説明

可撓性管継手

【課題】 可撓性部分に土圧が直接かかることがなく、確実な変位追従性を有する可撓性管継手を提供する。
【解決手段】 壁削孔部12に固定される壁削孔部側取付筒14と、管体13に固定される管体側取付筒15との間に、壁削孔部側取付筒から管体側取付筒方向に延出した大径筒21と、該大径筒の延出端から壁削孔部側取付筒内周方向に折り返された中間筒22と、管体側取付筒から壁削孔部側取付筒方向に延出して前記中間筒の折り返し方向先端に接続する小径筒23とを有する可撓性の連結筒16を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可撓性管継手に関し、詳しくは、情報管路や下水管路に設けられたマンホールやハンドホールの壁削孔部に、管路を形成する管体を接続する際に用いられる可撓性管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】マンホールやハンドホールと管体とを接続する際に用いられる可撓性管継手として、マンホール等の壁削孔部に固定される壁削孔部側取付筒と管体に固定される管体側取付筒との間に蛇腹部を設けた可撓性管継手が知られている(特開平11−21930号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の可撓性管継手では、蛇腹部が壁削孔部から外部の土中に突出しているため、土圧によって蛇腹部に土砂が詰まり、可撓性部分としての機能が十分に発揮できなくなることがあった。
【0004】そこで本発明は、可撓性部分に土圧が直接かからずに、その機能を確実に得られる可撓性管継手を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の可撓性管継手は、マンホール、ハンドホール等の壁削孔部に固定される大径の壁削孔部側取付筒と、壁削孔部に接続する管路の管体に固定される小径の管体側取付筒と、壁削孔部側取付筒と管体側取付筒との間を連結する可撓性の連結筒とを有し、該連結筒は、壁削孔部側取付筒から管体側取付筒方向に延出した大径筒と、該大径筒の延出端から壁削孔部側取付筒内周方向に折り返された中間筒と、管体側取付筒から壁削孔部側取付筒方向に延出して前記中間筒の折り返し方向先端に接続する小径筒とにより形成され、前記大径筒と中間筒との折り返し部を前記壁削孔部の内周に位置させたことを特徴とし、また、壁削孔部内周と管体側取付筒外周との間に、柔軟性を有するクッション材が挿入されることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の可撓性管継手の一形態例を示すもので、図1は施工時の状態を示す一部断面正面図、図2は管体が軸方向に変位した状態を示す一部断面正面図である。この可撓性管継手10は、マンホールやハンドホール11の壁面に形成された壁削孔部12に、管路を構成する管体13を接続する際に用いられるものであって、壁削孔部12に固定される大径の壁削孔部側取付筒14と、管体13に固定される小径の管体側取付筒15と、壁削孔部側取付筒14と管体側取付筒15との間を連結する可撓性の連結筒16とを有している。
【0007】壁削孔部側取付筒14は、壁削孔部12に対応した外径を有するものであって、内周に装着された拡径バンド17で拡径されることにより、外周面が壁削孔部12の内周面に圧着されて固定される。壁削孔部側取付筒14と壁削孔部12との間には、必要に応じて水膨張性ゴムや粘着性接着剤を介在させることができる。
【0008】管体側取付筒15は、管体13に対応した外径を有するものであって、外周に装着された締付けバンド18で締付けられることにより、内周面が管体13の外周面に圧着されて固定される。管体13が本形態例に示すリブパイプの場合は、管体側取付筒15と管体13との間に適宜な形状の止水リング19が装着される。通常のパイプの場合は、前記同様に水膨張性ゴムや粘着性接着剤を用いることができる。
【0009】前記連結筒16は、壁削孔部側取付筒14から管体側取付筒15の方向に延出した大径筒21と、該大径筒21の延出端21aから壁削孔部側取付筒14の内周方向に折り返された中間筒22と、管体側取付筒15から壁削孔部側取付筒14の方向に延出して前記中間筒22の折り返し方向先端22aに接続する小径筒23とにより形成されており、前記大径筒21と中間筒22との折り返し部(大径筒21の延出端21a)が前記壁削孔部12の内周に位置するように形成されている。
【0010】管体13の接続作業は、可撓性管継手10の壁削孔部側取付筒14を拡径バンド17によって壁削孔部12に固定した後、あらかじめ止水リング19を装着した管体13を管体側取付筒15内に挿入し、締付けバンド18で締付ける手順で行われ、最後に、壁削孔部12と管体側取付筒15との間に、柔軟性を有するスポンジ等からなるクッション材20を挿入して終了する。
【0011】このように、形成した可撓性管継手10は、連結筒16における折り返し構造によって管体13の角度変位に対応することができ、さらに、地震等によって管体13が軸方向に移動した場合でも、図2に示すように、折り返されていた中間筒22が管体13の移動に追従して変形するので、管体13やマンホール等に大きな負荷がかかることがなくなる。
【0012】そして、可撓性部分である連結筒16の全体が壁削孔部12の内部に位置しているので、土圧が直接作用することがなくなり、また、クッション材20を設けておくことにより、連結筒16部分への土砂の侵入も防止できるので、連結筒16が有する可撓性が失われることがなく、可撓性部分としての機能を十分に発揮できる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の可撓性管継手によれば、管体の角度変位や軸方向の変位に追従して確実に変形するので、管体やマンホール等に大きな負荷がかかることがなく、止水性が損なわれることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の可撓性管継手の一形態例を示す施工時の状態の一部断面正面図である。
【図2】 管体が軸方向に変位した状態を示す一部断面正面図である。
【符号の説明】
10…可撓性管継手、12…壁削孔部、13…管体、14…壁削孔部側取付筒、15…管体側取付筒、16…連結筒、17…拡径バンド、18…締付けバンド、19…止水リング、20…クッション材、21…大径筒、22…中間筒、23…小径筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】 マンホール、ハンドホール等の壁削孔部に固定される大径の壁削孔部側取付筒と、壁削孔部に接続する管路の管体に固定される小径の管体側取付筒と、壁削孔部側取付筒と管体側取付筒との間を連結する可撓性の連結筒とを有し、該連結筒は、壁削孔部側取付筒から管体側取付筒方向に延出した大径筒と、該大径筒の延出端から壁削孔部側取付筒内周方向に折り返された中間筒と、管体側取付筒から壁削孔部側取付筒方向に延出して前記中間筒の折り返し方向先端に接続する小径筒とにより形成され、前記大径筒と中間筒との折り返し部を前記壁削孔部の内周に位置させたことを特徴とする可撓性管継手。
【請求項2】 壁削孔部内周と管体側取付筒外周との間に、柔軟性を有するクッション材が挿入されることを特徴とする請求項1記載の可撓性管継手。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−295971(P2001−295971A)
【公開日】平成13年10月26日(2001.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−109775(P2000−109775)
【出願日】平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】