説明

受信復調回路、受信復調方法、および電子機器

【課題】副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるバンドパスフィルタを必要とせずに実現する。
【解決手段】副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する赤外線受信回路100であって、上記変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する整流回路105と、整流回路105にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するローパスフィルタ106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信復調回路、受信復調方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、副搬送波によって変調された信号を受信する赤外線リモコン受信機などでは、受信した変調信号を復調する機能を有する赤外線受信回路(受信復調回路)が備えられている。また、赤外線受信回路は、集積回路内で実現されている。
【0003】
赤外線受信回路では、信号光以外の内部雑音や蛍光灯ノイズなどを除去するために、上記受信機内で副搬送波周波数に合った中心周波数を有するバンドパスフィルタが備えられている。これにより、赤外線受信回路は必要なS/N比を確保している。
【0004】
図8は、従来のバンドパスフィルタ507を備えた赤外線受信回路500の構成を示すブロック図である。
【0005】
図9(a)〜(g)は、赤外線受信回路500の各部における、各出力の信号波形を示す図である。
【0006】
赤外線受信回路500は、赤外線リモコン受信機の受信システムに搭載されており、一般的に、フォトダイオード501から入力(IN)される光電流信号が、集積化された受信チップ550において復調されて出力(OUT)される。そして、その出力は、電子機器を制御するマイコンなどに接続される。
【0007】
光電流信号i_inは、30KHz〜60KHz程度の決められたキャリアで変調されたASK信号である。光電流信号i_inは、図9(a)に示すような波形を有しており、一般的には、38KHzのキャリアで変調された信号である。
【0008】
受信チップ550において、光電流信号i_inは、初段アンプ(HA)502、2段目アンプ(2ndAMP)505、3段目アンプ(3rdAMP)506で増幅され、キャリアの周波数にあわせたバンドパスフィルタ(BPF)507でキャリア成分が取り出される。BPF507の出力信号bpf_outは、図9(b)に示すような波形を有している。
【0009】
続いて、次段の検波回路509にてキャリアが検出される。検波回路509の出力信号Sigは、BPF507の出力信号bpf_outと同様に、図9(b)に示すような波形を有している。また、キャリア検出レベルDetが、図9(b)に示すように設定される。
【0010】
続いて、積分回路510にてキャリアのある時間で積分されて、ヒステリシスコンパレータ回路511でキャリアの有無が判別される。積分回路510の出力信号Intおよびヒステリシスコンパレータ回路511の閾値は、図9(c)に示すような波形を有している。
【0011】
最後に、キャリアの有無によりディジタル信号が出力される。最終の出力信号outは、図9(d)に示すような波形を有している。
【0012】
ここで、BPF507では、素子のバラツキにより中心周波数が大きくずれるという問題点がある。それゆえ、foトリミング回路508をBPF507に接続するように設けることによって、赤外線受信回路の受信テスト工程において、トリミングによりBPF507の中心周波数を調整することが不可欠となっている。
【0013】
バンドパスフィルタ507の中心周波数のトリミングが必要な理由について、信号スペクトルを用いて説明する。
【0014】
図10は、副搬送波方式の赤外線リモコンの発光周波数を示すスペクトル図である。横軸が周波数、縦軸が相対振幅を示すイメージである。
【0015】
図10では、AおよびBにより構成される信号成分がベースバンドスペクトラムである。Aがベースバンド信号成分を示しており、Bがベースバンド信号の高調波成分を示している。
【0016】
CおよびDにより構成される信号成分が変調後データスペクトラムである。Cが変調された副搬送波周波数の信号成分を示しており、Dがベースバンド高調波成分を示している。また、図10では、40KHzの副搬送波を使用する場合の例を示しており、元の信号(ベースバンド信号)の周波数成分が、副搬送波周波数(一般的に30KHzから60KHz)を中心に変調されている。このCの信号成分が、赤外線受信回路において復調するための必要スペクトラムである。
【0017】
Eにより構成される信号成分が変調後データスペクトラムの高調波スペクトラムである。Eは3倍の高調波成分を示しており、赤外線受信回路において不要スペクトラムである。
【0018】
赤外線受信回路は、赤外線リモコンから発光されたC,DおよびEの信号成分を受信する。
【0019】
図11は、バンドパスフィルタを用いた信号の取り出し方のイメージを示すスペクトル図である。40KHz付近の副搬送波に乗せられた元信号(以下、ベースバンド信号と記す)のみを、バンドパスフィルタの帯域aで抽出する。
【0020】
したがって、バンドパスフィルタの中心周波数が、副搬送波周波数に精度良く合致している必要がある。バンドパスフィルタの中心周波数がずれると、抽出する帯域が帯域bや帯域cのようにずれてしまう。このため、抽出した信号において、信号振幅が極端に減衰したり、波形歪が生じたりすることにより、受信特性が極端に悪化する。
【0021】
このため、バンドパスフィルタの中心周波数は、集積回路チップ毎にトリミングしている。トリミングを行わない場合、一般的な集積回路における中心周波数のずれは、20%から40%までのずれが生じていると考えられる。通常使用されているバンドパスフィルタでは、例えば、中心周波数が10%シフトすると信号振幅は約半分になる。これは、S/N比が50%悪化することを意味する。
【0022】
また、バンドパスフィルタと同等の機能である、所定の信号周波数成分を取り出す赤外線受信回路が、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1では、所定の周波数を調整用抵抗を用いて調整している。つまりは、調整用抵抗による調整がトリミングと等価である。
【0023】
さらに、バンドパスフィルタを備えた赤外線受信回路が、例えば、特許文献2に開示されている。特許文献2では、バンドパスフィルタの中心周波数を、トリミングにより調整する必要がある。
【0024】
トリミングの手段としては、従来、メタル溶断、ツエナーザップ、およびレーザートリミングの手段が利用されている。
【特許文献1】実開平6−48255号公報(1994年6月28日公開)
【特許文献2】実用新案登録第3068183号(2000年2月9日登録)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、上記特許文献1では、赤外線受信回路をIC回路として構成しているため、調整用抵抗はIC回路の外に追加で備えなければならない。それゆえ、抵抗を追加する分、コストが増加する。さらに、デバイス毎に所定の周波数の調整が必要と考えられ、その工数としての費用が掛かるという問題点を有している。
【0026】
また、上記従来のトリミングの手段は、それぞれ下記の問題点を有している。
【0027】
メタル切断は、メタル切断時の切断しろを必要とする。これにより、大きなパッドが必要となるため、チップ面積が増加してしまう。しかも、コストが増加する。
【0028】
ツエナーザップは、ツェナ素子とパッドとが必要になる。これにより、ツェナ素子を搭載させるため、チップ面積が増加してしまう。しかも、コストが増加する。
【0029】
レーザートリミングは、面積小であるが、ランニングコストが増加する。
【0030】
したがって、上記3つの手段の何れも、周波数調整のためにトリミング作業に伴うコスト増加の問題点を有している。これに対し、近年、特に赤外線リモコン受信機の市場では、価格競争が激化している。それゆえ、原価に対する要求は非常に厳しい状況であるため、コストの低減が要望されている。
【0031】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるバンドパスフィルタを必要とせずに実現することができる受信復調回路、受信復調方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の受信復調回路は、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調回路であって、上記変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段とを備えることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、周波数領域変換手段が、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する。そして、ノイズ除去手段が、周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去する。
【0034】
これにより、周波数領域変換手段が、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、ノイズ除去手段が、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するだけで、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。
【0035】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出する手段、例えば、バンドパスフィルタなどが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業、例えば、トリミング作業も不要となる。したがって、本発明の受信復調回路は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段を必要とせずに実現することが可能となる。
【0036】
また、本発明の受信復調回路は、上記ノイズ除去手段は、上記変調される前の周波数領域を含む通過帯域を有するローパスフィルタであることが好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、ローパスフィルタが変調される前の周波数領域を含む通過帯域を有することにより、通過させる最大周波数(カットオフ周波数)がばらついたとしても、変調される前の周波数領域の信号の、振幅の減衰や歪みを防止することが可能となる。
【0038】
また、本発明の受信復調回路は、上記ローパスフィルタは、1次のローパスフィルタであることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、1次のローパスフィルタであることにより、ローパスフィルタを抵抗および容量のみで簡単に実現することが可能である。また、1次のローパスフィルタは、カットオフ周波数のバラツキについても、抵抗と容量との掛け算で容易に設計することが可能である。
【0040】
また、本発明の受信復調回路は、上記周波数領域変換手段は、上記変調信号を全波整流する全波整流回路であることが好ましい。
【0041】
上記の構成によれば、全波整流回路が変調信号を全波整流することにより、変調前の元の信号が含んでいる情報を歪ませること無く、変調信号を変調前の周波数領域へ周波数変換することが可能となる。また、全波整流回路であることにより、周波数領域変換手段を簡単な回路で実現することが可能となる。
【0042】
また、本発明の受信復調回路は、上記周波数領域変換手段の前段に、上記副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するハイパスフィルタを備えることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、周波数領域変換手段の前段に、副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するハイパスフィルタを備えることにより、外乱ノイズや内部雑音を除去する。これにより、変調信号の周波数領域の変換の前に、外乱ノイズや内部雑音により回路動作が飽和することを防止することが可能となる。
【0044】
また、本発明の受信復調回路は、光通信によって受信した副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調回路であって、上記光通信の受信によって光電流信号として入力された上記変調信号を、電圧信号の上記変調信号に変換する電流電圧変換手段と、上記電流電圧変換手段から出力された変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段と、上記ノイズ除去手段から出力された信号のパルスの有無を検出する検出回路とを備えることを特徴としている。
【0045】
上記の構成によれば、電流電圧変換手段が、光通信の受信によって光電流信号として入力された変調信号を、電圧信号の上記変調信号に変換する。そして、周波数領域変換手段が、電流電圧変換手段から出力された変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する。そして、ノイズ除去手段が、周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去する。そして、検出回路が、ノイズ除去手段から出力された信号のパルスの有無を検出する。
【0046】
これにより、光通信の受信によって光電流信号として入力された変調信号においても、電流電圧変換手段が電圧信号の変調信号に変換し、周波数領域変換手段が、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、ノイズ除去手段が、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するだけで、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。さらに、検出回路により、取り出した信号の情報を復調することが可能となる。
【0047】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出する手段、例えば、バンドパスフィルタなどが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業、例えば、トリミング作業も不要となる。したがって、本発明の受信復調回路は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段を必要とせずに実現することが可能となる。
【0048】
また、本発明の受信復調回路は、上記周波数領域変換手段の後段、かつ、上記ノイズ除去手段の前段に、上記周波数領域変換手段から出力された信号を増幅する増幅回路を備えることが好ましい。
【0049】
上記の構成によれば、周波数領域変換手段にて変調信号の周波数変換が行われた後に、増幅回路が周波数領域変換手段から出力された信号を増幅する。これにより、増幅回路の周波数帯域が変調される前の周波数帯域しか必要としない。このため、増幅回路の性能への要求が少なくなり、増幅回路の規模の削減、および消費電流の低減に貢献することが可能となる。
【0050】
また、本発明の受信復調回路は、上記電流電圧変換手段は、上記周波数領域変換手段と、上記副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するハイパスフィルタとを内蔵して構成されることが好ましい。
【0051】
上記の構成によれば、電流電圧変換手段内に、周波数領域変換手段とハイパスフィルタとを内蔵するため、受信復調回路全体の回路規模の削減が可能となる。
【0052】
上記の内蔵して構成した電流電圧変換手段としては、以下のような構成が可能である。
【0053】
上記内蔵して構成した電流電圧変換手段は、上記光通信の受信によって光電流信号としての変調信号が入力される入力部と、一方の端子が上記入力部に接続され、他方の端子が接地またはインピーダンス素子に接続される第1抵抗と、一方の端子が上記入力部に接続される第1容量素子と、反転入力端子、非反転入力端子、反転出力端子、および非反転出力端子を有しており、上記非反転入力端子が上記第1容量素子の他方の端子に接続される差動増幅回路と、一方の端子が上記非反転入力端子に接続され、他方の端子が上記反転出力端子に接続される第2抵抗と、一方の端子が上記反転入力端子に接続され、他方の端子が上記非反転出力端子に接続される第3抵抗と、第1入力端子が上記差動増幅回路の非反転出力端子に接続され、第2入力端子が上記差動増幅回路の反転出力端子に接続されるOR回路とにより構成されることが好ましい。
【0054】
また、本発明の受信復調方法は、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調方法であって、上記変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換するステップと、上記ステップにて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するステップとを含むことを特徴としている。
【0055】
上記の構成によれば、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去することにより、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。
【0056】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するステップが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業も不要となる。したがって、本発明の受信復調方法は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるステップを不要とすることが可能となる。
【0057】
また、本発明の電子機器は、上記受信復調回路を搭載することを特徴としている。
【0058】
上記の構成によれば、上記受信復調回路を搭載する電子機器は、当該受信復調回路を赤外線受信器、特にリモコン受光ユニット用ICの設計に使用することにより、非常に低価格の赤外線受信器を備える電子機器を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0059】
以上のように、本発明の受信復調回路は、変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段とを備える構成である。
【0060】
これにより、周波数領域変換手段が、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、ノイズ除去手段が、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するだけで、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。
【0061】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出する手段、例えば、バンドパスフィルタなどが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業、例えば、トリミング作業も不要となる。
【0062】
したがって、本発明の受信復調回路は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段を必要とせずに実現することができるという効果を奏する。さらに、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段に関わるコストを削減できる効果を有する。
【0063】
また、本発明の受信復調回路は、光通信の受信によって光電流信号として入力された変調信号を、電圧信号の変調信号に変換する電流電圧変換手段と、上記電流電圧変換手段から出力された変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段と、上記ノイズ除去手段から出力された信号のパルスの有無を検出する検出回路とを備える構成である。
【0064】
これにより、光通信の受信によって光電流信号として入力された変調信号においても、電流電圧変換手段が電圧信号の変調信号に変換し、周波数領域変換手段が、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、ノイズ除去手段が、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するだけで、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。さらに、検出回路により、取り出した信号の情報を復調することが可能となる。
【0065】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出する手段、例えば、バンドパスフィルタなどが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業、例えば、トリミング作業も不要となる。
【0066】
したがって、本発明の受信復調回路は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段を必要とせずに実現することができるという効果を奏する。さらに、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須である手段に関わるコストを削減できる効果を有する。
【0067】
また、本発明の受信復調方法は、変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも変調される前の周波数領域に変換するステップと、上記ステップにて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するステップとを含む方法である。
【0068】
このため、変調信号の周波数領域を変調される前の周波数領域に変換した後に、単に、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去することにより、変調される前の周波数領域の信号を問題なく取り出すことが可能となる。
【0069】
それゆえ、副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を抽出するために、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するステップが不要となる。このため、副搬送波の周波数領域に合致するように、抽出する基準となる中心周波数を調整する作業も不要となる。
【0070】
したがって、本発明の受信復調方法は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるステップを不要とすることができるという効果を奏する。さらに、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるステップに関わるコストを削減できる効果を有する。
【0071】
また、本発明の電子機器は、上記受信復調回路を搭載している。
【0072】
それゆえ、上記受信復調回路を搭載する電子機器は、当該受信復調回路を赤外線受信器、特にリモコン受光ユニット用ICの設計に使用することにより、非常に低価格の赤外線受信器を備える電子機器を実現することができるという効果を奏する。例えば、電子機器として、TVやビデオプレイヤー、ビデオレコーダー、DVDプレイヤー、DVDレコーダーなどの非常にコスト要求の厳しい赤外線受信器を備える家庭用電子機器を実現することができる。
【0073】
また、赤外線通信で標準規格化されているIrDA−Controlなどの副搬送波方式の通信の受信においても、全く同様の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0074】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0075】
図1は、本実施の形態の赤外線受信回路100の一構成例を示すブロック図である。
【0076】
本実施の形態の赤外線受信回路100(受信復調回路)は、副搬送波による変調を用いた光通信方式で使用可能な、赤外線通信機能を有する電子機器の受信器に搭載されるものであり、受信した変調信号を復調する回路である。そして、赤外線受信回路100は、復調した信号を、例えば、電子機器を制御するマイコンなどに出力する。
【0077】
本実施の形態の赤外線受信回路100は、図1に示すように、フォトダイオード(PD)101(入力部)、電流電圧変換回路部102(電流電圧変換手段)、増幅回路103、ハイパスフィルタ(HPF)104、整流回路105(周波数領域変換手段)、ローパスフィルタ(LPF)106(ノイズ除去手段)、検出回路107、積分回路108、およびヒステリシスコンパレータ回路109を備えている。
【0078】
本実施の形態の赤外線受信回路100は、赤外線を受信するとPD101にて発生する光電流信号を入力し、集積化された受信チップ10で復調して出力する。上記赤外線受信回路100の構成のうち、PD101を除く構成部分が、集積化され受信チップ10を構成している。
【0079】
また、受信チップ10には、PD101からの信号が入力される入力端子IN、ヒステリシスコンパレータ回路109からの信号が出力される出力端子OUT、電源が供給される電源端子Vcc(Vdd)、GNDが接続されるグランド端子GND、LPF106の出力信号LPF_outが接続される端子、および、キャリア検出レベルDetの信号が接続される端子などの信号入出力口が設けられている。
【0080】
PD101は、受信チップ10外に設けられている外付けPDであり、赤外線受信回路100の入力部としての役割を有している。カソードが受信チップ10の入力端子INに接続され、アノードが接地されている。PD101は、赤外線の光信号を受信(検出)すると電流信号を流す。これにより、受信チップ10に電流信号が入力される。
【0081】
電流電圧変換回路部102は、入力端子INから入力された電流信号を、当該電流信号から電圧信号に変換して、増幅回路103に出力する。入力端子INから入力された電流信号は、すなわち副搬送波の周波数領域で変調された変調信号である。
【0082】
また、詳細には、電流電圧変換回路部102は、初段アンプ(HA)111により構成されている。つまりは、HA111は、入力端子INから入力された電流信号を、増幅すると共に、当該電流信号から電圧信号に変換している。
【0083】
増幅回路103は、電流電圧変換回路部102から出力された電圧信号を増幅して、HPF104に出力する。また、詳細には、増幅回路103は、2段目アンプ(2ndAMP)112、コンデンサ113、および3段目アンプ(3rdAMP)114により構成されている。つまりは、HA111から出力された電圧信号を、2ndAMP112は一旦増幅し、その出力信号をコンデンサ113を通過させてから、3rdAMP114が再度増幅している。
【0084】
HPF104は、増幅回路103から出力された電圧信号における低周波のノイズを除去する。詳細には、HPF104は、副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するように、最低周波数(カットオフ周波数)が設定されている。これにより、HPF104は、副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去すると同時に、高周波の電圧信号を抽出して、整流回路105に出力する。
【0085】
整流回路105は、HPF104から出力された電圧信号を整流して、LPF106に出力する。整流回路105は、全波整流回路である。なお、全波整流回路の詳細な構成については後述する。
【0086】
LPF106は、整流回路105から出力された電圧信号における高周波のノイズを除去する。詳細には、LPF106は、ベースバンド信号の周波数領域を含む通過帯域を有するように、最大周波数(カットオフ周波数)が設定されている。これにより、LPF106は、ベースバンド信号の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去すると同時に、ベースバンド信号を取り出して、検出回路107および受信チップ外に出力する。LPF106は、1次のローパスフィルタである。
【0087】
また、LPF106は、LPF106の出力信号LPF_outが接続される端子、および、キャリア検出レベルDetの信号が接続される端子などの信号入出力口と接続されており、受信チップ10外との信号のやり取りが可能となっている。
【0088】
検出回路107は、LPF106から出力された信号およびキャリア検出レベルの信号に基づいて、パルス(キャリア)の有無を検出して、ベースバンド信号を検出する。検出回路107は、検出した信号を積分回路108に出力する。
【0089】
積分回路108は、検出回路107から出力されたベースバンド信号を積分して波形を生成し、ヒステリシスコンパレータ回路109に出力する。
【0090】
ヒステリシスコンパレータ回路109は、積分回路108から出力された信号とスレッシュレベルとに基づいて、パルス信号を生成し、出力端子OUTに出力する。
【0091】
次に、上記構成を有する本実施の形態の赤外線受信回路100の回路動作について説明する。
【0092】
図2(a)〜(g)は、赤外線受信回路100の各部における、各出力の信号波形を示す図である。
【0093】
PD101が光信号を検出すると、光電流信号i_inが流れる。光電流信号i_inは、図2(a)に示すような信号波形を有している。光電流信号i_inは30〜60KHzのキャリアで変調された信号であり、38KHzのキャリアで変調された信号が一般的である。光電流信号i_inは、電流電圧変換回路部102に入力される。
【0094】
続いて、光電流信号i_inは、電流電圧変換回路部102にて、増幅されると共に電流信号から電圧信号に変換される。そして、電流電圧変換回路部102から出力された信号は、増幅回路103にて増幅され、HPF104に出力される。
【0095】
HPF104では、低周波のノイズが除去されたHPF信号hpf_outが出力される。このHPF信号hpf_outは、理想的には、図2(b)に示すような信号波形が望まれる。しかし、実際は、HPF信号hpf_outは、図2(c)に示すような、ノイズを含む信号波形を有している。なお、簡略化のため、網掛けでノイズが信号に混在しているイメージを示している。
【0096】
続いて、HPF信号hpf_outは、整流回路105にて整流される。整流後の信号Rec_outは、図2(d)に示すような信号波形を有している。整流回路105は、全波整流回路であるので、信号Rec_outは、全波整流されている。なお、図2(c)と同様に、網掛けは信号に混在するノイズを示している。
【0097】
続いて、信号Rec_outは、LPF106にて高周波のノイズが除去される。LPF106から出力された出力信号LPF_outは、図2(e)に示すような信号波形を有している。また、キャリア検出レベルDetが、図2(e)に示すように設定される。なお、図2(c)と同様に、網掛けは信号に混在するノイズを示しており、この時点でほとんどのノイズが除去されている。
【0098】
続いて、出力信号LPF_outおよびキャリア検出レベルDetに基づいて、検出回路107にてベースバンド信号が検出される。そして、その出力信号が、積分回路108にて積分される。積分回路108から出力された出力信号Intは、図2(f)に示すような信号波形を有している。
【0099】
また、積分回路108から出力された出力信号Intは、ヒステリシスコンパレータ回路109に入力され、スレッシュレベルと比較される。このスレッシュレベルは、図2(f)に示すように設定されている。
【0100】
最後に、ヒステリシスコンパレータ回路109から信号が出力され、出力端子OUTから出力信号outが出力される。出力信号outは、図2(g)に示すような信号波形を有している。この出力信号outは、本実施の形態の赤外線受信回路100が出力する復調信号である。
【0101】
以上のように、本実施の形態の赤外線受信回路100では、従来の赤外線受信回路100にて必須の構成であったバンドパスフィルタを備えなくても、信号を復調することが可能となっている。これについて、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0102】
図3は、本発明の概念を信号の周波数スペクトルで説明した図である。横軸が周波数、縦軸が相対振幅を示すイメージである。
【0103】
従来の赤外線受信回路100では、図11に示したように、BPF507を用いて副搬送波周波数の変調信号から必要な信号成分を直接抽出していた。言い換えると、BPF507で不要なノイズを除去していた。副搬送波周波数で信号を取り出す場合、BPF507には、低周波と高周波の両方のノイズと除去する必要があるため、中心周波数の精度も要求される。
【0104】
これに対し、本実施の形態の赤外線受信回路100では、副搬送波に載せられ、40KHzの副搬送波周波数の両側に存在するベースバンド信号を、元の周波数領域へ変換してから、LPF106で信号を取り出している。
【0105】
詳細には、整流回路105において信号が全波整流されることにより、図3に示す矢印Xに示すように、ベースバンド信号成分(ベースバンドスペクトラム)と、矢印Yに示すように、副搬送波の2倍の高周波成分Fとが発生する。つまりは、整流回路105が、入力信号に対して、副搬送波の周波数領域から元信号の周波数領域へ変換する回路部分となっている。
【0106】
そして、ベースバンド信号の周波数領域へ変換した後の信号は、続くLPF106の帯域pにより、副搬送波の2倍の周波数成分は捨て、必要な信号成分であるベースバンド信号成分のみを取り出す。言い換えると、ベースバンド信号より高い周波数のノイズ、すなわち不要なノイズを除去することとなる。
【0107】
この方法の場合、ベースバンド信号の帯域を確保できる通過帯域のLPF106であれば、カットオフ周波数がばらついても、ベースバンド信号の信号振幅の減衰や、信号波形の歪はほとんど発生しない。それゆえ、LPF106のカットオフ周波数の精度は、BPFの中心周波数の精度ほどは必要とされない。
【0108】
従来の副搬送波周波数で、信号を取り出す場合は、周波数ずれが、特性へ大きな影響を与えたが、LPF106の場合、カットオフ周波数のずれは、IC内部の熱雑音量の若干の変動にとどまる。この場合、例えば、カットオフ周波数が10%ずれた場合でも、熱雑音振幅は5%程度の増加であり、S/N比の悪化は5%にとどまる。
【0109】
よって、本実施の形態の赤外線受信回路100では、BPFを備えなくても、従来と同等の機能を有する復調機能を実現することが可能となっている。それゆえ、BPFを備えないので、所望する周波数の信号を抽出するために、中心周波数を調整するトリミング作業が不要となる。したがって、本実施の形態の赤外線受信回路100は、副搬送波の周波数領域を選択して抽出するために周波数調整が必須であるBPFを必要とせずに実現することが可能となる。
【0110】
また、本実施の形態の赤外線受信回路100では、LPF106は1次のローパスフィルタである。
【0111】
1次のローパスフィルタは、抵抗および容量のみで簡単に実現することが可能である。また、1次のローパスフィルタは、カットオフ周波数のバラツキについても、抵抗と容量との掛け算で容易に設計できるメリットがある。
【0112】
従来、副搬送波周波数で信号を取り出す場合に2次のバンドパスフィルタで構成していたフィルタは、ローパスフィルタでベースバンド信号を取り出してノイズ除去する場合、1次のローパスフィルタの次定数に相当する。それゆえ、2次のバンドパスフィルタで構成したバンドパスフィルタの代替として、1次のローパスフィルタのLPF106で同様の効果を得ることが可能となる。
【0113】
また、LPF106を1次のローパスフィルタとすることは、回路規模と性能との両面から非常に効率的である。なお、LPF106は、1次のローパスフィルタに限らず、高次のローパスフィルタを使用してもよい。これにより、さらにノイズ除去性能を向上することが可能となる。
【0114】
また、本実施の形態の赤外線受信回路100では、整流回路105の前段にHPF104を備えている。
【0115】
信号を整流してLPF106でノイズを取り除く前段階において、特に外乱ノイズにより回路が飽和してしまった場合に、整流してローパスフィルタでノイズを除去したとしても、元のベースバンド信号の情報が失われている可能性がある。
【0116】
この場合を防止するために、副搬送波周波数の信号領域において、ある程度のノイズを除去することが効果的である。
【0117】
よって、整流回路105の前段にHPF104を備えることにより、外乱ノイズや内部雑音を除去する。これにより、信号を整流する前に、外乱ノイズや内部雑音により回路動作が飽和することを防止することが可能となる。
【0118】
また、本実施の形態の赤外線受信回路100では、整流回路105は全波整流回路である。
【0119】
全波整流回路は、非常に簡単に実現することが可能な回路である。
【0120】
図4は、全波整流回路200の一構成例を示す回路図である。
【0121】
全波整流回路200は、図4に示すように、バイポーラトランジスタ201〜204、抵抗205〜207、定電流源208〜210、電源端子VCC、入力端子Vin、および出力端子Vout(Rec_out)を備えている。
【0122】
全波整流回路200では、HPF104から出力されたHPF信号hpf_outが入力端子Vinに入力され、全波整流されて、出力端子Vout(Rec_out)から、信号Rec_outが出力される。
【0123】
これにより、本実施の形態の赤外線受信回路100は、全波整流回路200を備えることによって、ベースバンド信号が含んでいる情報を歪ませること無く、入力した信号をベースバンド信号領域へ周波数変換することが可能となる。
【0124】
なお、整流回路105は、全波整流回路が用いられるが、これに限らず、例えば、半波整流回路などでもよい。
【0125】
図5は、半波整流回路250の一構成例を示す回路図である。
【0126】
半波整流回路250は、図5に示すように、バイポーラトランジスタ251〜254、抵抗255〜257、定電流源258〜260、定電圧源261、電源端子VCC、入力端子Vin、および出力端子Vout(Rec_out)を備えている。
【0127】
半波整流回路250では、HPF104から出力されたHPF信号hpf_outが入力端子Vinに入力され、半波整流されて、出力端子Vout(h_Rec_out)から、信号Rec_outが出力される。
【0128】
これにより、信号Rec_outに含まれる情報量は減少するが、全波整流回路200と同様に、簡単な回路で、ベースバンド信号の情報を歪ませること無く、入力した信号をベースバンド信号領域へ周波数変換することが可能となる。
【0129】
また、本実施の形態の赤外線受信回路100は、図6に示すように構成してもよい。
【0130】
図6は、本実施の形態の赤外線受信回路300の一構成例を示すブロック図である。
【0131】
本実施の形態の赤外線受信回路300(受信復調回路)は、赤外線受信回路100と同様の構成要素を備えている。赤外線受信回路100を異なる点は、図6に示すように、電流電圧変換回路部102と増幅回路103との間、すなわち電流電圧変換回路部102の直後に、整流回路105を配置している点である。赤外線受信回路300では、電流電圧変換回路部102、整流回路105、増幅回路103、HPF104、LPF106の順に接続される。
【0132】
上記の構成によれば、赤外線受信回路300は、電流電圧変換回路部102から出力された電圧信号を、まず、整流回路105にてベースバンド信号の周波数領域へ変換した後に、増幅回路103以降の処理を行う。
【0133】
これにより、増幅回路103の周波数帯域がベースバンド信号の周波数帯域しか必要としない。このため、増幅回路103の性能への要求が少なくなり、増幅回路103の規模の削減、および消費電流の低減に貢献できるメリットがある。
【0134】
また、本実施の形態の赤外線受信回路は、ハイパスフィルタと、整流回路105の機能に相当する、副搬送波の周波数領域から元信号の周波数領域へ変換する機能を有する周波数領域変換回路とを、電流電圧変換回路部102に内蔵して構成してもよい。
【0135】
図7は、ハイパスフィルタと周波数領域変換回路とを、光電流信号の電流電圧変換アンプに内蔵した場合の等価回路400を示す回路図である。
【0136】
等価回路400は、図7に示すように、PD101、抵抗401(第1抵抗)、コンデンサ402(第1容量素子)、抵抗403、コンデンサ404、差動増幅回路405、抵抗406(第2抵抗)、抵抗407(第3抵抗)、OR回路408、および出力端子Vout(HA_Rec_out)により構成されている。
【0137】
また、抵抗401およびコンデンサ402で構成される部分が、ハイパスフィルタ411である。差動増幅回路405、抵抗406、および抵抗407で構成される部分が、電流電圧変換回路部412(電流電圧変換手段)である。OR回路408で構成される部分が、周波数領域変換回路413(周波数領域変換手段)である。
【0138】
抵抗401は、一方の端子がPD101のカソード側と接続され、他方の端子が接地されている。
【0139】
コンデンサ402は、一方の端子が、PD101のカソード側であって、抵抗401が接続されている地点よりも後段に接続されている。
【0140】
差動増幅回路405は、反転入力端子、非反転入力端子、反転出力端子、および非反転出力端子を有している。反転入力端子は、コンデンサ404、抵抗403の順番を介して接地されている。非反転入力端子は、コンデンサ402の他方の端子に接続されている。反転出力端子および非反転出力端子は、OR回路408の入力端子にそれぞれ接続されている。
【0141】
また、反転出力端子と非反転入力端子とが、抵抗406を介して接続されている。非反転出力端子と反転入力端子とが、抵抗407を介して接続されている。
【0142】
OR回路408は、差動増幅回路405の非反転出力端子に接続される第1入力端子、および、差動増幅回路405の反転出力端子に接続される第2入力端子を有している。OR回路408は、差動増幅回路405の反転出力端子の出力信号および非反転出力端子の出力信号に基づいて、出力端子Vout(HA_Rec_out)に、出力信号HA_Rec_outを出力する。
【0143】
上記の構成によれば、PD101の光電流信号を、ハイパスフィルタ411を介して差動増幅回路405を使用した電流電圧変換回路部412で受け、その差動出力をアナログのOR回路408に入力する。そして、OR回路408が、出力端子Vout(HA_Rec_out)に出力信号HA_Rec_outを出力する。
【0144】
また、ハイパスフィルタ411のカットオフ周波数fchは、
fch=1/(2πCR)
で表され、例えば、fch=20KHzに設定する場合は、R=500K、C=16pFとなる。
【0145】
よって、ハイパスフィルタ411、電流電圧変換回路部412、および周波数領域変換回路413により構成された等価回路400として、周波数領域変換回路とハイパスフィルタとを電流電圧変換回路部102に内蔵して構成することにより、簡単に少ない素子数で受信復調回路を実現し、回路規模の削減が可能となる。
【0146】
なお、抵抗401および抵抗403は、GNDに接地した例を記載しているが、これに限らず、抵抗401および抵抗403は、任意の低インピーダンスの電圧源(インピーダンス素子)に接続してもよい。
【0147】
また、上記赤外線受信回路100および300を搭載する電子機器は、当該赤外線受信回路を赤外線受信器、特にリモコン受光ユニット用ICの設計に使用することにより、非常に低価格の赤外線受信器を備える電子機器を実現することが可能となる。
【0148】
電子機器は、例えば、TVやビデオプレイヤー、ビデオレコーダー、DVDプレイヤー、DVDレコーダー、エアコンなどの、世界的に非常に普及している家庭用電子機器や、キャリアを含む信号の復調器などである。
【0149】
また、本実施の形態の赤外線受信回路100および300は、赤外線通信において受信した信号を復調する場合について説明したが、これに限らず、赤外線以外の光通信や、電磁波通信などの、副搬送波で変調された信号(キャリアを含む信号)を受信して復調する受信復調回路においても適用可能である。
【0150】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、TVやビデオプレイヤー、ビデオレコーダー、DVDプレイヤー、DVDレコーダー、エアコンなどの家庭用電子機器の、副搬送波による変調を用いた光通信方式で用いる赤外線受信器に適用できるが、これに限らず、その他の分野にも適用することができる。例えば、キャリアを含む信号の復調器や、通信機能を備える工場用電子機器などに適用することができる。また、赤外線通信で標準規格化されているIrDA−Controlなどの副搬送波方式の通信の受信においても、適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】本発明における受信復調回路の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(g)は、上記受信復調回路における各部の出力信号波形を示す図である。
【図3】上記受信復調回路における、信号の取り出し方を信号のスペクトルで示す図である。
【図4】上記受信復調回路における全波整流回路の構成を示す回路図である。
【図5】上記受信復調回路における半波整流回路の構成を示す回路図である。
【図6】本発明における受信復調回路の他の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】上記受信復調回路における、ハイパスフィルタと周波数領域変換回路とを電流電圧変換回路部に内蔵して構成した場合の等価回路を示す回路図である。
【図8】従来の受信復調回路の構成を示すブロック図である。
【図9】(a)〜(d)は、上記従来の受信復調回路における各部の出力信号波形を示す図である。
【図10】副搬送波方式の信号のスペクトルを示す図である。
【図11】上記従来の受信復調回路における、従来の信号の取り出し方を信号のスペクトルで示す図である。
【符号の説明】
【0153】
10 受信チップ
100 赤外線受信回路(受信復調回路)
101 フォトダイオード(入力部)
102 電流電圧変換回路部(電流電圧変換手段)
103 増幅回路
104 ハイパスフィルタ
105 整流回路(周波数領域変換手段)
106 ローパスフィルタ(ノイズ除去手段)
107 検出回路
108 積分回路
109 ヒステリシスコンパレータ回路
200 全波整流回路
250 半波整流回路
300 赤外線受信回路(受信復調回路)
400 等価回路
401 抵抗(第1抵抗)
402 コンデンサ(第1容量素子)
403 抵抗
404 コンデンサ
405 差動増幅回路
406 抵抗(第2抵抗)
407 抵抗(第3抵抗)
408 OR回路
411 ハイパスフィルタ
412 電流電圧変換回路部(電流電圧変換手段)
413 周波数領域変換回路(周波数領域変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調回路であって、
上記変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段とを備えることを特徴とする受信復調回路。
【請求項2】
上記ノイズ除去手段は、上記変調される前の周波数領域を含む通過帯域を有するローパスフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の受信復調回路。
【請求項3】
上記ローパスフィルタは、1次のローパスフィルタであることを特徴とする請求項2に記載の受信復調回路。
【請求項4】
上記周波数領域変換手段は、上記変調信号を全波整流する全波整流回路であることを特徴とする請求項1に記載の受信復調回路。
【請求項5】
上記周波数領域変換手段の前段に、上記副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するハイパスフィルタを備えることを特徴とする請求項1に記載の受信復調回路。
【請求項6】
光通信によって受信した副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調回路であって、
上記光通信の受信によって光電流信号として入力された上記変調信号を、電圧信号の上記変調信号に変換する電流電圧変換手段と、
上記電流電圧変換手段から出力された変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換する周波数領域変換手段と、
上記周波数領域変換手段にて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するノイズ除去手段と、
上記ノイズ除去手段から出力された信号のパルスの有無を検出する検出回路とを備えることを特徴とする受信復調回路。
【請求項7】
上記周波数領域変換手段の後段、かつ、上記ノイズ除去手段の前段に、上記周波数領域変換手段から出力された信号を増幅する増幅回路を備えることを特徴とする請求項6に記載の受信復調回路。
【請求項8】
上記電流電圧変換手段は、上記周波数領域変換手段と、上記副搬送波の周波数領域よりも低い周波数領域の信号を除去するハイパスフィルタとを内蔵して構成されることを特徴とする請求項6に記載の受信復調回路。
【請求項9】
上記内蔵して構成した電流電圧変換手段は、
上記光通信の受信によって光電流信号としての変調信号が入力される入力部と、
一方の端子が上記入力部に接続され、他方の端子が接地またはインピーダンス素子に接続される第1抵抗と、
一方の端子が上記入力部に接続される第1容量素子と、
反転入力端子、非反転入力端子、反転出力端子、および非反転出力端子を有しており、上記非反転入力端子が上記第1容量素子の他方の端子に接続される差動増幅回路と、
一方の端子が上記非反転入力端子に接続され、他方の端子が上記反転出力端子に接続される第2抵抗と、
一方の端子が上記反転入力端子に接続され、他方の端子が上記非反転出力端子に接続される第3抵抗と、
第1入力端子が上記差動増幅回路の非反転出力端子に接続され、第2入力端子が上記差動増幅回路の反転出力端子に接続されるOR回路とにより構成されることを特徴とする請求項8に記載の受信復調回路。
【請求項10】
副搬送波の周波数領域で変調された変調信号を、変調される前の周波数領域の信号に復調する受信復調方法であって、
上記変調信号の周波数領域を、当該変調信号が存在する周波数領域から、少なくとも上記変調される前の周波数領域に変換するステップと、
上記ステップにて変換された信号のうち、変調される前の周波数領域よりも高い周波数領域の信号を除去するステップとを含むことを特徴とする受信復調方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の受信復調回路を搭載することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−187540(P2008−187540A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20128(P2007−20128)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】