同期されたバックライト、偏光制御パネル及び液晶ディスプレイを備える立体視フラットパネルディスプレイ
【課題】相対的に早い応答時間を有し、特に、高速のアプリケーションに有用な改良された液晶ディスプレイ設計を提供する。
【解決手段】液晶ディスプレイデバイスは、立体視画像を表示し、LCDパネル、及びLCDパネルを所望の立体視表示状態へと駆動する制御電子回路を備える。制御電子回路は、画像入力1601、ステレオ同期入力1602が配置され、これらによって、ビデオプロセッサ1603に、右目フレーム及び左目フレームの区別を提供する。メイン制御部1604は、ユーザーインタフェース1605の要求に応答してディスプレイの管理機能を提供しており、また、バックライトドライバ1607及びπセルドライバ1608と画像とを同期させる。
【解決手段】液晶ディスプレイデバイスは、立体視画像を表示し、LCDパネル、及びLCDパネルを所望の立体視表示状態へと駆動する制御電子回路を備える。制御電子回路は、画像入力1601、ステレオ同期入力1602が配置され、これらによって、ビデオプロセッサ1603に、右目フレーム及び左目フレームの区別を提供する。メイン制御部1604は、ユーザーインタフェース1605の要求に応答してディスプレイの管理機能を提供しており、また、バックライトドライバ1607及びπセルドライバ1608と画像とを同期させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、表示装置の技術に関し、特に、液晶ディスプレイに関する。
【0002】
[優先権情報]
本願は、2007年6月8日出願の米国仮出願60/933,776号、「表示デバイス」発明者Joseph Chiu等の優先権を主張する2008年6月4日出願、米国特許出願12/156,683号、「表示デバイス」の一部継続出願である。また、本願は、2009年8月7日出願の米国仮出願 61/232,346号、「液晶三次元ディスプレイ」の優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。また、本願は、MPEP710.05章に従って、2009年8月7日の優先日の次の第1営業日である2010年8月9日に出願されたものである。
【背景技術】
【0003】
現在は、液晶ディスプレイは、広く普及している。液晶ディスプレイでは、非常に短い時間に画素にデータを提供する能力に限界があることから、立体視や裸眼立体視のような複雑なアプリケーションにおいて高品質な画像を提供する能力が限られてしまっている。現在入手可能なディスプレイの多くは、立体視アプリケーションで高画質を提供するのに必要とされる応答時間条件を満たしていない。その結果、特に、暗い色(例えば、黒)から明るい色(例えば、白)への遷移、及びその反対の遷移が発生する時に、理想的な高品質な画像を提供できていない。このように、液晶ディスプレイにおける高速応答時間の実現が望まれている。
【0004】
上記のように、従来の設計と比較して、より改良された機能を有する液晶ディスプレイを提供することが望まれており、これに限定されないが、立体視画像又は裸眼立体視画像のような高品質な画像の表示に適した高速応答時間を提供可能な液晶ディスプレイが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本設計の一側面によれば、立体視画像を表示し、LCDパネル及びLCDパネルを所望の立体視表示状態へと駆動する制御電子回路を備える液晶表示装置を提供する。制御電子回路は、立体視画像の相対的な高速表示が可能となるように、LCDパネルを所望の状態へと切り替え、オーバードライブする遷移期間を採用する。
【0006】
本開示の他の側面によれば、立体視画像を表示可能なフラットパネルディスプレイを提供する。表示装置は、選択的に光を提供可能な複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライトを備える。表示装置はまた、複数の変調領域を有する液晶(LC)変調パネルを備える。表示装置はまた、複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)を備える。複数の偏光制御セグメントは、変調領域からの変調された入射光の偏光状態(SOP)を選択的に変換してもよい。選択された1つの変調領域が、左目画像データとして指定されて、偏光制御命令が、この選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに提供される。偏光制御命令は、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、偏光制御セグメントが左目偏光表示モードで動作するように制御する。選択された変調領域が整定し、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する時に、選択された照明部分から選択された変調領域へと光が供給される。
【0007】
本設計の別の側面に寄れば、立体視フラットパネルディスプレイにおいて立体視画像を表示する方法を提供する。ディスプレイは、複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライト、複数の変調領域を有する液晶(LC)変調パネル、及び複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)を備える。バックライトは、光を選択的に、LC変調パネルに提供することができる。偏光制御セグメントは、変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換させることができる。方法は、LC変調パネルにおける選択された1つの変調領域における複数のデータ線に、左目画像データを指定する段階を備える。方法はまた、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに、偏光制御命令を供給する段階を備える。偏光制御命令は、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、偏光制御セグメントが左目偏光表示モードで動作するように制御する。方法はまた、1以上の選択された照明部分から、選択された変調領域へと光を供給する段階を備える。選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定した変調領域を含む。
【0008】
これら及びその他の本開示の利点が、以下の発明の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。本発明は、添付の図面に、例として示されており、これに限定されることは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】完璧な表示装置の理想的代表例を示した図である。
【図2】LCDディスプレイの画素輝度における変化が、瞬時に起こらない様子を示した図である。
【図3】図2よりも高速なLCDにおける画素輝度の変化を示した図である。
【図4】ディスプレイの初期状態と最終状態との間に、中間の視認される画素輝度が存在しないディスプレイにおけるオーバードライブの原理を示した図である。
【図5】1フレーム又は1フィールドの期間において、高い値から又は低い値のいずれから開始しても、液晶が目標とする値に達することを示した図である。
【図6】立体視モードで動作するディスプレイの理想化した代表例を示した図である。
【図7】観察者に示す左目画像と右目画像との間の遷移を示した図であり、視認される輝度も左目画像から右目画像へと遷移する。
【図8】液晶応答の曲線を示した図である。
【図9A】ディスプレイと認識される輝度との相対的な動作を表した図である。
【図9B】オーバードライブの必要性を表した図である。
【図10】左目と右目とに異なる値を示している様子を表した図である。
【図11】オーバードライブが、液晶の開始状態及びそのフレームにおける所望の視認画素輝度に依存することを示した図である。
【図12】本設計の現実的な一実装例のレイアウトを概略的に示した図である。
【図13A】LCDディスプレイの走査の性質を示した図である。
【図13B】LCDディスプレイの走査の性質を示した図である。
【図14A】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたバックライトを示した図である。
【図14B】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたバックライトを示した図である。
【図15A】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたπセルを示した図である。
【図15B】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたπセルを示した図である。
【図16】処理電子回路の機能関係を示した図である。
【図17】ビデオプロセッシング電子回路の機能図である。
【図18A】フラットパネルディスプレイシステムのアドレスサイクルを概略的に示した図である。
【図18B】図18Aに示した、ディスプレイシステムの簡略化したタイミングシーケンスを描いた概略タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、完璧な表示装置の理想的代表例が示されている。この図に示されている軸101は、画素輝度を表し、軸102は、時間を表している。図面には、点線106及び点線107が描かれている。これらの点線は、フレーム更新間隔を表している。すなわち、104で示されているように、16ミリ秒間隔で、新たな画素値を表示するべくディスプレイが更新される。この図1において、103で示した期間の間は、画素は一の値であり、時間位置107においてディスプレイが更新されて、画素は、期間105で示される新しい値となる。理想的には、画素は、108で示されている垂直の勾配で表されるように、瞬時に変化する。この、理想的な"完璧な世界"でのディスプレイでは、一の値を保持する画素が更新されると、直ちに、新たな値へと移り、その値を保持する。
【0011】
図2は、現実的な世界での液晶装置の実装を示したものであり、画素輝度の変化は、瞬間的に起こらない。図1と同様に、軸201は、画素輝度を表し、軸202は、時系列を表している。各表示フィールドに対する時間間隔は、204に示されるように、16ミリ秒である。点線206及び点線207、及び全てのその他の点線は、ディスプレイがリフレッシュされる時を示している。2つのフレームにまたがる画素値の組の一つが、期間203で表されている。時間207において、期間205で示されている定常状態である新たな値を画素に設定するべくディスプレイを更新する。図1の108で示されるその反応が瞬間的である場合とは異なり、図2では、208において、液晶がゆっくりと反応し、最終的な画素値に達する。そして、この図2に示す例では、非常に遅いパネルが示されており、画素が最終的な定常値に達するまでに、1フレーム期間以上掛かっている。
【0012】
図3は、図2と同様な図であるが、図2よりも速い液晶デバイスの場合が示されている。同様に、図3においても、軸301は、画素輝度を表し、軸302は、時間を表している。フィールド間隔は、304で示されるように、16ミリ秒であり、フレーム更新が、縦の点線(例えば、306及び307)によって示されている。図3には、画素が、期間303で示されている最初の2フレームにわたって定常値であって、その後に、期間305で示される定常状態値に最終的になるように更新される様子が示されている。時間位置307で開始し、期間308で示される遷移期間には、時間307で発生した更新に応答して、液晶輝度が変化し、1フレーム期間内に完了している。この図では、あるフレームレートにおいて、画素値を変更でき、定常状態値へと安定することができる液晶ディスプレイの代表例が示されている。
【0013】
図3には又、一連の斜線、309、310及び311が示されており、これらの斜線は、上記のフィールド期間における液晶の平均値を表している。定常状態期間303の間、液晶の輝度は一定であり、同じ位置における同じ時間の期間(すなわち、斜線309、及び、表示又は定常状態期間305)の画素で視認される平均輝度は、斜線311で示されている画素輝度と同じ水準であるかのように感じる。しかしながら、時間307から開始するフレーム期間では、液晶は、期間308で示される遷移状態となるため、画素輝度の平均値は、開始時の値と終了時の値との間となり、斜線310で表されている。
【0014】
図3に示す例は、8ミリ秒のパネルで一般的に見られる事例を示したものである。ある適用例では、認識される画素輝度310である遷移値が、初期輝度309と最終輝度311との間の値になる。
【0015】
この"中間の"値では、視覚的に不快であると感じる観察者が存在する。図4は、ディスプレイの初期状態と最終状態との間の中間視認画素輝度が存在しないような、速い反応速度で動作するディスプレイが示されている。図4では、軸401が輝度を表し、軸402が時間を表している。図4では、参照番号404で示されているように、16ミリ秒のフレーム間隔が採用されている。期間403に、初期画素輝度が示されており、対応する認識される画素輝度が、斜線409で表されている。縦線407A、407B及び407Cは、フィールドが更新された時点を表し、斜線411は、ディスプレイの最終的な値を表している。
【0016】
参照番号409で示すように、一の値で表される輝度を有する画素を最初に表示する場合には、ディスプレイは、一見、瞬時に、斜線411で示される新たな表示へと変化するように見える。液晶は、時間位置407A及び407Bの間のフィールド間に応答し、そのフィールドの平均輝度が、参照番号411で示される意図した視認される画素輝度に実質的に一致するように、低値から高値へと遷移する。
【0017】
この407A及び407B間の第1の遷移において、液晶は、期間408Aで示されている期間に変化する。そして、液晶は、第1フィールドの最後の部分に405Aで示されている定常状態へと達する。この時点で、液晶によって生成される画素輝度は、411で示されている所望の視認される輝度を超えており、斜線411で示されている画素輝度に見せるために、画素は、時間407Bと407Cとの間の次のフィールドにおいて、新たな値へと駆動されて、このフレーム間の画素輝度の平均を、411で示される値に一致させる。液晶が更新され、液晶曲線は、408Bの期間に遷移して、405Bでは定常状態となる。このフレームにおける平均値が、再び、斜線411で示される視認輝度目標に合致する。
【0018】
この時点で、このフレームの終わりに、液晶の瞬間的な輝度は、所望の視認される輝度を僅かに下回るため、別の値を使用して、再び液晶を駆動させるプロセスを繰り返す。液晶は、期間408Cで示されるように、再び遷移し、405Cで示される定常状態に達する。したがって、図4は、実際の所望する目的の輝度値以上の又は上回る値へと、液晶を意図的に操作するオーバードライブ技術を示したものであり、表示の応答速度が速くなったかのように錯覚させている。これは、斜線411で示されている平均輝度値が、目的とする値を表し、図3の斜線310で示すような中間の値を形成していないように見えることから、応答速度が速くなっているように感じられる。
【0019】
図5は、オーバードライブオペレーションを、フィールドレートが16ミリ秒の場合に拡張したものである。軸501は、液晶による画素輝度を表し、軸502は、時系列を表している。期間504は、16ミリ秒のフレーム間隔である。図5には、表示が、高輝度値又は低輝度値から開始してもよいことが示されている。以前の画素値が高輝度値であった場合には、液晶は、506の位置にある。低い輝度値から開始する場合には、509の位置にある。
【0020】
505で示される定常状態の期間において、507で示されるレベルである中間レベル値が望ましい場合には、システムはディスプレイを更新する。システムが高値506から開始し、中間値507を達成することを試みる場合、液晶が曲線508Aをほぼ辿るようにディスプレイを更新するように、装置はディスプレイに命令する。そのフレームの期間において液晶は定常状態値に達するため、そのフレームの終わりの時点では、液晶は、期間505で示される定常状態に達する。
【0021】
液晶が、下回る値から駆動される場合には、値509から開始して、目的とする値507に達するようにするべく、システムはディスプレイを、値507で示される定常状態値に達するのに適切な値へと更新する。液晶は、曲線508Bをほぼ同様に辿って応答し、定常状態505に達する。
【0022】
高い値から始まる、又は低い値から始まるいずれの場合にせよ、1フレーム又は1フィールド504の間に、液晶が、目的の値507に達する。
【0023】
以上説明した全ての設計側面では、平面モードで使用される液晶ディスプレイの画素応答について記してきた。本設計は、特に、立体視ディスプレイを対象とし、図6には、立体視モードで動作するディスプレイの理想化された代表例が示されている。この場合の立体視ディスプレイでは、平面モードでのアプリケーションと比較して、更なる考慮が必要となる。軸601は輝度を表し、軸602は時間を表している。図6では、1つおきのフィールド又はフレームが、左目と右目との間の切り替えを表しており、図6におけるフレーム間隔は、604で示されているように8ミリ秒である。ここでは、フリッカが現れるのを低減するためにフレーム間隔を8ミリ秒にしており、十分に高いリフレッシュレート又は十分に短いフィールド時間を使用することにより、フリッカを減少させることができる。
【0024】
この代表例では、左目画素値と右目画素値とが異なっており、高い画素値と低い画素値とが存在する。例えば、低い値は、左目に、高い値は、右目に対応する画素値であってもよい。画素値は609で表されており、高い値は右目、低い値は左目に対する画素値である。理想的な条件下では、左目に望ましい画素値の代表例が、603A、603B及び603Cで示されており、右目に望ましい画素値の代表例が、605A、605B及び605Cで示されている。この理想的な条件下では、画素は、点608A、608B及び608Cで示されるように瞬間的に変化する。
【0025】
上述したように、液晶の応答時間は、瞬間的なものではない。実際には、液晶が遷移するのにかかる時間が存在する。図7には、左目が見る画像と右目が見る画像との間のシフトが表されており、液晶ディスプレイは、観察者に対して、左目画像から右目画像へとシフトする視認輝度を表示し、視認される輝度は、斜線709A、711A、709B及び711Bで示されている。各フレーム期間(ここでのフレーム間隔は、704で示されるように8ミリ秒である)において、この視認される値を達成するために、液晶は、各フレームにおける平均値が斜線709A及び711Aとなるように、708A及び708Bで示される遷移期間を有する。
【0026】
図8には、液晶応答の曲線が示されている。軸801は、輝度を表し、軸802は、時間を表している。期間804で示されているように、1フィールドは、8ミリ秒の長さを有する。図8に示すように、高い値806又は低い値809から始まり、目的の値807へと遷移する。図3では、液晶が、低い値から高い値へと遷移する期間は、308で示されていた。同様に、図8では、遷移が808Bで示されている。図8に示されている例では、低い値から目的の値への遷移、すなわち、低い開始点である値809から目的の点807への遷移が示されている。また、高い値806から開始して目的の値807への遷移では、液晶が、曲線808Aをほぼ辿る。
【0027】
図3に示すように、フィールド間隔が16ミリ秒である場合には、LCが高い値から開始しようとも、低い値から開始しようとも、期間805における液晶の定常状態値807に、1フレーム内に又は16ミリ秒内に到達する。
【0028】
図8において、フィールド間隔が、8ミリ秒と短いようなフィールドレート又はフレームレートである場合には、点809(低い値)から開始して、目的とする値807を達成しようとしても、フレームの終わりの時点で、液晶は目的の値又は定常値に届いておらず、実際には、中間値811に到達するのみである。液晶が、高い値806から開始し、ディスプレイに目的の値807に到達するように命令したとしても、最初のフレームの終了時点では、中間値812に到達するのみである。
【0029】
図9Aでは、軸901は輝度を表し、軸902は、時間を表している。904は、フィールドレート又はフレーム継続時間を表しており、ここでは、8ミリ秒である。斜線911は、1フレームにおける所望の視認される輝度を表している。
【0030】
フレームが低い値909から始まった場合、システムは液晶を、所望の視認輝度よりも高い目的とする値、すなわち、高い値907Bへと駆動する必要がある。液晶を、909から目的とする値907Bへと駆動するとき、液晶は、実質的に曲線908Bを辿る。システムが、8ミリ秒の間隔を有さず、液晶をそのまま継続させた場合には、液晶は、最終的には、点線905Aを辿り、定常状態に達する。
【0031】
フレームが高い値906から開始して、平均輝度911が望ましい場合には、システムは、液晶を目的とする値907Aへと駆動する必要があり、液晶は、最初のフレーム期間に、曲線908Aを辿る。オペレーションがそのまま継続するとすれば、液晶は、点線を辿り、定常状態905Bに到達する。
【0032】
図9Aでは、斜線911で示される視認される画素輝度を表示するために、システムは、液晶の実際の状態が高いのか低いのかに応じて、異なる目的値をディスプレイに送信する必要がある。そして、908B又は908Aのいずれかの異なる曲線を、最初のフレームの期間に辿り、平均すると、所望の視認輝度911が表されることとなる。
【0033】
特定の画素輝度が望ましい(図9Bの場合には、斜線911を超える画素輝度)という図9A(及び図4)で説明した考え方を、図9Bでは、より詳細に説明したものであり、システムは、一連のオーバードライブ曲線を採用する必要がある。軸901は輝度を、軸902は時間を表している。図9Bには、液晶が、低い値から開始して、最初のフレームにおいて、曲線908Aを辿る。液晶が、曲線を辿った場合には、点線905Aで表されている定常状態を達成すると考えられる。
【0034】
しかしながら、最初の更新の後に、液晶が、新たな曲線908Bを辿る必要が発生したとする。新たな曲線は、曲線905Bの定常状態を達成することを意図したものである。第2フレームの終了時に、システムは、液晶が曲線908Cを辿るように、ディスプレイを再び更新する。曲線908Cは、点905Cにおける定常状態にするべく、液晶を駆動する遷移曲線である。
【0035】
図8、9A及び9Bにおいて、液晶は、曲線がまだ平衡状態に達していない、遷移状態を経験する。フレーム更新のそれぞれにおいて、液晶は、新たな曲線へと移り、液晶は、定常状態に達する機会を得ることがない。
【0036】
図10では、左目と右目とでは、異なる画素値を表示しなければならないという理念に戻る。図10では、軸1001は輝度を表し、軸1002は時間を表している。図10では、立体視静止画像が表示され、左目には1の画素値が示され、右目には別の異なる画素値が示される。左目の画素値は変化することなく、右目の画素値も変化することはない。
【0037】
静止画においては、右目の画素値は、斜線1009Aで表されており、左目の画素値は、斜線1011A及び1011Bで表されている。液晶は、輝度1014の状態から開始する。フレームにおいて、視認される輝度が、斜線1009Aで示される輝度であるかのように見せるためには、液晶は、曲線1008Aを近接して辿る必要がある。液晶を、曲線1008Aを辿るようにさせるべく、システムは、ディスプレイに、目的とする値1014を命令し、フレームの終わりには、液晶が輝度1013に到達する。
【0038】
左目の画素値の場合には、所望の視認される画素輝度は、斜線1011Aで表されている、又は1012における輝度である。このレベルの輝度を達成するべく、曲線1008Bを辿るように、液晶をオーバードライブする必要がある。それには、システムは、ディスプレイに、最終値1015に向けて液晶をドライブさせ、2番目のフレームの終わりには、液晶が輝度値1014に達する。
【0039】
今度は、右目画像に戻り、液晶を実質的に曲線1008Cを辿らせるようにするべく、目的とする値1014をディスプレイに命令する。このようにディスプレイに命令することにより、液晶が曲線1009Bを辿り、フレームの終了時点で、液晶が、輝度値1003に到達する。右目に対してプロセスを繰り返すことにより、視認される輝度が1009Aとなり、また、左目に対する視認される輝度が、斜線1011A及び1011Bで示したものとなる。
【0040】
図11では、軸1101は輝度を表し、軸1102は時間を表している。図11では、非静止画(動画)の場合が示されており、期間1103における左目画素値と右目画素値の組み合わせの1つが示されている。しかしながら、期間1104において、画像が変化するために、画素値の異なるセットを取得することになる。視認される画素値の一例が、斜線1109A、1109B、1109C及び1109D(左目)、並びに、1111A、1111B、1112A及び1112B(右目)で示されている。期間1103の間、右目は、斜線1111A及び1111Bで示される画素輝度であり、期間1104の間は、視認される輝度が、斜線1112A及び1112Bで示されている。
【0041】
図10と同様に、期間1103の間は、液晶がオーバードライブされて、液晶が、曲線1108A、1108B、1108C、1108D及び1108Eを辿るようになっている。このように、平均画素値が、斜線1109A、1111A、1109B、1111B及び1109Cになる。期間1104において新たな右目視認画素輝度が示され、新たな平均画素値を辿る曲線が、斜線1112Aで示されている。このレベルの画素輝度を示すために、液晶は、新たな曲線1108Fに駆動されなければならず、これは、曲線1108D及び1108Bとは異なる。
【0042】
この新たなオーバードライブにより、新たな画素輝度が表示される。オーバードライブの結果、曲線1108Fを辿ることとなり、視認画素輝度1112Aを達成するが、左目画素値を表示するためには、次のフレームでは、曲線1108Gを近接して辿る必要がある。この曲線は、同様な平均輝度を達成するために使用された曲線1108E、1108C又は1108Aとは異なっている。斜線1109Dで示される輝度が、1109A、1109B及び1109Cで示される視認画素輝度と同じではあるが、1109D(曲線1108G)を達成するのに使用される曲線は、1109A、1109B及び1109Cで示されている視認輝度を達成するために使用された曲線、すなわち曲線 1108A、1108C及び1108Eとは異なっている。
【0043】
そして、点1112Bにおける視認される画素輝度が、点1112Aで示される輝度と同じではあるが、液晶の初期状態が異なる点から始まっているため、曲線1108Hは、曲線1112Aとは異なるものとなる。すなわち、オーバードライブは、液晶の初期状態の情報、及びフレームにおける所望の視認される画素輝度に依存していることが分かる。フレームの終わりにおいて、液晶は、異なる輝度レベルとなる。
【0044】
図12には、本設計の現実的な実装レイアウトが概略的に示されている。3次元(3D)画像が、外部のソース1201から提供される。ソース1201は、順次フレーム及びフォルダ形式(canister format)を含む複数の様々な3D形式であってもよい。このソースが、処理モジュール1202に供給される。1以上の処理モジュールが配置されてもよい。処理モジュールにおいて、複数の画像が配列されて、左目画像と右目画像が交互に配置される。これらの画像は、順次的にTFTパネル1204に供給され、TFTパネル1204をバックライト1203で照明することにより、表示される。左目フレームと右目フレームとを区別するには、左目フレーム及び右目フレームを順次的に(高フレームレートで)表示して、π(Pi)セル1205によって動的に偏光状態を変化させ、左フレームと右フレームとで、反対の円偏光状態を適用する。偏光状態は、偏光眼鏡1206によって分解されて、左目画像と右目画像とを、対応する正しい眼の方に順次向けることができる。
【0045】
図16は、処理電子回路の機能的関係を表した図である。処理モジュールは、入力された画像を解読し管理するのに必要な制御電子回路で構成されており、ディスプレイの動作を制御及び管理する。図16のブロック図には、処理電子回路の機能的関係が描かれている。
【0046】
図16に示すように、画像入力1601、必要に応じて設けられるステレオ同期入力1602が配置され、これらによって、ビデオプロセッサボード1603に、右目フレーム及び左目フレームの区別を提供するようにしてもよい。ビデオプロセッサブロック内の機能は、図17に、より詳細に記載している。制御部1604は、ユーザーインタフェースの要求に応答してディスプレイの管理機能を提供しており、また、バックライトドライバ1607及びπセルドライバ1608と画像とを同期させる。バックライトドライバ1607は、複数のバックライトセグメントを切り替えるタイミングを制御する(図14A及び図14B参照)。
【0047】
ディスプレイスタックは、ディスプレイの表示要素で構成されている。バックライトドライバ1607で制御されるLEDバックライト1609は、ディスプレイの特定の行が照明され、その他の行は照明されないような態様で、ディスプレイを照明する。バックライトは、複数の白色LED(発光ダイオード)、RGB3色のLED、又は熱陰極蛍光ランプによって、形成されていてもよい。バックライト拡散器1610は、ディスプレイパネル1611を均一に照明する機能を果たす。ディスプレイパネルは、通常は、アクティブマトリクスLCDタイプのパネルであり、ビデオ信号をビデオプロセッサから受信する。πセル1612は、左円偏光と右円偏光との間で偏光状態を切り替える役割を果たす。
【0048】
好ましい実施形態では、LEDバックライトモジュール1609は、およそ12.5インチ×15.5インチの大きさのPCBに、120個のLEDが10行×12列のグリッド上に配置されている。複数のLEDはそれぞれ、およそ1.1インチの間隔で中心に配置されている。各行におけるLEDは、直列に配線されて、その他の行とは独立して、オンオフされる。
【0049】
複数の行が、順次照明されて、上部から下部まで照明の細長い帯によって操作される。照明の帯は、1以上の行を含む。
【0050】
拡散器は、ディスプレイパネル及びバックライトLEDとの間に配置されて、バックライトからくる照明密度を均一にしている。拡散器はまた、バックライトの行からの光を管理して、光が隣接する行に漏れてしまうのを最小限にしている。
【0051】
πセル又はパイセルは、米国特許第4,792,850号明細書に記載されているものと同様なものであり、表示画像を、2つの偏光状態のうちの一方にエンコードする。一側面において、πセルは、16セグメントを有する(図15に複数のセグメントが示されている)。適切なバイアス電圧及び駆動電圧を印加することにより、πセルセグメントのそれぞれを、1/2波長位相差板又は等方とすることができる。πセルは、TFTパネルの直線偏光角度に対して45度の角度に選択される進相軸を有する。
【0052】
また、1/4波長位相差シートが、πセルに積層されている。1/4波長位相差シートは、その進相軸が、πセルに対して90度となるように向けられている。必要に応じて、さらに、反射防止膜をπセルアセンブリに積層してもよい。πセルセグメントはそれぞれ、πセルドライバに接続されて、個別に指定される。
【0053】
図17は、ビデオ処理電子回路の機能図である。表示すべき画像が、高速LCDモニタに、画像ソースとモニタとを繋ぐ入力ケーブルを介して入力される。画像は、フレーム順次の立体画像、又はファイル形式(canister)と組み合わされた立体画像であってもよく、同時二重入力立体画像であってもよい。非立体画像表示の場合には、画像は、非立体画像であってもよい。
【0054】
また、ビデオソースからのステレオ同期信号が存在し、ビデオソースから現在出力されている画像が、どちらの目に対する画像かを示してもよい。
【0055】
システムは、ビデオ信号を解析して、解像度及びビデオタイミングを決定する。解像度が、画像表示パネルの本来の解像度に合致する場合には、ビデオタイミングは、画像表示パネルに適合し、形式は、順次L−R画像(ページフリップ)であり、立体画像を快適に見ることができるよう十分に高いリフレッシュレートに設定され、画像信号は、1701で示されている入力バッファリングを迂回する。
【0056】
しかしながら、上記の条件のうちの1つでも満たさないものがある場合には、入力されたビデオは、入力バッファ1702にバッファされて、画像表示パネルの所望の動作に合致するように、及び立体視の観察に快適な所望の出力フレームレートに合致するように、適切な順番及びタイミングで読み出される。
【0057】
入力バッファリングにより、低い解像度の画像と、モニタの画像表示パネルの元の解像度の中心点とを一致させることができる。例えば、入力ビデオが、1024×768の解像度である場合、モニタは、上側、下側、左側及び右側に画素を追加して(パッドして)、画像を、モニタ本来の解像度1280×1024に適合させることができ、必要に応じて入力画像を入力バッファから読み出して、モニタの中心領域に画像を描くことができる。
【0058】
また、入力バッファは、入力画像の二重又は三重フラッシュを可能とする。例えば、フレーム順次ステレオビデオは、60ヘルツで入力され、30ヘルツを左目に、30ヘルツを右目に割り当てることができる。左目画像と右目画像の組が、本来のフレームレートで表示される場合には、それぞれの目には30ヘルツの画像が表示されることから、不快なフリッカが発生してしまうと考えられる。フリッカを低減するために、元の画像の組の半分の期間で画像の組を表示させ、この画像の組をもう一度繰り返して表示させることによって、フレームレートを2倍にする。フラッシュを3倍にするには、画像の組を、元の画像の組の3分の1の時間で表示し、この画像の組をさらにもう2回繰り返して表示する。
【0059】
入力バッファはまた、1つのファイル形式フレーム(canisterフレーム)で立体画像を受信することを可能とし、これを、後の段階で、左フレームと右フレームに分割することを可能にする。
【0060】
"入力バッファリング"段階を経たビデオデータ(入力バッファリング処理を迂回したデータ、又は、パッド処理、二重/三重フラッシュ、及びファイル形式分離のうちのいずれかを経たデータ)は、画像表示パネルに適した解像度及びタイミングにフォーマットされて、適切な立体画像表示に公的なタイミングを有するようになる。出力フレーム選択1703では、選択されたフォーマットに応じて、表示すべき正しいフレームを選択する。
【0061】
画像の輝度は、1704で調整され、将来の処理のための画像が準備される。ビデオソースからの画像データは、値0から255を使用した、黒から最大輝度までの画素輝度を表し、値0は黒を、値255は最大輝度を表しており、これらの間の値は、様々な中間の色合いを表す。
【0062】
TFTパネルは、値0は黒を、値255は最大輝度を表し、これらの間の値は、様々な中間の色合いを表している8ビット値で表された画素輝度を有する画像データを受け取る。標準的な非立体視動作では、パネルは、この値0から255で表された輝度の範囲を忠実に表示することができる。
【0063】
パネルが、高いフレームレートの立体視モードで動作する場合には、表示される輝度の使用範囲は、パネルの性能に制限されると考えられる。
【0064】
例えば、現在入手可能なLG電子製のパネルの1つには、値が10から236の範囲で使用されており、利用可能な最も黒い黒は、コード値10を有することを意味している。このように範囲が制限されているため、高速応答を可能にするべく信号にオーバーシュートを組み込むことが可能となる。
【0065】
0から255という値の範囲は、画像データを8ビットで表していることに起因し、例えば、6ビットのビデオ表現では、0から63の値が使用され、12ビットビデオ表現では、0から4095の値が使用されるといったように、その他の値の範囲が存在する。
【0066】
本質的に、ディスプレイには、1つの目の視野から別の部分への漏れが存在する。このクロストークが、ゴーストとなり、満足する表示性能を達成するのに有害な影響を及ぼしている。ゴーストは、予測することが可能であり、この影響を最小限にするべく補償を行うことができる。補償は、ゴースト除去ブロック1705で実行される。
【0067】
一般的に、ゴースト除去技術では、立体視画像の左画像と右画像の組を同時に評価し、ゴーストを補償した新たな画像の組を生成して、ディスプレイに出力する。例えば、システムは、元の左画像を評価して、予測モデルに基いて、右画像に導入される画像のゴーストの量を判断する。判断したゴーストの量を用いて、適切な"反ゴースト"値を含む調整した右目画像を計算する。このように調整済みの画像が右目に表示されると、左目画像が出力されている間に、反ゴースト値が、ゴーストに寄与している値を打ち消す。この打ち消しによって、観察者の右目は、元々意図していた右目画像を見ることになる。同じプロセスを用いて、調整済みの左目画像を生成し、元々意図していた右目画像を表示するようにする。
【0068】
上記の"ゴースト除去"スキームは、元の入力画像の2つ一組に同時に適用することができ、一対の補償済み出力画像の組を計算する。この一対の組の補償を同時に行う手法は、立体画像の組になった画像を同時に受信する場合に特に有効であるが、フレーム順次立体視画像の入力を処理する際には、幾つかの欠点が生じる。
【0069】
一つ目は、入力と出力との間に少なくとも1フレーム時間分のパイプライン遅延が生じることである。これは、両方の目に対する画像データが、どちらかの目の補償された画像を計算する前に必要となるために起こる。画像の各組について、その組の2番目の画像からの情報が利用可能となるまでに、1番目の画像を格納する必要がある。2番目の画像が受信されると、計算は、補償された1番目の画像の生成に進むことができる。
【0070】
二つ目は、画像を対にして行うゴースト除去は、フレーム順次立体画像の2つ1組を処理するために、少なくとも2つの画像バッファを必要とすることである。これは、2番目の画像のデータが到着するまで、1番目の画像はバッファに保持されている必要があるためであり、補償された第1の画像が出力されるまで、補償された第2の画像の出力が遅れてしまう。
【0071】
三つ目は、ゴースト補償は、画像を組にして実行されるため、生成された補償済み画像を、2つ1組にして表示する必要があることである。生成された補償済み画像は(当然ではあるが)、両方の画像がディスプレイに出力される時にゴーストが最小限になるように計算される。
【0072】
立体視LCDは、ゴースト補償を使用しているが、フレーム順次ステレオ入力により適したプロセスで行っている。対になった立体画像の組におけるゴーストを低減するのには、上記の一対の画像の組に対する方法が有効であり、一の出力フレームと次の出力フレームとの間のゴーストを低減するには、フレーム順次の方法が有効である。
【0073】
フレーム順次ゴースト除去スキームは、パイプライン遅延を取り除き、ゴースト低減を実行するのに必要な画像のバッファリングを減らすことができ、さらに、ディスプレイが、立体視画像を常に、対にして出力する必要なく、ゴーストを低減することができる。出力が、二重又は三重にフラッシュされる場合、補償された画像は、2つ1組で出力される。
【0074】
フレーム順次ゴースト除去は、次のように行われる。 履歴バッファ(リングバッファ/FIFOバッファ)は、1つ前のフレームの出力画像を格納する。現在のフレームの画素データが到着すると、対応する画素の1つ前のフレームのデータが、履歴バッファから読み出される。1つ前のフレームによるゴーストを補償するのに必要な反ゴースト値が、現在のフレームの画素値に加算されて、補償済み画素値が生成される。補償済み画素値が、ディスプレイに出力される。補償済み画素値も履歴バッファに書き込まれ、次のフレームに対する現在のフレームのゴースト寄与を、決定することができる。反ゴースト値の計算は、明示的計算によって実行することができ、参照テーブルを使用して実装することもでき、又は、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0075】
フレーム順次ゴースト除去方法は、幾つかの利点を有する。一つ目は、入力と出力との間で、1フレームパイプライン遅延を必要としないことである。二つ目は、補償計算を行うのに、1つの画像バッファだけでよいことである。三つ目は、ゴーストが発生する主要なメカニズムは、1つ前のフレームからの残像であることから、この方法は、ゴーストの事前補償に適している。
【0076】
図1から図8を参照して説明したように、LCD表示装置は、順次3Dに必要とされる短いフレーム時間と比較して、長いスイッチング時間を経験する。このスイッチング時間を補助するべく、画素駆動信号をオーバードライブすることにより、短時間で正しい輝度レベルにすることができる。ディスプレイのスイッチング速度を特徴づけるモデルは複雑であり、可能性のあるスイッチング遷移を全て特徴づけなければならない。この方法の利点を達成するために、必要なドライブ値を予測して、所定の時間に正しい画素輝度を達成するようなスキームが開発されている。
【0077】
予測モデルは、アルゴリズム又は参照テーブル(又は一連の複数のテーブル)に実装されて、図17では、"画素修正"1706で示されている。画素修正及びゴースト除去を、両方の機能をカバーする参照テーブルを使用して1つの機能ブロックに組み合わせてもよい。
【0078】
図13A及び図13Bには、LCD表示装置の走査について示されている。ディスプレイの画像は、初めに、ディスプレイの最上部からリフレッシュが開始され、ディスプレイの最下部へと続き、リフレッシュは、ライン毎又は複数ラインの小さなグループ毎に行われる。ディスプレイの1ラインがアクティブ化される時間と、フレーム時間における点との間の関係が、線1303で示されている。
【0079】
図14A、14B、15A及び15Bには、バックライト1401及びπセル1501がセグメント化されている様子が描かれており、セグメント毎に制御が可能である。このような構成により、最適な性能を得るために、画素の照明及び画素の偏光状態を時間調整することが可能となる。図1から図8を参照して上記で説明したように、ディスプレイの個々の画素は、所望の最終的な駆動状態に至る平衡状態となるまでに時間が掛かる。この時間は、1つ前のフレームの輝度レベル、所望の輝度レベル及びオーバードライブを適用する量によって制御することができる。正しい輝度値を達成できる時間を知ることにより、その画素に対応するバックライトを、この時間において点灯させることができる。
【0080】
予測モデルは、所与の所望の輝度値に対する正しい輝度を提供する。モデルは、画素が指定される時点、1つ前のフレームにおける画素値、所望の画素値、及びディスプレイの応答特性を考慮する。その画素に対応するバックライトを、設定された時間に点灯し、Zスクリーンシャッターをその時間にアクティブ化することができる。所与の領域の全ての画素が、所与のバックライトセグメント及び対応するZスクリーンセグメントから影響を受けることから、バックライトが点灯されている期間に発生する正しい輝度値を決定する。
【0081】
図14A及び図14Bには、単純化された5つのバックライトセグメントの場合が示されており、図15A及び図15Bには、5つのセグメントπセルが示されている。実際には、バックライト及びπセルの両方において、多数のセグメントを使用することができ、バックライト及びπセルは、必ずしも同じセグメント数でなくてもよい。一実施形態では、πセルは、16個のセグメントを有し、バックライトは10個のセグメントを有する。
【0082】
図15Bには、所定の1画素に対するタイミングの関係が示されている。図のグラフにおけるx軸1508は、時間を表し、y軸1509は、システムの要素のアクティブ化を表している。
【0083】
画素は、所定の電圧レベルを使用して指定され、点1510で示されるように、フレーム期間の間保持される。このレベルは、1つ前のフレームの値、及び所望の出力輝度値を入力として使用して、モデルから予め決定される。画素の実際の輝度応答が、点1511で示されている。この画素の応答は、平衡状態に達するには時間が掛かる場合があるが、所与の適切な駆動レベルの場合よりも早く所望の輝度レベルに達すると考えられることを示している。画素の輝度レベルが正しくなった時点で、バックライトを1512において点灯させる。点灯する時間は、全フレーム時間の一部をあらわす、設定された値となっている。1514で示されるように、画素の輝度レベルは、この時間の間に変化するが、所望の輝度レベルに統合される。表示プロセスの最終段階では、画素を正しい偏光状態にし、所望の側の目に表示されるのを確かにする。これは、πセルの応答1513で示されている。目が見る生成された輝度は、フレーム1515に対する視認平均輝度レベルを表すグラフに示されている。
【0084】
LEDバックライト、LCDセルの染料、Zスクリーン及び観察者がかける眼鏡の組み合わせによって、色ずれが発生する。複数のテストスクリーンに色を出力し、それを計測することによる簡単な較正プロセスによって、色ずれを修正することができ、これらの値は、"画素修正"アルゴリズムに入力され、修正因子がアルゴリズムに適用されて、正しい色が適用される。偏光状態の僅かな不完全さによって、左目画像と右目画像の色が異なる場合がある。修正メカニズムは、左目と右目に対して、異なる修正要因をサポートする。
【0085】
このように、本設計では、立体視画像を表示するように構成される液晶表示装置を含む。液晶表示装置は、LCDパネル、LCDパネルの背面に配置されたバックライト、LCDパネルを所望の表示状態に駆動する制御電子回路を備えてもよい。制御電子回路は、LCDパネルを所望の状態へとオーバードライブする遷移段階切り替えを採用する。ある場合には、遷移段階切り替えは、参照テーブルを採用し、LCDパネルを所望の状態に駆動する又はオーバードライブするために参照テーブルが採用されてもよい。
【0086】
図18Aは、フラットパネルディスプレイシステムのアドレスサイクル1800を概略的に描いた図である。この例示の実施形態では、バックライト1802は空間的に制御され、PCP1806はセグメント化され、これらは、LC変調パネル1804の更新と同期してスクロール可能な態様で動作してもよい。バックライト1802、LC変調パネル1804及びPCP1806が、別々の層で示されており、4つの概略的図形(a、b、c及びd)は、連続したアドレスサイクルの4つの異なる時間におけるシステムを表している。1サイクルでは、1つの左目画像と1つの右目画像とが表示される。図形は、LC変調パネル1804が、ライン毎に最上部から最下部までアドレス指定されるアドレスサイクルを示している。LC変調パネル1804において、アドレスラインが下側に進むに従って、液晶が落ち着く領域も、連続的にスクロールされるようにそれに続く。切り替えLC変調パネル1804によって表示される混合定着データ領域1859の物理的なサイズは、材料が落ち着く速度及びフレームのアドレスレートによって決まる。上述したように、黒色から灰色へ及び灰色から灰色への遷移は、Chiu等の上記特許文献に記載されるように適宜可能であることから、黒に切り替わるのに掛かる期間が重要である。市場で入手可能な高速ツイストネマチック(TN)パネルでは、白から黒への整定時間は、2ms前後であり、図18Aに示されるLC切り替え帯の物理的な幅は、120Hzフレーム更新が現実的である。
【0087】
ここで例示したシステムは、図18Aで空間的に分離した異なる部分で示された、セグメント化されたスクローリングPCP1806及び空間的に制御されるバックライト1802の両方を含む。PCP1806のセグメントの物理的な大きさ及び空間的に制御されるバックライト1802の部分は、システムの性能及びタイミングに影響するが、セグメント及び部分が、非整定LC1859の幅と比較して十分に小さい場合には、連続的な装置と同様に動作する。
【0088】
例示の実施形態では、フラットパネルディスプレイは、選択的に光を供給可能な複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライト1802、変調領域を有するLC変調パネル1804及びPCP1806を備える。空間制御可能なバックライト1802は、選択的に光を提供可能な複数の照明部分を有してもよい。PCP1806は、変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有してもよく、偏光制御セグメントは、変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換する。また、選択された変調領域は、左目画像データでアドレス指定されてもよく、偏光制御命令は、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに供給され、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する時に左目偏光表示モードで動作してもよい。さらに、選択された変調領域が、左目偏光制御命令に対応する画像データを表す整定した変調領域を含む場合に、1以上の選択された照明部分から光を、選択された変調領域に対して供給してもよい。
【0089】
上記の実施形態は、多くの変形例を有する。例えば、幾つかの実施形態では、PCPは、πセルであってもよい。ある実施形態では、選択された変調領域における複数のデータ線の一部は、実質的に、選択された変調領域の複数のデータ線のうちの半分を含んでもよい。ある実施形態では、選択変調領域の第1のデータ線をアドレス指定した後で、偏光制御命令が供給されてもよい。ある実施形態では、偏光制御セグメントは、左目偏光表示モードで動作するよう切り替えられてもよく、偏光制御セグメントが右目偏光表示モードに切り替わるまで(その反対の方向の切り替えについても同様)、その偏光制御セグメントに対してSOP変換を維持してもよい。ある実施形態では、左目画像フレーム全体又は右目画像フレーム全体を、120分の1秒以内にアドレス指定してもよい。ある実施形態では、選択された変調領域における真ん中のデータ線に対するLC変調パネルの整定時間、及び関連付けられた偏光制御セグメントに対するPCPの第2整定時間が、左目及び右目アナライザを通して立体画像を見たときに、左目と右目におけるクロストークが無視できる程度に最小化されるように最適化されてもよい。ある実施形態では、偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含んでもよい。ある実施形態では、左目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせてもよく、右目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により遅らせないようにしてもよい。ある実施形態では、右目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせてもよく、左目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により遅らせないようにしてもよい。ある実施形態では、隣接するセグメント化された偏光制御セグメントは、PCPにおいて順次スクロールされてもよい。ある実施形態では、PCPは、入射光を出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含んでもよく、それにより、偏光制御命令に従って、直交する偏光状態間で切り替えを行ってもよい。
【0090】
図18Bは、図18Aで示したディスプレイシステムのタイミングシーケンスを単純化して示したタイミング図1850である。この実施形態では、120HzLCアドレスが仮定され、5つ以上のPCP及び/又はバックライトセグメントを使用している。このような条件下であるタイミング図1850から、選択されたディスプレイのラインに対する期間、状態及び様々な要素の状態の開始時間を知ることができる。各行は、LC変調パネルのデータ線を表しており、最初のラインと最後のラインは、LC変調パネル1804の一番上の行と一番下の行とを表している。時間軸は、左から右へ進む。
【0091】
図18Bのタイミング図のラインそれぞれは、ラインがアドレス指定される瞬間1854を示しており、それにすぐに続いて、整定期間1859が示されている。ラインが再びアドレス指定される1854前に、画像データが正しく表示される期間(例えば、1857及び1855)が存在する。整定期間1859が終了した後、次のアドレス指定する瞬間1854の前に、局所的照明1852が行われる。複数のラインが時間差で配置されているように見えるのは、システムのスクローリング性を表している。いずれの領域も、およそ25%の時間は照明されない(すなわち、およそ75%の照明デューティサイクルとなっている)。25%の照明されないデューティサイクルの間に、PCPを局所的にスイッチング1856する。
【0092】
システムの構成要素は、コストが高く複雑であったとしても、このようなシステムの利点は、適度な120Hzのアドレスレート及び大きな照明デユーティサイクルに起因している。図4〜図7を参照して説明した単純例のように、グローバルにアドレスする実装によれば、セグメント化されていない構成要素を使用するため、システムのコスト及び複雑性を低減できると考えられる。
【0093】
図18Bに戻り、タイミング図1850はまた、従来のLCアドレス指定を使用した、時間的に重複する左目画像及び右目画像を示している。どの瞬間においても、右目のデータ又は左目のデータの一方のみを通過する縦のラインは存在せず、グローバルバックライト及びPCP要素の使用を除外している。セグメント化されたバックライト及び/又はPCPを使用して、LCアドレス指定を操作することにより、その他のシステムを実現できる。
【0094】
図18A及び図18Bに示された実施形態によれば、フラットパネルディスプレイに立体視画像を表示する方法は、LC変調パネル1804における選択された変調領域における複数のデータ線を、左目画像データで、アドレス指定する段階を備える。方法は更に、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、左目偏光表示モードで動作させる偏光制御命令を、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに供給する段階を備える。また、方法は、1以上の選択された照明部分から、選択された変調領域へと光を供給する段階を備え、選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む。同様な方法を、右目偏光制御命令に対応する右目画像データを表示するのに使用してもよい。
【0095】
本明細書に示した設計及び特定の側面は、限定することを意図しておらず、本発明の教示するところ及び利点を組み込むと同時に代替となる構成要素も含むことを意図している。また、本発明が、特定の実施形態と関連付けて説明されたが、本発明には、さらなる修正も可能である。本願は、本発明の原理に概して従うあらゆる変形例、本発明の使用又は適用を範囲に含み、本開示には記載されていない構成であっても、本発明が属する技術分野において一般的に行われている及び既知の構成であれば、本発明に含まれることを意図している。
【0096】
また、上記の実施形態では、現在の知識を適用すれば、本発明の原理を逸脱することなく、当業者が十分容易に、システム及び方法を様々なアプリケーションに適用及び/又は修正可能な程度に開示されている。したがって、開示された実施形態の均等物の範囲及び意味するところに、このような適用及び改良も含まれる。また、本明細書で使用されている表現及び用語は、本発明を説明する目的で使用されており、本発明を限定することを意図していない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、表示装置の技術に関し、特に、液晶ディスプレイに関する。
【0002】
[優先権情報]
本願は、2007年6月8日出願の米国仮出願60/933,776号、「表示デバイス」発明者Joseph Chiu等の優先権を主張する2008年6月4日出願、米国特許出願12/156,683号、「表示デバイス」の一部継続出願である。また、本願は、2009年8月7日出願の米国仮出願 61/232,346号、「液晶三次元ディスプレイ」の優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。また、本願は、MPEP710.05章に従って、2009年8月7日の優先日の次の第1営業日である2010年8月9日に出願されたものである。
【背景技術】
【0003】
現在は、液晶ディスプレイは、広く普及している。液晶ディスプレイでは、非常に短い時間に画素にデータを提供する能力に限界があることから、立体視や裸眼立体視のような複雑なアプリケーションにおいて高品質な画像を提供する能力が限られてしまっている。現在入手可能なディスプレイの多くは、立体視アプリケーションで高画質を提供するのに必要とされる応答時間条件を満たしていない。その結果、特に、暗い色(例えば、黒)から明るい色(例えば、白)への遷移、及びその反対の遷移が発生する時に、理想的な高品質な画像を提供できていない。このように、液晶ディスプレイにおける高速応答時間の実現が望まれている。
【0004】
上記のように、従来の設計と比較して、より改良された機能を有する液晶ディスプレイを提供することが望まれており、これに限定されないが、立体視画像又は裸眼立体視画像のような高品質な画像の表示に適した高速応答時間を提供可能な液晶ディスプレイが望まれている。
【発明の概要】
【0005】
本設計の一側面によれば、立体視画像を表示し、LCDパネル及びLCDパネルを所望の立体視表示状態へと駆動する制御電子回路を備える液晶表示装置を提供する。制御電子回路は、立体視画像の相対的な高速表示が可能となるように、LCDパネルを所望の状態へと切り替え、オーバードライブする遷移期間を採用する。
【0006】
本開示の他の側面によれば、立体視画像を表示可能なフラットパネルディスプレイを提供する。表示装置は、選択的に光を提供可能な複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライトを備える。表示装置はまた、複数の変調領域を有する液晶(LC)変調パネルを備える。表示装置はまた、複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)を備える。複数の偏光制御セグメントは、変調領域からの変調された入射光の偏光状態(SOP)を選択的に変換してもよい。選択された1つの変調領域が、左目画像データとして指定されて、偏光制御命令が、この選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに提供される。偏光制御命令は、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、偏光制御セグメントが左目偏光表示モードで動作するように制御する。選択された変調領域が整定し、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する時に、選択された照明部分から選択された変調領域へと光が供給される。
【0007】
本設計の別の側面に寄れば、立体視フラットパネルディスプレイにおいて立体視画像を表示する方法を提供する。ディスプレイは、複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライト、複数の変調領域を有する液晶(LC)変調パネル、及び複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)を備える。バックライトは、光を選択的に、LC変調パネルに提供することができる。偏光制御セグメントは、変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換させることができる。方法は、LC変調パネルにおける選択された1つの変調領域における複数のデータ線に、左目画像データを指定する段階を備える。方法はまた、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに、偏光制御命令を供給する段階を備える。偏光制御命令は、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、偏光制御セグメントが左目偏光表示モードで動作するように制御する。方法はまた、1以上の選択された照明部分から、選択された変調領域へと光を供給する段階を備える。選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定した変調領域を含む。
【0008】
これら及びその他の本開示の利点が、以下の発明の詳細な説明及び添付の図面を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。本発明は、添付の図面に、例として示されており、これに限定されることは意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】完璧な表示装置の理想的代表例を示した図である。
【図2】LCDディスプレイの画素輝度における変化が、瞬時に起こらない様子を示した図である。
【図3】図2よりも高速なLCDにおける画素輝度の変化を示した図である。
【図4】ディスプレイの初期状態と最終状態との間に、中間の視認される画素輝度が存在しないディスプレイにおけるオーバードライブの原理を示した図である。
【図5】1フレーム又は1フィールドの期間において、高い値から又は低い値のいずれから開始しても、液晶が目標とする値に達することを示した図である。
【図6】立体視モードで動作するディスプレイの理想化した代表例を示した図である。
【図7】観察者に示す左目画像と右目画像との間の遷移を示した図であり、視認される輝度も左目画像から右目画像へと遷移する。
【図8】液晶応答の曲線を示した図である。
【図9A】ディスプレイと認識される輝度との相対的な動作を表した図である。
【図9B】オーバードライブの必要性を表した図である。
【図10】左目と右目とに異なる値を示している様子を表した図である。
【図11】オーバードライブが、液晶の開始状態及びそのフレームにおける所望の視認画素輝度に依存することを示した図である。
【図12】本設計の現実的な一実装例のレイアウトを概略的に示した図である。
【図13A】LCDディスプレイの走査の性質を示した図である。
【図13B】LCDディスプレイの走査の性質を示した図である。
【図14A】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたバックライトを示した図である。
【図14B】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたバックライトを示した図である。
【図15A】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたπセルを示した図である。
【図15B】セグメント毎に制御可能な、セグメント化されたπセルを示した図である。
【図16】処理電子回路の機能関係を示した図である。
【図17】ビデオプロセッシング電子回路の機能図である。
【図18A】フラットパネルディスプレイシステムのアドレスサイクルを概略的に示した図である。
【図18B】図18Aに示した、ディスプレイシステムの簡略化したタイミングシーケンスを描いた概略タイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、完璧な表示装置の理想的代表例が示されている。この図に示されている軸101は、画素輝度を表し、軸102は、時間を表している。図面には、点線106及び点線107が描かれている。これらの点線は、フレーム更新間隔を表している。すなわち、104で示されているように、16ミリ秒間隔で、新たな画素値を表示するべくディスプレイが更新される。この図1において、103で示した期間の間は、画素は一の値であり、時間位置107においてディスプレイが更新されて、画素は、期間105で示される新しい値となる。理想的には、画素は、108で示されている垂直の勾配で表されるように、瞬時に変化する。この、理想的な"完璧な世界"でのディスプレイでは、一の値を保持する画素が更新されると、直ちに、新たな値へと移り、その値を保持する。
【0011】
図2は、現実的な世界での液晶装置の実装を示したものであり、画素輝度の変化は、瞬間的に起こらない。図1と同様に、軸201は、画素輝度を表し、軸202は、時系列を表している。各表示フィールドに対する時間間隔は、204に示されるように、16ミリ秒である。点線206及び点線207、及び全てのその他の点線は、ディスプレイがリフレッシュされる時を示している。2つのフレームにまたがる画素値の組の一つが、期間203で表されている。時間207において、期間205で示されている定常状態である新たな値を画素に設定するべくディスプレイを更新する。図1の108で示されるその反応が瞬間的である場合とは異なり、図2では、208において、液晶がゆっくりと反応し、最終的な画素値に達する。そして、この図2に示す例では、非常に遅いパネルが示されており、画素が最終的な定常値に達するまでに、1フレーム期間以上掛かっている。
【0012】
図3は、図2と同様な図であるが、図2よりも速い液晶デバイスの場合が示されている。同様に、図3においても、軸301は、画素輝度を表し、軸302は、時間を表している。フィールド間隔は、304で示されるように、16ミリ秒であり、フレーム更新が、縦の点線(例えば、306及び307)によって示されている。図3には、画素が、期間303で示されている最初の2フレームにわたって定常値であって、その後に、期間305で示される定常状態値に最終的になるように更新される様子が示されている。時間位置307で開始し、期間308で示される遷移期間には、時間307で発生した更新に応答して、液晶輝度が変化し、1フレーム期間内に完了している。この図では、あるフレームレートにおいて、画素値を変更でき、定常状態値へと安定することができる液晶ディスプレイの代表例が示されている。
【0013】
図3には又、一連の斜線、309、310及び311が示されており、これらの斜線は、上記のフィールド期間における液晶の平均値を表している。定常状態期間303の間、液晶の輝度は一定であり、同じ位置における同じ時間の期間(すなわち、斜線309、及び、表示又は定常状態期間305)の画素で視認される平均輝度は、斜線311で示されている画素輝度と同じ水準であるかのように感じる。しかしながら、時間307から開始するフレーム期間では、液晶は、期間308で示される遷移状態となるため、画素輝度の平均値は、開始時の値と終了時の値との間となり、斜線310で表されている。
【0014】
図3に示す例は、8ミリ秒のパネルで一般的に見られる事例を示したものである。ある適用例では、認識される画素輝度310である遷移値が、初期輝度309と最終輝度311との間の値になる。
【0015】
この"中間の"値では、視覚的に不快であると感じる観察者が存在する。図4は、ディスプレイの初期状態と最終状態との間の中間視認画素輝度が存在しないような、速い反応速度で動作するディスプレイが示されている。図4では、軸401が輝度を表し、軸402が時間を表している。図4では、参照番号404で示されているように、16ミリ秒のフレーム間隔が採用されている。期間403に、初期画素輝度が示されており、対応する認識される画素輝度が、斜線409で表されている。縦線407A、407B及び407Cは、フィールドが更新された時点を表し、斜線411は、ディスプレイの最終的な値を表している。
【0016】
参照番号409で示すように、一の値で表される輝度を有する画素を最初に表示する場合には、ディスプレイは、一見、瞬時に、斜線411で示される新たな表示へと変化するように見える。液晶は、時間位置407A及び407Bの間のフィールド間に応答し、そのフィールドの平均輝度が、参照番号411で示される意図した視認される画素輝度に実質的に一致するように、低値から高値へと遷移する。
【0017】
この407A及び407B間の第1の遷移において、液晶は、期間408Aで示されている期間に変化する。そして、液晶は、第1フィールドの最後の部分に405Aで示されている定常状態へと達する。この時点で、液晶によって生成される画素輝度は、411で示されている所望の視認される輝度を超えており、斜線411で示されている画素輝度に見せるために、画素は、時間407Bと407Cとの間の次のフィールドにおいて、新たな値へと駆動されて、このフレーム間の画素輝度の平均を、411で示される値に一致させる。液晶が更新され、液晶曲線は、408Bの期間に遷移して、405Bでは定常状態となる。このフレームにおける平均値が、再び、斜線411で示される視認輝度目標に合致する。
【0018】
この時点で、このフレームの終わりに、液晶の瞬間的な輝度は、所望の視認される輝度を僅かに下回るため、別の値を使用して、再び液晶を駆動させるプロセスを繰り返す。液晶は、期間408Cで示されるように、再び遷移し、405Cで示される定常状態に達する。したがって、図4は、実際の所望する目的の輝度値以上の又は上回る値へと、液晶を意図的に操作するオーバードライブ技術を示したものであり、表示の応答速度が速くなったかのように錯覚させている。これは、斜線411で示されている平均輝度値が、目的とする値を表し、図3の斜線310で示すような中間の値を形成していないように見えることから、応答速度が速くなっているように感じられる。
【0019】
図5は、オーバードライブオペレーションを、フィールドレートが16ミリ秒の場合に拡張したものである。軸501は、液晶による画素輝度を表し、軸502は、時系列を表している。期間504は、16ミリ秒のフレーム間隔である。図5には、表示が、高輝度値又は低輝度値から開始してもよいことが示されている。以前の画素値が高輝度値であった場合には、液晶は、506の位置にある。低い輝度値から開始する場合には、509の位置にある。
【0020】
505で示される定常状態の期間において、507で示されるレベルである中間レベル値が望ましい場合には、システムはディスプレイを更新する。システムが高値506から開始し、中間値507を達成することを試みる場合、液晶が曲線508Aをほぼ辿るようにディスプレイを更新するように、装置はディスプレイに命令する。そのフレームの期間において液晶は定常状態値に達するため、そのフレームの終わりの時点では、液晶は、期間505で示される定常状態に達する。
【0021】
液晶が、下回る値から駆動される場合には、値509から開始して、目的とする値507に達するようにするべく、システムはディスプレイを、値507で示される定常状態値に達するのに適切な値へと更新する。液晶は、曲線508Bをほぼ同様に辿って応答し、定常状態505に達する。
【0022】
高い値から始まる、又は低い値から始まるいずれの場合にせよ、1フレーム又は1フィールド504の間に、液晶が、目的の値507に達する。
【0023】
以上説明した全ての設計側面では、平面モードで使用される液晶ディスプレイの画素応答について記してきた。本設計は、特に、立体視ディスプレイを対象とし、図6には、立体視モードで動作するディスプレイの理想化された代表例が示されている。この場合の立体視ディスプレイでは、平面モードでのアプリケーションと比較して、更なる考慮が必要となる。軸601は輝度を表し、軸602は時間を表している。図6では、1つおきのフィールド又はフレームが、左目と右目との間の切り替えを表しており、図6におけるフレーム間隔は、604で示されているように8ミリ秒である。ここでは、フリッカが現れるのを低減するためにフレーム間隔を8ミリ秒にしており、十分に高いリフレッシュレート又は十分に短いフィールド時間を使用することにより、フリッカを減少させることができる。
【0024】
この代表例では、左目画素値と右目画素値とが異なっており、高い画素値と低い画素値とが存在する。例えば、低い値は、左目に、高い値は、右目に対応する画素値であってもよい。画素値は609で表されており、高い値は右目、低い値は左目に対する画素値である。理想的な条件下では、左目に望ましい画素値の代表例が、603A、603B及び603Cで示されており、右目に望ましい画素値の代表例が、605A、605B及び605Cで示されている。この理想的な条件下では、画素は、点608A、608B及び608Cで示されるように瞬間的に変化する。
【0025】
上述したように、液晶の応答時間は、瞬間的なものではない。実際には、液晶が遷移するのにかかる時間が存在する。図7には、左目が見る画像と右目が見る画像との間のシフトが表されており、液晶ディスプレイは、観察者に対して、左目画像から右目画像へとシフトする視認輝度を表示し、視認される輝度は、斜線709A、711A、709B及び711Bで示されている。各フレーム期間(ここでのフレーム間隔は、704で示されるように8ミリ秒である)において、この視認される値を達成するために、液晶は、各フレームにおける平均値が斜線709A及び711Aとなるように、708A及び708Bで示される遷移期間を有する。
【0026】
図8には、液晶応答の曲線が示されている。軸801は、輝度を表し、軸802は、時間を表している。期間804で示されているように、1フィールドは、8ミリ秒の長さを有する。図8に示すように、高い値806又は低い値809から始まり、目的の値807へと遷移する。図3では、液晶が、低い値から高い値へと遷移する期間は、308で示されていた。同様に、図8では、遷移が808Bで示されている。図8に示されている例では、低い値から目的の値への遷移、すなわち、低い開始点である値809から目的の点807への遷移が示されている。また、高い値806から開始して目的の値807への遷移では、液晶が、曲線808Aをほぼ辿る。
【0027】
図3に示すように、フィールド間隔が16ミリ秒である場合には、LCが高い値から開始しようとも、低い値から開始しようとも、期間805における液晶の定常状態値807に、1フレーム内に又は16ミリ秒内に到達する。
【0028】
図8において、フィールド間隔が、8ミリ秒と短いようなフィールドレート又はフレームレートである場合には、点809(低い値)から開始して、目的とする値807を達成しようとしても、フレームの終わりの時点で、液晶は目的の値又は定常値に届いておらず、実際には、中間値811に到達するのみである。液晶が、高い値806から開始し、ディスプレイに目的の値807に到達するように命令したとしても、最初のフレームの終了時点では、中間値812に到達するのみである。
【0029】
図9Aでは、軸901は輝度を表し、軸902は、時間を表している。904は、フィールドレート又はフレーム継続時間を表しており、ここでは、8ミリ秒である。斜線911は、1フレームにおける所望の視認される輝度を表している。
【0030】
フレームが低い値909から始まった場合、システムは液晶を、所望の視認輝度よりも高い目的とする値、すなわち、高い値907Bへと駆動する必要がある。液晶を、909から目的とする値907Bへと駆動するとき、液晶は、実質的に曲線908Bを辿る。システムが、8ミリ秒の間隔を有さず、液晶をそのまま継続させた場合には、液晶は、最終的には、点線905Aを辿り、定常状態に達する。
【0031】
フレームが高い値906から開始して、平均輝度911が望ましい場合には、システムは、液晶を目的とする値907Aへと駆動する必要があり、液晶は、最初のフレーム期間に、曲線908Aを辿る。オペレーションがそのまま継続するとすれば、液晶は、点線を辿り、定常状態905Bに到達する。
【0032】
図9Aでは、斜線911で示される視認される画素輝度を表示するために、システムは、液晶の実際の状態が高いのか低いのかに応じて、異なる目的値をディスプレイに送信する必要がある。そして、908B又は908Aのいずれかの異なる曲線を、最初のフレームの期間に辿り、平均すると、所望の視認輝度911が表されることとなる。
【0033】
特定の画素輝度が望ましい(図9Bの場合には、斜線911を超える画素輝度)という図9A(及び図4)で説明した考え方を、図9Bでは、より詳細に説明したものであり、システムは、一連のオーバードライブ曲線を採用する必要がある。軸901は輝度を、軸902は時間を表している。図9Bには、液晶が、低い値から開始して、最初のフレームにおいて、曲線908Aを辿る。液晶が、曲線を辿った場合には、点線905Aで表されている定常状態を達成すると考えられる。
【0034】
しかしながら、最初の更新の後に、液晶が、新たな曲線908Bを辿る必要が発生したとする。新たな曲線は、曲線905Bの定常状態を達成することを意図したものである。第2フレームの終了時に、システムは、液晶が曲線908Cを辿るように、ディスプレイを再び更新する。曲線908Cは、点905Cにおける定常状態にするべく、液晶を駆動する遷移曲線である。
【0035】
図8、9A及び9Bにおいて、液晶は、曲線がまだ平衡状態に達していない、遷移状態を経験する。フレーム更新のそれぞれにおいて、液晶は、新たな曲線へと移り、液晶は、定常状態に達する機会を得ることがない。
【0036】
図10では、左目と右目とでは、異なる画素値を表示しなければならないという理念に戻る。図10では、軸1001は輝度を表し、軸1002は時間を表している。図10では、立体視静止画像が表示され、左目には1の画素値が示され、右目には別の異なる画素値が示される。左目の画素値は変化することなく、右目の画素値も変化することはない。
【0037】
静止画においては、右目の画素値は、斜線1009Aで表されており、左目の画素値は、斜線1011A及び1011Bで表されている。液晶は、輝度1014の状態から開始する。フレームにおいて、視認される輝度が、斜線1009Aで示される輝度であるかのように見せるためには、液晶は、曲線1008Aを近接して辿る必要がある。液晶を、曲線1008Aを辿るようにさせるべく、システムは、ディスプレイに、目的とする値1014を命令し、フレームの終わりには、液晶が輝度1013に到達する。
【0038】
左目の画素値の場合には、所望の視認される画素輝度は、斜線1011Aで表されている、又は1012における輝度である。このレベルの輝度を達成するべく、曲線1008Bを辿るように、液晶をオーバードライブする必要がある。それには、システムは、ディスプレイに、最終値1015に向けて液晶をドライブさせ、2番目のフレームの終わりには、液晶が輝度値1014に達する。
【0039】
今度は、右目画像に戻り、液晶を実質的に曲線1008Cを辿らせるようにするべく、目的とする値1014をディスプレイに命令する。このようにディスプレイに命令することにより、液晶が曲線1009Bを辿り、フレームの終了時点で、液晶が、輝度値1003に到達する。右目に対してプロセスを繰り返すことにより、視認される輝度が1009Aとなり、また、左目に対する視認される輝度が、斜線1011A及び1011Bで示したものとなる。
【0040】
図11では、軸1101は輝度を表し、軸1102は時間を表している。図11では、非静止画(動画)の場合が示されており、期間1103における左目画素値と右目画素値の組み合わせの1つが示されている。しかしながら、期間1104において、画像が変化するために、画素値の異なるセットを取得することになる。視認される画素値の一例が、斜線1109A、1109B、1109C及び1109D(左目)、並びに、1111A、1111B、1112A及び1112B(右目)で示されている。期間1103の間、右目は、斜線1111A及び1111Bで示される画素輝度であり、期間1104の間は、視認される輝度が、斜線1112A及び1112Bで示されている。
【0041】
図10と同様に、期間1103の間は、液晶がオーバードライブされて、液晶が、曲線1108A、1108B、1108C、1108D及び1108Eを辿るようになっている。このように、平均画素値が、斜線1109A、1111A、1109B、1111B及び1109Cになる。期間1104において新たな右目視認画素輝度が示され、新たな平均画素値を辿る曲線が、斜線1112Aで示されている。このレベルの画素輝度を示すために、液晶は、新たな曲線1108Fに駆動されなければならず、これは、曲線1108D及び1108Bとは異なる。
【0042】
この新たなオーバードライブにより、新たな画素輝度が表示される。オーバードライブの結果、曲線1108Fを辿ることとなり、視認画素輝度1112Aを達成するが、左目画素値を表示するためには、次のフレームでは、曲線1108Gを近接して辿る必要がある。この曲線は、同様な平均輝度を達成するために使用された曲線1108E、1108C又は1108Aとは異なっている。斜線1109Dで示される輝度が、1109A、1109B及び1109Cで示される視認画素輝度と同じではあるが、1109D(曲線1108G)を達成するのに使用される曲線は、1109A、1109B及び1109Cで示されている視認輝度を達成するために使用された曲線、すなわち曲線 1108A、1108C及び1108Eとは異なっている。
【0043】
そして、点1112Bにおける視認される画素輝度が、点1112Aで示される輝度と同じではあるが、液晶の初期状態が異なる点から始まっているため、曲線1108Hは、曲線1112Aとは異なるものとなる。すなわち、オーバードライブは、液晶の初期状態の情報、及びフレームにおける所望の視認される画素輝度に依存していることが分かる。フレームの終わりにおいて、液晶は、異なる輝度レベルとなる。
【0044】
図12には、本設計の現実的な実装レイアウトが概略的に示されている。3次元(3D)画像が、外部のソース1201から提供される。ソース1201は、順次フレーム及びフォルダ形式(canister format)を含む複数の様々な3D形式であってもよい。このソースが、処理モジュール1202に供給される。1以上の処理モジュールが配置されてもよい。処理モジュールにおいて、複数の画像が配列されて、左目画像と右目画像が交互に配置される。これらの画像は、順次的にTFTパネル1204に供給され、TFTパネル1204をバックライト1203で照明することにより、表示される。左目フレームと右目フレームとを区別するには、左目フレーム及び右目フレームを順次的に(高フレームレートで)表示して、π(Pi)セル1205によって動的に偏光状態を変化させ、左フレームと右フレームとで、反対の円偏光状態を適用する。偏光状態は、偏光眼鏡1206によって分解されて、左目画像と右目画像とを、対応する正しい眼の方に順次向けることができる。
【0045】
図16は、処理電子回路の機能的関係を表した図である。処理モジュールは、入力された画像を解読し管理するのに必要な制御電子回路で構成されており、ディスプレイの動作を制御及び管理する。図16のブロック図には、処理電子回路の機能的関係が描かれている。
【0046】
図16に示すように、画像入力1601、必要に応じて設けられるステレオ同期入力1602が配置され、これらによって、ビデオプロセッサボード1603に、右目フレーム及び左目フレームの区別を提供するようにしてもよい。ビデオプロセッサブロック内の機能は、図17に、より詳細に記載している。制御部1604は、ユーザーインタフェースの要求に応答してディスプレイの管理機能を提供しており、また、バックライトドライバ1607及びπセルドライバ1608と画像とを同期させる。バックライトドライバ1607は、複数のバックライトセグメントを切り替えるタイミングを制御する(図14A及び図14B参照)。
【0047】
ディスプレイスタックは、ディスプレイの表示要素で構成されている。バックライトドライバ1607で制御されるLEDバックライト1609は、ディスプレイの特定の行が照明され、その他の行は照明されないような態様で、ディスプレイを照明する。バックライトは、複数の白色LED(発光ダイオード)、RGB3色のLED、又は熱陰極蛍光ランプによって、形成されていてもよい。バックライト拡散器1610は、ディスプレイパネル1611を均一に照明する機能を果たす。ディスプレイパネルは、通常は、アクティブマトリクスLCDタイプのパネルであり、ビデオ信号をビデオプロセッサから受信する。πセル1612は、左円偏光と右円偏光との間で偏光状態を切り替える役割を果たす。
【0048】
好ましい実施形態では、LEDバックライトモジュール1609は、およそ12.5インチ×15.5インチの大きさのPCBに、120個のLEDが10行×12列のグリッド上に配置されている。複数のLEDはそれぞれ、およそ1.1インチの間隔で中心に配置されている。各行におけるLEDは、直列に配線されて、その他の行とは独立して、オンオフされる。
【0049】
複数の行が、順次照明されて、上部から下部まで照明の細長い帯によって操作される。照明の帯は、1以上の行を含む。
【0050】
拡散器は、ディスプレイパネル及びバックライトLEDとの間に配置されて、バックライトからくる照明密度を均一にしている。拡散器はまた、バックライトの行からの光を管理して、光が隣接する行に漏れてしまうのを最小限にしている。
【0051】
πセル又はパイセルは、米国特許第4,792,850号明細書に記載されているものと同様なものであり、表示画像を、2つの偏光状態のうちの一方にエンコードする。一側面において、πセルは、16セグメントを有する(図15に複数のセグメントが示されている)。適切なバイアス電圧及び駆動電圧を印加することにより、πセルセグメントのそれぞれを、1/2波長位相差板又は等方とすることができる。πセルは、TFTパネルの直線偏光角度に対して45度の角度に選択される進相軸を有する。
【0052】
また、1/4波長位相差シートが、πセルに積層されている。1/4波長位相差シートは、その進相軸が、πセルに対して90度となるように向けられている。必要に応じて、さらに、反射防止膜をπセルアセンブリに積層してもよい。πセルセグメントはそれぞれ、πセルドライバに接続されて、個別に指定される。
【0053】
図17は、ビデオ処理電子回路の機能図である。表示すべき画像が、高速LCDモニタに、画像ソースとモニタとを繋ぐ入力ケーブルを介して入力される。画像は、フレーム順次の立体画像、又はファイル形式(canister)と組み合わされた立体画像であってもよく、同時二重入力立体画像であってもよい。非立体画像表示の場合には、画像は、非立体画像であってもよい。
【0054】
また、ビデオソースからのステレオ同期信号が存在し、ビデオソースから現在出力されている画像が、どちらの目に対する画像かを示してもよい。
【0055】
システムは、ビデオ信号を解析して、解像度及びビデオタイミングを決定する。解像度が、画像表示パネルの本来の解像度に合致する場合には、ビデオタイミングは、画像表示パネルに適合し、形式は、順次L−R画像(ページフリップ)であり、立体画像を快適に見ることができるよう十分に高いリフレッシュレートに設定され、画像信号は、1701で示されている入力バッファリングを迂回する。
【0056】
しかしながら、上記の条件のうちの1つでも満たさないものがある場合には、入力されたビデオは、入力バッファ1702にバッファされて、画像表示パネルの所望の動作に合致するように、及び立体視の観察に快適な所望の出力フレームレートに合致するように、適切な順番及びタイミングで読み出される。
【0057】
入力バッファリングにより、低い解像度の画像と、モニタの画像表示パネルの元の解像度の中心点とを一致させることができる。例えば、入力ビデオが、1024×768の解像度である場合、モニタは、上側、下側、左側及び右側に画素を追加して(パッドして)、画像を、モニタ本来の解像度1280×1024に適合させることができ、必要に応じて入力画像を入力バッファから読み出して、モニタの中心領域に画像を描くことができる。
【0058】
また、入力バッファは、入力画像の二重又は三重フラッシュを可能とする。例えば、フレーム順次ステレオビデオは、60ヘルツで入力され、30ヘルツを左目に、30ヘルツを右目に割り当てることができる。左目画像と右目画像の組が、本来のフレームレートで表示される場合には、それぞれの目には30ヘルツの画像が表示されることから、不快なフリッカが発生してしまうと考えられる。フリッカを低減するために、元の画像の組の半分の期間で画像の組を表示させ、この画像の組をもう一度繰り返して表示させることによって、フレームレートを2倍にする。フラッシュを3倍にするには、画像の組を、元の画像の組の3分の1の時間で表示し、この画像の組をさらにもう2回繰り返して表示する。
【0059】
入力バッファはまた、1つのファイル形式フレーム(canisterフレーム)で立体画像を受信することを可能とし、これを、後の段階で、左フレームと右フレームに分割することを可能にする。
【0060】
"入力バッファリング"段階を経たビデオデータ(入力バッファリング処理を迂回したデータ、又は、パッド処理、二重/三重フラッシュ、及びファイル形式分離のうちのいずれかを経たデータ)は、画像表示パネルに適した解像度及びタイミングにフォーマットされて、適切な立体画像表示に公的なタイミングを有するようになる。出力フレーム選択1703では、選択されたフォーマットに応じて、表示すべき正しいフレームを選択する。
【0061】
画像の輝度は、1704で調整され、将来の処理のための画像が準備される。ビデオソースからの画像データは、値0から255を使用した、黒から最大輝度までの画素輝度を表し、値0は黒を、値255は最大輝度を表しており、これらの間の値は、様々な中間の色合いを表す。
【0062】
TFTパネルは、値0は黒を、値255は最大輝度を表し、これらの間の値は、様々な中間の色合いを表している8ビット値で表された画素輝度を有する画像データを受け取る。標準的な非立体視動作では、パネルは、この値0から255で表された輝度の範囲を忠実に表示することができる。
【0063】
パネルが、高いフレームレートの立体視モードで動作する場合には、表示される輝度の使用範囲は、パネルの性能に制限されると考えられる。
【0064】
例えば、現在入手可能なLG電子製のパネルの1つには、値が10から236の範囲で使用されており、利用可能な最も黒い黒は、コード値10を有することを意味している。このように範囲が制限されているため、高速応答を可能にするべく信号にオーバーシュートを組み込むことが可能となる。
【0065】
0から255という値の範囲は、画像データを8ビットで表していることに起因し、例えば、6ビットのビデオ表現では、0から63の値が使用され、12ビットビデオ表現では、0から4095の値が使用されるといったように、その他の値の範囲が存在する。
【0066】
本質的に、ディスプレイには、1つの目の視野から別の部分への漏れが存在する。このクロストークが、ゴーストとなり、満足する表示性能を達成するのに有害な影響を及ぼしている。ゴーストは、予測することが可能であり、この影響を最小限にするべく補償を行うことができる。補償は、ゴースト除去ブロック1705で実行される。
【0067】
一般的に、ゴースト除去技術では、立体視画像の左画像と右画像の組を同時に評価し、ゴーストを補償した新たな画像の組を生成して、ディスプレイに出力する。例えば、システムは、元の左画像を評価して、予測モデルに基いて、右画像に導入される画像のゴーストの量を判断する。判断したゴーストの量を用いて、適切な"反ゴースト"値を含む調整した右目画像を計算する。このように調整済みの画像が右目に表示されると、左目画像が出力されている間に、反ゴースト値が、ゴーストに寄与している値を打ち消す。この打ち消しによって、観察者の右目は、元々意図していた右目画像を見ることになる。同じプロセスを用いて、調整済みの左目画像を生成し、元々意図していた右目画像を表示するようにする。
【0068】
上記の"ゴースト除去"スキームは、元の入力画像の2つ一組に同時に適用することができ、一対の補償済み出力画像の組を計算する。この一対の組の補償を同時に行う手法は、立体画像の組になった画像を同時に受信する場合に特に有効であるが、フレーム順次立体視画像の入力を処理する際には、幾つかの欠点が生じる。
【0069】
一つ目は、入力と出力との間に少なくとも1フレーム時間分のパイプライン遅延が生じることである。これは、両方の目に対する画像データが、どちらかの目の補償された画像を計算する前に必要となるために起こる。画像の各組について、その組の2番目の画像からの情報が利用可能となるまでに、1番目の画像を格納する必要がある。2番目の画像が受信されると、計算は、補償された1番目の画像の生成に進むことができる。
【0070】
二つ目は、画像を対にして行うゴースト除去は、フレーム順次立体画像の2つ1組を処理するために、少なくとも2つの画像バッファを必要とすることである。これは、2番目の画像のデータが到着するまで、1番目の画像はバッファに保持されている必要があるためであり、補償された第1の画像が出力されるまで、補償された第2の画像の出力が遅れてしまう。
【0071】
三つ目は、ゴースト補償は、画像を組にして実行されるため、生成された補償済み画像を、2つ1組にして表示する必要があることである。生成された補償済み画像は(当然ではあるが)、両方の画像がディスプレイに出力される時にゴーストが最小限になるように計算される。
【0072】
立体視LCDは、ゴースト補償を使用しているが、フレーム順次ステレオ入力により適したプロセスで行っている。対になった立体画像の組におけるゴーストを低減するのには、上記の一対の画像の組に対する方法が有効であり、一の出力フレームと次の出力フレームとの間のゴーストを低減するには、フレーム順次の方法が有効である。
【0073】
フレーム順次ゴースト除去スキームは、パイプライン遅延を取り除き、ゴースト低減を実行するのに必要な画像のバッファリングを減らすことができ、さらに、ディスプレイが、立体視画像を常に、対にして出力する必要なく、ゴーストを低減することができる。出力が、二重又は三重にフラッシュされる場合、補償された画像は、2つ1組で出力される。
【0074】
フレーム順次ゴースト除去は、次のように行われる。 履歴バッファ(リングバッファ/FIFOバッファ)は、1つ前のフレームの出力画像を格納する。現在のフレームの画素データが到着すると、対応する画素の1つ前のフレームのデータが、履歴バッファから読み出される。1つ前のフレームによるゴーストを補償するのに必要な反ゴースト値が、現在のフレームの画素値に加算されて、補償済み画素値が生成される。補償済み画素値が、ディスプレイに出力される。補償済み画素値も履歴バッファに書き込まれ、次のフレームに対する現在のフレームのゴースト寄与を、決定することができる。反ゴースト値の計算は、明示的計算によって実行することができ、参照テーブルを使用して実装することもでき、又は、これらを組み合わせて行ってもよい。
【0075】
フレーム順次ゴースト除去方法は、幾つかの利点を有する。一つ目は、入力と出力との間で、1フレームパイプライン遅延を必要としないことである。二つ目は、補償計算を行うのに、1つの画像バッファだけでよいことである。三つ目は、ゴーストが発生する主要なメカニズムは、1つ前のフレームからの残像であることから、この方法は、ゴーストの事前補償に適している。
【0076】
図1から図8を参照して説明したように、LCD表示装置は、順次3Dに必要とされる短いフレーム時間と比較して、長いスイッチング時間を経験する。このスイッチング時間を補助するべく、画素駆動信号をオーバードライブすることにより、短時間で正しい輝度レベルにすることができる。ディスプレイのスイッチング速度を特徴づけるモデルは複雑であり、可能性のあるスイッチング遷移を全て特徴づけなければならない。この方法の利点を達成するために、必要なドライブ値を予測して、所定の時間に正しい画素輝度を達成するようなスキームが開発されている。
【0077】
予測モデルは、アルゴリズム又は参照テーブル(又は一連の複数のテーブル)に実装されて、図17では、"画素修正"1706で示されている。画素修正及びゴースト除去を、両方の機能をカバーする参照テーブルを使用して1つの機能ブロックに組み合わせてもよい。
【0078】
図13A及び図13Bには、LCD表示装置の走査について示されている。ディスプレイの画像は、初めに、ディスプレイの最上部からリフレッシュが開始され、ディスプレイの最下部へと続き、リフレッシュは、ライン毎又は複数ラインの小さなグループ毎に行われる。ディスプレイの1ラインがアクティブ化される時間と、フレーム時間における点との間の関係が、線1303で示されている。
【0079】
図14A、14B、15A及び15Bには、バックライト1401及びπセル1501がセグメント化されている様子が描かれており、セグメント毎に制御が可能である。このような構成により、最適な性能を得るために、画素の照明及び画素の偏光状態を時間調整することが可能となる。図1から図8を参照して上記で説明したように、ディスプレイの個々の画素は、所望の最終的な駆動状態に至る平衡状態となるまでに時間が掛かる。この時間は、1つ前のフレームの輝度レベル、所望の輝度レベル及びオーバードライブを適用する量によって制御することができる。正しい輝度値を達成できる時間を知ることにより、その画素に対応するバックライトを、この時間において点灯させることができる。
【0080】
予測モデルは、所与の所望の輝度値に対する正しい輝度を提供する。モデルは、画素が指定される時点、1つ前のフレームにおける画素値、所望の画素値、及びディスプレイの応答特性を考慮する。その画素に対応するバックライトを、設定された時間に点灯し、Zスクリーンシャッターをその時間にアクティブ化することができる。所与の領域の全ての画素が、所与のバックライトセグメント及び対応するZスクリーンセグメントから影響を受けることから、バックライトが点灯されている期間に発生する正しい輝度値を決定する。
【0081】
図14A及び図14Bには、単純化された5つのバックライトセグメントの場合が示されており、図15A及び図15Bには、5つのセグメントπセルが示されている。実際には、バックライト及びπセルの両方において、多数のセグメントを使用することができ、バックライト及びπセルは、必ずしも同じセグメント数でなくてもよい。一実施形態では、πセルは、16個のセグメントを有し、バックライトは10個のセグメントを有する。
【0082】
図15Bには、所定の1画素に対するタイミングの関係が示されている。図のグラフにおけるx軸1508は、時間を表し、y軸1509は、システムの要素のアクティブ化を表している。
【0083】
画素は、所定の電圧レベルを使用して指定され、点1510で示されるように、フレーム期間の間保持される。このレベルは、1つ前のフレームの値、及び所望の出力輝度値を入力として使用して、モデルから予め決定される。画素の実際の輝度応答が、点1511で示されている。この画素の応答は、平衡状態に達するには時間が掛かる場合があるが、所与の適切な駆動レベルの場合よりも早く所望の輝度レベルに達すると考えられることを示している。画素の輝度レベルが正しくなった時点で、バックライトを1512において点灯させる。点灯する時間は、全フレーム時間の一部をあらわす、設定された値となっている。1514で示されるように、画素の輝度レベルは、この時間の間に変化するが、所望の輝度レベルに統合される。表示プロセスの最終段階では、画素を正しい偏光状態にし、所望の側の目に表示されるのを確かにする。これは、πセルの応答1513で示されている。目が見る生成された輝度は、フレーム1515に対する視認平均輝度レベルを表すグラフに示されている。
【0084】
LEDバックライト、LCDセルの染料、Zスクリーン及び観察者がかける眼鏡の組み合わせによって、色ずれが発生する。複数のテストスクリーンに色を出力し、それを計測することによる簡単な較正プロセスによって、色ずれを修正することができ、これらの値は、"画素修正"アルゴリズムに入力され、修正因子がアルゴリズムに適用されて、正しい色が適用される。偏光状態の僅かな不完全さによって、左目画像と右目画像の色が異なる場合がある。修正メカニズムは、左目と右目に対して、異なる修正要因をサポートする。
【0085】
このように、本設計では、立体視画像を表示するように構成される液晶表示装置を含む。液晶表示装置は、LCDパネル、LCDパネルの背面に配置されたバックライト、LCDパネルを所望の表示状態に駆動する制御電子回路を備えてもよい。制御電子回路は、LCDパネルを所望の状態へとオーバードライブする遷移段階切り替えを採用する。ある場合には、遷移段階切り替えは、参照テーブルを採用し、LCDパネルを所望の状態に駆動する又はオーバードライブするために参照テーブルが採用されてもよい。
【0086】
図18Aは、フラットパネルディスプレイシステムのアドレスサイクル1800を概略的に描いた図である。この例示の実施形態では、バックライト1802は空間的に制御され、PCP1806はセグメント化され、これらは、LC変調パネル1804の更新と同期してスクロール可能な態様で動作してもよい。バックライト1802、LC変調パネル1804及びPCP1806が、別々の層で示されており、4つの概略的図形(a、b、c及びd)は、連続したアドレスサイクルの4つの異なる時間におけるシステムを表している。1サイクルでは、1つの左目画像と1つの右目画像とが表示される。図形は、LC変調パネル1804が、ライン毎に最上部から最下部までアドレス指定されるアドレスサイクルを示している。LC変調パネル1804において、アドレスラインが下側に進むに従って、液晶が落ち着く領域も、連続的にスクロールされるようにそれに続く。切り替えLC変調パネル1804によって表示される混合定着データ領域1859の物理的なサイズは、材料が落ち着く速度及びフレームのアドレスレートによって決まる。上述したように、黒色から灰色へ及び灰色から灰色への遷移は、Chiu等の上記特許文献に記載されるように適宜可能であることから、黒に切り替わるのに掛かる期間が重要である。市場で入手可能な高速ツイストネマチック(TN)パネルでは、白から黒への整定時間は、2ms前後であり、図18Aに示されるLC切り替え帯の物理的な幅は、120Hzフレーム更新が現実的である。
【0087】
ここで例示したシステムは、図18Aで空間的に分離した異なる部分で示された、セグメント化されたスクローリングPCP1806及び空間的に制御されるバックライト1802の両方を含む。PCP1806のセグメントの物理的な大きさ及び空間的に制御されるバックライト1802の部分は、システムの性能及びタイミングに影響するが、セグメント及び部分が、非整定LC1859の幅と比較して十分に小さい場合には、連続的な装置と同様に動作する。
【0088】
例示の実施形態では、フラットパネルディスプレイは、選択的に光を供給可能な複数の照明部分を有する空間的に制御可能なバックライト1802、変調領域を有するLC変調パネル1804及びPCP1806を備える。空間制御可能なバックライト1802は、選択的に光を提供可能な複数の照明部分を有してもよい。PCP1806は、変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有してもよく、偏光制御セグメントは、変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換する。また、選択された変調領域は、左目画像データでアドレス指定されてもよく、偏光制御命令は、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに供給され、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する時に左目偏光表示モードで動作してもよい。さらに、選択された変調領域が、左目偏光制御命令に対応する画像データを表す整定した変調領域を含む場合に、1以上の選択された照明部分から光を、選択された変調領域に対して供給してもよい。
【0089】
上記の実施形態は、多くの変形例を有する。例えば、幾つかの実施形態では、PCPは、πセルであってもよい。ある実施形態では、選択された変調領域における複数のデータ線の一部は、実質的に、選択された変調領域の複数のデータ線のうちの半分を含んでもよい。ある実施形態では、選択変調領域の第1のデータ線をアドレス指定した後で、偏光制御命令が供給されてもよい。ある実施形態では、偏光制御セグメントは、左目偏光表示モードで動作するよう切り替えられてもよく、偏光制御セグメントが右目偏光表示モードに切り替わるまで(その反対の方向の切り替えについても同様)、その偏光制御セグメントに対してSOP変換を維持してもよい。ある実施形態では、左目画像フレーム全体又は右目画像フレーム全体を、120分の1秒以内にアドレス指定してもよい。ある実施形態では、選択された変調領域における真ん中のデータ線に対するLC変調パネルの整定時間、及び関連付けられた偏光制御セグメントに対するPCPの第2整定時間が、左目及び右目アナライザを通して立体画像を見たときに、左目と右目におけるクロストークが無視できる程度に最小化されるように最適化されてもよい。ある実施形態では、偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含んでもよい。ある実施形態では、左目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせてもよく、右目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により遅らせないようにしてもよい。ある実施形態では、右目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせてもよく、左目偏光制御命令によって、LC変調パネルで変調された光をゼロツイストLC変調器により遅らせないようにしてもよい。ある実施形態では、隣接するセグメント化された偏光制御セグメントは、PCPにおいて順次スクロールされてもよい。ある実施形態では、PCPは、入射光を出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含んでもよく、それにより、偏光制御命令に従って、直交する偏光状態間で切り替えを行ってもよい。
【0090】
図18Bは、図18Aで示したディスプレイシステムのタイミングシーケンスを単純化して示したタイミング図1850である。この実施形態では、120HzLCアドレスが仮定され、5つ以上のPCP及び/又はバックライトセグメントを使用している。このような条件下であるタイミング図1850から、選択されたディスプレイのラインに対する期間、状態及び様々な要素の状態の開始時間を知ることができる。各行は、LC変調パネルのデータ線を表しており、最初のラインと最後のラインは、LC変調パネル1804の一番上の行と一番下の行とを表している。時間軸は、左から右へ進む。
【0091】
図18Bのタイミング図のラインそれぞれは、ラインがアドレス指定される瞬間1854を示しており、それにすぐに続いて、整定期間1859が示されている。ラインが再びアドレス指定される1854前に、画像データが正しく表示される期間(例えば、1857及び1855)が存在する。整定期間1859が終了した後、次のアドレス指定する瞬間1854の前に、局所的照明1852が行われる。複数のラインが時間差で配置されているように見えるのは、システムのスクローリング性を表している。いずれの領域も、およそ25%の時間は照明されない(すなわち、およそ75%の照明デューティサイクルとなっている)。25%の照明されないデューティサイクルの間に、PCPを局所的にスイッチング1856する。
【0092】
システムの構成要素は、コストが高く複雑であったとしても、このようなシステムの利点は、適度な120Hzのアドレスレート及び大きな照明デユーティサイクルに起因している。図4〜図7を参照して説明した単純例のように、グローバルにアドレスする実装によれば、セグメント化されていない構成要素を使用するため、システムのコスト及び複雑性を低減できると考えられる。
【0093】
図18Bに戻り、タイミング図1850はまた、従来のLCアドレス指定を使用した、時間的に重複する左目画像及び右目画像を示している。どの瞬間においても、右目のデータ又は左目のデータの一方のみを通過する縦のラインは存在せず、グローバルバックライト及びPCP要素の使用を除外している。セグメント化されたバックライト及び/又はPCPを使用して、LCアドレス指定を操作することにより、その他のシステムを実現できる。
【0094】
図18A及び図18Bに示された実施形態によれば、フラットパネルディスプレイに立体視画像を表示する方法は、LC変調パネル1804における選択された変調領域における複数のデータ線を、左目画像データで、アドレス指定する段階を備える。方法は更に、選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定部分を表示する時に、左目偏光表示モードで動作させる偏光制御命令を、選択された変調領域と関連付けられた偏光制御セグメントに供給する段階を備える。また、方法は、1以上の選択された照明部分から、選択された変調領域へと光を供給する段階を備え、選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む。同様な方法を、右目偏光制御命令に対応する右目画像データを表示するのに使用してもよい。
【0095】
本明細書に示した設計及び特定の側面は、限定することを意図しておらず、本発明の教示するところ及び利点を組み込むと同時に代替となる構成要素も含むことを意図している。また、本発明が、特定の実施形態と関連付けて説明されたが、本発明には、さらなる修正も可能である。本願は、本発明の原理に概して従うあらゆる変形例、本発明の使用又は適用を範囲に含み、本開示には記載されていない構成であっても、本発明が属する技術分野において一般的に行われている及び既知の構成であれば、本発明に含まれることを意図している。
【0096】
また、上記の実施形態では、現在の知識を適用すれば、本発明の原理を逸脱することなく、当業者が十分容易に、システム及び方法を様々なアプリケーションに適用及び/又は修正可能な程度に開示されている。したがって、開示された実施形態の均等物の範囲及び意味するところに、このような適用及び改良も含まれる。また、本明細書で使用されている表現及び用語は、本発明を説明する目的で使用されており、本発明を限定することを意図していない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の変調領域を含む液晶(LC)変調パネルに光を選択的に供給可能な複数の照明部分を有する空間制御可能なバックライト、及び、前記複数の変調領域と関連付けられ、前記複数の変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換する複数の偏光制御セグメントを含む偏光制御パネル(PCP)を有するフラットパネルディスプレイに立体視画像を表示する方法であって、
前記LC変調パネルにおける1つの選択された変調領域における複数のデータ線を、左目画像データでアドレス指定する段階と、
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する場合に、左目偏光表示モードで動作させるべく、前記選択された変調領域と関連付けられた1つの偏光制御セグメントに、偏光制御命令を供給する段階と、
1以上の選択された照明部分から、前記選択された変調領域に対して光を供給する段階と
を供え、
前記選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む、方法。
【請求項2】
前記変調領域における前記複数のデータ線の所定の部分が、整定した前記変調領域における前記複数のデータ線の40%から60%の範囲の量を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の前記一部が、実質的に、前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の半分である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記偏光制御命令を供給する段階は、前記選択された変調領域の最初のデータ線をアドレス指定した後に実行される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記左目偏光表示モードで動作させるべく、前記偏光制御セグメントを切り替える段階と、
前記偏光制御セグメントが、右目偏光表示モードに切り替えられるまで、前記偏光制御セグメントに対する前記SOP変換を維持する段階とを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
左目画像フレーム又は右目画像フレームの全体が、1/120秒以内にアドレス指定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
左目及び右目アナライザを通して立体画像を見た時に、左目及び右目におけるクロストークを無視できる程度に最適化するべく、前記選択された変調領域における真ん中のデータ線に対する前記LC変調パネルの第1の整定時間、及び、前記関連付けられた偏光制御セグメントに対する前記PCPの第2の整定時間を最適化する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、前記ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
隣接するセグメント化された前記複数の偏光制御セグメントは、前記PCPにおいて、順次スクロールされる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記PCPは、前記偏光制御命令に従って、入射光を直交する偏光状態間で切り替え出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
立体視画像を表示可能なフラットパネルディスプレイであって、
光を選択的に供給可能な複数の照明部分を有する空間制御可能なバックライトと、
複数の変調領域を含む液晶(LC)変調パネルと、
前記複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)とを備え、
前記複数の偏光制御セグメントは、前記複数の変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換し、
選択された1つの変調領域は、左目画像データでアドレス指定され、
前記選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する場合に、左目偏光表示モードで動作させるべく、前記選択された変調領域と関連付けられた1つの偏光制御セグメントに、偏光制御命令が供給され、
前記選択された変調領域が、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む場合に、1以上の選択された照明部分から、前記選択された変調領域に対して光が供給される、フラットパネルディスプレイ。
【請求項14】
前記PCPは、πセルを含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項15】
前記変調領域における前記複数のデータ線の所定の部分が、整定した前記変調領域における前記複数のデータ線の40%から60%の範囲の量を含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項16】
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の前記一部が、実質的に、前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の半分である請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項17】
前記選択された変調領域の一番目のデータ線をアドレス指定した後に、前記偏光制御命令が供給される請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の偏光制御セグメントは、前記左目偏光表示モードで動作するよう切り替えられ、前記偏光制御セグメントが右目偏光表示モードに切り替わるまで、前記偏光制御セグメントに対してSOP変換が維持される請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項19】
左目画像フレーム又は右目画像フレームの全体が、1/120秒以内にアドレス指定される請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項20】
左目及び右目アナライザを通して立体画像を見た時に、左目及び右目におけるクロストークを無視できる程度に最適化するべく、前記選択された変調領域における中央のデータ線に対する前記LC変調パネルの第1の整定時間、及び、前記関連付けられた偏光制御セグメントに対する前記PCPの第2の整定時間を最適化する請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項21】
前記複数の偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、前記ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項22】
前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項23】
右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項24】
隣接するセグメント化された前記複数の偏光制御セグメントは、前記PCPにおいて、順次スクロールされる請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項25】
前記PCPは、前記偏光制御命令に従って、入射光を直交する偏光状態間で切り替え出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項1】
複数の変調領域を含む液晶(LC)変調パネルに光を選択的に供給可能な複数の照明部分を有する空間制御可能なバックライト、及び、前記複数の変調領域と関連付けられ、前記複数の変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換する複数の偏光制御セグメントを含む偏光制御パネル(PCP)を有するフラットパネルディスプレイに立体視画像を表示する方法であって、
前記LC変調パネルにおける1つの選択された変調領域における複数のデータ線を、左目画像データでアドレス指定する段階と、
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する場合に、左目偏光表示モードで動作させるべく、前記選択された変調領域と関連付けられた1つの偏光制御セグメントに、偏光制御命令を供給する段階と、
1以上の選択された照明部分から、前記選択された変調領域に対して光を供給する段階と
を供え、
前記選択された変調領域は、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む、方法。
【請求項2】
前記変調領域における前記複数のデータ線の所定の部分が、整定した前記変調領域における前記複数のデータ線の40%から60%の範囲の量を含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の前記一部が、実質的に、前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の半分である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記偏光制御命令を供給する段階は、前記選択された変調領域の最初のデータ線をアドレス指定した後に実行される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記左目偏光表示モードで動作させるべく、前記偏光制御セグメントを切り替える段階と、
前記偏光制御セグメントが、右目偏光表示モードに切り替えられるまで、前記偏光制御セグメントに対する前記SOP変換を維持する段階とを更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
左目画像フレーム又は右目画像フレームの全体が、1/120秒以内にアドレス指定される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
左目及び右目アナライザを通して立体画像を見た時に、左目及び右目におけるクロストークを無視できる程度に最適化するべく、前記選択された変調領域における真ん中のデータ線に対する前記LC変調パネルの第1の整定時間、及び、前記関連付けられた偏光制御セグメントに対する前記PCPの第2の整定時間を最適化する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、前記ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
隣接するセグメント化された前記複数の偏光制御セグメントは、前記PCPにおいて、順次スクロールされる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記PCPは、前記偏光制御命令に従って、入射光を直交する偏光状態間で切り替え出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
立体視画像を表示可能なフラットパネルディスプレイであって、
光を選択的に供給可能な複数の照明部分を有する空間制御可能なバックライトと、
複数の変調領域を含む液晶(LC)変調パネルと、
前記複数の変調領域と関連付けられた複数の偏光制御セグメントを有する偏光制御パネル(PCP)とを備え、
前記複数の偏光制御セグメントは、前記複数の変調領域から入射する変調された光の偏光状態(SOP)を選択的に変換し、
選択された1つの変調領域は、左目画像データでアドレス指定され、
前記選択された変調領域における複数のデータ線の一部が、左目画像フレームの所定の部分を表示する場合に、左目偏光表示モードで動作させるべく、前記選択された変調領域と関連付けられた1つの偏光制御セグメントに、偏光制御命令が供給され、
前記選択された変調領域が、左目偏光制御命令に対応する画像データを表示する整定変調領域を含む場合に、1以上の選択された照明部分から、前記選択された変調領域に対して光が供給される、フラットパネルディスプレイ。
【請求項14】
前記PCPは、πセルを含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項15】
前記変調領域における前記複数のデータ線の所定の部分が、整定した前記変調領域における前記複数のデータ線の40%から60%の範囲の量を含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項16】
前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の前記一部が、実質的に、前記選択された変調領域における前記複数のデータ線の半分である請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項17】
前記選択された変調領域の一番目のデータ線をアドレス指定した後に、前記偏光制御命令が供給される請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の偏光制御セグメントは、前記左目偏光表示モードで動作するよう切り替えられ、前記偏光制御セグメントが右目偏光表示モードに切り替わるまで、前記偏光制御セグメントに対してSOP変換が維持される請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項19】
左目画像フレーム又は右目画像フレームの全体が、1/120秒以内にアドレス指定される請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項20】
左目及び右目アナライザを通して立体画像を見た時に、左目及び右目におけるクロストークを無視できる程度に最適化するべく、前記選択された変調領域における中央のデータ線に対する前記LC変調パネルの第1の整定時間、及び、前記関連付けられた偏光制御セグメントに対する前記PCPの第2の整定時間を最適化する請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項21】
前記複数の偏光制御セグメントの各々は、出力偏光方向に対して45度の角度に向けられた、0〜1/2波長遅らせるゼロツイストLC変調器、及び、前記ゼロツイストLC変調器の方向に対して45度の角度に向けられた1/4波長位相差板を含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項22】
前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項23】
右目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により1/2波長遅らせ、前記左目偏光制御命令は、前記LC変調パネルで変調された光を、前記ゼロツイストLC変調器により遅らせないようにする請求項21に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項24】
隣接するセグメント化された前記複数の偏光制御セグメントは、前記PCPにおいて、順次スクロールされる請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【請求項25】
前記PCPは、前記偏光制御命令に従って、入射光を直交する偏光状態間で切り替え出力可能な複数の偏光スイッチの細長い帯を複数含む請求項13に記載のフラットパネルディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【公開番号】特開2012−48197(P2012−48197A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−113855(P2011−113855)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(504156256)リアルディー インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】RealD Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113855(P2011−113855)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(504156256)リアルディー インコーポレイテッド (29)
【氏名又は名称原語表記】RealD Inc.
【Fターム(参考)】
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