説明

可変液体温度を最適化するための方法及び装置

飲料分配のために使用される液体のオンデマンド加熱のための方法、装置(100)、関連する飲料プロファイルであり、このような加熱は適用できるプロファイルにしたがって動的に変えることができる。装置(100)は、加熱ユニット(160)と、電子コントローラ(140)と、検知装置(150、180)とを含んでいる。水タンク(110)は、加熱ユニットも制御するコントローラ(140)によって制御される送水ポンプ(120)を介して加熱ユニット(160)に給水する。フィードバック制御ループは、所定のプロファイルにしたがって所定の飲料タイプのための液体温度を最適化するために制御データをコントローラ(140)に対して与える。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に液体のオンデマンド加熱に関する。特に、本発明は、このような加熱が動的に変えられる飲料分配のためのオンデマンド加熱に関連する方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]セルフサービス自動販売機産業では、多くの自動販売機が加熱混合物を生成するために存在している。多くの場合、同じ自動販売機から単一の給仕パッケージを使用して複数の様々な飲料及びスープが繰り返し生成される。単一の給仕パッケージはそれぞれ、一般に、正確に測った量の乾燥物質を収容するカプセルの形態を成している。1つのこのようなカプセルは、2003年7月24日に発行された国際公開公報第03/059778A2号の中でDenisartらにより示されている。
【0003】
[0003]液体、一般には熱水がカプセルの内容物に対して導入されると、飲料又はスープなどの食品液体が形成される。与えられた食品液体に応じて最良の飲用感を得るために、異なる食品液体は異なる要件を有している。このような要件としては、クレマ/泡量、質感、カップ内温度が挙げられる。また、カップ内温度は泡量及び質感に関連している。
【0004】
[0004]このようなセルフサービス自動販売機でしばしば使用される既存の液体加熱技術は、一般に、全ての製品に関して1つの固定された温度で熱い液体を供給することしかできない。通常、加熱された液体は、ろ過を伴う或いは伴わない公共の給水主管から引き出される水であるが、井戸又は小型貯水槽などの個人的な水源から引き出される水を含む場合もある。全ての製品に関して固定された温度に水を加熱すると、それぞれが最良の品質を有する異なる飲料を生成できる可能性が制限される。また、このようなセルフサービス自動販売機は使われていない間に冷える。したがって、機械が所定の期間にわたって使われていなかった後に生成される飲料の最初の分配では、混合装置自体の熱損失に起因して、カップ内温度が著しく低い状態で飲料が供給され、或いは、水を所望のカップ内温度に到達させるために機械がかなりの暖機運転時間を必要とする。
【0005】
[0005]飲料システムで使用できるオンデマンドヒータ又は即時ヒータが知られている。このようなオンデマンドヒータ又は即時ヒータは、一般に、予熱時間を要することなく正確な水温を与えることができる加熱アセンブリとして規定される。このようなヒータは、一般に、電気抵抗器又は加熱カートリッジ(例えばCalrods(登録商標))等の加熱部品を含んでいる。この場合、最初の加熱部品は、望まれる最終設定温度よりも低い設定温度範囲内に水を加熱するように制御され、第2の加熱部品は、最初の設定温度から最終設定温度へと水を調整又は微調整するように制御される。Calrods(登録商標)又はセラミック絶縁型加熱素子に基づかず、むしろ厚膜技術に基づく他の種類の即時ヒータも存在する。このようなヒータは、2002年10月1日にYoakimらに対して発行された米国特許第6,459,854号により示され或いは2004年1月22日に発行された国際公開公報第2004/006742号の中でBoussemartらにより示されるような厚膜型抵抗器が印刷された中空環状部材によって形成されてもよい。
【0006】
[0006]したがって、既存のセルフサービス自動販売機に伴う問題を克服する食品液体を分配するためのシステムを提供することが望ましい。そのため、任意の温度の熱い液体/水を供給でき且つ理想的にはこのような温度を動的に変えることができるオンデマンドヒータの組み込みにより利益を得る、改良された飲料分配システムを提供することが望ましい。必要なものは、粉末/液体の効率的な溶解、カプセル内での泡の形成、飲料がカップ内へ流れている間の熱損失の補償という観点から、改善されたクレマ/泡及びカップ内温度を与えることができるように最適化され改良された飲料分配システムである。
【発明の概要】
【0007】
[0007]本発明の目的は、これまでの浸出機の少なくとも1つの欠点を未然に防ぐこと或いは緩和することである。
【0008】
[0008]第1の態様において、本発明は、飲料機内の可変液体温度を最適化するための装置であって、通過して流れる液体を加熱するための加熱ユニットと、上記加熱ユニットを作動させるための電源と、上記加熱ユニットを通過する上記液体の流量及び/又は上記電源により上記加熱ユニットに対して供給される入力電力を可変制御するための電子コントローラと、検知データを上記電子コントローラに対して供給するためのフィードバック手段とを備え、上記流量及び/又は上記入力電力は、所定の加熱レベル及び/又は所定の流量での所定の加熱レベルを表すプロファイルにしたがって上記検知データに応じて上記電子コントローラにより変えられる装置を提供する。
【0009】
[0009]第2の態様において、本発明は、飲料機内の可変液体温度を最適化するための方法であって、所定の飲料タイプに関連し、一連の目標温度及び/又は目標流量を含むプロファイルを開始するステップと、加熱ユニットにより加熱される加熱液体の温度を得るステップと、随意的に上記加熱液体の流量を得るステップと、上記プロファイルにしたがって所定の時間にわたり上記温度及び/又は上記流量を変更するステップとを備える方法を提供する。
【0010】
[0010]第3の態様において、本発明は、飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、飲料製品を形成するために上記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、上記第1の温度よりも低く、上記可溶性成分によって上記飲料製品を浸出するための第2の温度とを含むプロファイルを提供する。
【0011】
[0011]第4の態様において、本発明は、飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、飲料製品を形成するために上記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、上記第1の温度よりも低く、上記可溶性成分によって上記飲料製品を浸出するための第2の温度と、上記第2の温度よりも高く、上記飲料製品の望ましい特性を高めるための第3の温度と、上記第3の温度よりも高く、上記可溶性成分のほぼ全ての残留物を排出するための第4の温度とを含むプロファイルを提供する。
【0012】
[0012]第5の態様において、本発明は、電子メモリ内に具現化され且つ飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、飲料製品を形成するために上記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、上記第1の温度よりも低く、上記可溶性成分によって上記飲料製品を浸出するための第2の温度と、上記第2の温度よりも高く、上記飲料製品の望ましい特性を高めるための第3の温度と、上記第3の温度よりも高く、上記可溶性成分のほぼ全ての残留物を排出するための第4の温度とを含むプロファイルを提供する。
【0013】
[0013]第6の態様において、本発明は、電子メモリ内に具現化され且つ飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、飲料製品を形成するために上記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、上記第1の温度よりも低く、上記可溶性成分によって上記飲料製品を浸出するための第2の温度とを含むプロファイルを提供する。
【0014】
[0014]本発明の他の態様及び特徴は、添付図面と併せて本発明の特定の実施形態の以下の説明を検討すると、当業者にとって明らかとなる。
【詳細な説明】
【0015】
[0015]ここで、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を単なる一例として説明する。
【0016】
[0016]一般に、本発明は、始動時の熱損失、電気供給変動、飲料選択、浸出特性を少なくとも含んでもよい基準に応じて可変液体温度を動的に与えるための方法及び装置を提供する。したがって、本発明により、分配される製品の質が改善され、顧客に与える魅力が高まる。
【0017】
[0017]図1を参照すると、可変液体温度を与えるための加熱装置100が浸出ユニット200及び分配カップ300と共に示されている。浸出ユニット200がスープ、コーヒー、茶、ホットココア又は任意の同様の加熱食品液体を供給する任意の周知のタイプのセルフサービス自動販売機であってもよいことは言うまでもない。説明のため、加熱装置100が浸出ユニット200とは別個に示されているが、加熱装置を浸出ユニットと一体化させることも本発明の意図する範囲内である。また、加熱装置100が自己完結型のもので浸出ユニット200とは別個のものである場合には、浸出ユニットの様々な製造メーカ間での互換性が高められ、一方、加熱装置100と浸出ユニット200とが一体化されている場合には、費用効率及びコンパクト性が高められることは明らかである。また、分配カップ300は、分配される加熱食品液体を保持するために使用できる任意の容器であってもよいことは言うまでもない。したがって、このような分配カップ300は、再使用できる使い捨て可能なセラミック、金属、紙、プラスチック又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。このような分配カップ300は、ユーザによって提供されてもよく、或いは、本発明を組み込むセルフサービス自動販売機全体の一部を形成する容器分配器から提供されてもよい。したがって、浸出ユニット200及び分配カップ300に関連する詳細な内容については、これらが関連するセルフサービス自動販売機の与えられた使用及び用途にしたがって変化する場合があるため、詳しく説明しない。このような実施内容も当業者の範囲内であり、したがって、以下の説明は、主に、可変液体温度を最適化するための加熱装置100及び関連する方法に関するものである。
【0018】
[0018]図1に示される加熱装置100を更に参照すると、水タンク110が設けられている。水タンク110には、個人の備品(例えば、ウォータークーラ)或いは地方自治体の水道水システム等の任意の周知の方法(図示せず)によって水が供給されるが、これに限定されない。水タンク110は、送水ポンプ120を介して加熱ユニット160へと引き上げられる冷水の備蓄給水源としての役目を果たす。送水ポンプ120は、電子コントローラ140により制御されるポンプ電源130によって給電される。電子コントローラ140は加熱ユニット160も制御する。電子コントローラ140と、水流量計測器150及び温度センサ180の両方との間にはフィードバック制御ループが存在する。水流量計測器150は送水ポンプ120と加熱ユニット160との間に位置している。温度センサ180は加熱ユニット160と浸出ユニット200との間に位置している。浸出ユニット200は、セルフサービス自動販売機の当業者に良く知られた方法で、加熱装置100から供給される熱水から食品液体を形成し、それにより、食品液体をカップ300又は類似の容器内へ分配する役目を果たす。
【0019】
[0019]電子コントローラ140は本発明の装置及び方法の重要な特徴部分である。前述したように、水流量及び温度は、適切な温度及び水流量を保つために検知されて電子コントローラ140へフィードバックされる2つの基準である。生成される食品液体によって適切な温度及び水流量が異なることが分かってきた。例えば、1つの特定の食品液体においては低温でのゆっくりとした浸出が望ましい場合があるが、異なる食品液体においては高温での速い浸出が望ましい場合がある。これは、様々な挽き具合のコーヒーの中でさえはっきりとしている。
【0020】
[0020]背景の部分で前述したように、従来技術の加熱装置は、異なる食品液体又は加熱に影響を及ぼす場合がある他の変数に関係なく、1つの温度を与えるように設計されている。一方、本発明は、最適化された可変液体温度を与えるために幾つかの変数を考慮に入れることができる。本発明にしたがって浸出するカプチーノにおいては、一定温度で浸出する従来と比べて、細かい気泡及び明るい色を有する泡を伴って平均15−25%の泡の増量が可能である。本発明にしたがって浸出するエスプレッソにおいては、一定温度で浸出する従来と比べて、平均20−30%の泡の増量が可能であるとともに、クリーミー性を高めることができる。更に、本発明にしたがって浸出するホットチョコレートにおいては、一定温度で浸出する従来と比べて、使用後にカプセルに残る残留物が最小になる。
【0021】
[0021]セルフサービス自動販売機に関して生じる変数としては、このような自動販売機が受けることができる使用量及び分配間の時間を挙げることができる。これらの変数は、浸出ユニット200の内部構造の温度上昇と直接同一視できる。例えば、与えられた浸出ユニット200が午前中に30分間にわたって繰り返し使用される場合には、浸出ユニット200の物理的な内部構造が熱吸収性を持つように、浸出ユニットが冷えた状態であったときに最初の使用が行われるのは明らかである。30分の終わりに浸出された最後のカップにより、浸出ユニット200が温められた状態となり、それにより、浸出ユニット200の物理的内部構造が熱飽和されることは明らかである。このような熱変動が浸出された製品の品質に直接に影響を与えることが分かった。更にまた、幾つかのタイプの浸出ユニット200は、それを通じて流れる熱水から伝えられる熱を容易に吸収して保持することができ、一方、他のタイプのものは、それを通じて流れる熱水の温度及び流れが比較的変化しないように熱を通すことができる。
【0022】
[0022]日時に基づく給電因子を含む更に他の変数が存在し得る。実際に、壁コンセントから得られる電源電圧が日時にしたがって変化する場合があることは良く理解されている。しばしば、このような変化は、用途に基づいた電力網に対する負荷要求に起因している。会社員が自分達の仕事を始める前の朝の時間帯には、コンピュータ、プリンタ、コピー機がそれらの最大負荷で未だ作動していない場合がある。しかしながら、このような負荷要求は昼近くまでに増大する。これらの要求の変動は、セルフサービス自動販売機で使用されるような電気抵抗ヒータなどの装置を含む特定の電気機器に影響を与える。容易に利用できる電圧という点からコンセントからの電力供給が減少されると、典型的な抵抗ヒータのヒータ容量が減少される。したがって、一般的な浸出タイプのセルフサービス自動販売機に対して与えられるヒータ容量は日時にしたがって変化する。
【0023】
[0023]加熱ユニット160は、電子コントローラ140及び関連するフィードバックを介して任意の温度の熱い液体/水を浸出ユニット200に対して供給できるオンデマンドヒータである。熱い液体/水の温度は、動的に調整されるとともに、最良のクレマ/泡及びカップ内温度の準備のために最適化される。水温度の最適化は、粉末/液体の効率的な溶解、カプセル内での泡の形成、飲料の浸出中及び飲料をカップ内に流し込む最中における任意の熱損失の補償に関して達成される。したがって、加熱ユニット160は、予め設定された任意の温度の加熱液体を動的に供給することができる。また、本発明の加熱装置100全体は、供給される電圧の変化、カプセルの違いに起因する液体流量、機械に起因する想定し得る熱損失、関連する浸出ユニットのタイプ、浸出される食品液体のタイプを考慮に入れて補償してもよい。
【0024】
[0024]先に示唆したように、電子コントローラ140の使用により、アクティブフィードバックループが所望の流量及び温度を監視して維持できるだけでなく、流量及び温度に所定の変動を生じさせることができる。本発明の電子コントローラ140は水流量及び温度を制御するプログラマブル回路を含んでいる。コントローラの技術でよく知られているように、このような回路は、読み取り専用であってもよく或いは読み書きできてもよい電子メモリ(図示せず)を有するコンピュータチップ(つまり、集積回路すなわちIC)の形態を成していてもよい。このようなICは、このような電子メモリ内に特定のプロファイルをプログラムするようになっている。各プロファイルは、以下で更に詳しく説明するように、浸出される所定のタイプの食品液体のための予め定められた加熱仕様を含んでいる。また、プロファイルは、加熱装置100に付随する浸出ユニット200のタイプに基づいて電子コントローラ140により調整されてもよい。プロファイルに対する更なる調整は、日時に起因して行われてもよく、或いは、加熱装置100への供給電圧の直接検知される電圧変動に起因して行われてもよい。後者の場合には、更なる供給電圧センサ(図示せず)が設けられる。
【0025】
[0025]ここで、電子コントローラ140のプログラマブル回路によって記憶されるプロファイルについて説明する。最良の泡立ち結果を得るため、加熱装置100は浸出処理の初めに高温の熱い液体を供給する。これにより、カプセル内の全ての粉末材料が可能な限り速く溶解される。その後、加熱装置100は、低温の温液を供給して、更に濃厚で安定した泡をカップ300内に形成する。高温と低温との間の差は電子コントローラ140によって管理されるため、最終的な飲料のカップ内温度は平均的な消費者にとって最適(例えば、望ましい飲める温度)である。
【0026】
[0026]一例として、カプチーノ飲料の場合、カプセルは、可溶性のコーヒー粉末とミルク粉末との混合物を収容している。粉末を溶かして飲料液体及び特定の量の泡を形成するため、水がカプセル内へ高温で注入される。このようなカプチーノ飲料を浸出するためのプロファイルが図2Aに示されている。熱水の温度は、最初、カプセル内での急速な粉末溶解及び熱損失補償のため、予め90℃に設定される。90℃での水流は50mlが処理されるまで行われる。その後、浸出のため、更に50mlが処理されるまで水温が75℃に低下される。浸出後、発泡のために、更に50mlが処理されるまで温度が85℃へと上昇される。その後、残った物質をカプセルから排出するために、水が85℃よりも高い温度に加熱されてもよい。好ましい排出温度は85℃〜95℃の範囲であり、このような範囲は、生成された泡を破壊しないように選択される。
【0027】
[0027]同じ原理は、最適な風味、品質、泡質、量を伴うエスプレッソを含む他の飲料の生成に適用することができる。図2Bは、エスプレッソ飲料を浸出するのに適したプロファイルを示している。このような場合、熱水の温度は最初に85℃に設定される。85℃の水流は、25mlが処理されるまで行われる。その後、細かく挽いたエスプレッソ材料を浸出するため、更に25mlが処理されるまで温度が75℃へ下げられる。その後、クレマ生成のため、更に25mlが処理されるまで温度が80℃へ上げられる。カプチーノプロファイルと同様に、その後、残った物質をカプセルから排出するために、水が80℃よりも高い温度に加熱されてもよい。エスプレッソにとって好ましい排出温度は80℃〜85℃の範囲であり、このような範囲は、生成されたクレマを破壊しないように選択される。
【0028】
[0028]更にまた、図2Cは、リーフティーカプセルの最良の抽出結果におけるプロファイルを示している。このようなプロファイルは、リーフティーが熱を吸収するときに、最初の抽出のため、最初の水温を95℃まで上昇させる。その後、あまり多くの好ましくない材料をリーフティーから抽出しないように、熱い液体の温度が90℃まで下げられ、その結果、良好な風味のある飲料が得られる。茶の分配のこの例は、加熱装置100が最初に95℃の熱水を供給した後に90℃の熱水を供給して設定された量にすることを明らかにしている。
【0029】
[0029]以上、図2A〜2Cに関して特定の飲料におけるプロファイルの3つの特定の例を図示して説明したが、他の飲料が異なる独自のプロファイルを利用してもよいことは言うまでもない。このような様々なプロファイルは、本発明の意図する範囲から逸脱することなく可能である。
【0030】
[0030]プロファイルのこの説明から分かるように、加熱装置100は、特定の浸出ユニットの飲料タイプボタンから成される要求に基づいて予め設定されたプログラムに従う加熱機能を含んでもよい。しかしながら、前述したように、プロファイル自体は、日時、浸出ユニットのタイプ、使用パターン、又は、加熱ユニット160の動作又は加熱特性を変更できる任意の他の変数を補償するように更に修正(すなわち、最適化)されてもよい。厳密に言えば、前述した温度値が前述した製品における分配温度の単なる例であることは言うまでもない。これらの例は、これらの製品又は他の製品のパラメータを制限すべきではない。なぜなら、これらのパラメータは与えられた用途に基づいて代わる場合があるからである。例えば、一般の人々が利用できる商業施設における任意の所定の飲料(例えばホットココア)にとって望ましい給仕温度が、小学校のカフェテリアにおける同じ飲料にとって望ましい給仕温度とは異なる場合がある。
【0031】
[0031]本発明の動作において、電子コントローラ140は、どの製品が生成されるかに応じて熱水温度を制御するために1組のプログラムを開始する。これは、ユーザ入力により、例えば本発明を組み込むセルフサービス自動販売機全体におけるどのボタンが押されたかに応じて行われてもよい。或いは、これは自動検出機構によって行われてもよく、その場合には、本発明を組み込むセルフサービス自動販売機全体が、物理的、化学的又は電子的な検知により、飲料浸出のために何の製品が使用されるのかを検出する。温度センサ180は、熱水温度を測定するとともに、信号を電子コントローラ140へ送り戻す。水流量計測器150は信号を電子コントローラ140へ送り、また、電子コントローラ140は熱水温度を目標温度と比較する。無論、目標温度は、所定の飲料における熱水温度プロファイルにしたがって変わる。電子コントローラ140は、水流量及び検知された熱水温度に基づいて必要とされる任意の温度修正を計算する。また、電子コントローラ140は、日時、浸出ユニットのタイプ、検知された供給電圧変動などに基づいて必要とされる任意の温度修正を計算してもよい。したがって、更なる検知装置及び電子コントローラ140への更なる関連するフィードバックループが必要とされてもよいことは容易に理解されるべきである。その後、電子コントローラ140が制御信号をヒータ電源170へ送り、それにより、加熱ユニット160は、熱水が目標温度に達するように加熱エネルギを増大/減少させ及び/又はポンプ電源を制御して水流量を増大/減少させる。この制御サイクル自体は、任意の予め設定された温度プロファイルに従うように熱水が供給されるべく、1秒間に数回連続的に繰り返す。
【0032】
[0032]先に示唆したように、飲料分配機におけるカプセルの浸出原理又は溶解原理は、異なるカプセル及び異なる浸出ユニットに関して多くの変化を網羅することができる。本発明は、2002年10月3日に発行された国際公開公報第02/076270号の中でMajer Doglioniにより示されるようなタイプの浸出ユニットによる飲料生成に適している。このような浸出ユニットは、カプセルを収容するように設計されたシートを有する収集装置を含む。その場合、プランジャが開口を通じてカプセルの底部内に入り、カプセル内の粉末を溶かす水がカプセルの上端を通じて注入され、その後、プランジャの表面と開口の縁部との間で飲料が層流状態で解放される。例えばOlivierらに対して発行され且つ1996年4月24日に公開された欧州特許第0512470B1号に記載されるようなNespresso(登録商標)カプセルシステムや、国際公開公報第2003/059778号に記載されたマルチ飲料カプセルシステム、或いは、伝統的なキャニスタ、投与手段、混合ボールを有する一般的な粉末飲料分配機などの他の浸出ユニットは、本発明の使用によって利益を得ることができる。このような浸出ユニットと共に本発明を使用することにより、様々な温度のホット飲料を供給できる能力を有する有利な高性能のホット飲料システムが得られ、このようなシステムは、所定のセルフサービス自動販売機における電圧、流量、熱損失の変化を考慮に入れて、粉末再構成、溶解、泡立ち(或いは、発泡防止)の最良の結果を出すために、それ自体を最適化して熱い液体を供給できる。
【0033】
[0033]本発明の前述した実施形態は、単なる一例となるように意図されている。添付の請求項によってのみ規定される本発明の範囲から逸脱することなく当業者により特定の実施形態に対して変更、改良、変形が行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】浸出ユニット及び分配カップを伴う本発明に係る加熱装置の一般的な概略図である。
【図2A】本発明にしたがった第1のタイプの分配飲料のための加熱プロファイルである。
【図2B】本発明にしたがった第2のタイプの分配飲料のための加熱プロファイルである。
【図2C】本発明にしたがった第3のタイプの分配飲料のための加熱プロファイルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料機内の可変液体温度を最適化するための装置であって、
通過して流れる液体を加熱するための加熱ユニットと、
前記加熱ユニットを作動させるための電源と、
前記電源により前記加熱ユニットに対して供給される入力電力を可変制御するための電子コントローラと、
検知データを前記電子コントローラに対して供給するためのフィードバック手段と、
を備え、
前記入力電力が、所定の加熱レベルを表すプロファイルにしたがって前記検知データに応じて前記電子コントローラにより変えられる、装置。
【請求項2】
前記プロファイルが、異なるプロファイルの群から選択することができ、前記異なるプロファイルのそれぞれが飲料タイプに関連している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記飲料タイプが前記飲料機の使用者によって選択されることにより、前記電子コントローラによって使用される前記プロファイルが決定される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記飲料タイプが前記飲料機によって決定されることにより、前記電子コントローラによって使用される前記プロファイルが決定される、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記検知データが日時を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記検知データが最後の浸出からの時間を更に含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記検知データが、前記電源の供給電圧の変動を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記電子コントローラが、前記加熱ユニットを通過する前記液体の流量も可変制御し、前記流量も、所定の流量での前記所定の加熱レベルを表す前記プロファイルにしたがって前記検知データに応じて前記電子コントローラにより変えられる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記フィードバック手段が、
前記加熱ユニットを通過する前記液体の流量に関連する流量フィードバックデータを与えるための流量計測器と、
前記加熱ユニットから流れる前記液体の加熱温度に関連する温度フィードバックデータを与えるための温度センサと、
を含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィードバック手段が、前記加熱ユニットから流れる前記液体の加熱温度に関連する温度フィードバックデータを与えるための温度センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
飲料機内の可変液体温度を最適化するための方法であって、
所定の飲料タイプに関連し、一連の目標温度を含むプロファイルを開始するステップと、
加熱ユニットにより加熱される加熱液体の温度を得るステップと、
前記プロファイルにしたがって所定の時間にわたり前記温度を変更するステップと、
を備える方法。
【請求項12】
前記開始ステップが前記飲料機の使用者により達成され、前記プロファイルが電子コントローラによって記憶される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電子コントローラが前記変更ステップを行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記変更ステップが、前記加熱ユニットへの供給電圧の変動に応じて前記温度を最適化する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記変更ステップが、日時の決定及び最後の浸出からの時間に応じて前記温度を最適化する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記変更ステップが、日時の決定及び最後の浸出からの時間に応じて前記温度を最適化する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記変更ステップが、浸出機のタイプの決定に応じて前記温度を最適化する工程を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記加熱液体の流量を得るステップを更に含み、
前記変更ステップが、前記プロファイルにしたがって所定の時間にわたり前記流量を変更する工程を含み、
前記プロファイルが一連の目標流量を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記変更ステップが、前記加熱ユニットへの供給電圧の変動に応じて前記温度及び前記流量を最適化する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記変更ステップが、日時の決定及び最後の浸出からの時間に応じて前記温度及び前記流量を最適化する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記変更ステップが、日時の決定及び最後の浸出からの時間に応じて前記温度及び前記流量を最適化する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記変更ステップが、浸出機のタイプの決定に応じて前記温度及び前記流量を最適化する工程を更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
電子メモリ内で具現化され且つ飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、
飲料製品を形成するために前記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、
前記第1の温度よりも低く、前記可溶性成分によって前記飲料製品を浸出するための第2の温度と、
前記第2の温度よりも高く、前記飲料製品の望ましい特性を高めるための第3の温度と、
前記第3の温度よりも高く、前記可溶性成分のほぼ全ての残留物を排出するための第4の温度と、
を含むプロファイル。
【請求項24】
前記第1、第2、第3の温度がそれぞれ所定の液体流量にわたって発生する、請求項24に記載のプロファイル。
【請求項25】
前記第1の温度が90℃であり、前記第2の温度が75℃であり、前記第3の温度が85℃であり、前記所定の液体流量が温度発生毎に50mlである、請求項24に記載のプロファイル。
【請求項26】
前記飲料製品がカプチーノ飲料であり、前記望ましい特性が前記カプチーノ飲料の泡生成である、請求項25に記載のプロファイル。
【請求項27】
前記第1の温度が85℃であり、前記第2の温度が70℃であり、前記第3の温度が80℃であり、前記所定の液体流量が温度発生毎に25mlである、請求項24に記載のプロファイル。
【請求項28】
前記飲料製品がエスプレッソ飲料であり、前記望ましい特性が前記エスプレッソ飲料のクレマ生成である、請求項27に記載のプロファイル。
【請求項29】
電子メモリ内で具現化され且つ飲料機内の可変液体温度により可溶性成分の特性を最適化するために使用されるプロファイルであって、
飲料製品を形成するために前記可溶性成分の溶解を高めるための第1の温度と、
前記第1の温度よりも低く、前記可溶性成分によって前記飲料製品を浸出するための第2の温度と、
を含むプロファイル。
【請求項30】
前記第1の温度が95℃であり、前記第2の温度が90℃であり、前記第1及び第2の温度が、温度発生毎に75mlの所定の液体流量にわたって発生する、請求項29に記載のプロファイル。
【請求項31】
前記飲料製品がリーフティー飲料である、請求項30に記載のプロファイル。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2008−518700(P2008−518700A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539537(P2007−539537)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011810
【国際公開番号】WO2006/050856
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】