説明

口腔経粘膜ニコチン剤形

【解決手段】
ここに記載された発明は、ニコチン中毒治療において、あるいはニコチン置換または代替として、有用な口腔経粘膜用固形の剤形に関連する。ニコチンと組み合わせた配合によって、本発明は、比較的小さく、便利で、口腔にとって快適な剤形(例えば錠剤)サイズを使用して、服用者に粘膜経由で有効量のニコチンを供給し、それと同時にその達成と製造を可能にするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年12月1日付で同時に出願された米国特許仮出願第60/872,177号および60/872,125号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、医薬の剤形および治療法の分野に関連する。特に、本発明は、ニコチンあるいはニコチン誘導体を含有する口腔経粘膜剤形、およびそれを用いるニコチン離脱治療方法に関連する。
【背景技術】
【0003】
多種多様のニコチン退薬用製剤および治療法が既知である。かかる製品は、舐剤、ガム、経皮パッチなどを含む。舐剤およびガムは、ニコチンを経口投与するが、経皮パッチ治療は着用者の皮膚を通してニコチンを投与するのである。これらのシステムは、禁煙計画が成功するにはニコチン中毒に関連する喫煙渇望の発現を抑制しなければならないという前提に基づいている。経口舐剤タイプ製品の一例は、コミット(COMMIT(登録商標))(ペンシルバニア州フィラデルフィアのグラクソ・スミスクライン社(Glaxo−Smithkline))として市販されている。これらの舐剤は、比較的かさばっていてサイズが大きく、使用者の口内でぶくぶくさせて回すように意図されている。したがって、かなりの量のニコチンは呑み込まれる可能性があり、ニコチンの投与が遅れ得るのである。さらに、経口胃腸経路によるニコチン治療時のように、摂取したニコチンは、初回通過代謝を受けて、所望する有効量の活性物の全身への投与が減少することになる。
【0004】
ニコチンの口腔粘膜による供給は既知である。NICORETTE(登録商標)ガムで導入のようにニコチンの受動的な粘膜組織導入で若干のニコチン量を粘膜組織を通じて供給可能である。しかし、一つ問題なのは、治療のメカニズムあるいは剤形が服用者の唾液と極度に混合されて、活性成分が服用者の口腔内で「希釈」されることである。さらに、全身が活性成分を受領するのが著しく遅れる可能性がある。
【0005】
ニコチン「渇望」が起っている服用者に対して、その渇望に迅速に対応するのに、ニコチンの投与が遅延するのは、往々ニコチン退薬治療製剤あるいは計画がうまくゆくか否かをきめるのである。渇望時に迅速に対応するためには、使用者の全身にニコチン投与を前倒しすることが望ましい。
【0006】
フェンタニルのようなある種のオピエートの有効な口腔粘膜による吸収用に特に配合された一つの経口剤形が、ORAVESCENT(登録商標)法技術(ミネソタ州Eden PrarieのCIMA LABS INCから入手可能)を利用したFENTORA(登録商標)という商標の下に開発されている。この技術は、例えば、米国特許番号6,200,604および6,974,590、および米国特許出願公開第2005/0169989号(2004年12月30日付で出願された、米国特許出願第1/026,132号);第2005/0142197号(2004年12月30日付で出願された、米国特許出願第1/026,327号);第2005/0142198号(2004年12月30日付で出願された、米国特許出願第1/027,353号);第2005/0163838号(2004年12月30日付で出願された、米国特許出願第11/026,759号) に記載されており、これらすべては係属中であって、参照によってここに、組込まれる。この特定技術は、活性成分クエン酸フェンタニルの口腔経粘膜輸送を促進するために、pH調節剤と発泡剤の組み合わせを含有する賦形剤の配合を使用する。
【0007】
服用者に有効に且つ迅速にニコチンを供給する、ニコチン退薬あるいは置換治療および製品の分野において、口腔経粘膜性が向上した剤形が必要である。さらに必要なのは、服用者に同等な有効量の活性ニコチンを供給しつつ、比較的により小型の剤形が調製可能なニコチン組成物である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、有効且つ迅速に服用者に治療上有効な量のニコチン(あるいはニコチン誘導体)を供給する為に発泡および局所でのpH調節を利用する口腔経粘膜ニコチン剤形を提供する。服用者の粘膜組織に隣接して定着配置する為に発泡性が向上した固形剤形を使用すると、ニコチンも有効に口腔粘膜に供給できることが見出された。また、本発明でその生体利用効率が向上するので、有効量のニコチン供給するのにより小さな錠剤が製造可能に」なり、もっと容易な包装、費用効果の高い製造、およびより快適な経口投与体験が可能になることも見出された。したがって、従来の経口ニコチン剤形に比して、比較的により小さな剤形を使用して、初回通過代謝を回避しつつ、ニコチンの有効濃度を経粘膜的に且つ迅速に供給できるのである。
【0009】
本発明は、固形の口腔経粘膜剤形であって、次の成分:活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、発泡剤組み合わせと、pH調節剤とを有し、前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、経粘膜送達するよう配合される剤形を提供する。好ましい実施形態では、前記剤形は、バッカル錠(口腔錠)の形態である。
【0010】
本発明に従って調製した配合で得られた、口腔粘膜を経由する輸送の向上の結果として、この配合中のより少量の活性ニコチンは、比較的短時間(Tmax)で、有効に服用者に比較的大量(Cmax)のニコチンを供給することができる。本発明に関連する重要な利点の内の一つは、諸成分の組み合わせのために、比較的より小さな錠剤重量あるいは寸法で、与えられた有効ニコチン投薬量を達成することができることである。これは、本発明によって得られる、達成可能で且つ、より迅速な生体利用効率(例えば哺乳動物の口腔中に配置後約13分のTmaxですぐにCmaxが約61ng/ml)が、比較的に小型の錠剤サイズ(例えば、一実施形態で約5/16インチ)にもかかわらず既存の市販製品に匹敵するからである。本発明に従って調製した場合、ニコチンの生体利用効率が同程度であるために、使用者に同じ有効量のニコチンを供給し、より大きな舐剤タイプ製品と比較して、同じ治療上の有効性を達成できて、比較的より小さく、より便利な錠剤サイズが製造することができる。言い換えれば、本発明は、錠剤サイズ当たり、同等の活性ニコチンの生体利用効率、すなわち治療効力を達成する、比較的小さな錠剤の製造を可能にするのである。
【0011】
本発明の組成に含有のニコチンあるいはニコチン誘導体の投与量は、所望のCmaxを達成するよう調節できる。犬の実験用に配合された組成は、約61ng/mlのCmaxを達成するよう配合された。しかし、本発明に従えば所望の効力に基づいた変数Cmaxを遂行する組成が調製できることが理解されるであろう。ニコチン置換目的および禁煙の目的には、この組成は、約3ng/ml〜約70ng/mlに及ぶCmax(またTmaxが約3分〜約40分)、好ましくは7ng/ml〜約50ng/ml(またTmaxが約4分〜約30分)を達成するよう配合できる。しかしながら、ヒトに投与する場合、渇望時に十分対応し、なお吐き気のような望ましくない副作用を回避するニコチン量を提供するのに適切な生体利用効率を達成するには、約10ng/ml〜約25ng/mlに及ぶCmax(またTmaxが約5分〜約20分)が最も好ましいと考えられている。この推定値は、ここに以下述べる犬の生体利用効率研究の成果と併せて、Hukkanenらが「ニコチンの代謝および動態動力学」(「Metabolism and Disposition Kinetics of Nicotine」,Pharmacological Reviews,Vol.57,No.1,pages79−115(2005)と題する記載内容に基づいている。
【0012】
本発明は、固形の口腔経粘膜剤形であって、次の成分:活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、発泡剤組み合わせと、pH調節剤とを有し、前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、経粘膜送達するよう配合される剤形を提供する。好ましい実施形態では、前記剤形は、バッカル錠(口腔錠)である。
【0013】
本発明は、さらに治療を望む服用者のニコチン中毒を治療する方法を提供するものであって、当該方法は、a)前記服用者に、次の成分:活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、発泡剤組み合わせと、pH調節剤とを有し、前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、経粘膜送達するよう配合される剤形である、前記供給工程と、b)前記剤形を前記服用者の口腔内に口腔粘膜組織に隣接して配置する工程と、c)前記剤形をかかる位置に、口腔の粘膜組織経由でニコチンあるいはニコチン誘導体を輸送させるのに十分な時間、定着させる工程とを有するものである。一実施形態では、この方法は、服用者に、Tmaxが約3分〜約40分で約3ng/ml〜約70ng/mlのCmaxを提供できる。代わりに、あるいはさらなる実施形態として、本発明は、ニコチン置換を望む服用者に、本発明に従って調製したニコチンを含有する剤形を投与することを含むニコチン置換方法も提供する。
【0014】
本発明は、さらに口腔経粘膜ニコチンデリバリーシステムを提供するものであり、活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、発泡剤組み合わせと、pH調節剤とを有する、固形の経口経粘膜剤形であって、前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、経粘膜送達するよう配合される剤形である、前記剤形と、容器との組み合わせとを有し、該剤形は前記容器の一端に連結されているものであるシステムを提供する。一実施形態では、容器は手持ちのスティックである。
【0015】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は以下の開示から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次の図はさらに本発明を図示するが、何れも請求の範囲に記載されている発明に必要な限定を意味する意図はない。
【図1】図1は、種々の固形のニコチン剤形配合の比較平均血漿濃度対時間を示す図表である。
【図2】図2は、発明の一実施形態による、容器に剤形を備えた経粘膜ニコチンデリバリーシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここに使用される場合、「口腔経粘膜」という語句は、薬剤の供給および吸収を意味する文脈では、1若しくはそれ以上の例えば口腔粘膜組織の舌下、頬側、歯肉、口蓋、食道部位口腔関連の粘膜組織タイプ経由の薬剤摂取の前蠕動性の段階を指すことを意味する。より詳細には、この表現で意図することは、活性成分の主要な供給経路が、口腔粘膜の組織を通して起こるということである。
【0018】
ここに使用する場合、用語「約」は、特に別記して除外しない限り、特定した値の±10%の範囲の値およびその機能的な等価物を指す。例えば、「約50mg」という語句は、50[mg]の±10%、つまり45mg〜55mgを含む。
ここに使用する場合、用語「治療上有効な量」は、与えられた投与経路で、従来確定されている薬物動態学法および技術による測定によって、与えられた活性成分で意図する、関連生理学的効力を発揮するのに必要であると定めた量を指すことを意図する。
【0019】
ここに使用する場合、語句「経口剤形」は、一般的な意味で使用する時、口腔で分解性/溶解性錠剤、カプセル、カプレッツ(caplets)、ゲル、クリーム、フィルム、スプレーなどを含む。本発明で特定する内容に就いては、この発明の経口剤形は、本発明で規定するように活性成分の口腔経粘膜吸収を促進し、且つ増強する、賦形剤配合を伴う、ニコチンまたはニコチンの誘導体を含む固形経口剤形としての本発明の薬剤組成物を指すものである。
【0020】
ここに使用する場合、用語「実質的に」は、別に規定しない限り、当業者が達成すべき利点、あるいは所望の条件または性質が満たされると理解する程度に、規定の基準を満たす、特定の性質、特性あるいは変数を指すことを意図する。
本発明の組成は、「服用者の口腔粘膜を経由する、ニコチンあるいはニコチン誘導体の経粘膜送達のために、服用者の口腔内に定着配置用に配合される」という一般的な文脈内で
ここに検討するものである。この語句およびここに述べる類似の語句は、諸成分の総合的組み合わせによって、これらの個々および組み合わせの機能性およびこの剤形を調製するのに用いた技術で、活性成分(ニコチン)を服用者の粘膜の組織経由による供給が、該組織に隣接してその輸送が出来る程度の時間配置されると、起こる剤形が得られる。
【0021】
この発明に従って調製された組成は、活性薬剤成分としてニコチンあるいはニコチン誘導体を含む。適切な使用可能のニコチン誘導体は、ニコチンの薬学的に受理可能な樹脂複合体および薬学的に受理可能な塩類を含む。適切なニコチン誘導体はニコチン・ポラクリレックス(polacrilex)およびニコチン酸性酒石酸塩を含むが、これらに限定されない。禁煙目的の治療効果(つまりニコチン渇望時に対応するのに十分なニコチン量の供給)に対しては、必要とする吸収量が変わり得る。しかし、一つには、本発明の組成を調製するために使用した配合諸成分の組み合わせの結果として、定着する錠剤の形で配合したことと関連するCmaxおよびTmaxの薬物動態学のパラメーターのために、所望する治療効果をより速く達成するのに投薬単位量当たり比較的少量のニコチンで足りるのである。
【0022】
発明に従って調製された組成では、使用可能なニコチンの服用量は、約0.5mg〜約4.0mgまでの範囲でよいが、所望する治療、結果、あるいは効果に基づいて変えられる。禁煙に関する文脈内では、本発明で調製した剤形は、毎日の合計投薬量1日当たり約60mg以内に達するのに十分な回数で投与できる。所望するニコチンあるいはニコチン誘導体の一日の合計投薬量は、個人の特定する治療、離脱、置換の必要性、選択、あるいは必要条件によって変わることになる。
【0023】
一般に、本発明に従って調製するニコチン組成は、好ましくはpH調節剤と共に、吸収促進剤として機能する発泡剤組み合わせを含む。種々の発泡剤組み合わせが本発明で使用できる。例えば、米国特許第5,178,878号明細書および米国特許第5,503,846号明細書に記載の発泡剤組み合わせが使用ができ、その全文を参照によってここに組み入れる。一般に、本発明用の発泡剤組み合わせは、通常、吸収湿気が僅かまたは皆無の無水状態あるいは安定した水和形態で保存される、水または唾液活性化物質を含む。適切な発泡剤組み合わせは、少なくとも1種の食品級の酸、および炭酸塩または重炭酸塩でよい、少なくとも1種の食品級の反応性塩基を含むことができる。
【0024】
この発泡剤組成で使用する適切な酸類は食品級の酸、酸無水物および酸性塩を含む。食品級酸類は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、およびコハク酸、またこれらの酸無水物類あるいは塩類を含むが、これらに限定されない。使用する塩類は、食品級ナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩類、例えばリン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、酸性クエン酸塩類、硫酸二ナトリウムでよい。好ましくは、クエン酸を使用する。
【0025】
本発明に従って使用できる塩基は、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどを含むがこれらに限定されない。炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなども、発泡剤組み合わせの一部としての程度使用されるが、さらに、発泡剤組み合わせと共にpH調節剤としても使用できる。
【0026】
本発明に従って有用な発泡剤組み合わせ成分の量は、有効量であって、口中で錠剤の崩壊を達成するのに必要になってくる特性以外の特性に基づいて決定される。それよりも、この発明で発泡は、口腔中の頬、舌下、歯肉への投与によって粘膜を経由して活性成分の輸送を向上させる根拠として使用されている。従って、発泡剤組み合わせの量は、全配合重量基準の約5〜約85%、好ましくは約15〜60%、更に好ましくは約35〜40%の範囲にすべきである。もちろん、酸と塩基の相対的な割合は、前記特定諸成分、例えば、酸が一、二、または三塩基性であるか、あるいは相対的な分子量などに依存するであろう。
【0027】
より好ましくは、pH調節剤は、発泡剤組み合わせ成分の1成分に加えて、それ以外の成分である。イオン化状態の変化に左右される化合物は、口腔内の組織を経由して溶解し、輸送する適切な条件を設けることで投与できる。若し特定の薬剤の理想的条件が塩基性である場合、この発泡組成の一部あるいはpH調節剤の一部として適当な強酸を十分に過剰追加することは、適切でない。前記発泡剤組み合わせとは別個に作用するpH調節剤、例えば無水炭酸ナトリウムの方が好ましいであろう。
【0028】
前記活性成分の浸透を促進するのに、種々のpH調節剤が使用できる。適切なpH調節剤の選択は、投与すべき薬剤、又特にその薬剤がイオン化するか非イオン化するpH、およびイオン化するか非イオン化した形態が粘膜を経由する輸送を促進をするかどうかに依存するであろう。
【0029】
一実施形態では、このpH調節剤は、一般にpHが約3〜約10、より好ましくは、約4〜9になる量で、粘膜を経由する輸送を促進するよう局所のpHを調節可能なら、どんな物質でもよい。このpHは、服用者の口に置かれた途端、口腔粘膜と剤形(あるいはその一部分が崩壊し、および/または溶解する時)との間の表面接触域のミクロな環境での「局所のpH」である。
【0030】
一般に、局所pHは、生体外(インビトロ)pH測定を使用して、錠剤が示した動的なpH変化の特徴を初めに明らかにすることにより決定することができる。この方法は、適切な大きさの試験管あるいは他の類似の容器中、で0.5〜10mlの燐酸塩緩衝食塩水を使用することから成る。容積1リットルの緩衝食塩水は、塩化ナトリウム9.0g、リン酸ナトリウム一塩基一水化物0.6g、およびリン酸ナトリウム二塩基(無水)型0.78gを脱イオン水約1000mlに溶解し、攪拌しながら室温で1N水酸化ナトリウムを加えてpHを7.0±0.05に調節することで調製できる。この調節には約0.5mlが必要であるはずである。使用溶媒量は、錠剤の大きさおよび投薬量に依存する。重さ200mgの錠剤には容積2mlが使用できる。溶媒と接触させると直ちに、溶液のpHプロフィールをミクロ・コンビネーションpH電極を使用して、時間の函数としてモニターする。
【0031】
好ましくは、本発明に従ってpH調節剤として使用できる物質は、炭酸塩、重炭酸ソーダ塩、リン酸塩、水素リン酸塩および二水素リン酸塩を含む。適切な炭酸塩は炭酸ナトリウム、炭酸カリウムあるいは炭酸カルシウムを含む。適切なリン酸塩はリン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムを含む。pH調節剤として使用するのに最も好ましいのは、炭酸ナトリウムである。また好ましいpH調節剤は、適量使用時に、このpH調節剤無しで他の点は同一の配合に比して、局所pHが少なくとも約0.5単位、より好ましくは1.0単位、さらに一層好ましくは2.0単位変化し得るpH調節剤である。
【0032】
pH調節剤の量は、使用するpH調節剤のタイプ、発泡剤組み合わせ由来の過剰酸あるいは塩基の量、残余成分の性質、および活性成分に応じて変わり得る。好ましくは、pH調節剤の量は、全配合重量の約0.5〜約25%、より好ましくは、約2〜20%、さらに一層好ましくは約5〜15%、最も好ましくは約7〜12%の間で変動できる。
【0033】
前記組成が錠剤の固形投薬剤形である場合、本発明の組成の一つの実施形態はさらに充填剤、崩壊剤、あるいは潤滑剤、およびこれらの組合わせを含む。如何なる充填剤あるいは如何なる量の充填剤も、得られる剤形がここに記載の結果を達成する限り使用できる。充填剤で最も好ましいのは、砂糖および糖アルコールであって、これらは、非直接打錠(圧縮)性および直接打錠(圧縮)性充填剤を含む。非直接打錠(圧縮)性充填剤は一般に、少なくとも配合時に、流動および/または圧縮特性のせいで、添加あるいは調整しなければ、高速打錠プロセスで使用するのに不適切となる。例えば、配合は十分によく流動しないかもしれないので、二酸化ケイ素のような流動促進剤の添加が必要となるかもしれない。
【0034】
これに反して、直接打錠(圧縮)性充填剤は、同様の調整を要しない。これらは、圧縮性と流動性特性があるので直接使用できる。配合物を作成する方法によっては、非直接打錠(圧縮)性充填剤に直接打錠(圧縮)性充填剤特性を持たせることが出来ることをここに指摘する。さらに、逆も真実である。一般的な問題として、非直接打錠(圧縮)性充填剤は、直接打錠(圧縮)性充填剤に比して、比較的により小さな粒子サイズを持つ傾向がある。しかしながら、マンニトールのような噴霧乾燥した充填剤は、比較的より小さな粒子サイズを持っているにも関わらず、さらにどのように処理されるかに従って、直接打錠(圧縮)が可能である場合が多い。さらに、比較的大きな非直接打錠(圧縮)性充填剤もある。
【0035】
ここに記載の結果が提供できる程度までに本発明で使用するのに適切な充填剤は、マンニトール、ラクトーゼ、ソルビトール、デキストロース、蔗糖、キシリトールおよびグルコースを含むが、これらに限定されない。充填剤として使用するのに好ましいのは噴霧乾燥したマンニトールである。使用充填剤の量は、配合重量の約10%〜約80%、より好ましくは、約25〜約80%、最も好ましくは約25〜60%まで変動できる。
【0036】
崩壊剤も、本発明の組成中に使用することができる。崩壊剤は投薬量の減少および/または、Cmaxと服用量との比率を増加させることができる。崩壊剤は、崩壊剤特性を有する結合剤も含むことができる。適切な崩壊剤は、微結晶性セルロース、架橋ポリビニルピロリドン(PVP−XL)、ナトリウム澱粉グリコレート、クロスカルメロースナトリウム、架橋ヒドロキシルセルローズなど含むが、これらに限定されない。崩壊剤の選択は、それを使用することによって与えられた系で、ここに記載された結果を得ることができるかどうかに依る。崩壊剤として使用するのに最も好ましいのは澱粉グリコレートで、より好ましくはナトリウム澱粉グリコレートである。
【0037】
崩壊剤の量は、剤形サイズ、他の成分の性質および量などのような要因によって変動し得る。一般に、崩壊剤の量は、完成した配合の重量当たり約0.25%〜約20%、好ましくは約0.5%〜約15%、より好ましくは約0.5%〜約10%、最も好ましくは約1%〜約8%の範囲に及ことができる。
【0038】
本発明はさらに打錠または突出潤滑剤を含むことができる。適切な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウムおよびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。ステアリン酸マグネシウムが潤滑剤として使用するのに好ましい。一般に、潤滑剤の量は一般に配合重量の1%未満、理想的には約0.5%未満である必要がある。しかし、ステアリン酸マグネシウムの場合には、その量が得られる剤形の所望の性状に悪影響を与えない限り、1.0%を超えることができ、好ましくは1.5%、より好ましくは約1.5%〜約3%である。ステアリン酸マグネシウムを使用する場合、その量は、好ましくは、重量で約2%である。
【0039】
本発明の組成は、この発明が提供する有利な属性を著しく減少させない量であれば、他の従来の賦形剤を一般に既知の量含むことができる。かかる追加賦形剤は、結合剤、甘味料、着色剤、香料、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤、防腐剤などを含むことができるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の組成は、固形の口腔経粘膜剤形、例えば錠剤として調製することができる。本発明に従って調製された発泡性錠剤は比較的硬いかあるいは柔らかであり得る。例えば、本発明の組成を含有する錠剤は、一般に、米国特許第5,178,878号明細書に記載の製造方法で調製でき、その本文は、参照によってここに組込まれる。この方法で調製すると、この剤形は約15ニュートン未満の硬度を持つことができるが、その活性成分は必ずしも保護材料でコーティングする必要がないばかりか、していない方が好ましい。柔軟で砕けやすい錠剤が生産された場合には、米国特許第6,155,423号明細書に記載のようなブリスターパックにパッケージするのが有利である。代わりに、約15ニュートンを越す硬度をもつ硬い剤形は、米国特許第6,024,981号明細書に記載のプロセスで製造できる。さらに、粉末状態の程度、例えば、再現性および/または粒子サイズの一貫性は結果に影響する可能性がある。
【0041】
本発明に関連した重要な利点のうちの一つは、諸成分、その機能性およびその製造工程の総合的な組み合わせによって、本発明の組成が固定あるいは定着剤形、例えば服用者の口腔に配置できる錠剤の形式で、活性成分の経粘膜吸収用に配合されるということである。本発明によって剤形を調製することによって、早期に達成できる生体利用性および薬物動態学的パラメーターのために、比較的小さな、口腔に快適な錠剤重量あるいは大きさで、与えられた有効なニコチン投薬量を達成することができる。
【0042】
一実施形態では、実施例1、表1に、図1の対応するデータと共に記載のように、本発明によって調製した2mgニコチン誘導体含有の200mgで5/16インチ径の錠剤は、本発明で得られた、約5/16インチという比較的小さな錠剤サイズにもかかわらず、一実施形態で、既存の市販品に匹敵する血清ニコチン濃度(犬の口腔中に配置後約13分(tmax 13.33分)後、直ちに、約61ng/mlのCmax(Cmax 61.33ng/ml))を供給できる。別の実施形態では、ニコチン酸性酒石酸塩2水和物および同様投与量および錠剤・サイズを使用して、約17分(tmaxが17.50分)で約65ng/mlのCmax(Cmax が64.67ng/ml)を達成できる。
【0043】
その結果、より小さくより便利なパッケージングシステムが、例えば約5/16インチ径の200mgの錠剤で使用することができる。しかしながら、前記発泡成分のために、本発明で使用するパッケージングシステムは、環境からの湿気あるいは湿度が調製した剤形に到達するのを防ぐものであることが好ましい。例えば、本発明の剤形を含有するブリスターパックは、製薬パッケージング分野の当業者が容易に利用可能な従来の技術および設備を使用して調製することができる。
【0044】
本発明は、治療を望む服用者のニコチン中毒を治療する方法も提供するものであり、その方法は、
a)前記服用者に固形の口腔経粘膜剤形を供給する工程であって、前記剤形が、次の成分:
i)活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、
ii)発泡剤組み合わせと、
iii)pH調節剤とを有し
前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、経粘膜送達するよう配合される剤形である、前記供給工程と、
b)前記剤形を前記服用者の口腔内に口腔粘膜組織に隣接して配置する工程と、
c)前記剤形をかかる位置に、口腔の粘膜組織経由でニコチンあるいはニコチン誘導体を輸送させるのに十分な時間、定着させる工程とを有するものである。
【0045】
本発明によれば、剤形は、服用者の口腔内に、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を口腔径粘膜で輸送させるよう粘膜組織に近接して配置できる。したがって、剤形は、頬側、舌下、歯肉側を含むが、これらに限定されない多くの位置に置くことができる。好ましくは、前記剤形は服用者の頬側口腔に配置される。本発明では、比較的小さな剤形サイズの調製が出来るので、剤形の快適な口腔内の位置が色々服用者に利用可能である。
【0046】
この発明で調製された剤形は水溶性および水分散性であって、服用者の唾液と接触すると、崩壊して活性成分を放出する。滞留時間および前記ニコチンまたはニコチン誘導体を粘膜組織経由で輸送させるのに充分な時間は、その特定配合、選択された諸成分、およびそのプロセスおよび製造技術によって変動し得る。一実施形態では、前記剤形は、その場で約3分〜約10分に亘る時間内に崩壊し得る。もちろん、服用者が剤形に関してとる行動も崩壊時間に影響し得る。
【0047】
別の態様では、本発明は、煙草およびかみ煙草のようなニコチン源に取って代わるかあるいは置換する方法を提供する。したがって本発明によって調製された組成と剤形は、ニコチンの代替源を提供できるが、それは、ニコチン離脱を目的することもしないこともある。この実施形態によって、この組成あるいは剤形は、タバコに由来するニコチン摂取が関連する、不利益、健康上の危険、および/または発癌物質を伴わずに、服用者に活性ニコチンあるいはニコチン誘導体を供給することになる。全体として、前記離脱方法で実行した方法の工程は、同様にニコチン源の置換の実施にも当てはまる。詳細には、このニコチン置換方法は、活性成分としてニコチンあるいはニコチン誘導体;発泡剤組み合わせ;およびpH調節剤を含有する剤形を、煙草に由来しないニコチン源を望む服用者に供給し、前記剤形は、ニコチンあるいはニコチン誘導体を口腔粘膜組織を経由する、経粘膜輸送のために前記服用者の口腔内に定着させるよう配合されるものである。次いで、前記服用者は、服用者の粘膜組織に隣接して服用者の口腔内に剤形を配置することができ、前記粘膜組織経由でニコチンを供給するのに充分な時間の間、前記剤形を粘膜組織に隣接して定着させるのである。
【実施例1】
【0048】
ニコチン・ポラクリレックス由来のニコチンを2mg含有する、口腔経粘膜剤形(錠剤) パッケージの調製
2mgの活性ニコチン投与量を供給効力のある、ニコチン・ポラクリレックス濃度(15%)を有する200mgの固形口腔経粘膜錠剤を調製した。ニコチン・ポラクリレックス、マンニトール(噴霧乾燥)、重炭酸ナトリウム、クエン酸、炭酸ナトリウムおよびカルボキシメチルスターチナトリウムを篩過し、所定時間(約30分)ミキサーで混合した。この混合物を調製後、次いでステアリン酸マグネシウムを該混合物に加え、約5分間混合した。得られた混合物を取り出し、回転式錠剤加圧機で圧搾し、これにより規定した所定重量(200mg)およびに硬度(10N)になるよう錠剤を形成した。次いで錠剤を区分けし、アルミニウム−アルミニウム・ブリスターパックにパッケージした。前記混合、打錠、およびブリスター・パッケージ作業は、すべて乾燥空気1ポンド当たり25グレイン(grain)[訳者注:1グレインは約0.0648g]未満の湿気に制御した環境条件下で行なわれた。
得られた錠剤は次の配合を含有した。
【0049】
【表1】

【実施例2】
【0050】
ニコチン酸性酒石酸塩由来のニコチンを2mg含有する口腔経粘膜剤形(錠剤)の調製
実施例1に上記したと同様の方法で、活性ニコチン源としてニコチン酸性酒石酸塩を含有する200mgの固形口腔経粘膜錠剤を調製した。その配合は、次の表に示す。
【0051】
【表2】

【実施例3】
【0052】
2mgニコチン( ニコチン・ポラクリレックス由来)配合比較例
実施例1に上記したと同様の方法で、本発明の発泡剤組み合わせおよびpH調節剤を含まないが、本発明で使用することが好ましい、残余の賦形剤成分を含有するニコチン200mgの錠剤配合物を調製した。充填剤マンニトールを使用して、実施例1のニコチン・ポラクリレックス配合中の発泡剤組み合わせおよびpH調節剤の量を置き換えた。得られた配合を次表に示す。
【0053】
【表3】

【実施例4】
【0054】
比較インビボ生体利用効率データ
口腔用2mgニコチン(ニコチン・ポラクリレックス由来)剤形である、市販品配合コミット(登録商標)(COMMITT(登録商標))舐剤(Lozenge)(グラクソ・スミスクライン・ビーーチャム社(Glaxo Smithkline Beecham))から入手可能)を入手し、比較実験で使用した。この実験の目的は、4種の配合(表1および表2の本発明の配合、表3の比較配合(本発明に不可欠な成分なしで調製)、および市販品コミット(登録商標)に関連する生体利用効率またはPK(薬物動態)パラメーターを評価することであった。この比較で使用されたニコチン2mgのコミット(登録商標)舐剤は、舐剤重量が1225mgであった。この実験の目的には、コミット(登録商標)舐剤は、この製品に関する使用法が口腔内でぶくぶくするようにとの指示にもかかわらず、定着用頬側粘膜経由型剤形を「模倣する」ため、前記粘膜に隣接して配置した。
【0055】
この実験で使用する固形剤形と平行して、固形剤形の理論的な絶対生体利用効率を計算する根拠として使用するために、静脈内投与用溶液も調製し、当該実験に使用した。ニコチン1mg/mlの溶液5mlは、15.36mgのニコチン酸性酒石酸塩2水塩を水に溶解し、合計量が5mlに達するまで水を加えて調製した。この溶液はニコチン酸性酒石酸塩2水塩のニコチン塩基:塩との比率3.07に基づいて調製した。次に、ニコチン酸性酒石酸塩2水塩15.36mgを、風袋測定済みで無菌の5mlバイアル(小ガラス瓶)中に計量し、それに無菌の注射用水(sterile water for injection:SWIFI)を5ml添加した。この溶液を注射器に吸引した。注射器先端に、0.2ミクロン・フィルタを付け、ゲージ18の注射針を該フィルタに配置し、この溶液を該フィルタ/注射針一式を通して空の無菌5mlバイアルに移した。該バイアルは、24時間以内に失効とするよう日付をつけた。
【0056】
インビボ実験で、前記静脈内用溶液を、1ml/分の流速で2分間、平均ニコチン酸性酒石酸塩2mgに成るよう投与したが、これは固形でテストした最高口腔経粘膜投与量に匹敵した。試料は、開始時および図1に示した所定の時間の間隔で採取した(2mg静脈内ニコチン記号を参照)。採取後、試料は10分静置後、遠心分離し、分析用血清試料を得た。
【0057】
頬側投与剤形では、5/16インチ径の投薬単位量を、被験犬の手術台に載せた口と反対側の下頬側口腔内に配置した。次いで、その投薬単位量が溶解し終わるまで、唾液代替物(水酸化ナトリウムでpH7.0に調節した塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム溶液) 100〜200μlを、t=0および2.5分ごとに注入した。被験動物の口は開口したままにして、咬筋筋肉へのストレスを回避するために、あごクランプで広げなかった。実験開始前に、前記口を洗い、拭き、開始時後15分間クランプを締めなかった。試験開始前の試料は、頬側口腔に投薬単位量を配置する前に採取し、所定時間間隔で適切な容積の動脈血試料を採取した(図1参照)。該試料は、遠心分離および血清分析に先立って、10分間静置する。固形投薬単位および静脈内テスト試料では、平均ニコチン2mgの投薬量を投与した。
【0058】
被験犬は、各々実験に先立って12時間流動食に限定し、挿管の前にプロポフォール(propofol)で鎮静させた。静脈ラインを橈側皮静脈に挿入し、次いで生理食塩水を約15ml/kg(480ml/時)1時間、ついで残りの時間、5ml/kg(160ml/時) 注入した。静脈ライン脈挿入後、該被験犬を2%のイソフルラン(isoflurane)を投与する閉鎖回路に接続した。代わりに、意識下鎮静被験犬にはメデトミッド(medetomide)塩酸塩を投与した。動脈血液試料の収集には、動脈ラインを大腿動脈に挿入した。意識下鎮静被験犬には、該被験犬の不快感およびストレスを回避するために、血清試料は、橈側皮側ライン経由で得た。試料容積を記録した。
【0059】
遠心分離および血清分析の後に、血清濃度および生体利用効率パラメーターを計算した。
【0060】
生体利用効率データは次の表に示し、また、図1にプロットした。
【0061】
【表4】

【0062】
この結果は図1にプロットして示されている。上記のデータから判るように、実施例3表3(「非OVニコチン」として表示)および比較製品コミット(登録商標)の配合と比較して、本発明に従って調製された錠剤配合(「2mgのOVニコチン(ポラクリレックス)」および「2mgのOVニコチン(酸性酒石酸塩)」としてそれぞれ表示されている、実施例1表1および実施例2表2の配合2種)は、実質的により高いCmaxおよび実質的により短いtmaxを示している。本発明によって調製された、発泡剤およびpH調節成分含有口腔経粘膜剤形は、発泡剤およびpH調節成分不含の比較例の配合に比較してさえ、Cmaxおよびtmax生体利用効率および薬物速度論の点から、発現作用がより迅速であることを示した。
【0063】
本発明(実施例1、表1および実施例2、表2)によって調製されたこれらの投薬単位に就いては、これらの試料が約5/16インチ径および錠剤重量約200mgの錠剤として調製され、著しくより大きな(1225mgで、より大型)市販の剤形と対照的である。これらの結果は、さらに、本発明に従って調製すると、2mgのニコチンは、有効に供給され、市販口腔製品と比較して、経粘膜送達によって著しくより短時間 (例えば約13〜18分のtmax) で、著しくより高い血清濃度(例えば約61〜65ng/mlのCmax)を供給できることを示す。
【0064】
本発明のさらなる利点および態様として、前記2mg投薬量は、多くの、従来のニコチン用舐剤タイプ製品より比較的の著しく小さい、直径約5/16インチの頬側錠剤によって達成された。従って、本発明は、製造の見地から、口腔にとってより快適で、より便利なパッケージングの選択肢を与えるものである。
【実施例5】
【0065】
ニコチン(ニコチン・ポラクリレックス由来)2mg含有200mg錠剤の大規模調製
実施例1に上記したと同様なプロセスを使用して2mgのニコチン(ニコチン・ポラクリレックス由来)錠剤の大規模な調製を行なった。大規模生産を達成するために、配合成分量を調節して、微結晶性セルロース、コロイド状二酸化ケイ素および香料を包含させるようにした。調製した配合を次表に記載する。
【0066】
【表5】

【0067】
容器搭載ニコチン剤形
ここに上記した錠剤剤形に対する代わりの実施形態では、より大きな舐剤タイプ剤形を調製することが可能で、本発明の剤形配合を修正して、容器あるいはスティックに付着あるいは着脱可能に付加する舐剤にすることができる。かかる容器搭載剤形の実施形態は、同時係属中で両者とも2006年12月1日付で出願された米国特許出願第60/872,177号および第60/872,125号に記載のように調製でき、これらの本文をここに参照によって組み入れる。
【0068】
この特定実施形態によれば、容器或いはスティックがある点、使用者に煙草が存在するように思わせることが出来るので、ニコチン中毒および喫煙行動の面の対応になる。この実施形態では、本発明によって調製された経口剤形を、容器の一端に連結してあるので、使用者がこの剤形を粘膜組織に隣接して保持し、手で容器を操作して粘膜組織に隣接した配置を引き続いて確保できる。
【0069】
さて、図2を参照して、容器・システム2搭載剤形を発明の一実施形態によって示す。システム2は容器部分4および容器4に連結した剤形3を含むことができる。容器部分4は種々の形態および寸法で必要な大きさにすることができる。一実施形態では、図示するように、容器部分4(および剤形3)は、たばこの典型的な大きさに構成できる。容器部分4は二つの末端、即ち服用者の口内配置用の口腔側末端5および末端6を含むことができる。容器部分4は種々の材料を使用して形成できる。適切な材料は、このシステムの把持と手動操作を楽にするよう、柔軟な半硬質か硬質な構造が形成できる材料を含み、かかる材料は種々のプラスチックおよび紙材料を含むことができる。剤形3は、無毒な接着剤あるいは膠、ペグのような結合具を含む種々の取り付け手段(特に図示せず)によったり、外部コーティングなどとして、容器部分4に取り付けることができる。
【0070】
本発明によって調製された剤形は、容器に固定させるか、あるいは、容器から着脱自由に形成できるので、使用者の好みに従って、使用者には、ロリポップ(棒付きキャンディー)型のニコチン投与システムを、独立した個別の舐剤あるいは剤形それ自身に変換する選択肢がある。
【0071】
前記剤形および容器が互いに着脱可能な特定の実施形態では、その剤形は、着脱可能な結合構造を含む。着脱可能な結合構造は、1) 剤形用構造、例えば容器の一端を受け入れるか、それに合わせることができる凹所あるいは穴;2) 容器の末端に位置する構造、例えば、剤形の中または上に容器を着脱可能に保持することができる摩擦を強化する質感生地、あるいはかかる両構造の組み合わせとして形成できる。
【0072】
前記容器はさらにインデシア(識別用しるし)を含めることができる。インデシアの例はブランド名、ロゴ、シンボル、投薬情報、使用法、色彩などを含む。インデシアは、当業者が容易に使用できる、成型、型押あるいはエンボス技術、接着ラベル付けなどで適用することができる。
【0073】
容器は、さらに末端握り側に加工して、粘着性付与剤あるいは石目生地生成のような摩擦強化特性を含めることができる。代わりに、そのような特性および/またはそれに加えて、末端握り側は、タブとカーブのような指に向けた特定な構造を含めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の剤形および組成は、ニコチン中毒の治療用、あるいは、あるいはニコチン代換品として使用することができる。詳細には、本発明は、ニコチン離脱に関連した症状を治療すること、および/または禁煙状況および環境でニコチンの非タバコ源を供給するためのニコチン禁断治療プログラムの一部として使用することができる。本発明の配合の結果として、本発明によって、服用者にニコチンを有効且つ比較的迅速に投与するための、比較的小型の剤形を製造する能力が得られる。
【0075】
ここに上記載した本発明は、種々および特定の実施形態および技術に述べたことを含む。しかし、当業者は、次の特許請求で規定する前記発明の精神あるいは範囲のいずれかからも著しく逸脱せずに、前記実施形態および技術から妥当な修正および変更ができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形の口腔経粘膜剤形であって、以下の成分:
a)活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、
b)発泡剤組み合わせと、
c)pH調節剤と、
を有し、
前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を経粘膜送達するよう配合されるものである、剤形。
【請求項2】
請求項1記載の剤形において、前記剤形の組成物は、ニコチン誘導体を約0.5mg〜約4.0mg含有する、全重量200mgの口腔頬側経粘膜錠剤の形態をなし、前記錠剤は約5/16インチの直径を有するものである。
【請求項3】
請求項1記載の剤形において、前記ニコチン誘導体は、ニコチン・ポラクリレックスおよびニコチン酸性酒石酸塩から成る群から選択されものである。
【請求項4】
請求項1記載の剤形において、前記発泡剤組み合わせは、酸性化合物および塩基性化合物を有し、且つ水溶性あるいは崩壊性であり、且つ唾液によって活性化されるものである。
【請求項5】
請求項4記載の剤形において、前記酸性化合物はクエン酸であり、且つ前記塩基性化合物は重炭酸ナトリウムである。
【請求項6】
請求項1記載の剤形において、前記pH調節剤は、前記発泡剤組み合わせの前記塩基性化合物とは異なるものであり、且つ炭酸塩あるいはリン酸塩化合物から選択されるものである。
【請求項7】
請求項6記載の剤形において、前記pH調節剤は、炭酸ナトリウムである。
【請求項8】
固形の口腔経粘膜剤形であって、以下の成分:
a)ニコチンあるいはニコチン誘導体と、
b)基本的に、クエン酸および重炭酸ナトリウムからなる発泡剤組み合わせと、
c)炭酸ナトリウムを有するpH調節剤と、
d)充填剤と、
e)崩壊剤と、
を有し、
前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を経粘膜送達するよう配合されるものである、剤形。
【請求項9】
請求項8記載の剤形において、前記剤形は、投与において、夫々、Cmaxが約3ng/ml〜約70ng/ml、且つTmaxが約3分〜約40分に達するものである。
【請求項10】
請求項9記載の剤形において、前記剤形は、夫々、Cmaxが約7ng/ml〜約50ng/ml、Tmaxが約4分〜約30分に達するものである。
【請求項11】
請求項10記載の剤形において、前記剤形は、夫々、Cmaxが約10ng/ml〜約25ng/ml、Tmaxが約5分〜約20分に達するものである。
【請求項12】
治療を望む服用者においてニコチン中毒を治療する方法であって、この方法は、
a)前記服用者に固形の口腔経粘膜剤形を提供する工程であって、前記剤形が、
i)活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、
ii)発泡剤組み合わせと、
iii)pH調節剤と
を有し
前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を経粘膜送達するよう配合されるものである、前記提供する工程と、
b)前記服用者の口腔内に、口腔粘膜組織に隣接して前記剤形を配置する工程と、
c)前記口腔の粘膜組織経由でニコチンあるいはニコチン誘導体を送達させるのに十分な時間、前記剤形をかかる位置に定着させる工程であって、
工程c)および前記剤形は、約3ng/ml〜約70ng/mlにおよぶCmax、且つ約3分〜約40分のTmaxを提供するものである、前記定着させる工程と、
を有する方法。
【請求項13】
口腔経粘膜ニコチンデリバリーシステムであって、このシステムは、
a)固形の口腔経粘膜剤形であって、以下の成分:
活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、
発泡剤組み合わせと、
pH調節剤と
を有する組成物を有し、
この剤形は、服用者の口腔内に定着させて、当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を経粘膜送達するよう配合されるものである、前記剤形と、
b)容器と
を有し、
前記剤形は前記容器の一端に連結されているものである、システム。
【請求項14】
請求項13記載のシステムにおいて、前記容器は手持ちスティックである。
【請求項15】
請求項13記載のシステムにおいて、前記容器および剤形は互いに着脱可能に構成されるものである。
【請求項16】
ニコチン置換方法であって、
a)前記置換を望む服用者に剤形を提供する工程であって、前記剤形が固形の口腔経粘膜剤形であり、
i)活性成分としてのニコチンあるいはニコチン誘導体と、
ii)発泡剤組み合わせと、
iii)pH調節剤と、
を有し、
前記剤形は、服用者の口腔内に定着させて、当該服用者の口腔粘膜組織を経由して、前記ニコチンあるいはニコチン誘導体を経粘膜送達するよう配合されるものである、前記提供する工程と、
b)服用者の口腔内に、口腔粘膜組織に隣接して前記剤形を配置する工程と、
c)粘膜組織経由でニコチンを送達するのに十分な時間、前記粘膜組織に隣接して前記剤形を定着させる工程と、
を有する方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−511611(P2010−511611A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539267(P2009−539267)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/024218
【国際公開番号】WO2008/069921
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(509025614)シマ ラブス インク. (6)
【出願人】(509021085)セファロン、インク. (24)
【Fターム(参考)】