説明

可燃性発泡剤処方治具と断熱体製造方法

【課題】発泡剤にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を用いた硬質ポリウレタン発泡樹脂を断熱材とする断熱体を製造するに際して、設備コストをあまりかけることなく、ペンタンガス等を確実に排出可能にする。
【解決手段】外治具2と、外治具2内部に配置される内治具1とを備え、外治具2と内治具1との間に配置された外箱5と内箱4の間にペンタンを発泡剤とする硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入して断熱体を製造可能になっている。内治具1の周囲面に流体通路を備えた可動プレート1bが配置されて、可動プレート1bに断熱体の内箱4と接すると共に内箱4を保持可能になっていて、外治具2の内周面に流体通路を備えた内側パネル2cが配置されて、内側パネル2cが断熱体の外箱5と接するようになっている。内治具1の底部周辺を排気する排気装置9を備えると共に、上部に温風吹出装置10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可燃性発泡剤処方治具と断熱体製造方法に関し、詳しくは、外治具と、この外治具内部に配置される内治具とを備え、前記外治具と内治具との間に、断熱体を構成する外箱と内箱とを配置し、これら外箱と内箱の間にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を発泡剤とする硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入して断熱体を製造可能になっている可燃性発泡剤処方治具と断熱体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫は、その外箱と内箱との間に、断熱性に優れた硬質ポリウレタンフォームを充填させて、断熱性を高めて構成されている。この冷蔵庫を製造する場合、冷蔵庫を構成する内箱と外箱を、内治具と外治具で構成された治具内に設置し、内箱と外箱との間に、断熱材である硬質ポリウレタンフォーム原液組成物(以下、「ウレタン原液」ということがある)を発泡剤と共に注入して発泡させ、加熱・硬化させる。発泡剤としては、環境に悪影響を与えるフロンに代えて、ペンタンや、その他可燃性の発泡剤、例えばイソブタン等を用いることが一般的である。
【0003】
ペンタンを発泡剤として用いると、発泡時の反応熱によりペンタンガスが治具周辺に漏洩する可能性があり、ペンタンガス(引火点が42℃程度と低い)が可燃性であるため、加熱手段として制御がし易く利便性の高い電気ヒーターを治具に装着して加熱する方法は、防爆性の観点から採用することができない。すなわち、治具周辺は、爆発性雰囲気が連続して又は長時間存在する区域(0種場所)に相当し、電気ヒーターの使用が禁止されているためである。
【0004】
そこで、治具内に銅パイプを内蔵させて、温水を循環させる方法が考えられるが、治具の容量が大きく、重さは2トン近くにも達するため、かかる治具を40℃程度まで均等に昇温させることは容易でなく、銅パイプの配置にも制限があり、しかも昇温時間が数時間にも及ぶなど、実生産には採用できない。また、銅パイプを長くすると、銅パイプは熱伝導性に優れているため、入口と出口では温度差が大きくなって、均一な加熱ができない。
【0005】
そのような問題があるため、ペンタンを発泡剤に使用したウレタン原液を注入発泡する際、治具から漏洩するペンタンガスを不活性ガスで希釈することにより、爆発の危険性を回避する方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平7−96528号号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術の方法では、不活性ガス注入設備を別に必要とし、治具にも不活性ガスを注入する工夫が必要となるなど、少なくない設備コストがかかるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、発泡剤にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を用いた硬質ポリウレタン発泡樹脂を断熱材とする断熱体を製造するに際して、設備コストをあまりかけることなく、ペンタンガス等を確実に排出可能にすると共に、硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を効率よく加熱・硬化させる可燃性発泡剤処方治具と断熱体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る可燃性発泡剤処方治具の特徴構成は、外治具と、この外治具内部に配置される内治具とを備え、前記外治具と内治具との間に、断熱体を構成する外箱と内箱とを配置し、これら外箱と内箱の間にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を発泡剤とする硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入して断熱体を製造可能になっていて、前記内治具の周囲面に流体通路を備えた可動プレートが配置されて、この可動プレートに前記断熱体の内箱と接すると共に内箱を保持可能になっていて、前記外治具の内周面に流体通路を備えた内側パネルが配置されて、この内側パネルが前記断熱体の外箱と接するようになっていて、前記内治具の底部周辺を排気する排気装置を備えると共に、上部に温風吹出装置を有することにある。
【0010】
この構成によれば、外箱と内箱の間に注入される硬質ポリウレタンフォーム原液組成物から排出され、特に内治具底部周辺に滞留し易いペンタンガス等を、確実に排気できる。排気装置自体は、既存の脱気装置などを利用できるので、新たな設備を導入する必要がない。しかも、排気しながら上部に配置した温風吹出装置により、温風を容易に内治具底部周辺に浸透されることができるので、内治具の可動プレートと接する断熱体の内箱を均等かつ効果的に加熱でき、注入された硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を効率よく加熱・硬化させることができる。
【0011】
その結果、発泡剤にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を用いた硬質ポリウレタン発泡樹脂を断熱材とする断熱体を製造するに際して、設備コストをあまりかけることなく、ペンタンガス等を確実に排出可能にすると共に、硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を効率よく加熱・硬化させる可燃性発泡剤処方治具を提供することができた。
【0012】
前記可動プレートが、前記内治具の内部に備えられたシリンダー機構により伸縮自在になっていると共に、前記温風吹出装置が、前記硬質ポリウレタンフォーム原液組成物の注入位置の上部に配置されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、可動プレートの可動範囲を大きくできると共に、互いに反対方向にシリンダーを配置することによって、高い発泡圧に対しても対抗できるようになり、しかも、注入された硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を上方より加熱し、硬化を促進すると共に、排気装置による、内治具の底部周辺に滞留する可能性のあるペンタンガス等の排気と相まって、吹き付けた温風が内治具の底部周辺に行き渡り、注入された硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を一層均等に加熱・硬化できる。
【0014】
前記内治具の可動プレートと前記外治具の内側パネルの流体通路近傍に、電気ヒーターを備えることが好ましい。
【0015】
特に、少量多品種生産が行われる業務用冷蔵庫の製造時には、予熱時間を短くして型の入れ換えを短時間に行う必要があるが、この構成によれば、制御し易い電気ヒーターを使用し予熱するため、内外治具を均等に加熱でき、昇温速度が早くなり、温水通流のみによる場合よりも予熱時間を短くできる。つまり、温水を通流する場合には、入口側から出口に至る過程で熱交換が生じ、通流経路が長くなるに従い温度が低下する傾向にあるが、電気ヒーターの場合は、そのようなことがなく、均等に加熱でき、しかも温度調節がし易い。もっとも、電気ヒーターによる予熱は、硬質ポリウレタンフォーム原液組成物注入場所以外の所で行うようにする。
【0016】
前記排気装置は、先端が開口した排気チューブと、この排気チューブに接続する脱気装置とを有し、前記排気チューブの先端が前記内治具の底部近傍に配置可能になっていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、内治具の底部近傍のペンタンガス等が滞留し易い隅部のような箇所に対しても、排気チューブを配置できるので、滞留しているペンタンガス等を一層漏れなく排出可能になる。もとより、排気チューブを複数配置して排気することができる。
【0018】
前記流体通路の周囲に、熱伝剤が充填されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、流体通路が形成された内治具の可動プレートと外治具の内側パネルの広い範囲にわたり、熱伝導が効率的に進行して昇温速度が早くなる。
【0020】
また、本発明に係る断熱体の製造方法の特徴構成は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の可燃性発泡剤処方治具を用いて製造することにある。
【0021】
この構成によれば、発泡剤にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を用いた硬質ポリウレタン発泡樹脂を断熱材とする断熱体を製造するに際して、設備コストをあまりかけることなく、ペンタンガス等を確実に排出可能にすると共に、硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を効率よく加熱・硬化させる断熱体の製造方法を提供することができる。
【0022】
前記可燃性発泡剤処方治具に硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入する前に、前記可燃性発泡剤処方治具を構成する内治具の可動プレートと外治具の内側パネルの流体通路近傍に備えられた電気ヒーターに通電して、予め内治具の可動プレートと外治具の内側パネルを予熱することが好ましい。
【0023】
この構成によれば、制御し易い電気ヒーターを部分的に使用し予熱するので、内外治具を均等に加熱でき、昇温速度が早くなり、温水通流のみによる場合よりも予熱時間を短くできる。特に、少量多品種生産が行われる業務用冷蔵庫の製造時には好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明に係る実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る可燃性発泡剤処方治具を構成する内治具の斜視図、図2は図1の内治具(支持装置6は省略)を用いて、断熱体の1種である業務用冷蔵庫の製造方法を説明する断面図、図3,4は、内外治具に支持される加熱パネルの構造を示す。以下、本実施形態につき、ペンタンを発泡剤として用いた例を挙げて説明する。
【0025】
図1に示す内治具1は、シリンダー機構等などを内側に配置し、フレームから組み立てられ構成された筐体1aと、四周のフレームとシリンダーで接続された支持部材3と支持される可動プレート1bと、を有して構成されている。そして、筐体1aに内蔵されているシリンダー(図示略)により、可動プレート1bは支持部材3を介して伸縮可能になっている。筐体1aの周囲に配置された可動プレート1bの伸縮機構により、サイズの異なる冷蔵庫を製造する場合に、容易に対処できるようになっている。また、シリンダーが反対方向にも配置されて、互いに突っ張る方向に作用するので、注入されたウレタン原液の発泡時に生じる高い発泡圧に対しても十分に対抗し得る。
【0026】
可動プレート1bの周囲には、可動プレート1bおよび内治具底部1cを覆うように、冷蔵庫を構成する箱形をした樹脂製あるいは金属製内箱4が装着される。この内箱4は、シリンダーによって外側に向けて付勢されている可動プレート1bの作用により落下しない。なお、図1で図番6は、内治具1を外治具2内に所定間隔を隔てて位置合わせしつつ配置したり、内治具1を外治具2内から引き上げて取り出したりする場合などに、吊り下げ移動させるための支持装置である。
【0027】
外治具2の内部には、冷蔵庫を構成する金属製の外箱5が配置されている。内治具1は、外箱5を配置した外治具2の内部に所定間隔を隔てて設置される。そして、内治具1の可動プレート1bと外治具2に支持された外箱5との間に、ウレタン原液をペンタン発泡剤と共に注入して、発泡させ、加熱・硬化させる。その後、内治具1のシリンダーを後退させ、内治具1を外治具2から引き上げて取り出すと共に、硬質ポリウレタン発泡体を挟んで内箱4と外箱5とが一体となって、外治具2から取り出される。
【0028】
外治具2は、長方形状をした底部2aと、この底部2aの各辺から立設する縦壁2bとを有すると共に、この縦壁2bに支持具7を介して支持される加熱パネルであるアルミニウム製の板状をした内側パネル2cを有して構成されている。
【0029】
内側パネル2cおよび縦壁2bの内部は、図3,4に示すように、銅パイプを内蔵して温水などの流体を通流させる流体通路11が形成されている。以下、内側パネル2cについて、図3,4に基づいて説明する。
【0030】
内側パネル2cに内蔵されている銅パイプ11には、所定温度の温水を速い速度で通流可能になっている。この場合、銅パイプ11の近傍に、銅パイプ11に沿って線状電気ヒーターを配置しておくことが好ましい。後述する施工例で説明するように、この電気ヒーターは、ウレタン原液注入作業場外の治具保管場所などで、外治具2を予熱する際に使用される。特に、業務用冷蔵庫を製造する場合には、少量多品種の生産体制となって、同種冷蔵庫の連続生産が行い難く、外治具2を所定温度にまで高めて維持することが困難であるため、生産サイクルが長くなり易いが、制御し易い電気ヒーターを利用して外治具の内側パネル2cを均等に予熱すると、ウレタン原液を注入するにあたり、外治具の内側パネル2cに温水を通流させる場合にも、均一に素早く昇温できることになり、一層効率よく生産できる。この場合、電気ヒーターは、自己の温度変化に対し発熱量が自動的に増減する自己制御タイプのヒーターを使用することが好ましい。一定温度(例えば、40℃)に保持でき、温度管理が行い易いからである。
【0031】
内側パネル2cの内部に配置されている銅パイプ11は、内側パネル2cの上端部の左右2箇所に開口端11a,11bが位置するように配置される。そして、開口端11a,11bの一方が温水通流入口となると共に、他方が出口となり、内側パネル2cの内部では屈曲しながら稠密に配置される。この銅パイプ11は、内側パネル2cの一方の面側に形成された溝部に嵌め込まれるようになっており、内側パネル2cの他方の平滑面が内箱と接する面となる。このようにすると、アルミニウム製の内側パネル2cに銅パイプ11を取り付けることが容易となる。
【0032】
銅パイプ11の周囲は、熱伝剤8で被覆されていて、銅パイプ11内を通流する温水が、銅パイプ11の全外周面から内側パネル2cの内部に向けて同時的に効率よく熱伝達され、内側パネル2cの外表面にも効果的に熱伝達されるようになっている。熱伝剤8としては、例えば、純グラファイトを主体とした高熱伝導性ペースト状セメントである、株式会社東京興業貿易商会販売のHT熱伝セメント(商品名)などを使用することができる。
【0033】
また、内治具1の可動プレート1bも、外治具2の内側パネル2cの場合と同様な構造になっている。すなわち、この可動プレート1bは、銅パイプを内蔵して温水などの流体を通流させる流体通路11が形成されていて、可動プレート1bの銅パイプからなる流体通路11の近傍に、銅パイプ11に沿って線状電気ヒーターを配置しておくことが好ましい。
【0034】
更に、内治具1の筐体1aと可動プレート1bとの間には、排気装置9が設置されていて、ウレタン原液注入時に、内治具1の筐体1aと可動プレート1bとの間に溜まる可能性のあるペンタンガスを外部に排出可能にしている。すなわち、ウレタン原液が注入されると、発泡剤のペンタンがペンタンガスとなり上方に向けて押し出され、内治具1の筐体1aと可動プレート1bとの間に向けて、矢印Rに示す方向に流れて内治具1の底部に比重の大きいペンタンガスが滞留し易いが、排気装置6は、脱気装置(図示略)を有しており、内治具1の筐体1aと可動プレート1bとの間の底部位置に、排気チューブの先端開口部9aを配置させて、底部位置からペンタンガスを効率よく排出するようにしている。このようにすると、漏れ出たペンタンガスを確実に希釈できて、無害化することができる。底部位置から確実に排気する排気装置9は、図2に示すように、複数設置されることが好ましい。
【0035】
加えて、ウレタン原液注入位置の上部には、温風吹付装置10が配置されており、内治具1の可動プレート1bと外治具2に支持された外箱5との間に注入されたウレタン原液に、温風を吹き付けて加熱・硬化させるようにしている。温風吹付装置10は、ウレタン原液注入位置の上部に温風を効率よく吹き付けるために、複数個設けることが好ましい。上記した排気装置6による温風吹き付けにより、内治具1の筐体1aと可動プレート1bとの間の空気が効率的に置換されるため、吹き付けた温風が可動プレート1bの上下面全体にわたって均一にムラなく行き渡り、注入されたウレタン原液を所定温度に保持する。もっとも、夏季のように環境温度が高い場合には、温風吹付装置10の作動を停止し、排気装置9のみを作動させてもよい。
【0036】
<施工例>
次に、実際の施工例について説明する。治具保管場所にて、外治具の内側パネル2bと内治具の可動プレート1bとに約40℃以上の温水、例えば45〜55℃の温水を通流すると共に、電気ヒーターで予熱しておき、各治具が40℃になるよう予熱が終了すると、これら治具1,2をウレタン原液注入現場に搬送した。
【0037】
そして、ウレタン原液注入現場において、図2に示すように、外治具2の内部に内治具1を配置し、ステンレス鋼板製の内箱4と外箱5との間にペンタンを発泡剤とするウレタン原液を注入した。ウレタン原液の注入は、図示はしないが、複数箇所の注入口より同時的に行った。銅パイプ11内を通流させる温水は、約45〜55℃で、約100L/分程度の流量とした。環境温度は約10℃であったが、約40℃まで2〜3時間で昇温でき、発泡ムラのない高品質な業務用冷蔵庫として使用する断熱体を製造できた。
【0038】
〔別実施の形態〕
(1)上記実施形態では、可燃性発泡剤としてペンタンを用いた例を挙げて説明したが、これに代えてイソブタンを用いてもよい。
(2)上記実施形態では、断熱体として業務用の冷蔵庫を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各種冷凍庫、家庭用冷蔵庫などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る可燃性発泡剤処方治具を構成する内治具を示す斜視図
【図2】本発明の一実施形態に係る可燃性発泡剤処方治具を用いて冷蔵庫を製造する方法を説明する断面図
【図3】外治具の内側パネルの構造を示す模式的斜視図
【図4】図3の内側パネルの平面図
【符号の説明】
【0040】
1 内治具
1b 可動プレート
2 外治具
2c 内側パネル
4 内箱
5 外箱
8 熱伝剤
9 排気装置
10 温風吹付装置
11 流体通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外治具と、この外治具内部に配置される内治具とを備え、前記外治具と内治具との間に、断熱体を構成する外箱と内箱とを配置し、これら外箱と内箱の間にペンタン、イソブタンのような可燃性発泡剤を発泡剤とする硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入して断熱体を製造可能になっている可燃性発泡剤処方治具において、
前記内治具の周囲面に流体通路を備えた可動プレートが配置されて、この可動プレートに前記断熱体の内箱と接すると共に内箱を保持可能になっていて、前記外治具の内周面に流体通路を備えた内側パネルが配置されて、この内側パネルが前記断熱体の外箱と接するようになっていて、
前記内治具の底部周辺を排気する排気装置を備えると共に、上部に温風吹出装置を有することを特徴とする可燃性発泡剤処方治具。
【請求項2】
前記可動プレートが、前記内治具の内部に備えられたシリンダー機構により伸縮自在になっていると共に、前記温風吹出装置が、前記硬質ポリウレタンフォーム原液組成物の注入位置の上部に配置されている請求項1に記載の可燃性発泡剤処方治具。
【請求項3】
前記内治具の可動プレートと前記外治具の内側パネルの流体通路近傍に、電気ヒーターを備える請求項1又は2に記載の可燃性発泡剤処方治具。
【請求項4】
前記排気装置は、先端が開口した排気チューブと、この排気チューブに接続する脱気装置とを有し、前記排気チューブの先端が前記内治具の底部近傍に配置可能になっている請求項1〜3のいずれか1項に記載の可燃性発泡剤処方治具。
【請求項5】
前記流体通路の周囲に、熱伝剤が充填されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の可燃性発泡剤処方治具。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の可燃性発泡剤処方治具を用いて製造する断熱体製造方法。
【請求項7】
前記可燃性発泡剤処方治具に硬質ポリウレタンフォーム原液組成物を注入する前に、前記可燃性発泡剤処方治具を構成する内治具の可動プレートと外治具の内側パネルの流体通路近傍に備えられた電気ヒーターに通電して、予め内治具の可動プレートと外治具の内側パネルを予熱する請求項6に記載の断熱体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−307727(P2007−307727A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136602(P2006−136602)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】