説明

可動ガラリおよびこれを備えた消火対象区画の消火システム

【課題】 必要時に開閉することができ、消火作業の効率の向上が可能となる可動ガラリを提供すること。
【解決手段】 所定間隔をおいて回動可能に枢支された複数枚の羽根板19、各羽根板19に固定された支持アーム22、および、支持アーム22が枢支され、羽根板19の開位置と閉位置との間を移動しうる連結杆23を有するガラリ本体20と、羽根板19をその開位置と閉位置とに回動させるガスシリンダ24と、羽根板19を閉止する方向に付勢するバネ部材27と、この付勢力に抗して羽根板19をその開位置に保持するヒューズメタル29と、このヒューズメタル29を介してピストンロッド24aとガラリ本体20とを連結する連結部材25と、ガラリ本体20とピストンロッド24aとの間に、閉止状態にあるときのガラリ本体20に対して、上記ピストンロッド24aが伸長したときにピストンロッド24aが連結するように構成された係合部材26とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可動ガラリおよびこれを備えた消火対象区画の消火システムに関する。さらに詳しくは、建造物にその内外を連通するために設けられる開閉可能な可動ガラリ、および、この可動ガラリが形成された建造物であって消火対象区画を有するものの消火システムに関する。
【背景技術】
【0002】
消火対象区画の建造物、たとえば機械式駐車装置が内部に設置された駐車塔などには、消火設備とともに排気設備および換気用のガラリが備えられている。この換気用ガラリは通常は開いた状態で換気を行っている。そして、火災の発生に伴う消火作業時には消火効果、効率の向上のため、すなわち、通気開口の封鎖によって災害の拡大を抑制することや消火時間の短縮によって消火ガスの無駄遣いを防止するため、消火ガスが駐車塔の外部に逃げないようにこのガラリは閉じられる。消火作業が終了した後には塔内に充満した消火ガス等を排気設備によって外部へ排気する。一般的に、この消火作業に伴うガラリの閉止には大きく分けて下記の二つの手段が用いられる。
【0003】
図14に示すように、第一の手段は、ガラリ61を構成する複数枚の羽根板62を外枠63に対して鎧戸状に開状態で固定するとともに、閉止するための遮蔽板64を用いるものである。すなわち、開状態に固定されたガラリ61の内側上方に遮蔽板64がヒューズメタル65およびワイヤ66を介して上方退避位置(または待機位置)に吊持されている。火災発生時に塔内の温度が上昇し、ヒューズメタルが溶断することによって遮蔽板64がガラリ61に対向する所定位置まで落下する(図中に二点鎖線で示す)。これにより、ガラリの内側全体、すなわちガラリ窓の裏枠全体を閉止する。
【0004】
図15に示すように、第二の手段は可動式のガラリ71を備えたものである(たとえば特許文献1、2、3参照)。すなわち、このガラリ71は鎧戸状に上下に並んだ複数枚の羽根板72が回動(開閉)可能に連結杆73に支持されたものである。このガラリ71は、常時は連結杆73または一つの羽根板72を引っ張りバネ74およびヒューズメタル75を介して開状態に保持されている。火災発生時には塔内の昇温によってヒューズメタル75が溶断し、羽根板が自重または引っ張りバネ74の作用によって回動し(図中に二点鎖線で示す)、ガラリ71全体が閉止する。
【0005】
いずれの手段を使用した場合でも、ガラリ61、71が閉止した状態で消火設備を起動させて消火作業を行う。消火作業が終了した後は塔内に充満した消火ガスを排気設備の起動によって外部に排出する。
【0006】
上記第一の手段(図14)では、ガラリ61の裏側(塔内側)全体にわたって遮蔽板64を配置する大きなスペースを設ける必要がある。第一および第二のいずれの手段(図14、図15)も、消火作業の終了後に塔内の排気作業を行うに際してそのガラリ61、71が閉止状態のままであるため、排気に時間がかかるうえ塔内の温度が容易には下がらない。急速にまたは強力に排気しようとすれば、火災で脆弱となっている外壁や外装板が負圧によって内側に撓む等の問題を生じるおそれがある。
【特許文献1】実開昭53−21869号公報
【特許文献2】実開昭59−190888号公報
【特許文献3】実開平1−24315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、消火対象区画を有する建造物に形成されたガラリが閉止しているときでも、必要時に容易に開放することを可能とした可動ガラリおよびこれを備えた消火対象区画の消火システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の可動ガラリは、
所定間隔をおいて回動可能に枢支された複数枚の羽根板、各羽根板に固定された支持アーム、および、この支持アームが枢支され、羽根板の開位置と閉位置との間を移動しうる連結杆を有するガラリ本体と、
ピストンロッドの伸縮によって羽根板をその開位置と閉位置とに回動させる第一流体圧シリンダを有する駆動装置とを備えている。
【0009】
したがって、この可動ガラリが備えられた建造物にたとえば火災が発生したときの消火作業時において、流体圧シリンダに作動流体を供給(または排出)することによってガラリを閉止することができ、消火作業が終了した後では流体圧シリンダに作動流体を排出(または供給)することによってガラリを開放することができる。
【0010】
上記羽根板を、それが閉止する方向に付勢されるように構成し、この付勢力に抗して羽根板をその開位置に保持するためのヒューズ部材を配設することができる。このように構成すれば火災の熱によってヒューズ部材が溶断することにより羽根板が閉止する。
【0011】
このヒューズ部材を有する可動ガラリにおいて、上記駆動装置に、上記ヒューズ部材を介してピストンロッドとガラリ本体とを連結する連結部材を備えることができる。
【0012】
この連結部材を有する可動ガラリにおいて、ガラリ本体とピストンロッドとの間に、閉止状態にあるときのガラリ本体に上記ピストンロッドが伸長または縮短して連結するように構成された係合部材を配設することができる。そうすれば、ピストンロッドを縮短することによってガラリ本体を開駆動することが可能となる。
【0013】
上記連結部材に、ガラリ本体を開位置および閉位置に変位させる揺動アームと、ピストンロッドに接続された上下動部材とを備え、上記揺動アームと上下動部材とをヒューズ部材によって連結し、
ピストンロッドの伸縮により、その駆動力が上下動部材、ヒューズ部材および揺動アームを通してガラリ本体に伝達するように構成することができる。
【0014】
このようにすると、ヒューズ部材が溶断しなくても、ピストンロッドの伸長または縮短によってガラリ本体を閉止することが可能となる。
【0015】
上記係合部材に、ガラリ本体を開位置および閉位置に変位させる揺動アームと、ピストンロッドに接続された上下動部材と、この上下動部材に配設された係合ピン部材と、この係合ピン部材が係合しうるように上記揺動アームに形成された係合孔と、ガラリ本体の閉止状態において、ピストンロッドの伸長または縮短によって係合ピン部材が係合孔へ至るように案内する案内部材とを備えることができる。
【0016】
上記羽根板が閉止する方向に上記揺動アームを付勢する手段としてバネ部材を用い、これを揺動アームに連結することができる。
【0017】
上記揺動アームを少なくとも一の羽根板の回動中心軸に固定し、揺動アームの揺動により、当該羽根板から支持アームおよび連結杆を通して他の羽根板を開位置および閉位置に変位させる力が伝達されるように構成することができる。
【0018】
本発明の消火システムは、
消火対象区画を構成する建造物の消火システムであって、
該建造物に配設された内外を連通する可動ガラリと、
消火対象区画に消火ガスを供給する消火ガス供給装置とを備えており、
上記可動ガラリが、前述したうちのいずれか一の可動ガラリであり、
この可動ガラリの第一流体圧シリンダがガスシリンダから構成されている。
【0019】
上記消火ガス供給装置から、消火ガスの一部が可動ガラリの第一ガスシリンダへ作動ガスとして供給されるように構成することができる。これにより、シリンダー駆動のために別途の作動ガス供給設備が不要となる。
【0020】
上記建造物に、建造物の内部の空気を外部へ排出するためのファンを備えた排気ダクトを配設し、上記第一ガスシリンダ内部の作動ガスを排出するためのガス排出管を、当該第一ガスシリンダから上記排気ダクトへ接続することができる。このように構成すれば、ガスシリンダからのガス排出を効率よく行うことができる。
【0021】
上記消火ガス供給装置を起動するために起動ガスを供給する起動装置を配設し、この起動装置からの起動ガスの一部を、上記可動ガラリの第一ガスシリンダへ作動ガスとして供給するように構成することができる。これにより、シリンダー駆動のために別途の作動ガス供給設備が不要となる。
【0022】
上記排気ダクトを開閉するダンパと、このダンパを駆動するための第二ガスシリンダとを配設し、上記消火ガス供給装置から消火ガスの一部が上記第二ガスシリンダへ作動ガスとして供給されるように構成することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の可動ガラリおよび消火システムは、これらが設置された建造物の火災に際しても必要時にそのガラリを開閉することができるので、たとえば消火作業の効率の向上および消火後の建造物内からの迅速な排気が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
添付の図面を参照しながら本発明にかかる可動ガラリおよび消火システムの実施形態を説明する。
【0025】
図1は本発明の可動ガラリおよび消火システムの一実施形態が設置された建造物の一例としての立体駐車装置を概略的に示す断面図である。図2は図1の駐車装置の外壁部に配設された可動ガラリの一実施形態を示す正面図である。図3はこの可動ガラリを示す図2のIII−III線断面図である。図4はこの可動ガラリを示す図3のIV−IV線断面図である。
【0026】
図1に示す駐車装置1は消火対象区画が設定されたものである。その駐車塔2の内部には上下に複数段の駐車棚3が設置されており、駐車装置の形式によっては入出庫車両Mをエレベータや垂直循環昇降機等が入出庫階4と駐車棚3との間を搬送する。この駐車装置1では入出庫階4は地上階である一階に設けられており、入出庫階4には車両の入出庫口6が形成されている。この駐車装置1では入出庫階4における入出庫方向と駐車棚における駐車方向とが直交するため、た入出庫階4のピット7内に車両を旋回させてその向きを変えるターンテーブル8が設置されている。入出庫階4にはさらに駐車装置1の運転操作盤9が配設されている。
【0027】
この駐車塔2の外壁10には塔2の内外を連通する可動ガラリ11が配設されている。また、この駐車装置1には消火対象区画である塔内に消火ガスを放出する消火システム12が設置されている。消火システム12は、上記可動ガラリ11を含んでおり、さらに、消火ガス供給設備13、消火システム起動装置(以下、単に起動装置という)14、火災検知器15、および、塔内からガスや空気を排出する排気設備16を備えている。起動装置14には消火システム12の起動動作を制御するための制御装置17が配設されている。火災検知器15は駐車塔2内のいずれの階層における火災の発生をも検知するために上下に適宜間隔で設置されている。
【0028】
図2〜4に示すように、可動ガラリ11は、駐車塔2の壁に形成された開口を縁取る枠部材18と、この枠部材18の内部に上下複数枚の羽根板19を有するガラリ本体20と、上記羽根板19を回動(開閉)させるための駆動装置21とを備えている。各羽根板19は枠部材18に対して、上下に整列状態であり且つ長手方向に延びる回動軸の回りに回動(開閉)可能となるように枢支されている。本実施形態では、上下に整列状態にある羽根板群が、枠部材18の中央支柱18aを境にして左右に一対配設されているが、かかる構成に限定されない。
【0029】
図4に示すように、各羽根板19には支持アーム22の一端が固定されており、各羽根板群における全支持アーム22の他端が一本の連結杆23に枢支されている。連結杆23は全羽根板19を一斉に回動させるためのものである。連結杆23は各羽根板群の横方向の中央であって、羽根板19の長手方向に対して垂直に上下方向に延びている。各羽根板19の長手方向に垂直な断面を見れば、その両端に互いに逆方向に屈曲する鉤部19aが形成されている。連結杆23を上下方向に動かすと、支持アーム22を介して全羽根板19が同一方向に回動して羽根板19間の空間が開閉される。本実施形態では連結杆23を下降させると羽根板19が開き(図4に示す状態)、上昇させると羽根板19が閉じる(図5および図6に示す状態)。羽根板19の閉止状態ではその鉤部19aが隣接羽根板19に当接することにより羽根板間に大きな隙間が生じない。
【0030】
左右の羽根板群同士の間、すなわち、中央支柱18aに上記駆動装置21が配設されている(図2参照)。この駆動装置21は、図2、図4および図7に示すように、ガラリ本体20を(すなわち羽根板19を)開閉駆動するためのガスシリンダ(第一ガスシリンダ)24と、ガスシリンダ24をガラリ本体20に連結および連結解除するための連結部材25と、ガラリ本体20が閉止状態にあるとき(図5および図6参照)の連結部材25に対してガスシリンダ24のピストンロッド24aを連結する(図9の状態)ための係合部材26と、ガラリ本体20を閉止方向に付勢するためのバネ部材27とを有している。ガスシリンダ24は中央支柱18aに揺動可能に枢支されている。ガスシリンダ24が作動ガスの圧送を受けてそのピストンロッド24aを伸長することによってガラリ本体20が閉止し、作動ガスを排出してストンロッド24aが縮短することによりガラリ本体20は開状態となる。
【0031】
本実施形態ではこのガスシリンダ24がそのピストンロッド24aを上方に向けて伸長するように配置しているため、ピストンロッド24aが伸長するとガラリ本体20が閉止するが、逆にピストンロッド24aの伸長方向が下方となるように配置したうえで適切な連結部材によってガラリ本体と連結してもよい。そうすれば、ピストンロッド24aの縮短によってガラリ本体20が閉止することになる。
【0032】
このガスシリンダ24の内部にはピストンロッド24aを縮短する方向に付勢するバネ部材24bが装備されている。したがって、作動ガスが供給されない通常時には、ピストンロッド24aが縮短しているので、ガラリ本体20は開状態にある。また、ガスシリンダ24に作動ガスが圧送されてピストンロッド24aがバネ部材24bに抗して伸長したとき(ガラリ本体20が閉止したとき)には、後述する作動ガス(消火ガスまたは開封用ガスを利用したもの)の配管41aに逆止弁43、49が設置されているのでピストンロッド24aの伸長状態が保持される。
【0033】
図7も合わせて参照すれば明らかなように、連結部材25は、上下複数段のうちいずれか一の段の羽根板19にその一端が固定された揺動アーム28と、揺動アーム28にその一端が枢支されたヒューズ部材(ヒューズメタルと呼ぶ)29と、ガスシリンダ24のピストンロッド24aにその一端が枢支された上下動板30と、この上下動板30と上記ヒューズメタル29とを連結する連結板31とを備えている。上下動板30はピストンロッド24aとほぼ一直線となるようにピストンロッド24aの先端にボルト40によって固定されている。
【0034】
図8には揺動アーム28の詳細が示されている。図8(b)は揺動アーム28の側面図であり図8(c)は平面図である。揺動アーム28の一端には断面がコ字状のコ字状板28aが固定されており、コ字状板28aの両側面それぞれに矩形の嵌合孔28bが形成されている。この嵌合孔28bには、図8(a)に示す左右の羽根板19の矩形断面の枢支軸(この枢支軸が羽根板の回動軸となる)19bが嵌合する。また、この揺動アーム28には後述する係合孔33および傾斜案内部材34が配設されている。
【0035】
この連結部材25によれば、図5に示すように、ヒューズメタル29が溶断していない状態であっても、作動ガスの圧送によってガスシリンダ24のロッド24aが伸長すれば連結板31およびヒューズメタル29を介して揺動アーム28を、ひいては羽根板19を図中の反時計回りに揺動させ、ガラリ本体20を閉止する。なお、ヒューズメタル29および連結板31の連結もボルトナット40によるものである。ガスシリンダ24のロッド24aが縮短した状態(図4)では、各部材の連結用ボルトナット40部分の摩擦や、後述する伸縮係合ピン部材32が揺動アーム28を押圧することによる摩擦等が、上記バネ部材27によるガラリ本体20を閉止する付勢力に抗している。
【0036】
一方、図6に示すように、この開状態(図4)でヒューズメタル29が溶断すると揺動アーム28は上下動板30と分離する。したがって、ピストンロッド24aの伸長を要することなく、揺動アーム28はバネ部材27の力によって反時計回りに上方へ揺動させられ、ガラリ本体20が閉止する。
【0037】
上記係合部材26は、ヒューズメタル29が溶断することによって上方に揺動した状態の揺動アーム28(図6)に対し、これと分離した状態の上下動板30を上昇させることによって係合させ、再度連結する(図9)ためのものである。また、ヒューズメタル29が溶断しない状態でピストンロッド24aが伸長して揺動アーム28を上方へ揺動させたときには、係合部材26によって自動的に上下動板30が揺動アーム28に係合連結する。その結果、上記いずれの場合にも、その後にピストンロッド24aを縮短することによって揺動アーム28を下方へ揺動させることができる。
【0038】
係合部材26はその構成の一部を前述の連結部材25と共用している。図4、図5および図6を併せて参照すれば、係合部材26は、上下動板30と、この上下動板30の上端に配設された伸縮係合ピン部材32と、前述の揺動アーム28と、この揺動アーム28に形成された係合孔33と、揺動アーム28の下辺に配設された上記傾斜案内部材34と、上記ピストンロッド24aの伸縮を案内するための案内板35とを備えている。図10に示すように、案内板35には若干湾曲した案内用長孔35aが形成されている。そして、図7を併せて参照すれば明らかなように、この案内用長孔35aにはピストンロッド24aと上下動板30とを連結するボルト40aが被案内部として貫通している。ピストンロッド24aが伸長するときには、上記ボルト40aは案内用長孔35aの中をスムーズに上昇することになる。
【0039】
図11に示すように、伸縮係合ピン部材32は、上下動板30の上端のネジ孔30aに螺着された中空のピンケース36と、このピンケース36を上下動板30にロックするためのナット37とを備えている。符号37aはワッシャを示している。ピンケース36の空洞部36a内には、揺動アーム28に向かって突出する係合ピン38と、この係合ピン38を揺動アーム28に向かって弾力的に押し出す圧縮バネ39とが収容されている。また、ピンケース36の空洞部36aには係合ピン38が空洞部36aから完全に飛び出してしまうことを防止するためのストッパ36bが形成されている。この構成により、ピンケース36から外方へ突出している係合ピン38を圧縮バネ39の弾力に抗して押圧するとピンケース36の空洞部36a内に入り込む。
【0040】
図7および図11に示すように、揺動アーム28と上下動板30とは対向する両者の面(対向面と呼ぶ)28c、30bが互いに近接した状態で配置されている。また、揺動アーム28の下辺に形成された上記傾斜案内部材34は上下動板30に対向する面が傾斜している(傾斜面34aと呼ぶ)。この傾斜面34aは、その下端は対向する上下動板30の対向面30bから離間しており、上方に行くに従って上下動板30の対向面30bに接近し、上端において揺動アーム28の対向面28cと一致する。したがって、揺動アーム28が上方に揺動して停止し、且つ、ピストンロッド24aが縮短している状態(図6)では、係合ピンは38は傾斜案内部材34から下方に離間している。そこから、ピストンロッド24aの伸長により、上下動板30および伸縮係合ピン部材32が一体で揺動アーム28に対して上昇すると、突出している係合ピン38は図示のごとく傾斜案内部材34の傾斜面34aに押圧されつつ揺動アーム28の対向面28cに至り、ついには係合孔33に突入し、上下動板30と揺動アーム28とが連結される。
【0041】
この作用を奏するために、図6に示す状態では、揺動アーム28の嵌合孔28bがピストンロッド24aおよび上下動板30の上昇経路上に位置するように位置合わせされて組み立てられている。
【0042】
図11において、伸縮係合ピン部材32の中心線(一点鎖線で示す)32aより下側は、ピストンロッド24aが上昇して、ガラリ本体20の閉状態にある揺動アーム28の係合孔33に係合ピン38が突入した状態を示している。すなわち、可動ガラリ11が図5および図9にある状態に対応している。図11における上記中心線より上側は、ピストンロッド24aが縮短した通常の状態であり、ガラリ本体20の閉状態にある揺動アーム28の対向面に係合ピン38が当接した状態を示している。すなわち、可動ガラリ11が図4にある状態に対応している。
【0043】
以上が可動ガラリ11であるが、この可動ガラリ11を用いる消火システム12を説明する。図1に示すように、消火システム12における前述の消火ガス供給設備13には消火ガスボンベ(消火ガスを貯蔵したタンク等でもよい)13aが設置されている。消火ガスボンベ13aのガス出口には容器弁13bが取り付けられている。この容器弁13bは通常はガス出口を閉止しており、外部から開封用の作動ガス等を供給することによって開封するものである。この種の容器弁は、たとえば特開2000−254244号公報に詳しい。消火ガスボンベ13aから駐車塔2内にわたって消火ガス供給配管41が配管されている。駐車塔2内のこの消火ガス供給配管41には、全範囲に消火ガスが行きわたるように適宜箇所にガス噴射ノズル42が取り付けられている。上記消火ガスボンベ13aの容器弁13bが開封されることにより、消火ガスがガス噴射ノズル42から駐車塔2内へ噴出させられる。
【0044】
消火ガスボンベ13aから供給される消火ガスの一部は、前述の可動ガラリ11のガスシリンダ24の作動ガスとしても利用される。このために、消火ガス供給配管41が途中から分岐してその分岐管41aがガスシリンダ24に接続されている。この分岐管41aには、ガスシリンダ24から消火ガスボンベ13aへのガスの逆流を防止する逆止弁43が設置されている。
【0045】
上記起動装置14は、上記消火ガスボンベ13aの容器弁13bを開封して消火ガスを供給することによって消火システム12を起動するものである。起動装置14には開封用ガスボンベ(ガスを貯蔵したタンク等でもよい)44が設置されている。また、起動装置14内の制御装置17には起動操作部45および火災報知部46が接続されている。制御装置17には駐車塔2に設置された火災検知器15から検知信号が送信され、この信号によって制御装置17は火災報知部46が作動させる。さらに、制御装置17が自動的に開封用ガスボンベ44を開封して開封用ガスを消火ガスボンベ13aの容器弁13bを開封するために供給する。このために、開封用ガスボンベ44から消火ガスボンベ13aの容器弁13bに開封ガス供給管47が接続されている。なお、自動的に起動する以外に、起動操作部45を介して手動で開封用ガスボンベ44を開封することも可能である。
【0046】
開封用ガスボンベ44から供給される開封用ガスは可動ガラリ11のガスシリンダ24の作動ガスとしても利用される。このために、開封ガス供給管47の途中に三方口切換弁48が設置され、この三方口切換弁48から分岐管47aがガスシリンダ24に接続されている。三方口切換弁48を切り換えることによって開封用ガスを消火ガスボンベ13aおよびガスシリンダ24に選択的に供給することができる。三方口切換弁48は手動でもよく、ソレノイドや電動モータを利用した自動作動の弁でもよい。この分岐管47aには、ガスシリンダ24から開封用ガスボンベ44や消火ガスボンベ13aへのガスの逆流を防止する逆止弁49が設置されている。
【0047】
上記ガスシリンダ24には、その作動ガスを後述する排気設備16の排気ダクト52に排出するための排気管50が接続されている。この排気管50には手動またはソレノイドや電動モータ等による自動の開閉弁51が設置されている。自動の開閉弁を用いる場合には、消火作業が終了したことを検知する検知手段を併用し、タイマーによって消火作業の終了後所定時間経過後に自動的に開閉弁51が開弁する(ガラリ本体20を開く)ようにしてもよい。
【0048】
つぎに排気設備16を説明する。排気設備16は、駐車塔2内を上下に延びて天井から外方へ突出した排気ダクト52と、排気ダクト52の上端近傍に設置された排気ファン53と、排気ダクト52の下端近傍に設置されたバタフライ弁からなるダンパ54を有している。このダンパ54はその弁体54aを揺動させて開閉駆動するガスシリンダ(第二ガスシリンダ)55を有している。ガスシリンダ55は、作動ガスの圧送を受けてダンパ54を閉止し、作動ガスが排出されることによってダンパ54を開く。このガスシリンダ55にも、前述した可動ガラリ11のガスシリンダ24と同様に、ピストンロッドを縮短する方向に付勢する図示しないバネ部材が装備されている。したがって、作動ガスが供給されない通常時にはダンパ54は開状態に保持されている。そして、ガスシリンダ55に作動ガスが圧送されたときにピストンロッドがバネ部材に抗して伸長し、ダンパ54が閉止される。空気より比重の大きい消火ガスを効果的に吸引して排出するために、排気ダクト52の入り口は駐車塔2内のほぼ最下位置となるピット7内に開口している。
【0049】
消火ガスボンベ13aから供給される消火ガスの一部は、上記ダンパ54の駆動用ガスシリンダ55に作動ガスとして供給される。このために、消火ガス供給配管41が途中から分岐してその分岐管41bがダンパ54用ガスシリンダ55に接続されている。この分岐管41bには、ガスシリンダ55から消火ガスボンベ13aへのガスの逆流を防止する逆止弁56が設置されている。分岐管41bの逆止弁57とガスシリンダ55との間の部分からは、ガスシリンダ55からガスを排出するための排気管57が排気ダクト52に接続されている。この排気管57には手動またはソレノイドや電動モータ等による自動の開閉弁58が設置されている。この開閉弁58を自動開閉弁とした場合にも、前述と同様に、消火作業が終了したことを検知する検知手段を併用し、タイマーによって消火作業の終了後所定時間経過後に自動的に開閉弁58が開弁する(ダンパ54が開く)ようにしてもよい。このように、逆止弁56および開閉弁58により、消火ガスの圧送を受けたガスシリンダ55はダンパ54の閉状態を保持することができる。
【0050】
上記排気ファン53が作動すると排気ダクト52内は負圧となるため、上記開閉弁58が開弁すると、ガスシリンダ55から効率よくガスが排出される。この点は、可動ガラリ11のガスシリンダ24も同じであり、その排気管50が排気ダクト52に接続されているため、開閉弁51を開くことによって効率よくガスが排出される。この排気ファン53は消火作業が終了した後に作動するが、この作動も停止も手動および自動によることができる。自動で行うには、たとえば、前述と同様に、消火作業が終了したことを検知する検知手段を併用し、タイマーによって消火作業の終了後所定時間経過後に自動的に運転を開始し、さらに所定時間経過後に停止するようにすればよい。
【0051】
以上説明したように、可動ガラリ11は、火災発生時に自動的に閉止し、消火作業が終了して排気作業に移る際には、外部より遠隔で手動または自動により開状態に復帰させることができる。また、可動ガラリ11は、ヒューズメタルおよびガスシリンダを用いることにより、常時はガラリを開状態に保持し、火災発生時には塔内昇温によるヒューズメタルの溶断、および/または、ガスシリンダへの作動ガスを圧送することによってガラリを閉止することができる。そして、消火作業が終了した後は、塔内の排気作業に伴って外部から遠隔で、手動または自動によりガスシリンダ内のガスを外部へ排出することにより、ガラリを開状態に復帰させることができる。
【0052】
可動ガラリ11の駆動装置としてガスシリンダ24を採用しているが、これに限らず他の流体圧シリンダを使用してもよい。しかし、消火ガスや開封用ガスを作動ガスとして利用できることから、ガスシリンダとするのが好ましい。
【0053】
図12および図13を参照しながら消火システム12の動作の一例を説明する。図12はこのシステム12が設置された駐車塔2内に火災が発生した場合を想定したものであり、図13は駐車塔2の近隣に発生した火災による、いわゆる「もらい火」を想定したものである。
【0054】
図12において、駐車塔2内に火災が発生すれば、(1)手動で消火システム12を起動するか、または、(2)火災検知器15の作動によって(3)自動的に消火システム12が起動する。その結果、消火ガス供給設備13から消火ガスが塔内に噴射される。(4)可動ガラリ11のガスシリンダ24へ消火ガスが作動ガスとして供給され、ピストンロッド24aが伸長することによってガラリ本体20が閉止されるとともに、係合部材26がピストンロッド24aと揺動アーム28とを係合連結して、ガラリ本体20の開作動の準備に入る。このとき、塔内の昇温によってヒューズメタル29が溶断していると予想される。
【0055】
一方、塔内火災の発生時に、消火システム12を起動する前または後に、可動ガラリ11のヒューズメタル29が溶断すると、(5)可動ガラリ11のガスシリンダ24が作動していないときでもガラリ本体20が閉止する。そして、(6)その後に、手動または自動で消火システム12を起動することになり、塔内に消火ガスが噴射される。(7)また、上記(4)と同様にピストンロッド24aが伸長してガラリ本体20がその開作動の準備に入る。(8)また、排気設備16のダンパ54のガスシリンダ55へ消火ガスが作動ガスとして供給されてダンパ54が閉止する。消火剤の噴射により、時間経過とともに塔内が鎮火する。
【0056】
(9)可動ガラリ11のガスシリンダ24から、ガス抜き用の開閉弁51を開いてガスを排出するとともに、(10)排気ダンパ54のガスシリンダ55からも、ガス抜き用の開閉弁58を開いてガスを排出し、さらに、(11)排気ファン53を起動する。こうすることにより、排気ダクト52内の空気が排出されて負圧となる。また、(12)上記可動ガラリ11のガスシリンダ24のガス抜き操作により、ガラリ本体20が開作動し、(13)排気ダンパ54のガスシリンダ55のガス抜き操作により、排気ダンパ54が回動さする。以上により、塔内のガスが屋外へ排出され、塔内換気がなされる。
【0057】
(14)上記排気ファン53の排気作動が開始して所定時間経過すると、(15)排気ファン53が停止して駐車塔2は平常状態に戻る。そうすると、作業員が塔内に入ってヒューズメタルの交換作業を行い、可動ガラリ11の連結部材25や係合部材26をもとの状態に復帰する。
【0058】
つぎに、図13において、駐車塔2の近隣の火災により、火炎や煙がガラリを通して塔内へ進入し、また、火炎の輻射熱によって塔2の外壁パネルが昇温する。その結果、可動ガラリ11のヒューズメタル29が溶断する。そうすると、(1)可動ガラリ11のガスシリンダ24が作動しないままガラリ本体20が閉止する。そして、(2)駐車塔2の火災検知器15が作動すれば塔内に火災が発生したと判断し、前述の塔内火災における図12のステップ(4)の動作が開始され、各ステップを経て図12のステップ(15)に至る。
【0059】
もし火災検知器15が作動しないまま近隣の火災が鎮火した場合であっても、火災発生から上記ヒューズメタル29の溶断(ガラリの閉止)までの間に、開状態であったガラリから煤煙等が駐車塔2内へ侵入している可能性がある。この場合、近隣火災の鎮火後であっても直ぐには駐車塔2内に立ち入ってヒューズメタルを交換する等の復旧作業を行うことができない。したがって、以下の手順で塔内の強制換気を行う。
【0060】
火災検知器15が作動しなければ、消火ガスは供給されていないので、可動ガラリ11を開くために直ちに消火ガスを利用することができない。そこで、(3)起動装置14における開封ガス供給管47の三方口切換弁48を可動ガラリ11のガスシリンダ24側に切り換えるとともに、(4)開封用ガスボンベ44を手動で起動する。そうすると、(5)開封用ガスが作動ガスとして可動ガラリ11のガスシリンダ24へ送られ、係合部材26がピストンロッド24aと揺動アーム28とを係合連結して、ガラリ本体20の開作動の準備に入る。つぎに、(6)可動ガラリ11のガスシリンダ24から、ガス抜き用の開閉弁51を開いてガスを排出する。それとともに、(7)排気ファン53を起動する。また、(8)上記可動ガラリ11のガスシリンダ24のガス抜き操作により、ガラリ本体20が自動的に開く。その結果、塔内のガスが屋外へ排出され、塔内換気がなされる。
【0061】
(9)上記排気ファン53の排気作動が開始して所定時間経過すると、(10)排気ファン53が停止して駐車塔2は平常状態に戻る。そうすると、作業員が塔内に入ってヒューズメタルの交換作業を行い、可動ガラリ11の連結部材25や係合部材26をもとの状態に復帰する。
【0062】
以上説明した実施形態におけるガスシリンダ24、55はピストンロッドを一方向に付勢するバネ部材を内蔵しているが、かかる構成に限定されない。たとえば、シリンダ内におけるピストンの両側それぞれに作動ガスを供給してピストンロッドを伸縮するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の可動ガラリまたは消火システムは、駐車装置に限らず、消火対象区画を有する他の建造物にも設置することができる。また、既設の建造物に設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の可動ガラリおよび消火システムの一実施形態が設置された建造物の一例としての立体駐車装置を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の駐車装置の外壁部に配設された可動ガラリの一実施形態を示す正面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】開状態にある図2の可動ガラリを示す、図3のIV−IV線断面図である。
【図5】閉状態にある図2の可動ガラリを示す、図3のIV−IV線断面図に相当する図である。
【図6】閉状態にある図2の可動ガラリを示す、図3のIV−IV線断面図に相当する図である。
【図7】図2の可動ガラリにおける連結部材および係合部材を示す、図4のVII−VII線矢視図である。
【図8】図8(a)は図2の可動ガラリにおける羽根板5の側面図であり、図8(b)は図2の可動ガラリにおける支持アームの側面図であり、図8(c)は当該支持アームの平面図である。
【図9】閉状態にある図2の可動ガラリを示す、図3のIV−IV線断面図に相当する図である。
【図10】図4の係合部材における案内板を示す正面図である。
【図11】図7における伸縮係合ピン部材を示す断面図である。
【図12】本発明の消火システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の消火システムの動作の他の例を示すフローチャートである。
【図14】従来のガラリの一例を示す断面図である。
【図15】従来のガラリの他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・・駐車装置
2・・・・駐車塔
3・・・・駐車棚
4・・・・入出庫階
6・・・・入出庫口
7・・・・ピット
8・・・・ターンテーブル
9・・・・運転操作盤
10・・・・外壁
11・・・・可動ガラリ
12・・・・消火システム
13・・・・消火ガス供給設備
14・・・・起動装置
15・・・・火災検知器
16・・・・排気設備
17・・・・制御装置
18・・・・枠部材
19・・・・羽根板
20・・・・ガラリ本体
21・・・・駆動装置
22・・・・支持アーム
23・・・・連結杆
24・・・・ガスシリンダ
25・・・・連結部材
26・・・・係合部材
27・・・・バネ部材
28・・・・揺動アーム
29・・・・ヒューズメタル
30・・・・上下動板
31・・・・連結板
32・・・・伸縮係合ピン部材
33・・・・係合孔
34・・・・傾斜案内部材
35・・・・案内板
36・・・・ピンケース
37・・・・ナット
38・・・・係合ピン
39・・・・圧縮バネ
40・・・・ボルトナット
41・・・・消火ガス供給配管
42・・・・ガス噴射ノズル
43・・・・逆止弁
44・・・・開封用ガスボンベ
45・・・・火災報知部
46・・・・起動操作部
47・・・・開封ガス供給管
48・・・・三方口切換弁
49・・・・逆止弁
50・・・・排気管
51・・・・開閉弁
52・・・・排気ダクト
53・・・・排気ファン
54・・・・ダンパ
55・・・・ガスシリンダ
56・・・・逆止弁
57・・・・排気管
58・・・・開閉弁
M・・・・車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔をおいて回動可能に枢支された複数枚の羽根板、各羽根板に固定された支持アーム、および、該支持アームが枢支され、羽根板の開位置と閉位置との間を移動しうる連結杆を有するガラリ本体と、
ピストンロッドの伸縮によって羽根板をその開位置と閉位置とに回動させる第一流体圧シリンダを有する駆動装置と、
を備えている可動ガラリ。
【請求項2】
上記羽根板が閉止する方向に付勢されるように構成されており、該付勢力に抗して羽根板をその開位置に保持するためのヒューズ部材が配設されてなる請求項1記載の可動ガラリ。
【請求項3】
上記駆動装置が、上記ヒューズ部材を介してピストンロッドとガラリ本体とを連結する連結部材を有してなる請求項2記載の可動ガラリ。
【請求項4】
ガラリ本体とピストンロッドとの間に、閉止状態にあるときのガラリ本体に上記ピストンロッドが伸長または縮短して連結するように構成された係合部材が配設されてなる請求項3記載の可動ガラリ。
【請求項5】
上記連結部材が、ガラリ本体を開位置および閉位置に変位させる揺動アームと、ピストンロッドに接続された上下動部材とを有しており、上記揺動アームと上下動部材とがヒューズ部材によって連結されており、
ピストンロッドの伸縮により、その駆動力が上下動部材、ヒューズ部材および揺動アームを通してガラリ本体に伝達するように構成されてなる請求項3記載の可動ガラリ。
【請求項6】
上記係合部材が、ガラリ本体を開位置および閉位置に変位させる揺動アームと、ピストンロッドに接続された上下動部材と、該上下動部材に配設された係合ピン部材と、該係合ピン部材が係合しうるように上記揺動アームに形成された係合孔と、ガラリ本体の閉止状態において、ピストンロッドの伸長または縮短によって係合ピン部材が係合孔へ至るように案内する案内部材とを備えてなる請求項4記載の可動ガラリ。
【請求項7】
上記羽根板が閉止する方向に上記揺動アームを付勢する手段としてバネ部材が揺動アームに連結されてなる請求項5または6記載の可動ガラリ。
【請求項8】
上記揺動アームが少なくとも一の羽根板の回動中心軸に固定されており、揺動アームの揺動により、当該羽根板から支持アームおよび連結杆を通して他の羽根板を開位置および閉位置に変位させる力が伝達されるように構成されてなる請求項5または6記載の可動ガラリ。
【請求項9】
消火対象区画を構成する建造物の消火システムであって、
該建造物に配設された内外を連通する可動ガラリと、
消火対象区画に消火ガスを供給する消火ガス供給装置とを備えており、
上記可動ガラリが、請求項1〜8のうちのいずれか一項に記載の可動ガラリであり、
該可動ガラリの第一流体圧シリンダがガスシリンダから構成されてなる消火システム。
【請求項10】
上記消火ガス供給装置から、消火ガスの一部が可動ガラリの上記第一ガスシリンダへ作動ガスとして供給されるように構成されてなる請求項9記載の消火システム。
【請求項11】
上記建造物に、建造物の内部の空気を外部へ排出するためのファンを備えた排気ダクトが配設されており、上記第一ガスシリンダ内部の作動ガスを排出するためのガス排出管が、当該第一ガスシリンダから上記排気ダクトへ接続されてなる請求項9記載の消火システム。
【請求項12】
上記消火ガス供給装置を起動するために起動ガスを供給する起動装置が配設されており、該起動装置からの起動ガスの一部を、上記可動ガラリの第一ガスシリンダへ作動ガスとして供給するように構成されてなる請求項9記載の消火システム。
【請求項13】
上記排気ダクトを開閉するダンパと、該ダンパを駆動するための第二ガスシリンダとが配設されており、上記消火ガス供給装置から消火ガスが上記第二ガスシリンダへ作動ガスとして供給されるように構成されてなる請求項11記載の消火システム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−20751(P2007−20751A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205074(P2005−205074)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(593139271)新明和エンジニアリング株式会社 (109)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】