説明

口腔用組成物およびその使用

本発明は、口腔用として許容できるキャリヤー、ならびに5μmから20μmまでの平均粒度、60cc/100gから120cc/100gまでの吸油価、および4から11までのアインレーナー硬度を有する沈降非晶質シリカ化合物を含むシリカ研磨剤を含む、口腔用組成物、ならびにその使用方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001] 口腔用組成物中の研磨剤は、歯の外面を清拭し(debride)、物理的に摩擦する(scrub)。この摩擦作用により、主に唾液タンパク質、細菌および細菌副産物から形成される、歯の表面の有機バイオフィルム(すなわちペリクル)が除去される。ペリクルは、コーヒー、茶およびベリー類などの食物、ならびにタバコの煙、カチオン性化合物および色素産生細菌によって着色および変色する可能性もある。着色ペリクルのこのような物理的除去は、日常的に生じる望ましくない表面着色および変色を除去する簡単で効果的な手段である。さらに、そのようなペリクルの物理的除去によりペリクル表面の歯垢細菌も除去され、これにより歯肉炎、歯周炎および齲食形成の可能性が最小限に抑えられる。ただし、歯磨剤などの口腔用組成物は、エナメル質または組織に対する潜在的損傷を生じるほど高い研磨性をもつべきではない。したがって、口腔用組成物の清浄および/または研磨の効力を最適化し、一方では口腔表面の潜在的損傷を避けるために有害な研磨性を最小限に抑える口腔用組成物を開発することが望ましい。好ましくは、そのような口腔用組成物は高いペリクル清浄比(pellicle cleaning ratio)(PCR)をもつが、低い歯牙研磨度をもち、これは放射性象牙質研磨(radioactive dentin abrasion)(RDA)として測定される。
【0003】
[0002] 通常受け入れられている慣例において、反復使用によりエナメル質/象牙質に損傷を与えるのを避けるために、口腔用組成物のRDA値は一般に250未満に保たれる。しかし、より高いPCRを達成するためには一般に研磨剤の量および硬度を増大させなければならず、これによりRDAが増大することは一般に知られている。たとえば、歯磨組成物のRDA値がたとえば100〜115を超えるなど一定の値を上回った場合、その歯磨剤は歯磨剤の清浄性能の対応する増大を必ずしも示さないことが認められた。80または90より大きいPCRをもつけれどもなお250未満であるRDAをもつ口腔用組成物を配合することが試みられている。
【発明の概要】
【0004】
[0003] 口腔ケア組成物中に特定のシリカ研磨剤を使用すると、優れた清浄能(たとえば高いPCR値)が得られ、同時に歯の硬質表面に対する損傷が抑えられる(たとえば低いPDA)ことが、予想外に見いだされた。本発明に有用なシリカ研磨剤は、それらの統合性を保持しつつ、歯の表面の軟質物体、たとえば歯垢およびペリクルを研磨する。しかしこのシリカ研磨剤は、たとえばブラッシング中の剪断力下では、硬いエナメル質または象牙質の表面との相互作用の結果として破断または分断される。これに関して、本発明の口腔用組成物は優れた清浄および/または艶出し効力を提供し、一方ではエナメル質または象牙質に対する潜在的損傷を最小限に抑えるのに望ましい程度に低いRDAを達成する。さらに、本発明の組成物は歯の表面の清浄および/または艶出しをもたらすことができる。清浄および/または艶出し用の研磨剤は、多様な物理的パラメーターにより分類することができる。当業者に認識されるように、単一種の研磨剤が一般に少なくともある程度の清浄および艶出しを同時に行なう。
【0005】
[0004] 1態様において、本発明は組成物1.0、すなわち口腔用として許容できるキャリヤー、ならびに5μmから20μmまでの平均粒度および4から11までのアインレーナー硬度(Einlehner hardness)を有するシリカ化合物を含むシリカ研磨剤を含む、口腔用組成物を目的とする。
【0006】
[0005] 本発明のさらに他の組成物は、下記の組成物である:
1.1 シリカ研磨剤が、8μmから11μmまで、たとえば9μmから13μmまでの平均粒度を有する、組成物1.0;
1.2 シリカ研磨剤が、60cc/100gから120cc/100gまで、たとえば70cc/100gから110cc/100gまで、たとえば80cc/100gから100cc/100gまでの吸油価、たとえば亜麻仁油吸収価を有する、組成物1.0または1.1;
1.3 シリカ研磨剤が、5から10まで、たとえば6から9までのアインレーナー硬度を有する、前記のいずれかの組成物;
1.4 80から105まで、たとえば85から100まで、または90から95までのペリクル清浄比(PCR)を有する、前記のいずれかの組成物;
1.5 150未満、たとえば90から130まで、100から120まで、または105から115までの放射性象牙質研磨(RDA)を有する、前記のいずれかの組成物;
1.6 0.5から1.5まで、たとえば0.8または1のPCR/RDA比を有する、前記のいずれかの組成物;
1.7 シリカ研磨剤が組成物の1重量%から95重量%までである、前記のいずれかの組成物;
1.8 シリカ研磨剤が2.5μmから2.9μmまでのd10を有する、前記のいずれかの組成物;
1.9 口腔用組成物を口腔内の硬質表面、たとえばエナメル質または象牙質に適用した際にシリカ研磨剤が崩壊する、前記のいずれかの組成物;
1.10 組成物を口腔内に使用した際に、シリカ研磨剤が崩壊して2.3μmから2.6μmまでのd10を有する粒子になる、前記のいずれかの組成物;
1.11 シリカ研磨剤が十分な長さの期間の剪断力を受けると崩壊する、前記のいずれかの組成物;
1.12 口腔用組成物で歯をたとえば少なくとも30秒間ないし5分間ブラッシングする、組成物1.9〜1.11のいずれかの組成物;
1.13 口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤の平均粒度が16%ないし20%低下する、組成物1.9〜1.12のいずれかの組成物;
1.14 口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤のd10が9%ないし12%低下する、組成物1.9〜1.13のいずれかの組成物;
1.15 有効量、たとえば全組成物重量の0.01重量%から2重量%まで、たとえば0.1重量%から0.2重量%までのフッ化物塩を含む、前記のいずれかの組成物;
1.16 フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アミンフッ化アンモニウム、およびその組合わせから選択されるフッ化物塩を含むフッ化物イオン源を含む、前記のいずれかの組成物;
1.17 500から5000ppmまで、1000から1500ppmまで、または1450ppmのフッ化物イオンを含む、前記のいずれかの組成物;
1.18 少なくとも1種類の界面活性剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.19 ラウリル硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類の界面活性剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.20 少なくとも1種類の陰イオン界面活性剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.21 ラウリル硫酸ナトリウムを含む、前記のいずれかの組成物;
1.22 少なくとも1種類の湿潤剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.23 グリセリン、ソルビトール、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類の湿潤剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.24 少なくとも1種類のポリマーを含む、前記のいずれかの組成物;
1.25 ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル−マレイン酸コポリマー、多糖類(たとえばセルロース誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロース、または多糖ガム、たとえばキサンタンガムもしくはカラギーナンガム)、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類のポリマーを含む、前記のいずれかの組成物;
1.26 着香剤、芳香剤および/または着色剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.27 抗細菌剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.28 下記のものから選択される抗細菌剤を含む、前記のいずれかの組成物:ハロゲン化ジフェニルエーテル(トリクロサン(triclosan))、草本エキスまたは精油(たとえばローズマリーエキス、チモール(thymol)、メントール、ユーカリプトール(eucalyptol)、サリチル酸メチル)、ビスグアニド系防腐剤(たとえばクロルヘキシジン(chlorhexidine)、アレキシジン(alexidine)またはオクテニジン(octenidine))、第四級アンモニウム化合物(たとえばセチルピリジニウムクロリド)、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン(hexetidine)、ポビドンヨード(povidone iodine)、デルモピノール(delmopinol)、サリフルオル(salifluor)、金属イオン(たとえば亜鉛塩、たとえばクエン酸亜鉛)、サンギナリン(sanguinarine)、プロポリス(propolis)および酸素化剤(たとえば過酸化水素、緩衝化されたペルオキシホウ酸ナトリウムまたはペルオキシ炭酸ナトリウム);
1.29 トリクロサンを含む、前記のいずれかの組成物;
1.30 全組成物重量の0.01〜5、0.01〜1.0、または0.3重量%の量の抗細菌剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.31 歯牙脱感作剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.32 カリウム塩、カプサイシン、オイゲノール、ストロンチウム塩、亜鉛塩、クロリド塩、またはその組合わせから選択される歯牙脱感作剤を含む、前記のいずれかの組成物;
1.33 歯牙増白化合物を含む、前記のいずれかの組成物;
1.34 歯磨き粉である、前記のいずれかの組成物;
1.35 水を含む、前記のいずれかの組成物;
1.36 練り歯磨きまたはゲルである、前記のいずれかの組成物;
1.37 口腔用組成物のスラリー1〜5mlを1〜10cmの表面に適用し;該表面を32P照射した歯に向けて接触させ;歯を該表面により2〜5ニュートンの一定の力で300行程ブラッシングし、その際、各行程により該表面が歯に対して1〜10cm移動し;そしてRDA値を測定することを含む方法により口腔用組成物のRDAが算出される、前記のいずれかの組成物;
1.38 組成物を口腔内でたとえば歯の硬質表面と接触させて使用するのに伴って組成物のRDAが経時的に低下する組成物であって、口腔用組成物のRDAは1.37に定めた方法により算出され、ただし、初期時点Aで使用した行程数はその後の時点Bで使用した行程数(たとえば300行程が約2分間のブラッシングに等しい)より少ない、前記のいずれかの組成物;
1.39 口腔内で5秒間使用した場合の口腔用組成物のRDAが、口腔内で1〜5分間、たとえば2、3または4分間使用した場合の同一組成物のRDAの1.3ないし1.6倍である、前記のいずれかの組成物;
1.40 該表面が歯ブラシのクリーニングヘッドである、組成物1.39;
1.41 RDAを計算する方法において、スラリーが口腔用組成物の50重量%から100重量%までを構成する、組成物1.39または1.40;
1.42 黄銅スクリーンを用いて174,000回転当たりのアインレーナー硬度を測定する、前記のいずれかの組成物;
1.43 黄銅スクリーンを用いて100,000回転当たりのアインレーナー硬度を測定する、組成物1.0〜1.41のいずれかの組成物;
1.44 アインレーナー硬度が水1L中のシリカ研磨剤100gのスラリーのものである、組成物1.42または1.43;
1.45 シリカ研磨剤の10%水性スラリーが65から80まで、たとえば68から76まで、または72のPCRを有する、前記のいずれかの組成物;
1.46 シリカ研磨剤の10%水性スラリーが75から91まで、たとえば79から87まで、または83のRDAを有する、前記のいずれかの組成物;
1.47 シリカ研磨剤の10%水性スラリーが0.7から0.9まで、たとえば0.8から0.9まで、たとえば0.86のPCR/RDA比を有する、前記のいずれかの組成物;
1.48 シリカ研磨剤の15%水性スラリーが68から84まで、たとえば62から80まで、または76のPCRを有する、前記のいずれかの組成物;
1.49 シリカ研磨剤の15%水性スラリーが85から105まで、たとえば90から100まで、または95のRDAを有する、前記のいずれかの組成物;
1.50 シリカ研磨剤の15%水性スラリーが0.7から0.9まで、たとえば0.76から0.8まで、たとえば0.86のPCR/RDA比を有する、前記のいずれかの組成物;
1.51 シリカ研磨剤の20%水性スラリーが76から92まで、たとえば80から88まで、または84のPCRを有する、前記のいずれかの組成物;
1.52 シリカ研磨剤の20%水性スラリーが85から101まで、たとえば89から97まで、または93のRDAを有する、前記のいずれかの組成物;
1.53 シリカ研磨剤の20%水性スラリーが0.8から1.0まで、たとえば0.85から0.95まで、たとえば0.9のPCR/RDA比を有する、前記のいずれかの組成物;
1.54 シリカ研磨剤の30%水性スラリーが78から94まで、たとえば82から90まで、または86のPCRを有する、前記のいずれかの組成物;
1.55 シリカ研磨剤の30%水性スラリーが100から124まで、たとえば106から118まで、または112のRDAを有する、前記のいずれかの組成物;
1.56 シリカ研磨剤の30%水性スラリーが0.6から0.9まで、たとえば0.7から0.8まで、たとえば0.77のPCR/RDA比を有する、前記のいずれかの組成物;
1.57 シリカ研磨剤が、8μm〜11μm、たとえば(限定ではない)9μm〜13μm、8μm〜12μm、または8μm〜11μmのメジアン粒度を有する、組成物1.0;
1.58 口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤のメジアン粒度が16%ないし20%低下する、組成物1.9〜1.12のいずれかの組成物。
【0007】
[0006] 本発明において研磨剤として用いられるシリカ化合物は、非晶質シリカ、沈降シリカ、または非晶質沈降シリカであってもよい。1態様において、シリカ研磨剤は本質的に、本明細書に記載するシリカ化合物からなる。本明細書に記載するシリカ研磨剤は、歯の清浄剤、歯の艶出し剤、および/または抗過敏剤として機能することもできる。
【0008】
[0007] 本発明のさらに他の観点は、分断されたシリカ研磨剤粒子は、分断粒子が細管閉塞部を充填することができるという点で、歯牙過敏症の処置を補助することができるという予想外の知見を伴う。さらに、口腔の間隙、特に歯間腔隙表面から残屑および汚染を除去するのに、より小さい粒子ほどより有効であることも予想外に見いだされた。
【0009】
[0008] 本発明は、方法2.0、すなわち口内の健康状態を改善するための方法であって、有効量の組成物1.0〜1.55のいずれかの態様の口腔用組成物をその必要がある対象の口腔に適用することを含む方法、たとえば下記のための方法をも包含する:
1.齲歯の形成を軽減または抑制する、
2.たとえば定量光誘導蛍光(quantitative light−induced fluorescence)(QLF)または電導度測定(electrical conductance measurement)(ECM)により検出される前齲食病変を軽減、修復または抑制する、
3.歯の脱灰を軽減または抑制し、再石灰化を促進する、
4.歯の過敏性を軽減する、
5.歯肉炎を軽減または抑制する、
6.口腔における微生物バイオフィルムの形成を抑制する、
7.歯垢の蓄積を軽減する、
8.歯および口腔を清浄にする。
【0010】
[0009] 本発明の他の態様は当業者に認識されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0010] 本明細書中で用いるものとして、別途指示しない限り、本明細書に記載するすべての測定レベルは全組成物の重量%である。さらに、本明細書に引用するすべての参考文献は、それらの全体が本明細書に援用される。ただし、本発明の開示におけるいずれかの定義と引用した参考文献中の定義が矛盾する場合、本発明の開示が支配する。
【0012】
[0011] 本明細書中で用いる“安全かつ有効な量”は、口腔の組織および構造に損傷を与えることなく口腔を処置するのに十分な量、たとえば歯垢、歯肉炎および/または汚染を軽減するのに十分な量を意味する。
【0013】
[0012] 本明細書中で用いる“口腔用としして許容できるキャリヤー”は、本発明組成物を安全かつ有効な様式で口腔に適用するために使用される物質または物質類を意味する。
【0014】
[0013] 本明細書中で用いる“清浄”は、一般に標的表面上の汚染物質、汚れ、不純物、および/または異物の除去を表わす。たとえば、表面が歯のエナメル質である口腔表面に関して、清浄によりフィルムまたは汚染、たとえば歯垢バイオフィルム、ペリクルまたは歯石の少なくとも一部を除去することができる。
【0015】
[0014] 本明細書中で用いる“艶出し(polishing)”は、一般に、表面をより滑らかに、および/またはより光沢があるようにする、仕上げまたは磨きのプロセスを表わす。艶出しおよび清浄は、汚染除去が行なわれた表面の輝きをもたらすこともできる;たとえば歯の表面の増白。
【0016】
[0015] 種々の態様において、研磨剤を含む口腔用組成物が提供される。好ましくは、シリカ研磨剤は沈降非晶質シリカ化合物である。
[0016] 本発明のシリカは、5μmから205μmまでの平均粒度をもつことができる。平均粒度は、当技術分野で既知のいずれかの手段で測定することができる。たとえば、平均粒度はMalvern Particle Size Analyser、Model Mastersizer S、Malvern Instruments,Inc.(米国マサチュセッツ州サウスボロー)を用いて測定することができ、その際、水溶液に懸濁した研磨剤を収容した透明なセルにヘリウム−ネオンガスレーザービームを投射する。粒子に衝突した光線は、粒度に反比例した角度で散乱する。光検出器アレイにより、予め定めた幾つかの角度で光の量を測定する。測定した光束値に比例した電気信号を、次いで試料および水性分散媒質の屈折率により規定される理論粒子から推定した散乱パターンに対比してマイクロコンピューターシステムにより処理し、被験研磨剤の粒度分布を決定する。平均粒度は、非対称の粒子のサイズおよびそれらの粒子のサイズ分布を考慮に入れる。
【0017】
[0017] 本明細書中で用いるd10は、サンプリングした集団の閾値の10%である直径をもつ粒子を表わす(すなわち集団の10%がそのd10値と等しいか、またはそれより小さい)。
【0018】
[0018] 本発明の研磨剤粒子は、口腔用組成物に取り込まれた場合、組成物を硬質表面、たとえば象牙質またはエナメル質に対してブラッシングするのに伴って破断または分断されることが予想外に見いだされた。本発明の研磨剤粒子は、口腔用組成物に取り込まれた場合、組成物を口腔の軟質表面、または軟質バイオフィルム、たとえばペリクルまたは歯垢に対してブラッシングした際にはそれらの元のサイズを保持することも予想外に見いだされた。
【0019】
[0019] 本発明のシリカ研磨剤は、60cc/100gから120cc/100gまでの固有の亜麻仁油吸油価をもつことができる。ある態様において、シリカ研磨剤は70cc/100gから110cc/100gまでの吸油価をもつ。ある態様において、シリカ研磨剤は80cc/100gから100cc/100gまでの吸油価をもつ。ある態様において、シリカ研磨剤は40cc/100gから60cc/100gまでの吸油価をもつ。吸油価は、当業者に既知の多様な手段で判定できる。たとえば、吸油価は100gの研磨剤当たりの亜麻仁油またはフタル酸ジブチル(DBP)の吸収量により判定できる。吸油価はASTM Rub−Out、方法D281を用いて測定できる。
【0020】
[0020] 本発明の研磨剤は、4から11までの固有のアインレーナー硬度をもつことができる。アインレーナー硬度は、当業者に既知の多様な手段で測定できる。たとえば、Einlehner At−1000 Abraderは、下記の様式で研磨剤粒子の硬度を測定することができる:Fourdrinier金属スクリーン、すなわち銅または黄銅を秤量し、研磨剤の懸濁液(たとえば、研磨剤の10%水性懸濁液)の作用を一定の回転数、施す。硬度値は、回転数当たりの、たとえば回転数100,000回当たりのFourdrinierワイヤスクリーンの重量損失ミリグラムとして表示される。本発明において、本発明に使用するシリカ研磨剤のアインレーナー硬度は、黄銅スクリーンを用いて測定される。100gのシリカを1Lの水に添加し、このスラリーを100,000または174,000回、回転させる。
【0021】
[0021] 本発明の研磨剤は、1重量%から95重量%までのレベルで口腔ケア製品に取り込ませることができる。研磨剤の存在量は口腔ケア組成物の個々の形態に依存する。たとえば、口腔ケア組成物が練り歯磨きまたはゲルである場合、それは1%から75%までの研磨剤を含有することができる。口腔ケア組成物が歯磨き粉である場合、それは50%から95%までの研磨剤を含有することができる。
【0022】
[0022] PCRは、歯の汚染を除去する効力を標準品と対比して測定するための、当業者に既知の方法である。本明細書中で述べるPCR値は、“In Vitro Removal of Stain with Dentifrice”, G. K. Stookey, et al J. Dental Research, 61, 123-9 (1982)に記載された方法の変法により得られる。本明細書中で用いるPCR法の変法は、United States Patent No.5,658,553および5,651,958(両方ともRice)に記載されている。この変法においては、透明なペリクル材料をまずウシの歯に施し、次いでこれをペリクル材料と茶、コーヒーおよびFeClの組合わせで着色するのに対し、Stookeyらが記載した元の方法はペリクルと着色を同時に施す。本発明の組成物は、80から105までのPCRをもつことができる。ある態様において、PCRは85から100までである。他の観点において、PCRは90から95までである。
【0023】
[0023] 本発明の組成物は、150未満、たとえば90から130まで、100から120まで、または105〜115までのRDA値をもつことができる。RDA値は、当業者に既知である多数の方法のいずれかにより測定することができる。たとえば、RDA値は、US Pat.No.4,340,583、4,420,312および4,421,527、ならびにHefferren, Journal of Dental Research, July-August 1976, pages 563-573に示された方法に従って測定できる。一般に、照射した32P象牙質を、たとえば口腔用組成物でブラッシングする。ブラッシングされた象牙質から研磨除去された象牙質の量を、研磨剤スラリー中にみられる32Pの分析により定量する。象牙質研磨量を、象牙質に対してブラッシングした基準組成物、通常は100のRDA値に設定したピロリン酸カルシウムと対比する。一般に、研磨度の低い組成物ほど低いRDA値をもつ。
【0024】
[0024] 本発明の組成物は、0.5から1.5までのPCR/RDA比をもつことができる。ある態様において、PCR/RDA比は0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5であってもよい。PCR/RDA比は、口腔ケア組成物、たとえば歯磨剤または練り歯磨き組成物の清浄特性と研磨特性の相対比を判定するために用いられる。
【0025】
[0025] 本発明の口腔用組成物を調製するのに有用なシリカ研磨剤は、W.R.Grace & Co.,Davison Chemical Division(米国メリーランド州ボルチモア)から商品名GRACE VP5で得ることができる。ある態様において、シリカはINEOS(現在のPQ Corp.)Sorbosil AC43シリカである。ある態様において、AC43シリカは平均粒度2.7〜4.0ミクロン(MALVERN MASTERSIZERにより測定)、+45μmのふるい残留物(sieve residue)、105℃で最大8.0%の水分損失、1000℃で最大14.0%の強熱減量、および水性懸濁液においてpH5.5〜7.5を含む特性をもつが、これらに限定されない。
【0026】
[0026] 他の研磨剤も本発明組成物中に使用できるが、本発明組成物は前記の単一シリカ研磨剤化合物を含有することができ、他のケイ素またはシリカ研磨剤および化合物を実質的に含まなくてもよいものとする。
【0027】
[0027] 口腔用として許容できるキャリヤーは当技術分野で周知であり、界面活性剤、湿潤剤、増粘剤、発泡剤、フッ化物イオン源、着香剤、着色剤、キレート化剤、ポリマー、酵素、水、有効成分、および他の物質を含むことができる。本発明の口腔用組成物はさらに、口腔用として許容できるキャリヤーを含むことができる。キャリヤーの具体的な組成は、組成物の目的用途に依存する。キャリヤーは液相、半固相または固相であってもよい。口腔用組成物は、歯磨剤(練り歯磨き、歯磨き粉、および予防用ペーストを含む)、菓子(ガム、ビーズおよびチュー(chew)を含む)、フィルム、塗布用ゲル(paint−on−gel)、または研磨剤を使用する技術分野の専門家に既知である他のいずれかの形態であることができる。具体的なキャリヤー成分の選択は目的とする製品形態に依存する。
【0028】
[0028] 有効成分には、たとえば抗細菌活性剤、抗歯石剤、抗齲歯剤、抗炎症剤、抗過敏剤、酵素、栄養素などが含まれる。本発明に有用な有効成分は、場合により、安全かつ有効な量で本発明組成物中に存在する;これは、その有効成分を投与するヒトまたは下等動物対象において目的とする治療効果または予防効果をもつのに十分であり、著しい有害な副作用(たとえば毒性、刺激、またはアレルギー反応)がなく、本発明の様式で用いた際に妥当なリスク/ベネフィット比に相応する量である。有効成分の具体的な安全かつ有効な量は、処置される個々の状態、対象の身体状態、併用療法(ある場合には)の性質、使用する具体的な有効成分、具体的な投与形態、使用するキャリヤー、および目的とする投与計画などの要因に応じて異なるであろう。そのような状態を処置するのに有効な成分には、United States Patent Publication 2003/0206874、Doyleらに付与、に述べられたものが含まれる。本発明に有用な有効成分は、United States Patent 6,290,933、Durgaらに付与、およびUnited States Patent 6,685,921、Lawlorに付与、にも述べられている。
【0029】
[0029] フッ化物塩およびフッ化物イオン源、たとえば可溶性であってもよいフッ化物塩は当技術分野で周知であり、本発明の組成物に取り込ませることができる。代表的なフッ化物イオン源にはフッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アンモニウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の態様において、フッ化物イオン源にはフッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、およびその混合物が含まれる。特定の態様において、本発明の口腔ケア組成物は25ppm〜5,000ppm、一般に少なくとも500ppm、たとえば500〜2000ppm、たとえば1000〜1600ppm、たとえば1450ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量のフッ化物イオン源またはフッ素供給成分をも含有することができる。フッ化物イオン源は、1態様においては組成物の0.01重量%〜10重量%、または他の態様においては0.03重量%〜5重量%、他の態様においては0.1重量%〜1重量%のレベルで本発明の組成物に添加することができる;ただし、適切なレベルのフッ化物イオンを供給するフッ化物塩の重量がその塩中の対イオンの重量に基づいて明らかに異なることを理解すべきであり、当業者はそのような量を容易に決定することができる。
【0030】
[0030] 本発明の口腔ケア組成物は、口腔をブラッシングした際に発生する泡の量を増大させるための1種類以上の作用剤を含有することができる。そのような発泡剤は当業者に既知である。泡の量を増大させる作用剤の具体例には、ポリオキシエチレンおよび特定のポリマー(アルギネートポリマーが含まれるが、これらに限定されない)が含まれるが、これらに限定されない。ポリオキシエチレンは、本発明の口腔ケアキャリヤー成分により発生する泡の量および厚みを増大させることができる。ポリオキシエチレンは、一般にポリエチレングリコール(“PEG”)またはポリエチレンオキシドとしても知られている。本発明に適切なポリオキシエチレンは、200,000〜7,000,000の分子量をもつであろう。1態様において、分子量は600,000〜2,000,000であり、他の態様においては800,000〜1,000,000であろう。ポリオキシエチレンは、本発明の口腔ケア組成物の口腔ケアキャリヤー成分の1%〜90%、1態様においては5%〜50%、他の態様においては10%〜20%(重量)の量で存在することができる。口腔ケア組成物中の発泡剤の用量(すなわち1回量)は0.01〜0.9重量%、0.05〜0.5重量%、他の態様においては0.1〜0.2重量%である。
【0031】
[0031] 本発明の組成物は、当技術分野で既知である1種類以上の界面活性剤をも含むことができる。適切な界面活性剤には、広いpH範囲にわたって妥当な程度に安定なもの、たとえば陰イオン、陽イオン、非イオンまたは両性イオン界面活性剤が含まれる。適切な界面活性剤は、より詳細にたとえば下記に記載されている:U.S.Pat.No.3,959,458,Agricolaらに付与;U.S.Pat No.3,937,807,Haefeleらに付与;およびU.S.Pat.No.4,051,234,Gieskeらに付与;これらを本明細書に援用する。特定の態様において、本発明に有用な陰イオン界面活性剤には、アルキル基中に10〜18個の炭素原子をもつ水溶性アルキル硫酸塩、および10〜18個の炭素原子をもつ脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、およびナトリウム・ヤシ(椰子)モノグリセリドスルホネートは、このタイプの陰イオン界面活性剤の例である。陰イオン界面活性剤の混合物も使用できる。他の態様において、本発明に有用な陽イオン界面活性剤は、8〜18個の炭素原子を含む長いアルキル鎖を1つ含む脂肪族第四級アンモニウム化合物の誘導体であると広く定義できる;たとえばラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ジ−イソブチルフェノキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ヤシアルキルトリメチルアンモニウムナイトライト、セチルピリジニウムフルオリド、およびその混合物。陽イオン界面活性剤の具体例は、U.S.Pat.No.3,535,421,Brinerらに付与(本明細書に援用する)に記載された第四級アンモニウムフルオリドである。特定の陽イオン界面活性剤は、組成物中で殺菌剤としても作用することができる。本発明の1態様において、口腔用組成物は陽イオン界面活性剤を実質的に含まない。本発明組成物中に使用できる具体的な非イオン界面活性剤は、アルキレンオキシド基(親水性)と脂肪族またはアルキル芳香族いずれの性質であってもよい有機疎水性化合物との縮合により製造される化合物であると広く定義できる。適切な非イオン界面活性剤の例には下記のものが含まれるが、これらに限定されない;プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、エチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合から誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、およびこれらの物質の混合物。特定の態様において、本発明に有用な両性イオン性の合成界面活性剤は、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウムおよびスルホニウム化合物の誘導体であると広く記載でき、それらにおいて脂肪族基は直鎖または分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうち1つは8〜18個の炭素原子を含み、1つは陰イオン性の水可溶化基、たとえばカルボキシ、スルホネート、スルフェート、ホスフェートまたはホスホネートを含む。本発明組成物に含有させるのに適切な界面活性剤の具体例には、アルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ココアミドプロピルベタインおよびポリソルベート(polysorbate)20、ならびにその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
[0032] 本発明の組成物は陰イオン界面活性剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウムを含むことができる。界面活性剤、または適合する界面活性剤の混合物は、本発明組成物中に全組成物の0.1%〜5.0%、他の態様においては0.3%〜3.0%、他の態様においては0.5%〜2.0%(重量)で存在することができる。
【0033】
[0033] 本発明の組成物は、当業者に既知である1種類以上の着香剤をも含有することができる。本発明の実施に際して用いられる着香剤には、精油ならびに種々の芳香性アルデヒド類、エステル類、アルコール類、およびこれらに類する物質が含まれるが、これらに限定されない。精油の例には、スペアミント、ペパーミント、ウィンターグリーン(wintergreen)、サッサフラス、チョウジ、セージ(sage)、ユーカリ、マヨラマ(marjoram)、ニッケイ、レモン、ライム、グレープフルーツ、およびオレンジの油が含まれる。メントール、カルボン(carvone)、およびアネトールなどの化学物質も有用である。特定の態様には、ペパーミントおよびスペアミントの油を用いる。着香剤は、口腔用組成物中に0.1〜5重量%、および0.5〜1.5重量%の濃度で含有される。個々の口腔ケア組成物の適用に際しての着香剤の用量(すなわち1回量)は、0.001〜0.05重量%、他の態様においては0.005〜0.015重量%である。
【0034】
[0034] 本発明の口腔ケア組成物は、場合により、細菌の細胞壁中にあるカルシウムを錯化することができる1種類以上のキレート化剤をも含有することができる。このカルシウムの結合は、細菌細胞壁を脆弱にし、細菌溶解を促進する。本発明に有用な他のグループのキレート化剤は、可溶性ピロホスフェートである。本発明組成物中に用いるピロホスフェート塩は、いずれのアルカリ金属ピロホスフェート塩であってもよい。特定の態様において、塩類には四アルカリ金属ピロホスフェート、二アルカリ金属ジ酸ピロホスフェート(dialkali metal diacid pyrophosphate)、三アルカリ金属モノ酸ピロホスフェート(trialkali metal monoacid pyrophosphate)、およびその混合物が含まれ、それらにおいてアルカリ金属はナトリウムまたはカリウムである。これらの塩類は、それらの水和形および非水和形の両方が有用である。本発明組成物に有用なピロホスフェート塩の有効量は、一般に少なくとも1.0重量%のピロホスフェートイオン、1.5重量%〜6重量%、3.5重量%〜6重量%のピロホスフェートイオンを供給するのに十分なものである。
【0035】
[0035] 本発明の口腔ケア組成物は、場合により1種類以上のポリマー、たとえばポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル−マレイン酸コポリマー、多糖類(たとえばセルロース誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロース、または多糖ガム、たとえばキサンタンガムもしくはカラギーナンガム)をも含有することができる。酸性ポリマー、たとえばポリアクリレートゲルは、それらの遊離酸、または部分的もしくは完全に中和された水溶性アルカリ金属(たとえばカリウムおよびナトリウム)塩もしくはアンモニウム塩の形で供給することができる。特定の態様は、無水マレイン酸またはマレイン酸と他の重合性エチレン性不飽和モノマーとの1:4〜4:1コポリマー、たとえば30,000〜1,000,000の分子量(M.W.)をもつメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)を含む。これらのコポリマーは、たとえばGantrez AN 139(M.W.500,000)、AN 119(M.W.250,000)、およびS−97医薬グレード(M.W.700,000)として得られる;GAF Chemicals Corporation。他の作動性ポリマーには、たとえば下記のものが含まれる:無水マレイン酸とアクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニル−2−ピロリドン、またはエチレンとの1:1コポリマー、後者はたとえばMonsanto EMA No.1103、M.W.10,000、およびEMAグレード61として入手できる;ならびにアクリル酸とメタクリル酸メチルもしくはヒドロキシエチル、アクリル酸メチルもしくはエチル、イソブチルビニルエーテル、またはN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー。一般に適切なものは、活性化された炭素−炭素オレフィン性二重結合および少なくとも1つのカルボキシル基を含むオレフィン性またはエチレン性不飽和カルボン酸、すなわち、重合に際して容易に機能するオレフィン性二重結合を含む酸が、そのモノマー分子中にカルボキシル基に対してアルファ−ベータの位置にまたは末端メチレン基の一部として二重結合が存在するため、重合したものである。そのような酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アルファ−クロロアクリル酸、クロトン酸、ベータ−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、アルファ−クロロソルビン酸、ケイ皮酸、ベータ−スチリルアクリル酸、ムコン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、アルファ−フェニルアクリル酸、2−ベンジルアクリル酸、2−シクロヘキシルアクリル酸、アンゲリカ酸、ウンベリカ酸、フマル酸、マレイン酸、および酸無水物である。そのようなカルボン酸モノマーと共重合しうる他の種々のオレフィン系モノマーには、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸ジメチルなどが含まれる。コポリマーは、水溶性であるのに十分なカルボン酸塩の基を含む。他のクラスのポリマー系作用物質には、置換アクリルアミドのホモポリマーならびに/あるいは不飽和スルホン酸およびその塩のホモポリマーを含有する組成物が含まれる;特にその際、ポリマーは、アクリルアミドアリカンスルホン酸(acrylamidoalykane sulfonic acid)から選択される不飽和スルホン酸、たとえば2−アクリルアミド 2−メチルプロパンスルホン酸をベースとし、分子量1,000〜2,000,000をもつ;U.S.Pat.No.4,842,847,1989年6月27日、Zahidに付与(本明細書に援用する)に記載。
【0036】
[0036] 口腔ケア組成物を調製する際、望ましい稠度を付与するために、または配合物の安定化もしくは性能増強のために、時にはある増粘剤を添加することが必要である。特定の態様において、増粘剤はカルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ならびに水溶性セルロースエーテル塩、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウムである。天然ガム、たとえばカラヤガム、アラビアゴム、およびトラガントゴムを含有させることもできる。組成物のテキスチャーをさらに改善するために、コロイド状のケイ酸アルミニウムマグネシウムまたは微細に分割したシリカを増粘組成物の成分として使用できる。特定の態様において、全組成物の0.5重量%〜5.0重量%の量の増粘剤が用いられる。
【0037】
[0037] 本発明の口腔ケア組成物は、場合により1種類以上の酵素を含有することもできる。有用な酵素には、利用可能ないずれかのプロテアーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼ、リパーゼおよびムチナーゼ、またはその適合する混合物が含まれる。特定の態様において、酵素はプロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼおよびムタナーゼである。他の態様において、酵素はパパイン、エンドグリコシダーゼ、またはデキストラナーゼとムタナーゼの混合物である。本発明に使用するのに適切な他の酵素は、U.S.Pat.No.5,000,939,Dringらに付与;U.S.Pat.No.4,992,420;U.S.Pat.No.4,355,022;U.S.Pat.No.4,154,815;U.S.Pat.No.4,058,595;U.S.Pat.No.3,991,177;およびU.S.Pat.No.3,696,191に開示されており、これらのすべてを本明細書に援用する。本発明において、酵素、または幾つかの適合する酵素の混合物は、1態様においては0.002%〜2.0%、または他の態様においては0.05%〜1.5%、またはさらに他の態様においては0.1%〜0.5%を構成する。
【0038】
[0038] 水も本発明の口腔用組成物中に存在することができる。商業用の口腔用組成物を調製する際に用いる水は、脱イオン処理されかつ有機不純物を含まないものとすべきである。水は一般に組成物の残部を補い、口腔用組成物の10%〜90%、20%〜60%、または10%〜30%(重量)含有される。この水の量は、添加する遊離水と、他の物質により、たとえばソルビトールまたは本発明のいずれかの成分により導入される量とを合わせたものを含む。
【0039】
[0039] 本発明の組成物は、たとえば組成物が空気に曝された際に硬化するのを防ぐために湿潤剤を含有することもできる。特定の湿潤剤は、望ましい甘味または香味を歯磨組成物に付与することもできる。湿潤剤は、純湿潤剤を基準として、一般に1態様においては歯磨組成物の15%〜70%、または他の態様においては30%〜65%(重量)含有される。適切な湿潤剤には、食用多価アルコール、たとえばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコール、および他のポリオール、ならびにこれらの湿潤剤の混合物が含まれる。グリセリンとソルビトールの混合物を、特定の態様において本発明の練り歯磨き組成物の湿潤剤成分として使用できる。
【0040】
[0040] 本発明の組成物は、1種類以上の抗細菌剤をも含むことができる。抗細菌剤は当技術分野で既知であり、下記のものが含まれる:安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、ホウ酸、ならびにフェノール系化合物、たとえばベータナフトール、クロロチモール、チモール、アネトール、ユーカリプトール(eucalyptol)、カルバクロール(carvacrol)、メントール、フェノール、アミルフェノール、ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、オクチルフェノール、ヘキシルレゾルシノール、ラウリルピリジニウムクロリド、ミリスチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムフルオリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、およびハロゲン化ジフェニルエーテル、たとえばトリクロサン。本発明の組成物は、1種類以上の塩基性アミノ酸、たとえばアルギニンを、遊離塩基または塩の型で含むこともできる。それらの作用剤は、有効量で、たとえば選択した作用剤に応じて組成物の全重量を基準として1重量%から20重量%まで添加することができる。
【0041】
[0041] 本発明の組成物は、1種類以上の抗過敏剤、たとえばカリウム塩、たとえば硝酸カリウム、炭酸水素カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、およびシュウ酸カリウム;カプサイシン;オイゲノール;ストロンチウム塩;亜鉛塩;クロリド塩;およびその組合わせを含むことができる。それらの作用剤は、有効量で、たとえば選択した作用剤に応じて組成物の全重量を基準として1重量%から20重量%まで添加することができる。本発明の組成物は、歯に適用した際に象牙質細管の遮断によって過敏症を処置するために使用することもできる。
【0042】
[0042] 本発明の組成物は、当技術分野で既知の歯牙増白用または歯牙漂白用の組成物を含有することもできる。適切な増白用または漂白用の組成物には、過酸化物、金属亜塩素酸塩、ペルスルフェートが含まれる。過酸化物には、ヒドロペルオキシド類、過酸化水素、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過酸化物、有機ペルオキシ化合物、ペルオキシ酸、およびその混合物が含まれる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の過酸化物には、過酸化リチウム、過酸化カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化バリウム、およびその混合物が含まれる。他の過酸化物には、ペルボレート、過酸化尿素、およびその混合物が含まれる。適切な金属亜塩素酸塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウムを含めることができる。それらの作用剤は、有効量で、たとえば選択した作用剤に応じて組成物の全重量を基準として1重量%から20重量%まで添加することができる。
【0043】
[0043] 前記成分のほかに、本発明の態様は多様な任意の歯磨剤成分を含有することができ、それらのうちの若干を以下に記載する。任意成分には、たとえば接着剤、起泡剤(sudsing agent)、着香剤、甘味剤、追加の抗歯垢剤、研磨剤、および着色剤が含まれるが、これらに限定されない。これらおよび他の任意成分は、さらに下記に記載されている:U.S.Pat.No.5,004,597,Majetiに付与;U.S.Pat.No.3,959,458,Agricolaらに付与;およびU.S.Pat.No.3,937,807,Haefeleに付与。
【0044】
[0044] 本発明の口腔用組成物のための研磨剤の選択は、組成物を普通に使用する際に歯のエナメル質は過度に研磨されないけれども十分に清浄および/または艶出しされることを保証するために、研磨剤のタイプ、細かさ(粒度)、粒度分布、および研磨剤の量を考慮に入れることができる。口腔ケアに関して、研磨剤の有効性を歯磨剤についての清浄度または研磨度、すなわちそれぞれペリクル清浄比(PCR)または放射性象牙質研磨(RDA)に基づいて表わすことができる。PCRおよびRDAの実施方法は当技術分野で周知であり、たとえばUnited States Patent No.5,939,051および6,290,933に記載されている。
【0045】
[0045] 特定の態様において、組成物はヒトまたは他の動物についての口腔内使用のために安全であり、前記に述べた要件を満たす口腔用または化粧用として許容できるいずれかの研磨剤を口腔用組成物のために選択することができる。
【0046】
[0046] 追加の研磨剤が本発明の組成物中に含有されてもよく、これには下記のものが含まれる:アルミナ(焼成酸化アルミニウムを含む)、ケイソウ土、軽石、炭酸カルシウム、イカの甲(cuttlebone)、不溶性ホスフェート、複合樹脂、たとえばメラミン樹脂、フェノール樹脂、および尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリカーボネート、炭化ケイ素、ミクロクリスタリンワックス、微結晶性セルロース:コロイド状微結晶性セルロースとカルボキシメチルセルロースの組合わせを含む、ならびにその組合わせおよび誘導体。研磨剤として有用な不溶性ホスフェートには、オルトホスフェート、ポリメタホスフェートおよびピロホスフェートが含まれる。具体例は、オルトリン酸二カルシウム・2水和物、リン酸二カルシウム・2水和物、リン酸水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、β−ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸カリウム、およびメタリン酸ナトリウムである。
【0047】
[0047] 特定の態様において、口腔用組成物は歯磨剤の形態であり、キャリヤーはたとえば実質的に半固体または固体である。キャリヤーは水性であってもよく、すなわち5%〜95%の水を含むことができる。他の態様において、キャリヤーは実質的に非水性である。キャリヤーは、場合によりたとえば口腔ケア有効成分、表面活性物質、たとえば界面活性剤、乳化剤、および発泡調節剤、粘度調節剤および増粘剤、湿潤剤、希釈剤、増量剤、追加のpH調節剤、着色剤、保存剤、溶剤、ならびにその組合わせを含む。前記カテゴリーの物質それぞれの一般的な属性は異なる可能性があるけれども、ある共通の属性がある場合があり、いずれか特定の物質をそのような物質のカテゴリーのうち2以上の多数の目的で使用できることは理解される。当業者に認識されるように、口腔用組成物は前記の成分のほかに場合により他の物質を含有し、これにはたとえば緩和剤(emollient)、保湿剤(moisturizer)、口当たり改善剤などが含まれる。口腔用組成物に適切なキャリヤーの例は、United States Patent No.6,669,929,Boydらに付与、6,379,654,Gebreselassieらに付与、および4,894,220,Nabiらに付与、に述べられている。
【0048】
[0048] 口腔用組成物は、場合により抗歯石組成物、たとえばUnited States Patent No.5,292,526,Gaffarらに付与、に記載された1種類以上の抗歯石組成物を含む。多様な態様において、抗歯石組成物は1種類以上のポリホスフェートを含む。抗歯石組成物は、口腔用組成物中に有効な抗歯石量で存在する少なくとも1種類の完全または部分中和されたトリポリリン酸またはヘキサメタリン酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を含有することができる。抗歯石有効成分には、抗歯石量の有効な少なくとも1種類の水溶性の直鎖分子内脱水ポリリン酸塩も含めることができる。抗歯石有効成分にはカリウム塩およびナトリウム塩の混合物も含めることができ、それらのうち少なくとも1種類は有効な抗歯石量でポリホスフェート抗歯石剤として存在する。抗歯石有効成分には、ナトリウム塩およびカリウム塩の混合物として存在する、有効な抗歯石量の直鎖分子内脱水ポリリン酸塩である抗歯石剤も含めることができる。組成物中のカリウムとナトリウムの比率は最大で3:1未満であってもよい。ポリホスフェートは、口腔用組成物中に多様な量で存在させることができる:たとえば、ポリホスフェートイオンと抗細菌剤の重量比が0.72:1より多量から4:1未満までの量、または抗細菌性増強剤とポリホスフェートイオンの重量比が1:6から2.7:1までの範囲の量、または抗細菌性増強剤とポリホスフェートの重量比が1:6から2.7:1までの範囲の量。他の有用な抗歯石剤には、ポリカルボキシレートポリマーおよびポリビニルメチルエーテル/無水マレイン酸(PVM/MA)コポリマー、たとえばGANTREZ(登録商標)が含まれる。
【0049】
[0049] 本発明の歯磨組成物中に有用な他の有効成分は抗細菌剤であり、それらは口腔用組成物の0.001〜3.0重量%の量で存在することができる。有用な追加の口腔ケア化合物のリスト(限定ではない)には、非イオン性抗細菌剤が含まれ、これには下記のフェノール系およびビスフェノール系化合物が含まれる:たとえばハロゲン化ジフェニルエーテル:トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシ−ジフェニルエーテル)、トリクロカルバン(triclocarban)(3,4,4−トリクロロカルボアニリド)を含む、ならびに2−フェノキシエタノール、安息香酸エステル、およびカルボアニリド。ハロゲン化ジフェニルエーテル、たとえばトリクロサンは、たとえば口腔用組成物の0.3重量%の量で存在することができる。
【0050】
[0050] 適切な表面活性物質は、広いpH範囲にわたって妥当な程度に安定なものである。これらの化合物は当技術分野で周知であり、非石鹸系の陰イオ性(たとえばラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、N−ミリストイルおよびN−パルミトイルサルコシン)、非イオン性(たとえばPolysorbate 20(ポリオキシエチレン20 ソルビタンモノラウレート、TWEEN(登録商標)20)およびPolysorbate 80(ポリオキシエチレン20 ソルビタンモノオレエート、TWEEN(登録商標)80)、Poloxamer 407:商品名PLURONIC(登録商標)F127でBASF Corporationから入手できる)、陽イオン性、両性イオン性(たとえばコカミドベタインおよびラウラミドプロピルベタイン)、および両性有機合成系の界面活性剤が含まれる。口腔用組成物中に使用するのに適切な表面活性物質の例は、たとえば下記に述べられている:United States Patent No.4,894,220,Nabiらに付与、6,555,094,Glandorfらに付与、および6,706,256,Lawlorに付与。多様な態様において、1種類以上の表面活性物質が本発明の口腔用組成物中に0.001%〜5%、または0.5%〜2.5%の範囲で存在する。
【0051】
[0051] 口腔用組成物中に用いる任意の増粘剤には、天然および合成のガムおよびコロイド、たとえばカラギーナン(アイリッシュモス(Irish moss))、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースが含まれる。多様な態様において、増粘剤は歯磨組成物中に0.1〜10重量%、または0.5〜4重量%の量で存在する。
【0052】
[0052] 歯磨組成物を調製するために使用する口腔用として許容できるキャリヤービヒクルには、場合により湿潤剤が含まれる。湿潤剤はグリセリン、ソルビトール、およびキシリトール、分子量200〜1,000の範囲のプロピレングリコール、または他の湿潤剤、ならびにその混合物である。湿潤剤の濃度は、一般に合計で口腔用組成物の5〜70重量%である。水は一般に口腔用組成物の少なくとも10重量%、一般に25〜70重量%の量で存在する。
【0053】
[0053] 合成陰イオン性直鎖ポリカルボキシレートは、口腔用組成物中の抗細菌剤、抗歯石剤または他の有効成分を含めた特定の有効成分を含む口腔用組成物中に、場合により用いられる有効性増強剤である。そのような陰イオン性ポリカルボキシレートは、一般にそれらの遊離酸、または部分もしくは完全中和された水溶性アルカリ金属(たとえばカリウム、および好ましくはナトリウム)塩またはアンモニウム塩の形で用いられる。用語“合成”および“直鎖”は、カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、ならびに天然ガム、あるいは架橋のため溶解度が低下したカルボポール(carbopol)類を含めた、既知の増粘剤またはゲル化剤を除外する。
【0054】
[0054] 好ましいコポリマーは、無水マレイン酸またはマレイン酸と他の重合性エチレン性不飽和モノマーの1:4〜4:1コポリマー、好ましくは30,000〜1,000,000の分子量(M.W.)をもつメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)である。有用なコポリマーのひとつはメチルビニルエーテル/無水マレイン酸である。これらのコポリマーの例は、ISP Corporationから商品名GANTREZ(登録商標)で入手できる。陰イオン性ポリカルボキシレートが存在する場合、目的とする、歯磨組成物中のいずれかの抗細菌剤、抗歯石剤または他の有効成分の有効性増強を達成するのに有効な量で用いられる。種々の態様において、口腔用組成物中に含有される合成陰イオン性ポリカルボキシレートは、口腔用組成物の0.001〜5%、または0.1〜2.0%で存在する。
【0055】
[0055] 本発明の口腔用組成物は、成分を組み合わせて口腔ケア組成物を調製するための技術分野で既知であるいずれかの方法により調製することができる。使用できる方法の例は、たとえば下記に述べられている:United States Patent No.6,403,059,Martinらに付与; Clinical Pharmacology for Dental Professionals (Mosby-Year Book, Inc., 3rd ed. 1989); Mosby's Dental Hygiene: Concepts, Cases and Competencies, (Daniel, S. and Harfst, S. eds., Elsevier Science Health Science Div. 2002);およびErnest W. Flick, Cosmetic and Toiletry Formulations, 2nd ed。
【0056】
[0056] 本発明は、本発明の口腔用組成物を使用して口腔表面を清浄および/または研磨する方法およびプロセスを提供する。さらに、本発明の口腔用組成物は、場合により口腔状態、たとえば口内の炎症状態、歯垢および歯石を治療および抑制する。本発明の口腔用組成物は、当技術分野で既知のいずれか適切な様式で対象に適用することができる;たとえば、適切なアプリケーターまたは送達デバイス、たとえばブラシ、デンタルストリップ、フィルム、注射器、テープ、丸剤、または当技術分野で既知である他のいずれかのアプリケーターもしくは送達デバイスを用いて、口腔用組成物を対象の口腔に導入することによる。本発明の組成物は、口内の健康状態、外観を増進および維持し、全身の健康状態を維持するなどのために、予防的な方法およびプロセスで使用できる。本発明の口腔用組成物は、汚染、歯垢、歯石(calculusまたはtartar)の形成を治療および/または抑制するために特定の処置計画に従って多数日にわたり対象に反復適用できる。処置計画を説明する指示を、商業生産して貯蔵する製品と共に市販パッケージ内に備えることができる。
【0057】
[0057] 理論により拘束されるつもりはないが、本発明の口腔用組成物中に使用するシリカ研磨剤は、ある初期平均粒度をもつと考えられる。たとえば歯垢またはペリクルを除去するために本発明の口腔用組成物を用いて軟組織をブラッシングする場合、このシリカ研磨剤はたとえば歯の表面からそのような軟組織を除去するのに十分である。したがって、本発明の口腔用組成物は最初は高いPCRをもつ。しかし、シリカ研磨剤粒子が歯の硬質表面、たとえば象牙質またはエナメル質と接触するのに伴って、それらはより小さい粒子に分断される;これによってより低いRDAになる。したがって、本発明の組成物を用いて口腔を処置すると、軟組織は剥脱され、硬組織は摩耗から保護される。本発明の組成物を口内で使用するのに伴って、シリカ研磨剤のサイズが低下するためPCRおよび/またはRDAの値が両方とも経時的に低下する可能性があると考えられる。
【0058】
[0058] 硬質表面との接触から生じる崩壊シリカ粒子は、さらに予想外の有益性をも付与する;すなわち、歯の表面を艶出しし、および/または歯細管を閉塞し、その結果、歯をより清浄にし、および/または歯の過敏性を軽減する能力。したがって、本発明の組成物は改良された歯の清浄、艶出し、および過敏性軽減をもたらす。
【実施例】
【0059】
[0059] 本発明を、限定ではない以下の実施例によってさらに説明する。
実施例1
[0060] シリカAおよびシリカBの特性を下記に従って測定する。シリカAはGrace VP5である。シリカBはZEODENT(登録商標)105である;J.M.Huber(米国メリーランド州アーブル・デ・グレース)から。
【0060】
[0061] アインレーナー試験に用いた条件は、黄銅スクリーンおよび1000mL中100gのシリカを用いて120分間に74000回転であった。吸油価および平均粒度は、当業者に既知の方法により測定された。測定値を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
用語“d”は粒度の上限を表わす;したがって、用語d10は10%の粒子がそのd10の値より小さいサイズをもつことを示す。
[0062] 脱イオン水を用いてシリカAおよびBで20% w/wのスラリーを調製する。初期スラリーの粒度分布を、Hydro 2000S自動少量サンプル分配ユニット付きMalvern 2000粒度分析計で測定する。測定前にスラリーを水浴内で1分間、超音波処理して、大きい凝塊があれば破壊する。平台交叉ブラッシング機(flatbed cross brushing machine)を用い、20mlのスラリーを、70°の側壁をもつ1/2”×3 1/2”の大きさのアルミニウムトラフに添加する。軟質角形ヘッドの剛毛ブラシ(ヘッド寸法は、ほぼL×W 2.8cm × 1.0cm)をアルミニウムトラフの底全体に沿って移動するように取り付ける。ブラシヘッドの背側に重量を付加して(250グラム)、ブラッシング中の普通の力を発生させる。ブラッシング機を毎分100往復行程の速度でアルミニウム表面に沿って合計300行程、走行させる。ブラッシング後、スラリーをトラフの底から取り出し、1分間、超音波処理する。試料をMalvern 2000粒度分析計に装填する。次いでシリカ研磨剤の粒度を測定し、表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
[0063] 予想外に、これらの結果は、シリカAがブラッシング計画中に有意に破断しうること、一方ではシリカBが比較的不変のままであることを示す。
実施例2
[0064] 種々のシリカAスラリーのPCRおよびRDA値を、本明細書中で前記に述べた方法により測定する。10%、15%、20%および30% w/wのシリカスラリーを調製し、それらのPCRおよびRDA値を、本明細書中で前記に述べた方法により測定する。結果を表3に示す。
【0065】
【表3】

【0066】
実施例3
[0065] 歯磨組成物、たとえば練り歯磨きを、表4に従って調製する。
【0067】
【表4】

【0068】
実施例4
[0066] 歯牙過敏症に罹患している30人の2グループに練り歯磨きMF−AまたはMF−Bのいずれかを与え、その組成物を彼らの唯一の歯磨剤として彼らの普通のブラッシング習慣に従って1カ月間使用するように指示する。1カ月の終了時に、MF−Aでブラッシングした者のうち75%は歯牙過敏症の軽減を報告し、MF−Bでブラッシングした者のうち10%は歯牙過敏症の軽減を報告した。1カ月の終了時に、MF−Aでブラッシングした者のうち3%は歯牙過敏症の亢進を報告し、MF−Bでブラッシングした者のうち15%は歯牙過敏症の亢進を報告した。
【0069】
実施例5
[0067] 50人の2グループに練り歯磨きWD−AまたはWD−Bのいずれかを与え、その組成物を彼らの唯一の練り歯磨きとして彼らの普通のブラッシング習慣に従って1カ月間使用するように指示する。1カ月の終了時に、WD−Aでブラッシングした者のうち80%は増白/艶出し効果がみられたと報告し、一方、WD−Bでブラッシングした者のうち5%は増白/艶出し効果がみられたと報告した。
【0070】
実施例6
[0068] 15人の喫煙者(平均1.4パック/日)の2グループに練り歯磨きMF−AまたはMF−Bのいずれかを与え、その組成物を彼らの唯一の練り歯磨きとして彼らの普通のブラッシング習慣に従って使用するように指示する。1カ月の終了時に、MF−Aでブラッシングした者のうち85%は彼らの歯の着色が減少したと感じ、MF−Bでブラッシングした者のうち12%は彼らの歯の着色が減少したと感じた。
【0071】
実施例7
[0069] 20%のシリカAおよび20%のシリカBを含む2種類の組成物のRDAおよびPCRを、本明細書中で前記に述べた方法により測定する。2種類の組成物は、異なるシリカ研磨剤以外は本質的に同一である。結果を表5に示す。
【0072】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔用として許容できるキャリヤー、ならびに5μmから20μmまでの平均粒度および4から11までのアインレーナー硬度(Einlehner hardness)を有するシリカ化合物を含むシリカ研磨剤を含む、口腔用組成物。
【請求項2】
シリカ研磨剤が8μmから11μmまでの平均粒度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリカ研磨剤が60cc/100gから120cc/100gまでの吸油価を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
シリカ研磨剤が174,000回転で5から10までの黄銅アインレーナー硬度を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
80から105までのペリクル清浄比を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
150未満の放射性象牙質研磨を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
0.5から1.5までのPCR/RDA比を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
シリカ研磨剤が組成物の1重量%から95重量%までである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
シリカ研磨剤が2.5μmから2.9μmまでのd10を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
口腔用組成物を口腔内の硬質表面に適用した際にシリカ研磨剤が崩壊する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物を口腔内に使用した際に、シリカ研磨剤が崩壊して2.3μmから2.6μmまでのd10を有する粒子になる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
口腔用組成物で歯をたとえば少なくとも30秒間ないし5分間ブラッシングする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤の平均粒度が16%ないし20%低下する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤のd10が9%ないし12%低下する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
フッ化スズ(II)、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フッ化アミン、フッ化アミンフッ化アンモニウム、およびその組合わせから選択されるフッ化物塩を含むフッ化物イオン源を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
ラウリル硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類の界面活性剤を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
グリセリン、ソルビトール、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類の湿潤剤を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル−マレイン酸コポリマー、多糖類、およびその組合わせから選択される少なくとも1種類のポリマーを含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
ハロゲン化ジフェニルエーテル、草本エキスまたは精油、ビスグアニド系防腐剤、第四級アンモニウム化合物、フェノール系防腐剤、ヘキセチジン、ポビドンヨード、デルモピノール、サリフルオル、金属イオン、サンギナリン、プロポリスおよび酸素化剤から選択される抗細菌剤を含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
歯牙脱感作剤を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
歯牙増白化合物を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
練り歯磨きまたはゲルである、請求項1〜21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
口腔用組成物のスラリー1〜5mlを1〜10cmの表面に適用し;該表面を32P照射した歯に向けて接触させ;歯を該表面により2〜5ニュートンの一定の力で300行程ブラッシングし、その際、各行程により表面が歯に対して1〜10cm移動し;そしてRDA値を測定することを含む方法による、請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
口腔内で5秒間使用した場合の口腔用組成物のRDAが、口腔内で1〜5分間使用した場合の同一組成物のRDAの1.2ないし1.6倍である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
黄銅スクリーンを用いて174,000回転当たりのアインレーナー硬度を測定する、請求項1〜24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
黄銅スクリーンを用いて100,000回転当たりのアインレーナー硬度を測定する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
シリカ研磨剤から成る10%水性スラリーが65から80までのPCRを有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項28】
シリカ研磨剤から成る10%水性スラリーが75から91までのRDAを有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項29】
シリカ研磨剤から成る10%水性スラリーが0.7から0.9までのPCR/RDA比を有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
口腔用として許容できるキャリヤー、ならびに8μm〜11μm、9μm〜13μm、8μm〜12μm、および8μm〜11μmからなる群から選択されるメジアン粒度、および4から11までのアインレーナー硬度を有するシリカ化合物を含むシリカ研磨剤を含む、口腔用組成物。
【請求項31】
口腔内の硬質表面に適用した後、シリカ研磨剤のメジアン粒度が16%ないし20%低下する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項32】
有効量の請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物を、その必要がある対象の口腔に適用することを含む、口内の健康状態を改善するための方法。

【公表番号】特表2011−520910(P2011−520910A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509730(P2011−509730)
【出願日】平成21年5月15日(2009.5.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/044100
【国際公開番号】WO2009/140577
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】