)に点Pで示す)から締め付け力の作用部位(図8(d)に点Tで示す)までの距離、つまり締め付け力の作用部位に働く回転モーメントの半径(図8(d)にRで示す)が、取付基体のフック部が取付孔103aの上辺縁に係止される従来例の取付装置300,600(図12、図14参照)を用いる場合に比べて短くなる。よって、強いトルクを掛けてねじ4の締め付け作業を行ってもねじ4に作用する回転モーメントがそれほど大きくならないため、ねじ4の軸が傾かず安定した締め付け力を得ることができる。
【0074】
また、本実施形態の取付装置1によると、取付基体2のフック部25が外枠103の取付孔103aの下辺縁に係止され、取付基体2はその位置から上方に向かって固定される。よって、図8(d)に示すように、取付基体2がプログラマブル表示器100の外枠103に固定された際に取付基体2の上端は、寸法D1に取付基体2の高さD3を加えた高さとなり、取付孔103aの寸法は関係がない。つまり、取付孔103aの縦方向の孔径寸法分だけ低くすることが出来る。しかも、取付基体2の高さD3は、回転モーメントが小さくなった分だけ短くすることも出来る。従って、プログラマブル表示器100の奥行き(図8(d)ではD4で示す)としては、従来例の取付装置300,600(図12、図14参照)を用いる場合(すなわち、D4≧D1+D2+D3)に比べて、寸法D2分、プログラマブル表示器100の薄型化を図ることが可能となる。また、D3自体も上記のように短くすることが出来るので、更に薄型化を図ることが出来る。
【0075】
以上に示した取付装置1は本発明の実施形態の一例を示したものであり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以上に示した実施形態について種々の変更を行っても構わない。
【0076】
例えば、以上に示した実施形態では、取付装置1の取付基体2と固定子3がそれぞれ摺動孔と突起部を2つずつ備える構成としたが、この構成に限られる趣旨ではない。すなわち、必要とされる係合力等により、取付基体2の摺動孔と固定子3の突起の数は変更しても構わず、1つとしてもよいし、3つ以上としても構わない。
【0077】
また、以上に示した実施形態では、取付装置1の締付子がねじである場合を示したが、ねじに限らず、必要な締付け力が得られる限りにおいて、他の手段、例えば、圧縮ばね等の弾性部材、あるいは加圧ピストン、逆止棒等の加圧機構を用いることも可能である。
【0078】
その他、以上においては、取付装置がプログラマブル表示器を取り付けるために用いられる場合を示したが、これに限らず、単なるディスプレイ装置、制御装置、端子等を取り付ける場合にも、本発明の取付装置および締め付け方法が適用できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1 取付装置
2 取付基体
3 固定子
4 ねじ(締付子)
100 プログラマブル表示器
102 フランジ部
103 外枠
103a 取付孔
201 正面パネル
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラマブル表示器、ディスプレイ装置等の被取付物を、制御盤などのパネルの開口部に取り付ける取付装置に関し、特にフランジ付きの外枠をパネルの開口部に嵌入して使用される被取付物を固定するのに好適な取付装置およびその取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、従来のプログラマブル表示器の取付装置の一例を図9〜図12を用いて説明する。なお、プログラマブル表示器は、機械製造、プラントなどの生産ラインにおける機械や設備をコントロールするコンピュータ機能を有する電子式操作表示装置で、生産現場の制御盤のパネルなどに取り付けて使用されるものである。
【0003】
さて、図9はプログラマブル表示器100が制御盤200の正面パネル201の開口部202(破線で囲まれる部分)に嵌入されて固定された状態の一例を示す概略平面図である。図10は、プログラマブル表示器と制御盤の正面パネルとの関係を示す図で、図9のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図である。
【0004】
図9において、プログラマブル表示器100はその外形が略直方体形状に形成され、表示部101が外側から見えるように、制御盤200の正面パネル201に設けられる平面視略矩形上の開口部202(図9の破線で囲まれる部分が該当する)に、図10に示すように外枠103が嵌め込まれている。プログラマブル表示器100の表示部101側(正面側)には、外枠103の額縁状のフランジ部102が設けられている。このフランジ部102は、正面パネル201の正面側からプログラマブル表示器100を開口部202に挿入した場合に、開口部202内に入りこむことなく、正面パネル201の外側に当接するように設けられている。すなわち、このフランジ部102は、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202に装着する際にストッパーとして機能する。
【0005】
なお、フランジ部102の裏側にはシール部材104を嵌め込むための溝102aが額縁状に形成されている。この溝102aにシール部材104を嵌め込んだ状態とし、フランジ部102を正面パネル201に対して締め付けて固定すると、制御盤200内に、埃、水、油、薬品等が進入するのを防ぐことができる。
【0006】
前記プログラマブル表示器100の制御盤200内部側に入り込んだ外枠103(図10参照)には、複数の横長の長方形状の取付孔103aが所定の箇所に形成されている。この取付孔103aは、プログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に締め付けて固定する際に使用される。
【0007】
従来、この取付孔103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する方法としては、例えば金属や樹脂製の取付基体とねじの2部品から構成される取付装置を用いている(ねじ方式)。
【0008】
図11は、プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する従来の取付装置の一例を示す斜視図である。図12は、図11に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する場合の一例を説明するための図である。なお、図12は、図10のY−Y位置における断面に相当する。ただし、図10では取付装置は省略されている。
【0009】
図11に示すように、この従来の取付装置300は、U字状の取付基体400と、そのベース部400aに形成されたねじ孔400eに螺合されるねじ500との2部品構成である。取付基体400は、型抜きした板金の曲げ加工等で作製され、ベース部400aに対して両サイド部400b,400cを略直角に起こして形成されている。U字であるベース部400aおよびサイド部400b,400cの前端は一つの面を構成し、ベース部400aには、この面に対して略直角方向に突出するフック部400dを一体的に形成している。フック部400dは、先端に、サイド部400b,400cのベース部400aに対する起立側(図11では上側)と同じ側であって、サイド部400b、400cの面と直交する方向に面をなして屈曲された係止爪400fを有する。
【0010】
上記のように構成される取付装置300を用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する手順を説明する。図12に示すように、取付基体400のサイド部400b,400cの前端を外枠103に沿わせながら、フック部400dを上述した取付孔103a内に挿入して、係止爪400fを取付孔103aの上縁P(フランジ部102とは反対側の辺縁)に引っ掛ける。この状態において、ねじ500のねじ溝500aを用いてドライバにより当該ねじ500をねじ込んで下方に移動させ、ねじ500の先端500b(図12では下端)を正面パネル201(より正確には正面パネル201の裏面)に押し付ける。これにより、フック部400dも、取付孔103aの上縁Pに押し付けられるので、取付基体400も当該位置に機械的に固定される。
【0011】
この取付状態において、取付基体400は、ねじ500の軸方向に所定の高さ(図12ではD3で示す)を有するサイド部400b,400cが外枠103外面に当接し、ねじ500の軸を安定させるための土台として機能する。
【0012】
以上により、プログラマブル表示器100のフランジ部102が正面パネル201に締め付け固定される。この取付装置300を用いた固定を複数箇所(例えば外枠103の長辺の両端近傍等)で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと取付られる。
【0013】
図13は、プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルにねじ方式で固定する従来の取付装置の他の例を示す斜視図である。図14は、図13に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図である。なお、図14は、図10のY−Y位置における断面に相当する。ただし、図10では取付装置は省略されている。
【0014】
図13に示すように、この従来の取付装置600は、取付基体700とねじ800の2部品構成である。取付基体700は、樹脂成形等で作製され、平面視略D形状の柱状部700aと、その平坦面を両側に拡大する張り出し部700b,700cと、平坦面に対して略直角方向に柱状部700aと反対側に突設されたフック部700d,700eとから構成されている。フック部700d,700eは柱状部700aの軸方向に間隔をあけて突出している。フック部700d,700eは、先端に、両方とも同じ側(図13では上側)に屈曲された係止爪を有する。柱状部700aにはねじ孔700fが軸方向に貫通しており、ここにねじ800が螺合されている(正確にはねじ孔700fに埋め込まれた長尺ナット900(図14参照)に螺合される)。
【0015】
上記のように構成される取付装置600を用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する手順を説明する。図14に示すように、取付基体700のフック部700d,700eを上述した取付孔103a(この例では上下に2つ形成してある)内に夫々挿入して、その上縁に引っ掛けて、ねじ800のねじ溝800aを用いてドライバにより当該ねじ800をねじ込んで、ねじ800の先端800b(図14では下端)を正面パネル201(より正確には正面パネル201の裏面)に押し付ける。これにより、プログラマブル表示器100のフランジ部102が正面パネル201に締め付けられる。この取付装置600を用いた固定を複数箇所(例えば四隅等)で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【0016】
上記取付孔103aを用いてプログラマブル表示器100を制御盤200の正面パネル201に固定する他の方式として、特許文献1に開示される同面取付具用締め付け装置を用いる方式(圧縮コイルばね方式)がある。この圧縮コイルばね方式では、締め付け装置に設けられるフックを被取付物の側面に設けられたスロットに挿入して被取付具の側面に引っ掛けて、圧縮コイルばねの弾性力を利用して被取付物のエッジをパネルに締め付ける。ねじ方式の場合と同様に、この締め付け装置を用いた固定を複数箇所で行うことにより、プログラマブル表示器100は正面パネル201にしっかりと固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特許第3833270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の取付装置300(図11参照)は、取付基体400のフック部400dをプログラマブル表示器100の外枠103に係止させるに当たり、取付基体400のフック部400dの係止爪400fを取付孔103aに挿入し、その上縁Pに引っ掛ける。つまり、フック部400dは係止爪400fから先に挿入する必要があるので、取付孔103aに、係止爪400fの高さを考慮した孔径(図12ではD2で示す)を設定しなければならない。このため、フック部400dは取付孔103aに遊嵌しているだけであり、ねじ締め作業を行っている間、取付基体400から手を離すと取付装置300が外枠103から脱落してしまうおそれがある。よって、脱落を防ぐためにフック部400dが取付孔103aの上縁に圧接されるまで、取付基体400を手で支えながらねじ締め作業を行わなければならない煩わしさがあった。
【0019】
なお、図10では、正面パネル201が水平に置かれている状態になっているが、正面パネル201が垂直の状態で取り付け作業をすることも多く、その場合には、取付基体400を脱落しないように支持することが必要で、取付作業の効率性を更に悪くしている。
【0020】
また、ねじ方式によって強固な固定力を得るためにはある程度の強いトルクを掛けてねじ締めを行う必要がある。ねじ500の締め付け力は、ねじ500の先端500bを作用部位(図12では点Tで示す)としてねじ500の軸方向に作用するが、ねじ方式の場合、ねじ500の軸上にフック部400dの係止部位(図12では点Pで示す)が位置しないので、図12に白抜き矢印で示すように、係止部位Pを中心として作用部位Tに回転モーメントが働く。しかも、フック部400dはフランジ部102から見て取付孔103aの遠い方の辺縁(図12では上縁)に係止されるため、回転モーメントの半径(図12ではRで示す)が比較的長く、ねじ500の作用部位Tに働く回転モーメントも大きくなっている。
【0021】
従って、この回転モーメントに対抗するために、取付基体400をプログラマブル表示器100の外枠103に当接させ、取付基体400のサイド部400a,400bの高さ寸法(図12ではD3で示す)を長く設定して、ねじ500の軸が白抜き矢印方向に傾くことを阻止している。つまり、サイド部400a,400bの高さ寸法は、前記回転モーメントの大きさに対応している。この結果、外枠103の高さD4は、フランジ部102から取付孔103aの下縁までの距離(図12ではD1で示す)、取付孔103aの縦方向の孔径D2、及びサイド部400a,400bの高さD3を加算した寸法以上を必要とする(すなわち、D4≧D1+D3+D2)。
【0022】
前記フランジ部102から取付孔103aの下縁までの距離(図12ではD1で示す)は正面パネル201の厚みやシール部材104、フランジ部102自体の厚みの関係からほぼ一定であり、取付孔103aの孔径も係止爪400fの高さ及び、フック部400d自体の厚みを考慮すると、その寸法を短くするのは困難である。
【0023】
従って、従来の取付装置300を用いる場合、外枠103の高さD4の寸法を短くすることは困難であり、プログラマブル表示器100の薄型化が出来ないという問題があった。
【0024】
上記のような課題は、ねじ方式の他の例である取付装置600(図13参照)を用いる場合にも共通している。特に、この取付装置600を用いる場合は、図14に示すように、取付基体700が互いに間隔を空けて設けられる2つのフック部700d,700eでプログラマブル表示器100の外枠103に係止されるので、外枠103に取付孔103aを2つ加工しなければならず、しかもこの上下取付孔の間隔が余分に外枠寸法を高くするので、プログラマブル表示器100の薄型化が困難である。
【0025】
また、特許文献1に開示される圧縮コイルばね方式を用いた締め付け装置は、そのサイズが大きくなるので、薄型化の要請に対応し難い問題がある。
【0026】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、パネルの開口部に被取付物の外枠を嵌入し、該被取付物のフランジ部を前記パネルに締め付けて固定する取付装置において、被取付物の薄型化を可能にし、しかも安定した締め付け力が得られる取付装置を提供することを目的とする。また、本発明は、パネルの開口部に挿入して使用される被取付物のフランジ部をパネルに簡便に締め付けて、被取付物をパネルに固定することができる取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために本発明の取付装置は、パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入した状態において、当該外枠に形成された取付孔に取り付けられ、前記フランジを前記開口部周辺のパネルに締め付けることにより、前記被取付物を前記パネルに固定する取付装置において、前記外枠の外面側に当接する当接面と、前記当接面より突出し、前記取付孔を挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部とを有する取付基体と、前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体を前記外枠に固定する固定子と、前記取付基体に取り付けられ、前記パネル裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子と、から構成されている。
【0028】
この構成によると、取付基体のフック部は、外枠の取付孔のフランジ部側の辺縁に係止されるので、取付基体は従来に比して取付孔の寸法分フランジ部側に近接して固定することが出来る。従って、外枠の奥行きもその分短くすることが出来るので、被取付物の薄型化を図ることが出来る。
【0029】
また、締付子の先端とフック部の係止位置との距離も従来と比べて短くなるので、パネルを圧接する締付子の先端部が外枠から外れる方向に働く力(回転モーメント)が小さくなり、安定した取り付けが出来る。
【0030】
しかも、前記回転モーメントが小さくなる分、当該回転モーメントによる外れを阻止するために、外枠に当接させる取付基体の長さも短く出来るので、外枠の奥行きを更に短くすることが可能となり、その分、薄型化を促進することが出来る。
【0031】
更に、取付基体を外枠に取り付けるに当って、フック部を取付孔に挿通させ、さらに固定子を押し入れることによって簡単に固定ができるので、締付子を締め付ける作業中、従来のように取付基体を手で支持するなどの動作が不要となり、取り付け作業が容易となる。
【0032】
また、本発明は、前記固定子が前記取付基体に対して移動可能に取付けられている。更に、前記固定子は、取付基体外に位置する基盤部と、この基盤部から突設され、前記取付基体内に挿通された突起部とからなり、前記突起部の先端部は少なくとも前記フック部上部を移動可能としたことを特徴としている。
【0033】
この構成によると、前記固定子が前記取付基体に取り付けられているので、取付作業時に、当該固定子、取付基体を別々に用意する必要がなく、当該両者の数合わせをする作業も不要となる。
【0034】
また、取付基体外の基盤部を操作するだけで、突起部の先端部を外枠の取付孔に圧入することが出来るので、取付装置の外枠への固定が簡単である。
【0035】
また、前記固定子の突起部の先端部は、前記外枠の取付孔の辺縁に当接する側に、テーパが形成されていることを特徴とする。
【0036】
この構成によると、フック部だけが取付孔に挿入された状態では、取付基体が固定されていないため当該フック部の取付孔内での位置が不安定で、突起部を圧入する隙間の寸法が小さくなる方向に変動する。従って、突起部の先端にテーパがないと、先端部をその隙間に挿入することに手間取る。しかし、先端部にテーパが形成されているので、隙間寸法が小さくなる方向に少々変動しても、先端部の寸法は遥かに小さいので、挿入が容易に行え、挿入に従ってフック部を取付孔のフランジ部側の辺縁に押し付け、取付基体を容易に固定することが出来る。
【0037】
また、パネルと被取付物のフランジ部との間に挟むシール部材の厚みなどで、外枠の取付孔のフランジ部側の辺縁よりもパネル裏面が少し浮いている場合、取付孔の開口寸法が見かけ上小さくなるので、フック部の後に突起部を挿入する際には、隙間寸法も小さくなる。しかし、テーパがあるので、先端の挿入は容易であり、挿通に従ってテーパの作用でシール部材を圧縮しながら隙間を押し広げ、フック部を取付孔のフランジ部側の辺縁に押し付けることが出来る。
【0038】
また、本発明は、前記突起部の先端部側に、前記取付基体の当接面に前記突起部が係脱自在に係合するストッパーを突設したことを特徴としている。
【0039】
この構成によると、固定子の突起部の先端部が前記取付基体の当接面に係合しているので、当該固定子の動きが規制される。よって、取付基体の固定を確実に行える。また、ストッパーは係脱自在であるため、固定子を抜く方向に移動させれば、突起部の先端部が外枠の取付孔から離脱するため、取付装置を外枠から取り外すことが可能となる。
【0040】
また、本発明は、上記構成の取付装置において、前記取付基体のフック部に、前記固定子の突起部の摺動を案内する案内壁部が形成されたことを特徴としている。この構成によると、固定子の突起部を案内壁部に沿って確実に案内できる。
【0041】
また、上記構成の取付装置において、前記固定子は一対の前記突起部を有し、前記締付子を挟んで前記取付基体に挿通されていることを特徴としている。この構成によると、締付子を挟んで、突起部を対称に設けることができるので、固定子の取付基体への安定した取付が可能となる。
【0042】
また、本発明は、上記構成の取付装置において、前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置から抜ける方向に前記突起部が移動することを防止する抜け止め機構を設けたことを特徴としている。
【0043】
この構成によると、固定子が取付基体から抜けることが防止されるので、取付作業の途中で固定子が脱落したり、固定子が紛失するなどの不都合がない。特に、前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置で固定子が止まるので、固定子の調整が容易であり、取付作業が促進される。
【0044】
また、前記抜け止め機構は、前記取付基体の前記フック部とは反対側に突設された抜け止めフック部と、当該抜け止めフック部に係合可能に前記突起部に突設された抜け止め係止部と、を具備することを特徴としている。この構成によると、固定子の抜け止め位置が取付基体の外部にあるので、抜け止めフック部から固定子を外して抜き出す操作が容易となる。
【0045】
上記のように構成された取付装置を用いれば、前記パネルの開口部に嵌入された前記被取付物の外枠の取付孔の前記フランジ部側の辺縁に前記取付基体のフック部を係止するステップと、固定子を前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入して前記取付基体を前記外枠に固定するステップと、前記被取付物のフランジ部側に対して前記締付子を移動させ、該締付子を前記パネルの裏側に厚接させて前記パネルを前記フランジ部で締め付けるステップとを実行することで、パネルの開口部に嵌入して使用される被取付物のフランジ部を、前記パネルに簡便に締め付けることができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によると、被取付物を薄型化することが出来る。また、取付基体を手で支えなくても取付装置が外枠から脱落するおそれがないため、締付子の締め付け作業を簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態の取付装置を、取付基体の前面と左側面が手前に位置するように置いて上方から見た分解斜視図
【図2】本実施形態の取付装置を、取付基体の後面と左側面が手前に位置するように置いて上方から見た分解斜視図
【図3】本実施形態の取付装置の取付基体を示す正面図
【図4】本実施形態の取付装置の取付基体を示す図1のA−A位置における断面図
【図5】本実施形態の取付装置の固定子を示す図1のB−B位置における断面図
【図6】本実施形態の取付装置の取付基体と固定子を上下に並べて前方から見た図であり、特に取付基体を図1におけるC−C位置における断面図で示すもの
【図7】本実施形態の取付装置の取付基体と固定子を左右に並べて上方から見た図であり、特に取付基体を図3におけるD−D位置における断面図で示すもの
【図8】本実施形態の取付装置を用いてプログラマブル表示器のフランジを正面パネルに締め付ける手順を説明するための図
【図9】プログラマブル表示器が制御盤の正面パネルの開口部に挿入されて固定された状態の一例を示す概略平面図
【図10】図9のX−X位置で切断して得られた一部分を裏側から見た場合の概略斜視図
【図11】プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する従来の取付装置の一例を示す斜視図
【図12】図11に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図
【図13】プログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する従来の取付装置の他の例を示す斜視図
【図14】図13に示す従来の取付装置を用いてプログラマブル表示器を制御盤の正面パネルに固定する場合の一例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に本発明の取付装置の実施形態を図1〜図8を参照しながら説明する。
【0049】
本実施形態の取付装置1は、図1、図2に示すように、大きくは、硬質樹脂成形品である取付基体2、この取付基体2に対して移動可能に取付けられる同樹脂製の固定子3、およびねじ(締付子)4の3部品から構成されている。
【0050】
図1、図2、図3に示すように、取付基体2は、基本的には平面形状略台形状のブロック型の本体部21と、この本体部21の前面21a、後面21bから夫々本体部21と一体に突設されたフック部25、抜け止めフック部26とから構成されている。前記本体部21の前面21aは被取付物であるプログラマブル表示器100の外枠103の外面側に当接する当接面となるものである。本体部21の下面は、図3、図4に示すように略水平な面であり、前後面21a,21b、両側面21c,21dはこの下面に対して垂直に立った面となっている。本体部21の前、後面21a,21bは、夫々全体が平面に形成されていて、前面21aが後面21bよりも幅方向に長く、本体部21の両側面21c,21dは、図7に示すようにほぼ中央で屈曲されて後面21bに連なる緩やかなテーパ面に形成されている。
【0051】
また、本体部21の上面は、図3に示すように、前面21aから後面21bにかけて略半分が平面で残り略半分が緩やかな下りテーパ面に形成されている。これによって、本体部21の外形の幅寸法および高さ(上下)寸法は、いずれも前面21aで最大、後面21bで最小となる(図3参照)。また、本体部21の外形を上から見た平面形状は、後面21bおよび前面21aのラインをそれぞれ上底および下底とし、両側面21c,21dのラインをそれぞれ脚とした略等脚台形状となっている(例えば、図7参照)。
【0052】
本体部21の上面の中央部には、図1、図2、図4に示されるように後面21bの上端まで凹んだ凹部21eが形成されている。そして、この凹部21eの大部分を占めて円形のねじ孔24が凹部21eの側壁を一部えぐる形で上下に貫通している。このねじ孔24は、ねじ4を取り付けるための孔である。ねじ孔24は、図4に示すように、上方略半分がねじ頭4aに対応する大きな径の孔であり、残り半分がねじ溝部4bに対応する小さな径の孔である。小径の孔には、ナット29が埋め込まれており、ここにねじ4を螺合して取付けることができる。大径の上部の穴は、ねじ4をナット29にねじ込んでいったときに、ねじ4の頭部を収めることのできる大きさである。
【0053】
また、本体部21の前面21aの下部に水平方向に突出したフック部25は、先端に略垂直下方へ突出する係止爪25aを有し、プログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aに係止される。従って、フック部25の突出長Fは外枠103の厚みとほぼ同じとなっている。
一方、抜け止めフック部26は、図3に示すように先端に略垂直上方へ突出する爪26aを有し、後述する固定子3が取付基体2から脱落するのを防ぐものである。
【0054】
また、取付基体2は、本体部21の前後面間を貫通する2つの摺動孔22、23が水平方向に間隔を空けて形成されている。摺動孔22,23は図2に示すように断面矩形のトンネル状の孔(例えば、図6、図7参照)であり、後述する固定子3の突起部32,33をそれぞれ挿通させるための孔である。摺動孔22,23の下面は、図6に示すように一方は、フック部25の上面と面一に繋がり、他方は、抜け止めフック部26の上面(つまり、爪26aのある側)と面一に繋がっている。なお、フック部25の上面の摺動孔22,23に挟まれた部分は、図1に示すように前記の面一の面から一段高く隆起して案内壁部25bとなっている。この案内壁部25bはその切り立った壁面で後述する固定子3の摺動を確実に案内するものである。
【0055】
なお、2つの摺動孔22,23に対応して、後述する固定子3にも2つの突起部32,33を設けることによって、固定子3の取付基体2への安定した取付が可能となる。なお、2つの摺動孔22,23の間隔は、ねじ孔24の外径よりも大きく、この摺動孔22,23の間にねじ孔24が上下に形成されている。
【0056】
さて、固定子3は、図1,図2に示すように平板状をなす基盤部31、および基盤部31の裏面(取付基体2への当接面)31aから同方向に突出する2つの突起部32,33を有し、前記取付基体2の摺動孔22,23に前記突起部32,33が挿入され、当該取付基体2を取付孔103aに固定するために用いられる。この突起部32,33の間隔は、外枠103に形成された長方形状の取付孔103aに同時に挿通される程度の長さで、当該取付孔103aの長辺より少し短めとなっている。また、前記突起部32,33は、ねじ4を挟んで取付基体2の摺動穴22,23に挿通されており、これによると、ねじ4を挟んで、突起部32,33を対称に設けることができるので、固定子3の取付基体2への安定した取付が可能となる。
【0057】
前記基盤部31の両側面31c,31dは、表面31bから裏面31aにかけて丸みを帯びたテーパ面となっている。これによって、基盤部31の表裏面の幅方向の寸法は裏面31aの方が小さく、平面視略等脚台形状となっている。この台形は、図7に示すように取付基体2の本体部21の外形の台形とは逆向き(つまり、上底同士で向き合う)の配置となっている。このような基盤部31の外形は、表面31bを指で押すのに適すると同時に、親指と人差し指で両側面31c,31dを把持するのにも適した形状であり、また、取付基体2と固定子3を組み合わせたとき、両者の突き当て部周辺が窪んだ形となり、その窪みは親指と人差し指で基盤部31を把持するのに好適となる。
【0058】
突起部32,33は基本的に角棒形状であるが、先端部上面に下向きのテーパ32a,33aが形成されている。また、このテーパ32a,33aに近接した突起部32、突起部33のそれぞれの対向する面の裏面には、図7に示すように、摺動孔22,23の前面21a側に係合するストッパー32b,33bがそれぞれ突設されている。このストッパー32b,33bは、挿通方向にテーパを有する略二等辺三角形の突起で形成されている。即ち、ストッパー32b,33bの突起部32,33の先端側(図7において右側)のテーパは、突起部32,33を摺動孔22,23へ挿入する際にストッパー32b,33bが摺動孔32,33の後面31b側の壁に引っ掛かるのを防いでいる。また、ストッパー32b,33bの突起部32、33の根本側(図7において左側)のテーパは、ストッパー32b,33bと摺動孔22,23の前面21a側との係合を解除することを可能とする(すなわち、係脱自在とする)ものである。
【0059】
更に、突起部32,33の下面には、根本に近い部分に、図2、図5、図6に示すように抜け止めフック部26の爪26aに係止される直角三角形状の抜け止め係止部32c,33cが突設されている。抜け止め係止部32c,33cは、突起部32,33の先端側(図5、図6において右側)にテーパが形成されているため、突起部32,33を挿入する際には爪26aは乗り越えられるが、抜き出す際には爪26aに係合する。すなわち、固定子3と取付基体2が分離された状態(図1、図2参照)から、固定子3の突起部32,33を取付基体2の摺動孔22,23に挿入していくと、抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aを乗り越えて、突起部32,33を摺動孔22,23に挿通することができる。しかし、一旦挿通されると突起部32,33を抜き出そうとしても抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aに引っ掛かって抜き出すことはできなくなる。これにより、固定子3は、脱落が防止された状態で取付基体2に取り付けられることになり、固定子3を紛失する心配がない。
【0060】
ここで、基盤部31の下部には、図2に示すように、抜け止めフック部26に対応する形状の切欠部34が形成されている。この切欠部34があることによって、基盤部31を取付基体2の本体部21へ向けて押し込む際に、抜け止めフック部26に当たることなく、取付基体2の後面21bに押し当てることが出来る。従って、上述した固定子3の抜け止め機構をコンパクトに構成できる。
【0061】
なお、固定子3は取付基体2から取り外すことができるようにしておく方が何かと都合が良い。このため、突起部32,33は、図5に示すように先端部の上下方向の厚み寸法を大きくし、残りの胴体部は厚み寸法を抑えた形状とし、胴体部に若干の弾性を与えて上下方向に変形可能とすることにより、抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック26の爪26aに係止した場合に、それを外せるようにしている。つまり、突起部32,33の胴体部の上下方向の厚みの寸法が少し小さいことで、固定子3を少し引き出した際に摺動孔22,23との間に若干の上下の遊びができ、且つ上記の弾性変形があることにより、抜け止め係止部32c,33cを抜け止めフック26の爪26aの上方まで持ち上げて外すことが可能となる。なお、抜け止め係止部32c,33cは、先端部に比べて上下方向の厚みが不足する突起部32,33の胴体部を摺動孔22,23内でがたつかないように上方に持ち上げる役割も果たしている。
【0062】
次に、以上のように構成される取付装置1の作用効果について説明する。ここで、図9、図10で示した制御盤200の正面パネル201にプログラマブル表示器100を固定する例において、図11〜図14で示した従来の取付装置300,600に代えて、本実施形態の取付装置1を用いる場合を例に説明する。すなわち、制御盤200の正面パネル201の開口部202に嵌入して使用されるプログラマブル表示器100(本発明の被取付物の一例)のフランジ部102を、取付装置1を用いて正面パネル201に締め付けて、プログラマブル表示器100を正面パネル201に固定する場合を例に説明する。なお、制御盤200およびプログラマブル表示器100の構成は、先に説明したのと同様であるので、その説明は省略する。
【0063】
図8は、本実施形態の取付装置を用いてプログラマブル表示器100のフランジ102を正面パネル201に締め付ける手順を説明するための図である。図8(a),(b),(c),(d)の順で、取付装置1による締め付けが進められる。
【0064】
図8(a)において、取付装置1は、取付基体2のナット部29にねじ4が螺合され、その先端部4cが取付基体2の底面とほぼ面一の状態に取り付けられている。なお、先端部4cの端面は、ほぼ水平の平面となっている。また、固定子3は、突起部32,33が取付基体2の摺動孔22,23に挿入され、突起部32,33のそれぞれに突設された抜け止め係止部32c,33cが抜け止めフック部26の爪26aに係合した状態で、その先端部が取付基体2の前面21aと略面一の状態に取り付けられている。
【0065】
この状態において、正面パネル201にプログラマブル表示器100を固定する場合、まず、プログラマブル表示器100を正面パネル201の開口部202(図9参照)に、表示部101(図9参照)が正面となるように嵌入する。詳細には、プログラマブル表示器100の正面側に設けられるフランジ部102(ここでは溝102aに設けられたシール部材104も含む)が、正面パネル201に当接するまで嵌入する。そして、この状態で、図8(a)に示すように、取付装置1を、その取付基体2の本体部21の前面21aが取付孔103aと対向する向きとして、フック部25の係止爪25aが下向きのまま取付孔103aに外側から近づける。
【0066】
次に、図8(b)に示すように、取付装置1のフック部25の係止爪25aを取付孔103aに挿入して、フランジ部102から近い方(同図では下側)の下辺縁に係止させる。このフック部25の幅は取付孔103aの長径とほぼ同じであり、当該フック部25が取付孔103a内で幅方向にがたつくことが防止される。
【0067】
フック部25がプログラマブル表示器100の外枠103に係止された状態で取付基体2を支持し、次に、取付装置1の固定子3を外枠103に向かう方向(図8においては矢印で示すように右方向)に押し込んで移動させる。このとき、固定子3の基盤部31の裏面31aが取付基体2の後面21bに突き当たるまで、基盤部31の表面31bを指で押し込むようにする。これにより、図8(c)に示すように、取付基体2の摺動孔22,23に挿通された固定子3の突起部32,33が移動して、その先端部が外枠103の取付孔103aに挿入され、取付孔103aの上辺縁に当接してフック部25を下側に圧接し、フック部25の取付孔103aへの係止を確実なものとする。
【0068】
また、この状態においては、固定子3の突起部32,33のストッパー32b,33bが摺動孔22,23の前面21a側開口周縁に係合され固定子3の移動が規制される。また、固定子3の基盤部31の表面が取付基体2の抜け止めフック部26と面一となっている。
【0069】
これにより、取付基体2が外枠103の取付孔103aに固定される。但し、ストッパー32b,33bは抜去方向にもテーパが形成されているため、この状態から固定子3の基盤部31を強く引くと、ストッパー32b,33b(例えば、図7参照)の係合が外れ、固定子3と外枠103の係合を解除することができ、取付装置1を外枠103から取り外すことが可能となる。
【0070】
なお、正面パネル201と被取付物のフランジ部102の間にシール部材104が挟まれているため、シール部材104の弾性力で正面パネル201が浮き上がり、正面パネル201の厚みが厚い場合や、フランジ部102から取付孔103aまでの距離が短い場合などは、正面パネル201の表面が取付基体2の本体部21の下面に当たって取付基体2をも浮き上がらせることがある。そうすると、取付孔103aの開口寸法が見かけ上小さくなるので、フック部25の後に突起部32,33を挿入する際には、隙間寸法も小さくなる。しかし、そのような場合でも、突起部32,33の先端上部に下向きのテーパ32a,33aが設けられているので、突起部32,33の先端の挿入は容易であり、挿通に従ってテーパの作用でシール部材104を圧縮しながら隙間を押し広げ、フック部25を取付孔103aのフランジ部102側の辺縁に押し付けることが出来る。
【0071】
そして、図8(c)の状態から、ねじ4のねじ部4aを用いてドライバによりねじ込み、プログラマブル表示器100のフランジ部102に対して略直角方向にねじ4を移動させ、ねじ4の下端部4cを正面パネル201の裏側に当接させてトルクを掛けながら正面パネル102をフランジ部102の裏側に締め付ける(図8(d)参照)。このような、取付装置1を用いた締付けを複数箇所で行うことによって、プログラマブル表示器100を正面パネル201(制御部200)に固定することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態の取付装置1によれば、取付基体2のフック部25をプログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aに挿入して外枠103に係止させた状態で支持し、固定子3の基盤部31を押し込んで、取付基体2の摺動孔22,23に挿通された固定子3の突起部32,33を摺動させると、その先端部がフック部25と共にプログラマブル表示器100の外枠103の取付孔103aの周縁に係合される。これによって、従来、取付基体2を手で支持しなければならない原因であった外枠103の取付孔103aの遊びが埋められ、取付基体2は外枠103に固定される。よって、取付基体2を手で支えなくても取付装置1は外枠103から脱落するおそれがなく、ねじ4の締め付け作業を容易に行える。また、取付基体2の外枠103への固定も一操作で簡単に行える。
【0073】
また、本実施形態の取付装置によれば、取付基体2のフック部25が取付孔103aのフランジ部102に近い方の下辺縁に係止されるため、係止部位P(図8(d)に点Pで示す)から締め付け力の作用部位(図8(d)に点Tで示す)までの距離、つまり締め付け力の作用部位に働く回転モーメントの半径(図8(d)にRで示す)が、取付基体のフック部が取付孔103aの上辺縁に係止される従来例の取付装置300,600(図12、図14参照)を用いる場合に比べて短くなる。よって、強いトルクを掛けてねじ4の締め付け作業を行ってもねじ4に作用する回転モーメントがそれほど大きくならないため、ねじ4の軸が傾かず安定した締め付け力を得ることができる。
【0074】
また、本実施形態の取付装置1によると、取付基体2のフック部25が外枠103の取付孔103aの下辺縁に係止され、取付基体2はその位置から上方に向かって固定される。よって、図8(d)に示すように、取付基体2がプログラマブル表示器100の外枠103に固定された際に取付基体2の上端は、寸法D1に取付基体2の高さD3を加えた高さとなり、取付孔103aの寸法は関係がない。つまり、取付孔103aの縦方向の孔径寸法分だけ低くすることが出来る。しかも、取付基体2の高さD3は、回転モーメントが小さくなった分だけ短くすることも出来る。従って、プログラマブル表示器100の奥行き(図8(d)ではD4で示す)としては、従来例の取付装置300,600(図12、図14参照)を用いる場合(すなわち、D4≧D1+D2+D3)に比べて、寸法D2分、プログラマブル表示器100の薄型化を図ることが可能となる。また、D3自体も上記のように短くすることが出来るので、更に薄型化を図ることが出来る。
【0075】
以上に示した取付装置1は本発明の実施形態の一例を示したものであり、本発明の適用範囲は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明の目的を逸脱しない範囲で、以上に示した実施形態について種々の変更を行っても構わない。
【0076】
例えば、以上に示した実施形態では、取付装置1の取付基体2と固定子3がそれぞれ摺動孔と突起部を2つずつ備える構成としたが、この構成に限られる趣旨ではない。すなわち、必要とされる係合力等により、取付基体2の摺動孔と固定子3の突起の数は変更しても構わず、1つとしてもよいし、3つ以上としても構わない。
【0077】
また、以上に示した実施形態では、取付装置1の締付子がねじである場合を示したが、ねじに限らず、必要な締付け力が得られる限りにおいて、他の手段、例えば、圧縮ばね等の弾性部材、あるいは加圧ピストン、逆止棒等の加圧機構を用いることも可能である。
【0078】
その他、以上においては、取付装置がプログラマブル表示器を取り付けるために用いられる場合を示したが、これに限らず、単なるディスプレイ装置、制御装置、端子等を取り付ける場合にも、本発明の取付装置および締め付け方法が適用できるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
1 取付装置
2 取付基体
3 固定子
4 ねじ(締付子)
100 プログラマブル表示器
102 フランジ部
103 外枠
103a 取付孔
201 正面パネル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入した状態において、当該外枠に形成された取付孔に取り付けられ、前記フランジを前記開口部周辺のパネルに締め付けることにより、前記被取付物を前記パネルに固定する取付装置において、
前記外枠の外面側に当接する当接面と、前記当接面より突出し、前記取付孔を挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部とを有する取付基体と、前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体を前記外枠に固定する固定子と、
前記取付基体に取り付けられ、前記パネル裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子と、
から構成されたことを特徴とする取付装置。
【請求項2】
前記固定子は、前記取付基体に対して移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記固定子は、取付基体外に位置する基盤部と、この基盤部から突設され、前記取付基体内に挿通された突起部とからなり、前記突起部の先端部は少なくとも前記フック部上部を移動可能としたことを特徴とする請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記固定子の突起部の先端部は、前記外枠の取付孔の辺縁に当接する側に、テーパが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の取付装置。
【請求項5】
前記突起部の先端部側に、前記取付基体の当接面に前記突起部が係脱自在に係合するストッパーを突設したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の取付装置。
【請求項6】
前記固定子は一対の前記突起部を有し、前記締付子を挟んで前記取付基体に挿通されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の取付装置。
【請求項7】
前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置から抜ける方向に前記突起部が移動することを防止する抜け止め機構を設けたことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の取付装置。
【請求項8】
前記抜け止め機構は、前記取付基体の前記フック部とは反対側に突設された抜け止めフック部と、当該抜け止めフック部に係合可能に前記突起部に突設された抜け止め係止部と、を具備することを特徴とする請求項7に記載の取付装置。
【請求項9】
パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入し、請求項1〜8のいずれかに記載の取付装置を用いてフランジ部を前記パネルに締め付けて、前記被取付物を前記パネルに固定する締め付け方法であって、
前記パネルの開口部に嵌入された前記被取付物の外枠の取付孔の前記フランジ部側の辺縁に前記取付基体のフック部を係止するステップと、
固定子を前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入して前記取付基体を前記外枠に固定するステップと、
前記被取付物のフランジ部側に対して前記締付子を移動させ、該締付子を前記パネルの裏側に厚接させて前記パネルを前記フランジ部で締め付けるステップと、
を備えることを特徴とする取付方法。
【請求項1】
パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入した状態において、当該外枠に形成された取付孔に取り付けられ、前記フランジを前記開口部周辺のパネルに締め付けることにより、前記被取付物を前記パネルに固定する取付装置において、
前記外枠の外面側に当接する当接面と、前記当接面より突出し、前記取付孔を挿通して前記取付孔のフランジ側辺縁に係止されるフック部とを有する取付基体と、前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入されて前記取付基体を前記外枠に固定する固定子と、
前記取付基体に取り付けられ、前記パネル裏面に圧接されて当該パネルを締め付ける締付子と、
から構成されたことを特徴とする取付装置。
【請求項2】
前記固定子は、前記取付基体に対して移動可能に取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の取付装置。
【請求項3】
前記固定子は、取付基体外に位置する基盤部と、この基盤部から突設され、前記取付基体内に挿通された突起部とからなり、前記突起部の先端部は少なくとも前記フック部上部を移動可能としたことを特徴とする請求項2に記載の取付装置。
【請求項4】
前記固定子の突起部の先端部は、前記外枠の取付孔の辺縁に当接する側に、テーパが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の取付装置。
【請求項5】
前記突起部の先端部側に、前記取付基体の当接面に前記突起部が係脱自在に係合するストッパーを突設したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の取付装置。
【請求項6】
前記固定子は一対の前記突起部を有し、前記締付子を挟んで前記取付基体に挿通されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の取付装置。
【請求項7】
前記突起部の先端が前記取付基体の当接面に一致する位置から抜ける方向に前記突起部が移動することを防止する抜け止め機構を設けたことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の取付装置。
【請求項8】
前記抜け止め機構は、前記取付基体の前記フック部とは反対側に突設された抜け止めフック部と、当該抜け止めフック部に係合可能に前記突起部に突設された抜け止め係止部と、を具備することを特徴とする請求項7に記載の取付装置。
【請求項9】
パネルの開口部に被取付物のフランジ付きの外枠を嵌入し、請求項1〜8のいずれかに記載の取付装置を用いてフランジ部を前記パネルに締め付けて、前記被取付物を前記パネルに固定する締め付け方法であって、
前記パネルの開口部に嵌入された前記被取付物の外枠の取付孔の前記フランジ部側の辺縁に前記取付基体のフック部を係止するステップと、
固定子を前記フック部と前記取付孔のフランジ側辺縁と反対の辺縁との間に圧入して前記取付基体を前記外枠に固定するステップと、
前記被取付物のフランジ部側に対して前記締付子を移動させ、該締付子を前記パネルの裏側に厚接させて前記パネルを前記フランジ部で締め付けるステップと、
を備えることを特徴とする取付方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−238651(P2011−238651A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106289(P2010−106289)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】
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