説明

可撓性筒状体の裏返し装置

【課題】可撓性筒状体の表面に激しい凹凸があっても、シール部材のシートが可撓性筒状体の全周に亙って適切に密接することのできる装置を提供する。
【解決手段】先端部に可撓性筒状体2の先端を環状に固定する口金11を設け、その口金11の後部に圧力容器9を形成し、当該圧力容器9の後部に前記可撓性筒状体2を導入する導入口を形成し、当該導入口に前記圧力容器9内に突出する柔軟な気密性の材料よりなる一対のシート16、16よりなるシール部材6を取り付け、前記シート16、16の先端部を前記圧力容器9内の流体圧力により前記導入口を通過する扁平状態の可撓性筒状体2の両面に圧接せしめると共に、当該シート16、16の先端部を少なくとも10以上の区画に区分し、各区画をそれぞれ互いに対向するシート16、16に接近する方向に付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可撓性筒状体の裏返し装置に関するものであって、製造上の都合により内外面を逆に製造されたホースを裏返して使用状態とする場合や、内張り材を裏返して管路に挿通して、管路に内張りする場合において使用する、可撓性筒状体の裏返し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特公昭40−12655号公報には、製作上の都合により常態における筒状体の内外面を逆にして製作されるような可撓性筒状体を流体圧力により裏返して、常態とするための方法が示されている。
【0003】
また特開平5−96621号公報には、ガス導管、水道管、下水道管などの主として地中に埋設された管路に内張りする方法として、柔軟な筒状の内張り材を流体圧力により、内張り材を内側が外側となるように裏返しながら管路に挿通し、前記流体圧力により管路の内面に圧接して内張りする方法が記載されている。
【0004】
これらの方法においては、可撓性筒状体の一端を環状に固定し、その後部の外側に流体圧力を作用させることにより、前記可撓性筒状体をその環状固定部において内側が外側となるように裏返すのである。
【0005】
そしてそのための装置としては、前記特公昭40−12655号公報に示されているように、圧力容器内にコイル状に巻いた可撓性筒状体を収容し、その先端を口金に環状に固定し、前記圧力容器内に流体圧力を作用させることにより前記環状固定部から可撓性筒状体を繰り出して裏返すものと、前記特開平5−96621号公報に記載されているように、可撓性筒状体を圧力容器の外に置き、その可撓性筒状体を圧力容器の後部から挿入して圧力容器を貫通して圧力容器の先端の口金に環状に固定し、圧力容器内に流体圧力を作用させることにより前記環状固定部から可撓性筒状体を繰り出して裏返すものとが知られている。
【0006】
前者の装置は比較的小口径で長さも比較的短い可撓性筒状体を裏返す装置としては適しているが、大口径の可撓性筒状体や長尺の可撓性筒状体には適していない。このような可撓性筒状体を裏返そうとすると、それを収容するために大きな圧力容器を必要とし、装置が大掛かりなものとなる。
【0007】
後者の装置によればこのような問題は生じないが、可撓性筒状体が圧力容器を貫通するため、可撓性筒状体が圧力容器に進入する導入口の部分において、可撓性筒状体の周囲をシール部材でシールする必要があるが、そのシール部材が可撓性筒状体の全周に亙って適切に圧接して、シールすることが困難である。
【0008】
前述のような管路の内張りに使用する内張り材においては、強度を確保するために厚みが必要であり、厚みのあるものを裏返して内張りするためには、小径のものの内側に大径のものを挿通した構造のものとならざるを得ない。
【0009】
特に下水道管の内張り材においては図1に示すように、管路1の内側に内張り材2を貼り付けるのであるが、その内張り材2は最内層に筒状織布に気密処理を施した気密層3を形成し、当該気密層3の外側に一層乃至数層の不織布層4を形成し、当該不織布層4に反応硬化型樹脂液を含浸して硬化させ、一体の内張り材2を形成している。
【0010】
しかしながら内張り材2は内外面が逆になるように製作され、それを裏返して前述の状態とするのであるから、内張り状態において最内層を形成する気密層3は図2に示すように裏返し前には最外部にあり、その気密層3の中により大径の不織布層4が収容されることとなり、当該圧力容器9は図2に示すように部分的に折り畳まれた状態で収容されることとなる。
【0011】
特に気密層3は膨張時に破断しないようにするために、前述のように筒状織布に気密処理を施したものが使用され、伸縮性に乏しい。また不織布層4は伸縮性に劣るために、小径に形成したものを拡張することが困難であり、小径の気密層3内に収容するためには図2に示すように折り畳み部5を形成せざるを得ない。
【0012】
殊に不織布層4が複数層に亙る場合には、内張り状態において外側に位置する不織布層4ほど、径が大きくなるため、気密層3内において大きな折り畳み部5を形成することとなる。
【0013】
そのため図2に示すように、内張り材2は気密層3内に複雑に折り畳まれた複数の不織布層4が挿通された状態となり、気密層3の表面にはその折り畳み部5による凹凸が生じ、その外側にシール部材6を押し当てても、気密層3の凹部において気密層3とシール部材6とが密接せず、空所7が生じる。
【0014】
また内張り材2の両側縁から外側のシール部材6は片持ちとなるため、そのシール部材6はその剛性により内張り材2の側縁に沿うことができず、気密層3の側縁と両シール部材6とで三角形の空所8が形成される。そのためこれらの空所7、8を通じて、圧力容器内の圧力流体が後方に漏出する。
【0015】
さらにシール部材6の外側から流体圧力が作用し、その流体圧力は圧力容器9の導入口10から後方に向かって作用するため、図3に示すようにシール部材6の先端が内側に捲れ返ることがあり、この捲れ返り部から流体圧力が後方に漏出することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公昭40−12655号公報
【特許文献2】特開平5−96621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、シール部材6が可撓性筒状体2の全周に亙って適切に密接し、可撓性筒状体2内の表面に凹凸があっても、シール部材6がその凹凸に沿って可撓性筒状体2に密接する可撓性筒状体の裏返し装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
而して本発明は、先端部に可撓性筒状体の先端を環状に固定する口金を設け、その口金の後部に圧力容器を形成し、当該圧力容器の後部に前記可撓性筒状体を導入する導入口を形成し、当該導入口に前記圧力容器内に突出する柔軟な気密性の材料よりなる一対のシートよりなるシール部材を取り付け、前記シートの先端部を前記圧力容器内の流体圧力により前記導入口を通過する扁平状態の可撓性筒状体の両面に圧接せしめると共に、当該シートの先端部を少なくとも10以上の区画に区分し、各区画をそれぞれ互いに対向するシートに接近する方向に付勢したことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の装置においては、前記圧力容器の外殻に固定された支持部材に前記区画に対応する摺動軸を摺動自在に嵌合し、当該摺動軸の先端に対応する前記区画を回動自在に軸支し、前記摺動軸をばね手段により前記シートに接近する方向に付勢することが好ましい。また前記シートにおける前記区画と隣接する区画との間に切り込みを形成することが好ましい。
【0020】
また本発明の装置においては、前記可撓性筒状体の両側縁が通過する位置における前記両シートの先端面に跨って、柔軟な材料よりなる圧接部材を圧接することが好ましい。この装置においては、前記圧接部材を前記可撓性筒状体の両側縁に圧接せしめることが好ましい。
【0021】
さらに本発明の装置においては、前記導入口の後方に消音器を設けることが好ましい。この場合、前記消音器が、可撓性筒状体が通過する箱体内に柔軟なプラスチックの発泡体を張り付けてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、シール部材を構成するシートの先端部を複数の区画に区分し、各区画をそれぞれ対向するシートに接近する方向に付勢しているので、可撓性筒状体2の幅方向にシール部材の締め付け力が一定となり、可撓性筒状体2の表面に凹凸があってもその凹凸に沿ってシール部材6が適切に圧接され、前述のような空所7が形成されることがないと共に、前記シートの先端が図2に示すように内側に捲れ返ることがなく、圧力容器内の圧力流体が漏出することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】可撓性筒状体を管路の内張り材とした状態を示す横断面図
【図2】従来例におけるシール部材を通過する可撓性筒状体の横断面図
【図3】従来例におけるシール部材を通過する可撓性筒状体の縦断面図
【図4】本発明の装置の一例を示す中央縦断面図
【図5】本発明における圧力容器の中央縦断面図
【図6】本発明における圧力容器の、図8におけるVI−VI断面図
【図7】本発明における図5におけるVII−VII断面図
【図8】本発明における図6におけるVIII−VIII断面図
【図9】本発明におけるシール部材を押圧する状態を示す拡大横断面図
【図10】本発明におけるシール部材を押圧する状態を示す拡大中央縦断面図
【図11】(a)は図4におけるXI−XI断面図、(b)は(a)におけるB−B断面図
【図12】(a)は図4におけるXII−XII断面図、(b)は(a)におけるB−B断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図4は本発明の可撓性筒状体の裏返し装置を示すものであって、口金11に可撓性筒状体2の先端を環状に固定し、その後部に設けられた圧力容器9内に水又は圧縮空気などの圧力流体を送入し、当該圧力流体の圧力により前記口金11に環状に固定された可撓性筒状体2を、図面に示すように内側が外側となるように裏返し、その裏返された可撓性筒状体2を口金11から前方に送り出すようになっている。
【0025】
前記口金11と圧力容器9との間には前部遮蔽装置12が設けられ、前記圧力容器9の後部には後部遮蔽装置13が設けられており、当該後部遮蔽装置13の後部には消音器14が設けられている。
【0026】
而して前記圧力容器9は図5及び図6に示されるように、外殻体15の後部に可撓性筒状体2を導入する導入口10が形成されており、当該導入口10の前部には、一対のシート16、16よりなるシール部材6の基部が取り付けられている。
【0027】
シート16、16はそれぞれ、可撓性筒状体2の幅よりも大きい幅を有しており、前記導入口10の前部に可撓性筒状体2の通路を挟んで取り付けられ、導入口10から前方に向かって延びており、一対のシート16、16により可撓性筒状体2の上下から挟みつけるように相対向している。
【0028】
そしてそのシート16、16の先端部は図9に示すように、多数の区画17に区分されており、その各区画17の間には切り込み18が形成されており、その切り込み18により幅方向に屈曲可能となっている。この区画17の数は、できるだけ多い方が良いが、少なくとも10以上であることが必要である。
【0029】
そして図5乃至図8に示すように、そのシート16、16の先端部の上下には、前記外殻体15に連結部材19、19により支持された支持部材20、20が取り付けられており、当該支持部材20、20には前記区画17に相当する位置にスライドシャフト21が上下に摺動自在に貫通せしめられている。
【0030】
そして当該スライドシャフト21の先端には、取り付け金具22を介して前記シート16、16の区画17が回動自在に軸支されており、前記支持部材20、20と取り付け金具22との間に介装されたばね手段23により、相対向するシート16、16が互いに接近する方向に付勢されている。
【0031】
本発明の装置を使用するには、可撓性筒状体2を装置の後方から導入口10を通してシート16、16の間を通し、圧力容器9を貫通して、その可撓性筒状体2の先端を口金11に環状に固定する。
【0032】
この状態で圧力流体送入口70から圧力容器9内に圧力流体を送入すると、可撓性筒状体2の前記環状固定部分の後部外側に流体圧力が作用し、その可撓性筒状体2が図4に示すように折り返し部分2aにおいて内側が外側となるように裏返され、それに伴って折り返し部分2aが口金11の前方に押し出される。
【0033】
そして後方の可撓性筒状体2が前方に引き出されて順次前記折り返し部分2aにおいて裏返され、その折り返し部分2aが前方に進行しながら順次可撓性筒状体2を裏返し、可撓性筒状体2の全長に亙って裏返されるのである。
【0034】
また前述の管路1に内張りする場合においては、内張り材2内に反応硬化型の接着剤を注入して不織布層4に含浸させておき、それを上記のように流体圧力で裏返しながら管路1に送入することにより、接着剤を含浸した不織布層4が管路1の内面に当接し、接着剤を硬化させることにより、管路1に内張りすることができる。
【0035】
本発明の装置においては、支持部材20、20と取り付け金具22との間にばね手段23が介装され、当該ばね手段23によりシート16、16の先端部が前記区画17ごとに互いに圧接せしめられているので、図10に実線で示すようにシート16、16の先端同士が互いに圧接し、シート16、16の間から圧力容器9内の圧力流体が漏出することがない。
【0036】
またシート16、16の間に可撓性筒状体2を挿入すると、シート16、16は可撓性筒状体2により押し開かれ、図9及び図10に鎖線で示すように、スライドシャフト21はばね手段23を圧縮しながら上下に開き、シート16、16の間に可撓性筒状体2が通過することができる。
【0037】
またシート16、16の先端部は各区画17ごとにばね手段23の弾力により可撓性筒状体2に圧接せしめられており、その圧接力は可撓性筒状体2の全幅において一定となり、内張り材2の表面に凹凸があっても図2において述べたような空所7が形成されることはなく内面に塗布された接着剤が均一に塗布される。
【0038】
また各シート16、16の先端部はスライドシャフト21に取り付けられており、その位置においてばね手段23の弾力に抗して上下には動くことができるが、可撓性筒状体2の前後方向には動くことができず、前記図3に示したように圧力容器9内の流体圧力により内側に捲れ返ることがない。
【0039】
なお、上記の本発明においては、スライドシャフト21がシート16、16を押圧する方向が上下方向のみであるため、可撓性筒状体2の側縁とシート16、16の区画17との位置関係によっては、可撓性筒状体2の側縁とシート16、16の対向面との間に空所8が形成されるのを避けることができない。
【0040】
この場合には、可撓性筒状体2の両側縁におけるシート16、16の先端面に跨って、柔軟な素材よりなる圧接部材24を圧接し、前記空所8から圧力容器9内の圧力流体が漏出するのを防止するのが好ましい。
【0041】
その圧接部材24を圧接する圧接装置25は図6及び図8に示されている。この圧接装置25は、圧力容器9の両側壁間に上下一対のバー26が固定されており、当該バー26に左右一対の摺動部材27が摺動自在に取り付けられ、当該摺動部材27に取り付けられた雌ネジ部材28に雄ネジ部材29が螺合され、当該雄ネジ部材29を圧力容器9の外からハンドル30により回転操作し、圧接部材24の位置を調節することができるようになっている。
【0042】
そして摺動部材27間に取り付けられた支持板31に摺動杆32が摺動自在に支持され、当該摺動杆32の先端に前記圧接部材24が取り付けられ、ばね手段33により常時前記シート16、16の先端面に圧接せしめられる。
【0043】
また前記ハンドル30を回転操作することにより、圧接部材24の側面を可撓性筒状体2の側縁に圧接して前記空所8を完全に塞ぐことができ、前記空所8を通じて後方に圧力流体が漏出するのを阻止することができる。
【0044】
しかしながら、後方への圧力流体の漏出を100%完全に阻止することは困難であり、ある程度の漏出はやむを得ないことであり、そのときには導入口10から圧力流体が放出され、放出音が生じる。
【0045】
従ってその放出音を軽減するために、導入口10の後方に消音器14を設けるのが好ましい。この消音器14は、可撓性筒状体2が通過する箱体34内に柔軟なプラスチックの発泡体35を張り付けてなるものとするのが好ましい。
【0046】
前記後部遮蔽装置13は図11に示すように、箱体36の前後の壁面に可撓性筒状体2が通過する開口37、38を有し、当該開口37、38を通過する可撓性筒状体2を挟んで、上下に相対向して遮蔽板39が設けられており、その遮蔽板39の相対向する端部には柔軟な素材よりなる挟圧部40が設けられている。なお41は、後部遮蔽装置13の後部壁面と前記遮蔽板39の背面との間をシールするパッキンである。
【0047】
そして両遮蔽板39には雌ネジ部材42が取り付けられており、当該雌ネジ部材42に雄ネジ部材43が螺合されている。前記箱体36の一側部に設けられたモーター44及び減速機45によりかさ歯歯車46、47を介して駆動ロッド48を駆動し、当該駆動ロッド48の両端に設けられたかさ歯歯車49、50により上下に設けられた駆動バー51を駆動し、さらに当該駆動バー51に設けられたかさ歯歯車52が、前記雄ネジ部材43の端末に設けられたかさ歯歯車53に噛合し、雌ネジ部材42を介して遮蔽板39を上下に開閉し、可撓性筒状体2を挟圧して遮蔽するようになっている。
【0048】
可撓性筒状体2の後端にはその後端が通過したのち可撓性筒状体2の裏返りをコントロールするためのベルトが縫着されているため、可撓性筒状体2の断面形状が乱れており、シート16、16の先端部を通過しにくく、その周囲から圧力容器9内の圧力流体が大量に漏出し、圧力容器9内や裏返った可撓性筒状体2内に十分な圧力を作用させることができず、裏返りを進行できない可能性がある。
【0049】
そのようなときには、前記遮蔽板39を閉じて挟圧部40でベルトを挟みつけ、圧力容器9や裏返った可撓性筒状体2内の流体圧力を十分に確保することにより、可撓性筒状体2の裏返りを進行させることができる。
【0050】
また前記前部遮蔽装置12は図12に示すように、箱体54の前後の壁面に可撓性筒状体2が通過する開口55、56を有し、当該開口55、56を通過する可撓性筒状体2の上部に遮蔽板57が設けられており、その遮蔽板57の下端部には柔軟な素材よりなる挟圧部58が設けられており、当該挟圧部58に対向する下部には受け部59が設けられている。なお60は、前部箱体54の後部壁面と前記遮蔽板57の背面との間をシールするパッキンである。
【0051】
そして前記遮蔽板57には雌ネジ部材61が取り付けられており、当該雌ネジ部材61に雄ネジ部材62が螺合されている。前記箱体54の上部に設けられたモーター63及び減速機64によりかさ歯歯車65、66を介して駆動バー67を駆動し、当該駆動バー67に設けられたかさ歯歯車68が、前記雄ネジ部材62の上端に設けられたかさ歯歯車69に噛合し、雌ネジ部材61を介して遮蔽板57を上下に開閉し、挟圧部58と受け部59との間に可撓性筒状体2を挟圧して遮蔽するようになっている。
【0052】
なおこの前部遮蔽装置12は可撓性筒状体2の上部に設けられた遮蔽板57のみによって遮蔽するようになっているが、前記後部遮蔽装置13と同様に上下に設けられた遮蔽板によって上下から可撓性筒状体2を挟みつけるようにすることもできる。
【0053】
本発明の装置を管路の内張りに使用する場合には、可撓性筒状体2が裏返って管路に挿通されたのち、可撓性筒状体2の内面に塗布されていた接着剤を硬化させて管路に接着する必要がある。
【0054】
この場合には、前部遮蔽装置12で圧力容器9と口金11との間を遮蔽することにより、口金11及びそれに接続された裏返された可撓性筒状体2内の流体圧力を保持したままで、圧力容器9及びそれよりも後方の装置を取り外すことができる。
【符号の説明】
【0055】
2 可撓性筒状体(内張り材)
6 シール部材
9 圧力容器
10 導入口
11 口金
14 消音器
15 外殻体
16 シート
17 区画
18 切り込み
20 支持部材
21 スライドシャフト
23 ばね手段
24 圧接部材
34 箱体
35 発泡体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に可撓性筒状体(2)の先端を環状に固定する口金(11)を設け、その口金(11)の後部に圧力容器(9)を形成し、当該圧力容器(9)の後部に前記可撓性筒状体(2)を導入する導入口(10)を形成し、当該導入口(10)に前記圧力容器(9)内に突出する柔軟な気密性の材料よりなる一対のシート(16、16)よりなるシール部材(6)を取り付け、前記シート(16、16)の先端部を前記圧力容器(9)内の流体圧力により前記導入口(10)を通過する扁平状態の可撓性筒状体(2)の両面に圧接せしめると共に、当該シート(16、16)の先端部を少なくとも10以上の区画(17)に区分し、各区画(17)をそれぞれ互いに対向するシート(16、16)に接近する方向に付勢したことを特徴とする、可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項2】
前記圧力容器(9)の外殻体(15)に固定された支持部材(20、20)に前記区画(17)に対応するスライドシャフト(21)を摺動自在に嵌合し、当該スライドシャフト(21)の先端に対応する前記区画(17)を回動自在に軸支し、前記スライドシャフト(21)をばね手段(23)により前記シート(16、16)に接近する方向に付勢したことを特徴とする、請求項1に記載の可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項3】
前記シート(16、16)における前記区画(17)と隣接する区画(17)との間に切り込み(18)を形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項4】
前記可撓性筒状体(2)の両側縁が通過する位置における前記両シート(16、16)の先端面に跨って、柔軟な材料よりなる圧接部材(24)を圧接したことを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項5】
前記圧接部材(24)を前記可撓性筒状体(2)の両側縁に圧接せしめたことを特徴とする、請求項4に記載の可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項6】
前記導入口(10)の後方に消音器(14)を設けたことを特徴とする、請求項1、2、3、4又は5に記載の可撓性筒状体の裏返し装置
【請求項7】
前記消音器(14)が、可撓性筒状体(2)が通過する箱体(34)内に柔軟なプラスチックの発泡体(35)を張り付けてなることを特徴とする、請求項6に記載の可撓性筒状体の裏返し装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−139934(P2012−139934A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294627(P2010−294627)
【出願日】平成22年12月31日(2010.12.31)
【出願人】(000117135)芦森工業株式会社 (447)
【出願人】(392008884)芦森エンジニアリング株式会社 (36)
【Fターム(参考)】