説明

合成繊維ケーブル、およびこのような合成繊維ケーブルを備えたエレベータ装置

【課題】ストランド層からストランド層への牽引力の最適な伝達によって合成繊維ケーブルの形の支持駆動手段を作成すること。
【解決手段】この合成繊維ケーブル(1)では、ストランド層のストランドは相互に間隔を置いて配置されている。相互の間隔(d1)で、外側ストランド層(2)のストランド(7)は、ケーブルの中心の方向に径方向に移動することができ、第1の内側ストランド層(3)のストランド(8、9)に径方向の圧力を加える。径方向の圧力は、第1の内側ストランド層(3)のストランド(8、9)から第2の内側ストランド層(4)のストランド(10)に伝えられる。径方向の圧力は、第2の内側ストランド層(4)のストランド(10)からコア層(5)に伝えられる。径方向の圧力は、ストランド層からストランド層へ内方に増大する。柔らかいケーブルシース(6)は、ストランド(7)間の支持部として円周方向Urに作用しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の定義にしたがって、少なくとも1つのストランド層に撚り合わされて配置されるストランドからなる合成繊維ケーブルに関する。さらに、本発明は、このような合成繊維ケーブルを備えたエレベータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の層に撚り合わされるストランドを備えたエレベータ装置のための合成繊維ケーブルは、EP1004700A2から知られており、この明細書では、押出成形された保護合成材料のシースの代わりにストランドの被覆が提供されている。各ストランド層のストランドは、円周方向に相互に支持している。最も外部のストランド層のストランドは、含浸剤で処理され、このことによって、周囲条件の影響に対する高信頼の保護ならびに十分な耐磨耗性が保証される。
【0003】
アラミド繊維から構成される支持ケーブルは、US4202164から知られている。いくつかのアラミド繊維がスレッドを形成し、いくつかのスレッドがストランドを形成する。コアストランドの周囲に配置されるいくつかのストランドが支持ケーブルを形成し、このストランドは、押出成形された熱可塑性プラスチックに完全に埋め込まれる。ストランドを製作する間、スレッド間のキャビティが潤滑剤で充填される。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1004700A2号明細書
【特許文献2】米国特許第4202164号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本発明は救済策をもたらすことになる。請求項1で特徴づけられるような本発明は、ストランド層からストランド層への牽引力の最適な伝達によって合成繊維ケーブルの形の支持駆動手段を作成する目的に合致する。本発明はまた、このような支持駆動手段を備えたエレベータ装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の有利な展開は、従属請求項に示されている。
【0006】
本発明によって達成される利点は、合成繊維ケーブルが正しく機能し、それによって合成繊維ケーブルの耐用年数が延長される点において、実質的に理解されるであろう。本発明による合成繊維ケーブルは通常、例えばエレベータ装置などの支持駆動手段として使用され、支持駆動手段が少なくとも1つの駆動プーリを通じて、かつ偏向ローラを通じて案内され、交互に曲げに耐えなければならない。本発明による合成繊維ケーブルによって、エレベータ装置の安全性もまた向上する。
【0007】
支持駆動手段がエレベータ駆動装置の駆動プーリを通じて走るとき、釣合いおもりとケージとの重さの違いから生じる牽引力が支持手段の長手方向に加えられる。これらの牽引力は、支持駆動手段または合成繊維ケーブルの耐用年数および信頼性の最適条件を達成するように、支持手段の横断面全体にわたって一様にもたらされなければならない。
【0008】
牽引力は、駆動プーリとケーブルシースとの間の摩擦力によって伝達される。合成繊維ケーブルのシースと外側ストランドとの間の牽引力の導入は本来問題がない。これは、シースが外側ストランドと固定して連結されているからである。しかし、ストランド層およびそれらのストランドが互いに移動可能である場合、外側ストランドから内側ストランドへ牽引力を伝達することは問題がある。外側ストランドと内側ストランドとの間の力の伝達は、摩擦力によって行われる。
【0009】
摩擦力を伝えることができるように、垂直力および摩擦係数は、定められたレベルを有するべきである。外側ストランドの径方向の押圧力を内側ストランドに設定することによって、必要な垂直力が加えられる。内側ストランドと外側ストランドとの間の摩擦係数は、特に潤滑されたストランドの場合には非常に小さい。無潤滑のストランドでさえ、摩擦係数は、μ=0.2から0.45までの比較的低い範囲にある。ケーブル構造体の変化を持続せずにせん断力が永久に伝えられることができるように、この範囲は減少されるべきではない。ストランド間の摩擦係数は、牽引力を伝達するために比較的高くなければならない。しかし、高い摩擦係数によって、ストランドの摩耗が増加する。低すぎる摩擦係数によって、個々のストランド層が互いに移動する可能性がある。μ=0.2から0.45の範囲の摩擦係数は、数多くの試験から摩耗およびの牽引力の伝達に関して理想的であると証明されており、乾燥潤滑剤(例えば「テフロン(登録商標)」粉末)によって達成されることができる。
【0010】
牽引力の伝達に必要な垂直力は、内方に収縮して圧縮力とも称される径方向の押圧力を内側ストランドに加える、外側ストランドに張力をもたらすことによって生じる。しかし、外側ストランドがケーブルの中心の方向に径方向に移動することができるときには、外側ストランドは内方に径方向の圧力しか加えることができない。半径方向の自由度が抑止される場合、径方向の圧力は加えられることができない。直径が大きすぎる外側ストランドは、同じ層のストランドと共にアーチ形状を形成し、径方向にさらに内方に移動する位置に存在しない。したがって、間隔が円周方向に特に個々の外側ストランド間に与えられなければならない。
【0011】
合成繊維ケーブルの形の本発明による支持駆動手段は、少なくとも1つのストランド層に撚り合わされて配置されるストランドからなり、ストランドが埋め込まれることなく、ストランド層のストランドは円周方向に相互に間隔を置いて配置される。
【0012】
添付の図面にもとづいて、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明による合成繊維ケーブル1を示す。合成繊維ケーブル1は、いくつかのストランド層、すなわち、外側ストランド層2、第1の内側ストランド層3、第2の内側ストランド層4、およびコア層5を備える。ケーブルシースは、6で示されている。外側ストランド層2のストランド7の構造および直径は、同一である。第1の内側ストランド層は、直径がより大きなストランド8および直径がより小さなストランド9からなる。より大きなストランド8は、第2の内側ストランド層4のストランド10、およびコアストランド5のストランド10と直径がほぼ一致する。外側ストランド層2のストランド7は、第1の内側ストランド層3のより大きなストランド8、および第2の内側ストランド層5のストランド10のより大きなストランド8よりも直径が大きい。内側ストランド層3、4のより大きなストランド8は、第1の内側ストランド層3のより小さなストランド9よりも直径が大きい。第1のストランド層3のより大きなストランド8および第2の内側ストランド層4のストランド10は、コアストランド5と直径がほぼ同じ寸法である。第2の内側ストランド層4のストランド10は、コアストランド5の周囲に撚り合わされ、第1の内側ストランド層3のストランド8、9は、第2のストランド層4の周囲に撚り合わされ、外側ストランド層2のストランド7は、第1の内側ストランド層3の周囲に撚り合わされる。
【0014】
ストランド5、7、8、9、10は、順番に撚られていないか一方向の合成繊維からなる撚り合わされたスレッドからなり、例えばスレッドはフィラメントとも称される1,000の合成繊維からなる。ストランド内のスレッドの撚り方向は、個々の繊維がケーブルの張力方向に、またはケーブルの長手方向軸に向くように提供される。各スレッドは、合成材料浴で含浸される。スレッドまたはストランドを包囲する合成材料はまた、マトリックスまたはマトリックス材料とも称される。スレッドを撚ってストランドを形成した後、スレッドの合成材料は、熱処理によって均質化される。その結果、ストランドは滑らかなストランド表面を有し、その結果、ストランドは合成材料に完全に埋め込まれた撚り合わされたスレッドからなる。
【0015】
繊維はマトリックスによって互いに連結されるが、繊維は互いに直接接触しない。マトリックスは繊維を完全に囲うかまたは埋め込み、繊維を摩滅や摩耗から保護する。ケーブルの機構学により、ストランドの個々の繊維間で変位が生じる。これらの変位は、フィラメント間の相対運動によって平行移動しないが、マトリックスの可逆的な延伸によって平行移動する。
【0016】
ストランドの充填度は、マトリックスに対する繊維の構成要素の挙動を説明するものである。この充填度は、総重量に対する繊維の重量比によっても定義されるように、全断面積に対する繊維の面積比によって定義されることができる。現在利用されているアラミドストランドの充填度は、35から80面積パーセントである。すなわち、ストランドの断面積の35から80%は、繊維および他のマトリックス材料からなる。
【0017】
合成繊維ケーブル1は、例えばアラミド繊維、ベクトラン(登録商標)繊維、ポリエチレン繊維、ポリエステル繊維などの化学繊維から構成されることができる。合成繊維ケーブル1は、1つ、または2つ、または3つ、または3つより多いストランド層からなることもできる。
【0018】
図1は、ストランド層のストランドが相互に間隔を置いて配置されている、本発明による合成繊維ケーブル1を示す。外側ストランド層2の2つのストランド7の間隔は、d1によって示されている。第1の内側ストランド層3の2つのストランド8、9の間隔は、d2によって示されている。第2の内層4の2つのストランド10の間隔は、d3によって示されている。例えば、d1は0.05ミリメートルから0.3ミリメートルの範囲内にあることができ、d2およびd3は0.01ミリメートルから0.08ミリメートルの範囲内にあることができる。好ましくは、d1=0.2ミリメートル、d2=0.03ミリメートル、およびd3=0.03ミリメートルである。ストランドの直径、撚り長さ、およびストランド層あたりのストランド数によって、個々のストランド間の間隔が予め定められている。
【0019】
ストランド層のストランドを相互に間隔を置いて配置することで、ストランド層のストランドは、径方向rにケーブルの中心の方向に自由に移動することができる。外側ストランド層のストランドは、径方向の圧力を内側ストランド層のストランドに加える。外側ストランド層2のストランド7は、矢印P2によって表されているように、第1の内側ストランド層3のストランド8、9に径方向の圧力を加える。径方向の圧力は、矢印P3によって表されているように、第1の内側ストランド層3のストランド8、9から第2の内側ストランド層4のストランド10に伝えられる。径方向の圧力は、矢印P4によって表されているように、第2の内側ストランド層4のストランド10からコア層5に伝えられる。径方向の圧力は、ストランド層からストランド層へ内方に増大する。
【0020】
外側ストランド層2の各ストランド7は、第1の内側ストランド層3の2つのストランド8、9上で支持されている。第1の内側ストランド層3の各より小さなストランド9は、第2の内側ストランド層4のストランド10上で支持されている。第1の内側ストランド層3の各々のより大きなストランド8は、より小さなストランド9と同じストランド10上で、かつ第2の内側ストランド層4のさらなるストランド10上で支持されている。
【0021】
個々のストランドの直径の範囲または最適な直径は、例えば80ミリメートルの撚り長さの場合に次のように選択されることができる。すなわち、ストランド5:直径の範囲1.55ミリメートルから1.85ミリメートル、直径1.66ミリメートル、ストランド7:直径の範囲1.85ミリメートルから2.15ミリメートル、直径1.97ミリメートル、ストランド8:直径の範囲1.55ミリメートルから1.85ミリメートル、直径1.66ミリメートル、ストランド9:直径の範囲1.15ミリメートルから1.45ミリメートル、直径1.28ミリメートル、ストランド10:直径の範囲1.45ミリメートルから1.75ミリメートル、直径1.58ミリメートルである。
【0022】
ストランド7と比べると非常により柔らかいケーブルシース6は、ほぼ第1の内側ストランド層3まで達し、ストランド7を相互に支持するのに影響がない。柔らかいケーブルシース6は、ストランド7間で支持部として円周方向Urに作用しない。外側ストランド層3のストランド7は、径方向内側に移動する位置にある。シース材料は、例えば75Aから95Aのショア硬さの範囲内にあることができ、ストランドのマトリックス材料は、例えば50Dから75Dのショア硬さの範囲内にあることができる。
【0023】
合成繊維ケーブル1はまた、ケーブルシース6なしで処理することが可能であるが、ケーブル構造は、外側ストランド層2が内側ストランド層3、4に対して反対に(反対の撚りで)撚り合わされる点においてわずかに変更されなければならない。
【0024】
それぞれのストランド層のストランド7、8、9、10が示されるように円周方向Urに互いに衝突することになると、牽引力は、最も外部のストランド層2のストランド7から第1の内側ストランド層3のストランド8、9に、ストランド8、9から第2の内側ストランド層4のストランド10に、さらにコアストランド5に伝えられることができない。
【0025】
図2は、図1による共通の一体化されたシース12によって覆われ、2重ケーブル11を形成する2つの負荷用合成繊維ケーブル1を備えた、エレベータのための支持駆動手段を示す。2重ケーブル11は、合成繊維ケーブル1の間にシース12と共にフラットケーブルとして構成されることができ、または、合成繊維ケーブル1間に狭窄部13を有することができる。狭窄部13を備えた変形例の場合、断面図に示されるように、駆動プーリを備えた2重ケーブル11の共通の係合面が、合成繊維ケーブル1のほぼ半円および半分の狭窄部13によって形成される。駆動プーリの表面は、2重ケーブル11の輪郭とほぼ相補的である。さらに、2つより多い合成繊維ケーブル1が共通のシースによって覆われることができ、合成繊維ケーブル1間に狭窄部があってもなくても複数のケーブルを形成することができる。
【0026】
100で示され、エレベータ昇降路102内で移動可能なエレベータケージ103および釣合いおもり104からなるエレベータ装置が、図3に示されている。床面121および天井140を備えたエレベータケージ103は、第1のガイドレール105によって、かつ第2のガイドレール106によって案内される。釣合いおもり104は、第3のガイドレール107によって、かつ第4のガイドレール(図示せず)によって案内される。ガイドレールは昇降路ピット108内で支持され、鉛直力が昇降路ピット108に伝えられる。ガイドレール105、106、107は、ブラケット(図示せず)によって昇降路壁と連結されている。エレベータケージ103のバッファプレート110または釣合いおもり104が上に降ろされ得るバッファ109が、昇降路ピット108に配置されている。
【0027】
本発明による合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11は、2:1のベルト案内部を備えた支持駆動手段として提供されることができる。例えば昇降路ヘッド102.1にある第2のガイドレール106に配置される機械的線形駆動装置112が、合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11を駆動輪113によって1つのユニットで進ませる場合、釣合いおもり104のエレベータケージ103は、半分のユニットで移動する。牽引力は、さらに上述したように、駆動輪とケーブルシースとの間の摩擦力によって伝達される。合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11の第1の端部は、第1のケーブル固定位置114に配置され、合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11の第2の端部は、第2のケーブル固定位置115に配置される。合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11は、第1の偏向ローラ116、型付けローラ117、第2の偏向ローラ118、第3の偏向ローラ119、駆動輪113、および第4の偏向ローラ120を通じて案内される。第2のガイドレール106で配置された第3の偏向ローラ119は、通常操作のためのブレーキを有する。線形駆動装置112の分岐ローラ122は、合成繊維ケーブル1または2重ケーブル11を駆動輪113で巻く角度を増大する。駆動輪113のためのモータまたは複数のモータは図示されていない。第4の偏向ローラ120は、釣合いおもり104に配置され、第1の偏向ローラ116または第2の偏向ローラ118と構造が同様である。
【0028】
合成繊維ケーブル1または支持駆動手段11はまた、他の知られているエレベータ駆動装置に使用されることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による合成繊維ケーブルを示す。
【図2】1つより多い合成繊維ケーブルを備えた支持駆動手段を示す。
【図3】本発明による合成繊維ケーブルまたは支持駆動手段を備えたエレベータ装置を示す。
【符号の説明】
【0030】
1 合成繊維ケーブル
2 外側ストランド層
3 第1の内側ストランド層
4 第2の内側ストランド層
5 コア層
6 ケーブルシース
7、10 ストランド
8 より大きなストランド
9 より小さなストランド
11 2重ケーブル
12 シース
13 狭窄部
100 エレベータ装置
102 エレベータ昇降路
102.1 昇降路ヘッド
103 エレベータケージ
104 釣合いおもり
105 第1のガイドレール
106 第2のガイドレール
107 第3のガイドレール
108 昇降路ピット
109 バッファ
110 バッファプレート
112 線形駆動装置
113 駆動輪
114 第1のケーブル固定位置
115 第2のケーブル固定位置
116 第1の偏向ローラ
117 型付けローラ
118 第2の偏向ローラ
119 第3の偏向ローラ
120 第4の偏向ローラ
121 床面
122 分岐ローラ
140 天井
d1 2つのストランド7の間隔
d2 2つのストランド8、9の間隔
d3 2つのストランド10の間隔
P2 ストランド8、9への径方向の圧力
P3 ストランド10への径方向の圧力
P4 コア層5への径方向の圧力
r 径方向
Ur 円周方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのストランド層(2、3、4)に撚り合わされるように配置されるストランド(7、8、9、10)からなる合成繊維ケーブル(1)であって、ストランド層(2、3、4)のストランド(7、8、9、10)が相互に間隔を置いて(d1、d2、d3)円周方向(Ur)に配置されていることを特徴とし、外側ストランド層(2)のストランド(7)が、径方向(r)にケーブルの中心(5)の方向に自由に移動することができ、内側ストランド層(3)のストランド(8、9)に径方向の圧力を加え、径方向の圧力が、ストランド層からストランド層へ内方に増大する、合成繊維ケーブル(1)。
【請求項2】
ストランド(7)が撚り合わされるように配置されている外側ストランド層(2)と、ストランド(8、9)が撚り合わされるように配置されている第1の内側ストランド層(3)と、ストランド(10)が撚り合わされるように配置されている第2の内側ストランド層(4)と、コアストランド(5)とが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項3】
ストランドの直径、撚り長さ、およびストランド層あたりのストランド数によって、ストランド層のストランドの円周方向(Ur)の相互の間隔が予め定められることを特徴とする、請求項1または2に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項4】
外側ストランド層(2)のストランド(7)の相互の間隔(d1)が0.05ミリメートルから0.3ミリメートルの範囲内にあり、第1の内側ストランド層(3)のストランド(8、9)の相互の間隔(d2)が0.01ミリメートルから0.08ミリメートルの範囲内にあり、第2の内側ストランド層(4)のストランド(10)の相互の間隔(d3)が0.01ミリメートルから0.08ミリメートルの範囲内にあることを特徴とする、請求項3に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項5】
外側ストランド層(2)のストランド(7)が1.85ミリメートルから2.15ミリメートルの直径の範囲内にあり、第1の内側ストランド層(3)のストランド(8、9)が1.55ミリメートルから1.85ミリメートルの直径の範囲内、または1.15ミリメートルから1.45ミリメートルの直径の範囲内にあり、第2の内側ストランド層(5)のストランド(10)が1.45ミリメートルから1.75ミリメートルの直径の範囲内にあり、かつ、コアストランド(5)が1.55ミリメートルから1.85ミリメートルの直径の範囲内にあることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項6】
第1の内側ストランド層(3)のより小さなストランド(9)がストランド(10)上で支持され、第2の内側ストランド(4)のストランド(10)がストランド(5)上で支持され、かつ、残りのストランド(7、8)が2つのストランド(8、9、10)上でそれぞれ支持されることを特徴とする、請求項5に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項7】
ストランド(7、8、9、10)間の摩擦係数(μ)が、0.2から0.45までの範囲内にあることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項8】
外側ストランド層(2)がケーブルシース(6)で覆われ、ケーブルシース(6)がほぼ第1の内側ストランド層(3)まで達することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項9】
シース材料が75Aから95Aのショア硬さの範囲内にあり、ストランドのマトリックス材料が50Dから75Dのショア硬さの範囲内にあることを特徴とする、請求項8に記載の合成繊維ケーブル。
【請求項10】
共通の一体化されたシース(12)によって覆われる請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも2つの合成繊維ケーブル(1)を備える、エレベータのための支持駆動手段。
【請求項11】
シース(12)が2つの合成繊維ケーブル(1)間に狭窄部(13)を有することを特徴とする、請求項10に記載の支持駆動手段。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の合成繊維ケーブル(1)を備える、または、請求項10または11に記載の支持駆動手段(11)を備える、エレベータ装置(100)。
【請求項13】
合成繊維ケーブル(1)または支持駆動手段(11)が駆動輪(113)を通じて案内され、エレベータケージ(103)および釣合いおもり(104)を移動させることを特徴とする、請求項12に記載のエレベータ装置。
【請求項14】
スレッドが合成繊維から製作されることを特徴とし、スレッドが合成材料浴で含浸され、いくつかの撚り合わされたスレッドがストランドを形成し、ストランドはスレッドを撚った後に熱処理によって均質化され、ストランド表面が平滑化されて、撚り合わされたスレッドが合成材料に完全に埋め込まれることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の合成繊維ケーブルを製作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−94624(P2008−94624A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−237612(P2007−237612)
【出願日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(390040729)インベンテイオ・アクテイエンゲゼルシヤフト (166)
【氏名又は名称原語表記】INVENTIO AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】