説明

可逆的ヌクレオチドターミネーターおよびその使用

本発明は、1つ以上のDNA配列決定技術に有用であるヌクレオチドアナログを提供する。1つの態様によれば、本発明は、ヌクレオチドアナログが、成長する核酸鎖、例えば、DNA鎖に取り込まれた後に、ヌクレオチドアナログを検出することによって核酸の配列を決定するための方法を提供する。キットであって、(a)本発明の式I、II、IIIまたはIVの個別のヌクレオチドアナログ;および(b)DNAポリメラーゼ、(c)反応緩衝液、(d)天然2’デオキシヌクレオシド三リン酸および必要であれば、(e)切断試薬を備える、キットもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
核酸の配列を決定するための様々な方法が知られており、それらの中でも、ジデオキシ配列決定法、化学分解法および合成による配列決定(すなわち、ミニ配列決定法の複数回反復)が挙げられる。これらの方法のいくつかは、自動化によく適している。このような自動化された配列分析装置は、代表的には形成された生成物の蛍光検出を利用するチェーンターミネーション法に基づく。これらのチェーンターミネーション法は、鋳型にアニールするプライマーの3’ヒドロキシル末端に特異的なヌクレオチドを付加する酵素の能力に基づく。これらの系に、デオキシヌクレオチドおよびジデオキシヌクレオチドが添加され、その中でプライマーが色素標識される。あるいは、加えられるジデオキシヌクレオチドが色素標識される。さらに、色素標識されたデオキシヌクレオチドは、標識されていないジデオキシヌクレオチドと結合体化されて使用され得る。各々の場合において、核酸の塩基対形成の特性は、ヌクレオチド付加の特異性を決定する。生じた色素標識された産物は、次いでポリアクリルアミドゲルで電気泳動により分離され、使用した標識に適した方法によって検出される。
【0002】
化学分解法とジデオキシチェーンターミネーション法との両方が世界的に使用されているが、関連する多くの不都合点が存在する。例えば、これらの方法は、ゲル電気泳動分離が必要である。さらに、単一のクローンからたった400〜800塩基対しか配列決定できないことが典型である。結果として、これらのシステムは、多くの時間と労働力の両方を要し、配列決定の処理量を増大させる試みとして、ゲル分離を必要としない方法が開発されている。
【0003】
ハイブリダイゼーションによる配列決定(SBH)法は、非特許文献1;非特許文献2、非特許文献3および特許文献1によって提案されている。このタイプのシステムは、核酸配列を決定するために短いオリゴヌクレオチドを使用して、目的のポリヌクレオチドの複数のハイブリダイゼーションから得られる情報を利用する。複数のハイブリダイゼーション反応を同時に実施するため、これらの方法は、配列決定の処理量を増大させる可能性がある。しかしながら、配列を再構築するためには、複数のハイブリダイゼーションから得られるすべてのフラグメントの最も可能性の高い順序を決定するために大規模なコンピュータ検索アルゴリズムが必要となる。
【0004】
SBH方法は、いくつかの点において問題がある。例えば、ハイブリダイゼーションは、目的のオリゴヌクレオチドとポリヌクレオチドとの二重鎖の配列組成物に依存し、GCリッチ領域はATリッチ領域よりも安定である。結果として、ハイブリダイゼーション検出における偽陽性および偽陰性が頻繁に起こり、配列決定を複雑にする。さらに、ポリヌクレオチドの配列は、直接決定されないが、既知のプローブの配列から推測され、このため誤りが生じる可能性が増加する。
【0005】
可逆的にブロックされたヌクレオチドを使用する代替の配列決定法が、合成による配列決定(SBS)として知られている。SBSは、ヌクレオチドを取り込んで、1回に1塩基の配列を検出することによってDNA配列を決定する。SBSを使用して長い核酸を効率的に配列決定するためには、単一のヌクレオチドの取り込みを複数回反復することができることは、利点である。従って、SBSに基づく方法は、代表的には、成長する核酸の鎖の伸長を妨げる方法を使用する。例えば、さらなるヌクレオチドの取り込みを立体的に妨害する基の使用ならびにプライマーと標的DNAとの相互作用を妨げない条件下で除去することができる3’−OH保護基が使用される。同様に、1つ以上のDNA配列決定技術に有用なヌクレオチドアナログが未だ必要とされている。
【特許文献1】米国特許第5,202,231号明細書
【非特許文献1】Crkvenjakov,Drmanac et al.,Genomics 4:114(1989)
【非特許文献2】Strezoska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10089(1991)
【非特許文献3】Bains and Smith,Bains and Smith,J.Theoretical Biol.135:303(1988)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の特定の実施形態の詳細な説明)
(1.発明の全体的な説明)
本発明は、核酸の配列を決定するための方法に有用なヌクレオチドアナログを提供する。当業者は、本化合物が、種々の配列決定方法において有用であることを理解するであろう。このような方法は、当業者にすぐに明らかとなり、それらとしては、Sanger法、化学分解法および合成による配列決定(SBS)法などが挙げられる。一定の実施形態において、本化合物は、SBS方法において使用される。従って、1つの態様によれば、本発明は、ヌクレオチドアナログが、成長する核酸鎖、例えば、DNA鎖に取り込まれた後に、ヌクレオチドアナログを検出することによって核酸の配列を決定するための方法を提供する。
【0007】
別の実施形態によれば、本発明のヌクレオチドアナログは、まず、成長している核酸鎖、例えば、DNA鎖に取り込まれる。ここで前記ヌクレオチドアナログの取り込みは、核酸鎖、例えば、DNA鎖の成長を終結させる。次いでこのようにして取り込まれたヌクレオチドアナログは、そのヌクレオチドアナログに存在する特異的な検出可能な部分に適した方法によって検出される。
【0008】
いくつかの実施形態において、成長している核酸鎖、例えば、DNA鎖は、ポリメラーゼに触媒される反応によって合成される。
【0009】
本発明は、式Iの化合物:
【0010】
【化21】

であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
は、水素またはチオール保護基であり、そしてL−Rで必要に応じて置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)Rが−OTBSであるとき、Rは、−S−ピリジン−2−イル以外であり;
(b)RがTBDPSiであるとき、Rは、水素以外であり;そして
(c)RまたはRのうちの少なくとも1つがL−Rで置換されている、化合物
を提供する。
【0011】
本発明はまた、式IIの化合物:
【0012】
【化22】

であって、ここで:
1aは、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4aで置換されており;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)R3aまたはR1aのうちの少なくとも1つは、L−R4aで置換され;そして
(b)R5aがアセチルまたはベンジルのいずれかであるとき、R1aは、トリチル以外であり;そして前記化合物が
【0013】
【化23】

以外である、化合物
を提供する。
【0014】
別の実施形態によれば、本発明は、式IIIの化合物:
【0015】
【化24】

であって、ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
は、適切なヒドロキシル保護基または適切なチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4bで置換されており;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)R5bがTBSであるとき、Rはアリル以外であり;
(b)Qが硫黄であるとき、Rはp−ニトロベンジル以外であり;そして
(c)R3bまたはRのうちの少なくとも1つは、L−R4bで置換されている、化合物
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(2.定義)
本発明の化合物は、上記で概要を説明された化合物を含み、本明細書中に開示される実施形態、実施形態の一部およびその類のものによってさらに説明される。本明細書中で使用されるとき、他に示されない限り以下の定義が適用される。本発明のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics、75th Edに従って同定される。さらに、有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」,5th Ed.,Ed.:Smith,M.B. and March,J.,John Wiley & Sons,New York:2001に記載されている。これらの内容の全体が、本明細書によって参考として援用される。
【0017】
本明細書中に説明されるように、本発明の化合物は、上記で概要を説明されたものか、または本発明の特定のクラス、サブクラスおよび種によって例示されるような1つ以上の置換基で必要に応じて必要に応じて置換されていてもよい。句「必要に応じて置換されている」は、句「置換されているかまたは置換されていない」と交換可能に使用されることが理解されるであろう。一般に、用語「必要に応じて」に続くかまたは続かない用語「置換されている」は、所与の構造における水素ラジカルと特定の置換基のラジカルとの置換のことをいう。他に示されない限り、必要に応じて置換されている基は、その基のそれぞれの置換可能な位置で置換基を有し得、任意の所与の構造における1つ以上の位置が、特定の基から選択される1つ以上の置換基で置換され得るとき、その置換基は、それぞれの位置において、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明によって予測される置換基の組み合わせは、好ましくは安定な化合物または化学的に可能な化合物を形成するものである。
【0018】
用語「安定な」は、本明細書中で使用されるとき、本明細書中で開示される目的の1つ以上のためのそれらの生成、検出および好ましくはそれらの回収、精製および用途を可能にさせる条件に供されたときに、実質的に変化しない化合物のことをいう。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に可能な化合物は、少なくとも1週間に亘って水分または他の化学的に反応性の条件が存在しない場合で40℃以下の温度で維持されるときに実質的に変化しない化合物である。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「検出可能な部分」は、用語「標識」と交換可能に使用され、検出することができる任意の部分、例えば、1次標識および2次標識に関する。1次標識(例えば、放射性同位体(例えば、32P、33P、35Sまたは14C)、質量タグ(mass−tag)および蛍光部分)は、さらなる改変なしで検出することができるレポーター基を生成するシグナルである。
【0020】
用語「2次標識」とは、本明細書中で使用されるとき、検出可能なシグナルの生成についての2次的な中間体の存在が必要である、ビオチンおよび様々なタンパク質抗原などの部分のことをいう。ビオチンについては、2次的な中間体としては、ストレプトアビジン−酵素結合体が挙げられ得る。抗原標識については、2次的な中間体としては、抗体−酵素結合体が挙げられ得る。いくつかの蛍光基は、非放射性の蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)のプロセスで別の基にエネルギーを転移し、そしてこの第2の基が、検出されるシグナルを生成するため、2次標識として作用する。
【0021】
用語「蛍光標識」、「蛍光色素」および「フルオロフォア」は、本明細書中で使用されるとき、既定された励起波長で光エネルギーを吸収し、異なる波長で光エネルギーを放射する部分のことをいう。蛍光標識の例としては:Alexa Fluor色素(Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660およびAlexa Fluor 680)、AMCA、AMCA−S、BODIPY色素(BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、CAL色素、カルボキシローダミン6G、カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、Cascade Blue、Cascade Yellow、シアニン色素(Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5)、ダンシル、Dapoxyl、ジアルキルアミノクマリン、4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシ−フルオレセイン、DM−NERF、エオシン、エリスロシン、フルオレセイン、FAM、ヒドロキシクマリン、IR色素(IRD40、IRD 700、IRD 800)、JOE、リサミンローダミンB、Marina Blue、メトキシクマリン、ナフトフルオレセイン、Oregon Green 488、Oregon Green 500、Oregon Green 514、カキ(Oyster)色素、Pacific Blue、PyMPO、ピレン、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、Rhodol Green、2’,4’,5’,7’−テトラ−ブロモスルホン−フルオレセイン、テトラメチル−ローダミン(TMR)、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、テキサスレッド、テキサスレッド−Xが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書中で使用される用語「クエンチャー」は、接近した位置にある場合、励起した蛍光標識のエネルギーを吸収することができ、そして可視光線の放射なしにそのエネルギーを散逸することができる任意の部分を含む。クエンチャーの例としては、DABCYL(4−(4’−ジメチルアミノフェニルアゾ)安息香酸)スクシンイミジルエステル、ジアリールローダミンカルボン酸、スクシンイミジルエステル(QSY−7)および4’,5’−ジニトロフルオレセインカルボン酸、スクシンイミジルエステル(QSY−33)(以上のすべてはMolecular Probesから入手可能)、クエンチャー1(Ql;Epochから入手可能)または「ブラックホールクエンチャー」であるBHQ−1、BHQ−2およびBHQ−3(BioSearch,Inc.から入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「質量タグ」は、本明細書中で使用されるとき、質量分析(MS)検出技術を使用してその質量によって一意的に検出することができる任意の部分のことをいう。質量タグの例としては、エレクトロフォア(electrophore)放出タグ、例えば、N−[3−[4’−[(p−メトキシテトラフルオロベンジル)オキシ]フェニル]−3−メチルグリセロニル]イソニペコチン酸、4’−[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(ペンタフルオロフェノキシル)]メチルアセトフェノンおよびそれらの誘導体が挙げられる。これらの質量タグの合成および有用性は、米国特許第4,650,750号、同第4,709,016号、同第5,360,8191号、同第5,516,931号、同第5,602,273号、同第5,604,104号、同第5,610,020号、同第5,650,270号および米国仮特許番号60/209,415に説明されている。質量タグの他の例としては、ヌクレオチド、ジデオキシヌクレオチド、様々な長さおよび塩基組成物のオリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、オリゴ糖および様々な長さおよびモノマー組成物の他の合成ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。適切な質量範囲(100〜2000ダルトン)の中性かつ帯電した多くの様々な有機分子(生体分子または合成化合物)もまた、質量タグとして使用され得る。
【0024】
用語「電気泳動タグ」または「e−タグ」は、本明細書中で使用されるとき、電気泳動分離技術を使用して電荷と質量の比によって一意的に検出することができる任意の部分のことをいう。このような電気泳動分離技術としては、キャピラリー電気泳動およびシリカ、ガラス、プラスチックまたは他の材料でできた、製造された「チップ」もしくはデバイス(例えば、「配列決定チップ」)においてポリマーもしくはゲルで満たされたマイクロチャネルにおける分離が挙げられる。e−タグの例としては、PCT出願WO066607A1に説明されているタイプの荷電分子が挙げられ、本明細書中で説明される標識方法を用いてDNAプライマーに結合され得る。
【0025】
用語「基材」は、本明細書中で使用されるとき、核酸が、基材に接着している別の部分に直接的または共有結合もしくは非共有結合のいずれかを介して結合され得る任意の材料または高分子複合体のことをいう。基材は、代表的には適切な条件下でのその固体性または不溶性によって水溶液から分離することができるが、この特性を有しない重合体の基材、例えばゲルもまた、使用され得る。通常使用される基材の例としては、ガラス面、シリカ面、プラスチック面、金属面、金属コーティングまたは化学コーティングを含む面、膜(例えば、ナイロン、ポリスルホン、シリカ)、マイクロビーズ(例えば、ラテックス、ポリスチレンもしくは他のポリマーまたは磁気ビーズを含む樹脂)、多孔性ポリマーマトリックス(例えば、ポリアクリルアミドゲル、多糖、ポリメタクリレート、熱可逆的ポリマー)、高分子複合体(例えば、タンパク質、多糖)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書中で使用されるとき、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和の単位を含む、直鎖状(すなわち、分枝していない)もしくは分枝状の、置換されているかもしくは置換されていない炭化水素鎖または完全に飽和しているか、もしくは1つ以上の不飽和の単位を含むが、芳香族ではなく、その分子の残りの部分に結合する単一の点を有する単環式の炭化水素もしくは二環式の炭化水素(本明細書中で「炭素環式化合物」「脂環式」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)を意味する。他に特定されない限り、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含み、そしてなおも他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、「脂環式」(または「炭素環式化合物」または「シクロアルキル」)とは、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和の単位を含むが、芳香族ではなく、その分子の残りの部分に結合する単一の点を有する、単環式のC〜C炭化水素または二環式のC〜C12炭化水素のことをいい、ここで前記二環式の環系において任意の個別の環は、3〜7員を有する。適切な脂肪族基としては、直鎖状または分枝状の、置換されているかまたは置換されていない、アルキル、アルケニル、アルキニル基およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式脂肪族」または「複素環式」は、本明細書中で使用されるとき、1つ以上の環員が独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族、単環式、二環式または三環式の環系を意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式脂肪族」または「複素環式」基は、3〜14個の環員を有し、1つ以上の環員は、酸素、硫黄、窒素またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、そしてその系における各環は、3〜7個の環員を含む。
【0028】
用語「ヘテロ原子」は、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(窒素、硫黄、リンもしくはケイ素の任意の酸化型;任意の塩基性窒素の四級化型または;複素環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のような)、NH(ピロリジニル中のような)またはNR(N−置換ピロリジニル中のような)を含む)を意味する。
【0029】
用語「不飽和」とは、本明細書中で使用されるとき、1つ以上の不飽和の単位を有する部分を意味する。
【0030】
用語「アルコキシ」または「チオアルキル」とは、本明細書中で使用されるとき、酸素(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して主な炭素鎖に結合する、上で定義したようなアルキル基のことをいう。
【0031】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」とは、1つ以上のハロゲン原子で置換され得る場合の、アルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」とは、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0032】
「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」におけるような単独または長いほうの部分の一部として使用される用語「アリール」は、合計5〜14個の環員を有する、単環式、二環式および三環式環系のことをいい、ここで、この系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、そしてこの環における各環は、3〜7個の環員を含む。用語「アリール」は、用語「アリール環」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書の以後に定義されるようなヘテロアリール環系のこともいう。
【0033】
「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」におけるような単独または長いほうの部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、合計5〜14個の環員を有する、単環式、二環式および三環式環系のことをいい、ここで、この系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系における少なくとも1つの環は、1つ以上のヘテロ原子を含み、そしてこの系における各環は、3〜7個の環員を含む。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。
【0034】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1つ以上の置換基を含み得る。アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適切な置換基は、ハロゲン;N、CN、R;OR;SR;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;必要に応じてRで置換されているフェニル(Ph);必要に応じてRで置換されている−O(Ph);必要に応じてRで置換されている(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換されているCH=CH(Ph);NO;CN;N(R;NRC(O)R;NRC(O)N(R;NRCO;−NRNRC(O)R;NRNRC(O)N(R;NRNRCO;C(O)C(O)R;C(O)CHC(O)R;CO;C(O)R;C(O)N(R;OC(O)N(R;S(O);SON(R;S(O)R;NRSON(R;NRSO;C(=S)N(R;C(=NH)−N(R;または(CH0〜2NHC(O)Rから選択され、ここで、それぞれ独立して出現するRは、水素、必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族、置換されていない5〜6員のヘテロアリールもしくは複素環式環、フェニル、O(Ph)またはCH(Ph)から選択されるか、または上記の定義にもかかわらず、同じ置換基上か、または異なる置換基上で独立して出現する2つのRは、各R基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環またはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、N、CN、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、前述のRのC1〜4脂肪族基の各々は、置換されない。
【0035】
脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環式環は、1つ以上の置換基を含み得る。脂肪族基もしくはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環式環の飽和炭素における適切な置換基は、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したような基から選択され、さらに以下:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRを含み、ここで、各Rは、水素または必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族から独立して選択される。Rの脂肪族基における任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、置換されない。
【0036】
非芳香族複素環式環の窒素における任意の置換基は、R、N(R、C(O)R、CO、C(O)C(O)R、C(O)CHC(O)R、SO、SON(R、C(=S)N(R、C(=NH)−N(RまたはNRSOから選択され;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族、必要に応じて置換されているフェニル、必要に応じて置換されているO(Ph)、必要に応じて置換されているCH(Ph)、必要に応じて置換されている(CH1〜2(Ph);必要に応じて置換されているCH=CH(Ph);あるいは酸素、窒素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する、置換されていない5〜6員のヘテロアリール環または複素環式環であるか、または上記の定義にもかかわらず、同じ置換基上か、または異なる置換基上で独立して出現する2つのRは、各R基が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環またはヘテロアリール環を形成する。Rの脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、置換されない。
【0037】
上で定義したように、いくつかの実施形態において、独立して出現する2つのR(もしくはRまたは本明細書中で同様に定義された他の任意の可変のもの)は、変化しうる各々が結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0〜4個のヘテロ原子を有する、3〜8員のシクロアルキル環、ヘテロシクリル環、アリール環またはヘテロアリール環を形成する。独立して出現する2つのR(もしくはRまたは本明細書中で同様に定義された任意の他の可変のもの)が、変化しうる各々が結合する原子と一緒になる場合に形成される代表的な環としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:a)出現する両方のRが、窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基またはモルフォリン−4−イル基を形成する場合に、同じ原子に結合し、そしてその原子と一緒になって環を形成する、独立して出現する2つのR(もしくはRまたは本明細書中で同様に定義された任意の他の可変のもの)、例えば、N(R;およびb)例えば、フェニル基が、2つの出現するOR
【0038】
【化25】

で置換されている場合、これらの2つの出現するRは、それらが結合する酸素原子と一緒になって融合した6員の酸素を含む環
【0039】
【化26】

を形成する、異なる原子に結合し、そしてそれらの原子の両方と一緒になって環を形成する、独立して出現する2つのR(もしくはRまたは本明細書中で同様に定義された任意の他の可変のもの)。独立して出現する2つのR(もしくはRまたは本明細書中で同様に定義された任意の他の可変のもの)が変化しうる各々が結合する原子と一緒になる場合に、様々な他の環が形成され得ることおよび上で詳述された例は、限定するためのものではないことを意図することが理解されるだろう。
【0040】
他に述べられない限り、本明細書中で示された構造は、その構造のすべての異性体の型(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体));例えば、各不斉中心に対してR配置およびS配置、(Z)二重結合異性体および(E)二重結合異性体ならびに(Z)配座異性体および(E)配座異性体を含むと意味される。従って、本化合物の単一の立体化学異性体ならびに鏡像異性体、ジアステレオ異性体および幾何異性体(または配座異性体)混合物は、本発明の範囲内である。他に述べられない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体は、本発明の範囲内である。さらに、他に述べられない限り、本明細書中で示された構造はまた、1つ以上の同位体が多い原子の存在下でのみ異なる化合物を含むと意味される。例えば、ジュウテリウムもしくはトリチウムによる水素の置換または13Cまたは14Cが多い炭素による炭素の置換以外の本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0041】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヌクレオチド」は、窒素塩基(「核酸塩基」)、糖および1つ以上のリン酸基からなる。糖は、RNAではリボースであり、DNAではデオキシリボース、すなわち、リボースに存在するヒドロキシル基を有しない糖であると理解されている。ヌクレオチドはまた、糖のC−5に結合するヒドロキシル基上で起きるエステル化によるヌクレオシドのリン酸エステルである。ヌクレオチドは、通常、一リン酸、二リン酸または三リン酸である。
【0042】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヌクレオシド」は、ヌクレオチドに構造的に類似しているが、リン酸部分を有しない。
【0043】
本明細書中で使用されるとき、修飾語句「模倣物」または「普遍的な」を伴わない用語「核酸塩基」は、天然に存在する核酸、例えば、DNAまたはRNAの塩基対を形成する天然核酸塩基または「通常の」核酸塩基といわれる。これらは、プリンまたはピリミジンの誘導体である。プリンは、アデノシン(A)およびグアニジン(G)であり、そしてピリミジンは、シチジン(C)およびチミジン(T)であるか、またはRNAの場合は、ウラシル(U)である。核酸塩基として、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンおよび2−アミノプリンもまた、含まれる。代表的には、デオキシリボースのC−1原子は、ピリミジンのN−1またはプリンのN−9に結合している。
【0044】
本明細書中で使用されるとき、用語「核酸塩基模倣物」とは、天然核酸塩基を含まない核酸塩基のことをいい、Watson−Crick様式で天然核酸塩基の各々によって適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成する。Seela and Debelak、Nucleic Acids Research 28:17、3224−3232(2000)を参照のこと。あるいは、このような核酸塩基は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。Berger、et al、Nucleic Acids Research 28:15、2911−2914(2000)を参照のこと。核酸塩基模倣物としては、1つ以上の天然核酸塩基と特異的に対を形成するこれらの核酸塩基アナログが挙げられる。一定の実施形態において、核酸塩基模倣物は、Cと特異的に対を形成する。他の実施形態において、核酸塩基模倣物は、Tと特異的に対を形成する。なおも他の実施形態において、核酸塩基模倣物は、Aと特異的に対を形成する。さらに他の実施形態において、核酸塩基模倣物は、Gと特異的に対を形成する。
【0045】
(3.代表的な実施形態の説明)
上記で概要を説明したように、本発明は、式Iの化合物:
【0046】
【化27】

であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
は、水素または適切なチオール保護基であり、そして必要に応じてL−Rで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である;
但し:RおよびRのうちの少なくとも1つは、L−Rで置換されている、化合物
を提供する。
【0047】
一定の実施形態において、式IのR基は、L−Rで置換されている。他の実施形態において、Rは、L−Rで置換されており、Rは、L−Rを切断するために使用されるのと同じ条件下で除去することができるチオール保護基である。
【0048】
一定の実施形態において、式IのR基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0049】
他の実施形態において、式IのR基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0050】
上記で概要を説明したように、式IのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。Rが、L−Rで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0051】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、利用される特定の検出可能なR基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
チオール保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。式IのR部分の適切なチオール保護基としては、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネート、チオカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような基の例としては、アルキルチオエーテル、ベンジルおよび置換されているベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテル、トリクロロエトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、式IのR部分のチオール保護基は、−S−ピリジン−2−イルである。
【0053】
本発明の1つの態様によれば、式IのR部分は、例えば、AgNO、HgClなどを用いた中性の条件下で除去することができるチオール保護基である。他の中性の条件としては、適切な還元剤を使用する還元が挙げられる。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、亜ジチオン酸塩、還元グルタチオン、還元グルタレドキシン、還元チオレドキシン、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)などの置換されているホスフィンおよび他の任意のペプチドもしくは有機物に基づく還元剤または当業者に公知の他の試薬が挙げられる。本発明の別の態様によれば、式IのR部分は、pHが約4〜約9である場合の条件下で切断されるチオール保護基である。本発明のなおも別の態様によれば、式IのR部分は、「光切断性」であるチオール保護基である。このような適切なチオール保護基は、当該分野で公知であり、それらとしては、ニトロベンジル基、テトラヒドロピラニル(THP)基、トリチル基、−CHSCH(MTM)、ジメチルメトキシメチルまたは−CH−S−S−ピリジン−2−イルが挙げられるが、これらに限定されない。適切なヒドロキシル保護基の多くが、本明細書中に説明されるように、チオール保護基としても適当であることを当業者は認識するだろう。
【0054】
一定の実施形態において、Rは、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらにエステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。これらのエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カルボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0055】
他の実施形態において、式IのRは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0056】
一定の実施形態において、式IのRは、水素である。
【0057】
他の実施形態において、式IのRは、−OHである。
【0058】
なおも他の実施形態によれば、式IのRは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R基について上で説明された基が挙げられる。
【0059】
一定の実施形態において、本発明は、式Iaの化合物:
【0060】
【化28】

ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
を提供する。
【0061】
一定の実施形態において、式IaのR基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0062】
他の実施形態において、式IaのR基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0063】
上記で概要を説明したように、式IaのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。Rが、L−Rで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0064】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、利用される検出可能なR基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
一定の実施形態において、式IaのR基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0066】
他の実施形態において、式IaのRは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0067】
一定の実施形態において、式IaのRは、水素である。
【0068】
他の実施形態において、式IaのRは、−OHである。
【0069】
なおも他の実施形態によれば、式IaのRは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R基について上で説明された基が挙げられる。
【0070】
他の実施形態において、本発明は、式Ibの化合物:
【0071】
【化29】

ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Tは、酸素、硫黄、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
を提供する。
【0072】
一定の実施形態において、式IbのR基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンも挙げられる。
【0073】
他の実施形態において、式IbのR基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0074】
上記で概要を説明したように、式IbのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に説明されている基が挙げられる。RがL−Rで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0075】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、利用される特定の検出可能なR基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
一定の実施形態において、Rは、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネートが挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0077】
他の実施形態において、式IbのRは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0078】
一定の実施形態において、式IbのRは、水素である。
【0079】
他の実施形態において、式IbのRは、−OHである。
【0080】
なおも他の実施形態によれば、式IbのRは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R基について上で説明した基が挙げられる。
【0081】
他の実施形態において、本発明は、式Icの化合物:
【0082】
【化30】

ここで:
Wは、O(C1〜4脂肪族)またはS(C1〜4脂肪族)であり;
W’は、C1〜4脂肪族;
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Lは、切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
を提供する。
【0083】
1つの態様によれば、本発明は、Wが−OCHまたは−SCHである式Icの化合物を提供する。別の態様によれば、本発明は、W’が−CH、CHCHなどである式Icの化合物を提供する。
【0084】
一定の実施形態において、式IcのR基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0085】
他の実施形態において、式IcのR基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0086】
上記で概要を説明したように、式IcのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。RがL−Rで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0087】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、利用される特定の検出可能なR基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
一定の実施形態において、式IcのR基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0089】
他の実施形態において、式IcのRは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0090】
一定の実施形態において、式IcのRは、水素である。
【0091】
他の実施形態において、式IcのRは、−OHである。
【0092】
なおも他の実施形態によれば、式IcのRは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R基について上で説明した基が挙げられる。
【0093】
本発明のなおも別の実施形態は、式Idの化合物:
【0094】
【化31】

ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0095】
一定の実施形態において、式IdのR基は、L−Rで置換されている。
【0096】
一定の実施形態において、式IdのR基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0097】
他の実施形態において、式IdのR基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0098】
上記で概要を説明したように、式IdのL基は、存在する場合、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。Rが、L−Rで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0099】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
一定の実施形態において、式IdのR基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0101】
他の実施形態において、式IdのRは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0102】
一定の実施形態において、式IdのRは、水素である。
【0103】
他の実施形態において、式IdのRは、−OHである。
【0104】
なおも他の実施形態によれば、式IdのRは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R基について上で説明された基が挙げられる。
【0105】
上記で概要を説明したように、本発明はまた、式IIの化合物:
【0106】
【化32】

であって、ここで:
1aは、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4aで置換されており;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である;
但し:R1aまたはR3aのうちの少なくとも1つは、L−R4aで置換されている、化合物
を提供する。
【0107】
一定の実施形態において、式IIのR3a基は、L−R4aで置換されている。他の実施形態において、式IIのR3a基は、L−R4aで置換されており、R5aは、L−R4aを切断するために使用されるのと同じ条件下で除去することができるチオール保護基である。
【0108】
一定の実施形態において、式IIのR3a基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0109】
他の実施形態において、式IIのR3a基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0110】
上記で概要を説明したように、式IIのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3aがL−R4aで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4a基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0111】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4a部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4a部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
チオール保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。式IIのR1a部分の適切なチオール保護基としては、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネート、チオカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような基の例としては、アルキルチオエーテル、ベンジルおよび置換されているベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテル、トリクロロエトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、式IIのR1a部分のチオール保護基は、−S−S−ピリジン−2−イルである。
【0113】
本発明の1つの態様によれば、式IIのR1a部分は、例えば、AgNO、HgClなどを用いた中性の条件下で除去することができるチオール保護基である。他の中性の条件としては、適切な還元剤を使用する還元が挙げられる。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、亜ジチオン酸塩、還元グルタチオン、還元グルタレドキシン、還元チオレドキシン、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)などの置換されているホスフィンおよび他の任意のペプチドもしくは有機物に基づく還元剤または当業者に公知の他の試薬が挙げられる。本発明の別の態様によれば、式IIのR1a部分は、pHが約4〜約9である条件下で切断されるチオール保護基である。本発明のなおも別の態様によれば、式IIのR1a部分は、「光切断性」であるチオール保護基である。このような適切なチオール保護基は、当該分野で公知であり、それらとしては、ニトロベンジル基、テトラヒドロピラニル(THP)基、トリチル基、−CHSCH(MTM)、ジメチルメトキシメチルまたは−CH−S−S−ピリジン−2−イルが挙げられるが、これらに限定されない。適切なヒドロキシル保護基の多くが、本明細書中に説明されるように、チオール保護基としても適当であることを当業者は理解するだろう。
【0114】
一定の実施形態において、式IIのR2a基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明される基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0115】
他の実施形態において、式IIのR2a基は、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0116】
一定の実施形態において、式IIのR5a基は、水素である。
【0117】
なおも他の実施形態によれば、式IIのR5a基は、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2a基について上で説明された基が挙げられる。
【0118】
一定の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物:
【0119】
【化33】

ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、切断可能なリンカー基であり;そして
4aは、検出可能な部分である、
を提供する。
【0120】
一定の実施形態において、式IIaのR3a基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0121】
他の実施形態において、式IIaのR3a基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0122】
上記で概要を説明したように、式IIaのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3aがL−R4aで置換されるとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4a基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。プリン塩基の場合は、リンカーが、プリンもしくは好ましくはデアザプリンアナログの7位、8−改変プリン、N−6改変アデノシンまたはN−2改変グアニンを介して結合している場合が好ましい。ピリミジンについては、シチジン、チミジンまたはウラシルの5位およびシトシンのN−4位を介する結合が好ましい。
【0123】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4a部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4a部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
一定の実施形態において、式IIaのR2a基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0125】
他の実施形態において、式IIaのR2a基は、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0126】
一定の実施形態において、式IIaのR5a基は、水素である。
【0127】
なおも他の実施形態によれば、式IIaのR5a基は、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2a基について上で説明した基が挙げられる。
【0128】
一定の実施形態において、本発明は、式IIbの化合物:
【0129】
【化34】

ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、酸素、硫黄、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0130】
一定の実施形態において、式IIbのR3a基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0131】
他の実施形態において、式IIbのR3a基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0132】
上記で概要を説明したように、式IIbのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3aがL−R4aで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4a基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0133】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4a部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4a部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
一定の実施形態において、式IIbのR2a基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0135】
他の実施形態において、式IIbのR2a基は、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0136】
一定の実施形態において、式IIbのR5a基は、水素である。
【0137】
なおも別の実施形態によれば、式IIbのR5a基は、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2a基について上で説明した基が挙げられる。
【0138】
本発明はまた、式IIcの化合物:
【0139】
【化35】

ここで:
は、O(C1〜4脂肪族)またはS(C1〜4脂肪族)であり;
は、C1〜4脂肪族であり;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0140】
一定の実施形態において、式IIcのW基は、−OCHまたは−SCHである。他の実施形態において、式IIcのW基は、−CH、−CHCHなどである。
【0141】
一定の実施形態において、式IIcのR3a基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0142】
他の実施形態において、式IIcのR3a基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0143】
上記で概要を説明したように、式IIcのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、および米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3aがL−R4aで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4a基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0144】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4a部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4a部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
一定の実施形態において、式IIcのR2a基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0146】
他の実施形態において、式IIcのR2aは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0147】
一定の実施形態において、式IIcのR5a基は、水素である。
【0148】
なおも他の実施形態によれば、式IIcのR5a基は、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2a基について上で説明した基が挙げられる。
【0149】
一定の実施形態において、本発明は、式IIdの化合物:
【0150】
【化36】

ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、L−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、切断可能なリンカー基であり;そして
4aは、検出可能な部分である、
を提供する。
【0151】
一定の実施形態において、式IIdのR3a基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0152】
他の実施形態において、式IIdのR3a基は、核酸塩基模倣物である。
このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0153】
上記で概要を説明したように、式IIdのL基は、存在する場合、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3aがL−R4aで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4a基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0154】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4a部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4a部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
一定の実施形態において、式IIdのR2a基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0156】
他の実施形態において、式IIdのR2a基は、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0157】
一定の実施形態において、式IIdのR5a基は、水素である。
【0158】
なおも他の実施形態によれば、式IIdのR5a基は、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2a基について上で説明した基が挙げられる。
【0159】
上記で概要を説明したように、本発明は、式IIIの化合物:
【0160】
【化37】

であって、ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
は、QがOであるとき適切なヒドロキシル保護基であるか、またはQがSであるとき適切なチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4bで置換されており;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である;
但し、RまたはR3bのうちの少なくとも1つはL−R4bで置換されている、化合物
を提供する。
【0161】
一定の実施形態において、式IIIのR3b基は、L−R4bで置換されている。他の実施形態において、R3bは、L−R4bで置換されており、Rは、L−R4bを切断するために使用されるのと同じ条件下で除去することができるヒドロキシル保護基またはチオール保護基である。
【0162】
本発明の1つの態様によれば、式IIIのQ基は、Oである。
【0163】
本発明の別の態様によれば、式IIIのQ基は、Sである。
【0164】
一定の実施形態において、式IIIのR3b基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0165】
他の実施形態において、式IIIのR3b基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0166】
上記で概要を説明したように、式IIIのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3bがL−R4bで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4b基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0167】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4b部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4b部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
チオール保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が、本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。式IIIのR部分の適切なチオール保護基としては、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネート、チオカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような基の例としては、アルキルチオエーテル、ベンジルチオエーテルおよび置換されているベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテル、トリクロロエトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、式IIIのR部分のチオール保護基は、−S−S−ピリジン−2−イルである。
【0169】
本発明の1つの態様によれば、式IIIのR部分は、例えば、AgNO、HgClなどを用いた中性の条件下で除去することができるチオール保護基である。他の中性の条件としては、適切な還元剤を使用する還元が挙げられる。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、亜ジチオン酸塩、還元グルタチオン、還元グルタレドキシン、還元チオレドキシン、トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)などの置換されているホスフィンおよび他の任意のペプチドもしくは有機物に基づく還元剤または当業者に公知の他の試薬が挙げられる。本発明の別の態様によれば、式IIIのR部分は、pHが約4〜約9である条件下で切断されるチオール保護基である。本発明のなおも別の態様によれば、式IIIのR部分は、「光切断性」であるチオール保護基である。このような適切なチオール保護基は、当該分野で公知であり、それらとしては、ニトロベンジル基、テトラヒドロピラニル(THP)基、トリチル基、−CHSCH(MTM)、ジメチルメトキシメチルまたは−CH−S−S−ピリジン−2−イルが挙げられるが、これらに限定されない。適切なヒドロキシル保護基の多くは、本明細書中に説明されるように、チオール保護基としても適当であることを当業者は理解するだろう。
【0170】
一定の実施形態において、式IIIのR基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R部分の適切なヒドロキシル保護基の例は、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0171】
一定の実施形態において、式IIIのR1b基は、水素である。
【0172】
他の実施形態において、式IIIのR1b基は、−OHである。
【0173】
なおも他の実施形態によれば、式IIIのR1bは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル保護基としては、R基について上で説明した基が挙げられる。
【0174】
一定の実施形態において、式IIIのR5b基は、水素である。
【0175】
他の実施形態において、式IIIのR5b基は、適切なヒドロキシル保護基である。このような適切なヒドロキシル保護基としては、R基について上で説明した基が挙げられる。
【0176】
別の実施形態によれば、本発明は、式IIIaの化合物:
【0177】
【化38】

ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0178】
一定の実施形態において、式IIIaのR3b基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0179】
他の実施形態において、式IIIaのR3b基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0180】
上記で概要を説明したように、式IIIaのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3bがL−R4bで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4b基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0181】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4b部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4b部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
一定の実施形態において、式IIIaのR5b基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R5b基の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0183】
一定の実施形態において、式IIIaのR1b基は、水素である。
【0184】
他の実施形態において、式IIIaのR1b基は、−OHである。
【0185】
なおも他の実施形態によれば、式IIIaのR1bは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル保護基としては、R5b基について上で説明した基が挙げられる。
【0186】
別の実施形態によれば、本発明は、式IIIbの化合物:
【0187】
【化39】

ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0188】
一定の実施形態において、式IIIbのR3b基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0189】
他の実施形態において、式IIIbのR3b基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0190】
上記で概要を説明したように、式IIIbのL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3bがL−R4bで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4b基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0191】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4b部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4b部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
一定の実施形態において、式IIIbのR5b基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R5b基の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0193】
一定の実施形態において、式IIIbのR1b基は、水素である。
【0194】
他の実施形態において、式IIIbのR1b基は、−OHである。
【0195】
なおも他の実施形態によれば、式IIIbのR1bは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル保護基としては、R5b基について上で説明した基が挙げられる。
【0196】
別の実施形態によれば、本発明は、式IIIcまたはIIIc’の化合物:
【0197】
【化40】

ここで:
各R1bは、独立してOH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
各R3bは、独立して核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここで各R3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
各Tは、独立してO、S、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
各R5bは、独立して水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
を提供する。
【0198】
一定の実施形態において、式IIIcおよびIIIc’のR3b基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0199】
他の実施形態において、式IIIcおよびIIIc’のR3b基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0200】
上記で概要を説明したように、式IIIcおよびIIIc’のL基は、切断可能なリンカー基である。このような基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3bがL−R4bで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4b基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0201】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4b部分に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4b部分に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0202】
一定の実施形態において、式IIIcおよびIIIc’のR5b基は、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R5b基の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0203】
一定の実施形態において、式IIIcおよびIIIc’のR1b基は、水素である。
【0204】
他の実施形態において、式IIIcおよびIIIc’のR1b基は、−OHである。
【0205】
なおも他の実施形態によれば、式IIIcおよびIIIc’のR1bは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル保護基としては、R5b基について上で説明した基が挙げられる。
【0206】
触媒作用のエディティング(catalytic editing)は、鋳型上のその次の塩基の位置(n+1)に相補的な(正しく)入り込むdNTPの存在下でDNAポリメラーゼによってヌクレオシドの3’OHに(エステル結合、アミド結合またはチオ尿素結合において)結合される置換基が除去されるプロセスである。Canard, et al,Proc.Natl.Acd.Sci.USA,「Catalytic editing properties of DNA polymerases」92,10859−10863(1995)を参照のこと。不運にも、この特性は、触媒作用のエディティングをすることができる酵素と結合体化した特定のタイプのターミネーターの有用性を制限する。特に、その次のヌクレオチドアナログが酵素−鋳型−プライマー複合体に結合するとき、エディティングが各位置で起きるため、触媒作用のエディティングをすることができる酵素を伴う反応において4つすべてのdNTPアナログの混合物を使用することができない。しかしながら、このようなターミネーターは、エディティング反応を触媒しないAMV逆転写酵素などの酵素を用いてなおも使用することができる。
【0207】
触媒作用のエディティングの可能性を打開するために、このような触媒作用のエディティングに耐える新規な可逆的ターミネーターが提供される。これらのヌクレオチドアナログは、それらが、プライマー−鋳型複合体のn+1位においてプライマーの3’位での塩基のスタッキングおよび/または普遍的な塩基の対の形成を促進するような方法で切断可能なリンカーに結合される普遍的な窒素塩基部分を含むという特性を共有する。任意の特定の理論に制約されることを望むわけではないが、これはその次の正しいヌクレオシド三リン酸がその位置を占めることを阻止するため、触媒作用のエディティングが起きるのを妨げると考えられる。終結の解除は、結合された標識を含む普遍的なヌクレオシド模倣物を放出し、3’OHあるいは3’S−化合物が使用される場合は3’SHを再生するリンカーの切断によって達成される。従って、本発明の別の実施形態は、式IVの化合物:
【0208】
【化41】

ここで:
1cは、OH、SH、適切に保護されたヒドロキシル基、適切に保護されたチオール基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
Uは、普遍的なヌクレオシドアナログであり;
2cは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3cは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3cは、必要に応じてL−R4cで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;
c’は、切断不可能なリンカー基であり;そして
各R4cは、独立して検出可能な部分である、
に関する。
【0209】
本発明の1つの態様によれば、式IVのQ基は、酸素である。
【0210】
本発明の別の態様によれば、式IVのQ基は、硫黄である。
【0211】
一定の実施形態において、式IVのR3c基は、L−R4cで置換されている。
【0212】
一定の実施形態において、式IVのR3c基は、核酸塩基である。このような核酸塩基としては、アデニン、グアニン、シトシン、チミンおよびウラシルが挙げられる。このような核酸塩基としては、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンもまた挙げられる。
【0213】
他の実施形態において、式IVのR3c基は、核酸塩基模倣物である。このような核酸塩基模倣物は、当業者に公知であり、それらとしては、Watson−Crick様式で天然核酸塩基と適切な水素結合、すなわち、塩基対を形成するものが挙げられる。あるいは、このような核酸塩基模倣物は、いかなる水素結合も形成しないかもしれないが、二重鎖DNAにおいて天然核酸塩基と同程度の効率で効率的に納まる。
【0214】
上記で概要を説明したように、式IVのL基は、切断可能なリンカー基である。一定の実施形態において、式IVのL基は、普遍的なヌクレオシドであるUの5’の位置でUに結合している。このようなL基は、一般に当該分野で公知であり、それらとしては、米国特許第6,664,079号、同第6,664,079号、同第6,511,803号、米国出願公開番号2003104437、WO04/18497およびWO03/48387(これらの全体が本明細書によって本明細書中に参考として援用される)に記載されている基が挙げられる。R3cがL−R4cで置換されているとき、Watson−Crick塩基対形成がなおも可能である条件で、L−R4c基は、核酸塩基上の任意の位置で結合され得る。
【0215】
一定の実施形態において、Lは、検出可能なR4c基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4c基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0216】
他の実施形態において、式IVのL基は、その分子が、DNAらせんにおけるn+1位置で普遍的な塩基アナログの対を形成することを可能にする酵素の活性部位において高次構造をとることができるような長さである。DNA骨格における糖−リン酸結合によって正常に占められる空間内に適合する立体配置で折り畳むことが可能である限り、リンカーの多くの立体配置が可能である。
【0217】
上記で概要を説明したように、式IVのLc’基は、切断不可能なリンカー基である。本発明の1つの態様によれば、式IVのLc1基は、Uの3’の位置でUに結合している。一定の実施形態において、Lc’は、検出可能なR4c基に結合するために末端に官能基部分を有する。このような官能基部分は、当業者に明らかであり、特定の利用される検出可能なR4c基に適したものである。このような官能基部分の例としては、アミノ基、アルデヒド基、ヒドロキシル基、カルボン酸基またはチオール基が挙げられるが、これらに限定されない。このようなリンカー基は、鎖の0〜2個のメチレン単位が、必要に応じて、そして独立して、−O−、−S−、−NH−、−C(O)−、−C(O)NH−、−NHC(O)−、−SO−、−SO−、−NHSO−、−SONH−、−C(O)O−または−OC(O)−で置換される、C1〜8アルキリデン鎖を含む。一定の実施形態において、式IVのLc’基は、R4cに隣接するメチレン単位が−NHC(O)−で置換される、C1〜6アルキリデン鎖である。
【0218】
チオール保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。式IVのR1c部分の適切なチオール保護基としては、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネート、チオカルバメートなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような基の例としては、アルキルチオエーテル、ベンジルチオエーテルおよび置換されているベンジルチオエーテル、トリフェニルメチルチオエーテル、トリクロロエトキシカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。一定の実施形態において、式IVのR1c部分のチオール保護基は、−S−ピリジン−2−イルである。
【0219】
本発明の1つの態様によれば、式IVのR1c部分は、例えば、AgNO、HgClなどを用いた中性の条件下で除去することができるチオール保護基である。他の中性の条件としては、適切な還元剤を使用する還元が挙げられる。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール(DTT)、メルカプトエタノール、亜ジチオン酸塩、還元グルタチオン、還元グルタレドキシン、還元チオレドキシン,トリスカルボキシエチルホスフィン(TCEP)などの置換されているホスフィンおよび他の任意のペプチドもしくは有機物に基づく還元剤または当業者に公知の他の試薬が挙げられる。本発明の別の態様によれば、式IVのR1c部分は、pHが約4〜約9である条件下で切断されるチオール保護基である。なおも別の本発明によれば、式IVのR1c部分は、「光切断性」であるチオール保護基である。このような適切なチオール保護基は、当該分野で公知であり、それらとしては、ニトロベンジル基、テトラヒドロピラニル(THP)基、トリチル基、−CHSCH(MTM)、ジメチルメトキシメチルまたは−CH−S−S−ピリジン−2−イルが挙げられるが、これらに限定されない。適切なヒドロキシル保護基の多くが、本明細書中に説明されるように、チオール保護基としても適当であることを当業者は理解するだろう。
【0220】
一定の実施形態において、R2cは、適切なヒドロキシル保護基である。ヒドロキシル保護基は、当該分野で周知であり、それらとしては、その全体が本明細書中に参考として援用される、Protecting Groups in Organic Synthesis,T.W.Greene and P.G.M.Wuts,3rd edition,John Wiley & Sons,1999に詳細に説明されている基が挙げられる。R2c部分の適切なヒドロキシル保護基の例としては、さらに、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルおよびアルコキシアルキルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。このようなエステルの例としては、ホルメート、アセテート、カーボネートおよびスルホネートが挙げられる。特定の例としては、ホルメート、ベンゾイルホルメート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート(トリメチルアセチル)、クロトネート、4−メトキシ−クロトネート、ベンゾエート、p−ベニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート、カーボネート(例えば、メチルカーボネート、9−フルオレンイルメチルカーボネート、エチルカーボネート、2,2,2−トリクロロエチルカーボネート、2−(トリメチルシリル)エチルカーボネート、2−(フェニルスルホニル)エチルカーボネート、ビニルカーボネート、アリルカーボネートおよびp−ニトロベンジルカーボネート)が挙げられる。このようなシリルエーテルの例としては、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、t−ブチルジメチルシリルエーテル、t−ブチルジフェニルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテルおよび他のトリアルキルシリルエーテルが挙げられる。アルキルエーテルとしては、メチルエーテル、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、トリチルエーテル、t−ブチルエーテル、アリルエーテルおよびアリルオキシカルボニルエーテルまたは誘導体が挙げられる。アルコキシアルキルエーテルとしては、アセタール(例えば、メトキシメチルエーテル、メチルチオメチルエーテル、(2−メトキシエトキシ)メチルエーテル、ベンジルオキシメチルエーテル、β−(トリメチルシリル)エトキシメチルエーテルおよびテトラヒドロピラニルエーテル)が挙げられる。アリールアルキルエーテルの例としては、ベンジルエーテル、p−メトキシベンジルエーテル(MPM)、3,4−ジメトキシベンジルエーテル、O−ニトロベンジルエーテル、p−ニトロベンジルエーテル、p−ハロベンジルエーテル、2,6−ジクロロベンジルエーテル、p−シアノベンジルエーテル、2−ピコリルエーテルおよび4−ピコリルエーテルが挙げられる。
【0221】
他の実施形態において、式IのR2cは、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である。
【0222】
一定の実施形態において、式IのR1cは、水素である。
【0223】
他の実施形態において、式IのR1cは、−OHである。
【0224】
なおも他の実施形態によれば、式IのR1cは、適切に保護されたヒドロキシル基である。このような適切なヒドロキシル基としては、R2c基について上で説明した基が挙げられる。
【0225】
上記で概要を説明したように、式IVのU基は、普遍的なヌクレオシドアナログである。一定の実施形態において、Uは、DNAらせんにおいて4つの正準的な核酸塩基のうちの任意のものとスタッキングおよび/または塩基対の形成が可能である普遍的な塩基を含む。
【0226】
一定の実施形態において、本発明は、式IVaの化合物:
【0227】
【化42】

を提供する。
【0228】
(4.用途、方法および組成物)
上で議論したように、本発明は、可逆的にブロックされ、そして必要に応じて標識されたヌクレオチドアナログを提供する。これらのヌクレオチドアナログは、切断可能なリンカー基を介して核酸塩基または核酸塩基模倣物に結合され得る検出可能な部分を有する。あるいは、これらのヌクレオチドアナログは、切断可能なリンカー基を介して3’−SH保護基または2’−SH保護基に結合され得る検出可能な部分を有する。なおも別の態様は、切断可能なリンカー基を介してα−リン酸に結合され得る検出可能な部分を有するヌクレオチドアナログを提供する。同様に、これらの化合物は、核酸分子の配列を決定するための任意の方法のほとんどにおいて試薬として有用である。さらに、この化合物は、一般にポリヌクレオチド合成、核酸増幅、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ、一塩基多型研究および酵素(例えば、ポリメラーゼ、逆転写酵素、ターミナルトランスフェラーゼまたは他の核酸修飾酵素)を使用する他の技術について使用され得る。本発明は、標識dNTPを使用する技術(例えば、配列決定、ニックトランスレーション、ランダムプライマー標識、末端標識(例えば、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いた)、逆転写または核酸増幅)において特に有用である。例えば、本発明の1つの態様は、ヌクレオチドアナログが成長するDNA鎖に取り込まれた後にヌクレオチドアナログを検出することによって核酸の配列を決定するための方法を提供する。
【0229】
別の態様において、本発明は、標的一本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定するための方法を提供する。ここで、その方法は、以下の工程:
(a)取り込まれる各ヌクレオチドが、塩基に結合している標識を検出することによって決定される、本発明の相補的なヌクレオチドアナログの連続した取り込みをモニターする工程、および
(b)標識を除去する工程
を含む。
【0230】
一定の実施形態において、標識の検出は、標識が除去される前に実施される。
【0231】
一定の実施形態において、本発明は、標的一本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定するための方法を提供する。その方法は、以下の工程:
(a)前記ヌクレオチドの検出可能な標識が、他のヌクレオチドに対して使用される検出可能な標識からの検出と識別することができる、式I、II、IIIまたはIVのうちの少なくとも1つの化合物を提供する工程;
(b)工程(a)のヌクレオチドを標的一本鎖ポリヌクレオチドの相補物に取り込む工程;
(c)(b)のヌクレオチドの標識を検出することによって、取り込まれたヌクレオチドのタイプを決定する工程;
(d)(b)のヌクレオチドの標識を除去する工程;および
(e)工程(b)〜(d)を必要に応じて1回以上繰り返すことによって、標的一本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定する工程
を含む。
【0232】
他の実施形態において、上記の工程(a)において、この方法は、各ヌクレオチドが式I、II、IIIまたはIVの化合物であるヌクレオチドのセットを提供する工程を含む。なおも別の実施形態は、セットに存在する各核酸塩基が異なる検出可能な標識に結合しており、その核酸塩基を標識の検出によって同定することができるヌクレオチドのセットを提供する。
【0233】
配列決定反応の間、プライマーおよび標的核酸配列は、特定の配列決定様式でプライマーが標的核酸にアニールするか、またはハイブリダイズするように結合し得る。次いで、ポリメラーゼ酵素、例えばDNAポリメラーゼは、特定の配列様式または鋳型依存性の様式で、プライマーにさらなるヌクレオチドを取り込むために使用され、そのプライマーに付加されるヌクレオチドは、標的核酸に相補的である。例えば、ヌクレオチドアナログまたはヌクレオチドアナログの混合物は、DNAポリメラーゼが標的配列に相補的である単一のヌクレオチドアナログをプライマーに取り込むのに十分な濃度で配列決定反応に加えられる。ヌクレオチドアナログの取り込みは、使用される標識のタイプに適した任意の公知の方法により検出され得る。
【0234】
第2回目または引き続く回のヌクレオチドアナログの取り込みは、3’保護基の脱保護の後に起き得る。さらに、取り込みの各回は、プライマーと標的配列との間のハイブリダイゼーションを妨害することなく完了し得る。脱保護後、3’−OHまたは3’−SHが、ブロックされていない状態になり、ヌクレオチドの取り込みの新たな回に移ることができる状態になる。あるいは、α−リン酸が、ブロックされていない状態になり、生じた鎖が、ヌクレオチドの取り込みの新たな回に移ることできる状態になる。取り込みおよび脱保護の工程は、標的配列の配列決定を完了するために必要に応じて繰り返してもよい。このように、異なるヌクレオチドの取り込みを検出することができるため、個別のヌクレオチドを差別的に標識することは有利であり得る。このような方法は、単回の配列決定反応、自動化された配列決定反応およびアレイに基づく配列決定反応に使用され得る。
【0235】
本発明の化合物はまた、オリゴヌクレオチドを合成するために使用され得る。このプロセスにおいて、2’−OHまたは2’−SHは、合成の間、保護される。本化合物を使用するオリゴリボヌクレオチドを合成するための方法は、以下のとおりに進行し得る。第1のヌクレオシドを、公知の方法を使用して固形支持体に結合する。例えば、Pon,R T,「Chapter 19 Solid−phase Supports for Oligonucleotide Synthesis」Methods in Molecular Biology Vol.20 Protocols for Oligonucleotides and Analogs,465−497,Ed.S.Agrawal,Humana Press Inc.,Towata,NJ.(1993)を参照のこと。2’−OHまたは2’−SH部分は、本明細書中に説明されるような適切な保護基で保護され得る。5’−OHおよび3’−OH/SHはまた、公知の方法または本明細書中に記載される方法を使用して必要に応じて保護されると理解される。最初のヌクレオシドが、固形支持体に繋ぎとめられた後、本発明のさらなる化合物を、インターヌクレオチド結合形成についての任意の従来のストラテジーを使用して成長しているオリゴリボヌクレオチドに加える。次いで、完了したオリゴリボヌクレオチドを、使用される特定の保護基に適した手段を使用することによってすべての位置で脱保護する。このような脱保護の手段は、当業者に公知である。
【0236】
一定の実施形態において、本発明の配列決定方法は、基材に接着した標的ポリヌクレオチドを用いて実施される。複数の標的ポリヌクレオチドは、リンカー分子を介して基材上に固定化され得るか、または基材材料に接着され得る粒子、例えば、ミクロスフェアに接着され得る。
【0237】
ポリヌクレオチドは、ビオチン−アビジン相互作用の使用を含む多くの手段によって基材に接着され得る。基材上にポリヌクレオチドを固定化するための方法は、当該分野で周知であり、それらとしては、リソグラフィー技術および固形支持体上の既定された位置における個別のポリヌクレオチドの「スポッティング」が挙げられる。一定の実施形態において、基材は、固形支持体である。このような固形支持体は、当該分野で公知であり、それらとしては、ガラススライドおよびビーズ、セラミック表面およびケイ素表面ならびにプラスチック材料が挙げられる。微細ビーズ(ミクロスフェア)もまた使用され得、そして同様に公知の手段によって別の固形支持体に接着され得るが、支持体は通常平らな表面である。ミクロスフェアは、任意の適切な大きさ、代表的には直径100nm〜10μmの範囲であり得る。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、平面のガラス表面などの平面の表面上に直接接着される。接着は、共有結合によってであってもよい。他の実施形態において、使用されるアレイは、例えば、国際出願番号WO00/06770に開示されているような光学的に分解可能な異なる範囲にポリヌクレオチドを含む単一分子アレイである。
【0238】
本発明の配列決定方法は、単一のポリヌクレオチド分子アレイおよび複数のポリヌクレオチド分子アレイ、すなわち、異なる個別のポリヌクレオチド分子のアレイおよび1つの個別のポリヌクレオチド分子の複数のコピーを含む様々な領域のアレイとの両方において実施することができる。単一分子アレイは、各々の個別のポリヌクレオチドを別々に解析することが可能である。
【0239】
オリゴヌクレオチドの化学合成は、固形支持体に第1のヌクレオシドモノマーを接着することにより実施され得る。非多孔質固形支持体および多孔質固形支持体ならびに有機固形支持体および無機固形支持体を含む任意の公知の固形支持体を使用することができる。有用な固形支持体としては、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、テフロン(登録商標)、多糖、架橋多糖、シリカおよび様々なガラスが挙げられる。固形支持体にモノマーまたはオリゴヌクレオチドを接着するための従来のリンカーおよび方法が知られている。Beaucage & Iyer,Tetrahedron,48(12):2223−2311(1992)を参照のこと。
【0240】
一定の実施形態において、本発明は、以下のもの:(a)式I、II、IIIまたはIVの個別のヌクレオチドアナログ;および(b)DNAポリメラーゼ、(c)反応緩衝液、(d)天然2’デオキシヌクレオシド三リン酸および必要に応じて(e)切断試薬を備えるキットを提供する。キットはまた、合成実験による配列決定を助ける追加の試薬を備えるように編成され得る。このような追加の試薬としては、以下の1つ以上の品目:(a)1つ以上の接着されたオリゴヌクレオチドプライマーを備える基材、(c)その基材上でのDNAフラグメントのクローン増幅のための試薬、(d)その基材が複数個のマイクロビーズである場合、クローン増幅されたDNAフラグメントを備えたマイクロビーズのアレイを作製するための試薬、(e)接着されたオリゴヌクレオチドプライマーを含むゲノムDNAフラグメントのライブラリーを作製するための試薬を含み得る。
【実施例】
【0241】
本発明の化合物は、類似化合物についての当業者に公知の合成方法および/または擬似合成(pseudo−synthetic)方法によって、そして一般スキームおよび以下の調製用の実施例に説明されるようにして一般に調製され得るか、または単離され得る。
【0242】
一定の有機出発物質および無機出発物質を、Aldrich Chemical,Alfa AesarまたはAcros Organicsから入手し、さらに精製せずに使用した。AlexaFluor 430のNHSエステルを、Molecular Probes,Inc.,Eugene,ORから入手した。すべての溶媒は、Fisher Scientific製のHPLCグレードまたは超乾燥(ultra−dry)グレードであった。
【0243】
NMRスペクトルを、200MHzで作動するBruker Avant Systemまたは250MHzで作動するBruker Avant Systemで記録した。
【0244】
融点は、Mel−Tempキャピラリーシステムから求め、補正していない。
【0245】
HPLCデータは、2mL/分の流速で、5分間、15%アセトニトリル:85%水から95%アセトニトリル:0.5%水(どちらの溶媒も0.1%TFAを含む)の勾配を用いてZorbax SB−Cカラム(50×4.6mm)を装着したHewlett−Packard 1100を使用して取得した。
【0246】
TLCデータは、Analtech F250 0.25mmシリカプレートを用いて取得した。
【0247】
化合物は、Silicycle製の卓上フラッシュクロマトグラフィーのシリカを使用して精製した。すべての化合物から良好な分析データが得られた。
【0248】
(実施例1)
【0249】
【化43】

3’−デオキシチミジン−3’−イルメチルジスルフィド5’−三リン酸の合成:Chambert,et al.(J.Org.Chem.,65,249(2000))の手順に従う5工程で調製された3’−デオキシチミジン−3’−イルメチルジスルフィド(145mg)の溶液を、無水ピリジン(5mL)から同時蒸発し、無水ジオキサン(1.35mL)に溶解した。この溶液に、アルゴン雰囲気下で、2−クロロ−4H−1,2,3−ジオキサホスホリ−4−オン(524μL、無水ジオキサン中で1M)の保存溶液を加えた。10分間撹拌した後、それをビス(トリ−n−ブチルアンモニウム)−ピロホスフェート(DMF中で0.5M溶液の1.4mL)およびトリ−n−ブチルアミン(470μL)で処理した。10分間撹拌した後、その反応物を、ヨウ素(10μL、2%ピリジン水溶液中で1%)で処理し、15分間撹拌した。過剰量のヨウ素をNaHSO(700μL、5%)で処理することによりクエンチし、乾燥するまで蒸発した。その残渣を水(10mL)で処理し、30分間撹拌し、その後、濃縮アンモニア水溶液(20mL)で処理し、1時間撹拌し、乾燥するまで蒸発した。その残渣を水に溶解し、0.05M トリエチルアンモニウムジカーボネート中のDEAE Sephadex A25樹脂で充填されたカラムに載せ、そして1M TEABに至るまで直線勾配で溶出した。貯蔵した生成物画分を凍結乾燥することにより、標題化合物(65mg)が得られた。
【0250】
(実施例2)
(蛍光標識を有するPEGリンカーの合成)
(A部)
【0251】
【化44】

反応1:[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成。CHCl(100mL)中の2−アミノエトキシエタノール(10gm、0.095mol;Acros Chemical)の溶液を250mL丸底フラスコに投入した。これにN−(9−フルオレンイルメトキシカルボニルオキシ)−スクシンイミド(33gm、0.1mol)を加え、その溶液を室温で5時間撹拌した。この溶液を乾燥するまで除去し、CHClに溶解し、ジカーボネート溶液で抽出、次いでブラインで抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で蒸発することにより、[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルを結晶性固体(28gm、90%)HPLC:97%として得られた。
【0252】
反応2:トルエン−4−スルホン酸2−[2−(3−メチル−2−ビニル−1H−インデン−1−イルメトキシカルボニルアミノ)−エトキシ]−エチルエステルの合成。[2−(2−ヒドロキシエトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(33gm、0.1mol)を1000mLフラスコに投入し、そしてそのフラスコにアルゴンを流した。その固体を乾燥ピリジン(300mL)に溶解し、生じた溶液をアルゴン下、0℃にて氷浴中で撹拌した。その溶液を、p−トルエンスルホニルクロリド(21.1gm、0.112mol)で処理し、生じた溶液をアルゴン下、0℃で一晩撹拌保存した。溶媒を真空中で除去し、その残渣を酢酸エチルに溶解し、水(2×)、10%クエン酸(2×)、飽和塩化ナトリウムで洗浄した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発することにより、トルエン−4−スルホン酸2−[2−(3−メチル−2−ビニル−1H−インデン−1−イルメトキシ−カルボニルアミノ)−エトキシ]−エチルエステルが得られた。これは、EtOAc:Hexを使用して1:4の比で開始して500gmシリカで精製し、そして1:1で生成物を溶出した。生成物を含む貯蔵画分を蒸発させて、28gmの純粋生成物が得られた。それは、HPLCにより98%と評価された。
【0253】
反応3:[2−(2−ブロモエトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成。500mL丸底フラスコに油浴、還流冷却器、磁性撹拌バーおよび乾燥窒素の供給源を装着した。そのフラスコに窒素を流し、トルエン−4−スルホン酸2−[2−(3−メチル−2−ビニル−1H−インデン−1−イルメトキシカルボニルアミノ)−エトキシ]−エチルエステル(25gm、52mmol)を投入して、そしてそれを無水THF(250mL)に溶解した。その清澄溶液を臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(65gm、202mmol)で処理した。その混合物を70℃に加熱し、そして1時間撹拌した。加熱浴を取り外し、反応物を窒素下で一晩撹拌した。その溶液を真空中で濃縮し、その残渣をEtOAc:ヘキサン(200mL、10:1)に溶解した。生じた固体を濾過により除去した。その濾液を水(2×300mL)で、次いで飽和NaCl(300mL)で洗浄した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして真空中で乾燥することにより、[2−(2−ブロモエトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルを淡黄色の固体(20gm)として得た。
【0254】
反応4:[2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルの合成。水酸化ナトリウム(3.08gm、77mmol)の水溶液(3mL)および無水エタノール(300mL)をトリフェニルメチルスルフィド(21.3gm)で処理し、生じた混合物を15分間撹拌した。その濁った混合物を前工程の固体に加え、15分間撹拌した。次いでそれを油浴で70℃に加熱した。2時間後、反応物を室温まで冷却し、そして冷凍庫で一晩保存した。生じた混合物を酢酸エチル(500mL)に溶解し、濾過し、そして真空中で濃縮することにより、黄色の油状物(38gm)が得られた。これを6:1 ヘキサン:酢酸エチルで開始し、次いで2:1とする450mLシリカで精製した。生成物を含む画分を貯蔵し、乾燥するまで蒸発することにより、[2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステルを油状物(10.5gm、35%)として得た。
【0255】
反応5:2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチルアミンの合成。窒素下で、無水THF(100mL)中の[2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチル]−カルバミン酸9H−フルオレン−9−イルメチルエステル(9.5gm、16.2mmol)の撹拌溶液にピペリジン(940mL)で処理した。その溶液を90分間撹拌し、真空中で濃縮することにより、油性固体が得られた。これをヘキサン中で洗浄し、その溶液をデカントし、乾燥するまで濃縮し、そしてその残渣を、1%トリエチルアミンを含むCHCl中の5%メタノールの溶離剤を使用してシリカゲルで精製することにより、2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチルアミン(1.6gm、29%)が得られた。
【0256】
反応6:チオール末端PEG色素の合成。
【0257】
工程(A):無水メタノール(500μL)中のNHS AlexaFluor 430(5mg)の溶液を無水メタノール(250μL)中の2−(2−トリチルスルファニル−エトキシ)−エチルアミン(3.5mg)の溶液で処理し、そしてその撹拌溶液をHPLCによってモニターした。完了後、溶媒を真空中で除去し、その残渣を1mLの1:1メタノール:水に溶解した。これをSepPak−C18カートリッジにロードし、そして1:1メタノール:水、3:1メタノール:水および100%メタノールの各10mLで溶出した。生成物画分を貯蔵し、真空中で蒸発することにより、トリチル保護されたチオール末端PEG色素を90%の収率で得た。
【0258】
工程(B):Pearson,et al.(Tetrahedron Letters、30、2739(1989))によって報告された手順を使用し、1当量のトリエチルシランの存在下で、保護された色素リンカーをCHCl中の50%トリフルオロ酢酸2mLで処理することによってトリチル基を除去した。
【0259】
反応7:活性化ジスルフィドの合成。Sun、et al、RNA、3、1352(1997)の手順に従って、反応6の遊離チオールを2,2’−ピリジンジスルフィドで処理することによって混合ジスルフィドを調製した。
【0260】
(B部)
【0261】
【化45】

反応8:5’−アセチル−5’−(ジメトキシトリチル)−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジンの合成。5’−(ジメトキシトリチル)−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジン(7.1gm、Meyer and Hanna,Bioconjugate Chemistry,7,401−412(1996)の手順により調製された)の溶液を無水ピリジン(30mL)中に溶解し、そして無水酢酸(0.92mL)で処理した。室温で20時間撹拌した後、その溶液を乾燥するまで蒸発し、その残渣を酢酸エチルに溶解した。これを10%クエン酸水溶液およびブラインで洗浄した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして乾燥するまで蒸発することにより、固体が得られた。これを、2%トリエチルアミンを含む6:4酢酸エチル:ヘキサンの溶出溶媒を使用してシリカで精製した。生成物を含む画分を貯蔵し、真空中で蒸発することにより、5’−アセチル−5’−(ジメトキシトリチル)−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジン(2.5gm、33%)が得られた。
【0262】
反応9:5’−アセチル−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジンの合成。5’−アセチル−5’−(ジメトキシトリチル)−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジン(1gm)のサンプルをCHCl(15mL)中の3%TFAの溶液で処理し、生じた淡橙色溶液を室温で30分間撹拌した。その溶媒を蒸発させ、その残渣を新たなCHClに溶解した。これを飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発することにより、固体が得られた。これを6:4 酢酸エチル:ヘキサンを使用してシリカで精製することにより、5’−アセチル−5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジン(250mg、41%)が得られた。
【0263】
反応10:5−[S−(2,4−ジニトロフェニル)−チオール]−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸の合成。この変換は、LudwigおよびEckstein(J.Org.Chem.,54,631−635(1989))の手順に従って実施した。イオン交換クロマトグラフィーを、トリエチルアンモニウムブロミドの0.05Mから1Mの勾配でDEAE Sephadex A25樹脂を用いて実施した。糖およびリン酸試験で陽性を示す画分を貯蔵し、凍結乾燥することにより、そのテトラトリエチルアミン塩としてヌクレオチドが得られた。
【0264】
反応11:5−チオール−2’−デオキシウリジン−5’−三リン酸の合成。Shaltiel(Niochem.Biophys.Res.Commun.,29,178(1967)によって報告されている手順を使用して、TEAB緩衝液(pH8)中のメルカプトエタノールを用いて2,4−ジニトロフェニル基を除去することにより遊離チオールを生成した。
【0265】
反応12:蛍光ヌクレオチドの合成。FutakiおよびKitigawa(Tetrahedron Letteres,35,1267−1270(1994)の手順に従って、反応7で合成された活性化チオールを、反応11のチオール生成物と反応させることにより、切断可能なリンカーを有する混合ジスルフィド蛍光性ヌクレオチドが得られた。
【0266】
(実施例3)
(スキームIII:3’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)チミジン5’−三リン酸の合成)
【0267】
【化46】

3’,5’−ビス(O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジン:Tronchet,et al,Nucleotides and Nucleosides.,20,1927(2001)によって説明されている手順に従って、1250mL丸底フラスコにアルゴン供給源、撹拌バーおよびマントルヒーターを装着した。そのフラスコにチミジン(10gm)を投入した。アルゴン下で、チミジンをピリジン(100mL)中に懸濁し、tert−ブチルジメチルクロロシラン(15.6gm)で処理した。その混合物を室温で1時間撹拌し、次いで約65℃に温め、7時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、一晩静置した。生じた淡黄色溶液(その中にいくつかの固体を含む)を水(4.1mL)で処理し、15分間撹拌した。その溶媒を蒸発させ、残渣をトルエン(2×50mL)で同時蒸発させた。その残渣を冷EtOAc(200mL)に溶解し、冷1N HClで、その後、水および飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、濾過し、そして乾燥するまで蒸発することにより、20gmの白色固体が得られた。これを、30mLの10:1ヘキサン:EtOAcから再結晶化することにより、3’,5’−ビス(O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジン、15.5gm(80%)が得られた。
【0268】
3’−O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジン:250mL丸底フラスコに撹拌バーを装着し、そのフラスコに15.5gmの3’,5’−ビス(O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジンを投入した。これを、DCM(178mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸:水(17.9mL、10:1v/v)で処理し、その混合物を室温で撹拌した。参考文献に反して、反応を非常にゆっくりと進め、そしてその生成物を過剰に脱シリル化することにより、実質的な量のチミジンを生成させた。0℃まで冷却し、そして飽和炭酸水素ナトリウムで処理することによってその反応を停止した。その溶液を飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして蒸発することにより、15gmの油状物が得られた。これを、CHClおよびアセトンの、それぞれ6:1、次いで4:1の比の段階勾配(step−gradient)で150gmのシリカによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製することにより、2.4gmの3’−O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジンが得られた。
【0269】
3’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)チミジン5’−三リン酸:50mLフラスコに撹拌バーおよび乾燥アルゴン供給源を装着した。そのフラスコに3’−O−tert−ブチルジメチルシリル)チミジン(107mg)を投入した。これを無水ピリジン(6mL)に溶解し、その溶液を乾燥するまで蒸発した。そのフラスコにアルゴンを流し、残渣を無水ピリジン(300μL)および無水ジオキサン(900μL)、それに続いて無水ジオキサン中の1M 2−クロロ−4H−1,2,3−ジオキサホスホリ−4−オン(330μL)で処理し、そして反応混合物を10分間室温で撹拌した。反応混合物を、無水ジメチルホルムアミド(900μL)中のビス(トリ−n−ブチルアンモニウム)ピロホスフェートとトリ−n−ブチルアミン(300μL)との0.5M溶液のよく撹拌された混合物で処理し、その混合物を10分間室温で撹拌した。これを98:2ピリジン:水の混合物中の1%ヨウ素溶液(6μL)で処理し、15分間撹拌し、そして過剰量のヨウ素を5%NaHSO(700μL)で処理することによってクエンチし、そしてその溶液を乾燥するまで蒸発した。その残渣を水(30mL)で処理し、30分間撹拌した後、それを濃縮アンモニア水溶液(60mL)で処理し、1時間撹拌し、そして乾燥するまで蒸発した。その残渣を水に溶解し、0.05M トリエチルアンモニウムジカーボネート中のDEAE Sephadex A25樹脂を充填したカラムに載せ、そして1M TEABに至るまで直線勾配で溶出した。貯蔵した生成物画分を凍結乾燥することにより、標題化合物(54mg)が得られた。
【0270】
(実施例4)
(チミジン−5’−O−(1−(S−(置換)チオ三リン酸)
【0271】
【化47】

反応1:3’−O−アセチル−5’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)チミジンの合成:250mL丸底フラスコに、撹拌バー、乾燥アルゴンの供給源および氷浴を装着した。そのフラスコにチミジン(24.2gm)を投入し、そのフラスコにアルゴンを流した。チミジンをピリジン(60mL)中に懸濁し、その混合物を0℃まで冷却した。次に、tert−ブチルジメチルシリルクロリド(16.6gm)を一度に加えた。その混合物を3時間撹拌し、室温に温めた。濁った混合物を無水酢酸(12.25gm)で処理し、反応物を室温で14時間撹拌した。濁った混合物を撹拌しながら水(500mL)に注ぐことによって沈殿させた。数分間静置した後、その固体を濾過により単離し、水で洗浄した。その固体をアセトン(200mL)について溶解し、生じた清澄溶液を水(600mL)に再沈殿させた。生じた沈殿物を濾過により回収し、水ですすぎ、そして約40℃の真空中で乾燥することにより、3’−O−アセチル−5’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)チミジン32gm(93%)が得られた。
【0272】
反応2:3’−O−アセチルチミジンの合成:2L丸底フラスコに、吊り下げ式撹拌機および氷浴を装着した。そのフラスコに3’−O−アセチル−5’−O−(tert−ブチルジメチルシリル)チミジン(200gm)を投入し、固体をメタノール(1.5L)で処理した。その混合物を氷浴で冷却し、塩化アセチル(5.9gm)で処理し、そして反応物を撹拌した。氷浴を15分後に取り外し、反応物を室温で撹拌し、HPLCでモニターした。3時間後、97%完了し、溶液であった。これを、pH紙(約30gm)を中和するまで固体炭酸水素ナトリウムで処理し、軽く撹拌し、濾過し、そしてその固体を50mLメタノールで洗浄した。その溶媒を白色固体が現れるまで真空中で濃縮した。約3分の2の溶媒を除去し、生じた固体を濾過により回収し、真空中で乾燥することにより3’−O−アセチルチミジン、71.4gm(50%)が得られた。
【0273】
反応3:チミジン−5’−O−(1−チオ三リン酸)の合成:ArabshashiおよびFrey(Biochem.Biophys.Res.Commun.,204,150(1994)の方法に実質的に類似した方法による以下の様式によって、標題化合物を調製した。予めピリジン(5mL)から蒸発された3’−O−アセチルチミジン(570mg)をアルゴン下でトリエチルホスフェート(7.5mL)に溶解し、トリ−n−ブチルアミン(525μL)で処理し、そしてその反応物を0℃まで冷却した。これを塩化チオホスホリル(204μL)で処理し、そして0℃で1時間撹拌した。トリエチルホスフェート(19mL)に溶解したトリ−n−ブチルアンモニウムピロホスフェート(1.21gm)の溶液を加え、生じた混合物を室温で30分間撹拌した。トリエチルアミン(10.4mL)を加えることにより、無機リン酸塩を沈殿させた。その混合物を濾過し、そして粗生成物を水(125mL)に溶解し、濃縮アンモニア(25mL)で処理した。これを、室温で1時間静置し、そしてアンモニアを真空中で除去した。生じた濃縮物を、トリエチルアンモニウムブロミドの0.05Mから1Mの勾配でDEAE Sephadex A25樹脂を用いてイオン交換クロマトグラフィーで精製した。糖およびリン酸試験で陽性を示した画分を貯蔵し、凍結乾燥することにより、そのテトラトリエチルアミン塩である3’−O−アセチルチミジン−5’−O−(1−チオ三リン酸)としてヌクレオチドが得られた。
【0274】
反応4:チミジン−5’−O−(1−(S−(2−ピリジルチオ)チオ三リン酸)の合成:前反応からのチミジン−5’−O−(1−チオ三リン酸)を1:1メタノール/水の混合物に溶解し、Aldrithiol 2で処理した。その生成物を上記のようにIEXクロマトグラフィーで精製することにより、生成物1が得られた(スキームを参照のこと)。反応物1と遊離チオールの任意のメンバーとの反応によりジスルフィドとしてさらなる基を結合することができる。
【0275】
(実施例5)
(可逆的ターミネーターの評価)
ポリメラーゼ取り込みの効率ならびにそれらの終結効率および可逆性について本発明の可逆的ターミネーターを試験した。その目的のために、キャピラリー電気泳動に基づく鎖シフトアッセイ(Cappillary Electrophoresisi based strand shift assay)を使用した。ゲルシフトアッセイと同様に、その目的は、伸長しなかったフラグメントと比べて1ヌクレオチド伸長したDNAフラグメントのマトリックス中の移動度の差に基づいて伸長したプライマーを観察することである。
【0276】
このアッセイは、ABI 3730XL DNA Analyzerにおいて実施した。取り込み効率を試験するために、色素標識されたプライマーを、ストレプトアビジンで被覆された磁気ビーズに接着した5’ビオチンを含む鋳型にアニールさせた。その鋳型は、可逆的に終結している(reversibly terminating)ヌクレオチドに相補的な一続きの塩基を含む。DNAポリメラーゼを目的のヌクレオシド三リン酸、ここに可逆的ターミネーターおよび適切な緩衝液の存在下で加えた。その反応物を適切な温度(通常37℃)で4分間インキュベートし、EDTAで停止し、3回洗浄し、脱イオン水に再懸濁し、95℃に加熱してプライマー−鋳型構造を変性し、磁石上に置いてビーズを濃縮し、そしてその上清を除去した。その上清は、プライマーを含んでおり、次いで、プライマーが伸長したかを決定するために既知のサイズのフラグメントに対して3730XLで解析した。伸長していないプライマーの量対伸長したプライマーの量から取り込みの効率を評価した。鋳型が、試験されている、終結しているヌクレオチドに相補的な塩基の一続きを含み、効率的に終結していないヌクレオチドは、プライマーを1ヌクレオチド以上伸長させることができるため、終結の効率は、その次の塩基付加の量から評価され得る。終結しているヌクレオチドがどれくらい可逆的であるかは、終結を解除し、さらなる取り込みを試みることによって評価することができる。そのプロトコールは、以下のとおりである。
【0277】
約1000万ビーズ/μLの1ミクロンのDynalストレプトアビジンビーズ(MyOne)(100μL)を、10mM Tris−Cl、1mM EDTA、pH8(TE)中で3回洗浄し、次いで300pmolの5’ビオチン化鋳型オリゴヌクレオチド(オリゴ)を含むTE200μLに再懸濁した。ビオチン化鋳型オリゴは、配列決定プライマーに相補的な領域に続いて一続きの5つのアデノシン、次いで様々な塩基の混合物を含むものであった。ビーズ/オリゴ混合物を、回転子上で、室温にて30分間インキュベートし、磁石を利用してその上清を除去し、ビーズを200μLのTEで3回洗浄した。ビーズを100μLのTEに再懸濁した。10μLの再懸濁されたビーズを、100pmolの配列決定プライマーを含むTE90μLに加えた。配列決定プライマーは、5’ビオチン化鋳型オリゴの一続きに相補的であり、5個連続したアデノシンの配列決定を可能にする。配列決定プライマーは、5’FAM色素で標識されたものであった。プライマー溶液中の鋳型オリゴが接着したビーズを、65℃で2分間インキュベートし、次いで2分間40℃に冷却し、続いて4℃で2分間インキュベートすることにより配列決定プライマーをアニールした。過剰なプライマーを洗い流し、ビーズを適切なビーズの濃度で再懸濁した。
【0278】
配列決定プライマーがアニールした鋳型オリゴが接着した200万個のビーズを、反応容量10μL中に例えば10UのKlenow exo−、適切な量のチミジン(代表的には非改変チミジンが最終濃度約1μM)を含む配列決定反応物に加えた。次いでその反応物を37℃で4分間インキュベートし、最終濃度が50mMになるようにEDTAを加えることによって停止した。ビーズを磁石にあて、TE緩衝液で3回、脱イオン水で1回洗浄し、次いで20μLの脱イオンに再懸濁した。再懸濁されたビーズを95℃に加熱することによってプライマー:鋳型を変性し、プライマーを溶液に放出させた。磁石を用いてビーズを濃縮し、上清を新しいチューブに取り出した。0.5μLの上清を、9μLのHiDiホルムアミドおよび0.5μLのABI Liz GenescanサイズマーカーとともにABI 3730XLにロードした。代表的な結果を図1A、1B、2Aおよび2Bに示す。
【0279】
(実施例6)
(合成による配列決定)
各ヌクレオチドが、DNA鋳型上のアデノシン、グアノシン、シトシンまたはチミジンに相補的な位置で特異的に取り込まれることが可能な4つの可逆的に終結しているヌクレオチドを使用した。可逆的に終結しているヌクレオチドの各々は、特定の光の波長で一意的な検出および同定が可能である異なる蛍光色素で標識されていた。各鋳型に対応する蛍光シグナルを検出および記録できるように、配列決定されるDNA鋳型を分散し、そしてアレイ上に固定化した。この実施例では、鋳型を直径1ミクロンの磁気ビーズに固定化した。各ビーズは、単一のDNA分子からのクローン増幅によって得た約150,000コピーのDNA鋳型を含んでいた。この増幅は、Dressman,et al.,2003,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.100:8817−22に記載されているようなエマルジョンPCRにより達成された。鋳型構築および増幅プロセスの結果として、各ビーズ上に固定化された各DNAフラグメントは、配列決定される未知DNAのすぐ隣に並置された普遍的な配列決定プライマーに相補的な配列を含んでいた。ビーズを顕微鏡用ガラススライド表面上のポリアクリルアミドの薄層に包埋した。これを達成するために、Mitra,et al.(2002)Anal Biochem.320:55−65に記載されているように、鋳型が結合したビーズを、5%ポリアクリルアミドゲルを作製するために必要である材料と混合し、そして遮蔽された、シラン結合剤で処理した顕微鏡用スライドに注ぎ、カバーガラスを被せた。重合した後、鋳型含有ビーズを、単一の焦平面かつガラススライド上の特有のx、y位置に閉じ込めて、その位置に従って各ビーズの可視化および同定が可能となった。
【0280】
蛍光色素(今回は、FAM)で標識された普遍的なプライマーを、ビーズに結合した鋳型の約10倍のモル濃度を達成するのに十分な(TE溶液中の)プライマーを加えることによって(すなわち、鋳型の総量10pmolが、ゲル中の結合したビーズ上に存在する場合、100pmolのプライマーを加えた)ビーズにハイブリダイズさせた。そのスライドを、65℃で2分間、次いで40℃で2分間そして4℃で2分間インキュベートすることにより、プライマーをアニールさせた。スライドを3分間TEに浸漬するのを3回行うことによって過剰のプライマーを洗い流した。TEは各回で新しいものにした。適切な光源を用いて顕微鏡でスライドの像を得て、各ビーズに接着している複数個のプライマー−鋳型複合体におけるFAM標識されたプライマーを可視化した。各ビーズの蛍光履歴(fluorescent history)を標識された可逆的ターミネーターの段階的な付加後に決定することができるように各ビーズの位置を記録した。すべてのビーズの最初の検出についての代替のプロトコールでは、最初のヌクレオチド付加工程で、配列決定されるDNAに隣接した、1塩基の共通したプライマー結合配列を付加するように配列決定プライマーを設計した(従って、すべてのプライマー−鋳型複合体が同じヌクレオチドを取り込むことから、そのアレイ上のすべてのビーズの位置を検出することができる)。
【0281】
各付加サイクルを、以下のとおり達成した。37℃(または、使用した特定のポリメラーゼにより適した別の温度)でインキュベートしたとき、各プライマー−鋳型複合体の3’末端で単一のヌクレオチドを95%超完全に付加するために、適切な濃度(代表的には2〜50マイクロモル濃度)で、4種類の蛍光で標識された可逆的ターミネーターを含む適切な緩衝液に可逆的ターミネーターを取り込むことができるDNAポリメラーゼ(例えば、E.coliポリメラーゼI Klenowフラグメントのエキソヌクレアーゼ欠損変異体)を含む溶液を加えることによってプライマーを異なるビーズ上で伸長した。次いで、スライドを3分間TEに浸漬するのを3回行うことによって過剰のプライマーを除去した。TEは各回で新しいものにした。次いで、適切な励起波長および発光波長を使用して顕微鏡でスライドの像を得て、蛍光標識された可逆的ターミネーターの1つを可視化した。このプロセスを適切な励起波長および発光波長で繰り返すことにより、残り3種類の蛍光で標識されたターミネーターの各々を特異的に検出した。伸長したプライマー−鋳型複合体を含んだ各ビーズは、取り込まれた特定の蛍光標識されたターミネーターに対応する波長で4つの検出工程の1つにおいて蛍光を発した。各ビーズに対して付加されたヌクレオチドの性質を記録した。可逆的ターミネーターに結合された蛍光標識が、すべて同じ波長で励起するが、4つのうち各々からの発光波長は異なる波長で検出される代替のプロトコールでは、カラーCCDカメラを使用して4つの発光波長の各々において同時にデータ収集する単一の検出工程を使用した。検出後、スライドを500mM DTTを含む溶液で5分間洗浄し、次いでTEで3分間洗浄するのを3回行うことによって、蛍光標識が取り込まれたヌクレオチドに結合しているリンカーを切断し、放出された分子を洗い流した。切断に使用された条件は、ハイブリダイズされたプライマー−鋳型複合体の完全性を維持する(変性を生じさせない)。ターミネーターの性質に依存して、リンカーの切断はまた、取り込まれたヌクレオチド上に伸長できる3’末端を生成する。可逆的ターミネーターが、異なる切断化学を有する2つのリンカーが(1)蛍光標識を結合するためおよび(2)3’末端への付加を防ぐために使用されるタイプである場合、第2のリンカーの切断を実施するために第2の切断工程を加える。一旦、各プライマー−鋳型複合体における伸長されたプライマーの3’末端に伸長できる末端が生成されると、付加サイクルは、可逆的ターミネーターの新しいアリコートを用いて繰り返された。取り込まれたヌクレオチド上に伸長できる3’末端を再生する可逆的ターミネーターの付加、検出および切断のプロセスを、各ビーズに接着された鋳型の配列を読み取るために複数のサイクル繰り返す。
【0282】
本発明者らは、本発明の多くの実施形態を説明したが、本発明者らの基本の実施例が、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために変更され得ることは明らかである。そのため、本発明の範囲は、実施例を用いて説明された特定の実施形態ではなく、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0283】
当業者は、以下に説明される図面が例示の目的のみであることを理解するだろう。これらの図面は、本教示の範囲を制限することを決して意図しない。
【図1A】図1Aは、プライマーのみのABI 3730XL DNA解析を表す。
【図1B】図1Bは、5つのA’を含む鋳型においてTヌクレオチドによって伸長したプライマーのABI 3730XL DNA解析を表す。
【図2A】図2Aは、不完全な終結のABI 3730XL DNA解析を表す。
【図2B】図2Bは、不完全な伸長のABI 3730XL DNA解析を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
は、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−Rで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)Rが−OTBSであるとき、Rは、−S−ピリジン−2−イル以外であり;
(b)RがTBDPSiであるとき、Rは、水素以外であり;そして
(c)RまたはRのうちの少なくとも1つがL−Rで置換されている、
化合物。
【請求項2】
が、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンから選択される核酸塩基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネートまたはチオカルバメートから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、−S−ピリジン−2−イルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が、OHまたは水素である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、式Iaの化合物:
【化2】

である、請求項1に記載の化合物であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
化合物。
【請求項8】
前記化合物が、式Ibの化合物:
【化3】

である、請求項1に記載の化合物であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Tは、酸素、硫黄、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
化合物。
【請求項9】
前記化合物が、式Icの化合物:
【化4】

である、請求項1に記載の化合物であって、ここで:
Wは、O(C1〜4脂肪族)またはS(C1〜4脂肪族)であり;
W’は、C1〜4脂肪族であり;
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり;
Lは、切断可能なリンカー基であり;そして
は、検出可能な部分である、
化合物。
【請求項10】
前記化合物が、式Idの化合物:
【化5】

である、請求項1に記載の化合物であって、ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項11】
式IIの化合物:
【化6】

であって、ここで:
1aは、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4aで置換されており;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)R3aまたはR1aのうちの少なくとも1つは、L−R4aで置換されており;そして
(b)R5aがアセチルまたはベンジルのいずれかであるとき、R1aは、トリチル以外であり;そして該化合物が
【化7】

以外である、
化合物。
【請求項12】
3aが、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチンまたは2−アミノプリンから選択される核酸塩基である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
1aが、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネートまたはチオカルバメートから選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
が、−S−ピリジン−2−イルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)である、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
5aが、水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が、式IIaの化合物:
【化8】

である、請求項11に記載の化合物であって、ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、切断可能なリンカー基であり;そして
4aは、検出可能な部分である、
化合物。
【請求項18】
前記化合物が、式IIbの化合物:
【化9】

である、請求項11に記載の化合物であって、ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、酸素、硫黄、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項19】
前記化合物が、式IIcの化合物:
【化10】

である、請求項11に記載の化合物であって、ここで:
は、O(C1−4脂肪族)またはS(C1−4脂肪族)であり;
は、C1−4脂肪族であり;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項20】
前記化合物が、式IIdの化合物:
【化11】

である、請求項11に記載の化合物であって、ここで:
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、L−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
は、切断可能なリンカー基であり;そして
4aは、検出可能な部分である、
化合物。
【請求項21】
式IIIの化合物:
【化12】

であって、ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
は、適切なヒドロキシル保護基または適切なチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4bで置換されており;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である;
但し:
(a)R5bがTBSであるとき、Rはアリル以外であり;
(b)Qが硫黄であるとき、Rはp−ニトロベンジル以外であり;そして
(c)R3bまたはRのうちの少なくとも1つは、L−R4bで置換されている、
化合物。
【請求項22】
Qが、酸素である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が、エステル、アリルエーテル、エーテル、シリルエーテル、アルキルエーテル、アリールアルキルエーテルまたはアルコキシアルキルエーテルから選択される適切なヒドロキシル保護基である、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が、L−R4bで置換されている、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Qが、硫黄である、請求項21に記載の化合物。
【請求項26】
が、ジスルフィド、チオエーテル、シリルチオエーテル、チオエステル、チオカーボネートまたはチオカルバメートから選択される適切なチオール保護基である、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
1bが、水素またはOHである、請求項21に記載の化合物。
【請求項28】
5bが、水素である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が、式IIIaの化合物:
【化13】

である、請求項21に記載の化合物であって、ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項30】
前記化合物が、式IIIbの化合物:
【化14】

である、請求項21に記載の化合物であって、ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項31】
前記化合物が、式IIIcまたはIIIc’の化合物:
【化15】

である、請求項21に記載の化合物であって、ここで:
各R1bは、独立してOH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
各R3bは、独立して核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここで各R3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
各Tは、独立してO、S、NHまたは必要に応じて置換されているフェニルであり;
各R5bは、独立して水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項32】
式IVの化合物:
【化16】

であって、ここで:
1cは、OH、SH、適切に保護されたヒドロキシル基、適切に保護されたチオール基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
Uは、普遍的なヌクレオシドアナログであり;
2cは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3cは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3cは、必要に応じてL−R4cで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;
c’は、切断不可能なリンカー基であり;そして
各R4cは、独立して検出可能な部分である、
化合物。
【請求項33】
標的一本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定するための方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)式Iの化合物:
【化17】

ここで:
は、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
は、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
は、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでRは、必要に応じてL−Rで置換されており;
は、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−Rで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各Rは、独立して検出可能な部分である;
但し、RまたはRのうちの少なくとも1つは、L−Rで置換されている;
式IIの化合物:
【化18】

ここで:
1aは、水素またはチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4aで置換されており;
2aは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3aは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3aは、必要に応じてL−R4aで置換されており;
5aは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4aは、独立して検出可能な部分である;
但し、R3aまたはR1aのうちの少なくとも1つは、L−R4aで置換されている;
式IIIの化合物:
【化19】

ここで:
1bは、OH、適切に保護されたヒドロキシル基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
は、適切なヒドロキシル保護基または適切なチオール保護基であり、そして必要に応じてL−R4bで置換されており;
3bは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3bは、必要に応じてL−R4bで置換されており;
5bは、水素または適切なヒドロキシル保護基であり;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;そして
各R4bは、独立して検出可能な部分である;
但し、R3bまたはRのうちの少なくとも1つは、L−R4bで置換されている;
または式IVの化合物:
【化20】

ここで:
1cは、OH、SH、適切に保護されたヒドロキシル基、適切に保護されたチオール基または水素であり;
Qは、酸素または硫黄であり;
Uは、普遍的なヌクレオシドアナログであり;
2cは、適切なヒドロキシル保護基、−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−S−P(O)(OH)、−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−NH−P(O)(OH)または−P(O)(OH)−O−P(O)(OH)−CH−P(O)(OH)であり;
3cは、核酸塩基または核酸塩基模倣物であり、ここでR3cは、必要に応じてL−R4cで置換されており;
各Lは、独立して切断可能なリンカー基であり;
c’は、切断不可能なリンカー基であり;そして
各R4cは、独立して検出可能な部分である;
のうちの少なくとも1つを提供する工程であって、ここで該ヌクレオチドの検出可能な標識は、検出により、他のヌクレオチドについて使用される検出可能な標識と識別され得る、工程:
(b)工程(a)のヌクレオチドを標的一本鎖ポリヌクレオチドの相補体に取り込む工程;
(c)(b)のヌクレオチドの標識を検出することによって取り込まれたヌクレオチドのタイプを決定する工程;
(d)(b)のヌクレオチドの標識を除去する工程;および
(e)必要に応じて工程(b)〜(d)を1回以上繰り返すことによって、標的一本鎖ポリヌクレオチドの配列を決定する工程;
を含む、方法。
【請求項34】
キットであって、
(a)式I、II、IIIまたはIVの個別のヌクレオチドアナログ;および
(b)DNAポリメラーゼ、
(c)反応緩衝液、
(d)天然2’デオキシヌクレオシド三リン酸および必要であれば、
(e)切断試薬
を備える、キット。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate


【公表番号】特表2008−526877(P2008−526877A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550492(P2007−550492)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/000432
【国際公開番号】WO2006/074351
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(507226503)
【Fターム(参考)】