同乗者支援システム及び同乗者支援方法
【課題】同乗者が快適に車両に乗ることができるようにする。
【解決手段】同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。取得された生体情報に基づいて同乗者の状況が判定され、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態が調整されるので、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【解決手段】同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。取得された生体情報に基づいて同乗者の状況が判定され、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態が調整されるので、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同乗者支援システム及び同乗者支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を走行させる際の運転者による運転操作及び運転者の生体情報に基づいて運転者の運転状況を判断し、運転者の疲労度合、覚醒度等に基づいて車室内で音楽をかけるなどして、運転者が居眠りをするのを防止するようにした運転者支援システムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−95408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の運転者支援システムにおいては、運転者が支援されるようになっていて、運転者以外の乗員、すなわち、同乗者を支援するようになっていない。したがって、同乗者が不安、緊張等を感じていても、運転者はそれに気が付かないまま運転を続けることがあり、その場合、同乗者は快適に車両に乗ることができない。
【0004】
本発明は、前記従来の運転者支援システムの問題点を解決して、同乗者が快適に車両に乗ることができるようにした同乗者支援システム及び同乗者支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の同乗者支援システムにおいては、同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同乗者支援システムにおいては、同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。
【0007】
この場合、取得された生体情報に基づいて同乗者の状況が判定され、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態が調整されるので、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態における同乗者支援システムを示す図である。
【0010】
図において、14は車両の全体の制御を行う制御部であり、該制御部14に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された記録部としてのデータ記録部16、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための入力部としての操作部34、図示されない画面に各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声出力を行い、各種の情報を音声によって運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末としての、かつ、送受信部としての通信部38が接続される。前記GPSセンサ15は、前記自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは独立させて方位センサを配設することによって自車方位を検出することもできる。
【0011】
また、前記制御部14に、運転者以外の他の乗員、すなわち、同乗者の生体情報、例えば、心拍数、発汗量、筋電位、脳波、瞳孔の開き具合、体温等を検出する生体情報検出部43、及び車速を検出する車速検出部としての車速センサ44が接続される。なお、前記生体情報検出部43によって、更に同乗者の指紋(指)、静脈(血管)、声紋(声)、網膜/虹彩(目)、画像(顔面)、DNA等を検出することができる。また、前記GPSセンサ15及び車速センサ44によって、車両の置かれた環境を検出する車両環境検出部13が構成され、自車位置、自車方位及び車速によって車両環境情報が構成される。
【0012】
そして、前記制御部14に、加速操作要素としてのアクセルぺダル51、制動操作要素としてのブレーキペダル52、及び操舵操作要素としてのステアリングホイール53が接続されるとともに、運転者がアクセルペダル51を操作して踏み込んだときのアクセル操作量(加速操作量)を表すアクセル開度を検出するための加速操作量検出部としてのアクセルセンサ55、運転者がブレーキペダル52を操作して踏み込んだときのブレーキ操作量(減速操作量)を表すブレーキ踏込量を検出するための減速操作量検出部としてのブレーキセンサ56、及び運転者がステアリングホイール53を操作して操舵したときの操舵操作量を表す操舵角を検出するための操舵操作量検出部としての操舵角センサ57が接続される。なお、前記アクセルペダル51、ブレーキペダル52及びステアリングホイール53によって車両操作部54が、アクセルセンサ55、ブレーキセンサ56及び操舵角センサ57によって、車両操作量検出部58が構成される。
【0013】
さらに、前記制御部14に、車両の各座席のうちの同乗者が着座する座席、すなわち、同乗者席の各部位に空気を供給し、各部位を隆起させる空気供給装置61、同乗者席の各部位を振動させるための振動用の駆動部としてのモータ62、同乗者席の座面を前後方向に揺動させるための座面用の駆動部としての座面用モータ63、同乗者席のシートバックを前後方向に揺動させるためのシートバック用の駆動部としてのシートバック用モータ64、同乗者席のシートを左右方向に揺動させるためのシート用の駆動部としてのシート用モータ65、同乗者席の座面及びシートバックの所定の箇所に配設され、同乗者が着座したときに各部位に加わる圧力を検出する圧力検出部としての圧力センサ66等が接続される。なお、前記モータ62として偏心モータが使用され、該偏心モータは1回転するたびに出力軸を偏位させ、出力軸に連結された振動体に振動を発生させる。
【0014】
前記データ記録部16は、地図データベース(DB)db1、個人情報データベース(DB)db2、生体情報データベース(DB)db3等を備え、前記地図データベースdb1に地図データが、個人情報データベースdb2に同乗者データが、生体情報データベースdb3に生体情報データがそれぞれ記録される。
【0015】
前記地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路に関する道路データ、地物に関する地物データ等が含まれ、前記道路データには、道路種別(高速道路、国道、地方道、細街路等)、道路形状、車線数、幅員、勾配(登坂、降坂等の別も含む。)等のデータが含まれる。
【0016】
また、個人情報データには、同乗者の身長、体重等のデータが含まれる。
【0017】
そして、生体情報データには、同乗者の心拍数、発汗量、筋電位、脳波、瞳孔の開き具合、体温等の各生体情報の閾値のデータが含まれる。
【0018】
さらに、前記データ記録部16には、過去の個人情報データ、生体情報データ等の履歴データがそれぞれ記録される。
【0019】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって第1の記録装置及び記録媒体が構成される。
【0020】
また、前記制御部14は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか各種の処理を行うためのプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、第2の記録装置が構成される。
【0021】
前記操作部34として、表示部35とは独立して配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0022】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したりすることができる。
【0023】
また、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、運転者に対する案内情報、通知情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0024】
前記通信部38は、道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、FM放送局を介して前記情報をFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。
【0025】
前記CPU31は、単独で、又は他の演算装置等と組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31に代えてMPU等を使用することもできる。
【0026】
次に、前記構成の同乗者支援システムの動作について説明する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態における同乗者支援システムの動作を示すメインフローチャート、図3は本発明の実施の形態におけるリクライニング処理のサブルーチンを示す図、図4は本発明の実施の形態におけるシート制御処理のサブルーチンを示す図、図5は本発明の実施の形態における通常の着座状態を示す図、図6は本発明の実施の形態におけるシートの正面図、図7は本発明の実施の形態におけるマッサージ処理が行われているときの着座状態を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるリクライニング角度の調節が行われているときの着座状態を示す図、図9は本発明の実施の形態におけるシートのリクライニング時の着座状態を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるカーブ走行時の着座状態を示す図、図11は本発明の実施の形態における急減速時の着座状態を示す図、図12は本発明の実施の形態における急加速時の着座状態を示す図である。
【0028】
図5及び6において、71はシート、72は座面、73はシートバックであり、前記座面72及びシートバック73はいずれも軸部Cnを揺動中心として揺動自在に支持され、前記座面用モータ63を駆動することによって座面72を回動させたり、前記シートバック用モータ64を駆動することによってシートバック73を回動させたりすることができる。
【0029】
また、p1は座面72の右側の部位、p2は座面72の左側の部位、p3はシートバック72の右側の部位、p4は座面72の左側の部位である。前記各部位p1〜p4内には、図示されない空気室が配設され、該空気室に前記空気供給装置61から圧縮空気が供給されると、各部位p1〜p4が隆起させられ(膨出させられ)、同乗者の体の所定の部位を押圧する。そして、前記座面72の中央(部位p1、p2間)及びシートバック73の中央(部位p3、p4間)には、複数の図示されない振動体が配設され、該各振動体は、モータ62を駆動することによって振動させられ、同乗者の体の所定の部位を叩いたり、押圧したり、振動させたりする。
【0030】
そのために、まず、運転者又は同乗者が、操作部34を操作して同乗者の氏名等を入力すると、CPU31の図示されない同乗者特定処理手段は、同乗者特定処理を行い、同乗者を特定するとともに、個人情報データベースdb2から同乗者の個人情報データを読み出す。
【0031】
次に、CPU31の図示されない生体情報取得処理手段は、生体情報取得処理を行い、生体情報検出部43によって検出された同乗者の生体情報を読み込むことによって取得する。また、CPU31の同乗者状況判定処理手段は、同乗者状況判定処理を行い、生体情報データベースdb3から同乗者の生体情報データを読み出し、前記生体情報と前記閾値とを比較することによって、同乗者の状況を判定、本実施の形態においては、同乗者がストレスを感じているかどうかを判断する。同乗者がストレスを感じていると判断された場合、CPU31の図示されないマッサージ処理手段は、マッサージ処理を行い、同乗者のストレスを軽減するために、シートバック用モータ64を駆動し、図7に示されるようにシートバック73を後方に倒し、モータ62を駆動して前記振動体を振動させることによってマッサージを行う。なお、前記マッサージ処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、該着座状態調整処理手段は、着座状態調整処理を行い、前述されたように、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する。
【0032】
また、CPU31の図示されない体保持処理手段は、体保持処理を行い、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を包むように保持し、マッサージの効果を高くする。
【0033】
そして、前記同乗者状況判定処理手段は、前記生体情報と閾値とを比較することによって、眠気が検出されたかどうかを判断する。眠気が検出された場合、CPU31の図示されないリクライニング処理手段は、リクライニング処理を行う。なお、前記リクライニング処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、着座状態調整処理手段は、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することによってシート71をリクライニングさせる。
【0034】
そのために、前記リクライニング処理手段の圧力分布取得処理手段は、圧力分布取得処理を行い、圧力センサ66によって検出された圧力を読み込み、同乗者席に同乗者が着座したときの圧力分布を取得する。
【0035】
続いて、前記リクライニング処理手段の同乗者姿勢判定処理手段は、同乗者姿勢判定処理を行い、前記圧力分布に基づいて、同乗者が所定の姿勢で着座しているかどうかを判断し、同乗者が所定の姿勢で着座している場合、前記リクライニング処理手段のリクライニング角度調節処理手段は、リクライニング角度調節処理を行い、同乗者の姿勢に応じてリクライニング角度を調節する。
【0036】
すなわち、前記同乗者姿勢判定処理手段は、同乗者が頭部をシートバック73に当てて着座しているかどうかを判断し、頭部をシートバック73に当てて着座している場合、リクライニング角度調節処理手段は、図8に示されるように、シートバック73を回動させて後方に倒し、リクライニング角度を大きくし、頭部をシートバック73に当てて着座していない場合、シートバック73を回動させて前方に起こし、リクライニング角度を小さくする。
【0037】
また、前記体保持処理手段は、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図9に示されるように、各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を包むように保持する。
【0038】
続いて、前記同乗者状況判定処理手段は、前記生体情報と閾値とを比較することによって、同乗者が眠りから覚醒したかどうかを判断し、同乗者が覚醒した場合、リクライニング角度調節理手段は、シートバック73を前方に起こし、図5に示されるようにシート71を元の状態に戻す。一方、ストレスも眠気も検出されない場合、CPU31の図示されないシート制御処理手段は、シート制御処理を行い、運転者による運転操作に対応させてシート71の状態を制御する。なお、前記シート制御処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、着座状態調整処理手段は、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することによってシート71の状態を制御する。
【0039】
ところで、車両がカーブに進入すると、同乗者の体に遠心力が加わり、着座状態が不安定になる。そこで、本実施の形態においては、車両がカーブに進入すると、同乗者の体をシート71によって安定させて保持するようになっている。
【0040】
すなわち、シート制御処理手段の道路状況取得処理手段は、道路状況取得処理を行い、地図データベースdb1から道路データを読み出し、シート制御処理手段の道路状況判定処理手段は、道路状況判定処理を行い、自車位置を読み込み、車両が走行している道路上にカーブがあるかどうかを判断し、カーブがある場合、カーブがある地点の位置(座標)を読み出すとともに、右方へのカーブであるか左方へのカーブであるかを判断する。
【0041】
そして、前記体保持処理手段は、自車位置を読み込み、車両がカーブに進入したかどうかを判断し、カーブに進入した場合、同乗者の着座状態を安定させて保持する。すなわち、カーブが右方へのカーブである場合、前記体保持処理手段は、シート用モータ65を駆動してシート71を回動させて右に傾けるとともに、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図10に示されるように、シート71の左側の部位p2、p4を隆起させ、同乗者の体を保持する。また、カーブが左方へのカーブである場合、前記体保持処理手段は、シート用モータ65を駆動してシート71を左に回動させて傾けるとともに、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、シート71の右側の部位p1、p3をを盛り上げ、同乗者の体を保持する。
【0042】
なお、本実施の形態においては、道路データに基づいて道路上にカーブがあるかどうかが判断され、車両がカーブに進入したかどうかが判断されるようになっているが、操舵角センサ57によって検出された操舵操作量に基づいて、車両がカーブに進入したかどうかを判断することができる。
【0043】
ところで、CPU31の図示されない車両走行指標算出処理手段は、車両走行指標算出処理を行い、アクセルセンサ55によって検出されたアクセル開度、及びブレーキセンサ56によって検出されたブレーキ踏込量を読み込み、アクセル開度の変化率及びブレーキ踏込量の変化率を算出するようになっている。
【0044】
そこで、前記シート制御処理手段の車両走行状態判定処理手段は、車両走行状態判定処理を行い、前記アクセル開度の変化率及びブレーキ踏込量の変化率を読み込み、アクセル開度の変化率が閾値より高いかどうかによって急加速があったかどうかを判断し、ブレーキ踏込量の変化率が閾値より高いかどうかによって急減速があったかどうかを判断する。
【0045】
そして、急減速があった場合、前記体保持処理手段は、座面用モータ63を駆動し、座面72を回動させ、図11に示されるように、座面72の前端部を上昇させ、かつ、シートバック用モータ64を駆動してシートバック73を回動させて後方に倒し、同乗者の体を保持する。この場合、シート71の全体を一体的に回動させて座面72の前端部を持ち上げることもできる。そして、座面72の前端部を上昇させるために、座面72の前端部に空気室を形成し、該空気室に圧縮空気を供給することによって、座面72の前端部を隆起させることができる。
【0046】
また、急加速があった場合、前記体保持処理手段は、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図12に示されるように、シート71の各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を保持する。
【0047】
このように、本実施の形態においては、同乗者の生体情報が取得され、生体情報に基づいて、マッサージ処理、リクライニング処理、又はシート制御処理が行われ、同乗者席に着座した状態の同乗者が支援される。したがって、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【0048】
次に、図2のフローチャートについて説明する。
ステップS1 生体情報取得処理を行う。
ステップS2 同乗者がストレスを感じているかどうかを判断する。同乗者がストレスを感じている場合はステップS3に、感じていない場合はステップS4に進む。
ステップS3 マッサージ処理を行い、リターンする。
ステップS4 眠気が検出されたかどうかを判断する。眠気が検出された場合はステップS5に、検出されない場合はステップS6に進む。
ステップS5 リクライニング処理を行い、リターンする。
ステップS6 シート制御処理を行い、リターンする。
【0049】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS5−1 圧力分布を読み込む。
ステップS5−2 頭部をシートバック73に当てて着座しているかどうかを判断する。頭部をシートバック73に当てて着座している場合はステップS5−3に、シートバック73に当てて着座していない場合はステップS5−4に進む。
ステップS5−3 リクライニング角度を大きくする。
ステップS5−4 リクライニング角度を小さくする。
ステップS5−5 体を保持する。
ステップS5−6 眠りから覚醒したかどうかを判断する。眠りから覚醒した場合はステップS5−7に進み、覚醒していない場合はリターンする。
【0050】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS6−1 道路情報取得処理を行う。
ステップS6−2 カーブがあるかどうかを判断する。カーブがある場合はステップS6−3に、カーブがない場合はステップS6−6に進む。
ステップS6−3 右方へのカーブであるかどうかを判断する。右方へのカーブである場合はステップS6−4に、右方へのカーブでない場合はステップS6−5に進む。
ステップS6−4 シート71を右へ傾け、シート71の左側を隆起させる。
ステップS6−5 シート71を左へ傾け、シート71の右側を隆起させる。
ステップS6−6 急減速があったかどうかを判断する。急減速があった場合はステップS6−7に、なかった場合はステップS6−8に進む。
ステップS6−7 座面72の前方を上昇させ、シートバック73を後方に倒す。
ステップS6−8 急加速があったかどうかを判断する。急加速があった場合はステップS6−9に進み、なかった場合はリターンする。
ステップS6−9 シート71の両側を隆起させ、リターンする。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態における同乗者支援システムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における同乗者支援システムの動作を示すメインフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるリクライニング処理のサブルーチンを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるシート制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における通常の着座状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるシートの正面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるマッサージ処理が行われているときの着座状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるリクライニング角度の調節が行われているときの着座状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるシートのリクライニング時の着座状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるカーブ走行時の着座状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における急減速時の着座状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における急加速時の着座状態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
31 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、同乗者支援システム及び同乗者支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を走行させる際の運転者による運転操作及び運転者の生体情報に基づいて運転者の運転状況を判断し、運転者の疲労度合、覚醒度等に基づいて車室内で音楽をかけるなどして、運転者が居眠りをするのを防止するようにした運転者支援システムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−95408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の運転者支援システムにおいては、運転者が支援されるようになっていて、運転者以外の乗員、すなわち、同乗者を支援するようになっていない。したがって、同乗者が不安、緊張等を感じていても、運転者はそれに気が付かないまま運転を続けることがあり、その場合、同乗者は快適に車両に乗ることができない。
【0004】
本発明は、前記従来の運転者支援システムの問題点を解決して、同乗者が快適に車両に乗ることができるようにした同乗者支援システム及び同乗者支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の同乗者支援システムにおいては、同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、同乗者支援システムにおいては、同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有する。
【0007】
この場合、取得された生体情報に基づいて同乗者の状況が判定され、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態が調整されるので、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態における同乗者支援システムを示す図である。
【0010】
図において、14は車両の全体の制御を行う制御部であり、該制御部14に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された記録部としてのデータ記録部16、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための入力部としての操作部34、図示されない画面に各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、音声出力を行い、各種の情報を音声によって運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末としての、かつ、送受信部としての通信部38が接続される。前記GPSセンサ15は、前記自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは独立させて方位センサを配設することによって自車方位を検出することもできる。
【0011】
また、前記制御部14に、運転者以外の他の乗員、すなわち、同乗者の生体情報、例えば、心拍数、発汗量、筋電位、脳波、瞳孔の開き具合、体温等を検出する生体情報検出部43、及び車速を検出する車速検出部としての車速センサ44が接続される。なお、前記生体情報検出部43によって、更に同乗者の指紋(指)、静脈(血管)、声紋(声)、網膜/虹彩(目)、画像(顔面)、DNA等を検出することができる。また、前記GPSセンサ15及び車速センサ44によって、車両の置かれた環境を検出する車両環境検出部13が構成され、自車位置、自車方位及び車速によって車両環境情報が構成される。
【0012】
そして、前記制御部14に、加速操作要素としてのアクセルぺダル51、制動操作要素としてのブレーキペダル52、及び操舵操作要素としてのステアリングホイール53が接続されるとともに、運転者がアクセルペダル51を操作して踏み込んだときのアクセル操作量(加速操作量)を表すアクセル開度を検出するための加速操作量検出部としてのアクセルセンサ55、運転者がブレーキペダル52を操作して踏み込んだときのブレーキ操作量(減速操作量)を表すブレーキ踏込量を検出するための減速操作量検出部としてのブレーキセンサ56、及び運転者がステアリングホイール53を操作して操舵したときの操舵操作量を表す操舵角を検出するための操舵操作量検出部としての操舵角センサ57が接続される。なお、前記アクセルペダル51、ブレーキペダル52及びステアリングホイール53によって車両操作部54が、アクセルセンサ55、ブレーキセンサ56及び操舵角センサ57によって、車両操作量検出部58が構成される。
【0013】
さらに、前記制御部14に、車両の各座席のうちの同乗者が着座する座席、すなわち、同乗者席の各部位に空気を供給し、各部位を隆起させる空気供給装置61、同乗者席の各部位を振動させるための振動用の駆動部としてのモータ62、同乗者席の座面を前後方向に揺動させるための座面用の駆動部としての座面用モータ63、同乗者席のシートバックを前後方向に揺動させるためのシートバック用の駆動部としてのシートバック用モータ64、同乗者席のシートを左右方向に揺動させるためのシート用の駆動部としてのシート用モータ65、同乗者席の座面及びシートバックの所定の箇所に配設され、同乗者が着座したときに各部位に加わる圧力を検出する圧力検出部としての圧力センサ66等が接続される。なお、前記モータ62として偏心モータが使用され、該偏心モータは1回転するたびに出力軸を偏位させ、出力軸に連結された振動体に振動を発生させる。
【0014】
前記データ記録部16は、地図データベース(DB)db1、個人情報データベース(DB)db2、生体情報データベース(DB)db3等を備え、前記地図データベースdb1に地図データが、個人情報データベースdb2に同乗者データが、生体情報データベースdb3に生体情報データがそれぞれ記録される。
【0015】
前記地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路に関する道路データ、地物に関する地物データ等が含まれ、前記道路データには、道路種別(高速道路、国道、地方道、細街路等)、道路形状、車線数、幅員、勾配(登坂、降坂等の別も含む。)等のデータが含まれる。
【0016】
また、個人情報データには、同乗者の身長、体重等のデータが含まれる。
【0017】
そして、生体情報データには、同乗者の心拍数、発汗量、筋電位、脳波、瞳孔の開き具合、体温等の各生体情報の閾値のデータが含まれる。
【0018】
さらに、前記データ記録部16には、過去の個人情報データ、生体情報データ等の履歴データがそれぞれ記録される。
【0019】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16にメモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって第1の記録装置及び記録媒体が構成される。
【0020】
また、前記制御部14は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか各種の処理を行うためのプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、第2の記録装置が構成される。
【0021】
前記操作部34として、表示部35とは独立して配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することができる。
【0022】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したりすることができる。
【0023】
また、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部37から、運転者に対する案内情報、通知情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で出力される。
【0024】
前記通信部38は、道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、FM放送局を介して前記情報をFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。
【0025】
前記CPU31は、単独で、又は他の演算装置等と組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31に代えてMPU等を使用することもできる。
【0026】
次に、前記構成の同乗者支援システムの動作について説明する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態における同乗者支援システムの動作を示すメインフローチャート、図3は本発明の実施の形態におけるリクライニング処理のサブルーチンを示す図、図4は本発明の実施の形態におけるシート制御処理のサブルーチンを示す図、図5は本発明の実施の形態における通常の着座状態を示す図、図6は本発明の実施の形態におけるシートの正面図、図7は本発明の実施の形態におけるマッサージ処理が行われているときの着座状態を示す図、図8は本発明の実施の形態におけるリクライニング角度の調節が行われているときの着座状態を示す図、図9は本発明の実施の形態におけるシートのリクライニング時の着座状態を示す図、図10は本発明の実施の形態におけるカーブ走行時の着座状態を示す図、図11は本発明の実施の形態における急減速時の着座状態を示す図、図12は本発明の実施の形態における急加速時の着座状態を示す図である。
【0028】
図5及び6において、71はシート、72は座面、73はシートバックであり、前記座面72及びシートバック73はいずれも軸部Cnを揺動中心として揺動自在に支持され、前記座面用モータ63を駆動することによって座面72を回動させたり、前記シートバック用モータ64を駆動することによってシートバック73を回動させたりすることができる。
【0029】
また、p1は座面72の右側の部位、p2は座面72の左側の部位、p3はシートバック72の右側の部位、p4は座面72の左側の部位である。前記各部位p1〜p4内には、図示されない空気室が配設され、該空気室に前記空気供給装置61から圧縮空気が供給されると、各部位p1〜p4が隆起させられ(膨出させられ)、同乗者の体の所定の部位を押圧する。そして、前記座面72の中央(部位p1、p2間)及びシートバック73の中央(部位p3、p4間)には、複数の図示されない振動体が配設され、該各振動体は、モータ62を駆動することによって振動させられ、同乗者の体の所定の部位を叩いたり、押圧したり、振動させたりする。
【0030】
そのために、まず、運転者又は同乗者が、操作部34を操作して同乗者の氏名等を入力すると、CPU31の図示されない同乗者特定処理手段は、同乗者特定処理を行い、同乗者を特定するとともに、個人情報データベースdb2から同乗者の個人情報データを読み出す。
【0031】
次に、CPU31の図示されない生体情報取得処理手段は、生体情報取得処理を行い、生体情報検出部43によって検出された同乗者の生体情報を読み込むことによって取得する。また、CPU31の同乗者状況判定処理手段は、同乗者状況判定処理を行い、生体情報データベースdb3から同乗者の生体情報データを読み出し、前記生体情報と前記閾値とを比較することによって、同乗者の状況を判定、本実施の形態においては、同乗者がストレスを感じているかどうかを判断する。同乗者がストレスを感じていると判断された場合、CPU31の図示されないマッサージ処理手段は、マッサージ処理を行い、同乗者のストレスを軽減するために、シートバック用モータ64を駆動し、図7に示されるようにシートバック73を後方に倒し、モータ62を駆動して前記振動体を振動させることによってマッサージを行う。なお、前記マッサージ処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、該着座状態調整処理手段は、着座状態調整処理を行い、前述されたように、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する。
【0032】
また、CPU31の図示されない体保持処理手段は、体保持処理を行い、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を包むように保持し、マッサージの効果を高くする。
【0033】
そして、前記同乗者状況判定処理手段は、前記生体情報と閾値とを比較することによって、眠気が検出されたかどうかを判断する。眠気が検出された場合、CPU31の図示されないリクライニング処理手段は、リクライニング処理を行う。なお、前記リクライニング処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、着座状態調整処理手段は、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することによってシート71をリクライニングさせる。
【0034】
そのために、前記リクライニング処理手段の圧力分布取得処理手段は、圧力分布取得処理を行い、圧力センサ66によって検出された圧力を読み込み、同乗者席に同乗者が着座したときの圧力分布を取得する。
【0035】
続いて、前記リクライニング処理手段の同乗者姿勢判定処理手段は、同乗者姿勢判定処理を行い、前記圧力分布に基づいて、同乗者が所定の姿勢で着座しているかどうかを判断し、同乗者が所定の姿勢で着座している場合、前記リクライニング処理手段のリクライニング角度調節処理手段は、リクライニング角度調節処理を行い、同乗者の姿勢に応じてリクライニング角度を調節する。
【0036】
すなわち、前記同乗者姿勢判定処理手段は、同乗者が頭部をシートバック73に当てて着座しているかどうかを判断し、頭部をシートバック73に当てて着座している場合、リクライニング角度調節処理手段は、図8に示されるように、シートバック73を回動させて後方に倒し、リクライニング角度を大きくし、頭部をシートバック73に当てて着座していない場合、シートバック73を回動させて前方に起こし、リクライニング角度を小さくする。
【0037】
また、前記体保持処理手段は、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図9に示されるように、各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を包むように保持する。
【0038】
続いて、前記同乗者状況判定処理手段は、前記生体情報と閾値とを比較することによって、同乗者が眠りから覚醒したかどうかを判断し、同乗者が覚醒した場合、リクライニング角度調節理手段は、シートバック73を前方に起こし、図5に示されるようにシート71を元の状態に戻す。一方、ストレスも眠気も検出されない場合、CPU31の図示されないシート制御処理手段は、シート制御処理を行い、運転者による運転操作に対応させてシート71の状態を制御する。なお、前記シート制御処理手段によって、着座状態調整処理手段が構成され、着座状態調整処理手段は、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することによってシート71の状態を制御する。
【0039】
ところで、車両がカーブに進入すると、同乗者の体に遠心力が加わり、着座状態が不安定になる。そこで、本実施の形態においては、車両がカーブに進入すると、同乗者の体をシート71によって安定させて保持するようになっている。
【0040】
すなわち、シート制御処理手段の道路状況取得処理手段は、道路状況取得処理を行い、地図データベースdb1から道路データを読み出し、シート制御処理手段の道路状況判定処理手段は、道路状況判定処理を行い、自車位置を読み込み、車両が走行している道路上にカーブがあるかどうかを判断し、カーブがある場合、カーブがある地点の位置(座標)を読み出すとともに、右方へのカーブであるか左方へのカーブであるかを判断する。
【0041】
そして、前記体保持処理手段は、自車位置を読み込み、車両がカーブに進入したかどうかを判断し、カーブに進入した場合、同乗者の着座状態を安定させて保持する。すなわち、カーブが右方へのカーブである場合、前記体保持処理手段は、シート用モータ65を駆動してシート71を回動させて右に傾けるとともに、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図10に示されるように、シート71の左側の部位p2、p4を隆起させ、同乗者の体を保持する。また、カーブが左方へのカーブである場合、前記体保持処理手段は、シート用モータ65を駆動してシート71を左に回動させて傾けるとともに、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、シート71の右側の部位p1、p3をを盛り上げ、同乗者の体を保持する。
【0042】
なお、本実施の形態においては、道路データに基づいて道路上にカーブがあるかどうかが判断され、車両がカーブに進入したかどうかが判断されるようになっているが、操舵角センサ57によって検出された操舵操作量に基づいて、車両がカーブに進入したかどうかを判断することができる。
【0043】
ところで、CPU31の図示されない車両走行指標算出処理手段は、車両走行指標算出処理を行い、アクセルセンサ55によって検出されたアクセル開度、及びブレーキセンサ56によって検出されたブレーキ踏込量を読み込み、アクセル開度の変化率及びブレーキ踏込量の変化率を算出するようになっている。
【0044】
そこで、前記シート制御処理手段の車両走行状態判定処理手段は、車両走行状態判定処理を行い、前記アクセル開度の変化率及びブレーキ踏込量の変化率を読み込み、アクセル開度の変化率が閾値より高いかどうかによって急加速があったかどうかを判断し、ブレーキ踏込量の変化率が閾値より高いかどうかによって急減速があったかどうかを判断する。
【0045】
そして、急減速があった場合、前記体保持処理手段は、座面用モータ63を駆動し、座面72を回動させ、図11に示されるように、座面72の前端部を上昇させ、かつ、シートバック用モータ64を駆動してシートバック73を回動させて後方に倒し、同乗者の体を保持する。この場合、シート71の全体を一体的に回動させて座面72の前端部を持ち上げることもできる。そして、座面72の前端部を上昇させるために、座面72の前端部に空気室を形成し、該空気室に圧縮空気を供給することによって、座面72の前端部を隆起させることができる。
【0046】
また、急加速があった場合、前記体保持処理手段は、前記空気室に空気供給装置61から圧縮空気を供給し、図12に示されるように、シート71の各部位p1〜p4を隆起させ、同乗者の体を保持する。
【0047】
このように、本実施の形態においては、同乗者の生体情報が取得され、生体情報に基づいて、マッサージ処理、リクライニング処理、又はシート制御処理が行われ、同乗者席に着座した状態の同乗者が支援される。したがって、同乗者は快適に車両に乗ることができる。
【0048】
次に、図2のフローチャートについて説明する。
ステップS1 生体情報取得処理を行う。
ステップS2 同乗者がストレスを感じているかどうかを判断する。同乗者がストレスを感じている場合はステップS3に、感じていない場合はステップS4に進む。
ステップS3 マッサージ処理を行い、リターンする。
ステップS4 眠気が検出されたかどうかを判断する。眠気が検出された場合はステップS5に、検出されない場合はステップS6に進む。
ステップS5 リクライニング処理を行い、リターンする。
ステップS6 シート制御処理を行い、リターンする。
【0049】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS5−1 圧力分布を読み込む。
ステップS5−2 頭部をシートバック73に当てて着座しているかどうかを判断する。頭部をシートバック73に当てて着座している場合はステップS5−3に、シートバック73に当てて着座していない場合はステップS5−4に進む。
ステップS5−3 リクライニング角度を大きくする。
ステップS5−4 リクライニング角度を小さくする。
ステップS5−5 体を保持する。
ステップS5−6 眠りから覚醒したかどうかを判断する。眠りから覚醒した場合はステップS5−7に進み、覚醒していない場合はリターンする。
【0050】
次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS6−1 道路情報取得処理を行う。
ステップS6−2 カーブがあるかどうかを判断する。カーブがある場合はステップS6−3に、カーブがない場合はステップS6−6に進む。
ステップS6−3 右方へのカーブであるかどうかを判断する。右方へのカーブである場合はステップS6−4に、右方へのカーブでない場合はステップS6−5に進む。
ステップS6−4 シート71を右へ傾け、シート71の左側を隆起させる。
ステップS6−5 シート71を左へ傾け、シート71の右側を隆起させる。
ステップS6−6 急減速があったかどうかを判断する。急減速があった場合はステップS6−7に、なかった場合はステップS6−8に進む。
ステップS6−7 座面72の前方を上昇させ、シートバック73を後方に倒す。
ステップS6−8 急加速があったかどうかを判断する。急加速があった場合はステップS6−9に進み、なかった場合はリターンする。
ステップS6−9 シート71の両側を隆起させ、リターンする。
【0051】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態における同乗者支援システムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における同乗者支援システムの動作を示すメインフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるリクライニング処理のサブルーチンを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるシート制御処理のサブルーチンを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における通常の着座状態を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態におけるシートの正面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるマッサージ処理が行われているときの着座状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるリクライニング角度の調節が行われているときの着座状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態におけるシートのリクライニング時の着座状態を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるカーブ走行時の着座状態を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における急減速時の着座状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における急加速時の着座状態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
31 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有することを特徴とする同乗者支援システム。
【請求項2】
前記着座状態調整処理手段は、同乗者席のシートの所定の部位を隆起させることによって同乗者の体を保持する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項3】
前記着座状態調整処理手段は、同乗者席のシートバックを回動させることによってリクライニング角度を調節する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項4】
車両の走行状態を判定する車両走行状態判定処理手段を有するとともに、前記着座状態調整処理手段は、車両の走行状態に基づいて同乗者の同乗者席への着座状態を調整する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項5】
同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得し、該生体情報に基づいて同乗者の状況を判定し、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することを特徴とする同乗者支援方法。
【請求項1】
同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得する生体情報取得処理手段と、前記生体情報に基づいて同乗者の状況を判定する同乗者状況判定処理手段と、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整する着座状態調整処理手段とを有することを特徴とする同乗者支援システム。
【請求項2】
前記着座状態調整処理手段は、同乗者席のシートの所定の部位を隆起させることによって同乗者の体を保持する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項3】
前記着座状態調整処理手段は、同乗者席のシートバックを回動させることによってリクライニング角度を調節する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項4】
車両の走行状態を判定する車両走行状態判定処理手段を有するとともに、前記着座状態調整処理手段は、車両の走行状態に基づいて同乗者の同乗者席への着座状態を調整する請求項1に記載の同乗者支援システム。
【請求項5】
同乗者席に着座している同乗者の生体情報を取得し、該生体情報に基づいて同乗者の状況を判定し、同乗者の状況に応じて同乗者席への着座状態を調整することを特徴とする同乗者支援方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−106626(P2009−106626A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283488(P2007−283488)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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