受信装置
【課題】送信データ量の増加を抑えつつ、撮像装置の動作に同期して表示処理を行うことができる受信装置を提供する。
【解決手段】RF回路14は撮像装置1から送信データを受信する。表示回路18は送信データから表示用の表示信号19を作成する表示処理を行う。ID検出回路20は送信データから特定パケットを抽出し、撮像位相検出回路22は特定パケットの受信タイミングを複数回計測する。表示位相調整回路24は、計測の結果を用いて表示信号19の位相調整処理を行う。
【解決手段】RF回路14は撮像装置1から送信データを受信する。表示回路18は送信データから表示用の表示信号19を作成する表示処理を行う。ID検出回路20は送信データから特定パケットを抽出し、撮像位相検出回路22は特定パケットの受信タイミングを複数回計測する。表示位相調整回路24は、計測の結果を用いて表示信号19の位相調整処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置から所定周期で連続的に送信された送信データを受信し、表示処理を行う受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データをデータパケットとして無線伝送する場合、送信側と受信側のクロックが異なる為、受信側でオーバーフローやアンダーフローが発生してしまう。その対策として、特許文献1では、送信クロックを用いて発信時間情報を作成し、画像データと共にパケット化してネットワークに送信し、受信側では、受信パケットを分解して発信時間情報と符号化データを抽出して揺らぎ吸収バッファに記憶させる一方、記憶させた符号化データを発信時間情報と基準時刻を元に読み出し基準時刻に従って復号化し、更に発信時間情報と基準時刻を元に受信パケットが受けた相対的な遅延揺らぎ時間を算出し、各受信パケット各々に対する相対的な遅延ゆらぎ時間を平滑化した値に応じて基準時刻の調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−104701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術は、パケット内にゆらぎ時間測定の為の時間情報を挿入し、挿入した時間情報を基にゆらぎ時間を算出する為、パケットの転送が不定期に行われる場合や、パケット転送が大規模なネットワークを介して行われる場合等、個々のパケットの到着時間が大きく変動する場合に有効である反面、時間情報を付加することで、時間情報分の送信データ量の増加が発生してしまうという欠点がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、送信データ量の増加を抑えつつ、撮像装置の動作に同期して表示処理を行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、所定周期で撮像処理を行ってフレーム若しくはフィールド毎の撮像データを作成し、前記撮像データをパケット化して送信データを作成し、前記送信データを送信する送信処理を行う撮像装置から前記送信データを受信する受信部と、前記送信データから表示用の表示信号を作成する表示処理を行う表示処理部と、前記送信データから特定パケットを抽出し、前記特定パケットの受信タイミングを複数回計測する計測部と、前記計測部による計測の結果を用いて前記表示信号の位相調整処理を行う処理部と、を有する受信装置である。
【0007】
また、本発明の受信装置において、前記制御部は、前記撮像データの送信可能期間の後に当該撮像データの表示が開始されるように前記位相調整処理を行う。
【0008】
また、本発明の受信装置において、前記特定パケットには、識別符号が付加されており、前記計測部は、前記特定パケットの受信タイミングとして前記識別符号の検出タイミングを計測する。
【0009】
また、本発明の受信装置において、前記特定パケットはフレーム若しくはフィールド毎の先頭のパケットである。
【0010】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理には、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる第1の処理と、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して前記表示信号の位相を連続的に変化させる第2の処理とが含まれ、前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う。
【0011】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理には、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を、予め定められた上限及び下限の周波数に対応した調整値を含む所定値に設定する第1の処理と、前記表示クロックの周波数を、前記表示信号の位相値と所定の位相値との差が小さくなるような調整値に設定する第2の処理とが含まれ、前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う。
【0012】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理は、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる処理であって、前記処理部は、前記撮像データの非表示期間であるブランキング期間内に前記位相調整処理を行う。
【0013】
また、本発明の受信装置において、前記計測部は、前記計測の結果に基づいて前記所定周期に対応した撮像タイミングを推定した推定撮像タイミング信号を作成し、前記処理部は、前記推定撮像タイミング信号を用いて前記位相調整処理を行う。
【0014】
また、本発明の受信装置は、前記計測に係るアルゴリズムを複数記憶する記憶部を更に有し、前記計測部は、前記計測の結果に応じて、前記記憶部に記憶されている複数のアルゴリズムから所定のアルゴリズムを選択し、当該アルゴリズムにより前記推定撮像タイミング信号を作成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送信データから特定パケットを抽出し、特定パケットの受信タイミングを複数回計測した結果を用いて表示信号の位相調整処理を行うことによって、送信データ量の増加を抑えつつ、撮像装置の動作に同期して表示処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態による撮像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における定常表示モードでの撮像位相と表示位相との関係を説明する為のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による撮像位相検出回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による撮像位相検出回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による表示位相調整回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による表示クロック周波数調整回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における定常表示モードでの撮像位相と表示位相との関係を説明する為のタイミングチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態による表示クロック周波数調整回路の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図17】本発明の第3の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図20】本発明の第3の実施形態における表示位相カウンタのリセットタイミングを説明する為のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
まず、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、所定周期で撮像を行って画像データを作成し、画像データから、複数のパケットから成る送信データを作成し、送信データを無線送信する撮像装置と、送信データを受信して表示信号を作成する受信装置とから成る撮像表示システムに対して本発明を適用した場合を例に説明を行っている。撮像装置と受信装置は、1対1で接続されるか、小規模なネットワークを介して接続されることが望ましい。
【0019】
図1は、本実施形態による撮像表示システムの構成を示している。撮像装置1は、撮像光学系2、画像センサ3(撮像素子)、画像処理回路4、圧縮回路5、パケット作成回路6、RF回路7、アンテナ8、制御回路9、及び撮像クロック回路10を有する。
【0020】
撮像光学系2は被写体の光学像を画像センサ3上に結像する。画像センサ3は、結像された光学像を撮像データに変換して画像処理回路4に出力する。本実施形態での画像センサ3はプログレッシブスキャンを行っており、所定周期でフレーム単位の撮像データを出力している。以降の説明では、画像センサ3から出力される撮像データの位相を撮像位相と記す。
【0021】
撮像データは、画像処理回路4によって画像処理された後、圧縮回路5によって符号データに変換され、パケット作成回路6に加えられる。パケット作成回路6は、所定のデータ量毎に符号データをまとめて、パケットを識別する為の識別符号である ID情報を含んだ公知の付加情報を加えてパケット(送信データ)を生成する。
【0022】
画像センサ3、画像処理回路4、圧縮回路5、パケット作成回路6、RF回路7の動作は制御回路9により制御されており、制御回路9の動作は撮像クロック回路10からの撮像クロック11を基準に行われている。その為、撮像装置1の動作は、撮像クロック11に同期して行われることになる。上述した、画像センサ3で撮像データを生成してから撮像データをパケット化するまでの手法は公知であるので、これ以上の説明は省略する。パケット作成回路6で作成されたパケットは、RF回路7によりアンテナ8を介して無線送信される。
【0023】
受信装置12は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、ID検出回路20、撮像位相検出回路22、表示位相調整回路24、表示位相カウンタ26、表示クロック周波数調整回路28、表示クロック生成回路30、及び受信制御回路32を有する。
【0024】
RF回路14は、アンテナ13を介して無線信号を受信し、受信した無線信号を復調し、送信データをパケット分解回路15に出力する。パケット分解回路15は、送信データを構成するパケットを符号データと付加情報に分解して、符号データを伸長回路16に、付加情報を ID検出回路20に出力する。
【0025】
伸長回路16は、符号データを伸長し、画像データに変換してフレームメモリ回路17に出力する。画像データはフレームメモリ回路17に格納される。フレームメモリ回路17に格納された画像データは表示回路18により適宜読み出され、表示用の表示信号19に変換(表示処理)されて出力される。表示信号19の位相は、表示回路18に加えられる表示カウント信号27の値により決定される。表示カウント信号27は表示位相カウンタ26から供給される。また、表示信号19の周波数は、表示回路18に加えられる表示クロック31により制御される。表示クロック31は表示クロック生成回路30から供給される。
【0026】
ID検出回路20は、フレームの先頭パケットの付加情報からID情報を検出し、IDの検出タイミングを示すID検出信号21を作成し、撮像位相検出回路22及び受信制御回路32に出力する。撮像位相検出回路22は、表示カウント信号27を基準にして先頭パケットの受信タイミングを測定(計測)することにより、撮像装置1の撮像タイミングを示す撮像位相検出信号21(推定撮像タイミング信号)を作成して出力する。
【0027】
具体的には、撮像位相検出回路22は、ID検出回路20から出力される ID検出信号21を、表示カウント信号27を基準にして複数回測定(計測)してヒストグラムを作成し、ヒストグラムを処理することで、パケット送信タイミングの揺らぎを除去して撮像位相検出信号21を作成している。撮像位相検出回路22の詳細は、後に図3〜図7を用いて説明する。
【0028】
撮像位相検出信号21は、表示位相調整回路24、表示クロック周波数調整回路28、及び受信制御回路32に出力される。表示位相調整回路24は、リセット信号25により表示位相カウンタ26を制御して表示信号19の位相を調整する。表示位相カウンタ26は、表示カウント信号27を作成する。表示クロック周波数調整回路28は、クロック周波数制御信号29により表示クロック生成回路30を制御して表示クロック31の周波数を制御する。表示クロック31の周波数制御は表示信号19の位相調整を兼ねている。表示クロック生成回路30は、表示クロック31を作成する。受信制御回路32は、受信装置12の各部の動作を制御する制御信号33を出力する。受信制御回路32には、ID検出信号21、撮像位相検出信号23、表示カウント信号27、及び表示クロック31が加えられており、これらの信号から制御信号33が作成される。受信制御回路32による受信装置12の動作制御の詳細は、後に図10を用いて説明する。
【0029】
次に、受信装置12の動作モードの説明を行う。受信装置12の動作モードは、動作開始直後の初期位相調整モード、初期位相調整モードに続いて行う初期周波数調整モード、初期周波数調整モードの後に行う定常表示モードの3種類である。
【0030】
初期位相調整モードは、受信装置12が受信を開始した直後に、表示位相カウンタ26を制御して表示信号19の位相を調整する処理を行うモードである。初期位相調整モード中、表示信号19は、黒データを表示する為の信号となる。初期周波数調整モードは、初期位相調整モードの終了後に、表示クロック31の周波数を表示クロック周波数調整回路28により調整し、撮像クロック11の周波数に同期させる調整を行う処理を行うモードである。定常表示モードは、初期周波数調整モードの終了後に、表示クロック31の周波数を表示クロック周波数調整回路28により調整し、表示信号19の位相を撮像位相に対して所定の位相となるように調整する処理を行うモードである。
【0031】
図2は、定常表示モードでの撮像装置1の撮像位相と受信装置12の表示位相との関係を示している。図示したように、画像センサ3は、時刻t1-t2の期間で第 Nフレーム目の撮像データを出力し、時刻t2-t3の休止期間(Vブランキング期間)を置いて、時刻t3-t4の期間に第 N+1フレーム目の撮像データを出力するという動作を繰り返している。
【0032】
この場合、時刻t1-t3の期間が1フレーム期間であり、時刻t1が撮像位相の始点で時刻 t3が撮像位相の終点となる。本実施形態において、画像センサ3は30フレーム/秒で動作しており、時刻t1-t3の期間は1/30秒(約33.3ms)である。
【0033】
パケット作成回路6におけるパケットの作成は、撮像データが圧縮処理され1パケット分のデータが用意出来た時点(時刻t5)から開始される。本実施形態の圧縮処理では、撮像データの絵柄(撮像画像中の周波数成分)により圧縮回路5での処理時間が変わる為、時刻t1-t5の期間ではジッタが発生する。
【0034】
パケットの作成が終了すると、出来上がったパケットから順に送信が行われる。時刻t9は、撮像装置1が第 Nフレーム目の先頭パケットの送信を開始したタイミングである。時刻t12は、受信装置12が先頭パケットの IDを検出したタイミングである。IDはパケットの先頭に付加される為、時刻t12は時刻 t9の直後となる。
【0035】
時刻t1-t12の期間には、上記圧縮処理に伴うジッタの他に、通信に伴うジッタ(送信処理の処理時間の変動、通信環境の劣化による再送処理による通信時間の変動)が含まれている。時刻t9-t10の期間は、再送処理が無い場合の第 Nフレームのパケットの通信期間であり、時刻t9-t11の期間は、再送処理が行われた場合に許容される最長の通信期間である。時刻t11の時点で再送処理を含めた通信が終了しなかった場合、第 Nフレームのパケットの通信は打ち切られる。
【0036】
受信装置12は、前述したように、各フレームでの時刻t12のタイミング(先頭パケットの IDを検出したタイミング)を複数回測定(計測)してヒストグラムを作成し、そのヒストグラムを用いた処理を行って、時刻 t12に含まれる、通信に伴うジッタ成分を除去して撮像装置1の動作タイミングを推定し、時刻t11の時点を予測している。受信装置12は、この時刻t11の時点を予測する際には、時刻t12を検出し、時刻t12-t11の間隔に対応する所定時間を時刻t12に加えて時刻t11の時点を予測している。
【0037】
更に、受信装置12は、図示したように、時刻t11の時点に表示処理時間とマージン時間を加えて時刻 t13の時点を作成している。そして、受信装置12は、時刻t13の時点から第 Nフレームの画像の表示が出来るように、表示信号19の位相を調整している。上記の表示処理時間は、表示信号19の作成処理(パケット分解、伸長、フレームメモリ書込み/読み出し、表示信号作成)に掛かる時間である。また、マージン時間とは、各種ジッタ分と測定誤差分を加えた時間である。
【0038】
尚、時刻t11で通信が終了せず通信が打ち切られた場合、時刻t13からの表示において、受信装置12は、第 Nフレームの画像データを使用せず前フレーム(第 N-1フレーム)のデータを再使用する。通信が打ち切られたことの検出は、受信制御回路32が ID検出信号21から検出し、検出結果を用いて表示回路18を制御する(制御信号図示せず)ことにより行われる。
【0039】
次に、図3、図4を用いて撮像位相検出回路22の構成と動作の説明を行う。図3は、撮像位相検出回路22の構成を示し、図4は撮像位相検出回路22の動作を示している。
【0040】
撮像位相検出回路22は、先頭ID信号生成回路34、ANDゲートブロック36、IDカウンタブロック37、ヒストグラム演算回路38、タイミングコントロール回路39、及びウィンドウ生成回路40を有する。
【0041】
撮像位相検出回路22には、ID検出信号21と表示カウント信号27が入力されている。 表示カウント信号27は、表示位相カウンタ26におけるカウント数を示す信号である。図4に示したように、表示位相カウンタ26は1フレーム期間で100カウントしている。本実施形態での1フレームは1/30秒であるので、1カウント期間は1/3000秒(約0.333ms)である。表示カウント信号27は、先頭ID信号生成回路34、タイミングコントロール回路39、及びウィンドウ生成回路40に加えられている。ID検出信号21は、先頭ID信号生成回路34に加えられている。
【0042】
先頭ID信号生成回路34は、ID検出信号21中の先頭 IDを検出し、先頭IDの検出タイミングを示す先頭 ID信号35を作成し、ANDゲートブロック36に出力する。先頭 ID信号35は、表示カウント信号27のカウントに同期して作成される正のパルス信号である。図4に先頭 ID信号35の波形を示す。
【0043】
タイミングコントロール回路39は、受信制御回路32からの制御信号33と表示カウント信号27を用いて撮像位相検出回路22内の各回路の動作を制御する制御信号を作成する。ウィンドウ生成回路40は、表示カウント信号27のカウント値毎に HIレベルとなる100本のウィンドウ信号(ウィンドウ41_1〜ウィンドウ41_100)を生成し ANDゲートブロック36に出力する。以降では、表示カウント信号27のカウント値を表示カウント信号位相と記して説明を行う。
【0044】
ANDゲートブロック36は、先頭 ID信号35とウィンドウ信号(41_1〜41_100)を用いて、先頭 ID信号35のパルスが表示カウント信号27のどの位相に発生しているのかを検出し、各位相に対応したカウンタ(IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100)にカウントアップ信号を供給する。ANDゲートブロック36は、2入力の ANDゲートが100個組み合わされた構造を有し、各ANDゲートの片側の入力には先頭 ID信号35が加えられ、もう片側の入力にはウィンドウ信号が加えられている。各 ANDゲートの出力は IDカウンタブロック37中のIDカウンタ_1〜IDカウンタ_100に供給される。
【0045】
IDカウンタブロック37は、100個の IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100から構成される回路である。IDカウンタブロック37は、表示カウント信号27のカウント値(位相)毎の先頭 ID信号の発生数をカウントすることにより、先頭 ID信号35の位相のヒストグラムを作成する。図4の場合、先頭 ID信号35は表示カウント信号位相=20の位置で HIレベルとなっている。また、表示カウント信号位相=20の位置では、ウィンドウ_20が HIレベルとなる。その為、IDカウンタ_20がカウントアップすることになる。
【0046】
各 IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100の出力は、ヒストグラム演算回路38に供給される。ヒストグラム演算回路38は、タイミングコントロール回路39から通知された受信装置12の動作モードに応じて、IDカウンタブロック37からのヒストグラムデータを用いて演算処理を行い、先頭 IDの送信タイミングを示す撮像位相検出信号23を作成する。演算処理の内容については、後に図5〜図7を用いて説明する。
【0047】
次に、本実施形態におけるヒストグラムの説明を行う。図5〜図7に、ヒストグラムの例を示す。図中、縦軸が先頭 IDの累積数(IDカウンタ_1〜IDカウンタ100の値)、横軸が表示カウント信号位相(表示カウント信号27のカウント値)である。本実施形態では、ヒストグラムを作成する為の測定期間を10秒として説明を行う。測定期間が10秒、撮像周期が30フレーム/秒であるので、先頭 ID信号の検出数の総数は300になる。
【0048】
前述したように、先頭 IDの位相は、圧縮処理時間の変動、通信処理時間の変動、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による変動により変化する。圧縮処理時間の変動は、撮像された画像に含まれる周波数成分によって圧縮処理の内容が変化する為に発生する変動であり、変動幅は圧縮回路5の性能で決まる既知の値である。通信時間の変動には、通信路の劣化により発生する再送処理による変動と、RF回路7の内部の処理時間の変動とがあり、再送処理を行う間隔と、 RF回路7の内部の処理時間の変動幅とは RF回路7によって決まる既知の値である。
【0049】
上記の圧縮修理時間の変動と RF回路7の内部の処理時間の変動は、後に説明する再送処理による変動や撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による変動と比較して小さい値である。本実施形態での位相調整時には、両方の変動の変動幅を加算し、調整マージンに含ませる処理が行われる。
【0050】
以下、再送処理がヒストグラムに与える影響について説明を行う。本実施形態では、再送処理を行う間隔は1ms間隔である。この場合、先頭パケットの再送が1回行われると、パケットの受信タイミングが表示カウント信号位相で3カウント分ずれることになる。例えば、先頭 IDが表示カウント信号位相20の位置にある場合、先頭パケットの再送を行うと、再送された先頭パケットが表示カウント信号位相23の位置で検出されることになる。
【0051】
次に、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差がヒストグラムに与える影響について説明を行う。例えば、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差が60ppm(60E-6)ある場合、10秒の測定期間中に 撮像と表示のタイミングが0.6msずれることになる。0.6msは表示カウント信号位相で約2カウント分となる。その為、測定当初に先頭 IDが表示カウント信号位相20の位置にある場合、測定終了時には、表示カウント信号位相22の位置になる。定常表示モードでは、表示クロック31の周波数は撮像クロック11の周波数とほぼ同じ周波数に調整されている為、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による表示カウント信号位相のずれは発生しない。
【0052】
図5と図6は、定常表示モードでのヒストグラムの例である。図5は再送処理が少ない通信状態を示し、図6は再送処理が多い通信状態を示している。図5では、先頭 IDの累積数が表示カウント信号位相19から22の間に分布しており、位相20と21に特に多く分布している。図6では、先頭 IDの累積数が、再送の発生に応じて、表示カウント信号位相20、23、26と3カウント刻みで多く分布している。
【0053】
定常表示モードの場合、ヒストグラムの形状により、撮像位相検出信号23として出力する位相値の検出方法が異なる。具体的には、ヒストグラム演算回路38は、ヒストグラムで先頭 IDの累積数が基準数(本説明では50とする)より多い表示カウント信号位相の分布状態から再送発生の頻度を検出する。そして、ヒストグラム演算回路38は、再送発生が多いと判断した場合には累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も小さな数値の表示カウント信号位相を撮像位相検出信号23として出力し、再送発生が少ないと判断した場合には累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も累積数の多い表示カウント信号位相を撮像位相検出信号23として出力する。
【0054】
再送発生の判断では、累積数が基準数以上である表示カウント信号位相の分布により判断が行われる。具体的には、累積数が基準数以上である表示カウント信号位相が連続している場合は再送発生が少ないと判断し、3カウント程度で分散している場合は再送発生が多いと判断する。
【0055】
つまり、図5では累積数が基準数(50)以上の表示カウント信号位相は20と21だけなので再送発生が少ないと判断し、撮像位相検出信号23の値は、累積数が最大である表示カウント信号位相の値である20に決定される。一方、図6では、基準数以上の表示カウント信号位相は20、23、26なので再送発生が多いと判断し、撮像位相検出信号23の値は、累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も小さな数値である20に決定される。
【0056】
上記のように、定常表示モードの場合、ヒストグラム演算回路38は、先頭IDの受信タイミングの測定結果を示すヒストグラムから再送発生の頻度を検出し、検出した頻度に対応するアルゴリズムを複数のアルゴリズムから選択し、そのアルゴリズムに従って撮像位相検出信号23の値を決定する。使用可能な複数のアルゴリズムの情報は図示しないメモリに格納されている。
【0057】
図7は、初期位相調整モード若しくは初期周波数調整モードでのヒストグラムであり、周波数差が大きい(60ppm程度ある)場合の例である。初期位相調整モード及び初期周波数調整モードでは周波数調整は行われていない為、前述したように、例えば周波数差が60ppm程度ある場合、10秒の測定期間中に撮像と表示のタイミングが表示カウント信号位相で約2カウント分ずれることになる。その為、図7に示したように、累積数が基準数以上となる表示カウント信号位相が連続し、その連続する幅は周波数差に応じて決まることになる。
【0058】
ヒストグラム演算回路38は、初期位相調整モード及び初期周波数調整モードでは、上記状況に対応する為、基準数以上の表示カウント信号位相の中央値(2で割り切れない場合は小さな方の値)を撮像位相検出信号23の値として出力する。図7の場合、基準数以上の表示カウント信号位相は21、22、23、24なので、中央値の22、23のうち小さな方の22が撮像位相検出信号23の値として出力される。
【0059】
次に、図8を用いて表示位相調整回路24の構成と動作の説明を行う。図8は表示位相調整回路24の構成を示している。表示位相調整回路24は、初期位相調整モードで表示位相カウンタ26を制御し、表示信号19の位相が撮像位相に対して所定の位相となるように表示信号19の位相を調整する回路であり、基準値レジスタ42、減算回路43、及びリセットタイミング生成回路45を有する。
【0060】
表示位相調整回路24には、表示位相カウンタ26からの表示カウント信号27、撮像位相検出回路22からの撮像位相検出信号23、及び受信制御回路32からの制御信号33が加えられている。表示位相調整回路24による表示位相カウンタ26の制御は、受信装置12が撮像装置1からの送信信号の受信を開始した直後に1度だけ行われる。
【0061】
基準レジスタ42には、表示信号19の位相が撮像位相に対して最適な位相(以下、最適位相と記す)に調整された場合の撮像位相検出信号23の出力値が、基準値として予め格納されている。減算回路43は、基準レジスタ42の値から撮像位相検出信号23の値を減算する。減算回路43からの減算出力44は、リセットタイミング生成回路45に出力される。リセットタイミング生成回路45は、表示カウント信号27の値が減算出力44の値に一致した時点で、一度だけ、リセット信号25を表示位相カウンタ26に出力し、表示位相カウンタ26をリセットする。
【0062】
以下、基準レジスタ42に格納されている値が20の場合を例として説明を行う。撮像位相検出信号23の値が60の場合、表示信号19の位相が最適位相に対して40カウント分進んでいることになる。これを補正する為、表示位相を40(=60-20)カウント分遅らせることが必要になる。
【0063】
表示位相調整回路24は、表示カウントが40になった時点で表示位相カウンタ26を 0にリセットすることで、表示位相を40カウント分遅らせている。つまり、撮像位相検出信号23の値が60の場合、減算出力44は40となり、リセットタイミング生成回路45は、表示カウント信号27が40になった時点でリセット信号25を表示位相カウンタ26に出力し、表示位相カウンタ26の値を 0にする。上記処理により、表示信号19が最適位相に調整され、初期位相調整モードが終了する。
【0064】
次に、図9を用いて表示クロック周波数調整回路28の構成と動作の説明を行う。図9は表示クロック周波数調整回路28の構成を示している。表示クロック周波数調整回路28は、表示クロック31のクロック周波数を調整するクロック周波数制御信号29を出力する回路であり、位相レジスタ46、位相レジスタ47、初期値レジスタ48、及び周波数制御値演算回路49を有する。
【0065】
表示クロック周波数調整回路28には、撮像位相検出信号23と制御信号33が加えられている。撮像位相検出信号23は、位相レジスタ46と位相レジスタ47に加えられ、制御信号33による指示に応じて各レジスタに値が保持される。位相レジスタ46と位相レジスタ47の値は周波数制御値演算回路49に出力される。
【0066】
周波数制御値演算回路49には、初期値レジスタ48の値も加えられている。周波数制御値演算回路49は、位相レジスタ46、位相レジスタ47、初期値レジスタ48の値からクロック周波数制御信号29を作成する。
【0067】
初期位相調整モードでは、周波数制御値演算回路49は、初期値レジスタ48の値を用いてクロック周波数制御信号29を作成する。初期値レジスタ48には、表示クロック31のクロック周波数の初期値(周波数調整範囲の中央値)が格納されている。また、初期周波数調整モードでは、所定の測定間隔を置いて測定した撮像位相検出信号23の値が位相レジスタ46と位相レジスタ47に格納され、周波数制御値演算回路49は位相レジスタ46と位相レジスタ47の出力値の差分を使ってクロック周波数制御信号29を作成する。また、定常表示モードでは、撮像位相検出信号23の値が位相レジスタ46に格納された後、周波数制御値演算回路49は、位相レジスタ46の出力値とその時点でのクロック周波数制御信号29の出力値からクロック周波数制御信号29を作成する。
【0068】
初期周波数調整モードと定常表示モードでの動作の具体的な例を以下に示す。初期周波数調整モードでは、10秒測定(位相レジスタ47に値を格納)−50秒待機−10秒測定(位相レジスタ46に値を格納)−周波数調整のシーケンスを一度行う。その場合、測定期間の中心時刻から次の測定期間の中心時刻までの期間は60秒となる。60秒の期間で撮像位相検出信号23の値が表示カウント信号位相で1カウントずれる場合の周波数差は、約5.56ppm(1/(60×30×100)=5.555ppm)となる。例えば、位相レジスタ46と位相レジスタ47の出力値の差分が10カウントある場合、周波数制御値演算回路49は、周波数差が55.6ppmあると判断し、表示クロック生成回路30の出力周波数が55.6ppm分低くなるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0069】
定常表示モードでは、10秒測定(位相レジスタ46に値を格納)−周波数調整−50秒待機のシーケンスを繰り返し行う。定常表示モードでは、周波数制御値演算回路49は、表示信号19の位相が撮像装置1の撮像位相に対して最適な位相になっている場合の撮像位相検出信号23の値に近づけるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0070】
具体的には、周波数制御値演算回路49は、測定結果の最適位相に対するズレ量を求めて、次の測定でズレ量が1/2となるように制御を行う。例えば、最適な位相が20で、測定結果が28の場合、周波数制御値演算回路49は、次の測定結果が24となるように周波数調整を行う。次の測定までに60秒ある場合、撮像位相検出信号23の値を1カウントずらすには表示クロック31の周波数を約5.56ppmずらせば良い。上記の場合、測定結果が28で次の測定の目標値が24であるから、周波数制御値演算回路49は、差分の4カウント分である22.24ppmだけ現周波数より低くなるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0071】
次に、図10、11を用いて、受信装置12での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図10は、受信装置12での位相調整動作を示しており、図11は実際の表示位相と、予め設定された最適な表示位相との差(以降、表示位相誤差と表記する)の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。
【0072】
最初に、初期位相調整モードの説明を行う。動作開始時、調整モードは、初期位相調整モードとなっている。図10に示したように、ID検出回路20は先頭 IDの検出を待ち(S1)、受信制御回路32は、先頭IDの検出後に調整モードをチェックする(S2)。調整モードが初期位相調整モードの場合、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S3)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号23を作成する(S4)。
【0073】
撮像位相検出信号23の作成後、表示位相調整回路24は、受信制御回路32からの制御信号33に従って表示位相調整を行う(S5)。その後、受信制御回路32は調整モードを初期周波数調整モードに設定し(S6)、測定モードを測定1に設定し(S7)、初期位相調整モードを終了する。
【0074】
上記の動作は、図11の時刻t0-t1の期間に相当する。図11において、 p0は初期位相調整モード開始時の表示位相誤差であり、p1は初期位相調整モード終了時の表示位相誤差である。p0と p1の差は、撮像クロックと表示クロックの周波数差による。尚、初期位相調整モードでは、S2とS3の間に周波数制御値演算回路49は、初期値レジスタ48に格納されているクロック周波数の初期値を用いてクロック周波数制御信号29を作成する。
【0075】
次に、初期周波数調整モードの説明を行う。初期周波数調整モードでは、先頭IDの検出後、調整モードが初期周波数調整モードであると判断される(S2)。初期周波数調整モードの場合、測定モードにより動作が変化する。測定1が行われる期間は1回目の位相測定期間であり、待機1が行われる期間は待ち時間であり、測定2が行われる期間は2回目の位相測定期間である。受信制御回路32は、測定モードをチェックする(S8)。
【0076】
1回目の位相測定では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S9)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号23を作成する(S10)。撮像位相検出信号23の値は位相レジスタ47に格納される(S11)。その後、受信制御回路32は測定モードを待機1に設定し(S12)、1回目の測定を終了する。
【0077】
続いて、待機1の処理が行われ、50秒間が経過するまで、受信制御回路32は待機が完了したか否かをチェックする(S13)。50秒間の待機が行われた後、受信制御回路32は測定モードを測定2に設定して(S14)待機1の処理を終了し、2回目の位相測定(測定2)に移行する。
【0078】
測定2では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S15)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号21を作成する(S16)。撮像位相検出信号21の値は位相レジスタ46に格納される(S17)。その後、表示クロック周波数調整回路28は周波数調整1を行う(S18)。この周波数調整1(S18)に関しては、図9を用いた周波数制御値演算回路49の初期周波数調整モードでの動作説明で詳細を記したので、ここでは説明を省略する。その後、受信制御回路32は調整モードを定常表示モードに設定し(S19)、測定モードを測定3に設定し(S20)、初期周波数調整モードを終了する。
【0079】
初期周波数調整モードの動作は、図11の時刻t1-t4の期間に相当する。時刻t1-t2の期間が1回目の位相測定期間であり、時刻t2-t3の期間が待機1の期間であり、時刻t3-t4の期間が2回目の位相測定期間と周波数調整処理(S18)の実施期間である。時刻t1-t4の期間で表示位相誤差が増大しているのは、周波数調整が実施されていないことが原因である。
【0080】
最後に、定常表示モードの説明を行う。定常表示モードでは、先頭IDの検出後、調整モードが定常表示モードであると判断される(S2)。その後、受信制御回路32は、測定モードをチェックする(S21)。定常表示モードには、測定3と待機2の2つの測定モードがある。測定3で表示位相誤差の測定と周波数の調整を行い、待機2で次の測定を待つ。
【0081】
測定3では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S22)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号21を作成する(S23)。撮像位相検出信号21の値は位相レジスタ46に格納される(S24)。その後、表示クロック周波数調整回路28は周波数調整2を行う(S25)。この周波数調整2(S25)に関しては、図9を用いた周波数制御値演算回路49の定常表示モードでの動作説明で詳細を記したので、ここでは説明を省略する。
【0082】
続いて、待機2の処理(S27,S28)により、50秒間の待機処理が行われ、測定3に移行する。定常表示モードでは、測定3と待機2が繰り返し行われる。
【0083】
定常表示モードの動作は、図11の時刻t4-t13の期間に相当する。時刻t4-t5の期間で測定3が行われ、測定された表示位相誤差(p4)が次の測定(時刻t6-t7)で1/2(測定間隔を60秒として計算)になるようにクロック周波数制御信号29の出力値が調整される。その結果、次の測定(時刻t6-t7)での表示位相誤差(p5)は、p4の1/2となる。この測定3と待機2を繰り返し行うことで、表示位相誤差は零に近づいていくことになる。
【0084】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置12において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。
【0085】
また、特定パケットを使用することで、データ量の増加を招く時間情報を付加する必要がなくなり、送信データ量の増加を抑えることができる。特に、特定パケットの受信タイミングの測定時にパケット識別用の IDの受信タイミングを測定することで、従来のパケットの構成を変更する必要が無くなり、送信情報量を増加させずに受信タイミングの測定を行うことができる。
【0086】
また、再送処理に掛かる時間を見込んで、撮像データの送信可能期間の後のタイミング(図2の時刻t13の時点)から撮像データの表示が開始されるように表示信号19の位相を調整することで、再送処理を行うシステムでも最適な位相調整が可能となる。
【0087】
本実施形態の位相調整処理には、表示位相調整回路24が表示位相カウンタ26をリセットすることにより表示信号19の位相を瞬間的に変化させる位相リセット処理(S5)と、表示クロック周波数調整回路28が表示信号19の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して表示信号19の位相を連続的に変化させる位相連続調整処理(S25)とが含まれる。この位相リセット処理と位相連続調整処理を組み合わせて行うことで、受信開始時の表示信号の位相調整を高速にかつ高精度に行うことができる。
【0088】
また、定常表示モードにおいて、ヒストグラム演算回路38がヒストグラムから検出した再送発生の頻度に応じて選択したアルゴリズムに従って撮像位相検出信号21の値を決定することで、再送発生による測定結果の乱れに対応した正確な撮像位相検出信号21を作成することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、図12〜図16を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態と第1の実施形態では、撮像データの出力形態と位相調整の方式が異なっている。本実施形態は、画像センサ3がインターレススキャンを行う場合の例である。インターレススキャンの場合、1フレームが oddと evenの2つのフィールドで構成される。インターレススキャンについては公知であるのでこれ以上の説明は省略する。本実施形態の位相調整は、表示クロック信号の周波数調整のみで行われる。
【0090】
図12は、本実施形態による受信装置50の構成を示している。図12において、図1に示した受信装置12と同一機能の回路には同一番号を付してあり、本実施形態の動作の中心となる回路には図1に示した受信装置12の回路と異なる番号を付してある。受信装置50は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、表示位相カウンタ26、ID検出回路51、撮像位相検出回路53、表示クロック周波数調整回路55、表示クロック生成回路57、及び受信制御回路59を有する。
【0091】
ID検出回路51は、フィールドの先頭パケットの付加情報からID情報を検出し、IDの検出タイミングを示すID検出信号52を作成し、撮像位相検出回路53及び受信制御回路59に出力する。撮像位相検出回路53は、表示カウント信号27を基準にして先頭パケットの受信タイミングを測定(計測)することにより、撮像装置1の撮像タイミングを示す撮像位相検出信号54を作成して出力する。
【0092】
表示クロック周波数調整回路55は、撮像位相検出信号54に基づいてクロック周波数制御信号56を作成し、このクロック周波数制御信号56により表示クロック生成回路57を制御して表示クロック58の周波数を制御する。表示クロック生成回路57は、表示クロック58を作成する。受信制御回路59は、受信装置50の各部の動作を制御する制御信号60を出力する。
【0093】
本実施形態における受信装置50の動作モードは、動作開始直後の初期調整モードと、初期調整モードの後に行う定常表示モードの2種類である。初期調整モードは、実際の表示位相と最適な表示位相との差である表示位相誤差を測定し、表示位相誤差が所定の許容範囲内に入るまで、表示クロック58の周波数を上限周波数、下限周波数のいずれかに維持するモードである。表示位相誤差が許容位相範囲内に入ったら、表示クロック58の周波数を中央値として定常表示モードに移行する。定常表示モードは、第1の実施形態と異なり、表示位相誤差の測定を連続的に行い、表示位相誤差が零となるように表示クロック58の周波数を制御するモードである。
【0094】
次に、定常表示モードにおける動作を説明する。図13は、表示位相が撮像位相に同期している定常表示モードでの、撮像装置1の撮像位相と受信装置50の表示位相との関係を示している。
【0095】
図13に示すように、画像センサ3は、時刻t1-t2の期間に第 Nフレーム oddフィールドの撮像データを出力し、時刻t2-t3の休止期間を置いて、時刻t3-t4の期間に第 Nフレーム evenフィールドの撮像データを出力し、更に時刻t4-t5の休止期間を置いて、時刻t5-t6の期間で第 N+1フレーム oddフィールドの撮像データを出力し、時刻t6-t7の休止期間を置いて、時刻t7-t8の期間に第 N+1フレーム evenフィールドの撮像データを出力するという動作を繰り返している。
【0096】
この場合、時刻t1-t5の期間が1フレーム期間であり、時刻t1が撮像位相の始点で時刻 t5が撮像位相の終点となる。本実施形態においては、画像センサ3は30フレーム/秒で動作しており、1フィールド(時刻t1-t3、時刻t3-t5)期間は1/60秒(約16.6ms)である。パケット作成回路6でのパケット作成は、撮像データが圧縮処理され1パケット分のデータが用意出来た時点(時刻t9)から開始される。
【0097】
パケット作成が終了すると、出来上がったパケットから順に送信が行われる。時刻t17は、第 Nフレーム目の先頭パケットの送信を開始するタイミングである。時刻t23は、受信装置50が先頭パケットの IDを検出したタイミングである。IDはパケットの先頭に付加される為、時刻t17の直後に検出される。
【0098】
時刻t1-t23の期間には、上記圧縮処理に伴うジッタの他に、通信に伴うジッタ(送信処理の処理時間の変動、通信環境の劣化による再送処理による通信時間の変動)が含まれている。時刻t17-t18の期間は、再送処理が無い場合の第 Nフレームのパケットの通信期間であり、時刻t17-t19の期間は、再送処理が行われた場合に許容される最長の通信期間である。時刻t19の時点で再送処理を含めた通信が終了しなかった場合、第Nフレーム oddフィールドのパケットの通信は打ち切られる。
【0099】
第 Nフレーム evenフィールドのパケットの通信は時刻t20-t22の期間に行われる。フィールドの先頭パケットは、時刻t17から1/60秒遅れた時刻t20の時点で出力される。本実施形態では、evenフィールドの先頭パケットの ID検出タイミングも撮像位相検出信号21の作成に使用している。具体的には、evenフィールドの先頭パケットの ID検出タイミングに対して1/60秒に相当する位相分の補正を行ったタイミングを、フレーム先頭パケットのID(oddフィールドの先頭パケットのID検出タイミング)の検出タイミングと共に使用してヒストグラムを作成している。
【0100】
次に、図14を用いて表示クロック周波数調整回路55の構成と動作の説明を行う。図14は表示クロック周波数調整回路55の構成を示している。本実施形態では、表示信号19の位相調整はすべて表示クロック58の周波数調整によって行っており、表示クロック58の周波数を制御するのが表示クロック周波数調整回路55である。図14に示したように、表示クロック周波数調整回路55は、位相レジスタ46、初期値レジスタ48、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62、及び周波数制御値演算回路63を有する。
【0101】
周波数上限値レジスタ61と周波数下限値レジスタ62及び初期値レジスタ48は、初期調整モードにおいて、表示信号19の位相調整に使用する。周波数上限値レジスタ61には、所定の周波数範囲の上限値が格納されている。周波数下限値レジスタ62には、所定の周波数範囲の下限値が格納されている。初期値レジスタ48には、所定の周波数調整範囲の中央値が格納されている。周波数制御値演算回路63は、位相レジスタ46、初期値レジスタ48、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62の値からクロック周波数制御信号56を作成する。
【0102】
次に、図15、図16を用いて、受信装置50での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図15は、受信装置50での位相調整動作を示している。図16は、実際の表示位相と最適な表示位相との差(表示位相誤差)の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。
【0103】
最初に、初期調整モードでの動作を説明する。動作開始直後、調整モードは初期調整モードとなっている。図15に示すように、受信装置50での位相調整動作が開始されると、初期調整(S30)が行われる。初期調整(S30)では、受信制御回路59が調整モードを初期調整モードに設定し、表示クロック周波数調整回路55が初期値レジスタ48の値を用いて表示クロック周波数を中央値に設定する。
【0104】
ID検出回路51は先頭 IDの検出を待ち(S31)、受信制御回路59はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S32)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路53は、受信制御回路59からの制御信号60に従って撮像位相検出信号54を作成する(S33)。撮像位相検出信号54の値は表示クロック周波数調整回路55の位相レジスタ46に格納される(S34)。動作開始直後からここまでの動作は、図16の時刻t0-t1の期間に相当する。
【0105】
続いて、受信制御回路59は、測定モードをチェックする(S35)。測定モードが初期調整モードの場合、受信制御回路59は、表示位相誤差が許容位相範囲内であるか否かを判定する(S36)。表示位相誤差が許容位相範囲外ならば、表示クロック周波数調整回路55は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整1(S37)を行う。
【0106】
周波数調整1(S37)では、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、位相レジスタ46に格納された値に対応する表示位相誤差に応じて、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62のいずれかを選択し、選択したレジスタに格納されている値に応じたクロック周波数制御信号56を作成して出力する。図16のpK+ 〜 pK-の範囲が許容位相範囲である。表示位相誤差がpK+を超える場合、周波数上限値レジスタ61が選択され、表示位相誤差がpK-未満である場合、周波数下限値レジスタ62が選択される。
【0107】
一方、表示位相誤差が許容位相範囲内ならば、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整2(S38)を行う。周波数調整2(S38)で周波数制御値演算回路63は、周波数上限値レジスタ61若しくは周波数下限値レジスタ62ではなく、初期値レジスタ48に格納されている値を制御値とする。その後、受信制御回路59は調整モードを定常表示モードに設定する(S39)。
【0108】
図16の場合、最初の撮像位相検出動作期間(時刻t0-t1)での検出結果(p01)が許容範囲外(上限オーバー)である為、周波数調整1(S37)では、周波数上限値レジスタ61の値が選択され、クロック周波数制御信号56の値が作成されている。図16に示した例では、検出された表示位相誤差が許容位相範囲内に入るのは、時刻t4-t5で示した時点であり、時刻t0-t5では調整モードが初期調整モードとなり、時刻t5以降では調整モードが定常表示モードとなる。
【0109】
次に、定常表示モードの説明を行う。本実施形態の定常表示モードでは、第1の実施形態と異なり、待機処理を行わず、測定(周波数調整)処理を連続して実施する。定常表示モードでは、初期調整モードと同様に、先頭 IDの検出待ち(S31)から位相レジスタ46への値の格納(S34)までの処理を順次実施する。その後、受信制御回路59は、調整モードをチェックする(S35)。調整モードが定常表示モードであるので、表示クロック周波数調整回路55は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整3(S40)を実施する。
【0110】
周波数調整3(S40)では、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、現周波数制御値と、検出した表示位相誤差とを用いて、表示位相誤差が減少するようにクロック周波数制御信号56を調整する。表示位相誤差を減少させる調整の詳細は位置決め制御理論として公知であるので説明を省略する。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置50において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示クロック58の周波数を調整することにより表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。また、表示クロック58の周波数調整のみで表示信号19の位相の調整を行うことが可能となる為、ハードウェアの増加を抑えることができる。
【0112】
本実施形態の位相調整処理には、表示クロック58の周波数を、表示位相誤差の許容位相範囲に対応した上限及び下限の周波数で定められた範囲内に設定する粗調整処理(初期調整モードでの処理)と、表示クロック58の周波数を、表示位相誤差が小さくなるような調整値に設定する細調整処理(定常表示モードでの処理)とが含まれる。この粗調整処理と細調整処理を組み合わせて行うことで、受信開始時の表示信号の位相調整を高速にかつ高精度に行うことができる。
【0113】
(第3の実施形態)
次に、図17〜図19を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態での動作モードは定常表示モードのみである。本実施形態の定常表示モードでは、第1の実施形態で説明した初期位相調整モードを繰り返し実施して位相調整を行っている。
【0114】
図17は、本実施形態による受信装置64の構成を示している。受信装置64は、第1の実施形態の受信装置12から、表示クロック周波数調整回路28を省いて、表示クロック生成回路を固定周波数発振回路に変更した構成になっている。その為、表示クロック66の周波数は固定値となる。図17において、図1に示した受信装置12と同一機能の回路には同一番号を付してあり、本実施形態の動作の中心となる回路には図1に示した受信装置12の回路と異なる番号を付してある。
【0115】
受信装置64は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、ID検出回路20、撮像位相検出回路22、表示位相調整回路24、表示位相カウンタ26、表示クロック生成回路65、及び受信制御回路67を有する。上記のように、表示クロック生成回路65は固定周波数の表示クロック66を作成する。受信制御回路67は、受信装置64の各部の動作を制御する制御信号68を出力する。
【0116】
次に、図18〜図20を用いて、受信装置64での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図18は、受信装置64での位相調整動作を示している。図19は、表示位相誤差の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。図20は、表示位相カウンタ26のリセット動作タイミングを示している。
【0117】
受信装置64は、図18に示したように、第1の実施形態での初期位相調整モードを繰り返し実施している。動作開始時、調整モードは、初期位相調整モードとなっている。ID検出回路20は先頭 IDの検出を待ち(S57)、受信制御回路67は、先頭IDの検出後にヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S58)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路67からの制御信号68に従って撮像位相検出信号を作成する(S59)。
【0118】
撮像位相検出信号21の作成後、表示位相調整回路24は、受信制御回路67からの制御信号68に従って表示位相調整を行う(S60)。その後、受信制御回路67は調整モードを初期周波数調整モードに設定し(S61)、測定モードを測定1に設定する(S62)。その後、受信装置64は上記の処理を繰り返す。
【0119】
図19において、第1回目の測定開始時点での表示位相誤差がp0、測定終了時点での表示位相誤差が p2である。撮像クロックと表示クロックの周波数差により p0と p2の差分が決定する。p1は第1回目の測定値であり、p0に差分(p2-p0)/2を加えた値になる。位相調整では、測定値(p1)が零になるように表示信号19の位相が調整されるので、調整が理想的に行われた場合でも、次の測定開始時点(時刻t1)では、p2-p1の表示位相誤差が存在することになる。図19中の拡大図(破線園内)での測定開始時点での表示位相誤差 p3はp2-p1と同等となる。p4は第2回目の測定値、p5は測定終了時の表示位相誤差である。周波数差が一定の場合、測定間隔が一定であるので、上記関係が定常表示モード終了まで維持される。
【0120】
次に、本実施形態での表示位相カウンタ26のリセットタイミングと表示信号19のデータ表示位相の関係を説明する。図20に示したように、本実施形態の表示信号19のデータ表示開始位置は、表示位相カウンタ26がリセットされてから所定の時間を置いた位置となるようにしている。これは、リセットタイミングの変動の影響が表示画像に現れないように、表示位相カウンタ26のリセットが画像データの非表示期間である Vブランキング期間内で行われるようにする為である。
【0121】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置64において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。また、表示信号19の位相リセット処理のみで表示信号19の位相の調整を行うことが可能となる為、ハードウェアの増加を抑えることができる。更に、ブランキング期間内にリセット処理を行うことで表示画像の乱れを防止することができる。
【0122】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1・・・撮像装置、2・・・撮像光学系、3・・・画像センサ、4・・・画像処理回路、5・・・圧縮回路、6・・・パケット作成回路、7・・・ RF回路、8・・・アンテナ、9・・・制御回路、10・・・撮像クロック回路、12,50,64・・・受信装置、13・・・アンテナ、14・・・ RF回路(受信部)、15・・・パケット分解回路、16・・・伸長回路、17・・・フレームメモリ回路、18・・・表示回路(表示処理部)、20,51・・・ ID検出回路(計測部)、22,53・・・撮像位相検出回路(計測部)、24・・・表示位相調整回路(処理部)、26・・・表示位相カウンタ、28,55・・・表示クロック周波数調整回路(処理部)、30,57,65・・・表示クロック生成回路、32,59,67・・・受信制御回路、34・・・先頭ID信号生成回路、36・・・ ANDゲートブロック、37・・・ IDカウンタブロック、38・・・ヒストグラム演算回路、39・・・タイミングコントロール回路、40・・・ウィンドウ生成回路、46,47・・・位相レジスタ、48,63・・・周波数制御値演算回路、49・・・初期値レジスタ、61・・・周波数上限値レジスタ、62・・・周波数下限値レジスタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置から所定周期で連続的に送信された送信データを受信し、表示処理を行う受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像データをデータパケットとして無線伝送する場合、送信側と受信側のクロックが異なる為、受信側でオーバーフローやアンダーフローが発生してしまう。その対策として、特許文献1では、送信クロックを用いて発信時間情報を作成し、画像データと共にパケット化してネットワークに送信し、受信側では、受信パケットを分解して発信時間情報と符号化データを抽出して揺らぎ吸収バッファに記憶させる一方、記憶させた符号化データを発信時間情報と基準時刻を元に読み出し基準時刻に従って復号化し、更に発信時間情報と基準時刻を元に受信パケットが受けた相対的な遅延揺らぎ時間を算出し、各受信パケット各々に対する相対的な遅延ゆらぎ時間を平滑化した値に応じて基準時刻の調整を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−104701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の従来技術は、パケット内にゆらぎ時間測定の為の時間情報を挿入し、挿入した時間情報を基にゆらぎ時間を算出する為、パケットの転送が不定期に行われる場合や、パケット転送が大規模なネットワークを介して行われる場合等、個々のパケットの到着時間が大きく変動する場合に有効である反面、時間情報を付加することで、時間情報分の送信データ量の増加が発生してしまうという欠点がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、送信データ量の増加を抑えつつ、撮像装置の動作に同期して表示処理を行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、所定周期で撮像処理を行ってフレーム若しくはフィールド毎の撮像データを作成し、前記撮像データをパケット化して送信データを作成し、前記送信データを送信する送信処理を行う撮像装置から前記送信データを受信する受信部と、前記送信データから表示用の表示信号を作成する表示処理を行う表示処理部と、前記送信データから特定パケットを抽出し、前記特定パケットの受信タイミングを複数回計測する計測部と、前記計測部による計測の結果を用いて前記表示信号の位相調整処理を行う処理部と、を有する受信装置である。
【0007】
また、本発明の受信装置において、前記制御部は、前記撮像データの送信可能期間の後に当該撮像データの表示が開始されるように前記位相調整処理を行う。
【0008】
また、本発明の受信装置において、前記特定パケットには、識別符号が付加されており、前記計測部は、前記特定パケットの受信タイミングとして前記識別符号の検出タイミングを計測する。
【0009】
また、本発明の受信装置において、前記特定パケットはフレーム若しくはフィールド毎の先頭のパケットである。
【0010】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理には、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる第1の処理と、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して前記表示信号の位相を連続的に変化させる第2の処理とが含まれ、前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う。
【0011】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理には、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を、予め定められた上限及び下限の周波数に対応した調整値を含む所定値に設定する第1の処理と、前記表示クロックの周波数を、前記表示信号の位相値と所定の位相値との差が小さくなるような調整値に設定する第2の処理とが含まれ、前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う。
【0012】
また、本発明の受信装置において、前記位相調整処理は、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる処理であって、前記処理部は、前記撮像データの非表示期間であるブランキング期間内に前記位相調整処理を行う。
【0013】
また、本発明の受信装置において、前記計測部は、前記計測の結果に基づいて前記所定周期に対応した撮像タイミングを推定した推定撮像タイミング信号を作成し、前記処理部は、前記推定撮像タイミング信号を用いて前記位相調整処理を行う。
【0014】
また、本発明の受信装置は、前記計測に係るアルゴリズムを複数記憶する記憶部を更に有し、前記計測部は、前記計測の結果に応じて、前記記憶部に記憶されている複数のアルゴリズムから所定のアルゴリズムを選択し、当該アルゴリズムにより前記推定撮像タイミング信号を作成する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、送信データから特定パケットを抽出し、特定パケットの受信タイミングを複数回計測した結果を用いて表示信号の位相調整処理を行うことによって、送信データ量の増加を抑えつつ、撮像装置の動作に同期して表示処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態による撮像表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における定常表示モードでの撮像位相と表示位相との関係を説明する為のタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による撮像位相検出回路の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による撮像位相検出回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図7】本発明の第1の実施形態におけるヒストグラムを示す参考図である。
【図8】本発明の第1の実施形態による表示位相調整回路の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第1の実施形態による表示クロック周波数調整回路の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図12】本発明の第2の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第2の実施形態における定常表示モードでの撮像位相と表示位相との関係を説明する為のタイミングチャートである。
【図14】本発明の第2の実施形態による表示クロック周波数調整回路の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図17】本発明の第3の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第3の実施形態による受信装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第3の実施形態における表示位相誤差の変化を示す模式図である。
【図20】本発明の第3の実施形態における表示位相カウンタのリセットタイミングを説明する為のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
まず、図1〜図11を用いて、本発明の第1の実施形態を説明する。本実施形態は、所定周期で撮像を行って画像データを作成し、画像データから、複数のパケットから成る送信データを作成し、送信データを無線送信する撮像装置と、送信データを受信して表示信号を作成する受信装置とから成る撮像表示システムに対して本発明を適用した場合を例に説明を行っている。撮像装置と受信装置は、1対1で接続されるか、小規模なネットワークを介して接続されることが望ましい。
【0019】
図1は、本実施形態による撮像表示システムの構成を示している。撮像装置1は、撮像光学系2、画像センサ3(撮像素子)、画像処理回路4、圧縮回路5、パケット作成回路6、RF回路7、アンテナ8、制御回路9、及び撮像クロック回路10を有する。
【0020】
撮像光学系2は被写体の光学像を画像センサ3上に結像する。画像センサ3は、結像された光学像を撮像データに変換して画像処理回路4に出力する。本実施形態での画像センサ3はプログレッシブスキャンを行っており、所定周期でフレーム単位の撮像データを出力している。以降の説明では、画像センサ3から出力される撮像データの位相を撮像位相と記す。
【0021】
撮像データは、画像処理回路4によって画像処理された後、圧縮回路5によって符号データに変換され、パケット作成回路6に加えられる。パケット作成回路6は、所定のデータ量毎に符号データをまとめて、パケットを識別する為の識別符号である ID情報を含んだ公知の付加情報を加えてパケット(送信データ)を生成する。
【0022】
画像センサ3、画像処理回路4、圧縮回路5、パケット作成回路6、RF回路7の動作は制御回路9により制御されており、制御回路9の動作は撮像クロック回路10からの撮像クロック11を基準に行われている。その為、撮像装置1の動作は、撮像クロック11に同期して行われることになる。上述した、画像センサ3で撮像データを生成してから撮像データをパケット化するまでの手法は公知であるので、これ以上の説明は省略する。パケット作成回路6で作成されたパケットは、RF回路7によりアンテナ8を介して無線送信される。
【0023】
受信装置12は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、ID検出回路20、撮像位相検出回路22、表示位相調整回路24、表示位相カウンタ26、表示クロック周波数調整回路28、表示クロック生成回路30、及び受信制御回路32を有する。
【0024】
RF回路14は、アンテナ13を介して無線信号を受信し、受信した無線信号を復調し、送信データをパケット分解回路15に出力する。パケット分解回路15は、送信データを構成するパケットを符号データと付加情報に分解して、符号データを伸長回路16に、付加情報を ID検出回路20に出力する。
【0025】
伸長回路16は、符号データを伸長し、画像データに変換してフレームメモリ回路17に出力する。画像データはフレームメモリ回路17に格納される。フレームメモリ回路17に格納された画像データは表示回路18により適宜読み出され、表示用の表示信号19に変換(表示処理)されて出力される。表示信号19の位相は、表示回路18に加えられる表示カウント信号27の値により決定される。表示カウント信号27は表示位相カウンタ26から供給される。また、表示信号19の周波数は、表示回路18に加えられる表示クロック31により制御される。表示クロック31は表示クロック生成回路30から供給される。
【0026】
ID検出回路20は、フレームの先頭パケットの付加情報からID情報を検出し、IDの検出タイミングを示すID検出信号21を作成し、撮像位相検出回路22及び受信制御回路32に出力する。撮像位相検出回路22は、表示カウント信号27を基準にして先頭パケットの受信タイミングを測定(計測)することにより、撮像装置1の撮像タイミングを示す撮像位相検出信号21(推定撮像タイミング信号)を作成して出力する。
【0027】
具体的には、撮像位相検出回路22は、ID検出回路20から出力される ID検出信号21を、表示カウント信号27を基準にして複数回測定(計測)してヒストグラムを作成し、ヒストグラムを処理することで、パケット送信タイミングの揺らぎを除去して撮像位相検出信号21を作成している。撮像位相検出回路22の詳細は、後に図3〜図7を用いて説明する。
【0028】
撮像位相検出信号21は、表示位相調整回路24、表示クロック周波数調整回路28、及び受信制御回路32に出力される。表示位相調整回路24は、リセット信号25により表示位相カウンタ26を制御して表示信号19の位相を調整する。表示位相カウンタ26は、表示カウント信号27を作成する。表示クロック周波数調整回路28は、クロック周波数制御信号29により表示クロック生成回路30を制御して表示クロック31の周波数を制御する。表示クロック31の周波数制御は表示信号19の位相調整を兼ねている。表示クロック生成回路30は、表示クロック31を作成する。受信制御回路32は、受信装置12の各部の動作を制御する制御信号33を出力する。受信制御回路32には、ID検出信号21、撮像位相検出信号23、表示カウント信号27、及び表示クロック31が加えられており、これらの信号から制御信号33が作成される。受信制御回路32による受信装置12の動作制御の詳細は、後に図10を用いて説明する。
【0029】
次に、受信装置12の動作モードの説明を行う。受信装置12の動作モードは、動作開始直後の初期位相調整モード、初期位相調整モードに続いて行う初期周波数調整モード、初期周波数調整モードの後に行う定常表示モードの3種類である。
【0030】
初期位相調整モードは、受信装置12が受信を開始した直後に、表示位相カウンタ26を制御して表示信号19の位相を調整する処理を行うモードである。初期位相調整モード中、表示信号19は、黒データを表示する為の信号となる。初期周波数調整モードは、初期位相調整モードの終了後に、表示クロック31の周波数を表示クロック周波数調整回路28により調整し、撮像クロック11の周波数に同期させる調整を行う処理を行うモードである。定常表示モードは、初期周波数調整モードの終了後に、表示クロック31の周波数を表示クロック周波数調整回路28により調整し、表示信号19の位相を撮像位相に対して所定の位相となるように調整する処理を行うモードである。
【0031】
図2は、定常表示モードでの撮像装置1の撮像位相と受信装置12の表示位相との関係を示している。図示したように、画像センサ3は、時刻t1-t2の期間で第 Nフレーム目の撮像データを出力し、時刻t2-t3の休止期間(Vブランキング期間)を置いて、時刻t3-t4の期間に第 N+1フレーム目の撮像データを出力するという動作を繰り返している。
【0032】
この場合、時刻t1-t3の期間が1フレーム期間であり、時刻t1が撮像位相の始点で時刻 t3が撮像位相の終点となる。本実施形態において、画像センサ3は30フレーム/秒で動作しており、時刻t1-t3の期間は1/30秒(約33.3ms)である。
【0033】
パケット作成回路6におけるパケットの作成は、撮像データが圧縮処理され1パケット分のデータが用意出来た時点(時刻t5)から開始される。本実施形態の圧縮処理では、撮像データの絵柄(撮像画像中の周波数成分)により圧縮回路5での処理時間が変わる為、時刻t1-t5の期間ではジッタが発生する。
【0034】
パケットの作成が終了すると、出来上がったパケットから順に送信が行われる。時刻t9は、撮像装置1が第 Nフレーム目の先頭パケットの送信を開始したタイミングである。時刻t12は、受信装置12が先頭パケットの IDを検出したタイミングである。IDはパケットの先頭に付加される為、時刻t12は時刻 t9の直後となる。
【0035】
時刻t1-t12の期間には、上記圧縮処理に伴うジッタの他に、通信に伴うジッタ(送信処理の処理時間の変動、通信環境の劣化による再送処理による通信時間の変動)が含まれている。時刻t9-t10の期間は、再送処理が無い場合の第 Nフレームのパケットの通信期間であり、時刻t9-t11の期間は、再送処理が行われた場合に許容される最長の通信期間である。時刻t11の時点で再送処理を含めた通信が終了しなかった場合、第 Nフレームのパケットの通信は打ち切られる。
【0036】
受信装置12は、前述したように、各フレームでの時刻t12のタイミング(先頭パケットの IDを検出したタイミング)を複数回測定(計測)してヒストグラムを作成し、そのヒストグラムを用いた処理を行って、時刻 t12に含まれる、通信に伴うジッタ成分を除去して撮像装置1の動作タイミングを推定し、時刻t11の時点を予測している。受信装置12は、この時刻t11の時点を予測する際には、時刻t12を検出し、時刻t12-t11の間隔に対応する所定時間を時刻t12に加えて時刻t11の時点を予測している。
【0037】
更に、受信装置12は、図示したように、時刻t11の時点に表示処理時間とマージン時間を加えて時刻 t13の時点を作成している。そして、受信装置12は、時刻t13の時点から第 Nフレームの画像の表示が出来るように、表示信号19の位相を調整している。上記の表示処理時間は、表示信号19の作成処理(パケット分解、伸長、フレームメモリ書込み/読み出し、表示信号作成)に掛かる時間である。また、マージン時間とは、各種ジッタ分と測定誤差分を加えた時間である。
【0038】
尚、時刻t11で通信が終了せず通信が打ち切られた場合、時刻t13からの表示において、受信装置12は、第 Nフレームの画像データを使用せず前フレーム(第 N-1フレーム)のデータを再使用する。通信が打ち切られたことの検出は、受信制御回路32が ID検出信号21から検出し、検出結果を用いて表示回路18を制御する(制御信号図示せず)ことにより行われる。
【0039】
次に、図3、図4を用いて撮像位相検出回路22の構成と動作の説明を行う。図3は、撮像位相検出回路22の構成を示し、図4は撮像位相検出回路22の動作を示している。
【0040】
撮像位相検出回路22は、先頭ID信号生成回路34、ANDゲートブロック36、IDカウンタブロック37、ヒストグラム演算回路38、タイミングコントロール回路39、及びウィンドウ生成回路40を有する。
【0041】
撮像位相検出回路22には、ID検出信号21と表示カウント信号27が入力されている。 表示カウント信号27は、表示位相カウンタ26におけるカウント数を示す信号である。図4に示したように、表示位相カウンタ26は1フレーム期間で100カウントしている。本実施形態での1フレームは1/30秒であるので、1カウント期間は1/3000秒(約0.333ms)である。表示カウント信号27は、先頭ID信号生成回路34、タイミングコントロール回路39、及びウィンドウ生成回路40に加えられている。ID検出信号21は、先頭ID信号生成回路34に加えられている。
【0042】
先頭ID信号生成回路34は、ID検出信号21中の先頭 IDを検出し、先頭IDの検出タイミングを示す先頭 ID信号35を作成し、ANDゲートブロック36に出力する。先頭 ID信号35は、表示カウント信号27のカウントに同期して作成される正のパルス信号である。図4に先頭 ID信号35の波形を示す。
【0043】
タイミングコントロール回路39は、受信制御回路32からの制御信号33と表示カウント信号27を用いて撮像位相検出回路22内の各回路の動作を制御する制御信号を作成する。ウィンドウ生成回路40は、表示カウント信号27のカウント値毎に HIレベルとなる100本のウィンドウ信号(ウィンドウ41_1〜ウィンドウ41_100)を生成し ANDゲートブロック36に出力する。以降では、表示カウント信号27のカウント値を表示カウント信号位相と記して説明を行う。
【0044】
ANDゲートブロック36は、先頭 ID信号35とウィンドウ信号(41_1〜41_100)を用いて、先頭 ID信号35のパルスが表示カウント信号27のどの位相に発生しているのかを検出し、各位相に対応したカウンタ(IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100)にカウントアップ信号を供給する。ANDゲートブロック36は、2入力の ANDゲートが100個組み合わされた構造を有し、各ANDゲートの片側の入力には先頭 ID信号35が加えられ、もう片側の入力にはウィンドウ信号が加えられている。各 ANDゲートの出力は IDカウンタブロック37中のIDカウンタ_1〜IDカウンタ_100に供給される。
【0045】
IDカウンタブロック37は、100個の IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100から構成される回路である。IDカウンタブロック37は、表示カウント信号27のカウント値(位相)毎の先頭 ID信号の発生数をカウントすることにより、先頭 ID信号35の位相のヒストグラムを作成する。図4の場合、先頭 ID信号35は表示カウント信号位相=20の位置で HIレベルとなっている。また、表示カウント信号位相=20の位置では、ウィンドウ_20が HIレベルとなる。その為、IDカウンタ_20がカウントアップすることになる。
【0046】
各 IDカウンタ_1〜IDカウンタ_100の出力は、ヒストグラム演算回路38に供給される。ヒストグラム演算回路38は、タイミングコントロール回路39から通知された受信装置12の動作モードに応じて、IDカウンタブロック37からのヒストグラムデータを用いて演算処理を行い、先頭 IDの送信タイミングを示す撮像位相検出信号23を作成する。演算処理の内容については、後に図5〜図7を用いて説明する。
【0047】
次に、本実施形態におけるヒストグラムの説明を行う。図5〜図7に、ヒストグラムの例を示す。図中、縦軸が先頭 IDの累積数(IDカウンタ_1〜IDカウンタ100の値)、横軸が表示カウント信号位相(表示カウント信号27のカウント値)である。本実施形態では、ヒストグラムを作成する為の測定期間を10秒として説明を行う。測定期間が10秒、撮像周期が30フレーム/秒であるので、先頭 ID信号の検出数の総数は300になる。
【0048】
前述したように、先頭 IDの位相は、圧縮処理時間の変動、通信処理時間の変動、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による変動により変化する。圧縮処理時間の変動は、撮像された画像に含まれる周波数成分によって圧縮処理の内容が変化する為に発生する変動であり、変動幅は圧縮回路5の性能で決まる既知の値である。通信時間の変動には、通信路の劣化により発生する再送処理による変動と、RF回路7の内部の処理時間の変動とがあり、再送処理を行う間隔と、 RF回路7の内部の処理時間の変動幅とは RF回路7によって決まる既知の値である。
【0049】
上記の圧縮修理時間の変動と RF回路7の内部の処理時間の変動は、後に説明する再送処理による変動や撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による変動と比較して小さい値である。本実施形態での位相調整時には、両方の変動の変動幅を加算し、調整マージンに含ませる処理が行われる。
【0050】
以下、再送処理がヒストグラムに与える影響について説明を行う。本実施形態では、再送処理を行う間隔は1ms間隔である。この場合、先頭パケットの再送が1回行われると、パケットの受信タイミングが表示カウント信号位相で3カウント分ずれることになる。例えば、先頭 IDが表示カウント信号位相20の位置にある場合、先頭パケットの再送を行うと、再送された先頭パケットが表示カウント信号位相23の位置で検出されることになる。
【0051】
次に、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差がヒストグラムに与える影響について説明を行う。例えば、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差が60ppm(60E-6)ある場合、10秒の測定期間中に 撮像と表示のタイミングが0.6msずれることになる。0.6msは表示カウント信号位相で約2カウント分となる。その為、測定当初に先頭 IDが表示カウント信号位相20の位置にある場合、測定終了時には、表示カウント信号位相22の位置になる。定常表示モードでは、表示クロック31の周波数は撮像クロック11の周波数とほぼ同じ周波数に調整されている為、撮像クロック周波数と表示クロック周波数の周波数差による表示カウント信号位相のずれは発生しない。
【0052】
図5と図6は、定常表示モードでのヒストグラムの例である。図5は再送処理が少ない通信状態を示し、図6は再送処理が多い通信状態を示している。図5では、先頭 IDの累積数が表示カウント信号位相19から22の間に分布しており、位相20と21に特に多く分布している。図6では、先頭 IDの累積数が、再送の発生に応じて、表示カウント信号位相20、23、26と3カウント刻みで多く分布している。
【0053】
定常表示モードの場合、ヒストグラムの形状により、撮像位相検出信号23として出力する位相値の検出方法が異なる。具体的には、ヒストグラム演算回路38は、ヒストグラムで先頭 IDの累積数が基準数(本説明では50とする)より多い表示カウント信号位相の分布状態から再送発生の頻度を検出する。そして、ヒストグラム演算回路38は、再送発生が多いと判断した場合には累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も小さな数値の表示カウント信号位相を撮像位相検出信号23として出力し、再送発生が少ないと判断した場合には累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も累積数の多い表示カウント信号位相を撮像位相検出信号23として出力する。
【0054】
再送発生の判断では、累積数が基準数以上である表示カウント信号位相の分布により判断が行われる。具体的には、累積数が基準数以上である表示カウント信号位相が連続している場合は再送発生が少ないと判断し、3カウント程度で分散している場合は再送発生が多いと判断する。
【0055】
つまり、図5では累積数が基準数(50)以上の表示カウント信号位相は20と21だけなので再送発生が少ないと判断し、撮像位相検出信号23の値は、累積数が最大である表示カウント信号位相の値である20に決定される。一方、図6では、基準数以上の表示カウント信号位相は20、23、26なので再送発生が多いと判断し、撮像位相検出信号23の値は、累積数が基準数を超えた表示カウント信号位相の中で最も小さな数値である20に決定される。
【0056】
上記のように、定常表示モードの場合、ヒストグラム演算回路38は、先頭IDの受信タイミングの測定結果を示すヒストグラムから再送発生の頻度を検出し、検出した頻度に対応するアルゴリズムを複数のアルゴリズムから選択し、そのアルゴリズムに従って撮像位相検出信号23の値を決定する。使用可能な複数のアルゴリズムの情報は図示しないメモリに格納されている。
【0057】
図7は、初期位相調整モード若しくは初期周波数調整モードでのヒストグラムであり、周波数差が大きい(60ppm程度ある)場合の例である。初期位相調整モード及び初期周波数調整モードでは周波数調整は行われていない為、前述したように、例えば周波数差が60ppm程度ある場合、10秒の測定期間中に撮像と表示のタイミングが表示カウント信号位相で約2カウント分ずれることになる。その為、図7に示したように、累積数が基準数以上となる表示カウント信号位相が連続し、その連続する幅は周波数差に応じて決まることになる。
【0058】
ヒストグラム演算回路38は、初期位相調整モード及び初期周波数調整モードでは、上記状況に対応する為、基準数以上の表示カウント信号位相の中央値(2で割り切れない場合は小さな方の値)を撮像位相検出信号23の値として出力する。図7の場合、基準数以上の表示カウント信号位相は21、22、23、24なので、中央値の22、23のうち小さな方の22が撮像位相検出信号23の値として出力される。
【0059】
次に、図8を用いて表示位相調整回路24の構成と動作の説明を行う。図8は表示位相調整回路24の構成を示している。表示位相調整回路24は、初期位相調整モードで表示位相カウンタ26を制御し、表示信号19の位相が撮像位相に対して所定の位相となるように表示信号19の位相を調整する回路であり、基準値レジスタ42、減算回路43、及びリセットタイミング生成回路45を有する。
【0060】
表示位相調整回路24には、表示位相カウンタ26からの表示カウント信号27、撮像位相検出回路22からの撮像位相検出信号23、及び受信制御回路32からの制御信号33が加えられている。表示位相調整回路24による表示位相カウンタ26の制御は、受信装置12が撮像装置1からの送信信号の受信を開始した直後に1度だけ行われる。
【0061】
基準レジスタ42には、表示信号19の位相が撮像位相に対して最適な位相(以下、最適位相と記す)に調整された場合の撮像位相検出信号23の出力値が、基準値として予め格納されている。減算回路43は、基準レジスタ42の値から撮像位相検出信号23の値を減算する。減算回路43からの減算出力44は、リセットタイミング生成回路45に出力される。リセットタイミング生成回路45は、表示カウント信号27の値が減算出力44の値に一致した時点で、一度だけ、リセット信号25を表示位相カウンタ26に出力し、表示位相カウンタ26をリセットする。
【0062】
以下、基準レジスタ42に格納されている値が20の場合を例として説明を行う。撮像位相検出信号23の値が60の場合、表示信号19の位相が最適位相に対して40カウント分進んでいることになる。これを補正する為、表示位相を40(=60-20)カウント分遅らせることが必要になる。
【0063】
表示位相調整回路24は、表示カウントが40になった時点で表示位相カウンタ26を 0にリセットすることで、表示位相を40カウント分遅らせている。つまり、撮像位相検出信号23の値が60の場合、減算出力44は40となり、リセットタイミング生成回路45は、表示カウント信号27が40になった時点でリセット信号25を表示位相カウンタ26に出力し、表示位相カウンタ26の値を 0にする。上記処理により、表示信号19が最適位相に調整され、初期位相調整モードが終了する。
【0064】
次に、図9を用いて表示クロック周波数調整回路28の構成と動作の説明を行う。図9は表示クロック周波数調整回路28の構成を示している。表示クロック周波数調整回路28は、表示クロック31のクロック周波数を調整するクロック周波数制御信号29を出力する回路であり、位相レジスタ46、位相レジスタ47、初期値レジスタ48、及び周波数制御値演算回路49を有する。
【0065】
表示クロック周波数調整回路28には、撮像位相検出信号23と制御信号33が加えられている。撮像位相検出信号23は、位相レジスタ46と位相レジスタ47に加えられ、制御信号33による指示に応じて各レジスタに値が保持される。位相レジスタ46と位相レジスタ47の値は周波数制御値演算回路49に出力される。
【0066】
周波数制御値演算回路49には、初期値レジスタ48の値も加えられている。周波数制御値演算回路49は、位相レジスタ46、位相レジスタ47、初期値レジスタ48の値からクロック周波数制御信号29を作成する。
【0067】
初期位相調整モードでは、周波数制御値演算回路49は、初期値レジスタ48の値を用いてクロック周波数制御信号29を作成する。初期値レジスタ48には、表示クロック31のクロック周波数の初期値(周波数調整範囲の中央値)が格納されている。また、初期周波数調整モードでは、所定の測定間隔を置いて測定した撮像位相検出信号23の値が位相レジスタ46と位相レジスタ47に格納され、周波数制御値演算回路49は位相レジスタ46と位相レジスタ47の出力値の差分を使ってクロック周波数制御信号29を作成する。また、定常表示モードでは、撮像位相検出信号23の値が位相レジスタ46に格納された後、周波数制御値演算回路49は、位相レジスタ46の出力値とその時点でのクロック周波数制御信号29の出力値からクロック周波数制御信号29を作成する。
【0068】
初期周波数調整モードと定常表示モードでの動作の具体的な例を以下に示す。初期周波数調整モードでは、10秒測定(位相レジスタ47に値を格納)−50秒待機−10秒測定(位相レジスタ46に値を格納)−周波数調整のシーケンスを一度行う。その場合、測定期間の中心時刻から次の測定期間の中心時刻までの期間は60秒となる。60秒の期間で撮像位相検出信号23の値が表示カウント信号位相で1カウントずれる場合の周波数差は、約5.56ppm(1/(60×30×100)=5.555ppm)となる。例えば、位相レジスタ46と位相レジスタ47の出力値の差分が10カウントある場合、周波数制御値演算回路49は、周波数差が55.6ppmあると判断し、表示クロック生成回路30の出力周波数が55.6ppm分低くなるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0069】
定常表示モードでは、10秒測定(位相レジスタ46に値を格納)−周波数調整−50秒待機のシーケンスを繰り返し行う。定常表示モードでは、周波数制御値演算回路49は、表示信号19の位相が撮像装置1の撮像位相に対して最適な位相になっている場合の撮像位相検出信号23の値に近づけるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0070】
具体的には、周波数制御値演算回路49は、測定結果の最適位相に対するズレ量を求めて、次の測定でズレ量が1/2となるように制御を行う。例えば、最適な位相が20で、測定結果が28の場合、周波数制御値演算回路49は、次の測定結果が24となるように周波数調整を行う。次の測定までに60秒ある場合、撮像位相検出信号23の値を1カウントずらすには表示クロック31の周波数を約5.56ppmずらせば良い。上記の場合、測定結果が28で次の測定の目標値が24であるから、周波数制御値演算回路49は、差分の4カウント分である22.24ppmだけ現周波数より低くなるようにクロック周波数制御信号29の出力値を調整する。
【0071】
次に、図10、11を用いて、受信装置12での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図10は、受信装置12での位相調整動作を示しており、図11は実際の表示位相と、予め設定された最適な表示位相との差(以降、表示位相誤差と表記する)の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。
【0072】
最初に、初期位相調整モードの説明を行う。動作開始時、調整モードは、初期位相調整モードとなっている。図10に示したように、ID検出回路20は先頭 IDの検出を待ち(S1)、受信制御回路32は、先頭IDの検出後に調整モードをチェックする(S2)。調整モードが初期位相調整モードの場合、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S3)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号23を作成する(S4)。
【0073】
撮像位相検出信号23の作成後、表示位相調整回路24は、受信制御回路32からの制御信号33に従って表示位相調整を行う(S5)。その後、受信制御回路32は調整モードを初期周波数調整モードに設定し(S6)、測定モードを測定1に設定し(S7)、初期位相調整モードを終了する。
【0074】
上記の動作は、図11の時刻t0-t1の期間に相当する。図11において、 p0は初期位相調整モード開始時の表示位相誤差であり、p1は初期位相調整モード終了時の表示位相誤差である。p0と p1の差は、撮像クロックと表示クロックの周波数差による。尚、初期位相調整モードでは、S2とS3の間に周波数制御値演算回路49は、初期値レジスタ48に格納されているクロック周波数の初期値を用いてクロック周波数制御信号29を作成する。
【0075】
次に、初期周波数調整モードの説明を行う。初期周波数調整モードでは、先頭IDの検出後、調整モードが初期周波数調整モードであると判断される(S2)。初期周波数調整モードの場合、測定モードにより動作が変化する。測定1が行われる期間は1回目の位相測定期間であり、待機1が行われる期間は待ち時間であり、測定2が行われる期間は2回目の位相測定期間である。受信制御回路32は、測定モードをチェックする(S8)。
【0076】
1回目の位相測定では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S9)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号23を作成する(S10)。撮像位相検出信号23の値は位相レジスタ47に格納される(S11)。その後、受信制御回路32は測定モードを待機1に設定し(S12)、1回目の測定を終了する。
【0077】
続いて、待機1の処理が行われ、50秒間が経過するまで、受信制御回路32は待機が完了したか否かをチェックする(S13)。50秒間の待機が行われた後、受信制御回路32は測定モードを測定2に設定して(S14)待機1の処理を終了し、2回目の位相測定(測定2)に移行する。
【0078】
測定2では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S15)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号21を作成する(S16)。撮像位相検出信号21の値は位相レジスタ46に格納される(S17)。その後、表示クロック周波数調整回路28は周波数調整1を行う(S18)。この周波数調整1(S18)に関しては、図9を用いた周波数制御値演算回路49の初期周波数調整モードでの動作説明で詳細を記したので、ここでは説明を省略する。その後、受信制御回路32は調整モードを定常表示モードに設定し(S19)、測定モードを測定3に設定し(S20)、初期周波数調整モードを終了する。
【0079】
初期周波数調整モードの動作は、図11の時刻t1-t4の期間に相当する。時刻t1-t2の期間が1回目の位相測定期間であり、時刻t2-t3の期間が待機1の期間であり、時刻t3-t4の期間が2回目の位相測定期間と周波数調整処理(S18)の実施期間である。時刻t1-t4の期間で表示位相誤差が増大しているのは、周波数調整が実施されていないことが原因である。
【0080】
最後に、定常表示モードの説明を行う。定常表示モードでは、先頭IDの検出後、調整モードが定常表示モードであると判断される(S2)。その後、受信制御回路32は、測定モードをチェックする(S21)。定常表示モードには、測定3と待機2の2つの測定モードがある。測定3で表示位相誤差の測定と周波数の調整を行い、待機2で次の測定を待つ。
【0081】
測定3では、受信制御回路32はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S22)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路32からの制御信号33に従って撮像位相検出信号21を作成する(S23)。撮像位相検出信号21の値は位相レジスタ46に格納される(S24)。その後、表示クロック周波数調整回路28は周波数調整2を行う(S25)。この周波数調整2(S25)に関しては、図9を用いた周波数制御値演算回路49の定常表示モードでの動作説明で詳細を記したので、ここでは説明を省略する。
【0082】
続いて、待機2の処理(S27,S28)により、50秒間の待機処理が行われ、測定3に移行する。定常表示モードでは、測定3と待機2が繰り返し行われる。
【0083】
定常表示モードの動作は、図11の時刻t4-t13の期間に相当する。時刻t4-t5の期間で測定3が行われ、測定された表示位相誤差(p4)が次の測定(時刻t6-t7)で1/2(測定間隔を60秒として計算)になるようにクロック周波数制御信号29の出力値が調整される。その結果、次の測定(時刻t6-t7)での表示位相誤差(p5)は、p4の1/2となる。この測定3と待機2を繰り返し行うことで、表示位相誤差は零に近づいていくことになる。
【0084】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置12において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。
【0085】
また、特定パケットを使用することで、データ量の増加を招く時間情報を付加する必要がなくなり、送信データ量の増加を抑えることができる。特に、特定パケットの受信タイミングの測定時にパケット識別用の IDの受信タイミングを測定することで、従来のパケットの構成を変更する必要が無くなり、送信情報量を増加させずに受信タイミングの測定を行うことができる。
【0086】
また、再送処理に掛かる時間を見込んで、撮像データの送信可能期間の後のタイミング(図2の時刻t13の時点)から撮像データの表示が開始されるように表示信号19の位相を調整することで、再送処理を行うシステムでも最適な位相調整が可能となる。
【0087】
本実施形態の位相調整処理には、表示位相調整回路24が表示位相カウンタ26をリセットすることにより表示信号19の位相を瞬間的に変化させる位相リセット処理(S5)と、表示クロック周波数調整回路28が表示信号19の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して表示信号19の位相を連続的に変化させる位相連続調整処理(S25)とが含まれる。この位相リセット処理と位相連続調整処理を組み合わせて行うことで、受信開始時の表示信号の位相調整を高速にかつ高精度に行うことができる。
【0088】
また、定常表示モードにおいて、ヒストグラム演算回路38がヒストグラムから検出した再送発生の頻度に応じて選択したアルゴリズムに従って撮像位相検出信号21の値を決定することで、再送発生による測定結果の乱れに対応した正確な撮像位相検出信号21を作成することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
次に、図12〜図16を用いて本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態と第1の実施形態では、撮像データの出力形態と位相調整の方式が異なっている。本実施形態は、画像センサ3がインターレススキャンを行う場合の例である。インターレススキャンの場合、1フレームが oddと evenの2つのフィールドで構成される。インターレススキャンについては公知であるのでこれ以上の説明は省略する。本実施形態の位相調整は、表示クロック信号の周波数調整のみで行われる。
【0090】
図12は、本実施形態による受信装置50の構成を示している。図12において、図1に示した受信装置12と同一機能の回路には同一番号を付してあり、本実施形態の動作の中心となる回路には図1に示した受信装置12の回路と異なる番号を付してある。受信装置50は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、表示位相カウンタ26、ID検出回路51、撮像位相検出回路53、表示クロック周波数調整回路55、表示クロック生成回路57、及び受信制御回路59を有する。
【0091】
ID検出回路51は、フィールドの先頭パケットの付加情報からID情報を検出し、IDの検出タイミングを示すID検出信号52を作成し、撮像位相検出回路53及び受信制御回路59に出力する。撮像位相検出回路53は、表示カウント信号27を基準にして先頭パケットの受信タイミングを測定(計測)することにより、撮像装置1の撮像タイミングを示す撮像位相検出信号54を作成して出力する。
【0092】
表示クロック周波数調整回路55は、撮像位相検出信号54に基づいてクロック周波数制御信号56を作成し、このクロック周波数制御信号56により表示クロック生成回路57を制御して表示クロック58の周波数を制御する。表示クロック生成回路57は、表示クロック58を作成する。受信制御回路59は、受信装置50の各部の動作を制御する制御信号60を出力する。
【0093】
本実施形態における受信装置50の動作モードは、動作開始直後の初期調整モードと、初期調整モードの後に行う定常表示モードの2種類である。初期調整モードは、実際の表示位相と最適な表示位相との差である表示位相誤差を測定し、表示位相誤差が所定の許容範囲内に入るまで、表示クロック58の周波数を上限周波数、下限周波数のいずれかに維持するモードである。表示位相誤差が許容位相範囲内に入ったら、表示クロック58の周波数を中央値として定常表示モードに移行する。定常表示モードは、第1の実施形態と異なり、表示位相誤差の測定を連続的に行い、表示位相誤差が零となるように表示クロック58の周波数を制御するモードである。
【0094】
次に、定常表示モードにおける動作を説明する。図13は、表示位相が撮像位相に同期している定常表示モードでの、撮像装置1の撮像位相と受信装置50の表示位相との関係を示している。
【0095】
図13に示すように、画像センサ3は、時刻t1-t2の期間に第 Nフレーム oddフィールドの撮像データを出力し、時刻t2-t3の休止期間を置いて、時刻t3-t4の期間に第 Nフレーム evenフィールドの撮像データを出力し、更に時刻t4-t5の休止期間を置いて、時刻t5-t6の期間で第 N+1フレーム oddフィールドの撮像データを出力し、時刻t6-t7の休止期間を置いて、時刻t7-t8の期間に第 N+1フレーム evenフィールドの撮像データを出力するという動作を繰り返している。
【0096】
この場合、時刻t1-t5の期間が1フレーム期間であり、時刻t1が撮像位相の始点で時刻 t5が撮像位相の終点となる。本実施形態においては、画像センサ3は30フレーム/秒で動作しており、1フィールド(時刻t1-t3、時刻t3-t5)期間は1/60秒(約16.6ms)である。パケット作成回路6でのパケット作成は、撮像データが圧縮処理され1パケット分のデータが用意出来た時点(時刻t9)から開始される。
【0097】
パケット作成が終了すると、出来上がったパケットから順に送信が行われる。時刻t17は、第 Nフレーム目の先頭パケットの送信を開始するタイミングである。時刻t23は、受信装置50が先頭パケットの IDを検出したタイミングである。IDはパケットの先頭に付加される為、時刻t17の直後に検出される。
【0098】
時刻t1-t23の期間には、上記圧縮処理に伴うジッタの他に、通信に伴うジッタ(送信処理の処理時間の変動、通信環境の劣化による再送処理による通信時間の変動)が含まれている。時刻t17-t18の期間は、再送処理が無い場合の第 Nフレームのパケットの通信期間であり、時刻t17-t19の期間は、再送処理が行われた場合に許容される最長の通信期間である。時刻t19の時点で再送処理を含めた通信が終了しなかった場合、第Nフレーム oddフィールドのパケットの通信は打ち切られる。
【0099】
第 Nフレーム evenフィールドのパケットの通信は時刻t20-t22の期間に行われる。フィールドの先頭パケットは、時刻t17から1/60秒遅れた時刻t20の時点で出力される。本実施形態では、evenフィールドの先頭パケットの ID検出タイミングも撮像位相検出信号21の作成に使用している。具体的には、evenフィールドの先頭パケットの ID検出タイミングに対して1/60秒に相当する位相分の補正を行ったタイミングを、フレーム先頭パケットのID(oddフィールドの先頭パケットのID検出タイミング)の検出タイミングと共に使用してヒストグラムを作成している。
【0100】
次に、図14を用いて表示クロック周波数調整回路55の構成と動作の説明を行う。図14は表示クロック周波数調整回路55の構成を示している。本実施形態では、表示信号19の位相調整はすべて表示クロック58の周波数調整によって行っており、表示クロック58の周波数を制御するのが表示クロック周波数調整回路55である。図14に示したように、表示クロック周波数調整回路55は、位相レジスタ46、初期値レジスタ48、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62、及び周波数制御値演算回路63を有する。
【0101】
周波数上限値レジスタ61と周波数下限値レジスタ62及び初期値レジスタ48は、初期調整モードにおいて、表示信号19の位相調整に使用する。周波数上限値レジスタ61には、所定の周波数範囲の上限値が格納されている。周波数下限値レジスタ62には、所定の周波数範囲の下限値が格納されている。初期値レジスタ48には、所定の周波数調整範囲の中央値が格納されている。周波数制御値演算回路63は、位相レジスタ46、初期値レジスタ48、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62の値からクロック周波数制御信号56を作成する。
【0102】
次に、図15、図16を用いて、受信装置50での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図15は、受信装置50での位相調整動作を示している。図16は、実際の表示位相と最適な表示位相との差(表示位相誤差)の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。
【0103】
最初に、初期調整モードでの動作を説明する。動作開始直後、調整モードは初期調整モードとなっている。図15に示すように、受信装置50での位相調整動作が開始されると、初期調整(S30)が行われる。初期調整(S30)では、受信制御回路59が調整モードを初期調整モードに設定し、表示クロック周波数調整回路55が初期値レジスタ48の値を用いて表示クロック周波数を中央値に設定する。
【0104】
ID検出回路51は先頭 IDの検出を待ち(S31)、受信制御回路59はヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S32)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路53は、受信制御回路59からの制御信号60に従って撮像位相検出信号54を作成する(S33)。撮像位相検出信号54の値は表示クロック周波数調整回路55の位相レジスタ46に格納される(S34)。動作開始直後からここまでの動作は、図16の時刻t0-t1の期間に相当する。
【0105】
続いて、受信制御回路59は、測定モードをチェックする(S35)。測定モードが初期調整モードの場合、受信制御回路59は、表示位相誤差が許容位相範囲内であるか否かを判定する(S36)。表示位相誤差が許容位相範囲外ならば、表示クロック周波数調整回路55は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整1(S37)を行う。
【0106】
周波数調整1(S37)では、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、位相レジスタ46に格納された値に対応する表示位相誤差に応じて、周波数上限値レジスタ61、周波数下限値レジスタ62のいずれかを選択し、選択したレジスタに格納されている値に応じたクロック周波数制御信号56を作成して出力する。図16のpK+ 〜 pK-の範囲が許容位相範囲である。表示位相誤差がpK+を超える場合、周波数上限値レジスタ61が選択され、表示位相誤差がpK-未満である場合、周波数下限値レジスタ62が選択される。
【0107】
一方、表示位相誤差が許容位相範囲内ならば、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整2(S38)を行う。周波数調整2(S38)で周波数制御値演算回路63は、周波数上限値レジスタ61若しくは周波数下限値レジスタ62ではなく、初期値レジスタ48に格納されている値を制御値とする。その後、受信制御回路59は調整モードを定常表示モードに設定する(S39)。
【0108】
図16の場合、最初の撮像位相検出動作期間(時刻t0-t1)での検出結果(p01)が許容範囲外(上限オーバー)である為、周波数調整1(S37)では、周波数上限値レジスタ61の値が選択され、クロック周波数制御信号56の値が作成されている。図16に示した例では、検出された表示位相誤差が許容位相範囲内に入るのは、時刻t4-t5で示した時点であり、時刻t0-t5では調整モードが初期調整モードとなり、時刻t5以降では調整モードが定常表示モードとなる。
【0109】
次に、定常表示モードの説明を行う。本実施形態の定常表示モードでは、第1の実施形態と異なり、待機処理を行わず、測定(周波数調整)処理を連続して実施する。定常表示モードでは、初期調整モードと同様に、先頭 IDの検出待ち(S31)から位相レジスタ46への値の格納(S34)までの処理を順次実施する。その後、受信制御回路59は、調整モードをチェックする(S35)。調整モードが定常表示モードであるので、表示クロック周波数調整回路55は、受信制御回路59からの制御信号60に従って周波数調整3(S40)を実施する。
【0110】
周波数調整3(S40)では、表示クロック周波数調整回路55の周波数制御値演算回路63は、現周波数制御値と、検出した表示位相誤差とを用いて、表示位相誤差が減少するようにクロック周波数制御信号56を調整する。表示位相誤差を減少させる調整の詳細は位置決め制御理論として公知であるので説明を省略する。
【0111】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置50において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示クロック58の周波数を調整することにより表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。また、表示クロック58の周波数調整のみで表示信号19の位相の調整を行うことが可能となる為、ハードウェアの増加を抑えることができる。
【0112】
本実施形態の位相調整処理には、表示クロック58の周波数を、表示位相誤差の許容位相範囲に対応した上限及び下限の周波数で定められた範囲内に設定する粗調整処理(初期調整モードでの処理)と、表示クロック58の周波数を、表示位相誤差が小さくなるような調整値に設定する細調整処理(定常表示モードでの処理)とが含まれる。この粗調整処理と細調整処理を組み合わせて行うことで、受信開始時の表示信号の位相調整を高速にかつ高精度に行うことができる。
【0113】
(第3の実施形態)
次に、図17〜図19を用いて本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態での動作モードは定常表示モードのみである。本実施形態の定常表示モードでは、第1の実施形態で説明した初期位相調整モードを繰り返し実施して位相調整を行っている。
【0114】
図17は、本実施形態による受信装置64の構成を示している。受信装置64は、第1の実施形態の受信装置12から、表示クロック周波数調整回路28を省いて、表示クロック生成回路を固定周波数発振回路に変更した構成になっている。その為、表示クロック66の周波数は固定値となる。図17において、図1に示した受信装置12と同一機能の回路には同一番号を付してあり、本実施形態の動作の中心となる回路には図1に示した受信装置12の回路と異なる番号を付してある。
【0115】
受信装置64は、アンテナ13、RF回路14、パケット分解回路15、伸長回路16、フレームメモリ回路17、表示回路18、ID検出回路20、撮像位相検出回路22、表示位相調整回路24、表示位相カウンタ26、表示クロック生成回路65、及び受信制御回路67を有する。上記のように、表示クロック生成回路65は固定周波数の表示クロック66を作成する。受信制御回路67は、受信装置64の各部の動作を制御する制御信号68を出力する。
【0116】
次に、図18〜図20を用いて、受信装置64での動作開始からの位相調整動作の説明を行う。図18は、受信装置64での位相調整動作を示している。図19は、表示位相誤差の変化を動作開始直後から示した模式図の例である。図20は、表示位相カウンタ26のリセット動作タイミングを示している。
【0117】
受信装置64は、図18に示したように、第1の実施形態での初期位相調整モードを繰り返し実施している。動作開始時、調整モードは、初期位相調整モードとなっている。ID検出回路20は先頭 IDの検出を待ち(S57)、受信制御回路67は、先頭IDの検出後にヒストグラム作成中(測定中)であるか否かをチェックする(S58)。測定が完了した場合、撮像位相検出回路22は、受信制御回路67からの制御信号68に従って撮像位相検出信号を作成する(S59)。
【0118】
撮像位相検出信号21の作成後、表示位相調整回路24は、受信制御回路67からの制御信号68に従って表示位相調整を行う(S60)。その後、受信制御回路67は調整モードを初期周波数調整モードに設定し(S61)、測定モードを測定1に設定する(S62)。その後、受信装置64は上記の処理を繰り返す。
【0119】
図19において、第1回目の測定開始時点での表示位相誤差がp0、測定終了時点での表示位相誤差が p2である。撮像クロックと表示クロックの周波数差により p0と p2の差分が決定する。p1は第1回目の測定値であり、p0に差分(p2-p0)/2を加えた値になる。位相調整では、測定値(p1)が零になるように表示信号19の位相が調整されるので、調整が理想的に行われた場合でも、次の測定開始時点(時刻t1)では、p2-p1の表示位相誤差が存在することになる。図19中の拡大図(破線園内)での測定開始時点での表示位相誤差 p3はp2-p1と同等となる。p4は第2回目の測定値、p5は測定終了時の表示位相誤差である。周波数差が一定の場合、測定間隔が一定であるので、上記関係が定常表示モード終了まで維持される。
【0120】
次に、本実施形態での表示位相カウンタ26のリセットタイミングと表示信号19のデータ表示位相の関係を説明する。図20に示したように、本実施形態の表示信号19のデータ表示開始位置は、表示位相カウンタ26がリセットされてから所定の時間を置いた位置となるようにしている。これは、リセットタイミングの変動の影響が表示画像に現れないように、表示位相カウンタ26のリセットが画像データの非表示期間である Vブランキング期間内で行われるようにする為である。
【0121】
上述したように、本実施形態によれば、受信装置64において、特定パケットの受信タイミングを複数回測定し、測定結果を用いて撮像周期を推定し、推定した撮像周期に基づいて表示信号19の位相を調整することで、撮像装置1の動作に同期して表示処理を行うことができ、オーバーフローやアンダーフローを発生させず、更に表示画像の遅延時間を小さくすることができる。また、表示信号19の位相リセット処理のみで表示信号19の位相の調整を行うことが可能となる為、ハードウェアの増加を抑えることができる。更に、ブランキング期間内にリセット処理を行うことで表示画像の乱れを防止することができる。
【0122】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0123】
1・・・撮像装置、2・・・撮像光学系、3・・・画像センサ、4・・・画像処理回路、5・・・圧縮回路、6・・・パケット作成回路、7・・・ RF回路、8・・・アンテナ、9・・・制御回路、10・・・撮像クロック回路、12,50,64・・・受信装置、13・・・アンテナ、14・・・ RF回路(受信部)、15・・・パケット分解回路、16・・・伸長回路、17・・・フレームメモリ回路、18・・・表示回路(表示処理部)、20,51・・・ ID検出回路(計測部)、22,53・・・撮像位相検出回路(計測部)、24・・・表示位相調整回路(処理部)、26・・・表示位相カウンタ、28,55・・・表示クロック周波数調整回路(処理部)、30,57,65・・・表示クロック生成回路、32,59,67・・・受信制御回路、34・・・先頭ID信号生成回路、36・・・ ANDゲートブロック、37・・・ IDカウンタブロック、38・・・ヒストグラム演算回路、39・・・タイミングコントロール回路、40・・・ウィンドウ生成回路、46,47・・・位相レジスタ、48,63・・・周波数制御値演算回路、49・・・初期値レジスタ、61・・・周波数上限値レジスタ、62・・・周波数下限値レジスタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期で撮像処理を行ってフレーム若しくはフィールド毎の撮像データを作成し、前記撮像データをパケット化して送信データを作成し、前記送信データを送信する送信処理を行う撮像装置から前記送信データを受信する受信部と、
前記送信データから表示用の表示信号を作成する表示処理を行う表示処理部と、
前記送信データから特定パケットを抽出し、前記特定パケットの受信タイミングを複数回計測する計測部と、
前記計測部による計測の結果を用いて前記表示信号の位相調整処理を行う処理部と、
を有する受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像データの送信可能期間の後に当該撮像データの表示が開始されるように前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記特定パケットには、識別符号が付加されており、
前記計測部は、前記特定パケットの受信タイミングとして前記識別符号の検出タイミングを計測する請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記特定パケットはフレーム若しくはフィールド毎の先頭のパケットである請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記位相調整処理には、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる第1の処理と、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して前記表示信号の位相を連続的に変化させる第2の処理とが含まれ、
前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記位相調整処理には、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を、予め定められた上限及び下限の周波数に対応した調整値を含む所定値に設定する第1の処理と、前記表示クロックの周波数を、前記表示信号の位相値と所定の位相値との差が小さくなるような調整値に設定する第2の処理とが含まれ、
前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
前記位相調整処理は、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる処理であって、
前記処理部は、前記撮像データの非表示期間であるブランキング期間内に前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記計測部は、前記計測の結果に基づいて前記所定周期に対応した撮像タイミングを推定した推定撮像タイミング信号を作成し、
前記処理部は、前記推定撮像タイミング信号を用いて前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項9】
前記計測に係るアルゴリズムを複数記憶する記憶部を更に有し、
前記計測部は、前記計測の結果に応じて、前記記憶部に記憶されている複数のアルゴリズムから所定のアルゴリズムを選択し、当該アルゴリズムにより前記推定撮像タイミング信号を作成する請求項8に記載の受信装置。
【請求項1】
所定周期で撮像処理を行ってフレーム若しくはフィールド毎の撮像データを作成し、前記撮像データをパケット化して送信データを作成し、前記送信データを送信する送信処理を行う撮像装置から前記送信データを受信する受信部と、
前記送信データから表示用の表示信号を作成する表示処理を行う表示処理部と、
前記送信データから特定パケットを抽出し、前記特定パケットの受信タイミングを複数回計測する計測部と、
前記計測部による計測の結果を用いて前記表示信号の位相調整処理を行う処理部と、
を有する受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像データの送信可能期間の後に当該撮像データの表示が開始されるように前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記特定パケットには、識別符号が付加されており、
前記計測部は、前記特定パケットの受信タイミングとして前記識別符号の検出タイミングを計測する請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
前記特定パケットはフレーム若しくはフィールド毎の先頭のパケットである請求項1に記載の受信装置。
【請求項5】
前記位相調整処理には、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる第1の処理と、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を調整して前記表示信号の位相を連続的に変化させる第2の処理とが含まれ、
前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項6】
前記位相調整処理には、前記表示信号の作成に使用する表示クロックの周波数を、予め定められた上限及び下限の周波数に対応した調整値を含む所定値に設定する第1の処理と、前記表示クロックの周波数を、前記表示信号の位相値と所定の位相値との差が小さくなるような調整値に設定する第2の処理とが含まれ、
前記処理部は、前記第1の処理を行った後にのみ前記第2の処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項7】
前記位相調整処理は、前記表示信号の位相を瞬間的に変化させる処理であって、
前記処理部は、前記撮像データの非表示期間であるブランキング期間内に前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記計測部は、前記計測の結果に基づいて前記所定周期に対応した撮像タイミングを推定した推定撮像タイミング信号を作成し、
前記処理部は、前記推定撮像タイミング信号を用いて前記位相調整処理を行う請求項1に記載の受信装置。
【請求項9】
前記計測に係るアルゴリズムを複数記憶する記憶部を更に有し、
前記計測部は、前記計測の結果に応じて、前記記憶部に記憶されている複数のアルゴリズムから所定のアルゴリズムを選択し、当該アルゴリズムにより前記推定撮像タイミング信号を作成する請求項8に記載の受信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−109226(P2011−109226A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259752(P2009−259752)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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