説明

合成樹脂製中空板の側端部封止装置、及び側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法

【課題】合成樹脂製中空板の側端部に熱融着によって封止材を接合するにあたり、その作業効率をよりいっそう高める。
【解決手段】合成樹脂製中空板4の側端部に、熱融着によって封止材5を接合する合成樹脂製中空板の側端部封止装置1であって、封止材5を中空板4の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、中空板4の側端部に対して接離可能とされた封止材供給機構400と、中空板4の側端部と封止材5とに接触して、両者の接合される部位を溶融する長尺状の発熱体303と、発熱体303を中空板4の側端部と封止材5とに接触するように両者の間に位置させて、しかる後に当該位置から発熱体303を退避させる発熱体支持機構300とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製中空板の側端部に熱融着によって封止材を接合する合成樹脂製中空板の側端部封止装置、及びそのような装置を利用する側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気泡ボート、プラスチック段ボールなどと称される内部が中空構造とされた各種の合成樹脂製中空板が知られている。これらの合成樹脂製中空板は、軽量でありながらも高い剛性を備えることから、保管又は輸送用の包装箱のほか、建築材料や自動車の内装材など、種々の用途に供されている。
【0003】
ところで、この種の合成樹脂製中空板は、一般には、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に、平板状の外装材を積層することによって製造されることから、その側端部が外部に開放されており、水やほこりなどの異物が内部に侵入してしまうことが考えられる。このため、異物の侵入を嫌う用途にあっては、合成樹脂製中空板の側端部を封止して異物の侵入を防止することが望まれている。
そこで、本出願人は、特許文献1において、プラスチック中空板の開放された端面に、プラスチックのテープを融着させることにより端面を封止する方法を先に提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−346904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本出願人が提案した上記の如き方法によれば、合成樹脂製中空板の側端部を確実に封止することができるが、本発明者らが鋭意検討を重ねたところ、上記方法を実施する装置につき、作業効率の点で未だ改善の余地があることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、合成樹脂製中空板の側端部に熱融着によって封止材を接合するにあたり、その作業効率をよりいっそう高めることができる合成樹脂製中空板の側端部封止装置、及びそのような装置を利用する側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る合成樹脂製中空板の側端部封止装置は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板の側端部に、熱融着によって封止材を接合する合成樹脂製中空板の側端部封止装置であって、前記封止材を前記中空板の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、前記中空板の側端部に対して接離可能とされた封止材供給機構と、前記中空板の側端部と前記封止材とに接触して、両者の接合される部位を溶融する長尺状の発熱体と、前記発熱体を前記中空板の側端部と前記封止材とに接触するように両者の間に位置させて、しかる後に当該位置から前記発熱体を退避させる発熱体支持機構とを備える構成としてある。
【0008】
また、本発明に係る側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法は、上記したような合成樹脂製中空板の側端部封止装置を用いて、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板の側端部に、熱融着によって封止材を接合する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板の側端部に、熱融着によって封止材を接合して当該側端部を封止するにあたり、その作業効率をよりいっそう高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る合成樹脂製中空板の側端部封止装置の実施形態を示す概念図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】合成樹脂製中空板及び封止材の例を示す説明図である。
【図4】第一保持部、第二保持部及び冷却治具の概略を示す説明図である。
【図5】切除機構の概略を示す説明図である。
【図6】位置決め工程を示す説明図である。
【図7】溶融工程を示す説明図である。
【図8】熱融着工程を示す説明図である。
【図9】冷却工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
[装置全体]
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製中空板の側端部封止装置を示す概念図であり、図2は、図1のA−A矢視図である。
これらの図に示すように、側端部封止装置1は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材2の表裏両面に平板状の外装材3を積層してなる合成樹脂製中空板4の側端部に、熱融着によって封止材5を接合するための装置であって、中空板保持機構200と、発熱体支持機構300と、封止材供給機構400と、切除機構500とを備えて構成されている。
なお、作図上、図1では、切除機構500の図示を省略している。
【0013】
[中空板及び封止材]
中空板4や封止材5を形成する素材としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを例示することができる。
【0014】
中空板4の形態としては、例えば、図3に示すように、中空状に膨出する多数の突起20が設けられたキャップシート21をコア材2として用い、外装材3としてのバックシート31を突起20の開口側に積層するとともに、外装材3としてのライナーシート32を突起20の頂面側に積層してなるプラスチック気泡ボードを例示することができる。これ以外にも、特に図示しないが、波板状のコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなるプラスチック段ボールや、多数のハニカムが形成されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなるプラスチックハニカムボードなどを例示することができる。
【0015】
また、封止材5の形態としては、図3(a)に示すような可撓性を有する薄板帯状のプラスチックテープ5Aや、図3(b)に示すような嵌合部を有する長尺なプラスチック板5Bを例示することができる。本実施形態では、中空板4の側端部をフラットに封止する場合に、プラスチックテープからなる封止材5Aを用い、中空板4の側端部にジョイント機能を付加する場合に、嵌合部を有するプラスチック板からなる封止材5Bを用いる。
なお、中空板4の厚み方向にはみ出す封止材5A,5Bの余剰部位は、後述するように、切除機構500によって切断線CLに沿って切り取られる。また、切り取られた余剰部位は、リサイクル材料として再利用することができる。また、封止材5の具体的な形態は、図示する例には限られない。熱融着によって中空板4の側端部に接合されて、当該側端部を封止することができるようになっていればよい。すなわち、熱融着のための樹脂層(シール層)を有していれば、例えば、樹脂層/金属層とする二層構造としたり、樹脂層/金属層/樹脂層とする三層構造としたりしてもよく、これ以外の積層構造とすることもできる。
【0016】
[中空板保持機構]
中空板保持機構200は、中空板4の側端部に封止材5を接合する際に、所定の基準位置に位置決めされた中空板4を固定状態に保持する機構である。具体的には、中空板4を載せるテーブル201と、テーブル201の上方に設けられ、図示しないエアシリンダの作動力で中空板4をテーブル201に押し付けるクランプ機構202とを備えて構成されている。
なお、中空板4を固定状態に保持する基準位置は、封止材5が接合される中空板4の側端部が、図示すように、テーブル201の後端から所定の距離だけ突出する位置としている。
【0017】
[発熱体支持機構]
発熱体支持機構300は、中空板4の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動(以下、「前後移動」という)し、かつ、鉛直方向に上下動(以下、「上下移動」という)する支持体302と、支持体302に設けられる発熱体303及び当接部材304を備えて構成されている。
【0018】
支持体302は、初期位置である定位置(図1参照)と、中空板4を位置決めする中空板セット位置(図6参照)と、中空板4の側端部及び封止材5を溶融する溶融位置(図7参照)と、中空板4の側端部に封止材5を接合する際に退避する前進端位置(図8参照)とに移動制御される。
なお、支持体302を上記のように移動制御するには、モータやエアシリンダ、又はこれらの組み合わせによる駆動手段によって、支持体302が所定の軌道上を移動するようにすればよい。
【0019】
[発熱体]
発熱体303は、中空板4の側端部と封止材5とに接触して、両者の接合される部位を溶融する長尺状のヒータであって、上記のように構成された支持体302に設けることにより、中空板4の側端部と封止材5とに接触するように両者の間に位置させたり、当該位置から退避させたりすることが可能となっている。
【0020】
[当接部材]
当接部材304は、中空板4の側端部を突き当てて位置決めする位置決め部材であって、発熱体303と鉛直方向上下に平行となるように支持体302に取り付けられて発熱体303とともに移動する構成としてある。具体的には、図6に示す中空板セット位置に当接部材304を移動させ、ここに中空板4の側端部を突き当てることにより、中空板4の位置決めを行う。
このようにすると、発熱体303を移動させるための機構を利用して、中空板4の側端部を位置決めすることが可能になる。
【0021】
[封止材供給機構]
封止材供給機構400は、中空板4の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動(以下、「前後移動」という)し、かつ鉛直方向に上下動(以下、「上下移動」という)する支持体402と、支持体402に設けられる第一保持部404、第二保持部405及び冷却治具406を備えて構成されている。
なお、図4は、第一保持部、第二保持部及び冷却治具の概略を示す説明図である。
【0022】
支持体402は、初期位置である定位置(図1参照)と、封止材5を溶融する溶融位置(図7参照)と、中空板4の側端部に封止材5を接合する接合位置(図8参照)と、封止材5が接合された中空板4の側端部側を冷却する冷却位置(図9参照)と、封止材5Bを手作業でセットする封止材セット位置とに移動制御される。
なお、支持体402を上記のように移動制御するには、モータやエアシリンダ、又はこれらの組み合わせによる駆動手段によって、支持体402が所定の軌道上を移動するようにすればよい。
【0023】
[第一保持部]
第一保持部404は、所定の供給機構から送られてきた封止材5Aを長手方向に沿って保持する保持溝422aが形成された保持部材422と、保持部材422に保持された封止材5Aの脱落を規制する上下一組の脱落規制部材423とを備えて構成されている。脱落規制部材423は、中空板4と接合された封止材5Aを第一保持部404から分離する際に、上下に退避して保持溝422aを開放する。
【0024】
第一保持部404は、前述した支持体402に設けられることにより、封止材5Aを中空板4の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、中空板4の側端部に対して接離可能となる。
具体的には、第一保持部404が、鉛直方向に上下動し、かつ、中空板4の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動する構成としてあるので、第一保持部404の鉛直方向の上下動によって、封止材5Aを中空板4の側端部に対して正確に位置合せすることができ、また、水平方向の移動によって、発熱体303に対する封止材5Aの押し付けや、中空板4の側端部に対する封止材5Aの押し付けを行うことができる。
【0025】
[第二保持部]
第二保持部405は、第一保持部404で保持される封止材5Aとは異なる形態とされた封止材5Bを保持する。このようにすると、異なる形態とされた複数の封止材5A、5Bを複数の保持部404、405に保持し、中空板4の側端部に選択的に接合することが可能になる。
【0026】
具体的に説明すると、本実施形態の第二保持部405は、手作業で供給される封止材5Bを長手方向に沿って保持する保持溝424aが形成された保持部材424と、保持部材424に保持された封止材5Bの脱落を規制する上下一組の脱落規制部材425とを備えて構成されている。
そして、第二保持部405は、前述した上下移動体402に設けられることにより、封止材5Bを中空板4の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、中空板4の側端部に対して接離可能となる。
【0027】
また、本実施形態の第二保持部405は、封止材5Bを手作業で供給する際の作業性を向上させるために、上方に所定の角度θ(例えば、60゜)だけ回動可能に構成されている。そして、前後移動体401を前進端まで移動させるとともに、上下移動体402を上昇端まで移動させ、この位置で第二保持部405を上方に所定の角度θだけ回動させれば、中空板保持機構200の前側に立っている作業者が、中空板保持機構200の上方空間を介して、封止材5Bを第二保持部405に容易に供給することが可能になる。
【0028】
[冷却治具]
冷却治具406は、封止材5A,5Bが接合された中空板4の側端部側を冷却する治具であって、中空板4の側端部側を囲繞する囲繞部材426と、囲繞部材426内に冷却風を送り込むブロワなどの図示しない送風装置とを備えて構成されている。そして、冷却治具406は、保持部404,405と鉛直方向に平行となるように上下移動体402に取り付けられて保持部404,405とともに移動する構成としてある。
このようにすると、封止材5A,5Bが接合された中空板4の側端部側を効率良く冷却して、作業時間を大幅に短縮することができるだけでなく、保持部404,405の移動機構を利用して、冷却治具406を冷却位置や非冷却位置に移動させることができる。
【0029】
[切除機構]
切除機構500は、中空板4の側端部の厚み方向にはみ出す封止材5Aの余剰部位を切り取る機構であって、中空板4の側端部の長手方向に沿って移動(以下、「左右移動」という)する左右移動体501と、左右移動体501に設けられ、鉛直方向に上下動する上下移動体502と、上下移動体502に設けられる上下一対の切断刃503,504とを備えて構成されている。
このような切除機構500を備えることにより、厚みの異なる中空板4の側端部に封止材5を接合する際、厚みの異なる中空板4毎に、その厚みに対応する幅の封止材5を用意する必要がない。そして、中空板4の厚み方向の寸法誤差や厚み方向の反りを許容しつつ、中空板4の側端部の厚み方向にはみ出す封止材5の余剰部位を精度よく切り取ることが可能となり、封止材5の余剰部位と一緒に中空板4の表面を切り取ってしまうこともない。
なお、図5は、切除機構の概略を示す説明図であり、図中最も手前に位置する上下移動体502を二点鎖線で示している。
【0030】
左右移動体501は、中空板保持機構200のクランプ機構202の上方後端部に設けられるガイドレール505に沿って左右移動自在に支持される。
また、上下移動体502は、図5に示すように、左右移動体501に設けられるガイドレール511に沿って上下移動自在に支持されるとともに、図示しないバネなどの付勢力で上下方向の中立位置に保持されている。
【0031】
下側の切断刃504は、上下移動体502の下端部に固定状態で取付けられ、上下移動体502を中立保持するバネの付勢力で中空板4の側端部側に下方から押圧された状態で当接する。一方、上側の切断刃503は、図示しないエアシリンダなどを介して上下移動体502に取り付けられ、中空板4の側端部側に上方から押圧された状態で当接するようになっている。
このようにすると、上下の切断刃503,504は、中空板4の側端部側を挟み込むように付勢されながら、中空板4の側端部の長手方向に沿って移動し、中空板4の厚み方向の寸法誤差や厚み方向の反りを切断刃503,504の上下動でより有効に吸収しつつ、中空板4の側端部の厚み方向にはみ出す封止材5Aの余剰部位を切り取ることが可能となる。
【0032】
[接合作業工程]
つぎに、第一保持部404を用いた接合作業の工程について、図6〜図9を参照しつつ説明する。
なお、第二保持部405を用いた接合作業の工程は、封止材5Bを手動供給する点で相違するが、その他の工程は概ね共通するので、説明を省略する。
【0033】
図6は、位置決め工程を示す説明図、図7は、溶融工程を示す説明図、図8は、熱融着工程を示す説明図、図9は、冷却工程を示す説明図である。
側端部封止装置1で接合作業を行う場合は、まず、第一保持部404に封止材5Aを所定の長さで供給しておく。そして、当接部材304を中空板セット位置(図6参照)まで移動させ、この状態で、作業者は、中空板保持機構200のテーブル201に載せた中空板4の側端部を当接部材304に突当てることにより、中空板4を中空板基準位置にセットし、クランプ機構202で中空板4をクランプする。次いで、当接部材304を少し後退させてから、発熱体303を溶融位置(図7参照)まで移動させ、中空板4の側端部の加熱を開始する。
これとともに、第一保持部404を溶融位置(図7参照)まで移動し、封止材5Aの加熱を開始する。
【0034】
所定の加熱時間が経過したら、第一保持部404を後退端まで移動するとともに、発熱体303を少し後退させてから下降端まで移動させ、さらに前進端(退避位置)まで移動させる。つぎに、第一保持部404を接合位置(図8参照)まで前進させ、封止材5Aを中空板4の側端部に接合させる。
その後、第一保持部404の脱落規制部材423を開放させてから、第一保持部404を後退させるとともに、冷却治具406を中空板基準高さまで上昇させ、次いで、冷却位置(図9参照)まで前進移動させて、冷却を開始する。
その後、所定の冷却時間が経過したら、冷却治具406を後退させる。
【0035】
次に、切除機構500の切断刃503,504を切除開始位置に移動させ、中空板4の側端部側を上下から切断刃503,504でクランプする。そして、切断刃503,504を中空板4の側端部に沿って移動させ、封止材5Aの余剰部位を切断する。その後、切断刃503,504のクランプを解除し、切断刃503,504を定位置に移動させてから、中空板4のクランプを解除し、各部を定位置に移動させることにより、一連の接合作業が完了する。
【0036】
以上のように構成された本実施形態の合成樹脂製中空板の側端部封止装置1は、封止材5を中空板4の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、中空板4の側端部に対して接離可能とされた封止材供給機構400と、中空板4の側端部と封止材5とに接触して、両者の接合される部位を溶融する長尺状の発熱体303と、発熱体303を中空板4の側端部と封止材5とに接触するように両者の間に位置させて、しかる後に当該位置から発熱体303を退避させる発熱体支持機構300とを備えるので、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材2の表裏両面に平板状の外装材3を積層してなる中空板4の側端部に熱融着によって封止材5を接合するにあたり、その作業効率をよりいっそう高めることができる。
その理由は、発熱体303によって中空板4の側端部及び封止材5を熱溶融させる工程、発熱体303を退避させる工程、中空板4の側端部に対して封止材5を押し付ける工程など、上記の接合作業に必要な複数の工程を自動化して、これらの工程を連続的に行うことが可能になるからである。
【0037】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、中空板4の側端部を突き当てて位置決めする当接部材304を備え、この当接部材304が、発熱体303と鉛直方向上下に平行となるように発熱体支持機構300に取り付けられて発熱体303とともに移動するので、発熱体303の移動機構を利用して、中空板4の側端部を位置決めすることができる。
【0038】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、発熱体支持機構300に支持された発熱体303が、鉛直方向に上下動し、かつ、中空板の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動する構成としてあるので、発熱体303の二方向の移動により、中空板4の側端部に対する接触や退避を円滑に行うことができるだけでなく、水平移動によって溶融距離を高精度にコントロールすることができる。また、当接部材304の二方向の移動により、中空板4の位置決めも高精度に行うことができる。
【0039】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、封止材供給機構400が封止材5を保持する保持部404,405を有し、保持部404,405が鉛直方向に上下動し、かつ、中空板4の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動する構成としてあるので、封止材供給機構400の鉛直方向の上下動によって、封止材5を中空板4の側端部に対して正確に位置合せすることができ、また、水平方向の移動によって、発熱体303に対する封止材5の押し付けや、中空板4の側端部に対する封止材5の押し付けを行うことができる。
【0040】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、封止材5が接合された中空板4の側端部側を囲繞して冷却する冷却治具406が、保持部404,405と鉛直方向に平行となるように封止材供給機構400に取り付けられて保持部404,405とともに移動する構成としてあるので、封止材5が接合された中空板4の側端部側を効率良く冷却して、作業時間を大幅に短縮することができるだけでなく、保持部404,405の移動機構を利用して、冷却治具406を冷却位置や非冷却位置に移動させることができる。
【0041】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、封止材供給機構400が、異なる形態とされた複数の封止材5A,5Bに対応する複数の保持部404,405を有する構成としてあるので、異なる形態とされた複数の封止材5A、5Bを複数の保持部404,405に保持し、中空板4の側端部に選択的に接合することができる。
【0042】
また、本実施形態の側端部封止装置1は、中空板4の側端部の厚み方向にはみ出す封止材5の余剰部位を切り取る切除機構500を備えるので、厚みの異なる中空板4の側端部に封止材5を接合する際、厚みの異なる中空板4毎に、その厚みに対応する幅の封止材5を用意する必要がない。
【0043】
また、本実施形態の側端部封止装置1において、切除機構500は、中空板4の側端部側を挟み込むように付勢されながら、中空板4の側端部の長手方向に沿って移動する上下一対の切断刃503,504を有する構成としてあるので、中空板4の厚み方向の寸法誤差や厚み方向の反りを許容しつつ、中空板4の側端部の厚み方向にはみ出す封止材5の余剰部位を精度よく切り取ることが可能となり、封止材5の余剰部位と一緒に中空板4の表面を切り取ってしまうこともない。
【0044】
また、本実施形態の側端部封止装置1において、切除機構500は、中空板4の側端部の長手方向に沿って移動するとともに、鉛直方向に上下動する移動部材(左右移動体501、及び上下移動体502)に、切断刃503,504が取り付けられる構成としてあるので、切断刃503,504は、中空板4の側端部側を挟み込むように付勢されながら、中空板4の側端部の長手方向に沿って移動し、中空板4の厚み方向の寸法誤差や厚み方向の反りを切断刃503,504の上下動でより有効に吸収することが可能となる。
【0045】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、気泡ボート、プラスチック段ボールなどと称される内部が中空構造とされた各種の合成樹脂製中空板を対象とし、合成樹脂製中空板の側端部に熱融着によって封止材を接合する合成樹脂製中空板の側端部封止装置、及びそのような装置を利用する側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 側端部封止装置
2 コア材
3 外装材
4 中空板
5 封止材
300 発熱体支持機構
303 発熱体
304 当接部材
400 封止材供給機構
404 第一保持部
405 第二保持部
406 冷却治具
500 切除機構
503、504 切断刃




【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板の側端部に、熱融着によって封止材を接合する合成樹脂製中空板の側端部封止装置であって、
前記封止材を前記中空板の側端部に沿って押圧可能に保持するとともに、前記中空板の側端部に対して接離可能とされた封止材供給機構と、
前記中空板の側端部と前記封止材とに接触して、両者の接合される部位を溶融する長尺状の発熱体と、
前記発熱体を前記中空板の側端部と前記封止材とに接触するように両者の間に位置させて、しかる後に当該位置から前記発熱体を退避させる発熱体支持機構と
を備えることを特徴とする合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項2】
前記中空板の側端部を突き当てて位置決めする当接部材を備え、
前記当接部材が、前記発熱体と鉛直方向上下に平行となるように前記発熱体支持機構に取り付けられて前記発熱体とともに移動する請求項1に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項3】
前記発熱体支持機構に支持された前記発熱体が、鉛直方向に上下動し、かつ、前記中空板の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動する請求項1又は2のいずれか一項に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項4】
前記封止材供給機構が前記封止材を保持する保持部を有し、前記保持部が鉛直方向に上下動し、かつ、前記中空板の側端部の長手方向に直交する方向に水平移動する請求項1〜3のいずれか一項に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項5】
前記封止材が接合された前記中空板の側端部側を囲繞して冷却する冷却治具が、前記保持部と鉛直方向に平行となるように前記封止材供給機構に取り付けられて前記保持部とともに移動する請求項4に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項6】
前記封止材供給機構が、異なる形態とされた複数の封止材に対応する複数の保持部を有している請求項4又は5のいずれか一項に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項7】
前記中空板の側端部の厚み方向にはみ出す前記封止材の余剰部位を切り取る切除機構を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項8】
前記切除機構が、前記中空板の側端部側を挟み込むように付勢されながら、前記中空板の側端部の長手方向に沿って移動する上下一対の切断刃を有する請求項7に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項9】
前記切断刃が、前記中空板の側端部の長手方向に沿って移動するとともに、鉛直方向に上下動する移動部材に取り付けられている請求項8に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の合成樹脂製中空板の側端部封止装置を用いて、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製中空板の側端部に、熱融着によって封止材を接合することを特徴とする側端部が封止された合成樹脂製中空板の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−37060(P2011−37060A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184488(P2009−184488)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】