説明

合成樹脂シートの成形方法

【課題】合成樹脂シート面の絞深さを任意に調整することができ、特に絞押されたシートを凸型真空成形して得られる成形体の絞深さが均一で外観に優れた成形体を得る。
【解決手段】合成樹脂シート42に対して、一対のプレス盤10,12間の少なくとも一方が複数のブロックに分割され、それぞれのブロック毎に加圧ユニット18A,18B,18C,18D・・・が設けられ、各ブロックにおける一対のプレス盤10,12間のプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの少なくともいずれかを各ブロック毎に調整する機構を有するエンボス機を用いて合成樹脂シート42の部位によって絞深さが異なる絞を形成する絞押工程を有することを特徴とする合成樹脂シートの成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂シートの成形方法に係り、合成樹脂シート面の絞深さを任意に調整することができ、特に絞押されたシートを凸型真空成形して得られる成形体の絞深さが均一で外観に優れた成形体を得るのに有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、所定の凹凸模様が形成された絞シートを形成する場合、所定の絞模様が彫刻された絞ロール、絞シートあるいは絞板等を用い、これらの絞ロール、絞シートあるいは絞板等を、絞を形成するための合成樹脂シート面に押圧し、合成樹脂シート面に所定の絞模様を転写する方法が採用されている。例えば、特許文献1〜特許文献4等)
【0003】
上記した方法においては、絞深さを含めた絞模様が変更された場合、その都度所定の絞模様が彫刻された絞ロール、絞シートあるいは絞板を新たに製造する必要がある。絞ロール、絞シートあるいは絞板の製造には、かなりの熟練を要するばかりでなく、かなりの日数を要するため、絞ロール、絞シートあるいは絞板から絞模様が転写された合成樹脂シートを製造するには、コスト高となり、また、絞深さを含めた絞模様が変更される毎に所要の製造工程が必要となる。
【0004】
また、絞押された合成樹脂シートを用いて、例えば、インストルメントパネル等の自動車内装材を凸型真空成形によって成形する場合、インストルメントパネルの各ゾーン、部位によって展開率が異なる。この結果、予め合成樹脂シート面に形成された絞形態がインストルメントパネルの各ゾーン、部位によって変化し、インストルメントパネル面全体において、絞形態が不均一となり、見栄えが劣ることがある。
【0005】
【特許文献1】特開平7−276580号公報
【特許文献2】特開2007−62245号公報
【特許文献3】特開平6−238828号公報
【特許文献4】特開2006−21345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記した問題点を解決し、合成樹脂シート面の絞深さを任意に調整することができ、特に絞押されたシートを凸型真空成形して得られる成形体の絞深さが均一で外観に優れた成形体を得ることができる合成樹脂シートの成形方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記した問題点を解決するために下記の構成からなる。
すなわち、本発明の合成樹脂シートの成形方法は、合成樹脂シートに対して、一対のプレス盤間の少なくとも一方が複数のブロックに分割され、それぞれのブロック毎に加圧ユニットが設けられ、各ブロックにおける一対のプレス盤間のプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの少なくともいずれかを各ブロック毎に調整する機構を有するエンボス機を用いて前記合成樹脂シートの部位によって絞深さが異なる絞を形成する絞押工程を有することを特徴とする。
本発明において、前記絞押工程を経た合成樹脂シートを凸型真空成形する工程を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
合成樹脂シート面の絞深さを任意に調整することができ、特に絞押されたシートを凸型真空成形して得られる成形体の絞深さが均一で外観に優れた成形体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明におけるエンボス機の好ましい実施の形態を示す斜視図である。図1において、一対にプレス盤として上プレス盤10と下プレス盤12を備えている。上プレス盤10には上プレス盤本体14とこの上プレス盤本体14を上下に可動させるための駆動部(図示せず)に連結された支持部材16A、16B、16C、16Dが設けられている。
上プレス盤本体14には、複数のブロック(例えば、5cm×5cm、あるいは10cm×10cm等の任意大きさのブロック)に分割され、各々のブロックには加圧ユニット18A、18B、18C、18D・・・・・が設けられている。
【0010】
下プレス盤12には下プレス盤本体20とこの下プレス盤本体20を上下に可動させるための駆動部(図示せず)に連結された支持部材22A、22B、22C、22Dが設けられている。下プレス盤本体20には、複数のブロック(例えば、5cm×5cm、あるいは10cm×10cm等の任意大きさのブロック)に分割され、各々のブロックには加圧ユニット24A、24B、24C、24D・・・・・が設けられている。
【0011】
加圧ユニット(18A、18B、18C、18D・・・・・)および加圧ユニット(24A、24B、24C、24D・・・・・)は、それぞれ図2に示す構造からなっている。図2は、加圧ユニット3個のみを併設した構造を概略的に示しており、油圧シリンダー26と加圧ヘッド28を備えている。加圧ヘッド28は、油圧シリンダー26の作動に伴って上下方向に移動可能となっている。
【0012】
油圧シリンダー26には油圧を調整するためにシリンダー内に供給されるオイルおよびシリンダーから排出されるオイルの量を調整する配管30、32が設けられている。加圧ヘッド28には加熱ヒータ34が設けられ、この加熱ヒータ34に通電させるための配線36が備えている。また、加圧ヘッド28には、加熱・冷却オイルあるいは蒸気・冷水を一時的に滞留させる熱・冷流体ヘッド38が設けられ、この熱・冷流体ヘッド38に加熱・冷却オイルあるいは蒸気・冷水を供給あるいは排出するための配管50、52が連結されている。
【0013】
図2において、油圧シリンダー26の代わりに公知のエアーシリンダーや回転加圧の手段であってもよい。また、図2中の加熱ヒータ34および配線36は、必ずしも必要ではないが、熱・冷流体ヘッド38による温度調整と共に加熱ヒータ34による温度調整によって各加圧ヘッドにおける温度調整を応答よく、かつ精度よく行う場合に有効である。各加圧ユニットはそれぞれが各ブロックにおける一対のプレス盤間のプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークをそれぞれ各ブロック毎に調整する機構を有していることが望ましいが、各ブロックにおける一対のプレス盤間のプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの少なくともいずれかを調整する機能であってもよい。
【0014】
本発明において、上プレス盤10と下プレス盤12は一方が固定されていてもよく、また、上プレス盤10と下プレス盤12は一方は、各々のブロックに分割された加圧ユニットが設けられていなくともよい。
【0015】
次に上記した上プレス盤10と下プレス盤12による絞押し工程を図3に基づいて説明する。
所定の深さの絞が一様に彫刻されたシリコンゴム絞板を準備し、このシリコン絞板40を図3の下プレス盤12上に載置し、この上に絞押するための合成樹脂シート42を載置し、さらに合成樹脂シート42面上に剥離シートとしてのシリコンゴムシート44を載置する。シリコンゴムシート44は、上プレス盤10に巻き付けて固定されている。シリコンゴムシート44の合成樹脂シートと接触する面に絞を付けておくことにより、合成樹脂シートの裏面にも絞を付けることが可能である。
【0016】
図3中、上プレス盤10及び下プレス盤12は、図解上、その一部を図示しているが、合成樹脂シート等よりもやや小さいサイズである。
合成樹脂シートの外周はシートクランプが設置され、少なくとも向かい合う2辺で合成樹脂シートをクランプすることにより合成樹脂シートが保持されている。
次に上プレス盤10を下降させ、シリコンゴムシート44面の側からプレスすると共に一対のプレス盤間の各ブロックの加圧ユニット24A、24B、24C、24D・・・・・におけるそれぞれプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークが所定の値となるように調整される。
【0017】
上プレス盤10及び下プレス盤12間のプレス工程において、各ブロックの加圧ユニットによるプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの調整は、上プレス盤10及び下プレス盤12のそれぞれの各ブロックの加圧ユニットによる調整が好ましいが、絞深さ・絞パターンの転写度合い等によっては、上プレス盤10側の各ブロックの加圧ユニットによる調整のみでも構わない。
【0018】
本発明において、シリコンゴム絞板の代わりにゴムあるいは金属の絞板のいずれであってよく、ゴムとしてはシリコンゴム以外にフッ素ゴム等が挙げられ、金属としては、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、真鍮等が挙げられる。これらの中でレーザーによる絞の微細な形態の再現性が良い点で特にシリコンゴムからなる絞板が望ましい。彫刻時間が長くなるのでコスト的には難点があるが、レーザーによる金属への彫刻の方が耐久性の点で優れているので金属絞板もシリコンゴム絞板に次いで望ましい。
【0019】
設定された絞板を形成するに際しては、絞の凹凸パターンの形態、絞深さに基づいてコンピュータグラフィック上に予め計算されたデータに基づいたスポット径のレーザービームをゴムあるいは金属からなる板体の表面に照射し、板体の表面を彫刻されたものが望ましい。
【0020】
レーザービームを照射する場合、ゴムあるいは金属からなる板体の表面に長波長の第1のレーザービームを照射して、板体の表面に粗い表面構造を彫刻し、その後、第1のレーザービームよりも短波長で、第1のレーザービームよりも小さいスポット径の第2のレーザービームを板体の表面に照射して板体の表面に微細な表面構造を彫刻することができる。
レーザービームによる彫刻以外に絞板を形成する方法としては、通常の絞形成方法であるミルロール方式、電鋳方式、原稿からの樹脂転写方式のいずれかの方法によるものであっても良い。
【0021】
本発明において、合成樹脂シートを構成する成分は、絞押された合成樹脂成形体の用途に応じてオレフィン系樹脂、熱可塑性オレフィン(TPO)系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等から任意に選定されるべきものであり、さらに絞付けされる合成樹脂シートの裏面には用途に応じてオレフィン系発泡体あるいはポリエステル系・テトロン系・レーヨン系等の生地が裏打ちされる。これらの用途として、自動車内装部品、鉄道車両・航空機内装部品、家具、建築物内外装、靴・履物・鞄、衣類表層材・裏地、壁装の表皮材等が挙げられる。自動車内装部品用の表皮材の場合、凸型真空成形によって平面部、曲面部等を有し、上記した展開率が異なる部位を有する表皮材張り込み部品等に有効である。このような表皮材が使用できる部位としては、インストルメントパネル、ドアトリムの他に、センターコンソール、センターコンソールリッド、フロントピラー、センターピラー、リヤピラー、グラブボックス、天井材、メーターフード等が挙げられる。
自動車内装部品用の表皮材で真空成形しない縫製部品の場合は、座席用表皮のように座席形状と位置をきちんと合わせた絞外観を持つ表皮を作るのに有効である。このような表皮材が使用できる部位としては、シートメイン、シートカマチ、シートバックの他に、ヘッドレスト、アームレスト、インストルメントパネル、メーターフード等が挙げられる。
【0022】
自動車内装部品等の表皮材の場合、絞模様が同じでも絞深さが異なる場合、通常、絞板としてそれぞれの絞模様、絞深さが異なる絞板をそれぞれ作製する必要がある。しかし、本発明によると、所定の絞模様を有する絞板を用い、プレス盤における各ブロックの各プレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの調整を調整することによって、1つの絞模様を有する絞板を用いるのみで絞模様は一定で絞深さが異なる絞が形成された合成樹脂シートを得ることができる。
【0023】
凸型真空成形によって平面部、曲面部等を有する部品においては、凸型真空成形前の合成樹脂シートは、成型後の部位によって展開率が異なる。例えば、インストルメントパネルを凸型真空成形によって成形した場合、インストルメントパネルの各ゾーン、部位によって展開率が異なる。ここで展開率とは、テスト成形用シートにおける凸型真空成形前の合成樹脂シート面に示された1つのマス目(分割領域)の(X方向、Y方向、X×Y=面積)が凸型真空成形後どの程度拡大したかを示す指標である。
【0024】
このような成型後の部位によって展開率が異なると、成型前の合成樹脂シートに形成された絞模様および絞深さが部位によって異なることになる。本発明の成型方法では、絞模様が彫刻された合成樹脂シートを用いて上プレス盤10及び下プレス盤12間のプレス工程において、各ブロックの加圧ユニットによるプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークを調整して絞模様が彫刻された合成樹脂シートに対して各ブロック毎に任意の絞深さを形成させることができる。
【0025】
ここで各ブロック毎の任意の絞深さとは、例えば、各ブロック毎に上記した展開率に基づいて展開率の逆数を基準にして求められた絞深さを設定し、これらの絞深さとなるように各ブロックの加圧ユニットによるプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークを調整して絞押し、その後、凸型真空成形すると、成型後の各部位の絞深さをほぼ均一となる。したがって、このような凸型真空成形によって成型される部品の場合、絞模様が彫刻された合成樹脂シートに対してそれぞれの部品に応じた展開率およびそれらの展開率に基づいてそれらの逆数から設定される各ブロック毎に任意の絞深さを形成すると、個々の部品に応じて個別に絞模様および絞深さを有する絞体や絞ロールを製造する必要がなくなる。
【0026】
本発明の成形方法が適用される材料は、絞押された合成樹脂成形体の用途に応じてオレフィン系樹脂、熱可塑性オレフィン(TPO)系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂、熱可塑性スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂等から任意に選定されるべきものであり、さらに絞付けされる合成樹脂シートの裏面には必要に応じてオレフィン系発泡体あるいはポリエステル系・テトロン系・レーヨン系等の生地が裏打ちされる。これらの用途として、自動車内装部品、鉄道車両・航空機内装部品、家具、建築物内外装、靴・履物・鞄、衣類表層材・裏地、壁装の表皮材等が挙げられる。自動車内装部品用の表皮材の場合、凸型真空成形によって平面部、曲面部等を有し、上記した展開率が異なる部位を有する表皮材張り込み部品等に有効である。このような表皮材が使用できる部位としては、インストルメントパネル、ドアトリムの他に、センターコンソール、センターコンソールリッド、フロントピラー、センターピラー、リヤピラー、グラブボックス、天井材、メーターフード等が挙げられる。
自動車内装部品用の表皮材で真空成形しない縫製部品の場合は、座席用表皮のように座席形状と位置をきちんと合わせた絞外観を持つ表皮を作るのに有効である。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例は本発明の合成樹脂シートの成形方法を凸型真空成形方法によってインストルメントパネルを成形した例を示す。
【0028】
<実施例1>
シリコンゴム板として、700mmヨコ1700mmのシリコンゴム板(3mm厚さ)に、インストルメントパネルの展開図に対応する部分(図4の各ゾーン)を含む領域に深さ350μmの皮絞が一様に彫刻されたシリコンゴム絞板40を準備した。このシリコン絞板40を図3の下プレス盤12上に載置し、この上にインストルメントパネルの表皮を構成するための合成樹脂シート(TOPシート:厚さ1.2mm)42を載置した。さらに合成樹脂シート42面上にシリコンゴムシート44を載置した。
【0029】
次に上プレス盤10をシリコンゴムシート44面側に可動させ、シリコンゴムシート44面をプレスした。
【0030】
インストルメントパネル成形部品の各点の絞深さをほぼ均一(132μm)となるように各部位の面積の展開率の逆数から成形時の変化率を求め、これに基づいて表皮の絞深さを算出した。例えば、図4において、G−1点の場合、この部位を含むGゾーンの展開率の逆数(縮小率)は44〜39であり、成形率0.39とすると、132μm÷0.39=338μmとなる。したがって、部位G−1点の絞深さを338μmに設定し、他に部位も同様にして絞深さを設定した。そして、これらの絞深さとなるようにプレス加工の条件(ストローク、圧力、加熱温度、加熱時間)は、A−1点〜G−1点に対応する部位の加圧ユニットをブロック毎に調整してブロック毎の条件を設定した。
【0031】
次に、上下プレスの各加圧ユニットの熱・冷流体ヘッドに冷却オイル(20℃)を流してエンボスされた合成樹脂シートを冷却し、上プレス盤10を上方に可動させてシリコンゴムシート44を合成樹脂シート42から剥がし、さらにシリコンゴム絞板40から合成樹脂シート42を剥がした。エンボスされた合成樹脂シート42のA−1点〜G−1点の絞深さを測定し、その結果を表1〜表2に示した。表1〜表2に示すようにエンボスされた合成樹脂シート42のA−1点〜G−1点の絞深さはそれぞれ異なっている。
【0032】
次にエンボスされた合成樹脂シートを公知の凸型真空成形方法によって図5に示すインストルメントパネルを成形した。得られたインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点の絞深さを測定し、その結果を表1〜表2に示した。
【0033】

【表1】




【0034】
【表2】

【0035】
インストルメントパネル成形体は表面部位の相違に関わらす、絞深さが均一であることが外観見栄え上好ましく、真空成形後のインストルメントパネル成形体の絞深さの狙いを132μmに設定してあり、表1〜表2から明らかなように、得られたインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点の絞深さは、狙いとする絞深さ(132μm)に対していずれの部位も−1μm〜+2μmの範囲であり、外観評価はいずれも○であった。
【0036】
<実施例2>
実施例1における合成樹脂シート(TPOシート:厚さ1mm)42とシリコンゴムシート44の間であって、図6に示すA−1点を含むAゾーン、A−2点を含むAゾーン、及びA―3点を含むAゾーンの部分に、厚さ2mmのポリプロピレンを主成分とする発泡シートを挟み込んだ。
加工条件として、条件*1,*2,*3は(標準−1.5)mmを設定値とし、プレス圧が10kgf/cmに達するまで上プレス盤10及び下プレス盤12とのクリアランスを自動的に詰め、図6に示す各部位の加工条件を表3〜表4のように設定した。
【0037】
次に実施例1と同様にしてA−1点〜G−1点の絞深さを設定し、エンボスされた合成樹脂シートを得た。次にエンボスされた合成樹脂シートを公知の凸型真空成形方法によって図7に示すインストルメントパネルを成形した。得られたインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点の絞深さを測定し、その結果を表3〜表4に示した。
インストルメントパネル成形体は表面部位の違いに関わらず、絞深さが均一であることが外観見栄えが好ましく、インストルメントパネル成形体の絞深さの狙いを132μmに設定した。
【0038】
【表3】

【0039】
【表4】

【0040】
表3〜表4から明らかなように、得られたインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点の絞深さは、狙いとする絞深さ(132μm)に対していずれの部位も−1μm〜+2μmの範囲であり、外観評価はいずれも○であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に用いられる上プレス盤および下プレス盤の好ましい実施の形態を示す説明図である。
【図2】図1における加圧ユニットの概略的構成図である。
【図3】図1に示す上プレス盤および下プレス盤を用いた本発明の成形方法の好ましい実施の形態を示す説明図である。
【図4】実施例1における合成樹脂シートのA−1点〜G−1点を示すための説明図である。
【図5】実施例1における真空成形後のインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点を示すための説明図である。
【図6】実施例2における合成樹脂シートのA−1点〜G−1点を示すための説明図である。
【図7】実施例2における真空成形後のインストルメントパネル成形体のA−1点〜G−1点を示すための説明図である。
【符号の説明】
【0042】
10 上プレス盤
12 下プレス盤
14 上プレス盤本体
16A,16B,16C,16D 支持体
18A,18B,18C,18D・・・・加圧ユニット
20 下プレス盤本体
22A,22B 支持体
24A,24B,24C,24D・・・・加圧ユニット
26 油圧シリンダ
28 加圧ヘッド
30、32 配管
34 加熱ヒータ
36 配線
38 熱・冷流体ヘッド
50、52 配管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートに対して、一対のプレス盤間の少なくとも一方が複数のブロックに分割され、それぞれのブロック毎に加圧ユニットが設けられ、各ブロックにおける一対のプレス盤間のプレス圧、加熱温度、加熱時間及びストロークの少なくともいずれかを各ブロック毎に調整する機構を有するエンボス機を用いて前記合成樹脂シートの部位によって絞深さが異なる絞を形成する絞押工程を有することを特徴とする合成樹脂シートの成形方法。
【請求項2】
前記絞押工程を経た合成樹脂シートを凸型真空成形する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂シートの成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−248404(P2009−248404A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97602(P2008−97602)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(390023009)共和レザー株式会社 (17)
【Fターム(参考)】