説明

合板検査装置

【課題】合板の欠陥(空洞)を検査するにあたり、合板の接着不良と合板の空洞とを識別して検査することが可能で、また、空洞と節との相違も検出することができ、その信号から後工程で空洞のある欠陥合板に対処することが可能で不良商品の発生率も低下させることのできる合板検査装置を提供する。
【解決手段】合板Wを搬送する搬送手段(21、22)と、搬送する該合板を押さえる押さえ手段(23)と、前記合板の近傍に配置された超音波探傷センサのような空洞検出手段(3)と、前記合板の両側面の空洞(10)を検出する検出手段(4)と、を用いて空洞と節とを識別して検出する装置及び方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合板を製作する際合板内に生じる内部空洞を検出することのできる合板検査装置と合板の検査方法、特に合板の内部に存在する空洞と合板内の接着不良及び合板に存在する節とを区別して検査することのできる合板検査装置とその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合板は、薄い板材を数枚重ねて製作される。すなわち、合板を製造するには、先ず原木をロータリーレース等で加工して薄い単板を作り、これを乾燥し所定の長さにカットし、これらの単板に接着剤を塗布し繊維方向を互い違いに重ね(多くは90度互い違いに重ねる)、熱と圧力を加えて合板とする。しかしながら、合板は単板を互い違いに積層して製作することから空洞等の欠陥が生じることがあり、このような合板は強度的にも問題があるので除去しなければならない。
【0003】
合板の欠陥を検出する装置としては、スライス単板を接着する前に合板の表面を押圧ローラで押し、合板と押圧ローラを相対的に移動させて押圧方向に押圧ローラの挙動を検出することにより、合板内の空隙、巣、腐れ等の欠陥を検出する方法が提案されている(特許文献1)。
【0004】
また、合板の検査方法検査方法としては、単板を繋ぎ合わせることにより形成された複合単板を複数枚積層することによって構成される合板の検査方法であって、合板を均一に加熱する加熱工程と、加熱工程後の合板表面の温度分布を測定する測定工程と、合板表面の温度分布に基づいて合板表面から2層目以後の複合単板に欠陥があるか否かを判定する判定工程と、からなる合板の検査方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−11203号公報
【特許文献2】特開2009−78356
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
合板として重ねる前の単板は長さが不揃いのものもあり、係る不揃いのものは図5に示すように、所定の長さにするため短い単板は他の単板とテープ12等で繋いで製作されるが、この部分が重ね合わせるとき、単板の側面どうしが接触せず離れて接着される場合があり、細長い空洞10(内部に残るトンネルとなる)として残る。これは合板の強度低下を招く欠陥であるが、その検出のためには従来は目視検査で行われていた。合板の接着不良を検出する方法として超音波センサを横一列に多数並べて検査する方法もあるが、接着不良と空洞とを区別できない。また、カメラでトンネルを側面から検知する方法もあるが、針葉樹合板のように、黒い節11が側面にでた場合は空洞と判別できない。
【0007】
本発明は、上記する課題に対処するためになされたものであり、合板の欠陥(空洞)を検査するにあたり、合板の接着不良と合板の空洞とを区別して検査することが可能で、また、空洞と節との相違も検出することができ、その信号から後工程で空洞のある欠陥合板に対処することが可能で不良商品の発生率も低下させることのできる合板検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、合板の空洞検出装置が、合板Wを搬送する搬送手段(21、22)と、搬送する該合板を押さえる押さえ手段(23)と、前記合板の近傍に配置された超音波探傷センサのような空洞検出手段(3)と、前記合板の両側面の空洞(10)を検出する検出手段(4)と、を用いて空洞と節とを識別して検出することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段は、超音波探傷センサであり、前記合板の両端面の空洞を検出する検出手段が、視覚センサであることを特徴としている。
【0010】
また、請求項3に記載の合板の空洞検出方法が、合板を搬送する搬送手段(21、22)と、搬送する該合板を押さえる押さえ手段(23)と、前記合板の近傍に配置された超音波探傷センサのような空洞検出手段と、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段と、を用いて空洞と木の節とを識別して検出することを特徴としている。
【0011】
更に、請求項4に記載の発明は、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段が、超音波探傷センサであり、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段が、視覚センサである合板の空洞検出方法であることを特徴としている。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段(3)と、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段(4)と、空洞を捕捉したとき該箇所にマーキングするマーキング手段を備えたことを特徴としている。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段と、前記合板の両端面の空洞を検出する検出手段と、空洞を捕捉したとき該箇所にマーキングするマーキング手段と、空洞を検出したとき点灯して知らせるシグナルタワーを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の合板の空洞検出装置及び方法は、上記手段とすることによって、合板に存在する空洞を確実に捕捉することができる。この場合、空洞と節との相違も確認することができる。また、合板に存在する空洞と合板内の単板の接着不良との相違も捕捉、確認することができる。更に、マーキングスプレーによって空洞位置に目印を付けることができるので合板の良品と不良品との区別をして不良品のみピックアップし排除することができる。また、不良個所(空洞)の存在をシグナルタワーを点灯させ後処理(不良品の除去、補修)を確実に行うことができる。そして不良品を除去することができるので商品(合板)の信用・信頼性が向上し売上アップにも貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の合板の検査装置の側面図であって空洞検査装置の構成を示す破断図である。
【図2】図2(A)は、図1のA−A矢視図であって、空洞検査部分の構成を示す図であり、図2(B)は、図2(A)のP矢視図である。
【図3】本発明の合板の検査装置で合板の空洞を検出する場合のフローチャートである。
【図4】本発明の合板の検査装置の超音波探傷センサおよび視覚センサを配置した斜視図である。
【図5】図5(A)は、合板を製作する途中の斜視図であり、図5(B)は、内部に空洞や節のある合板の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の合板の検査装置の側面図であって空洞検査装置の構成を示す破断図である。図2(A)は、図1のA−A矢視図であって、空洞検査部分の構成を示す図であり、図2(B)は、図2(A)のP矢視図である。
図1の線Lは、検査される合板Wが搬送されるテーブル面を示す。また、図2(A)に示す合板Wは、紙面垂直方向に移動しながら検査されるが、該合板Wの下面がテーブル面と接触しながら移動する(テーブル面は図示省略)。3は空洞検知手段(超音波探傷センサ)であって、超音波発振器3aと超音波受信機3bとからなる。若し空洞が存在すると、超音波受信機3bの受信信号は空洞がない場合の受信信号が変化するので空洞の存在を検出することができる。空洞検知手段である超音波探傷センサ3は、合板Wの搬送方向の両端部近傍にそれぞれ配置される。図1において、21は合板を搬送するローラであり、電動モータ22によって駆動される。また、23はピンチローラであり、合板搬送時該合板を押さえるローラである。なお、この合板の検査装置の合板投入口には、合板の接着不良探知センサ24、24が配置されている。
【0017】
次に、4は視覚検知手段(視覚検知センサ)であって、合板両端側面のいずれかにあらわれる空洞10を検出する。この合板側面には空洞10が現れている場合と木材の節11が現れている場合があるが、この空洞10か節11かの検出は、後述するように、前記超音波探傷センサ3と視覚検知センサ4との組み合わせによって判別することができる。なお、超音波探傷センサ3と視覚センサ4とは、図2(B)にも示すように、合板Wの搬送方向に対して直角方向に同じ線上に配置されている。
【0018】
本発明の合板の検査装置には、合板Wの空洞10を検出した場合、不良品として除去するために、エア等で色のついた塗料を合板Wに吹き付けるマーキング装置(マーキングスプレー)5がフレーム1に取り付けられている。更に、空洞等の不良品が検出された場合、光学的に警告するシグナルタワー6が設置される。すなわち、本発明では、合板Wの空洞10を捕捉したときマーキング装置5やシグナルタワー6等で合板Wが不良品であることを直ちに警告し、区別し、排除できるようにしてある。
【0019】
図2(A)、(B)に示す1Aは、超音波センサ取付ベース(センサ保持具)であって、上下にホルダ1B、1Cが取付られている。そして前記一方のホルダ1Bには前記超音波探傷センサ3の超音波発振器3aが取り付けられ、他方のホルダ1Cには超音波受信機3bが取り付けられている。別のホルダ1Dには視覚センサ4が取り付けられている。また、2Aも超音波センサ取付ベース(センサ保持具)であって、同様にホルダ2Bには超音波探傷センサ3の超音波発振器3aが取り付けられ、他方のホルダ2Cには超音波受信機3bが取り付けられ、別のホルダ2Dには視覚センサ4が取り付けられている。また、合板の幅に応じて一方の超音波探傷センサ3は、フレーム1の上に設けた固定台2の上に設置したレール2Rとガイド2G、2Gでシリンダ8により移動できるようにしてある。
【0020】
本発明の合板の検査装置は、以上のように構成されているが、合板Wに存在する空洞10や節11は次のように検出される。図3に示すフローチャートと図4に示す超音波探傷センサ3および視覚センサ4を配置した斜視図を利用して説明と、
(1)合板Wの側面に現れる空洞を視覚センサ4が検出するとONとなる。視覚センサ4がONの状態でこの空洞を超音波探傷センサ3がOFFであれば、この空洞は「節」と判断する。
(2)合板Wの側面に現れる空洞を視覚センサ4が検出するとONとなる。視覚センサ4がONの状態で、同時にこの空洞を超音波探傷センサ3がONとなると、この空洞は本当の「空洞」と判定し、シグナルタワー6が点灯する。出口でこの合板Wには「空洞あり」とマーキング装置5でマーキングする。
(3)視覚センサ4がOFFの状態で超音波探傷センサ3がONとなると、この合板Wには「剥離」があると判断する。
(4)視覚センサ4がOFFの状態で超音波探傷センサ3もOFFとなると、この合板は、「良品」と判断する。
【0021】
本発明の合板検査装置と合板の検査方法によれば、合板に空洞や接着不良があるか否かを簡単に且つ素早く検出することができる。したがって、本発明は木材を利用して合板を製作する分野或いは合板製造装置製作の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 フレーム
2 固定台
3 超音波探傷センサ
4 視覚センサ
5 マーキング装置
6 シグナルタワー
8 シリンダ
10 空洞
11 節

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合板を搬送する搬送手段と、搬送する該合板を押さえる押さえ手段と、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段と、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段と、を用いて空洞と節とを識別して検出する合板の空洞検出装置。
【請求項2】
前記合板の近傍に配置された空洞検出手段は、超音波探傷センサであり、前記合板の両端面の空洞を検出する検出手段が、視覚センサであることを特徴とする請求項1に記載の合板の空洞検出装置。
【請求項3】
合板を搬送する搬送手段と、搬送する該合板を押さえる押さえ手段と、前記合板の近傍に配置された空洞検出手段と、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段と、を用いて空洞と木の節とを識別して検出することを特徴とする合板の空洞検出方法。
【請求項4】
前記合板の近傍に配置された空洞検出手段が、超音波探傷センサであり、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段が、視覚センサである合板の空洞検出方法である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の合板の空洞検出装置または方法。
【請求項5】
前記合板の近傍に配置された空洞検出手段と、前記合板の両側面の空洞を検出する検出手段と、空洞を捕捉したとき該箇所にマーキングするマーキング手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の合板の空洞検出装置または方法。
【請求項6】
前記合板の近傍に配置された空洞検出手段と、前記合板の両端面の空洞を検出する検出手段と、空洞を捕捉したとき該箇所にマーキングするマーキング手段と、空洞を検出したとき点灯して知らせるシグナルタワーを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の合板の空洞検出装置または方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−33541(P2011−33541A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181760(P2009−181760)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000141554)株式会社菊川鉄工所 (8)
【Fターム(参考)】