説明

同時かつ近位の透過イメージングおよび後方散乱イメージングによるX線検査

バッグおよびパッケージに対するX線イメージング検査システム。透過イメージングが、扇形ビームおよびセグメント型検出器を使用して実行され、一方、散乱イメージングが、走査ペンシルビームで実行され、両方のビームは同時にアクティブである。ビーム間のクロストークは、シールド、散乱検出器設計、配置および向きの組み合わせによって軽減され、イメージ処理は、透過ビームから散乱されて散乱検出器の中に入る測定された放射線を差し引き、クロストークを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、代理人整理番号1945/A74の「X−Ray Inspection with Contemporaneous and Proximal Transmission and Backscatter Imaging」と題する、2006年8月11日の米国仮特許出願第60/822,162号からの優先権を主張し、該仮特許出願は、本明細書に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、透過性放射線によって物体を検査する方法およびシステムに関し、さらに詳細には、実質的に同時の透過および散乱プローブによる物体の検査に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
標準的なx線透過イメージングシステムが、何十年もの間、セキュリティ、医療、および検査の用途で使用されている。通常は、医療用透過x線イメージが、x線のコーンビーム(cone beam)を使用し、かつx線フィルムを検出媒体として利用して取得されている。より最近では、x線の扇形ビームが、線形セグメント型検出器アレイと共に使用され、x線供給源と検出器アレイとの間に、扇形ビームを通って伝送される物体の二次元のイメージを作成する。これは、例えば空港などでのセキュリティの用途で、小さなバッグまたはパッケージを調べるための標準的なアプローチでもある。取得される透過イメージは、単一のエンドポイント(end−point)エネルギーのx線管、および各アレイ素子が、ただ1つの検出器チャンネルから成る検出器アレイを使用した、単一エネルギーのイメージであり得る。
【0004】
入射放射線のエネルギーの関数としての差分透過または散乱に基づいたイメージは、2つのエンドポイントエネルギー間で交互に切り替わるx線供給源を使用して、あるいはデュアルエネルギーのセグメント型検出器アレイを使用することによって取得され得る。かかるアレイは、1つのアレイ素子につき、2つの検出器チャンネルを有する。1つの検出器チャンネルは、より低いエネルギーのx線に感応し、一方、第2のチャンネル(x線フィルタもしばしば含む)は、より高いエネルギーのx線を優先的に検出する。低いエネルギーチャンネルおよび高いエネルギーチャンネルからの2つの信号の比率を取ることによって、デュアルエネルギーの透過イメージが取得され得、これによってイメージの各位置における材料の平均的有効原子番号Zを決定することが可能となる。これは、材料が、小さなZ(有機物)、中間のZ、または大きなZ(金属)材料のいずれかに大まかに分離されることを可能にする。この情報は次に、通常、カラーパレットを使用して白黒の透過イメージの上に重ねられ得、材料識別情報をオペレータに伝送するカラーイメージを作成する。
【0005】
後方散乱x線イメージングは、これまでの20年間に使用されており、バッグおよびパッケージの中に、さらには大きな貨物のコンテナおよび乗り物の中に隠された有機材料をより確実に検出、イメージングする手段を提供している。x線の扇形ビームを使用する代わりに、これらのシステムは通常、「フライングスポット(flying spot)」としても公知の、x線の走査ペンシルビームを使用する。後方散乱イメージは、物体の各部分が、ビームによって連続して照明されるときに、ビームから出るコンプトン散乱であるx線エネルギーの量を測定することによって作成される。コンプトン散乱x線は通常、比較的低いエネルギーの散乱x線を検出することに対して最適化されている、広面積の検出器で検出される。物体を走査ビームを介して伝送する間に、走査される物体にわたってペンシルビームをラスタ走査することによって、物体の完全な二次元の後方散乱イメージが取得される。より低いx線エネルギー(約250keVよりも低い)でのコンプトン散乱は、物体の有機領域に最も感応する傾向があるので、この方法は、これらの領域に注目するために使用され得る。
【0006】
x線透過技術および後方散乱技術の組み合わせが、例えば、特許文献1(「Gated Transmission and Scatter Detection」、ここでは別個の、時間的にゲートされた供給源が透過イメージングおよび後方散乱イメージングに対して使用される)、および特許文献2(「Transmission−Enhanced Scatter Imaging」、ここでは同一の供給源が、透過イメージと後方散乱イメージとの両方に対して使用される)に既に教示されている。前記特許の両方は、参考として本明細書に援用されている。透過イメージングと散乱イメージングの両方を使用するシステムは、(両方に対して単一の供給源が使用される場合に)2つのモダリティに対して同一の供給源スペクトルを必要とするか、そうでなければ、特に、散乱検出器に衝突する、通常は高エネルギーまたは高フラックス透過扇形ビームからの散乱光子に起因する、クロストークの問題を克服する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,151,381号明細書
【特許文献2】米国特許第6,546,072号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明の好ましい実施形態に従って、物体を検査するための方法およびシステムが提供される。システムは、透過性放射線の2つの供給源を有し、第1の供給源は扇形ビームを放出し、第2の供給源は透過性放射線の走査ビームを放出する。システムは、物体を介して透過された扇形ビームから透過性放射線の強度を測定する検出器素子のセグメント型アレイ、および物体によって走査ペンシルビームから散乱された透過性放射線を検出する少なくとも1つの散乱検出器を有する。最後に、システムは、透過特徴および散乱特徴を示す少なくとも1つのイメージを形成するプロセッサを有し、該イメージはオペレータに表示され得る。
【0009】
さらなる実施形態において、セグメント型検出器アレイは、デュアルエネルギーの検出器アレイであり得、かつ後方散乱検出器は、コリメートされ得、その結果、後方散乱検出器は走査ビームから散乱されたx線を優先的に検出する。減衰バリアが、透過イメージングサブシステムと散乱イメージングサブシステムとの間に、クロストークを低減するような方法で配置され得る。
【0010】
システムは、ソフトウエアアルゴリズムによって、透過イメージおよび散乱イメージのアスペクト比およびサイズの調節を提供し得、その結果、検査される物体のサイズおよび形状は、両方のイメージにおいて同様に見える。クロストークによる散乱イメージにおける影響は、ハードウエアまたはソフトウエアのいずれかで散乱イメージから差し引かれ得る。一部の実施形態において、散乱検出器信号は、走査ペンシルビームが物体を照明していないときに測定され、クロストークによる影響を決定し、この測定された信号は、走査ペンシルビームが物体を照明するときに、散乱検出信号から差し引かれる。
【0011】
本発明のさらなる実施形態において、1つ以上の散乱検出器が、1つのエネルギーの範囲内において、散乱された散乱x線を優先的に検出し、1つ以上の散乱検出器が、別のエネルギー範囲においてx線を優先的に検出し得る。2組の検出器からの信号は次に組み合わされ得、イメージされた物体の有効原子番号についてさらなる情報を抽出し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、検出器コリメーティング羽根を備えた透過および散乱イメージング検査システムの概略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、透過および散乱イメージング検査システムにおけるx線減衰可撓性バリアの挿置を示す。
【図3】図3は、コリメーティング羽根および検出器の遮蔽を備えた透過および散乱イメージング検査システムの別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の実施形態の詳細な説明)
本発明の前記の特徴は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解される。
【0014】
本発明の実施形態は、透過イメージングモダリティと散乱イメージングモダリティとの間のクロストークの問題を克服する方法およびシステムを提供する。これらの方法およびシステムはまた、ソフトウエアのイメージを処理することを提供し、それによって、イメージングが異なる供給源によって実行されるとしても、オペレータに提示される透過イメージおよび後方散乱イメージのアスペクト比を別の位置で検査を受ける物体と比較可能にする。
【0015】
本発明の実施形態は、本明細書において、x線放射の観点から記述されるが、請求される発明の教示および範囲は、ガンマ線その他を含む任意の種類の透過性放射線に及ぶことは理解されるべきである。
【0016】
扇形ビームとセグメント型検出器アレイとを使用するx線透過イメージングシステムと、走査ペンシルビームを使用する散乱イメージングシステムとを組み合わせることにより、両方の技術の最も良いところを組み込む強力なイメージングシステムが取得される。透過イメージは高分解能のイメージであり、この場合、イメージの分解能は、個々の検出器アレイ素子のサイズによって決定される。デュアルエネルギーのx線供給源、またはデュアルエネルギーの検出器アレイを使用することによって、透過イメージは、イメージされる物体の有効原子番号Zを表示することもできる。後方散乱イメージの分解能は、物体を走査するために使用されるペンシルビームの幅によって決定され、ビームが狭ければ狭いほど、分解能はそれだけますます高くなる。しかしながら、ビームの幅が低減されるにつれ、ビームのx線の数も低減され、利用可能な光子統計値を減少させ、後方散乱イメージの明らかな粒状性を増加させる。従って、使用されるビームのサイズは、イメージの質および分解能との間でのトレードオフである。
【0017】
別個の透過イメージングサブシステムおよび後方散乱イメージングサブシステムを組み込んだ小型のイメージングシステム10が、図1を参照して記述される。例えばパッケージまたはバッグなど、検査される物体20が最初に、x線扇形ビーム25を通ってコンベヤ23で運ばれ、透過イメージが、物体を通して、セグメント型透過検出器アレイ30の検出器素子の各々に透過されるx線強度を測定することによって形成される。物体20がさらに運ばれ、システムの検査トンネルを通るとき、物体20は、後方散乱イメージングシステムのラスタ走査ペンシルビーム35の平面を通過する。後方散乱イメージは、コンベヤ23の下に、または検査トンネルの壁もしくは天井に配置された散乱検出器40によって検出されるコンプトン散乱放射線の強度を測定することによって形成される。
【0018】
(イメージングサブシステム間のクロストーク低減)
透過モダリティおよび散乱モダリティを1つの小型のイメージングシステムの中に組み込むことに対する大きな技術的難問題は、2つのイメージングシステム間のx線放射線の漏れを低減することである。スループットおよび費用という実際的な理由から、透過x線扇形ビームと後方散乱x線ペンシルビームとの両方には、同時に電気を通じる方が好ましい。このことは、物体20によって透過扇形ビーム25から(または検査システム自体の任意の表面から)散乱されたx線は、後方散乱検出器40で検出されることを意味する。同様に、物体20によってペンシルビーム35から散乱されたx線も、透過検出器アレイ30で検出される。後方散乱検出器は、透過検出器素子に対して大きいので、また透過サブシステムは、ペンシルビームよりもむしろ扇形ビームを使用するので、クロストーク(または漏れ)の問題は、大抵決まって一方向である。つまり、放射線は、透過扇形ビームから散乱されて後方散乱検出器の中に入る。このクロストークは、後方散乱イメージの中で、より明るく曇りのある領域として出現するか、またはそのより極端な出現においては、後方散乱イメージの中で垂直のバンディングとして出現する。
【0019】
本発明者らは、システムハードウエアの中に組み込まれた特徴(例えばコリメーション羽根、後方散乱検出器の用心した設計および配置、ならびに透過イメージングサブシステムと後方散乱イメージングサブシステムとの間のX線減衰バリアなど)が、x線の「クロストーク」の影響を低減させ得ることを発見した。
【0020】
コリメーション羽根50の例は、図1に示される。羽根は、後方散乱検出器の視野(「FOV」)が、後方散乱イメージングサブシステムのペンシルビームを含む平面から始まる後方散乱を検出することに限定されるように設計される。透過イメージングサブシステムの扇形ビームから散乱されるX線は、コリメータを通過することはできず、従って後方散乱信号に負の貢献をしない。図1に示される後方散乱検出器40の右手に配置された角度を付けられたコリメータ羽根に付随する問題は、かかる羽根はまた、走査ペンシルビーム35から来る本当の後方散乱信号を低減させることである。従って、ペンシルビーム35に対して平行な単一のコリメータが、右の後方散乱検出器に対して使用される。しかしながら、透過扇形ビームから散乱されるX線はなおも、この検出器に入り、後方散乱イメージの質を下げる。
【0021】
X線ビーム間の望んでいない「クロストーク」をさらに低減するために、透過イメージングサブシステムと後方散乱イメージングサブシステムとの間の望んでいないクロストークを低減する第2の方法は、例えば図2に示されるように、2つのサブシステム間に、例えば鉛のカーテン60のようなx線減衰可撓性バリアを配置することである。バリア(またはバリア(複数))はまた、スインギングドアから成り、スインギングドアは、ばねで負荷されており、これによって閉じた位置にもどる。この実施形態において、透過扇形ビームから散乱されるx線は、後方散乱検出器に入り得る前に、減衰バリアによって遮られる。カーテン(または他のバリア)は、物体20に押されたり、または引っ張られたりして、扇形ビームまたはペンシルビームいずれかを含む平面の中に入り得ないような長さであることが好ましい。本発明者らは、かかるスクリーンは、散乱されて後方散乱検出器の中に入る透過ビームX線の影響を低減することを発見した。
【0022】
(クロストークの差し引き)
上述されたような、x線クロストークを低減するハードウエアの方法に加えて、透過イメージングシステムからの残留クロストークにより後方散乱検出器において誘発される信号は、後方散乱信号から除去するために差し引かれ得る。これは、後方散乱ペンシルビームが瞬間的にオフであるとき、後方散乱検出器からの信号を測定することによって達成される。例えば、走査ペンシルビームが、多くのアパーチャを含む回転チョッパホイールを使用して作成され得る。各アパーチャが、x線管によって照明されると、x線ペンシルビームがアパーチャから現れ、チョッパホイールが回転するにつれて、検査トンネルを全体にわたって掃引する。1つのアパーチャが照明された領域を去って、次のアパーチャが照明された領域に入る丁度その前の短い時間間隔では、ペンシルビームは本質的にオフである。この短い「ビームオフ(beam−off)」時間間隔では、後方散乱検出器からの信号は主に、いつも電気が通されている透過扇形ビームからのクロストークによるものである。この信号は、散乱されて走査線に対する散乱検出器の中に入る透過扇形ビームフラックスの瞬間強度を測定するために使用され、この瞬間強度は次に、クロストーク信号を除去するために、後方散乱イメージにおける走査線から差し引かれ得る。この差し引きは、データ獲得電子機器において、または後でイメージがオペレータに表示される前の処理においてのいずれかでなされ得る。差し引きは、プロセッサが前記の差し引きを含む動作を実行するように遂行するという命令を含む関連するメモリを備えたプロセッサを使用して実行され得る。本明細書において、および任意の添付された請求項において使用される場合、用語「メモリ」は限定なく、ソリッドステートメモリ、磁気媒体、例えばハードディスク、またはプロセッサによって遂行され得る命令を含む任意の他のデバイスを含む。
【0023】
図3のシステム100に示されるように、本発明の他の実施形態において、透過イメージングサブシステムと後方散乱イメージングサブシステムとの間のクロストークは、コリメーション羽根、シールドおよび好ましい散乱検出器の向きの組み合わせによって軽減される。図1のシステムに対する次の改良に留意されたい。
(a)後方散乱検出器140の能動表面は、角度をつけて点143の方に向け、点143から後方散乱信号が発散する。この幾何学的な形状は、後方散乱ビーム135からの後方散乱信号の検出を最大にし、一方、透過ビームからのクロストークの検出を最小とする。この幾何学的な形状はまた、左手の検出器のコリメータ羽根に対する必要性をなくする。後方散乱検出器のすべての他の表面175は、例えば鉛のようなシールド材料で裏打ちされ得、迷走したX線(stray X−ray)の検出を最小とする。
(b)単一の垂直羽根150は、右手の後方散乱検出器の能動面が、透過ビーム125から散乱された放射線を検出しないように、右手の後方散乱検出器の能動面を保護する。
(c)透過ビームの近くのコンベアベルト123の下の鉛のシールド170は、左手の後方散乱検出器140が、透過ビームから散乱された放射線を検出しないように、左手の後方散乱検出器140をシールドする。
(d)透過検出器の前のコリメータ180は、透過検出器の正面から出てくる透過ビームから散乱された放射線が、後方散乱検出器140に達することを防止する。
【0024】
(アスペクト比の修正)
透過イメージおよび後方散乱イメージは、2つの異なる方法で取得されるので、イメージは一般的に異なるアスペクト比を有する。従って、同じ物体が、2つのイメージの各々において、非常に異なる形状およびサイズを有するように現れ得る。このことでオペレータが混乱することをより少なくするために、本発明は、透過イメージまたは後方散乱イメージのいずれか(もしくは両方)のアスペクト比を調節するソフトウエアの方法を含み、これによって透過イメージまたは後方散乱イメージは、オペレータに対して表示されたとき、同じサイズおよび形状を有するように現れる。通常は、(コンベアの方向に沿った)物体の幅は、透過イメージと後方散乱イメージとの両方において同様である。しかしながら、(コンベアの方向に対して垂直な)物体の高さはしばしば、2つのイメージでは異なっている。これを修正するために、公知のスケーリング係数が、イメージのうちの1つに適用され得、物体の高さが各イメージで同じであることを保証する。あるいは、各イメージにおける物体の高さを決定するソフトウエアのアルゴリズムが使用され得、イメージがこれに従ってスケーリングされ得る。
【0025】
これまでに記述された本発明のすべての実施形態は、単に例示として意図されており、当業者には多くの変形例および変更が明らかである。例えば、後方散乱イメージングが上述されたが、本発明の他の実施形態においては、他のタイプの散乱イメージングが使用され得る。別の例は、ただ1つのX線供給源を含むシステムであり、このシステムにおいては、透過扇形ビームと走査ペンシルビームとの両方が、同じ供給源から抽出される。すべてのかかる変形例および変更は、添付された任意の請求項において定義されているとおり、本発明の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を検査するシステムであって、該システムは、
a.透過性放射線の扇形ビームを放出する第1の放射線供給源と、
b.該第1の放射線供給源によって該物体を介して伝達された該透過性放射線の強度を測定する検出器素子のセグメント型アレイと、
c.透過性放射線の走査ペンシルビームを放出する第2の放射線供給源と、
d.該物体によって該走査ペンシルビームから散乱された透過性放射線を検出する少なくとも1つの散乱検出器と、
e.プロセッサ、メモリ、およびディスプレイであって、該メモリは、該プロセッサに、
該散乱検出器からの測定された信号からバックグランド信号を差し引くことであって、該バックグランド信号は、該走査ペンシルビームが該物体を照明していないときに該散乱検出器によって測定され、それによって修正された測定された散乱信号を形成する、ことと、
該修正された測定された散乱信号、および該検出器素子のセグメント型アレイから測定された透過信号を、該物体を検査する際に使用するために、該ディスプレイに表示することとを行なわせる命令を含む、プロセッサ、メモリ、およびディスプレイと
を備えている、システム。
【請求項2】
前記扇形ビームを放出する前記第1の放射線供給源、および前記走査ペンシルビームを放出する前記第2の放射線供給源は、同一の放射線供給源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの散乱検出器は、透過性放射線をコリメートする手段を含み、それによって前記走査ペンシルビームからの透過性放射線は優先的に検出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの散乱検出器は実質的に平坦な面を含み、該平坦な面は入射放射線に感応し、該平坦な面は、該面に対する法線によって特徴付けられ、該面に対する法線は、前記物体に対する走査ペンシルビームの入射点に実質的に向けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記散乱検出器の、前記平坦な面以外の少なくとも1つの表面は、前記扇形ビームからの透過性放射線の検出を低減するためにシールドされる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記扇形ビームと前記少なくとも1つの散乱検出器との間に配置されたバリアをさらに含み、これによって該扇形ビームに起因する該散乱検出器から測定された信号が低減される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記バリアは、前記扇形ビームに対して実質的に平行に配置されたカーテンである、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記バリアは、前記扇形ビームに対して実質的に平行に配置されたスインギングシールドである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記バリアは、前記扇形ビームに対して実質的に垂直に配置されたシールドである、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記メモリは、前記プロセッサに、前記測定された透過信号および前記修正された測定された散乱信号のアスペクト比ならびにサイズを調節することを行なわせる命令をさらに含み、それによって前記物体の該サイズおよび形状は、該測定された透過信号のディスプレイにおいて、および該修正された測定された散乱信号のディスプレイにおいて同様に現れる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記検出器素子のセグメント型アレイは、第1のエネルギー範囲における放射線を測定する第1の組の素子と、第2のエネルギー範囲における放射線を測定する第2の組の素子とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記メモリは、前記プロセッサに、前記第1の組の素子からの測定値および前記第2の組の素子からの測定値を使用して、前記物体の少なくとも1つの部分の有効原子番号を決定することと、該物体の少なくとも1つの部分のイメージを前記ディスプレイに表示して、該部分の該有効原子番号を示すこととを行なわせる命令をさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記検出器素子のセグメント型アレイはコリメータを含み、該検出器のセグメント型アレイから散乱され、前記散乱検出器に入射する扇形ビーム透過性放射線を低減する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
物体を検査するシステムであって、該システムは、
a.透過性放射線の扇形ビームを放出する第1の放射線供給源と、
b.該第1の放射線供給源から該物体を介して伝達された該透過性放射線の強度を測定する検出器素子のセグメント型アレイであって、該アレイはコリメータを含み、該アレイによって散乱された放射線を遮る、アレイと、
c.透過性放射線の走査ペンシルビームを放出する第2の放射線供給源と、
d.該物体によって該走査ペンシルビームから散乱された該透過性放射線を検出する少なくとも1つの散乱検出器であって、該散乱検出器は、該扇形ビームから散乱された放射線を遮る手段をさらに含む、散乱検出器と、
e.プロセッサ、メモリ、およびディスプレイであって、該メモリは、該プロセッサに、
該散乱検出器から測定された信号からバックグランド信号を差し引くことであって、該バックグランド信号は、該第2の放射線供給源が該物体を照明していないときに該散乱検出器によって測定され、それによって修正された測定された散乱信号を形成することと、
該修正された測定された散乱信号、および該検出器素子のセグメント型アレイから測定された透過信号を、該物体を検査する際に使用するために、該ディスプレイに表示することとを行なわせる命令を含む、プロセッサ、メモリ、およびディスプレイと
を備えている、システム。
【請求項15】
前記扇形ビームを放出する前記第1の放射線供給源、および前記走査ペンシルビームを放出する前記第2の放射線供給源は、同一の放射線供給源である、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記検出器素子のセグメント型アレイは、第1のエネルギー範囲における放射線を測定する第1の組の素子と、第2のエネルギー範囲における放射線を測定する第2の組の素子とを含み、前記メモリは、前記プロセッサに、
前記測定された透過信号および前記修正された測定された散乱信号のアスペクト比ならびにサイズを調節して、それによって前記物体の該サイズおよび形状は、該測定された透過信号のディスプレイにおいて、および該修正された測定された散乱信号のディスプレイにおいて同様に現れる、ことと、
該第1の組の素子からの測定値および該第2の組の素子からの測定値を使用して、該物体の少なくとも1つの部分の有効原子番号を決定することと、
該物体の該少なくとも1つの部分のイメージを該ディスプレイに表示して、該部分の該有効原子番号を示すこととを行なわせる命令をさらに含む、請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−500576(P2010−500576A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523942(P2009−523942)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【国際出願番号】PCT/US2007/075323
【国際公開番号】WO2008/021807
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(308022988)アメリカン サイエンス アンド エンジニアリング,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】