説明

可撓性のある複合エラストマーポリウレタンスキンの製造方法

本発明は、第1及び第2ポリウレタン反応混合物を互いに噴霧することによって得られる第1(1)及び第2(4)の可撓性のあるポリウレタン層を含む可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンの製造方法に関する。第1反応混合物は、鉛を含まず、35MPa未満の曲げ弾性率を有するポリウレタンエラストマーを生成するために配合された脂肪族ポリウレタン反応混合物である。第2反応混合物は、より小さい曲げ弾性率を有するポリウレタンエラストマーを生成する芳香族ポリウレタン反応混合物である。脂肪族ポリウレタン層の厚さは、複合スキンが30MPa未満の平均曲げ弾性率を有するように、芳香族ポリウレタン層の厚みに対して小さく作ることができた。脂肪族ポリウレタン反応混合物の低い反応性にもかかわらず、特に「ゴムのような感触」及びVOCの放出及び/又は高い可撓性を達成するための軟化剤を低減するために高いNCO-指数を用いる場合に、脂肪族ポリウレタン層に対して十分に早く芳香族ポリウレタンを噴霧したときに観測される促進された硬化により、十分に短いサイクル時間を達成することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに接着する第1及び第2の可撓性のあるポリウレタン層を含む、可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンの製造方法に関する。前記ポリウレタン層は、それぞれ第1及び第2曲げ弾性率を有し、これらの2つの層から構成される前記スキンは、30MPa未満、好ましくは25MPa未満、より好ましくは20MPa未満の平均曲げ弾性率を有する。第1ポリウレタン層は、第1ポリウレタン反応混合物を金型表面に噴霧することによって得られ、第2ポリウレタン層は、第2ポリウレタン反応混合物を第1ポリウレタン反応混合物の層の少なくとも一部に噴霧することによって得られる。芳香族ポリイソシアナートは、脂肪族ポリイソシアナートよりも可撓性のあるポリウレタンエラストマーを達成することができるために、第2ポリウレタン反応混合物は少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートを含む。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンスキンは、主に自動車の内装品、より詳細には計器パネル、ドアパネル、コンソール、グローブボックスのカバーなどで使用される。前記用途では、ポリウレタンスキンは、エラストマースキンと硬質基板との間に位置している中間体の半硬質バックフォーム(backfoam)層によって前記基板に接着する。このバックフォーム層は、200kg/m3未満、通常120〜180kg/m3の間の密度を有する。前記バックフォーム層により、ポリウレタンスキンを弾性的にくぼませることができ、その結果内装品に柔らかい手触りを与える。エラストマーポリウレタンスキンの基本的特徴は、この点において、十分に可撓性でなければならない(すなわち、少なくとも30MPa未満の曲げ弾性率を有していなければならない)。
可撓性のあるエラストマーポリウレタンスキンを噴霧するための適切なポリウレタン反応混合物は、例えばEP-B-0 379 246に開示されている。この特許に開示された組成物は、脂肪族イソシアナートをベースとし、スキンの変色を避けるために金型内のコーティング(又はポストペインティング工程(post-painting step))を必要としない光安定ポリウレタンを生じる。この特許の教示に従って製造されたColo-Fast(商標)脂肪族ポリウレタン配合物(Polyfast(商標)及びIsofast(商標)ブレンドを含む:Recticelの商品名)は、20〜30MPaの曲げ弾性率(ASTM D790-03に従って測定される)を有する可撓性のあるポリウレタンスキンを得ることができた。これらの配合物は、さらに典型的には180秒未満である相対的に短い硬化時間を有した(すなわち、これらの配合物で生成されたスキンは、スキンの残留変形(remaining deformation)を生成することなく、金型表面から取り出すことができるような硬化時間内で十分な生強度を有する)。
【0003】
しかしながら、これらの脂肪族ポリウレタン配合物に関連する問題は、使用される有機鉛触媒が、環境規制のために、将来的に禁止されることである。有機鉛触媒が、例えば有機ビスマス及び有機スズ触媒の組合せ(さらに有機亜鉛触媒との組合せ)によって置き換えられた代わりの配合物は、現在入手可能である(例えば、WO 2004/000905参照)。また、前記触媒の組み合わせにより、180秒以下の硬化時間を達成できるが、それらは、より硬いポリウレタンスキン、より詳細には約40MPa以上の曲げ弾性率を有するポリウレタンスキンを生じる、いくらか異なったポリウレタンネットワークを生成する。
有機鉛触媒を他の有機金属触媒で置き換えることによる別の不利益は、ポリウレタンエラストマーからの揮発性有機化合物の放出が増加することである。WO 2004/000905に開示されているように、前記放出は、金属原子がオレイル、リノレイル又はリノレニル基のような長鎖有機基に結合した、特定の有機ビスマス又は有機スズ触媒を用いることによって低減できる。しかしながら、実際には、これらの触媒の使用は、添加されるポリオールブレンドの相溶性が低いために加工上の問題を生じる。揮発性有機化合物の放出は、さらにNCO-指数を高めることによっても低減できるが、これは、より硬いポリウレタンエラストマー(例えば、約55MPaの曲げ弾性率を有する)を生じる。
【0004】
脂肪族ポリウレタン配合物からポリウレタンスキンを生成する代わりに、芳香族ポリウレタン配合物、すなわちイソシアナート成分が脂肪族ポリイソシアナートの代わりに芳香族ポリイソシアナートを含む、ポリウレタン配合物から生成することも可能である。例えば、EP-B-1 079 962に開示されているように、前記芳香族ポリウレタン配合物は脂肪族ポリウレタン配合物に対して重要な利点を有する。より詳細には、芳香族ポリウレタン配合物は、高い引っ張り強度及び引裂き強度のようなより良い物理的特性並びにより良い伸び及び「低温捩り」能力を有するポリウレタンエラストマーを生成する。また、それらは安価であり、硬化速度がより速く、その結果成形品の取り出し時間が脂肪族ポリウレタン配合物よりも短い。したがって、それらは、短い成形品の取り出し時間を達成するために有機鉛触媒を必要としない。さらに、それらは、揮発性有機化合物(VOC)を放出しないか、又は少なくとも脂肪族ポリウレタンよりもかなり少ない。
しかしながら、芳香族ポリウレタンエラストマーの不利益は、長時間光にさらされた後、安定性が悪くなり、外側のコーティング層によって日光に直接さらされないようにマスクされなければならないことである。このコーティング層は、好ましくは芳香族ポリウレタン配合物を噴霧する前に金型表面に適用される金型内コーティング層である。コーティング層は溶媒又は水ベースであり、約40μm未満の厚みを有する。溶媒ベース金型内コーティングは揮発性有機化合物(VOC)を放出する不利益を有し、水ベース金型内コーティングは、EP-B-1 079 962に開示されているように熱源を使用したときでさえ、非常に長い乾燥時間を必要とする。
【0005】
1つのポリウレタン層のポリウレタンスキンを生成する代わりに、外側のポリウレタン層(密度が850kg/m3よりも高い)及び発泡ポリウレタン層(密度が100〜750kg/m3である)を含む複合ポリウレタンスキンを生成することは、異なる特許出願、特にUS 2006/0008622及びUS 2006/0091574から公知である。発泡ポリウレタン層は芳香族ポリウレタンエラストマーを含むが、外側のポリウレタン層は芳香族ポリウレタンエラストマー又は脂肪族ポリウレタンエラストマーから生成されてもよい。外側のポリウレタン層が芳香族ポリウレタンエラストマーから生成される場合、日光及び/又は他の紫外光が外側のポリウレタン層に達しないようにするコーティングが依然として必要である。これらの従来技術の文献には、複合ポリウレタンスキンの可撓性について記載されていないが、高い可撓性を有するスキン、詳細には30MPa未満又はさらに小さい曲げ弾性率を有するスキンが生成されるべきである場合には、当業者が芳香族ポリウレタンエラストマーのこれらのUS特許出願全体に開示された複合スキンを生成することは明らかであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い可撓性を有する、すなわち曲げ弾性率が30MPa未満又はさらに小さく、鉛を含まないが複合ポリウレタンスキンを光安定にするためにコーティング層を必要としない複合ポリウレタンスキンを生成する新しい方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の方法は、以下の点を特徴とする:
−第1ポリウレタン層を生成するために使用される第1ポリウレタン反応混合物は、少なくともイソシアナート成分、イソシアナート反応成分及び触媒成分を含む成分から構成され、イソシアナート成分は、芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を有する少なくとも1つのイソシアナートから構成され、触媒成分は実質的に鉛を含まず;
−第1ポリウレタン層の曲げ弾性率は前記平均曲げ弾性率よりも大きいが、35MPa未満、好ましくは30MPa未満であり;
−第2ポリウレタン層の曲げ弾性率は複合スキンの平均曲げ弾性率よりも小さく;及び
−第1及び第2ポリウレタン反応混合物は、第1ポリウレタン層が0.1kg/m2よりも大きい第1目付を有し、かつ、第2ポリウレタン層が0.3kg/m2よりも大きい第2目付を有するような量で噴霧され、第1及び第2目付の比がさらに前記平均曲げ弾性率が達成されるように選択される。
【0008】
第1又は外側のポリウレタン層が脂肪族ポリウレタン層である事実により、光安定性とするためにコーティングを必要としない。したがって、金型内コーティングを噴霧するための別の噴霧装置を用意する必要はない。さらに、金型内コーティングの溶媒(水ベースであってもよい)を急速に蒸発させるのに必要な追加のサイクル時間はなく、第1ポリウレタン反応混合物及びその後の第2反応混合物もすぐに噴霧できる。本発明によれば、相対的に堅い脂肪族ポリウレタン層が最大35MPaの曲げ弾性率を有する場合であっても、30MPa未満又はさらに小さい曲げ弾性率を有する複合エラストマーポリウレタンスキンが脂肪族ポリウレタン層とより柔軟な芳香族ポリウレタン層とを組み合わせ、脂肪族ポリウレタン層を芳香族ポリウレタン層に対して十分に薄くすることによって生成できることがわかった。また、複合ポリウレタンスキンからの揮発性有機化合物の放出が同じ厚みを有するがすべて脂肪族ポリウレタンエラストマーから作られたポリウレタンスキンと比較してかなり減少していることがわかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の方法の好ましい実施態様では、第2ポリウレタン反応混合物の噴霧は、第1ポリウレタン反応混合物の噴霧を止めた後遅くとも90秒、好ましくは遅くとも60秒で開始する。
さらに驚いたことに、第2芳香族ポリウレタン反応混合物を第1反応混合物上に、第1反応混合物を硬化する前に、噴霧する場合、第1反応混合物の硬化が加速されることがわかった。この知見についての可能な説明は、第2ポリウレタン反応混合物のより反応性の高い成分が第1ポリウレタン反応混合物の層中に入り込むことができ、その結果いくらか互いに浸透しあうポリウレタンネットワークが形成されることである。第1ポリウレタン層の硬化を加速することの重要な利点は、生成サイクル時間を増大させることなく第1ポリウレタン層のためにより反応性の低いポリウレタン配合物を使用できることである。実際に、第2芳香族ポリウレタン層の噴霧及び硬化は、とにかく最小限の時間を必要とする(例えば、180秒又はいくらか多く)。したがって、当業者は、脂肪族ポリウレタンエラストマーの可撓性を大きくし、及び/又はその放出を少なくするためにポリウレタン配合物を変更する場合、最大硬化時間によって妨げられないか、又はわずかに妨げられる。実際のところ、より可撓性であるポリウレタン配合物は、堅いポリウレタン配合物よりも架橋性が少なくてよく、したがって一般に反応性が小さい。放出に関しては、第1層を生成するためのPU反応混合物における有機金属触媒の量を簡単に減らすことができ、その結果揮発性有機化合物のより少ない放出が達成される。一部の有機金属触媒、特に有機スズ触媒を減らすことさえできる。
【0010】
本発明の方法の有利な実施態様では、第1ポリウレタン反応混合物のイソシアナート反応成分は、第1ポリウレタン層の曲げ弾性率を小さくする軟化剤を含む。軟化剤は、少なくとも1つのイソシアナート反応基を含み、さらに前記イソシアナート反応基よりも反応性の小さいイソシアナート反応基をさらに1つ以上含んでもよく、その少なくとも一部はポリウレタン反応混合物の硬化の際にイソシアナート基と反応せず、軟化剤は、より好ましくはただ1つのイソシアナート反応基を含む単官能基の軟化剤を含む。軟化剤は通常ポリオールブレンドに添加されるが、またイソシアナートブレンドに添加されてもよい。軟化剤の量はポリイソシアナートの量よりもかなり少ないため、ポリイソシアナートの生成された付加生成物及び軟化剤の大部分は、依然としてフリーNCO-基を有し、その結果ポリウレタンネットワークに組み入れられる。
軟化剤の存在は、反応混合物の硬化時間を増加させるが、第2芳香族ポリウレタン反応混合物を十分に早く噴霧する場合、硬化時間は、先に説明したとおり、両反応混合物間の相互作用により短くなる。
【0011】
本発明の方法のさらに別の有利な実施態様では、第1ポリウレタン反応混合物は有機ビスマス触媒を含み、実質的にスズを含まないか、又は600ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは200ppm未満のスズを含む。
有機スズ触媒は、重合反応の最後で有効な硬化を与えるために主に有効であるが、有機ビスマス触媒は早い初期効果を提供するため、特に有機スズ触媒の量を減らすことができ、有機スズ触媒をさらになくすことができることがわかった。
本発明の方法のさらに別の有利な実施態様では、前記第1ポリウレタン反応混合物のイソシアナート成分及びイソシアナート反応成分は90よりも高い、好ましくは95よりも高い、より好ましくは100よりも高い、最も好ましくは105よりも高いNCO-指数に従って反応させることができ、NCO-指数は、好ましくは120未満である。
そのような高いNCO-指数は、また反応混合物の硬化時間も増加させる。しかしながら、それらはより完全なポリウレタンネットワークを達成することができ、それによってポリウレタンエラストマーからの揮発性化合物の放出を減らすことができる。高いNCO-指数は、ポリウレタンエラストマーの望まれていない「ゴムのような」感触も低減することがわかった。それらが、ポリウレタンエラストマーの可撓性に対して悪影響を与える事実により、軟化剤と組合せて使用することが好ましい。もちろん、これは、より長い硬化時間をもたらすが、先に説明したように、硬化時間は、部分的にのみ硬化した第1ポリウレタン反応混合物の層の裏に十分に素早く第2ポリウレタン反応混合物を噴霧することによって容易に短くすることができる。
【0012】
また、本発明は、本発明の方法によって得ることができる可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンに関する。
本発明のポリウレタンスキンの好ましい実施態様では、第2ポリウレタンスキンはウレタン結合を介して第1ポリウレタン層と界面で化学的に結合される。
これは、第1ポリウレタン反応混合物がまだいくつかの反応性イソシアナート又はイソシアナート反応基を含んでいる場合に、第2ポリウレタン反応混合物が第1ポリウレタン反応混合物の層上に噴霧される事実の結果である。このようにして、両ポリウレタン層は互いに非常に強く結合される。
本発明のポリウレタンスキンの好ましい実施態様では、第2ポリウレタン層は、600kg/m3未満、好ましくは550kg/m3未満、より好ましくは500kg/m3未満の密度を有し、30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満のショアA硬度を有する。
第1又は外側のポリウレタン層の高い可撓性と組合せて、第2層のそのような低密度及びショアA硬度は特有のスキンの手触り又は高い品質の感触を達成できる。より詳細には、いわゆる「Schiebe-Effekt」(せん断運動の可能性を示すドイツ語表記)が達成でき、それには、天然皮革の手触り、すなわちいわゆる「レザータッチ」を有するスキンを得ることが必要である。
本発明の他の特徴及び利点は本発明の方法及び複合ポリウレタンスキンのいくつかの特定の実施態様の以下の記載から明らかになるであろう。本明細書で使用される参照番号は添付図面に関連する。
【0013】
本発明は、少なくとも0.6kg/m2の平均目付(スキンの合計質量をその前面の表面積で割ることによって決定される)及び30MPa未満、好ましくは25MPa未満、より好ましくは20MPa未満の平均曲げ弾性率を有する可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンを製造する方法に関する。この曲げ弾性率及び異なるエラストマーポリウレタン層の曲げ弾性率は、ASTM D790-03に従って測定される。複合層の厚みは場所によっていくらか異なり、異なる曲げ弾性率を生じるために、複合スキンについて、平均曲げ弾性率が示される(平均曲げ弾性率を決定することによって、1つの曲げ弾性率を有する領域の表面積が考慮されなければならない。すなわち、平均は表面積加重平均である。)。
複合ポリウレタンスキンの製造方法は、第1ポリウレタン反応混合物1の層をスプレーガン2によって金型表面3に噴霧する工程(図1)及び第2ポリウレタン反応混合物4を第1反応混合物1の層の少なくとも一部に噴霧する工程(図2)を含む。これは、同じスプレーガン2によって行われてもよく、異なるスプレーガンによって行われてもよい。第2反応混合物4は、また第1反応混合物で被覆されていない金型表面3の一部に噴霧されてもよい。これは、例えば見えない、又は切り取られたスキンの領域で行われてもよい。この方法では、第2ポリウレタン反応混合物が第1反応混合物よりも安価であるために、スキンのコストを下げることができる。金型表面は、好ましくは両反応混合物の硬化を加速させるために、特に30〜100℃の温度に、好ましくは60〜65℃の温度に加熱される。2つの反応混合物1、4を硬化させた後、すなわち複合スキンが十分な生強度(green strength)を有した後、金型表面から取り出すことができる。したがって、生成された複合スキン(図3参照)は、第1エラストマーポリウレタン層5及び第1ポリウレタン層5に接着した第2エラストマーポリウレタン層6を含む。
【0014】
金型表面3から複合スキンを取り除く前に、スキンをいわゆるダイレクトバックフォーミングプロセス(direct backfoaming process)に供することも可能である。このような方法では、ポリウレタンフォーム配合物を金型に流し込み、又は第2ポリウレタン層6の裏に施し、スキンと硬質基板7との間で発泡させることができ、その結果スキンはこの中間体フォーム層8により硬質基板に接着される。このバックフォーム層は、好ましくは半硬質フォーム層であり、その結果車の運転手及び乗客のために、衝突時にいくらかの保護を与えるために硬質基板の前に十分に堅いクッションを形成する。
2つのポリウレタン反応混合物の噴霧は、EP-B-0 303 305及びEP-B-0 389 014に開示された技術及びスプレーノズルによって行うことができる。2つの反応混合物は、実質的に溶媒を含まず、又は非常に限られた量、特に5%(重量)未満、好ましくは3%(重量)未満の溶媒のみを含む。本発明の方法の基本的特徴は、第1ポリウレタン反応混合物1が、少なくともイソシアナート成分、イソシアナート反応成分及び触媒成分を含む成分から構成され、イソシアナート成分が、芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を有する少なくとも1つのイソシアナートから構成されることである。この方法では、ポリウレタンエラストマーは、いわゆる脂肪族ポリウレタンエラストマーである。別の基本的特徴は、触媒成分が実質的に鉛を含まないことである。これは、鉛が生成されたポリウレタンエラストマー中に存在しないか、又は従来技術によって検出できないほど微量、特に5ppm未満、さらには1ppm未満の微量の鉛元素を含むことを意味する。
【0015】
第1ポリウレタン反応混合物1と対照的に、第2ポリウレタン反応混合物4は少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートを含む。好ましくは、第2ポリウレタン反応混合物のイソシアナート成分はそのような1つ又は複数の芳香族ポリイソシアナートのみを含むが、1つ以上の脂肪族ポリイソシアナートも存在させることが可能である。さらに、第2ポリウレタン層の組成は、第1層に近づくほど、第1層から離れる方向の側でより多くの脂肪族イソシアナート残基を含むように、第1層から離れる方向で変化させてもよい。この変化は、第2層の噴霧工程の際に、第1層の脂肪族イソシアナート成分を徐々に芳香族イソシアナート成分に置き換えることによって達成してもよい。さらに、第2層を噴霧するときにイソシアナートブレンドのみを変化させることも可能であり、又はイソシアナートと同様にポリオールブレンドを、徐々に、又は徐々にではなく、第2層を噴霧するときに変えることも可能である。
【0016】
第1脂肪族ポリウレタン反応混合物1は、第1ポリウレタン層5が35MPa未満、好ましくは30MPa未満の曲げ弾性率を有するように配合される。第2芳香族ポリウレタン層6がより小さい曲げ弾性率を有する事実により、複合スキンの平均曲げ弾性率は両ポリウレタン層5及び6の2つの曲げ弾性率の間にある。複合スキンの平均曲げ弾性率は、したがって第1ポリウレタン層の厚みと第2ポリウレタン層の厚みの間の比、又はより詳細には第1ポリウレタン層5の目付と第2ポリウレタン層6の目付の間の比を選択することによって調製することができる。第1又は外側のポリウレタン層5は、第2層の十分な被覆を提供するために少なくとも0.1kg/m2の目付を有する必要があるが、第2ポリウレタン層6は、スキンの可撓性を高めるという観点で、及び生成サイクル時間を短くするという観点で少なくとも0.3kg/m2の目付を有する必要がある(この芳香族層のより短い硬化時間及び第1ポリウレタン反応混合物の硬化に対するこの層の影響により)。第1ポリウレタン層5の目付は、好ましくは0.2kg/m2よりも大きく、より好ましくは0.3kg/m2よりも大きく、第2ポリウレタン層6の目付は、好ましくは0.4kg/m2よりも大きく、より好ましくは0.5kg/m2よりも大きい。
【0017】
第1反応混合物1の硬化の加速の観点から、第2ポリウレタン反応混合物4の噴霧は、第1ポリウレタン反応混合物の噴霧を停止した後、好ましくは遅くとも90秒、より好ましくは遅くとも60秒、最も好ましくは遅くとも40秒で開始する。異なる噴霧装置を使用して第2反応混合物を噴霧する場合、その噴霧は、第1ポリウレタン層が完全に噴霧される前に開始することも可能である。一方、異なる原料にバルブを介して接続された同じスプレーガン2で噴霧する場合、第1反応混合物から第2反応混合物へ中断なく切り替えることができる(必要により、徐々に)。これは、イソシアナートとポリオールブレンドの両方を変えることによって、又は必要により、ポリオールブレンドのみを変えることによって行うこともできる。第1のより反応性の低いポリウレタン反応混合物を噴霧した後、第2のより反応性の高いポリウレタン反応混合物の噴霧を十分に早く開始することの重要な利点は、この方法で、第1反応混合物の硬化が加速されることである。これにより、特に可撓性、放出又は曇り、重金属含有量などに関してより良い特性を有する、より反応性の低いポリウレタン反応混合物でも使用できる。
【0018】
第1反応混合物は特に以下の成分を含むことができる:
A)芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を有する少なくとも1つのイソシアナート化合物から構成されるイソシアナート成分;
B)以下を含むイソシアナート反応成分
b1)以下を有する少なくとも1つの活性水素含有化合物から構成される活性水素含有成分:
1級及び/又は2級OH-基、NH-基及び/又はNH2-基を含む官能基;
2〜8の名目官能性;及び
100〜4000、好ましくは500〜2000の当量;
b2)100未満の当量(その官能基はOH-基であり、その少なくとも50%は1級OH-基であり、その官能性は2〜6である)を有する少なくとも1つの鎖延長剤及び/又は少なくとも1つの架橋剤から構成される、約0〜約30部、好ましくは約2〜約30部(成分b1、b2及びb3の100部当たり)の鎖延長剤及び/又は架橋剤成分;及び/又は
b3)触媒成分Cと共触媒系を形成し、2〜6の官能性及び200以下の当量を有する少なくとも1つのアミン開始剤から構成され、少なくとも1つの脂肪族又は脂環式NH2-又はNH-基を含むアミン開始剤成分;及び
C)実質的に鉛を含まず、少なくとも1つの有機ビスマス(III)触媒を含む触媒成分。
これらの成分に加えて、第1反応混合物は通常顔料及び/又は着色剤を含む。
【0019】
イソシアナート成分は1つのイソシアナート化合物又はイソシアナート化合物の混合物を含んでもよい。適したイソシアナート化合物はまったく異なっていてもよい。イソシアナート化合物の基本的特徴は、芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を含むことである。このような方法で、得られたポリウレタン材料を光安定にすることができる。イソシアナート成分は、好ましくはIPDI(イソホロンジイソシアナート)モノマー又はトリマー又はこれらの混合物を含み、IPDIモノマー/トリマー混合物は、好ましくは24.5〜34重量%のNCO含有量を有する。必要により、イソシアナートプレポリマー(NCO-基の一部がすでに活性水素含有化合物と反応している)もまた使用できる。IPDIの代わりに、TMXDI、HDI、H6XDI及びH12MDI又はこれらの誘導体のような別の「非芳香族」イソシアナートを使用することができる。これらのイソシアナートはEP-B-0 379 246に記載されている(その記載は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0020】
イソシアナート反応成分は、まず活性水素含有成分を含む。この成分は、100〜4000の当量及び2〜8の名目官能性を有する1つ以上の活性水素含有化合物から構成される。この活性水素含有化合物は、好ましくはプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドを低分子量開始剤(OH-、NH-及び/又はNH2-基を含み、2〜8の官能性を有する)に重付加することによって調製される末端OH-基を有するポリエーテルポリオールである。この官能性はポリエーテルポリオールの名目官能性と一致する。好ましくは、活性水素含有化合物の名目官能性は2〜4である。活性水素含有化合物の反応性の点で、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%のイソシアナート反応性OH-基は1級OH-基である。
OH-基に代えて、又はこれに加えて、活性水素含有化合物は、またイソシアナート反応性NH-又はNH2-基を含んでもよい。そのような化合物の例はTexacoのいわゆるJeffamineである。
他の種類の活性水素含有化合物は、ジカルボン酸と、2〜8、好ましくは2〜4の官能性(ポリエステルポリオールの名目官能性に一致する)を有する低分子量多価アルコールとのエステル縮合生成物を形成するポリエステルポリオールである。
さらに適した活性水素含有化合物はポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)(100%の1級OH-基を含むポリテトラヒドロフランであり、2の名目官能性及び35〜200のヒドロキシル価を有する)である。
【0021】
イソシアナート反応成分は、さらに少なくとも1つの架橋剤及び又は少なくとも1つの鎖延長剤から構成される架橋剤及び/又は鎖延長剤成分(その官能基はOH基である)を含む。鎖延長剤及び/又は架橋剤は100未満の当量を有する。このような架橋剤及び/又は鎖延長剤の存在は、常ではないが通常要求される。成分b1、b2及びb3の100部当り、0〜約30部、好ましくは約2〜約30部の量で使用される。
活性OH基(2〜4の官能性を有する)のみを有し、250よりも高いヒドロキシル価及び50%よりも高い1級OH基濃度を有する典型的な好ましい架橋剤又は鎖延長剤は、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、トリメチロールエタン、ペンタエリトロール、ビスフェノールA及びシクロヘキサンジメタノールであり、これらすべての例と、鎖延長剤/架橋剤1モル当り5モル以下のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの付加生成物も可能である。
【0022】
イソシアナート反応成分は、最後に触媒成分Cと共触媒系を形成するアミン開始剤成分を含んでもよい。このような開始剤は、特にUS-A-4 150 206及びUS-A-4 292 411に記載されている(ただし、2の最小官能性が要求される)。
これに関して、芳香族環に直接結合していないアミノ基を有する脂肪族又は脂環式アルカノールアミン又はポリアミンが一般的に考えられる。NH-及び/又はNH2-基の数は、OH-基が存在しない場合には少なくとも2であり、OH-基が存在する場合には、少なくとも1である。-NH、-NH2又は-OHによって形成される反応基の合計数はたいてい2〜5である。
2〜4の官能性を有する典型的な好ましい化合物、特に脂肪族化合物は以下のものである:モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N'-ジメチル(ジエチル)-エチレンジアミン、2-アミノ-2-メチル(又はエチル)-1-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル(エチル)-1,3-プロパンジオール。
「Jeffamine」(Texaco)(主に末端1級NH2又は2級NH基を有し、官能性が2又は3であるプロピレンオキシド付加生成物)。プロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドのエチレンジアミン開始剤(2〜8モル/エチレンジアミン1モル)による付加生成物。
組成物は、また以下のものの任意の組合せのような適した添加剤を含むことができるが、これは一例であって限定するものではない:熱及び紫外光安定剤、pH安定剤、抗酸化剤、艶消剤、界面活性剤、カーボンブラック、チキソトロープ剤(例えば、アモルファスシリカ)、及び粘土粒子のような充填剤。
光安定ポリウレタン配合物の上記成分は、すでにEP-B-0 379 246により詳細に記載されている(その記載は参照により本明細書に組み込まれるものとする)。
【0023】
触媒成分は、記載されたように鉛を含まないが、EP-B0 379 246に開示されたすべての触媒を含むことができる。これらの触媒としては、有機ビスマス触媒、有機スズ触媒(Sn(IV)カルボキシラート、ジアルキルジスタンノキサンジカルボキシラート(dialkyldistannoxane dicarboxylate)及びハロゲン化アルキルスズ(alkyltinhalide)及びいわゆるアルカリ触媒(例えば、ジアゾビシクロアルケン)などが挙げられる。また、揮発性有機化合物の放出を減らすために使用できる、有機亜鉛触媒などの特別な有機金属触媒は、さらにWO 2004/000905に開示されている。また、これらの触媒の記載は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
本発明の方法では、好ましくは少なくとも有機ビスマス(III)触媒、より具体的にはビスマスオクトアート、ビスマスネオデカノアート又はビスマスオレアートが使用される。また、有機スズ触媒を使用することができるが、この触媒の量は第2ポリウレタン反応混合物の早期の噴霧によって与えられる促進された硬化の点で減らすことができる。ポリウレタンエラストマーにおける重金属の量及び/又は揮発性有機化合物の放出を減らすために、第1ポリウレタン反応混合物はスズを実質的に含まないか、又は600ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは200ppm未満のスズ元素を含む。
また、放出の低減の点で、イソシアナート成分及びイソシアナート反応成分は、第1ポリウレタン反応混合物のNCO-指数が90よりも大きく、好ましくは95よりも大きく、より好ましくは100よりも大きく、最も好ましくは105よりも大きく、好ましくは120未満であるような比で混合される。また、このような高いNCO-指数により、スキンの「ゴムのような感触」もまた低減することがわかった。しかしながら、このような高いNCO-値の欠点は、硬化時間を長くし、可撓性を低下させることである。
【0024】
第1ポリウレタン層の要求される可撓性を達成するために、第1ポリウレタン反応混合物のイソシアナート反応成分は、好ましくは第1ポリウレタン層の曲げ弾性率を下げ、かつ、少なくとも1つのイソシアナート反応基を含む少なくとも1つの軟化剤を含む。この基は、軟化剤がポリウレタンネットワーク中に組み込まれて移動できないようにすることを保証する。最も適した軟化剤は、一官能性であり、ただ1つのイソシアナート反応基を含む。しかしながら、その他の軟化剤は、1つ以上の更なるイソシアナート反応基(前記イソシアナート反応基よりも反応性が低く、その少なくとも一部は第1ポリウレタン反応混合物の効果の際にイソシアナート基と反応しない)を含んでもよい。かなり効果的であるように見える軟化剤は、ポリエチレングリコール鎖を含み、詳細にはポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、より詳細には200よりも高い、好ましくは300よりも高い、より好ましくは400よりも高いが1000未満、好ましくは900未満、より好ましくは800未満の分子量を有するポリエチレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。軟化剤は、好ましくはイソシアナート反応成分100重量部当り少なくとも3部、好ましくは少なくとも5部、より好ましくは少なくとも7部の量で使用され、軟化剤の量は、好ましくはイソシアナート反応成分100重量部当り20部未満、より好ましくは18部未満、最も好ましくは16部未満である。
軟化剤は、好ましくはポリオールブレンドに添加される。しかしながら、イソシアナートブレンドにも添加できる。この場合、最初にポリイソシアナートと反応して少なくとも1つのフリーNCO基を含む反応生成物を形成し、それは軟化剤がポリウレタンネットワークに組み込まれることを保証する。このような反応生成物は、また予め調製されてイソシアナート成分に添加することもできる。
【0025】
第2ポリウレタン反応混合物の組成は、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートを含み、その結果より反応性が高く、触媒を含んではいけないこと、又は少なくともその量がきわめて少ない事実を除いて第1ポリウレタン組成物の上記組成とほぼ同じである。さらに、第2反応混合物中にも軟化剤を含有させることが可能であるが、芳香族ポリイソシアナートによって達成できるより高い可撓性の点で、一般には要求されない。最後に、顔料及び/又は着色剤も芳香族ポリウレタン反応混合物(例えば、非常に薄い脂肪族ポリウレタン層のみを含む領域に噴霧する場合)に添加できるが、そのような顔料及び/又は着色剤を芳香族ポリウレタン反応混合物に含有させることは一般的には必要ない。
芳香族第2層のために選択できる例示的なポリイソシアナートとしては、芳香族閉環構造を有するジイソシアナート、例えばジフェニルメタンジイソシアナートプレポリマー(MDIプレポリマー)又はジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアナート(MDI)、又はMDIの異性体混合物又は上記の混合物(BASF Elastogran(Lupranat)、Dow Chemical Company(Isonate)、Bayer(Desmodur)、又はHuntsman(Suprasec)から入手可能である)などが挙げられる。
上記非光安定芳香族ポリイソシアナートは、脂肪族ポリイソシアナートと比較して高い反応性及びこれらの非光安定芳香族ポリイソシアナートで得られるポリウレタンエラストマーのより良い機械的特性(例えば、引張り強度、伸び及び引裂き強度)の点で、使用に非常に好ましい。
【0026】
第1ポリウレタン反応混合物は、好ましくは第1エラストマーポリウレタン層の平均密度が少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも800kg/m3であるように配合される。複合スキンの機械的特性に対する脂肪族ポリウレタン外層の悪影響を低減するために、その平均厚さ(その容積を前面の表面積で割ることによって決定される)は、好ましくは1mm未満、より好ましくは0.8mm未満、最も好ましくは0.6mm未満である。
第2エラストマーポリウレタン層の平均密度は、好ましくは少なくとも250kg/m3、より好ましくは少なくとも300kg/m3、最も好ましくは少なくとも350kg/m3である。
本発明の複合ポリウレタンスキンの第1実施態様では、第2ポリウレタン層の平均密度は、少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも775kg/m3である。この実施態様は、特にスキンの高い可撓性を達成することを意図する。第2ポリウレタン層の低い曲げ弾性率、例えば15MPa又はさらに小さい曲げ弾性率により、複合スキンは、例えば15〜30MPaの曲げ弾性率を有する。複合スキンは、この実施態様では、好ましくは0.8〜2.0mmの平均厚さを有し、この平均厚さは、好ましくは1.6mm未満、より好ましくは1.4mm未満である。
【0027】
本発明の複合ポリウレタンスキンの第2実施態様では、第2ポリウレタン層の平均密度は、600kg/m3未満、好ましくは550kg/m3未満、より好ましくは500kg/m3未満である。このような低い密度により、第2ポリウレタン層は高い可撓性を有し、その結果複合スキンは、例えば5〜15MPaの平均曲げ弾性率を有することができる。この第2実施態様では、第2ポリウレタン層の硬度は、好ましくはDIN 53505に従って測定されるショアA硬度が30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満に低下する(第2ポリウレタン層が6mmよりも薄い場合、DIN 53505に従ってショアA硬度を測定するときには2層以上を互いに重ねあわさなければならない)。第2ポリウレタン層は、さらに好ましくは少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2.0mmの平均厚さを有する。この方法では、特に第1ポリウレタン層が十分に薄く、可撓性がある場合に生じるいわゆる「Schiebe-Effekt」により、特有のスキンの手触り及び高品質な感触、すなわちレザータッチが達成できる。第2ポリウレタン層の平均厚さは、好ましくは15mm未満、より好ましくは10mm未満、最も好ましくは5mm未満である。
【0028】
第2芳香族ポリウレタン層の低密度化は、化学的発泡剤(例えば、水)及び/又は物理的発泡剤(低沸点の液体)を第2反応混合物に添加することによって達成できる。さらに、又はこれに代えて、気体を反応混合物に添加してノズルから泡の形態で噴霧することも可能である。これは、例えばWO 2005/000481に開示されているように、窒素又は二酸化炭素のような気体を反応混合物に、静的ミキサー中でそれを混合する前に、添加することによって、又は前記気体をポリオール及び/又はイソシアナートブレンドに添加することによって行うことができる。
本発明は、また前述の方法によって得られる複合スキンに関する。さらに、本発明は、また軟化剤を使用したときの第1ポリウレタン層について先に記載した方法と同じ方法で可撓性のあるエラストマーポリウレタンスキン層を製造する方法に関する(ただし、ポリウレタンスキン層は複合ポリウレタンスキンの一部である必要はないが、可撓性のあるエラストマーポリウレタンスキン自体を形成できる)。この後者のケースでは、ポリウレタンスキン自体として使用したときに、必要により直接バックフォーム(backfoam)プロセスによってバックフォーム層が提供されてもよく、平均厚さは引張り強度及び引裂き抵抗のような所望の機械的スキン特性を達成するという点でいくらか厚くできる。
【実施例】
【0029】
(例1)
【表1】

【0030】
この第1実施例では、合計サイクル時間(秒)は1.2mm厚の脂肪族スキン(従来技術)と本発明の複合スキンとを比較する。
最初に外部離型剤を金型表面に噴霧した後、脂肪族PU反応混合物(表3の配合物A)を98秒間14g/sの流量で金型表面に噴霧する。これにより、PUスキンは約1.2mmの平均厚さ(約950kg/m3の密度)を有する。このPU反応混合物は210秒の硬化時間を必要とし、合計サイクル時間は356秒となる。硬化時間は、永久歪のリスクなく、スキンを離型するのに必要な時間として定義され、「バケットテスト(bucket test)」に従って決定され、それは別に説明される。
本発明の実施態様では、同じ脂肪族PU反応混合物を最初に32秒間同じ金型表面に同じ流量で噴霧される。これにより、PUスキン層は約0.4mmの平均厚さを有する。次いで、スプレーガンを交換し、その直ぐ後に第2芳香族PU混合物を同じ流量(14g/s)で72秒間第1(脂肪族)層に引き続いて噴霧して、約1.0mmの平均厚さ(約800kg/m3の密度)を持つ芳香族スキンを得る。次いで、この第2層を90秒間硬化し、その後複合スキンを金型から取り出す。
表1からも分かるように、合計噴霧時間は両方の例で同程度である。しかしながら、本発明の実施態様では、合計サイクル時間を356秒から260秒に短縮でき(27%減少)、これは、第2(芳香族)層の硬化時間が脂肪族スキン層と比較して非常に短い(90秒対210秒)事実、また脂肪族PU層の硬化が芳香族PU層との相互作用によって促進される事実による。実際に、脂肪族PU層が210秒の硬化時間を有していた事実にもかかわらず、脂肪族PU層を噴霧することを止めた後180秒以内で取り出すことができた。「バケットテスト(bucket test)」は、脂肪族PU層の硬化時間が180秒未満に効果的に短縮されたことを示した。
【0031】
(バケットテスト「(bucket test)」による硬化時間の決定)
硬化時間は、「噴霧を止めた」後異なる時間でスキンを取り出し、これらのスキンを「バケットテスト(bucket test)」に供することによって概算で求めることができる。この「バケットテスト(bucket test)」では、スキンは取り出した直後に丸めて(crumple up)、バケツに入れ、さらに2時間放置する。その後、スキンをバケツから出し、実際のサイズに戻し、永久歪(へこみ、しわ、折り目など)の評価を行う。
次いで、スキンを取り出すことができ、それによって「バケットテスト(bucket test)」後に永久歪を生じない「噴霧を止めた」後の最小時間が(最小)硬化時間として決定される。
【0032】
(例2)
【表2】

(1):ポリオールブレンドの代わりにイソシアナート混合物に一部の軟化剤を添加した。
【0033】
表2において、PUエラストマースキンの硬化時間及び曲げ弾性率についての軟化剤の影響が明らかである。ポリウレタン配合物は鉛を含まず、有機金属触媒としてオクチル酸ビスマス及びジメチルスズジネオデカノアートのみを含んでいた。この例では、異なる分子量(それぞれ、350、500及び750)を有する単官能基の軟化剤、より詳細にはメトキシ−ポリエチレングリコール(CH3-(OCH2CH2)n-OH)を用いた。この生成物はDow Chem. Corp.から商業的に入手可能である。
硬化時間からも分かるように、軟化剤の量の増加に伴って、硬化時間は増加し、曲げ弾性率は減少し、これはエラストマースキンが軟化剤の量の増加に伴ってより可撓性となることを意味している。
硬化時間の増加は、形成されたポリマーネットワークが完全ではなく、ダングリングチェーン(dangling chain)を含み、短すぎる硬化時間でくぼみに対する感度をはるかに高くする事実によって説明できる。例Fは、硬化時間の増加が、軟化剤がイソシアナートブレンドに添加される場合に比べてあまり低減されないことを示す。
【0034】
(例3)
【表3】

(1):--(非常に悪いゴムのような手触り、プラスチックのような感触)から++(非常に良い革のような感触又は皮膚のような感覚)まで。
【0035】
表3からも分かるように、NCO-指数の増加により放出を低減し、より明確には曇価(Fogging Value)を低減し、「ゴムのような感触」に関してより良い手触りを生じる。このゴムのような感触は個人的な評価であるが、その影響は、当業者によって評価できるように、評価したNCO-指数の両極端で明らかである。
しかしながら、NCO-指数の増加によって、硬化時間はわずかに増加するが、より重要なことは、ある一定の量の軟化剤を用いた場合であっても曲げ弾性率が大幅に増加することである。この影響に対抗するために、追加の軟化剤を加えることができるが、これは、また脂肪族スキンの硬化に悪影響を与える(例Hに対する例Eを参照のこと)。
【0036】
(例4)
表3の例Hでは、低い曲げ弾性率が高いNCO指数であっても多量の軟化剤を添加することによって脂肪族PUスキンについて得ることができる。先に説明したように、これによって硬化時間は240秒に増加する。この硬化時間の増加を制限するために、この脂肪族PUスキン層は本発明に従ってより薄い層に噴霧でき、その後第2芳香族層が噴霧される(例1と同様にして)。
【0037】
【表4】

(1):--(非常に悪いゴムのような手触り、プラスチックのような感触)から++(非常に良い革のような感触又は皮膚のような感覚)まで。
(2):第1(脂肪族)層はBi触媒のみを含む(例H及びIと同じ量)。Sn触媒は添加しなかった。
(3):第1(脂肪族)層の噴霧を止めた後の合計硬化時間。芳香族層を噴霧し、硬化するのに180秒かかるため、180秒よりも短い値はより正確には決定されなかった。例Jについて、脂肪族層は180秒後でも完全には硬化しなかった。
(4):例H及びIの脂肪族層は、同程度の量でSn触媒と同様にBi触媒も含む。
【0038】
複合スキン(例I)を生成することによって、硬化時間が短くなるだけでなく(240秒に対して<180秒)、表4からも明らかなように、放出値(TVOC)及び曇価(TFOG)も大幅に減らすことができる。さらに、例Jからも明らかなように、かなり少ない放出値及び曇価が第1(脂肪族)層においてSn触媒を除くことによって得ることができる。Sn触媒がこの第1層において除かれる事実にもかかわらず、複合スキンは180秒後金型から取り出すことができたが、脂肪族層はまだ完全には硬化せず、この層の完全な硬化を達成するためにはある程度長い硬化時間が必要であることが明らかとなった。
【0039】
(例5)
【表5】

【0040】
この例は、十分に薄い脂肪族スキン層を提供することによって、複合スキンが第1層の裏に第2芳香族スキン層を適用することによってきわめて柔軟であり得ることを示す。
【0041】
(例6)
【表6】

【0042】
この例は、可撓性のある第1スキン層を低密度及び低ショアA硬度を有する第2層と組み合わせることにより、いわゆる「Schiebe-effect」又は革のような手触りを持つ複合スキンを得る。芳香族スキン層の密度は、WO 2005/000481に開示されるようなスプレーノズルによってそれを噴霧することによって、及び窒素ガスをミキシングヘッド中に導入して泡を生成することによって小さくなった。この低密度により、芳香族スキン層及び複合スキンは例5のものよりもさらに低い曲げ弾性率、より詳細には5〜15Mpaの曲げ弾性率を有することとなった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1ポリウレタン反応混合物を金型表面に噴霧する工程を図式的に示す。
【図2】第2芳香族ポリウレタン反応混合物を第1反応混合物の噴霧された層に噴霧する工程を示す。
【図3】2つのポリウレタン反応混合物の硬化後金型表面から取り出された複合ポリウレタンスキンを示す。
【図4】中間バックフォーム(bachfoam)層によって硬質基板に接着された複合ポリウレタンスキンを含む装備品の概略断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均目付が少なくとも0.6kg/m2であり、かつ、ASTM D790-03に従って測定される平均曲げ弾性率が30MPa未満、好ましくは25MPa未満、より好ましくは20MPa未満の可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンの製造方法であって、前記製造方法は、
−第1ポリウレタン反応混合物を用意し;
−第1ポリウレタン反応混合物の層を金型表面に噴霧して第1曲げ弾性率を有する第1エラストマーポリウレタン層を生成し;
−少なくとも1つの芳香族ポリイソシアナートを含む第2ポリウレタン反応混合物を用意し;
−第2ポリウレタン反応混合物の層を第1ポリウレタン反応混合物の層の少なくとも一部に噴霧して、第1ポリウレタン層に付着し、かつ、第2曲げ弾性率を有する第2エラストマーポリウレタン層を生成し;及び
−第1及び第2ポリウレタン反応混合物を硬化させた後、第1及び第2ポリウレタン層を含む複合ポリウレタンスキンを金型表面から取り外すことを含み、
−第1ポリウレタン反応混合物は、少なくともイソシアナート成分、イソシアナート反応成分及び触媒成分を含む成分から構成され、イソシアナート成分は、芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を有する少なくとも1つのイソシアナートから構成され、触媒成分は実質的に鉛を含まず;
−第1曲げ弾性率は前記平均曲げ弾性率よりも大きいが、35MPa未満、好ましくは30MPa未満であり;
−第2曲げ弾性率は前記平均曲げ弾性率よりも小さく;及び
−第1及び第2ポリウレタン反応混合物は、第1ポリウレタン層が0.1kg/m2よりも大きい第1目付を有し、かつ、第2ポリウレタン層が0.3kg/m2よりも大きい第2目付を有するような量で噴霧され、第1及び第2目付の比がさらに前記平均曲げ弾性率が達成されるように選択されることを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
第2ポリウレタン反応混合物の噴霧が第1ポリウレタン反応混合物の噴霧を停止してから遅くとも90秒で、好ましくは遅くとも60秒で開始される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1ポリウレタン層が少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも800kg/m3の平均密度を有する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
第2ポリウレタン層が少なくとも250kg/m3、好ましくは少なくとも300kg/m3、より好ましくは少なくとも350kg/m3の平均密度を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
第2ポリウレタン層が少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも775kg/m3の平均密度を有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第2ポリウレタン層が600kg/m3未満、好ましくは550kg/m3未満、より好ましくは500kg/m3未満の平均密度を有する、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
第2ポリウレタン層のDIN 53505に従って測定されるショアA硬度が30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第2平均目付が0.4kg/m2よりも大きく、好ましくは0.5kg/m2よりも大きくなるように第2ポリウレタン反応混合物を噴霧し、第1平均目付が0.2kg/m2よりも大きく、好ましくは0.3kg/m2よりも大きくなるように第1ポリウレタン反応混合物を噴霧する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
第1ポリウレタン反応混合物が有機ビスマス触媒を含み、かつ、実質的にスズを含まないか、又は600ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは200ppm未満のスズを含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1ポリウレタン反応混合物が少なくとも1つの軟化剤を含み、前記軟化剤が第1ポリウレタン層の曲げ弾性率を下げ、かつ、少なくとも1つのイソシアナート反応基を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記軟化剤が1つのイソシアナート反応基を含み、前記イソシアナート反応基よりも反応性の低い1又は2つ以上の別のイソシアナート反応基を含んでもよく、その少なくとも一部は第1ポリウレタン反応混合物の硬化の際にイソシアナート基とは反応せず、前記軟化剤は好ましくは1つのイソシアナート反応基を含む一官能性軟化剤を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記軟化剤がポリエチレングリコール鎖、特にポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
第1ポリウレタン反応混合物を構成するために、前記軟化剤とポリイソシアナートとの反応生成物を含むイソシアナート成分を使用する請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
第1ポリウレタン反応混合物のイソシアナート成分及びイソシアナート反応性成分が90よりも高く、好ましくは95よりも高く、より好ましくは100よりも高く、最も好ましくは105よりも高く、好ましくは120未満であるNCO-指数に従って反応できる、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項記載の方法によって得ることができ、かつ、平均目付が少なくとも0.6kg/m2であり、及びASTM D790-03に従って測定される平均曲げ弾性率が30MPa未満、好ましくは25MPa未満、より好ましくは20MPa未満である可撓性のあるエラストマー複合ポリウレタンスキンであって、以下を含む前記複合ポリウレタンスキン:
実質的に鉛を含まず、かつ、0.1kg/m2よりも大きい第1平均目付及び前記平均曲げ弾性率よりも大きいが35MPa未満、好ましくは30MPa未満である第1曲げ弾性率を有する第1脂肪族エラストマーポリウレタン層;及び
第1ポリウレタン層に付着し、0.3kg/m2よりも大きい第2平均目付及び前記平均曲げ弾性率よりも小さい第2曲げ弾性率を有し、かつ、少なくとも部分的に芳香族イソシアナートをベースとするポリウレタン材料から作られる第2エラストマーポリウレタン層。
【請求項16】
第2ポリウレタン層が界面でウレタン結合を介して第1ポリウレタン層に化学的に結合された、請求項15記載のポリウレタンスキン。
【請求項17】
第1ポリウレタン層が少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも800kg/m3の密度を有する、請求項15又は16に記載のポリウレタンスキン。
【請求項18】
第2層が少なくとも250kg/m3、好ましくは少なくとも300kg/m3、より好ましくは少なくとも350kg/m3の平均密度を有する、請求項15〜17のいずれか1項記載のポリウレタンスキン。
【請求項19】
第2層が少なくとも600kg/m3、好ましくは少なくとも700kg/m3、より好ましくは少なくとも775kg/m3の平均密度を有する、請求項18記載のポリウレタンスキン。
【請求項20】
第2ポリウレタン層が600kg/m3未満、好ましくは550kg/m3未満、より好ましくは500kg/m3未満の密度を有する、請求項15〜18のいずれか1項記載のポリウレタンスキン。
【請求項21】
DIN 53505に従って測定される第2ポリウレタン層のショアA硬度が30未満、好ましくは25未満、より好ましくは20未満である、請求項20記載のポリウレタンスキン。
【請求項22】
第2ポリウレタン層の平均厚さが少なくとも1mm、好ましくは少なくとも1.5mm、より好ましくは少なくとも2.0mmであり、第2ポリウレタン層の平均厚さが好ましくは15mm未満、より好ましくは10mm未満、最も好ましくは5mm未満である、請求項20又は21記載のポリウレタンスキン。
【請求項23】
第1ポリウレタン層の平均厚さが1mm未満、好ましくは0.8mm未満、より好ましくは0.6mm未満である、請求項15〜22のいずれか1項記載のポリウレタンスキン。
【請求項24】
600ppm未満、好ましくは400ppm未満、より好ましくは200ppm未満のスズを含み、最も好ましくはスズを含まない、請求項15〜23のいずれか1項記載のポリウレタンスキン。
【請求項25】
以下の工程を含む可撓性のあるエラストマーポリウレタンスキン層の製造方法であって:
−少なくともイソシアナート成分、イソシアナート反応成分及び触媒成分を含む成分から構成されるポリウレタン反応混合物を用意する工程であって、イソシアナート成分が、芳香族基に直接結合していない少なくとも2つのNCO-基を有する少なくとも1つのイソシアナートから構成され、触媒成分が実質的に鉛を含まない、工程;
−前記ポリウレタン反応混合物の層を金型表面に噴霧する工程;
−ポリウレタン反応混合物を硬化させて、ポリウレタンスキン層を生成する工程;及び
−生成したポリウレタンスキン層を金型表面から取り外す工程、
前記ポリウレタン反応混合物のイソシアナート反応成分は、前記スキンの曲げ弾性率を小さくし、少なくとも1つのイソシアナート反応基を含む少なくとも1つの軟化剤を含むことを特徴とする前記製造方法。
【請求項26】
前記軟化剤は1つのイソシアナート反応基を含み、前記イソシアナート反応基よりも反応性の低い1つ以上の別のイソシアナート反応基を含んでもよく、それらの少なくとも一部がポリウレタン反応混合物の硬化の際にイソシアナート基と反応せず、前記軟化剤が好ましくはただ1つのイソシアナート反応基を含む一官能性軟化剤を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記軟化剤がポリエチレングリコール鎖、特にポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを含む、請求項25又は26記載の方法。
【請求項28】
ポリウレタン反応混合物を構成するために、前記軟化剤とポリイソシアナートとの反応生成物を含むイソシアナート成分を使用する請求項25〜27のいずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記ポリウレタン反応混合物がイソシアナート反応成分100重量部当たり少なくとも3重量部、好ましくは少なくとも5重量部、より好ましくは少なくとも7重量部の前記軟化剤を含み、ポリウレタン反応混合物がイソシアナート反応成分100重量部当たり好ましくは20重量部未満、より好ましくは18重量部未満、最も好ましくは16重量部未満の前記軟化剤を含む、請求項25〜28のいずれか1項記載の方法。
【請求項30】
前記ポリウレタン反応混合物のイソシアナート成分及びイソシアナート反応成分を、90よりも高い、好ましくは95よりも高い、より好ましくは100よりも高い、最も好ましくは105よりも高いNCO-指数であって、好ましくは120未満のNCO-指数に従って反応させる、請求項25〜29のいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−538938(P2009−538938A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512423(P2009−512423)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062748
【国際公開番号】WO2007/137623
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(508270864)レクティセル アウトモービルジステメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【Fターム(参考)】