説明

可塑化ポリオレフィン組成物

本発明は、ポリオレフィンポリマーの総重量に基づいて、60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマーと1乃至40重量%の規則分岐PAO(rbPAO)を含み、このrbPAOが、3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、0.40以下の分岐不規則指数(BII)、6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)を有する、ポリオレフィン組成物に関する。好ましくは、このrbPAOは2.3未満のM/M、従来のPAOを含むポリオレフィン組成物と比較して低いTGA揮発性、又は従来のPAOを含むポリオレフィン組成物と比較して低いガラス転移温度(T)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリオレフィンとポリアルファオレフィンオリゴマー可塑剤とを含む可塑化されたポリオレフィンに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは数多くの日用品において有用である。しかしながら、多くのポリオレフィン、特にポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーにおける欠点の1つは、それらのガラス転移温度(T)が比較的高いことである。この性質により、特に低温において製品が脆弱になる。多くのポリオレフィンにおける他の欠点は、好適な物理的性質を実現するために非常に高い分子量を用いなければならないことである。この性質は高い溶融粘度が生じるため、製造が困難になる。
【0003】
広い温度範囲において、次第に厳しくなる工業製品に対する要求に見合う製品を容易に製造するという要求が存在することを考慮すると、ポリオレフィンの加工性を改善しつつ、その物理的性質をも改善することができる方法に対する需要が存在する。特に、他の有利な特徴を損なわずに、低温での改善された堅牢性を有するポリマーが好ましい。特に高温に曝されたときにその性質を維持しつつも、寿命の長いポリオレフィンを与えるような修飾がなされることが好まれる。これらのゴールを達成するための方法の1つは、低分子量でより低粘度の物質で可塑化することのより、そのガラス転移性質、特にそのTを変更することである。
【0004】
ポリオレフィンに可塑剤を添加して、衝撃強度及び加工性等の性質を改善することが知られている。例えば、米国特許No.4,960,820及び4,132,698、及び3,201,364、国際公開公報No.WO02/31044及びWO01/18109、並びに欧州特許公報No.EP0300689は、芳香基を含むミネラルオイル等の可塑剤及び高流動点化合物(20℃より高い)を、ポリオレフィン及びエラストマーのブレンドに用いることを開示している。しかしながら、これらの化合物はポリオレフィン内に長い間保持されるものではなく、最終的にブルーミング、可塑効果の損失を生じ、衝撃強度が改善されていないことがしばしばであった。
【0005】
任意の可塑剤のための2つの臨界的な性能パラメーターは、ポリマーのTを低下させる能力と、ポリマー内に存在し続けることである。低いTはポリマーの堅牢性、特にその低温での衝撃強さ及び延性から脆性への変性を改善する。ここで、高い性能を有するものは可塑化効果が製品のライフタイムを通じて確実に維持される。不都合なことに、数平均分子量(M)を減らすと、可塑化効果は改善する(即ち、TはMの逆数なので、Tが減少する)が、耐久性を減らす。従って、可塑剤の分子量はこれらのパラメーターに悪い影響をもたらす傾向がある。従って、分子量を低くせずに可塑剤のTを低くすることが必要とされている。この問題に対処する他の方法は所与の動粘度又は引火点をにおける可塑剤の流動点を最小化することである。
【0006】
ポリオレフィン可塑剤として魅力的な性質を示すミネラルの1つのクラスは、ポリアルファオレフィン(PAO)、即ち、5以上の炭素原子を有するオレフィンのオリゴマー(幾つかのクラスでは、特定の2乃至4炭素原子のオレフィンとの組合せである)である。これらの物質は低い流動点(及び従ってTg)及び高い耐久性を提供する。
【0007】
例えば、米国特許出願No.2004/054040及びWO2004/014997は99.9乃至60重量%のポリオレフィンと0.1乃至40重量%の非官能化可塑剤を含む可塑化されたポリオレフィン組成物を開示する。ここにおいて、この非官能化可塑剤は−5℃未満の流動点を有するC6乃至C200パラフィンを含み、好ましくは100乃至20,000g/molの範囲の重量平均分子量0.1乃至3000cStの範囲の100℃における動粘度を有するPAOを含む。
【0008】
更に、米国特許出願2004/106723及びWO2004/014998は1つ以上のポリオレフィン及び1つ以上の非官能化可塑剤を含む可塑化されたポリオレフィン組成物を開示する。この非官能化可塑剤はKV100℃が10cSt以上であり、粘度指数(VI)が100以上であり、好ましくはC乃至C14オレフィンのオリゴマーを含む。
【0009】
米国特許No.4,536,537は0.912乃至0.935g/cmの密度を有するLLDEP又はポリブテン、並びに約2乃至6cStの38℃における動粘度を有するPAOを含むポリプロピレン組成物を開示する。2cSt以上の動粘度は、効果がないと報告されている(カラム3、12行目)。
【0010】
WO98/044041は塩素を含まないポリオレフィン及び約4乃至8cStのKV100℃を含むブレンド組成物を開示する。この組成物はシート状構造であり、特にフロアカバーに用いられる。
【0011】
WO2002/018487及びWO2003/048252は10乃至30重量%の加硫又は未加硫ポリオレフィンエラストマー、特にEPDM又はスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーと、約4乃至8cStのKV100℃を有するPAOとを含むポリプロピレンを開示する。
【0012】
米国特許No.4,645,791、JP07−292167、EP0315363、及びWO2002/031044のいずれもがEPDM組成物中のPAOを開示する。
【0013】
JP56−095938はポリオレフィン顆粒と混合されるオレフィンオリゴマー可塑剤を含むポリプロピレン組成物を開示する。
【0014】
米国特許No.6,639,020及び米国特許No.6,916,882はエチレンと、ポリオレフィン可塑剤として1つ以上のアルファオレフィンとの低分子量コポリマーを開示する。
【0015】
しかしながら、従来技術中にポリオレフィン可塑剤として開示されているようなPAOはオレフィンの異性化を含む合成アプローチにより通常生成されるものであり、その結果、不規則分岐構造を有するオリゴマーとなっている。本発明では、規則的な分岐構造を有する、即ちそれぞれの炭素原子上(またはその付近)に1つの分岐を有する、PAOが従来の分岐PAOオリゴマーよりも、同じ動粘度においてもより低い流動点を示し、より狭い分子量分布を示すことが発見された。規則的に分岐された物質は改善された可塑化効果の組合せを示し、ポリオレフィンに対して可塑剤として使用したときに効果を発揮する。
【発明の概要】
【0016】
1つの態様において、本発明はポリオレフィンポリマーの総重量に基づいて、60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマーと1乃至40重量%の規則分岐PAO(rbPAO)を含むポリオレフィン組成物、及びrbPAOに関する。このrbPAOは3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、0.40以下の分岐不規則指数(BII)、6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)、及び2.3未満のM/Mを有する1つ以上のC乃至C20のオリゴマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1はC以上の直鎖状アルファオレフィン(LAO)から生成された、規則的分岐及び8、10、又は12のCLAOを有するPAOについての、分岐指数とMとの理論的な関係をプロットしたものである。
【0018】
図2は従来のPAO対規則分岐を有するメタロセン触媒PAOとの間の機能的区分を示している、M/M対KV100℃のプロットである。実線は式(1);破線は目視ガイドのためだけのものである。
【0019】
図3は不規則分岐を有する従来PAOよりも機能的結合が少ないことを示している流動点対KV100℃のプロットである。実線は式(2)を示す。
【発明の詳細な説明】
【0020】
本発明は、未修飾ポリオレフィンに対して改善された性質を有するブレンドを生成するために1つ以上のポリオレフィンに、ポリ(アルファオレフィン)又はPAOを添加することを含む。発明者等は規則的な分岐構造を有するPAOが不規則的な分岐構造を有するPAOよりも効果的なポリオレフィン可塑剤であることを発見した。
【0021】
以下に詳細な説明を提供する。添付の請求項のそれぞれは別の発明を定義し、抵触の判断においては、請求項で定義されている各種構成及び限定に均等なものも包含する。文脈上、「発明」の以下の文献は、特定の態様のみを意図する場合がある。他の場合、「発明」というときは、請求項の1つ以上であるが全てではない、特定の主題を意図することがある。各発明は特定の態様、バージョン、実施例を含む以下の段落で詳細に説明されるが、本発明はこれらの態様、バージョン、又は実施例に限定されるものではない。本発明は、本発明における情報が利用可能な情報及び技術と組み合わせられたときに、本発明を成す又は用いるために当業者が利用可能である、態様、バージョン、又は実施例を含む。
定義
【0022】
本発明及び特許請求の範囲の目的のために、以下に用語を定義する。
【0023】
ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むと説明されている場合、ポリマー又はオリゴマーの中に存在するこのオレフィンは、その重合化された及びオリゴマー化された形態で存在する。ポリマーの語はホモポリマー及びコポリマーを含む。コポリマーの語は同じ鎖の中に2つ以上の異なるモノマーを含む任意のポリマーを含み、ランダムポリマー、統計ポリマー、インターポリマー、及び(厳密な意味の)ブロックコポリマーを含む。
【0024】
ポリマーブレンドが特定のパーセンテージのコモノマーを含むと説明されている場合、このモノマーのパーセンテージはブレンドの全ポリマー成分におけるモノマー単位の総量に基づいている。例えば、もしブレンドが20重量%のモノマーXを含む50重量%のポリマーと10重量%のモノマーXを含むポリマーを50重量%含む場合、このブレンドは15重量%のモノマーXを含む。このブレンド組成物は混和性で、単一の均一な相であり、又は不混和性であれば各相が異なる比のポリマーを含むように、2つ以上の形態学的相を形成する。
【0025】
「ポリマー」は20kg/モル以上の数平均分子量(M)を有し、オリゴマーは20kg/モル未満のMを有する。好ましくは、ポリマーは40kg/モル以上、又は60kg/モル以上、又は80kg/モル以上、又は100kg/モル以上のMを有する。好ましくは、オリゴマーは15kg/モル未満、10kg/モル未満、又は5kg/モル未満、又は4kg/モル未満、又は3kg/モル未満、又は2kg/モル未満、又は1kg/モル未満のMを有する。
【0026】
「ポリオレフィン」の語は1つ以上のオレフィンモノマーを少なくとも50モル%含むポリマーである。好ましくは、ポリオレフィンは少なくとも60モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%、又は少なくとも100モル%の1つ以上のオレフィンモノマーを含む。好ましくはこのオレフィンモノマーはC乃至C20オレフィン、又はC乃至C16オレフィン、又はC10オレフィンから選択される。より好ましくは、このオレフィンモノマーはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択される。ポリオレフィンは1つ以上のジエンモノマーを50モル%まで含んでいてもよい。
【0027】
13CMNRによる解析に基づいて、「アイソタクチック」ポリオレフィンは少なくとも、10%のアイソタクチックペンダントを有し、「高度にアイソタクチックな」ポリオレフィンは少なくとも50%のアイソタクチックペンダントを有し、「シンジオタクチック」ポリオレフィンは少なくとも、10%のシンジオタクチックペンダントを有する。好ましくは、アイソタクチックポリマーは少なくとも20%(好ましくは少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%)のアイソタクチックペンダントを有する。ポリオレフィンが「アタクチック」であるには、アイソタクチックペンダントが5%未満とシンジオタクチックペンダントが5%未満であればよい。
【0028】
「液体」は20℃未満の流動点と25℃において30,000cSt以下の動粘度とを有し、室温で流れる物質であると定義される。
【0029】
「パラフィン」の語はノルマルパラフィン、分岐パラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン、及びこれらのブレンドを含む、飽和炭化水素を意味する。より具体的には、:「イソパラフィン」は、各鎖の少なくとも一部分に沿った少なくとも1つのC乃至C18(通常はC乃至C10)アルキル分岐を有する、分岐した鎖タイプの飽和炭化水素(即ち、即ち、少なくとも1つの三級又は四級炭素原子を有する分岐アルカン)である;「ノルマルパラフィン」は分岐していない鎖タイプの飽和炭化水素(即ち、ノルマルアルカン)である;及び「シクロパラフィン」(「ナフテン」とも言われる)は環状(単環及び/又は多環)飽和炭化水素及び分岐環状飽和炭化水素である。不飽和炭化水素は「アルケン」(オレフィン、ジオレフィン等)及び「芳香族」(分岐環状不飽和炭化水素を含む、不飽和単環及び/又は多環部分)を含む。
【0030】
xが整数である「Cx」の標記は、x個の炭素が化合物中にあることを意味している。例えば、「Cパラフィン」の語は5の炭素原子を有するパラフィンを意味する。
【0031】
「規則分岐PAO」の語は、0.40以下のBIIを有する全てのPAOを意味する。「不規則分岐PAO」の語は0.40より大きいBIIを有するすべてのPAOを意味する。
【0032】
「ミネラルオイル」の語は、原油由来であり、1つ以上の精製及び/又は炭化水素処理工程(分画、水素分解、脱ロウ、異性化、及び/又は水素化仕上げ)を経て、最終的な所定の性質を得るように精製及び/又は化学修飾した、潤滑粘度(即ち、100℃における動粘度が1cSt以上)の任意の炭化水素液体を意味する。そのような、「精製」オイルは触媒及び/又は熱を用いてモノマー単位を結合することにより生成される「合成オイル」とは異なる。
【0033】
「実質的に存在しない」の語は、意図する化合物が組成物に意図的に添加されておらず、もし存在するならば、組成物の総重量に基づいて1重量%未満であることを意味する。好ましくは、組成物の総重量に基づいて、意図する化合物は0.5重量%未満、又は0.1重量%未満、又は0.05重量%未満、又は0.01重量%未満、又は0.001重量%未満存在する。
【0034】
本発明及び特許請求の範囲の目的のために、別に定義しない限り、本明細書で説明する物理的及び化学的性質は試験方法のセクションで説明する試験方法を用いて測定する。
PAO成分
【0035】
本発明のポリオレフィン組成物は少なくとも1つの規則分岐PAO成分を含む。
【0036】
通常、PAOは充分なパラフィン構造と高度な側鎖分岐を有する高度に精製された炭化水素である。これらは、Gulf Researchの米国特許No.4,365,105及びPhilips Petoroleumによる米国特許No.4,436,948に記載のように、通常、フリーデル−クラフツ(ルイス酸)触媒(例えば、AlCl、BF、又はエチルアルミニウムセスキクロライド+TiCl等の配位複合体)の存在下でアルファオレフィン(即ち、1―オレフィン)のオリゴマー化により生成される。この合成アプローチは不規則分岐構造を有する生成物を生成する。そのような従来のPAOは、例えば、米国特許No.3,149,178;4,827,064;4,827,073;5,171,908、及び5,783,531並びに、Synthetic Lubricants and High−Preformance Functional Fluids (Leslie R.Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc, 1999)、3乃至52頁に記載されている。
【0037】
不規則分岐PAOはエクソンモービル・ケミカル・カンパニー(USA)、シェブロンフィリップス(USA)、ケムトラ(USA)、イネオス(USA)、及びネスタオイル(フィンランド)より入手可能である。代表的な例を以下の表に記載する。従来の低粘度PAOは10cSt以下のKV100℃を有し、通常、150未満のVI及び1.2未満のM/Mnを有する。従来の高粘度PAOは10cStより高いKV100℃を有し、通常、1.2より高いM/Mを有し、高いKV100℃を有する。両タイプのPAOは通常、0.4より高い分岐不規則指数を有している。


【0038】
本発明に有用なPAOは規則的な分岐構造を有している。そのようなPAOは、例えば、エクソンモービルのWO2007/11459、WO2007/11462、及びWO2007/11973、UniroyalのUS6,858,767、Pennzoil−QuakerのEP1442104、及びCromptonのUS7,129,306に記載されており、これらの合成において、一部位触媒が用いられている。本発明において、メタロセン触媒又は制約的な配置の触媒等の一部位配位触媒を用いて生成された規則分岐PAOが好ましい。メタロセン触媒システムを用いて調製されたPAOが特に好ましい。好適な一部位配位触媒システムはエクソンモービルケミカルからのExxpol(商標)触媒技術、ダウケミカルのInsite(商標)触媒技術、及びデュポンのVersipol(商標)技術を含む。しかしながら、有用な規則分岐PAOはチグラ−ナッタ触媒(Europian Polymer Journal, Vol.41, 2909頁、2005に開示)、クロム触媒(モービルの米国特許No.4,827,064)、又は低い原子価の酸化金属触媒の使用を含む任意の手段で生成することができる。
【0039】
クロム触媒を用いて生成された規則分岐PAOはエクソンモービルケミカルから入手可能である。代表的な製品を以下の表に示す。これらのPAOは、通常2より高いM/Mと0.4未満の分岐不規則指数とを有する。

【0040】
1つ以上の態様において、PAOは、C乃至C24、又はC乃至C20、又はC乃至C18、又はC乃至C14、又はC乃至C12炭素数を有する1つ以上のアルファオレフィン(1−オレフィンとして知られているものも含む)のC15乃至C1500、又はC0乃至C1000、又はC30乃至C800、又はC35乃至C400、又はC40乃至C250オリゴマー(ダイマー、トライマー等)を含む。好ましくは、少なくとも1つのアルファオレフィンは直鎖アルファオレフィンである、より好ましくは全てのアルファオレフィンはLAOである。好適なLAOはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、及びこれらのブレンドを含む。好ましくは、C、C、及びCアルファオレフィン(即ち、エチレン、プロピレン、及び1−ブテン及び/又はイソブチレン)は30重量%以下、又は20重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下の平均濃度でPAOオリゴマー中に存在し、より好ましくはC、C、及びCアルファオレフィンはこのPAOオリゴマー中に存在しない。
【0041】
1つ以上の態様において、このPAOは2つ以上のC乃至C24、又はC乃至C20LAOを含み、ビポリマー、又はターポリマー、又はより高度なコポリマーコンビネーションを形成する。他の態様は偶数のC乃至C10LAOから選択されるLAOの混合物、好ましくは1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセンから選択される2つ又は3つのLAOの混合物のオリゴマー化を含む。
【0042】
1つ以上の態様において、PAOは5乃至20、又は6乃至18、又は8乃至12、又は10の炭素数を有する単一のアルファオレフィン種のオリゴマーを含む。他の態様において、PAOは混合された(即ち、2つ又は3つの)アルファオレフィン種のオリゴマーを含む。この態様において、各アルファオレフィン種は5乃至20、又は6乃至14、又は8乃至12の炭素数を有する。他の態様において、PAOはモル平均炭素数(CLAO)が6乃至14、又は7乃至13、又は8乃至12、又は9乃至11である、混合アルファオレフィン種のオリゴマーを含む。
【0043】
1以上の態様において、PAOは[CHR−CH]の繰り返し単位式を有する。式中、RはC乃至C18飽和炭化水素部分である。特定の態様において、Rは全オリゴマーについて一定である。他の態様において、C乃至C18飽和炭化水素部分から選択されるR置換の範囲がある。好ましくは、Rは直線、即ち、Rは−(CH)nCHである。式中、nは1乃至17、又は2乃至15、又は3乃至13、又は5乃至11である。任意で、Rは1つのメチル又はエチル分岐を含む。即ち、Rは−(CH)m[CH(CH)](CH)zCH又はRは−(CH)x[CH(CHCH)](CH)y(CH)である。式中、(m+z)は1乃至15、又は1乃至9、又は3乃至7であり、及び(x+y)は1乃至14、又は1乃至8、又は2乃至6である。好ましくは、m>zであり、mは0乃至15、又は2乃至15、又は3乃至12、又は4乃至9であり、nは0乃至10、又は1乃至8、又は1乃至6、又は1乃至4である。好ましくは、x>y、xは0乃至14、又は1乃至14、又は2乃至11、又は3乃至8であり、yは0乃至10、又は1乃至8、又は1乃至6、又は1乃至4である。
【0044】
1つ以上の態様において、このPAOは0.40以下、又は0.35以下、又は0.30以下の分岐不規則指数を有する。ここで

[C]はメチル分岐の濃度であり、[C]はエチル分岐の濃度であり、[C3+]はPAOにおけるプロピル及びロング分岐の濃度であり、[――]はサンプル中の全てのPAO分子中のモル濃度を示している。パラフィン中のメチル、エチル、及びプロピル又はより長い分岐の相対的な割合は13CNMRを用いて決定する。
【0045】
又はより長いLAOから生成された規則分岐構造を有するPAOについて、BIIと分子量の間の理論的関係は以下の式で表される。
BII予測14LAO/M
式中、Mnはg/molにおける数平均分子量、CLAOはPAOに取り込まれたLAOのモル平均分子量である。この予測は分子当たりの1つのメチル分岐が末端基に依存しており、プロピル又はより長い分岐が重合の平均度により与えられる。8、10、及び/又は12のCLAOの値について図1にこの関係が表されている。規則分岐構造となる化学反応により生成されたPAOについて、BIIは分子量が高くなると減少し、それゆえKV100℃が高くなる。不規則分岐構造となる化学反応を用いて生成されたPAOについて、BIIはこのような傾向を示さず、KV100℃は独立してこれ上又以下になる。
【0046】
PAOはアタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチックである。1つ以上の態様において、PAOは平均して、メソダイアド及びラセミダイアドの割合が同じであり、これがアタクチックとなる。1つ以上の態様において、13CNMRで測定して、PAOは50%より多く、又は60%より多く、又は70%より多く、又は80%より多く、好ましくは90%より多い、メソトリアド(即ち、[mm])を有する。1つ以上の態様において、13CNMRで測定して、PAOは50%より多い、又は60%より多い、又は70%より多い、又は80%より多い及び/又は、好ましくは90%より多いラセミトリアド(即ち、[rr])を有する。1つ以上の態様において、13CNMRで測定されるラセミに対するメソの割合([m]/[r])は0.9乃至1.1の間である。1つ以上の態様において、[m]/[r]は1.0より大きい。他の態様では、[m]/[r]は1.0より小さい。好ましくは、繰返し単位は最小頭―頭結合を有する頭−尾の方向に配列される。
【0047】
PAO成分は異なる組成及び/又は異なる物理的性質(例えば、動粘度、流動点、及び/又は粘度指数)を有する1つ以上の別個のPAOのブレンドでもよい。
【0048】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは300乃至15,00g/mol、又は400乃至12,000g/mol、又は500乃至10,000g/mol、又は600乃至8,000g/mol、又は800乃至6,000g/mol、又は1,000乃至5,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。
【0049】
1つ以上の態様において、PAO及びPAOのブレンドは、2.5未満、好ましくは2.3未満、又は2.1未満、又は2.0未満、又は1.9未満、又は1.8未満の重量平均分子量及び数平均分子量(M/M)により特徴付けられる分子量分布を有する。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは1乃至2.5、好ましくは1.1乃至2.3、又は1.1乃至2.1、又は1.1乃至1.9のM/Mを有する。他の態様において、PAO及びPAOのブレンドは、M/M<0.525+0.625[log(KV100℃)] 式(1)を有する。式中、KV100℃はcSTで測定される。図2に示すように、少なくとも10cStのKV100℃を有する従来のPAOは通常、式(1)に当てはまらない。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは0.5+0.6[log(KV100℃)]未満のM/Mを有する。
【0050】
1つ以上の態様において、PAO及びPAOのブレンドは3cSt以上、又は4cSt以上、又は5cSt以上、又は6cSt以上、又は8cSt以上、又は10cSt以上、又は20cSt以上、又は30cSt以上、又は40cSt以上、又は50cSt以上、又は100cSt以上、又は150cSt以上、又は300cSt以上のKV100℃を有する。他の態様において、PAO及びPAOのブレンドは3乃至3,000cSt、又は4乃至1,000cSt、好ましくは6乃至300cSt、又は6乃至150cSt、又は8乃至150cSt、又は8乃至100cSt、又は8乃至40cStのKV100℃を有する。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは10乃至1000cSt、又は10乃至300cSt、又は10乃至150cSt、又は10乃至100cStのKV100℃を有する。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは4乃至8cStのKV100℃を有する。他の態様においてPAO又はPAOのブレンドは25乃至300、又は40乃至300cSt、又は40乃至150のKV100℃を有する。他の態様においてPAO又はPAOのブレンドは50乃至500のcStを有する。
【0051】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは120以上、又は130以上、又は135以上、又は140以上、又は145以上、又は145以上、又は150以上、又は155以上、又は160以上、又は170以上、又は180以上、又は190以上、又は200以上、又は250以上、又は300以上、好ましくは120乃至350、又は130乃至250の粘度指数(VI)を有する。少なくとも10cSt以下のKV1000℃を有する従来のPAOは150未満のVIを有する。PAOの高いVIは2つの理由から有利である。室温における所与の粘度について、より高いVIはPAOが、ポリマー加工が行われる高い室温(例えば、200℃)で、高い粘度を有することを意味しており、従って、PAOのポリマーへのブレンドが促進される(低粘度流体と高粘度ポリマーのような非常にミスマッチな粘度を有する物質との均一な混合は通常、困難であることが知られている)。一方、高い室温(例えば、200℃)における所与の粘度に対して、より高いVIは室温でPAOが低粘度であることを意味し、従ってPAOを容易に投入することができる。特定の態様において、PAO又はPAOのブレンドは10cSt以下のKV100℃と150以上のVIを有する。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは150cSt以上のKV100℃、好ましくは10乃至150cStと105(KV100℃)0.13より大きいVIを有する。ここにおいて、KV100℃はcStで測定される。
【0052】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは−20℃以下、又は−25℃以下、又は−30℃以下、又は−35℃以下、又は−40℃以下、又は−50℃以下、好ましくは−20乃至−80℃、又は−30乃至−70℃の流動点を有する。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは150cSt未満のKV100℃と、
流動点(℃)<−75+22log(KV100℃)−[125/(KV100℃)1.6]式(2)
(式中、KV100℃はcStで測定される)を有する。好ましくはPAO又はPAOのブレンドは0.40未満、又は0.35未満、又は0.30未満のBIIを有する。図3に示すように、不規則分岐を有する従来のPAOは、式(2)の式を満足しない。他の態様において、PAO又はPAOのブレンドは150cSt以上のKV100℃と−25℃以下の流動点を有する。
【0053】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは−40℃以下、又は−50℃以下、又は−60℃以下、又は−70℃以下、又は−80℃以下、好ましくは−50℃乃至−120℃、又は−60乃至−100℃、又は−70乃至−90℃のTgを有する。他の態様において、PAOは150cSt未満のKV100℃と、
Tg(℃)<−72−(120/KV100℃)式(3)
とを有する。式中、KV100℃はcStで測定される。好ましくはPAOは0.40未満、又は0.35未満、又は0.30未満のBIIを有する。不規則分岐を有する従来のPAOは通常式(3)を満足しない。
【0054】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは200℃以上、又は210℃以上、又は220℃以上、又は230℃以上、好ましくは240℃乃至290℃の引火点を有する。
【0055】
1つ以上の態様において、PAO又はPAOのブレンドは0.86以下、又は0.855以下、又は0.85以下、又は0.84以下の比重(15.6℃)を有する。
【0056】
特に好適なPAO又はPAOのブレンドは、a)200℃以上、好ましくは210℃以上、又は220℃以上、又は230℃以上の引火点、b)−20℃未満、好ましくは−25℃未満、又は−30℃未満、又は−35℃未満、又は−40℃未満の流動点、及び/又はc)10cSt以上、好ましくは35cSt以上、又は40cSt、又は60cSt以上のKV100℃を有しているものである。
【0057】
更に好適なPAO又はPAOのブレンドは、a)少なくとも3cSt、好ましくは少なくとも4cSt、又は少なくとも6cSt、又は少なくとも8cSt、又は少なくとも10cStのKV100℃、b)少なくとも120、好ましくは少なくとも130、少なくとも140、又は少なくとも150のVI、c)−10℃以下、好ましくは−20℃以下、又は−30℃以下、又は−40℃以下の流動点、及びd)0.86以下、好ましくは0.855以下、又は0.85以下、又は0.84以下の比重(15.6℃)を有しているものである。
【0058】
更に好適なPAO又はPAOのブレンドは、a)0.40未満、好ましくは0.35未満、又は0.30未満のBII、b)0.525+0.625[log(KV100℃)]未満、好ましくは0.5+0.6[log(KV100℃)]未満のM/Mを有する。ここで、KV100℃はcStで測定される。
【0059】
好適なPAOは2つ以上のPAOのブレンドを含んでおり、最も低いKV100℃と最も高いKV100℃との比が少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2.又は少なくとも3.又は少なくとも5である。好適なPAOのブレンドは2つ以上のPAOのブレンドを含んでおり、ここで、少なくとも1つのPAOが300cSt以上のKV100℃を有し、少なくとも1つのPAOが300cSt未満のKV100℃を有している。あるいは、少なくとも1つのPAOが150cSt以上のKV100℃を有しており、少なくとも1つのPAOが150cSt未満のKV100℃を有している。あるいは、少なくとも1つのPAOが100cSt以上のKV100℃を有しており、少なくとも1つのPAOが100cSt未満のKV100℃を有している。又は少なくとも1つのPAOが40cSt以上のKV100℃を有しており、少なくとも1つのPAOが40cSt未満のKV100℃を有している。あるいは、少なくとも1つのPAOが10cSt以上のKV100を有し、少なくとも1つのPAOが10cSt未満のKV100℃を有している。
ポリオレフィン成分
【0060】
本明細書で説明するPAOは、少なくとも1つのポリオレフィンとブレンドされて、本発明の可塑化組成物を調製する。好適なポリオレフィンはポリエチレンホモポリマー、ポリプロピレンホモポリマー、ポリブテンホモポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−ブテンコポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマー、エチレン−オクテンコポリマー、プロピレン−ブテンコポリマー、プロピレン−ヘキセンコポリマー、プロピレン−オクテンコポリマー、及びジオレフィン及び酸素含有オレフィンから選択される1つ以上のコモノマーを有するC乃至Cオレフィンから選択される1つ以上のオレフィンのコポリマー(例としては、エチレン−プロピレン−ジエン及びエチレン−ビニルアセテートコポリマー)を含む。
【0061】
特定の態様において、このポリオレフィンは「ポリエチレン」として知られている一般的なクラスのポリオレフィン(即ち、エチレンホモポリマー、エチレンコポリマー、及びこれらのブレンド)から選択される。これらは、0.91g/cm未満の密度のプラストマー;0.91g/cmより大きく0.94g/cm未満の密度の低密度ポリエチレン(これは、更に、しばしば、直鎖低密度ポリエチレン又はLLDEPと言われる異種触媒工程を用いて生成されたコポリマー及びしばしばLDPEと言われる、高圧/フリーラジカル工程を用いて生成されたホモポリマー又はコポリマーを更に含む);及び0.94g/cm以上の密度の高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。
【0062】
ポリエチレン物質は少なくとも50モル%、又は60モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%、又は100モル%のエチレン単位を含む。ポリエチレンコポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、及びこれらのブレンドでよい。コモノマーは好ましくは、C乃至C20アルファオレフィン、又はC乃至C10アルファオレフィン、又は1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択され、好ましくは、0.1乃至20重量%、又は0.5乃至10重量%、又は1乃至5重量%、又は2乃至35重量%、又は5乃至30重量%、又は15乃至25重量%存在する。ポリエチレンコポリマーは50モル%までのジエンを含んでいてもよい。
【0063】
有用なポリエチレンブレンドは1つ以上のタイプのポリエチレンの物理的ブレンド又はその場でブレンドされたもの、又はポリエチレンと他のポリマー、特に他のポリオレフィンとのブレンドでもよい。ここで、ポリエチレンはブレンドの少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%含まれる。
【0064】
他の態様において、ポリオレフィンは、「ポリプロピレン」として知られている一般的なクラスのポリオレフィン(即ち、プロピレンホモポリマー、コポリマー、及びこれらのブレンド)から選択される。これらは、アイソタクチックポリプロピレン(ipp)、高度にアイソタクチックなポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、ホモポリマーポリプロピレン(hPP、プロピレンホモポリマー、又はホモポリプロピレンとも言われる)ランダムコポリマーポリプロピレン(RCP、プロピレンランダムコポリマーとも言われ、プロピレンと1乃至10重量%のエチレン及びC4乃至C81−オレフィンから選択されるオレフィンを含む)、及びインパクトコポリマーポリプロピレン(ICP、ヘテロファジック又はビファジックポリプロピレンコポリマーとも言われ、hPP又はRPCと低結晶性又はアモルファスエチレン−プロピレン又はエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーとのブレンドを含む)を含む。
【0065】
ポリプロピレン物質は、即ち、50モル%、又は60モル%、又は少なくとも70モル%、又は少なくとも80モル%、又は少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%、又は100モル%のポリプロピレン単位を含む。ポリプロピレンコポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、インパクトコポリマー、及びこれらのブレンドでもよい。コモノマーは、好ましくはエチレン及びC乃至C20アルファオレフィンから、又はエチレン及びC乃至C10アルファオレフィンから、又はエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択され、好ましくは、0.1乃至20重量%、又は1乃至10重量%、又は2乃至5重量%、又は2乃至35重量%、又は5乃至30重量%、又は15乃至25重量%含まれる。ポリプロピレン好ましくはは50重量%までのジエンを含んでいてもよい。
【0066】
これらのポリプロピレンは任意のレベルのアイソタクチシティー又はシンジオタクチシティーを有しており、アタクチックポリプロピレン(10%未満のアイソタクチックと10%未満のシンジオタクチックペンダントを含む)、アイソタクチックポリプロピレン(少なくとも10%のアイソタクチックペンダントを含む)、高度にアイソタクチックなポリプロピレン(少なくとも50%のアイソタクチックペンダントを含む)、シンジオタクチックポリプロピレン(少なくとも10%のシンジオタクチックペンダントを含む)、高度にシンジオタクチックポリプロピレン(少なくとも50%のシンジオタクチックペンダントを有する)及びこれらの混合物でもよい。
【0067】
好適なポリプロピレンブレンドは1つ以上のタイプのポリプロピレンの物理的又はその場でブレンドされたもの、あるいはポリプロピレンを1つ以上の他のポリマー、特に他のポリオレフィンとのブレンドでもよい。この場合、ポリプロピレンはブレンドの少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%である。有用なポリプロピレンブレンドはインパクトコポリマー(幾つかの文献ではブロックコポリマーとしても知られている)及びポリプロピレンとプラストマーとのブレンドを含む。
【0068】
典型的なインパクトコポリマーポリプロピレン(ICP)は少なくとも2つの相又は成分を含む、例えば、熱可塑性(プロピレンホモポリマー)成分及びエラストマー性(エチレン及び/又はプロピレンコポリマー)成分を含む。このインパクトコポリマーは、PPの連続成分と、EPが外相でPEが内相である分散相を有する及びPP/EP/PEの組合せのような、3相を含む。これらの成分は通常、第一反応器で熱可塑性(ポリプロピレンホモポリマー)成分が生成され、これが第二反応器に移動してエラストマー性成分(エチレン及び/又はプロモーターコポリマー)成分が製造され、熱可塑性成分を混合されて製造される。エチレン成分はゴム性質を有しており、所望の衝撃耐性を提供する。一方、熱可塑性成分は全体の堅牢性を提供する。好適なIPCは反応(又はその場での)ブレンド又はポスト反応器(その場以外での)ブレンドとも言われる。
【0069】
他の有用なポリオレフィンはプロピレン配列及び/又はコポリマーにおける立体規則性の欠陥に起因する結晶性(50J/g未満のHm)が中程度であるプロピレンのホモポリマー又はコポリマーを含む。好ましくは、これらのポリプロピレンは1より大きいrに対するmの比(m/r)を有している。m又はrの表記が連続しているプロピレン基のペアの立体規則性を説明する。mはメソであり、rはラセミである。
【0070】
他の態様において、このポリオレフィンは「ポリブテン」として知られているポリオレフィンの一般的なグラスから選択される(即ち、ブテン−1、ホモポリマー、コポリマー、及びこれらのブレンド)。ホモポリマーはアタクチック、アイソタクチック、又はシンジオタクチックポリブテン、及びこれらのブレンドでよい。このコポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、及びこれらのブレンドでよい。ランダムコポリマーはコモノマーがエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択されるものを含む。ブレンドはインパクトコポリマー、エラストマー、及びプラストマーを含み、ポリブテンとの物理的混合物及び混合されたままのものでよい。ポリ(1−ブテン)ホモポリマー及び1−ブテン/エチレンコポリマーはBasell Polyolefinsから入手可能である。
【0071】
他の態様において、ポリオレフィンは、エチレンとプロピレン、任意で1つ以上のジエンモノマーとのコポリマーであり、本分野において、EPM又はEPDMエラストマーとして知られている、「エチレン−プロピレン(EP)」エラストマーとして知られているポリオレフィンの一般的なクラスを含む。EPエラストマーは20g/J以下、の融解熱、0.86g/cm以下の密度、35乃至85モル%のエチレン含量、0乃至5モル%のジエン含量、15モル%の最小プロピレン含量、及び少なくとも50kg/molの分子量を有する。
【0072】
好適なポリオレフィンは、C乃至C20直鎖、分岐、環状、及び芳香族含有モノマー、特にエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、3,5,5−トリメチル−1−へキセン、5−エチル−1−ノネン、ビニルシクロへキサン、ビニルシクロへキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン、スチレン、アルファ−メチルスチレン、パラメチルスチレンのようなパラ−アルキルスチレン、4−フェニル−1−ブテン、アリールベンゼン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリールベンゼン、及びインデンを含む。例えば、ポリオレフィンはポリ(4−メチル−ペンテン−1−)ホモポリマー、又は4−メチルペンテン−1及び他のオレフィンのホモポリマー又はコポリマーでもよい。
【0073】
好適なポリオレフィンは20重量%まで、又は10重量%まで、又は1重量%までのジエン(即ち、ジオレフィン)モノマーを含む。例としては、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、及び1,13−テトラデカジエン、等のアルファ−オメガジエン(即ち、ジビニル)モノマー、並びにシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、及びジシクロペンタジエン等の環状ジエンを含む。
【0074】
他の好適なポリオレフィンはWO03/04201、WO03/040095、WO03/040202、WO03/040233、及びWO03/040442に記載されている。
【0075】
好適なポリオレフィンは以下の性質の1つ以上を有する:
1.25乃至2,000kg/mol、又は40乃至1,000kg/mol、又は90乃至500kg/molのM
2.1乃至40、又は1.5乃至20、又は1.8乃至10、又は1.9乃至5、又は1.8乃至3のM/M
3.80乃至190℃、又は90乃至180℃、又は100乃至160℃、又は30乃至100℃、又は40乃至80℃のTm
4.―40℃乃至20℃、又は−20℃乃至10℃、又は−10℃乃至5℃のH
5.180J/g以下、又は20乃至150J/g、又は40乃至120J/gのH
6.15乃至120℃、又は20乃至115℃、又は25℃乃至110℃、又は60乃至145℃のT
7.0.02乃至800dg/分、又は0.05乃至500dg/分、又は0.1又は100dg/分、又は0.3乃至50dg/分、又は0.5乃至35dg/分のMI
8.0.1乃至2500dg/分、又は0.3乃至500dg/分のMFR。
【0076】
ポリオレフィンはスラリー、ガス相、高圧又は他の好適な方法で製造でき、チグラ−ナッタタイプ触媒、クロミウム触媒、メタロセンタイプ触媒、他の好適な触媒システム又はこれらの組合せ等のポリエチレンの重合のための好適な触媒システムを用いて、又はフリーラジカル重合を用いて生成できるので、その生成方法は重要ではない。ポリエチレンを生成するための好適な触媒システムは当業者に知られている。例えば、ZIEGLER CATALYST(Springer−Verlag,1995)及びMETALLOCENE−BASED POLYOLEFINS(Wiley&Sons,2000)を参照のこと。
組成成分の範囲
【0077】
1つ以上の態様において、1つ以上のPAO成分は、PAO及びポリオレフィンの総重量に基づいて、低くは、0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、又は4重量%、又は5重量%、乃至高くは、50重量%、乃至45重量%、又は40重量%、又は35重量%、又は30重量%、又は25重量%、又は20重量%、又は15重量%、又は10重量%、又は5重量%の量で存在する。好適な範囲は下限値が上限値未満である限り、ここで提供される任意の下限値重量%と任意の上限値重量%の組合せでよい。他の態様において、この組成物は即ち、1つのPAOを、組成物の総重量に基づいて、約1乃至40重量%、又は2乃至30重量%、又は4乃至20重量%の量で含む。
【0078】
1つ以上の態様において、1つ以上のポリオレフィン組成物は、PAO及びポリオレフィンの総重量に基づいて、低くは50重量%、又は55重量%、又は60重量%、又は65重量%、又は70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、又は90重量%、又は95重量%、乃至高くは99重量%、又は95重量%、又は90重量%、又は85重量%、又は80重量%、又は75重量%、又は70重量%、又は65重量%、又は60重量%の範囲で存在する。好適な範囲は下限値が上限値である限り、ここで提供される任意の下限値重量%と上限値重量%の任意の組合せでよい。他の態様において、この組成物は組成物の総重量に基づいて、少なくとも1つのポリオレフィンを約60乃至90重量%、又は70乃至98重量%、又は80乃至96重量%の量で存在する。
【0079】
他の態様において、組成物は、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンから選択されるアルファオレフィンとの液体コポリマーを、組成物の総重量に基づいて、20重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満、又は0重量%未満含む。
【0080】
他の態様において、組成物は、イソプレン及び/又はブタジエンの液体ホモポリマー又はコポリマーを、組成物の重量に基づいて、20重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満、又は0重量%含む。
【0081】
他の態様において、この組成物は、1−ブテン、2−ブテン、及びイソブチレンを含むCオレフィンの液体ホモポリマー又はコポリマーを組成物の重量に基づいて、20重量%未満、又は10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満、又は0重量%含む。
他の添加剤
【0082】
特定の所望の性質を付与するためにポリオレフィン工業において通常用いられる添加剤は本発明のポリオレフィン組成物中に存在していてもよい。そのような添加剤は、Plastics Additive Handbook,5thEd;H.Zweifel, Ed.(Hanser−Grander, 2001)に記載されており、抗酸化剤(有機αリン酸塩、ヒンダードアミン、及びフェノールを含む)、安定剤(UV安定剤、他のUV吸収剤を含む)、核剤(清浄剤、安息香酸ナトリウム等の金属塩、ソルビオトール添加剤、及び金属リン酸塩)、顔料、ダイ、カラーマスターバッチ、加工助剤、ワックス、オイル、重滑剤、界面活性剤、滑剤(ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸の金属塩及びエルカ酸アミド等の脂肪酸を含む)、粘着付与剤、ブロック剤、抗ブロック剤、中和剤(ハイドロタルサイト等)、酸スカベンジャー、防錆剤、空洞化剤(cavitating agent)、発泡剤、冷却剤、静電気防止剤、難燃剤、硬化又は架橋剤又はシステム(硫黄元素、有機硫黄化合物、有機過酸化物、及びジ−又はトリアミン)、カップリング剤(シラン等)、並びにこれらの組み合わせを含む。添加剤は、効果があると当業者に理解されている量で存在し、好ましくは、組成物の重量に基づいて、0.01乃至10重量%(100乃至100,000ppm)、又は0.02乃至1重量%(200乃至100,000ppm)、又は0.25乃至0.5重量%(250乃至5,000ppm)、又は0.05乃至0.25重量%(500乃至2,500ppm)、又は0.1乃至5重量%(1000乃至50,000ppm)の量で存在する(ppmは重量による百万分率である)。
【0083】
充填剤も本発明の組成物中に存在していてもよい。好ましい充填剤は、天然又は合成ミネラル凝集体(タルク、珪灰石、及び炭酸カルシウムを含む)繊維(ガラス繊維、炭素繊維、又はポリマー繊維を含む)、カーボンブラック、グラファイト、天然及び合成クレイ(ナノクレイ及び有機クレイ)、砂、ガラスビーズ、及び所望の性質を得るため、単独で及び混合物として用いられることが当業者に知られている支持材を含むがこれらに限定されない。充填剤は組成物の総重量に基づいて、0.1乃至50重量%、又は1乃至40重量%、又は2乃至30重量%、又は5乃至20重量%存在する。充填剤顔料はISO3451−1(A)試験方法で決定される灰分に等しい。
ブレンド
【0084】
ポリオレフィン(PAO)及び適した添加剤は任意の好適な手段によりブレンドすることができる。当業者は加工コストに見合う好適な混合方法を決定することができる。例えば、製品の成形には原料の溶融及び混合が含まれることから、1つ以上のポリオレフィン成分はペレット又は反応器顆粒の形態であり、成分ペレット及び/又は顆粒の単純な物理的ブレンドによりPAO及び任意で添加剤と組み合わされる。しかしながら、圧縮成形等の他の成形方法において、原料をほとんど混合せずに、成分ペレット及び/又は顆粒の単純な物理的ブレンドのためには、ペレット化されたメルトブレンドが好ましい。この場合、成分は第一に溶融ブレンドされ、加工製品が提供される。
【0085】
ポリオレフィン成分はPAO及び/又は任意の添加剤とブレンドしたとき、任意の物理的形態でよい。例えば、それらは反応器顆粒(即ち、任意の加工手順の前に重合反応器から単離されたポリマーの顆粒)、又は反応器顆粒の溶融押し出しにより成形されたペレットの形態でもよい。
【0086】
ポリオレフィン、PAO、及び/又は任意の添加剤は、任意の好適な手段でブレンドすることができる。例えば、それらは、管状、静的混合、バッチ混合、押出し、又は成分の好適な分散を達成するのに十分なこれらの混合物でブレンドすることができる。
【0087】
好ましくは、組成物は、溶融ブレンド(混合)工程において成分が結合され、次いで水面下でのペレット化又はストランドカットアプローチのいずれかを用いて、ブレンドをペレット化する。このアプローチは重合単位を備えたオンライン「仕上げ」押出し成形、又は溶融ブレンドのために設けられたオフライン「混合」押出し成形を含む。代替的に、この組成物は最初に組成物をペレット化しないで、製品に用いる工程の間に成分を結合することにより調製することができる。この場合、PAOは、射出成形機器で、又は連続押出し成形ラインで行われる製品押出しにおいて他の成分に添加される。その後で、直接、フィルム、シート、繊維、プロファイル等に直接加工される。いずれかのケースにおいて、生成速度は5乃至3000kg/hrである。
【0088】
ブレンドは「乾燥ブレンド」を含む。このブレンドはポリオレフィンが溶融されずにPAOと混合されるブレンドである。例えば、1つの方法は管状、又は高スピードHenschel混合等のボウルミキサーにおいて成分が接触する。ポリオレフィンは好ましくは、反応器顆粒の形態であることが好ましく、しかし、乾燥ブレンドはペレットも形成することができる。乾燥混合工程に次いで、所望により、押出し形成において溶融ブレンドされる。
【0089】
成分を混合するための他の方法はペレット又は顆粒のいずれかの形態のポリオレフィンを、バッチ又はバンバリーミキサー等の内部ミキサーにおいて、PAO及び任意の添加剤と溶融ブレンドすることである。
【0090】
組成物の他のブレンド方法はペレット又は顆粒のいずれかの形態のポリオレフィンを、押出し成形において、PAO及び任意の添加剤と溶融ブレンドすることである。押出し技術は当業者によく知られている。例えば、Palstic Compounding Equipment and Processing, D.B.Todd(Hanser,1998)を参照のこと。押出し溶融混合は、高いPAO含量が好ましい場合又はポリオレフィン組成物が大量に必要な場合に好適な方法である。
【0091】
PAOは、二軸押出し成形の場合ではバレルに沿った同じ箇所から液体注入デバイスを用いて、又は一軸押出し成形器では中空のスクリューシャフト中の穴を通じて、溶融ポリマーへ直接注入される。PAOは好ましくは、ポリマー溶融ゾーンから下流へ添加されるが、代替的にポリマーがまだ完全に融解していない箇所に添加することもできる。例えば、二軸スクリューにおいて、PAOは第一バレルセクションの後(好ましくはバレルの1/3の後に、より好ましくは最終の第三バレルで)注入することができる。好ましくは、PAOは任意の充填剤が添加された後に添加する。PAOの添加はスクリューの運搬要素の初めに、又はスクリューの混合要素の初めに、又はスクリューの捏練要素の前に、又はスクリューの液体混合要素の前に行ってもよい。任意で、PAOは押出し供給管を解して添加してもよい。
【0092】
PAOの添加は好ましくは計器、例えば、ロス・イン・ウェイト・フィーダー、又は較正されたフローレートメーターを用いて、制御して行われる。好ましくは、PAO供給はピストン、ギア、又はダイヤフラムポンプ等のポンプを介して行われる。
【0093】
好ましくは、押出成形器は20乃至80の直径に対する長さの比を有し、スクリュー直径が20乃至200nmの二軸押出成形器である。好ましくは、このスクリューのデザインは、高い液体濃度において均一性を促進するような、ポリマーの高い表面更新を生成する、液体混合要素(ギアタイプ要素)を含む。そのような押出成形器は当分野で知られている。
【0094】
成分は、1つの押出し成形器において乾燥ブレンドのあとに溶融混合を行うような工程の組合せや、或る種の成分をバッチ式で混合した後に他の成分と溶融混合するような工程の組合せによりブレンドすることもできる。1つ以上の成分はダブルコーン、リボン、又は他の好適なブレンダー、又はFarrel 連続ミキサー(FCM)において行うこともできる。
【0095】
ブレンド工程は、希釈されていないポリオレフィンと他の添加剤とを予備ブレンド(即ち、最終ブレンドで意図されているよりも高いPAO濃度で予め調製されている、ポリマー、PAO、及び任意の添加剤のブレンド)されたマスターバッチの好適な量と組み合わせることにより標的PAO濃度を達成することができる、「マスターバッチ」アプローチを含む。この方法はポリマー加工において通常用いられている手法であり、通常色、添加剤及び充填剤を最終製品に添加するために用いる。マスターバッチの分散(又は「取り出し(letdown)」)は、射出成形器における、又は連続押出ラインにおける、又は別個の配合工程の間等の製品を製造するために用いる加工工程の一部として行われる。
【0096】
成分は、過剰のポリオレフィン及びPAO成分を溶解する1つ以上の溶媒を用いて、ポリオレフィン組成物を形成するための好適な手段により、溶液中でブレンドしてもよい。このブレンド工程はPAO及び/又はポリオレフィンが溶液状態を維持するような温度又は圧力で行う。好適な条件は、ポリマーの溶融温度より20℃以上高いような、高温で行うブレンド工程を含む。そのような溶融ブレンドは、他のブレンド工程での乾燥ポリマーに一緒に添加するよりも、ポリマーが溶液工程で生成され、PAOが最終トレインに直接添加される工程において特に有利である。この方法はポリマーがバルク又は高圧工程で生成され、工程中にポリマー及びPAOがモノマー中に溶解される場合、あるいはPAOが最終トレインに直接添加されるような工程にも特に有利である。
製造
【0097】
本発明の組成物は、当業者に知られている成形品及び形状ポリオレフィンのための有用な個別の成形又は連続押出成形手段により、生成又は成形される加工製品の製造に有用である。そのような手段は、圧縮成形、射出成形、共射出成形、気相アシスト射出成形、ブロー成形、多層ブロー成形、射出ブロー成形、ストレッチブロー成形、押出しブロー成形、トランスファー成形、キャスト成形、ローテーション成形、発泡成形、スラッシュ成形、トランスファー成形、ウェットレイアップ又はコンタクト成形、キャスト成形、コールド成形、マッチドダイ成形、熱成形、真空成形、フィルムブロー成形、フィルム又はシートキャスティング、溶融ブロー又は、例えば、Plastic Processing(Padian Corporation,Noyes Data Corp. 1986)に記載のような他の成形工程、並びにこれらの組合せを含む。フィルムキャスティングや熱成形とのような特定の工程を使用すると、本発明の物質の一軸又は二軸配向形成において加工性を優れたものにすることができる。
最終用途製品
【0098】
本発明の組成物は日用品、工業用品、構築材料、包装材料、外装製品、電子部品、及び自動車部品に有用である。
【0099】
本発明の組成物から工業的に生産することができる所望の製品の非限定的な例としては、フィルム、テープ、シート、繊維、管、パイプ、ホース、ベルト、コーティング、布製品(織布又は不織布)、防臭弁(trap)、農業用バリア素材、包装(耐久材又は使い捨て)、キッチンデバイス、及び家庭用製品(洗浄器、冷蔵庫、ブレンダー、エアーコンディショナー等)、家具(テーブル、椅子、ベンチ、シェルフ等のインドア及びアウトドア用)、スポーツ用具(スキー、サーフボード、スケートボード、スケート、ブーツ、そり、スクーター(キックボード)、カヤック、パドル等)、固形タイヤ、スタジアムシート、アミューズメントパークライド、パーソナル保護用品(安全ヘルメット、スキンガード等)、緊急対応装置、調理用品、台所用品、トレイ、パレット、カート、タンク、チューブ、池の中敷、貯蔵コンテナ(カート、ペール、ジャー、ボトル等)、玩具、チャイルドカーシート及びブースターチェアー、医療機器及び用具(シリンジ部分及びカテーテルを含む)、旅行カバン、大工工具(ドリル、のこぎり等)、ワイヤー及びケーブルジャケット、エレクトロニクスハウジング及び成分(テレビ用、コンピューター、電話、ノートパソコン、メディアプレイヤー、ステレオ、ラジオ、時計等のための、建築構造材料(床張り材、羽目板、屋根ふき材、カウンタートップ、シール、結合部材、遮断材等)、照明、ガーデニング用具(取っ手又はシャベル、一輪車等)、公園用具、モーターハウジング、ポンプハウジング、バッテリーハウジング、計器ハウジング、スイッチ、ノブ、ボトル、ハンドル、ペット用品、実験用品、家庭用衛生用品(髭剃り、ブラシ、ヘアドライヤー等)、掃除用品(箒、塵取り等)、音楽用ケース、像、トロフィー、手工芸品、アクセサリー、写真フレーム、めがねフレーム、植木鉢、及び銃器用品を含む。
【0100】
乗り物(乗用車、トラック、バス、全ての列車、自家用小型船、ゴルフカート、スノーモービル、自動二輪車、モペッド、トラクター、芝刈り機、ワゴン、自転車、飛行機、ヘリコプター、列車、軍用機器、ゴンドラ等を含む)に有用な本発明の組成物から工業的に製造される所望の製品の他の非限定的な例としては、バンパー及びバンパーバンド;外装ボディーパネル、ドアパネル、及びグリル;車体側面モールド、側面クラッディング及びモールディング(成形品)エンドキャップ、フード、ラゲージドア、ミラーハウジング、ルーフトラック、タイヤカバー、タイヤリム、タイヤフレア、ハブキャップ、及びロッカーパネル等の外装品;燃料タンク;シートの柱書カバー、コンソール、ドアパネル、支持体、ボトム、ハンドル、及び安全スクリーンを含む内装;内装パネル及びダッシュボード;ニーボルスター;助手席のエアバッグカバー;ヘッドライナー;グローブボックス、トレイ、カップホルダー、コンパートメント、及び蓋、背もたれ、ひじかけ、及び安全ベルト固定装置を含むシート部品;バッテリートレイ及びファンシェード等のアンダーフード製品;エレクトリカルハウジング;並びにドアキャリア、トラックベッドセパレーター、荷台、トランク用品、ウェザーシール、ノイズ及び/又は振動遮断シール及びマウント、ディスク、振動板、カップ、結合部材、管、ホース、ガスケット、オーリング、ベルト、泥除け、スキン、ブーツ、及び送風機を含む構造製品がある。
ブレンドの改善された性質
【0101】
本発明の組成物は従来のPAOを用いて製造された組成物と比較して、PAOの改善された耐久性を提供する。改善された耐久性は性質を成功裏に長く維持することに都合が良い。特定の態様において、有用な組成物は規則分岐PAOに対するKV100℃が20%以内、好ましくは10%以内、又は5%以内であり、規則分岐PAOに比してCLAOが0.2以内、コポリマー0.1以内、又は0.05以内である不規則分岐PAOに置き換えた以外は同様な規則分岐PAOにおいて測定されるTGA揮発性の80%、好ましくは70%、又は60%、又は50%、又は40%、又は30%、又は20%、又は10%のTGA揮発性を示す。TGA揮発性の測定は試験方法のセクションに記載する。
【0102】
本発明の組成物は、従来のPAOを用いて製造された組成物と比較して、より低いガラス転移温度を示す。より低いTgは低い温度での柔軟性及び堅牢性を改善するのに有利である。特定の態様において、有用な組成物は、規則分岐PAOに比してKV100℃が20%以内、好ましくは10%以内、又は5%以内であり、規則分岐PAOに比してCLAOが0.2以内、コポリマー0.1以内、又は0.05以内である不規則分岐PAOに置き換えた以外は同様な規則分岐PAOにおいて測定されるTgよりも2℃、好ましくは3℃、又は4℃、又は5℃、又は6℃、又は8℃、又は10℃低いTgを有する。
【0103】
本発明の特定の態様は、組成物中に存在する規則分岐POAIが10重量%、20重量%、又は30重量%毎に、少なくとも1℃(好ましくは2℃以上、又は3℃以上、又は4℃以上、又は5℃以上、又は6℃以上、又は8℃以上、又は他の態様においては10℃以上)組成物生物のガラス転移温度(Tg)が減少することにより、特徴付けられる。このTg減少は、規則分岐PAOに比してKV100℃が20%以内、好ましくは10%以内、又は5%以内であり、規則分岐PAOに比してCLAOが0.2以内、好ましくは0.1以内、又は0.05以内である不規則分岐PAOに置き換えた以外は同様な規則分岐PAOと比較し測定される。
【0104】
本発明の組成物は従来のPAOを用いて製造された組成物と比較して低い溶融粘度を提供する。低い溶融粘度(例えば、MI又はMFR)は低温における柔軟性及び堅牢性を改善するのに有利である。特定の態様において、有用な組成物は、規則分岐PAOに対するKV100℃が20%以内、好ましくは10%以内、又は5%以内であり、規則分岐PAOに比してCLAOが0.2以内、好ましくは0.1以内、又は0.05である不規則分岐PAOに置き換えた以外は同様な規則分岐PAOにおいて測定されるMIの、90%、好ましくは80%、又は70%、又は60%、又は50%のMIを有する。他の態様において、MFRは、規則分岐PAOに比してKV100℃が20%以内、好ましくは10%以内、又は5%以内であり、規則分岐PAOに比してCLAOが0.2以内、好ましくは0.1以内、又は0.05以内である不規則分岐PAOに置き換えた以外は同様な規則分岐PAOにおいて測定されるMFRの90%、好ましくは80%、又は70%、又は60%、又は50%のKFRを示す。
試験方法
【0105】
本発明及び特許請求の範囲の目的のために、特に定義しない限り、本明細書における物理的及び化学的性質は以下の試験方法を用いて測定される。

PAO性質
【0106】
数平均分子量(Mn)は2つのうちの1つの方法により決定する。例えば、10cSt以下のKV100℃を有するサンプルについては、マススペクトロメーター検出器を備えたガスクロマトグラフィー(GC)を用いて測定した。好適なGC方法は、通常、Modern Practice of Gas Chromatography,3rdEd.,R.L.Grob及びE.F.Barry(Wiley−Interscience, 1995)に開示されている。10cStより高いKV100℃を有するサンプルはゲルクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、「スチレンと同等な」Mnを報告する。RI検出器を含む好適なDGPC方法はModern Size Extlusion Liquid Chromatographs,W.W.Yan, J.J.Kirkland,及びD.D.Bly(J.Wiley&Sons,1979)及びASTM D3593に記載されている。
【0107】
前で定義した、分岐不規則指数(BII)は13CNMRスペクトロコピーにより決定する。以下の方法、又は物質的に等しいものをB1,B2、及びB3+分岐の相対的な濃度を計算するために用いることができる。(これらの濃度は全PAOサンプルについてのモル平均を表し、各分岐長さカテゴリーに関係しているピークスペクトルの積分から決定される。)PAOサンプルは、1.7mg/mlとなるように添加されたクロミウムアセチルアセトンをフウムクロロホルム−dに溶解して、データ収集を促進する。13CNMRデータは5mmオートチューンプローブを用いて400MHzスペクトロメーター上で収集した。逆性ゲート付きデカップリング(NOEエンハンスメントなし)、90°チップアングル、5.1秒パルス対パルス遅延、64Kコンプレックスポイント、デジタルフィルタリング、及び310ppm掃引幅を有する、50℃の温度での8000スキャンについてスペクトルを収集する。スペクトルを解析するために、積分範囲を以下の表においてアサインされるピーク位置に対応して選択した。この表において、Cはメチル分岐を示し、Cはエチル分岐を示し、C3+は3炭素以上の長さの分岐を示す。これらのアサインメントにおいて、いくつかのエラーがあるけれども(例えば、プロピル分岐メチレンピークが22乃至14.55ppm領域に出現する)、これらはBIIに有意に影響を与えない。

【0108】
ビニリデン、及びビニルオレフィンが存在する場合、これらはそれぞれ完全飽和において1つのメチル基を与える。全てのオレフィンは集計積分され、これをオレフィン当たり2つの炭素があるという事実を説明するために2つで割り、その後、この結果がBII計算の分子における[C]への追加的な寄与として含まれる。
ポリオレフィン組成物性質
【0109】
動的機械熱解析(DMTA)は温度の機能としてのサンプルの小歪み機械反応における情報を提供する。好適なDMTA装置は業者から容易に入手することができる。サンプルは1Hzの周波数及び20ミクロンの振幅、2℃/分で−130乃至100℃で、3つの曲げ形状において試験される。このアウトプットは貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)である。TanデルタはE“/E’であり、物質の減衰特性を示す。ガラス転移温度(Tg)はベータ弛緩モードと呼ばれるピーク温度として報告される。Tgを決定するためのDMTAの使用は本分野において知られている。
【0110】
示差走査熱量計(DSC)は結晶性温度(T)及び溶融温度(T)を測定するために用いる。好適なDSC装置は幾つかの業者から入手可能である。通常、2乃至10グラムのサンプルをアルミニウムパンの中にいれ、室温でDSCに装填する。溶融データ(第一加熱)は10℃/分の加熱速度で、その溶融温度よりも少なくとも30℃高い温度にサンプルを加熱して収集する。このサンプルを少なくとも5分間、その温度で維持して、その熱履歴を壊す。結晶化データは溶融温度から、20℃/分の温度でサンプルを冷却して、結晶化温度よりも少なくとも50℃低い温度まで冷却して収集する。このサンプルをこの温度で5分間維持し、次いで10℃/分で加熱して、追加的な溶融データを収集する(第二加熱)。吸熱性融解転移(第一及び第二加熱)及び発熱性結晶化転移がピーク温度について解析される。他で定義しない限り、Tは第二加熱からの融解温度ピークとして報告される。複数のピークを示すポリマーについては、Tは最も大きい吸熱反応に関する融解温度のピークであると定義する。同等にTは最も大きい発熱性反応に関するピーク結晶化温度であると定義する。吸熱性反応(特に定義しない限り、第二加熱)に関係する総合ピークエリアは融解熱である。Hは[H(J/g)/H°(J/g)]×100の式に当てはめて、(結晶化度)(重量パーセント)の程度の計算に用いる。式中、H°は主要モノマー成分のホモポリマーについての同様の融解熱である。300J/gの値がポリエチレンのH°に用いられ、200J/gの値がポリプロピレンの値に用いられる。ポリマー及び可塑剤のブレンドについては、ポリマー単独の重量に基づくHの値はH,ポリマー=100×(H/Wpolym)により示される。式中、Wpolymはブレンド中のポリマーの重量%である。T、T、及びHを決定するためのDSCの使用は本分野において知られている。
【0111】
非等温結晶化ハーフタイム(t1/2)もDSCで決定することができる。サンプルを第一融解して熱履歴を崩壊させ、その後10℃/分の速度で冷却する。結晶化ハーフタイムは最終的に結晶が発達するのに必要な時間の半分である。完全な発熱反応に関係する総ピークエリアにより測定され、H;即ち、もしHがXj/gならば、t1/2はX/2J/gに達するための累積的な吸熱反応に必要とされる時間である。
【0112】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)はポリマーの重量平均分子量(M)、数平均分子量(M)、及び分子量分布(M/M)を測定するために用いる。好適なSEC装置は幾つかの業者から入手可能である。以下の実験条件を用いる:示差屈折率(DRI)検出器;3ポリマーラボラトリーズPLゲル 10mmMixed−Bカラム;流速0.5mL/分;300μLの注入容量;1.5g/Lのブチルかヒドロキシトルエンを含む1,2,4−トリクロロベンゼン(TBC)。このカラム、DRI検出器、及び輸送ラインは135℃オーブンに入っている。このキャリア溶媒は、ライン上の0.7μmのガラスプレフィルターを通過させ、その後0.1μmのテフロンフィルターを通してろ過し、オンライン脱気装置を用いて脱気する。ポリマー溶液はガラスコンテナ中に乾燥ポリマーを置き、所望の量のTCBを添加し、その後これを160℃に加熱し、連続的に約2時間撹拌することにより調製する。全ての量は重量法で測定する。注入濃度の範囲は1.0乃至2.0mg/mlであり、高分子量サンプルについては低い濃度を用いる(TCBの密度は1.324g/mlである)。セットサンプルを測定する前に、DRI検出器及びインジェクターをパージし、流速を0.5ml/分に挙げて、DRIを8乃至9時間安定化させる。クロマトグラムにおける各ポイントのポリマーの相対的な濃度はベースラインを差し引いたDRIシグナルから計算する。所与の溶出容量に関係している分子量は同じ条件で流される低いMWDポリスチレン標準を用いて、セットされたカラムをキャリブレーションすることにより、決定する。商業的に利用可能なSEC解析ソフトウェアを用いて、このポリスチレンキャリブレーションカーブを用いて、クロマトグラムから、M及びMを計算する。このアプローチは「ポリスチレン換算の」M及びMの値を提供する。これらの値を本明細書において用いる。
【0113】
アイソタクチック及びシンジオタクチック([m]及び[r])トリアド([mm]及び[rr])、及びペンダント([mmmm]及び[rrrr])の濃度を含む、ポリマーミクロ構造は13CNMRスペクトロスコピーを用いて測定することができる。サンプルはd2−1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解する。スペクトルは100MHzNMRを用いて125℃で記録する。ポリマー共鳴ピークはmmmmを21.8ppmとする。キャリブレーションはF.A.Boveyの、Polymer Conformation and Configuration (Academic Press 1969)及びJ.RandellのPolymer Sequence Detection, 13CNMR Method (Academic Press, 1977)の記載に従って行う。ピークアサインメントはH.N.Cheng及びJ.A.EwenのMakromol.Chem.190,p.1931(1989)に基づいている。
耐久性
【0114】
PAO又はPAOのブレンドの耐久性は、0.25mm圧の形状の可塑化組成物を70℃の乾燥オーブン中で300時間乾燥させた後の重量損失を測定することにより、ASTMD1203の変法に従って決定することができる。耐久性は100%分補正重量%損失である。ここで、補正された重量%損失=(ブレンド組成物の%重量損失)―(同じ試験条件におけるベース組成物の%重量損失)である、%重量損失=100(W−W)/W、ここにおいてWは乾燥後の重量であり、Wは乾燥前の重量である。ベース組成物は可塑化組成物と同じ組成物であるがPAOが添加されていないものである(即ち、他の成分がお互いに同じ割合で存在する)。
【0115】
パラメーターを評価する他の方法は、TGA重量損失である。これは、制御された温度チャンバーで釣り合うことを必須とする市販の熱比重解析(TAG)装置を用いて計算する。こおサンプルは窒素ガス内で、急速に200℃まで加熱し、120分間この温度を維持する。ここでの重量損失が記録される。補正されたTGA重量損失(重量%、TGA揮発性とも称される)は、ポリマー/PAOブレンドにおいてベースポリマーの量について分配される、ベースポリマーについての測定された重量%損失を、ポリマー/PAOブレンドについて測定された重量%損失から引いて計算される。
PAO含量
【0116】
可塑化組成物の特定の製剤化の知識の欠失において、組成物注のPAO含量(重量%ベース)は16時間n−ヘプタンを還流して行うソックスレー抽出法により決定することができる。好ましくは。ベース組成物は、抽出溶媒において可溶な両組成物において低分子量物質が存在することから、同じ解析を受ける。PAO含量はベースポリマーについての抽出レベルで、可塑化組成物の抽出レベルを補正してより正確に決定することができる。抽出物中におけるPAOの存在はマススペクトロメーター検出器を用いたガスクロマトグラフ法により検証することができる。
代替的な態様
【0117】
1つの態様において、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィンポリマーとrbPAOの総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則的分岐PAO(rbPAO)を含む。rbPAOは3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、0.04以下の分岐不規則指数(BII)、6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)、及び2.3未満のM/Mを有する。
【0118】
1つの態様において、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィンポリマーとrbPAOの総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則的分岐PAO(rbPAO)を含む。rbPAOは1つ以上のC乃至C20アルファオレフィンのオリゴマーを含み、3乃至3000cStのKV100℃、0.40以下の分岐不規則指数(BII)、及び6乃至14のCLAOを有し、この組成物はrbPAOが、0.40より大きいBII、rbPAOの10%以内のKV100℃、及びrbPAOのCLAOの0.2以内のCLAOを有する不規則分岐PAOでrbPAOが置き換えられた以外は同様のポリオレフィン組成物のTGA揮発性よりも95%未満のTGA揮発性を有している。
【0119】
他の態様において、ポリオレフィン組成物は、ポリオレフィンポリマーとrbPAOの総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則的分岐PAO(rbPAO)を含む。rbPAOは1つ以上のC乃至C20アルファオレフィンのオリゴマーを含み、3乃至3000cStのKV100℃、0.40以下の分岐不規則指数(BII)、及び6乃至14のCLAOを有し、この組成物のガラス転移温度(Tg)は、0.40より大きいBII、rbPAOの10%以内のKV100℃、及びrbPAOのCLAOの0.2以内のCLAOを有する不規則分岐PAOでrbPAOが置き換えられた以外は同様のポリオレフィン組成物で測定されるTgよりも、組成物中のPAOの10重量%あたり、少なくとも1℃以上低い。
【0120】
段落[00117]乃至[0119]の幾つかの態様において、このrbPAOは2.3未満のM/Mを有する。
【0121】
幾つかの態様において、段落[00117]乃至[0120]の任意の1つの組成物のrbPAOは{0.525+0.625[log(KV100℃)]}未満のM/Mを有する。式中、KV100℃はcStで測定される。
【0122】
幾つかの態様において、段落[00117]乃至[0121]の任意の1つの組成物の1つ以上のポリオレフィンポリマーはポリエチレン又はポリプロピレンを含む。
【0123】
幾つかの態様において、段落[00117]乃至[0122]の任意の1つの組成物の1つ以上のポリオレフィンポリマーはプロピレンホモポリマー又はプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む。
【0124】
幾つかの態様において、段落[00117]乃至[0123]の任意の1つの組成物の1つ以上のポリオレフィンポリマーはEPエラストマーを含む。
【0125】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0124]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは6乃至150cStのKV100℃を有する。
【0126】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0125]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは10乃至100cStのKV100℃を有する。
【0127】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0126]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは−30℃未満の流動点を有する。
【0128】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0127]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは少なくとも150の粘度指数を有する。
【0129】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0128]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは150cSt未満のKV100℃と{−75+22log(KV100℃)−(125/(KV100℃)1.6)}未満の流動点(℃)を有する。式中、KV100℃はcStで測定される。
【0130】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0129]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは150cSt未満のKV100℃と{72−(120/KV100℃)}未満のTg(℃)を有する。式中、KV100℃はcStで測定される。
【0131】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0130]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは150cSt未満のKV100℃と{105(KV100℃)0.13}より大きいVIを有する。式中、KV100℃はcStで測定される。
【0132】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0131]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは少なくとも2つのC6乃至C14アルファオレフィンのオリゴマーを含む。
【0133】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0132]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは2つ以上のrbPAOのブレンドであり、最も低いKV100℃に対する最も高いKV100℃の比が少なくとも1.5である。
【0134】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0133]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは2つ以上のPAOのブレンドであり、少なくとも1つのrbPAOが40cSt以上のKV100℃を有し、少なくとも1つのPAOが40cSt未満のKV100℃を有する。
【0135】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0134]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは、2つ以上のrbPAOのブレンドであり、少なくとも1つのrbPAOが10cSt以上のKV100℃を有し、少なくとも1つのPAOが10cSt未満のKV100℃を有する。
【0136】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0134]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは、0.35以下のBIIを有する。
【0137】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0136]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは、0.3以下のBIIを有する。
【0138】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0137]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは、一部位配位触媒を用いて調製される。
【0139】
幾つかの態様において、段落[0117]乃至[0138]の任意の1つの段落に組成物のrbPAOは、メタロセン触媒を用いて調製され、少なくとも50%のメソトリアドを有する。
【0140】
段落[0117]乃至[0139]の任意の1つのポリオレフィン組成物は工業製品でもよい。
【0141】
段落[0140]の特定の工業製品は、日用品、工業用品、建築材料、包装材料、外装部材、及び自動車部品から選択される。
【0142】
段落[0140]の工業製品のより具体的な例としては、フィルム、テープ、シート、繊維、管、パイプ、ホース、ベルト、コーティング、織布及び不織布、防臭弁(trap)、農業用バリア素材、耐久材又は使い捨て包装、キッチンデバイス、及び家庭用製品、家具スポーツ用具、固形タイヤ、スタジアムシート、アミューズメントパークライド、パーソナル保護用品、緊急対応装置、調理用品、台所用品、トレイ、パレット、カート、タンク、チューブ、池の中敷、貯蔵コンテナ、玩具、チャイルドカーシート及びブースターチェアー、医療機器及び用具、旅行カバン、大工工具、ワイヤー及びケーブルジャケット、エレクトロニクスハウジング及び部品、建築構造材料、照明、ガーデニング用具、公園用具、モーターハウジング、ポンプハウジング、バッテリーハウジング、計器ハウジング、スイッチ、ノブ、ボトル、ハンドル、ペット用品、実験用品、家庭用衛生用品、掃除用品、音楽用ケース、像、トロフィー、手工芸品、アクセサリー、写真フレーム、めがねフレーム、植木鉢、銃器用品、バンパー及びバンパーバンド;外装ボディーパネル、ドアパネル、及びグリル;車体側面モールド、側面クラッディング及びモールディング(成形品)エンドキャップ、フード、ラゲージドア、ミラーハウジング、ルーフトラック、タイヤカバー、タイヤリム、タイヤフレア、ハブキャップ、及びロッカーパネル等の外装品;燃料タンク;シートの柱書カバー、コンソール、ドアパネル、支持体、ボトム、ハンドル、及び安全スクリーンを含む内装;内装パネル及びダッシュボード;ニーボルスター;助手席のエアバッグカバー;ヘッドライナー;グローブボックス、トレイ、カップホルダー、コンパートメント、及び蓋、背もたれ、ひじかけ、及び安全ベルト固定装置を含むシート部品;バッテリートレイ及びファンシェード等のアンダーフード製品;エレクトリカルハウジング;並びにドアキャリア、トラックベッドセパレーター、荷台、トランク用品、ウェザーシール、ノイズ及び/又は振動遮断シール及びマウント、ディスク、振動板、カップ、結合部材、管、ホース、ガスケット、オーリング、ベルト、泥除け、スキン、ブーツ、及び送風機を含む構造製品がある。
実施例
【0143】
実施例で用いたPOA及びポリオレフィンをそれぞれ表1及び2に記載した。「cPAO」は高いBIIの不規則分岐の従来のPAOを示す。「rbPAO」は低いBIIの規則分岐PAOを示す。「LAO」はPAOの合成に用いるLAOの炭素数を示す(例えば、10は1−デセンが用いられたことを示し、6/12は1−ヘキサン及び1−ドデセンが用いられたことを示す)。「CLAO」はPAOに取り込まれたLAOのモル平均炭素数を示す。
【0144】
cPAOはSpectraSyn(商標)グレードとしてエクソンモービルケミカルから入手可能である。ポリオレフィンもエクソンモービルケミカルから入手可能である。
【0145】
rbPAOはメタロセン触媒システムを用いて合成された。反応成分の幾つかを以下のように略語で示す:
metA rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル
mtB rac−ジメチルシリルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド
metC rac−ビス(インデニル)ハフニウムジメチル
NCA N,N−ジメチルアニリウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート
MAO メチルアルミノキサン
TNOA トリ−n−オクチルアルミニウム
TIBA トリ−イソブチルアルミニウム
【0146】
rbPAO−1乃至rbPAO−6は連続溶液相工程において1−デセンから合成される。この1−デセン及びトルエンを5Åモレキュラーシーブを通して精製した。触媒溶液はトルエン溶液においてmetA及びNCAを等量を予備混合して溶液1ml当たり0.8マイクロモル触媒を含むように調製した。合成は連続に配置された2つのステンレススチール1リットルオートクレーブロック反応器を含む二反応器システムを用いて行った。この触媒溶液、TNOA溶液、及び精製された1−デセンを連続的に反応器温度における第一反応器へ連続的にくみ上げた。量反応器は同じ温度に維持した。反応生成物は連続的に第二反応器から取り出し、冷却し、及び水で洗浄した。有機層を更に高い温度で蒸留して、任意のダイマー及び形質成分を除去した。rbPAOをその後、4時間、200℃、800psi(5.5MPa)水素分圧で、Ni−on−Kieselguhr触媒を用いて、水素化した。反応条件を表3にまとめた。
【0147】
rbPAO−7乃至rbPAO16はバッチ溶液工程において、単一のLAO又はLAOのブレンドから合成した。LAO原料は2つのうちの1つにより精製した。1)少なくとも2日間、グローブボックスの内で、活性化した13Xモレキュラーシーブの20gと、10gの脱酸素処理触媒とを、1リットルのLAOと混合し、その後、ろ過によりモレキュラーシーブと脱酸素処理を除去する;2)活性化した13Xモレキュラーシーブの床を通してLAO流れをくみ上げ、任意で脱酸素触媒の床を通して、直接反応器に入れる。処理されたLAOは単独又は組み合わせて、原料として好ましい組成物を提供する。この反応器はN雰囲気下でのオートクレーブ反応器で行った、反応の詳細は以下で説明し、表4に記載する。20時間までの反応時間に続いて、反応を3mlのイソプロパノールを添加して、中断し、120mlの5%水酸化ナトリウム溶液及び水で洗浄した。単離された有機層を160℃で蒸留し、1ミリトールの真空で2時間、形質生成物を除去した。これらのrbPAOの合成についての詳細はWO2007/011973、WO2007/011823、WO2007/011459、及びWO2007/011462に記載されている。
【0148】
rbPAO−13乃至rbPAO−16の合成は、反応温度に一定に保たれた反応器に、100gの処理LAO原料、溶液1g当たり20mgのTIBAを含む13gのトルエン溶液、及び溶液1g当たり1mgのmetBを含む溶液1.72gを変更を含む。20gまでのトルエンとトルエン1g当たり1mgのmetBを含むトルエン溶液3.20gを含む溶液を撹拌しながら反応器に添加した。rbPAO−10乃至rbPAO−12の合成は、metCをmetBの代わりに用いた以外は同様である。
【0149】
rbPAO−9の合成は、90gの処理LAO原料が反応器に負荷され、反応温度に加熱し、ついでmetBを1.845mg、トルエン中10重量%MAOを0.858g、及び29gのトルエンを含む触媒溶液を添加することを含む。rbPAO−7及びrbPAO−8の合成は、反応器に導入される触媒溶液が2.0mgのmetD、3.84gのNCA、及び0.1gのTNOAを20gトルエン溶媒に含み、30psiのHが反応器に供給される以外は同様である。




実施例1乃至5
【0150】
実施例1乃至5を表5に記載する。これらのブレンドについて、同様のKV100℃を有するcPAO−1及びrbPAO−1を2つの不混和性ポリオレフィン(ホモポリマーポリプロピレン(hPP)及び特殊プロピレン−エチレンエラストマー(SPE))を含むベースポリオレフィンレジンに添加量が10又は20重量%となるように添加した。不混和性ブレンドの使用することで、両方のポリオレフィン成分のガラス転移におけるPAOの影響を同時に評価することができる。
【0151】
このブレンドを190℃のブラベンダーバッチミキサー(40gスケール)で調製した。hPP及びSPEペレットを結合して、60RPMで1分間溶融し、その後PAOを溶融ポリマーにおけるプーリングを避けるために、ゆっくり添加した。このブレンドを更に5分間、窒素パージ下で撹拌し、その後取り出し、冷却した。温度が制御できるプレスにおいて圧縮成形によりプラークを調製し、次いで、25トンの力を6分間かけ、次いで27°F/分(10℃/分)で、室温まで冷却した。試験する小片をこのプラークからダイカットした。物理的性質を試験方法のセクションで説明した方法を用いて評価した。Tg1及びTg2はそれぞれ、hPP及びSPEに関係する。

【0152】
10重量%の充填レベルにおいて、rbPAOの可塑化効果はcPAO−1の効果に匹敵するものであった。しかしながら、20重量%の充填レベルにおいて、rbPAO−1は、hPP(10対16℃)及びSPE(23対14℃)の両方のTg減少により証明されているように、よりよい可塑剤となっていることが認識される。更に、rbPAO−1は低い放出速度により証明されるように、このブレンドにおいてcPAO−1よりもより耐久性がある。純粋ポリマーに寄与している重量損失の補正後では、20重量%の初期充填レベルにおいて、cPAO−1では、rbPAO−1よりも4倍より大きな重量損失が生じていた(〜3%のcPAO1対%未満のrbPAO−1)。
【0153】
MFR、T、T、t1/2、Hm,polym、及び高度におけるrbPAO−1対cPAO−1の効果の違いは、あったとしても小さいものであった。しかしながら、生じたわずかな違いはcPAO−1に対して、rbPAO−1が好ましいものであった。例えば、rbPAO−1の添加はcPAO−1の添加よりもわずかに高いTg及び短いt1/2を示した。このことは、結晶化性質がわずかに改善されていることを示している。rbPAO−1はcPAO−1と比較して、全ての温度においてより低いE’値(より柔軟で、より堅牢なブレンドであることを示す)を与えた。
実施例6乃至18
【0154】
実施例6乃至18は表6及び7に示した。hPP/PAOブレンドを190℃で、ブラベンダーバッチミキサーで調製した。このhPPを60rpmのロータースピードを用いて、第一に融解し、一方で、約0.1重量%(hPP重量に基づく)のIrganox2215を添加して熱分解を最小限にした。混合速度を30rpmに低めて、PAOを溶融ポリマーにおけるプーリングを避けるためにゆっくりと添加した。混合を5分間続け、いったん全ての液体をブレンドに取り込んだ。最後に、このブレンドを混合器から取り出し、冷却した。212℃の温度、6分間のモールド時間、及び25トンの圧力で圧縮して、こんブレンドを15cm×15cm×3mmのプラークに圧縮成形した。その直後、加熱器のスイッチを切り、この圧力下でこのプラークを15分間、ゆっくり冷却した。試験する小片をこれらのプラークからダイカットした。物理的性質を試験方法のセクションで説明した方法を用いて評価した。


【0155】
予期したように、5重量%のPAOの添加はMFRを高め、曲げ弾性率を減少させ、溶融/結晶化性質、Vicat及び硬度におけるわずかな変化をもたらした。しかしながら、これらはノッチ付きアイゾットインパクト強度おいて、cPAOの驚くべき有害な効果であった。rbPAOではこのような効果は無い、もしくは好転していた。
【0156】
本発明を特定の態様について、説明及び図示してきたけれども、当業者は本明細書には記載されていない多くの異なる変法を行うことができることを理解している。これらの理由のために、本発明の範囲を決定する目的のためには添付の特許請求の範囲を参照すべきである。更に、本発明の特定の特徴は上限値のセット及び下限値のセットの観点から説明されている。これらの限定値の任意の組合せにより形成される範囲は特に言及しない限り、本発明の範囲内である。
【0157】
全ての先行文献はそのような引用が法的に認められている場合には、参照により本明細書に援用される。更に、試験方法を含む本明細書において引用された全ての文献は、そのような引用が認められている法域においては参照により完全に本明細書に援用する。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンポリマー及び規則分岐PAO(rbPAO)の総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則分岐PAO(rbPAO)を含むポリオレフィン組成物であって、前記rbPAOは、
i)3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、
ii)0.40以下の分岐不規則指数(BII)、
iii)6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)、及び
iv)2.3未満のM/Mを有する、1つ以上のC乃至C20アルファオレフィンのオリゴマーを含む、ポリオレフィン組成物。
【請求項2】
ポリオレフィンポリマー及び規則分岐PAO(rbPAO)の総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則分岐PAO(rbPAO)を含むポリオレフィン組成物であって、前記rbPAOは、
i)3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、
ii)0.40以下の分岐不規則指数(BII)、及び
iii)6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)、を有する
1つ以上のC乃至C20アルファオレフィンのオリゴマーを含み、前記組成物はrbPAOが0.40より大きいBII、rbPAOの10%以内のKV100℃、及びrbPAOのCLAOの0.2以内のCLAOを有する不規則分岐PAOと置き換えられた以外は同様の組成物のTGA揮発性の95%未満のTGA揮発性を有している、ポリオレフィン組成物。
【請求項3】
ポリオレフィンポリマー及び規則分岐PAO(rbPAO)の総重量に基づいて、
a)60乃至99重量%の1つ以上のポリオレフィンポリマー、及び
b)1乃至40重量%の規則分岐PAO(rbPAO)を含むポリオレフィン組成物であって、前記rbPAOは、
i)3乃至3000cStの100℃における動粘度(KV100℃)、
ii)0.40以下の分岐不規則指数(BII)、及び
iii)6乃至14のモル平均炭素数(CLAO)、を有する
1つ以上のC乃至C20アルファオレフィンのオリゴマーを含み、前記組成物のガラス転移温度(Tg)はrbPAOが0.40より大きいBII、rbPAOの10%以内のKV100℃、及びrbPAOのCLAOの0.2以内のCLAOを有する不規則分岐PAOと置き換えられた以外は同様の組成物において測定されるTgよりも、PAO10重量%ごとに、少なくとも1℃より多く、ガラス転移温度(T)が低い、ポリオレフィン組成物。
【請求項4】
rbPAOが2.3未満のM/Mを有する請求項2又は3の組成物。
【請求項5】
rbPAOが{0.525+0.625[log(KV100℃)]、式中、KV100℃の単位はcStである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
1つ以上のポリオレフィンポリマーがポリエチレン又はポリプロピレンを含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
1つ以上のポリオレフィンポリマーがプロピレンホモポリマー又はプロピレンとエチレンとのコポリマーを含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
1つ以上のポリオレフィンポリマーがEPエラストマーを含む、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
rbPAOが6乃至150cStのKV100℃を有する、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
rbPAOが10乃至100cStのKV100℃を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
rbPAOが−30℃未満の流動点を有する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
rbPAOが少なくとも150℃の粘度指数を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
rbPAOが150cSt未満のKV100℃及び{−75+22log(KV100℃)−(125/(KV100℃)1.6)}未満の流動点を有し、式中、KV100℃はcStで測定される、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
rbPAOが150cSt未満のKV100℃及び{−72−(120/KV100℃}未満の流動点を有し、式中、KV100℃はcStで測定される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
rbPAOが150cSt未満のKV100℃及び{105(KV100℃)0.13}より大きいVIを有し、式中、KV100℃はcStで測定される、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
rbPAOが少なくとも2つのC乃至C14アルファオレフィンのオリゴマーを含む、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
rbPAOが2つ以上のrbPAOのブレンドであり、最も低いKV100℃に対するもっとも高いKV100℃の比が少なくとも1.5である、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
rbPAOが2つ以上のrbPAOのブレンドであり、少なくとも1つのrbPAOが40cSt以上のKV100℃を有し、少なくとも1つのrbPAOが40cSt未満のKV100℃を有する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
rbPAOが2つ以上のrbPAOのブレンドであり、少なくとも1つのrbPAOが10cSt以上のKV100℃を有し、少なくとも1つのrbPAOが10cSt未満のKV100℃を有する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
rbPAOが0.35以下のBIIを有する、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
rbPAOが0.3以下のBIIを有する、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
rbPAOが一部位配位触媒を用いて調製される、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
rbPAOがメタロセン触媒を用いて調製され、少なくとも50%のメソトリアドを有する、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1乃至23のいずれか1項に記載のポリオレフィン組成物を含む工業製品。
【請求項25】
前記製品が日用品、工業用品、建築部材、包装部材、外層部材、及び自動車部品かわる群より選択される、請求項24に記載の工業製品。

【公表番号】特表2010−535892(P2010−535892A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520015(P2010−520015)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/067084
【国際公開番号】WO2009/020706
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】