説明

可食容器用緩衝材

【課題】アイスクリームコーン等の可食容器を確実に保護できる段ボール製の緩衝材を提供する。
【解決手段】段ボールシートに切込を入れて、基板1となる部分と、可食容器の錐部を受け止めるテーパー状の錐受片2と、可食容器の大径部が並んだ列を受け止める列受片3とを形成し、錐受片2と列受片3とをプレス成形加工により、可食容器に沿うように湾曲させ、可食容器の収納凹所14を形成する。基板1の両端に対向する端壁4,5を立設し、一方の端壁4を外端板6と内端板8とを備えた二重構造として、可食容器の錐部先端が外端板6に当接しないように、内端板8に設けた端入穴10の大きさを設定する。交互に向きを変えて積み重ねたとき、下段側緩衝材に収納した可食容器が上段側緩衝材の錐受片2で押さえられて保持され、上下段の緩衝材の積みずれが防止されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アイスクリームコーンに代表される各種冷菓、その他の菓子類を盛り付ける略円錐形又は略角錐形をした可食容器の包装に使用する緩衝材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、アイスクリームを盛り付けるアイスクリームコーンの輸送に際しては、多数のアイスクリームコーンを積み重ねて列をなす状態で、緩衝材に保持されるように載せ、外箱に収納するようにしている。この緩衝材としては、アイスクリームコーンの収納凹所を形成したプラスチックフィルム製のエアクッションが使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、エアクッションの緩衝材では、外箱との摩擦等により微小な穴が発生すると、その穴から空気が漏れて萎んでしまい、緩衝性が損なわれて、アイスクリームコーンが破損することがある。
【0004】
そこで、この発明は、アイスクリームコーン等の可食容器を確実に保護できる段ボール製の緩衝材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明は、錐状の可食容器を積み重ねて列をなす状態で保持する可食容器用緩衝材において、段ボールシートに切込を入れて、基板となる部分と、可食容器の錐部を受け止めるテーパー状の錐受片と、可食容器の大径部が並んだ列を受け止める列受片とを形成し、錐受片と列受片とをプレス成形加工により、可食容器に沿うように湾曲させ、可食容器の収納凹所を形成したのである。
【0006】
また、前記基板の両端に対向する端壁を立設し、一方の端壁を外端板と内端板とを備えた二重構造として、内端板に積み重ねた可食容器の錐部側の先端部分を挿入する端入穴を形成し、可食容器の錐部先端が外端板に当接しないように、端入穴の大きさを設定したのである。
【0007】
さらに、緩衝材を交互に向きを変えて積み重ねたとき、下段側緩衝材に収納した可食容器が上段側緩衝材の錐受片で押さえられて保持され、上下段の緩衝材が嵌合して、積みずれが防止されるようにしたのである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る緩衝材では、プレス加工で湾曲した錐受片と列受片によりアイスクリームコーンの移動が阻止されるので、輸送時におけるアイスクリームコーンの破損が防止され、また、空気漏れ等により緩衝性が損なわれることもないので、型崩れのないアイスクリームコーンを店頭に届けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の可食容器用緩衝材の一例として、アイスクリームコーン用緩衝材の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
このアイスクリームコーン用緩衝材は、図1に示すような段ボール製のブランクから形成される。このブランクでは、段ボールシートに切込を入れて、基板1となる部分と、アイスクリームコーンの円錐部を受け止めるテーパー状の錐受片2と、アイスクリームコーンの大径部が並んだ列を受け止める列受片3とが5列並んで形成されている。段ボールシートの段目は、錐受片2と列受片3の長さ方向に向いている。
【0011】
基板1の両端には端壁4,5が連設され、端壁4は基板1に順次繋がる外端板6、頂板7及び内端板8から成り、基板1の両側には側壁9が連設されている。内端板8には、錐受片2の延長上に、アイスクリームコーンの円錐部側の先端部分を挿入する端入穴10が設けられ、頂板7には、端入穴10に連通する切目が入れられている。
【0012】
端壁5には、列受片3側への切込により脚片11が突設され、外端板6から頂板7にかけては、脚片11に対応して脚入穴12が設けられている。また、外端板6には、基板1への切込により2個の脚片13が突設されている。
【0013】
上記のようなブランクから緩衝材を形成するには、図2に示すように、まず、ブランクの段ボールシートをプレス型の間に挟み、加熱圧縮することにより、錐受片2と列受片3とを、収納するアイスクリームコーンCの外周に沿って湾曲するように塑性変形させ、アイスクリームコーンCの収納凹所14を形成する。
【0014】
そして、この緩衝材を組み立てて使用する際には、図2乃至図4に示すように、基板1から端壁4の外端板6、端壁5及び各側壁9を起立させて、脚片11,13を基板1から下方へ突出させ、頂板7及び内端板8を巻き込むように折り曲げて、二重構造の端壁4を形成し、内端板8の先端の突起を脚片13の抜出穴に挿入して、端壁4を保形する。
【0015】
次に、列をなすように積み重ねたアイスクリームコーンCを、5列に並んだ収納凹所14のそれぞれに嵌め込むように収納し、各列のアイスクリームコーンCの円錐部側の先端部分を、端壁4の端入穴10に頂板7の切目を介して挿入する。
【0016】
このような緩衝材にアイスクリームコーンCを収納すると、プレス加工で湾曲した錐受片2と列受片3によりアイスクリームコーンCの移動が阻止され、また、端入穴10の大きさは、アイスクリームコーンCの円錐部先端が外端板6に当接しない大きさに設定されているので、輸送時におけるアイスクリームコーンCの破損が防止される。
【0017】
また、図5及び図6に示すように、この緩衝材を交互に向きを変えて積み重ね、上段側緩衝材の脚片11を下段側緩衝材の脚入穴12に挿入すると、上段側緩衝材の脚片11,13で下段側緩衝材が抱き込まれて、積みずれが防止されるので、安定した状態で複数の緩衝材を同時に運搬することができる。
【0018】
また、このとき、上段側緩衝材は、下段側緩衝材の端壁4,5で支持され、下段側緩衝材に収納したアイスクリームコーンCが上段側緩衝材の錐受片2で押さえられて保持されるので、輸送時の振動等によるアイスクリームコーンCの破損が防止される。
【0019】
さらに、このように緩衝材を積み重ねた状態で、図7に示すように、外箱Bに収納すると、効率的に集合包装することができ、この包装状態で輸送すると、外箱Bの内面への衝突によるアイスクリームコーンCの破損が防止され、エアクッションの緩衝材のように、空気漏れにより緩衝性が損なわれることもないので、型崩れのないアイスクリームコーンCを店頭に届けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の実施形態に係る緩衝材のブランクを示す図
【図2】同上の使用状態を示す斜視図
【図3】同上の縦断側面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【図5】同上の積重ね状態を示す斜視図
【図6】同上の縦断側面図
【図7】同上の外箱への収納状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0021】
1 基板
2 錐受片
3 列受片
4,5 端壁
6 外端板
7 頂板
8 内端板
9 側壁
10 端入穴
11,13 脚片
12 脚入穴
14 収納凹所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
錐状の可食容器を積み重ねて列をなす状態で保持する可食容器用緩衝材において、段ボールシートに切込を入れて、基板1となる部分と、可食容器の錐部を受け止めるテーパー状の錐受片2と、可食容器の大径部が並んだ列を受け止める列受片3とを形成し、錐受片2と列受片3とをプレス成形加工により、可食容器に沿うように湾曲させ、可食容器の収納凹所14を形成したことを特徴とする可食容器用緩衝材。
【請求項2】
請求項1に記載の可食容器用緩衝材において、基板1の両端に対向する端壁4,5を立設し、一方の端壁4を外端板6と内端板8とを備えた二重構造として、内端板8に積み重ねた可食容器の錐部側の先端部分を挿入する端入穴10を形成し、可食容器の錐部先端が外端板6に当接しないように、端入穴10の大きさを設定したことを特徴とする可食容器用緩衝材。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の可食容器用緩衝材において、緩衝材を交互に向きを変えて積み重ねたとき、下段側緩衝材に収納した可食容器が上段側緩衝材の錐受片2で押さえられて保持され、上下段の緩衝材が嵌合して、積みずれが防止されるようにしたことを特徴とする可食容器用緩衝材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−335457(P2006−335457A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165386(P2005−165386)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000226895)日世株式会社 (24)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】